(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】車両用バッテリパック
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20240627BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/652 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20240627BHJP
H01M 10/6569 20140101ALI20240627BHJP
H01M 50/20 20210101ALI20240627BHJP
B60K 11/06 20060101ALI20240627BHJP
B62D 21/00 20060101ALI20240627BHJP
B62D 25/20 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/652
H01M10/6556
H01M10/6569
H01M50/20
B60K11/06
B62D21/00 A
B62D25/20 G
(21)【出願番号】P 2020218226
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】水鳥 将希
(72)【発明者】
【氏名】渡部 綱一郎
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-111465(JP,A)
【文献】特開2016-141322(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0298586(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111971811(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102014216936(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/652
H01M 10/6556
H01M 10/6569
H01M 50/20
B60K 11/06
B62D 21/00
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車両用バッテリパックであって、
バッテリモジュールと、
電気機器と、
前記電気機器を下方から支持する支持台と、
前記バッテリモジュールの取付に用いられる補助部材と、
前記バッテリモジュール、前記電気機器、前記支持台、及び前記補助部材を収容するバッテリケースと
を備え、
前記バッテリモジュールが、水平方向のうち特定方向の一方側を向く側方面と、この側方面に設けられる取付部とを有し、
前記支持台が、前記電気機器を載置する載置部と、前記載置部を下方から支持する脚部とを有し、
前記脚部が、上下方向に沿って配置される脚部本体と、前記脚部本体の下端に連結される下端区域とを有し、
前記バッテリケースが、前記特定方向の一方側に位置する側方壁と、前記バッテリケースの下端に位置する底壁とを有し、
前記補助部材が、前記特定方向の一方側に位置する一端部と、この一端部よりも下方にあり、かつ前記特定方向の他方側に位置する他端部と、この他端部よりも上方にあり、かつ前記補助部材の一端部及び他端部間に位置する中間部とを有し、
前記補助部材の一端部が、前記バッテリケースの側方壁に取り付けられ、
前記補助部材の他端部が、前記バッテリケースの底壁によって直接的又は間接的に支持され、
前記バッテリモジュールの取付部が、前記特定方向にて前記脚部の下端区域よりも前記バッテリケースの側方壁
から離間する側に位置し、
前記バッテリモジュールの取付部及び前記脚部の下端区域が、前記補助部材の中間部に取り付けられている、車両用バッテリパック。
【請求項2】
前記脚部本体が、下方から上方に向かうに従って前記特定方向の他方側に向かうように傾斜している、請求項1に記載の車両用バッテリパック。
【請求項3】
前記脚部の下端区域が、前記特定方向にて前記脚部本体の下端から前記補助部材の中間部に沿って前記バッテリケースの側方壁に向かって延びる下側フランジとなっており、
前記脚部の下側フランジが、前記補助部材の中間部の上方に配置された状態で前記補助部材の中間部に取り付けられている、請求項1又は2に記載の車両用バッテリパック。
【請求項4】
前記バッテリケースの側方壁が、その下方寄りに位置する下方領域を有し、
前記側方壁の下方領域が、下方から上方に向かうに従って前記特定方向の一方側に向かうように傾斜しており、
前記補助部材の一端部が、前記バッテリケースの側方壁の下方領域に取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両用バッテリパック。
【請求項5】
前記載置部上に載置され、かつ前記載置部に沿って水平方向に延びる中空のダクトを備え、
前記バッテリケースが、その上端に位置する頂上壁を有し、
前記電気機器の上端及び前記頂上壁間における上下方向の間隔が、前記ダクトの上端及び前記頂上壁間における上下方向の間隔よりも大きくなっている、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用バッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される車両用バッテリパックに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車等の車両においては、この車両の電動駆動等のために車両用バッテリパックが搭載されることがある。典型的に、車両用バッテリパックは、その内部のバッテリモジュールを冷却可能とする冷却装置を有しており、冷却装置は、バッテリモジュールを冷却するための冷媒を通すように構成されるダクトを有する。また、車両用バッテリパックにおいては、車両の衝突等によって車両が外部から衝撃を受けた場合であっても、このような衝撃から車両用バッテリパックを保護することが要求される。
【0003】
このような要求を考慮した車両用バッテリパックの一例としては、冷却用空気を通過可能とする吸気ダクト及び排気ダクトの少なくとも一方の一部が、バッテリパックの車両幅方向の端部に沿って配置され、かつ車両幅方向の入力に対する破壊強度をバッテリパックよりも低くするように設定されている、冷却構造を有する車載バッテリが挙げられる。(例えば、特許文献1を参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、車両用バッテリパック内には、上述したバッテリモジュールに加えて、このバッテリモジュールを制御可能とするバッテリ制御装置等のような電気機器、送風機等のポンプ等のような種々の機器が設けられることがある。このような車両用バッテリパックにおいて、車両が外部から衝撃を受けた場合に、バッテリモジュール及び機器が移動することによってこれらの周辺部分と接触し、その結果、バッテリモジュール及び機器が損傷するおそれがある。これに対して、上記車両用バッテリパックの一例においては、車両用バッテリパック全体を吸気ダクト及び排気ダクトの少なくとも一方によって保護するに過ぎず、車両用バッテリパックの内部のバッテリモジュール及び機器を個別に保護することができない。
【0006】
このような実情を鑑みると、車両に加えられる衝撃から車両用バッテリパック内部のバッテリモジュール及び機器を効率的に保護することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題を解決するために、一態様に係る車両用バッテリパックは、車両に搭載される車両用バッテリパックであって、バッテリモジュールと、電気機器と、前記電気機器を下方から支持する支持台と、前記バッテリモジュールの取付に用いられる補助部材と、前記バッテリモジュール、前記電気機器、前記支持台、及び前記補助部材を収容するバッテリケースとを備え、前記バッテリモジュールが、水平方向のうち特定方向の一方側を向く側方面と、この側方面に設けられる取付部とを有し、前記支持台が、前記電気機器を載置する載置部と、前記載置部を下方から支持する脚部とを有し、前記脚部が、上下方向に沿って配置される脚部本体と、前記脚部本体の下端に連結される下端区域とを有し、前記バッテリケースが、前記特定方向の一方側に位置する側方壁と、前記バッテリケースの下端に位置する底壁とを有し、前記補助部材が、前記特定方向の一方側に位置する一端部と、この一端部よりも下方にあり、かつ前記特定方向の他方側に位置する他端部と、この他端部よりも上方にあり、かつ前記補助部材の一端部及び他端部間に位置する中間部とを有し、前記補助部材の一端部が、前記バッテリケースの側方壁に取り付けられ、前記補助部材の他端部が、前記バッテリケースの底壁によって直接的又は間接的に支持され、前記バッテリモジュールの取付部が、前記特定方向にて前記脚部の下端区域よりも前記バッテリケースの側方壁から離間する側に位置し、前記バッテリモジュールの取付部及び前記脚部の下端区域が、前記補助部材の中間部に取り付けられている。
【発明の効果】
【0008】
一態様に係る車両用バッテリパックにおいては、車両に加えられる衝撃から車両用バッテリパック内部のバッテリモジュール及び機器を効率的に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る車両用バッテリパックを含む車体の底部を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る車両用バッテリパックを車体の左側サイドフレームに取り付けるために用いられる車体取付機構及びその周辺部分を概略的に示す底側斜視図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る車両用バッテリパックを含む車体の底部を、フロアパネルを透明視した状態で概略的に示す平面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る車両用バッテリパックを、そのアッパーケースを取り外した状態で概略的に示す平面図である。
【
図8】
図8は、
図4の矢印Zから見て、矢印Zの周辺を示す矢視拡大図である。
【
図9】
図9は、車両側突時における
図1のW-W線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一実施形態に係る車両用バッテリパックについて、それを搭載した車両と共に説明する。本実施形態に係る車両用バッテリパック(以下、必要に応じて、単に「バッテリパック」という)を搭載した車両は、電気自動車となっている。しかしながら、車両は、バッテリパックを搭載可能とする電気自動車以外の電動車両とすることもできる。
【0011】
本明細書中の説明に用いられる図面においては、車両を基準とした方向を次のように示す。
図1~
図4及び
図6~
図8においては、車両前方及び車両後方を、それぞれ片側矢印F及び片側矢印Bによって示す。
図1~
図5、
図7、及び
図9においては、車両前方を向いた場合の左方及び右方を、それぞれ片側矢印L及び片側矢印Rによって示す。車両幅方向は、片側矢印L及び片側矢印Rによって示される。さらに、
図2、
図5、
図6、
図8、及び
図9においては、車両上方及び車両下方を、それぞれ片側矢印U及び片側矢印Dによって示す。
【0012】
なお、左方及び右方は、それぞれ車両前方を向いた場合の左方及び右方を指すものとする。水平方向は、車両の前後方向及び幅方向に沿った方向を指すものとする。車両上方及び車両下方を、場合によっては、それぞれ単に上方及び下方と呼ぶ。
【0013】
「バッテリパック及び車両の概略」
図1~
図8を参照して、本実施形態に係るバッテリパック10及び車両の概略について説明する。すなわち、本実施形態に係るバッテリパック10及び車両は、概略的には次のように構成される。
図1~
図3に示すように、バッテリパック10は、車両に搭載されている。
図4~
図8に示すように、バッテリパック10は、複数のバッテリモジュール20,21,22から成るバッテリモジュール群11を有する。バッテリパック10は、電気機器12を有する。バッテリパック10は、電気機器12を下方から支持する支持台13を有する。
【0014】
図5に示すように、バッテリパック10は、バッテリモジュール群11における少なくとも1つのバッテリモジュール20の取付に用いられる補助部材14を有する。以下においては、この補助部材14を用いて取り付けられるバッテリモジュール20を、第1バッテリモジュール20と呼ぶ。
図4~
図8に示すように、バッテリパック10は、複数のバッテリモジュール20~22、電気機器12、支持台13、及び補助部材14を収容するバッテリケース15を有する。
【0015】
図5に示すように、第1バッテリモジュール20は、水平方向のうち特定方向の一方側を向く側方面20aを有する。第1バッテリモジュール20は、補助部材14に取り付けられる取付部20bを有する。この取付部20bは、第1バッテリモジュール20の側方面20aに設けられる。
【0016】
支持台13は、電気機器12を載置する載置部30を有する。支持台13は、載置部30を下方から支持する脚部31を有する。脚部31は、上下方向に沿って配置される脚部本体31aを有する。脚部31は、脚部本体31aの下端に連結される下端区域31bを有する。
図5及び
図6に示すように、バッテリケース15は、特定方向の一方側に位置する側方壁15aを有する。バッテリケース15は、その下端に位置する底壁15bを有する。
【0017】
図5に示すように、補助部材14は、特定方向の一方側に位置する一端部14aを有する。補助部材14は、特定方向の他方側に位置する他端部14bを有する。補助部材14において、他端部14bは一端部14aよりも下方に位置する。補助部材14は、その一端部14a及び他端部14b間に位置する中間部14cを有する。中間部14cは、他端部14bよりも上方に位置する。
【0018】
補助部材14の一端部14aは、バッテリケース15の側方壁15aに取り付けられる。補助部材14の他端部14bは、バッテリケース15の底壁15bによって直接的又は間接的に支持される。第1バッテリモジュール20の取付部20bは、特定方向にて脚部31の下端区域31bよりもバッテリケース15の側方壁15aから離間する側に位置する。第1バッテリモジュール20の取付部20bと、脚部31の下端区域31bとは、補助部材14の中間部14cに取り付けられる。
【0019】
さらに、本実施形態に係るバッテリパック10及び車両は、概略的には次のように構成することができる。
図5に示すように、脚部31の脚部本体31aは、下方から上方に向かうに従って特定方向の他方側に向かうように傾斜している。
【0020】
脚部31の下端区域31bは、特定方向にて脚部本体31aの下端から補助部材14の中間部14cに沿ってバッテリケース15の側方壁15aに向かって延びる下側フランジ31bとなっている。この下側フランジ31bが、補助部材14の中間部14cの上方、特に、補助部材14の中間部14cの上面に配置された状態で補助部材14の中間部14cに取り付けられている。
【0021】
バッテリケース15の側方壁15aは、その下方寄りに位置する下方領域を有する。側方壁15aの下方領域は、下方から上方に向かうに従って特定方向の一方側に向かうように傾斜する。補助部材14の一端部14aは、バッテリケース15の側方壁15aの下方領域に取り付けられる。
【0022】
図5及び
図6に示すように、バッテリパック10は、載置部30上に載置される中空のダクト41を有する。このダクト41は、載置部30に沿って水平方向に延びる。バッテリケース15は、その上端に位置する頂上壁15cを有する。電気機器12の上端及び頂上壁15c間における上下方向の間隔は、ダクト41の上端及び頂上壁15c間における上下方向の間隔よりも大きくなっている。
【0023】
「車両の詳細」
図1~
図3を参照すると、車両は、詳細には次のように構成することができる。
図1~
図3に示すように、車両の車体1は、車両の室内のフロア(図示せず)を構成するフロアパネル2を有する。バッテリパック10は、フロアパネル2の下方に配置される。
【0024】
車体1はまた、車両の幅方向に互いに間隔を空けて配置される2つのサイドメンバ3を有する。各サイドメンバ3は細長形状に形成されている。各サイドメンバ3は、車両前後方向に沿って配置されている。バッテリパック10は、平面視にて、2つのサイドメンバ3の間に位置する。2つのサイドメンバ3は、フロアパネル2の下方に位置する。各サイドメンバ3の上面はフロアパネル2の下面に接合される。
【0025】
図3に示すように、車体1は、2つのサイドメンバ3を連結するように車両の幅方向に延びるクロスメンバ4を有する。クロスメンバ4は、バッテリパック10の上方に位置する。クロスメンバ4はまた、平面視にて、バッテリパック10を横切るように延びる。
図3においては、車体1は、2つのクロスメンバ4を有する。しかしながら、車体は、1つ又は3つ以上のクロスメンバを有することもできる。
【0026】
「バッテリパックの詳細」
図1~
図8を参照すると、バッテリパック10は、詳細には次のように構成することができる。
図5に示すように、バッテリパック10における支持台13の載置部30は、特定方向にてバッテリケース15の側方壁15aと向き合うように位置する外方端区域30aを有する。
【0027】
図1~
図3に示すように、バッテリパック10は、2つのサイドメンバ3に取り付けられるように構成される。バッテリパック10は、それを各サイドメンバ3に取り付けるように構成される複数の取付機構16を有する。言い換えれば、バッテリパック10は、バッテリケース15を車体1に取り付けるように構成される複数の取付機構16を有する。しかしながら、バッテリパックは、それを各サイドメンバに取り付けるように構成される1つの取付機構を有することもできる。
【0028】
図4に示すように、各サイドメンバ3に取り付けるように構成される複数の取付機構16のうち1つは、車両前後方向にて、ポンプ40及び電気機器12に対応するように配置される取付機構(以下、必要に応じて、「機器対応取付機構」)16となっている。機器対応取付機構16は、バッテリケース15の外部で特定方向にてバッテリケース15の側方壁15aと対向するように配置される。
【0029】
図4~
図8に示すように、バッテリパック10は、複数のバッテリモジュール20~22を冷却可能とするように構成される冷却装置17を有する。冷却装置17は、複数のバッテリモジュール20~22を冷却する冷媒を排出可能に構成されるポンプ40を有する。しかしながら、冷却装置は、上記冷媒を排出可能に構成されるポンプの代わりに、冷媒を吸引可能に構成されるポンプを有することもできる。
【0030】
図4~
図8を参照すると、バッテリパック10の電気機器12は、外部からの衝撃によって破損し易い精密機器となっている。電気機器12は、複数のバッテリモジュール20~22の充電、放電等を制御可能とするバッテリ制御装置とすることができる。しかしながら、電気機器は、バッテリ制御装置に限定されない。例えば、電気機器は、インバータ等とすることもできる。
【0031】
図4~
図8に示すように、電気機器12は、載置部30上で、特定方向にて載置部30の外方端区域30aに対して支持台13の特定方向の中央寄りに配置されている。
図4及び
図7に示すように、電気機器12は、ポンプ40に対して水平方向のうち特定方向に間隔を空けている。また、電気機器12は、ポンプ40と特定方向に並ぶように配置される。冷却装置17のポンプ40は、電気機器12よりもバッテリパック10の特定方向の中央寄りに位置する。
【0032】
「バッテリモジュールの詳細」
図4~
図8を参照すると、バッテリモジュール群11は、詳細には次のように構成することができる。
図4~
図8を参照すると、バッテリモジュール群11の各バッテリモジュール20,21,22は、車両の駆動電力に用いる電力を充電及び放電可能とするように構成される。複数のバッテリモジュール20,21,22は、水平方向にて互いに間隔を空けて配置されている。
【0033】
バッテリモジュール群11の第1バッテリモジュール20は、支持台13の載置部30に対して下方に配置される。バッテリモジュール群11は、第1バッテリモジュール20に加えて、支持台13の載置部30に対して下方に配置される少なくとも1つの第2バッテリモジュール21を有する。
【0034】
図4に示すように、バッテリモジュール群11はまた、支持台13の載置部30に対して水平方向にズレて配置される少なくとも1つの第3バッテリモジュール22を有する。このような少なくとも1つの第3バッテリモジュール22は、支持台13の載置部30に対して、水平方向のうち上記特定方向に略直交する方向にズレて配置することができる。
【0035】
ここで、上記特定方向は車両の幅方向とすることができる。この場合、少なくとも1つの第3バッテリモジュール22は、支持台13の載置部30に対して車両前後方向にズレて配置される。さらに、少なくとも1つの第3バッテリモジュール22は、支持台13の載置部30に対して車両前方にズレて配置することができる。しかしながら、特定方向は、水平方向のうち車両の幅方向以外の方向とすることもできる。例えば、特定方向は、車両の前後方向とすることもできる。
【0036】
さらに、第1バッテリモジュール20の取付部20bは、第1バッテリモジュール20の側方面20aから特定方向にて突出する。この取付部20bは、上下方向にて、支持台13の脚部31の下端区域31b、すなわち、下側フランジ31b及び補助部材14の中間部14cと対応するように配置される。取付部20bは、補助部材14の中間部14cの上方、特に、補助部材14の中間部14cの上面に配置された状態で補助部材14の中間部14cに取り付けられている。
【0037】
「冷却装置の詳細」
図4~
図8を参照すると、冷却装置17は、詳細には次のように構成することができる。
図4~
図8に示すように、冷却装置17は、上記ダクト41を有する。このダクト41は、冷媒を通過可能とするように構成される。
【0038】
ポンプ40は、ポンプ本体40aを有する。ポンプ40はまた、ダクト41に接続されるポンプ側接続部40bを有する。なお、以下において、ポンプ40に接続されるダクト41を、必要に応じて接続ダクト41と呼ぶ。ポンプ本体40aは、ポンプ40の駆動源40cを有する。
【0039】
ポンプ側接続部40bは、ポンプ本体40aから延びる。接続ダクト41は、ポンプ側接続部40bに接続されるダクト側接続部41aを有する。接続ダクト41は、ポンプ40及び電気機器12間の空間を通過する横断部41bを有する。横断部41bは、ダクト側接続部41aから延びる。
【0040】
図4及び
図7に示すように、ポンプ側接続部40bは、ポンプ本体40aの水平方向の中心40dに対して電気機器12寄りに配置される。さらに、このポンプ側接続部40bは、ポンプ40及び電気機器12間の空間に配置することができる。
【0041】
ダクト側接続部41aは、ポンプ側接続部40bから横断部41bに向かうに従って電気機器12に接近するように傾斜しながら延びる。ポンプ側接続部40bは、ポンプ本体40aからダクト側接続部41aに向かうに従って電気機器12に接近するように傾斜しながら延びている。
【0042】
図4及び
図6~
図8に示すように、冷却装置17は、接続ダクト41の横断部41bと交差するように延びる中間ダクト42を有する。中間ダクト42は、接続ダクト41の横断部41bに接続される交差接続部42aを有する。中間ダクト42は、交差接続部42aに対して特定方向の電気機器12側にて、交差接続部42aから水平方向に沿って電気機器12と対向するように延びる中間本体部42bを有する。
【0043】
なお、後述するように、中間ダクト42が、この中間本体部42bに加えて、追加の中間本体部42cを有する場合、必要に応じて、中間本体部42bを第1中間本体部42bと呼び、かつ追加の中間本体部42cを第2中間本体部42cと呼ぶ。
図4~
図8に示すように、ポンプ40及び電気機器12は車両の幅方向に並ぶ。
【0044】
図4~
図8に示すように、冷却装置17のポンプ40はブロワ40となっている。この場合、ポンプ40の駆動源40cは、ポンプ本体40aからポンプ側接続部40bに向かって風を送ることができるように旋回可能に構成されるファン40cとすることができる。冷媒はまた空気となっている。しかしながら、冷媒は、空気以外の気体とすることもできる。また、ポンプは、ブロワ以外とすることもできる。この場合、冷媒は、水等の液体とすることもできる。
【0045】
特に
図7に示すように、駆動源40cの旋回中心は、ポンプ本体40aの水平方向の中心40dと略一致させることができる。駆動源40cの旋回によって、ポンプ本体40a内にて旋回中心周りに渦巻状の空気の流れを発生させることができる。このような渦巻状の空気が、ポンプ40のポンプ側接続部40bから排出される。
【0046】
駆動源40cの旋回方向は、平面視における時計回りの方向となっており、この場合、渦巻状の空気の流れは、平面視における時計回りとなる。しかしながら、駆動源の旋回方向は、平面視における反時計回りの方向とすることもでき、この場合、渦巻状の空気の流れは、平面視における反時計回りとなり、かつポンプに対する電気機器の特定方向の位置は、時計回りの場合とは反対側になる。
【0047】
図4及び
図7に示すように、ポンプ40のポンプ側接続部40bは、ポンプ本体40a内にて発生する渦巻状の空気の流れ方向に対応する方向に延びる。ポンプ側接続部40bの延伸方向に延びる延伸軸線40eは、ポンプ本体40aの中心40dを通ると共に上記特定方向に延びる基準軸線40fに対して、時計回りに所定の傾斜角度θ傾いている。この傾斜角度θは鋭角とすることができる。しかしながら、傾斜角度は、これに限定されない。
【0048】
接続ダクト41のダクト側接続部41aの全体は、平面視にて、特定方向に略直交する方向にてポンプ40及び電気機器12とオーバーラップするように配置される。さらに、ダクト側接続部41aの全体は、平面視にて、車両前後方向にてポンプ40及び電気機器12とオーバーラップするように配置することができる。ダクト側接続部41aは、ポンプ40のポンプ側接続部40bと実質的に同方向に延びる。
【0049】
ダクト側接続部41aの延伸方向の長さは、ポンプ側接続部40bの延伸方向の長さよりも長くなっている。接続ダクト41の横断部41bは、特定方向に略直交する方向に沿って配置される。横断部41bは、車両前後方向に沿って配置することができる。特定方向において、横断部41b及び電気機器12間の距離は、横断部41b及びポンプ本体40a間の距離以下とすることができる。
【0050】
図6及び
図8に示すように、接続ダクト41は、特定方向で見た場合に、上下方向にてポンプ40及び電気機器12の一部とオーバーラップするように配置される。さらに、接続ダクト41は、特定方向で見た場合に、上下方向にてポンプ40及び電気機器12の全体とオーバーラップするように配置することができる。
【0051】
図4及び
図7に示すように、中間ダクト42は特定方向に沿って配置される。中間ダクト42は車両の幅方向に沿って配置することができる。中間ダクト42の交差接続部42aは、接続ダクト41の横断部41bと略直交する。中間ダクト42は、交差接続部42aに対して特定方向のポンプ40側にて、交差接続部42aから水平方向に沿ってポンプ40と対向するように延びる第2中間本体部42cを有する。
【0052】
特定方向における接続ダクト41の横断部41b及び電気機器12間の距離は、特定方向に略直交する方向における中間ダクト42の第1中間本体部42b及び電気機器12間の距離よりも小さくなっている。
図6に示すように、第1中間本体部42bの下端は、電気機器12の上端よりも下方に位置する。第1中間本体部42bの上端は、電気機器12の上端よりも上方に位置する。
図6及び
図7を参照すると、中間ダクト42の横断面は、接続ダクト41の横断面よりも小さくなっている。
【0053】
このような接続ダクト41及び中間ダクト42のそれぞれは、樹脂を用いて構成されている。この場合、接続ダクト41及び中間ダクト42のそれぞれは、樹脂成型品とすることができる。しかしながら、接続ダクト及び中間ダクトの少なくとも1つは、金属を用いて構成することもできる。この場合、接続ダクト及び中間ダクトの少なくとも1つは、金属製の板材料から成るプレス成型品とすることができる。
【0054】
「支持台の詳細」
図4~
図8を参照すると、支持台13は、詳細には次のように構成することができる。
図4~
図8に示すように、支持台13は、バッテリパック10の車両前後方向の後端領域に位置する。しかしながら、支持台は、バッテリパックの車両前後方向の前端領域に位置することもできる。
【0055】
支持台13の載置部30は、上方を向く載置面30bを有する。冷却装置17のポンプ40、接続ダクト41、及び中間ダクト42、並びに電気機器12は、この載置面30b上に直接又は間接的に載置される。中間ダクト42は、支持台13の載置部30における載置面30bの車両前後方向の前端区域に配置される。しかしながら、中間ダクトは、載置面の車両前後方向の後端区域に配置することもできる。
【0056】
図4に示すように、載置部30は、2つの外方端区域30aを有する。2つの外方端区域30aは、それぞれ車両幅方向の両側方をそれぞれ向く2つの外方端区域30aとなっている。支持台13は、2つの脚部31を有する。脚部31は、板材料から構成されている。脚部31は、金属製の板材料から成るプレス成型品とすることができる。しかしながら、脚部は、樹脂製の板材料を用いて構成することもできる。
【0057】
支持台13における2つの脚部31は、車両前後方向にて、2つのサイドメンバ3における機器対応取付機構16とそれぞれ対応するように位置する。
図4に示すように、脚部31は、車両の上下方向で見て、特定方向にて電気機器12及び機器対応取付機構16間に配置される。
【0058】
図4及び
図5を参照すると、2つの脚部31は、載置部30に対して下方に配置される第1バッテリモジュール20と車両幅方向にそれぞれ対向するように配置される。各脚部31の全体は、車両前後方向にて、この脚部31と対向する第1バッテリモジュール20とオーバーラップするように配置される。
【0059】
図5に示すように、脚部31は、特定方向にて、後述するバッテリケース15の重ね合わせ部15dと向き合うように配置される。脚部本体31aは、特定方向にて載置部30の外方端区域30aに対して支持台13の外方寄りに配置される。脚部31の下端区域31bが、特定方向にて載置部30の外方端区域30aに対して支持台13の外方寄りに配置される。
【0060】
脚部31の上端区域31cは、載置部30の外方端区域30aと連結されている。脚部31の上端区域31cは、特定方向にて支持台13の外方に向かって突出するように湾曲している。脚部31の上端区域31cの上面は、載置台30の外方端区域30aの下面と当接するように配置され、かつ脚部31の上端区域31cは、載置台30の外方端区域30aと接続される。
【0061】
「バッテリケースの詳細」
図1~
図8を参照すると、バッテリケース15は、詳細には次のように構成することができる。
図5及び
図6に示すように、バッテリケース15は、その上部を形成するアッパーケース50を有する。バッテリケース15はまた、その下部を形成するロアケース51を有する。アッパーケース50及びロアケース51は上下方向にて並んでいる。バッテリケース15は、アッパーケース50の下縁部50a及びロアケース51の上縁部51aを結合した重ね合わせ部15dを有する。
【0062】
アッパーケース50は、アッパーケース本体50bを有する。アッパーケース50は、アッパーケース本体50bからバッテリパック10の水平方向の外方に向かって突出するフランジ50aを有する。このアッパーケース50のフランジ50aは、上述したアッパーケース50の下縁部50aに相当する。
【0063】
ロアケース51は、ロアケース本体51bを有する。ロアケース51は、ロアケース本体51bからバッテリパック10の水平方向の外方に向かって突出するフランジ51aを有する。このロアケース51のフランジ51aは、上述したロアケース51の上縁部51aに相当する。
【0064】
バッテリケース15は、アッパー及びロアケース50,51のフランジ50a,51aを結合した重ね合わせ部15dを有する。アッパー及びロアケース50,51のフランジ50a,51aを結合した重ね合わせ部15dは、アッパーケース50の下縁部50a及びロアケース51の上縁部51aを結合した重ね合わせ部15dに相当する。バッテリケース15の重ね合わせ部15dは、取付機構16に取り付けられる。
【0065】
図1~
図8を参照すると、バッテリケース15は、金属を用いて構成することができる。この場合、バッテリケース15のアッパー及びロアケース50,51は、金属製の板材料から成るプレス成型品とすることができる。しかしながら、バッテリケースは、樹脂を用いて構成することもできる。この場合、バッテリケースのアッパー及びロアケースの少なくとも一方は、樹脂成型品とすることができる。
【0066】
アッパーケース50のアッパーケース本体50bは、その上端に位置する頂上壁50cを有する。このアッパーケース50の頂上壁50cが、バッテリケース15の頂上壁15cに相当する。アッパーケース本体50bは、その頂上壁50cの外周縁から下方に延びる側方壁50dを有する。このアッパーケース50の側方壁50dが、バッテリケース15の側方壁15aの上方領域に相当する。
【0067】
アッパーケース本体50bの側方壁50dは、下方から上方に向かうに従ってバッテリケース15の水平方向の中心に接近するように傾斜する。アッパーケース50のフランジ50aは、アッパーケース本体50bの側方壁50dの下端からバッテリケース15の水平方向の外方に向かって突出する。
【0068】
ロアケース51のロアケース本体51bは、その下端に位置する底壁51cを有する。ロアケース51の底壁51cが、バッテリケース15の底壁15bに相当する。ロアケース本体51bは、その底壁51cの外周園から上方に延びる側方壁51dを有する。ロアケース51の側方壁51dが、バッテリケース15の側方壁15aの下方領域に相当する。
【0069】
ロアケース本体51bの側方壁51dは、上方から下方に向かうに従ってバッテリケース15の水平方向の中心に接近するように傾斜する。ロアケース51のフランジ51aは、ロアケース本体51bの側方壁51dの上端からバッテリケース15の水平方向の外方に向かって突出する。
【0070】
バッテリケース15の重ね合わせ部15dは、2つのサイドメンバ3に対して下方に位置する。重ね合わせ部15dの全体は、車両上下方向にて、脚部本体31aとオーバーラップするように配置される。
図1~
図8に示すように、複数の取付機構16は、重ね合わせ部15dに取り付けられている。そのため、機器対応取付機構16は、重ね合わせ部15dに取り付けられている。
【0071】
「補助部材の詳細」
図5を参照すると、補助部材14は、詳細には次のように構成することができる。補助部材14の一端部14aは、中間部14cの特定方向の一方端から上方にバッテリケース15の側方壁15aの下方領域、特に、ロアケース51の側方壁51dに沿って延びる。
【0072】
補助部材14の他端部14bは、中間部14cの特定方向の他方端から下方に延びる上方区域と、この上方区域の下端からバッテリケース15の底壁15bに沿って延びる下方区域とを有するように略L字形状に形成される。下方区域は、第1バッテリモジュール20よりも下方に位置する。
【0073】
補助部材14の中間部14cは、特定方向に延びるように形成される。補助部材14の中間部14cは、バッテリケース15の重ね合わせ部15dよりも下方に位置する。
【0074】
この補助部材14の一端部14aは、特定方向にて、バッテリケース15の側方壁15aの下方領域と当接した状態で、この下方区域に接合される。補助部材14の他端部14bの下方区域は、上下方向にて、バッテリケース15の底壁15bに当接した状態で、この底壁15bに接合される。脚部31の下端区域31b、特に、下側フランジ31bは、上下方向にて、補助部材14の中間部14cに当接した状態で、この中間部14cに接合される。なお、接合は溶接とすることができる。しかしながら、接合は、溶接に限定されない。例えば、接合は、ボルト及びナット等の締結手段による締結とすることができる。
【0075】
さらに、第1バッテリモジュール20の取付部20bは、補助部材14の中間部14cに当接した状態で、この中間部14cに取り付けられる。この取付は、ボルト及びナット等の締結手段による締結とすることができる。しかしながら、取付は、締結に限定されない。
【0076】
「車両側突時の作用」
図9を参照して、本実施形態に係るバッテリパック10における車両側突時の作用について説明する。
図9においては、機器対応取付機構16及びその周辺部分が、車両側突後の状態で示されている。ここで説明する車両側突は、車体1の側方から機器対応取付機構16及びその周辺部分に車両の外部からの力(片側矢印Jにより示す)が加えられた状態である。
【0077】
車両側突時においては、サイドメンバ3が、その機器対応取付機構16及びその周辺部分を車体1の幅方向の外方から同中央に向かって突出させるように折れ曲がる。このとき、機器対応取付機構16は、車体1の幅方向の外方から同中央に向かって移動する。その結果、バッテリケース15の側方壁15a、特に、アッパー及びロアケース50,51の側方壁50d,51dが、重ね合わせ部15dを車体1の幅方向の外方から同中央に向かって突出させるように湾曲変形する。
【0078】
次に、この湾曲変形によって、ロアケース51の側方壁51dが、補助部材14の一端部14aを車体1の幅方向の外方から同中央に向かって押す。補助部材14の一端部14a及び中間部14cが、車体1の幅方向の外方から同中央に向かって移動すると共に上方に持ち上がり、これによって、補助部材14が、その他端部14bの下方区域を中心に回転する。
【0079】
補助部材14の中間部14c上に載置される取付部20bを有する第1バッテリモジュール20が、補助部材14に追従するように回転する。補助部材14の中間部14c上に載置される脚部31の下端区域31bを有する支持台13もまた、補助部材14に追従するように回転する。
【0080】
さらに、支持台13の載置部30上に載置される電気機器12及びダクト41が、支持台13の回転に追従して回転する。このとき、ダクト41の上端が、電気機器12の上端よりも先にバッテリケース15の頂上壁15cに接触する。中空のダクト41が、この接触時の衝撃を吸収する。その結果、電気機器12の上端がバッテリケース15の頂上壁15cと接触することを防ぐことができる。また、電気機器12の上端がバッテリケース15の頂上壁15cと接触した場合であっても、この接触時の衝撃は、中空のダクト41の衝撃吸収によって緩和することができる。
【0081】
以上、本実施形態に係るバッテリパック10は、車両に搭載される車両用バッテリパック10であって、バッテリモジュール20と、電気機器12と、前記電気機器12を下方から支持する支持台13と、前記バッテリモジュール20の取付に用いられる補助部材14と、前記バッテリモジュール20、前記電気機器12、前記支持台13、及び前記補助部材14を収容するバッテリケース15とを備え、前記バッテリモジュール20が、水平方向のうち特定方向の一方側を向く側方面20aと、この側方面20aに設けられる取付部20bとを有し、前記支持台13が、前記電気機器12を載置する載置部30と、前記載置部30を下方から支持する脚部31とを有し、前記脚部31が、上下方向に沿って配置される脚部本体31aと、前記脚部本体31aの下端に連結される下端区域31bとを有し、前記バッテリケース15が、前記特定方向の一方側に位置する側方壁15aと、前記バッテリケース15の下端に位置する底壁15bとを有し、前記補助部材14が、前記特定方向の一方側に位置する一端部14aと、この一端部14aよりも下方にあり、かつ前記特定方向の他方側に位置する他端部14bと、この他端部14bよりも上方にあり、かつ前記補助部材14の一端部14a及び他端部14b間に位置する中間部14cとを有し、前記補助部材14の一端部14aが、前記バッテリケース15の側方壁15aに取り付けられ、前記補助部材14の他端部14bが、前記バッテリケース15の底壁15bによって直接的又は間接的に支持され、前記バッテリモジュール20の取付部20bが、前記特定方向にて前記脚部31の下端区域31bよりも前記バッテリケース15の側方壁15aから離間する側に位置し、前記バッテリモジュール20の取付部20b及び前記脚部31の下端区域31bが、前記補助部材14の中間部14cに取り付けられている。
【0082】
このようなバッテリパック10によれば、車両への外部物体の衝突等によって車両に外部から加えられた衝撃に起因して、バッテリケース15の側方壁15aが、水平方向にてバッテリケース15の内部に向かって向かって変形したときに、この側方壁15aに取り付けられた補助部材14の一端部14aが、補助部材14の中間部14cと一緒に、上方に持ち上がるように変形する。このとき、補助部材14の中間部14cに取り付けられたバッテリモジュール20の取付部20b及び支持台13の脚部31が、上方に持ち上げられて、その結果、バッテリモジュール20が、その取付部20bを上方に持ち上げるように回転することができ、かつ支持台13の載置部30及びその上の電気機器12が、支持台13の脚部31を上方に持ち上げるように回転することができる。
【0083】
そのため、車両への外部物体の衝突等によって車両に外部から衝撃が加えられた場合であっても、外部物体及びこの外部物体に押されたバッテリケース15の側方壁15aがバッテリモジュール20及び電気機器12と衝突するのを効率的に防ぐことができる。よって、車両に加えられる衝撃からバッテリパック10内部のバッテリモジュール20及び電気機器12等の機器を効率的に保護することができる。
【0084】
本実施形態に係るバッテリパック10においては、前記脚部本体31aが、下方から上方に向かうに従って前記特定方向の他方側に向かうように傾斜している。また、本実施形態に係るバッテリパック10においては、前記脚部31の下端区域31bが、前記特定方向にて前記脚部本体31aの下端から前記補助部材14の中間部14cに沿って前記バッテリケース15の側方壁15aに向かって延びる下側フランジ31bとなっており、前記脚部31の下側フランジ31bが、前記補助部材14の中間部14cの上方に配置された状態で前記補助部材14の中間部14cに取り付けられている。
【0085】
このようなバッテリパック10によれば、車両に外部から衝撃が加えられたときに、支持台13の脚部31によって支持台13の載置部30が持ち上げられるように、脚部31の移動が促される。その結果、支持台13の載置部30及びその上の電気機器12が、支持台13の脚部31を上方に持ち上げるように回転することができる。そのため、車両への外部物体の衝突等によって車両に外部から衝撃が加えられた場合であっても、外部物体及びこの外部物体に押されたバッテリケース15の側方壁15aが電気機器12と衝突するのを効率的に防ぐことができる。
【0086】
本実施形態に係るバッテリパック10においては、前記バッテリケース15の側方壁15aが、その下方寄りに位置する下方領域を有し、前記側方壁15aの下方領域が、下方から上方に向かうに従って前記特定方向の一方側に向かうように傾斜しており、前記補助部材14の一端部14aが、前記バッテリケース15の側方壁15aの下方領域に取り付けられている。
【0087】
このようなバッテリパック10においては、車両への外部物体の衝突等によって車両に外部から加えられた衝撃に起因して、バッテリケース15の側方壁15aの下方領域が、水平方向にてバッテリケース15の内部に向かって変形したときに、この側方壁15aの下方領域に取り付けられた補助部材14の一端部14aが、補助部材14の中間部14cと一緒に、上方に持ち上がるように変形ことを促される。このとき、補助部材14の中間部14cに取り付けられたバッテリモジュール20の取付部20b及び支持台13の脚部31が、より効率的に上方に持ち上げられて、その結果、バッテリモジュール20が、その取付部20bを上方に持ち上げるようにより効率的に回転することができ、かつ支持台13の載置部30及びその上の電気機器12が、支持台13の脚部31を上方に持ち上げるようにより効率的に回転することができる。
【0088】
本実施形態に係るバッテリパック10は、前記載置部30上に載置され、かつ前記載置部30に沿って水平方向に延びる中空のダクト41を備え、前記バッテリケース15が、その上端に位置する頂上壁15cを有し、前記電気機器12の上端及び前記頂上壁15c間における上下方向の間隔が、前記ダクト41の上端及び前記頂上壁15c間における上下方向の間隔よりも大きくなっている。
【0089】
このようなバッテリパック10においては、車両への外部物体の衝突等によって車両に外部から加えられた衝撃に起因して、支持台13の載置部30及びその上の電気機器12が、支持台13の脚部31を上方に持ち上げるようにより効率的に回転した場合であっても、ダクト41が、電気機器12よりも先にバッテリケース15の頂上壁15cと衝突する。そのため、電気機器12がバッテリケース15の頂上壁15cと接触することを防ぐことができる。また、電気機器12がバッテリケース15の頂上壁15cと接触した場合であっても、この接触時の衝撃を、中空のダクト41の衝撃吸収によって緩和することができる。
【0090】
ここまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、その技術的思想に基づいて変形及び変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
10…バッテリパック、12…電気機器、13…支持台、14…補助部材、14a…一端部、14b…他端部、14c…中間部、15…バッテリケース、15a…側方壁、15b…底壁、15c…頂上壁、20…バッテリモジュール、第1バッテリモジュール、20a…側方面、20b…取付部、30…載置台、31…脚部、31a…脚部本体、31b…下端区域、下側フランジ、41…ダクト、接続ダクト