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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】波長変換装置及び波長変換方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/39 20060101AFI20240627BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G02F1/39
H04J14/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020149189
(22)【出願日】2020-09-04
(65)【公開番号】P2022043740
(43)【公開日】2022-03-16
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智行
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-076834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0249505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/00- 1/125
G02F 1/21- 7/00
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
H01S 3/00- 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光信号が波長多重された波長多重光信号の波長帯を変換する波長変換器と、
前記波長変換器から出力された前記波長多重光信号から第1波長多重光信号を分岐する第1分岐部と、
前記波長変換器に入力される前記波長多重光信号から第2波長多重光信号を分岐する第2分岐部と、
前記第1波長多重光信号を2分岐する第3分岐部と、
前記第2波長多重光信号を2分岐する第4分岐部と、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、一方の前記第2波長多重光信号を透過させる第1波長フィルタと、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、一方の前記第1波長多重光信号を透過させる第2波長フィルタと、
前記第1波長フィルタ透過した一方の前記第2波長多重光信号の第1パワーを検出する第1検出部と、
前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、他方の前記第2波長多重光信号の第2パワーを検出する第2検出部と、
前記第2波長フィルタ透過した一方の前記第1波長多重光信号の第3パワーを検出する第3検出部と、
前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、他方の前記第1波長多重光信号の第4パワーを検出する第4検出部と、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記波長変換器の温度を制御する制御部とを有することを特徴とする波長変換装置。
【請求項2】
前記波長変換器は、前記複数の光信号の各々の波長を、波長軸上で所定の中心波長を挟んだ対称な位置の他の波長に変換し、
前記第1波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、長波長側及び短波長側の一方の側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、一方の前記第2波長多重光信号を透過させ
前記第2波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、前記第1波長フィルタとは反対側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、一方の前記第1波長多重光信号を透過させることを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項3】
前記波長変換器は、前記複数の光信号の各々の波長を、波長軸上で所定幅だけ移動した位置の他の波長に変換し、
前記第1波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、長波長側及び短波長側の一方の側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、一方の前記第2波長多重光信号を透過させ
前記第2波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、前記第1波長フィルタと同一側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、一方の前記第1波長多重光信号を透過させることを特徴とする請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項4】
記波長変換器から出力された前記波長多重光信号のパワーを前記第1分岐部の前段で前記複数の光信号の波長ごとに減衰させる第1減衰器と、
前記第1減衰器によりパワーが減衰した前記波長多重光信号を前記第1分岐部の前段で増幅する第1増幅器とを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第1減衰器の減衰量、前記第1増幅器の利得、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
【請求項5】
記波長変換器に入力される前記波長多重光信号のパワーを前記第2分岐部の後段で前記複数の光信号の波長ごとに減衰させる第2減衰器と、
前記第2減衰器によりパワーが減衰した前記波長多重光信号を前記波長変換器の前段で増幅する第2増幅器とを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第2減衰器の減衰量、前記第2増幅器の利得、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
【請求項6】
記波長変換器から出力された前記波長多重光信号に波長多重された前記複数の光信号の各々の波長に対するパワー分布を前記第1分岐部の前段で調整する第1光フィルタとを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第1光フィルタのパワー分布の調整量、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
【請求項7】
記波長変換器に入力される前記波長多重光信号に波長多重された前記複数の光信号の各々の波長に対するパワー分布を前記第2分岐部の後段で調整する第2光フィルタとを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第2光フィルタのパワー分布の調整量、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
【請求項8】
波長変換器により複数の光信号が波長多重された波長多重光信号の波長帯を変換し、
前記波長変換器から出力された前記波長多重光信号から第1波長多重光信号を分岐し、
前記波長変換器に入力される前記波長多重光信号から第2波長多重光信号を分岐し、
前記第1波長多重光信号及び前記第2波長多重光信号をそれぞれ2分岐し、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、一方の前記第2波長多重光信号を第1波長フィルタに透過させ、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、一方の前記第1波長多重光信号を第2波長フィルタに透過させ、
前記第1波長フィルタ透過した一方の前記第2波長多重光信号の第1パワーを検出し、
前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、他方の前記第2波長多重光信号の第2パワーを検出し、
前記第2波長フィルタ透過した一方の前記第1波長多重光信号の第3パワーを検出し、
前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、他方の前記第1波長多重光信号の第4パワーを検出し、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする波長変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、波長変換装置及び波長変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信需要の増加に伴い、波長多重する光信号のチャネルを増加させることにより波長多重光伝送(WDM: Wavelength Division Multiplexing)の伝送容量の増加が要求されている。例えば、C(Conventional)バンドの波長多重光信号だけで伝送を行う場合、その波長帯は1530~1565(nm)に限られる。
【0003】
これに対し、例えば、1565~1625(nm)のL(Long)バンドや1460~1530(nm)のS(Short)バンドまで波長帯を拡張することにより、WDMの伝送容量を増加させることが可能である。例えば特許文献1には、Cバンドの波長多重光信号をLバンド及びSバンドの波長多重光信号に変換することにより、Cバンド、Lバンド、及びSバンドの各波長多重光信号を合波して伝送する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-188830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
波長多重光信号の波長帯を変換する波長変換器は、例えば非線形光学媒質の温度変化による理想的な状態からのずれによって波長変換特性が変化する。このため、波長変換後の波長多重光信号内の光信号の波長に対する出力パワーの分布が偏るおそれがある。出力パワーの分布が偏ると、波長多重光信号の伝送特性が波長ごとに偏り伝送可能距離が短くなる。
【0006】
そこで本件は、波長多重光信号の波長変換による出力パワーの分布の偏りを抑制することができる波長変換装置及び波長変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、波長変換装置は、複数の光信号が波長多重された波長多重光信号の波長帯を変換する波長変換器と、前記波長変換器から出力された前記波長多重光信号から第1波長多重光信号を分岐する第1分岐部と、前記波長変換器に入力される前記波長多重光信号から第2波長多重光信号を分岐する第2分岐部と、前記第1波長多重光信号を2分岐する第3分岐部と、前記第2波長多重光信号を2分岐する第4分岐部と、前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、一方の前記第2波長多重光信号を透過させる第1波長フィルタと、前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、一方の前記第1波長多重光信号を透過させる第2波長フィルタと、前記第1波長フィルタ透過した一方の前記第2波長多重光信号の第1パワーを検出する第1検出部と、前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、他方の前記第2波長多重光信号の第2パワーを検出する第2検出部と、前記第2波長フィルタ透過した一方の前記第1波長多重光信号の第3パワーを検出する第3検出部と、前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、他方の前記第1波長多重光信号の第4パワーを検出する第4検出部と、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記波長変換器の温度を制御する制御部とを有する。
【0008】
1つの態様では、波長変換方法は、波長変換器により複数の光信号が波長多重された波長多重光信号の波長帯を変換し、前記波長変換器から出力された前記波長多重光信号から第1波長多重光信号を分岐し、前記波長変換器に入力される前記波長多重光信号から第2波長多重光信号を分岐し、前記第1波長多重光信号及び前記第2波長多重光信号をそれぞれ2分岐し、前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、一方の前記第2波長多重光信号を第1波長フィルタに透過させ、前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、一方の前記第1波長多重光信号を第2波長フィルタに透過させ、前記第1波長フィルタ透過した一方の前記第2波長多重光信号の第1パワーを検出し、前記2分岐した前記第2波長多重光信号のうち、他方の前記第2波長多重光信号の第2パワーを検出し、前記第2波長フィルタ透過した一方の前記第1波長多重光信号の第3パワーを検出し、前記2分岐した前記第1波長多重光信号のうち、他方の前記第1波長多重光信号の第4パワーを検出し、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記波長変換器の温度を制御する方法である。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面として、波長多重光信号の波長変換による出力パワーの分布の偏りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】伝送システムの一例を示す構成図である。
図2】第1実施例の波長変換装置を示す構成図である。
図3】波長変換器の一例を示す構成図である。
図4】非縮退四光波混合による波長変換方式の例を示すスペクトル図である。
図5】モニタ回路の一例を示す構成図である。
図6】縮退四光波混合による波長変換方式の例を示すスペクトル図である。
図7】モニタ回路の他の例を示す構成図である。
図8】第2実施例の波長変換装置を示す構成図である。
図9】第1及び第2実施例の制御回路の制御処理を示すフローチャートである。
図10】第3実施例の波長変換装置を示す構成図である。
図11】第4実施例の波長変換装置を示す構成図である。
図12】第3及び第4実施例の制御回路の制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(伝送システムの構成例)
図1は、伝送システム9の一例を示す構成図である。伝送システム9には、一例として、光ファイバなどから構成される伝送路90、伝送路90を介して互いに接続された送信装置2及び受信装置3を有する。
【0012】
送信装置2は、点線で示されるように、Cバンド、Lバンド、及びSバンドの各波長多重光信号Sa~Scを合波して合波光Smuxを生成し、伝送路90を介して受信装置3に送信する。送信装置2は、複数の送信器(Tx)20a~20c、合波器21a~21c、光増幅器23a~23c、波長変換装置(CNV)24a,24c、及び合波器26を有する。
【0013】
波長変換装置24aは、波長多重光信号Saの波長帯をCバンドからLバンドに変換し、波長変換装置24cは、波長多重光信号Scの波長帯をCバンドからSバンドに変換する。なお、波長変換装置24a,24cの構成は後述する。
【0014】
複数の送信器20a、合波器21a、光増幅器23a、及び波長変換装置24aは、波長多重光信号Saの経路上に設けられている。各送信器20aは、Cバンド内の波長の光信号Daを生成し合波器21aに出力する。各送信器20aの光信号Daの波長は相違する。
【0015】
複数の送信器20b、合波器21b、及び光増幅器23bは、波長多重光信号Sbの経路上に設けられている。各送信器20bは、Cバンド内の波長の光信号Dbを生成し合波器21bに出力する。各送信器20bの光信号Dbの波長は相違する。
【0016】
複数の送信器20c、合波器21c、及び光増幅器23cは、波長多重光信号Scの経路上に設けられている。各送信器20cは、Cバンド内の波長の光信号Dcを生成し合波器21cに出力する。各送信器20cの光信号Dcの波長は相違する。
【0017】
送信器20a~20cは、クライアント側のLAN(Local Area Network)などに接続されている。送信器20a~20cは、例えばイーサネット(登録商標、以下同様)信号などのクライアント信号から光信号Da~Dcをそれぞれ生成する。
【0018】
合波器21aは、各送信器20aから入力された光信号Daを合波してCバンドの波長多重光信号Saを生成し光増幅器23aに出力する。また、合波器21aと同様に、合波器21bは、各光信号DbからCバンドの波長多重光信号Sbを生成して光増幅器23bに出力し、合波器21cは、各光信号DcからCバンドの波長多重光信号Scを生成して光増幅器23cに出力する。なお、合波器21a~21cは例えば光カプラである。
【0019】
光増幅器23a~23cは波長多重光信号Sa~Scをそれぞれ増幅する。光増幅器23a~23cは、例えばEDFA(Erbium Doped optical Fiber Amplifier)である。光増幅器23aは波長多重光信号Saを波長変換装置24aに出力する。光増幅器23bは波長多重光信号Sbを合波器26に出力する。光増幅器23cは波長多重光信号Scを波長変換装置24cに出力する。
【0020】
波長変換装置24aは、符号G1で示されるように、波長多重光信号Saの波長帯をCバンドからLバンドに変換する。これにより、波長多重光信号Saに波長多重された各光信号Daの波長は、CバンドからLバンドに変換される。また、波長変換装置24cは波長多重光信号Scの波長帯をCバンドからSバンドに変換する。これにより、波長多重光信号Scに波長多重された各光信号Dcの波長は、CバンドからSバンドに変換される。波長変換装置24a,24cは変換後の波長多重光信号Sa,Scを合波器26にそれぞれ出力する。
【0021】
合波器26は、波長変換装置24a,24cからそれぞれ入力された波長多重光信号Sa,Scと光増幅器23bから入力された波長多重光信号Sbを合波し、その合波光Smuxを伝送路90に出力する。なお、合波器26は例えば光カプラである。
【0022】
このように、送信装置2は、光信号Da~Dcがそれぞれ波長多重されたLバンドの波長多重光信号Sa、Cバンドの波長多重光信号Sb、及びのSバンドの波長多重光信号Scを合波して、その合波光Smuxを受信装置3に送信する。
【0023】
受信装置3は、複数の受信器(Rx)30a~30c、分波器31a~31c、光増幅器33a~33c、波長変換装置(CNV)34a,34c、及び分波器36を有する。合波光Smuxは伝送路90から分波器36に入力される。
【0024】
分波器36は、合波光Smuxを波長帯ごとに分波して別々のポートから出力する。分波器36は例えば光スプリッタである。
【0025】
Lバンドの波長多重光信号Saは波長変換装置34aに入力される。波長変換装置34aは、波長多重光信号Saの波長帯をLバンドからCバンドに変換して光増幅器33aに出力する。光増幅器33aは波長多重光信号Saを増幅して分波器31aに出力する。
【0026】
Sバンドの波長多重光信号Scは波長変換装置34cに入力される。波長変換装置34cは、波長多重光信号Scの波長帯をSバンドからCバンドに変換して光増幅器33cに出力する。光増幅器33cは波長多重光信号Scを増幅して分波器31cに出力する。なお、波長変換装置34a,34cの構成は後述する。
【0027】
Cバンドの波長多重光信号Sbは分波器36から光増幅器33bに入力される。光増幅器33bは波長多重光信号Sbを増幅して分波器31bに出力する。
【0028】
分波器31aは、波長多重光信号Saを波長ごとの光信号Daに分波して受信器30aに出力する。分波器31bは、波長多重光信号Sbを波長ごとの光信号Dbに分波し受信器30bに出力する。分波器31cは、波長多重光信号Scを波長ごとの光信号Dcに分波して受信器30cに出力する。なお、分波器31a~31cは例えば光スプリッタである。
【0029】
受信器30a~30cは光信号Da~Dcをそれぞれ受信する。受信器30a~30cは、クライアント側のLANなどに接続され、例えば光信号Da~Dcからクライアント信号を生成してLANに送信する。
【0030】
このように、受信装置3は、合波光Smuxを受信し、合波光SmuxからLバンドの波長多重光信号Sa、Cバンドの波長多重光信号Sb、及びSバンドの波長多重光信号Scを分波する。
【0031】
(第1実施例)
図2は、第1実施例の波長変換装置24a,24c,34a,34cを示す構成図である。波長変換装置24a,24c,34a,34cは、タップ10,11、波長変換器12、光増幅器13,15、可変光減衰器14、モニタ回路16、及び制御回路17を有する。なお、以下の説明では、送信装置2に設けられた波長変換装置24aの動作を例に挙げるが、他の波長変換装置24c,34a,34cの動作も波長変換装置24aと同様である。
【0032】
タップ10は、波長変換器12の入力側の波長多重光信号Saを、波長変換器12及びモニタ回路16に向けて分岐する。タップ10は、例えば光スプリッタを含む。タップ10は、波長変換器12の入力側の波長多重光信号Saをモニタ回路16に分岐する第2分岐部の一例である。
【0033】
波長変換器12は、波長多重光信号Saの波長帯をCバンドからLバンドに変換する。
【0034】
図3は、波長変換器12の一例を示す構成図である。波長変換器12は、それぞれ、WDM(Wavelength Division Multiplexing)カプラ122、励起光源120,121、光サーキュレータ123、偏波ビームスプリッタ124、高非線形ファイバ(HNLF: Highly Non-Linear Fiber)125、及び温度調整器126を有する。
【0035】
ここでは、波長変換装置24a,24c,34a,34cに入力される波長多重光信号Sa,Scを入力光Linと表記する。また、波長変換装置24a,24c,34a,34cから出力される波長多重光信号Sa,Scを出力光Loutと表記する。
【0036】
励起光源120,121は励起光Xm,XeをWDMカプラ122にそれぞれ出力する。各励起光Xm,Xeの偏波は互いに直交する。WDMカプラ122は2つの励起光Xm,Xeを波長多重して偏波ビームスプリッタ124に出力する。また、入力光Linは光サーキュレータ123を通って偏波ビームスプリッタ124に入力される。
【0037】
偏波ビームスプリッタ124には、高非線形ファイバ125の両端が接続されている。高非線形ファイバ125は、非線形光学媒質であり、2つの主軸を有する。偏波ビームスプリッタ124のTE偏波の出力ポートは、高非線形ファイバ125の一端に1つの主軸に合う角度で接続されている。偏波ビームスプリッタ124のTM偏波の出力ポートは、高非線形ファイバ125の他端に同じ主軸に合う角度で接続されている。
【0038】
励起光Xm,Xe及び入力光Linは偏波ビームスプリッタ124によりTE偏波及びTM偏波に分離され、TE偏波及びTM偏波は高非線形ファイバ125の別々の一端に入力されて他の一端から再び偏波ビームスプリッタ124に入力される。
【0039】
高非線形ファイバ125は励起光Xm,Xe及び入力光Linの四波混合(FWM: Four-Wave Mixing)を発生させる。四光波混合により生じたアイドラ光は、励起光Xm,Xe及び入力光Linの各波長の差分に応じた波長を有する。アイドラ光は高非線形ファイバ125から偏波ビームスプリッタ124を通って光サーキュレータ123に入力される。アイドラ光は光サーキュレータ123から出力光Loutとして出力される。
【0040】
温度調整器126は、例えばヒータやファンなどであり、一例として高非線形ファイバ125の温度を調整する。波長変換器12の波長変換の特性は高非線形ファイバ125の温度に従って変化する。このため、波長多重光信号の波長変換で生ずる波長に対する出力パワーの分布が偏る。これに対し、温度調整器126は、後述するように制御回路17の制御に従って温度調整するため、波長変換器12の波長変換の特性の変化が抑えられることにより出力パワーの分布の偏りが抑制される。
【0041】
本例の波長変換器12によると、以下のように、波長多重光信号Saの波長帯は、非縮退四光波混合による波長変換方式に従ってCバンドからLバンドに変換される。
【0042】
図4は、非縮退四光波混合による波長変換方式の例を示すスペクトル図である。波長多重光信号Saには、例えばCバンド内の波長λ1~λn(n:正の整数)の光信号Daが波長多重されている。また、励起光Xm,Xeの中心波長をそれぞれλm,λeとし、その差分(λe-λm)をΔλとする。
【0043】
光信号Daの波長λ1~λnは、点線の矢印で示されるように、波長軸上、中心波長λm,λeの差分Δλだけ長波長側に移動した位置のLバンドの波長λ1’~λn’にそれぞれ変換される。これは正確には周波数で表現され、波長変換器12は、波長λ1~λnを、近似的に(c/λ1-c/λ1’)=(c/λm―c/λe)の関係を満たす波長へ変換する。ここで、cは光速である。なお、波長変換装置24c,34aの場合、波長変換器12は、光信号Dc,Daの波長を、波長軸上、中心波長λm,λeの差分Δλだけ短波長側に移動させた位置の波長に変換する。これは正確には周波数で表現され、波長変換器12は、波長λ1~λnを、近似的に(c/λ1’-c/λ1)=(c/λm―c/λe)の関係を満たす波長へ変換する。
【0044】
再び図2を参照すると、波長変換器12は、波長帯を変換した波長多重光信号Saを光増幅器13に出力する。光増幅器13は、波長多重光信号Saを増幅して可変光減衰器14に出力する。
【0045】
可変光減衰器14は、光増幅器13から入力された波長多重光信号Saのパワーを光信号Daの波長ごとに減衰させる。可変光減衰器14は、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saのパワーをタップ11の前段で光信号Daの波長ごとに減衰させる第1減衰器の一例である。可変光減衰器14は、減衰させた波長多重光信号Saを光増幅器15に出力する。
【0046】
光増幅器15は、可変光減衰器から入力された波長多重光信号Saを増幅する。光増幅器15は、可変光減衰器14によりパワーが減衰した波長多重光信号Saをタップ11の前段で増幅する第1増幅器の一例である。光増幅器15は、波長多重光信号Saをタップ11に出力する。
【0047】
タップ11は、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saを、波長変換器12及びモニタ回路16に向けて分岐する。タップ10は、例えば光スプリッタを含む。タップ11は、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saをモニタ回路16に分岐する第1分岐部の一例である。
【0048】
モニタ回路16は、波長変換器12の入力側及び出力側の各波長多重光信号Saを監視する。モニタ回路16は、後述するように、入力側及び出力側の各波長多重光信号Saのパワーを、波長による偏りが有る場合と無い場合の両方において検出する。モニタ回路16は、入力側及び出力側の各波長多重光信号Saの監視結果を制御回路17に出力する。
【0049】
制御回路17は、制御部の一例であり、モニタ回路16の監視結果に基づき波長変換器12の温度を制御する。制御回路17は、例えばCPU(Central Processing Unit)、メモリ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びASIC(Application Specified Integrated Circuit)の少なくとも一部を含む回路である。
【0050】
制御回路17は、例えば高非線形ファイバ125の温度変化に起因する波長変換器12の波長変換の特性の変化による波長に対する出力パワーの分布の偏りを抑制するように、波長変換器12の温度を制御する。例えば制御回路17は、温度調整器を制御することにより高非線形ファイバ125の温度を制御する。
【0051】
符号G21~G25は、出力パワーの偏りの抑制制御の一例を示す。符号G21は、タップ10に入力される波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長に対するパワー分布を示す。波長によらず波長多重光信号Saのパワーは実質的に一定である。
【0052】
符号G22は、波長変換器12に入出力される波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長ごとのパワーの比(「入出力パワー比」)を示す。波長変換器12の入出力パワー比は、理想的な状態では、点線で示されるように波長によらず実質的に一定となるが、温度変化によって理想的な状態からずれた場合、一例として、長波長側ほど低くなる。
【0053】
符号G23は、波長変換器12から出力された波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長に対するパワー分布を示す。符号G22で示される波長変換器12の変換特性のため、長波長側の光信号Daほど波長変換で生ずる出力パワーが低減されるため、長波長側の光信号Daのパワーほど低くなる。
【0054】
このように、波長変換器12の波長変換の特性の変化に従って出力側の波長多重光信号Saの出力パワーが偏る。これに対し、制御回路17は、波長変換器12の入力側及び出力側の各波長多重光信号Saの監視結果に応じて波長変換器12の温度を制御することにより、波長変換の特性の変化を低減して出力側の波長多重光信号Saの出力パワーの偏りを抑制する。
【0055】
また、制御回路17は、モニタ回路16の監視結果に基づき、波長多重光信号Saの出力パワーの偏りを補償するように可変光減衰器14の減衰量及び光増幅器15の利得を制御する。符号G24は、可変光減衰器14及び光増幅器15に入出力される波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長ごとのパワーの比(「入出力パワー比」)を示す。
【0056】
可変光減衰器14及び光増幅器15は、制御回路17から減衰量及び利得を制御されることにより、波長変換器12の入出力パワー比とは実質的に正反対の入出力パワー比を有する。例えば可変光減衰器14及び光増幅器15は、短波長側の光信号Daほど出力パワーが小さくなるようにパワーを変化させる。
【0057】
符号G25は、光増幅器15から出力されてタップ11に入力される波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長に対するパワー分布を示す。制御回路17により、波長変換器12による出力パワーの分布の偏りが低減されるため、波長によらず波長多重光信号Saのパワーは実質的に一定である。
【0058】
(モニタ回路の構成例)
図5は、モニタ回路16の一例を示す構成図である。モニタ回路16は、タップ160,164、波長フィルタ161,165、及びフォトダイオード(PD: Photo Diode)162,163,166,167を有する。
【0059】
タップ160、波長フィルタ161、及びPD162,163には、波長変換器12の入力側の波長多重光信号Saがタップ10から入力される。符号G31~G33は、一例として波長多重光信号Saに波長多重された波長λ1,λ2,λ3の各光信号Daのパワー分布を示す。
【0060】
入力側の波長多重光信号Saは、タップ10からタップ160に入力される。波長多重光信号Saの波長λ1,λ2,λ3の各光信号Daのパワーは、符号G31で示されるように、送信時のパワーP1,P2,P3に係数ai1,ai2,ai3をそれぞれ乗じた値となる。このとき、各波長λ1,λ2,λ3の光信号Daのパワー分布の偏りは実質的にない(点線参照)。
【0061】
タップ160は、例えば光スプリッタなどから構成され、波長多重光信号SaをPD162及び波長フィルタ161に分岐する。
【0062】
PD162に入力される波長多重光信号Saのパワー分布は、符号G32で示されるように、タップ160に入力される波長多重光信号Saのパワー分布と同様であり、偏りが実質的にない(点線参照)。
【0063】
PD162は、タップ160から出力された波長多重光信号SaのパワーPin_totalを検出する。パワーPin_totalは、各波長λ1,λ2,λ3の光信号Daのパワーの合計である。ここで、PD162は、波長フィルタ161が透過していない波長多重光信号SaのパワーPin_totalを検出する第2検出部の一例である。また、パワーPin_totalは第2パワーの一例である。制御回路17は、PD162からパワーPin_totalを取得する。
【0064】
波長フィルタ161は、第1波長フィルタの一例であり、波長λ1,λ2,λ3に対するパワー分布が偏るように、波長多重光信号Saを透過させる。波長フィルタ161は、波長λ1,λ2,λ3に応じて異なるフィルタ係数を有するため、透過光のパワーが波長に応じて変化する。
【0065】
波長変換器12の出力側の波長多重光信号Sa内の各光信号Daのパワーは長波長側ほど低いため、波長フィルタ161は、長波長側ほどパワーが低下するように(点線参照)波長多重光信号Saを透過させる。透過後の波長多重光信号Saの波長λ1,λ2,λ3の各光信号Daのパワーは、符号G33で示されるように、送信時のパワーP1,P2,P3に係数aif1,aif2,aif3をそれぞれ乗じた値となる。
【0066】
PD163は、波長フィルタ161から出力された波長多重光信号SaのパワーPin_filterを検出する。パワーPin_filterは、各波長λ1,λ2,λ3の光信号Daのパワーの合計である。ここで、PD163は、波長フィルタ161が透過した波長多重光信号SaのパワーPin_filterを検出する第1検出部の一例である。また、パワーPin_filterは第1パワーの一例である。制御回路17は、PD163からパワーPin_filterを取得する。
【0067】
一方、タップ164、波長フィルタ165、及びPD166,167には、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saがタップ11から入力される。符号G34~G36は、一例として波長多重光信号Saに波長多重された波長λ1’,λ2’,λ3’の各光信号Daのパワー分布を示す。
【0068】
出力側の波長多重光信号Saは、タップ11からタップ164に入力される。波長多重光信号Saの波長λ1’,λ2’,λ3’の各光信号Daのパワーは、符号G34で示されるように、送信時のパワーP1,P2,P3に係数ao1,ao2,ao3をそれぞれ乗じた値となる。このとき、各波長λ1’,λ2’,λ3’の光信号Daのパワー分布は、波長変換器12の波長変換の特性と、可変光減衰器14の減衰及び光増幅器15の増幅の特性とに応じて偏っている(点線参照)。
【0069】
タップ164は、例えば光スプリッタなどから構成され、波長多重光信号SaをPD166及び波長フィルタ165に分岐する。
【0070】
PD166に入力される波長多重光信号Saのパワー分布は、符号G35で示されるように、タップ164に入力される波長多重光信号Saのパワー分布と同様であり、波長変換器12の波長変換の特性と、可変光減衰器14の減衰及び光増幅器15の増幅の特性とに応じて偏っている(点線参照)。
【0071】
PD166は、タップ164から出力された波長多重光信号SaのパワーPout_totalを検出する。パワーPout_totalは、各波長λ1’,λ2’,λ3’の光信号Daのパワーの合計である。ここで、PD166は、波長フィルタ165が透過していない波長多重光信号SaのパワーPout_totalを検出する第4検出部の一例である。また、パワーPout_totalは第4パワーの一例である。制御回路17は、PD166からパワーPout_totalを取得する。
【0072】
波長フィルタ165は、第2波長フィルタの一例であり、波長λ1’,λ2’,λ3’に対するパワー分布が偏るように、波長多重光信号Saを透過させる。波長フィルタ161は、波長λ1’,λ2’,λ3’に応じて異なるフィルタ係数を有するため、透過光のパワーが波長に応じて変化する。
【0073】
波長変換器12の出力側の波長多重光信号Sa内の各光信号Daのパワーは長波長側ほど低いため、波長フィルタ165は、長波長側ほどパワーが低下するように(点線参照)波長多重光信号Saを透過させる。透過後の波長多重光信号Saの波長λ1,λ2,λ3の各光信号Daのパワーは、符号G36で示されるように、送信時のパワーP1,P2,P3に係数aof1,aof2,aof3をそれぞれ乗じた値となる。
【0074】
PD167は、波長フィルタ165から出力された波長多重光信号SaのパワーPout_filterを検出する。パワーPout_filterは、各波長λ1’,λ2’,λ3’の光信号Daのパワーの合計である。ここで、PD167は、波長フィルタ165が透過した波長多重光信号SaのパワーPout_filterを検出する第3検出部の一例である。また、パワーPout_filterは第3パワーの一例である。制御回路17は、PD167からパワーPout_filterを取得する。
【0075】
制御回路17は、波長変換器12の入力側の波長多重光信号SaのパワーPin_total及びPin_filterから、入力側の波長多重光信号Saのパワー分布の偏りの指標値として、入力信号チルト量Tiを算出する。
【0076】
Ti=(aif1・P1+aif2・P2+aif3・P3)/(ai1・P1+ai2・P2+ai3・P3)
=Pin_filter/Pin_total ・・・(1)
【0077】
制御回路17は、上記の式(1)に従って入力信号チルト量Tiを算出する。入力信号チルト量Tiは、波長フィルタ161の透過後のパワーPin_filterに対する未透過パワーPin_totalの比として算出される。なお、制御回路17は、入力信号チルト量Tiから、伝送路90の伝送損失などに応じてターゲットチルト量Ttを算出する。
【0078】
また、制御回路17は、波長変換器12の出力側の波長多重光信号SaのパワーPout_total及びPout_filterから、出力側の波長多重光信号Saのパワー分布の偏りの指標値として、出力信号チルト量Toを算出する。
【0079】
To=(aof1・P1+aof2・P2+aof3・P3)/(ao1・P1+ao2・P2+ao3・P3)
=Pout_filter/Pout_total ・・・(2)
【0080】
制御回路17は、上記の式(2)に従って出力信号チルト量Toを算出する。出力信号チルト量Toは、波長フィルタ165の透過後のパワーPout_filterに対する未透過パワーPout_totalの比として算出される。
【0081】
入力側及び出力側の各波長多重光信号Saパワー分布の偏りが等しい場合、ai1=ao1、ai2=ao2、及びai3=ao3が成立する。このとき、各波長フィルタ161,165の透過特性が同一であると仮定すると、aif1=aof1、aif2=aof2、及びaif3=aof3が成立する。したがって、Ti(Tt)=Toが成立する。
【0082】
このため、制御回路17は、入力信号チルト量Tiと出力信号チルト量Toの差が減少するように、波長変換器12の温度を制御する。したがって、波長変換装置24aは、波長変換前後の各波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長に対するパワー分布の偏りの監視結果から適切に波長変換器12の温度を制御することによって、パワー分布の偏りを抑制することができる。
【0083】
さらに、制御回路17は、入力信号チルト量Tiと出力信号チルト量Toの差が減少するように、可変光減衰器14の減衰量及び光増幅器15の利得も制御する。したがって、波長変換装置24aは、波長変換の特性によるパワー分布の偏りを補償することができる。なお、上記の効果は、他の波長変換装置24c,34a,34cでも同様に得られる。
【0084】
また、波長フィルタ161,165は、ともに長波長側波長の光信号Daほどパワーが低下するように、波長変換器12の波長多重光信号Saを透過させる。このため、波長変換器12が、図4に示されるように、各光信号Daの波長λ1,λ2,・・・,λnを、波長軸上で所定幅Δλだけ移動した位置の波長λ1’,λ2’,・・・,λn’に変換する場合、制御回路17は、パワー分布の偏りの方向に応じて入力信号チルト量Ti及び出力信号チルト量Toを算出することができる。
【0085】
また、波長変換器12は、図3の例とは異なり、単一の励起光を用いて波長を変換する場合、以下に述べるように、各光信号Daの波長λ1,λ2,・・・,λnを、波長軸上で励起光の中心波長を挟んだ対称な位置の他の波長λ1’,λ2’,・・・,λn’に変換する。
【0086】
図6は、縮退四光波混合による波長変換方式の例を示すスペクトル図である。ここでは、励起光Xcの中心波長をλcとする。なお、図6において、図4と共通する内容についての説明は省略する。
【0087】
Cバンド内の光信号Daの波長λ1~λnは、点線の矢印で示されるように、波長軸上で励起光Xcの中心波長λcを挟んだ対称な位置の他の波長λ1’,λ2’,・・・,λn’にそれぞれ変換される。例えば、波長λ1は、励起光Xcの中心波長λcとの差分(λc―λ1)だけ中心波長λcから長波長側に移動した波長λ1’に変換される。これは正確には周波数で表現され、波長変換器12は、波長λ1~λnを、近似的にc/λ1’=(2c/λc-c/λ1)の関係を満たす波長へ変換する。波長λnは、励起光Xcの中心波長λcとの差分(λc―λn)だけ中心波長λcから長波長側に移動した波長λn’に変換される。これは正確には周波数で表現され、波長変換器12は、波長λ1~λnを、近似的にc/λn’=(2c/λc-c/λn)の関係を満たす波長へ変換する。
【0088】
このため、波長軸上の波長λ1,λ2,・・・,λnの並び順は、波長変換により逆転する。したがって、モニタ回路16は、以下に述べるように、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saのパワー分布の偏りの方向が、図5の例とは逆になるように波長多重光信号Saを透過させる
【0089】
図7は、モニタ回路16の他の例を示す構成図である。図7において、図5と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。モニタ回路16は、タップ160,164、波長フィルタ161,165a、及びPD162,163,166,167を有する。
【0090】
符号G34a~G36aは、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saに波長多重された波長λ1,λ2,λ3の各光信号Daのパワー分布を示す。図5の符号G34~G36が示すパワー分布の偏りと比較すれば理解されるように、パワー分布の偏りの方向が図5の例の逆になっている。
【0091】
波長多重光信号Saは、波長変換器12の波長変換により短波長側の波長(λ3)ほど出力パワーが小さくなる。このため、波長フィルタ165aは、短波長側ほどパワーが低下するように(点線参照)波長多重光信号Saを透過させる。すなわち、波長フィルタ165aは、入力側の波長多重光信号Sa透過する波長フィルタ161とは反対側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、波長多重光信号Saを透過させる
【0092】
このため、波長変換器12が単一の励起光Xcを用いて波長を変換する場合も、制御回路17は、パワー分布の偏りの方向に応じて入力信号チルト量Ti及び出力信号チルト量Toを算出することができる。なお、上記の例では、波長変換器12が波長を長波長側の他の波長に変換する場合を挙げたが、波長変換器12が波長を短波長側の他の波長に変換する場合でも、上述した内容と同様の構成及び機能を適用することができる。
【0093】
(第2実施例)
図8は、第2実施例の波長変換装置24a,24c,34a,34cを示す構成図である。図8において、図2と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、以下の説明では、波長変換装置24aを例に挙げるが、他の波長変換装置24c,34a,34cも同様の構成及び機能を備える。
【0094】
波長変換装置24aは、光増幅器13,15及び可変光減衰器14に代えて、波長変換器12の前段に光増幅器13a,15a及び可変光減衰器14aを備えている。
【0095】
光増幅器13aは、タップ10から入力された波長多重光信号Saを増幅して可変光減衰器14aに出力する。可変光減衰器14aは、波長多重光信号Saのパワーを光信号Daの波長ごとに減衰させて光増幅器15aに出力する。可変光減衰器14aは、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saのパワーをタップ10の後段で光信号Daの波長ごとに減衰させる第2減衰器の一例である。
【0096】
光増幅器15aは、波長多重光信号Saを増幅して波長変換器12に出力する。光増幅器15aは、可変光減衰器14aによりパワーが減衰した波長多重光信号Saをタップ10の後段で増幅する第2増幅器の一例である。
【0097】
制御回路17aは、制御部の一例であり、上記の制御回路17に代えて設けられる。制御回路17aは、入力信号チルト量Tiと出力信号チルト量Toの差が減少するように、可変光減衰器14aの減衰量、光増幅器15aの利得、波長変換器12の温度を制御する。可変光減衰器14a及び光増幅器15aは、第1実施例と同様に、符号G24aで示されるとおり、制御回路17から減衰量及び利得を制御されることにより、波長変換器12の入出力パワー比とは実質的に正反対の入出力パワー比を有する。例えば可変光減衰器14a及び光増幅器15aは、短波長側の光信号Daほど出力パワーが小さくなるようにパワーを変化させる。したがって、波長変換装置24aは、波長変換の特性によるパワー分布の偏りを補償することができる。
【0098】
また、本例では、波長変換器12の前段に可変光減衰器14a及び光増幅器15aが設けられているため、第1実施例のように後段に可変光減衰器14及び光増幅器15が設けられた場合と比べると、迅速に波長変換器12に入力される波長多重光信号Saのパワーを制御することができる。なお、上記の効果は、他の波長変換装置24c,34a,34cでも同様に得られる。
【0099】
図9は、第1及び第2実施例の制御回路17,17aの制御処理を示すフローチャートである。制御回路17,17aは、モニタ回路16から取得した入力側の波長多重光信号SaのパワーPin_total及びPin_filterから入力信号チルト量Tiを算出する(ステップSt1)。入力信号チルト量Tiは例えば1.0(dB)である。
【0100】
次に制御回路17,17aは、入力信号チルト量Tiからターゲットチルト量Ttを決定する(ステップSt2)。ターゲットチルト量Ttは、例えば0.5±0.2(dB)である。このとき、制御回路17,17aは、例えば伝送路90の伝送特性に基づき入力信号チルト量Tiを補正することによりターゲットチルト量Ttを決定してもよいし、入力信号チルト量Tiをそのままターゲットチルト量Ttとして決定してもよい。なお、制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttをメモリなどに記憶しておく。
【0101】
次に制御回路17,17aは、可変光減衰器14,14aの減衰量、光増幅器15,15aの利得、波長変換器12の温度の初期設定を実行する(ステップSt3)。例えば、減衰量は例えば0(dB)に設定され、利得は、光増幅器15の出力パワーが20(dB)となる値に設定され、温度は30(度)に設定される。次に制御回路17,17aは、モニタ回路16から取得した出力側の波長多重光信号SaのパワーPout_total及びPout_filterから出力信号チルト量To1(To)を算出する(ステップSt4)。出力信号チルト量To1は例えば4.5(dB)である。なお、制御回路17,17aは、算出した出力信号チルト量To1をメモリなどに記憶しておく。
【0102】
次に制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To1の差が減少するように、可変光減衰器14の減衰量を制御する(ステップSt5)。制御回路17,17aは例えば減衰量を1(dB)分増加させる。次に制御回路17,17aは、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saのパワーを初期値(20(dB))に維持したまま、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To1の差が減少するように、光増幅器15,15aの利得を制御する(ステップSt6)。
【0103】
次に制御回路17,17aは、出力信号チルト量To2(To)を算出する(ステップSt7)。出力信号チルト量To2は例えば20(dB)である。なお、制御回路17,17aは、算出した出力信号チルト量To2をメモリなどに記憶しておく。
【0104】
次に制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2を比較する(ステップSt8)。このとき、制御回路17,17aは、例えばターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2の差(|Tt-To2|)が所定の閾値以下であれば、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2を同一値とみなす。
【0105】
制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2が同一値である場合(ステップSt8のYes)、波長多重光信号Sa内の各光信号Daの波長に対するパワーの偏りが十分に抑制されたとみなして、処理を終了する。
【0106】
また、制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2が異なる場合(ステップSt8のNo)、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2の差(|Tt-To2|)、及びターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To1の差(|Tt-To1|)を比較する(ステップSt9)。制御回路17,17aは、|Tt-To2|<|Tt-To1|が成立する場合(ステップSt9のYes)、出力信号チルト量To2がターゲットチルト量Ttに近づいたとみなし、減衰量及び利得の制御を継続するため、再びステップSt4以降の各処理を実行する。
【0107】
また、制御回路17,17aは、|Tt-To2|≧|Tt-To1|が成立する場合(ステップSt9のNo)、出力信号チルト量To2がターゲットチルト量Ttに近づいていないとみなし、可変光減衰器14,14aの減衰量を最近のステップSt5の実行前の値に戻す(ステップSt10)。制御回路17,17aは、例えば最近のステップSt5にて減衰量を1(dB)分増加させたとすると、減衰量を1(dB)分減少させる。
【0108】
次に制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To1の差が減少するように、波長変換器12の温度を初期値から増加させる(ステップSt11)。制御回路17,17aは例えば温度を1度増加させる。
【0109】
次に制御回路17,17aは、出力信号チルト量To3(To)を算出する(ステップSt12)。出力信号チルト量To3は例えば1.8(dB)である。なお、制御回路17,17aは、算出した出力信号チルト量To3をメモリなどに記憶しておく。
【0110】
次に制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To3を比較する(ステップSt13)。このとき、制御回路17,17aは、例えばターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To3の差(|Tt-To3|)が所定の閾値以下であれば、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To3を同一値とみなす。
【0111】
制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To3が同一値である場合(ステップSt13のYes)、波長多重光信号Sa内の各光信号Daの波長に対するパワーの偏りが十分に抑制されたとみなして、処理を終了する。
【0112】
また、制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To3が異なる場合(ステップSt13のNo)、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To3の差(|Tt-To3|)、及びターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To2の差(|Tt-To2|)を比較する(ステップSt14)。制御回路17,17aは、|Tt-To3|<|Tt-To3|が成立する場合(ステップSt14のYes)、出力信号チルト量To3がターゲットチルト量Ttに近づいたとみなし、波長変換器12の温度の増加制御を継続するため、再びステップSt4以降の各処理を実行する。
【0113】
また、制御回路17,17aは、|Tt-To3|≧|Tt-To2|が成立する場合(ステップSt14のNo)、出力信号チルト量To3がターゲットチルト量Ttに近づいていないとみなし、波長変換器12の温度を初期値より低下させる(ステップSt15)。制御回路17,17aは、例えばステップSt11にて温度を1度増加させたとき、温度を2度低下させる。
【0114】
次に制御回路17,17aは、出力信号チルト量To4(To)を算出する(ステップSt16)。出力信号チルト量To4は例えば0.5(dB)である。なお、制御回路17,17aは、算出した出力信号チルト量To4をメモリなどに記憶しておく。
【0115】
次に制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To4を比較する(ステップSt17)。このとき、制御回路17,17aは、例えばターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To4の差(|Tt-To4|)が所定の閾値以下であれば、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To4を同一値とみなす。
【0116】
制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To4が同一値である場合(ステップSt17のYes)、波長多重光信号Sa内の各光信号Daの波長に対するパワーの偏りが十分に抑制されたとみなして、処理を終了する。
【0117】
また、制御回路17,17aは、ターゲットチルト量Ttと出力信号チルト量To4が異なる場合(ステップSt17のNo)、波長変換器12に設定した温度とその初期値を比較する(ステップSt18)。制御回路17,17aは、波長変換器12に設定した温度とその初期値が異なる場合(ステップSt18のNo)、再び温度制御を実行するため、ステップSt4以降の各処理を実行する。
【0118】
また、制御回路17,17aは、波長変換器12に設定した温度とその初期値が同一である場合(ステップSt18のYes)、温度制御によるパワー分布の偏りを抑制することが不可能であると判定し、エラーを検出して(ステップSt19)、処理を終了する。
【0119】
(第3実施例)
図10は、第3実施例の波長変換装置24a,24c,34a,34cを示す構成図である。図10において、図2と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、以下の説明では、波長変換装置24aを例に挙げるが、他の波長変換装置24c,34a,34cも同様の構成及び機能を備える。
【0120】
波長変換装置24aは、可変光減衰器14に代えて、波長変換器12の後段に波長選択スイッチ18を備えている。また、波長変換装置24aは、制御部の一例として、制御回路17に代えて、制御回路17bを有する。
【0121】
波長選択スイッチ18は、光増幅器13により増幅された波長多重光信号Sa内の各光信号Daの波長に対するパワー分布を調整する。波長選択スイッチ18は、例えば光信号Daの各波長に対応する光フィルタのフィルタ係数を変更することによりパワー分布を調整する。
【0122】
ここで、波長選択スイッチ18が調整するパワー分布の偏りの調整量を「調整チルト量」と表記する。調整チルト量は、上記の式(1)及び(2)と同様に、波長選択スイッチ18の入力側及び出力側の各波長多重光信号Saのパワーの比から算出される。なお、波長選択スイッチ18は、波長変換器12の出力側の波長多重光信号Saに波長多重された各光信号Daの波長に対するパワー分布をタップ11の前段で調整する第1光フィルタの一例である。
【0123】
制御回路17bは、モニタ回路16から取得した入力信号チルト量Tiと出力信号チルト量Toの差が減少するように、波長選択スイッチ18の調整チルト量及び波長変換器12の温度を制御する。
【0124】
符号G24bは、波長選択スイッチ18に入出力される波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長ごとのパワーの比(「入出力パワー比」)を示す。制御回路17bは、波長変換器12の波長変換の特性による入出力パワー比(符号G22参照)とは逆の入出力パワー比を示すように、波長選択スイッチ18の調整チルト量を制御する。
【0125】
波長選択スイッチ18は、制御回路17bからの制御に従って、例えば長波長側の波長ほど入出力パワー比が高くなるように調整チルト量を設定する。したがって、波長変換装置24aは、符号G25が示すパワー分布のように、波長変換の特性によるパワー分布の偏りを補償することができる。
【0126】
(第4実施例)
図11は、第4実施例の波長変換装置24a,24c,34a,34cを示す構成図である。図11において、図8と共通する構成には同一の符号を付し、その説明は省略する。なお、以下の説明では、波長変換装置24aを例に挙げるが、他の波長変換装置24c,34a,34cも同様の構成及び機能を備える。
【0127】
波長変換装置24aは、光増幅器13,15及び波長選択スイッチ18に代えて、波長変換器12の前段に光増幅器13a,15a及び波長選択スイッチ18aを備えている。また、波長変換装置24aは、制御部の一例として、制御回路17に代えて、制御回路17cを有する。
【0128】
波長選択スイッチ18aは波長選択スイッチ18と同様の機能を備える。波長選択スイッチ18aは、波長変換器12の入力側の波長多重光信号Saに波長多重された各光信号Daの波長に対するパワー分布をタップ10の後段で調整する第2光フィルタの一例である。符号G24cは、波長選択スイッチ18aに入出力される波長多重光信号Sa内の光信号Daの波長ごとのパワーの比(「入出力パワー比」)を示す。
【0129】
波長選択スイッチ18aは、制御回路17cからの制御に従って、例えば長波長側の波長ほど入出力パワー比が高くなるように調整チルト量を設定する。したがって、波長変換装置24aは、符号G25が示すパワー分布のように、波長変換の特性によるパワー分布の偏りを補償することができる。
【0130】
また、本例では、波長変換器12の前段に波長選択スイッチ18aが設けられているため、第1実施例のように後段に波長選択スイッチ18が設けられた場合と比べると、迅速に波長変換器12に入力される波長多重光信号Saのパワーを制御することができる。なお、上記の効果は、他の波長変換装置24c,34a,34cでも同様に得られる。
【0131】
図12は、第3及び第4実施例の制御回路17b,17cの制御処理を示すフローチャートである。図12において、図9と共通する処理には同一の符号を付し、その説明は省略する。以下に第1及び第2実施例との処理の差分を述べる。
【0132】
ステップSt3aにおいて、制御回路17b,17cは、波長選択スイッチ18,18aの調整チルト量、及び波長変換器12の温度の初期設定を実行する。波長選択スイッチ18,18aの調整チルト量は、例えば0(dB)である。
【0133】
また、ステップSt5aにおいて、制御回路17b,17cは、モニタ回路16から取得した入力信号チルト量Tiと出力信号チルト量Toの差が減少するように、波長選択スイッチ18の調整チルト量を制御する。制御回路17b,17cは、例えば波長選択スイッチ18の調整チルト量を0.5(dB)分増加させる。
【0134】
また、ステップSt10aにおいて、制御回路17b,17cは、|Tt-To2|≧|Tt-To1|が成立する場合(ステップSt9のNo)、出力信号チルト量To2がターゲットチルト量Ttに近づいていないとみなし、波長選択スイッチ18の調整チルト量を最近のステップSt5aの実行前の値に戻す。制御回路17b,17cは、例えばステップSt5aにて調整チルト量を0.5(dB)分増加させたとき、調整チルト量を0.5(dB)分減少させる。
【0135】
このように、制御回路17b,17cは、波長選択スイッチ18の調整チルト量を制御することによっても波長変換器12の波長変換の特性によるパワー分布の偏りを抑制することができる。なお、実施例の波長変換方法は、上述した波長変換装置24a,24c,34a,34cが実行する波長変換方法である。
【0136】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能である。
【0137】
なお、以上の説明に関して更に以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の光信号が波長多重された波長多重光信号の波長帯を変換する波長変換器と、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を透過する第1波長フィルタと、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を透過する第2波長フィルタと、
前記第1波長フィルタが透過した前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号の第1パワーを検出する第1検出部と、
前記第1波長フィルタが透過していない前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号の第2パワーを検出する第2検出部と、
前記第2波長フィルタが透過した前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号の第3パワーを検出する第3検出部と、
前記第2波長フィルタが透過していない前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号の第4パワーを検出する第4検出部と、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記波長変換器の温度を制御する制御部とを有することを特徴とする波長変換装置。
(付記2) 前記波長変換器は、前記複数の光信号の各々の波長を、波長軸上で所定の中心波長を挟んだ対象な位置の他の波長に変換し、
前記第1波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、長波長側及び短波長側の一方の側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を透過し、
前記第2波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、前記第1波長フィルタとは反対側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を透過することを特徴とする付記1に記載の波長変換装置。
(付記3) 前記波長変換器は、前記複数の光信号の各々の波長を、波長軸上で所定幅だけ移動した位置の他の波長に変換し、
前記第1波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、長波長側及び短波長側の一方の側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を透過し、
前記第2波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、前記第1波長フィルタと同一側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を透過することを特徴とする付記1に記載の波長変換装置。
(付記4) 前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を前記第2波長フィルタ及び前記第4検出部に分岐する第1分岐部と、
前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号のパワーを前記第1分岐部の前段で前記複数の光信号の波長ごとに減衰させる第1減衰器と、
前記第1減衰器によりパワーが減衰した前記波長多重光信号を前記第1分岐部の前段で増幅する第1増幅器とを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第1減衰器の減衰量、前記第1増幅器の利得、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
(付記5) 前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を前記第1波長フィルタ及び前記第2検出部に分岐する第2分岐部と、
前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号のパワーを前記第2分岐部の後段で前記複数の光信号の波長ごとに減衰させる第2減衰器と、
前記第2減衰器によりパワーが減衰した前記波長多重光信号を前記第2分岐部の後段で増幅する第2増幅器とを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第2減衰器の減衰量、前記第2増幅器の利得、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
(付記6) 前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を前記第2波長フィルタ及び前記第4検出部に分岐する第1分岐部と、
前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号に波長多重された前記複数の光信号の各々の波長に対するパワー分布を前記第1分岐部の前段で調整する第1光フィルタとを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第1光フィルタのパワー分布の調整量、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
(付記7) 前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を前記第1波長フィルタ及び前記第2検出部に分岐する第2分岐部と、
前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号に波長多重された前記複数の光信号の各々の波長に対するパワー分布を前記第2分岐部の後段で調整する第2光フィルタとを有し、
前記制御部は、前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第2光フィルタのパワー分布の調整量、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記1乃至3の何れかに記載の波長変換装置。
(付記8) 波長変換器により複数の光信号が波長多重された波長多重光信号の波長帯を変換し、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を第1波長フィルタに透過させ、
前記複数の光信号の波長に対するパワーの分布が偏るように、前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を第2波長フィルタに透過させ、
前記第1波長フィルタが透過した前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号の第1パワーを検出し、
前記第1波長フィルタが透過していない前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号の第2パワーを検出し、
前記第2波長フィルタが透過した前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号の第3パワーを検出し、
前記第2波長フィルタが透過していない前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号の第4パワーを検出し、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする波長変換方法。
(付記9) 前記波長変換器は、前記複数の光信号の各々の波長を、波長軸上で所定の中心波長を挟んだ対象な位置の他の波長に変換し、
前記第1波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、長波長側及び短波長側の一方の側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を透過し、
前記第2波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、前記第1波長フィルタとは反対側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を透過することを特徴とする付記8に記載の波長変換方法。
(付記10) 前記波長変換器は、前記複数の光信号の各々の波長を、波長軸上で所定幅だけ移動した位置の他の波長に変換し、
前記第1波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、長波長側及び短波長側の一方の側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を透過し、
前記第2波長フィルタは、前記複数の光信号のうち、前記第1波長フィルタと同一側の波長の光信号ほどパワーが低下するように、前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を透過することを特徴とする付記8に記載の波長変換方法。
(付記11) 前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を第1分岐部により前記第2波長フィルタ及び前記第4検出部に分岐し、
前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号のパワーを第1減衰器により前記第1分岐部の前段で前記複数の光信号の波長ごとに減衰させ、
前記第1減衰器によりパワーが減衰した前記波長多重光信号を第1増幅器により前記第1分岐部の前段で増幅し、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第1減衰器の減衰量、前記第1増幅器の利得、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記8乃至10の何れかに記載の波長変換方法。
(付記12) 前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を第2分岐部により前記第1波長フィルタ及び前記第2検出部に分岐し、
前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号のパワーを第2減衰器により前記第2分岐部の後段で前記複数の光信号の波長ごとに減衰させ、
前記第2減衰器によりパワーが減衰した前記波長多重光信号を第2増幅器により前記第2分岐部の後段で増幅し、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第2減衰器の減衰量、前記第2増幅器の利得、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記8乃至10の何れかに記載の波長変換方法。
(付記13) 前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号を第1分岐部により前記第2波長フィルタ及び前記第4検出部に分岐し、
前記波長変換器の出力側の前記波長多重光信号に波長多重された前記複数の光信号の各々の波長に対するパワー分布を第1光フィルタにより前記第1分岐部の前段で調整し、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第1光フィルタのパワー分布の調整量、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記8乃至10の何れかに記載の波長変換方法。
(付記14) 前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号を第2分岐部により前記第1波長フィルタ及び前記第2検出部に分岐し、
前記波長変換器の入力側の前記波長多重光信号に波長多重された前記複数の光信号の各々の波長に対するパワー分布を第2光フィルタにより前記第2分岐部の後段で調整し、
前記第1パワーに対する前記第2パワーの比と、前記第3パワーに対する前記第4パワーの比との差が減少するように、前記第2光フィルタのパワー分布の調整量、及び前記波長変換器の温度を制御することを特徴とする付記8乃至10の何れかに記載の波長変換方法。
【符号の説明】
【0138】
2 送信装置
3 受信装置
9 伝送システム
24a,24c,34a,34c 波長変換装置
10,11,160,164 タップ
12 波長変換器
13,13a,15,15a 光増幅器
17,17a,17b,17c 制御回路
18,18a 波長選択スイッチ
161,165,165a 波長フィルタ
162,163,166,167 フォトダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12