(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】超音波診断装置および超音波画像表示装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2020110135
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神山 聡
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-299647(JP,A)
【文献】特表2005-517515(JP,A)
【文献】特開平9-285463(JP,A)
【文献】米国特許第9622722(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 ー 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面にディスプレイが設けられた装置本体と、
前記装置本体の背面に設けられ、超音波プローブのコネクタのプラグと接続するためのリセプタクルと、
前記装置本体の背面に取り付けられ、前記リセプタクルが内部空間に設けられ、前記装置本体の側面側に前記コネクタを挿抜可能な開口を有する保護筐体と、
を備え、
前記開口を介して前記プラグと前記リセプタクルが接続された
場合、装置本体正面視で前記コネクタの一部が前記装置本体の外側に突出
し、前記保護筐体は、前記コネクタの前記プラグ側の部分を覆う、
超音波診断装置。
【請求項2】
前記保護筐体は、
前記装置本体正面視で全体が前記装置本体に隠れる位置で前記装置本体の背面に取り付けられた、
請求項
1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記コネクタは、
前記プラグと、前記プラグを一端に有するコネクタ本体と、前記コネクタ本体の他端に設けられて前記リセプタクルに対する前記プラグの挿抜を支援する挿抜支援部と、
を有する、
請求項
1または
2記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記装置本体の背面に設けられ、前記保護筐体を着脱自在に取り付けるための複数の係止部をさらに備え、
前記保護筐体は、
前記複数の係止部のいずれかに取り付け可能である、
請求項
1ないし
3のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記複数の係止部は、面状ファスナーを含む、
請求項
4記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前面にディスプレイが設けられた装置本体と、
前記装置本体の背面に設けられ、超音波プローブのコネクタのプラグと接続するためのリセプタクルと、
前記装置本体の背面に取り付けられ、前記リセプタクルが内部空間に設けられ、前記装置本体の側面側に前記コネクタを挿抜可能な開口を有する保護筐体と、
を備え、
前記開口を介して前記プラグと前記リセプタクルが接続された
場合、装置本体正面視で前記コネクタの一部が前記装置本体の外側に突出
し、前記保護筐体は、前記コネクタの前記プラグ側の部分を覆う、
超音波画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書および図面に開示の実施形態は超音波診断装置および超音波画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置には、ディスプレイと装置本体とが一体として箱型筐体に保持されたものがある。この種の超音波診断装置には、ポケットエコー、タブレット型エコーと称される小型の超音波診断装置が含まれる。
【0003】
この種の超音波診断装置は、装置本体がディスプレイとは別体として設けられる超音波診断装置に比べ、超音波プローブのコネクタと装置本体との接続部分の保護が十分ではないことが多い。また、当該接続の規格がUSBなどの汎用性の高い小型の規格に準拠していることが多い。このため、超音波プローブのコネクタと装置本体との接続部分は、衝撃に弱く、壊れてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書および図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、超音波プローブのコネクタの挿抜の利便性を維持しつつコネクタと装置本体との接続部分を保護することである。ただし、本明細書および図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る超音波診断装置は、装置本体と、リセプタクルとを備える。装置本体は、前面にディスプレイが設けられる。リセプタクルは、装置本体の背面に設けられ、超音波プローブのコネクタのプラグと接続する。プラグとリセプタクルが接続されたとき、装置本体正面視でコネクタの一部が装置本体の外側に突出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る超音波診断装置の一構成例を示す正面図。
【
図3】装置本体とコネクタとの接続例を示す説明図。
【
図4】(a)は係止部の設置位置の一例を示す説明図、(b)は係止部の利用方法の一例を示す説明図。
【
図5】装置本体および超音波プローブの一構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置および超音波画像表示装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
図1は、一実施形態に係る超音波診断装置1の一構成例を示す正面図である。超音波診断装置1は、装置本体2と、超音波プローブ3とを有する。
【0010】
装置本体2は、ディスプレイ21と一体的に筐体2aに保持される。筐体2aは、たとえば箱型の形状を有する。ディスプレイ21は、装置本体2の前面に設けられる。装置本体2は、超音波画像表示装置の一例である。装置本体2は、タブレット型やスマートフォン型であってもよい。この場合、超音波診断装置1は可搬性を有する。また、装置本体2は、大画面の大型のディスプレイ21を有するものであってもよい。この場合、超音波診断装置1は、可搬性が乏しくてもよい。
【0011】
超音波プローブ3は、プローブ本体4と、ケーブル5と、コネクタ6とを有する。
【0012】
図2は、装置本体2の一構成例を示す背面斜視図である。また、
図3は、装置本体2とコネクタ6との接続例を示す説明図である。
【0013】
図2に示すように、装置本体2の背面には、超音波プローブ3のコネクタ6のプラグ6pと接続するためのリセプタクル10rが設けられる。一方、
図3に示すように、超音波プローブ3のコネクタ6は、プラグ6pと、プラグ6pを一端に有するコネクタ本体6aとを有する。また、コネクタ6は、コネクタ本体6aの他端に設けられてリセプタクル10rに対するプラグ6pの挿抜を支援する挿抜支援部6bを有してもよい。
【0014】
挿抜支援部6bは、ユーザが持ちやすい形状を有するとよい。また、挿抜支援部6bは、ユーザが挿抜支援部6bに加えた力を効率よくプラグ6pの挿抜方向に伝える機構を有するとよい。
【0015】
図1に示すように、プラグ6pとリセプタクル10rが接続されたとき、装置本体正面視で、コネクタ6の一部だけが装置本体2の外側に突出するように、コネクタ6の各部のサイズとリセプタクル10rの位置を設定する。このため、本実施形態に係る超音波診断装置1のプラグ6pとリセプタクル10rの接続部位は、装置本体2の背面に隠れることになる。したがって、たとえばリセプタクル10rが装置本体2の側面に設けられて接続部位全体が突出する場合に比べ、接続部位がユーザや超音波診断装置1の周辺機器や壁などから衝撃を受ける可能性を低減することができ、故障の可能性を大幅に低減することができる。
【0016】
また、
図1に示すように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、プラグ6pとリセプタクル10rが接続されたとき、装置本体正面視で、コネクタ6の一部が装置本体2の外側に突出する。このため、ユーザは、ディスプレイ21を正面から確認しているときでも、コネクタ6の位置を確実に目視することができる。したがって、超音波診断装置1によれば、ユーザは、容易かつ安全に、コネクタ6を装置本体2から抜くことができる。また、コネクタ6が挿抜支援部6bを有する場合、ユーザは挿抜支援部6bを用いることで、さらに容易にコネクタ6を装置本体2から抜くことができる。
【0017】
また、
図2、
図3に示すように、装置本体2の背面には保護筐体10が取り付けられてもよい。この場合、保護筐体10は、リセプタクル10rが内部空間に設けられ、装置本体2の側面側にコネクタ本体6aを挿抜可能な開口を有する。
【0018】
この場合も、プラグ6pとリセプタクル10rが接続されたとき、装置本体正面視でコネクタ6の一部が装置本体2の外側に突出するように、保護筐体10のサイズが設定される。たとえば、装置本体2の側面側から保護筐体10の開口を介してコネクタ本体6aが保護筐体10に挿入されて、プラグ6pとリセプタクル10rが接続されたときを考える。この場合、
図3に示すように、保護筐体10は、コネクタ6のプラグ6p側の部分を覆って接続部位を保護する形状を有するとともに、装置本体正面視でコネクタ6の一部が装置本体2の外側に突出する位置で装置本体2の背面に取り付けられる。
【0019】
なお、保護筐体10は、装置本体正面視で全体が装置本体2に隠れる位置で装置本体2の背面に取り付けられるとよい。具体的には、保護筐体10の開口面は、装置本体2の側面と同一面に位置するか、あるいは側面よりも装置本体正面視で装置本体内側に位置するとよい。また、保護筐体10は、ユーザが加える力を効率よくプラグ6pの挿抜方向に伝える機構を有してもよい。
【0020】
図4(a)は係止部10fの設置位置の一例を示す説明図であり、(b)は係止部10fの利用方法の一例を示す説明図である。
【0021】
装置本体2は、背面に、保護筐体10を着脱自在に取り付けるための係止部10fを有してもよい。この場合、保護筐体10にも係止部10fに対応する係止部材が設けられる。係止部10fと保護筐体10の係止部材としては、たとえば面状ファスナーなど、従来各種のものが知られており、これらのうち任意のものを使用することが可能である。
【0022】
また、係止部10fは、
図4(a)に示すように複数設けられてもよい。この場合、ユーザは、接続部位を任意の位置に移動させることができる(
図4(b)参照)。
【0023】
なお、保護筐体10のリセプタクル10rは、筐体2aの内部基板とケーブルを介して電気的に接続される。このため、保護筐体10の可動範囲は、当該ケーブルの長さの余裕に依存する。また、装置本体2の背面に、リセプタクル10rと筐体2aの内部基板とを接続するケーブルを隠すための覆いを設けてもよい。
【0024】
つづいて、装置本体2の構成について説明しておく。
【0025】
図5は、装置本体2および超音波プローブ3の一構成例を示すブロック図である。超音波画像表示装置の一例としての装置本体2は、上述の通り、タブレット型やスマートフォン型であってもよい。
【0026】
装置本体2は、
図1に示すように、送受信回路11、Bモード処理回路12、ドプラ処理回路13、画像生成回路14、画像メモリ15、記憶回路17、通信回路18、および処理回路19を有する。また、装置本体2は、上述の通り、保護筐体10を備えてもよいし(
図5参照)、1または複数の係止部10fを備えてもよい。
【0027】
送受信回路11は、送信回路および受信回路を有する。送受信回路11は、処理回路19に制御されて、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。なお、
図1には送受信回路11等が装置本体2に設けられる場合の例について示したが、送受信回路11は、超音波プローブ3に設けられてもよいし、装置本体2と超音波プローブ3の両方に設けられてもよい。同様に、Bモード処理回路12、ドプラ処理回路13、処理回路19の一部、および通信回路18の一部も、それぞれ、超音波プローブ3に設けられてもよいし、装置本体2と超音波プローブ3の両方に設けられてもよい。
【0028】
送信回路は、パルス発生器、送信遅延回路およびパルサ回路などを有し、超音波振動子に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。送信遅延回路は、超音波振動子から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサ回路は、レートパルスにもとづくタイミングで、超音波振動子に駆動パルスを印加する。送信遅延回路は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波ビームの送信方向を任意に調整する。
【0029】
受信回路は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波振動子が受信したエコー信号を受け、このエコー信号に対して各種処理を行なってエコーデータを生成する。アンプ回路は、エコー信号をチャンネルごとに増幅してゲイン補正処理を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正されたエコー信号をA/D変換し、デジタルデータに受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与える。加算器は、A/D変換器によって処理されたエコー信号の加算処理を行なってエコーデータを生成する。加算器の加算処理により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
【0030】
Bモード処理回路12は、受信回路からエコーデータを受信し、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。ドプラ処理回路13は、受信回路から受信したエコーデータから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動態情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0031】
画像生成回路14は、超音波プローブ3が受信したエコー信号にもとづいて超音波画像データを生成する。たとえば、画像生成回路14は、Bモード処理回路12が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度にて表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路14は、ドプラ処理回路13が生成した2次元のドプラデータから移動態情報を表す平均速度画像、分散画像、パワー画像、または、これらの組み合わせ画像としての2次元のカラードプラ画像の画像データを生成する。
【0032】
画像メモリ15は、処理回路19が生成した2次元超音波画像を記憶する記憶回路である。
【0033】
記憶回路17は、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有する。記憶回路17の記憶媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介した通信によりダウンロードされてもよいし、光ディスクなどの可搬型記憶媒体を介して記憶回路17に与えられてもよい。
【0034】
通信回路18は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。通信回路18は、この各種プロトコルに従って、装置本体2と、外部の機器とを接続する。この接続には電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0035】
処理回路19は、装置本体2を統括制御する機能を実現する。
【0036】
ディスプレイ21は、たとえば液晶ディスプレイやOLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成され、処理回路19の制御に従って各種情報を表示する。
【0037】
インターフェース(入力インターフェース)22は、たとえばトラックボール、スイッチ、ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、光学センサを用いた非接触入力回路、および音声入力回路等などの一般的な入力装置により実現され、ユーザの操作に対応した操作入力信号を処理回路19に出力する。
【0038】
また、装置本体2がタブレット型やスマートフォン型の装置本体2である場合は、ディスプレイ21とインターフェース22は一体としてタッチパネルを構成してもよい。
【0039】
一方、超音波プローブ3のプローブ本体4は、超音波診断装置1とケーブル5およびコネクタ6を介して着脱自在に接続される(
図3参照)。
【0040】
超音波プローブ3のプローブ本体4は、音響レンズ、整合層、複数の超音波振動子(圧電振動子)により構成される振動子群、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材、およびこれらを内包するケースなどを有する。ケーブル5およびコネクタ6の構成については上述の通りであるためここでは説明を省略する。
【0041】
超音波プローブ3としては、スキャン方向(アジマス方向)に複数の超音波振動子が配列されるとともにレンズ方向(エレベーション方向)にも複数の素子が配列された2次元アレイプローブを用いることができる。この種の2次元アレイプローブとしては、たとえば1.5Dアレイプローブ、1.75Dアレイプローブや、2Dアレイプローブなどを用いることができる。
【0042】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、超音波プローブ3のコネクタ6の挿抜の利便性を維持しつつ、コネクタ6と装置本体2との接続部分を保護することができる。
【0043】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0044】
1 超音波診断装置
2 装置本体
2a 筐体
3 超音波プローブ
6 コネクタ
6a コネクタ本体
6b 挿抜支援部
6p プラグ
10 保護筐体
10f 係止部
10r リセプタクル