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  • 特許-画像読取装置 図1
  • 特許-画像読取装置 図2
  • 特許-画像読取装置 図3
  • 特許-画像読取装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240627BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240627BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240627BHJP
   G03B 27/62 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H04N1/00 567Q
H04N1/12 Z
H04N1/04 D
B65H5/06 F
G03B27/62
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020035501
(22)【出願日】2020-03-03
(65)【公開番号】P2021141378
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】林 信二
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-042547(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
B65H 5/06
G03B 27/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の搬送路における所定の画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取るイメージセンサーと、
前記搬送路における前記所定の画像読取位置から上流側の位置に配置されている複数の上流側搬送ローラーのうち、前記所定の画像読取位置に最も近い第1上流側搬送ローラーと、
前記搬送路において前記第1上流側搬送ローラーと前記画像読取位置との間に配置され、前記画像読取位置に近づくほど、前記原稿の搬送方向に対して垂直な方向における幅が狭くなる複数の段階ニップ解除ローラーと、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記複数の段階ニップ解除ローラーの一端は揃えられており、前記複数の段階ニップ解除ローラーは、前記原稿の側辺部をニップすることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記複数の段階ニップ解除ローラーの幅は、いずれも、前記複数の上流側搬送ローラーの幅より狭いことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記複数の段階ニップ解除ローラーは、従動ローラーであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像読取装置は、自動原稿送り装置で原稿を搬送する際に、搬送方向に対して原稿の向きを傾けた状態で原稿を搬送し、これにより、画像読取位置の前のローラーによる原稿後端のニップが解除されるときの搬送速度の変動を抑制して、画質低下を抑制している(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-29279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の画像読取装置では、原稿が画像読取位置を通過する際、常に原稿の向きを傾けているため、原稿の傾斜角A、原稿の幅W、および長さL(左右辺の長さ)に応じた増加分dW(=W×cos(A)+L×sin(A)-W)だけ原稿の幅W(上辺および下辺の幅)より大きい幅Wd(=W+dW)の原稿を読取可能なイメージセンサーを使用する必要があり、画像読取装置のコストが高くなってしまう。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、比較的低コストで、原稿後端におけるローラーのニップ解除に起因する画質低下を抑制する画像読取装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像読取装置は、原稿の搬送路における所定の画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取るイメージセンサーと、前記搬送路における前記所定の画像読取位置から上流側の位置に配置されている複数の上流側搬送ローラーのうち、前記所定の画像読取位置に最も近い第1上流側搬送ローラーと、前記搬送路において前記第1上流側搬送ローラーと前記画像読取位置との間に配置され、前記画像読取位置に近づくほど、前記原稿の搬送方向に対して垂直な方向における幅が狭くなる複数の段階ニップ解除ローラーとを備える。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、比較的低コストで、原稿後端におけるローラーのニップ解除に起因する画質低下を抑制する画像読取装置が得られる。
【0008】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。
図2図2は、図1に示す画像読取装置における搬送ローラーおよび段階ニップ解除ローラーの配置の一例を示す図である。
図3図3は、図1および図2に示す画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図4図4は、図1図3に示す画像読取装置の動作について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像読取装置の内部構成を示す側面図である。図1に示す画像読取装置は、スキャナー機、コピー機、ファクシミリ機、複合機などといった装置である。
【0012】
図1に示す画像読取装置は、装置本体1、装置本体1の上面に配置されたコンタクトガラス1a,1b、イメージセンサー2、および原稿カバー3を備える。原稿カバー3は、自動原稿送り装置4を備える。
【0013】
コンタクトガラス1aは、自動原稿送り装置4を使用せずに画像読取を行う場合に原稿を載置される透明な部材である。また、コンタクトガラス1bは、自動原稿送り装置4で原稿を自動的に搬送しつつ原稿画像の画像読取を行う際に、原稿がその上を通過する透明な部材である。
【0014】
イメージセンサー2は、自動原稿送り装置4で原稿を自動的に搬送しつつ原稿画像の画像読取を行う場合、原稿の搬送路における所定の画像読取位置を通過する原稿の画像を光学的に読み取るセンサーである。イメージセンサー2は、1ラインずつ原稿画像を読み取る。
【0015】
イメージセンサー2は、光源(発光ダイオードなど)と受光素子(ラインセンサーなど)とを備え、光源で光を出射し、コンタクトガラス1a,1bを介して原稿などに反射した反射光を受光素子で検出し、反射光の光量に対応する電気信号を出力する。後述のコントローラー21が、この電気信号を受け付け、この電気信号に基づいて原稿画像(つまり、原稿画像の画像データ)を生成する。
【0016】
原稿カバー3は、コンタクトガラス1aに面接触可能で回動自在に設置されている部材であって、原稿をコンタクトガラス1aに密着させるとともに、画像読取時に環境光がコンタクトガラス1a,1bから装置内部へ入射することを防ぐ。また、自動原稿送り装置4は、原稿トレイ11に載置された原稿を1枚ずつ搬送ローラー12,13によって搬送し、コンタクトガラス1b上を通過させ、排出トレイ14に排出する。
【0017】
また、イメージセンサー2は、図示せぬ駆動装置によって、画像読取位置を変更可能となっており、自動原稿送り装置4を使用して画像読取を実行する場合、イメージセンサー2の画像読取位置が、コンタクトガラス1b上の原稿の通過位置とされ、イメージセンサー2は、自動原稿送り装置4により搬送されてくる原稿の画像を、コンタクトガラス1b上を通過するときに、光学的に読み取る。ここで、イメージセンサー2は、カラーイメージセンサーであって、RGBといった複数色の原稿画像を、搬送方向において互いに異なる画像読取位置で読み取る。
【0018】
この実施の形態では、イメージセンサー2としてCIS(Contact Image Sensor)が使用され、自動原稿送り装置4を使用して画像読取を実行する場合、イメージセンサー2は、コンタクトガラス1bの直下に配置される。
【0019】
さらに、当該画像読取装置は、自動原稿送り装置4において、複数の段階ニップ解除ローラー15-1~15-N(N>1)を備える。
【0020】
図2は、図1に示す画像読取装置における搬送ローラーおよび段階ニップ解除ローラーの配置の一例を示す図である。
【0021】
搬送ローラー12,13は、所定の駆動力源(後述のローラー駆動部22)によって駆動され、搬送路に沿って原稿101を搬送する。
【0022】
搬送ローラー12は、搬送路における所定の画像読取位置から上流側の位置に配置されている上流側搬送ローラーである。搬送ローラー12aは、搬送ローラー12のうち、所定の画像読取位置に最も近い第1上流側搬送ローラーである。
【0023】
搬送ローラー13は、搬送路における所定の画像読取位置から下流側の位置に配置されている下流側搬送ローラーである。
【0024】
複数の段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nは、原稿101の搬送路において搬送ローラー12aと画像読取位置との間に配置され、画像読取位置に近づくほど、原稿101の搬送方向に対して垂直な方向における幅が狭くなるローラーである。例えば、図2の場合、N=3である。
【0025】
この実施の形態では、段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nの一端(例えば図2の場合では左端)は、揃えられており、段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nは、原稿101の側辺部(例えば図2の場合では左辺部)をニップする。
【0026】
なお、段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nの幅(ニップ時の接触範囲)は、いずれも、搬送ローラー12,13の幅(ニップ時の接触範囲)より狭い。
【0027】
また、段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nは、従動ローラーでもよい。
【0028】
図3は、図1および図2に示す画像読取装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【0029】
図3に示す画像読取装置は、さらに、コントローラー21およびローラー駆動部22を備える。コントローラー21は、プログラムを実行するプロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを備え、(a)ローラー駆動部22などを電気的に制御して、搬送ローラー12,13などの動作を制御し、(b)イメージセンサー2から原稿画像を示す電気信号を受け付け、その電気信号に対応する画像データを生成し、その画像データに対して所定の画像処理を実行する。
【0030】
ローラー駆動部22は、上述の搬送ローラー12,13などを駆動する駆動部(モーターなど)である。
【0031】
次に、上記画像読取装置の動作について説明する。図4は、図1図3に示す画像読取装置の動作について説明する図である。図4(A)は、搬送ローラー12aによる原稿101後端のニップ解除時の搬送状態を示す図である。図4(B)は、段階ニップ解除ローラー15-1による原稿101後端のニップ解除時の搬送状態を示す図である。図4(C)は、最後の段階ニップ解除ローラー15-3による原稿101後端のニップ解除時の搬送状態を示す図である。
【0032】
コントローラー21は、図示せぬ操作パネルへのユーザー操作などに従って、自動原稿送り装置4を使用した原稿画像読取を以下のように実行する。
【0033】
まず、コントローラー21は、イメージセンサー2の動作を開始させるとともに、自動原稿送り装置4を制御して、原稿トレイ11からの1枚ずつ原稿101の搬送を開始させる。
【0034】
自動原稿送り装置4では、搬送ローラー12が、原稿トレイ11からフィードされた原稿101を搬送路に沿って搬送していく。そして、原稿101が画像読取位置に到達すると、イメージセンサー2で、原稿101の画像が1ラインずつ読み取られていく。その後、搬送ローラー13は、原稿101を搬送し、排出トレイ14に排出する。
【0035】
そして、例えば図4(A)に示すように、搬送ローラー12aによる原稿101後端のニップ解除時には、原稿101が段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nにニップされた状態であるため、搬送ローラー12aのニップ解除に起因する原稿101の振動などが抑制される。
【0036】
その後、例えば図4(B)に示すように、段階ニップ解除ローラー15-1による原稿101後端のニップ解除時には、原稿101が段階ニップ解除ローラー15-2~15-Nにニップされた状態であるため、段階ニップ解除ローラー15-1のニップ解除に起因する原稿101の振動などが抑制される。その後、順次、段階ニップ解除ローラー15-i(1<i<N)のニップが1つずつ解除され、最後に、例えば図4(C)に示すように、段階ニップ解除ローラー15-Nのニップが解除される。その際、段階ニップ解除ローラー15-Nの幅は狭いため、ニップ解除に起因する原稿101の振動などが抑制される。
【0037】
このようにして、段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nのニップが順次解除されていく。段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nは徐々に幅が狭くなるため、段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nのニップが順次解除されるとき、ニップされている範囲が徐々に狭くなっていく。したがって、ニップ解除に起因する原稿101の振動などを抑制しつつ、徐々にニップが解除される。
【0038】
このようにして得られた原稿画像は、画像データファイルとして図示せぬ記憶装置に格納されたり、画像データファイルとして図示せぬ外部装置へ送信されたり、図示せぬプリント装置でプリントされたりする。
【0039】
以上のように、上記実施の形態によれば、イメージセンサー2は、原稿の搬送路における所定の画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る。搬送ローラー12aは、搬送路における所定の画像読取位置から上流側の位置に配置されている上流側搬送ローラーのうち、所定の画像読取位置に最も近いものである。複数の段階ニップ解除ローラー15-1~15-Nは、搬送路において搬送ローラー12aと画像読取位置との間に配置され、画像読取位置に近づくほど、原稿の搬送方向に対して垂直な方向における幅が狭くなる。
【0040】
これにより、原稿101を傾斜させて搬送させないため、イメージセンサー2に要求される読取可能原稿幅Wdが小さくて済み、イメージセンサー2のコストが低くなり、ひいては、比較的低コストで、原稿後端におけるローラーのニップ解除(ニップ解除時の搬送速度の変動や原稿の振動)に起因する画質低下を抑制する。
【0041】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、例えば、スキャナー機、複合機などに適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
2 イメージセンサー
12a 搬送ローラー(第1上流側搬送ローラーの一例)
15-1~15-N 段階ニップ解除ローラー
図1
図2
図3
図4