(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】フィルム貼付装置及びフィルム貼付方法
(51)【国際特許分類】
B65C 9/26 20060101AFI20240627BHJP
B65C 3/08 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65C9/26
B65C3/08
(21)【出願番号】P 2020082357
(22)【出願日】2020-05-08
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】595039900
【氏名又は名称】株式会社フジヤマ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】秋山 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤林 万里夫
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-161225(JP,A)
【文献】特開2008-037439(JP,A)
【文献】特開2008-308198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/26
B65C 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊付けされたフィルムを保持しながら回転する貼付ドラムを備え、そのフィルムを回転する容器に貼り付けるフィルム貼付装置であって、
前記貼付ドラムが、
前記フィルムの一端部に設定された貼付始端部を保持する
保持面を有する始端保持部と、
前記フィルムの他端部に設定された貼付終端部を保持する
保持面を有する終端保持部と、
前記始端保持部及び前記終端保持部の間に形成された、
前記各保持面よりも径方向内側に凹んだフィルム逃げ空間とを有し、
前記始端保持部及び前記終端保持部の間に、前記フィルムを
、そのフィルムの前記径方向内側を向く面が前記フィルム逃げ空間に臨むように法線方向に変形可能な状態で保持することを特徴とするフィルム貼付装置。
【請求項2】
前記始端保持部及び前記終端保持部の間で前記フィルムを弛ませた状態で保持することを特徴とする請求項1記載のフィルム貼付装置。
【請求項3】
前記貼付ドラムが、前記フィルムの前記貼付始端部及び前記貼付終端部の間の途中部を保持する途中保持部をさらに有していることを特徴とする請求項1又は2記載のフィルム貼付装置。
【請求項4】
前記途中保持部の保持面が、前記始端保持部の保持面及び前記終端保持部の保持面よりも、前記貼付ドラムの回転中心側に位置していることを特徴とする請求項3記載のフィルム貼付装置。
【請求項5】
前記途中保持部のフィルム保持力が、前記始端保持部のフィルム保持力及び前記終端保持部のフィルム保持力よりも弱いことを特徴とする請求項3又は4記載のフィルム貼付装置。
【請求項6】
糊付けされたフィルムを保持しながら回転する貼付ドラムを備え、そのフィルムを回転する容器に貼り付けるフィルム貼付装置を用いたフィルム貼付方法であって、
前記フィルムの一端部に設定された貼付始端部を保持する
保持面を有する始端保持部、及び、前記フィルムの他端部に設定された貼付終端部を保持する
保持面を有する終端保持部の間で、前記フィルムを、その
フィルムの径方向内側を向く面が前記始端保持部及び前記終端保持部の間に形成された、
前記各保持面よりも前記径方向内側に凹んだフィルム逃げ空間に臨むように法線方向に変形可能な状態で前記貼付ドラムに保持させることを特徴とするフィルム貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器にフィルムを貼り付けるフィルム貼付装置及びフィルム貼付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルム貼付装置としては、裏面に糊付けしたフィルムの表面を吸着保持しながら回転する貼付ドラムを備えたものがある。かかるフィルム貼付装置によれば、貼付ドラムを回転させるとともに、容器をフィルムの裏面に当てながら回転させることで、フィルムが容器の外周面に巻かれて貼り付けられる。
【0003】
ところで、容器の横断面が例えば矩形状のものであると、容器を回転させた際の角部の回転半径は、その他の部分の回転半径よりも長くなる。このことから、容器と貼付ドラムとの相対的な位置を決める際、角部がフィルムに当たるようにすると、その他の部分がフィルムに当たらなくなるし、逆にその他の部分をフィルムに当てようとすると、角部が貼付ドラムに閊えて容器が回転しなくなったり貼り付け不良が生じたりする。
【0004】
このように容器の箇所によって回転半径が異なることは、横断面が矩形状の容器に限らず、例えば横断面が多角形状や楕円形状など、横断面が非円形状の容器に共通していえることである。
【0005】
そこで、特許文献1に示すフィルム貼付装置は、貼付ドラムの外周面の一部を径方向内側に窪ませて凹部を形成しておき、容器を回転させたときに回転半径の長い箇所がこの凹部に逃げるように構成してある。
【0006】
しかしながら、このような構成は、凹部形状を容器の形状毎に変えなければならないので、種々の形状の容器にフィルムを貼り付けるユーザにとっては、それぞれの容器の形状に応じた貼付ドラムを用意する必要があり、コストの増大を招来する。
【0007】
仮に種々の貼付ドラムを用意できたとしても、容器を貼付ドラムの外周面に沿って回転させるためには、容器や貼付ドラムを回転させる速度等を容器の形状毎に変えなければならないので、制御の煩雑さを招き、これによるコストの増大も引き起こされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、コストの増大や制御の煩雑さを抑えつつ、横断面が非円形状の容器にフィルムを貼り付けることができるようにすることを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明に係るフィルム貼付装置は、糊付けされたフィルムを保持しながら回転する貼付ドラムを備え、そのフィルムを回転する容器に貼り付けるフィルム貼付装置であって、前記貼付ドラムが、前記フィルムの一端部に設定された貼付始端部を保持する始端保持部と、前記フィルムの他端部に設定された貼付終端部を保持する終端保持部とを有し、前記始端保持部及び前記終端保持部の間で、前記フィルムを法線方向に変形可能な状態で保持することを特徴とするものである。
【0011】
このように構成されたフィルム貼付装置によれば、フィルムが法線方向に変形可能な状態で保持されるので、容器における回転半径が長い箇所がフィルムに当たる際にフィルムを法線方向に逃がすことができる。これにより、種々の形状の容器にフィルムを貼り付けることができるので、コストの増大や制御の煩雑さを抑えつつ、横断面が非円形状の容器にもフィルムを貼り付けることができる。
【0012】
ところで、容器の回転半径の長い箇所は、回転半径の短い箇所よりも回転速度が速く、この箇所にフィルムを巻く速度が速くなると、フィルムが引っ張られて貼付ドラムから外れてしまう恐れがある。
そこで、前記始端保持部及び前記終端保持部の間で前記フィルムを弛ませた状態で保持することが好ましい。
このような構成であれば、フィルムが引っ張られてもフィルムの弛みにより吸収することができるので、貼り付け途中に貼付ドラムからフィルムが外れてしまうことを防ぐことができる。
【0013】
フィルムの貼付始端部及び貼付終端部の2箇所のみで保持しようとすると、特に長いフィルムの場合、フィルムの上辺部が垂れる恐れがあり、そうすると貼り付けられたフィルムにシワが生じてしまう。
そこで、前記貼付ドラムが、前記フィルムの前記貼付始端部及び前記貼付終端部の間の途中部を保持する途中保持部をさらに有していることが好ましい。
これならば、フィルムを垂らすことなく保持することができ、フィルムにシワが生じることを防ぐことができる。
【0014】
フィルムの貼付始端部及び貼付終端部は、保持された状態でその裏面に糊付けされ、その後、容器の外周面に押し当てられるところ、上述したように途中部を保持する構成においては、品質の観点から、この途中部の裏面に糊付けされることは望ましくないし、また途中部を容器に押し当てることも望ましくない。
そこで、前記途中保持部の保持面が、前記始端保持部の保持面及び前記終端保持部の保持面よりも、前記貼付ドラムの回転中心側に位置していることが好ましい。
これならば、フィルムの途中部に糊付けされることを防ぐとともに、この途中部が容器に押し当てられることをも防ぐことができ、フィルムの貼り付け不良の低減等を図れる。
【0015】
前記途中保持部のフィルム保持力が、前記始端保持部のフィルム保持力及び前記終端保持部のフィルム保持力よりも弱いことが好ましい。
これならば、フィルムを始端保持部や終端保持部から外すことなく、途中保持部により適度に保持することができる。
【0016】
また、本発明に係るフィルム貼付方法は、糊付けされたフィルムを保持しながら回転する貼付ドラムを備え、そのフィルムを回転する容器に貼り付けるフィルム貼付装置を用いたフィルム貼付方法であって、前記フィルムの一端部に設定された貼付始端部を保持する始端保持部、及び、前記フィルムの他端部に設定された貼付終端部を保持する終端保持部の間で、前記フィルムを前記貼付ドラムの径方向に変形可能な状態で前記貼付ドラムに保持させることを特徴とする方法である。
このようなフィルム貼付方法によれば、上述したフィルム貼付装置と同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、コストの増大や制御の煩雑さを抑えつつ、横断面が非円形状の容器にフィルムを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】一実施形態のフィルム装着装置の全体構成を示す模式図。
【
図2】本実施形態の貼付ドラムの外観を示す模式図。
【
図3】本実施形態の貼付ドラムにフィルムを保持させた状態を示す模式図。
【
図4】その他の実施形態の途中保持部の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明に係るフィルム貼付装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
<全体構成>
本実施形態のフィルム貼付装置100は、
図1に示すように、複数の容器X(ペットボトル等)を搬送しながら、それらの容器Xに連続してフィルムFを貼り付けるものである。なお、容器Xは、横断面が非円形状のものであり、ここでは横断面が矩形状の角ボトルである。
【0021】
具体的にフィルム貼付装置100は、
図1に示すように、容器Xを搬送する容器搬送機構10と、フィルムFを容器Xまで移送するフィルム移送機構20と、これらの機構の動作を制御する制御装置30とを具備している。
【0022】
<容器搬送機構10>
容器搬送機構10は、複数の容器Xを連続的に搬送するものであり、
図1に示すように、フィルムFが貼り付けられていない状態の容器Xを搬入する搬入手段11と、搬入された容器Xを所定間隔に引き離す引離手段12と、引き離された容器XをフィルムFが貼り付けられる貼付エリアZに移送する移送手段13と、フィルムFが貼り付けられた容器Xを搬出する搬出手段14とを備えている。
【0023】
搬入手段11や搬出手段14の一例としては、例えばモータや無端ベルトなどを用いて構成されたもの挙げることができ、引離手段12の一例としては、例えばタイミングスクリューやタイミングスクリューの下流に設けられたスターホイールとを用いて構成されたものを挙げることができる。
【0024】
移送手段13は、所定の回転軸周りに回転するターレット131と、ターレット131に設けられて引離手段12により引き離された容器Xを順次受け取る複数のベースカップ132と、ベースカップ132を回転させるサーボモータ等のモータ(不図示)とを備えている。そして、ターレット131を回転させることで、ベースカップ132により受け取った容器Xを貼付エリアZに到達させ、その位置でベースカップ132をサーボモータにより回転させることで、容器XにフィルムFを貼り付けることができる。
【0025】
<フィルム移送機構20>
フィルム移送機構20は、容器Xに貼り付けられるフィルムFを、貼付エリアZに移送するものである。
【0026】
具体的にフィルム移送機構20は、多数枚のフィルムFを保持するフィルム保持部21と、所定長さのフィルムFを1枚ずつ吸い取る吸取ドラム22と、フィルムFを容器Xに貼り付ける貼付ドラム23とを少なくとも備えている。
【0027】
フィルム保持部21は、多数枚のフィルムFを保持するとともに、それらのフィルムFを下流に送り出すためのものである。この実施形態では、ロール状に巻かれた連続する多数枚のフィルムFがセットされる回転体であり、回転しながらフィルムFを連続的に下流に送り出す所謂フィルムテーブルである。なお、フィルム保持部21としては、これに限らず、例えば1枚ずつ分割されたフィルムFを多数枚収容する固定式の所謂フィルムホッパなど、種々のものを用いて良い。
【0028】
吸取ドラム22は、フィルム保持部21から送り出されて所定長さに切断されたフィルムFを吸着保持しながら回転するとともに、そのフィルムFを貼付ドラム23に受け渡す回転体である。
【0029】
貼付ドラム23は、吸取ドラム22が吸着保持するフィルムFを受け取り、そのフィルムFを吸着保持しながら回転するとともに、そのフィルムFを容器Xに貼り付ける回転体である。本実施形態では、この貼付ドラム23が特徴的であるので、詳細な構成は後述する。
【0030】
また、フィルム移送機構20は、貼付ドラム23の近傍に並設されたメルト塗布装置24をさらに備えており、このメルト塗布装置24が、貼付ドラム23に保持されているフィルムFの裏面に糊を塗布するように構成されている。
【0031】
<制御装置30>
制御装置30は、容器搬送機構10の構成要素とフィルム移送機構20の構成要素とが同期して連動するように、つまり容器Xを貼付エリアZに搬送するタイミングと、フィルムFを貼付エリアZに搬送するタイミングとが同期するように、容器搬送機構10及びフィルム移送機構20を制御するものである。
【0032】
この制御装置30は、CPU、メモリ、ADコンバータ等を備えたコンピュータであり、前記メモリに格納された制御プログラムに従ってCPU等が動作することで、容器搬送機構10及びフィルム移送機構20の動作を制御するように構成されている。
【0033】
具体的にこの制御装置30の制御例としては、容器XのフィルムFを貼り付けるべく、容器Xと糊付け後のフィルムFとが出会ったタイミングで上述したベースカップ132を1回転させるようにサーボモータを制御する例を挙げることができる。
【0034】
<貼付ドラム23の詳細な構成>
上述した貼付ドラム23は、
図2及び
図3に示すように、フィルムFの表面を吸着して該フィルムFを保持するものであり、外周面に複数の吸着孔23pが形成されている。なお、フィルムFの表面とは、容器Xに貼り付けられた状態で径方向外側を向く面である。
【0035】
より具体的に説明すると、この貼付ドラム23は、フィルムFの長手方向一端部に設定された貼付始端部Faを保持する始端保持部231と、フィルムFの長手方向他端部に設定された貼付終端部Fbを保持する終端保持部232とを有している。
【0036】
これらの始端保持部231及び終端保持部232は、貼付ドラム23の軸方向(すなわち、フィルムFの幅方向)に沿って延びる突条であり、径方向外側を向く先端面がフィルムFを保持する保持面23a、bとなる。この保持面23a、bには、軸方向に沿って例えば等間隔に複数の吸着孔23pが開口している。
【0037】
始端保持部231の保持面23aと終端保持部232の保持面23bとは、同じ回転軌跡を辿るものであり、言い換えれば、貼付ドラム23の回転中心から始端保持部231の保持面23aまでの径方向に沿った距離と、貼付ドラム23の回転中心から終端保持部232の保持面23bまでの径方向に沿った距離とは等しく設定されている。そして、これらの保持面23a、bの回転軌跡上に上述したメルト塗布装置24の塗布面が設けられている。これにより、貼付ドラム23が回転することで、ラベルの貼付始端部Faの裏面及び貼付終端部Fbの裏面に糊付けされる。
【0038】
これらの始端保持部231及び終端保持部232は、それぞれ貼付ドラム23の周方向に沿って複数(この実施例ではそれぞれ4つ)設けられており、例えば周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0039】
然して、本実施形態の貼付ドラム23は、
図3に示すように、始端保持部231及び終端保持部232の間で、フィルムFを法線方向に変形可能な状態で保持するように構成されている。
【0040】
より具体的に説明すると、この貼付ドラム23は、
図2に示すように、始端保持部231及び終端保持部232の間に、これらの保持面23a、bよりも径方向内側(貼付ドラム23の回転中心側)に凹んだフィルム逃げ空間23xが形成されている。これにより、フィルムFは、その表面がこのフィルム逃げ空間23xに臨むように保持される。すなわち、本実施形態のフィルムFは、フィルム逃げ空間23xに臨む箇所は保持されずに径方向に拘束されておらず、この箇所が径方向に変形可能な状態で保持されている。
【0041】
本実施形態の貼付ドラム23は、始端保持部231及び終端保持部232の間でフィルムFを弛ませた状態で保持するように構成されており、言い換えると、始端保持部231の保持面23a及び終端保持部232の保持面23bの離間距離が、フィルムFの長手方向の長さよりも短くなるように構成されている。
【0042】
このようにフィルムFを弛ませるべく、ここでは貼付ドラム23に吸着保持されたフィルムFの回転速度が、吸取ドラム22に吸着保持されたフィルムFの回転速度よりも遅くなるように、上述した制御装置30が貼付ドラム23及び吸取ドラム22の回転速度を制御している。
【0043】
さらに、ここでの貼付ドラム23は、
図2及び
図3に示すように、フィルムFの貼付始端部Fa及び貼付終端部Fbの間の途中部を保持する途中保持部233を備えている。
なお、ここでの途中保持部233は、始端保持部231及び終端保持部232の中間に位置しているが、その配置は適宜変更して良いし、始端保持部231から終端保持部232の間の複数箇所に途中保持部233を設けても良い。
【0044】
この途中保持部233は、貼付ドラム23の軸方向(すなわち、フィルムFの幅方向)の延びる突条であり、径方向外側を向く先端面がフィルムFを保持する保持面23cとなる。この保持面23cには、軸方向に沿って例えば等間隔に複数の吸着孔23pが開口している。
【0045】
この途中保持部233の保持面23cは、始端保持部231の保持面23aや終端保持部232の保持面23bの回転軌跡よりも小さい回転半径で回転するものであり、言い換えれば、途中保持部233の保持面23cは、始端保持部231の保持面23aや終端保持部232の保持面23bよりも、貼付ドラム23の回転中心側(径方向内側)に位置している。
【0046】
また、途中保持部233は、そのフィルム保持力が、始端保持部231のフィルム保持力及び終端保持部232のフィルム保持力よりも弱くなるように構成されている。このための具体的な実施態様としては、例えば途中保持部233の吸着孔23pの数を始端保持部231や終端保持部232の吸着孔23pの数よりも少なくする態様や、途中保持部233の吸着孔23pに接続される吸気系の吸引力を、始端保持部231や終端保持部232の吸着孔23pに接続される吸気系の吸引力よりも弱くする態様などを挙げることができる。
【0047】
<本実施形態の効果>
このように構成したフィルム貼付装置100によれば、フィルムFが法線方向に変形可能な状態で保持されるので、容器Xにおける回転半径が長い箇所がフィルムFに当たる際にフィルムFを法線方向に逃がすことができる。これにより、始端保持部231及び終端保持部232により保持することのできる長さのフィルムFであれば、形状によらず種々の容器Xに貼り付けることができるので、コストの増大や制御の煩雑さを抑えつつ、横断面が非円形状の容器XにフィルムFを貼り付けることができる。
【0048】
また、始端保持部231及び終端保持部232の間でフィルムFを弛ませた状態で保持しているので、容器Xの回転半径の長い箇所にフィルムFを巻く際に仮にフィルムFが引っ張られたとしても、その分をフィルムFの弛みにより吸収することができるので、貼り付け途中に貼付ドラム23からフィルムFが外れてしまうことを防ぐことができる。
【0049】
さらに、フィルムFの途中部を保持する途中保持部233を設けているので、フィルムFを垂らすことなく保持することができ、貼り付け後のフィルムFにシワが生じることを防ぐことができる。
【0050】
そのうえ、途中保持部233の保持面23cが、始端保持部231の保持面23aや終端保持部232の保持面23bよりも回転中心側に位置しているので、フィルムFの途中部には糊付けされることなく、且つ、フィルムFの途中部は容器Xに押し当てられることがなく、フィルムFの貼り付け不良の低減等を図れる。
【0051】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記各実施形態に限られるものではない。
【0052】
例えば、前記実施形態ではフィルムFを弛んだ状態で保持していたが、フィルムFを始端保持部231から終端保持部232の間で張った状態で保持しても良い。
このようにしても、フィルムFの貼付始端部Faから貼付終端部Fbまでの途中部をフィルム逃げ空間23xに臨ませておくことで、コストの増大や制御の煩雑さを抑えつつ、断面が非円形状の容器Xに対してフィルムFを貼り付けることができる。
【0053】
また、始端保持部231及び終端保持部232の離間距離を変更可能な構成としても良い。すなわち、始端保持部231や終端保持部232の少なくとも一方を貼付ドラム23の周方向に沿って移動可能にしても良い。
このような構成であれば、種々の周長のフィルムFに対して共通の貼付ドラム23を用いることができる。
【0054】
前記実施形態では、途中保持部233が軸方向に延びるものであったが、
図4に示すように、例えばフィルムFの上端部など、軸方向の少なくとも一部に設けられていれば良い。
【0055】
容器Xとしては、必ずしも横断面が矩形状のものである必要はなく、横断面が多角形状や楕円形状などのものであっても良いし、さらには横断面が円形状のものに対して本フィルム貼付装置100を用いても良い。
【0056】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
100・・・フィルム貼付装置
X ・・・容器
F ・・・フィルム
Fa ・・・貼付始端部
Fb ・・・貼付終端部
10 ・・・容器搬送機構
20 ・・・フィルム搬送機構
21 ・・・フィルム保持部
22 ・・・吸取ドラム
23p・・・吸着孔
231・・・始端保持部
232・・・終端保持部
233・・・途中保持部
23x・・・フィルム逃げ空間
23 ・・・貼付ドラム
24 ・・・メルト塗布装置
30 ・・・制御装置