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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/176 20210101AFI20240627BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240627BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/557 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/562 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/193 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/186 20210101ALI20240627BHJP
   H01M 50/55 20210101ALI20240627BHJP
【FI】
H01M50/176
H01M10/0562
H01M50/15
H01M50/103
H01M50/184 A
H01M50/557
H01M50/119
H01M50/562
H01M50/193
H01M50/186
H01M50/55 101
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020116315
(22)【出願日】2020-07-06
(65)【公開番号】P2022014132
(43)【公開日】2022-01-19
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】長屋 善明
(72)【発明者】
【氏名】獅子原 大介
(72)【発明者】
【氏名】村上 健二
(72)【発明者】
【氏名】松川 秀利
(72)【発明者】
【氏名】吉▲崎▼ 博俊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晃大
【審査官】佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-197102(JP,A)
【文献】特開2011-216396(JP,A)
【文献】特開2007-179803(JP,A)
【文献】特開2007-134233(JP,A)
【文献】国際公開第2020/070773(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/00- 50/198
H01M 50/50- 50/598
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質層、正極および負極と、前記正極および前記負極の少なくとも一方に接続してなる金属製の端子と、を備える発電要素と、
前記発電要素を収納する金属製の容器と、を備える電池であって、
前記端子は板状であり、
前記容器には、前記端子が通過する端子挿通孔が形成され、
前記端子挿通孔の内周面と前記端子との間に介在する高分子材料からなる充填材を備え、
前記端子挿通孔は、挿通方向から見たとき、開口端が向かい合うように配置された2つの円弧と、前記2つの円弧の開口端をつなぐ2本の接続線と、からなり、
前記2本の接続線の間の最大幅が、前記2つの円弧のそれぞれの最大幅よりも小さい電池。
【請求項2】
前記充填材は、前記端子挿通孔の内周面の全体と前記端子との間に介在し、前記内周面および前記端子に接着されている請求項1記載の電池。
【請求項3】
前記容器は、前記端子挿通孔の前記内周面につながる裏面を含み、
前記充填材は前記裏面につながり、前記内周面および前記裏面に接着されている請求項1又は2に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器に発電要素が収納された電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
正極および負極を備える発電要素が金属製の容器に収納される電池において、特許文献1の技術では、正極や負極に接続してなる金属製の棒状の端子が、円形の端子挿通孔を通って容器の外に引き出される。端子挿通孔の内周面と端子との間にはリング状の絶縁部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-49737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし容器の変形を低減するために、端子挿通孔の形状について改善の余地がある。
【0005】
本発明はこの要求に応えるためになされたものであり、容器の変形を低減できる電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明の電池は、固体電解質層、正極および負極と、正極および負極の少なくとも一方に接続してなる金属製の端子と、を備える発電要素と、発電要素を収納する金属製の容器と、を備える。端子は板状であり、容器には、端子が通過する端子挿通孔が形成され、端子挿通孔の内周面と端子との間に介在する高分子材料からなる充填材を備える。端子挿通孔は、端子の挿通方向から見たとき、開口端が向かい合うように配置された2つの円弧と、2つの円弧の開口端をつなぐ2本の接続線と、からなる。2本の接続線の間の最大幅が、2つの円弧のそれぞれの最大幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の電池によれば、端子が通過する端子挿通孔は、端子の挿通方向から見たとき、開口端が向かい合うように配置された2つの円弧と、2つの円弧の開口端をつなぐ2本の接続線と、からなる。端子挿通孔の内周面と板状の端子との間に高分子材料からなる充填材が介在する。端子挿通孔の2本の接続線の間の最大幅が、端子挿通孔の2つの円弧のそれぞれの最大幅よりも小さいので、円弧の最大幅以上に接続線の間の最大幅が大きい場合に比べ、容器のうち端子挿通孔の接続線を形成する部分の体積を大きくできる。よって容器の強度を高くできる。端子挿通孔の両端に位置する円弧の最大幅は、端子挿通孔の2本の接続線の間の最大幅より大きいので、端子挿通孔の両端における容器の応力を分散できる。従って容器の変形を低減できる。
【0008】
請求項2記載の電池によれば、充填材は、端子挿通孔の内周面の全体と端子との間に介在し、内周面および端子に接着されている。これにより充填材が部分的に存在する場合に比べ、充填材が端子を拘束し易くなる。請求項1の効果に加え、端子挿通孔の内周面に端子が接触する短絡の発生を低減できる。
【0009】
さらに端子挿通孔の2本の接続線の間の最大幅が、端子挿通孔の2つの円弧のそれぞれの最大幅よりも小さいので、容器の熱膨張率と充填材の熱膨張率との差による、温度変化が生じた際の円弧の部分の充填材の応力を低減できる。よって充填材の剥がれや亀裂の発生、充填材の破壊を抑制できる。また接続線の間の最大幅が、2つの円弧の最大幅以上の場合に比べ、接続線の間に配置された充填材の体積を小さくできる。そのため、熱膨張による充填材の体積の変化量が小さくなる。よって充填材の剥がれや充填材の亀裂の発生を低減できる。
【0010】
請求項3記載の電池によれば、容器は、端子挿通孔の内周面につながる裏面を含む。充填材は裏面につながり、端子挿通孔の内周面および容器の裏面に接着されている。充填材の接着面積を端子挿通孔の内周面だけでなく容器の裏面に拡大できるので、請求項1又は2の効果に加え、充填材の接着力を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施の形態における電池の斜視図である。
図2】電池の分解立体図である。
図3】発電要素を含む包装物の分解立体図である。
図4図1のIV方向から見た電池の側面図である。
図5図4のV-V線における電池の断面図である。
図6】端子挿通孔の正面図である。
図7】(a)は第2実施の形態における電池の端子挿通孔の正面図であり、(b)は第3実施の形態における電池の端子挿通孔の正面図であり、(c)は第4実施の形態における電池の端子挿通孔の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は一実施の形態における電池10の斜視図である。図2は電池10の分解立体図である。図3は発電要素12を含む包装物11の分解立体図である。図面では発電要素12、包装材22、容器30等の厚さが誇張して示されている。
【0013】
図1に示すように電池10は、発電要素12(図2参照)を含む包装物11が容器30に収納されている。容器30は箱型の容器本体31と蓋38とを備え、容器30の外に端子15,20が設けられている。電池10は、発電要素12が固体で構成された固体リチウムイオン電池である。発電要素12が固体で構成されているとは、発電要素12の骨格が固体で構成されていることを意味し、例えば該骨格中に液体が含浸した形態等を排除するものではない。
【0014】
図2に示すように容器本体31は、矩形の板である第1板32と、第1板32とほぼ同じ形の板であって第1板32とほぼ平行に配置される第2板33と、第1板32の1辺と第2板33の1辺とをつなぐ矩形の板である第3板34と、第3板34とほぼ同じ形の板であって第3板34とほぼ平行に配置され、第1板32の別の1辺と第2板33の別の1辺とをつなぐ第4板35と、第1板32、第2板33、第3板34及び第4板35をつなぐ第5板36と、を備えている。
【0015】
蓋38は、第5板36とほぼ同じ形の板である。蓋38は、容器本体31において第5板36の反対側に開いた口37を覆い、容器本体31に接合され口37を塞ぐ。蓋38には、蓋38の厚さ方向に貫通する端子挿通孔39が形成されている。端子15,20は端子挿通孔39を通過して容器30の外に引き出される。容器本体31及び蓋38は、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金、チタニウム、チタニウム合金などの1種以上からなる金属製である。
【0016】
容器30の第3板34と第4板35との間の距離、及び、第5板36と蓋38との間の距離は、第1板32と第2板33との間の距離より長い。従って容器30の6面を構成する各板および蓋38の各面の中央に、各面に垂直な向きの力が加えられたときに、第1板32及び第2板33は、第3板34、第4板35、第5板36及び蓋38よりも弾性変形し易い。第3板34、第4板35、第5板36及び蓋38は、容器30の側壁を構成する。
【0017】
容器30に収納される包装物11は、発電要素12と、発電要素12を収納する包装材22と、を備えている。容器30の第1板32、第2板33、第3板34、第4板35、第5板36及び蓋38は包装材22よりも硬い。
【0018】
包装材22は、発電要素12の厚さ方向の両側に重ねて収納部24が配置されている。本実施形態ではシール部23は包装材22の全周(4辺)に設けられている。シール部23と収納部24との境界25は、発電要素12の周囲に位置する。境界25の形状は矩形状である。シール部23は第1シート部材26及び第2シート部材27の接着層が溶着されてなる。第1シート部材26及び第2シート部材27に代えて、1枚のシート部材を接着層が合わさるように2つ折りにし、シート部材の間に発電要素12を挟み、シート部材の折り目以外の3辺にシール部を設けても良い。
【0019】
シール部23は、端子15,20と交わる第1部23aと、第1部23aの反対側に設けられた第2部23bと、第1部23aと第2部23bとをつなぐ第3部23c及び第4部23dと、を備えている。端子15,20は第1部23aから包装材22の外に引き出されている。集電層14,19と端子15,20との間にもそれぞれ接着層(図示せず)が設けられており、この接着層と第1シート部材26及び第2シート部材27の接着層とが第1部23a(シール部23)において溶着されている。包装材22は水分の浸入等を抑制し、発電要素12の性能低下を抑制する。
【0020】
発電要素12は、包装材22の広い面を第1板32及び第2板33に向けて容器30に収容される。包装材22は、包装材22のシール部23のうち第1部23a以外の第2部23b、第3部23c及び第4部23dを折り曲げて発電要素12の板厚方向に重ねた状態で、発電要素12と共に容器30に収納されている。容器30の容積をできるだけ小さくするためである。
【0021】
図3に示すように発電要素12は、順に、正極13、固体電解質層17及び負極18を含む。本実施形態では発電要素12の板厚方向(図3上下方向)から見て、正極13、固体電解質層17及び負極18は形状が略矩形である。但し正極13、固体電解質層17及び負極18の形状に制限はない。
【0022】
正極13は集電層14と複合層16とが積層されている。端子15は集電層14に接続されている。負極18は集電層19と複合層21とが積層されている。端子20は集電層19に接続されている。集電層14,19は導電性を有する部材であり、例えばNi,Ti,Fe,Cu及びAlから選ばれる金属、これらの元素の2種以上を含む合金やステンレス鋼、炭素材料などによって形成されている。端子15はステンレス鋼、アルミニウム等の金属製で板状に形成されている。端子20はステンレス鋼、銅等の金属製で板状に形成されている。
【0023】
複合層16は活物質およびイオン伝導体を含む。正極13の活物質およびイオン伝導体は特に制限がない。活物質としては、例えばCo,Mn,Ni等の遷移金属元素およびLiを含む金属酸化物、TiS等の硫化物などが挙げられる。イオン伝導体としては、例えばLi6.95Mg0.15La2.75Sr0.25Zr12等の酸化物系、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3等の硫化物系、LiCB1112等の水素化物系が挙げられる。
【0024】
固体電解質層17はイオン伝導体を含む。固体電解質層17のイオン伝導体も特に制限がない。固体電解質層17のイオン伝導体は、正極13のイオン伝導体と同様に、酸化物系、硫化物系および水素化物系が挙げられる。
【0025】
負極18の複合層21は活物質およびイオン伝導体を含む。負極18の活物質およびイオン伝導体は特に制限がない。負極18の活物質としては、例えばLi、Li-Al合金、LiTi12、黒鉛、In、Si、Si-Li合金、SiO等が挙げられる。負極18のイオン伝導体は、正極13のイオン伝導体と同様に、酸化物系、硫化物系および水素化物系が挙げられる。
【0026】
包装材22(図2参照)は第1シート部材26及び第2シート部材27からなる。本実施形態では発電要素12の板厚方向から見て、第1シート部材26及び第2シート部材27は形状が略矩形である。但し第1シート部材26及び第2シート部材27の形状に制限はない。第1シート部材26及び第2シート部材27は、集電層14,19、複合層16,21及び固体電解質層17よりも大きい。
【0027】
第1シート部材26及び第2シート部材27は、例えば順に、表層、バリア層および接着層(いずれも図示せず)を含む。第1シート部材26及び第2シート部材27は、接着層を向き合わせて配置される。表層は、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミドで作られる。バリア層は、例えばアルミニウム等の金属箔や蒸着層で作られる。接着層は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレンを主成分とする共重合体等のオレフィン系樹脂で作られる。第1シート部材26及び第2シート部材27は、必要に応じて、これら以外の層を設けても良いし、バリア層を複数設けても良いし、表層を省略しても良い。
【0028】
第1シート部材26及び第2シート部材27の接着層の溶着によりシール部23(図2参照)が形成され、シール部23の内側に収納部24が形成される。発電要素12は、シール部23及び収納部24によって作られた包装材22の密閉空間に収納されている。
【0029】
図4図1のIV方向から見た電池10の側面図である。蓋38に形成された端子挿通孔39は、容器30の内部空間と容器30の外部空間とを連通する。端子挿通孔39を端子15,20が通過している。端子15,20が通過してできる端子挿通孔39の隙間の全体が、充填材41によって塞がれている。充填材41は、端子挿通孔39と端子15,20との間に詰められた電気絶縁性を有する高分子材料である。充填材41の材料としては、例えばエポキシ樹脂などの樹脂やシリコーンゴム等のゴムが挙げられる。充填材41は弾性を有している。
【0030】
図5図4のV-V線における電池10の断面図である。電池10は、容器30と第2シート部材27(包装材22)との間に充填材41が配置されている。充填材41は、包装物11が配置された容器30の内部空間に充填されている。さらに充填材41は、端子挿通孔39の内周面40と端子15,20との間に介在する。容器30内の充填材41に気泡や空隙は存在しても良い。
【0031】
充填材41は、容器30の第1板32(図2参照)及び第2板33と包装材22の収納部24とにそれぞれ接している。よって発電要素12及び収納部24は、発電要素12の厚さ方向において充填材41に挟まれている。充填材41は、容器30の第1板32及び第2板33とシール部23の第2部23bにおける境界25とにそれぞれ接している。よって第2部23bにおける境界25は、発電要素12の厚さ方向において充填材41に挟まれている。
【0032】
充填材41は、容器30の第1板32(図2参照)及び第2板33とシール部23の第3部23cにおける境界25とにそれぞれ接している。よって第3部23cにおけるシール部23と収納部24との境界25は、発電要素12の厚さ方向において充填材41に挟まれている。充填材41は、容器30の第1板32及び第2板33とシール部23の第4部23dにおける境界25とにそれぞれ接している。よって第4部23dにおけるシール部23と収納部24との境界25は、発電要素12の厚さ方向において充填材41に挟まれている。
【0033】
充填材41は、例えば、硬化する前の液状の充填材41の材料を口37から容器本体31の中へ注入した後、包装物11を容器本体31の中へ入れ、充填材41の材料に包装材22を浸す方法によって容器本体31に充填される。充填材41の材料が容器本体31の中で硬化すると、充填材41が容器本体31に配置されることになる。
【0034】
次に、端子挿通孔39に端子15,20を通過させて蓋38で容器本体31の口37を覆った後、溶接または接着により蓋38の全周を容器本体31に接合する。容器本体31に注入された充填材41の材料の量が、容器本体31と包装物11との隙間の体積とほぼ等しいと、容器本体31内の充填材41に蓋38の裏面38aが接する。容器本体31に注入された充填材41の材料の量が、容器本体31と包装物11との隙間の体積に比べて少ないと、容器本体31内の充填材41と蓋38との間に空隙ができる。
【0035】
次いで、端子挿通孔39の内周面40と端子15,20との間に充填材41の材料を注入する。容器本体31内の充填材41と蓋38との間に空隙がある場合に、端子挿通孔39から新たに注入する充填材41の材料で、その空隙を埋めても良いし空隙を埋めなくても良い。
【0036】
容器本体31内の充填材41が蓋38の裏面38aに接している場合に、端子挿通孔39に注入した充填材41の材料が、容器本体31内の充填材41に接すると、端子挿通孔39の内周面40から蓋38の裏面38aまで充填材41がつながる。容器本体31内の充填材41が蓋38の裏面38aに接していない場合に、端子挿通孔39に注入した充填材41の材料が、端子挿通孔39の内周面40に沿って蓋38の裏面38aに達すると、端子挿通孔39の内周面40から蓋38の裏面38aまで充填材41がつながる。
【0037】
図5には、第2シート部材27(包装材22)の周囲の充填材41と、端子挿通孔39の内周面40と端子15,20との間の充填材41とが、つながっている電池10が図示されている。端子挿通孔39の内周面40と端子15,20との間に注入された充填材41の材料が硬化すると、端子15,20と容器30との間の絶縁を確保できる。
【0038】
図6は端子挿通孔39の正面図である。図6では正極13の端子15が挿通された端子挿通孔39が図示されている。図6は、端子15の挿通方向(図6紙面に垂直な方向)から見た端子挿通孔39が図示されている。図示は省略されているが、負極18の端子20が挿通された端子挿通孔39も、端子15(図6参照)が挿通された端子挿通孔39と構成は同じである。
【0039】
図6に示すように端子挿通孔39は、2つの円弧42,45と、2本の接続線48,49と、からなる。円弧42は2つの開口端43,44をもつ。開口端43,44は円弧42の端点である。円弧45は2つの開口端46,47をもつ。開口端46,47は円弧45の端点である。円弧42,45は、それぞれ単一の曲率をもつ優弧である。円弧42の曲率は円弧45の曲率と同じでも異なっていても良い。円弧42,45は、円弧42の開口端43,44と円弧45の開口端46,47とが向かい合うように配置されている。
【0040】
接続線48は円弧42の開口端43と円弧45の開口端46とをつなぐ線である。本実施形態では、接続線48は開口端43,46同士を結ぶ線分である。接続線49は円弧42の開口端44と円弧45の開口端47とをつなぐ線である。本実施形態では、接続線49は開口端44,47同士を結ぶ線分である。接続線48,49はほぼ平行に配置されている。接続線48,49の間の最大幅W3は、円弧42の最大幅W1及び円弧45の最大幅W2よりも小さい。本実施形態では円弧42の最大幅W1及び円弧45の最大幅W2は、それぞれ円弧42,45の直径に等しい。接続線48,49の間の最大幅W3は、開口端43,44を結ぶ線分の長さ、及び、開口端46,47を結ぶ線分の長さに等しい。
【0041】
端子15は、接続線48,49が延びる方向に沿って配置されている。端子15は、円弧42の中、接続線48と接続線49との間、及び、円弧45の中に配置されている。端子15の2つの端15aは、それぞれ円弧42,45の中に位置する。
【0042】
充填材41は、端子挿通孔39の内周面40(図5参照)と端子15との間に介在する。充填材41により端子挿通孔39の内周面40に端子15が接触しないようにできるので、端子15の絶縁が確保される。本実施形態では、端子挿通孔39の内周面40の全体と端子15との間に充填材41が介在する。
【0043】
端子挿通孔39は、接続線48,49の間の最大幅W3が、円弧42の最大幅W1及び円弧45の最大幅W2よりも小さい。接続線48,49の間の最大幅W3が円弧42,45の最大幅W1,W2以上に大きい場合に比べ、蓋38のうち端子挿通孔39の接続線48,49を形成する部分の体積(断面積)を大きくできる。よって蓋38の強度を高くできる。端子挿通孔39の両端に位置する円弧42,45の最大幅W1,W2は、接続線48,49の間の最大幅W3より大きいので、円弧42,45の最大幅W1,W2が、接続線48,49の間の最大幅W3以下の場合に比べ、端子挿通孔39の両端における蓋38の応力を分散できる。よって蓋38の変形を低減できる。
【0044】
端子挿通孔39と端子15との間に注入された充填材41の材料は、硬化するときに収縮する。充填材41は端子挿通孔39の内周面40及び端子15に接着されているので、充填材41には引張の残留応力が生じる。さらに充填材41の線膨張係数と蓋38の線膨張係数とは異なるので、温度変化により充填材41に引張力が加わると充填材41の引張応力はさらに大きくなる。充填材41は、特に円弧42のうち開口端43,44から最も離れた部分、及び、円弧45のうち開口端46,47から最も離れた部分に応力が集中し易い。
【0045】
充填材41の引張応力が、充填材41の接着強さより大きいときは、充填材41は端子挿通孔39の内周面40から剥離するおそれがある。充填材41の破壊強さが、充填材41の接着強さ及び蓋38の破壊強さより小さいときは、充填材41が破壊するおそれがある。蓋38の破壊強さが、充填材41の破壊強さ及び接着強さより小さいときは、蓋38が破壊するおそれがある。
【0046】
一方、端子挿通孔39は、円弧42の最大幅W1及び円弧45の最大幅W2が、接続線48,49の間の最大幅W3より大きい。円弧42,45の最大幅W1,W2が、接続線48,49の間の最大幅W3以下の場合に比べ、充填材41の硬化収縮による、円弧42,45の部分の充填材41の引張の残留応力を小さくできる。円弧42,45の部分の充填材41の引張応力を低減できるので、充填材41の剥がれや破壊の発生、容器30(蓋38)の変形や破壊の発生を低減できる。
【0047】
端子挿通孔39は接続線48,49の間の最大幅W3が、円弧42の最大幅W1及び円弧45の最大幅W2よりも小さいので、W3がW1及びW2に等しい場合に比べ、接続線48,49の間に配置される充填材41の体積を小さくできる。これにより充填材41が硬化するときの収縮量や、熱膨張による充填材41の体積の変化量を少なくできる。よって充填材41の剥がれや破壊の発生、容器30(蓋38)の変形や破壊の発生を低減できる。
【0048】
また、端子挿通孔39は接続線48,49の間の最大幅W3が、円弧42の最大幅W1及び円弧45の最大幅W2よりも小さいので、W1-W3及びW2-W3の分だけ、端子挿通孔39を除く蓋38の面積を大きくできる。W1-W3及びW2-W3の分だけ、蓋38の裏面38aに充填材41が回り込み易くなる。充填材41は、端子挿通孔39の内周面40及び蓋38の裏面38aに接着されているので、充填材41の接着面積を蓋38の裏面38aに拡大できる。充填材41の接着力は充填材41の接着面積に比例するので、充填材41の接着力を大きくできる。
【0049】
端子挿通孔39の内周面40の全体と端子15との間に充填材41が介在する。端子挿通孔39に充填材41が部分的に存在する場合に比べ、充填材41が端子15を拘束し易くなる。よって端子挿通孔39の内周面40に端子15が接触する短絡の発生を低減できる。また、端子挿通孔39の内周面40と充填材41との接着面積を最大にできるので、充填材41の接着力を大きくできる。
【0050】
端子15の2つの端15aは、それぞれ円弧42,45の中に位置するので、端子15の分だけ円弧42,45の中の充填材41の体積を小さくできる。充填材41の体積が小さい分だけ、円弧42,45の部分の充填材41の引張力を小さくできる。これにより円弧42,45の部分の充填材41の引張力をさらに低減できる。よって充填材41の剥がれや破壊の発生、容器30の変形をさらに低減できる。
【0051】
図7を参照して他の実施形態について説明する。なお第1実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図7(a)は第2実施の形態における電池の、端子50が挿通された端子挿通孔39の正面図である。端子50は、正極13及び負極18の少なくとも一方に接続されている。端子50は、第1実施形態における電池10の端子15,20の少なくとも一方に代えて配置される。
【0052】
端子50は、接続線48,49が延びる方向に沿って配置されている。端子50は、接続線48と接続線49との間に配置されている。端子50の2つの端50aは、それぞれ円弧42の開口端43,44を結ぶ線分の上、及び、円弧45の開口端46,47を結ぶ線分の上に位置する。充填材41は、端子挿通孔39の内周面40の全体と端子50との間に介在する。第1実施形態と同様に、円弧42,45の部分の充填材41の引張応力を低減できるので、充填材41の剥がれや破壊の発生、容器30の変形を低減できる。
【0053】
図7(b)は第3実施の形態における電池の、端子15が挿通された端子挿通孔51の正面図である。端子挿通孔51は、第1実施形態における電池10の端子挿通孔39に代えて蓋38に設けられている。
【0054】
端子挿通孔51は、2つの円弧52,55と、2本の接続線58,59と、からなる。円弧52は、曲率が異なる複数の劣弧がつながった曲線である。円弧55は、曲率が異なる複数の劣弧がつながった曲線である。円弧52は2つの開口端53,54をもち、円弧55は2つの開口端56,57をもつ。円弧52,55は、円弧52の開口端53,54と円弧55の開口端56,57とが向かい合うように配置されている。開口端53,56に接続線58がつながり、開口端54,57に接続線59がつながっている。
【0055】
開口端53は、円弧52に接続線58がつながった曲線において、円弧52から見て曲線の曲率が符号を変える点(変曲点)である。開口端54は、円弧52に接続線59がつながった曲線において、円弧52から見て曲線の曲率が符号を変える点(変曲点)である。開口端53,54は円弧52の端点である。
【0056】
開口端56は、円弧55に接続線58がつながった曲線において、円弧55から見て曲線の曲率が符号を変える点(変曲点)である。開口端57は、円弧55に接続線59がつながった曲線において、円弧55から見て曲線の曲率が符号を変える点(変曲点)である。開口端56,57は円弧55の端点である。
【0057】
開口端53,54は接続線58,59に含まれないので、接続線58,59の間の最大幅W3は、円弧52の開口端53,54を結ぶ線分の長さより小さい。円弧52の最大幅W1は、円弧52の開口端53,54を結ぶ線分に平行な直線が、円弧52によって切り取られてできる線分のうち最も長い線分の長さである。よって接続線58,59の間の最大幅W3は、円弧52の最大幅W1より小さい。
【0058】
開口端56,57は接続線58,59に含まれないので、接続線58,59の間の最大幅W4は、円弧55の開口端56,57を結ぶ線分の長さより小さい。円弧55の最大幅W2は、円弧55の開口端56,57を結ぶ線分に平行な直線が、円弧55によって切り取られてできる線分のうち最も長い線分の長さである。よって接続線58,59の間の最大幅W4は、円弧55の最大幅W2より小さい。円弧55の最大幅W2は、円弧52の最大幅W1と同じでも異なっていても良い。
【0059】
端子15は、接続線58,59が延びる方向に沿って配置されている。端子15は、円弧52の中、接続線58と接続線59との間、及び、円弧55の中に配置されている。端子15の2つの端15aは、それぞれ円弧52,55の中に位置する。
【0060】
充填材60は、端子挿通孔51の内周面と端子15との間に介在する高分子材料である。端子15は、充填材60を介して端子挿通孔51の内周面に接着されている。充填材60は、端子挿通孔51のうち接続線58,59の間に存在するが、円弧52,55には存在しない。従って端子15の2つの端15aは空隙61,62の中にあり、充填材60に接していない。この場合も充填材60によって端子挿通孔51の内周面に端子15が接触しないようにできるので、端子15の絶縁が確保される。特に端子15の片方の端15aからもう片方の端15aまでの端子15の幅のうち70%以上が充填材60に接しているので、振動などの外力が電池に加わったときも端子15の絶縁を確保できる。
【0061】
端子挿通孔51は、接続線58,59の間の最大幅W3,W4が、円弧52の最大幅W1及び円弧55の最大幅W2よりも小さい。よってW1=W3及びW2=W4の場合に比べ、W1-W3及びW2-W4の分だけ、端子挿通孔51を除く蓋38の面積を大きくできる。これにより蓋38と発電要素12との間に配置された充填材60と蓋38との接着面積を大きくできる。充填材60の接着力は充填材60の接着面積に比例するので、充填材60の接着力を大きくできる。
【0062】
図7(c)は第4実施の形態における電池の、端子15が挿通された端子挿通孔63の正面図である。端子挿通孔63は、第1実施形態における電池10の端子挿通孔39に代えて蓋38に設けられている。
【0063】
端子挿通孔63は、2つの円弧64,67と、2本の接続線70,71と、からなる。円弧64は、単一の曲率をもつ劣弧である。円弧67は、円周を1/2にした半円からなる。円弧64は2つの開口端65,66をもち、円弧67は2つの開口端68,69をもつ。円弧64,67は、円弧64の開口端65,66と円弧67の開口端68,69とが向かい合うように配置されている。開口端65,68に接続線70がつながり、開口端66,69に接続線71がつながっている。
【0064】
開口端65は、円弧64と接続線70とがつながる角である。開口端66は、円弧64と接続線71とがつながる角である。開口端65,66は円弧64の端点である。開口端68は、円弧67と接続線70とがつながる角である。開口端69は、円弧67と接続線71とがつながる角である。開口端68,69は円弧67の端点である。
【0065】
開口端65,66は接続線70,71に含まれないので、接続線70,71の間の最大幅W3は、円弧64の開口端65,66を結ぶ線分の長さより小さい。円弧64の最大幅W1は、円弧64の開口端65,66を結ぶ線分の長さである。よって接続線70,71の間の最大幅W3は、円弧64の最大幅W1より小さい。
【0066】
開口端68,69は接続線70,71に含まれないので、接続線70,71の間の最大幅W4は、円弧67の開口端68,69を結ぶ線分の長さより小さい。円弧67の最大幅W2は、円弧67の開口端68,69を結ぶ線分の長さである。よって接続線70,71の間の最大幅W4は、円弧67の最大幅W2より小さい。円弧67の最大幅W2は、円弧64の最大幅W1と同じでも異なっていても良い。
【0067】
端子15は、接続線70,71が延びる方向に沿って配置されている。端子15は、円弧64の中、接続線70と接続線71との間、及び、円弧67の中に配置されている。端子15の2つの端15aは、それぞれ円弧64,67の中に位置する。
【0068】
充填材72,73は、端子挿通孔63の内周面と端子15との間に介在する高分子材料である。端子15は、充填材72,73を介して端子挿通孔63の内周面に接着されている。充填材72は、端子挿通孔63のうち円弧64の中、及び、接続線70,71の間に存在する。充填材73は、端子挿通孔63のうち円弧67の中、及び、接続線70,71の間に存在する。従って端子15の2つの端15aは、それぞれ充填材72,73に接している。充填材72,73の間には空隙74がある。この場合も充填材72,73によって端子挿通孔63の内周面に端子15が接触しないようにできるので、端子15の絶縁が確保される。特に端子15の端15aが充填材72,73に埋まっているので、端子15の端15aが端子挿通孔63の内周面に接しないようにできる。
【0069】
端子挿通孔63は、円弧64の最大幅W1及び円弧67の最大幅W2が、接続線70,71の間の最大幅W3,W4より大きい。よってW1=W2=W3=W4の場合に比べ、円弧64,67の部分の充填材72,73の引張の残留応力を小さくできる。充填材72,73の引張応力を低減できるので、充填材72,73の剥がれや破壊、容器30の変形を低減できる。
【0070】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。発電要素12や容器30の形状は一例であり、適宜設定できる。例えば容器本体31の第3板34、第4板35、第5板36及び蓋38の1以上を湾曲した形状にすることは当然可能である。
【0071】
実施形態では、包装材22に発電要素12を収納した包装物11が容器30に収納される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。包装材22を省略して発電要素12を容器30に収納し、端子15,20,50が通過した端子挿通孔39,51,63を充填材41,60,72,73で封止して、容器30を気密封止構造にすることは当然可能である。
【0072】
実施形態では、正極13の集電層14の片面に複合層16を形成し、負極18の集電層19の片面に複合層21を形成し、複合層16と複合層21との間に固体電解質層17を配置した発電要素12について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば集電層の両面に複合層16,21を形成した電極(いわゆるバイポーラ電極)と固体電解質層17とを交互に積層し、それを単一の電槽に収容した、いわゆるバイポーラ構造の発電要素12とすることは当然可能である。
【0073】
実施形態では、正極13の集電層14に接続する端子15、及び、負極18の集電層19に接続する端子20が、容器30の外に引き出されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。端子15,20の少なくとも一方に別の端子を接続し、その端子を容器30の外に引き出すようにすることは当然可能である。
【0074】
実施形態では、発電要素12の端子15,20が、両方とも蓋38に形成された端子挿通孔39,51,63から引き出される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば第5板36に端子挿通孔39,51,63を設け、そこから発電要素12の端子15,20を引き出すことは当然可能である。また端子15,20の片方を、蓋38に形成された端子挿通孔39,51,63から引き出し、もう片方を第5板36に形成された端子挿通孔39,51,63から引き出すようにすることは当然可能である。
【0075】
実施形態では、イオン伝導のキャリアがLiである固体リチウムイオン電池を発電要素12とする場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。他のキャリアを使う固体電池を発電要素12に採用することは当然可能である。他のキャリアとしては、例えばAg,Cu,Na,F,H等が挙げられる。
【0076】
実施形態では、箱型の容器本体31の中へ液状の充填材41の材料を注入した後、包装物11を容器本体31の中へ入れ、充填材41の材料に包装材22を浸し、硬化させることによって充填材41を配置する方法について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、板状に成形された充填材41を準備し、その充填材41を発電要素12に重ねて容器30の中に配置することは当然可能である。また、箱型の容器本体31に代えて、第1板32、第2板33、第3板34、第4板35及び第5板36を接合して容器本体31を組み立てる場合に、第1板32、第2板33及び包装物11のいずれかに充填材41の材料を塗布した後、包装物11が収容された容器本体31を組み立て、容器本体31の中の充填材41を硬化させることは当然可能である。
【0077】
実施形態では、発電要素12を容器本体31に固定する充填材41と同じ高分子材料を使って、端子15,20を端子挿通孔39,51,63に固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。容器本体31に発電要素12を固定する充填材41と異なる高分子材料(充填材)を使って、端子挿通孔39,51,63に端子15,20を固定することは当然可能である。
【0078】
実施形態では、端子15,20,50が、充填材41,60,72,73によって端子挿通孔39,51,63の内周面に接着されている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。接着剤として充填材を用いるのではなく、充填材に圧縮荷重がかかるように、端子挿通孔39,51,63と端子15,20,50との隙間に充填材(高分子材料)を詰めて端子15,20,50の絶縁を確保することは当然可能である。この場合にも温度変化が繰り返し生じると、充填材の線膨張係数と蓋38の線膨張係数との差により、充填材に疲労破壊が生じるおそれがある。そこで端子挿通孔39,51,63の円弧の最大幅W1,W2を接続線の間の最大幅W3より大きくすることにより、充填材の圧縮応力を低減し疲労破壊の発生を低減できる。
【0079】
各実施形態は、他の実施形態が有する構成の一部または複数部分を、その実施形態に追加し或いはその実施形態の構成の一部または複数部分と交換し、又は、その実施形態の構成の一部を削除等することにより、その実施形態を変形しても良い。
【0080】
例えば第1実施形態および第2実施形態では、端子15,50が通過してできる端子挿通孔39の隙間の全体が、充填材41によって塞がれている場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。第3実施形態や第4実施形態のように、端子15,50が通過してできる端子挿通孔39の隙間の一部を充填材41で塞ぐことは当然可能である。充填材41によって金属製の容器30と端子15,50との絶縁が確保される。
【0081】
第1実施形態や第2実施形態における端子挿通孔39の円弧42,45の片方を、第3実施形態における端子挿通孔51の円弧52,55の片方と交換したり、第4実施形態における端子挿通孔63の円弧64,67の片方と交換したりすることは当然可能である。
【0082】
第1実施形態では、円弧42と接続線48とがつながる角を円弧42の開口端43とする場合について説明した。第4実施形態では、円弧64と接続線70とがつながる角を円弧64の開口端65とする場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。第1実施形態が、円弧42と接続線48とが曲線でつながる場合には、第3実施形態のように曲線の変曲点を円弧42の開口端とする。同様に第4実施形態が、円弧64と接続線70とが曲線でつながる場合には、第3実施形態のように曲線の変曲点を円弧64の開口端とする。円弧45,67についても同様である。
【符号の説明】
【0083】
10 電池
12 発電要素
13 正極
15,20,50 端子
17 固体電解質層
18 負極
30 容器
38 蓋(容器)
38a 裏面
39,51,63 端子挿通孔
40 端子挿通孔の内周面
41,60,72,73 充填材
42,45,52,55,64,67 円弧
43,44,46,47,53,54,56,57,65,66,68,69 開口端
48,49,58,59,70,71 接続線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7