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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】ロール体収納具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/52 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B65D25/52 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138898
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034945
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】315002254
【氏名又は名称】ライセンスインターナショナル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 啓子
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-008581(JP,A)
【文献】特開2005-088991(JP,A)
【文献】特開2002-037358(JP,A)
【文献】特開2013-028351(JP,A)
【文献】特開2004-136966(JP,A)
【文献】特開2013-212873(JP,A)
【文献】特開2011-105389(JP,A)
【文献】特開2010-047284(JP,A)
【文献】特開2016-000620(JP,A)
【文献】米国特許第04196647(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0144825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/52
B65D 85/672
B65D 83/08
B26D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を巻回したロール体を収納する収納部と、該収納部を閉止する開閉自在の蓋部とから成り、前記収納部と蓋部の一方の辺部同士をヒンジ部により連結し、他方の辺部同士を切断部とし、前記蓋部の閉止により、前記ロール体から引き出した前記シート材を切断するロール体収納具であって、
前記収納部の前記切断部には、外側となる外壁と内側となる内壁とが形成され、前記外壁と前記内壁との間に溝部を設けると共に、前記外壁の上縁に沿って鋸歯部が設けられており、
前記蓋部の前記切断部には、前記収納部の溝部内に挿入する挿入壁を形成し
前記挿入壁の内側面に、前記内壁の外側面に当接する摩擦部材を付設し
前記摩擦部材は、前記挿入壁の内側面の略中央の一部分に付設されていることを特徴とするロール体収納具。
【請求項2】
前記シート材の切断後に前記蓋部を開けた際に、残留した前記シート材は、前記摩擦部材の摩擦作用により前記挿入壁と共に持ち上がることを特徴とする請求項に記載のロール体収納具。
【請求項3】
シート材を巻回したロール体を収納する収納部と、該収納部を閉止する開閉自在の蓋部とから成り、前記収納部と蓋部の一方の辺部同士をヒンジ部により連結し、他方の辺部同士を切断部とし、前記蓋部の閉止により、前記ロール体から引き出した前記シート材を切断するロール体収納具であって、
前記収納部の前記切断部には、外側となる外壁と内側となる内壁とが形成され、前記外壁と前記内壁との間に溝部を設けると共に、前記外壁の上縁に沿って鋸歯部が設けられており、
前記蓋部の前記切断部には、前記収納部の溝部内に挿入する挿入壁を形成し、
前記蓋部の前記挿入壁の外側には、前記蓋部が閉止した際に前記外壁の外側を覆う覆壁が形成されていることを特徴とするロール体収納具。
【請求項4】
前記ロール体は前記収納部内において、支持部により回転自在に軸支されることを特徴とする請求項請求項1~の何れか1項に記載のロール体収納具。
【請求項5】
前記鋸歯部は、中央部を高くした略山形状としたことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載のロール体収納具。
【請求項6】
前記収納部の裏面には、長手方向に沿ってマグネットシート材が付設されていることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載のロール体収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール体に巻回したシート材を引き出して、所定位置で切断するロール体収納具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から調理において、巻回された長尺のラップフィルム、キッチンペーパ、アルミホイル等のシート材を任意の長さに引き出して、カッタにより切断して使用するロール収納箱として、例えば特許文献1のロール収納箱が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-76207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この特許文献1のロール収納箱においては、引き出したシートを切断するには、シート材を引っ張った状態にした後に、ロール収納箱の歯部を若干回動させる、又は歯部を固定した後に、シート材を斜め方向に強く引っ張ることでシートに適度な張力を与えて、シート材を切断することが可能である。
【0005】
しかし、上述のロール収納箱を回動させる際のシート材に掛かる張力、又はシート材を斜め方向に引っ張る際のシート材に掛かる張力の強弱によっては、ロール体の引き出し方向に直交する直交方向に沿って直線状に切断できず、歯部からずれて斜め状等に切断されるという問題が生ずる。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、ロール体からシート材を切断する際に、確実にロール体の引き出し方向に直交する直交方向に沿って直線状に切断可能なロール体収納具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るロール体収納具は、シート材を巻回したロール体を収納する収納部と、該収納部を閉止する開閉自在の蓋部とから成り、前記収納部と蓋部の一方の辺部同士をヒンジ部により連結し、他方の辺部同士を切断部とし、前記蓋部の閉止により、前記ロール体から引き出した前記シート材を切断するロール体収納具であって、前記収納部の前記切断部には、外側となる外壁と内側となる内壁とが形成され、前記外壁と前記内壁との間に溝部を設けると共に、前記外壁の上縁に沿って鋸歯部が設けられており、前記蓋部の前記切断部には、前記収納部の溝部内に挿入する挿入壁を形成し、前記挿入壁の内側面に、前記内壁の外側面に当接する摩擦部材を付設し前記摩擦部材は、前記挿入壁の内側面の略中央の一部分に付設されていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係るロール体収納具は、シート材を巻回したロール体を収納する収納部と、該収納部を閉止する開閉自在の蓋部とから成り、前記収納部と蓋部の一方の辺部同士をヒンジ部により連結し、他方の辺部同士を切断部とし、前記蓋部の閉止により、前記ロール体から引き出した前記シート材を切断するロール体収納具であって、前記収納部の前記切断部には、外側となる外壁と内側となる内壁とが形成され、前記外壁と前記内壁との間に溝部を設けると共に、前記外壁の上縁に沿って鋸歯部が設けられており、前記蓋部の前記切断部には、前記収納部の溝部内に挿入する挿入壁を形成し、前記蓋部の前記挿入壁の外側には、前記蓋部が閉止した際に前記外壁の外側を覆う覆壁が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るロール体収納具によれば、ロール体からシート材を引き出して、シート材の先端を軽く保持した状態で、蓋部を閉止するだけで、シート材を確実にロール体の引き出し方向に直交する直交方向に沿って直線状に切断でき、所望の長さのシート材を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ロール体収納具の分解斜視図である。
図2】ロール体収納具の斜視図である。
図3】ロール体収納具の断面図である。
図4】支持部の斜視図である。
図5】ロール体収納具の動作説明図である。
図6】アルミホイルを収納して蓋部を閉止した状態の斜視図である。
図7】ロール体収納具を冷蔵庫に固定した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1はシート材を巻回して筒状にしたロール体Rを収納するためのロール体収納具1の分解図であり、図2はロール体Rを装着せずに組み立てた状態のロール体収納具1である。
【0011】
ロール体Rは、図1に示すように、紙製等の中筒上に合成樹脂や金属等から成るシート材、例えばフィルム状のポリエチレンやアルミホイルFを巻回した円筒状とされている。
【0012】
ロール体収納具1は例えば、硬質の合成樹脂材から成り、全体として略円柱状とされている。なお、ロール体収納具1の形状は、略円柱状以外に多角柱状等の適宜の形状を採用することができる。
【0013】
ロール体収納具1は下半部の収納部2と、上半部の蓋部3とから構成され、収納部2と蓋部3とは辺部同士に設けたヒンジ部により回動自在に連結されている。そして、収納部2と蓋部3との他方の辺部側が開閉自在とされている。
【0014】
図2及び図3に示すように、ロール体収納具1の下半部は収納部2とされ、ロール体Rを収納する凹状の空隙部2aを有し、この空隙部2aの側面に補強用及びロール体保持用に半弧状のリブ2bが複数個所に等間隔で設けられている。
【0015】
また、収納部2の左右の両端には、略半円形である両側壁2cが設けられており、これらの両側壁2cの中央には、孔部2dが設けられている。ロール体Rを収納部2内で回転自在に軸支するために、収納部2から分離する支持部2eが両側壁2cの孔部2dから、内方にそれぞれ押し込み自在とされている。
【0016】
また、蓋部3の上部は断面半弧状の天井部3aとされ、左右の両側部には天井部3aに沿って半円環状の蓋側壁3bが形成されている。収納部2と蓋部3との一方側の辺部同士は、複数個所において、収納部2の連結突部2fと蓋部3の連結受部3cとから成るヒンジ部により連結されている。
【0017】
収納部2と蓋部3との他方側の辺部同士は、開閉可能な切断部2g、3dとされている。そして、蓋部3を収納部2上に閉止した場合に、蓋部3の蓋側壁3bの縁部は収納部2の側壁2cの上縁部と合致するようにされている。
【0018】
収納部2側の切断部2gには、収納部2の外側となる外壁2hと、収納部2の内側となる内壁2iとが形成され、これらの間に溝部2jが設けられている。
【0019】
内壁2iの上縁は、支持部2eの軸芯と平行する直線状とされており、外壁2hの上縁は、鋭利なナイフ状断面とされ、更に中央部が稍々持ち上がった山形状とされている。
【0020】
外壁2hの山形状である上縁に沿って、カッタとしての鋸歯部2kが形成されている。なお、鋸歯部2kは、例えば合成樹脂材から成る外壁2h上に成型されているが、金属板による鋸歯部を付設してもよい。
【0021】
直線状をしている内壁2iの高さは、外壁2hの鋸歯部2kの頂点の高さよりも低く、また、鋸歯部2kの両端の高さと略一致している。
【0022】
一方、蓋部3側の切断部3dには、収納部2の溝部2j内に挿入可能な挿入壁3eと、この挿入壁3eの外側に配置され、蓋部3が閉止した際に収納部2の外壁2hの外側を覆う覆壁3fとが形成されている。
【0023】
挿入壁3eと覆壁3fとの間には、蓋溝部3gが設けられている。挿入壁3e及び覆壁3fの先端は、支持部2eの軸芯と平行する直線状をしており、蓋部3が閉止した際には、挿入壁3eの下縁の方が、覆壁3fの下縁より下方に位置している。
【0024】
挿入壁3eの内側面の一部、例えば略中央の一部分には、軟弾性及び摩擦力を有する、例えばシリコンゴムから成る矩形状の摩擦部材3hが付設されている。蓋部3が閉止した際に、内壁2iの外側面と摩擦部材3hとが接することになる。
【0025】
更に、収納部2の裏面は平坦面とされ、必要に応じて、長手方向に沿って磁性材に対して磁気吸着機能を有するゴム製等のマグネットシート材2mが付設されている。
【0026】
図4は支持部2eの拡大斜視図であり、支持部2eには、後部に大径部2o、軸部に可動片2pが設けられ、可動片2pの前端に前端突起2q、中間部に中間突起2rが設けられており、支持部2eの外径は可動片2pの動きにより可変とされている。
【0027】
ロール体収納具1の使用前に、図2に示す蓋部3を開放した状態で、両側の支持部2eを分離し、ロール体Rを収納部2内に装着する。そして、支持部2eを左右の両側壁2cの孔部2dからロール体Rの中筒の軸孔内に挿入することで、ロール体Rが収納部2内で回転自在に支持されることになる。
【0028】
支持部2eは孔部2dを通過する際に、可動片2pの前端突起2qに設けられた傾斜部によって外径をすぼめることにより内部に挿入され、復元した前端突起2qにより脱落することなく保持される。
【0029】
更に、支持部2eを根元まで押し込んで、ロール体Rの軸孔内に十分に挿入すると、中間突起2rにより孔部2dに対し所定位置で掛止され、使用中に支持部2eがロール体Rの軸孔から外れることはない。このようにして、ロール体収納具1にロール体Rの装着が完了する。
【0030】
ロール体収納具1の使用に際しては、アルミホイルFを任意の長さまで引き出した後に、図5に示すように蓋部3を閉止する。この閉止により、図6に示すように、切断部2g、3d同士が係合し、アルミホイルFは収納部2の鋸歯部2kによって切断される。なお、この切断の際には、指でアルミホイルFの先端を軽く保持する必要がある。
【0031】
この切断の過程について詳細に説明すると、蓋部3が完全に閉止される直前に、指による張力が発生しているアルミホイルFに対して、外壁2hの先端近傍の鋸歯部2kが押し付けられることで、アルミホイルFに鋸歯部2kの山形状の中央部に切込みが発生し、アルミホイルFの移動が固定される。
【0032】
この状態で、更に蓋部3を閉じると、溝部2j上で挿入壁3eが当接しているアルミホイルFの一部は、挿入壁3eによって溝部2j内に押し込まれてゆく。この際に、鋸歯部2kにより固定されたアルミホイルFは、挿入壁3eにより下方向に引っ張られるので、発生した切込みを起点に切断が開始される。この切断はアルミホイルFの中央部から始まり両側に進んでゆき、蓋部3が完全に閉止されることで、指で保持されたアルミホイルFがロール体Rから切断される。
【0033】
また、挿入壁3eを溝部2j内に押し込む際に、挿入壁3eの裏側に設けた摩擦部材3hによりアルミホイルFを内壁2iに押さえ込むので、アルミホイルFは滑ることなく下方向に引っ張られることになる。なお、蓋部3を閉止した際に、挿入壁3eの先端が、外壁2hの下端よりも低い位置にあれば、挿入壁3eを溝部2j内に押し込み時にアルミホイルFが多少滑るが、摩擦部材3hを設けなくてもアルミホイルFを切断することは可能である。
【0034】
このように切断部2g、3d同士が係合し、挿入壁3eが溝部2jに、及び外壁2hが蓋溝部3gに押し込まれることで、アルミホイルFは収納部2の鋸歯部2kによって切断される。
【0035】
切断が終了すると、次の切断まで蓋部3は閉止のままとされ、蓋部3が閉止している間は、覆壁3fが外壁2hの外側を覆うので、鋸歯部2kに直接触れることがなくなり、ロール体収納具1を安全に持ち運ぶことができる。
【0036】
また、ロール体収納具1側に残ったアルミホイルFの切断部は、摩擦部材3hによる挟持により鋸歯部2kの近傍に残留したままとなる。従って、ロール体収納具1を移動させた際に、ロール体収納具1内のロール体Rが多少回転したとしてもアルミホイルFが収納部2内に巻き戻されることがない。
【0037】
そして、再び、アルミホイルFを取り出すために蓋部3を開けると、残留したアルミホイルFは、摩擦部材3hの摩擦作用により挿入壁3eと共に持ち上がり、アルミホイルFの端辺は、挿入壁3eの根元部から前方に突き出されている。
【0038】
そこで、このアルミホイルFの端部を指で摘み、必要の長さだけロール体収納具1から引き出してから、蓋部3を閉止すれば、前回と同様に所望の長さのアルミホイルFが得られる。
【0039】
アルミホイルFを使い切った際は、収納部2から両側の支持部2eをロール体収納具1の長手方向に沿って外側に引っ張った後に、アルミホイルFを使い切った中筒を取り外す。そして、新しいロール体Rを収納部2内に装着した後に、左右の両側壁2cに係止されている支持部2eを、左右の両側壁2cにそれぞれ押し込むことで、ロール体Rは支持部2eにより回転自在に軸支され、ロール体Rの交換は完了する。
【0040】
ロール体収納具1の保管については、図7に示すように、例えば冷蔵庫Cの扉面C1に、収納部2のマグネットシート材2mを磁気的に吸着させてロール体収納具1を固定して保管することができる。
【0041】
ロール体収納具1を使用する際は、冷蔵庫Cの扉面C1からロール体収納具1を取り外してから上述のように使用してもよいし、図示するようにアルミホイルFを下方に任意の長さまで引き出した後に、蓋部3を閉止してアルミホイルFを切断するようにしてもよい。
【0042】
このように本発明に係るロール体収納具によれば、ロール体からアルミホイルFを引き出してから、アルミホイルFの先端を軽く保持した状態で、蓋部3を閉止するだけで、アルミホイルFを確実にロール体Rの引き出し方向に直交する直交方向に沿って直線状に切断でき、所望の長さのアルミホイルFを容易に得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ロール体収納具
2 収納部
2e 支持部
2g、3d 切断部
2h 外壁
2i 内壁
2j 溝部
2k 鋸歯部
2m マグネットシート材
3 蓋部
3d 切断部
3e 挿入壁
3f 覆壁
3h 摩擦部材
R ロール体
F アルミホイル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7