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特許7510632茶摘み工具、茶摘み装置および茶摘み方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】茶摘み工具、茶摘み装置および茶摘み方法
(51)【国際特許分類】
   A01D 46/04 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A01D46/04 A
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022095023
(22)【出願日】2022-06-13
(65)【公開番号】P2023088825
(43)【公開日】2023-06-27
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】202111537868.1
(32)【優先日】2021-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522235353
【氏名又は名称】中国農業科学院茶叶研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】522235364
【氏名又は名称】山東省農業科学院茶叶研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】董 春旺
(72)【発明者】
【氏名】李 楊
(72)【発明者】
【氏名】陳 建能
(72)【発明者】
【氏名】王 梅
(72)【発明者】
【氏名】袁 長波
(72)【発明者】
【氏名】賈 江鳴
(72)【発明者】
【氏名】張 人天
(72)【発明者】
【氏名】王 慕哲
(72)【発明者】
【氏名】劉 中原
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-360035(JP,A)
【文献】特開2011-97853(JP,A)
【文献】特開2017-42067(JP,A)
【文献】中国実用新案第207744433(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第113647254(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摘み工具であって、
上支持板と、前記上支持板と一体成形された2つの側板とを含み、
2つの前記側板の間に摺動歯板と固定歯板とが取り付けられ、
前記固定歯板の両端は、対応する前記側板に固定して取り付けられ、
前記摺動歯板は、前記固定歯板に摺動して取り付けられ、
前記摺動歯板は、基体と前記基体から突出した複数の切断歯を含み、
前記摺動歯板が摺動して、前記固定歯板との間で茶葉を切断する前記切断歯の縁部は、シャクガ科ウスジロエダシャクの幼虫の歯を模した外形を有し
前記上支持板には駆動ユニットが取り付けられ、
前記駆動ユニットと前記摺動歯板は、伝動連結されることを特徴とする茶摘み工具。
【請求項2】
前記基体には、使用時に発生する熱を逃がすための複数の放熱孔と、前記摺動歯板に対する位置決めをするための位置決めボルトが挿通された条孔とが形成されており、
前記放熱孔と前記条孔とが離間して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の茶摘み工具。
【請求項3】
前記摺動歯板と前記固定歯板との間に1つ以上の前記位置決めボルトが穿設されており、
1つ以上の前記位置決めボルトは、いずれも条孔内に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の茶摘み工具。
【請求項4】
前記幼虫の歯を模した前記切断歯の縁部の外形の曲線が、Y=6.214sin(0.1429x+0.2629)+8.148sin(0.5242x-1.737)+2.309sin(0.9112x+1.212)+6.217sin(0.5843x+0.5042)-0.4521sin(1.669x-8.656)+0.3548sin(1.99x-10.61)で表せられ、ただし、x∈[0、21.4]であり、単位がmmであることを特徴とする請求項3に記載の茶摘み工具。
【請求項5】
茶摘み装置であって、
移動ベースおよび前記移動ベースに取り付けられたフレームを含み、
前記フレームには、2つの茶摘み機構が固定的に取り付けられており、
前記茶摘み機構は、トラックユニットおよび前記トラックユニットに摺動して取り付けられた支持ステージを含み、
前記トラックユニットは、前記フレームに固定的に取り付けられ、
前記支持ステージには、直流プッシャーモータとレーザーレーダーセンサが固定して取り付けられ、
前記直流プッシャーモータのプッシャーロッドの自由端には、請求項1~4のいずれか1項に記載の茶摘み工具が固定して取り付けられ、
前記茶摘み装置は、さらにPLCコントローラを含み、
前記レーザーレーダーセンサは、前記PLCコントローラの信号入力端に信号接続され、
前記PLCコントローラの信号出力端は、前記直流プッシャーモータに信号接続されることを特徴とする茶摘み装置。
【請求項6】
前記トラックユニットは、平行に設置されたボールねじとローラートラックを含み、
前記ボールねじの一端は、軸受座を介して前記フレームに固定して取り付けられ、他端には、回転モータが固定的に接続され、
前記回転モータは、前記フレームに固定的に取り付けられ、
前記ローラートラックの両端は、いずれも前記軸受座を介して前記フレームに固定的に取り付けられ、
前記支持ステージは、固定連結されたベースと支持板を含み、
前記ボールねじと前記ローラートラックは、前記ベース内に穿設されることを特徴とする請求項5に記載の茶摘み装置。
【請求項7】
前記ローラートラックには、開口が上向きの溝が開設され、
前記支持板における前記溝に対応する位置には、対称に設けられた2つの支持耳が固定的に取り付けられ、
2つの前記支持耳の間に、移動ローラが取り付けられ、
前記移動ローラは、前記溝内に位置し、かつ前記溝の底部に接触していることを特徴とする請求項6に記載の茶摘み装置。
【請求項8】
請求項5に記載の茶摘み装置を用いた茶摘み方法であって
茶摘み装置を茶摘みすべき茶畝に移動させることにより、移動ベースが茶畝の両側に位置し、フレームが茶畝の上に跨り、かつ2つの前記茶摘み機構がそれぞれ茶畝の両側に対応する位置に位置するようにするステップS1と、
直流プッシャーモータにより茶摘み機構を、前記茶摘み工具が茶畝に近接しているが茶樹に接触していない状態にまで移動させ、前記茶摘み工具全体を茶畝の中心に沿う方向に上向きに傾斜させて茶樹の樹冠形状にマッチングするステップS2と、
2つの茶摘み機構上のレーザーレーダーを起動し、それぞれ2つの前記茶摘み工具の前記切断歯の位置を検出し、レーザー点群データにより茶樹の樹冠をフィッティングし、茶樹の樹冠曲線と曲線上に配された前記切断歯の配置曲線のマッチングプランを計算し、さらにマッチングプランに基づいて、PLCコントローラにより直流プッシャーモータを制御し、直流プッシャーモータのプッシャーロッドの位置を調整し、さらに前記茶摘み工具の姿勢と高さを制御して茶葉の採取を行うステップS3と、
移動ベースを茶畝に沿って移動させ、茶摘み工具により茶葉の採収を継続するとともに、2つのレーザーレーダーにより、動作する前記切断歯の検出と茶樹の樹冠のマッチングを継続し、PLCコントローラは、受信した信号に基づいて、採取が完了するまで直流プッシャーモータを動的に昇降制御するステップS4と、を含むことを特徴とする茶摘み方法。
【請求項9】
前記ステップS3において、茶樹の樹冠曲線と前記切断歯の前記配置曲線とをマッチングする際に、マッチング後の樹冠曲線と前記配置曲線とのなす角αと両曲線間の平均距離Lからマッチングの目安を判断し、α>α0またはL>L0であれば、α<α0かつL<L0(α0、L0は、実際の作業状況および実行機構の動作状況に応じて与えられた測定許容偏差値)まで直流プッシャーモータを調整し続けることを特徴とする請求項8に記載の茶摘み方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉摘み取りの技術分野に関し、特に茶摘み工具、茶摘み装置および茶摘み方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国は、茶文化大国であり、茶葉の栽培および生産の大国でもあり、茶葉栽培エリアが広く、気候が多様で、茶の品種が多く、茶栽培の歴史が長く、形の異なる多くの地方品種が形成されている。一方、茶産業は、市場の需要の発展に従い、茶園面積が絶えず拡大し、茶葉の生産量が急速に増加している。茶葉は、季節性と時効性の要求が高い製品であり、規定時間までに茶葉の摘み取りを完了できなければ、茶葉の品質に重要な影響を与える。摘み取りの良し悪しと効率は、茶葉の品質と茶産業の利益に直接影響し、特に明前茶、春茶の場合、成長が速く、速やかに高品質で摘み取る必要がある。
【0003】
伝統的な茶葉の摘み取り方式は、人工的に摘み取りを行うが、摘み取りの質が比較的良いものの、効率が極めて低い。研究によると、茶摘み工は、1日8hで約3kgの茶葉を摘み取る。科学技術の発展に伴い、茶摘みの機械設備は、徐々に市場に登場している。現在最も多く使われているのは、手持ち式の茶摘み装置である。従来の人工摘み方式より効率は高いものの、手作業も必要である。かつ現在の茶摘み装置は、茶畝の形状制限により、左側、中間、右側にそれぞれ3回ずつ摘み取る必要があることが多い。エネルギー消費量と効率は、依然として日増しに増加する茶摘みの需要を満たすことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題に対して、本発明の目的は、茶摘み工具、茶摘み装置および茶摘み方法を開示し、レーザーレーダーセンサおよび茶摘み機構の協同作用により、茶樹頂梢の生葉を自動的に模造採収することができ、茶葉の機械採取の効率と精度を比較的よく保証し、茶葉業界の摘み取り機械化の発展水準のさらなる向上を促した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
具体的には、本発明の茶摘み工具は、上支持板と、上支持板と一体成形された2つの側板とを含む。2つの前記側板の間に摺動歯板と固定歯板とが取り付けられている。前記固定歯板の両端は、対応する側板に固定して取り付けられている。前記摺動歯板は、固定歯板に摺動して取り付けられている。前記摺動歯板は、基体と基体から突出した複数の切断歯を含む。前記摺動歯板が摺動して、前記固定歯板との間で茶葉を切断する前記切断歯の縁部は、シャクガ科ウスジロエダシャクの幼虫の歯を模した外形を有する。前記上支持板には駆動ユニットが取り付けられている。前記駆動ユニットと摺動歯板は、伝動連結される。
【0006】
さらに、前記基体には、使用時に発生する熱を逃がすための複数の放熱孔と、前記摺動歯板に対する位置決めをするための位置決めボルトが挿通された条孔とが形成されており、前記放熱孔と条孔とが離間して設けられている。
【0007】
さらに、前記摺動歯板と前記固定歯板との間に1つ以上の前記位置決めボルトが穿設されており、1つ以上の前記位置決めボルトは、いずれも条孔内に設けられている。
【0008】
さらに、前記幼虫の歯を模した前記切断歯の縁部の外形の曲線が、Y=6.214sin(0.1429x+0.2629)+8.148sin(0.5242x-1.737)+2.309sin(0.9112x+1.212)+6.217sin(0.5843x+0.5042)-0.4521sin(1.669x-8.656)+0.3548sin(1.99x-10.61)で表せられ、ただし、x∈[0、21.4]であり、単位がmmである。
【0009】
さらに、前記切断歯のピッチは、30~35mmであり、歯の高さは、20~23mmである。
【0010】
さらに、前記駆動機構は、駆動モータと、プーリアセンブリと、プーリアセンブリの出力軸に固定して取り付けられたカムとを含み、前記駆動プレートには連結溝が開設され、前記カムは、連結溝の形状に合う連結溝内に設けられている。
【0011】
さらに、前記プーリアセンブリは、ベルト伝動連結の第1プーリと第2プーリを含み、前記第1プーリは、駆動モータの出力軸に固定的に連結され、第2プーリは、フレームに固定的に取り付けられ、かつカムと同軸に設けられている。
【0012】
また、本発明は、さらに茶摘み装置を開示する。前記茶摘み装置は、移動ベースおよび移動ベースに取り付けられたフレームを含む。前記フレームには、2つの茶摘み機構が固定的に取り付けられている。前記茶摘み機構は、トラックユニットおよびトラックユニットに摺動して取り付けられた支持ステージを含む。前記トラックユニットは、フレームに固定的に取り付けられている。前記支持ステージには、直流プッシャーモータとレーザーレーダーセンサが固定して取り付けられている。前記直流プッシャーモータのプッシャーロッドの自由端には、請求項1~4のいずれか1項に記載の茶摘み工具が固定して取り付けられている。前記茶摘み装置は、さらにPLCコントローラを含む。前記レーザーレーダーセンサは、PLCコントローラの信号入力端に信号接続される。前記PLCコントローラの信号出力端は、直流プッシャーモータに信号接続される。
【0013】
さらに、前記トラックユニットは、平行に設置されたボールねじとローラートラックを含む。前記ボールねじの一端は、軸受座を介してフレームに固定して取り付けられ、他端には、回転モータが固定的に接続される。前記回転モータは、フレームに固定的に取り付けられている。前記ローラートラックの両端は、いずれも軸受座を介してフレームに固定的に取り付けられている。前記支持ステージは、固定連結されたベースと支持板を含む。前記ボールねじとローラートラックは、ベース内に穿設される。
【0014】
さらに、前記ローラートラックには、開口が上向きの溝が開設されている。前記支持板における溝に対応する位置には、対称に設けられた2つの支持耳が固定的に取り付けられている。2つの前記支持耳の間に、移動ローラが取り付けられている。前記移動ローラは、溝内に位置し、かつ溝の底部に接触している。
【0015】
また、本発明は、さらに、上記茶摘み装置を用いた茶摘み方法を開示し、具体的に以下の工程を含む。
【0016】
S1:茶摘み装置を茶摘みすべき茶畝に移動させることにより、移動ベースが茶畝の両側に位置し、フレームが茶畝の上に跨り、かつ2つの前記茶摘み機構がそれぞれ茶畝の両側に対応する位置に位置するようにする。
【0017】
S2:直流プッシャーモータにより茶摘み機構を、前記茶摘み工具が茶畝に近接しているが茶樹に接触していない状態にまで移動させ、前記茶摘み工具全体を茶畝の中心に沿う方向に上向きに傾斜させて茶樹の樹冠形状にマッチングする。
【0018】
S3:2つの茶摘み機構上のレーザーレーダーを起動し、それぞれ2つの前記茶摘み工具の前記切断歯の位置を検出し、レーザー点群データにより茶樹の樹冠をフィッティングし、茶樹の樹冠曲線と曲線上に配された前記切断歯の配置曲線のマッチングプランを計算し、さらにマッチングプランに基づいて、PLCコントローラにより直流プッシャーモータを制御し、直流プッシャーモータのプッシャーロッドの位置を調整し、さらに前記茶摘み工具の姿勢と高さを制御して茶葉の採取を行う。
【0019】
S4:移動ベースを茶畝に沿って移動させ、茶摘み工具により茶葉の採収を継続するとともに、2つのレーザーレーダーにより、動作する前記切断歯の検出と茶樹の樹冠のマッチングを継続し、PLCコントローラは、受信した信号に基づいて、採取が完了するまで直流プッシャーモータを動的に昇降制御する。
【0020】
さらに、前記S3ステップにおいて、茶樹の樹冠曲線と前記切断歯の前記配置曲線とをマッチングする際に、マッチング後の樹冠曲線と前記配置曲線とのなす角αと両曲線間の平均距離Lからマッチングの目安を判断し、α>α0またはL>L0であれば、α<α0かつL<L0(α0、L0は、実際の作業状況および実行機構の動作状況に応じて与えられた測定許容偏差値)まで直流プッシャーモータを調整し続ける。
【発明の効果】
【0021】
1.本発明は、茶摘み工具を開示し、生物切歯葉を原型として模造設計を行い、茶樹剪定工具構造の設計に模造学的根拠を提供する。本発明の動刃の切断歯は、シャクガ科ウスジロエダシャク幼虫の上顎先端の切断歯の葉を原型として模造歯の設計を行い、その幾何構造をシミュレーションし、剪定刃による茶樹の葉の切断に有利であり、消費電力を減少させ、生産性を向上させる。
【0022】
2.本発明は、茶摘み装置を開示し、2組のならい茶摘み機構を利用して弧形頂梢茶樹の生葉採取に適応し、ならい精度が高く、採収効果がよく、そして合理的な空間構造を採用して移動ステージに配置する。作業時には、2組のならい茶摘み機構が取り付けられた移動ステージが茶樹の畝の長手方向に沿って移動し、PLCコントローラにより移動ベースと各茶摘み機構の秩序ある運動を制御し、装置が走行中に一畝の茶樹上の目標生葉に対する「使い捨て」の自動採収を実現し、作業者の労働強度を軽減し、茶葉の機械摘みのスピードと品質を大幅に向上させる。
【0023】
3.本発明が開示する茶摘み方法は、茶摘み装置を基礎とし、レーザーレーダーセンサを利用して遅延なくオンラインで茶樹蓬面曲線にフィットし、かつリアルタイムでカッターと茶樹蓬面をマッチングし、応答時間が短く、検出精度が高く、環境適応性がよく、また、リアルタイムのデータフィードバック処理とコントローラ制御により、移動ステージの走行前と走行中の各ならいアクチュエータによる茶摘み機の刃位置のリアルタイム調節を実現し、これにより、各ならい採茶ユニットによる茶樹頂梢の生葉の採収精度が向上する。
【0024】
4.本発明は、直流プッシャーモータを採用して茶摘み工具の姿勢ならいを実現し、運動過程が安定で、精度が高く、応答が速い。支持ステージは、回転モータによるボールねじの駆動によって、各茶摘み機構の横方向移動を実現することができ、異なる幅の茶樹の生葉採集に対する需要を最大限に満たす。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の茶摘み装置の概略構成図である。
図2】本発明の支持ステージの底面図である。
図3図2におけるA-A方向の断面図である。
図4】本発明の工具の概略構成図である。
図5図4におけるB-B方向の断面図である。
図6】本発明の動刃の概略構成図である。
図7】シャクガ科ウスジロエダシャク幼虫の上顎先端切歯葉の走査型電子顕微鏡写真である。
図8シャクガ科ウスジロエダシャク幼虫の上顎先端切歯葉の外形近似曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1から図8に示すように、本発明の茶摘み装置は、移動ベース1と、移動ベース1に取り付けられたフレーム2とを含む。フレーム2には、1または複数の茶摘み機構が固定的に取り付けられている。本実施例は、2つの茶摘み機構を選択して設けたものであり、茶摘みを行う際に、茶畝の両側にそれぞれ対応させることができ、茶畝形状をより良くマッチングすることができる。茶摘み機構は、トラックユニットとトラックユニットに摺動可能に取り付けられた支持ステージ3を含む。トラックユニットは、平行に設置されたボールねじ4とローラートラック5を含む。支持ステージ3は、固定連結されたベース31と支持板32を含む。ボールねじ4とローラートラック5は、ベース31内に穿設される。ボールねじ4の一端は、軸受座6を介してフレーム2に固定して取り付けられ、他端には、カップリングを介して回転モータ7が接続されている。回転モータ7は、フレーム2に固定的に取り付けられている。ローラートラック5の両端は、いずれも軸受座6を介してフレーム2に固定的に取り付けられている。ローラートラック5には、開口が上向きの溝51が開設されている。支持板32における溝51に対応する位置には、対称に設けられた2つの支持耳33が固定的に取り付けられている。2つの支持耳33の間に、移動ローラ34が取り付けられている。移動ローラ34は、溝51内に位置し、かつ溝51の底部に接触している。ボールねじ4とローラートラック5の構造により、支持ステージ3をより円滑に動作させることができる。使用時には、回転モータ7によりボールねじ4が回転駆動され、ボールねじ4が支持ステージ3を水平移動駆動することにより、切断ユニットの位置が調整される。一方、溝51と移動ローラ34の配置により、ベース31とトラックユニットとの間の摩擦力が減少する。移動中、操作がよりスムーズになり、応答がより速くなり、消費電力の低減に有利になる。
【0028】
支持ステージ3には、2台の直流プッシャーモータ8が関節式に取り付けられている。2台の直流プッシャーモータ8は、支持ステージ3に対称に設置されている。支持ステージ3における2台の直流プッシャーモータ8の中間の位置には、さらにレーザーレーダーセンサ9が固定して取り付けられている。本発明の茶摘み機は、さらにPLCコントローラを含む。レーザーレーダーセンサ9は、PLCコントローラの信号入力端と信号接続され、PLCコントローラの信号出力端は、直流プッシャーモータ8と信号接続されることで、切断の効率的な進行がある程度保証される。直流プッシャーモータ8のプッシャの自由端には、模造茶摘み工具10が枢着されており、レーザーレーダーセンサ9により、模造茶摘み工具と茶畝との間の距離を検出することができ、さらにPLCコントローラを利用して直流プッシャーモータを駆動して模造茶摘み工具の位置を調整し、ある程度で精確な摘み取りの目的を達成することができる。
【0029】
本発明の模造茶摘み工具10は、上支持板11と、上支持板11と一体成形された2つの側板12とを含む。2つの側板12の間に摺動歯板13と固定歯板14とが取り付けられている。固定歯板14の両端は、対応する側板12に固定して取り付けられている。摺動歯板13は、固定歯板14に摺動して取り付けられている。摺動歯板13は、基体131と切断歯132を含む。基体131には、複数の放熱孔15と条孔16とが開設されている。放熱孔15と条孔16とは、離間して設けられている。条孔16と放熱孔15の設計により、工具使用時の温度をある程度下げることができるだけでなく、摺動歯板13の質量をある程度減少させることができ、その使用をより軽くし、エネルギー消費を低減させることに有利である。具体的には、基体131は、固定的に連結された駆動板1311と弧状の切断片1312を含む。複数の切断歯132は、切断片1312に固設され、放熱孔15および条孔16は、切断片に設けられている。摺動歯板13と固定歯板14との間に1つ以上の位置決めボルト17が穿設され、1つ以上の位置決めボルト17は、いずれも条孔内に設置されている。具体的には、本実施例は、2つの位置決めボルト17を選択的に設置し、基体131に対称に設置し、条孔16の構造は、切断歯132の往復運動に影響を与えない。切歯の刃の外郭は、模造構造を呈し、具体的には図7に示すシャクガ科ウスジロエダシャクの幼虫の口器の一部を模した切歯構造であり、その近似曲線が、Y=6.214sin(0.1429x+0.2629)+8.148sin(0.5242x-1.737)+2.309sin(0.9112x+1.212)+6.217sin(0.5843x+0.5042)-0.4521sin(1.669x-8.656)+0.3548sin(1.99x-10.61)であり、ただし、x∈[0、21.4]、単位がmmであり、図8に示す通りである。
【0030】
上支持板11には、駆動ユニットが取り付けられている。駆動ユニットと摺動歯板13とは、伝動連結される。駆動ユニットは、駆動モータ18と、プーリアセンブリと、プーリアセンブリの出力軸に固設されたカム19とを含む。駆動板1311には連結溝20が開設され、カム19は、連結溝20内に配置されかつ連結溝20の形状とマッチングする。プーリアセンブリは、ベルト伝動連結の第1プーリ21と第2プーリ22を含む。第1プーリ21は、駆動モータ18の出力軸に固定的に連結され、第2プーリ22は、上支持板11に固定的に取り付けられてカム19と同軸に設けられる。使用時には、駆動モータ18が回転して第1プーリ21を回転させ、第1プーリ21がベルトを介して第2プーリ22を駆動してさらにカム19を回転させる。カム19と連結溝とが係合することにより、摺動歯板13の左右往復動を駆動する。
【0031】
上記の茶摘み装置を用いて茶葉の摘み取りを行う場合の具体的な操作手順は、以下である。
【0032】
S1:茶摘み装置を茶摘みすべき茶畝に移動させることにより、移動ベースが茶畝の両側に位置し、フレームが茶畝の上に跨り、かつ2つの前記茶摘み機構がそれぞれ茶畝の両側に対応する位置に位置するようにする。
【0033】
S2:直流プッシャーモータにより茶摘み機構を工具が茶畝に近接しているが茶樹に接触していない状態に移動させ、工具全体を茶畝の中心に沿う方向に上向きに傾斜させて茶樹の樹冠形状にマッチングする。
【0034】
S3:2つの茶摘み機構上のレーザーレーダーを起動し、それぞれ2つのカッターの位置を検出し、レーザー点群データにより茶樹の樹冠をフィッティングし、茶樹の樹冠曲線とカッター曲線のマッチングプランを計算する。すなわち、マッチング後の樹冠曲線とカッター曲線とのなす角αと両曲線間の平均距離Lからマッチングの目安を判断し、α>α0またはL>L0であれば、α<α0かつL<L0(α0、L0は、実際の作業状況および実行機構の動作状況に応じて与えられた測定許容偏差値)まで直流プッシャーモータを調整し続ける。マッチングプランに基づいて、PLCコントローラにより直流プッシャーモータを制御し、直流プッシャーモータのプッシャーロッドの位置を調整し、さらに、リアルタイムに計算したカッター曲線と茶樹の樹冠曲線との間の角度αと両曲線間の平均距離L値が前述の測定原理の要求を満たすまで、工具の姿勢と高さを制御し、茶樹の頂梢のならいを実現し、茶葉の採収を行う。
【0035】
S4:移動ベースが茶畝に沿って移動し、茶摘み工具が茶葉の採収を継続する。工具に採収された茶葉は、工具に設けられたファンにより後方の予め設定された収集袋に吹きつけられる。同時に2つのレーザーレーダーは、いずれもカッターの動的検出および茶樹の樹冠のフィッティングを継続する。PLCコントローラは、受信した信号に基づいて直流プッシャーモータを制御して動的昇降を行う。レーザーレーダーセンサのいずれもが茶樹を検知できない(つまりレンジを超えている)場合、すなわちこのならい茶摘みユニットの下方に対応するエリアの茶摘みが完了したとみなす。コントローラは、各直流プッシャーモータを制御して回転させ、各ならい茶摘みユニットは、初期状態に復帰する。全てのならい茶摘みユニットが初期状態に復帰した後、コントローラは、移動ベースと各装置の運動を停止制御する。採取が終わると、この畝の茶樹の生葉の摘み取りが完了する。
【0036】
以上の実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものに過ぎず、限定するものではない。本発明は、好ましい実施例を参照して詳細に説明したが、当業者には理解されるように、本発明の技術的解決手段の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明の技術的解決手段を変更または均等に変更することが可能であり、それらはすべて本発明の特許請求の範囲に含まれるものである。本発明において詳細に説明されない技術、形状、構造の部分は、すべて公知技術である。
【0037】
(付記)
(付記1)
模造茶摘み工具であって、
上支持板と、前記上支持板と一体成形された2つの側板とを含み、
2つの前記側板の間に摺動歯板と固定歯板とが取り付けられ、
前記固定歯板の両端は、対応する前記側板に固定して取り付けられ、
前記摺動歯板は、前記固定歯板に摺動して取り付けられ、
前記摺動歯板は、基体と切断歯を含み、
前記切断歯の刃先の外郭は、ならい構造を呈し、
前記上支持板には駆動ユニットが取り付けられ、
前記駆動ユニットと前記摺動歯板は、伝動連結されることを特徴とする模造茶摘み工具。
【0038】
(付記2)
前記基体には、複数の放熱孔と条孔とが開設されており、
前記放熱孔と前記条孔とが離間して設けられていることを特徴とする付記1に記載の模造茶摘み工具。
【0039】
(付記3)
前記摺動歯板と前記固定歯板との間に1つ以上の位置決めボルトが穿設されており、
1つ以上の前記位置決めボルトは、いずれも条孔内に設けられていることを特徴とする付記2に記載の模造茶摘み工具。
【0040】
(付記4)
前記切断歯の刃先の外郭は、シャクガ科ウスジロエダシャクの幼虫の口器を模した切歯構造であり、その模造曲線が、Y=6.214sin(0.1429x+0.2629)+8.148sin(0.5242x-1.737)+2.309sin(0.9112x+1.212)+6.217sin(0.5843x+0.5042)-0.4521sin(1.669x-8.656)+0.3548sin(1.99x-10.61)であり、ただし、x∈[0、21.4]、単位がmmであることを特徴とする付記3に記載の模造茶摘み工具。
【0041】
(付記5)
茶摘み装置であって、
移動ベースおよび前記移動ベースに取り付けられたフレームを含み、
前記フレームには、2つの茶摘み機構が固定的に取り付けられており、
前記茶摘み機構は、トラックユニットおよび前記トラックユニットに摺動して取り付けられた支持ステージを含み、
前記トラックユニットは、前記フレームに固定的に取り付けられ、
前記支持ステージには、直流プッシャーモータとレーザーレーダーセンサが固定して取り付けられ、
前記直流プッシャーモータのプッシャーロッドの自由端には、付記1~4のいずれか1つに記載の模造茶摘み工具が固定して取り付けられ、
前記茶摘み装置は、さらにPLCコントローラを含み、
前記レーザーレーダーセンサは、前記PLCコントローラの信号入力端に信号接続され、
前記PLCコントローラの信号出力端は、前記直流プッシャーモータに信号接続されることを特徴とする茶摘み装置。
【0042】
(付記6)
前記トラックユニットは、平行に設置されたボールねじとローラートラックを含み、
前記ボールねじの一端は、軸受座を介して前記フレームに固定して取り付けられ、他端には、回転モータが固定的に接続され、
前記回転モータは、前記フレームに固定的に取り付けられ、
前記ローラートラックの両端は、いずれも前記軸受座を介して前記フレームに固定的に取り付けられ、
前記支持ステージは、固定連結されたベースと支持板を含み、
前記ボールねじと前記ローラートラックは、前記ベース内に穿設されることを特徴とする付記5に記載の茶摘み装置。
【0043】
(付記7)
前記ローラートラックには、開口が上向きの溝が開設され、
前記支持板における前記溝に対応する位置には、対称に設けられた2つの支持耳が固定的に取り付けられ、
2つの前記支持耳の間に、移動ローラが取り付けられ、
前記移動ローラは、前記溝内に位置し、かつ前記溝の底部に接触していることを特徴とする付記6に記載の茶摘み装置。
【0044】
(付記8)
付記5から7のいずれか一つに記載の茶摘み装置に基づいて、
茶摘み装置を茶摘みすべき茶畝に移動させることにより、移動ベースが茶畝の両側に位置し、フレームが茶畝の上に跨り、かつ2つの前記茶摘み機構がそれぞれ茶畝の両側に対応する位置に位置するようにするステップS1と、
直流プッシャーモータにより茶摘み機構を工具が茶畝に近接しているが茶樹に接触していない状態に移動させ、工具全体を茶畝の中心に沿う方向に上向きに傾斜させて茶樹の樹冠形状にマッチングするステップS2と、
2つの茶摘み機構上のレーザーレーダーを起動し、それぞれ2つのカッターの位置を検出し、レーザー点群データにより茶樹の樹冠をフィッティングし、茶樹の樹冠曲線とカッター曲線のマッチングプランを計算し、さらにマッチングプランに基づいて、PLCコントローラにより直流プッシャーモータを制御し、直流プッシャーモータのプッシャーロッドの位置を調整し、さらに工具の姿勢と高さを制御して茶葉の採取を行うステップS3と、
移動ベースを茶畝に沿って移動させ、茶摘み工具により茶葉の採収を継続するとともに、2つのレーザーレーダーにより、カッターの動的検出と茶樹の樹冠のマッチングを継続し、PLCコントローラは、受信した信号に基づいて、採取が完了するまで直流プッシャーモータを動的に昇降制御するステップS4と、を含むことを特徴とする茶摘み方法。
【0045】
(付記9)
前記ステップS3において、茶樹の樹冠曲線とカッター曲線とをマッチングする際に、マッチング後の樹冠曲線とカッター曲線とのなす角αと両曲線間の平均距離Lからマッチングの目安を判断し、α>α0またはL>L0であれば、α<α0かつL<L0(α0、L0は、実際の作業状況および実行機構の動作状況に応じて与えられた測定許容偏差値)まで直流プッシャーモータを調整し続けることを特徴とする付記8に記載の茶摘み方法。
【符号の説明】
【0046】
1:移動ベース、2:フレーム、3:支持ステージ、31:ベース、32:支持板、33:支持耳、34:移動ローラ、4:ボールねじ、5:ローラートラック、51:溝、6:軸受座、7:回転モータ、8:直流プッシャーモータ、9:レーザーレーダーセンサ、10:模造茶摘み工具、11:上支持板、12:側板、13:摺動歯板、131:基体、1311:駆動板、1312:切断片、132:切断歯、14:固定歯板、15:放熱孔、16:条孔、17:位置決めボルト、18:駆動モータ、19:カム、20:連結溝、21:第1プーリ、22:第2プーリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8