(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
G03G15/20 515
(21)【出願番号】P 2020100086
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100141298
【氏名又は名称】今村 文典
(74)【代理人】
【識別番号】100187492
【氏名又は名称】新保 元啓
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【氏名又は名称】大久保 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】中元 史人
(72)【発明者】
【氏名】上原 雅和
(72)【発明者】
【氏名】綿谷 友宏
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄大
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-078965(JP,A)
【文献】特開2014-052662(JP,A)
【文献】特開平10-333459(JP,A)
【文献】特開2018-151520(JP,A)
【文献】特開2009-300863(JP,A)
【文献】特開2017-021067(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーをシートに定着させる定着ベルトと、
前記定着ベルトの外周面とニップ部を形成し、
回転軸を軸心として回転して、前記ニップ部で前記定着ベルトを加圧しながら周回転させる加圧部材と、
前記定着ベルトを加熱するヒーターを保持するヒーター保持部材と
を備え、
前記ヒーター保持部材は、
前記ニップ部から前記定着ベルトの内周面に沿って延び、前記定着ベルトをガイドする側面部と、
前記回転軸の方向に沿って配置された複数対の傾斜リブと、
対応する前記対の傾斜リブが合流するようにそれぞれ形成された複数の合流リブと
を含み、
前記各対の傾斜リブは、前記側面部において、前記内周面に対向して配置され、前記定着ベルトが周回転する方向に向かうに従って、互いの間隔が徐々に狭まるように形成され
ている、定着装置。
【請求項2】
前記
対の傾斜リブ
と前記合流リブとは、潤滑油を収容する収容部を有する、請求項
1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記
対の傾斜リブ
と前記合流リブとは、潤滑油を滞留可能な合流部を、さらに有し、
前記合流部は、潤滑油を前記定着ベルトに供給する、請求項1
又は請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記合流部は、前記定着ベルトが周回転する方向の下流側に向けて傾斜する、請求項
3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記側面部は、前記ニップ部から前記定着ベルトが周回転する方向の下流側に向けて延びる下流側側面部を含み、前記
各対の傾斜リブ
と前記合流リブとは、前記下流側側面部に配置された、請求項1~
4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記側面部は、前記ニップ部から前記定着ベルトが周回転する方向の上流側に向けて延びる上流側側面部を含み、前記
各対の傾斜リブ
と前記合流リブとは、前記上流側側面部に配置された、請求項1~
5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
請求項1~請求項
6のいずれか1項に記載された定着装置と、
前記シートに画像を形成する画像形成部と
を備えた、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の像加熱装置は、定着フィルムの回転方向におけるヒータガイドの上流側と下流側に、それぞれ凸部を設け、潤滑剤を処理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の像加熱装置は、例えば、潤滑剤が凸部の側壁などに溜まってしまい、沈着を起こすという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、潤滑油がリブとリブとの間に沈着することを抑制し、さらに、潤滑油の循環を促すことができる定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る定着装置は、定着ベルトと、加圧部材と、ヒーター保持部材とを備える。前記定着ベルトは、トナーをシートに定着させる。前記加圧部材は、前記定着ベルトの外周面とニップ部を形成し、前記ニップ部で前記定着ベルトを加圧しながら周回転させる。前記ヒーター保持部材は、前記定着ベルトを保持する。前記ヒーター保持部材は、さらに、側面部と、複数の傾斜リブとを含む。前記側面部は、前記ニップ部から前記内周面に沿って延び、前記定着ベルトをガイドする。前記複数の傾斜リブは、前記側面部において、前記内周面に対向して配置され、前記定着ベルトが周回転する方向に向かうに従って、互いの間隔が徐々に狭まるように形成される。
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、上記に記載の定着装置と、画像形成部とを備える。前記画像形成部は、シートSに画像を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の定着装置および画像形成装置によれば、潤滑油がリブとリブとの間に沈着することを抑制し、さらに、定着ベルトにおける潤滑油の循環を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る定着装置を備える画像形成装置を示す図である。
【
図2】実施形態1に係る定着装置の要部を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【
図4】実施形態1に係る定着装置のヒーター保持部材の外観斜視図である。
【
図5】実施形態1に係る定着装置のヒーター保持部材をX軸正側から見た図である。
【
図6】(a)~(c)は、実施形態1に係る定着装置のヒーター保持部材における潤滑油の挙動を示す図である。
【
図7】実施形態2に係る定着装置のヒーター保持部材をX軸正側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本実施形態1では、図中に、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を示す。Z軸は鉛直面に平行であり、X軸およびY軸は水平面に平行である。
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態1に係る画像形成装置100について説明する。
図1は、本実施形態1に係る画像形成装置100を示す図である。画像形成装置100は、例えば、複写機、ファクシミリ、またはこれらの機能を兼ね備えた複合機である。本実施形態1では、画像形成装置100はモノクロ複合機である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置100は、定着装置1と、画像形成部2と、読取部3と、原稿搬送部4と、給送部5と、搬送部6と、排出部7とを備える。
【0013】
読取部3は、原稿Dの画像を読み取る。読取部3は、読み取った画像から画像データを生成する。原稿搬送部4は、原稿Dを読取部3に搬送する。給送部5は、複数のシートSを収容し、搬送部6へシートSを給送する。シートSは、例えば、紙製または合成樹脂製である。シートSは、記録媒体の一例である。搬送部6は、複数の搬送ローラー対を含み、画像形成部2を経由して、排出部7までシートSを搬送する。
【0014】
画像形成部2は、画像データに基づいて、電子写真方式によってシートSにトナー像T(
図3)を形成する。画像データは、例えば、原稿Dの画像を示す。画像形成部2は、例えば、感光体ドラムと、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、補給装置と、転写ローラーと、クリーニング装置と、除電装置とを有する。
【0015】
定着装置1は、トナー像Tを加熱および加圧して、シートSにトナー像Tを定着させる。搬送部6は、トナー像Tの定着されたシートSを排出部7に搬送する。排出部7は、画像形成装置100の筐体の外部にシートSを排出する。
【0016】
次に、
図2および
図3を参照して、本実施形態1の定着装置1の構成の詳細について説明する。
図2は、本実施形態1に係る定着装置1の要部を示す斜視図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
【0017】
図4は、実施形態1に係る定着装置1のヒーター保持部材40の外観斜視図である。
図5は、実施形態1に係る定着装置1のヒーター保持部材40をX軸正側から見た図である。
図6(a)~(c)は、実施形態1に係る定着装置1のヒーター保持部材40における潤滑油Mの挙動を示す図である。
【0018】
図2および
図3に示すように、実施形態1では、定着装置1は、定着ベルト10と、加圧部材20と、ヒーター保持部材40とを備える。
【0019】
図2および
図3に示すように、定着ベルト10は、トナー像TをシートSに定着させる。加圧部材20は、定着ベルト10の外周面13とニップ部Nを形成し、ニップ部Nで定着ベルト10を加圧しながら周回転させる。ヒーター保持部材40は、ヒーター30を保持する。ヒーター保持部材40は、側面部44と、傾斜リブ(52、54)とを含む。
【0020】
図4および
図5に示すように、側面部44は、ニップ部Nから定着ベルト10の内周面14に沿って延び、定着ベルト10をガイドする。複数の傾斜リブ52、および、傾斜リブ54は、側面部44において、定着ベルト10の内周面14に対向して配置され、定着ベルト10が周回転する方向R1に向かうに従って、互いの間隔が徐々に狭まるように形成される。
【0021】
図4および
図5に示すように、実施形態1では、ヒーター保持部材40は、複数の傾斜リブ(52、54)が、さらに、合流するように形成される合流リブ50をさらに備える。
【0022】
図4および
図5に示すように、実施形態1では、ヒーター保持部材40は、定着装置1の複数の傾斜リブ(52、54)に挟まれるように形成され、潤滑油Mを収容する収容部58を有する。
【0023】
図6に示すように、実施形態1では、複数の傾斜リブ(52、54)は、潤滑油Mを滞留可能な合流部56をさらに有し、合流部56は、潤滑油Mを定着ベルト10に供給する。
【0024】
図6に示すように、実施形態1では、定着装置1の合流部56は、定着ベルト10が周回転する方向R1の下流側に向けて傾斜する。
【0025】
図4に示すように、実施形態1では、側面部44は、ニップ部Nから定着ベルト10が周回転する方向R1の下流側に向けて延びる下流側側面部46を含み、複数の傾斜リブ(52、54)は、下流側側面部46に配置される。
【0026】
以下、
図2~
図6を参照しながら、具体的に説明する。
図2に示すように、定着装置1は、定着ベルト10と、加圧部材20と、ヒーター保持部材40とを備える。
【0027】
定着ベルト10は、トナー像TをシートSに定着させる。すなわち、定着ベルト10は、後述するヒーター30により加熱され、加圧部材20に付勢されることにより、定着ベルト10と加圧部材20との間のニップ部Nを搬送されるシートSにトナー像Tを定着させる。
【0028】
定着ベルト10は、無端状である。定着ベルト10は、略円筒形状を有する。定着ベルト10は、可撓性を有する。定着ベルト10は、第1回転軸線L1を軸心として周回転可能である。定着ベルト10は、第1回転軸線L1方向に延びる。
【0029】
定着ベルト10は、端部11と、端部12と、外周面13と、内周面14を有する。端部11および端部12は、第1回転軸線L1方向における両端部である。以下、第1回転軸線L1方向を、「回転軸方向」、「定着ベルト10の回転軸方向」、または、「定着ベルト10の幅方向」と記載する場合がある。また、定着ベルト10の回転軸方向における中央(中心)10cを「ベルトの中央10c」と記載する場合がある。また、中央10cを「中心10c」と記載する場合がある。さらに、ベルトの中央10cを通る仮想線を中央線CLと記載する。中央線CLは、「中心線CL」と記載する場合がある。
【0030】
定着ベルト10は、複数の層をさらに有する。定着ベルト10は、例えば、ポリイミド層と、離型層とを有する。離型層は、ポリイミド層の外周面上に形成される。離型層は、例えば、フッ素樹脂製の耐熱性フィルムである。
【0031】
図3は、
図2のIII-III線に沿った断面図である。
図3に示すように、加圧部材20は、定着ベルト10の外周面13と密着するニップ部Nを形成する。加圧部材20は、ニップ部Nで定着ベルト10を加圧しながら、定着ベルト10を周回転させる。加圧部材20は略円柱状であって、定着ベルト10に対向して配置される。加圧部材20は、外周面201を有する。加圧部材20は、定着ベルト10を押圧する。これにより、加圧部材20の外周面201が定着ベルト10の外周面13に当接し、ニップ部Nが形成される。
【0032】
加圧部材20は、第2回転軸線L2を軸心として回転自在である。加圧部材20が回転すると、定着ベルト10が加圧部材20に従動して回転する。これらの構成により、シートSがニップ部Nを通過すると、トナー像TがシートSに定着される。なお、シートSは、方向A(Z軸正側)に搬送される。加圧部材20は、第2回転軸線L2に沿って延びる。なお、第2回転軸線L2と第1回転軸線L1とは略平行である。
【0033】
加圧部材20は、円柱状の芯金21と、円筒状の弾性層22と、離型層23とを有する。弾性層22は、芯金21上に形成される。離型層23は、弾性層22の表面を覆うように形成される。芯金21は、第2回転軸線L2を軸心として回転自在である。芯金21は、例えば、ステンレスまたはアルミニウムにより形成される。弾性層22は、弾性を有し、例えば、シリコーンゴムにより形成される。離型層23は、例えば、フッ素樹脂により形成される。
【0034】
ヒーター保持部材40は、ヒーター30を保持する。
図2に示すように、ヒーター保持部材40は、ベルト保持部材60を有する。ベルト保持部材60は、第1ベルト保持部材61と、第2ベルト保持部材62とを有する。第1ベルト保持部材61は、定着ベルト10の端部11を保持する。第2ベルト保持部材62は、定着ベルト10の端部12を保持する。
【0035】
図3に示すように、定着ベルト10は、内周面14をさらに有する。また、ヒーター保持部材40は、ヒーター保持部32を有する。
【0036】
ヒーター保持部32は、補強部材33と、ヒーター30とを有する。具体的には、定着ベルト10の内周面14は、ヒーター30と対向する。
【0037】
補強部材33は、ヒーター保持部材40を補強する。補強部材33は、例えば、細長状の金属製ステー部材である。補強部材33は、Y軸正側から見た断面が、略逆U字状である。補強部材33は、第1回転軸線L1に沿って延びる。
【0038】
ヒーター30は、定着ベルト10を加熱する。ヒーター30は、第1回転軸線L1に沿って延びる。ヒーター30は、例えば、面状ヒーター、または細長薄板状ヒーターである。ヒーター30は、例えば、セラミックヒーターであり、セラミック基板と、抵抗発熱体とを有する。ヒーター30の厚さは、例えば、1mmである。ヒーター30は、定着ベルト10を介して加圧部材20からの圧力を受ける。
【0039】
ヒーター保持部材40のヒーター保持部32は、ヒーター30を保持する。ヒーター保持部32は、ヒーター30を介して定着ベルト10と対向する。ヒーター保持部材40は、定着ベルト10のうち、加圧部材20と対向する側の内側(加圧部材20と対向する外周面13の反対側)に配置される。ヒーター保持部材40は、例えば、耐熱樹脂製である。ヒーター保持部材40は、第1回転軸線L1に沿って延びる。第1回転軸線L1方向におけるヒーター保持部材40の2つの端部のうちの一方の端部は、例えば、画像形成装置100の本体に配置されるコネクターと嵌合可能である。
【0040】
図4に示すように、ヒーター保持部材40は、側面部44と、傾斜リブ52と、傾斜リブ54とを含む。
【0041】
側面部44は、定着ベルト10(
図3)の周回動をガイドする。側面部44は、ヒーター保持部材40の短手方向の両側から、定着ベルト10の内周面14に沿って延びる。
【0042】
図3および
図4に示すように、側面部44は、下流側側面部46と、上流側側面部48とを含む。
【0043】
下流側側面部46は、ヒーター保持部材40のニップ部Nから、定着ベルト10の内周面14に沿って、定着ベルト10が周回動する方向R1の下流側に延びる。
【0044】
上流側側面部48は、ヒーター保持部材40のニップ部Nから、定着ベルト10の内周面14に沿って、定着ベルト10が周回動する方向R1の上流側に延びる。
【0045】
図4に示すように、複数の傾斜リブ52、および、傾斜リブ54は、側面部44において、定着ベルト10の内周面14に対向して配置され、定着ベルト10が周回転する方向R1に向かうに従って、互いの間隔が徐々に狭まるように形成されてもよい。
【0046】
ヒーター保持部材40の複数の傾斜リブ52、および、傾斜リブ54は、下流側側面部46に配置される。
【0047】
ヒーター保持部材40は、傾斜リブ52および傾斜リブ54に挟まれるように形成され、潤滑油Mを収容する収容部58を有する。
【0048】
具体的には、傾斜リブ52および傾斜リブ54は、ヒーター保持部材40の、少なくとも、下流側側面部46において、定着ベルト10の内周面14に対向して配置される。互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54とは、定着ベルト10が周回転する方向R1に向かうに従って、互いの間隔が徐々に狭まるように形成される。
【0049】
傾斜リブ52および傾斜リブ54は、好適には、それぞれ複数配置される。しかし、傾斜リブ52および傾斜リブ54は、それぞれ複数配置されることに限定されない。また、互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54とは、合流しなくてもよい。
【0050】
ヒーター保持部材40は、傾斜リブ52および傾斜リブ54に挟まれるように形成され、潤滑油Mを収容する収容部58を有する。
【0051】
次に、
図6(a)~(c)を参照して、ヒーター保持部材40における潤滑油Mの動きを説明する。互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54とが合流しないように形成されている場合、
図6(a)に示すように、定着ベルト10が方向R1に周回動すると、定着ベルト10の内周面14に塗布された潤滑油Mが、傾斜リブ52または傾斜リブ54に接することによって、傾斜リブ52または傾斜リブ54に回収される。
【0052】
潤滑油Mは、定着ベルト10がさらに周回動することにより、傾斜リブ52および傾斜リブ54の間の収容部58に収容され、溜まっていく。さらに、互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54との間隔が徐々に狭まるように形成されていることによって、
図6(b)に示すように、潤滑油Mは、傾斜リブ52および傾斜リブ54の方向R1側に押し出され、対流しながら合流部56に集積する。
【0053】
互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54とが合流しないように形成されている場合であっても、互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54とが最も接近した領域を合流部56とすることができる。
【0054】
図6(c)に示すように、合流部56に溜まった潤滑油Mは、後から供給される潤滑油Mに押し出されて、合流部56からあふれ出て、定着ベルト10の内周面14に再供給される。
【0055】
本実施形態によれば、収容部58に収容された潤滑油Mは、傾斜リブ52および傾斜リブ54の間に沈殿することを抑えることができ、定着ベルト10の内周面14に再供給される。そのため、潤滑油Mを、定着ベルト10とヒーター保持部材40との間で好適に循環させることができ、潤滑油Mの凝固を防止することができる。
【0056】
本実施形態によれば、傾斜リブ52および傾斜リブ54に挟まれるように形成された収容部58が、定着ベルト10の内周面14の潤滑油Mを収容することができる。
【0057】
本実施形態によれば、互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54とが最も接近した合流部56から、潤滑油Mを定着ベルト10の内周面14に再供給することができるので、潤滑油Mを、定着ベルト10とヒーター保持部材40との間で好適に循環させることができ、潤滑油Mの凝固を防止することができる。
【0058】
次に、
図4および
図5に示すように、ヒーター保持部材40は、傾斜リブ52と傾斜リブ54とが合流するように形成された合流リブ50をさらに備えることができる。
【0059】
合流リブ50は、傾斜リブ52と傾斜リブ54とが、定着ベルト10が周回動する方向R1に向かうに従って接近し、合流部56で合流するように形成される。
【0060】
合流リブ50は、傾斜リブ52および傾斜リブ54に挟まれた空間に、潤滑油Mを収容する収容部58を有する。
【0061】
合流リブ50は、傾斜リブ52と傾斜リブ54とが合流する合流部56を有する。合流部56は、収容部58に収容された潤滑油Mを滞留する。合流部56は、潤滑油Mを定着ベルト10に供給する。
【0062】
次に、
図6(a)~(c)を参照して、ヒーター保持部材40における潤滑油Mの動きを説明する。
図6(a)に示すように、定着ベルト10が方向R1に周回動すると、定着ベルト10の内周面14に塗布された潤滑油Mが、合流リブ50に接することによって、合流リブ50の傾斜リブ52または傾斜リブ54に回収される。
【0063】
潤滑油Mは、定着ベルト10がさらに周回動することにより、傾斜リブ52および傾斜リブ54の間の収容部58に収容され、溜まっていく。互いに隣接する傾斜リブ52と傾斜リブ54との間隔が徐々に狭まるように形成されていることによって、
図6(b)に示すように、潤滑油Mは、傾斜リブ52および傾斜リブ54の方向R1側に押し出され、対流しながら合流部56に集積する。
【0064】
図6(c)に示すように、合流部56に溜まった潤滑油Mは、後から供給される潤滑油Mに押し出されて、合流部56からあふれ出て、定着ベルト10の内周面14に再供給される。
【0065】
さらに、合流部56は、
図6(c)に示すように、定着ベルト10が周回転する方向R1の下流側に向けて傾斜してもよい。
【0066】
本実施形態によれば、合流リブ50の収容部58に収容された潤滑油Mは、傾斜リブ52および傾斜リブ54の間に沈殿することなく、合流部56から定着ベルト10の内周面14に再供給される。そのため、潤滑油Mを、定着ベルト10とヒーター保持部材40との間で好適に循環させることができ、潤滑油Mの凝固を防止することができる。
【0067】
本実施形態によれば、合流部56が、定着ベルト10が周回転する方向R1の下流側に向けて傾斜することにより、合流部56から定着ベルト10の内周面14に、潤滑油Mがさらに好適に再供給されるため、潤滑油Mの凝固を防止することができる。
【0068】
さらに、本実施形態によれば、複数の傾斜リブ52および傾斜リブ54が、下流側側面部46に配置されることにより、ニップ部Nを通過した定着ベルト10とヒーター保持部材40との摩擦を好適に軽減でき、さらに、潤滑油Mを定着ベルト10とヒーター保持部材40との間で好適に循環させることができる。
【0069】
(実施形態2)
次に、側面部44は、ニップ部Nから定着ベルト10が周回転する方向R1の上流側に向けて延びる上流側側面部48を含み、合流リブ50、および、合流リブ50を構成する傾斜リブ52および傾斜リブ54は、上流側側面部48に配置される。
【0070】
図7に示すように、ヒーター保持部材40は、ヒーター保持部材40のニップ部Nから、定着ベルト10の内周面14に沿って、定着ベルト10が周回動する方向R1の上流側に延びる上流側側面部48を有する。
【0071】
合流リブ50は、上流側側面部48に配置されてもよい。合流リブ50は、下流側側面部46には配置されず、上流側側面部48のみに配置されてもよい。合流リブ50は、下流側側面部46および上流側側面部48の双方に配置されてもよい。
【0072】
定着ベルト10は、下流側側面部46を通過した後、比較的長時間、束縛を受けずに周回動するため、定着ベルト10の内周面14に塗布された潤滑油Mは、
図2で説明した端部11または端部12に流れ、端部11または端部12から流出することがある。また、定着ベルト10の内周面14に潤滑油Mの分布が不安定になることがある。さらに、潤滑油Mは空間に曝露されることにより、酸化することがある。
【0073】
上流側側面部48に配置され合流リブ50は、定着ベルト10の内周面14に塗布された潤滑油Mを回収し、定着ベルト10の内周面14に再供給する。
【0074】
本実施形態によれば、合流リブ50を上流側側面部48に配置することにより、潤滑油Mの酸化を抑制し、端部11または端部12から流出することを抑制する。さらに、合流リブ50を上流側側面部48に配置することにより、潤滑油Mの定着ベルト10の内周面14に分布が安定する。
【0075】
さらに、本実施形態によれば、合流リブ50を下流側側面部46および上流側側面部48の双方に配置することにより、潤滑油Mを定着ベルト10とヒーター保持部材40との間で、さらに好適に循環させることができる。
【0076】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記に示す(1)~(2))。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、定着装置および画像形成装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 定着装置
10 定着ベルト
40 ヒーター保持部材
44 側面部
46 下流側側面部
48 上流側側面部
50 合流リブ
52 傾斜リブ
54 傾斜リブ
56 合流部
58 収容部