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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 21/008 20060101AFI20240627BHJP
   F21V 21/30 20060101ALI20240627BHJP
   F21S 8/06 20060101ALI20240627BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20240627BHJP
   F16B 45/02 20060101ALI20240627BHJP
   F16B 7/22 20060101ALI20240627BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240627BHJP
【FI】
F21V21/008
F21V21/30 300
F21S8/06
F16B1/00 A
F16B45/02 B
F16B7/22
F21Y115:10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020140147
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035662
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167438
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100166800
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 裕治
(72)【発明者】
【氏名】笹嶋 潤
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-169117(JP,A)
【文献】特開2014-179175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0116254(US,A1)
【文献】特開2004-006182(JP,A)
【文献】特開2019-094650(JP,A)
【文献】特開2013-152014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/00-21/40
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F16B 1/00
F16B 45/02
F16B 7/22
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明機能を有する装置本体と、
前記装置本体をメッセンジャーワイヤーに取り付けるためのアームと、
前記メッセンジャーワイヤーを固定する固定具と
を備え、
前記アームは、
前記メッセンジャーワイヤーを受け入るための開口部と、
前記メッセンジャーワイヤーにより支持される被支持部と、
前記開口部から受け入れた前記メッセンジャーワイヤーを前記被支持部に誘導する誘導溝と
を備え、
前記固定具は、前記アームに取り付けられ
前記固定具は、
前記アームに螺合するねじ体と、
前記ねじ体の先端に設けられ且つ前記被支持部に位置する前記メッセンジャーワイヤーに当接する凹み部分を有する固定パーツと
を備え、
前記被支持部と前記凹み部分は、前記メッセンジャーワイヤーの外周形状に沿った形状をなしている
照明装置。
【請求項2】
照明機能を有する装置本体と、
前記装置本体をメッセンジャーワイヤーに取り付けるためのアームと、
前記メッセンジャーワイヤーを固定する固定具と
を備え、
前記アームは、
前記メッセンジャーワイヤーを受け入るための開口部と、
前記メッセンジャーワイヤーにより支持される被支持部と、
前記開口部から受け入れた前記メッセンジャーワイヤーを前記被支持部に誘導する誘導溝と
を備え、
前記固定具は、前記アームに取り付けられ
前記固定具は、
前記アームに螺合するねじ体と、
前記ねじ体の先端に設けられ且つ前記被支持部に位置する前記メッセンジャーワイヤーに当接する一対の当接部を有する固定パーツと
を備え、
前記一対の当接部は、前記メッセンジャーワイヤーの延伸方向に間隔を空けて設けられている
照明装置。
【請求項3】
前記被支持部は前記開口部よりも上方に位置する
請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記メッセンジャーワイヤーの延伸方向から見たときに、前記被支持部は前記装置本体の重心上に位置する
請求項1~3の何れか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記アームは前記開口部を開閉する扉部を備える
請求項1~の何れか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メッセンジャーワイヤーに取り付けられて使用される照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
装置をメッセンジャーワイヤーに取り付ける金具として、「メッセンジャーワイヤーに吊りボルトを懸吊するメッセンジャーワイヤー用吊り金具において、メッセンジャーワイヤーの側面を挟んで固定する固定金具体と、この固定金具体の下端部に連結されて吊りボルトをメッセンジャーワイヤーの鉛直下方に懸吊する吊り金具体とから成り、これら固定金具体と吊り金具体との連結部に吊りボルトの懸吊方向を修正する角度調整部を設けた」ものが提案されている(例えば、特許文献1である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-199524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の吊り金具を利用して装置をメッセンジャーワイヤーに取り付ける際に、複数のパーツを組み付ける作業を伴うため、パーツの落下等の困難性を伴う。
本発明は、メッセンジャーワイヤーに取り付ける際に安全に取り付けることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る照明装置は、照明機能を有する装置本体と、前記装置本体をメッセンジャーワイヤーに取り付けるためのアームと、メッセンジャーワイヤーを固定する固定具とを備え、前記アームは、前記メッセンジャーワイヤーを受け入るための開口部と、前記メッセンジャーワイヤーにより支持される被支持部と、前記開口部から受け入れたメッセンジャーワイヤーを前記被支持部に誘導する誘導溝とを備え、前記固定具は、前記アームに取り付けられている。
【発明の効果】
【0006】
上記の構成によれば、メッセンジャーワイヤーに安全に照明装置を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る照明装置の斜視図であり、(a)は表側から見た図であり、(b)は裏側から見た図である。
図2】照明装置から光源カバーと電源カバーとを取り外した状態を表側から見た斜視図である。
図3】照明装置から光源カバーと電源カバーとを取り外した状態を裏側から見た斜視図である。
図4】(a)は連結部材にアームが取り付けられた状態を示す斜視図であり、(b)は連結部材からアームを外した状態を示す斜視図である。
図5】(a)はアームを長さ方向から見た図であり、(b)は内部の様子が分かるように一方の板状部分の一部を切り欠いた状態を裏側から見た斜視図であり、(c)は内部の様子が分かるように一方の板状部分の一部を切り欠いた状態を表側から見た斜視図である。
図6】(a)は第2実施形態のアームの一部を幅方向から見た図であり、(b)は内部の様子が分かるように一方の板状部分を切り欠いた状態を長さ方向から見た図であり、(c)は第2実施形態の固定パーツの変形例を示す図である。
図7】固定パーツの形状についての変形例を示す図である。
図8】変形例に係る固定パーツを示す斜視図である。
図9】防振用ワイヤーに接続可能な照明装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<概要>
第1の照明装置は、照明機能を有する装置本体と、前記装置本体をメッセンジャーワイヤーに取り付けるためのアームと、メッセンジャーワイヤーを固定する固定具とを備え、前記アームは、前記メッセンジャーワイヤーを受け入るための開口部と、前記メッセンジャーワイヤーにより支持される被支持部と、前記開口部から受け入れたメッセンジャーワイヤーを前記被支持部に誘導する誘導溝とを備え、前記固定具は、前記アームに取り付けられている。これにより、照明装置のメッセンジャーワイヤーへの取り付けの際に、複数のパーツを組み込む作業がなく、安全に取り付けることができる。
第2の照明装置は、第1の照明装置において、前記被支持部は前記開口部よりも上方に位置する。照明装置の自重により、メッセンジャーワイヤーをアームの開口部から被支持部側に容易に移動させることができる。また、照明装置の自重により被支持部メッセンジャーワイヤーに支持されることなり、固定具の固定作業等を効率よく行うことができる。
【0009】
第3の照明装置は、第1又は第2の照明装置において、前記メッセンジャーワイヤーの延伸方向から見たときに、前記被支持部は前記装置本体の重心上に位置する。れにより、メッセンジャーワイヤーに照明装置を取り付けた際の重量バランスがよく、固定具の固定作業等を効率よく行うことができる。
第4の照明装置は、第1~第3の照明装置において、前記アームは前記開口部を開閉する扉部を備える。メッセンジャーワイヤーが被支持部や誘導溝から抜けるのを防止できる。これにより、固定具の固定作業や照明装置の照射向きの調整作業等を効率よく行うことができる。
第5の照明装置は、第1~第4の照明装置において、前記固定具は、前記アームに螺合するねじ体と、前記ねじ体の先端に設けられ且つ前記被支持部に位置するメッセンジャーワイヤーに当接する固定パーツとを備える。これにより、ねじ体の螺合回転によりねじ体がアームに対して移動することとなり、固定作業を容易にできる。
【0010】
<実施形態>
1.全体
照明装置Xは、図1に示すように、照明機能を有する装置本体1と、装置本体1をメッセンジャーワイヤー9に取り付けるためのアーム5と、メッセンジャーワイヤー9をアーム5に固定する固定具7とを有する。なお、固定具7は、照明装置Xをメッセンジャーワイヤー9に取り付ける前の状態において、アーム5に取り付けられている。
ここで、装置本体1から光が照射される方向を第1方向とし、メッセンジャーワイヤー9の延伸方向を第2方向とし、第1方向と第2方向とに直交する方向を第3方向とする。本実施形態において、第1方向は、表裏方向又は上下方向であり、光が出射される側を表側又は下側とし、第2方向を長さ方向、第3方向を幅方向として説明する。
以下、各構成について説明する。
【0011】
2.装置本体
装置本体1は、少なくとも光源ユニット10と、光源ユニット10が装着される光源ベース11とを備える。この場合、アーム5は光源ベース11に固定される。
装置本体1は、光源ユニット10に点灯電力を供給する電源ユニット12を備えてもよい。この場合、電源ユニット12は、光源ベース11に装着されてもよい。本実施形態では電源ユニット12を備え、当該電源ユニット12は電源ベース13に装着され、電源ベース13が光源ベース11の裏側で一対の連結部材14により連結される。なお、一対の連結部材14にアーム5が固定される。
装置本体1は、光源ユニット10の熱を放出する放熱ユニット15を備えてもよい。本実施形態では放熱ユニット15を備え、当該放熱ユニット15は光源ベース11の裏側に装着される。
以下、主に図2及び図3を用いて説明する。
【0012】
(1)光源ユニット
光源ユニット10は、図2に示すように、基板101と複数個のLED素子102と電源ユニット12から受電するためのコネクタ103とを備える光源モジュール104と、光源モジュール104を表側から覆う光源カバー105(図1の(a)参照)とを有している。
【0013】
(2)光源ベース
光源ベース11は、例えば、金属板により構成され、長さ方向に長い矩形状をする平板部111と、平板部111の短辺に相当する端縁から裏側に屈曲する屈曲部112とを有する。平板部111の表面には光源ユニット10が、裏面には放熱ユニット15がそれぞれ装着される。
【0014】
(3)電源ユニット
電源ユニット12は、基板121と基板121に実装される複数個の電子部品122とからなる電源回路123と、これらを覆う電源カバー124(図1参照)とを備える。
電源ユニット12は、基板121と図外の商用電源とを接続するための端子台125と、端子台125を支持する支持板126と、当該支持板126を覆い且つ電源カバー124に隣接する端子カバー127(図1参照)とを備える。
電源ユニット12は、無線通信ユニット(本実施形態では備えていない)を支持する支持板128と、当該支持板128を覆い且つ電源カバー124に隣接する無線カバー129(図1参照)とを備える。
【0015】
(4)電源ベース
電源ベース13は、例えば、金属板により構成され、長さ方向に長い矩形状をする平板部131と、平板部131の短辺に相当する端縁から表側に屈曲する屈曲部132とを有する。平板部131の裏面には電源ユニット12が装着される。
【0016】
(5)連結部材
連結部材14は、光源ベース11と電源ベース13とを、上下方向に間隔をおいて長さ方向の両端部で連結する。ここでは、連結部材14は、上側広がりの台形状の平板部141と、平板部141の幅方向の両端から他方の連結部材14側に屈曲する屈曲部142とを有する。
平板部141の下端部が、光源ベース11の長さ方向の端部に係合する状態で、光源ベース11の屈曲部112にねじ148により固定される。平板部141の上部が、電源ベース13の屈曲部132にねじ149により固定される。
連結部材14は、図4に示すように、アーム5の係合部分511が係合するための貫通孔143と、アーム5を連結部材14に固定するための貫通孔144,145とを有している。
貫通孔143は、幅方向に長い形状をし、開口の上端縁の幅方向の寸法がアーム5の係合部分511の幅方向の寸法に対応している。これにより、連結部材14が幅方向の全長に亘って下方から係合部分511により係合されることとなり、照明装置Xがアーム5から落下し難くできる。また、アーム5が連結部材14に対して幅方向に移動するのを規制される。貫通孔144,145は、ボルト147用であり、当該ボルト147は、連結部材14の貫通孔144,145を挿通して、アーム5のねじ孔部分513,515に螺合する。
【0017】
(6)放熱ユニット
放熱ユニット15は、図2及び図3に示すように、上下方向と長さ方向に延伸する放熱板151を幅方向に間隔をおいて複数枚有する。ここでの放熱板151は、上側が開放する「コ」状に1枚の金属板を屈曲させたコ字状体により構成され、当該コ字状体は光源ベース11の裏面に密着状態で固定されている。
【0018】
3.アーム
アーム5は、図4の(b)に示すように、装置本体1と連結される被連結機能と、メッセンジャーワイヤー9に支持される被支持機能とを少なくとも有する。
ここでのアーム5は、係合構造を利用して、メッセンジャーワイヤー9に取り付けられる。
アーム5は、ここでは、被連結部51と被支持部52とを本体部50に有している。アーム5は、さらに、メッセンジャーワイヤー9を被支持部52に受け入れるための開口部53と、受け入れたメッセンジャーワイヤー9を被支持部52に誘導する誘導溝54とを備える。これにより、メッセンジャーワイヤー9を被支持部52に容易に誘導できる。
アーム5は、メッセンジャーワイヤー9を受け入れる際に、開口部53を開閉する扉55を備えてもよい。ここでのアーム5は、開口部53を開閉する扉55を備えている。これにより、誘導溝54内のメッセンジャーワイヤー9が開口部53から誘導溝54の外部に出ることを防止できる。
【0019】
(1)本体部
本体部50は上下方向に長い長尺状をしている。ここでは、本体部50は、長さ方向から見たときに矩形状をしている。
本体部50は、上下方向と直交する断面において、「コ」字状をし、一対の板状部分501と、一対の板状部分501の端部同士を連結する連結部分503とを有している。
本体部50は、一枚の金属板をプレス加工することにより構成されている。これにより、安価に実施できる。
【0020】
(2)被連結部
被連結部51は、本体部50における長さ方向の外方側に位置する板状部分501の下端に形成され且つ装置本体1の連結部材14の貫通孔143に係合する係合部分511と、固定用のボルト147が螺合するねじ孔部分513,515とを有する。
係合部分511は、板状部分501の下端から、長手方向の外方側へと折り返されている。これにより、アーム5の本体部50の下部の外側面と、連結部材14の平板部141の内側面とが当接することができ、安定した状態で係合できる。
ねじ孔部分513,515は、例えば、板状部分501の裏面に固定された雌ねじ体により構成されている。なお、板状部分501における雌ねじ体に対応する部分には貫通孔が形成されている。
ねじ孔部分513,515は、上下方向に間隔をおいて複数個(例えば、2個)設けられている。これにより、アーム5が連結部材14に対して長さ方向を回転軸として回転するのを防止できる。
【0021】
(3)被支持部
被支持部52は、長さ方向から見たときに、本体部50の上部側に設けられている。ここでの被支持部52は、一対の板状部分501に対して、長さ方向から貫通する貫通孔部分の上部に対向する対向部分521により構成される。貫通孔は、その中心が一対の板状部分501の幅方向の中央に位置する。これにより、アーム5がメッセンジャーワイヤー9に対して、幅方向にバランスよく支持される(係合する)。
なお、貫通孔の大きさは、メッセンジャーワイヤー9が挿通可能な大きさである。
被支持部52は、後述の誘導溝54の一部に設けられた部分であり、メッセンジャーワイヤー9が支持される際にメッセンジャーワイヤー9の表面と当接する部分である。
【0022】
(4)開口部
開口部53は、幅方向の一方側に設けられている。ここでの開口部53は、連結部分503側に設けられ、全体として、幅方向の一方側に向いて開口する。開口部53の大きさは、長さ方向に延伸するメッセンジャーワイヤー9が幅方向から挿入可能な大きさである。開口部53は被支持部52よりも下側に位置する。これにより、メッセンジャーワイヤー9がアーム5から外れ難くできる。
【0023】
(5)誘導溝
誘導溝54は、長さ方向から見たときに、開口部53から被支持部52へと延伸するように設けられている。誘導溝54は、一対の板状部分501に対して同じ形状で形成されている。これにより、安価に誘導溝54を設けることができる。
被支持部52は開口部53よりも上方に位置する。このため、誘導溝54は、開口部53を基準にすると、被支持部52に向かって奥側上がりに傾斜している。ここでの誘導溝54は、長さ方向から見たときに、「L」字状をし、より具体的には、「L」字の角が丸くなったような形状をしている。これにより、開口部53から受け入れたメッセンジャーワイヤー9をスムーズに被支持部52へと誘導できる。
誘導溝54は、図5の(a)に示すように、溝の延伸方向と直交する溝の幅方向の大きさが開口部53に近い領域で大きくなっている。これにより、メッセンジャーワイヤー9の開口部53への受け入れを容易にできる。
【0024】
(6)扉
扉55は、図5に示すように、開口部53を開閉するための扉部材551と、扉部材551を回動自在に支持する支持軸553と、支持軸553に支持された扉部材551を開口部53側に付勢する付勢ばね555とを備える。
扉部材551は、開口部53を塞ぐ蓋部551aと、蓋部551aの幅方向の両側から立設する一対の立設部551bとを備え、立設部551bの貫通孔を支持軸553が挿通する。
支持軸553は、例えば、ヒンジピンを利用している。支持軸553は、本体部50の一対の板状部分501を挿通し、一対の板状部分501の長さ方向の外側で止め輪により固定されている。
付勢ばね555は、例えば、コイルバネを利用し、コイルバネの内部を支持軸553が挿通する。コイルバネの一端部は、コイル部から接線方向に延伸し、扉部材551の蓋部551aに接触する。コイルバネの他端部は、コイル部から接線方向に延伸し、本体部50の連結部分503に接触する。これにより、扉部材551を開口部53側に付勢できる。また、メッセンジャーワイヤー9にアーム5を取り付ける際には、メッセンジャーワイヤー9の通過によって、扉部材551が付勢力に反して開口部53を開ける。メッセンジャーワイヤー9が通過すると、扉部材551が付勢力によって開口部53を塞ぐ(閉じる)。これにより、開口部53に入ったメッセンジャーワイヤー9が開口部53から外れ難くできる。
【0025】
4.固定具
固定具7はアーム5に設けられている。
固定具7は、アーム5に螺合するねじ体71と、ねじ体71の先端に設けられ且つ被支持部52に位置するメッセンジャーワイヤー9に当接する固定パーツ73とを備える。これにより、照明装置Xをメッセンジャーワイヤー9に取り付ける前に、固定具7がアーム5に組み込まれているため、取り付ける際に固定具7を組み合わせる必要がなく、安全に取り付け作業をできる。
【0026】
ねじ体71は、アーム5の連結部分503に設けられたねじ孔部503aに螺合する。ねじ体71は幅方向に延伸する。これにより、ねじ体71の回転によって固定パーツ73が幅方向に調整(移動)可能となる。
固定パーツ73は、一対の当接部731と、ねじ体71に固定される固定部733とを有する。一対の当接部731は長さ方向に間隔を空けてあり、メッセンジャーワイヤー9に対して幅方向から2箇所で当接する。これにより、アーム5は、メッセンジャーワイヤー9に対して上下方向と幅方向の2方向から当接することとなり、安定した状態で、照明装置Xがメッセンジャーワイヤー9に固定される。
固定パーツ73は、上下方向と直交する断面において、メッセンジャーワイヤー9側が開放する「コ」字状をしている。
【0027】
当接部731は、固定パーツ73の移動方向(幅方向)であってメッセンジャーワイヤー9と反対側に凹入する凹み部分731aを有する。凹み部分731aは、メッセンジャーワイヤー9の外周形状に対応した円弧状に凹入している。これにより、メッセンジャーワイヤー9との当接面積を大きくできる。また、メッセンジャーワイヤー9の上下方向の移動を規制できる。
固定部733は、一対の当接部731のメッセンジャーワイヤー9と反対側の端縁同士を連結し、ねじ体71の先端部に止め輪でねじ軸周りに回転可能に固定されている。固定部733はねじ体71用の貫通孔を有している。ねじ体71の先端部はねじ部分より小径となっており、当該小径部分が固定部733の貫通孔を挿通し、固定部733の裏側で止め輪により固定されている。固定部733は、表面側でねじ体71のねじ部分と小径部分との間の段差部に当接又は近接し、裏側で止め輪に当接又は近接する。なお、アーム5は、図5の(b)に示すように、連結部分503にねじ体71用のねじ孔部503aを有している。
【0028】
<第2実施形態>
第1の実施形態では、固定具7は、1種類のメッセンジャーワイヤー9を固定するように構成されていたが、直径の異なる複数のメッセンジャーワイヤー9を固定できるようにしてもよい。
複数種類のメッセンジャーワイヤー9を固定できる形態を第2実施形態として、図6を用いて説明する。
アーム1005は、図6の(a)及び(b)に示すように、下方向と直交する断面形状が「コ」字状をし、一対の板状部分1501と連結部分1503とを有する本体部1050と備える。アーム1005は、被連結部(図6では図示省略)、被支持部1052、開口部1053、誘導溝1054、扉55を有している。被連結部及び扉55は第1実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0029】
アーム1005は、固定具1007を上下に移動可能に支持する支持部1055を有している。支持部1055は、上下方向に延びる長孔部分1551と、長孔部分1551の裏側(メッセンジャーワイヤー9側)に配された可動板1552と、可動板1552を上下に移動可能に支持する凸条部分1553とを有する。
長孔部分1551は、固定具1007のねじ体1071のねじ部分の挿通を許容する大きさに構成されている。
可動板1552の幅方向の寸法は、一対の板状部分1501の内面間の距離に対応している。可動板1552は、その中央にねじ体1071用のねじ孔部が設けられている。凸条部分1553は、一対の板状部分1501から他方の板状部分1501に向かって突出すると共に上下方向に延伸している。本体部50の連結部分1503と凸条部分1553の間隔は、可動板1552の厚みに対応している。
これにより、可動板1552が、ねじ体1071の中心軸周りに回転することなく、上下方向に移動可能に支持される。なお、可動板1552の上下動は、ねじ体1071が長孔部分1551の上下端に当接することで、規制される。
被支持部1052は、太さの異なる複数のメッセンジャーワイヤー9に対応できるように、上方向に凹入する溝を複数段で有する。ここでの被支持部1052は、3種類のメッセンジャーワイヤー9A,9B,9Cのそれぞれと嵌合する3つの溝1521,1522,1523を有する。
【0030】
固定具1007は、アーム1005に対して上下移動可能に支持されたねじ体1071と、ねじ体1071の先端に設けられた固定パーツ1073とを備える。
ねじ体1071は、長孔部分1551を挿通して、可動板1552のねじ孔部分に螺合し、さらに、メッセンジャーワイヤー9側へと延出する。
固定パーツ1073は、ねじ体1071の先端部に回転可能に固定される。固定パーツ1073は、一対の当接部1731と固定部とを有している。
一対の当接部1731は、メッセンジャーワイヤー9と反対側に凹入する凹み部分1731aを有している。凹み部分1731aは、太さの異なる複数のメッセンジャーワイヤー9A,9B,9Cに対応できるように、複数段(ここでは3段である)の溝1731b,1731c,1731dが設けられている。
固定具1007は、メッセンジャーワイヤー9の直径に合わせて、上下動可能であり、メッセンジャーワイヤー9A,9B,9Cに対してメッセンジャーワイヤー9A,9B,9Cの中心を通る幅方向からメッセンジャーワイヤー9A,9B,9Cに当接できる。
【0031】
当接部1731は、上下方向の中央を通り且つ幅方向に延伸する仮想線に対して、上下対称な溝1731b,1731c,1731dを有していたが、図6の(c)に示すように、当接部の上端から下方に移るにしたがって半径が大きくなる溝1731e,1731f,1731gを複数段(例えば3段)有してもよい。
【0032】
以上、第1及び第2実施形態を説明したが、これらの実施形態に限られるものではなく、例えば、以下のような変形例であってもよい。また、実施形態と変形例、変形例同士を組み合わせたものでもよい。
また、実施形態や変形例に記載していない例や、要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。
【0033】
<変形例>
1.照明装置
照明装置Xは、表側から見ると、長さと幅との比率(長さ/幅)が1.5程度の矩形状をしていたが、長さ方向の寸法が幅方向の寸法よりも小さく矩形状であってもよい。また、照明装置は、長さと幅との比率(長さが/幅)が1.5以上、例えば、10倍以上のベースタイプであってもよいし、表側から見たときに円形状の高輝度タイプであってもよいし、設置面に埋設されるダウンライトタイプであってもよい。
【0034】
2.アーム
(1)本体部
実施形態の本体部50,1050は、上下方向に長い矩形状をしていたが、被連結機能と被支持機能とを有することができればよく、例えば、上側の幅が小さい台形状であってもよいし、長円、楕円状であってもよい。つまり、本体部の形状は特に限定されるものではないが、重量バランスを考慮すると、幅方向の中央を通り上下方向に延伸する仮想線に対して線対称となる形状が好ましい。
実施形態では、上下方向と直交する断面形状が「コ」字状をしていたが、矩形状、三角形等の多角形状の筒状でもよく、幅方向に延伸する1枚の平板状であってもよく、その横断面形状は特に限定されるものではない。
【0035】
(2)被支持部
被支持部52,1052は、円形状の貫通孔(形状は半円状としてもよい)を利用しているが、三角形状等の多角形、楕円形状(下半分がない形状である)であってもよいが、取り付けた際の照明装置Xの安定性を考慮すると、メッセンジャーワイヤー9の横断面形状に近い方が好ましい。
被支持部52,1052は、幅方向の中央に位置しているが、幅方向の中央から外れた位置であってもよいが、重量バランスを考慮すると、中央が好ましい。換言すると被支持部は、メッセンジャーワイヤー9の中心が照明装置Xの重心を通り且つ上下方向に延伸する仮想線上に位置するように、メッセンジャーワイヤー9に取り付けられるのが好ましい。これにより、光源ユニット10の基板101の法線方向が下方向と一致する。通常は、照明装置Xの光は下方向へ照射されることが求められるので、ボルト147を緩めて角度調整するなどの手間を省略できる。
また、メッセンジャーワイヤー9の中心が照明装置Xの重心を通り且つ上下方向に延伸する仮想線上に位置すると、重量バランスがよくなり、照明装置Xを手で支持しない、又は軽く支持するだけでよく、固定具7の固定作業を効率よく行うことができる。
【0036】
(3)開口部
開口部53は、長さ方向から見たときに、上下方向に長い矩形状の長辺部分に設けられているが、短辺部分(上端)に設けられてもよい。この場合、誘導溝を「J」字状とすることで実施できる。また、開口部53は、幅方向の他方側(連結部分がない側)に設けられてもよい。但し、開口部53を開閉する扉55を設ける場合であって、扉部材551の蓋部551aを開口部53の周辺部分(上側部分)に当接させて、その回動を規制する場合には、連結部分503側に開口部がある方がよい。
【0037】
(4)誘導溝
実施形態の誘導溝54,1054は、開口部53,1053が被支持部52,1052よりも下側にあるため、溝の奥側に進むにしたがって上側に向かう円弧状をしていたが、直線状に傾斜してもよいし、「L」字状に屈曲してもよい。
誘導溝54,1054は、メッセンジャーワイヤー9を受け入れ易くするために、開口部53,1053側が広くなっていたが、誘導溝の幅は一定であってもよい。ただし、開口部53,1053側が広い方がメッセンジャーワイヤー9を受け入れやすい。
【0038】
3.固定具
(1)ねじ体
ねじ体71は、アーム5の本体部50の連結部分503のねじ孔部503aに螺合しているが、例えば、本体部50における幅方向の連結部分503と反対側に雌ねじ部を設け、当該雌ねじ部に螺合するようにしてもよい。
【0039】
(2)固定パーツ
固定パーツ73は、上下方向と直交する断面形状が「コ」字状となるように金属板を屈曲させていたが、メッセンジャーワイヤー9と対向する部分に溝を有する1枚の板状部材、ブロック状部材又は箱状部材により構成してもよい。
当接部731の凹み部分731aは、円弧以外の形状であってもよい。例えば、図7に示すように、三角形状((1)である)、方形状((2)である)、台形状((3)である)の他、楕円形状、長円形状であってもよい。
当接部731は、上下方向の中央を通り且つ幅方向に延伸する仮想線に対して上下対称となっていたが、固定パーツの移動に伴ってメッセンジャーワイヤー9と当接できればよく、例えば、図7に示すように、「L」字状((4)である)、「L」の下辺が下側に下がるように傾斜する形状((5)である)、(直角)三角状((6)である)であってもよい。
【0040】
当接部731におけるメッセンジャーワイヤー9と対向する部分に円弧状の凹み部分731aを有していたが、凹み部分は、メッセンジャーワイヤーの断面形状にあわさせて、図8の(a)に示すように、凹凸面2731bを有してもよい。メッセンジャーワイヤー9は、心綱の周りに複数本のストランドを所定ピッチで撚り合わせて構成され、表面が凹凸状となっている。凹み部分731aは、メッセンジャーワイヤー9の横断面形状(円形状)に対応して円弧状をし、凹み部分731aの面が、メッセンジャーワイヤー9の表面の凹凸に対応している。ここでの凹凸面2731bは、三角波状をしているが、正弦波状をしてもよい。正弦波状の場合、三角波状に比して施工時に指先等を傷める恐れがない。
また、凹みに合わせて幅方向に階段状に凹入してもよい。また、段差は、一定でなく、幅方向に変化してもよい。
固定パーツ73は、メッセンジャーワイヤー9に直接当接していたが、ゴム部材を凹み部分に設け、ゴム部材を介してメッセンジャーワイヤー9に当接してもよい。このとき、ゴム部材は滑り止めとして作用する。
【0041】
実施形態では、固定具7のアーム5への取付箇所及び固定具1007の可動板1552への取付箇所は、1か所であったが複数個所であってもよい。
例えば、アームは、複数のねじ孔部分を有し、複数のメッセンジャーワイヤー9の直径に対応して複数個の固定パーツを備え、使用するメッセンジャーワイヤーに合わせて選択した固定パーツを用いて、対応するねじ孔部分に取り付けるようにしてもよい。
また、アームを、長さ方向と直交する平板部分と当該平板部分の幅方向の両側から長さ方向に屈曲する一対の側板部分とを有するように構成し、一方の側板部分は、上下方向に間隔をおいた2個のねじ孔部分を有し、他方の側板部分は1個のねじ孔部分を有し、図6の(b)に示すような固定パーツ1073を用いて、溝1731b,1731dを使用する場合は、幅方向の一方の側板部分に設けられた上下に離されたねじ孔部分を使用し、溝1731cを使用する場合には、他方の側板部分に設けられたねじ孔部分を用いるようにしてもよい。
【0042】
4.振れ防止
照明装置Yは、図9に示すように、装置の揺れを防止するための揺れ防止用ワイヤーと接続する接続部を有してもよい。ここでの照明装置Yは、アーム2005に接続部2058が設けられている。具体的には、接続部2058は、アーム2005の一対の板状部分2501を対向する板状部分2501側に凹入させた凹入部分2581と、当該凹入部分2581に設けられた貫通孔2583とにより構成されている。
貫通孔2583に、振れ防止用ワイヤー2090の一端部が接続される。なお、振れ防止用ワイヤー2090は、メッセンジャーワイヤー9に対して直交する方向に延伸して、他端部が図示しない梁等に固定されている。
なお、照明装置は、防止用ワイヤー2090との接続部を連結部材に有してもよい。
【符号の説明】
【0043】
Y 照明装置
1 装置本体
5 アーム
7 固定具
9 メッセンジャーワイヤー
50 本体部
51 被支持部
53 開口部
54 誘導溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9