(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】樹脂製スタンドおよびその製作方法
(51)【国際特許分類】
A63H 3/50 20060101AFI20240627BHJP
B29C 73/04 20060101ALI20240627BHJP
A63H 3/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A63H3/50 Z
B29C73/04
A63H3/00 Z
(21)【出願番号】P 2022166079
(22)【出願日】2022-10-17
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2022040614
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592196123
【氏名又は名称】株式会社パジコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 進
(72)【発明者】
【氏名】強矢 邦夫
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3232949(JP,U)
【文献】特開2021-040758(JP,A)
【文献】特開2002-122127(JP,A)
【文献】特開平11-254891(JP,A)
【文献】特開2018-057590(JP,A)
【文献】登録実用新案第3166345(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B29C 73/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと台座とを備えた樹脂製スタンドであって、
前記台座は、硬化性樹脂の台座本体と、当該台座本体に埋め込まれる台座側ジョイントとを備え、
前記パネルは、光透過性の硬化性樹脂のパネル本体と、当該パネル本体に埋め込まれて前記台座側ジョイントに嵌合されるパネル側ジョイントと、画像がプリントされて前記パネル本体に組み付けられる画像シートとを備え、
前記台座側ジョイントと前記パネル側ジョイントとの嵌合により、前記画像が組み込まれた前記パネルと前記台座とを組み立てることができる、樹脂製スタンド。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂製スタンドにおいて、
前記台座は、それぞれ前記パネル側ジョイントが嵌合される複数の前記台座側ジョイントを有し、
複数の前記パネルを前記台座に組み立てることができる、樹脂製スタンド。
【請求項3】
請求項1または2に記載の樹脂製スタンドにおいて、前記台座側ジョイントと前記パネル側ジョイントの何れか一方は断面形状が非円形の取付穴を有し、何れか他方は前記非円形の取付穴に嵌合する非円形の嵌合突起を有し、前記パネルは前記台座に対して回転不可である、樹脂製スタンド。
【請求項4】
請求項1または2に記載の樹脂製スタンドにおいて、前記台座側ジョイントと前記パネル側ジョイントの何れか一方は断面形状が円形の取付穴を有し、何れか他方は前記円形の取付穴に嵌合する円形の嵌合突起を有し、前記パネルは前記台座に対して回転可能である、樹脂製スタンド。
【請求項5】
請求項1または2に記載の樹脂製スタンドにおいて、前記パネル本体は一方の面から目視される第1の前記画像シートと、他方の面から目視される第2の前記画像シートとを有する、樹脂製スタンド。
【請求項6】
パネルと台座とを備えた樹脂製スタンドの製作方法であって、
台座成形型に台座側ジョイントが配置された状態のもとで、前記台座成形型に硬化性樹脂を充填して前記台座側ジョイントが埋め込まれた台座本体を成形する工程と、
パネル成形型にパネル側ジョイントが配置された状態のもとで、前記パネル成形型に光透過性の硬化性樹脂を充填するとともに画像がプリントされた画像シートを配置して前記パネル側ジョイントが埋め込まれたパネル本体を成形する工程と、
前記台座本体を硬化させ、前記台座側ジョイントと当該台座側ジョイントが埋め込まれた前記台座本体とからなる台座を前記台座成形型から取り出す工程と、
前記パネル本体を硬化させ、前記パネル側ジョイントと当該パネル側ジョイントが埋め込まれた前記パネル本体とからなるパネルを前記パネル成形型から取り出す工程と、
を有する、樹脂製スタンドの製作方法。
【請求項7】
請求項6に記載の樹脂製スタンドの製作方法において、
前記硬化性樹脂は、光を照射すると硬化する光硬化性樹脂、または化学反応により硬化する二液性樹脂である、樹脂製スタンドの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製パネルと台座とを備えた樹脂製スタンドおよびその製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクリル製パネルと台座とを備えた自立型の樹脂製スタンドは、人形の絵柄や植物や動物の絵柄等の画像がアクリル樹脂製の透明のパネルに組み込まれ、パネルは台座に取り付けられ、アクリルスタンドとも言われている。このような自立型の樹脂製のスタンドは、室内等の手作り用の装飾品つまりアクセサリとして広く知られており、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂、化学反応により硬化させる二液性エポキシ樹脂からなる硬化性樹脂を成形材料として容易に手作りすることができる。
【0003】
樹脂材料としては、アクリル樹脂に限られず、ポリカードネート樹脂等の種々の樹脂材料がパネルの素材として使用されている。さらに、パネルに埋め込まれた画像を外部から目視することができるようにするために、透明の樹脂材料がパネルの素材として使用されている。ただし、外部から画像を目視することができれる程度の透明性つまり光透過性を有していれば、着色された樹脂材料を、パネルの素材として使用することができる。
【0004】
特許文献1は、メタクリル樹脂からなる基材層にスチレン含有樹脂からなる被膜層が積層され、被膜層の表面にUV硬化インクを用いて描画が装飾されたフィギュアを開示している。この特許文献1の
図3に記載されたフィギュアは、キャラクタの足に連結する円盤状の台座を備えており、自立型である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
人形の絵柄や動物の絵柄等の画像が組み込まれフィギュアを台座に取り付けることにより、自立型のスタンドとした装飾品を製作するには、フィギュアである樹脂製パネルと、樹脂製の台座とを組み合わせることになる。自立型の従来の樹脂製スタンドには、樹脂製のパネルと樹脂製の台座とを、それぞれ流動状態の光硬化性の樹脂材料を成形型に注入して成形するようにしたものがある。このように、樹脂製のフィギュアからなるパネルと台座とを備えた従来のアクリルスタンドにおいては、台座の成形時に台座に取付穴を形成し、取付穴に嵌合される嵌合突起をパネルの成形時にパネルに形成している。成形型に注入された光硬化性の樹脂材料は光を照射することにより硬化される。
【0007】
このように、台座を成形するときに台座に取付穴を形成し、パネルを成形するときにパネルに嵌合突起を形成すると、それぞれ樹脂製の台座とパネルを成形後に硬化させると、収縮により、取付穴と嵌合突起が成形時の形状と相違してしまうことがある。このため、嵌合突起が取付穴にぴったりと嵌合せずにガタ付きが発生したり、嵌合突起が取付穴に容易に嵌合しないことが発生したりすることがある。
【0008】
本発明の目的は、樹脂製のパネルと台座とをガタ付きなく確実に組み立てることができる樹脂製スタンドおよびその製作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の樹脂製パネルは、パネルと台座とを備えた樹脂製スタンドであって、前記台座は、硬化性樹脂の台座本体と、当該台座本体に埋め込まれる台座側ジョイントとを備え、前記パネルは、光透過性の硬化性樹脂のパネル本体と、当該パネル本体に埋め込まれて前記台座側ジョイントに嵌合されるパネル側ジョイントと、画像がプリントされて前記パネル本体に組み付けられる画像シートとを備え、前記台座側ジョイントと前記パネル側ジョイントとの嵌合により、前記画像が組み込まれた前記パネルと前記台座とを組み立てることができる。
【0010】
本発明の樹脂製スタンドの製作方法は、パネルと台座とを備えた樹脂製スタンドの製作方法であって、台座成形型に台座側ジョイントが配置された状態のもとで、前記台座成形型に硬化性樹脂を充填して前記台座側ジョイントが埋め込まれた台座本体を成形する工程と、パネル成形型にパネル側ジョイントが配置された状態のもとで、前記パネル成形型に光透過性の硬化性樹脂を充填するとともに画像がプリントされた画像シートを配置して前記パネル側ジョイントが埋め込まれたパネル本体を成形する工程と、前記台座本体を硬化させ、前記台座側ジョイントと当該台座側ジョイントが埋め込まれた前記台座本体とからなる台座を前記台座成形型から取り出す工程と、前記パネル本体を硬化させ、前記パネル側ジョイントと当該パネル側ジョイントが埋め込まれた前記パネル本体とからなるパネルを前記パネル成形型から取り出す工程と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
樹脂製スタンドは台座とパネルとを備え、台座は硬化性樹脂の台座本体とこれの製作時に予め埋め込まれる台座側ジョイントとにより形成され、パネルは光透過性の硬化性樹脂のパネル本体とこれの製作時に予め埋め込まれるパネル側ジョイントとにより形成される。硬化性樹脂の台座本体とパネル本体は、硬化時に熱収縮するが、台座側ジョイントとパネル側ジョイントは予め成形されており、熱収縮することなく、台座側ジョイントにパネル側ジョイントを嵌合させることにより、樹脂製のパネルを樹脂製の台座にガタ付きなく確実に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】一実施の形態である樹脂製スタンドの組み立て状態を示す斜視図である。
【
図1B】台座からパネルを外した状態を示す斜視図である。
【
図2A】
図1の台座を構成する台座側ジョイントを示す斜視図である。
【
図2B】
図1のパネルを構成するパネル側ジョイントを示す斜視図である。
【
図3A】台座側ジョイントが配置された台座成形型を示す平面図である。
【
図3B】台座成形型に硬化性樹脂を充填して台座本体を成形した状態を示す平面図である。
【
図3C】
図3Bにおける3C-3C線に沿う方向の断面図である。
【
図3D】台座本体と台座側ジョイントとが一体となった台座を示す平面図である。
【
図4A】パネル側ジョイントが配置されたパネル成型を示す平面図である。
【
図4B】画像シートが配置された状態のパネル成形型を示す平面図である。
【
図4C】画像シートを覆うように硬化性樹脂が充填されたパネル成形型を示す平面図である。
【
図4E】パネル本体とパネル側ジョイントとが一体となったパネルを示す平面図である。
【
図5A】他の実施の形態である樹脂製スタンドの組み立て状態を示す斜視図である。
【
図5B】台座からパネルを外した状態を示す斜視図である。
【
図6A】
図5Aの台座を構成する台座側ジョイントを示す斜視図である。
【
図6B】
図5Aのパネルを構成するパネル側ジョイントを示す斜視図である。
【
図7】他の実施の形態である樹脂製スタンドの横断面図である。
【
図8】さらに他の実施形態である樹脂製スタンドを示す正面図である。
【
図9A】台座側ジョイントの変形例を示す斜視図である。
【
図9C】パネル側ジョイントが挿入された状態における台座側ジョイントと
図9Aのパネル側ジョイントを示す断面図である。
【
図10A】台座側ジョイントのさらに他の変形例を示す斜視図である。
【
図10C】パネル側ジョイントが挿入された状態における
図10Aの台座側ジョイントとパネル側ジョイントを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<樹脂製スタンドの構造>
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1Aおよび
図1Bに示す樹脂製スタンド10aは、台座11と台座11に対して着脱自在に装着されるパネル21とを備えている。台座11は、樹脂製の台座本体12と、台座本体12に埋め込まれる樹脂製の台座側ジョイント13とを備えており、台座側ジョイント13は台座本体12の表面のほぼ中央部分に埋め込まれている。一方、パネル21は、透明性つまり光透過性を有する樹脂製のパネル本体22と、パネル本体22に埋め込まれるパネル側ジョイント23とを備えており、パネル側ジョイント23はパネル本体22の下端部に埋め込まれて、一部が外部に突出している。
【0014】
パネル本体22には、画像24がプリントされた画像シート25が組み込まれている。画像シート25は、パネル本体22の厚み方向のほぼ中央部に組み込まれており、画像シート25の表面側と背面側は光透過性つまり透明性の樹脂材料により覆われている。パネル本体22の樹脂材料は光透過性を有しているので、パネル本体22の外部から画像シートを目視することができる。
【0015】
台座側ジョイント13は、
図2Aに示されるように、四辺形の枠部材14により形成されており、アクリル樹脂等の光透過性を有する樹脂材料により成形されている。枠部材14には断面形状が四角形の角形の取付穴15が形成されている。枠部材14の外周面は台座本体12の樹脂材料に密着される。
【0016】
一方、パネル側ジョイント23は、
図2Bに示されるように、断面形状が四角形であって角形の取付穴15に嵌合する角形の嵌合突起26と、パネル本体22に埋め込まれる埋込部27とを備えており、アクリル樹脂等の光透過性を有する樹脂材料により成形されている。嵌合突起26は、
図1Bに示されるように、パネル本体22の下端面から突出しており、取付穴15の断面寸法とほぼ同一寸法の断面積である。埋込部27の左右両側部は嵌合突起26よりも水平方向に突出しており、下端面は台座側ジョイント13の枠部材14に突き当てられる突き当て面28を形成している。埋込部27の両端部には、傾斜面29が形成されており、傾斜面29は突き当て面28とパネル側ジョイント23の上面との間に位置し、パネル本体22に埋め込まれる。
【0017】
台座側ジョイント13およびパネル側ジョイント23は、それぞれ射出成形機等の成形機により、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の光透過性の樹脂材料を用いて製造され、高い寸法精度を有している。
【0018】
図1Aに示すように、台座側ジョイント13の取付穴15にパネル側ジョイント23の嵌合突起26を嵌合させると、台座11とパネル21とが組み合わされて、自立型の樹脂製スタンド10aを組み立てることができる。この樹脂製スタンド10aは、台座側ジョイント13の角形の取付穴15に角形の嵌合突起26を嵌合させて台座11とパネル21とを組み合わせたので、パネル21は台座11に対して回転させることができず、回転不可である。取付穴15とこれに嵌合される嵌合突起26の断面形状としては、上述のように、四角形に限られず、五角形や楕円形としてもよく、非円形であれば、どのような断面形状でもよい。
【0019】
なお、台座11およびパネル21の上下方向および水平方向については、
図1Aに示されるように、樹脂製スタンド10aが自立した状態を基準としている。
【0020】
<台座の製作方法>
図3A~
図3Cに示されるように、台座11を成形するための台座成形型31は、底板部32と、底板部32の表面に設けられる成形枠部33とを有しており、上面は解放されている。
図3Aに示す台座成形型31の底板部32は、台座11より大型の四辺形の樹脂製の板材により形成されている。ただし、底板部32としては台座11の形状に対応したサイズの板材を用いてもよく、大型の板材やテーブルを底板部32としてその上に成形枠部33を設けるようにしてもよい。底板部32を構成する板材としては、種々の樹脂材料を使用することができる。また、成形枠部33としては、粘土や粘土タイプのパテ、つまり二液性エポキシパテ等を使用することができ、成形枠部33を容易に手作りすることができる。パテ等の材料を底板部32の上に配置することにより、任意の形状の台座本体12を成形することができる。
【0021】
なお、底板部32と成形枠部33とを一体に樹脂により成形するようにしてもよく、台座11を製作する者は、台座成形型31を容易に手作りすることができる。
【0022】
台座11を製作する際には、台座成形型31の底板部32の上には、
図3Aに示されるように、台座側ジョイント13が配置される。台座側ジョイント13の取付穴15が上下方向を向くように、つまり枠部材14の一端面が底板部32に対向し、他端面が反対面に開口するように台座側ジョイント13が底板部32の上に配置される。
【0023】
この状態のもとで、台座成形型31の内部における成形枠部33と台座側ジョイント13との間のスペースに、流動状態の硬化性樹脂Rが充填される。
図3Bは、硬化性樹脂Rがスペースに充填され、台座本体12を成形する工程が終了した状態を示す。
【0024】
硬化性樹脂Rとしては、光硬化性樹脂を使用することができる。光硬化性樹脂は、特定の波長の光によって重合して硬化する樹脂であり、紫外線硬化性樹脂つまりUVレジンを光硬化性樹脂として使用することができる。UVレジンとしては、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、エポキシアクリレート等を使用することができ、UVレジンは波長が365nmの紫外線により硬化される。光硬化性樹脂としては、波長が365nmまたは405nmのいずれかの波長のLEDの光で硬化するLEDレジン等を使用することができる。さらに、硬化性樹脂Rとしては、化学反応により硬化する二液性エポキシ樹脂を使用することができる。二液性樹脂は、A剤とB剤の2液を混合させると化学反応により硬化する樹脂であり、光硬化性樹脂が短時間で硬化するのに対して、12~24時間で硬化する。
【0025】
光硬化性樹脂を成形枠部33内に充填した場合には、充填された状態のままで、光硬化性樹脂に光が照射される。UVレジンを光硬化性樹脂として使用した場合には、紫外線が樹脂に照射される。このようにして、台座本体12を構成する硬化性樹脂Rが硬化したら、台座本体12と台座側ジョイント13とが一体となった台座11が台座成形型31から取り出される。
図3Dは、台座11を取り出す工程が終了して台座成形型31から取り出された台座11を示し、台座側ジョイント13が台座本体12に一体となって埋め込まれた台座11を容易に手作りすることができる。
【0026】
図示する台座本体12は光透過性の樹脂材料により成形されているが、光透過性を有していない樹脂により台座本体12を製作するようにしてもよい。
【0027】
<パネルの製作方法>
図4A~
図4Dに示されるように、パネル21を成形するためのパネル成形型35は、底板部36と底板部36に設けられる成形枠部37とを有しており、上面は解放されている。成形枠部37には、
図4Aに示されるように、パネル側ジョイント23が取り付けられる。パネル側ジョイント23は、嵌合突起26が成形枠部37に設けられた切り欠き部38を横切るようにして切り欠き部38に取り付けられ、突き当て面28が成形枠部37の内面に突き当てられる。成形枠部37の厚み寸法、つまり高さ寸法は、
図4Dに示されるように、パネル側ジョイント23の厚みとほぼ同一である。
【0028】
パネル成形型35の底板部36は、台座成形型31の底板部32と同様の樹脂材料により、パネル21より大型の四辺形の樹脂製の板材により形成されているが、底板部36としてはパネル21の形状に対応したサイズの板材を用いてもよく、大型の板材やテーブルを底板部36としてその上に成形枠部37を設けるようにしてもよい。成形枠部37としては、成形枠部33と同様に、粘土や粘土タイプのパテ、つまり二液性エポキシパテ等を使用することができる。パテ等の材料を底板部36の上に配置することにより、任意の形状のパネル本体22を手作りで成形することができる。
【0029】
なお、底板部36と成形枠部37とを一体に樹脂により成形するようにしてもよく、パネル21を製作する者は、パネル成形型35を容易に手作りすることができる。
【0030】
図4Aに示されるように、パネル側ジョイント23がパネル成形型35に配置された状態のもとで、成形枠部37の内部における成形枠部37とパネル側ジョイント23との間のスペースに、流動状態の硬化性樹脂Rが成形枠部37の厚みの約半分の深さまで充填される。次いで、その上に、
図4Bに示すように、画像24がプリントされた画像シート25が配置される。さらに、この状態のもとで、流動状態の硬化性樹脂Rが画像シート25の上に充填される。画像シート25の上には、成形枠部37の上面の位置となるまで硬化性樹脂Rが充填される。
【0031】
図4Cは、パネル成形型35に光透過性の硬化性樹脂Rを充填するとともに画像シート25を配置することにより、パネル側ジョイント23が埋め込まれたパネル本体22が成形された工程を示す。
図4Dは、画像シート25の表面側と背面側とに硬化性樹脂が充填された状態を示す。
図4Cおよび
図4Eにおいては、画像24がプリントされた画像シート25の外形線は、図示省略されている。なお、
図1Aおよび
図1Bにおいては、画像シート25の外径線が示されている。
【0032】
パネル本体22を成形するための硬化性樹脂Rとしては、光透過性つまり透明性を有するものが使用され、台座本体12を成形する樹脂と同様に、光硬化性樹脂を使用することができ、さらに、紫外線硬化性樹脂つまりUVレジンを光硬化性樹脂として使用することができる。光硬化性樹脂を成形枠部37内に充填した場合には、充填された状態のままで、光硬化性樹脂に光が照射される。このようにして、パネル本体22を構成する硬化性樹脂Rが硬化したら、パネル本体22をパネル成形型35から取り出すと、
図4Eに示されるように、パネル側ジョイント23がパネル本体22に一体となって埋め込まれたパネル21を容易に手作りすることができる。
【0033】
パネル本体22は、外部から画像24が目視できる程度の光透過性を有する樹脂により成形されている。これに対して、台座本体12は必ずしも光透過性を有しておらず、不透明な樹脂材料により成形してもよいが、台座本体12をパネル本体22と同様の樹脂材料を使用することにより、樹脂製スタンド10aを手作りする制作者は、一種類の樹脂材料により台座本体12とパネル本体22とを製作することができる。
【0034】
硬化性樹脂により台座本体12とパネル本体22を製作すると、硬化させるときに熱収縮が発生することが避けられない。このため、台座側ジョイント13を台座本体12と同じ材料により一体に成形し、パネル側ジョイント23をパネル本体22と同じ材料により一体に成形すると、台座側ジョイント13とパネル側ジョイント23も熱収縮することになる。したがって、台座側ジョイント13にパネル側ジョイント23を嵌合させたときに、嵌合突起が取付穴にぴったりと嵌合することなく、ガタ付きが発生したり、嵌合突起を取付穴に嵌合させることができなくなったりすることが避けられない。
【0035】
これに対して、予め樹脂成型機により製造された台座側ジョイント13に台座本体12を取り付け、予め樹脂成形機により製造されたパネル側ジョイント23にパネル本体22を取り付けるようにすると、台座側ジョイント13とパネル側ジョイント23は熱収縮を発生することなく、樹脂製のパネル21を樹脂製の台座11にガタ付きなく確実に組み立てることができる。これにより、手作りの樹脂製スタンド10aを見た目良く製作することができる。
【0036】
<他の実施形態>
図5Aおよび
図5Bに示す樹脂製スタンド10bは、樹脂製スタンド10aと同様に、台座11と台座11に対して着脱自在に装着されるパネル21とを備えている。台座11は、樹脂製の台座本体12と、台座本体12に埋め込まれる樹脂製の台座側ジョイント13とを備え、パネル21は、光透過性を有する樹脂製のパネル本体22と、パネル本体22に埋め込まれるパネル側ジョイント23とを備えており、パネル側ジョイント23はパネル本体22の下端部に埋め込まれて、一部が外部に突出している。
【0037】
パネル本体22には、
図1に示した樹脂製スタンド10aと同様に、画像24がプリントされた画像シート25が組み込まれている。画像シート25は、パネル本体22の厚み方向のほぼ中央部に組み込まれており、画像シート25の表面側と背面側は光透過性の樹脂材料により覆われている。パネル本体22の樹脂材料は光透過性を有しているので、パネル本体22の外部から画像シート25を目視することができる。
図5Aおよび
図5Bにおいては、画像シート25の外形線が示されている。
【0038】
台座側ジョイント13は、
図6Aに示されるように、円筒形の枠部材16により形成されており、アクリル樹脂等の光透過性を有する樹脂材料により成形されている。枠部材16には断面形状が円形の取付穴17が形成されている。枠部材16の外周面は台座本体12の樹脂材料に密着される。
【0039】
一方、パネル側ジョイント23は、
図6Bに示されるように、断面形状が円形であって円形の取付穴17に嵌合する円形の嵌合突起26aと、パネル本体22に埋め込まれる埋込部27と、埋込部27と嵌合突起26aとの間に設けられた突出部27aとを備えており、アクリル樹脂等の光透過性を有する樹脂材料により成形されている。嵌合突起26aと突出部27aは、
図5Bに示されるように、パネル本体22の下端面から突出している。嵌合突起26aは円形の取付穴17の断面寸法とほぼ同一寸法の断面積である。埋込部27の左右両側部の下面はパネル本体22の下面に連なっており、突出部27aよりも水平方向に突出している。埋込部27の下面は台座側ジョイント13の枠部材16に隙間を介して対向する対向面28aを形成している。埋込部27の両端部には、傾斜面29が形成されており、傾斜面29は対向面28aとパネル側ジョイント23の上面との間に位置し、パネル本体22に埋め込まれる。対向面28aと枠部材16との間の距離は、突出部27aの上下方向の段差寸法に対応している。
【0040】
なお、突出部27aを設けることなく、対向面28aの下面から嵌合突起26aを突出させると、対向面28aは
図2Bに示したパネル側ジョイント23と同様に台座側ジョイント13の端面に接触する。
【0041】
図6Aおよび
図6Bに示される台座側ジョイント13およびパネル側ジョイント23は、それぞれ射出成形機等の成形機によりアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の光透過性の樹脂材料を用いて製造され、高い寸法精度を有している。
【0042】
図5Aに示すように、台座側ジョイント13の円形の取付穴17にパネル側ジョイント23の嵌合突起26aを嵌合させると、台座11とパネル21とが組み合わされて、自立型の樹脂製スタンド10bを組み立てることができる。この樹脂製スタンド10bは、台座側ジョイント13の取付穴17に断面円形の嵌合突起26aを嵌合させて台座11とパネル21とを組み合わせたので、パネル21は台座11に対して回転させることができ、回転可能である。
【0043】
図7は他の実施の形態である樹脂製スタンド10cを示す横断面図である。この樹脂製スタンド10cは、第1の画像シート25aと第2の画像シート25bとを有し、それぞれがパネル本体22の内部に組み込まれている。一方の画像シート25aにプリントされた画像は、パネル本体22の一方面から目視され、他方の画像シート25bにプリントされた画像は、パネル本体22の他方面から目視される。
【0044】
このタイプの樹脂製スタンド10cにおいても、
図1Aに示すように回転不可タイプとすることもでき、
図5Aに示すように回転可能タイプとすることもできる。
【0045】
図8はさらに他の実施の形態である樹脂製スタンド10dを示す正面図である。この樹脂製スタンド10dは、1つの台座11aに3つのパネル21が装着されている。それぞれのパネル21は、回転不可タイプであって、
図2Aに示したものと同様の3つの台座側ジョイント13が台座本体12に埋め込まれている。それぞれのパネル本体22に設けられた画像シートには、相互に異なった画像24a~24cがプリントされている。1つの台座11aに複数のパネル21を装着するタイプにおいても、それぞれのパネル21の全てまたは何れかを回転可能タイプとすることができる。
【0046】
<台座側ジョイントの変形例>
図9A~
図9Cに示す台座側ジョイント13は、
図2Aに示されたものと同様の四辺形の枠部材14を有し、枠部材14の下面には四辺形の底板18が取り付けられている。底板18を枠部材14とは別部材として底板18を枠部材14に接着するようにしてもよく、底板18を枠部材14と一体に成形するようにしてもよい。このように、枠部材14に形成される取付穴15は上述した場合のように貫通穴でもよく、底付き穴でもよい。パネル側ジョイント23は上述した場合と同様の構造であり、
図9Cに示されるように、底付きの取付穴15にパネル側ジョイント23を取り付けると、嵌合突起26の底面は底板18により覆われる。嵌合突起26の下端面と底板18との間に僅かな隙間を発生させるようにしてもよく、嵌合突起26の下端面を底板18に接触させるようにしてもよい。
【0047】
なお、底板18を備えた枠部材14においても、取付穴15の断面形状とこれに嵌合される嵌合突起の断面形状を楕円形状等の非円形としてもよい。
【0048】
図10A~
図10Cに示す台座側ジョイント13は、
図6Aに示したものと同様に円筒形状の枠部材16を有し、枠部材16の下面には円形の底板19が取り付けられている。底板19を枠部材16とは別部材として底板を枠部材16に接着するようにしてもよく、底板19を枠部材16と一体に成形するようにしてよい。パネル側ジョイント23は上述した場合と同様の構造であり、
図10Cに示されるように、底付きの取付穴17にパネル側ジョイント23を取り付けると、嵌合突起26aの底面は底板19により覆われる。上述のように、嵌合突起26aの下端面と底板19との間に僅かな隙間を発生させるようにしてもよく、嵌合突起26aの下端面を底板19に接触させるようにしてもよい。
【0049】
パネル側ジョイント23は、
図6Bに示したものと同様に、断面形状が円形であって円形の取付穴17に嵌合する円形の嵌合突起26aと、パネル本体22に埋め込まれる埋込部27と、埋込部27と嵌合突起26aとの間に設けられた突出部27aとを備えており、嵌合突起26aは円形の取付穴17の断面寸法とほぼ同一寸法の断面積である。埋込部27の左右両側部の下面はパネル本体22の下面に連なっており、突出部27aよりも水平方向に突出している。埋込部27の下面は台座側ジョイント13の枠部材16に隙間を介して対向する対向面28aを形成している。埋込部27の両端部には傾斜面29が形成されており、傾斜面29は対向面28aとパネル側ジョイント23の上面との間に位置し、パネル本体22に埋め込まれる。対向面28aと枠部材16との間の距離は、突出部27aの上下方向の段差寸法に対応している。
【0050】
上述のように、突出部27aを設けることなく、対向面28aの下面から嵌合突起26aを突出させると、対向面28aは
図2Bに示したパネル側ジョイント23と同様に台座側ジョイント13の端面に接触する。
【0051】
それぞれの樹脂製パネル10a~10dにおいては、台座11に取付穴が形成された台座側ジョイント13を取り付け、パネル21に取付穴に嵌合する嵌合突起が形成されたパネル側ジョイント23を取り付けているが、凹凸関係を逆として、台座側ジョイント13を嵌合突起が設けられた凸形状とし、パネル側ジョイント23を取付穴が設けられた凹形状としてもよい。
【0052】
図9Aおよび
図10Aに示した台座側ジョイント13は、
図7および
図8に示した樹脂製スタンド10c、10dにも使用することができる。
【0053】
それぞれの樹脂製スタンドにおいては、予め樹脂成型機により製造された台座側ジョイント13に台座本体12を取り付け、予め樹脂成形機により製造されたパネル側ジョイント23にパネル本体22を取り付けるようにしたので、台座側ジョイント13とパネル側ジョイント23は熱収縮を発生することなく、樹脂製のパネル21を樹脂製の台座11にガタ付きなく確実に組み立てることができる。これにより、見栄えが良い樹脂製スタンドを簡単に手作りすることができる。
【0054】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、画像24がプリントされた画像シートをパネル本体22の中に埋め込むことなく、パネル本体22の表面に貼り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10a~10d 樹脂製パネル
11、11a 台座
12 台座本体
13 台座側ジョイント
14 枠部材
15 取付穴
16 枠部材
17 取付穴
18、19 底板
21 パネル
22 パネル本体
23 パネル側ジョイント
24、24a~24c 画像
25、25a、25b 画像シート
26、26a 嵌合突起
27 埋込部
27a 突出部
28 突き当て面
28a 対向面
29 傾斜面
31 台座成形型
35 パネル成形型
38 切り欠き部