(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】寸法測定システムおよび寸法測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2023130050
(22)【出願日】2023-08-09
【審査請求日】2023-10-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519137888
【氏名又は名称】株式会社Lightblue
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】長谷 啓司
(72)【発明者】
【氏名】園田 亜斗夢
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-084521(JP,A)
【文献】特開2017-015445(JP,A)
【文献】特開2011-123008(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 3/06
11/00-11/36
15/00
E01C 19/00-19/52
G06T 1/00
7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面で形成され基準点を示すマーカーが記されているマーカー記録面を備えている複数のターゲットの前記基準点のそれぞれが所定の基準平面内に位置し、複数の前記ターゲットのマーカー記録面が一方の側に面するようにして、複数の前記ターゲットを被測定箇所に設置するターゲット設置段階と、
前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカーを撮影装置で撮影するターゲット撮影段階と、
前記ターゲット撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記ターゲット撮影段階で得られた前記1枚の画像を、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する画像補正・変換段階と、
前記画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出段階と、
を有し、
前記ターゲット設置段階の被測定箇所は、幅方向の両端部を除く中央部が凹んでいる工事中の道路であり、
前記ターゲット設置段階での基準平面は、前記工事中の道路の
延伸方向に対して直交する平面であり、
前記ターゲット設置段階は、前記複数のターゲットのうちの1つのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの残りのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置する段階であり、
前記寸法算出段階は、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線を基準線とし、この基準線と、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、前記工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめる段階であり、
前記工事中の道路の幅方向と延伸方向とに対して直交する方向をZ方向とすると、前記寸法算出段階は、前記ターゲットのマーカーのZ方向の寸法の値を用いて、前記位置関係の寸法を算出する段階である寸法測定方法。
【請求項2】
平面で形成され基準点を示すマーカーが記されているマーカー記録面を備えている複数のターゲットのマーカー記録面が一方の側に面するようにして、複数の前記ターゲットを被測定箇所に設置するターゲット設置段階と、
前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカーを撮影装置で撮影するターゲット撮影段階と、
前記ターゲット撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記ターゲット撮影段階で得られた前記1枚の画像を、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する画像補正・変換段階と、
前記画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出段階と、
を有し、
前記ターゲット設置段階の被測定箇所は、幅方向の両端部を除く中央部が凹んでいる工事中の道路であり、
前記ターゲット設置段階は、前記複数のターゲットのうちの1つのターゲットをこのターゲットの基準点が所定の基準平面内に位置するようにして前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットをこのターゲットの基準点が前記所定の基準平面内に位置するようにして前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの残りのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置する段階であり、
前記ターゲット設置段階での基準平面は、前記工事中の道路の
延伸方向に対して直交する平面であり、
前記寸法算出段階は、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線を基準線とし、この基準線と、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、前記工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめる段階であり、
前記ターゲット設置段階は、前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置するターゲットを、前記道路の延伸方向で前記基準平面からずらして設置する段階であり、
前記寸法算出段階は、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲット
である基準ターゲットのマーカーの寸法の値、もしくは、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲット
である基準ターゲットのマーカーの寸法の値
、および、前記基準ターゲットのマーカーの大きさと前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットである非基準ターゲットのマーカーの大きさとの違いを用いて、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する段階であ
り、
前記ターゲット撮影段階で得られる1枚の画像は、1つの撮像素子を備えた1台のカメラによる1回の撮影で得られた画像である寸法測定方法。
【請求項3】
前記ターゲットは、平板状の底部位とこの底部位に対して直交して起立している平板状の起立部位とを備えて構成されており、
前記ターゲット設置段階での設置がされた状態では、前記底部位が前記工事中の道路の上面と面接触している請求項1または請求項2に記載の寸法測定方法。
【請求項4】
前記ターゲット設置段階の被測定箇所の位置情報を取得する位置情報取得段階を有し、
前記寸法算出段階で算出された寸法と、前記位置情報取得段階で取得した位置情報とを関連付けて記憶部に記憶する記憶段階と、
を有する請求項1または請求項2に記載の寸法測定方法。
【請求項5】
前記ターゲット設置段階の被測定箇所が複数存在し、前記ターゲット設置段階は複数の前記ターゲットを複数の被測定箇所のそれぞれに設置する段階であり、
前記撮影段階は、前記ターゲット設置段階で複数の被測定箇所のそれぞれに設置された複数の前記ターゲットのマーカーを前記撮影装置で撮影する段階であり、
前記画像補正・変換段階は、前記ターゲット撮影段階で得られた複数の画像のそれぞれについて、歪みをとるための補正をし、また、前記ターゲット撮影段階で得られた複数の画像のそれぞれを、正面から撮影した画像に変換する段階であり、
前記寸法算出段階は、前記画像補正・変換段階で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、寸法を算出する段階であり、
前記記憶段階は、前記画像補正・変換段階で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて前記寸法算出段階で算出された複数群の寸法のそれぞれと、前記位置情報取得段階で取得した位置情報のそれぞれとを関連付けて前記記憶部に帳票形式で記憶する段階である請求項4に記載の寸法測定方法。
【請求項6】
平面で形成され基準点を示すマーカーが記されているマーカー記録面を備えており、前記基準点のそれぞれが所定の基準平面内に位置し、前記マーカー記録面が一方の側に面するようにして、被測定箇所に設置される複数のターゲットと、
前記被測定箇所に設置された複数の前記ターゲットのマーカーを撮影する撮影装置と、
前記撮影装置での撮影で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記撮影装置での撮影で得られた前記1枚の画像を、前記被測定箇所に設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する画像補正・変換部と、
前記画像補正・変換部で補正し変換された画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記被測定箇所に設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出部と、
を有し、
前記被測定箇所は、幅方向の両端部を除く中央部が凹んでいる工事中の道路であり、
前記基準平面は、前記工事中の道路の
延伸方向に対して直交する平面であり、
前記複数のターゲットは、前記複数のターゲットのうちの1つのターゲットが前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置され、前記複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットが前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置され、前記複数のターゲットのうちの残りのターゲットが前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置されるものであり、
前記寸法算出部は、前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線を基準線とし、この基準線と、前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、前記工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめるように構成されており、
前記工事中の道路の幅方向と延伸方向とに対して直交する方向をZ方向とすると、前記寸法算出段部は、前記ターゲットのマーカーのZ方向の寸法の値を用いて、前記位置関係の寸法を算出するように構成されている寸法測定システム。
【請求項7】
前記ターゲットが設置される被測定箇所の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記寸法算出部で算出された寸法と、前記位置情報取得部で取得した位置情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
を有する請求項6に記載の寸法測定システム。
【請求項8】
前記被測定箇所が複数存在し、複数の前記ターゲットは、複数の被測定箇所のそれぞれに設置されるものであり、
前記撮影装置は、複数の被測定箇所のそれぞれに設置された複数のターゲットのマーカーを撮影するものであり、
前記画像補正・変換部は、前記撮影装置の撮影で得られた複数の画像のそれぞれについて、歪みをとるための補正をし、また、前記撮影装置の撮影で得られた複数の画像のそれぞれを、正面から撮影した画像に変換するものであり、
前記寸法算出部は、前記画像補正・変換部で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、寸法を算出するものであり、
前記記憶部は、前記画像補正・変換部で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて前記寸法算出部で算出された複数群の寸法のそれぞれと、前記位置情報取得部で取得した位置情報のそれぞれとを関連付けて記憶部に帳票形式で記憶するものである請求項7に記載の寸法測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法測定システムおよび寸法測定方法に係り、特に、撮影装置を用いて寸法を測定するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、
図19で示すようにして、道路(工事中の道路)301の出来高管理をしている。
図19で示す工事中の道路301は、舗装道路の修繕においてアスファルト舗装の表層がはがされた状態のものである。また、
図19では、工事中の道路301の長手方向(Y方向)に対して直交する平面による工事中の道路301の断面を示している。
図19で示す工事中の道路301では、幅方向の両端部303、305を除く中央部307が矩形状になって下側に凹んでいる。
【0003】
また、工事中の道路301の出来高管理では、Z方向における寸法L10が一定値になるようにして、水糸309をX方向に延伸させて設置している。そして、複数のスケール311を用いることにより、中央部307の上面313と水糸309との間の寸法を測定している。これにより、両端部303、305の上面317からの、中央部307の深さを複数箇所で測定することができるようになっている。なお、
図19に参照符号315で示すものは、工事中の道路301等に関する情報が記載されているボードである。そして、
図19で示すものを写真撮影し記録に残している。
【0004】
ところで、近年、コンピュータや通信技術などの情報化分野で急速な技術革新を背景に、建設産業でもこれらの情報通信技術を活用する動きがある。そして、合理的な建設生産システムの導入・普及の促進により、労働集約型産業から知識・技術集約的産業へ、そしてより魅力的な産業へと変革していくことが期待されている。
【0005】
そして、特許文献1で示す比高算出装置が知られている。特許文献1で示す比高算出装置は、第1基準ターゲットの画像と第2基準ターゲットの画像、計測ターゲットの画像、寸法が既知であるスケールターゲットの画像を用いて、計測点と基準面との比高を算出する装置である。
【0006】
比高を算出するにあたって、基準面に設置された第1基準ターゲットを撮影した2以上の画像から第1基準ターゲットの代表点の座標を算出し、基準面に設置された第2基準ターゲットを撮影した2以上の画像から第2基準ターゲットの代表点の座標を算出している。
【0007】
また、計測点に設置された計測ターゲットを撮影した2以上の画像から計測ターゲットの代表点の座標を算出し、第1基準ターゲットの代表点と第2基準ターゲットの代表点を通る基準線を求めている。さらに、基準線を含む面を、基準面として設定し、スケールターゲットを撮影した画像と、計測ターゲットの代表点の座標と、基準面とに基づいて計測点と基準面との比高を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1で示す従来の比高算出装置では、2以上の画像を用いて比高を算出しているので、異なる方向からターゲット等を、撮影場所を移動しまた撮影角度を変えて複数回撮影する必要があり、撮影に多くの手間がかかってしまうという問題がある。
【0010】
この問題は、道路における出来高管理だけでなく、他ものの寸法を、撮影装置を用いて撮影することで寸法測定する場合にも発生する問題である。
【0011】
本発明は、撮影装置を用いて寸法を測定する寸法測定方法および寸法測定装置であって、撮影にかける手間を極力少なくすることができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の態様に係る寸法測定方法は、平面で形成され基準点示すマーカーが記されているマーカー記録面を備えている複数のターゲットの前記基準点のそれぞれが所定の基準平面内に位置し、複数の前記ターゲットのマーカー記録面が一方の側に面するようにして、複数の前記ターゲットを被測定箇所に設置するターゲット設置段階と、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカーを撮影装置で撮影するターゲット撮影段階と、前記ターゲット撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記ターゲット撮影段階で得られた前記1枚の画像を、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する画像補正・変換段階と、前記画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出段階とを有する寸法測定方法である。
【0013】
また、本発明の態様に係る寸法測定方法は、前記ターゲット設置段階が、複数の前記ターゲットのマーカー記録面が、前記基準平面内に位置するようにして、複数の前記ターゲットのそれぞれを設置する段階である寸法測定方法である。
【0014】
また、本発明の態様に係る法測定方法は、前記ターゲット設置段階の被測定箇所が、幅方向の両端部を除く中央部が凹んでいる工事中の道路であり、前記ターゲット設置段階での基準平面が、前記工事中の道路の長手方向に対して直交する平面であり、前記ターゲット設置段階が、前記複数のターゲットのうちの1つのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの残りのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置する段階であり、前記寸法算出段階が、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線を基準線とし、この基準線と、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、前記工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめる段階である寸法測定方法である。
【0015】
また、本発明の態様に係る法測定方法は、平面で形成され基準点を示すマーカーが記されているマーカー記録面備えている複数のターゲットの前記基準点のそれぞれが所定の基準平面内に位置し、複数の前記ターゲットのマーカー記録面が一方の側に面するようにして、複数の前記ターゲットを被測定箇所に設置するターゲット設置段階と、前記ターゲット設置段階で設置された複数の総てのターゲットのマーカーを撮影装置で撮影する撮影する全体撮影段階と、前記ターゲット設置段階で設置された複数の総てのターゲットのマーカーのうちの一部の複数のターゲットのマーカーを、前記全体撮影段階で得られる画像の一部を拡大した態様で、撮影装置で撮影する撮影する一部撮影段階と、前記全体撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記全体撮影段階で得られた前記1枚の画像を、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する全体画像補正・変換段階と、前記一部撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記一部撮影段階で得られた前記1枚の画像を、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する一部画像補正・変換段階と、前記全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、前記一部画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出段階とを有する寸法測定方法である。
【0016】
また、本発明の態様に係る法測定方法では、前記ターゲット設置段階の被測定箇所が、幅方向の両端部を除く中央部が凹んでいる工事中の道路であり、前記ターゲット設置段階での基準平面は、前記工事中の道路の長手方向に対して直交する平面であり、前記ターゲット設置段階が、前記複数のターゲットのうちの1つのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置し、前記複数のターゲットのうちの残りのターゲットを前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置する段階であり、前記寸法算出段階が、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線である基準線を前記全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像を用いてもとめ、前記基準線と前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を、前記全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像と前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて算出し、この算出された寸法を用いて前記工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめ、前記ターゲット設置段階で前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点の間の寸法を、前記一部画像補正・変換段階で補正し変換された画像と前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて算出する段階である。
【0017】
また、本発明の態様に係る法測定方法は、平面で形成され基準点を示すマーカーが記されているマーカー記録面を備えている複数のターゲットの前記基準点のそれぞれが所定の基準平面内に位置し、複数の前記ターゲットのマーカー記録面が一方の側に面するようにして、複数の前記ターゲットを被測定箇所設置するターゲット設置段階と、前記ターゲット設置段階で設置された複数の総てのターゲットのマーカーを、これらの総てのマーカーのうちの一部の複数のマーカーが写るようにして、撮影装置を用い複数回に分けて撮影することで、前記総てのマーカーを撮影する撮影段階と、前記撮影段階で得られた総ての画像のそれぞれに、歪みをとるための補正をし、また、前記撮影段階で得られた総ての画像のそれぞれに、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する画像補正・変換段階と、画像補正・変換段階で得られた複数の画像を合成して、前記総てのマーカーが写っている画像を得る画像合成段階と、前記画像合成段階で得られた画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記ターゲット設置段階で設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出段階とを有する寸法測定方法である。
【0018】
また、本発明の態様に係る寸法測定方法は、前記ターゲット設置段階の被測定箇所の位置情報を取得する位置情報取得段階を有し、前記寸法算出段階で算出された寸法と、前記位置情報取得段階で取得した位置情報とを関連付けて記憶部に記憶する記憶段階とを有する寸法測定方法である。
【0019】
また、本発明の態様に係る寸法測定方法は、前記ターゲット設置段階の被測定箇所が複数存在し、前記ターゲット設置段階が複数の前記ターゲットを複数の被測定箇所のそれぞれに設置する段階であり、前記撮影段階が、前記ターゲット設置段階で複数の被測定箇所のそれぞれに設置された複数の前記ターゲットのマーカーを前記撮影装置で撮影する段階であり、前記画像補正・変換段階が、前記ターゲット撮影段階で得られた複数の画像のそれぞれについて、歪みをとるための補正をし、また、前記ターゲット撮影段階で得られた複数の画像のそれぞれを、正面から撮影した画像に変換する段階であり、前記寸法算出段階が、前記画像補正・変換段階で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、寸法を算出する段階であり、前記記憶段階が、前記画像補正・変換段階で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて前記寸法算出段階で算出された複数群の寸法のそれぞれと、前記位置情報取得段階で取得した位置情報のそれぞれとを関連付けて前記記憶部に帳票形式で記憶する段階である寸法測定方法である。
【0020】
本発明の態様に係る寸法測定システムは、平面で形成され基準点を示すマーカーが記されているマーカー記録面を備えており、前記基準点のそれぞれが所定の基準平面内に位置し、前記マーカー記録面が一方の側に面するようにして、被測定箇所に設置される複数のターゲットと、前記被測定箇所に設置された複数の前記ターゲットのマーカーを撮影する撮影装置と、前記撮影装置での撮影で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、前記撮影装置での撮影で得られた前記1枚の画像を、前記被測定箇所に設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する画像補正・変換部と、前記画像補正・変換部で補正し変換された画像と、前記ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、前記被測定箇所に設置された複数のターゲットの基準点それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出部とを有する寸法測定システムである。
【0021】
また、本発明の態様に係る寸法測定システムは、前記被測定箇所が、幅方向の両端部を除く中央部が凹んでいる工事中の道路であり、前記基準平面が、前記工事中の道路の長手方向に対して直交する平面であり、前記複数のターゲットが、前記複数のターゲットのうちの1つのターゲットが前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置され、前記複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットが前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置され、前記複数のターゲットのうちの残りのターゲットが前記工事中の道路の幅方向の中央部に設置されるものであり、前記寸法算出部が、前記工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と前記工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線を基準線とし、この基準線と、前記工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、前記工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめるように構成されている寸法測定システムである。
【0022】
また、本発明の態様に係る寸法測定システムは、前記ターゲットが設置される被測定箇所の位置情報を取得する位置情報取得部を有し、前記寸法算出部で算出された寸法と、前記位置情報取得部で取得した位置情報とを関連付けて記憶する記憶部を有する寸法測定システムである。
【0023】
また、本発明の態様に係る寸法測定システムは、前記被測定箇所が複数存在し、複数の前記ターゲットが、複数の被測定箇所のそれぞれに設置されるものであり、前記撮影装置が、複数の被測定箇所のそれぞれに設置された複数のターゲットのマーカーを撮影するものであり、前記画像補正・変換部が、前記撮影装置の撮影で得られた複数の画像のそれぞれについて、歪みをとるための補正をし、また、前記撮影装置の撮影で得られた複数の画像のそれぞれを、正面から撮影した画像に変換するものであり、前記寸法算出部が、前記画像補正・変換部で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、寸法を算出するものであり、前記記憶部が、前記画像補正・変換部で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて前記寸法算出部で算出された複数群の寸法のそれぞれと、前記位置情報取得部で取得した位置情報のそれぞれとを関連付けて記憶部に帳票形式で記憶するものである寸法測定システムである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、撮影装置を用いて寸法を測定する寸法測定方法および寸法測定装置であって、撮影にかける手間を極力少なくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る寸法測定方法における工事中の道路、ターゲットの設置状態等を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る寸法測定方法(寸法測定システム)のターゲットを示す図であり、(a)の左側の図は1つ目のターゲットの正面図であり、(a)の中央の図は1つ目のターゲットの側面図であり、(a)の右側の図は1つ目のターゲットの背面図であり、(b)は(a)と同様にして2つ目のターゲットを示す図であり、・・・(e)は(a)と同様にして5つ目のターゲットを示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る寸法測定方法でのターゲット設置段階を終えた状態を示す正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る寸法測定方法において、(a)はターゲット撮影段階で得られた画像を示す図であり、(b)は画像補正・変換段階で補正された画像を示す図であり、(c)は画像補正・変換段階で補正され変換された画像を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る寸法測定方法において、(a)はターゲット設置段階で設置されたターゲットの平面図であり、(b)はターゲット設置段階で設置されたターゲットの正面図であり、(c)はターゲット設置段階で設置されたターゲットの側面図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る寸法測定システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る寸法測定方法の概要を示すフローチャートである。
【
図10】
図3に相当する図であって、変形例に係るターゲット撮影段階を示す図である。
【
図11】
図3に相当する図であって、変形例に係るターゲット撮影段階を示す図である。
【
図12】
図3に相当する図であって、変形例に係るターゲット撮影段階を示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る寸法測定方法でのターゲット設置段階を終えた状態(
図3とは異なる状態)を示す正面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る寸法測定方法でのターゲット設置段階を終えた状態(
図3とは異なる状態)を示す正面図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る寸法測定方法でのターゲット設置段階を終えた状態(
図3とは異なる状態)を示す正面図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る寸法測定方法でのターゲット設置段階を終えた状態(
図3とは異なる状態)を示す正面図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る寸法測定方法で得られる帳票を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態に係る寸法測定方法で得られる帳票(
図17で示す帳票とは異なる態様の帳票)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る寸法測定システム1は、たとえば道路の出来形管理システムとして使用されるものである。寸法測定システム1は、
図1~
図3および
図8等で示すように、複数のターゲット3(3A、3B、3C、3D、3E)と、撮影装置5と、画像補正部7および画像変換部9(画像補正・変換部11)と寸法算出部13とを備えて構成されている。
【0027】
ここで、説明の便宜のために、道路の幅方向をX方向とし、道路の延伸方向をY方向とし、道路表面に対して直交する方向をZ方向とする。道路が水平に延びている態様(平坦な道路)では、X方向とY方向とが水平方向になっており、Z方向が鉛直方向になっている。
【0028】
ターゲット3は、平面で形成されたマーカー記録面15を備えて構成されている。マーカー記録面15には、基準点17を示すマーカー19が二次元的態様で記されている。たとえば、1つのターゲット3には、1つのマーカー記録面15が設けられおり、1つのマーカー記録面15には、1つのマーカー19が記されている。1つのマーカー19には、1つの基準点17が設けられている。
【0029】
さらに説明すると、
図2で示すように、ターゲット3は、基材39を備えて構成されている。基材39は、長方形状の素材をこの長手方向の中央に位置している折り曲げ線のところで直角に折り曲げたことにより、側面視で「L」字状になっている。「L」字状になっていることで、基材39は、矩形な平板状の底部位41と、矩形な平板状の起立部位43とを備えて構成されている。
【0030】
図3~
図5で示すように、ターゲット3が被測定箇所23に設置されたときに、底部位41はこの厚さ方向がZ方向になり、被測定箇所23の上面に面接触するようになっている。ターゲット3が被測定箇所23に設置されたときに、起立部位43が、この厚さ方向がY方向になるようにして、被測定箇所23の上面から起立するようになっている。
【0031】
図2で示すように、起立部位43の厚さ方向の一方の面(底部位41とは反対側の面)は、マーカー記録面15になっている。マーカー記録面15には、マーカー19が記されており、マーカー19によって、基準点17が示されている。起立部位43の厚さ方向の他方の面(底部位41側の面)には、ターゲット3の番号を示す数字、ターゲット3の中央を示す記号(たとえば、黒塗の三角形)が記されている。
【0032】
ターゲット3における基準点17の位置は、各ターゲット3のそれぞれにおいて互いが一致している。たとえば、ターゲット3Aの基材39と他のターゲット3B等の基材39の形状は互いが一致している。また、ターゲット3Aの基材39におけるターゲット3Aの基準点17の位置は、ターゲット3B等の基材39における基準点17の位置と一致している。なお、
図2等で示す態様では、マーカー19の左上端に基準点17が位置しているが、基準点17がマーカー19の他の箇所(たとえば中心)に位置していてもよい。
【0033】
複数のターゲット3(3A~3E)は、これらの基準点17のそれぞれが所定の1つの基準平面21内に位置するようにして(基準平面21内に存在する1つの点として位置するようにして)、被測定箇所23に設置されるようになっている。また、複数のターゲット3(3A~3E)は、マーカー記録面15が一方の側に面するようにして、互いが所定の間隔をあけて離れるようにして、被測定箇所23に設置されるようになっている。基準平面21は、Y方向(たとえば道路の延伸方向)に対して直交している所定の1つの平面である。
【0034】
撮影装置5として、たとえば、携帯端末(スマフォ等の機能携帯電話)等の通信機能を備えたものが採用される。撮影装置5は、被測定箇所23に設置された複数のターゲット3(3A~3E)のマーカー19を撮影するものである。
【0035】
画像補正・変換部11のうちの画像補正部7は、撮影装置5での撮影で得られた1枚の画像の歪み(撮影装置5のレンズ等によって発生する歪曲収差等のザイデル収差)をとるための補正をするようになっている。画像補正・変換部11のうちの画像変換部9は、撮影装置5での撮影で得られた1枚の画像を、被測定箇所23に設置された複数のターゲット3(3A~3E)のマーカー記録面15を正面から撮影した画像に変換(たとえば射影変換)するようになっている。なお、撮影装置5での撮影で得られた画像は、5G等の移動通信システムによって、画像補正・変換部11に送られるようになっている。また、画像補正・変換部11、寸法算出部13等での処理は、たとえば、クラウドコンピューティングによってなされるようになっている。
【0036】
画像補正・変換部11で補正し変換された画像を補正・変換後画像とする。寸法算出部13は、設置された複数のターゲット3(3A~3E)の基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出する。この寸法の算出は、補正・変換後画像と、ターゲット3のマーカー19の実際の寸法の値とを用いてなされるようになっている。
【0037】
被測定箇所23は、幅方向の両端部25、27を除く中央部29が凹んでいる工事中の道路(完成前の道路)31である。工事中の道路31として、アスファルト舗装の表層が設けられていない舗装前の新設の道路、もしくは、舗装道路の修繕においてアスファルト舗装の表層がはがされた状態の道路等を掲げることができる。工事中の道路31では、アスファルト舗装の表層等が非存在であることで、幅方向の両端部25、27を除く中央部29が凹んでいる。
図3では、中央部29が矩形状になっている。
【0038】
ターゲット3が設置される基準平面21は、工事中の道路31の長手方向(延伸方向;Y方向)に対して直交する平面である。
【0039】
図3で示すように、複数のターゲット3(3A~3E)のうちの1つのターゲット3Aは工事中の道路31の幅方向の一方の端部25に設置されるようになっている。複数のターゲット3(3A~3E)のうちの他の1つのターゲット3Bが工事中の道路31の幅方向の他方の端部27に設置されるようになっている。複数のターゲット3(3A~3E)のうちの残りのターゲット3C、3D、3Eが工事中の道路31の幅方向の中央部29に設置されるようになっている。なお、いずれのターゲット3も、工事中の道路31の上面(表面)に接して、工事中の道路31の上面の上に設置されるようになっている。
【0040】
工事中の道路31の幅方向の一方の端部25に設置されたターゲット3Aの基準点17と工事中の道路31の幅方向の他方の端部27に設置されたターゲット3Bの基準点17とを互いに結ぶ直線を基準線33とする。寸法算出部13は、基準線33と、工事中の道路31の中央部29に設置されたターゲット3C、3D、3Eの基準点17との間の寸法L1、L2、L3を算出するようになっている。そして、算出された寸法を用いて、工事中の道路31の中央部29の深さ寸法(Z方向の寸法)をもとめるように構成されている。
【0041】
このもとめられた工事中の道路31の中央部29の深さ寸法の値は、たとえば、帳票形式(
図17、
図18参照)になって記憶部37に記憶されるようになっている。
図17、18で示す帳票形式の内容は、たとえば、LCD等の出力部で出力されるようになっている。
【0042】
また、
図8で示すように、寸法測定システム1は、ターゲット3が設置される被測定箇所23の位置情報を取得する位置情報取得部(たとえばGPSを用いた位置情報取得部)35を備えて構成されている。そして、寸法算出部13で算出された寸法と、位置情報取得部35で取得した位置情報とを互いに関連付けて記憶部37に記憶するようになっている。
【0043】
図1で示すように、被測定箇所23(23A、23B、23C、23D)は複数存在している。寸法測定システム1に使用に際しては、複数のターゲット3(3A~3E)が、複数の被測定箇所23(23A~23D)のそれぞれに設置されるようになっている。撮影装置5は、複数の被測定箇所23(23A~23D)のそれぞれに設置された複数のターゲット3(3A~3E)の総てのマーカー19を1か所の被測定箇所23ごとに撮影するようになっている。
【0044】
画像補正部7は、撮影装置5の撮影で得られた複数の画像(たとえば、複数の被測定箇所23A~23Dの4枚の画像)のそれぞれについて、歪みをとるための補正をするようになっている。また、画像変換部9は、画像補正部7で補正された複数の画像のそれぞれを、正面から撮影した画像に変換するようになっている。寸法算出部13は、画像補正・変換部11で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、寸法を算出するようになっている。
【0045】
この場合、記憶部37は、画像補正・変換部11で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、寸法算出部13で算出された複数群の寸法のそれぞれと、位置情報取得部35で取得した位置情報とを関連付けて帳票形式で記憶するようになっている。すなわち、記憶部37は、被測定箇所23のそれぞれについて、複数群の寸法のそれぞれと、位置情報とを関連付けて帳票形式で記憶するようになっている。
【0046】
なお、位置情報取得部35は、たとえば、撮影装置5に設けられており、位置情報取得部35が取得した位置情報は、撮影装置5の撮影で得られた画像のExif情報に組み込まれて、画像補正・変換部11や記憶部37に送られるようになっている。
【0047】
次に、本発明の実施形態に係る寸法測定方法について説明する。本発明の実施形態に係る寸法測定方法は、たとえば、上述した本発明の実施形態に係る寸法測定システム1を用いてなされる。
【0048】
本発明の実施形態に係る寸法測定方法は、
図9で示すように、ターゲット設置段階S1とターゲット撮影段階S3と画像補正・変換段階S5、S7と寸法算出段階S9とを備えて構成されている。
【0049】
ターゲット設置段階S1は、複数のターゲット3の基準点17のそれぞれが所定の1つの基準平面21内に位置(基準平面21内に存在する1つの点として位置)するようにして、複数のターゲット3を設置する段階である。ターゲット設置段階S1は、複数のターゲット3のマーカー記録面15が一方の側(Y方向の一方の側)に面するようにして、複数のターゲット3を被測定箇所23に設置する段階である。
【0050】
また、ターゲット設置段階S1は、複数のターゲット3が互いにX方向で所定の間隔をあけて離れるようにして、複数のターゲット3を被測定箇所23に設置する段階である。さらに、ターゲット設置段階S1では、複数のターゲット3のマーカー記録面15が、基準平面21に対して所定の姿勢になり、また、1つの方向(Y方向の手前側)を向くようにして、複数のターゲット3のそれぞれが設置されるようになっている。
【0051】
ターゲット撮影段階S3は、ターゲット設置段階S1で設置された複数の総てのターゲット3のマーカー19を撮影装置5で撮影する段階である。たとえば、ターゲット撮影段階S3での撮影は1回だけされる。また、ターゲット撮影段階S3では、
図3で示すように、総てのターゲット3のマーカー19が1枚の画像に収まるようにして撮影がされる。
【0052】
さらに、ターゲット撮影段階S3では、
図4、
図5等で示すように、ターゲット設置段階S1で設置されたターゲット3から撮影装置5をY方向で離して、撮影装置5でターゲット3を撮影するようになっている。
【0053】
画像補正・変換段階のうちの画像補正段階S5は、ターゲット撮影段階S3で得られた1枚の画像(1枚の画像のみ)の歪みをとるための補正をする段階である。上記歪みとして、撮影装置5のレンズ等によって発生する歪曲収差等のザイデル収差が掲げられる。
【0054】
さらに説明すると、
図4、
図5で示すようなP1の位置、姿勢になっている撮影装置5で撮影をする。P1の位置、姿勢になっていることで、撮影装置5の平面状の撮像素子(たとえばCMOSセンサー)47と基準平面21とは互いに平行になっている。すなわち、撮影装置5のレンズの光軸49が基準平面21に対して直交している。
【0055】
P1の位置、姿勢になっている撮影装置5での撮影で得られた画像は、
図6(a)で示すように歪んでいる。なお、
図6(a)に参照符号45で示すものは、正方形状に形成されている被写体(マーカー19に相当する被写体)である。画像補正段階S5での補正がされることで、
図6(a)で示す画像は、
図6(c)で示すような画像になる。
【0056】
また、
図4、
図5で示すようなP2の位置、姿勢になっている撮影装置5で撮影をする。P2の位置、姿勢になっていることで、撮影装置5の平面状の撮像素子47と基準平面21とは互いに非平行になっている。すなわち、撮影装置5のレンズの光軸49が基準平面21に対して傾いている。
【0057】
画像補正・変換段階のうちの画像変換段階S7は、ターゲット撮影段階S3で得られた1枚の画像(画像補正段階S5で補正された画像)を、変換(たとえば射影変換)する段階である。すなわち、画像変換段階S7は、ターゲット撮影段階S3で得られた1枚の画像を、複数のターゲット3のマーカー記録面15を正面から撮影した画像に変換する段階である。
【0058】
さらに説明すると、
図4、
図5で示すようなP2の位置、姿勢になっている撮影装置5での撮影で得られた画像は、上記歪みが無いとすれば、
図6(b)で示すように、被写体45が台形状等の正方形ではない形状になっている。画像変換段階S7での変換がされることで、
図6(b)で示す画像は、
図6(c)で示すような画像になる。
【0059】
画像補正・変換段階S5、S7を経ることで、ターゲット撮影段階S3で得られた画像を補正・変換後画像とする。補正・変換後画像は、上述したように、撮影装置5のレンズの光軸49が基準平面21に対して直交している状態で撮影された画像になっている。また、補正・変換後画像は、ターゲット3のマーカー記録面15を、超望遠レンズを用いて無限遠から撮影したときに得られる画像になっている。
【0060】
ところで、上記説明では、画像補正段階S5での補正後に画像変換段階S7での変換をしているが、画像変換段階S7での変換後に画像補正段階S5での補正をしてもよい。また、画像補正段階S5の補正が、撮影装置5の内部でされている場合もある。
【0061】
寸法算出段階S9は、ターゲット設置段階S1で設置された複数のターゲット3の基準点17それぞれ相対的な位置関係の寸法を算出する段階である。この寸法の算出は、画像補正・変換段階S5、S7で補正し変換された1枚の画像である補正・変換後画像と、既知であるターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いてされる。
【0062】
なお、マーカー19の寸法の値とは、補正・変換後画像にうつっているマーカー19そのものの寸法の値ではなく、実物のマーカー19の寸法の値である。また、マーカー19の寸法の値を用いる変わりに、ターゲット3の他の部位の寸法の値を用いてもよい。また、ターゲット3以外のスケール(撮影装置5でターゲット3といっしょに移されて)補正・変換後画像にうつっている一定の寸法を表すスケール)の寸法の値を用いてもよい。
【0063】
ここで、ターゲット設置段階S1におけるターゲット3の設置等についてさらに詳しく説明する。
【0064】
当然のことではあるが、ターゲット3(マーカー記録面15)は、3次元空間で3つの自由度で平行移動することができまた3つの自由度を持って回動することができる。すなわち、3次元空間におけるターゲット3は、姿勢を変えることなくX方向、Y方向、Z方向で移動(平行移動)することができ、X方向に延びたA軸まわり、Y方向に延びたB軸まわり、Z方向に延びたC軸まわりで、回動する(姿勢を変える)ことができる。
【0065】
ターゲット設置段階S1で、基準点17が基準平面21内に位置するように設置されたターゲット3のマーカー記録面15は、基準平面21に対して所定の姿勢になっている。
【0066】
基準平面21に対して所定の姿勢になっているマーカー記録面15は、1つ目の態様では、基準平面21内に位置している。すなわち、上記1つ目の態様では、マーカー記録面15が、基準平面21の一部になっている。基準平面21に対して所定の姿勢になっているマーカー記録面15は、2つ目の態様では、C軸まわりで回動して基準平面21に対して傾いている。
【0067】
上記1つ目の態様では、ターゲット3が、
図7(a)で示すP3の姿勢になって設置されている。一方、上記2つ目の態様では、ターゲット3が、
図7(a)で示すP4の姿勢(P3の姿勢からC軸まわりで若干回動した姿勢)になって設置されている。
【0068】
ところで、ターゲット3が、
図7(b)にP5で示すような姿勢(P3の姿勢からB軸まわりで回動した姿勢)になって設置されることはないと考えられる。P5で示すような姿勢になるには、ターゲット3が、工事中の道路31にめり込む等する必要があるからであり、通常、このようなことは考えられないからである。ターゲット3が、
図7(c)にP6で示すような姿勢(P3の姿勢からA軸まわりで回動した姿勢)になって設置されることも、同様の理由で無いと考えられる。
【0069】
なお、ターゲット設置段階S1では、たとえば、上記1つ目の態様で、ターゲット3が設置されるようになっている。すなわち、ターゲット設置段階S1では、複数のターゲット3のマーカー記録面15が、基準平面21内に位置するようにして、複数のターゲット3のそれぞれを設置されるようになっている。
【0070】
マーカー記録面15が基準平面21内に位置する上記1つ目の態様では、基準平面21の法線ベクトル方向とマーカー記録面15の法線ベクトルの方向が互いに一致している。また、マーカー記録面15が基準平面21内に位置する態様では、上記法線ベクトルの方向では、マーカー記録面15の位置と基準平面21の位置とが互いに一致している。
【0071】
図3等を参照しつつ、マーカー記録面15(マーカー19)が上記1つ目の態様で設置された場合についてさらに詳しく説明する。
【0072】
ターゲット設置段階S1で5つのターゲット3(第1のターゲット3A、第2のターゲット3B、第3のターゲット3C、第4のターゲット3D、第5のターゲット3E)を設置してある場合を例に掲げて説明する。第1のターゲット3A、第2のターゲット3Bを基準ターゲットとし、第3のターゲット3C、第4のターゲット3D、第5のターゲット3Eを非基準ターゲットとする。
【0073】
ターゲット設置段階S1では、第1のターゲット3A~第5のターゲット3Eが、これらのマーカー記録面15のそれぞれが、上述したように、基準平面21内に位置するようにして設置されている。
【0074】
補正・変換後画像を用いる寸法算出段階S9では、第1のターゲット3Aのマーカー19の基準点17を原点53とする。第1のターゲット3Aのマーカー19の基準点17と第2のターゲット3Bのマーカー19の基準点17とを通る直線を上記1つ目の基準線33とする。この上記1つ目の基準線33に対して直交し第1のターゲット3のマーカー19の基準点17を通る直線を2つ目の基準線51にする。
【0075】
補正・変換後画像を用いる寸法算出段階S9では、第1のターゲット3Aのマーカー19の実際の寸法L5(L5A、L5B)をスケールの基準とする。そして、原点53と上記1つ目の基準線33と2つ目の基準線51とに基づいて、第2のターゲット3Bのマーカー19の基準点17の座標を算出するようになっている。また、第3のターゲット3Cのマーカー19の基準点17の座標、第4のターゲット3Dのマーカー19の基準点17の座標、第5のターゲット3Eのマーカー19の基準点17の座標を算出するようになっている。
【0076】
すなわち、補正・変換後画像を用いる寸法算出段階S9では、第2から第5のターゲット3のマーカー19の基準点17それぞれの、上記1つ目の基準線33の延伸方向(X方向)での原点53からの距離を算出するようになっている。また、第2から第5のターゲット3のマーカー19の基準点17それぞれの、2つ目の基準線51の延伸方向(Z方向)での原点53からの距離を算出するようになっている。
【0077】
例を掲げてさらに説明する。補正・変換後画像では、第1のターゲット3Aのマーカー19の外形形状が正方形になっているものとする。また、第1のターゲット3Aのマーカーの正方形の1辺の長さL5(L5A、L5B)の値(寸法の値)が、実物では150mmになっているものとする。
【0078】
補正・変換後画像においては、第1のターゲット3Aのマーカー19の正方形の1辺の長さの値が10(無次元数)になっているものとする。第3のターゲット3Cのマーカー19の基準点17のX方向での原点53からの距離の値が120(無次元数)になっているものとする。この場合における第3のターゲット3Cのマーカー19の基準点17のX方向での原点53からの距離L6の値は、1800mm(=150mm×120÷10)になる。
【0079】
また、第3のターゲット3Cのマーカー19の基準点17のZ方向での原点53からの距離の値が35(無次元数)になっているものとする。この場合における第3のターゲット3Cのマーカー19の基準点17のZ方向での原点53からの距離L1の値は、525mm(=150mm×35÷10)になる。
【0080】
次に、マーカー記録面15(ターゲット3)が上記2つ目の態様で設置された場合についてさらに詳しく説明する。
【0081】
上記2つ目の態様では、ターゲット設置段階S1で、第1のターゲット3Aから第5のターゲット3Eのそれぞれが、基準平面21に対してC軸まわりで回動し傾いて設置されている。この場合であっても、第1から第5のターゲット3のマーカー19の基準点17のそれぞれは、基準平面21内に位置している。
【0082】
すなわち、第1から第5のターゲット3のマーカー19のマーカー記録面15のそれぞれは、基準平面21に対しC軸まわりで個別の角度で回動し傾いている(
図7(a)のターゲット3(P4)参照)。平面状の底部位41が被測定箇所23の平面状の上面に面接触しているので、ターゲット設置段階S1でターゲット3がC軸まわりで回動し傾いて設置されてしまうという事態が発生することがある。
【0083】
上記2つ目の態様での、補正・変換後画像を用いる寸法算出段階S9では、マーカー記録面15が上記1つ目の態様で設置された場合と同様にして、各ターゲット3のマーカー19の基準点17それぞれの座標を算出するようになっている。ただし、マーカー記録面15が上記2つ目の態様で設置された場合では、補正・変換後画像を用いる寸法算出段階S9で、第1のマーカーのZ方向での寸法L5Bをスケールの基準とする。ターゲット3AがC軸まわりで回動していることで、寸法L5Aの値が、寸法L5Bの値よりも小さく写されているからである。
【0084】
ところで、上記説明では、ターゲット設置段階S1で、総てのターゲット3の基準点17を基準平面21内に位置させている。ここで、基準ターゲット3A、3Bの基準点17を基準平面21内に位置させ、非基準ターゲット3C、3D、3Eの基準点17を基準平面21に対してY方向で基準平面21からずらしてもよい。この場合、補正・変換後画像において、非基準ターゲット3C、3D、3Eの大きさが基準ターゲット3A、3Bの大きさと異なってしまう。しかし、この大きさの違いをも用いて、寸法算出段階S9で寸法の算出をすればよい。
【0085】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法(舗装修繕工事等における道路の出来形管理方法)では、ターゲット設置段階S1での被測定箇所23が、工事中の道路31の所定の箇所になっている。工事中の道路31では、幅方向の両端部25、27を除く中央部29が凹んでいる。Y方向で見て、中央部29は、X方向に長い矩形状になっている。また、ターゲット設置段階S1での基準平面21が、工事中の道路31の長手方向(延伸方向)に対して直交する平面になっている。
【0086】
ターゲット設置段階S1では、複数のターゲット3のうちの1つのターゲット3Aを工事中の道路31の幅方向の一方の端部25に設置し、複数のターゲット3のうちの他の1つのターゲット3Bを工事中の道路31の幅方向の他方の端部27に設置する。また、ターゲット設置段階S1では、複数のターゲット3のうちの残りの(1つもしくは複数の)ターゲット3(3C、3D、3E)を工事中の道路31の幅方向の中央部29に設置する。
【0087】
工事中の道路31の幅方向の中央部29に設置するターゲット3が複数ある場合、これらの複数のターゲット3(3C、3D、3E)は、
図3等で示すように、工事中の道路31の幅方向(X方向)で所定の間隔をあけて設置される。
【0088】
工事中の道路31の幅方向の一方の端部に設置されたターゲット3Aの基準点17と工事中の道路31の幅方向の他方の端部27に設置されたターゲット3Bの基準点17とを互いに結ぶ直線を上記1つ目の基準線33とする。ターゲット3A、3Bは、ターゲット設置段階S1で設置されたものである。上記1つ目の基準線33は工事中の道路31の幅方向(X方向)に延びている。
【0089】
寸法算出段階S9では、上記1つ目の基準線33と、ターゲット設置段階S1で工事中の道路31の中央部29に設置された複数のターゲット3C、3D、3Eの基準点17それぞれとの間の寸法(上下方向であるZ方向での寸法)を算出するようになっている。
【0090】
また、寸法算出段階S9では、算出された寸法L1、L2、L3を用いて、工事中の道路31の中央部29の深さ寸法をもとめるようになっている。
【0091】
寸法算出段階S9により、中央部29に設置された複数のターゲット3C、3D、3Eそれぞれについての1群の上下方向寸法L1、L2、L3が算出されるようになっている。上述したように、ターゲット3の基準点17が、複数のターゲット3のそれぞれにおいて同じ位置に設けられているのであれば、上記算出された上下方向寸法がそのまま中央部29での一群の深さ寸法L1、L2、L3になる。
【0092】
また、寸法算出段階S9で、上下方向寸法をもとめる場合と同様にして、工事中の道路31の幅方向の中央部29に設置されているターゲット3の基準点17の、ターゲット3Aの基準点17からの寸法(X方向の寸法)も算出されるようになっている。
【0093】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法は、ターゲット設置段階S1の被測定箇所23の位置情報を取得する位置情報取得段階を有している。また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法は、寸法算出段階S9で算出された一群の寸法L1、L2、L3と、位置情報取得段階で取得した位置情報とを互いに関連付けて記憶部37に記憶するようになっている。
【0094】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法では、
図1で示すように、ターゲット設置段階S1の被測定箇所23(23A、23B、23C、23D)が複数存在している。そして、ターゲット設置段階S1では、複数のターゲット3を、1か所の被測定箇所23ごとに複数の被測定箇所23のそれぞれに設置するようになっている。
【0095】
ターゲット撮影段階S3では、ターゲット設置段階S1で複数の被測定箇所23のそれぞれに設置された複数のターゲット3のマーカー19を撮影装置5で撮影するようになっている。
【0096】
画像補正・変換段階S5、S7では、ターゲット撮影段階S3で得られた複数の画像のそれぞれについて、歪みをとるための補正をするようになっている。また、ターゲット撮影段階S3で得られた複数の画像のそれぞれを、正面から撮影した画像に変換するようになっている。
【0097】
寸法算出段階S9では、画像補正・変換段階S5、S7で補正し変換された複数の画像のそれぞれについて、複数のターゲット3の基準点17それぞれの(相対的な)位置関係の寸法を算出するようになっている。
【0098】
記憶段階では、寸法算出段階S9で算出された複数群の寸法のそれぞれと、位置情報取得段階で取得した位置情報とを関連付けて記憶部37に帳票形式で記憶するようになっている。
【0099】
本発明の実施形態に係る寸法測定方法は、ターゲット3を被測定箇所23に設置するターゲット設置段階S1と、設置されたターゲット3のマーカー19を撮影するターゲット撮影段階S3とを備えて構成されている。また、寸法測定方法は、ターゲット撮影段階S3で得られた1枚の画像を補正し、変換する画像補正・変換段階S5、S7を備えて構成されている。さらに、寸法測定方法の寸法算出段階S9は、画像補正・変換段階S5、S7で補正し変換された補正・変換後画像と、ターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いて、複数のターゲット3の基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出するようになっている。
【0100】
これにより、異なる方向から撮影場所を移動しまた撮影角度を変えて撮影装置5でターゲット3を複数回撮影する必要が無くなり、1回の撮影で済むようになる。そして、撮影装置5を用いて寸法を測定する場合の撮影にかける手間(工数)を極力少なくすることができる。
【0101】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法では、複数のターゲット3のマーカー記録面15が、基準平面21内に位置するようにして、複数のターゲット3のそれぞれを設置するようになっている。これにより、撮影装置5を用いて寸法を測定する場合において、誤差を極力小さくして、寸法を測定することができる。
【0102】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法では、ターゲット設置段階S1の被測定箇所23が、中央部29が凹んでいる工事中の道路31になっている。また、ターゲット設置段階S1では、1つのターゲット3Aを工事中の道路31の一方の端部25に設置し、他の1つのターゲット3Bを工事中の道路31の他方の端部27に設置するようになっている。さらに、ターゲット設置段階S1では、残りターゲット3C、3D、3Eを工事中の道路31の中央部29に設置するようになっている。
【0103】
さらに、本発明の実施形態に係る寸法測定方法では、工事中の道路31の幅方向の一方の端部25に設置されたターゲット3Aの基準点17と幅方向の他方の端部27に設置されたターゲット3Bの基準点17とを互いに結ぶ直線を基準線33としている。寸法算出段階S9では、基準線33と、工事中の道路31の中央部29に設置されたターゲット3C、3D、3Eの基準点17との間の寸法を算出するようになっている。そして、この算出された寸法を用いて、工事中の道路31の中央部29の深さ寸法をもとめるようになっている。
【0104】
これにより、工事中の道路の出来高管理を、ターゲット3の撮影にかける手間(工数)を極力少なくしてすることができる。
【0105】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法では、寸法算出段階S9で算出された寸法と、位置情報取得段階で取得した位置情報とを関連付けて記憶部37に記憶するようになっている。これにより、工事中の道路31の出来高管理がされた場所を容易に特定することができる。
【0106】
また、本発明の実施形態に係る寸法測定方法では、寸法算出段階S9で算出された複数群の寸法のそれぞれと、位置情報取得段階で取得した位置情報とを関連付けて記憶部37に帳票形式で記憶するようになっている。これにより、工事中の道路31の複数の被測定箇所(Y方向を所定の間隔をあけてならんでいる被測定箇所)での出来高管理を的確にすることができる。なお、寸法測定システム1においても、寸法測定方法と同様な効果を得ることができる。
【0107】
ところで、上述した寸法測定方法において、複数のターゲット3の撮影装置5による撮影を複数回に分けて行ってもよい。この変形例に係る寸法測定方法について説明する。
【0108】
変形例に係る寸法測定方法は、ターゲット設置段階と全体撮影段階と一部撮影段階と全体画像補正・変換段階と一部画像補正・変換段階と寸法算出段階とを備えて構成されている。
【0109】
上述したように、ターゲット設置段階は、複数のターゲット3を被測定箇所23に設置する段階である。この設置は、複数のターゲット3の基準点17のそれぞれが所定の基準平面21内に位置し、複数のターゲット3のマーカー記録面15が一方の側に面するようにしてされる。
【0110】
全体撮影段階(全体撮影段階)は、
図10で示すように、ターゲット設置段階で設置された複数の総てのターゲット3のマーカー19を撮影装置5で撮影する段階である。
【0111】
すなわち、全体撮影段階では、撮影装置5を用いて、ターゲット3A、3B、3C、3D、3Eを写し、ターゲット3A、3B、3C、3D、3Eが写った画像を得ている。さらに説明すると、全体撮影段階では参照符号55で示す矩形の領域内の被写体を写している。
図10での撮影は、道路の上面57よりもやや上の角度(20°~30°)からされる。全体撮影段階での撮影は、たとえば1回だけされる。
【0112】
図10で示す寸法L11は、たとえば、3m程度になっており、
図10で示す寸法L12は、たとえば、1.5m程度になっており、
図10で示す寸法L13も、たとえば、1.5m程度になっている。
図10で示す寸法L14は、たとえば、30cm程度になっている。すなわち、複数のターゲット3がターゲット設置段階で設置された状態では、X方向でのターゲット3同士の離間距離が、Z方向でのターゲット3同士の離間距離に対して桁違いで大きくなっている(10倍程度大きくなっている)。
【0113】
一部撮影段階は、
図11で示すように、ターゲット設置段階で設置された総てのターゲット3のマーカー19のうちの一部の複数のターゲット3のマーカー19を、撮影装置5で撮影する撮影する段階である。一部撮影段階では、全体撮影段階で得られる画像の一部を拡大した態様で、ターゲット3のマーカー19を撮影するようになっている。
【0114】
すなわち、一部撮影段階では、撮影装置5を用いて、ターゲット3A、3C、3Dが写った画像を得ている。さらに説明すると、一部撮影段階では参照符号59で示す矩形の領域内の被写体を写している。
図11での撮影も、道路の上面57よりもやや上の角度(20°~30°)からされる。
図11で示す一部撮影段階での撮影は、たとえば1回だけされる。
【0115】
また、一部撮影段階は、
図12で示すように、ターゲット設置段階で設置された総てのターゲット3のマーカー19のうちの他の一部の複数のターゲット3のマーカー19を、撮影装置5で撮影する撮影するようになっている。
【0116】
すなわち、
図12で示す一部撮影段階では、撮影装置5を用いて、ターゲット3B、3D、3Eが写った画像を得ている。さらに説明すると、一部撮影段階では参照符号61で示す矩形の領域内の被写体を写している。
図12での撮影も、道路の上面57よりもやや上の角度(20°~30°)からされる。
図12で示す一部撮影段階での撮影は、たとえば1回だけされる。
【0117】
すでに理解されるように、一部撮影段階での撮影は、たとえば、撮影対象を変えて複数回されるようになっている。これらの複数回の一部撮影段階での撮影によって総てのターゲット3が撮影されるようになっている。また、
図11、
図12で示すターゲット3、工事中の道路31は、なんら手が加えられておらず、
図10で示すターゲット3、工事中の道路31と同じものになっている。
【0118】
全体画像補正・変換段階は、全体撮影段階で得られた1枚の画像(全体撮影画像)の歪みをとるための補正をする段階である。また、全体画像補正・変換段階は、全体撮影段階で得られた1枚の画像(全体撮影画像;
図10の矩形な領域55の画像)を、ターゲット設置段階で設置された複数のターゲット3のマーカー記録面15を正面から撮影した画像に変換する段階である。全体画像補正・変換段階での補正・変換は、上述した画像補正・変換段階S5、S7と同様にされる。
【0119】
一部画像補正・変換段階は、一部撮影段階で得られた1枚の画像(一部撮影画像)の歪みをとるための補正をする段階である。また、一部画像補正・変換段階は、一部撮影段階で得られた1枚の画像(一部撮影画像)を、ターゲット設置段階で設置された複数のターゲット3のマーカー記録面15を正面から撮影した画像に変換する段階である。一部画像補正・変換段階も、上述した画像補正・変換段階S5、S7と同様にされる。
【0120】
一部画像補正・変換段階では、複数の撮影で得られた画像(
図11の画像、
図12の画像)毎に、補正と変換とをするようになっている。一部撮影段階等は、より高い精度で、ターゲット設置段階で設置された複数のターゲット3の基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出するためにされる。
図11の画像とは、
図11の矩形な領域59の画像である。
図12の画像とは、
図12の矩形な領域61の画像である。
【0121】
寸法算出段階は、全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、一部画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、ターゲットのマーカーの寸法の値とを用いて、基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出する段階である。基準点17それぞれの位置関係の寸法とは、ターゲット設置段階で設置された複数のターゲット3の基準点17それぞれの位置関係の寸法である。寸法算出段階は、上述した寸法算出段階S9と同様にされる。
【0122】
ところで、上述したように、ターゲット設置段階の被測定箇所は、
図3で示すように、幅方向の両端部25、27を除く中央部29が凹んでいる工事中の道路31である。ターゲット設置段階での基準平面21は、工事中の道路31の長手方向に対して直交する平面である。
【0123】
ターゲット設置段階は、複数のターゲット3のうちの1つのターゲット3Aを工事中の道路31の幅方向の一方の端部に設置し、複数のターゲットのうちの他の1つのターゲット3Bを工事中の道路31の幅方向の他方の端部に設置する段階である。また、ターゲット設置段階は、複数のターゲット3のうちの残りのターゲット3C、3D、3Eを工事中の道路31の幅方向の中央部29に設置する段階である。
【0124】
寸法算出段階では、ターゲット3Aの基準点17とターゲット3Bの基準点17とを互いに結ぶ直線である基準線33を全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像を用いてもとめる。
【0125】
寸法算出段階では、基準線33とターゲット3C、3D、3Eの基準点17との間のZ方向の寸法を、全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像とターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いて算出する。寸法算出段階では、上記算出された寸法を用いて工事中の道路31の中央部29の深さ寸法をもとめる。
【0126】
また、寸法算出段階では、ターゲット3C、3D、3Eの基準点17の間のX方向の寸法を、上記一部画像補正・変換段階で補正し変換された画像とターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いて算出する。ターゲット3C、3D、3Eの基準点17の間のX方向の寸法は、
図10に参照符号L12、L13で示されている。
【0127】
変形例に係る寸法測定方法では、全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、一部画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、ターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いる。そして、複数のターゲット3の基準点17それぞれの位置関係をもとめるようになっている。これにより、より誤差を少なくして、複数のターゲット3の基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出することができる。
【0128】
変形例に係る寸法測定方法では、全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像を用いて基準線33をもとめている。また、変形例に係る寸法測定方法では、基準線33とターゲット3C、3D、3Eの基準点17との間のZ方向の寸法を、全体画像補正・変換段階で補正し変換された画像とターゲットのマーカー19の寸法の値とを用いて算出している。これにより、基準線33を容易にもとめ、比較的値の小さい、基準線33とターゲット3C、3D、3Eの基準点17との間のZ方向の寸法も容易にもとめることができる。
【0129】
また、変形例に係る寸法測定方法では、工事中の道路31の中央部に設置されたターゲット3C、3D、3Eの基準点17の間のX方向の寸法を、一部画像補正・変換段階で補正し変換された画像とターゲットのマーカー19の寸法の値とを用いて算出している。これにより、比較的値の大きい、工事中の道路31の中央部に設置されたターゲットの基準点の間のX方向の寸法を、誤差を極力小さくしてもとめることができる。
【0130】
次に、工事中の道路31の寸法測定について
図13~
図16を参照しつつ説明する。
図13では、長年使用された道路を示しており、路盤67の上に古い基層65が設けられており、古い基層65の上に古い表層63が設けられている。ターゲット3A、3B、3Cが設置されている箇所のそれぞれにおける基準線33の高さ寸法(基準線33と表層63の上面との間の寸法)は、参照符号HA1、HA2、HA3で表されている。
【0131】
高さ寸法HA1、HA3の値は、画像補正・変換段階で補正し変換された画像とターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いてもとめることができる。寸法の値HA2は、画像補正・変換段階で補正し変換された画像とターゲット3のマーカー19の寸法の値と、基準線33とターゲット3Bの基準点とのZ方向での寸法UA2とを用いてもとめることができる。なお、
図13では、寸法UA2の値を「0」として描いている。
【0132】
図14では、
図13で示すものから路盤67の上の基層65と表層63とが除去されている。ターゲット3C、3D、3Eが設置されている箇所のそれぞれにおける基準線33の高さ寸法(基準線33と路盤67の上面との間の寸法)は、参照符号HB1、HB2、HB3で表されている。なお、X方向でターゲット3Aとターゲット3Cとは互いが近接しており、ターゲット3Bとターゲット3Eとは互いが近接している。これにより、路盤67の上面とターゲット3Aの基準点17との間のZ方向の寸法の値と、路盤67の上面とターゲット3Cの基準点17との間のZ方向の寸法の値とは、実用上差し支えない僅かな差しかないのである。
【0133】
ターゲット3C、3D、3Eが設置されている箇所のそれぞれにおける切削厚さTB1、TB2、TB3は、
図13で示す寸法HA1、HA2、HA3と
図14で示す寸法HB1、HB2、HB3との差で表される。すなわち、TB1=HB1-HA1、TB2=HB2-HA2、TB3=HB3-HA3でもとめられる。さらに、TB1=UB1、TB2=UB2、TB3=UB3となる。UB1、UB2、UB3は、基準線33とターゲット3C、3D、3Eの基準点17の間のZ方向の寸法である。また、
図14に示す線分69は、
図13で示す表層63の上面を示している。
【0134】
図15では、
図14で示すものに新しい基層(アスファルト舗装を構成する基層)65が設けている。ターゲット3C、3D、3Eが設置されている箇所のそれぞれにおける基準線33の高さ寸法(基準線33と基層65の上面との間の寸法)は、参照符号HC1、HC2、HC3で表されている。
【0135】
ターゲット3C、3D、3Eが設置されている箇所のそれぞれにおける基層65の厚さTC1、TC2、TC3は、
図14で示す寸法HB1、HB2、HB3と
図15で示す寸法HC1、HC2、HC3との差で表される。さらには、TC1=UB1―UC1、TC2=UB2―UC2、TC3=UB3―UC3で表される。UC1、UC2、UC3は、基準線33とターゲット3C、3D、3Eの基準点17の間のZ方向の寸法である。また、
図15に示す線分69も、
図13で示す表層63の上面を示している。
【0136】
図16では、
図15で示すものに新しい表層(アスファルト舗装を構成する表層)63が設けている。ターゲット3C、3D、3Eが設置されている箇所のそれぞれにおける基準線33の高さ寸法(基準線33と基層65の上面との間の寸法)は、参照符号HD1、HD2、HD3で表されている。ターゲット3A、3B、3Cが設置されている箇所のそれぞれにおける表層63の厚さTD1、TD2、TD3は、
図15で示す寸法HC1、HC2、HC3と
図16で示す寸法HD1、HD2、HD3との差で表される。
図16で示す寸法HD1、HD2、HD3は、
図13で示す高さ寸法HA1、HA3と同様にしてもとめられる。
【0137】
なお、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、ターゲット設置段階の被測定箇所が、工事中の道路であり、ターゲット設置段階での基準平面が、工事中の道路の長手方向に対して直交する平面であり、ターゲット設置段階が、第1のターゲット設置段階と第2のターゲット設置段階とを備えて構成されており、ターゲット撮影段階が、第1のターゲット撮影段階と第2のターゲット撮影段階とを備えて構成されており、画像補正・変換段階が、第1の画像補正・変換段階と第2の画像補正・変換段階とを備えて構成されており、寸法算出段階が、第1の寸法算出段階と第1の寸法算出段階とを備えて構成されている。
【0138】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第1のターゲット設置段階が、複数のターゲットのうちの1つのターゲットを工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置し、複数のターゲットのうちの他の1つのターゲットを工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置し、複数のターゲットのうちの残りのターゲットを工事中の道路の幅方向の両端部よりも凹んでいる中央部に設置する段階になっている。
【0139】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第1のターゲット撮影段階が、第1のターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカーを撮影装置で撮影する段階になっており、第1の画像補正・変換段階が、第1のターゲット撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、第1のターゲット撮影段階で得られた1枚の画像を、第1のターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する段階になっている。
【0140】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第1の寸法算出段階が、第1の画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、ターゲットのマーカーの寸法の値とを用い、第1のターゲット設置段階で工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置されたターゲットの基準点と第1のターゲット設置段階で工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置されたターゲットの基準点とを互いに結ぶ直線を基準線とし、この基準線と、第1のターゲット設置段階で工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめる段階になっている。
【0141】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第2のターゲット設置段階が、第1のターゲット設置段階で工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置した1つのターゲットと工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置した1つのターゲットとをそのままにした状態で、複数のターゲットのうちの残りのターゲットを、工事中の道路の幅方向の中央部に新しく設置された層のところ(基層や表層の上;X方向で第1のターゲット設置段階で設置したところとほぼ同じところ)に設置する段階になっている。
【0142】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第2のターゲット撮影段階が、工事中の道路の幅方向の一方の端部に設置した1つのターゲットと工事中の道路の幅方向の他方の端部に設置した1つのターゲットと第2のターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカーとを撮影装置で撮影する段階になっている。
【0143】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第2の画像補正・変換段階が、第2のターゲット撮影段階で得られた1枚の画像の歪みをとるための補正をし、また、第2のターゲット撮影段階で得られた前記1枚の画像を、第2のターゲット設置段階で設置された複数のターゲットのマーカー記録面を正面から撮影した画像に変換する段階になっている。
【0144】
また、
図15や
図16で示す寸法測定方法では、第2の寸法算出段階が、基準線と、第2の画像補正・変換段階で補正し変換された画像と、ターゲットのマーカーの寸法の値とを用い、基準線と、第2のターゲット設置段階で工事中の道路の中央部に設置されたターゲットの基準点との間の寸法を算出し、この算出された寸法を用いて、工事中の道路の中央部の深さ寸法をもとめ、このもとめた深さ寸法と、第1の寸法算出段階でもとめられた工事中の道路の中央部の深さ寸法とを用いて、工事中の道路の幅方向の中央部に新しく設置された層(基層や表層)の厚さ寸法をもとめる段階になっている。
【0145】
ここで、別の変形例に係る寸法測定方法について説明する。
【0146】
別の変形例に係る寸法測定方法は、上述したターゲット設置段階と撮影段階と画像補正・変換段階と画像合成段階と寸法算出段階とを備えて構成されている。
【0147】
撮影段階は、ターゲット設置段階で設置された複数の総てのターゲット3のマーカー19を、これらの総てのマーカー19のうちの一部の複数のマーカー19が写るようにして、撮影装置5を用い複数回に分けて撮影する段階である。そして、総てのマーカー19を撮影する段階である。
【0148】
画像補正・変換段階は、撮影段階で得られた総ての画像のそれぞれに、歪みをとるための補正をする段階である。また、画像補正・変換段階は、撮影段階で得られた総ての画像のそれぞれに、ターゲット設置段階で設置された複数のターゲット3のマーカー記録面15を正面から撮影した画像に変換する段階である。
【0149】
画像合成段階は、画像補正・変換段階で得られた複数の画像を合成して、総てのマーカー19が写っている1枚の画像を得る段階である。
【0150】
寸法算出段階は、画像合成段階で得られた画像と、ターゲット3のマーカー19の寸法の値とを用いて、ターゲット設置段階で設置された複数のターゲット3の基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出する段階である。
【0151】
なお、上記説明では画像を静止画で考えているが、画像として動画(撮影方向を変えて、総てのターゲット3を写した動画)採用し、この動画から画像合成段階で得られる画像と同様な画像を得るようにしてもよい。また、動画を撮影する際に、レンズのズーム機能を用いてもよい。
【0152】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 寸法測定システム
3、3A、3B、3C、3D、3E ターゲット
5 撮影装置
11 画像補正・変換部
13 寸法算出部
15 マーカー記録面
17 基準点
19 マーカー
21 基準平面
23、23A、23B、23C、23D 被測定箇所
25、27 端部
29 中央部
31 工事中の道路
33 基準線
35 位置情報取得部
37 記憶部
S1 ターゲット設置段階
S3 ターゲット撮影段階
S5、S7 画像補正・変換段階
S9 寸法算出段階
【要約】
【課題】撮影装置を用いて寸法を測定する寸法測定方法および寸法測定装置であって、撮影にかける手間を極力少なくすることができるものを提供する。
【解決手段】基準点17を示すマーカー19が記されているマーカー記録面15を備えている複数のターゲット3の基準点17が所定の基準平面21内に位置するようにして、ターゲット3を被測定箇所23に設置するターゲット設置段階S1と、ターゲット3のマーカー19を撮影装置5で撮影するターゲット撮影段階S3と、画像の歪みをとるために補正し変換する画像補正・変換段階S5、S7と、ターゲット3の基準点17それぞれの位置関係の寸法を算出する寸法算出段階S9とを有する寸法測定方法である。
【選択図】
図9