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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】発光ダイオード照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20240627BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240627BHJP
【FI】
F21S2/00 330
F21S2/00 340
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020143937
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022039098
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】593160529
【氏名又は名称】応用電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良蔵
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-318922(JP,A)
【文献】特開2018-147725(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185478(JP,U)
【文献】特開2014-123518(JP,A)
【文献】特開昭59-016202(JP,A)
【文献】特開2008-268050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の指向半角で設定された複数の発光ダイオードを有する光源部と、
光源部からの光の強度分布を均一化する均一化光学系部と、
均一化光学系部からの均一化された光を照射対象面に照射する投影光学系部と、を備え、
光源部は、照射対象面で得ようとする目的の照野の面積と投影光学系部のFナンバーに基づいたエタンデュをもとに、発光面積が設定され、
光源部は、設定される発光面積内に複数の発光ダイオードが並設されて発光領域を形成するとともに、
それぞれの発光ダイオードから所定の離隔した位置に配置され該発光ダイオードからの光を平行光束とする複数の第1レンズと、
複数の第1レンズから離隔した後方に配置され、各第1レンズからの光を集光する第2レンズと、を含むことを特徴とする発光ダイオード照明装置。
【請求項2】
光源部の光束が3000ルーメン以上に設定されたことを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード照明装置。
【請求項3】
発光ダイオードと第1レンズとの離隔距離が、0.5mm以上でかつ2mm以下に設定されたことを特徴とする請求項記載の発光ダイオード照明装置。
【請求項4】
各第1レンズは、その光軸が発光ダイオードの中心に一致するように設定されるとともに、各第1レンズどうしが密接状に配列されていることを特徴とする請求項記載の発光ダイオード照明装置。
【請求項5】
均一化光学系部は、光源部からの光が入射されるロッドホモジナイザと、
該ロッドホモジナイザから照射された光が入射されるフライアイレンズと、を有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の発光ダイオード照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、固体撮像素子等の光学デバイスのテストや、顕微鏡、プロジェクタ、その他種々の照明光源として利用可能な発光ダイオード照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CCDやCMOS等の半導体の集積回路で設けられる固体撮像素子(イメージセンサ)は、光を電気信号に変換する特性を利用して、デジタルスチルカメラやビデオカメラ、携帯電話、自動車の先進運転支援システム等の各種センサ、その他種々の産業機器等に広く活用されている。固体撮像素子は、ウエハ完成後や製品出荷前にその光電特性が正常か否かの検査が必要であるが、固体撮像素子の検査を行うための照明光を照射する照明装置が種々開発されており、本出願人も先の出願で光源装置として提案している(特許文献1参照)。従来の照明装置は、光源と、光源からの光を照度分布の均一な光として生成する多数のレンズやフィルタを有した照明光学系と該照明光学系を通過した照明光を検査対象の固体撮像素子に対して投影する投影光学系とを含む光学系と、を有しており、検査対象の固体撮像素子の受光面に均一な照明光を照射するようになっている。固体撮像素子の光学スト用の照明装置の光源としては、可視光範囲で太陽光と近似した分光スペクトルが比較的簡単に得られるハロゲンランプが多く使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5181174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、特に自動車産業で利用されている車載用イメージセンサ等では、例えば、30万ルクス以上の高照度条件下での利用が実用化されつつあり、それに伴って、該イメージセンサの光学テストでも高照度条件下を再現したテストがますます重要となってきている。この高照度条件下でのテストを行える照明装置としては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ等で実現されている。しかしながら、これらのハロゲンランプやメタルハライドランプでは、高照度を実現することができるが、高照度となる範囲は照射範囲の中心部にのみに限定され、広い範囲を均一的に高照度で照明することはできなかった。そのため、イメージセンサの高照度条件下での光学テストでは、狭い照明範囲でしかテストを行うことができず、同時にテストできる個数が比較的少数に限られてしまい、テスト効率が悪いものであった。イメージセンサの需要の拡大から、該イメージセンサの光学テストの高効率化が求められていることから、効率を向上するため、広い範囲に並べられた多数個のイメージセンサの全てに均一的な高照度の光を照射して、多数個の光学テストを同時に行えるような広照野を均一に高照度で照明できる照明装置を望む声が高まっている。また、省エネルギーで環境負荷が小さく、かつ長寿命で利便性が高いことから広く利用されている発光ダイオードを光源として、広照野を高い均一性を保持して高照度で照明できるような照明装置は存在していなかった。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、発光ダイオードを光源として利用しながら、広照野を高い均一性で、かつ高照度での照明を実現できる発光ダイオード照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、所定の指向半角で設定された複数の発光ダイオード12を有する光源部14と、光源部14からの光の強度分布を均一化する均一化光学系部16と、均一化光学系部16からの均一化された光を照射対象面Sに照射する投影光学系部18と、を備え、光源部14は、照射対象面Sで得ようとする目的の照野の面積Aと投影光学系部18のFナンバーに基づいたエタンデュをもとに、発光面積A1が設定され、光源部14は、設定される発光面積A1内に複数の発光ダイオード12が並設されて発光領域を形成するとともに、それぞれの発光ダイオード12から所定の離隔した位置dに配置され該発光ダイオード12からの光を平行光束とする複数の第1レンズ20と、複数の第1レンズ20から離隔した後方に配置され、各第1レンズ20からの光を集光する第2レンズ22と、を含む発光ダイオード照明装置10から構成される。
【0007】
光源部の光束が3000ルーメン以上に設定されたこととしてもよい。
【0008】
また、発光ダイオード12と第1レンズ20との離隔距離dが、0.5mm以上でかつ2mm以下に設定されたこととしてもよい。
【0009】
また、各第1レンズは、その光軸が発光ダイオードの中心に一致するように設定されるとともに、各第1レンズどうしが密接状に配列されていることとしてもよい。
【0010】
また、均一化光学系部16は、光源部14からの光が入射されるロッドホモジナイザ30と、該ロッドホモジナイザ30から照射された光が入射されるフライアイレンズ32と、を有することとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の発光ダイオード照明装置によれば、所定の指向半角で設定された複数の発光ダイオードを有する光源部と、光源部からの光の強度分布を均一化する均一化光学系部と、均一化光学系部からの均一化された光を照射対象面に照射する投影光学系部と、を備え、光源部は、照射対象面で得ようとする目的の照野の面積と投影光学系部のFナンバーに基づいたエタンデュをもとに、発光面積が設定されることから、照射対象面で必要となる広い照野及び高照度条件を実現できるように、照射対象面での照射する範囲面積を含む照射条件に応じて発光ダイオードを光源とした光源部を具体的に設計して、発光ダイオードの光を無駄なく効率的に導いて、広照野で均一的に、かつ高照度で照明できる照明装置を提供することができる。
【0012】
光源部の光束が3000ルーメン以上に設定された構成とすることにより、照射対象面を、例えば、100mm×100mm以上の広い照野で、かつ30万ルクス以上の高照度で、均一的に照明できる照明装置を具体的に実現することができる。
【0013】
また、光源部は、設定される発光面積内に複数の発光ダイオードが並設されて発光領域を形成するとともに、それぞれの発光ダイオードから所定の離隔した位置に配置され該発光ダイオードからの光を平行光束とする複数の第1レンズと、複数の第1レンズから離隔した後方に配置され、各第1レンズからの光を集光する第2レンズと、を含む構成とすることにより、複数の発光ダイオードからの光を極めて効率よく集光することができ、均一的な光を射出できる光源部を実現して、広い照野であっても高い均一性、高照度条件を満たして照明することができる。
【0014】
発光ダイオードと第1レンズとの離隔距離が、0.5mm以上でかつ2mm以下に設定された構成とすることにより、第2レンズでの集光効率がよいとともに、光源部の発光密度を比較的高く保持でき、設定される発光面積内に複数の発光ダイオードの配列構成を設計でき、照射対象面を広い照野かつ高照度で照明しうる光源部を具体的に実現することができる。
【0015】
また、第1レンズの有効径は、複数の発光ダイオードの中心間距離と略同じに設定された構成とすることにより、発光ダイオードの光をほとんど無駄なく照明に利用して効率的に光を照射できるとともに、第1レンズの配置構成を効率よく設計することができる。
【0016】
また、均一化光学系部は、光源部からの光が入射されるロッドホモジナイザと、該ロッドホモジナイザから照射された光が入射されるフライアイレンズと、を有する構成とすることにより、2段階で光を均一化して、より均一性が高い照明を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る発光ダイオード照明装置の概略説明図である。
図2図1の発光ダイオード照明装置の光源部の正面説明図である。
図3図1の発光ダイオード照明装置の光源部の側面説明図である。
図4図1の発光ダイオード照明装置の投影光学系部のFナンバーと光源部の発光面積の関係をあらわした表である。
図5図1の発光ダイオード照明装置の発光ダイオードとレンズとの距離と明るさの対応関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下添付図面を参照しつつ本発明の発光ダイオード照明装置の実施形態について説明する。本発明に係る発光ダイオード照明装置は、例えば、固体撮像素子であるイメージセンサ等の光学デバイスをテストするための照明光や顕微鏡、プロジェクタ、その他種々の照明光に利用することができる発光ダイオードを光源とした照明装置である。図1ないし図5は、本発明の発光ダイオード照明装置の一実施形態を示している。図1図2図3に示すように、本実施形態に係る発光ダイオード照明装置10は、発光ダイオード12を有する光源部14と、均一化光学系部16と、光を照射対象面に照射する投影光学系部18と、を備える。本実施形態では、発光ダイオード照明装置10は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子であるイメージセンサの光学テストに利用される光学テスト用照明装置の態様で説明する。
【0019】
光源部14は、発光ダイオード12を有する光源手段である。本実施形態では、発光ダイオード12は、例えば、従来周知の波長400~750nmの可視領域で連続光スペクトルを持つ白色発光ダイオードからなる。光源部14は、例えば、投影光学系部18からの光を照射する照射対象面Sを0.01m以上の比較的広い面積Aの照明範囲(照野)で、かつ30万ルクス以上の高い照度で照明するのに必要な光量で設計され、該光源部14の光束が3000ルーメン以上に設定される。図2図3に示すように、光源部14は、複数の発光ダイオード12が並設されて高照度でかつ所定の発光面積A1となる発光領域を形成している。この光源部14の発光領域は、目的とする照射対象面側の条件に基づいて設定されるが、後述のように照射対象面Sの光束の断面積Aと投影光学系部18のFナンバーに基づいて発光面積A1が設定されることとなる。本実施形態では、例えば、発光ダイオード12は、指向角がδの面発光体からなり、4つの発光ダイオード12を2×2の配置構成に配列することにより、発光面積A1の発光領域の光源部14を形成する例を示している。なお、発光ダイオード12の指向角δは、面発光体では180°となるが、実質的な光の90%以上は、110°~160°の範囲内となるものを利用するとよく、本実施形態では、指向角δ=160°のものが用いられる。この配置構成では、発光ダイオード12はその発光中心がaだけ離隔して配置されている。各光源部14は、その光が広がる角度の指向半角が一般的な発光ダイオードの指向角に合わせて設定され、例えば、55度(又は60度)に設定されている。
【0020】
光源部14は、それぞれの発光ダイオード12の後方にそれぞれ配置された4つの第1レンズ20と、それらの第1レンズ20の後方に配置された第2レンズ22と、を含む。第1レンズ20は、発光ダイオード12からの光を平行光束とするレンズである。なお、本実施形態では、光軸Xに沿った方向で光源部14側を前方、光が進む方向を後方としている。第1レンズ20は、発光ダイオード12の配置構成に対応して2×2の配置構成で配列されている。各第1レンズ20は、その光軸が発光ダイオード12の中心に一致するとともに発光ダイオード12からの光を無駄なく入射させるためにレンズ有効径が複数の発光ダイオードの中心間距離aと略同じ程度の大きさで設定されており、各レンズどうしが密接して配列されている。第1レンズ20は、その焦点距離位置又はその近傍に発光ダイオード12が配置されるように、該発光ダイオード12から距離dだけ離隔して配置されている。このような配置構成では、複数の発光ダイオード12の間隔aすなわち第1レンズ20の有効径aと、発光ダイオード12と第1レンズ20との離隔距離d(第1レンズの焦点距離d)と、の関係は、図3に示すように、近似的にa=2d×tan(δ/2)となる。発光ダイオード12の間隔aが小さいほど発光密度が小さく集光効率は向上するが、該間隔aが大きくなると発光密度が低下する。図5のグラフに示すように、発光ダイオード12と第1レンズ20との離隔距離dが小さいと出射される光が明るく、該離隔距離dが大きくなるにしたがって次第に暗くなることが計算でもわかっている。発光ダイオード12と第1レンズ20との離隔距離dは、例えば、発光ダイオードの実質的なサイズやレンズ設計等の物理的な制限から0.5mm以上が必要となる。一方で、図5のグラフに示すように、2.5mm以上では、ほとんど明るさがなくなる。これにより、発光ダイオード12と第1レンズ20との離隔距離dは、例えば、2mm以下に設定されると実用的な明るさを得ることができる。すなわち、それぞれの発光ダイオード12と第1レンズ20との離隔距離dは、0.5mm以上でかつ2mm以下の範囲で設定されると好適であり、第1レンズ20も焦点距離がそのような範囲に設定されたレンズ設計のものを用いるとよい。
【0021】
第2レンズ22は、第1レンズ20から離隔した後方に配置され、各第1レンズ20からの光を集光する集光レンズである。第2レンズ22からの光が光源部14の光として出射される。第2レンズ22は、例えば、並設された4つの第1レンズ20からの平行光を全て入射して該第2レンズ22の焦点で結ぶように、第1レンズ20の有効径aの2倍(2a)よりも大きな有効径で形成されるとともに、第2レンズ22の光軸が4つの第1レンズ20の各中心を通る円の中心に設定されている。第2レンズ22は、第1レンズから数mm程度離隔した位置に設置される。このように光源部14では、複数の発光ダイオード12からの光を第1レンズ20にて平行光にし、第2レンズ22でそれらの平行光を集光する構成とすることにより、所定の対向半角で高い均一性かつ高い照度の光源部を実現することができる。
【0022】
図1に示すように、光源部14からの光は、所定の面積Aとなる照射対象面を均一的な平行光で照射するための照明用光学系24を介して外部に出射される。本実施形態では、照明用光学系24は、例えば、光を通さない図示しない筐体内に収容されており、コレクター光学系部26、均一性光学系部16、リレー光学系部28、投影光学系部18を含む。光源部14の第2レンズ22から出射された光は、コレクター光学系部26を介して、均一性光学系部16に入射される。コレクター光学系部26は、例えば、複数のレンズなどを組み合わせたレンズ群で構成されている。
【0023】
均一化光学系部16は、光源部14からの光の強度分布を均一化するための光均一化手段である。均一性光学系部16は、例えば、ロッドホモジナイザ30と、フライアイレンズ32と、を組み合わせて構成されている。ロッドホモジナイザ30は、コレクター光学系部26を介して入射される光源部14からの光の強度分布を均一化して出射する。フライアイレンズ32は、該ロッドホモジナイザ26から照射された均一的な光をさらに均一して出射する。これにより、均一化光学系部16では、2段階で光を均一化して均一性が高い光を得ることができる。
【0024】
均一性光学系部16からの光は、リレー光学系部28を介して投影光学系部18に入射される。リレー光学系部28は、複数のレンズを組み合わせて構成されているとともに、光源部14からの光軸Xを下方向に折り曲げるミラー34を有している。投影光学系部18は、鏡筒内に複数の投影レンズ系が収容されるとともに所定のFナンバーの開口絞りが設置されており、均一化光学系部16で生成した強度が均一な平行光を外部への照射光として照射対象面Sに向けて照射する。投影光学系部18から照射された照射光の照射対象面Sに、検査対象のイメージセンサが設置されて、該イメージセンサの光電特性検査等の光学テストを行えるようになっている。なお、光学系24には、上述の各光学系部の他に種々のレンズ、フィルタ等の光学素子を有することとしてもよい。
【0025】
上述したように本実施形態の発光ダイオード照明装置10では、投影光学系部18から照射対象面Sへ照射する光が、要求される広照野で高照度の条件を満たすように光源部14の光束の大きさや発光面積が設定される。本実施形態では、多数個のCCD等のイメージセンサを同時に配置できるように、照射対象面Sに照射する光の条件は、例えば、照野を100mm×100mm角(一辺が100mmの正方形)=0.01m)以上の発光面積A(すなわち照射光の光束の断面積)となるように設定するとともに、照射対象面Sに照射する光を、例えば、高照度での光学テストを行うために30万ルクス以上とする。この場合、照射対象面Sで得ようとする光の光束Φ=照度×発光面積Aとなることから、3000ルーメン以上となる。よって、照明用光学系24で光量のロスがないとすると、光源部14で発光される光の光束を3000ルーメン以上に設定されることとなる。また、高照度でかつ該照野で光の最も明るい場所と最も暗い場所の差が2%以内となるような高い均一性が得られるように、上述の均一性光学系部16や光源部14の第1レンズ20と第2レンズ22の配置構成が設計される。
【0026】
さらに、投影光学系部18のFナンバーが変更されることによって、照射対象面Sへ照射する角度を含む光の条件が変更されることから、該Fナンバーに応じて光源部14の発光面積A1が設計される。具体的には、照射対象面Sで得ようとする照野が100mm×100mm角とすると該照野の面積Aすなわち光束の断面積は0.01mとなる。投影光学系部18のFナンバーの値をFとすると、照射対象面SでのエタンデュEは、該照射対象面での光束の断面積Aと立体角NAの積から、エタンデュE=A×π×(NA)=A×π×(1/2×F)となる。一方、設計する光源部14のエタンデュE1は、光源部14の発光面積A1、立体角NA1とすると、E1=A1×π×(NA1)となる。光源部14の指向半角を55°で設計したとすると、NA1=sin55°=0.819となる。エタンデュの保存の法則により、照射対象面SのエタンデュEと光源部14のエタンデュE1が等しく(E=E1)なることから、A×π×(1/2×F)=A1×π×(sin55°)の関係式により、光源部14の発光面積A1を求めることができる。例えば、投影光学系部18のFナンバーの値Fを11、13、16、22とすると、図4の表に示すように、それぞれのFナンバーの値に対応して光源部14の発光面積A1を導出することができる。例えば、FナンバーのF値が11の場合には、光源部14の発光面積A1は、約30.8mmとなり、正方形形状の面発光光源とすると一辺が約5.5mmの正方形の範囲内に上述のように4つの発光ダイオードや第1レンズ20等を配列して光源部14を設計することとなる。同様にF値が13の場合には、光源部14の発光面積A1は約22.05mmとなり、一辺が約4.7mmの正方形の光源部を設計する。F値が16の場合には、光源部14の発光面積A1は約14.56mmとなり、一辺が約3.8mmの正方形の光源部を設計することとなり、F値が22の場合には、光源部14の発光面積A1は、約7.7mmとなり、一辺が約2.8mmの正方形の光源部を設計することとなる。すなわち、光源部14は、照射対象面Sで得ようとする目的の照野の光束の断面積(発光面積A)と、投影光学系部18のFナンバーに基づいたエタンデュEと、を元にして、該光源部14の発光面積A1が設定され、該発光面積A1内に複数の発光ダイオード12を配列して、所要の条件を満たす高照度の該光源部14が形成される。なお、本実施形態では、4つの発光ダイオード12を発光面積A1以内に配列して光源部14を構成する例で説明したが、発光ダイオードの個数は任意の複数個でもよい。また、光源部14は、所定の発光面積A1の円形状の発光部で形成してもよい。また、例えば、指向半角55°で3000ルーメン以上の発光ダイオードで光源部14を構成することとしてもよい。なお、光源部14の発光形状は、正方形形状に限らず、円形状等任意の形状としてもよい。また、照射対象面Sは、正方形形状に限らず円形状、その他の形状でもよい。
【0027】
上述のように、複数の発光ダイオード12を有する光源部14と、均一化光学系部16と、投影光学系部18と、を備えた照明装置10において、光源部14の設定方法としては、例えば、投影光学系部18からの光の照射対象面Sでの照野が0.01m以上の範囲でかつ該照野内で均一的に30万ルクス以上の照度で照射するように、光源部14からの照明光の光束を3000ルーメン以上に設定するとともに、投影光学系部18から照射対象面Sで得ようとする目的の照野の面積Aと投影光学系部18のFナンバーの値Fで求められるエタンデュEをもとに、エタンデュの保存の法則から、光源部14の発光面積A1を算出して、該光源部14に条件を満たすように該発光面積A1内に複数の発光ダイオードを配列することで、光源部14が設計される。例えば、光源部14の発光面積が大きすぎても、その発光部分の一部しか入力されず照明対象面側で高照度の照明を得ることができなくなる。上述のような光源部の設定方法により、光源部14と照射対象面S側のエタンデュとの関係により、光源部からの光を効率よく照射対象面に照射することができ、広照野を均一的に、高照度で照明できる照明装置の光源を実現できる。
【0028】
以上説明した本発明の発光ダイオード照明装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の発光ダイオード照明装置は、例えば、固体撮像素子やレンズ等の光学素子のテスト用の照明や、顕微鏡やプロジェクタ等の光学機器類の照明、その他種々の照明装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
10 発光ダイオード照明装置 12 発光ダイオード 14 光源部 16 均一性光学系部 18 投影光学系部 20 第1レンズ 22 第2レンズ 30 ロッドホモジナイザ 32 フライアイレンズ S 照射対象面
図1
図2
図3
図4
図5