(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】非侵襲性拡散音響共焦点3次元撮像
(51)【国際特許分類】
A61B 8/15 20060101AFI20240627BHJP
A61B 8/08 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61B8/15
A61B8/08
(21)【出願番号】P 2021534293
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(86)【国際出願番号】 CA2019000164
(87)【国際公開番号】W WO2020118406
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2018-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521258267
【氏名又は名称】ロドニー ハーリング
【氏名又は名称原語表記】HERRING, Rodney
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ロドニー ハーリング
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501940(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0141481(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0143245(US,A1)
【文献】米国特許第04367648(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
G01N 29/00-29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に対して異なる
吸光度を有する第1の材料内の前記物体を撮像する方法であって、前記第1の材料の外側の流体又は非晶質の第2の材料内の仮想音響ソースに音響コヒーレントビームを集束させるステップと、前記仮想音響ソースからの少なくとも複数の散乱ビームが前記第1の材料を走査し、少なくとも1つの散乱ビームが前記物体から反射されて反射ビームを形成し、少なくとも1つの散乱ビームが前記物体を迂回してバイパスビームを形成するように、前記流体又は非晶質の材料内の前記仮想音響ソースを移動させるステップであって、前記反射ビーム及び前記バイパスビームは、互いに交差してコヒーレント干渉ゾーンを形成するステップと、フレネル縞を提供するように前記コヒーレント干渉ゾーンをデフォーカスするステップであって、前記フレネル縞は、前記物体の画像を形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記物体の前記画像を検出する音響検出器を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの散乱ビームが前記物体を通過して物体ビームとなり、前記音響検出器によって検出されるように、前記流体又は非晶質の材料中の前記仮想音響ソースを移動させるステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物体ビームの位相を前記バイパスビームの位相と比較して、前記物体に関する情報を提供するステップを更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記物体ビームの振幅を前記バイパスビームの振幅と比較して、前記物体に関する情報を提供するステップを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記位相からの前記情報は、前記物体の温度、組成、磁場、又は静電場であって、前記振幅からの前記情報は、前記物体の前記
吸光度である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記物体の音速が決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物体の前記音速は、前記物体を識別するために使用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記物体は、前記第1の材料内の腫瘍又は病変として識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記音響コヒーレントビームは、患者の体内の流体又は非晶質の第2の材料内に集束される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記音響コヒーレントビームは、膀胱内の尿、脂肪組織、脳組織、腹膜液、胃液、胆嚢、及び脾臓のうちの1つに集束される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記音響コヒーレントビームは、対象の身体の少なくとも一部が浸漬されている患者の身体の外側の流体内に集束される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
物体に対して異なる
吸光度の第1の材料内の前記物体を撮像するためのシステムであって、コヒーレント音響ビームを発するコヒーレント音響ビームソースと、仮想音響撮像ソースに前記コヒーレント音響ビームを集束させるように位置されたフォーカサであって、前記仮想音響撮像ソースは、散乱ビームを発する、フォーカサと、前記コヒーレント音響ビームソースと機械通信するコヒーレント音響ビームソースアクチュエータと、前記フォーカサと機械通信するフォーカサアクチュエータと、前記コヒーレント音響ビームソースアクチュエータ及び前記フォーカサアクチュエータと電気通信するプロセッサと、前記散乱ビームの少なくとも一部が前記物体で反射され反射ビームとなり、前記物体を
迂回してバイパスビームとなるように、且つ、前記反射ビーム及び前記バイパスビームが干渉ゾーンを形成するように、前記プロセッサと通信し、前記コヒーレント音響ビームソース及び前記フォーカサを移動させるように前記プロセッサに指示する命令を有するメモリであって、前記メモリは、前記コヒーレント音響ビーム及び前記フォーカサを動かして前記干渉ゾーンにフレネル縞を生成するように更に構成される、メモリと、前記フレネル縞を撮像する
ことによって前記物体の画像を形成するように位置された音響検出器と、を備えるシステム。
【請求項14】
前記メモリは、前記プロセッサが前記画像を鮮鋭化するための命令を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記音響検出器の前に空間フィルタを更に備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コヒーレント音響ビームソースと前記フォーカサとの間に円錐リフレクタを更に備える、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
遠位端をそれぞれ有する一対の関節アームと、各音響検出器が前記遠位端に近接してアーム上に取り付けられる第2の音響検出器とを更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
卵巣を画像化するためのサイズである、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
物体に対して異なる
吸光度の第1の材料内の前記物体を撮像するためのシステムであって、
コヒーレント音響ビームを発するコヒーレント音響ビームソースと、仮想音響撮像ソースに前記コヒーレント音響ビームを集束させるように位置されたフォーカサであって、前記仮想音響撮像ソースは散乱ビームを発する、フォーカサと、前記コヒーレント音響ビームソースと機械通信するコヒーレント音響ビーム
ソースアクチュエータと、前記フォーカサと機械通信するフォーカサアクチュエータと、音響検出器と、を含む装置と、
プロセッサ、ユーザインタフェース、及びメモリを含む計算デバイスであって、前記プロセッサは、前記音響検出器と電気通信し、前記メモリは、前記プロセッサと通信し、前記ユーザインタフェースに画像を表示するように前記プロセッサに指示する命令を有し、前記プロセッサは、前記コヒーレント音響ビームソースアクチュエータ及び前記フォーカサアクチュエータと電気通信し、前記メモリは、前記プロセッサと通信し、前記コヒーレント音響ビームソース及び前記フォーカサを移動させるように前記プロセッサに指示する命令を有し、その結果、前記散乱ビームの少なくとも一部が前記物体で反射され反射ビームとなり、前記物体を
迂回してバイパスビームとなり、且つ前記反射ビーム及び前記バイパスビームが干渉ゾーンを形成し、前記メモリは、前記コヒーレント音響ビーム及び前記フォーカサを移動させて前記干渉ゾーンにフレネル縞を生成し、前記音響検出器が前記フレネル縞を撮像するように位置されるように更に構成される、計算デバイスと、
を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、サイズ、位置、及び形状が決定される3次元画像を得るために身体又は身体の一部を非侵襲的に走査する方法である。本方法は、更に、身体又は身体の一部の状態の判定を可能にする。走査装置も提供される。
【背景技術】
【0002】
ビームの振幅又は位相を検出することによって物体に関する情報を得るために放射線ビームを使用することは、科学的及び医学的目的でよく知られている。例えば、物体を通過するビームの位相情報は、物体の温度、組成、磁場又は静電場に関する情報を提供することができ、振幅測定は、物体の不透明度又は密度に関する情報を提供することができる。ビームは、放射の波から構成され、波Φは、振幅Aと位相θとの両方を用いて数学的に、
Φ=Aexp(θ) 1)
として記述することができる。
【0003】
この方法から得られる情報は、ビーム波の振幅を検出しているのか、ビーム波の振幅と位相との両方を検出しているのかに依存する。この方法がX線の場合のようにビームの振幅のみを測定する場合、物体内の濃度差のみが報告される。これは、物体の温度、組成、弾性、歪み場、磁場又は静電場のような情報を提供しないので、この技術の限界である。X線イメージング法などの多数のイメージング技術のさらなる欠点は、使用される放射線の強度である。診断に使用される場合、使用されるレベルは体内の細胞に損傷を与える可能性がある。
【0004】
超音波を含む音響顕微鏡は現在、子宮内の胎児及び動脈及び静脈内の血流など、身体の内部を画像化するために広く使用されている。これらの顕微鏡は、平行な音響ビームを放射し、このビームは、骨などの表面、及ぶ胚の流体と胎児との間の界面などの界面に接触すると、拡散及び散乱ビームとして反射される。反射ビームは、音響ビームの強度を測定するために使用される。これらの顕微鏡は、筋肉又は胚性液などの軟組織を通過又は反射するビームの強度及び位相を測定することができない。これらの顕微鏡は、音響ビームの位相ではなく、音響ビームの強度のみを使用するため、温度又は組成を測定することもできない。したがって、画像は、表面又は界面に関係する情報以外の情報を提供するのに適していない。これらの顕微鏡の更なる欠点は、生成された画像が、表面又は界面に衝突後のビームの拡散散乱によって生じる相当量の背景強度を有することである。一例として、前立腺を取り上げると、超音波画像は前立腺と他の組織との間の界面を識別しにくく、また尿道を特定することもできるが、前立腺内の異常を特定することはできない。
【0005】
ビームの振幅を測定する別の方法は、共焦点顕微鏡法である。共焦点走査レーザ顕微鏡は、3次元物体を見るために1980年代に開発された。共焦点走査レーザ顕微鏡法は、物体を通過するレーザービームを使用して、物体の焦点面上の点と共焦点に配置されたピンホールアパーチャを介してビームの振幅を検出することによって、物体の3次元振幅画像を生成する。
【0006】
共焦点顕微鏡は、現在、材料、生物学、及び医学において幅広い用途を見出している。診断ツールとしての共焦点顕微鏡は、検出されたビームの振幅差を生じる薄い組織及び物体の濃度差のみを検出することに限定される。ビームは、組織及び他の材料に遠くまで浸透することはできない。それらは、物体の位相情報を測定しない。したがって、共焦点顕微鏡は、物体の組成又は温度を測定することができない。
【0007】
仮に、この方法がビームの位相の変化を測定するならば、物体の温度及び組成に関する情報を提供することができる。これには音響ビームを用いることができる。音響ビームの位相は、物体の屈折率によって変化し、屈折率は、物体の温度及び組成に依存し、音響ビームの音速の尺度である。
【0008】
物体の絶対位相は、米国特許第7,639,365号に記載されているように、共焦点走査ホログラフィー顕微鏡を使用して測定することができる。この試みは、レーザービームが人体を容易に通過しないので、人体の内部を画像化するためには使用することができない。物体の相対位相は、米国特許第8,485,034号に記載されているように、音響共焦点干渉計顕微鏡を使用して測定することができる。この試みは、干渉ビームとミラーとプリズムとの複雑な配置を必要とし、幾何学的制約のために人体の内部を撮像するには適していない。
【0009】
標準的な干渉顕微鏡、標準的なホログラフィック顕微鏡、及び標準的なホログラフィック干渉顕微鏡が、物体の位相及び振幅の両方を測定し、物体の密度、組成及び温度などの重要な情報を与えるために使用されてきた。これらの顕微鏡は、位相と振幅の両方を測定することによって物体の3次元振幅画像及び位相画像を生成する。それらが光学顕微鏡であるので、これらの顕微鏡から測定された3次元情報は、物体の表面からのみ得られ、物体内の点では検出されない。全ての場合、参照ビーム及び物体ビームは、データを収集するために使用され、これは画像の形成をもたらす。これは、これらの顕微鏡の使用を、物体の表面からの又は表面についてのデータを収集することに制限する。したがって、医学的診断において、それらは、皮膚の疾患に潜在的に有用であるが、内部組織又は器官の疾患には有用ではない。
【0010】
音響ビームを使用して物体の振幅及び位相を測定することができる他の手段は、米国特許第6,679,846号、第6,436,046号、第6,132,375号及び第6,193,663号に開示されている空間フィルタリングされた透過型超音波位相画像である。空間的にフィルタリングされた透過型超音波位相画像化は、放射されたビームの振幅及び位相を測定し、その後、検出器への到着時に物体を通過した後の音響ビームの振幅及び位相を再び測定することを含む。振幅と位相の違いは、物体に起因する。音源から、ビームは外側に拡散して拡散し、必要ではない背景散乱に至る。この背景散乱内又は周囲には、関心のある画像がある。その画像は、画像化されている物体の界面を表す。これは、3次元画像を表すものではなく、関心のある組織又は器官内の病変組織を特定することもできない。同様に、材料においては、液体と固体との間の界面のような界面が存在しない限り、3次元画像を提供することも、材料内に異なる材料又は材料内の異なる物理的特性を有する領域を示すこともできない。
【0011】
米国特許出願公開第20040059265号は、組織内の腫瘍などの塊に音響エネルギーを非侵襲的に集束させて、塊を低減又は排除することを開示する。組織中の塊の存在は、物質に音響エネルギーを印加することによって検出される。塊は、その位置を決定するために局在化される。塊上の音響エネルギーを駆動するために時間的特徴が開発される。音響エネルギーを塊に動的に集束させて、それを低減又は排除することは、時間的特徴を利用して達成される。塊の画像化は、定在超音波画像化技術(強度情報を提供するために、体内の対象の物体から反射される患者の体外の音響ソースからの複数の平行ビームの使用[この反射信号は仮想ソースと称されるが、ソースではない])を使用して行われ、その後、モデル化又は時間反転のいずれかが、音響エネルギーを駆動するために使用され、その後、塊を処理するために、塊に集束される。この方法の欠点は、モデル及び仮定に基づくという事実、塊の撮像が超音波を使用して得られる画像よりも良好ではないという事実、それらがどのように撮像されるか、及びこの方法を使用して到達可能な情報が限定されるという事実を含む。また、3次元位置を決定することができないので、塊を処理するために使用される場合、そのような処理は、モデル及び仮定、又は正しいとされる時間反転に依存する。
【0012】
ビームの振幅及び位相の両方を検出することができるデバイス、システム及び方法を提供することが有益である。このようなデバイス、システム及び方法は、物体の密度、温度、組成、弾性、歪み場、磁気又は静電場に関する情報を提供することができる。これは、密度、温度及び組成に関する情報を得ることができるように、医療分野において非常に重要であり、癌などの疾患の治療の有効性を潜在的に診断し、治療し、評価することを可能にする。理想的には、デバイスは、身体の様々な部分(例えば、前立腺、乳房、頭、及び皮膚などであるが、これらに限定されない)への適用のための様々な異なる形状の検出器ホルダを備えた手持ち型に適している。物体の3次元画像を検出し提供するために使用される同じビームが、物体を処理するために使用され得る場合、有利である。
【0013】
温度及び乾燥組成の測定が重要である用途の例には、体内の器官、組織及び疾患領域の機能を理解することを目的とする医学診断が含まれる。現在、医学研究者は、身体の内部温度及び組成を非侵襲的に測定するための良好な手段を有していない。本技術の目的は、このような能力を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本技術は、超音波法よりもはるかに優れた異なる光学濃度の別の物体において、1つの光学濃度の物体の3次元画像を作成する方法を提供する。コヒーレントビームは、物体の外部、及び流体又は非晶質内の仮想ソースに集束される。バイパスビームと反射ビームとの干渉ゾーンを作ることにより、干渉ゾーンを作ることができる。この干渉ゾーンは、3次元画像を提供するためにデフォーカスされる。
【0015】
一実施形態では、物体に対して異なる光学濃度を有する第1の材料内の前記物体を撮像する方法であって、前記第1の材料の外側の流体又は非晶質の第2の材料内の仮想音響ソースに音響コヒーレントビームを集束させるステップと、前記仮想音響ソースからの少なくとも複数の散乱ビームが前記第1の材料を走査し、少なくとも1つの散乱ビームが前記物体から反射されて反射ビームを形成し、少なくとも1つの散乱ビームが前記物体を迂回してバイパスビームを形成するように、前記流体又は非晶質の材料内の前記仮想音響ソースを移動させるステップであって、前記反射ビーム及び前記バイパスビームは、互いに交差してコヒーレント干渉ゾーンを形成するステップと、フレネル縞を提供するように前記コヒーレント干渉ゾーンをデフォーカスするステップであって、前記フレネル縞は、前記物体の画像を形成するステップと、を含む方法が提供される。
【0016】
本方法は、前記物体の前記画像を検出する音響検出器を更に備えてもよい。
【0017】
本方法は、少なくとも1つの散乱ビームが前記物体を通過して物体ビームとなり、前記音響検出器によって検出されるように、前記流体又は非晶質の材料中の前記仮想音響ソースを移動させるステップを更に含んでもよい。
【0018】
本方法は、前記物体ビームの位相を前記バイパスビームの位相と比較して、前記物体に関する情報を提供するステップを更に含んでもよい。
【0019】
本方法は、前記物体ビームの振幅を前記バイパスビームの振幅と比較して、前記物体に関する情報を提供するステップを更に含んでもよい。
【0020】
本方法において、前記位相からの前記情報は、前記物体の温度、組成、磁場、又は静電場であって、前記振幅からの前記情報は、前記物体の前記光学濃度であってもよい。
【0021】
本方法では、前記物体の音速が決定されてもよい。
【0022】
本方法では、前記物体の前記音速は、前記物体を識別するために使用されてもよい。
【0023】
本方法では、前記物体は、前記第1の材料内の腫瘍又は病変として識別されてもよい。
【0024】
本方法では、前記音響コヒーレントビームは、患者の体内の流体又は非晶質の第2の材料内に集束されてもよい。
【0025】
本方法では、前記音響コヒーレントビームは、膀胱内の尿、脂肪組織、脳組織、腹膜液、胃液、胆嚢、及び脾臓のうちの1つに集束されてもよい。
【0026】
本方法では、前記音響コヒーレントビームは、対象の身体の少なくとも一部が浸漬されている患者の身体の外側の流体内に集束されてもよい。
【0027】
別の実施形態では、物体に対して異なる光学濃度の第1の材料内の前記物体を撮像するためのシステムであって、コヒーレント音響ビームを発するコヒーレント音響ビームソースと、仮想音響撮像ソースに前記コヒーレント音響ビームを集束させるように位置されたフォーカサであって、前記仮想音響撮像ソースは、散乱ビームを発する、フォーカサと、前記コヒーレント音響ビームソースと機械通信するコヒーレント音響ビームソースアクチュエータと、前記フォーカサと機械通信するフォーカサアクチュエータと、前記コヒーレント音響ビームソースアクチュエータ及び前記フォーカサアクチュエータと電気通信するプロセッサと、前記散乱ビームの少なくとも一部が前記物体で反射され反射ビームとなり、前記物体を通過してバイパスビームとなるように、且つ、前記反射ビーム及び前記バイパスビームが干渉ゾーンを形成するように、前記プロセッサと通信し、前記コヒーレント音響ビームソース及び前記フォーカサを移動させるように前記プロセッサに指示する命令を有するメモリであって、前記メモリは、前記コヒーレント音響ビーム及び前記フォーカサを動かして前記干渉ゾーンにフレネル縞を生成するように更に構成される、メモリと、前記フレネル縞を撮像するように位置された音響検出器と、を備えるシステムが提供される。
【0028】
本システムでは、前記メモリは、前記プロセッサが前記画像を鮮鋭化するための命令を含んでもよい。
【0029】
本システムは、前記音響検出器の前に空間フィルタを更に備えてもよい。
【0030】
本システムは、前記コヒーレント音響ビームソースと前記フォーカサとの間に円錐リフレクタを更に備えてもよい。
【0031】
本システムは、遠位端をそれぞれ有する一対の関節アームと、各音響検出器が前記遠位端に近接してアーム上に取り付けられる第2の音響検出器とを更に備えてもよい。
【0032】
本システムは、卵巣を画像化するためのサイズであってもよい。
【0033】
更に別の実施形態では、物体に対して異なる光学濃度の第1の材料内の前記物体を撮像するためのシステムであって、
コヒーレント音響ビームを発するコヒーレント音響ビームソースと、仮想音響撮像ソースに前記コヒーレント音響ビームを集束させるように位置されたフォーカサであって、前記仮想音響撮像ソースは散乱ビームを発する、フォーカサと、前記コヒーレント音響ビームソースと機械通信するコヒーレント音響ビームアクチュエータと、前記フォーカサと機械通信するフォーカサアクチュエータと、音響検出器と、を含む装置と、
プロセッサ、ユーザインタフェース、及びメモリを含む計算デバイスであって、前記プロセッサは、前記音響検出器と電気通信し、前記メモリは、前記プロセッサと通信し、前記ユーザインタフェースに画像を表示するように前記プロセッサに指示する命令を有する、計算デバイスと、を備えるシステムが提供される。
【0034】
本システムでは、前記メモリは、前記プロセッサが前記画像を鮮鋭化するための命令を含んでもよい。
【0035】
本システムは、前記音響検出器の前に空間フィルタを更に備えてもよい。
【0036】
本システムでは、前記フォーカサは、凹状の湾曲した円錐形状の反射物であってもよい。
【0037】
本システムは、前記凹状の湾曲した円錐形状の反射物と前記音響検出器との間に円錐形の鏡面を更に備えてもよい。
【0038】
本システムでは、前記プロセッサは、前記コヒーレント音響ビームソースアクチュエータ及び前記フォーカサアクチュエータと電気通信し、前記メモリは、前記プロセッサと通信し、前記コヒーレント音響ビームソース及び前記フォーカサを移動させるように前記プロセッサに指示する命令を有し、その結果、前記散乱ビームの少なくとも一部が前記物体で反射され反射ビームとなり、前記物体を通過してバイパスビームとなり、且つ前記反射ビーム及び前記バイパスビームが干渉ゾーンを形成し、前記メモリは、前記コヒーレント音響ビーム及び前記フォーカサを移動させて前記干渉ゾーンにフレネル縞を生成し、前記音響検出器が前記フレネル縞を撮像するように位置されるように更に構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本技術の拡散音響共焦点3次元撮像装置の動作の概略図である。
【
図2】
図2Aは、従来技術の超音波撮像素子で使用されるビームを示す概略図であり、
図2Bは、本技術で使用されるビームを示す概略図である。
【
図4】本技術を用いて卵巣を撮像するための一実施形態である。
【
図5】
図4の一実施形態を用いて卵巣を走査するための拡散音響共焦点3次元撮像装置の動作の概略図である。
【
図6】本技術を使用して両卵巣を画像化するための一実施形態である。
【
図7】本技術を使用して乳房を撮像するための一実施形態である。
【
図8】本技術を使用して脳を画像化するための一実施形態である。
【
図11】
図9の一実施形態におけるビームの経路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
特に明示されない限り、以下の解釈の規則は本明細書(詳細な説明、請求項及び図面)に適用される。(a)本明細書で使用される全ての単語は、状況が必要とするような文法上の性又は数(単数又は複数)であると解釈されるものとする。(b)明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されている単数の用語「a」、「an」及び「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の参照を含む。(c)引用された範囲又は値に適用される先行用語「約」は、測定方法から当技術分野で公知又は予想される範囲又は値における偏差内の近似値を示す。(d)「ここに」、「これによって」、「そこに」、「そこへ」、「前に」、及び「以後」という単語及び同様の趣旨の単語は、この明細書全体を参照するものであり、特に指定しない限り、何らかの特定の節、請求項又は他の下位区分を参照するものではない。(e)記述の見出しは便宜上のものであり、明細書の如何なる部分の意味又は構成にも規制若しくは影響を与えるものではない。(f)「又は」及び「任意の」は排他的ではなく、「含む」及び「含む」は限定的ではない。さらに、「備える」、「有する」、「含む」及び「含有する」という用語は、特に明記しない限り、無制限の用語(すなわち、「含むが、これに限定されない」を意味する)として構成されている。
【0041】
本明細書中の値の範囲の列挙は、本明細書中で別段の指示がない限り、範囲内の各別個の値を個別に指す簡略的方法として便宜になることを意図しており、それぞれの個別値は本明細書に個別に列挙されているかのように、明細書に組み込まれる。特定の範囲の値が提供される場合、下限の単位の10分の1までの各介在値は、その範囲の上限と下限との間の他の記載された値又は介在する値及びその他の記載された範囲内に含まれることが理解される。全てのより小さな下位範囲も含まれている。これらのより小さい範囲の上限及び下限も、記載された範囲内の特定の除外された限界を条件として、そこに含まれる。
【0042】
別に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、関連技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法及び材料と類似又は均等の任意の方法及び材料も使用することができるが、ここでは許容可能な方法及び材料を記載する。
【0043】
図1に、一般に10と呼ばれる、組織、器官、又は体の部位(物体)を画像化するための、一般に8と呼ばれるシステムの概要を概略的に示す。それは、ノイズ(スペックルノイズ)であると考えられる散乱ビームを生成し、使用する。コヒーレント音響エミッタ等のコヒーレント音響ソース12は、単一のコヒーレント音響ビーム14を発する。コヒーレント音響ソース12は、手動で移動することができ、或いはコヒーレント音響ソース12と機械通信しているソースアクチュエータ16と共に移動することができる。ソースアクチュエータ16は、メモリ19の制御下にあるプロセッサ18で制御されることが好ましく、プロセッサ18がソースアクチュエータ16を作動させるように指示する命令を有する。コヒーレント音響ソース12は、哺乳動物の体内の密度、温度、組成、弾性、又は歪み場のうちの1又は複数を含む情報を得るために、約0.5メガヘルツと約100メガヘルツとの間及びそれらを含むビーム周波数を有するコヒーレント音響ビーム14を提供する。
【0044】
コヒーレント音響ビーム14は、典型的には1センチメートル又は数センチメートルのオーダーの大きな断面積を有する。コヒーレント音響ビーム14は、円錐形状のリフレクタ22に導かれ、次いで、集束(収束)ミラー又はレンズ24に導かれ、曲面によって反射され、流体又は非晶質の媒体32に伝達される収束ビーム30に集束される。集束ミラー24は、プロセッサ18の制御下で、集束ミラーアクチュエータ26の制御下で旋回し、次いで、プロセッサ18にアクチュエータ26を作動させるように指示する命令を有するメモリ19によって制御される。円錐形状のリフレクタ22は、アクチュエータ28の制御下にあり、アクチュエータは、これを音響エミッタ(ソース)12に向かって、及びそこから離れるように移動させる。プロセッサ18の制御下にあるアクチュエータ28は、メモリ19によって制御され、メモリ19は、アクチュエータ28を作動させるようにプロセッサ18に指示するための命令を有する。一実施形態では、流体又は非晶質の媒体32は、体内にあり、例えば、膀胱内の尿、脂肪組織、脳組織、腹膜液、胃液、胆嚢、及び脾臓であるが、これらに限定されない。収束ビーム30は、クロスオーバー点で仮想的に収束された音響撮像ソース34である点に収束する。メモリ19の制御下にあるプロセッサ18は、ソースアクチュエータ16に指向され、コヒーレント音響ソース12がソース34を流体又は非晶質の媒体32内に移動させて、流体又は非晶質の媒体32内の周囲を移動させるように構成される。更に、メモリ19の制御下にあるプロセッサ18は、フォーカスミラー24に向かって且つフォーカスミラー24から離れて円錐形状のリフレクタ22を移動させ、音響エミッタ12に向かって且つ音響エミッタ12から離れて仮想ソース34を移動させ、流体又は非晶質の媒体32に仮想ソース34を再び位置付けするように構成される。仮想ソース34は、撮像される物体の外側であって、流体又は非晶質の媒体32の内側に配置される。ソース34は、全ての方向に3次元的に散乱される複数のビーム36を送信する。散乱ビーム36は、媒体32から通過する。流体又はアモルファス媒体32内でソース34を移動させることによって、複数のビーム36は、媒体32の外側の周りを走査する。ビーム36は、遭遇する任意の物体10内に入り、次いで、物体ビーム38として物体10の外に出て、音響検出器40によって検出される。音響検出器40は、物体ビーム38を検出できるように、ソース34に向けられる。物体ビーム38は、物体10を通過する際に屈折する。音響検出器40は、ある範囲の角度方向を有する物体ビーム38を収集するように移動することができる。物体ビーム28は、物体10を通過する際に屈折する。音響検出器40は、反射ビーム37とバイパスビーム39との組み合わせによって作られた画像をデフォーカスし、その結果、それが写真的に見えるようにするために、物体10に向かって及び物体10から離れて移動する。検出器アクチュエータ42は、音響検出器40と機械通信しており、検出器アクチュエータ42と電子通信しているプロセッサ18の制御下にある。ここでも、プロセッサ18は、メモリ19から命令を受け取る。物体ビーム38は、物体10に関する情報も含む。物体ビーム38によって伝送される情報は、当技術分野で知られている技法に従ってその振幅及び位相を決定するために分析される。物体ビーム38の位相情報は、物体の温度、組成、磁場又は静電場に関する情報を提供し、振幅の測定は、物体の不透明度又は濃度に関する情報を提供する。空間フィルタ46は、望ましくない散乱ビーム36からのノイズを減少させ、音響検出器40の前に配置される。
【0045】
伝達媒質60は、患者と、コヒーレント音響ソース12及び音響検出器40の各々との間で使用される。代替的に、患者又は患者の関連部分が患者とデバイス8との間に流体界面が存在するように、流体に浸漬されてもよい。物体10を観察するために、ソース34は、集束ミラー24及び音響検出器40を旋回させることによって、又は顕微鏡6を移動させることによって、又は患者を再位置決めすることによって、媒体32内で移動する。放射及び受信強度の振幅及び位相情報が画像を生成するために使用されないため、ベクトルネットワークアナライザが不要である。しかしながら、時間フィルタのためのベクトルネットワークアナライザを使用して、より良好な強度画像を得ることができる。フレネル縞を使用する強度画像は、時間フィルタ及び空間フィルタを使用せずに形成するが、これらのフィルタを使用すると仮想ソースの見かけのサイズを小さくすることができることによって強度画像が改善される、すなわち、より良い空間分解能が得られる。
【0046】
音像化(sound imaging)の位相又は速度には、ベクトルネットワークアナライザは、検出器内の各要素で音響ビームを受信するための時間差を測定するために必要である。エミッタ/レンズアセンブリから検出器への音響ビームによって進行する経路長であるため、ベクトルネットワークアナライザを用いて時間を測定することにより、速度(m/s)を求めることができる。
【0047】
図2A及び2Bは、従来技術の超音波(2A)及び本開示の拡散音響共焦点撮像装置(2B)において、ビーム及びそれらがどのように画像を生成するかの比較を示す。コヒーレントビーム14は、物体10に当たって、反射ビーム2及び散乱ビーム4を生成する。反射ビーム2は、画像を生成する(界面を識別するためには組織タイプ間の屈折率の比較的大きな差が必要であり、界面のみが識別されることに留意されたい)。散乱ビーム4は、クリーン画像を生成するために除去する必要があるノイズを生成する。
【0048】
拡散音響共焦点撮像装置を使用して、発したコヒーレントビーム14は、非常に平坦(平面)(空間コヒーレンス)であり、一定(時間的コヒーレンス)である。コヒーレントビーム14は、点に収束する収束ビーム30、散乱ビーム36を発する仮想ソース34に集束される。仮想ソース34は、散乱ビーム36が多くのスポット、距離及び角度から物体10に当たることができるように移動することができる。散乱ビーム36は、物体10を避け、物体の縁に当たって縁で反射するか、又は物体10を通過するかのいずれかを行う。
【0049】
物体から反射されたものは、反射ビーム37と呼ばれる。物体を通過するものは、物体ビーム38と呼ばれる。物体を避けるが反射ビーム37と重なり合うものは、バイパスビーム39と呼ばれる。
【0050】
物体ビーム38は、物体10の診断目的のために考慮することができる。時間的コヒーレンスを用いて音像の速度を形成するために、ビームの放出時間が測定され、次いで、画像中の各画素におけるビームの到達時間が測定される。画像にわたる音速の差は、全て、画像内の構造を診断するために使用することができる。
【0051】
オーバーラップ内の反射ビーム37とバイパスビーム39との間の空間コヒーレンス干渉は、画像を作成するために使用される。物体10の画像は、物体10の診断目的のためのインラインホログラムと考えることができる。より具体的には、フレネル回折の原理を用いて画像を作成する。バイパスビーム39は、反射ビーム37と重なって干渉ゾーン141を生成する。これら2つのビーム間のこの干渉ゾーン141は、フレネル干渉縞又はデフォーカス縞を形成する。バイパスビーム39及び反射ビーム37におけるコヒーレンスの保持は、画像に干渉縞又はフレネル縞を形成するために必要とされる。デフォーカス又はフレネル縞の強度のうちのある程度は、物体10を出てバイパスビーム39と干渉する屈折物体ビーム38からもたらされ、同様に、バイパスビーム及び反射ビームが干渉するが、屈折物体ビームは、フレネル縞の画像形成処理においてそこまで重要な役割を有しない。
【0052】
フレネル回折は、デフォーカスが生じると音響画像に縞(フレネル縞)を生成する。フレネル縞は、外形と背景(バックグラウンド)との間のコントラストを増強し、軟組織及び異なる軟組織間の界面の画像化を可能にする。これは、屈折率の差が非常に小さい組織、例えば、限定されるものではないが、乳房組織及び乳房組織内の乳腺、組織の病変、及び卵管の卵子を含む。
【0053】
オーバーラップの幅はデフォーカス(焦点ぼけ)と共に増加し、フレネル縞の幅が増加する。デフォーカスは、物体及びカメラが同じ平面上にあるところでゼロに減少する。この状態では、オーバーラップがないので縞を作ることができないため、物体は消えて見えない。
【0054】
加えて、空間分解能は、フレネル縞の幅によって決定される。画像中に見られるフレネル縞の最小幅は、仮想ソースのサイズの大きさである。仮想ソースのサイズは、エミッタ/レンズアセンブリの集束能力とエミッタからの放出ビームの波長とによって決まる。分解能は、音響ビームの波長に近づくことができ、50MHzの音響ビームに対しては細胞の大きさに近づく(λ=周波数/速度=毎秒50,000,000回/1500m/s=0.00003=30ミクロン)。これは、超音波よりもはるかに高い分解能である。
【0055】
大きな焦点ぼけ、すなわち広い縞線で形成された画像は、デフォーカス量、デルタfを適用することによって、縞幅の減少がデルタf×コーン角度の1/2になるように円錐角、ビームのαを知ることによって、画像中の特徴(すなわちフレネル縞)を鮮明にするプロセッサで処理することができる。同様に、コーン角、及び既知又は測定されたデフォーカスによる縞幅の変化を知ることは、画像内の物体の距離又は位置、z、を決定するために使用することができ、画像内で横方向寸法x、yが既に測定可能であるため、3D画像を生成することが可能になる。これは、反射画像(超音波)に対して、本技術によって生成される透過画像のもう一つの利点である。超音波は、反射ビームの複素反射時間測定によってzを取得する。
【0056】
仮想ソース34と物体10との間の距離は、物体の倍率を決定する。仮想ソース34が物体10に近づくほど、拡大率は1に近づく。物体の倍率は、仮想ソース34が物体10に近づくほど大きくなる。
【0057】
メモリ19内のソフトウェアによって提供される空間フィルタ46及び時間フィルタ54(
図1を参照)は、画像に使用される音響仮想ソース34の体積を制限し、体積が小さいほど画像の解像度が良くなる。空間分解能は、部分的には、集束仮想ソース34における収束ビーム30のサイズによって設定される。空間フィルタ46は、仮想ソース34の横方向x、y寸法又は角度受容角を規定する。空間フィルタ46は、仮想ソース34よりも小さくすることができ、空間解像度を決定する因子の1つである。これは、x、y平面における空間分解能を決定する決定因子であり得る。時間フィルタ54は、仮想ソース34のz又は軸方向空間分解能を決定する。これは、音響信号を受信するための受付時間、開始時間、及び停止時間を決定する。
【0058】
図3に示す実施形態では、流体又は非晶質の媒体132が人体の外にあり、容器102内に収容される。容器102は、好ましくはデバイス110に調節可能に取り付けられる。システムの構成要素は上述の通りである。収束ビーム130は、クロスオーバーの点で仮想収束音響撮像ソース134である点に収束する。プロセッサ18は、メモリ19の制御下にあり、ソースアクチュエータ16を動かして、コヒーレント音響ソース12が流体又は非晶質の媒体132内の仮想ソース134を移動させ、流体又は非晶質の媒体132内の周囲でそれを移動させるように指示するように構成される。仮想ソース134は、全ての方向に3次元的に散乱された複数のビーム136を送信する。これらの散乱ビーム136は、媒体132から通過する。流体又は非晶質の媒体132内で仮想ソース134を移動させることによって、複数の散乱ビーム136は、媒体132の外側を走査する。入射角に応じて、散乱ビーム136は、それらが遭遇する任意の物体10内に入射し、物体10を通過し、音響検出器140によって物体ビーム138として検出される。他の散乱ビーム136は、物体10から反射され、反射ビーム137と呼ばれる。物体を避けるが反射ビーム137と重なる散乱ビーム136は、バイパスビーム139と呼ばれる。音響検出器140は、ソース134に集束され、物体10に近接する複数の散乱ビーム136を検出するように配置される。ソース134は、物体10の完全な画像を得るために必要に応じて媒体132内で移動する。音響検出器140は、
図1に示すように、ある範囲の角度方向を有する散乱ビーム136を収集するように移動することができる。検出器アクチュエータ142は、音響検出器140と機械通信しており、検出器アクチュエータ142と電気通信しているプロセッサ144の制御下にある。オーバーラップ(干渉ゾーン141)における反射ビーム137とバイパスビーム139との間のコヒーレント干渉は、画像を作成するために使用される。物体10の画像は、物体10の診断目的のためのインラインホログラムと考えることができる。物体ビーム136によって伝送される情報は、当技術分野で知られている技法に従って、その振幅及び位相を決定するために、プロセッサ18によって分析することもできる。振幅及び位相は、バイパスビーム139の振幅及び位相と比較される。
【0059】
物体10を観察するために、ソース134は、集束(収束)ミラー124及び音響検出器140を旋回させることによって、デバイス110を移動させることによって、又は患者を再位置決めすることによって、媒体132の内部で移動する。物体110が例えば、病気、塊、腫瘍、成長腫等である場合、オーバーラップ(干渉ゾーン141)内の反射ビーム137とバイパスビーム139との間のコヒーレント干渉が物体の画像を作成するために使用される。フレネル縞は、上述したように、画像を生成し、焦点ぼけによって引き起こされるものである。
【0060】
図4に示すように、一実施形態において、卵巣を撮像するためのデバイス200が提供される。音響エミッタ202は、デバイスの一端に位置し、焦点(収束)ミラー204は、デバイス200の他端に又はその近傍に位置する。音響検出器206は、卵巣と位置合わせされる。検出器206は、線形アレイ検出器であってもよい。概略図を
図5に示す。上述したように、コヒーレントビーム210は、音響エミッタ202によって発され、集束ミラー204によって集束されて、仮想ソース212となり、次々に3次元で散乱ビーム214を生成する、収束ビーム211となる。音響検出器206は、この場合は卵巣である物体217を通過するビームである物体ビーム216を検出する。音響検出器206は、また、上述したように、バイパスビーム220及び反射ビーム222によって生成されるフレネル縞218を検出する。仮想ソース212は、膀胱213内に配置され、周りを移動し、その結果、散乱ビーム214は、卵巣が見つかるまで周りを走査する。次に、散乱ビーム214は、反射して反射ビーム222となり、卵巣を迂回してビーム220となり、卵巣を通過して物体ビーム216となる。
【0061】
図6に示すように、両卵巣を撮像するためのデバイス300が提供される。音響放射器302は、焦点(収束)ミラー306も収容する垂直ハウジング304内の中央に配置される。デバイス300は、右アーム308及び左アーム310の2つのアームを有する。アーム308、310の端部312に近接して、右検出器314及び左検出器316は、それぞれ配置される。アーム308、310は、機械的なマニピュレータ322の制御下にある関節セグメント320を含む。ビームを検出する更なる手段として、右検出器アクチュエータ324及び左検出器アクチュエータ326が音響検出器314、316と機械通信しており、検出器アクチュエータ324、326と電気通信するプロセッサ344の制御下にある。
【0062】
図7に示すように、乳房を撮像するための手持ち式デバイス400が提供される。それは、上述のように配置された、音響放射器402、集束(収束)ミラー404、及び音響検出器406を含む。それは、手動で制御され、プロセッサ410と通信するためのBluetooth(登録商標)無線408を有する。
【0063】
図8に示すように、手持ち式エミッタデバイス500を含むシステムを使用して脳を撮像することができる。1つ又は複数の検出器502は、必要に応じて配置され、患者が検出器上で頭部を傾けるだけで、簡単に位置を保持することができる。仮想ソース504は、脳の脂肪組織にフォーカスされ、散乱ビーム506は、仮想ソース504から3次元で発される。物体510を通過するビームは、物体ビーム514である。ここでも、画像は、反射ビーム510とバイパスビーム512との間の干渉ゾーン508をデフォーカスすることによって作成される。
【0064】
図9に示されるように、一実施形態において、一般に600と呼ばれるデバイスは、円錐形状のリフレクタに代わる凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610を有し、収束ミラーに代わる円錐ミラー612を有する。機能的には、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610は、集束レンズ/ミラーである。音響エミッタ614は、円錐ミラー612の内部617の基部615に位置し、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610と位置合わせされる。支持基部616及び支持部材618は、円錐ミラー612の内部617内で凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610を保持する。検出器620は、また、支持基部616によって保持されてもよい。ハウジング622は、円錐ミラー612を保持する。デバイス600は、デバイス600の2つの特徴によって生成される仮想開口624を含む。まず、平面(コヒーレント640)ビームの強度を光学軸648(
図11を参照)から凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の縁部まで、すなわち、その最大直径まで反射する凹面湾曲円錐形状のリフレクタによって生成されるローパスフィルタが本質的に存在する。凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の直径よりも大きい直径を有する音響強度は、それによって反射されず、デバイス600を通過する。それは、円錐ミラー612の縁部までの半径方向距離、すなわち、仮想ソース646位置に焦点を合わせるために音響ビームがそこから通過しなければならない円錐ミラー612によって作られた穴によって決定されるが、通過の外側限界を有する。仮想ソース646位置に到達する強度の他の障害は、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の下部632(
図10Aを参照)によって、円錐ミラー612から仮想ソース646位置に到達する反射強度のカットオフである。
【0065】
音響エミッタ614から円錐ミラー612までの音響エビームの経路を
図10A乃至Cに示す。コヒーレントビーム640は、音響エミッタ614から発され、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610に当たる。
図10Aは、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610及び円錐ミラー612を通る薄い断片である。この断片から分かるように、円錐ミラー612の側部は平坦である一方、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の側部は凹状である。コヒーレントビーム640は、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610から反射して収束し、したがって、収束ビーム642を生成する。収束ビーム642は、円錐ミラー612の平坦面626に当たる。
図10Bに示されるように、
図10Aの断片からの収束ビーム642は、1つの平面において円錐ミラー612の平坦な壁に当たる。
図10Cに示されるように、
図10Aの断片からの収束ビーム642は、円錐ミラー612の平坦面626上にリング628を形成する。当業者に知られているように、コヒーレントビーム640は、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の凹面に、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の周り及び凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の上部630から下部632まで360度衝突する。
【0066】
ビームの経路も
図11に示されており、コヒーレントビーム640は、音響エミッタ614から放射され、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610に当たる。コヒーレントビーム640は、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610から反射し、収束し、したがって、これらは収束ビーム642である。収束ビーム642は、円錐ミラー612の平坦面626に当たって、クロスオーバー点で仮想的な収束音響撮像ソース646である点に収束する収束ビーム644として反射される。仮想ソース646は、円錐ミラー面612の光軸648に、又はその近傍にある。凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の曲率は、仮想ソース646が光軸648上、又はその近傍にあるように選択されることに留意されたい。
【0067】
上述のように、仮想ソース646から、音響ビームは、音響ビームを全方向に拡散的に散乱させる。音響検出器620は、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610の端部上、又は仮想ソース646を指す仮想ソース646の周りの任意の場所に配置することができる。理論に拘束されることなく、
図9乃至12Bの設計は次のような利点を有する。凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610及び湾曲集束(収束)ミラーは、同じ機能性を提供するが、凹面湾曲円錐形状のリフレクタは、湾曲集束(収束)ミラーよりも製造が容易である。凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610は、仮想ソース646の焦点深度の変化を可能にする異なる寸法及び湾曲を有する別の凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610に容易に置き換えることができる。凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610は、仮想ソース646の焦点深度を変化させるために、光軸648上で前後に移動させることができる。その設計は、空間解像度を増加させ、仮想ソースのサイズをより小さくする。凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610は、凹面湾曲円錐形状のリフレクタ610が円錐ミラー612内で前後に移動する際に、円錐ミラー612の表面が収束ビーム642に対して一定の角度にある円錐ミラー612に収束ビーム642を反射する。上述のように、これは、プローブ/仮想ソース648を前後に移動させることができる。この設計は、ビームを集束させるための追加の自由度を与えることによってデバイスの能力を増大させ、したがって、仮想ソースを体内で移動させる。
【0068】
例示的なデバイスを
図12A及び12Bに示す。
図12Aに示すように、音響エミッタ614は、ハウジング622の一端にある。
図12Bに示すように、凹面湾曲円錐形状のリフレクタは、ハウジング622の内部617に位置し、支持部材618によって保持される。円錐ミラーの表面612は、ハウジング622の内側にある。音響エミッタ614は、ハウジング622の他端にある。デバイス600は、手持ち式であり、ユーザが調整し作動させてもよく、或いは、上述したように、計算デバイス内のプロセッサ及びメモリの制御下にあってもよい。いずれにせよ、計算デバイスは、画像が表示されるユーザインタフェースを含む。
【0069】
全ての実施形態において、本方法は、コヒーレントビームを発する音響エミッタを含んでおり、反射されて集束されるか、或いは集束されて反射されて、非晶質の材料又は流体内の仮想ソースである点を提供する。仮想ソースは、散乱ビームを発するように移動し、そのうちの一部は物体を通過し、一部は物体を迂回し、一部は物体から反射する。バイパスビーム及び反射ビームは、干渉ゾーンで互いに干渉して、画像をデフォーカスすることによって、フレネル縞として見える画像を提供する。
【0070】
例示的な実施形態は、現在考えられる最も実用的及び/又は適切な実施形態の例であると現在考えられているものに関連して説明されてきたが、説明は開示された実施形態に限定されるものではなく、例示的な実施形態の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び均等な構成を包含することが意図されていること理解されたい。当業者であれば、日常的な実験のみを用いて、本明細書に具体的に記載された具体的な実施形態の多くの均等物を認識するか、又は確認することができるであろう。そのような均等物は、本明細書に添付されるか又はその後に提出される特許請求の範囲に包含されることが意図される。