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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】紙葉搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20240627BHJP
   A63F 7/02 20060101ALI20240627BHJP
   B65H 5/38 20060101ALI20240627BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20240627BHJP
【FI】
B65H5/02 D
A63F7/02 352F
B65H5/38
G07D11/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020066910
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160916
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000143396
【氏名又は名称】株式会社高見沢サイバネティックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100093953
【弁理士】
【氏名又は名称】横川 邦明
(72)【発明者】
【氏名】小須田 豊明
(72)【発明者】
【氏名】大井 寛行
(72)【発明者】
【氏名】三沢 年之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 隼人
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-038351(JP,A)
【文献】実開昭49-047386(JP,U)
【文献】特開2016-047760(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/38
A63F 7/02
G07D 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉処理手段から出た紙葉を搬送する紙葉搬送装置において、
前記紙葉が搬送される搬送路と、
前記紙葉を前記搬送路に沿って搬送する環状の搬送チェーンと、
当該搬送チェーンを環状移動するように駆動する少なくとも2つの駆動源と、
当該少なくとも2つの駆動源の動力を前記搬送チェーンへ伝達する動力伝達手段と、を有しており、
前記搬送チェーンは、連結ピンによって連結された複数の搬送コマを有しており、
前記搬送コマは、摩擦力によって前記紙葉を搬送する紙葉当接部を有しており、
前記搬送チェーンは、往路走行部と復路走行部とを有しており、さらに前記往路走行部及び前記復路走行部は少なくとも1つの曲り部を有しており、さらに、
前記動力伝達手段は、前記搬送チェーンが一方向へ移動するように前記駆動源の動力を前記搬送チェーンへ伝達すると共に、前記搬送チェーン自身が前記一方向へ動くことを許容するように機能し、
前記2つの駆動源のそれぞれに属する前記動力伝達手段が動力を伝達する方向は互いに同じ方向である
ことを特徴とする紙葉搬送装置。
【請求項2】
前記搬送チェーンに対向して配置されたガイド部材を有しており、
前記搬送路は、前記搬送チェーンと前記ガイド部材との間に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉搬送装置。
【請求項3】
前記駆動源は電動モータであり、
前記動力伝達手段は、
前記搬送チェーンを周回移動させるために当該搬送チェーンと係合する回転伝達要素と、
前記電動モータの出力軸と前記回転伝達要素との間に設けられた一方向クラッチとを有しており、
前記一方向クラッチは、前記電動モータの出力軸の動力を前記回転伝達要素へ伝達させるロック状態と、前記回転伝達要素を前記電動モータの出力軸に対して空回りさせる非ロック状態との2つの状態をとることができ、
前記一方向クラッチは、前記ロック状態において前記駆動源の一方向の動力を前記回転伝達要素へ伝達し、前記非ロック状態において前記搬送チェーン自身が前記一方向へ動くことを許容する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の紙葉搬送装置。
【請求項4】
前記往路走行部と前記復路走行部との境界部分である前記搬送チェーンの両端部のそれぞれに前記駆動源が設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の紙葉搬送装置。
【請求項5】
前記紙葉は紙幣であり、
当該紙幣を収納するための紙幣収納庫を有しており、
前記紙葉処理手段は、前記紙幣の投入を受けて遊技媒体を払い出す遊技媒体貸出機であり、
前記搬送路は前記紙幣を前記紙葉処理手段から前記紙幣収納庫まで搬送する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1つに記載の紙葉搬送装置。
【請求項6】
前記搬送コマは、前記連結ピンと、連結部とを有しており、
当該連結部には連結相手となる搬送コマに属する連結ピンを通すための連結孔が設けられ、
前記紙葉当接部は前記連結部の側面部に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の紙葉搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣等といった紙葉を搬送するための紙葉搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2008-213954号公報において紙葉搬送装置が開示されている。この紙葉搬送装置においては、駆動スプロケットと従動スプロケットとの間に搬送チェーンが掛け渡されている。搬送チェーンは、単位部材であるリンクを複数個、順々に連結することにより環状形状に形成されている。個々のリンクには摩擦部材が取り付けられている。摩擦部材の側面には摩擦材料によって形成された作用部が設けられている。駆動スプロケットによって駆動されて搬送チェーンが周回移動するとき、搬送チェーンを構成している個々のリンクに属するリンクの作用部と、紙葉である紙幣との間に生じる摩擦力の作用により、紙幣が搬送される。
【0003】
従来、特開2015-087932号公報に他の紙葉搬送装置が開示されている。この紙葉搬送装置においては、単位部材である搬送コマを複数個、順々に連結することにより環状形状に形成されている。個々の搬送コマに設けられた紙幣当接部と、紙葉である紙幣との間に生じる摩擦力の作用により、紙幣が搬送される。
【0004】
従来、特開2016-047760号公報にさらに他の紙葉搬送装置が開示されている。この紙葉搬送装置においては、単位部材であるチェーン駒を複数個、順々に連結することにより環状形状の搬送チェーンが形成されている。この搬送チェーンは一対のプーリによって支持されている。一方のプーリには、搬送チェーンを一方方向に走行させるための回転アクチュエータが接続されている([0019]段落)。回転アクチュエータの具体的な構成は明確ではない。搬送チェーンが周回移動するとき、チェーン駒の作用部と、紙葉である紙幣との間に生じる摩擦力の作用により、紙幣が搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-213954号公報
【文献】特開2015-087932号公報
【文献】特開2016-047760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送チェーンを用いた搬送機構においては、搬送コマ等といった単位部材を連結することによって搬送チェーンが形成されている。1つの単位部材は隣接する他の単位部材に対して、自由に接離移動したり、自由に回転揺動移動したりすることができる。接離移動とは接近したり、離れたりする移動のことである。
【0007】
単位部材が上記のように他の単位部材に対して接離移動したり、回転揺動移動したりすると、搬送チェーンの周回移動に対して負荷が発生したり、搬送チェーンが振動することにより搬送チェーンの周回移動のバランスが崩れるおそれがある。
【0008】
一方、上述した従来の紙葉搬送装置においては、搬送チェーンを駆動するための駆動源、例えば電動モータは、1つの紙葉搬送装置に関して1つだけであった。このため、搬送チェーンの周回移動に対して負荷が発生したときに、その負荷に負けないような搬送力を搬送チェーンのどの部分においても発生させることが難しかった。また、搬送チェーンの種々の個所において周回移動のバランスが崩れたときに、バランスの崩れを全ての個所に関して最適化することが難しかった。
【0009】
本発明は、従来装置における上記の問題点に鑑みて成されたものであって、搬送チェーンのどの部分に負荷が発生してもその負荷に負けないように搬送チェーンの搬送力を向上させること、及び搬送チェーンのどの部分のバランスが崩れたときでもそのバランスの崩れを効率的に最適化できるようにすること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る紙葉搬送装置は、紙葉処理手段から出た紙葉を搬送する紙葉搬送装置において、前記紙葉が搬送される搬送路と、前記紙葉を前記搬送路に沿って搬送する環状の搬送チェーンと、当該搬送チェーンを環状移動するように駆動する少なくとも2つの駆動源と、当該少なくとも2つの駆動源の動力を前記搬送チェーンへ伝達する動力伝達手段と、を有しており、前記搬送チェーンは、連結ピンによって連結された複数の搬送コマを有しており、前記搬送コマは、摩擦力によって前記紙葉を搬送する紙葉当接部を有しており、前記搬送チェーンは、往路走行部と復路走行部とを有しており、さらに前記往路走行部及び前記復路走行部は少なくとも1つの曲り部を有しており、さらに、前記動力伝達手段は、前記搬送チェーンが一方向へ移動するように前記駆動源の動力を前記搬送チェーンへ伝達すると共に、前記搬送チェーン自身が前記一方向へ動くことを許容するように機能し、前記2つの駆動源のそれぞれに属する前記動力伝達手段が動力を伝達する方向は互いに同じ方向であることを特徴とする。
【0011】
この紙葉搬送装置によれば、無端環状の搬送チェーンを複数の駆動源(例えば電動モータ)によって駆動することにしたので、1つの駆動源で駆動する場合に比べて、十分な搬送力が得られた。また、搬送チェーンの異なる個所に設けた複数の駆動源を用いることにより、搬送チェーンを全体にわたってバランス良く周回移動させることができる。
【0012】
また、動力伝達手段は、搬送チェーンが一方向(例えば図8のC方向)へ移動するように駆動源の動力を搬送チェーンへ伝達すると共に、搬送チェーン自身が前記一方向(C方向)へ動くことを許容するように機能する。これにより、1つの搬送チェーンを複数の駆動源で駆動する場合において、個々の駆動源の駆動力に微妙なバラツキが生じるときでも、搬送チェーンを安定して周回移動させることができる。
【0013】
さらに、搬送チェーンは複数の搬送コマを連結することによって形成される。個々の搬送コマは周回移動する際に隣接する他の搬送コマに対して回転揺動したり、前後移動したりする。搬送コマのこれらの運動は、周回移動する搬送チェーンのバランスを崩す要因となる。しかしながら、本実施形態において動力伝達手段は、搬送チェーンが一方向(例えば図8のC方向)へ移動するように駆動源の動力を搬送チェーンへ伝達すると共に、搬送チェーン自身が前記一方向(C方向)へ動くことを許容するようになっているので、複数の搬送コマの個々が独自に回転揺動や前後移動する場合でも、搬送チェーンを安定してバランスを崩すことなく周回移動させることができる。
【0014】
本発明に係る紙葉搬送装置の他の発明態様は、前記搬送チェーンに対向して配置されたガイド部材を有しており、前記搬送路は、前記搬送チェーンと前記ガイド部材との間に形成される。この構造により、紙葉を安定して搬送することができる。
【0015】
本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の発明態様において、前記駆動源は電動モータであり、前記動力伝達手段は、前記搬送チェーンを周回移動させるために当該搬送チェーンと係合する回転伝達要素と、前記電動モータの出力軸と前記回転伝達要素との間に設けられた一方向クラッチとを有しており、前記一方向クラッチは、前記電動モータの出力軸の動力を前記回転伝達要素へ伝達させるロック状態と、前記回転伝達要素を前記電動モータの出力軸に対して空回りさせる非ロック状態との2つの状態をとることができ、前記一方向クラッチは、前記ロック状態において前記駆動源の一方向の動力を前記回転伝達要素へ伝達し、前記非ロック状態において前記搬送チェーン自身が前記一方向へ動くことを許容する。この構成により、本発明の動力伝達手段を簡単且つ確実に実現できる。
【0017】
本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の発明態様において、前記往路走行部と前記復路走行部との境界部分である前記搬送チェーンの両端部のそれぞれに前記駆動源が設けられる。この紙葉搬送装置では搬送チェーンが曲り部を有するので、紙葉搬送装置の設置場所に柱等といった障害物がある場合でも紙葉搬送装置を設置することが可能になる。
【0018】
本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の発明態様において、前記紙葉は紙幣であり、当該紙幣を収納するための紙幣収納庫を有しており、前記紙葉処理手段は、前記紙幣の投入を受けて遊技媒体を払い出す遊技媒体貸出機であり、前記搬送路は前記紙幣を前記紙葉処理手段から前記紙幣収納庫まで搬送する。この紙葉搬送装置によれば、複数の遊技機を備えた遊技施設において紙幣の搬送を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る紙葉搬送装置によれば、無端環状の搬送チェーンを複数の駆動源(例えば電動モータ)によって駆動することにしたので、1つの駆動源で搬送チェーンを駆動する場合に比べて、十分な搬送力が得られた。
【0020】
また、搬送チェーンの異なる個所に設けた複数の駆動源を用いることにより、1つの駆動源を1か所に設ける場合に比べて、搬送チェーンを全体にわたってバランス良く周回移動させることができる。
【0021】
また、動力伝達手段は、搬送チェーンが一方向(例えば図8のC方向)へ移動するように駆動源の動力を搬送チェーンへ伝達すると共に、搬送チェーン自身が前記一方向(C方向)へ動くことを許容するように機能する。これにより、1つの搬送チェーンを複数の駆動源で駆動する場合において、個々の駆動源の駆動力に微妙なバラツキが生じるときでも、搬送チェーンを安定して周回移動させることができる。
【0022】
さらに、搬送チェーンは複数の搬送コマを連結することによって形成される。個々の搬送コマは周回移動する際に隣接する他の搬送コマに対して回転揺動したり、前後移動したりする。搬送コマのこれらの運動は、周回移動する搬送チェーンのバランスを崩す要因となる。しかしながら、本実施形態において動力伝達手段は、搬送チェーンが一方向(例えば図8のC方向)へ移動するように駆動源の動力を搬送チェーンへ伝達すると共に、搬送チェーン自身が前記一方向(C方向)へ動くことを許容するようになっているので、複数の搬送コマの個々が独自に回転揺動や前後移動する場合でも、搬送チェーンを安定してバランスを崩すことなく周回移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る紙葉搬送装置の一実施形態を含む遊技島の平面図である。
図2図1における矢印Aで示す部分を示す斜視図である。
図3図1のB-B線に従って紙葉搬送装置の縦断面構造を示す断面図である。
図4図3の紙葉搬送装置の分解斜視図である。
図5図3の紙葉搬送装置の斜視図である。
図6】本発明に係る紙葉搬送装置の構成要素である搬送チェーンの単位部材である搬送コマの斜視図である。
図7】本発明に係る紙葉搬送装置の構成要素である搬送チェーンの一実施形態の一部分の正面図である。
図8】本発明に係る紙葉搬送装置の構成要素である動力伝達手段の一実施形態を示す斜視図である。
図9】搬送コマが回転する様子を示す図である。
図10】搬送コマが回転する様子を示す他の図である。
図11】本発明に係る紙葉搬送装置の他の実施形態を含む遊技島の平面図である。
図12】本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の実施形態を含む遊技島の平面図である。
図13図12のH-H線に従って紙葉搬送装置の縦断面構造を示す断面図である。
図14】本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の実施形態を含む遊技島の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る紙葉搬送装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、本明細書に添付した図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0025】
(第1の実施形態)
(全体的な構造)
図1は本発明に係る紙葉搬送装置を用いた遊技島の一例の平面図である。図1において、遊技島1Aは、複数の遊技機2と、複数の紙葉処理手段としての遊技媒体貸出機3とを有している。図1では全ての遊技機に符号2を付していない。また、全ての遊技媒体貸出機に符号3を付していない。しかしながら、遊技機2及び遊技媒体貸出機3は遊技島1Aの全面にわたって隙間なく並べて設置されている。
【0026】
複数の遊技機2及び複数の遊技媒体貸出機3は、それぞれが鉛直方向(図1の紙面を貫通する方向)に立てて設けられている。また、複数の遊技機2及び複数の遊技媒体貸出機3は、横方向(図1の左右方向)へ交互に並べて設けられている。また、手前側の遊技機列4Aと奥側の遊技機列4Bとが空間を隔てて背中合わせの状態で設けられている。
【0027】
図2図1の矢視Aで示す部分を斜め上方向から見た場合の斜視図を示している。図2に示すように遊技機2は、本実施形態の場合、パチンコ機である。場合によっては、遊技機2はパチスロ機あるいはその他の遊技機のことがある。遊技媒体貸出機3は紙幣挿入口7を有している。また、遊技媒体貸出機3の適所には遊技媒体払出口(図示せず)が設けられている。紙幣挿入口7に所定額の紙幣を投入すると、所定量の遊技媒体(本実施形態の場合はパチンコ玉)が遊技媒体払出口から払い出されて遊技機2の所定個所へ供給される。図2の符号6は紙幣を回収するための紙幣収納庫を示している。
【0028】
(紙葉搬送装置)
図1において遊技島1Aの内部に、具体的には手前側遊技機列4Aと奥側遊技機列4Bとの間に、本発明に係る紙葉搬送装置8Aが設けられている。図3図1のB-B線に従って紙葉搬送装置8Aの断面構造を示している。図3において紙葉搬送装置8Aは、フレーム9と、ガイド部材としてのガイド板10Aと、ガイド部材としてのガイド板10Bとを有している。フレーム9、ガイド板10A及びガイド板10Bは、いずれも図4に示すように、概ね長方形状の板状部材である。
【0029】
図4において、フレーム9は軽くて錆び難い材料、例えばアルミニウム合金によって形成されている。ガイド板10A,10Bは合成樹脂によって形成されている。ガイド板10A,10Bは、内部で搬送される紙幣を視認できるようにするために、透明又は光透過性であることが望ましい。
【0030】
フレーム9の上端縁の左右両側に直線状の溝11,11が形成されている。フレーム9の下端縁の左右両側に直線状の溝12,12が形成されている。ガイド板10Aの上端縁に複数(本実施形態では3個)の係合突部15が設けられている。ガイド板10Aの下端縁にも複数(本実施形態では3個)の係合突部16が設けられている。ガイド板10Bの上端縁に複数(本実施形態では3個)の係合突部17が設けられている。ガイド板10Bの下端縁にも複数(本実施形態では3個)の係合突部18が設けられている。
【0031】
図3に示すように、ガイド板10Aの上側係合突部15をフレーム9の上側溝11に挿入して嵌め合わせ、ガイド板10Aの下側係合突部16をフレーム9の下側溝12に挿入して嵌め合わせ、ガイド板10Bの上側係合突部17をフレーム9の上側溝11に挿入して嵌め合わせ、さらにガイド板10Bの下側係合突部18をフレーム9の下側溝12に挿入して嵌め合わせることにより、図5に示すような全体的に角筒形状の搬送ユニット19が形成される。この搬送ユニット19を複数個、長手方向に連続して連結することにより、図1に示す長い紙葉搬送装置8Aが形成される。
【0032】
図3において、フレーム9は上溝11と下溝12との間に仕切板22を有している。仕切板22と左側ガイド板10Aとの間にチェーン用空間K1が形成され、仕切板22と右側ガイド板10Bとの間にチェーン用空間K2が形成される。ガイド板10A,10Bの内側表面には長手方向(図3の紙面貫通方向)に直線状に延びる突条23が設けられている。これらの突条23は搬送される紙葉である紙幣をガイド(案内)する作用をなす。
【0033】
チェーン用空間K1内に搬送チェーン24の往路走行部が設けられている。チェーン用空間K2内に搬送チェーン24の復路走行部が設けられている。搬送チェーン24は図1に示すように、その一端部において第1のスプロケット25aによって支持されており、その他端部において第2のスプロケット25bによって支持されている。搬送チェーン24は、第1のスプロケット25aと第2のスプロケット25bとの間で、長い無端の環状に張り渡されている。搬送チェーン24は第1のスプロケット25aと第2のスプロケット25bとの間で周回移動する。
【0034】
以上のように、本実施形態では、ガイド板10A及びガイド板10Bを両側面とする搬送ユニット19(図5参照)がケーシングとして用いられる。そして、搬送チェーン24の往路走行部と復路走行部の両方がその1つのケーシングによって囲まれている。そして、そのケーシングの両側面の内面が、搬送される紙幣をガイドするためのガイド面となっている。
【0035】
(曲り部)
図1において、搬送チェーン24は周回移動路の途中に複数(本実施形態では2個所)の曲り部28,28を有している。これらの曲り部28は、本実施形態では、従動プーリ、従動スプロケット等といった回転伝動要素と、湾曲形状のガイド板10A,10Bとの組み合わせによって形成されている。これらの曲り部28は、遊技島1Aを設置する場所の都合に応じて設けられるものである。例えば、曲り部28は、設置場所に壁、柱等といった障害物がある場合にその障害物を避けるために設けられる。また、曲り部28は、設置場所が平面的に見て円形状、正方形状等のように細長くない場合に多数の遊技機2を設置したいときのために設けられる。
【0036】
本実施形態では曲り部28において搬送チェーン24が略90度の角度で曲がっているが、曲り角度は90度以外の任意の角度とすることもできる。また、曲り部28は曲率をもって湾曲する湾曲形状であっても良い。また、本実施形態ではプーリ等といった回転伝動要素と湾曲形状のガイド板との組み合わせによって曲り部28を構成したが、曲り部28はその他の任意の構成であっても良い。
【0037】
図3において、搬送チェーン24の往路走行部と左側ガイド板10Aとの間に、紙葉としての紙幣29を搬送するための紙幣搬送路R1が形成されている。また、搬送チェーン24の復路走行部と右側ガイド板10Bとの間に紙幣29を搬送するための紙幣搬送路R2が形成されている。
【0038】
(搬送チェーン)
搬送チェーン24は、図6に示す単位部材としての搬送コマ30を複数個、連結ピン31によって図7に示すように順々に連結することによって形成されている。図6において、搬送コマ30は、連結部32と腕部33a,33bとを有している。連結部32の側面部分には紙幣当接部36が設けられている。紙幣当接部36は紙幣との間で十分な摩擦力を発生できる材料、例えば摩擦係数が大きい部材によって形成されている。また、連結部32には連結ピン31を通すための連結孔37が設けられている。
【0039】
連結部32から分岐する腕部33aと腕部33bとの間には空間S1が形成されている。連結ピン31はこの空間S1の内部に存在している。図7において、1つの搬送コマ30の連結部32の後端と、その後ろ側に隣接する他の搬送コマ30の連結部32の先端との間に、スプロケット嵌合用の孔38が形成されている。
【0040】
図6において、搬送コマ30の一方の腕部33aにローラ39aが設けられている。そして、ローラ39aの両端にフランジ40が設けられている。搬送コマ30の他方の腕部33bにローラ39bが設けられている。そして、ローラ39bの両端にフランジ40が設けられている。図3において、フレーム9の鉛直方向の中心部のやや上方位置に2つのガイドレール43a,43bが設けられている。これらのガイドレール43a,43bは図4に示すように直線状に延びている。また、フレーム9の鉛直方向の中心部のやや下方位置に2つのガイドレール43c,43dが設けられている。これらのガイドレール43c,43dも図4に示すように直線状に延びている。
【0041】
図3においてチェーン用空間K1及びK2の内部に設置された搬送チェーン24の搬送コマ30のローラ39a及び39bのフランジ40は、フレーム9のガイドレール43a,43b,43c,43bに緩く嵌合している。これにより、搬送コマ30は図4のガイドレール43a,43b,43c,43bに案内されて移動する。
【0042】
(駆動源及び動力伝達手段)
図1において無端環状の搬送チェーン24の左側の端部に駆動源としての第1の電動モータ44aが設けられている。他方、搬送チェーン24の右側の端部に駆動源としての第2の電動モータ44bが設けられている。これらの電動モータ44a,44bは、図8に示すように搬送チェーン24を周回移動させるための駆動源になっている。具体的には、電動モータ44a,44bの出力軸45a,45bにプーリ50が取付けられ、搬送チェーン24に噛合う第1のスプロケット25a及び第2のスプロケット25bの軸にプーリ52が取付けられ、プーリ50とプーリ52とにベルト46が掛け渡されている。本実施形態では、第1のスプロケット25a及び第2のスプロケット25bが回転伝達要素として作用する。
【0043】
モータ44a,44bの出力軸45a,45bの回転がベルト46によって第1のスプロケット25a及び第2のスプロケット25bへ伝達される。第1のスプロケット25a及び第2のスプロケット25bの歯は、搬送チェーン24の搬送コマ30のスプロケット嵌合用の孔38に嵌合するようになっている。このため、モータ44a,44bによって駆動されてスプロケット25a,25bが回転すると、搬送チェーン24が矢印Cのように周回移動する。
【0044】
本実施形態では、ベルト46とスプロケット25a,25bとの間に一方向クラッチ47が設けられている。一方向クラッチ47はベルト46が矢印D方向へ周回移動するときにロック状態になってその周回移動をスプロケット25a,25bへ伝達する。これによりスプロケット25a,25bが矢印C方向へ回転して、搬送チェーン24が矢印C方向へ周回移動する。
【0045】
ベルト46が矢印Dの反対方向へ周回移動しようとするとき、一方向クラッチ47は非ロック状態になり、ベルト46はスプロケット25a,25bに対して空回りする。換言すれば、一方向クラッチ47は、搬送チェーン24が矢印Cで示す一方向へ移動するようにモータ44a,44bの動力を搬送チェーン24へ伝達すると共に、搬送チェーン24それ自身が同じ一方向Cへ動くことを許容するように機能する。
【0046】
別の見方をすれば、次の説明がなされる。通常の状態において、モータ44a,44bによって駆動されて搬送チェーン24が速度vで周回移動するものとする。この条件の下で搬送チェーン24の速度が何らかの理由によってvより速くなると、スプロケット25a,25b及びその軸51の速度は搬送チェーン24に追従して速くなる。しかしながら、このとき、プーリ52及びプーリ50は一方向クラッチ47の作用のために速くはならない。
【0047】
他方、搬送チェーン24の速度が何らかの理由によりvよりも遅くなろうとすると、スプロケット25a,25b、その軸51、プーリ52、及びプーリ50はそれに追従して遅くなろうとする。これは一方向クラッチ47があってもなくても同じである。この場合は、モータ44a,44bに過剰な負荷がかかることになる。このように過剰な負荷がモータ44a,44bにかかると、モータ44a,44b内のクラッチが作動して出力軸45a,45bの回転が断続的になる。スプロケット25a,25bの軸51には予めセンサが付設されており、モータ44a,44bの出力軸45a,45bの断続的な回転はそのセンサによって検知される。この場合には、モータ45a,45bに異常が発生したものとして対応の措置が行われる。
【0048】
本実施形態では、プーリ50、ベルト46、プーリ52、一方向クラッチ47及びスプロケット25a,25bにより、モータ44a,44bの動力を搬送チェーン24へ伝達するための動力伝達手段54が構成されている。なお、動力伝達手段54の主たる機能は、搬送チェーン24が矢印Cで示す一方向へ移動するようにモータ44a,44bの動力を搬送チェーン24へ伝達すると共に、搬送チェーン24それ自身が同じ一方向Cへ動くことを許容することである。この機能が達成される限りにおいて動力伝達手段の具体的な構成は本実施形態で採用した構成に限られることはない。周知であるラチェットや付勢手段により搬送チェーンの張力を一定とする構造でも良い。
【0049】
(紙葉搬送装置の動作)
図1に示す紙葉搬送装置8Aは以上のように構成されているので、搬送チェーン24の両端部のモータ44a及び44bの出力軸45a,45b(図8参照)が同じ回転方向へ同じ速度で回転すると、搬送チェーン24が一定方向へ周回移動する。この状態で、いずれかの遊技媒体貸出機3の紙幣挿入口7(図2参照)に紙幣が挿入される。挿入された紙幣は所定の真偽検査処理を受ける。この真偽検査処理によって真正な紙幣であると判定された紙幣は図3の紙幣搬送路R1又はR2(図3参照)へ送り出される。
【0050】
送り出された紙幣29は、横長で立った状態で搬送コマ30の紙幣当接部36の表面に当接し、摩擦力の作用により搬送チェーン24の周回移動方向へ搬送される。こうして搬送される紙幣29は図1において搬送チェーン24の周回移動に従って移動した後に、遊技島1Aの左端に設けられた紙幣収納庫6へ収納される。
【0051】
使用者等の要望に対応するため、本実施形態では、搬送チェーン24の長さが長くなっているものである。しかも、搬送チェーン24が2つの曲り部28,28を有している。これらのため、搬送チェーン24の全体にかかる負荷が大きくなっている。仮に、搬送チェーン24を駆動するための駆動源としてのモータが従来のように1つだけであるとすると、大容量のモータを用いないと十分な搬送力を得られない。しかしながら、大容量の1つのモータを用いたとしても、モータに近い部分とモータから離れた部分とで搬送力に差異が生じ、安定した紙幣の搬送が達成できないおそれがある。
【0052】
これに対し、本実施形態では異なる個所に設けた2つのモータ44a,44bによって搬送チェーン24を駆動することにしたので、搬送チェーン24が長い場合でも、あるいは搬送チェーン24に曲り部28が存在する場合でも、搬送チェーン24を全体にわたって十分な搬送力で安定して搬送できるようになった。
【0053】
また、本実施形態では、図8に示したように、モータ44a,44bの出力軸45a,45bとスプロケット25a,25bとの間に一方向クラッチ47を設けた。このため、スプロケット25a,25bが矢印C方向へ独自に回転しようとする動きに自由度が付与されている。このため、1つの搬送チェーン24に対して2つのモータ44a,44bを設けた場合でも、スプロケット25a,25bに異常な負荷がかかることが回避されて、スプロケット25a,25bを安定して回転させることが可能になった。
【0054】
さらに、本実施形態では、図3に示すように紙幣29を搬送チェーン24によって搬送することにした。そして、搬送チェーン24は図7に示すように複数の搬送コマ30を連結ピン31で連結する構造となっている。この場合、連結ピン31は図6の孔37に挿入されており、孔37の内周面と連結ピン31の外周面との間には隙間が存在しているので、図9において1つの搬送コマ30aはそれに隣接する他の搬送コマ30bに対して図9の矢印Eで示すように搬送チェーン24の周回移動方向Fと平行な鉛直面内において回転揺動したり、あるいは図10に矢印Gで示すように搬送チェーン24の周回移動方向F(図10の紙面貫通方向)に対して直角な鉛直面内において回転揺動したりすることがある。また、搬送コマ30は隣接する他の搬送コマ30に対して前後移動(すなわち近づいたり離隔したりする移動)することもある。
【0055】
これらのような搬送コマ30の回転揺動や前後移動が図3に示すチェーン用空間K1又はチェーン用空間K2の中で発生すると、搬送チェーン24に大きな負荷がかかったり、搬送される搬送チェーン24のバランスが崩れたりすることがある。本実施形態では1つの搬送チェーン24の異なる個所に2個(すなわち複数)のモータ44a,44bを設けたので、搬送チェーン24に加わる大きな負荷に対して搬送チェーン24の全域にわたって十分な搬送力を付加できるようになった。
【0056】
しかも、本実施形態では図8に示すように、一方向クラッチ47を含んだ動力伝達手段54を用いることにより、モータ44a,44bの一方向(D方向)の動力を伝達し逆方向の動力は伝達しないようにしたので、換言すればスプロケット25a,25bが周回移動方向Cへ回転できる自由度を付加したので、搬送チェーン24の搬送バランスを最適化することができた。
【0057】
また、負荷が掛かったチェーン搬送は、負荷地点から駆動モータまでは各搬送コマの間隔が広がって行き(すなわち、各搬送コマの間隔が広がる)、駆動モータから負荷地点までは各搬送コマの間隔が詰まって行く(すなわち、各搬送コマの間隔が狭まる)。具体的には、駆動部のプーリ(又はスプロケット)の前後で、チェーンの引っ張りと押し出し(すなわち撓み)が発生し、加えて、チェーンの連続駆動により駆動力の増加、前記各搬送コマによる撓みの増長により、チェーンが外れる現象が発生する。これに対し、本実施形態のように一方向クラッチ47を含んだ動力伝達手段54を用いれば、そのようなチェーンの外れ等を防止できる。
【0058】
(変形例)
上記実施形態では、図1において2つの曲り部28を、従動プーリ等といった従動的な回転伝動要素と、湾曲形状のガイド板10A,10Bとの組合せによって形成した。しかしながら、これに代えて、2つの曲り部28の一方又は両方を回転駆動構造によって構成しても良い。このような回転駆動構造は、例えば図8に示す電動モータ44aと動力伝達手段54とを含む構造とすることができる。
【0059】
(第2の実施形態)
図11は、本発明に係る紙葉搬送装置の他の実施形態の平面的な構造を示している。図11において、図1に示した部材と同じ部材は同じ符号を付すことにして、それらの部材の説明は省略することにする。図11に示す遊技島1Bは紙葉搬送装置8Bを有している。紙葉搬送装置8Bの平面的な全体形状は図1の紙葉搬送装置8Aとは異なっているが、図11におけるB-B線に従った紙葉搬送装置8Bの断面構造は図3に示した紙葉搬送装置8Aの断面構造と同じである。
【0060】
本実施形態においては、図11の中央部よりも左側において搬送チェーン24の4つの曲り部28a,28b,28c,28dによって第1の迂回部57aが形成されている。また、中央部よりも右側において搬送チェーン24の4つの曲り部28e,28f,28g,28hによって第2の迂回部57bが形成されている。これらの迂回部57a,57bは、遊技島1Bの設置場所に存在する障害物58,58を避けて搬送チェーン24を設置するために設けられている。障害物58は、例えば設置場所に存在する柱である。本実施形態によれば、柱等といった障害物が存在する場所であっても遊技島1Bを問題なく設置することができる。
【0061】
本実施形態においても、搬送チェーン24の両端部のモータ44a及び44bの出力軸45a,45b(図8参照)が同じ回転方向へ同じ速度で回転すると、搬送チェーン24が一定方向へ周回移動する。この状態で、いずれかの遊技媒体貸出機3の紙幣挿入口7(図2参照)に紙幣が挿入される。挿入された紙幣は所定の真偽検査処理を受ける。この真偽検査処理によって真正な紙幣であると判定された紙幣は図3の紙幣搬送路R1又はR2(図3参照)へ送り出される。
【0062】
送り出された紙幣29は、横長で立った状態で搬送コマ30の紙幣当接部36の表面に当接し、摩擦力の作用により搬送チェーン24の周回移動方向へ搬送される。こうして搬送される紙幣29は図11において搬送チェーン24の周回移動に従って移動した後に、遊技島1Bの左端に設けられた紙幣収納庫6へ収納される。
【0063】
本実施形態では搬送チェーン24の途中に多数の曲り部28a~28hを設けたので、周回移動する搬送チェーン24にかかる負荷が非常に大きくなる。このような場合、従来のように搬送チェーンを1つのモータだけで駆動するときには、その1つのモータの容量を大きくすることになる。しかしながら、容量の大きいモータはコストが高くなる。また、1つのモータで搬送チェーンを駆動する場合には、搬送チェーンのうちでモータに近い所と遠い所とで搬送チェーンの動きにバラツキが生じるおそれがある。これに対し、本実施形態のように搬送チェーン24の異なる個所に設けたモータ44a,44bによって搬送チェーン24を駆動することにすれば、搬送チェーン24を安定して周回移動させることができる。
【0064】
(第3の実施形態)
図12は本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の実施形態を示している。図12において、図1に示した部材と同じ部材は同じ符号を付すことにして、それらの部材の説明は省略することにする。図12において遊技島1Cの内部に、具体的には手前側遊技機列4Cと奥側遊技機列4Dとの間に、本発明に係る紙葉搬送装置8Cが設けられている。
【0065】
図13図12のH-H線に従って紙葉搬送装置8Cの断面構造を示している。図13において紙葉搬送装置8Cは、搬送チェーン24を構成する搬送コマ30を収容するケーシング59と、ケーシング59の上壁及び下壁から延びるガイドレール60,60とを有している。ケーシング59の右側の側壁59aは紙幣29を案内するためのガイド部材として機能する。ケーシング59の内部は紙幣29を搬送するための紙幣搬送路R3を構成している。ケーシング59は図5に示した搬送ユニット19と同様に全体的に角筒形状である。このケーシング59を複数個、長手方向に連続して連結することにより、図12に示す長い紙葉搬送装置8Cが形成される。図13のガイドレール60,60は長手方向(図13の紙面貫通方向)へ直線状に延びている。
【0066】
ケーシング59の一方の側面の内周面に複数(本実施形態では4個)の突条63が設けられている。これらの突条63は長手方向(図13の紙面貫通方向)へ直線状に延びている。これらの突条63は搬送される紙葉である紙幣29をガイド(案内)する作用をなす。
【0067】
図12の一方(図の上方)のケーシング59の内部に搬送チェーン24の往路走行部が設けられ、他方(図の下方)のケーシング59の内部に搬送チェーン24の復路走行部が設けられる。搬送チェーン24は、その一端部において動力伝達手段としての第1のスプロケット25aによって支持されており、その他端部において動力伝達手段としての第2のスプロケット25bによって支持されている。搬送チェーン24は、第1のスプロケット25aと第2のスプロケット25bとの間で、長い無端の環状に張り渡されている。搬送チェーン24は第1のスプロケット25aと第2のスプロケット25bとの間で周回移動する。
【0068】
第1のスプロケット25aと第2のスプロケット25bは水平面内において間隔Jを隔てて設けられている。第1のスプロケット25aから少し離れて回転伝動要素64a、例えばプーリ、スプロケット等が設けられている。第2のスプロケット25bから少し離れて回転伝動要素64b、例えばプーリ、スプロケット等が設けられている。搬送チェーン24はこれらの回転伝動要素64a,64bによって支持されることにより、往路走行部と復路走行部とが互いに平行に周回移動するようになっている。回転伝動要素64a,64bは搬送チェーン24の曲り部を構成している。
【0069】
本実施形態では搬送チェーン24の往路走行部と復路走行部との間に間隔Jが設けられるので、その分だけ紙葉搬送装置8Cの幅Lが広くなっている。換言すれば、本実施形態の紙葉搬送装置8Cは、設置場所との関係で紙葉搬送装置の幅を広くとりたい場合に好適である。
【0070】
搬送チェーン24は、図6に示す単位部材としての搬送コマ30を複数個、連結ピン31によって図7に示すように順々に連結することによって形成されている。搬送コマ30の具体的な構造は既に説明したので、ここでの説明は省略する。図13においてケーシング59の内部に設置された搬送チェーン24の搬送コマ30のローラ39a及び39bのフランジ40は、ガイドレール60,60に緩く嵌合している。これにより、搬送コマ30はガイドレール60,60に案内されて移動する。
【0071】
図12において無端環状の搬送チェーン24の左側の端部に駆動源としての第1の電動モータ44aが設けられている。他方、搬送チェーン24の右側の端部に駆動源としての第2の電動モータ44bが設けられている。これらの電動モータ44a,44bは、図8に示すように搬送チェーン24を周回移動させるための駆動源になっている。具体的には、電動モータ44a,44bの出力軸45a,45bにプーリ50が取付けられ、搬送チェーン24に噛合う第1のスプロケット25a及び第2のスプロケット25bの軸にプーリ52が取付けられ、プーリ50とプーリ52とにベルト46が掛け渡されている。電動モータ44a,44bとスプロケット25a,25bの具体的な構造は既に説明したので、ここでは省略する。
【0072】
このように、図12のように、紙搬送装置8Cの幅Lが広くなっている本実施形態であっても、図8のようにモータ44a,44bの出力軸45a,45bとスプロケット25a,25bとの間に一方向クラッチ47を設けたので、スプロケット25a,25bが矢印C方向へ独自に回転しようとする動きに自由度が付与されている。このため、1つの搬送チェーン24に対して2つのモータ44a,44bを設けた場合でも、スプロケット25a,25bに異常な負荷がかかることが回避されて、スプロケット25a,25bを安定して回転させることができる。
【0073】
(第4の実施形態)
図14は本発明に係る紙葉搬送装置のさらに他の実施形態を示している。図1に示した紙葉搬送装置8Aは複数の曲り部28を有していた。また、図11に示した紙葉搬送装置8Bは複数の曲り部28a~28hによって形成された迂回部57a,58bを有していた。図14に示す紙葉搬送装置8Dは、迂回部も曲り部も含まない、使用者等の要望に対応するため、遊技島の長さを長くし、単なる直線状に延びる紙葉搬送装置である。
【0074】
この実施形態においても、無端環状の搬送チェーン24が長くなることで、従来より負荷の発生が大きくなる。これに対して、無端環状の搬送チェーン24を複数の駆動源である電動モータ44a,44bによって駆動することにしたので、1つの駆動源で駆動する場合に比べて、十分な搬送力が得られた。また、複数の駆動源を用いることにより、搬送チェーンを全体にわたってバランス良く周回移動させることができる。
【0075】
また、図8において、一方向クラッチ47は、搬送チェーン24が矢印Cで示す一方向へ移動するようにモータ44a,44bの動力を搬送チェーン24へ伝達すると共に、搬送チェーン24それ自身が同じ一方向Cへ動くことを許容するように機能する。これにより、1つの搬送チェーン24を複数の駆動源で駆動する場合において、個々の駆動源の駆動力に微妙なバラツキが生じるときでも、搬送チェーン24を安定して周回移動させることができる。
【0076】
さらに、搬送チェーン24は図7に示すように複数の搬送コマ30を連結することによって形成される。個々の搬送コマ30は周回移動する際に隣接する他の搬送コマ30に対して回転揺動したり、前後移動したりする。搬送コマのこれらの運動は、周回移動する搬送チェーン24のバランスを崩す要因となる。しかしながら、本実施形態において図8に示す動力伝達手段54は、搬送チェーン24が一方向(C方向)へ移動するように駆動源44a.44bの動力を搬送チェーン24へ伝達すると共に、搬送チェーン24自身が一方向(C方向)へ動くことを許容するようになっているので、複数の搬送コマ30の個々が独自に回転揺動や前後移動する場合でも、搬送チェーン24を安定してバランスを崩すことなく周回移動させることができる。
【0077】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、以上の実施形態ではパチンコ機等といった遊技機を含む遊技島において紙幣を搬送する場合を例示したが、本発明の紙葉搬送装置は遊技島以外の施設において紙幣を搬送する場合にも適用できる。
【0078】
また、以上の実施形態では紙葉としての紙幣を搬送する場合を例示したが、本発明の紙葉搬送装置は紙幣以外の紙葉を搬送する場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0079】
1A,1B,1C,1D:遊技島、2:遊技機、3:遊技媒体貸出機(紙葉処理手段)、
4A,4B,4C,4D:遊技機列、6:紙幣収納庫、7:紙幣挿入口、8A,8B,8C,8D:紙葉搬送装置、9:フレーム、10A:左側ガイド板(ガイド部材)、10B:右側ガイド板(ガイド部材)、11:上溝、12:下溝、15,16,17,18:係合突部、19:搬送ユニット、22:仕切板、23:突条、24:搬送チェーン、25a:第1のスプロケット、25b:第2のスプロケット、28:曲り部、29:紙幣(紙葉)、30:搬送コマ(搬送単位部材)、30a,30b:搬送コマ、31:連結ピン、32:連結部、33a,33b:腕部、36:紙幣当接部、37:連結孔、38:スプロケット嵌合用の孔、39a,39b:ローラ、40:フランジ、43a,43b,43c,43d:ガイドレール、44a:第1の電動モータ(駆動源)、44b:第2の電動モータ(駆動源)、45a,45b:出力軸、46:ベルト、47:一方向クラッチ、50:プーリ、51:軸、52:プーリ、54:動力伝達手段、57a,57b:迂回部、58:障害物、59:ケーシング、59a:ガイド部材、60:ガイドレール、63:突条、64a,64b:回転伝動要素、J:間隔、K1,K2:チェーン用空間、L:幅、R1,R2,R3:紙幣搬送路、S1:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14