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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】物品の振り分け方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/64 20060101AFI20240627BHJP
   B65G 21/20 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65G47/64
B65G21/20 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020058252
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021155191
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】白糸 竜也
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-105833(JP,A)
【文献】実開平07-009831(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0129533(US,A1)
【文献】特開2002-087586(JP,A)
【文献】特開2002-302240(JP,A)
【文献】特開2018-002381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/64
B65G 47/68
B65G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともn列(nは自然数)の第1通路により、複数の物品を第1方向に搬送するステップと、
前記第1通路において搬送される複数の前記物品を、前記第1方向と直交する第2方向に並ぶn*k列(kは2以上の整数)の第2通路のうちの少なくとも一部に、揺動ガイドによって、当該揺動ガイドを前記第2方向に揺動させつつ、伸縮させながら、振り分けるステップと、
を備え、
前記第1方向において前記揺動ガイドの揺動中心を通る仮想線を挟んで、非対称に配置された複数の第2通路に対し、前記物品を振り分け可能に構成されており、
前記n*k列の第2通路のうち、少なくとも1つの第2通路を禁止通路として予め設定することで、前記複数の第2通路のうち、前記禁止通路以外の複数の前記第2通路が、前記第2方向に連続して並ぶように設定され、
前記第2方向に連続して並ぶ複数の前記第2通路に、前記物品が振り分けられるように構成されている、物品の振り分け方法。
【請求項2】
前記禁止通路は、操作画面上で入力することで設定される、請求項に記載の物品の振り分け方法。
【請求項3】
前記第2方向の一方の端部、または両方の端部に配置された前記第2通路を、前記禁止通路とする、請求項1または2に記載の物品の振り分け方法。
【請求項4】
前記揺動ガイドは、
固定ガイドと、
前記固定ガイドの下流側の先端から進退可能に構成された移動ガイドと、
を備え、
前記固定ガイド及び前記移動ガイドは、前記固定ガイドの上流側に設けられた支点を中心に揺動可能に構成され、
前記振り分けるステップにおいては、
前記揺動ガイドを揺動させつつ、前記移動ガイドの先端付近を、振分対象となる前記第2通路を通る直線上まで前進させた後、
前記移動ガイドの先端付近を前記直線上に保持するように、前記揺動ガイドの揺動角度を調整しつつ、前記移動ガイドを後退させるよう構成されている、
請求項1からのいずれかに記載の物品の振分方法。
【請求項5】
定の数の前記物品が、前記移動ガイドの先端から離脱した後、前記揺動ガイドを揺動させつつ、前記移動ガイドの先端付近を、次の振分対象となる前記第2通路を通る直線上まで前進させるように構成されている、請求項に記載の物品の振分方法。
【請求項6】
前記移動ガイドの先端部の初期位置よりも上流側に、前記物品をカウントするためのセンサが設けられている、請求項4または5に記載の物品の振分方法。
【請求項7】
前記移動ガイドの側面に開口が形成されており、
前記センサは、前記開口を介して、搬送される前記物品を検知するように構成されている、請求項に記載の物品の振分方法。
【請求項8】
前記所定の数の前記物品のうち、最上流側にある前記物品が、前記センサにより検出された位置より所定距離だけ離れた後、前記揺動ガイドを揺動させつつ、前記移動ガイドの先端付近を、次の振分対象となる前記第2通路を通る直線上まで前進させるように構成されており、
前記所定距離を予め設定可能に構成されている、請求項5に記載の物品の振分方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の振分方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベア上で搬送される物品を、複数のレーンに振り分けるには、例えば、特許文献1に示すような振分装置が提案されている。この振分装置では、1列に並ぶ物品を搬送する基本レーンと、振分対象となる複数のレーンの間に揺動ガイドが設けられ、この揺動ガイドが揺動することで、物品を複数のレーンに振り分けている。
【0003】
より詳細に説明すると、揺動ガイドは、揺動支点を中心に揺動するようになっており、この揺動支点を通過し搬送方向に延びる仮想線を中心に、揺動ガイドが対称に揺動し、物品を複数のレーン振り分ける。ここで、振り分けるレーンの数が3のような奇数である場合、例えば、第1~第3レーンに振り分ける場合には、中央の第2レーンが仮想線に沿うように、3つのレーンが配置される。一方、振り分けるレーンの数が4のような偶数である場合、例えば、第1~第4レーンに振り分ける場合には、第2レーンと第3レーンとの間の仕切りが仮想線に沿うように、4つのレーンが配置される。以上のように複数のレーンを配置することで、レーンの数にかかわらず、揺動ガイドが仮想線を中心に対称に揺動しながら、物品が振り分けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-87586公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような物品の振分方法では、振り分けるレーンの数が奇数と偶数の場合で、レーンの位置を変える必要がある。したがって、振り分けるレーンの数が変わると、その都度レーンの位置の調整が必要になる場合があり、生産性が低下するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、振り分けるレーンの数が、奇数から偶数、あるいは偶数から奇数に変わっても、生産性の低下を抑制することができる、物品の振分が可能な物品の振分方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品の振分方法は、少なくともn列(nは自然数)の第1通路により、複数の物品を第1方向に搬送するステップと、前記第1通路において搬送される複数の前記物品を、前記第1方向と直交する第2方向に並ぶn*k列(kは2以上の整数)の第2通路のうちの少なくとも一部に、揺動ガイドによって、当該揺動ガイドを前記第2方向に揺動させつつ、伸縮させながら、振り分けるステップと、を備え、前記第1方向において前記揺動ガイドの揺動中心を通る仮想線を挟んで、非対称に配置された複数の第2通路に対し、前記物品を振り分け可能に構成されている。
【0008】
上記振分方法においては、前記n*k列の第2通路のうち、少なくとも1つの第2通路を禁止通路として予め設定するステップをさらに備え、前記振り分けるステップにおいては、前記禁止通路に前記物品が振り分けられないように構成することができる。
【0009】
上記振分方法において、前記禁止通路は、操作画面上で入力することで設定することができる。
【0010】
上記振分方法においては、前記第2方向の一方の端部、または両方の端部に配置された前記第2通路を、前記禁止通路とすることができる。
【0011】
上記振分方法において、前記揺動ガイドは、固定ガイドと、前記固定ガイドの下流側の先端から進退可能に構成された移動ガイドと、を備えることができ、前記固定ガイド及び前記移動ガイドは、前記固定ガイドの上流側に設けられた支点を中心に揺動可能に構成され、前記振り分けるステップにおいては、前記揺動ガイドを揺動させつつ、前記移動ガイドの先端付近を、振分対象となる前記第2通路を通る直線上まで前進させた後、前記移動ガイドの先端付近を前記直線上に保持するように、前記揺動ガイドの揺動角度を調整しつつ、前記移動ガイドを後退させるよう構成することができる。
【0012】
上記振分方法においては、前記所定の数の前記物品が、前記移動ガイドの先端から離脱した後、前記揺動ガイドを揺動させつつ、前記移動ガイドの先端付近を、次の振分対象となる前記第2通路を通る直線上まで前進させるように構成することができる。
【0013】
上記振分方法においては、前記移動ガイドの先端部の初期位置よりも上流側に、前記物品をカウントするためのセンサを設けることができる。
【0014】
上記振分方法においては、前記移動ガイドの側面に開口が形成されており、前記センサは、前記開口を介して、搬送される前記物品を検知するように構成することができる。
【0015】
上記振分方法においては、前記所定の数の前記物品のうち、最上流側にある前記物品が、前記センサにより検出された位置から所定距離だけ離れた後、前記揺動ガイドを揺動させつつ、前記0移動ガイドの先端付近を、次の振分対象となる前記第2通路を通る直線上まで前進させるように構成することができ、さらに、前記所定の距離を予め設定可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る物品の振分方法によれば、振り分けるレーンの数が、奇数から偶数、あるいは偶数から奇数に変わっても、生産性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る物品の振分装置の概略平面図である。
図2】揺動ヘッドを詳細に示した平面図である。
図3図2のA-A線矢視図である。
図4図2のB-B線断面図である。
図5】主として揺動ガイドにおける固定ガイドと初期位置にある移動ガイドを示す側面図である。
図6】タッチパネルディスプレイの画面を示す図である。
図7A】揺動ガイドの振分動作を示す平面図である。
図7B】揺動ガイドの振分動作を示す平面図である。
図7C】揺動ガイドの振分動作を示す平面図である。
図7D】揺動ガイドの振分動作を示す平面図である。
図7E】揺動ガイドの振分動作を示す平面図である。
図7F】揺動ガイドの振分動作を示す平面図である。
図8】揺動ガイドの動作を示す側面図である。
図9】揺動ガイドの揺動と移動ガイドの前進の軌跡を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る物品の振分装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。この振分装置は、搬送中の瓶などの物品を複数の列に振り分ける装置である。
【0019】
<1.物品の振分装置の概要>
図1は本実施形態に係る振分装置の概略平面図、図2は揺動ヘッドを詳細に示した平面図、図3図2のA-A線矢視図、図4図2のB-B線矢視図、図5は主として揺動ガイドにおける固定ガイドと初期位置にある移動ガイドを示す側面図である。なお、図2では、振分用のレーンを省略している。以下では、物品が搬送される方向を第1方向、これと直交する方向を第2方向と称することとする。また、第2方向において、図1の下側を第1端部側、上側を第2端部側と称することとする。
【0020】
図1図4に示すように、本実施形態に係る物品の振分装置は、基本レーン(第1通路)L0に沿って1列に並ぶ物品Wを搬送するコンベア2等の搬送手段に対して設けられるものであって、この一列に並ぶ物品Wを複数のレーンに振り分ける装置である。本実施形態では、基本レーンL0の下流側に第2方向に並ぶ8個の振分用レーン(第2通路)が設けられ、これらのうちの複数のレーンに物品Wが振り分けられる。各レーンL1~L8を構成する仕切り板の間隔(後述するレーンピッチに相当)は、搬送する物品の外径に合わせて自動的あるいは手動で変更可能である。なお、本実施形態では、説明の便宜上、8個の振分用レーンを、第1端部側から第2端部側へ向かって、第1~第8レーンL1~L8と称することとする。また、各レーンL1~L8の第2方向の中心を通過し、第1方向に延びる仮想線を第1~第8中心線S1~S8と称することとする。
【0021】
この振分装置は、基本レーンL0と振分用レーンL1~L8との間に、コンベア2上で揺動支点3を中心に第2方向に揺動可能な揺動ガイド5を有している。この揺動ガイド5により、基本レーンL0から下流側へ搬送される物品Wが、いずれかの振分用レーンL1~L8に振り分けられる。本実施形態では、揺動ガイド5の揺動支点3を通過し、第1方向に延びる仮想線Yが、第4レーンL4と第5レーンL5とを仕切る壁を通過するように設定されている。
【0022】
この揺動ガイド5は、物品Wの搬送方向を制御するものであり、基本レーンL0から第1方向に延びる固定ガイド6と、この固定ガイド6に対して進退可能に接続された移動ガイド7と、を有している。これら固定ガイド6及び移動ガイド7は、それぞれ物品Wを両側から挟むように左右一対設けられており、これらの間を物品Wが通過するようになっている。
【0023】
より詳細に説明すると、図3に示すように、移動ガイド7は、上下方向に隙間を空けて並ぶ一対の移動バー71と、これら移動バー71の先端同士を連結し、上下方向に延びる先端ヘッド72とを有している。一方、固定ガイド6は、両移動バー71の間に配置され、第1方向に延びる固定フレーム61を有している。固定ガイド6と移動バー71は、物品Wを規制する面(物品Wと接触する面)が、ほぼ同一面になる構成にされ、スムーズに物品Wが通過するようになっている。そして、移動バー71には、固定フレーム61に沿って進退可能なスライダ75が取り付けられている。また、固定フレーム61の下流側の端部には、従動ローラ62が取り付けられ、上流側の端部には、第1モータ63によって回転する駆動ローラ64が取り付けられている。そして、これら従動ローラ62及び駆動ローラ64には、無端ベルト65が掛け渡されており、この無端ベルト65の一部にスライダ75が固定されている。これにより、駆動ローラ64が回転して無端ベルト65が移動すると、これに伴ってスライダ75が移動する。その結果、スライダ75に連結された両移動バー71及び先端ヘッド72が固定ガイド6に対して進退するようになっている。なお、以下では、移動ガイド7が最も前進した位置を、最前位置と称することとする。
【0024】
また、図3に示すように、固定ガイド6の下流側の端部及び上流側の端部には、それぞれ上下方向に延びる、第1吊りフレーム171及び第2吊りフレーム172が連結されており、これら両吊りフレーム171,172の上端に、第1方向に延びる上フレーム18が連結されている。そして、この上フレーム18の上流側の端部には、上述した揺動支点3が設けられている。一方、上フレーム18の下流側の端部には、首振り駆動部20が設けられている。
【0025】
図2に示すように、首振り駆動部20は、第2方向に延びるガイドレール21と、このガイドレール21に沿って第2方向に移動する走行部22が設けられている。そして、この走行部22は、ナット(図示省略)が固定されており、このナットにはガイドレール21と平行に延びるボールネジ23が螺合している。また、このボールネジ23の端部には、第2モータ24が取り付けられており、この第2モータ24によってボールネジ23が軸周りに回転する。これにより、ナットが走行部22とともに、第2方向に移動可能となっている。
【0026】
また、走行部22には、軸部材26が取り付けられており、この軸部材26を介して走行部22と、上フレーム18の下流側の端部が連結されている。したがって、走行部22が、第2方向に移動すると、これに伴って上フレーム18が揺動支点3を中心に、第2方向に揺動するようになっている。なお、図示を省略するが、軸部材26が設けられる部分には、上フレーム18の揺動時にその揺動端で描かれる円弧軌跡と、走行部22の走行時に描かれる直線軌跡との間で、これら上フレーム18と走行部22との連結状態を維持させるうえで、軸部材26を第1方向に沿って移動自在に保持させるような構造が設けられている。
【0027】
以上より、この振分装置の揺動ガイド5は、揺動支点3を中心とした第2方向の揺動と同時に、第1方向への伸縮が可能になっている。なお、物品Wは常にコンベア2上にあるため、揺動ガイド5によってガイドされている間も、コンベア2によって第1方向に下流側へ搬送されている。
【0028】
また、第1吊りフレーム171には、通過する物品Wをカウントするためのセンサ175が設けられている。このセンサ175は、第1吊りフレーム171の上下方向に沿う任意の位置に固定可能となっている。すなわち、このセンサ175は、通過する物品Wの高さに合わせて、上下方向の位置を調整できるようになっている。
【0029】
より詳細に説明すると、図5に示すように、このセンサ175は、高さの低い物品Wを検出する場合には、移動ガイド7の両移動バー71の間に配置される。また、図5に示すように、移動ガイド7が初期位置にあるときには、先端ヘッド72がセンサ175より所定距離だけ離れた位置にあり、この状態から、移動ガイド7が前方に移動する。したがって、センサ175は、先端ヘッド72と固定ガイド6の先端の間に位置し、両移動バー71の間において、通過する物品Wをカウントするようになっている。そのため、先端ヘッド72や移動バー71が、センサ175による物品Wの検出の邪魔にならないようになっている。但し、センサ175による物品Wの検出の邪魔にならない位置であれば、センサ175の位置は限定されず、移動ガイド7の構造についても特に限定されない。また、センサ175の高さ調整は、物品Wの高さ以外に、物品Wの形状に合わせて調整することが好ましく、例えば、物品Wが前後の間隔なく連続的に搬送される場合においては、物品Wの形状に合わせて(物品Wの首部などの位置:胴部より細く、前後にすきまが生じる位置)、センサ175の高さ調整を行うことが好ましい。
【0030】
また、この振分装置には、制御部8が設けられており、この制御部8が、センサ175による物品Wのカウント、第1モータ63の駆動による移動ガイド7の進退、第2モータ24の駆動による揺動ガイド5の揺動を制御できるようになっている。さらに、この制御部8には、振分装置の各種の設定を行うためのタッチパネルディスプレイ81が接続されており、後述するように、このタッチパネルディスプレイ81に入力された各種のパラメータにしたがって、振分装置が動作するようになっている。なお、制御部8は、CPU、RAM、及び記憶部を有する公知のPLCや汎用のコンピュータによって構成することができる。
【0031】
<2.振分装置の動作>
次に上記のように構成された振分装置の動作について説明する。まず、タッチパネルディスプレイ81において、振分の条件を設定する。図6に示すように、タッチパネルディスプレイ81には、レーン数、レーンピッチ、第1端部側の禁止レーンの数、及び第2端部側の禁止レーンの数を入力するようになっている。本実施形態では、振分用レーンの総数を8とし、レーンピッチ、つまり各振分用レーンL1~L8の幅(第2方向の長さ)を50mmとしているが、これらは+または-のボタンをタッチすることで変更可能である。この例では、レーンピッチを入力すると、振分用レーンL1~L8を構成する仕切り板が自動的に移動するように構成されているが、手動で仕切り板を移動してもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る振分装置は、振分用の8個のレーンL1~L8を有しているが、作業者は、物品Wを何個のレーンに振り分けるかを決定する。換言すると、8個のレーンL1~L8のうち、使用しないレーンを決定する。このとき、タッチパネルディスプレイ81には、第1端部側の使用しないレーン、及び/または第2端部側の使用しないレーンを入力する。ここでは、使用しないレーンを禁止レーンと称することとする。そして、図6に示すタッチパネルディスプレイ81には、レーン数、レーンピッチ、第1端部側の禁止レーンの数、及び第2端部側の禁止レーンの数を入力する。例えば、第1端部側の禁止レーンの数を2とし、第2端部側の禁止レーンの数を1とすると、第1及び第2レーンL1,L2が禁止レーンにされるとともに、第8レーンL8が禁止レーンとされる。その結果、第3~第7レーンL3~L7が物品Wの振分に使用される。こうして、振分を行うべきレーンが決定すると、振分装置は、基本レーンL0で搬送される物品Wを第3レーンL3から順に第7レーンL7へと振り分けていく。
【0033】
次に、5個のレーンL3~L7に物品Wを7個ずつ振り分ける例について、図7A図7Fを参照しつつ説明する。図7Aに示すように、基本レーンL0から揺動ガイド5内に複数の物品Wが入り、揺動ガイド5の先端付近に先頭の物品Wが到達すると、図7Bに示すように、揺動ガイド5が第7レーンL7側に揺動しつつ、移動ガイド7が下流側に前進する。そして、図7Cに示すように、移動ガイド7が最前位置まで前進したときに、移動ガイド7の先端付近が第7中心線S7に達するように揺動ガイド5が揺動する。この過程においては、移動ガイド7の先端付近が第7中心線S7に達するまでは、先頭の物品Wが移動ガイド7から離脱しないように、物品Wの第1方向への搬送速度と同じか、もしくはそれより早い速度で、移動ガイド7が前進する。
【0034】
そして、移動ガイド7の先端付近が第7中心線S7に達すると、先頭の物品Wが移動ガイド7の先端から離脱し、コンベア2によって前進しつつ第7レーンL7に入っていく。このとき、一対の移動ガイド7を同期させて制御することができるし、物品Wが移動ガイド7から離脱しやすいように、一対の移動ガイド7のうち、図7Cの下側の移動ガイド7aの前進距離を、上側の移動ガイド7bの前進距離よりも短くすることができる。すなわち、各移動ガイド7a,7bの前進距離や速度は適宜、異なるようにすることもできる。その後、図7D及び図7Eに示すように、移動ガイド7の先端付近が、第7中心線S7上に保持されるように、移動ガイド7の先端付近は下流側に直線的に後退しつつ、揺動ガイド5はさらには第2端部側へ揺動する。このように、移動ガイド7の先端付近が第7中心線S7上に保持されている間、物品Wは順に移動ガイド7の先端から離脱し、第7レーンL7に向かって下流側へ搬送されていく。そして、図7Eに示すように、7個目の物品Wが移動ガイド7から離脱するまでに、移動ガイド7は初期位置まで後退するように設定されている。
【0035】
また、以上の過程においては、上述したセンサ175により、このセンサ175を通過した物品Wの数をカウントする。
【0036】
こうして、センサ175が7個の物品Wの通過をカウントし、7個目の物品Wを検出したタイミングとコンベア2の速度を利用し、7個目の物品Wをセンサ175で検出した後の移動距離を算出し、所定距離Xだけ移動すると、図7Fに示すように、物品Wを第6レーンL6に振り分ける。このときには、上述したのと同様に、移動ガイド7が第6中心線S6に達するまで、揺動ガイド5が第6レーンL6側へ揺動しつつ、移動ガイド7が前進する。その後の動作は、第7レーンL7への物品の振分と同様であるので、省略する。
【0037】
ところで、図5の状態で、7個目の物品W7がセンサ175を通過した後、第6レーンL6への振分のために、すぐに揺動ガイド5を揺動させつつ移動ガイド7を前進させると、先端ヘッド72が7個目の物品W7に接触し、第7レーンL7へ正しく振り分けられないおそれがある。そこで、本実施形態では、図8に示すように、7個目の物品W7がセンサ175を通過し、所定距離Xだけ離れた後に、揺動ガイド5の揺動と移動ガイド7の前進を行うようにしている。この所定距離Xは、7個目の物品W7が先端ヘッド72から離れた後、揺動ガイド5が揺動しつつ移動ガイド7が前進しても、7個目の物品W7と先端ヘッド72とが接触しないような距離であり、予め制御部8において設定することができる。この設定する距離は、上述した所定距離Xに相当する。
【0038】
こうして、5個のレーンL7~L3への物品Wの振分が完了すると、ロボットアーム(図示省略)により、35個(7個×5列)の物品Wが持ち上げられ、コンテナ(図示省略)へ収容される。
【0039】
次に、揺動ガイド5の揺動と移動ガイド7の前進の軌跡について説明する。図9は、揺動ガイドの揺動と移動ガイドの前進の軌跡を示す図である。横軸は、揺動ガイド5の揺動による第2方向の移動距離を、全移動距離に対するパーセンテージで示している。例えば、図7Aに示す初期位置から図7Cに示す位置まで揺動ガイドが揺動する場合には、図7Aの位置が0%、図7Cの位置が100%である。一方、縦軸は、移動ガイド7の移動距離(前進する距離)を、全移動距離に対するパーセンテージで示している。例えば、図7Aに示す初期位置から図7Cに示す位置まで移動ガイド7が前進する場合には、図7Aの位置が0%、図7Cの位置が100%である。このように、伸縮長さと第2方向移動距離をそれぞれ分割し、その分割ポイントにおいて伸縮長さ、第2方向移動距離を設定している。図9では、各軸を4分割(16点の分割ポイント)にしているが、分割数は特に限定されない。それぞれの軸を3~6分割して、制御することが好ましい。
【0040】
図7A図7Cの過程においては、図9に示すように、まず、揺動ガイド5を第2方向に50%まで揺動させつつ、移動ガイド7を25%まで前進させる(A点)。次に、揺動ガイド5を第2方向に75%まで揺動させつつ、移動ガイド7を50%まで前進させる(B点)。最後に、揺動ガイド5を第2方向に100%まで揺動させつつ、移動ガイド7を100%まで前進させる(C点)。以上の動作は、停止することなく連続的に行われる。このように、移動ガイド7がC点に到達するまでには、まず、揺動ガイド5を大きく揺動させるが、移動ガイド7の前進距離は短くする。そして、揺動ガイド5の揺動位置が100%に近づくと、移動ガイド7の前進距離を長くしている。
【0041】
これにより、揺動ガイド5の揺動による慣性力で、物品Wが揺動ガイド5から離れた後に、物品Wが、振分対象となるレーンを超えて第2方向にずれるのを防止している。
【0042】
<3.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、第1~第8レーンL1~L8の位置を変えることなく、使用しないレーンを決定することで、物品Wを振り分けるレーンの数を決定している。上記説明のように、振分対象となるレーンの数が奇数である場合には、仮想線Yを中心として非対称となるように振分対象となるレーンが設定される。例えば、上記のように、振分対象となるレーンの数が5の場合には、揺動ガイド5の揺動角度ができるだけ小さくなるように、第3~第7レーンL3~L7が使用される。このほか、第2~第6レーンL2~L6を使用してもよい。
【0043】
一方、振分対象となるレーンの数が偶数である場合には、揺動ガイド5の揺動角度ができるだけ小さくなるように、仮想線Yを中心として対称となるように振分対象となるレーンが設定される。例えば、振分対象となるレーンの数が4の場合には、第3~第6レーンL3~L6が使用される。
【0044】
したがって、例えば、本実施形態で示した第3~第7レーンL3~L7の使用をする作業後に、第3~第6レーンL3~L6を使用する作業を行う場合には、タッチパネルディスプレイ81により、禁止レーンの数を決めるだけでよく、レーンの位置を変更する必要がない。したがって、振り分けるレーンの数が、奇数から偶数、あるいは偶数から奇数に変わっても、対象となるレーンの位置に合わせて、揺動ガイド5が非対称または対称に揺動することで振分を行うため、従来例のようにレーンの位置を変える必要がないため、物品の振分作業を効率的に行うことができる。但し、奇数列における数の変更や、偶数列における数の変更においては、そのまま対称に振分けてもよく、また非対称に振り分けてもよく、下流工程に合わせて適宜選択すればよい。
【0045】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。また、以下の変形例は、適宜組み合わせることができる。
【0046】
<4-1>
上記実施形態においては、図1に示すように、揺動ガイド5の揺動支点3を通過する仮想線Yが、第4レーンL4と第5レーンL5とを仕切る壁を通過するように設定されているが、これに限定されない。すなわち、仮想線Yが、レーンを仕切る壁のほか、レーンの中心線を通過するようにしてもよい。この場合には、振分対象となるレーンの数が偶数であると、仮想線Yを中心として非対称となるように振分対象となるレーンが設定される。
【0047】
<4-2>
上記実施形態では、基本レーンL0を1列にしているが、これを複数のレーンにすることもできる。この場合には、揺動ガイド5が複数列のレーン(例えば、n列)を有することになり、n列の物品Wが揺動され、振分用レーンの中の隣接するn個のレーンに物品Wが振り分けられる。このように揺動ガイドがn列のレーンを有する場合には、振分用レーンは、少なくともn*k列準備される(kは2以上の整数)。
【0048】
<4-3>
振分用レーンの数は特には限定されない。また、搬送される物品の径に合わせて、レーンを構成する仕切り壁の距離を適宜変更するように構成することができる。
【0049】
<4-4>
揺動ガイド5を揺動させるための機構、及び移動ガイド7を進退させるための機構は、特には限定されず、上述したもの以外でも適宜採用することができる。
【0050】
<4-5>
上記実施形態では、禁止レーンを設定することで、振分対象となるレーンを特定しているが、例えば、タッチパネルディスプレイ81において、振分対象となるレーンを直接選択することもできる。第1端部側、第2端部側以外の列を禁止レーンに設定する場合、2列(L7、L6)、3列(L4、L3、L2)のように、2グループに分ける(途中の列に空きを設ける)ことも可能であり、下流工程に合わせて、最適な列数を設定することも可能となる。
【0051】
<4-6>
上記実施形態では、図5に示すように、揺動ガイド5よりも低い物品Wをカウントするために、センサ175を初期状態にある先端ヘッド72よりも上流側に配置し、且つ移動バー71の間の隙間(開口)から物品Wを検出できるようにしているが、例えば、揺動ガイド5よりも高い物品Wをカウントする場合には、センサ175は、初期状態にある先端ヘッド72よりも下流側に配置することができる。この場合、物品Wは、移動ガイド7の先端を通過したときにカウントされるため、上述した所定距離Xは必ずしも設定しなくてもよい。
【符号の説明】
【0052】
2 コンベア
5 揺動ガイド
6 固定ガイド
7 移動ガイド
L0 基本レーン
L1~L8 振分用レーン
Y 仮想線
W 物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9