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特許7510805画像形成システム、携帯通信端末、画像形成装置および画像形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像形成システム、携帯通信端末、画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240627BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240627BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G06F3/12 392
G06F3/12 304
G06F3/12 368
G06F3/12 385
G06F3/12 372
H04N1/00 127B
H04N1/00 127A
B41J29/00 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020122118
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2022018773
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】佐枝 政夫
(72)【発明者】
【氏名】中井 康博
(72)【発明者】
【氏名】片本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】村上 光一
(72)【発明者】
【氏名】早野 康友
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-001253(JP,A)
【文献】特開2014-186686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
H04N 1/00
B41J 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信可能な携帯通信端末と画像形成装置とを備えるシステムであって、
前記携帯通信端末は、
データを格納するメモリーと、
ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定する所在判定部と、
前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信する印刷指示部とを備え、
前記画像形成装置は、
前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する制御部を備え
前記印刷指示部は、前記データの所在をユーザーが区別できないユーザーインターフェースを用いて前記指定を受け付け、
前記データが前記メモリーに格納されているか前記外部機器に格納されているかにかかわらず最終的に印刷を実行またはとりやめる指示をユーザーから受け付ける画面を提供し、前記データの印刷に係る合計金額を画面に表示させ、前記データが前記メモリーに格納されている場合と前記外部機器に格納されている場合とで印刷単価が異なる場合はその旨を表示させる、画像形成システム。
【請求項2】
前記アクセス情報は、アクセス先の前記外部機器を特定する機器特定情報および前記外部機器に格納されたデータのうち指定されたデータを特定するデータ特定情報を含む請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記外部機器は、格納されたデータへのアクセスを許可する認証処理を行い、
前記印刷指示部は、前記外部機器へのアクセスに必要な認証情報を前記外部機器から取得し、
前記アクセス情報は、前記外部機器から取得した認証情報を含み、
前記制御部は、前記アクセス情報に含まれる前記認証情報を用いて前記外部機器に格納されたデータにアクセスする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記外部機器は、格納されたデータへのアクセスを許可する認証処理を行い、
前記メモリーは前記認証処理に用いる認証情報を予め格納し、
前記アクセス情報は、前記メモリーに格納された認証情報をさらに含み、
前記制御部は、前記アクセス情報に含まれる前記認証情報を用いて前記外部機器に格納されたデータにアクセスする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
通信可能な外部の携帯通信端末から印刷指示を受領して印刷する制御部を備え、
前記携帯通信端末は、データを格納するメモリーおよび印刷指示部とを有し、前記印刷指示部はユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定し、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に送信するものであり、
前記印刷指示部は、前記データの所在をユーザーが区別できないユーザーインターフェースを用いて前記指定を受け付け、
前記制御部は、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷し、前記データが前記メモリーに格納されているか前記外部機器に格納されているかにかかわらず最終的に印刷を実行またはとりやめる指示をユーザーから受け付ける画面を提供し、前記データの印刷に係る合計金額を画面に表示させ、前記データが前記メモリーに格納されている場合と前記外部機器に格納されている場合とで印刷単価が異なる場合はその旨を表示させる、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成システム、携帯通信端末、画像形成装置および画像形成方法に関し、より詳細には携帯通信端末から印刷指示を受領してデータを印刷する画像形成システム、携帯通信端末、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の携帯通信端末に保存された写真等のデータあるいは携帯通信端末からアクセス可能な外部機器に格納されたデータを携帯通信端末上でユーザーが指定し、指定されたデータを印刷する画像形成装置が知られている。
携帯通信端末に保存されデータを画像形成装置へ送って印刷する処理に関して、例えば以下のシステムが提案されている。表示器を有するデジタルスチルカメラ、携帯電話あるいはPDAなどの通信装置とプリンターとが無線通信する。これにより、両者の間で画像データなどを送受信して、通信装置に搭載されている表示器に画像を表示させる。このような構成により、プリンターに画像確認用の表示器や画像の選択を指示する操作パネルを装備することなくプリントを行うことができるシステムである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、携帯通信端末からアクセス可能な外部機器に格納されたデータを印刷する態様につき、例えば、以下のシステムが提案されている。ユーザーの携帯端末からの操作によるプリント指示に基づき、コンビニエンスストア等のプリンター設置店のプリンターで、プリント出力を行うネットワークプリントシステムである。プリンターより構内LANのファイルサーバに格納されているファイルを選択しプリント出力する。それを実現するために、構内ファイルサーバとゲートウェイを介して通信可能なアプリケーションサーバがインターネット上に配置される。前記携帯端末は、アプリケーションサーバを介して構内ファイルサーバに格納押されたファイル一覧情報を取得する。そして、携帯端末はプリントデータ作成要求をアプリケーションサーバに送り、アプリケーションサーバはその要求を構内ファイルサーバへ送って指定されたファイルを獲得する。ファイルを獲得したアプリケーションサーバはプリントデータを生成し、プリンターへ送る。プリンターは受信したプリントデータを印刷する(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
近年、スマートフォンに代表される携帯通信端末の処理能力が向上し、多機能化および高機能化が進んでいる。しかし、多機能化および高機能化が進むとなおさら、ユーザーが扱いやすく理解し易いユーザーインターフェースが望まれている。それに関して、携帯通信端末が生成したデータがローカルメモリーに格納されていても、クラウドサーバに格納されていても、両者をシームレスに扱うように設計されたユーザーインターフェースが導入されている。通信の高速化、通信可能量の大容量化も相まって両者の応答速度に体感的な差が少なくなっており、両者をシームレスに扱ってもユーザーは違和感を持たない。
具体例を挙げると、スマートフォンで撮影した写真等のデータが、一見するとローカルメモリーに格納されているように見えるが実はクラウドサーバに格納されているというケースがある。データの所在をユーザーに意識させずに一覧(サムネイル)表示され、データの選択を受付ける。データが選択されると拡大表示されるだけでなく、選択されたデータの印刷指示を受け付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-020489号公報
【文献】特開2002-278870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のようにシームレスなユーザーインターフェースであっても、印刷すべきデータが携帯通信端末のローカルメモリーに格納されているか、あるいは携帯通信端末の外部の機器に格納されているかで印刷に係る処理の手順は異なる。これに対する伝統的な解決策は、データの所在を明示的にユーザーが指定するというものである。
ところが、上述のようにシームレスなユーザーインターフェースが導入されると、ユーザーはデータの所在を理解していない。例えば、携帯通信端末の表示画面上にデータのサムネイル等が表示されるので、ユーザーは表示されたデータが携帯通信端末のローカルメモリーに格納されていると理解して指定する。しかし、実際にはそのデータがクラウドサーバに保存されている。データの所在としてローカルメモリーが指定されたにもかかわらず、ローカルメモリーにそのデータが保存されていないと、印刷処理のタスクはエラーとして処理する。ところが、エラーのメッセージが表示されてもユーザーにはその理由が分からない。このような矛盾が生じ得る。
この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、印刷が指定されたデータの所在をユーザーが認識できなくとも印刷実行可能な画像形成システム、画像形成装置、携帯通信端末および画像形成方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、互いに通信可能な携帯通信端末と画像形成装置とを備えるシステムであって、前記携帯通信端末は、データを格納するメモリーと、ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定する所在判定部と、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信する印刷指示部とを備え、前記画像形成装置は、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する制御部を備える、画像形成システムを提供する。
【0008】
また、異なる観点からこの発明は、通信可能な外部の携帯通信端末から印刷指示を受領して印刷する制御部を備え、前記携帯通信端末は、データを格納するメモリーおよび印刷指示部とを有し、前記印刷指示部はユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定し、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に送信するものであり、前記制御部は、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する、画像形成装置を提供する。
【0009】
さらに、異なる観点からこの発明は、データを格納するメモリーと、ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定する所在判定部と、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信する印刷指示部とを備え、前記画像形成装置に、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷させ、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷させる、携帯通信端末を提供する。
【0010】
さらにまた、異なる観点からこの発明は、データを格納可能なメモリーを有する携帯通信端末の制御部が、ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けるステップと、指定されたデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定するステップと、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信するステップとを備え、前記画像形成装置に、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷させ、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷させる、画像形成方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
この発明による画像形成システムにおいて、携帯通信端末は、指定されたデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定する所在判定部と、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に送信し外部機器に格納されている場合は格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に送信する印刷指示部とを備え、画像形成装置は、印刷指示と共にデータを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記アクセス情報を受信した場合は外部機器に格納されたデータを取得して印刷する制御部を備えるので、印刷が指定されたデータの所在をユーザーが認識できなくとも印刷の実行が可能である。
この発明による画像形成装置、携帯通信端末および画像形成方法についても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の実施形態における画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図2図1の画像形成システムの構成要素である画像形成装置の一例であって、コンビニエンスストア等に設置され不特定ユーザーに使用される複合機の外観明図である。
図3図2に示す複合機の構成を示すブロック図である。
図4図1の画像形成システムの構成要素である携帯通信端末の一例として、スマートフォンの構成を示すブロック図である。
図5A】この発明の実施形態において、スマートフォンから印刷に係る操作を行う処理の流れを示す第1のフローチャートである。
図5B】この発明の実施形態において、スマートフォンから印刷に係る操作を行う処理の流れを示す第2のフローチャートである。
図5C】この発明の実施形態において、スマートフォンから印刷に係る操作を行う処理の流れを示す第3のフローチャートである。
図5D】この発明の実施形態において、スマートフォンから印刷に係る操作を行う処理の流れを示す第4のフローチャートである。
図5E】この発明の実施形態において、スマートフォンから印刷に係る操作を行う処理の流れを示す第5のフローチャートである。
図6】この発明の実施形態において、操作ユニットに表示されるポータル画面の例を示す説明図である。
図7A】この発明の実施形態において、「スマホでプリント」と「ネットワークプリント」とで、印刷の単価が異なる可能性がある場合に、その旨をユーザー知らせる画面の例を示す説明図である。
図7B】この発明の実施形態において、印刷部数の設定を受け付け印刷部数に応じた合計金額を表示し印刷を実行するか否かをユーザーに確認する画面を示す説明図である。(印刷料金が変わる可能性がある場合)
図8】この発明の実施形態において、印刷部数の設定を受け付けて印刷部数に応じた合計金額を表示し印刷を実行するか否かをユーザーに確認する画面を示す説明図である。(印刷料金が変わらない場合)。
図9図5A図5Eに示す処理に対応するシーケンス図である(スマートフォンに対象データが格納されている場合)
図10A図5A図5Eに示す処理に対応する第1のシーケンス図である(クラウドサーバに対象データが格納されている場合)
図10B図5D図5Eに示す処理に対応する第2のシーケンス図である(クラウドサーバに対象データが格納されている場合)
図11A】この発明の実施形態において、印刷処理の流れを示す第1のシーケンス図である(プリントサービスサーバを介してクラウドサーバの対象データにアクセスする場合)
図11B】この発明の実施形態において、印刷処理の流れを示す第2のシーケンス図である(プリントサービスサーバを介してクラウドサーバの対象データにアクセスする場合)
図11C】この発明の実施形態において、印刷処理の流れを示す第3のシーケンス図である(プリントサービスサーバを介してクラウドサーバの対象データにアクセスする場合)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
≪画像形成システムの構成≫
まず、この発明の実施形態における画像形成システムについて述べる。
図1は、この実施形態における画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、この実施形態における画像形成システム100は、画像形成装置としての複合機101および携帯通信端末としてのスマートフォン150を備える。図1はさらに、画像形成システム100以外の外部機器130としてネットワークプリント・サービスサーバ131およびクラウドサーバ133を示している。図1に示すように、複合機101とスマートフォン150とは、相互に通信可能である。この実施形態では、スマートフォン150が複合機101に近づきWi-Fi、Bluetooth(登録商標)あるいはNFCのような近距離無線通信の通信可能範囲に入ると相互の無線通信が可能になるものとする。
【0014】
さらに、この実施形態では複合機101およびスマートフォン150が外部機器130と通信可能である。外部機器130として、図1にクラウドサーバ133を示している(実施の形態1)。この実施の形態1によれば、複合機101およびスマートフォン150がクラウドサーバ133と直接通信する。この通信を図1に実線で示している。
また、外部機器130として、クラウドサーバ133に加えてネットワークプリント・サービスサーバ131が存在する態様もある(実施の形態2)。実施の形態1では存在せず実施の形態2で存在するネットワークプリント・サービスサーバ131を鎖線で示している。
実施の形態2によれば、複合機101およびスマートフォン150は、ネットワークプリント・サービスサーバ131を介してクラウドサーバ133と通信する。複合機101およびスマートフォン150は、クラウドサーバ133と直接の通信は行わない。その通信を図1に鎖線の矢印で示している。
【0015】
まず、外部機器130としてネットワークプリント・サービスサーバ131が存在しない実施の形態1を前提に、印刷に係る処理を述べる。その後、実施の形態2について後述する。
実施の形態1において、ユーザーはスマートフォン150を操作して印刷したいデータを指定すると共に、複合機101に印刷させるように指示を送る。スマートフォン150を操作するユーザーの手指165を図1に示している。
【0016】
図2は、図1の画像形成システムの構成要素である画像形成装置の一例を示す外観図である。図2に示す画像形成装置は、コンビニエンスストア等に設置され不特定ユーザーに使用される。図3は、図2に示す複合機101の内部構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像形成装置の一態様としての複合機101は、本体操作ユニット102B、スキャナーユニット15、制御部11、メモリーユニット30、通信インターフェース回路24および画像形成ユニット13を備える。メモリーユニット30は、ROM30mおよびRAM30dを備える。画像形成ユニット13は、画像処理回路20、画像形成部13dおよび用紙搬送部13tを備える。
【0017】
図2に示すように複合機101の左隣に接して、金銭処理機105、拡張操作ユニット102Aおよびカードリーダ107を含むキャビネットが配置される。金銭処理機105は、複合機101を使用するユーザーが支払う印刷料金の精算処理を行う。拡張操作ユニット102Aは、表示素子としての液晶ディスプレイおよびタッチパネルを備えており、ユーザーの操作を受付ける。カードリーダ107は、メモリーカードやUSBメモリー等の記憶媒体を接続してデータを読み書きするためのインターフェースである。
図2に示すように、複合機101の手前側に本体操作ユニット102Bが設けられている。本体操作ユニット102Bは、表示素子としての液晶ディスプレイおよびタッチパネルを備えており、ユーザーの操作を受付ける。
制御部11は、拡張操作ユニット102Aおよび本体操作ユニット102Bに対するユーザーの操作を認識すると共に、複合機101の状態や金銭処理機105の金銭処理に係る情報および受付けたユーザーの操作に係る情報を拡張操作ユニット102Aおよび本体操作ユニット102Bの液晶ディスプレイに表示させる。
なお、異なる実施態様として、拡張操作ユニット102Aが本体拡張ユニット102Bに統合され、一つの操作ユニットとして提供される態様も考えられる。
【0018】
制御部11は、複合機101の各部の状態を認識して動作を制御する。具体的には、制御部11はCPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)を中心に、内蔵メモリー、入出力インターフェース回路、タイマ回路等のハードウェア資源から構成される。以下、簡単のためこの明細書ではCPU、MPUをCPUと総称する。前記CPUがメモリーに格納された画像処理プログラムを実行することによって原稿の読取りやデータの印刷等、複合機101の画像形成に係る機能が実現される。また、制御部11は、拡張操作ユニット102Aおよび本体操作ユニット102Bに対するユーザーの操作を受付け、液晶ディスプレイの画面制御を行う。
【0019】
CPUが実行する処理に係る機能的観点から、制御部11は原稿の読取りに関する制御、データの印刷に関する制御を行う。さらに、操作ユニット102Aおよび本体操作ユニット102Bの表示と操作に関する制御を行う。
また、制御部11はメモリーユニット30のROM30mおよびRAM30dにアクセスする。ROM30mを構成するハードウェアの一例として、フラッシュメモリーが挙げられる。CPUは、不揮発性メモリー11mに格納された制御プログラムを読み出して適宜、RAM30dに展開する。そして、RAM30dに展開された制御プログラムに従った処理を実行する。そして、複合機101が備えるハードウェアの制御を行う。また、操作および表示に係る制御を行う。さらに、通信インターフェース回路24を介して行われる外部の機器との通信を制御する。即ち、ソフトウェア資源とハードウェア資源とが協働して画像形成に係る機能を実現する。
【0020】
制御部11と画像形成ユニット13、制御部11とスキャナーユニット15とはそれぞれデータ転送可能に接続されている。メモリーユニット30および通信インターフェース回路24との間もデータ転送可能に接続されている。
スキャナーユニット15は、制御部11の制御下で原稿台に置かれた原稿の画像を読取って、画像信号に変換する。即ち、コピー、ファックスおよびスキャナーのジョブにおける画像読取の処理を実行する。
画像処理回路20は、スキャナーユニット15が出力する画像信号に基づいて画像データを生成する。あるいは、通信インターフェース回路24を介して受信したデータに基づいて印刷用の画像データを生成する。そして、生成された画像データは、画像形成ユニット13で印刷され、あるいは通信インターフェース回路24を介して外部の機器へ送信される。
【0021】
図2に示すように、複合機101は、4つの用紙トレイ17a、17b、17c、17dおよび排出トレイ18を備える。
用紙トレイ17a、17b、17c、17dは、各種サイズのシートを個別に収容する。例えば、A4、A3、B5、B4の各サイズの用紙を収容する。
図3に示す用紙搬送部13tは、制御部11の制御下で、何れかの用紙トレイに収容されたシートを給送し搬送する。
【0022】
画像形成部13dは、制御部11の制御下で、用紙トレイ17a、17b、17c、17dの何れかから給送されたシートに、指定された画像データを印刷する。印刷に係る印刷ジョブは、例えばプリンターとして印刷に係るもの、コピーとしての印刷に係るものあるいはファックス受信の印刷に係るもの等が挙げられる。
用紙搬送部13tは、画像形成部13dで印刷されたシートを排出トレイ18へ搬送して排出する。
通信インターフェース回路24は、ネットワークを介して外部の機器とデータの通信を行うためのインターフェースである。スマートフォン150との間における近距離無線通信も通信インターフェース回路24を介して行われる。また、外部機器130との間における無線または有線LANの通信も、通信インターフェース回路24を介して行われる。
【0023】
続いて、この実施形態における画像形成の構成要素の一つであるスマートフォン150について述べる。
図4は、この実施形態におけるスマートフォン150の構成を示すブロック図である。図4に示すように、スマートフォン150は、端末制御部151、端末メモリー157、端末通信インターフェース回路159を備える。
スマートフォン150は、さらに端末表示ユニット161および端末操作ユニット163を備える。
【0024】
端末制御部151は、CPUを中心に構成される。CPUが実行する処理に係る機能的観点から、端末制御部151は、以下の各構成要素を含む。即ち、アプリ処理部152、UI処理部153、所在判定部154、印刷指示部155および通信処理部156を含む。
アプリ処理部152は、スマートフォン150にインストールされたアプリを実行する。
UI処理部153は、端末操作ユニット163に対するユーザーの入力操作を認識する。さらに、端末操作ユニット163が受付けたユーザーの操作に係る情報および通信に係る情報を端末表示ユニット161に表示させる。
所在判定部154および印刷指示部155の機能は、以下の印刷の流れの中で述べる。
通信処理部156は、端末通信インターフェース回路159を介した外部の機器との通信を制御する。
端末メモリー157は、CPUが実行する処理プログラムおよびデータを格納する。
端末通信インターフェース回路159は、ネットワークを介して外部の機器とデータの通信を行うためのインターフェースである。
【0025】
≪スマートフォンからの印刷の流れ≫
続いて、スマートフォン150から印刷を行う処理の流れを述べる。図5A図5Eは、この実施形態においてスマートフォン150から複合機101に印刷を行わせる処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに沿って処理の流れを述べる。
【0026】
〈スマートフォンと複合機との無線接続〉
まず、ユーザーはスマートフォン150を操作して予めインストールされているプリントサービスのアプリを起動する(図5Aに示すステップS11)。プリントサービスアプリは、例えば複合機101を製造する事業者によって提供される。アプリ起動の操作に応答して、UI処理部153は、プリントサービスアプリを立ち上げる。プリントサービスアプリが起動してアプリ処理部152としての端末制御部151がプリントサービスアプリの実行を開始すると、通信処理部156としての端末制御部151が、印刷を行う複合機101との通信接続を要求する(ステップS13)。この実施形態では、上述の近距離無線通信(例えば、Wi-Fi通信)で両者が接続されるものとする。
【0027】
一方、複合機101の制御部11は、電源が投入された後、拡張操作ユニット102Aの液晶ディスプレイ装置にポータル画面を表示させて待機している。図6は、この実施形態において拡張操作ユニット102Aに表示されるポータル画面の例を示す説明図である。図6に示すように、ポータル画面201には、コピー、プリント、ファックス、スキャンに係る各種サービスを選択するボタンが配置されている。また、画面の右側には、コンテンツの印刷に係る各種サービスを選択するボタンが配置されている。各種サービスを選択するボタンのうちプリントサービスに属するものは、「スマホでプリント」ボタン201a、「ネットワークプリント」ボタン201bおよび「写真・文書プリント」ボタン201cである。
【0028】
「スマホでプリント」ボタン201aは、スマートフォン150の端末メモリー157に格納されたデータをスマートフォン150から複合機101へ送り印刷する処理の選択に係る。「ネットワークプリント」ボタン201bは、通信インターフェース回路24を介して複合機101と通信可能な外部機器に格納されているデータを印刷する処理の選択に係る。「写真・文書プリント」ボタン201cは、メモリーカードやUSBメモリーに格納された写真や文書のデータをカードリーダ107経由で読み込んで印刷するサービスの選択に係る。
ユーザーが「スマホでプリント」ボタン201aにタッチしたことを制御部11が認識したら(図5AのステップS111)、制御部11は、近距離無線通信による無線接続の要求を待つ(ステップS113)。そして、前述のステップS13で通信接続を要求しているスマートフォン150との通信接続を確立させる(ステップS115)。
【0029】
スマートフォン150の側では、通信処理部156としての端末制御部151が、複合機101との通信接続が確立したことを認識する(ステップS15のYes)。すると、アプリ処理部152としての端末制御部151は、複合機101との通信が確立したことを端末表示ユニット161に表示させてユーザーに知らせ、印刷するデータを指定するようにユーザーを促す(ステップS17)。
なお、通信接続が確立したら、複合機101の側でも制御部11がその旨を拡張操作ユニット102Aに表示させてもよい。
スマートフォン150を操作して印刷すべきデータをユーザーが指定する操作をUI処理部153としての端末制御部151が認識すると(ステップS19のYes)、以下の処理を行う。即ち、所在判定部154としての端末制御部151は、ユーザーに指定された印刷データ(以下、対象データともいう)が端末メモリー157に格納されているか否かを判定する(図5BのステップS21)。例えば、スマートフォン150で撮影された写真の画像データを管理するフォトアルバムのアプリで印刷すべき画像データがユーザーにより指定された場合を具体例として挙げる。その場合、所在判定部154は、フォトアルバムのアプリから指定されたデータの属性を取得する。そして、その属性に基づいて対象データが端末メモリー157に格納されているか否かを判定する。
【0030】
前述のように、図6のポータル画面201でユーザーは「スマホでプリント」ボタン201aを選択している。つまり、ユーザーとしては対象データがスマートフォン150に格納されていると信じている。しかし、実際の対象データは、スマートフォン150の端末メモリー157ではなく、ネットワーク上のクラウドサーバ133に格納されている場合がある。そこに、ステップS21の判定を行うことの意味がある。
【0031】
対象データがスマートフォン150の端末メモリー157に格納されていると判定された場合(ステップS21のYes)、ユーザーの理解は対象データの所在と一致している。その場合、印刷指示部155としての端末制御部151は、印刷指示と共に印刷の設定に係る情報を近距離無線通信で複合機101へ送信する。さらに、端末メモリー157に格納された対象データを複合機101へ送信する(ステップS23)。そして、スマートフォン150の側におけるプリントサービスに係る処理を終了する。
【0032】
ここで、印刷の設定に係る情報は、対象データの属性およびプリントサービスのアプリを用いてユーザーが設定する情報を含む。ユーザーが設定する情報の一例として、フルカラー印刷かモノクロ印刷かに係る設定、片面印刷か両面印刷かに係る設定、仕上がりの用紙サイズに係る設定が挙げられる。
スマートフォン150から印刷指示を受信すると(図5BのステップS121のYes)、複合機101の制御部11は、対象データ、即ち、印刷すべきデータの実体をスマートフォン150から受信したか否かを判定する(ステップS123)。
図5Bに示す処理において、対象データはスマートフォン150に格納されている(ステップS21の判定参照)。従って、スマートフォン150から対象データが送られてくる。図5BにおけるステップS123の判定は常にYesとなる。この判定がNoになるケースは、後述する図5CにおけるステップS123の判定である。
スマートフォン150から対象データを受信したら、制御部11は印刷指示に含まれる設定情報に従って印刷の設定を行い(ステップS125)、対象データの印刷を実行する(ステップS127)。そして、複合機101の側におけるプリントサービスに係る処理を終了する。
【0033】
一方、前述のステップS21で、対象データがスマートフォン150の端末メモリー157に格納されていないと判定された場合(ステップS21のNo)、所在判定部154としての端末制御部151は、対象データがクラウドサーバ133に格納されているか否かを判定する(図5CのステップS31)。上述の写真の画像データについていえば、所在判定部154はフォトアルバムのアプリから指定されたデータの属性を取得し、その属性に基づいて対象データがクラウドサーバ133に格納されているか否かを判定する。
【0034】
対象データがクラウドサーバ133に格納されていると判定された場合(ステップS31のYes)、印刷指示部155としての端末制御部151は、クラウドサーバ133にアクセスするための認証情報を取得する(ステップS33)。クラウドサーバ133は、一般に公開されたデータを除き、格納されたデータへのアクセスを認証されたユーザーに限定するのが通常である。
【0035】
認証情報は、クラウドサーバ133が行う認証処理を通過して対象データにアクセスするために必要な情報であって、例えば、フォトアルバムへのアクセスが許可されたユーザーのIDとパスワードである。また、異なる例は、2段階ログインにおいてクラウドサーバ133が送信するワンタイムパスワードである。認証情報は、例えば、暗号化されたデータとして端末メモリー157に予め格納されていてもよい。ユーザーのIDとパスワードをこのように保存する態様は周知である。異なる態様としてUI処理部153としての端末制御部151が、ユーザーからの認証情報の入力を都度受け付けてもよい(実施の形態3)。認証の都度異なる内容のパスワードを使用するワンタイムパスワードはこの態様に属する。
【0036】
印刷指示部155としての端末制御部151は、クラウドサーバ133に格納されている対象データへのアクセスに必要な情報をアクセス情報として生成する。アクセス情報は、ネットワーク上のクラウドサーバ133を特定する情報である機器特定情報を含む。さらに、クラウドサーバ133に格納されたデータのうち対象データを特定する情報であるデータ特定情報を含む。また、取得された認証情報を含む。
印刷指示部155としての端末制御部151は、印刷指示と共に印刷の設定に係る情報を近距離無線通信で複合機101へ送信する。さらに、対象データに係るアクセス情報を複合機101へ送信する(ステップS35)。そして、スマートフォン150の側におけるプリントサービスに係る処理を終了する。
【0037】
一方、前述のステップS31で、対象データがクラウドサーバ133に格納されていないと判定された場合(ステップS31のNo)、以下の処理を行う。アプリ処理部152としての端末制御部151は、対象データの所在が特定できず印刷できない旨をユーザーに知らせる(ステップS37)。そして、スマートフォン150の側におけるプリントサービスに係る処理を終了する。
【0038】
前述のステップS35において、スマートフォン150から印刷指示を受信する複合機101の処理について述べる。
スマートフォン150がステップS35の処理を行う際、複合機101は、スマートフォン150から印刷指示が送られるのを待っている。即ち、複合機101は図5BのステップS121の状態に留まっている。図5BのステップS121と同じ処理であることを示すために、図5CにおけるステップS121を鎖線で示している。スマートフォン150から印刷指示を受信すると(図5CのステップS121のYes)、複合機101の制御部11は、対象データをスマートフォン150から受信したか否かを判定する(図5CのステップS123)。図5BのステップS123と同じ処理であることを示す目的で、図5CのステップS123を鎖線で示している。
【0039】
図5CのステップS123の処理において、スマートフォン150から対象データが送られてくることはない。対象データがクラウドサーバ133に格納されているからである(ステップS31の判定参照)。よって、図5CにおけるステップS123の判定は常にNoとなる。この判定がYesになるケースは、前述のように図5BにおけるステップS123の処理である。
スマートフォン150から印刷指示と共に対象データに係るアクセス情報を受信した場合(ステップS123のNo)、制御部11は対象データがクラウドサーバ133に格納されていると判定する。
【0040】
図6に示すポータル画面201で、ユーザーが選択した「スマホでプリント」ボタン201aは、スマートフォン150の端末メモリー157に格納されているデータを複合機101へ送って印刷するサービスである。しかし、通信インターフェース回路24を介して複合機101と通信可能なクラウドサーバ133に格納されているデータを印刷する処理は、「ネットワークプリント」ボタン201bで選択される処理の流れに属する。
ここで、制御部11はユーザーが選択した「スマホでプリント」に係るサービスから、「ネットワークプリント」に係るサービスへの切り替え処理を含めて、最終的に印刷を実行する指示をユーザーから受け付ける画面を準備する(ステップS129)。その画面は、印刷部数の設定、設定された印刷部数に応じた合計金額の表示、印刷のプレビューおよび印刷のとりやめの操作も受け付ける。
【0041】
図6に示すポータル画面201でユーザーが選択した「スマホでプリント」に係るサービスと「ネットワークプリント」に係るサービスとで、少なくとも一部の用紙サイズについて、あるいはカラー/モノクロの種別など少なくとも一部の種類の印刷につき印刷単価が異なる場合がある。そこで、制御部11は、「スマホでプリント」に係るサービスの印刷単価が「ネットワークプリント」に係るサービスの印刷単価と異なる場合があるか否かを判定する(図5DのステップS141)。
印刷単価が異なる場合がある(実施の形態4)と判断したら(ステップS141のYes)、拡張操作ユニット102Aにその旨を表示してユーザーに知らせる(ステップS143)。
【0042】
図7Aは、「スマホでプリント」と「ネットワークプリント」とで、印刷の単価が異なる可能性がある場合に、その旨をユーザー知らせる画面の例を示す説明図である。
ユーザーがその知らせを確認して「OK」ボタン203にタッチすると(ステップS145のYes)、制御部11は、上述のステップS129で準備した画面を拡張操作ユニット102Aに表示させる。そして、印刷の実行に係るユーザーの指示を待つ(ステップS147)。
【0043】
図7Bは、ステップS147の処理において拡張操作ユニット102Aに表示され、印刷部数の設定(変更)を改めて受け付け、印刷部数に応じた合計金額を表示し、印刷を実行するか否かをユーザーに確認する画面を示す説明図である。図7Bに示す合計金額は、「スマホでプリント」に係るサービスから「ネットワークプリント」に切り替えた印刷に対応する金額(60円)である。さらに、制御部11は図7Bの画面に、印刷を実行する場合に操作される「スタート」ボタン205、印刷のプレビューを拡張操作ユニット102Aに表示する「仕上り確認」ボタン207を表示させる。さらにまた、印刷の実行をやめて、図6のポータル画面201に切替える「戻る」ボタン209を表示させる。ここまでは、印刷単価が異なる実施の形態4についての説明である。
【0044】
一方、上述のステップS141の判定で、「スマホでプリント」に係るサービスの印刷単価が「ネットワークプリント」に係るサービスの印刷単価と同じである(実施の形態4非該当)と制御部11が判断した場合(ステップS141のNo)、制御部11は以下の処理を行う。制御部11は、拡張操作ユニット102Aに上述のステップS129で準備した画面を表示させる(図8参照)。この場合、印刷の合計金額は、ユーザーが選択した「スマホでプリント」と同じ金額(50円)である。
上述したように、図7Bあるいは図8に示す画面を拡張操作ユニット102Aに表示させて印刷の実行に係るユーザーの指示を待つステップS147の処理において、「戻る」ボタン209がタッチされる操作を受け付けた場合(ステップS147のNo)、制御部11は、以下の処理を行う。即ち、印刷の実行を終了する旨をユーザーに知らせる表示を行い(ステップS148)、複合機101側の印刷サービスに係る処理を終了する。拡張操作ユニット102Aに図6のポータル画面201を表示させて、新たなサービスの選択を受け付ける。
【0045】
また、ステップS147の処理において、「スタート」ボタン205がタッチされる操作を受け付けた場合(ステップS147のYes)、制御部11は、以下の処理を行う。即ち、スマートフォン150から受領したアクセス情報に含まれる認証情報をクラウドサーバ133へ送り、認証処理を要求する(ステップS149)。ここで、認証情報の送信先としてクラウドサーバ133を指定するために、制御部11はアクセス情報に含まれる機器特定情報を用いる。
複合機101からの認証要求を受けたクラウドサーバ133は(ステップS241のYes)認証処理を行って複合機101を認証する。認証が完了したら、その旨を複合機101に知らせる(図5EのステップS251)。
【0046】
複合機101の制御部11は、認証完了の通知を受けると(図5EのステップS151のYes)、クラウドサーバ133に対して対象データの要求を行う(ステップS153)。クラウドサーバ133に格納されたデータのうちで対象データを指定して要求するために、制御部11はアクセス情報に含まれるデータ特定情報を用いる。
複合機101から対象データの要求を受けたクラウドサーバ133は(ステップS253のYes)、要求された対象データを複合機101へ送り(ステップS255)、クラウドサーバ133側のプリントサービスに係る処理を終了する。
【0047】
クラウドサーバ133から対象データを受信すると(ステップS155のYes)、複合機101の制御部11は、以下の処理を行う。即ち、上述のステップS121でスマートフォン150から受信した印刷指示に含まれる設定情報に従って印刷の設定を行い(ステップS157)、対象データの印刷を実行する(ステップS159)。そして、複合機101の側におけるプリントサービスに係る処理を終了する。
以上が、印刷に係る処理の流れである。
【0048】
図9図10Aおよび図10Bは、図5A図5Eのフローチャートに示す印刷処理をシーケンス図で表したものである。図9は、対象データがスマートフォン150の端末メモリー157に格納されている場合の処理を示す。図10Aおよび図10Bは、対象データがクラウドサーバ133に格納されている場合の処理を示す。図9図10Aおよび図10Bに示す各処理には、図5A図5Eのフローチャートに対応する処理の符号を付している。複数の処理が対応する場合は、代表的なものの符号を付している。符号を参照することで、フローチャートとの対応関係を容易に理解できるであろう。
【0049】
このように、スマートフォン150をユーザーが操作して印刷を指定したデータが、スマートフォン150の端末メモリー157に格納されていても、あるいはクラウドサーバ133に格納されていても、制御部11は必要に応じてプリントサービスを切り替えて処理する。ユーザーは、データの格納先を意識することなく、プリントサービスを使用できる。
【0050】
(実施の形態2について)
図5A図5Eのフローチャートおよび図9図10A図10Bのシーケンス図は、図1に実線で示すようにスマートフォン150および複合機101がクラウドサーバ133と直接通信する態様である。
ここでは、図1に鎖線で示すように、外部機器がネットワークプリント・サービスサーバ131を含む態様の場合について印刷の処理の流れを述べる。
【0051】
実施の形態2の構成において、スマートフォン150および複合機101は、ネットワークプリント・サービスサーバ131を介してクラウドサーバ133と通信する。対象データは、端末メモリー157またはクラウドサーバ133に格納されている。
そのうち、対象データが端末メモリー157に格納されている場合については、図9と同様の処理になる。よって、対象データがクラウドサーバ133に格納されている場合のみについて以下に説明する。
【0052】
ネットワークプリント・サービスサーバ131は、「ネットワークプリント」ボタン201bで選択される印刷サービスにおいて、通常は印刷すべきデータを格納している。しかし、この実施形態において対象データは、例えばスマートフォン150で撮影された写真データを管理するフォトアルバムのアプリと紐つけられたクラウドサーバ133に格納されている。その点で、通常のネットワークプリントのサービスと対象データの所在が異なる。
言い換えると、通常のネットワークプリント・サービスではアクセス情報に含まれる機器特定情報がネットワークプリント・サービスサーバ131を指す。それに対して、この実施形態では、機器特定情報がクラウドサーバ133を指す。
【0053】
この実施の形態2におけるシーケンス図を、図11A図11Cに示す。実施の形態1に係る図10Aおよび図10Bのシーケンス図に対応するものである。即ち、ユーザーが選択した「スマホでプリント」の対象データが、実際にはクラウドサーバ133に格納されており、途中でネットワークプリントに切替えて印刷の処理を実行するものである。
対象データは、ネットワークプリント・サービスサーバ131でなく、クラウドサーバ133に格納されている。しかし、スマートフォン150および複合機101は、ネットワークプリント・サービスサーバ131と通信する。そのため、ネットワークプリント・サービスサーバ131は、スマートフォン150および複合機101とクラウドサーバ133との間にあって通信を中継する。
【0054】
図11A図11Cに示す各処理には、図5A図5Eのフローチャートにおいて対応する処理の符号を付している。ネットワークプリント・サービスサーバ131が実行する処理については、図5A図5Eのフローチャートに対応する処理がない。よって、ネットワークプリント・サービスサーバ131が実行する処理には符号を付していない。しかし、図11A図11Cから明らかなように、それらの処理は複合機101とクラウドサーバ133との間で通信を中継するものである。
【0055】
以上に述べたように、
(i)この発明による画像形成システムは、互いに通信可能な携帯通信端末と画像形成装置とを備えるシステムであって、前記携帯通信端末は、データを格納するメモリーと、ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定する所在判定部と、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信する印刷指示部とを備え、前記画像形成装置は、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する制御部を備えることを特徴とする。
【0056】
この発明において、携帯通信端末は、自身が備えるメモリーにデータを格納できる。また、通信を介して接続されるクラウドサーバ等の外部機器にデータを格納し、そのデータを取得できる。その具体的な態様の一例として、スマートフォンやタブレット端末などである。ただし、これらに限るものでなく、通信機能を備え可搬性を有する情報処理装置を広く含む。前述の実施形態におけるスマートフォンは、この発明の携帯通信端末に相当する。前記データは画像形成装置が印刷する対象のデータを含む。
また、画像形成装置は、携帯通信端末や外部機器と通信可能であって、前記メモリーまたは外部機器に格納されたデータのうちユーザーに指定されたデータを印刷するものである。その具体的な態様は、例えば、プリンターあるいは複合機である。前述の実施形態において複合機は、この発明の画像形成装置に相当する。
【0057】
可搬性を有する携帯通信端末と画像形成装置とは、固定的な有線ネットワークで接続されてもよいが、好ましくはWi-FiやBluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)等の規格による無線通信によって接続される。それらは、通信する機器どうしがユーザーの視界に入る程度の近距離の通信に使用される。一つの店舗内や室内のような通信距離で主に使用される無線通信である。この明細書では、これらを総称して近距離無線通信と呼んでいる。
さらにまた、携帯通信端末が備える所在判定部および印刷指示部は、その携帯通信端末がCPUを備え、前記CPUがメモリーに格納されたプログラムを実行することによってその機能が実現されてもよい。また、画像形成装置が備える制御部は、その画像形成装置がCPUおよびメモリーを備え、画像形成装置のCPUが画像形成装置のメモリーに格納されたプログラムを実行することによってその機能が実現されてもよい。
【0058】
さらに、この発明の好ましい態様について説明する。
(ii)前記アクセス情報は、アクセス先の前記外部機器を特定する機器特定情報および前記外部機器に格納されたデータのうち指定されたデータを特定するデータ特定情報を含んでいてよい。
このようにすれば、画像形成装置は受信されたアクセス情報に基づいて外部機器を特定し、さらにその外部機器に格納されたデータのうち指定されたデータを特定して指定されたデータにアクセスして印刷できる。
【0059】
(iii)前記外部機器は、格納されたデータへのアクセスを許可する認証処理を行い、前記印刷指示部は、前記外部機器へのアクセスに必要な認証情報を前記外部機器から取得し、前記アクセス情報は、前記外部機器から取得した認証情報を含み、前記制御部は、前記アクセス情報に含まれる前記認証情報を用いて前記外部機器に格納されたデータにアクセスしてもよい。
このようにすれば、前記外部機器へのアクセス情報に必要な認証情報を前記携帯通信端末が取得し、アクセス情報に含めて画像形成装置に提供し、画像形成装置の制御部が提供された認証情報を用いて前記外部機器に対する認証処理に対応し、格納されたデータにアクセスすることが可能である。
【0060】
(iv)前記外部機器は、格納されたデータへのアクセスを許可する認証処理を行い、前記メモリーは前記認証処理に用いる認証情報を予め格納し、前記アクセス情報は、前記メモリーに格納された認証情報をさらに含み、前記制御部は、前記アクセス情報に含まれる前記認証情報を用いて前記外部機器に格納されたデータにアクセスしてもよい。
このようにすれば、前記外部機器へのアクセス情報に必要な認証情報を前記携帯通信端末が予めメモリーに記憶しており、記憶された認証情報をアクセス情報に含めて画像形成装置に提供する。そして、画像形成装置は提供された認証情報を用いて前記外部機器の認証を受け、格納されたデータにアクセスすることが可能である。
【0061】
(v)前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する場合の印刷料金が、前記メモリーに格納されデータを印刷する場合の印刷料金と異なる場合、前記制御部は、前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する前に、前記携帯通信端末から受信したデータの印刷と異なる印刷料金であることを印刷の前にユーザーに知らせてもよい。
このようにすれば、印刷するデータの所在が外部機器であって携帯通信端末が備えるメモリーに格納されたデータを印刷する場合と異なる印刷料金が適用される場合、前記携帯通信端末に格納されたデータを印刷する場合と異なる印刷料金になることを事前にユーザーに知らせたうえで印刷を実行できる。
【0062】
(vi)この発明の好ましい態様は通信可能な外部の携帯通信端末から印刷指示を受領して印刷する制御部を備え、前記携帯通信端末は、データを格納するメモリーおよび印刷指示部とを有し、前記印刷指示部はユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定し、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に送信するものであり、前記制御部は、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷するが、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷する、画像形成装置を含む。
【0063】
(vii)この発明の好ましい態様はデータを格納するメモリーと、ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けてそのデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定する所在判定部と、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信する印刷指示部とを備え、前記画像形成装置に、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷させ、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷させる、携帯通信端末を含む。
【0064】
(viii)この発明の好ましい態様はデータを格納可能なメモリーを有する携帯通信端末の制御部が、ユーザーによるデータの指定および指定されたデータの印刷に係る指示を受付けるステップと、指定されたデータが前記メモリーに格納されたものかアクセス可能な外部機器に格納されたものかを判定するステップと、前記データが前記メモリーに格納されている場合は格納されたデータを印刷指示と共に画像形成装置へ送信し外部機器に格納されている場合はその外部機器に格納されたデータにアクセスするためのアクセス情報を印刷指示と共に前記画像形成装置へ送信するステップとを備え、前記画像形成装置に、前記印刷指示と共に前記データを受信した場合は受信したデータを印刷させ、前記印刷指示と共に前記アクセス情報を受信した場合は前記外部機器に格納されたデータを取得して印刷させる、画像形成方法を含む。
【0065】
この発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。この発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0066】
11:制御部、 13:画像形成ユニット、 13d:画像形成部、 13t:用紙搬送部、 15:スキャナーユニット、 17a,17b,17c,17d:用紙トレイ、 18:排出トレイ 20:画像処理回路、 24:通信インターフェース回路、 30:メモリーユニット、 30d:RAM、 30m:ROM
100:画像形成システム、 101:複合機、 102A:拡張操作ユニット、 102B:本体操作ユニット、 105:金銭処理機、 107:カードリーダ、 130:外部機器、 131:ネットワークプリント・サービスサーバ、 133:クラウドサーバ、
150:スマートフォン、 151:端末制御部、 152:アプリ処理部、 153:UI処理部、 154:所在判定部、 155:印刷指示部、 156:通信処理部、 157:端末メモリー、 159:端末通信インターフェース回路、 161:端末表示ユニット、 163:端末操作ユニット、 165:手指
201:ポータル画面、 201a:「スマホでプリント」ボタン、 201b:「ネットワークプリント」ボタン、 201c:「写真・文書プリント」ボタン、 203:「OK」ボタン、 205:「スタート」ボタン、 207:「仕上り確認」ボタン、 209:「戻る」ボタン
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C