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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20210101AFI20240627BHJP
   G02B 7/198 20210101ALI20240627BHJP
   G02B 7/18 20210101ALI20240627BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240627BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240627BHJP
   G03B 17/17 20210101ALI20240627BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G02B7/198
G02B7/18 100
H04N23/55
H04N23/68
G03B17/17
G03B30/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020106981
(22)【出願日】2020-06-22
(65)【公開番号】P2022001916
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】新井 努
(72)【発明者】
【氏名】武田 正
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107357026(CN,A)
【文献】特表2009-526257(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0129798(KR,A)
【文献】特開2015-092285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G02B 7/18-7/198
H04N 23/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの入射方向から撮像素子に向かう反射方向に入射光束を反射させる反射部と、
前記反射部を備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を可動させる可動機構と、
第1軸線周りに揺動可能に前記可動体を支持する第1支持部を備えるとともに、前記第1軸線方向と交差する第2軸線周りに前記固定体に揺動可能に支持される第2支持部を備えるジンバル機構と、
を備え、
前記ジンバル機構は、前記反射方向に沿うローリング軸を基準に前記可動体を揺動可能であって、前記ローリング軸と交差するピッチング軸を基準に前記可動体を揺動可能に配置され、
前記ジンバル機構は、前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられるフレーム部を有し、前記フレーム部が前記可動体に対して前記入射方向において先頭側に位置する配置であり、
前記フレーム部は、前記可動体が揺動した際に前記可動体と前記フレーム部との接触を抑制する開口部が設けられていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記ジンバル機構は、前記フレーム部が前記入射方向から見て前記可動体の周囲に位置する配置であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動機構は、前記可動体に設けられた磁石と、前記磁石と対向する位置であって前記固定体に設けられたコイルと、を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
外部からの入射方向から撮像素子に向かう反射方向に入射光束を反射させる反射部と、
前記反射部を備える可動体と、
固定体と、
前記固定体に対して前記可動体を可動させる可動機構と、
第1軸線周りに揺動可能に前記可動体を支持する第1支持部を備えるとともに、前記第1軸線方向と交差する第2軸線周りに前記固定体に揺動可能に支持される第2支持部を備えるジンバル機構と、
を備え、
前記ジンバル機構は、前記反射方向に沿うローリング軸と交差するピッチング軸を基準に前記可動体を揺動可能であって、前記ローリング軸と交差するとともに前記ピッチング軸とも交差するヨーイング軸を基準に前記可動体を揺動可能に配置され、
前記第1軸線と前記第2軸線とは、前記反射方向から見て、前記入射方向側の交差角度が前記入射方向と交差する交差方向側の交差角度よりも大きくなる配置で交差することを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記ジンバル機構は、前記ピッチング軸及び前記ヨーイング軸の少なくとも一方が前記反射部の反射面に沿う方向に配置されていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項4または5に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動機構は、前記可動体に設けられた磁石と、前記磁石と対向する位置であって前記固定体に設けられたコイルと、を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項7】
請求項に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動機構は、前記反射部に対して前記可動体の前記入射方向における先方側に設けられた第1磁石と、前記反射部に対して前記可動体の両方の前記交差方向側に設けられた前記第1磁石よりも小さい第2磁石と、を前記磁石として有することを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、外部からの入射光束を撮像素子に向けて反射させる反射部を備える可動体を、固定体に対して可動させる、光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、板バネで反射部としてのプリズムを備える可動体を支持し、固定体に対して該プリズムを可動させる光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】CN107357026A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、反射部を備える可動体を固定体に対して可動させる構成の光学ユニットにおいては、反射部を備える可動体を固定体に対して大きく変位させることが望ましい。例えば手振れ補正などを効果的に解消できるためである。しかしながら、反射部を備える可動体を固定体に対して可動させる構成の従来の光学ユニットにおいては、可動体を固定体に対して大きく変位させることが困難な場合があった。例えば、特許文献1の光学ユニットにおいては、板バネの強度を低下させると可動体を固定体に対して大きく変位させることが可能になるが、板バネの強度を低下させると可動体が振動しやすくなり光学ユニットの駆動周波数と可動体の共振周波数とが近くなる場合などがある。このため、強度の低い板バネを採用することは困難である。また、反射部を備える可動体を固定体に対して可動させる構成としては、レンズを反射部に対してシフトさせる構成や反射部を1軸のみで搖動させる構成があるが、これらのような構成では、可動体を固定体に対して大きく変位させることが困難である。そこで、本発明は、反射部を備える可動体を固定体に対して大きく変位させることが可能な光学ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、外部からの入射方向から撮像素子に向かう反射方向に入射光束を反射させる反射部と、前記反射部を備える可動体と、固定体と、前記固定体に対して前記可動体を可動させる可動機構と、第1軸線周りに揺動可能に前記可動体を支持する第1支持部を備えるとともに、前記第1軸線方向と交差する第2軸線周りに前記固定体に揺動可能に支持される第2支持部を備えるジンバル機構と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、第1軸線周りに揺動可能に可動体を支持する第1支持部と第2軸線周りに固定体に揺動可能に支持される第2支持部とを備えるジンバル機構を備える。このような2軸のジンバル機構を備えることで、反射部を備える可動体を固定体に対して大きく変位させることができる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記反射方向に沿うローリング軸を基準に前記可動体を揺動可能であって、前記ローリング軸と交差するピッチング軸を基準に前記可動体を揺動可能に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体を固定体に対してローリング軸及びピッチング軸を揺動軸として大きく変位させることが可能になる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられるフレーム部を有し、前記フレーム部が前記可動体に対して前記入射方向において先頭側に位置する配置である構成とすることができる。このような構成とすることで、簡単にジンバル機構の製造公差の影響を低減することができる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記フレーム部は、前記可動体が揺動した際に前記可動体と前記フレーム部との接触を抑制する開口部が設けられている構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体が揺動した際における可動体とフレーム部との接触を抑制しつつ光学ユニットを小型化することができる。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記第1支持部及び前記第2支持部が設けられるフレーム部を有し、前記フレーム部が前記入射方向から見て前記可動体の周囲に位置する配置である構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニットを入射方向において薄く形成することができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記反射方向に沿うローリング軸と交差するピッチング軸を基準に前記可動体を揺動可能であって、前記ローリング軸と交差するとともに前記ピッチング軸とも交差するヨーイング軸を基準に前記可動体を揺動可能に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、可動体を固定体に対してピッチング軸及びヨーイング軸を揺動軸として大きく変位させることが可能になる。
【0012】
本発明の光学ユニットにおいては、前記ジンバル機構は、前記ピッチング軸及び前記ヨーイング軸の少なくとも一方が前記反射部の反射面に沿う方向に配置されている構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニットを反射面と交差する方向において薄く形成することができる。
【0013】
本発明の光学ユニットにおいては、前記第1軸線と前記第2軸線とは、前記反射方向から見て、前記入射方向側の交差角度が前記入射方向と交差する交差方向側の交差角度よりも大きくなる配置で交差する構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニットを入射方向において薄く形成することができる。
【0014】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動機構は、前記可動体に設けられた磁石と、前記磁石と対向する位置であって前記固定体に設けられたコイルと、を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、可動機構を簡単に形成でき、コイルに繋がるケーブルなどが可動体の可動を妨げることを抑制できる。
【0015】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動機構は、前記可動体の前記入射方向側に設けられた第1磁石と、前記可動体の両方の前記交差方向側に設けられた前記第1磁石よりも小さい第2磁石と、を前記磁石として有する構成とすることができる。このような構成とすることで、光学ユニットを入射方向において薄く形成したことに伴って可動機構の性能が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光学ユニットは、反射部を備える可動体を固定体に対して大きく変位させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットを備えるスマートフォンの斜視図である。
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの側面図である。
図3】本発明の実施例1に係る光学ユニットの斜視図である。
図4】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図5】本発明の実施例2に係る光学ユニットの底面図である。
図6】本発明の実施例2に係る光学ユニットの側面図である。
図7】本発明の実施例3に係る光学ユニットの斜視図である。
図8】本発明の実施例3に係る光学ユニットの分解斜視図である。
図9】本発明の実施例3に係る光学ユニットの平面図である。
図10】本発明の実施例4に係る光学ユニットの斜視図である。
図11】本発明の実施例4に係る光学ユニットの斜視図であって、図10とは異なる方向から見た図である。
図12】本発明の実施例4に係る光学ユニットの背面図
図13】本発明の実施例5に係る光学ユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、+Y方向に見た図を平面図、-Y方向に見た図を底面図、+Z方向に見た図を背面図、-Z方向に見た図を正面図とする。そして、+Y方向は、外部からの光束の入射方向D1に対応する。
【0019】
[実施例1](図1から図4
最初に、本発明の実施例1に係る光学ユニット1について図1から図4を用いて説明する。
【0020】
<光学ユニットを備える装置の概略>
図1は、本実施例の光学ユニット1を備える装置の一例としてのスマートフォン100の概略斜視図である。本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100において好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1は、薄型に構成でき、スマートフォン100におけるY軸方向における厚さを薄く構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1は、スマートフォン100に限定されず、カメラやビデオなど、特に限定なく様々な装置に使用可能である。
【0021】
図1で表されるように、スマートフォン100は、光束を入射するレンズ101を備えている。スマートフォン100におけるレンズ101の内部に、光学ユニット1を備えている。スマートフォン100は、レンズ101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束に基づいて被写体像を撮像することが可能な構成となっている。
【0022】
<光学ユニットの全体構成>
図2は、本実施例の光学ユニット1の側面図である。図2で表されるように、本実施例の光学ユニット1は、反射部としてのプリズム10を有する反射ユニット200と、撮像素子103aが設けられた基板103とレンズ102とを有するカメラ104と、を有している。反射ユニット200は、レンズ101を介して外部から入射方向D1に光束を入射し、入射光束をプリズム10の反射面10aで撮像素子103aに向かう反射方向D2に入射光束を反射させる。なお、本実施例の反射ユニット200は、反射部としてプリズム10を備えているが、反射部の構成はプリズム10に限定されず、反射部としてミラーを備える構成などとしてもよい。
【0023】
<反射ユニットの構成>
図3は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の斜視図である。また、図4は、本実施例の光学ユニット1の反射ユニット200の分解斜視図である。図3及び図4で表されるように、反射ユニット200は、固定体210と、プリズム10を備える可動体220と、ジンバル機構240と、を備えている。なお、図2では、反射ユニット200の内部構成がわかりやすいように、固定体210を省略している。
【0024】
<ジンバル機構について>
反射ユニット200の構成として、最初に、ジンバル機構240の構成について説明する。なお、本明細書において「ジンバル機構」とは、係合する被係合物(本実施例では固定体210及び可動体220)に対する係合部分(本実施例では保持機構230)において軸線周りに揺動(回転)可能な構成を意味する。このため、係合する被係合物に対する係合部分において固定されて自身が歪むことを前提とする「板バネ」は、本発明の「ジンバル機構」に該当しない。
【0025】
ジンバル機構240は、図4で表されるように、第1軸線A1周りに揺動可能に可動体220を支持する第1支持部240aを備えるとともに、第1軸線A1方向と交差する第2軸線A2周りに固定体210に揺動可能に支持される第2支持部240bを備えている。また、可動体220には第1支持部240aに係合する係合部220aが設けられ、固定体210には第2支持部240bに係合する係合部210bが設けられている。そして、第1支持部240aと係合部220a、並びに、第2支持部240bと係合部210bとで、固定体210に対して可動体220を揺動可能に保持させる保持機構230を構成している。詳細には、2つの第1支持部240aはともに外側に向けて球状の突部B1設けられ、対応する各々の係合部220aには該突部B1を受ける円形の孔部C1が設けられている。同様に、2つの第2支持部240bはともに外側に向けて球状の突部B2が設けられ、対応する各々の係合部210bには該突部B2を受ける円形の孔部C2が設けられている。このように球状の部材と該球状の部材を受ける受け部材を有する構成の保持機構230を備える構成とすることで、摺動摩擦を低減でき、低い消費電力で可動体220を固定体210に対して揺動することができる。なお、球状の部材を受ける受け部材としては、円形の孔部のほか球面状に凹んだ凹部などとしてもよい。
【0026】
このように、本実施例の光学ユニット1は、第1軸線A1周りに揺動可能に可動体220を支持する第1支持部240aと第2軸線A2周りに固定体210に揺動可能に支持される第2支持部240bとを備えるジンバル機構240を備えている。このような2軸のジンバル機構240を備えることで、プリズム10などの反射部を備える可動体220を固定体210に対して大きく変位させることができる。また、ジンバル機構240を備える構成とすることで、可動体220を固定体210に対して浮かせた状態で保持できるので衝撃に強くなる。さらに、2軸のジンバル機構240を備えることで、可動体220を固定体210に対して1軸で支える構成に比べて、重力の影響で可動体220が固定体210に対して所望の位置からずれることを抑制できる。
【0027】
また、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構240は、上記のような構成をしていることで、反射方向D2(-Z方向)に沿うローリング軸(Z軸)を基準に可動体220を揺動可能であるとともに、ローリング軸と交差するピッチング軸(X軸)を基準に可動体220を揺動可能である。このような構成とすることで、可動体220を固定体210に対してローリング軸及びピッチング軸を揺動軸として大きく変位させることができる。なお、本実施例の光学ユニット1のジンバル機構240は、第1軸線A1及び第2軸線A2の直交する2つの揺動軸を持ち、可動体220の+X方向側と+Z方向側に磁石とコイルで構成される駆動機構を持つことで、第1軸線A1及び第2軸線A2と平面視で45°ずれるローリング軸方向(Z軸方向)やピッチング軸方向(X軸方向)に揺動する構成となっている。ただし、このような構成に限定されず、第1軸線A1及び第2軸線A2をローリング軸方向(Z軸方向)やピッチング軸方向(X軸方向)に合わせる構成としてもよい。
【0028】
また、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構240は、第1支持部240a及び第2支持部240bが設けられX軸Z軸平面に平行な板状のフレーム部240cを有している。ここで、フレーム部240cは、可動体220に対して、入射方向D1において先頭側(+Y方向側)に位置する配置である。このような構成とすることで、フレーム部240cに対してアーム状の第1支持部240a及び第2支持部240bの配置を調整しやすくなり、簡単にジンバル機構240製造公差の影響を低減することができる。
【0029】
<可動体の駆動機構について>
反射ユニット200の構成として、次に、可動体220の駆動機構について説明する。図4で表されるように、可動体220は、プリズム10及び係合部220aに加えて、磁石221a及び221bをホルダ枠222に備えている。磁石221aはプリズム10よりも+Z方向側に設けられ、磁石221bはプリズム10よりも+X方向側に設けられている。
【0030】
一方、固定体210は、係合部210bに加えて、FFC(フレキシブルフラットケーブル)213と電気的に繋がるコイル211a及び211bを、固定枠212に備えている。コイル211aは磁石221aと対向する位置に設けられ、コイル211bは磁石221bと対向する位置に設けられている。本実施例において、コイル211a及び211bは一例として巻線コイルとして構成されているが、コイルをパターンとして基板配線内に取り込んだパターン基板(コイル基板)としてもよい。本実施例の光学ユニット1は、コイル211a及び211bに電流を流すことにより、固定体210に対して可動体220の位置を変えることができる。そして、磁石221a及び221bと、コイル211a及び211bと、保持機構230と、により、固定体210に対して可動体220を可動させる可動機構を構成している。
【0031】
[実施例2](図5及び図6
次に、実施例2の光学ユニット1について図5及び図6を用いて説明する。ここで、図5は本発明の実施例2に係る光学ユニット1の反射ユニット200の底面図である。また、図6は、本発明の実施例2に係る光学ユニットの反射ユニット200の側面図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、反射ユニット200の構成以外は、実施例1の光学ユニット1と同様の構成である。さらに詳細には、本実施例の光学ユニット1は、ジンバル機構240の形状とジンバル機構240のY軸方向における配置以外は、実施例1の光学ユニット1と同様の構成である。
【0032】
実施例1の光学ユニット1においては、図3及び図4で表されるように、ジンバル機構240のフレーム部240cに設けられる開口部240dが円形であった。そして、このような構成であるため、固定体210に対して可動体220を揺動させた場合、可動体220とフレーム部240cとのY軸方向における距離が近すぎると、プリズム10の+Y方向側端部10b(図2参照)がフレーム部240cに対して接触する虞がある。
【0033】
一方、本実施例の光学ユニット1においては、図5で表されるように、ジンバル機構240のフレーム部240cに設けられる開口部240dが矩形であるとともに、プリズム10が開口部240dに入る大きさである。別の表現をすると、本実施例の光学ユニット1においては、フレーム部240cは、可動体220が揺動した際に可動体220とフレーム部240cとの接触を抑制する開口部240dが設けられている構成である。このような構成となっていることで、本実施例の光学ユニット1は、可動体220が揺動した際における可動体220とフレーム部240cとの接触を抑制しつつ、図6で表されるように、ジンバル機構240可動体220に対して近い位置に配置し、光学ユニット1を小型化している。
【0034】
[実施例3](図7から図9
次に、実施例3の光学ユニット1について図7から図9を用いて説明する。ここで、図7は本発明の実施例3に係る光学ユニット1の反射ユニット200の斜視図である。また、図8は、本発明の実施例3に係る光学ユニットの反射ユニット200の分解斜視図である。そして、図9は、本発明の実施例3に係る光学ユニットの反射ユニット200の平面図である。なお、上記実施例1及び2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、反射ユニット200の構成以外は、実施例1及び2の光学ユニット1と同様の構成である。
【0035】
実施例1及び2の光学ユニット1は、ジンバル機構240のフレーム部240cが可動体220よりも+Y方向側に位置する構成であった。一方、本実施例の光学ユニット1は、図7で表されるように、Y軸方向において可動体220とオーバーラップする位置にジンバル機構240のフレーム部240cが配置される構成である。
【0036】
別の観点から説明すると、本実施例の光学ユニット1においては、図8で表されるように、ジンバル機構240は、第1支持部240a及び第2支持部240bが設けられるフレーム部240cを有している。そして、図7及び図9で表されるように、フレーム部240cが入射方向D1から見て(すなわち平面視で)可動体220の周囲に位置する配置である。このような構成とすることで、ジンバル機構240のフレーム部240cが可動体220よりも+Y方向側或いは-Y方向側に位置する構成を避けることができ、光学ユニットを入射方向D1(Y軸方向)において薄く形成することができる。
【0037】
なお、本実施例の反射ユニット200は、図7から図9で表されるように、平面視で、可動体220の周囲に固定体210が配置され、固定体210の周囲にジンバル機構240が配置される。そして、図8で表されるように、ジンバル機構240は、第1支持部240aとしての突部B1と、第2支持部240bとしての突部B2と、がフレーム部240cに設けられ、可動体220には突部B1と嵌合する孔部C1が設けられ、固定体210には突部B2と嵌合する孔部C2が設けられている。
【0038】
[実施例4](図10から図12
次に、実施例4の光学ユニット1について図10から図12を用いて説明する。ここで、図10及び図11は、共に、本発明の実施例4に係る光学ユニット1の反射ユニット200の斜視図であって、異なる方向から見た図である。また、図10は本発明の実施例4に係る光学ユニット1の反射ユニット200の背面図である。なお、上記実施例1から3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、反射ユニット200の構成以外は、実施例1から3の光学ユニット1と同様の構成である。
【0039】
上記のように、実施例1から3の光学ユニット1は、板状のフレーム部240cがX軸Z軸平面に平行であってピッチング軸とローリング軸とを揺動軸とするジンバル機構240を備える構成であった。一方、本実施例の光学ユニット1は、図10から図12で表されるように、板状のフレーム部240cがX軸Y軸平面に平行であってピッチング軸とヨーリング軸とを揺動軸とするジンバル機構240を備える構成である。
【0040】
別の表現をすると、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構240は、反射方向D2(-Z方向)に沿うローリング軸(Z軸)と交差するピッチング軸(X軸)を基準に可動体220を揺動可能であって、ローリング軸と交差するとともにピッチング軸とも交差するヨーイング軸(Y軸)を基準に可動体220を揺動可能に配置されている。このような構成とすることで、可動体220を固定体210に対してピッチング軸及びヨーイング軸を揺動軸として大きく変位させることができる。
【0041】
なお、実施例1から3の光学ユニット1においては、ジンバル機構240は、ジンバル機構240が可動体220を保持する第1軸線A1と、ジンバル機構240が固定体210に保持される第2軸線A2とは、直交していた。一方、図11及び図12で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、第1軸線A1と第2軸線A2とは、直交していない。具体的には、図12で表されるように、第1軸線A1と第2軸線A2とは、反射方向D2から見て(背面視で)、入射方向D1側の交差角度Θ1が入射方向D1と交差する交差方向側の交差角度Θ2よりも大きくなる配置で交差している。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、光学ユニット1を入射方向D1において薄く形成している。なお、本実施例では、交差角度Θ1を150°、交差角度Θ2を30°としているが、特に交差角度Θ1及び交差角度Θ2の角度値に限定はない。
【0042】
また、実施例1から3の光学ユニット1と同様、本実施例の光学ユニット1においては、固定体210に対して可動体220を可動させる可動機構は、可動体220に設けられた磁石221a及び221bと、磁石221a及び221bと対向する位置であって固定体210に設けられたコイル211a及び211bと、を有する。このような構成としていることで、可動機構を簡単に形成でき、コイル211a及び211bに繋がるケーブルとしてのFFC213などが可動体220の可動を妨げることを抑制している。
【0043】
ここで、実施例1から3の光学ユニット1においては、可動機構は、プリズム10に対して可動体220の反射方向D2における後方側に設けられた1つの第1磁石221aと、プリズム10に対して可動体220の片方の交差方向側に設けられた第1磁石221aと同等の大きさの1つの第2磁石221bと、を有していた。一方、図12で表されるように、本実施例の光学ユニット1においては、可動機構は、プリズム10に対して可動体220の入射方向D1における先方側に設けられた1つの第1磁石221aと、プリズム10に対して可動体220の両方の交差方向側に設けられた第1磁石221aよりも小さい合計2つの第2磁石221bと、を有している。第2磁石221bを第1磁石221aよりも小さくしているのは、第2磁石221bを配置可能なスペースが小さいからである。なお、固定体210は、1つの第1磁石221aに対応する1つのコイル211aと、2つの第2磁石221bに対応する2つのコイル211bと、を有している。1つの磁石を小さくしただけでは可動機構の性能が低下する虞があるが、本実施例の光学ユニット1は、第2磁石221bを2つ設ける構成とすることで、光学ユニット1を入射方向D1において薄く形成したことに伴って可動機構の性能が低下することを抑制している。
【0044】
[実施例5](図13
次に、実施例5の光学ユニット1について図13を用いて説明する。ここで、図13は、本発明の実施例5に係る光学ユニット1の反射ユニット200の概略的な側面図であって、ジンバル機構240とプリズム10との位置関係を表す図である。なお、上記実施例1から4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、反射ユニット200の構成以外は、実施例1から4の光学ユニット1と同様の構成である。
【0045】
上記のように、実施例1から4の光学ユニット1は、ローリング軸がZ軸に沿う方向であり、ピッチング軸がX軸に沿う方向であり、ヨーリング軸がY軸に沿う方向であった。本実施例の光学ユニット1においては、実施例4の光学ユニット1と同様、ジンバル機構240は、ローリング軸と交差する2方向の軸を基準に可動体220を揺動可能である。すなわち、本実施例のジンバル機構240は、ピッチング軸を基準に可動体220を揺動可能であって、ヨーイング軸を基準に可動体220を揺動可能に配置されている。しかしながら、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構240は、ピッチング軸がX軸からずれており、ヨーリング軸がY軸からずれている。
【0046】
別の観点から説明すると、本実施例の光学ユニット1においては、ジンバル機構240は、ピッチング軸及びヨーイング軸がプリズム10の反射面10aに沿う方向に配置されている。本実施例の光学ユニット1は、このような構成としていることで、光学ユニット1を反射面10aと交差する方向において薄く形成することができている。ここで、「反射面10aに沿う方向」とは、厳密な意味での反射面10aに沿う方向に限定されず、概ね反射面10aに沿う方向であればよい意味である。
【0047】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1…光学ユニット、10…プリズム(反射部)、10a…反射面、
10b…プリズム10の+Y方向側端部、100…スマートフォン、101…レンズ、
102…レンズ、103…基板、103a…撮像素子、104…カメラ、
200…反射ユニット、210…固定体、210b…係合部、
211a…コイル(可動機構)、211b…コイル(可動機構)、212…固定枠、
213…FFC、220…可動体、220a…係合部、
221a…磁石(第1磁石、可動機構)、221b…磁石(第2磁石、可動機構)、
222…ホルダ枠、230…保持機構(可動機構)、240…ジンバル機構、
240a…第1支持部、240b…第2支持部、240c…フレーム部、
240d…開口部、A1…第1軸線、A2…第2軸線、B1…突部、B2…突部、
C1…孔部、C2…孔部、D1…入射方向、D2…反射方向
図1
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図10
図11
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図13