(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】風呂水供給装置及び洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
D06F39/08 301A
(21)【出願番号】P 2020108540
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】三觜 紳平
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-031767(JP,A)
【文献】実開昭63-006207(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102278538(CN,A)
【文献】特開平09-100811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 1/00~53/22
D06F 1/00~95/00
F16B 7/04
F16L 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機に外付けされて風呂水を洗濯機に供給する風呂水供給装置であって、
洗濯機に装着される一端部と、前記一端部とは反対側の他端部とを有する蛇腹状のホースと、
風呂水を前記他端部から前記ホース内に取り込んで前記一端部へ送る電動のポンプと、
前記ポンプから延びて前記洗濯機に電気的に接続されるケーブルと、
前記ホースと前記ケーブルとを束ねる固定具であって、前記ホースの外表面部において前記ホースの蛇腹を構成するために隣り合う凸部の間の溝に嵌ることによって前記ホースの長手方向において位置決めされる位置決め部を有する固定具とを含
み、
前記固定具は、前記ホースを挟むC字状の第1湾曲部と、前記ケーブルを挟むC字状の第2湾曲部とを有し、
前記第1湾曲部および第2湾曲部は、前記第1湾曲部の曲率中心と前記第2湾曲部の曲率中心とが平行になるように同一平面上に配置されており、
前記第1湾曲部の開口部と前記第2湾曲部の開口部とは、互いに異なる方向に向けられており、
前記位置決め部は、前記第1湾曲部の内周部に設けられる、風呂水供給装置。
【請求項2】
前記位置決め部は、複数設けられ、前記第1湾曲部の内周部の周方向に並んで配置される、請求項
1に記載の風呂水供給装置。
【請求項3】
請求項1~
2のいずれか一項に記載の風呂水供給装置を含む、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に外付けされて風呂水を洗濯機に供給する風呂水供給装置、及びこれを含む洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の風呂水吸水装置は、洗濯機の給水口に接続される給水ホースと、給水ホースにおいて洗濯機側とは反対側の端部に接続された吸水ポンプと、吸水ポンプから延びて洗濯機に接続される給電線とを含む。吸水ポンプがバスタブにセットされた状態で、洗濯機からの電力が給電線経由で吸水ポンプに供給されると、吸水ポンプが作動する。これにより、バスタブ内の風呂水が、吸水ポンプの吸水口から吸水ポンプ内に取り込まれ、給水ホースを介して洗濯機に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の風呂水吸水装置では、給水ホースと給電線とが離れ離れになった状態にあるので、使用者が風呂水吸水装置の使用又は片付けのために給水ホース及び給電線を動かしたい場合において、給水ホース及び給電線のどちらか一方を動かそうとすると、給水ホース及び給電線のどちらか他方が周囲の障害物に引っ掛かる不具合が想定される。そこで、使用者は、このような不具合が発生しないように注意する必要があるので、風呂水吸水装置の利便性が損なわれる。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、利便性の向上を図れる風呂水供給装置、及びこれを含む洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗濯機に外付けされて風呂水を洗濯機に供給する風呂水供給装置であって、洗濯機に装着される一端部と、前記一端部とは反対側の他端部とを有する蛇腹状のホースと、風呂水を前記他端部から前記ホース内に取り込んで前記一端部へ送る電動のポンプと、前記ポンプから延びて前記洗濯機に電気的に接続されるケーブルと、前記ホースと前記ケーブルとを束ねる固定具であって、前記ホースの外表面部において前記ホースの蛇腹を構成するために隣り合う凸部の間の溝に嵌ることによって前記ホースの長手方向において位置決めされる位置決め部を有する固定具とを含む、風呂水供給装置である。
【0007】
また、本発明は、前記固定具が、前記ホースを挟むC字状の第1湾曲部と、前記ケーブルを挟むC字状の第2湾曲部とを有し、前記位置決め部が、前記第1湾曲部の内周部に設けられることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記位置決め部が、複数設けられ、前記第1湾曲部の内周部の周方向に並んで配置されることを特徴とする。また、本発明は、前記風呂水供給装置を含む、洗濯機である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、風呂水供給装置は、蛇腹状のホースの一端部が洗濯機に装着されてケーブルが洗濯機に電気的に接続されることによって、洗濯機に外付けされる。風呂水供給装置では、電動のポンプが、例えば洗濯機からの電力がケーブル経由で供給されることによって作動し、風呂水をホースの他端部からホース内に取り込んでホースの一端部へ送るので、風呂水が洗濯機に供給される。
風呂水供給装置では、ホースとケーブルとが固定具によって束ねられる。これにより、使用者は、ホース及びケーブルのどちらかが周囲の障害物に引っ掛からないように注意せずに、ホース及びケーブルの両方をまとめて動かすことができる。そのため、風呂水供給装置の利便性の向上を図れる。
固定具では、位置決め部が、ホースの外表面部においてホースの蛇腹を構成するために隣り合う凸部の間の溝に嵌ることによって、ホースの長手方向において位置決めされる。これにより、固定具は、ホースの長手方向においてずれないように安定した状態で、ホースとケーブルとを束ねることができる。そのため、例えば、複数の固定具をホースの長手方向において一定間隔で配置して各固定具の位置決め部をホースの溝に嵌めることによって、ホースとケーブルとを、長手方向における一定間隔で均等に束ねることができる。
【0010】
また、本発明によれば、C字状の第1湾曲部における開放部から第1湾曲部内にホースを押し込んでC字状の第2湾曲部における開放部から第2湾曲部内にケーブルを押し込むという簡単な作業により、ホースとケーブルとが固定具によって束ねられ、さらに、第1湾曲部の内周部の位置決め部がホースの外表面部の溝に嵌って位置決めされる。そのため、風呂水供給装置の組み立てに関する利便性の向上を図れる。
【0011】
また、本発明によれば、複数の位置決め部が第1湾曲部の内周部の周方向に並んで配置されてホースの外表面部の溝に嵌ることにより、固定具は、ホースの長手方向においてずれないように一層安定した状態で、ホースとケーブルとを束ねることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態に係る風呂水供給装置が装着された洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】風呂水供給装置が装着された洗濯機の模式的な右側面図である。
【
図3】風呂水供給装置を構成する固定具の斜視図である。
【
図5】風呂水供給装置の要部について一部に断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る風呂水供給装置50が装着された洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1において紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面の奥側を左側X1といい、
図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0014】
洗濯機1には、縦型洗濯機や、ドラム式洗濯機や、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行する縦型洗濯機を例に取って洗濯機1について説明する。洗濯機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内に配置された外槽3と、外槽3内に収容された洗濯槽4と、洗濯槽4内に収容された回転翼5と、洗濯槽4や回転翼5を回転させる駆動力を発生する電動のモータ6と、モータ6が発生した駆動力の伝達先を切り替える伝達機構7とを含む。
【0015】
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成される。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉8が設けられる。上面2Aにおいて、例えば開口2Bよりも前側Y1の領域には、タッチパネルなどで構成された表示操作部9が設けられる。
【0016】
外槽3は、上端に開口3Aが形成された有底円筒状に形成される。開口3Aは、筐体2の開口2Bの真下に配置される。外槽3内には、水が溜められる。外槽3には、排水路10が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路10から機外に排出される。排水路10の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁11が設けられる。
【0017】
洗濯槽4は、上下方向Zに延びる中心軸Jを有し、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4の上端には、出入口4Aが形成される。出入口4Aは、外槽3の開口3Aと筐体2の開口2Bとに下側Z2から連通した状態にある。洗濯機1の使用者は、扉8を開いて開口2B、開口3A及び出入口4Aを開放し、洗濯槽4に対して洗濯物Qを出し入れする。
【0018】
洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で収容され、上下方向Zに沿って、つまり縦に配置される。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、中心軸Jまわりに回転可能である。洗濯槽4には、図示しない貫通穴が複数形成され、外槽3内の水は、当該貫通穴を介して、外槽3と洗濯槽4との間で行き来できる。洗濯槽4の底壁には、中心軸Jに沿って下側Z2へ延び出て外槽3の底壁を貫通した管状の支持軸12が設けられる。
【0019】
回転翼5は、いわゆるパルセータであり、中心軸Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4の底壁上に配置される。回転翼5には、その円中心から中心軸Jに沿って下側Z2へ延びる回転軸13が設けられる。回転軸13は、支持軸12の中空部分に挿通されて、回転軸13の下端部は、外槽3の底壁よりも下側Z2に位置する。
【0020】
モータ6は、上側Z1へ突出して中心軸Jを中心として回転する出力軸14を有し、洗濯槽4の下側Z2に配置される。伝達機構7は、支持軸12及び回転軸13のそれぞれの下端部と、出力軸14の上端部との間に介在される電動のクラッチである。伝達機構7は、モータ6が出力軸14から出力する駆動力を、支持軸12及び回転軸13の一方又は両方に対して選択的に伝達する。駆動力が支持軸12に伝達されると洗濯槽4が回転し、駆動力が回転軸13に伝達されると回転翼5が回転する。
【0021】
外槽3及び洗濯槽4への給水に関連して、洗濯機1は、蛇口(図示せず)からの水道水を洗濯槽4内に供給するための給水路15と、筐体2内で給水路15に合流した風呂水供給路16とをさらに含む。給水路15の一端(図示せず)は、筐体2の外に引き出されて、蛇口に接続される。給水路15の他端は、筐体2内に配置されて、給水口15Aとして洗濯槽4の出入口4Aに上側Z1から臨む。給水路15において、筐体2の外に配置される上流部15Bと、筐体2内に配置されて給水口15Aを有する下流部15Cとは分離可能であってもよく、この場合、上流部15Bと下流部15Cとは、ジョイント(図示せず)によって連結される。下流部15Cには、開閉可能な給水弁17が設けられる。
【0022】
風呂水供給路16に関連して、筐体2の上面2Aには、風呂水を取り込むための取込口2Cが設けられる。風呂水供給路16は、取込口2Cから少なくとも下側Z2延び、給水路15において給水弁17よりも給水口15Aに近い下流領域15Dに接続される。取込口2Cは、上面2Aつまり筐体2の表面に露出された穴である。取込口2Cは、筐体2に形成された穴を指してもよいし、この穴から露出される風呂水供給路16の一端の開口を指してもよい。取込口2Cには、風呂水供給装置50を取り付けることができる。風呂水供給装置50は、いわゆる風呂水ポンプであり、洗濯機1に外付けされて風呂水を洗濯機1に供給する。風呂水供給装置50については、後で詳説する。
【0023】
洗濯機1は、マイコンなどによって構成された制御部18と、例えば筐体2の後面2Dに設けられて内部配線19を介して制御部18に対して電気的に接続された接続口20とをさらに含む。制御部18には、モータ6、伝達機構7、表示操作部9、排水弁11及び給水弁17のそれぞれが電気的に接続される。また、風呂水供給装置50が接続口20に接続されることによって、風呂水供給装置50も制御部18に対して電気的に接続される。制御部18は、モータ6、伝達機構7、排水弁11、給水弁17及び風呂水供給装置50の動作を制御することによって洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯槽4内の洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程の後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程後に洗濯物Qを脱水する脱水工程とを含む。
【0024】
洗い工程では、制御部18は、まず、排水弁11を閉じた状態で給水弁17を所定時間開くことによって洗濯槽4内に給水する(
図1の破線矢印を参照)。なお、制御部18は、給水時において、給水弁17を開くのでなく、風呂水供給装置50を動作させることによって風呂水を洗濯槽4内に供給してもよい。給水の前又は後のタイミングにおいて、使用者が扉8を開いて洗剤を出入口4Aから洗濯槽4内に投入してもよい。
【0025】
洗濯槽4内の水位が所定水位まで上昇すると、制御部18は、給水を停止した後にモータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、撹拌されたり、洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。最後に、制御部18は、排水弁11を開くことによって洗濯槽4を排水する。
【0026】
すすぎ工程では、制御部18は、まず、排水弁11を閉じた状態で給水弁17を所定時間開くことによって、水道水を洗濯槽4内に溜める。給水を終えた制御部18は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。すすぎ工程では、給水の前又は後のタイミングにおいて、使用者が扉8を開いて柔軟剤を出入口4Aから洗濯槽4内に投入してもよい。柔軟剤は、洗濯物Qに染み渡る。最後に、制御部18は、洗濯槽4を排水する。
【0027】
脱水工程では、制御部18は、排水弁11を開いた状態でモータ6及び伝達機構7を制御することによって、洗濯槽4を所定の脱水回転数で回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、遠心力が作用することによって脱水される。
【0028】
次に、風呂水供給装置50について説明する。
図2は、風呂水供給装置50が装着された洗濯機1の模式的な右側面図である。なお、
図2では、洗濯機1の内部構成の図示が省略される。風呂水供給装置50は、単体で市場に流通してもよいし、洗濯機1の付属品として洗濯機1とともに市場に流通してもよい。風呂水供給装置50は、風呂水を洗濯機1に供給するためのホース51と、ホース51内で風呂水を送り込む電動のポンプ52と、ポンプ52から延びて洗濯機1に電気的に接続されるケーブル53と、ホース51とケーブル53とを束ねる単数又は複数の固定具54とを含む。
【0029】
ホース51は、洗濯機1の筐体2の取込口2Cに対して着脱可能に装着される一端部51Aと、一端部51Aとは反対側の他端部51Bとを有する蛇腹状のホースである。ホース51の外表面部51Cには、ホース51の蛇腹を構成する複数の凸部51Dが設けられる。これらの凸部51Dは、ホース51の長手方向Lに等間隔で並ぶ。これらの凸部51Dは、1つずつ分離して配置された環状体であってもよいし、連続することによって螺旋状のリブを構成ししてもよい。外表面部51Cにおいて、長手方向Lに隣り合う凸部51Dの間には、外表面部51Cの周方向に延びる溝51Eが形成される。凸部51Dが連続して螺旋状のリブを構成する場合には、溝51Eも螺旋状に構成される。
【0030】
ポンプ52は、この実施形態ではホース51の他端部51Bに接続されるが、一端部51Aに設けられてもよいし、ホース51において一端部51Aと他端部51Bとの間の途中部に設けられてもよい。ポンプ52は、ケース52Aと、ケース52Aに内蔵されたポンプ本体52Bとを有する。ポンプ本体52Bは、水を送り込むための羽などが連結された出力軸を有する電動のモータである。ケース52Aの内部空間は、ホース51内に連通した状態にある。ケース52Aにおいて他端部51Bとは反対側の表面には、ケース52Aの内部空間に連通した吸込口52Cが形成される。なお、ポンプ52がホース51の一端部51Aや途中部に設けられる場合には、ホース51の他端部51Bに形成された開口(図示せず)が、吸込口52Cとして機能する。
【0031】
ケーブル53は、筐体2の接続口20に接続される一端部53Aと、一端部53Aとは反対側でポンプ本体52Bに接続された他端部53Bとを有するコードである。ケーブル53において絶縁膜53Cによって被覆された電線53D(
図5参照)は、この実施形態では電力供給線であるが、信号線であってもよいし、電力供給線と信号線とを組み合わせることによって構成されてもよい。一端部53Aが接続口20に接続されると、前述したように、洗濯機1の制御部18が風呂水供給装置50、詳しくはポンプ本体52Bに対して電気的に接続される。制御部18は、ポンプ本体52Bに対する通電、つまりポンプ本体52BのON/OFFを制御することによって、ポンプ本体52Bの動作を制御する。
【0032】
風呂水供給装置50は、ホース51の一端部51Aが洗濯機1の取込口2Cに装着されてケーブル53の一端部53Aが洗濯機1の接続口20に接続されることによって、洗濯機1に外付けされる。ポンプ52が浴槽(図示せず)内の風呂水に浸された状態で、制御部18がポンプ本体52BをONにしてポンプ本体52Bに通電すると、ポンプ52のポンプ本体52Bが、洗濯機1からの電力がケーブル53経由で供給されることによって作動する。これにより、浴槽内の風呂水が、ポンプ52の吸込口52Cからケース52A内に吸い込まれた後に、ホース51の他端部51Bからホース51内に取り込まれて一端部51Aへ送られ、取込口2Cから洗濯機1に供給される。洗濯機1に供給された風呂水は、前述したように、風呂水供給路16を通って給水路15の給水口15Aから洗濯槽4内に供給される(
図1参照)。
【0033】
図3は、固定具54の斜視図である。固定具54は、例えば樹脂製である。固定具54は、C字状に膨出した第1湾曲部55と、C字状に膨出した第2湾曲部56とを有する。この実施形態では第1湾曲部55と第2湾曲部56とが逆向きに膨出するので固定具54がS字状のフックとして構成されるが、第1湾曲部55と第2湾曲部56とが同じ向きに膨出してもよく、その場合の固定具54は、ε字状に形成される。固定具54におけるほぼ全てのコーナー部には、傾斜面又は湾曲面によって構成された面取りMが形成される。
【0034】
第1湾曲部55は、第1湾曲部55の略全体を構成する円弧部55Aと、円弧部55Aの周方向S1における一端部55Bから円弧部55Aの径方向R1における外側へ直線状に延びる延設部55Cとを有する。円弧部55Aの内周面55Dは、第1湾曲部55の内周部である。内周面55Dには、単数又は複数の位置決め部55Eが設けられる。この実施形態体では、2つの位置決め部55Eが周方向S1に並んで配置される。それぞれの位置決め部55Eは、第1湾曲部55の曲率中心C1側つまり径方向R1の内側へ突出した突起である。円弧部55Aの外周面55Fは、第1湾曲部55の外周部である。第1湾曲部55の厚さ方向における外周面55Fの略中央には、径方向R1の外側へ突出して周方向S1に延びるリブ55Gが形成される。
【0035】
円弧部55Aでは、一端部55Bと、周方向S1において一端部55Bとは反対側の他端部55Hとが、周方向S1に離れた状態にある。そのため、第1湾曲部55における一端部55Bと他端部55Hとの間には、延設部55Cに沿って径方向R1の外側へ開放された開放部55Jが形成される。この実施形態では、周方向S1における開放部55Jの両側のそれぞれへ約45度ずつ離れた位置に位置決め部55Eが1つずつ配置されて、これらの位置決め部55Eは、第1湾曲部55の曲率中心C1を径方向R1から挟むように配置される。
【0036】
第2湾曲部56は、第2湾曲部56の略全体を構成する円弧部56Aと、円弧部56Aの周方向S2における一端部56Bから円弧部56Aの径方向R2における外側へ直線状に延びる延設部56Cとを有する。ホース51の外径とケーブル53の外径との大小関係に応じて、具体的には、この実施形態ではホース51がケーブル53よりも大径であることに応じて、第1湾曲部55の円弧部55Aが円弧部56Aよりも大径である。円弧部56Aでは、一端部56Bと、周方向S2において一端部56Bとは反対側の他端部56Dとが、周方向S2に離れた状態にある。そのため、第2湾曲部56における一端部56Bと他端部56Dとの間には、延設部56Cに沿って径方向R2の外側へ開放された開放部56Eが形成される。他端部56Dは、第1湾曲部55の他端部55Hに連結される。円弧部56Aの外周面56Fは、第1湾曲部55の円弧部55Aの内周面55Dに連続し、円弧部56Aの内周面56Gは、円弧部55Aの外周面55Fに連続する。S字状に形成される固定具54に応じて、第1湾曲部55の延設部55Cと第2湾曲部56の延設部56Cとは略平行かつ逆向きに延び、第1湾曲部55の開放部55Jと第2湾曲部56の開放部56Eとは逆向きに開放される。
【0037】
風呂水供給装置50は、固定具54を複数含み、これらの固定具54は、ホース51の長手方向Lに一定間隔で並んで配置される(
図2参照)。風呂水供給装置50の要部の斜視図である
図4を参照して、各固定具54では、第1湾曲部55がホース51を挟んだ状態にあり、第2湾曲部56がケーブル53を挟んだ状態にある。風呂水供給装置50の組み立て時には、作業者が、ホース51を第1湾曲部55の開放部55Jから第1湾曲部55内に押し込むことによって、ホース51が第1湾曲部55の円弧部55Aによって径方向R1(
図3参照)の外側から挟まれる。同様に、作業者が、ケーブル53を第2湾曲部56の開放部56Eから第2湾曲部56内に押し込むことによって、ケーブル53が第2湾曲部56の円弧部56Aによって径方向R2(
図3参照)の外側から挟まれる。第1湾曲部55の延設部55Cは、開放部55Jから第1湾曲部55内に押し込まれるホース51の移動をガイドする。同様に、第2湾曲部56の延設部56Cは、開放部56Eから第2湾曲部56内に押し込まれるケーブル53の移動をガイドする。
【0038】
風呂水供給装置50の要部について一部に断面を含む斜視図である
図5も参照して、各固定具54では、第1湾曲部55の内周部に設けられた各位置決め部55Eが、ホース51の外表面部51Cにおいて長手方向Lで同じ位置にある溝51Eに、ホース51の径方向R3の外側から嵌った状態にある。これにより、各位置決め部55Eは、ホース51の外表面部51Cにおいて溝51Eの両側に位置する凸部51Dによって長手方向Lの移動が規制されるので、長手方向Lにおいて位置決めされた状態にある。
【0039】
このように第1湾曲部55によってホース51を挟んで第2湾曲部56によってケーブル53を挟んだ固定具54が複数設けられて長手方向Lに一定間隔で並んで配置されることにより、ホース51とケーブル53とは、長手方向Lにおける広範囲にわたって均等に束ねられた状態にある(
図1及び
図2参照)。これにより、風呂水供給装置50の使用者は、ホース51及びケーブル53のどちらかが周囲の障害物に引っ掛からないように注意せずに、ホース51及びケーブル53の両方をまとめて動かすことができる。そのため、風呂水供給装置50の利便性の向上を図れる。
【0040】
固定具54では、前述したように位置決め部55Eがホース51の外表面部51Cの溝51Eに嵌ることによってホース51の長手方向Lにおいて位置決めされるので、固定具54は、ホース51の長手方向Lにおいてずれないように安定した状態で、ホース51とケーブル53とを束ねることができる。そのため、この実施形態のように複数の固定具54をホース51の長手方向Lにおいて一定間隔で配置して各固定具54の位置決め部55Eをホース51の溝51Eに嵌めることによって、ホース51とケーブル53とを、長手方向Lにおける一定間隔で均等に束ねることができる。
【0041】
また、各固定具54では、C字状の第1湾曲部55における開放部55Jから第1湾曲部55内にホース51を押し込んでC字状の第2湾曲部56における開放部56Eから第2湾曲部56内にケーブル53を押し込むという簡単な作業により、ホース51とケーブル53とを固定具54によって束ねることができる。さらに、第1湾曲部55の内周部の位置決め部55Eがホース51の外表面部51Cの溝51Eに嵌って位置決めされる。そのため、風呂水供給装置50の組み立てに関する利便性の向上を図れる。特に、ホース51とケーブル53とを溶着する従来の作業を省略して風呂水供給装置50を組み立てることができるので、利便性に関するメリットは大きい。
【0042】
また、複数の位置決め部55Eが第1湾曲部55の内周部の周方向S1に並んで配置されてホース51の外表面部51Cの溝51Eに嵌ることにより、固定具54は、ホース51の長手方向Lにおいてずれないように一層安定した状態で、ホース51とケーブル53とを束ねることができる。
【0043】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0044】
例えば、風呂水供給装置50のポンプ52は、洗濯機1から給電されるのでなく、例えば、ポンプ52に内蔵の電池やコンセントなどの外部電源から給電されてもよい。その場合のケーブル53は、前述した信号線であって、制御部18からの制御信号をポンプ本体52Bに入力する。
【0045】
また、固定具54の第2湾曲部56は、ケーブル53を開放部56Eから外れない程度に保持すればよく、そのために、開放部56Eは、ケーブル53の断面の幅よりも小さく設定されるとよい。
【符号の説明】
【0046】
1 洗濯機
50 風呂水供給装置
51 ホース
51A 一端部
51B 他端部
51C 外表面部
51D 凸部
51E 溝
52 ポンプ
53 ケーブル
54 固定具
55 第1湾曲部
55D 内周面
55E 位置決め部
56 第2湾曲部
L 長手方向
S1 周方向