(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】診療支援システム、診療支援装置、及び診療支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240627BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B5/00 D
(21)【出願番号】P 2020009877
(22)【出願日】2020-01-24
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 秀明
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-184945(JP,A)
【文献】特開2012-099124(JP,A)
【文献】国際公開第2019/207800(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/221689(WO,A1)
【文献】特開2016-057976(JP,A)
【文献】株式会社電算,のとメディカルネット 地域連携システム(HARMONYsuiteビューア)操作マニュアル 能登中部地域,オンライン,2014年08月26日,p.1,7-8,https://www.mh1w.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000102113.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
期間を設定する設定部と、
前記期間内に診療した患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる前記解析結果を探索する探索部と、
前記期間内に診療した患者一覧に
対して、前記探索部
により探索された前記異常情報が含まれる前記解析結果の患者に異常アイコンを付加して表示
する表示制御部と、
を備え
、
前記表示制御部は、前記患者一覧から患者が選択された場合に、当該患者のイベントを示すイベントアイコンを時系列に並べた表示領域と、前記探索部により探索された前記異常情報が含まれる前記イベントの前記解析結果とを表示する、
診療支援システム。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記イベントアイコンを時系列に並べた前記表示領域において、当該イベントの前記解析結果に前記異常情報が含まれることを識別可能に表示する、
請求項1に記載の診療支援システム。
【請求項3】
前記探索部は、医師が解析した前記解析結果、及び前記異常情報を解析する解析処理による前記解析結果を探索する、
請求項1
又は2に記載の診療支援システム。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記異常情報が含まれていることを示す
前記異常アイコンに、選択位置を示すカーソルが重ねられた場合に、医療従事者の所見の概要を示す表示欄を表示させる、
請求項
1から3の何れか一項に記載の診療支援システム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記探索部の探索結果として、前記異常情報が含まれている前記解析結果の数を前記患者一覧に表示させる、
請求項1から
4の何れか一項に記載の診療支援システム。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記患者一覧から選択された前記患者の複数の前記解析結果に前記異常情報が含まれている場合に、優先度に基づいて、前記異常情報が含まれている前記解析結果を表示させる、
請求項
1から5の何れか一項に記載の診療支援システム。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記解析結果が示す重症度により定める前記優先度に基づいて、前記解析結果を表示させる、
請求項
6に記載の診療支援システム。
【請求項8】
前記表示制御部は、前記解析結果が生成された日時により定める前記優先度に基づいて、前記解析結果を表示させる、
請求項
6に記載の診療支援システム。
【請求項9】
期間を設定する設定部と、
前記期間内に診療した患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる前記解析結果を探索する探索部と、
前記期間内に診療した患者一覧に
対して、前記探索部
により探索された前記異常情報が含まれる前記解析結果の患者に異常アイコンを付加して表示
する表示制御部と、
を備え
、
前記表示制御部は、前記患者一覧から患者が選択された場合に、当該患者のイベントを示すイベントアイコンを時系列に並べた表示領域と、前記探索部により探索された前記異常情報が含まれる前記イベントの前記解析結果とを表示する、
診療支援装置。
【請求項10】
期間を設定する設定機能と、
前記期間内に診療した患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる前記解析結果を探索する探索機能と、
前記期間内に診療した患者一覧に
対して、前記探索機能
により探索された前記異常情報が含まれる前記解析結果の患者に異常アイコンを付加して表示
する表示制御機能と、
をコンピュータに実現させ
、
前記表示制御機能は、前記患者一覧から患者が選択された場合に、当該患者のイベントを示すイベントアイコンを時系列に並べた表示領域と、前記探索機能より探索された前記異常情報が含まれる前記イベントの前記解析結果とを表示する、
ための診療支援処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、診療支援システム、診療支援装置、及び診療支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者の画像等から患者の異常を自動的に検出する技術が知られている。このような検出技術により患者の異常を早期に発見することで患者の治療における負担を軽減することができる。
【0003】
しかしながら、検出技術の検出結果はそれぞれ別個に保管されている。そのため、医師等の医療従事者は、それぞれの検出結果を表示させる操作を入力し、表示させなければ患者に異常が有るか否か認識することができなかった。その結果として、患者の異常が検出されてから、医療従事者が患者の異常を認識するまでにタイムラグが生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、患者の異常を容易に認識させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の診療支援システムは、設定部と、探索部と、表示制御部とを備える。前記設定部は、期間を設定する。前記探索部は、前記期間内に診療した患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる前記解析結果を探索する。前記表示制御部は、前記期間内に診療した患者一覧に対して、前記探索部により探索された前記異常情報が含まれる前記解析結果の患者に異常アイコンを付加して表示する。そして、前記表示制御部は、前記患者一覧から患者が選択された場合に、当該患者のイベントを示すイベントアイコンを時系列に並べた表示領域と、前記探索部により探索された前記異常情報が含まれる前記イベントの前記解析結果とを表示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る診療支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る診療支援装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、患者一覧画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、異常情報が含まれていない患者の患者詳細画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、異常情報が含まれている解析結果を前面に表示した患者詳細画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、最も古い解析結果を前面に表示した患者詳細画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る診療支援装置が実行する表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、診療支援システム、診療支援装置、及び診療支援プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る診療支援システム、診療支援装置、及び診療支援プログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施形態に係る診療支援システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、診療支援システム1は、電子カルテシステム10、モダリティ20、PACS(Picture Archiving and Communication System)30、病理システム40、解析装置50、及び診療支援装置60を備えている。また、各システム及び各装置は、ネットワークを介して通信可能に接続されている。なお、
図1に示す構成は、一例であり、各システム及び各装置の台数は任意に変更してもよい。また、
図1に示されていない装置がネットワークに接続されていてもよい。
【0010】
電子カルテシステム10は、電子カルテ情報を管理する。例えば、電子カルテシステム10は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。例えば、電子カルテ情報には、患者情報や、所見情報等が含まれる。患者情報は、患者に関する各種情報である。例えば、患者情報には、患者ID(IDentifer)、患者名、性別、身長、体重、年齢、及び血液型等が含まれる。所見情報は、患者について医師等の医療従事者が任意に入力した文字列等により構成される情報である。例えば、所見情報は、患者の傷病等に対する所見が含まれる。なお、電子カルテ情報は、電子カルテシステム10の記憶回路等に記憶されていてもよいし、他の装置の記憶回路等に記憶されていてもよい。
【0011】
モダリティ20は、被検体を撮像して医用画像を生成する。例えば、モダリティ20は、X線CT(Computed Tomography)装置や、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、X線診断装置、超音波診断装置等の画像診断装置である。モダリティ20は、指定された患者等の被検者に対して、指定された部位を撮影して、医用画像を生成する。そして、モダリティ20は、生成した医用画像をPACS30に送信する。なお、モダリティ20は、放射線科情報システム(Radiology Information Systems:RIS)において、放射線科医等が撮影オーダ情報に基づいて入力した設定等で撮影することで医用画像を生成してもよい。
【0012】
PACS30は、モダリティ20が生成した医用画像を保管する。例えば、PACS30は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。更に詳しくは、PACS30は、モダリティ20から医用画像を受信する。そして、PACS30は、医用画像を自装置の記憶回路等に記憶させる。また、PACS30は、患者の医用画像を読影した読影結果等が記載された読影レポートを記憶している。
【0013】
病理システム40は、病理検査の結果である病理情報を保管する。例えば、病理システム40は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。病理情報には、病理検査の結果である確定診断名や、数値や、病理検査を行った者の所見等が含まれる。
【0014】
解析装置50は、患者の医用に関する情報である医用情報に対して、患者の異常を検出する解析処理を実行する。そして、解析装置50は、解析処理を実行した結果、患者の異常を検出した場合に、患者の異常を示す異常情報を有する解析結果情報を生成する。ここで、異常情報とは、患者の異常を示す情報である。また、異常情報は、例えばフラグであってもよいし、数値であってもよいし、文字列であってもよいし、異常の有無を示す情報であってもよいし、その他の情報であってもよい。解析結果情報とは、患者の医用情報を解析した解析結果である。また、解析結果情報が異常の有無を示す情報であってもよい。例えば、解析装置50は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。例えば、解析装置50は、CDSS(Clinical Decision Support Systems)等である。医用情報には、電子カルテ情報、医用画像、及び病理情報等の情報が含まれる。なお、医用情報には、これら情報に限らず、他の情報が含まれていてもよい。
【0015】
更に詳しくは、解析装置50は、例えばAI(Artificial Intelligence)により患者の異常を検出する。AIとは、判定や推定等の各種処理を行う技術である。AIは、強化学習、教師あり学習、教師なし学習、深層学習(ディープラーニング)等の機械学習により生成される。なお、AIは、これら学習方法に限らず、他の方法により生成されてもよい。
【0016】
具体的には、解析装置50は、電子カルテシステム10から取得した電子カルテ情報や、モダリティ20から取得した医用画像や、PACS30から取得した医用画像又は読影レポートや、病理システム40から取得した病理情報等の医用情報に対してAIを用いて解析処理を実行する。例えば、AIは、電子カルテ情報や読影レポートに対して、患者の異常を示す文字列が含まれているかを判定する解析処理を実行することで患者の異常を検出する。そして、AIは、患者の異常を検出した場合に、患者の異常を示すフラグ等の異常情報を有する解析結果情報を生成する。
【0017】
例えば、人工心臓弁を使用している患者は、心臓周辺に付着したカルシウムの量に基づいて、人工心臓弁の交換時期が判断される。そこで、AIは、例えば心臓のCT画像データから心臓周辺に付着したカルシウムの量を解析する解析処理により患者の異常を検出する。そして、AIは、患者の異常を検出した場合に、患者の異常を示すフラグ等の異常情報を有する解析結果情報を生成する。
【0018】
例えば、肺野の異常の検出は、肺結節に基づいて判断される。そこで、AIは、例えば肺野のCT画像データに肺結節が含まれているか否かを解析する解析より患者の異常を検出する。そして、AIは、患者の異常を検出した場合に、患者の異常を示すフラグ等の異常情報を有する解析結果情報を生成する。なお、解析装置50は、AIに限らず、他の方法により、患者の異常を検出してもよい。
【0019】
診療支援装置60は、診療支援システム1を制御する。例えば、診療支援装置60は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。例えば、診療支援装置60は、電子カルテ情報や、医用画像や、読影レポートや、病理情報、解析結果情報等の複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる解析結果を探索する。そして、診療支援装置60は、探索結果を表示させる。
【0020】
次に、本実施形態に係る診療支援装置60の構成について説明する。
【0021】
図2は、本実施形態に係る診療支援装置60の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る診療支援装置60は、ネットワークインタフェース610と、記憶回路620と、入力インタフェース630と、ディスプレイ640と、処理回路650とを有する。
【0022】
ネットワークインタフェース610は、処理回路650に接続されており、ネットワークを介して、電子カルテシステム10、モダリティ20、PACS30、病理システム40、及び解析装置50との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。更に詳しくは、ネットワークインタフェース610は、各システムから各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路650に出力する。例えば、ネットワークインタフェース610は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0023】
記憶回路620は、処理回路650に接続されており、各種データを記憶する。例えば、記憶回路620は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0024】
入力インタフェース630は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路650に出力する。例えば、入力インタフェース630は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、音声入力インタフェース等の入力装置によって実現される。なお、入力インタフェース630は、診療支援装置60とは別体に設けられた操作装置から操作に対応する電子信号を受け付ける接続インタフェース等の制御回路であってもよい。
【0025】
ディスプレイ640は、処理回路650から出力される各種情報や各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ640は、有機EL(Electro Luminescence)モニタや、液晶モニタや、CRT(Cathode Ray Tube)モニタや、タッチパネル等の表示装置によって実現される。例えば、ディスプレイ640は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、各種の表示用の画像データ、処理回路650による各種の処理結果を表示する。
【0026】
処理回路650は、診療支援装置60が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路650は、プロセッサによって実現される。さらに詳しくは、本実施形態に係る処理回路650は、操作機能651、取得機能652、探索機能653、探索機能653、及び表示制御機能654を有する。
【0027】
ここで、例えば、
図2に示す処理回路650の構成要素である操作機能651、取得機能652、探索機能653、探索機能653、及び表示制御機能654が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路620に記憶されている。処理回路650は、各プログラムを記憶回路620から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路650は、
図2の処理回路650内に示された各機能を有することとなる。
【0028】
なお、操作機能651、取得機能652、探索機能653、探索機能653、及び表示制御機能654の全ての処理機能がコンピュータによって実行可能な1つのプログラムの形態で、記憶回路620に記録されていてもよい。例えば、このようなプログラムは、診療支援処理プログラムとも称される。この場合、処理回路650は、診療支援処理プログラムを記憶回路620から読み出し、読み出した診療支援処理プログラムを実行することで診療支援処理プログラムに対応する操作機能651、取得機能652、探索機能653、及び表示制御機能654を実現する。
【0029】
操作機能651は、設定部の一例である。操作機能651は、入力インタフェース630を介して、各種操作を受け付ける。例えば、操作機能651は、患者の一覧を表示させる操作を受け付ける。また、操作機能651は、期間を設定する操作を受け付ける。これにより、診療支援装置60は、設定された期間内に診療した患者の一覧を表示する。また、操作機能651は、患者の一覧から選択された患者の詳細を表示させる操作を受け付ける。
【0030】
取得機能652は、操作機能651により設定された期間内に診療した複数の患者の一覧である患者一覧情報を取得する。更に詳しくは、取得機能652は、操作機能651が患者の一覧を表示させる操作を受け付けた場合に、設定された期間内に診療した複数の患者の一覧である患者一覧情報を取得する。また、患者一覧情報は、操作者等が担当している診療科の患者の一覧を示す情報であってもよいし、病院の患者の一覧を示す情報であってもよい。
【0031】
探索機能653は、探索部の一例である。探索機能653は、操作機能651により設定された期間内に診療した患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる解析結果を探索する。更に詳しくは、探索機能653は、取得機能652が取得した患者一覧情報に含まれる患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる解析結果を探索する。例えば、探索機能653は、電子カルテ情報、医用画像、読影レポート、病理情報、及び解析結果情報等の複数の解析結果から、患者の異常を示す異常情報が含まれる解析結果を探索する。すなわち、探索機能653は、医師が解析した解析結果、及び異常情報を解析する解析処理による解析結果を探索する。なお、探索機能653は、これら解析結果に限らず、他の解析結果を探索範囲に含めてもよい。そして、探索機能653は、複数の解析結果を探索することで、異常情報が含まれる解析結果を発見する。また、探索機能653は、異常情報が含まれている解析結果の数を数える。
【0032】
ここで、探索機能653は、患者一覧情報に含まれる全ての患者を探索対象にしてもよいし、患者一覧情報に含まれる一部の患者を探索対象にしてもよい。そして、患者一覧情報に含まれる一部の患者を探索対象にする場合に、探索機能653は、所定の条件に基づいて、解析結果を探索してもよい。例えば、探索機能653は、病院等の医療機関に来る予定になっている患者であることを条件に解析結果を探索してもよいし、病院等の医療機関に所定期間内に来た患者であることを条件に解析結果を探索してもよいし、他の条件に基づいて解析結果を探索してもよい。
【0033】
表示制御機能654は、表示制御部の一例である。表示制御機能654は、ディスプレイ640に各種画面を表示させる。例えば、表示制御機能654は、操作機能651が患者の一覧を表示させる操作を受け付けた場合に、操作機能651により設定された期間内に診療した患者一覧に、探索機能653の探索結果を表示させる。すなわち、表示制御機能654は、患者一覧画面G1を表示させる。
【0034】
図3は、患者一覧画面G1の一例を示す図である。表示制御機能654は、電子カルテシステム10から電子カルテ情報に基づいて、患者IDと、氏名と、年齢と、性別とを各表示欄に表示させる。患者IDには、患者を識別可能な識別情報が表示される表示欄である。氏名には、患者の氏名が表示される表示欄である。年齢には、患者の年齢が表示される表示欄である。性別には、患者の性別が表示される表示欄である。
【0035】
また、表示制御機能654は、探索機能653の探索結果が示された患者一覧を表示させる。すなわち、表示制御機能654は、患者一覧の探索結果の欄に、探索機能653の探索結果を表示させる。例えば、表示制御機能654は、探索機能653が発見した異常情報が含まれている解析結果の数を患者一覧画面G1に表示させる。また、表示制御機能654は、探索機能653が探索していない場合には、探索結果の表示欄に例えば「未探索」と表示させる。なお、探索機能653が探索していない場合に、表示制御機能654は、「未探索」に限らず、他の文字列を表示させてもよいし、図形を表示させてもよいし、アイコンを表示させてもよいし、他の情報を探索結果の表示欄に表示させてもよい。また、
図3に示す患者一覧画面G1では、表示制御機能654は、異常情報が含まれている医用情報の個数を数値で表現しているが、数値に限らず、個数を色で表現してもよいし、個数をアイコンの個数で表現してもよいし、個数を他の方法で表現してもよい。
【0036】
表示制御機能654は、医師が解析した解析結果に異常情報が含まれていることを患者一覧に表示させる。すなわち、表示制御機能654は、医師等の医療従事者による解析結果である所見に異常情報が含まれている場合に、異常所見アイコンG11を探索結果の表示欄に表示させる。異常所見アイコンG11は、医師等の医療従事者による解析結果である所見に異常情報が含まれている場合に限定しない。例えば、異常所見アイコンG11は、電子カルテ情報の所見や、読影レポートの所見や、病理情報の所見に、患者に異常があることが示されている場合や、異常情報が付加されている場合に表示される。
【0037】
また、表示制御機能654は、患者一覧画面G1の異常所見アイコンG11にマウスのポインタ等が重ねられた場合に、概要表示欄G12を表示させる。概要表示欄G12は、医療従事者の所見の概要を示す表示欄である。例えば、概要表示欄G12には、「(1)異常を示す読影レポートあり。(2)異常を示す医用画像あり。」等の概要が表示される。なお、表示制御機能654は、異常所見アイコンG11にマウスのポインタが重ねられた場合に限らず、概要表示欄G12を常に表示させてもよいし、他の操作により表示させてもよい。
【0038】
また、表示制御機能654は、患者一覧画面G1における患者一覧において、優先度に基づいた順番で患者を表示させる。例えば、表示制御機能654は、異常情報が含まれている解析結果の数に応じた順番で患者を並べた患者一覧画面G1を表示させる。この場合、表示制御機能654は、探索機能653が異常情報について探索していない「未探索」の患者は、異常情報が含まれている医用情報の個数が0の患者よりも上位に表示させる。なお、患者を表示させる順番の優先度は、異常情報が含まれている解析結果の個数に限らず、患者の重症度に応じて設定される優先度であってもよいし、他の医師等の医療従事者の所見の数であってもよいし、他の事項であってもよい。
【0039】
また、表示制御機能654は、患者一覧画面G1で選択された患者の詳細について表示させる操作を受け付けた場合に、患者詳細画面G2を表示させる。
【0040】
図4は、異常情報が含まれていない患者の患者詳細画面G2の一例を示す図である。
図4に示す患者詳細画面G2は、異常情報が含まれていない患者に対して、患者の詳細について表示させる操作を受け付けた場合を示している。また、患者詳細画面G2は、時系列表示領域G21を有している。時系列表示領域G21は、イベント種類ごとに、イベントを時系列に並べて表示する領域である。
図4に示す時系列表示領域G21は、イベントの種類として、医用画像、読影レポート、病理検査、及び診療記録を有している。なお、イベントの種類は、医用画像、読影レポート、病理検査、及び診療記録に限らず、他のイベントであってもよい。そして、時系列表示領域G21には、イベントアイコンG22が含まれている。イベントアイコンG22は、イベントアイコンG22が表示された表示領域のイベントが、表示領域が示す日時にあったことを示すアイコンである。
【0041】
表示制御機能654は、イベントアイコンG22を選択する操作を受け付けた場合に、イベントアイコンG22が示すイベントの医用情報を有するイベント詳細画面G23を表示させる。
図4に示す患者詳細画面G2では、医用画像と、読影レポートと、病理検査とのイベントアイコンG22が選択された場合を示している。よって、
図4に示す患者詳細画面G2には、医用画像のイベント詳細画面G23と、読影レポートのイベント詳細画面G23と、病理検査のイベント詳細画面G23とが表示されている。また、表示制御機能654は、イベントアイコンG22が選択された場合に、イベント詳細画面G23が表示中であることを識別可能にするために、イベントアイコンG22を強調表示した表示中アイコンG221を表示する。
【0042】
次に、患者一覧画面G1において、異常情報が発見された患者の患者詳細画面G2を表示させる操作を受け付けた場合について説明する。
【0043】
ここで、
図5は、異常情報が含まれている解析結果を前面に表示した患者詳細画面G2の一例を示す図である。表示制御機能654は、患者一覧から患者の解析結果に異常情報が含まれる場合に、異常情報が含まれる解析結果を表示させる。すなわち、表示制御機能654は、異常情報が含まれている解析結果を有するイベント詳細画面G23を表示させる。例えば、表示制御機能654は、解析結果が読影レポートの場合には、読影レポートのイベント詳細画面G23を表示させ、解析結果が異常陰影の抽出結果である場合には、抽出された異常陰影を有するイベント詳細画面G23を表示させる。
【0044】
また、表示制御機能654は、異常情報を有する解析結果のイベントアイコンG22を選択する操作を受け付けていなくても、異常情報が含まれている解析結果を有するイベント詳細画面G23を表示させる。よって、医師等は、異常情報が含まれる解析結果を確認することができる。
図5に示す患者詳細画面G2は、異常情報が含まれている解析結果として、読影レポートのイベント詳細画面G23と、医用画像のイベント詳細画面G23とが表示された状態を示している。
【0045】
また、表示制御機能654は、異常情報が含まれている解析結果にかかるイベントアイコンG22であって、イベント詳細画面G23として表示中のイベントアイコンG22であること示す異常表示中アイコンG222を表示させる。また、表示制御機能654は、イベント詳細画面G23として表示中のイベントアイコンG22であることを識別可能にするために、異常表示中アイコンG222を強調表示する。
【0046】
次に、患者一覧画面G1において、異なる日時に生成された解析結果から異常情報が発見された患者の患者詳細画面G2を表示させる操作を受け付けた場合について説明する。
【0047】
ここで、
図6は、最も古い解析結果を前面に表示した患者詳細画面G2の一例を示す図である。表示制御機能654は、患者一覧から選択された患者の複数の解析結果に異常情報が含まれている場合に、優先度に基づいて、解析結果を表示させる。例えば、表示制御機能654は、解析結果が生成された日時により定める優先度に基づいて、解析結果を表示させる。すなわち、表示制御機能654は、患者一覧画面G1から選択された患者の詳細を表示させる場合に、異常情報が含まれている解析結果が生成された日時に応じた順番で表示させる。例えば、表示制御機能654は、解析結果が生成された古い順で、異常情報が含まれている解析結果を有するイベント詳細画面G23を表示させる。
【0048】
また、表示制御機能654は、イベント詳細画面G23を切り替える操作を受け付けた場合に、表示中の解析結果の次に古い解析結果であって、異常情報が含まれている解析結果を有するイベント詳細画面G23を表示させる。なお、表示制御機能654は、解析結果が生成された時期の古い順に限らず、解析結果が生成された時期の早い順であってもよい。さらに、表示制御機能654は、切り替えて表示させる場合に限らず、解析結果が生成された日時により定められる優先度に基づいて並べて表示してもよい。
【0049】
また、表示制御機能654は、表示していない解析結果にかかるイベントアイコンG22であることを識別可能にするために、異常非表示アイコンG223を表示する。
図6に示す患者詳細画面G2には、読影レポートのイベントアイコンG22に対して異常表示中アイコンG222が付加されている。さらに、
図6に示す患者詳細画面G2には、読影レポートのイベント詳細画面G23の次に古い解析結果である医用画像のイベントアイコンG22に対して異常非表示アイコンG223が付加されている。
【0050】
なお、優先度は、解析結果が生成された日時に限らず、異常情報が示す患者の異常の重症度であってもよい。例えば、異常情報が脳動脈瘤を示している場合と、異常情報が正常値よりも血圧が高いことを示している場合とでは、重症度が異なっている。また、この場合、脳動脈瘤に関するイベント詳細画面G23を前面に表示することが好ましい。そこで、表示制御機能654は、解析結果が示す重症度により定める優先度に基づいて、解析結果を表示させる。例えば、表示制御機能654は、患者一覧画面G1から選択された患者の詳細を表示させる場合に、解析結果に含まれている異常情報が示す重症度に応じた順番で表示させる。
【0051】
例えば、表示制御機能654は、異常情報が示す重症度ごとに、優先度が示された情報テーブルに基づいてイベント詳細画面G23を表示させることで、異常情報が示す重症度に応じた順番でイベント詳細画面G23を表示させる。また、優先度は、解析結果が生成された日時や、異常情報が示す患者の異常の重症度に限らず、他の事項であってもよい。また、表示制御機能654は、優先度に基づいて、異常情報が含まれている解析結果を有するイベント詳細画面G23を患者詳細画面G2の前面に表示させる場合に、一のイベント詳細画面G23に限らず、複数のイベント詳細画面G23を並べて表示させてもよい。
【0052】
次に、本実施形態に係る診療支援装置60が実行する表示処理について説明する。
図7は、本実施形態に係る診療支援装置60が実行する表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0053】
操作機能651は、患者一覧を表示させる操作等の入力を受け付ける(ステップS1)。
【0054】
取得機能652は、患者一覧に表示させる患者一覧情報を取得する(ステップS2)。
【0055】
探索機能653は、取得した患者一覧情報に含まれる患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる解析結果を探索する(ステップS3)。また、探索機能653は、異常情報が含まれている医用情報の個数を数える。
【0056】
表示制御機能654は、異常情報が含まれているか否かの探索結果が含まれる患者一覧画面G1を表示させる(ステップS4)。すなわち、探索機能653は、異常情報が含まれている医用情報の個数を患者一覧画面G1に表示させる。
【0057】
操作機能651は、患者一覧画面G1の患者一覧から選択された患者の詳細が示された患者詳細画面G2を表示させる操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS5)。患者詳細画面G2を表示させる操作を受け付けていない場合に(ステップS5;No)、診療支援装置60は、待機する。
【0058】
患者詳細画面G2を表示させる操作を受け付けた場合に(ステップS5;Yes)、表示制御機能654は、選択された患者の解析結果に異常情報が含まれているか否かを判定する(ステップS6)。
【0059】
選択された患者の解析結果に異常情報が含まれていない場合に(ステップS6;No)、表示制御機能654は、患者詳細画面G2を表示する(ステップS7)。ここで、表示制御機能654は、イベントアイコンG22が選択する操作を受け付けるまでは、患者詳細画面G2にイベント詳細画面G23を表示しない。
【0060】
一方、選択された患者の医用情報に異常情報が含まれている場合に(ステップS6;Yes)、表示制御機能654は、異常情報が含まれている医用情報を有するイベント詳細画面G23を患者詳細画面G2の前面に表示させる(ステップS8)。
【0061】
以上により、診療支援装置60は、表示処理を終了する。
【0062】
以上のように、本実施形態にかかる診療支援システム1によれば、探索機能653は、患者の医用情報を解析した複数の解析結果のうち、患者の異常を示す異常情報が含まれる解析結果を探索する。そして、表示制御機能654は、探索機能653の探索結果が示された患者一覧画面G1を表示させる。このように、診療支援システム1は、異常情報の探索結果を患者一覧画面G1に表示させる。よって、医師等の医療従事者は、患者一覧画面G1を表示させることで、各患者に異常があるか否かを認識することができる。従って、診療支援システム1は、患者の異常を容易に認識させることができる。
【0063】
また、上述した実施形態では、単一の処理回路650によって各処理機能が実現される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、処理回路650は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路650が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路650に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0064】
上述した各実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0065】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶部等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0066】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0067】
また、上述した実施形態で説明した医用情報表示方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0068】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、患者の異常を容易に認識させることである。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 診療支援システム
10 電子カルテシステム
20 モダリティ
30 PACS
40 病理システム
50 解析装置
60 診療支援装置
651 操作機能
652 取得機能
653 探索機能
654 表示制御機能
G1 患者一覧画面
G2 患者詳細画面