(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】光学ユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 33/14 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H02K33/14
(21)【出願番号】P 2020164644
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】南澤 伸司
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-117708(JP,A)
【文献】特開2019-174790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学モジュールを備える可動体と、
前記光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において前記可動体を囲む固定体と、
前記可動体と前記固定体との間において、バネ性を有する可動枠をもって前記可動体を揺動可能に支持するジンバル機構と、
前記固定体に対して前記可動体を揺動させる揺動機構と、を備え、
前記揺動機構は、前記周囲方向において前記可動体または前記固定体の一方に設けられたコイルと、前記可動体または前記固定体の他方の前記コイルと対向する位置に設けられた磁石と、を有し、
前記磁石は、
前記コイルに対してN極が対向するN極磁石と前記コイルに対してS極が対向するS極磁石とを有し、N極
磁石とS極
磁石とが前記光軸方向に隙間を設けた状態で配置され、
前記ジンバル機構は、前記可動枠の少なくとも一部が前記隙間に入り込む配置となっていることを特徴とする光学ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の光学ユニットにおいて、
前記可動枠は、非磁性であることを特徴とする光学ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学ユニットにおいて、
前記隙間の広さは、前記固定体に対して前記可動体を揺動した際に前記可動枠が前記磁石に対して接触しない広さであることを特徴とする光学ユニット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記周囲方向において複数の前記コイル及び前記磁石の対を有することを特徴とする光学ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記固定体に対して前記可動体をヨーイング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対と、前記固定体に対して前記可動体をピッチング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対と、を有し、
前記隙間の広さは、
ヨーイング方向及びピッチング方向の揺動量が同じ場合には、ヨーイング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対と、ピッチング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対と、で同じであり、
ヨーイング方向の揺動量がピッチング方向の揺動量よりも広い場合には、ヨーイング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対の方が、ピッチング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対よりも広く、
ピッチング方向の揺動量がヨーイング方向の揺動量よりも広い場合には、ピッチング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対の方が、ヨーイング方向に揺動させる前記コイル及び前記磁石の対よりも広いことを特徴とする光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光学ユニットにおいて、
前記揺動機構は、前記可動体に設けられたコイル又は磁石が前記光軸方向において前記可動体からはみ出さない配置となっていることを特徴とする光学ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な光学ユニットが使用されている。このうち、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持するジンバル機構を備える光学ユニットが使用されている。例えば、特許文献1には、光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において可動体を囲む固定体に対して、バネ性を有する可動枠により可動体を周囲方向から支持するジンバル機構を備える光学ユニットが開示されている。また、特許文献2には、光学モジュールの光軸方向において可動体とオーバーラップする位置にジンバルフレーム部が配置される光学ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-192240号公報
【文献】特開2020-30330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、光学モジュールを備える可動体を固定体に対して揺動可能に支持するジンバル機構を備える従来の光学ユニットにおいては、小型化することが困難であった。例えば、特許文献1で表される光学ユニットは、可動枠の周囲に可動体を固定体に対して揺動させる揺動機構を配置するため、周囲方向に大型化する傾向にあった。また、例えば、特許文献2で表される光学ユニットは、光軸方向において可動体とオーバーラップする位置にジンバルフレーム部が配置されるので、光軸方向に大型化する傾向にあった。そこで、本発明は、光学ユニットを小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学ユニットは、光学モジュールを備える可動体と、前記光学モジュールの光軸方向と交差する周囲方向において前記可動体を囲む固定体と、前記可動体と前記固定体との間において、バネ性を有する可動枠をもって前記可動体を揺動可能に支持するジンバル機構と、前記固定体に対して前記可動体を揺動させる揺動機構と、を備え、前記揺動機構は、前記周囲方向において前記可動体または前記固定体の一方に設けられたコイルと、前記可動体または前記固定体の他方の前記コイルと対向する位置に設けられた磁石と、を有し、前記磁石は、N極とS極とが前記光軸方向に隙間を設けた状態で配置され、前記ジンバル機構は、前記可動枠の少なくとも一部が前記隙間に入り込む配置となっていることを特徴とする。
【0006】
本態様によれば、可動体の周囲にジンバル機構の可動枠を配置するので、光軸方向に大型化することを抑制できる。また、可動体の周囲方向に設けられた磁石の隙間に入り込む配置でジンバル機構の可動枠を配置するため、周囲方向に大型化することも抑制できる。
【0007】
本発明の光学ユニットにおいては、前記可動枠は、非磁性である構成とすることができる。このような構成とすることで、可動枠が磁力を帯びて可動体の固定体に対する揺動が不安定化することを抑制できる。
【0008】
本発明の光学ユニットにおいては、前記隙間の広さは、前記固定体に対して前記可動体を揺動した際に前記可動枠が前記磁石に対して接触しない広さである構成とすることができる。このような構成とすることで、固定体に対して可動体を揺動した際に、可動枠が磁石に対して接触するなどして可動体の固定体に対する揺動が不安定化することを抑制できる。
【0009】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動機構は、前記周囲方向において複数の前記コイル及び前記磁石の対を有する構成とすることができる。このような構成とすることで、コイル及び磁石の対の配置によっては可動体の固定体に対する揺動を安定化させることを可能にするとともに、コイル及び磁石の対の配置によっては可動体の固定体に対する揺動方向を例えばヨーイング方向及びピッチング方向など複数の方向にすることを可能にする。
【0010】
本発明の光学ユニットにおいては、前記隙間の広さは、前記固定体に対する前記可動体の揺動量に応じて、前記複数の前記対に対応する各々の前記隙間ごとに調整されていることを有する構成とすることができる。このような構成とすることで、例えばヨーイング方向及びピッチング方向に揺動可能な構成において、ヨーイング方向及びピッチング方向の揺動量が同じ場合にはヨーイング方向に揺動させる磁石間の隙間とピッチング方向に揺動させる磁石間の隙間とを同じとすることができる。また、ヨーイング方向及びピッチング方向の揺動量が異なる場合には、ヨーイング方向に揺動させる磁石間の隙間とピッチング方向に揺動させる磁石間の隙間とを該揺動量に応じて異ならせることができる。
【0011】
本発明の光学ユニットにおいては、前記揺動機構は、前記可動体に設けられたコイル又は磁石が前記光軸方向において前記可動体からはみ出さない配置となっている構成とすることができる。このような構成とすることで、光軸方向において大型化することを効率的に抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光学ユニットは、小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1に係る光学ユニットの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る光学ユニットの側面断面図である。
【
図3】本発明の実施例2に係る光学ユニットの側面断面図である。
【
図5】
図4の参考例とは別の参考例の光学ユニットの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施例において同一の構成については、同一の符号を付し、最初の実施例においてのみ説明し、以後の実施例においてはその構成の説明を省略する。なお、各図において、X軸、Y軸及びZ軸は各々直行する方向であり、+X方向及び-X方向に見た図を側面図、+Y方向に見た図を正面図、-Y方向に見た図を背面図、+Z方向に見た図を平面図、-Z方向に見た図を底面図とする。また、X軸方向はヨーイング軸方向に対応し、Y軸方向はピッチング軸方向に対応し、Z軸方向は光軸方向に対応するとともにローリング軸方向に対応する。
【0015】
[実施例1](
図1及び
図2)
最初に、本発明の光学ユニット1として、実施例1に係る光学ユニット1Aについて
図1及び
図2を用いて説明する。
【0016】
本実施例の光学ユニット1Aは、カメラやスマートフォンなどにおいて好ましく使用可能である。本実施例の光学ユニット1Aは、コンパクトに構成でき、カメラやスマートフォンをコンパクト構成できるためである。ただし、本実施例の光学ユニット1Aは、カメラやスマートフォンに限定されず、特に用途を限定することなく様々な装置に使用可能である。
【0017】
図1及び
図2で表されるように、本実施例の光学ユニット1Aは、レンズ等が設けられる光学モジュール22を備える可動体20を備えている。また、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)と交差する周囲方向において可動体20を囲むケース部10Aと、可動体20がケース部10Aに収容された状態で-Z方向からケース部10Aを覆うことが可能な底部10Bと、を備える固定体10を備えている。また、可動体20と固定体10との間において、バネ性を有する可動枠31をもって可動体20を揺動可能に支持するジンバル機構30を備えている。さらに、固定体10に対して可動体20を揺動させる揺動機構40を備えている。
【0018】
可動体20は、略直方体をしている。光学モジュール22は、上面部20a、下面部20d、X軸方向における両側の側面部20b及びY軸方向における両側の側面部20cにより可動体20の内部に保持されており、可動体20の+Z方向の面である上面部20aからレンズが突出した状態となるように配置されている。また、X軸方向における可動体20の両側の側面部20bには、揺動機構40を構成する磁石21Aが設けられている。また、Y軸方向における可動体20の両側の側面部10cには、揺動機構40を構成する磁石21Bが設けられている。磁石21AはN極磁石211とS極磁石212とで構成され、N極磁石211とS極磁石212とはZ軸方向において隙間Gが設けられた状態で配置されている。また、磁石21BはN極磁石213とS極磁石214とで構成され、N極磁石213とS極磁石214とはZ軸方向において隙間Gが設けられた状態で配置されている。なお、ここでのN極及びS極は、コイル11と対向する側の面を意味する。したがって、N極磁石211及びN極磁石213はコイル11と対向する側の略全面がN極となっていればよく、S極磁石212及びS極磁石214はコイル11と対向する側の略全面がS極となっていればよい。
【0019】
固定体10は、略直方体をしており、ケース部10Aが上面部10a、X軸方向における両側の側面部10b及びY軸方向における両側の側面部10cを構成し、底部10Bが下面部10dを構成している。固定体10の+Z方向の面である上面部10aには、光学モジュール22のレンズを通す孔部12が設けられている。また、X軸方向における両側の側面部10bには、揺動機構40を構成するコイル11Aが設けられている。また、Y軸方向における両側の側面部10cには、揺動機構40を構成するコイル11Bが設けられている。コイル11Aは磁石21Aと対向する位置に配置され、コイル11Bは磁石21Bと対向する位置に配置されている。
【0020】
ジンバル機構30は、可動体20を通す矩形の孔部32を有し外形が矩形の可動枠31と、固定体10及び可動体20との接続部33と、を有している。接続部33は矩形の可動枠31の4角に形成されており、このうち対角線上の2つの接続部33は固定体10に対して揺動可能に接続されており、別の対角線上の2つの接続部33は可動体20に対して揺動可能に接続されている。ジンバル機構30は、可動体20の4つの側面部(2つの側面部10b及び2つの側面部10c)の各々に形成される磁石の隙間Gに、Z軸方向から見て少なくとも可動枠31の一部が磁石21A及び磁石21Bとオーバーラップするように配置される。
【0021】
揺動機構40は、コイル11Aと磁石21Aとからなるピッチング軸揺動機構と、コイル11Bと磁石21Bとからなるヨーイング軸揺動機構と、を有している。詳細には、ピッチング軸揺動機構として光学ユニット1AのX軸方向における両側に1つずつ合計2つのコイル11Aと磁石21Aとが設けられており、ヨーイング軸揺動機構として光学ユニット1AのY軸方向における両側に1つずつ合計2つのコイル11Bと磁石21Bとが設けられている。ただし、このような構成に限定されず、ピッチング軸揺動機構としてコイル11Aと磁石21Aとを1つずつ備える構成としてもよいし、ヨーイング軸揺動機構としてコイル11Bと磁石21Bとを1つずつ備える構成としてもよい。
【0022】
ここで、
図1及び
図2で表される本実施例の光学ユニット1Aを、
図4で表される参考例の光学ユニット101及び
図5で表される参考例の光学ユニット102を説明することで、光学ユニット101及び光学ユニット102と比較してさらに説明する。なお、
図4で表される参考例の光学ユニット101及び
図5で表される参考例の光学ユニット102において上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0023】
最初に、
図4で表される参考例の光学ユニット101について説明する。
図4で表される参考例の光学ユニット101は、本実施例の光学ユニット1Aと同様、光学モジュール22の光軸方向と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10に対して、バネ性を有する可動枠31により可動体20を周囲方向から支持するジンバル機構30を備える光学ユニットである。光学ユニット101においては、固定体10の構成は本実施例の光学ユニット1Aと同様である。
【0024】
しかしながら、光学ユニット101の固定体10は、周囲方向の大きさ、すなわち、X軸方向における長さ及びY軸方向における長さが、本実施例の光学ユニット1Aの固定体10よりも大きくなっている。これは、光学ユニット101においては、ジンバル機構30がピッチング軸揺動機構及びヨーイング軸揺動機構を構成する磁石21とコイル11との対の外側に配置されるため、X軸方向及びY軸方向における可動体20の長さが長くなり、X軸方向及びY軸方向における固定体10の大きさを大きくせざるを得ないためである。
図4では、光学ユニット101の+X方向側において、ジンバル機構30が磁石21Aとコイル11Aとの対の-X方向側に配置されている部分を表しているが、光学ユニット101の-X方向側においては、ジンバル機構30が磁石21Aとコイル11Aとの対の+X方向側に配置されている。同様に、光学ユニット101の+Y方向側においては、ジンバル機構30が磁石21Bとコイル11Bとの対の-Y方向側に配置され、同様に、光学ユニット101の-Y方向側においては、ジンバル機構30が磁石21Bとコイル11Bとの対の+Y方向側に配置されている。
【0025】
なお、一般的には、
図4で表されるように、揺動機構40を構成する磁石21としては、N極(N極磁石211)とS極(S極磁石212)とがコイル11と対向する位置に並んで一体化した2極着磁の磁石21が使用される場合が多い。しかしながら、このような2極着磁の磁石21を使用すると、Z軸方向において該磁石21とジンバル機構30とをオーバーラップさせる構成とすることは困難となる。
【0026】
次に、
図5で表される参考例の光学ユニット102について説明する。
図5で表される参考例の光学ユニット102は、本実施例の光学ユニット1Aと異なり、光学モジュール22の光軸方向(Z軸方向)において可動体20とオーバーラップする位置にジンバル機構30の一部を構成するジンバルフレーム部301が配置される光学ユニットである。光学ユニット102においても、固定体10の構成は本実施例の光学ユニット1Aと同様である。
【0027】
しかしながら、光学ユニット102の固定体10は、Z軸方向における長さが、本実施例の光学ユニット1Aの固定体10よりも大きくなっている。これは、
図5で表されるように、Z軸方向において可動体20とオーバーラップする位置にジンバル機構30の一部を構成するジンバルフレーム部301が配置されるため、ジンバル機構30を含めたZ軸方向における可動体20の長さが長くなり、Z軸方向における固定体10の大きさを大きくせざるを得ないためである。
【0028】
上記のように、本実施例の光学ユニット1Aは、光学モジュール22の光軸方向と交差する周囲方向において可動体20を囲む固定体10に対して、バネ性を有する可動枠31により可動体20を周囲方向から支持するジンバル機構30を備える
図4で表されるような光学ユニットよりも小さく構成できる。また、本実施例の光学ユニット1Aは、光学モジュール22の光軸方向において可動体20とオーバーラップする位置にジンバル機構30の一部を構成するジンバルフレーム部301が配置される
図5で表されるような光学ユニットよりも小さく構成できる。これらは、
図2を
図4及び
図5と比較すると明らかである。
【0029】
上記のように、本実施例の光学ユニット1Aにおいては、揺動機構40の構成は固定体10にコイル11が設けられ可動体20に磁石21が設けられる構成である。しかしながら、揺動機構40の構成は固定体10に磁石21が設けられ可動体20にコイル11が設けられる構成であってもよい。そこで、次に、固定体10に磁石21が設けられ可動体20にコイル11が設けられる構成の揺動機構40を備える光学ユニット1の実施例について説明する。
【0030】
[実施例2](
図3)
実施例2の光学ユニット1について
図3を用いて説明する。ここで、
図3は本発明の実施例2に係る光学ユニット1Bの側面断面図であり、実施例1の光学ユニット1Aにおける
図2に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の光学ユニット1は、揺動機構40の構成以外は、実施例1の光学ユニット1Aと同様の構成である。
【0031】
図3で表されるように、本実施例の光学ユニット1Bにおいては、光学ユニット101の+X方向側において、固定体10に磁石21Aが設けられるとともに可動体20にコイル11Aが設けられている。ここで、
図3では表されていないが、光学ユニット101の-X方向側においても、固定体10に磁石21Aが設けられるとともに可動体20における磁石21Aと対向する位置にコイル11Aが設けられている。同様に、光学ユニット101の+Y方向側においては、固定体10に磁石21Bが設けられるとともに可動体20における磁石21Bと対向する位置にコイル11Bが設けられ、光学ユニット101の-Y方向側においては、固定体10に磁石21Bが設けられるとともに可動体20における磁石21Bと対向する位置にコイル11Bが設けられている。
【0032】
すなわち、実施例1及び実施例2の光学ユニット1においては、光軸方向ではなく可動体20の周囲にジンバル機構30の可動枠31を配置している。また、揺動機構40は、周囲方向において可動体20または固定体10の一方に設けられたコイル11と、可動体20または固定体10の他方のコイル11と対向する位置に設けられた磁石21と、を有している。そして、
図2及び
図3で表されるように、磁石21は、N極とS極とが光軸方向に隙間Gを設けた状態で配置され、ジンバル機構30は、可動枠31の少なくとも一部が隙間Gに入り込む配置となっている。
【0033】
このように、光軸方向ではなく可動体20の周囲にジンバル機構30の可動枠31を配置することで、光学ユニット1が光軸方向に大型化することを抑制できる。また、可動体20の周囲方向に設けられた磁石21の隙間に入り込む配置でジンバル機構30の可動枠31を配置することで、光学ユニット1が周囲方向に大型化することも抑制できる。
【0034】
ここで、実施例1及び実施例2の光学ユニット1においては、可動枠31は、非磁性の材料で構成されている。このような構成としていることで、実施例1及び実施例2の光学ユニット1は、可動枠31が磁力を帯びて可動体20の固定体10に対する揺動が不安定化することを抑制している。
【0035】
また、実施例1及び実施例2の光学ユニット1においては、隙間Gの広さは、固定体10に対して可動体20を揺動した際に可動枠31が磁石21に対して接触しない広さであるように構成されている。このような構成としていることで、実施例1及び実施例2の光学ユニット1は、固定体10に対して可動体20を揺動した際に、可動枠31が磁石21に対して接触するなどして、可動体20の固定体10に対する揺動が不安定化することを抑制している。
【0036】
また、上記のように、実施例1及び実施例2の光学ユニット1においては、揺動機構40は、周囲方向において複数のコイル11及び磁石21の対を有する構成となっている。具体的には、ピッチング軸揺動機構としてコイル11Aと磁石21Aとからなる対を2つ、ヨーイング軸揺動機構としてコイル11Bと磁石21Bとからなる対を2つ有している。このような構成としていることで、実施例1及び実施例2の光学ユニット1は、2つずつのコイル11及び磁石21の対により可動体20の固定体10に対する揺動を安定化させることを可能にしているとともに、可動体20の固定体10に対する揺動方向をヨーイング方向及びピッチング方向と複数の方向にすることを可能にしている。
【0037】
ここで、隙間Gの広さは、固定体10に対する可動体20の揺動量に応じて、複数のコイル11及び磁石21の対に対応する各々の隙間Gごとに調整されていることが望ましい。すなわち、例えば実施例1及び実施例2の光学ユニット1のようなヨーイング方向及びピッチング方向に揺動可能な構成において、ヨーイング方向及びピッチング方向の揺動量が同じ場合にはヨーイング方向に揺動させる磁石21間の隙間Gとピッチング方向に揺動させる磁石21間の隙間Gとを同じとすることが望ましい。このような構成とすることで、例えば光軸方向から見て略対称構造とすることができ、揺動を安定化できるためである。また、ヨーイング方向及びピッチング方向の揺動量が異なる場合には、ヨーイング方向に揺動させる磁石21間の隙間Gとピッチング方向に揺動させる磁石21間の隙間Gとを該揺動量に応じて異ならせることが望ましい。このような構成とすることで、可動枠31が磁石21に対して接触することなどが抑制でき、可動体20の固定体10に対する揺動が不安定化することを抑制することができるためである。
【0038】
また、揺動機構40は、可動体20に設けられたコイル11又は磁石21が光軸方向において可動体20からはみ出さない配置となっている構成とすることが望ましい。このような構成とすることで、光軸方向において大型化することを効率的に抑制できるためである。なお、実施例1及び実施例2の光学ユニット1においては、可動体20に設けられたコイル11又は磁石21が光軸方向において可動体20からはみ出さない配置となっている。
【0039】
本発明は、上述の実施例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…光学ユニット、1A…光学ユニット、1B…光学ユニット、10…固定体、10a…上面部、10b…側面部、10c…側面部、10d…下面部、10A…ケース部、10B…底部、11…コイル、11A…コイル、11B…コイル、12…孔部、20…可動体、20a…上面部、20b…側面部、20c…側面部、20d…下面部、21…磁石、21A…磁石、21B…磁石、22…光学モジュール、30…ジンバル機構、31…可動枠、32…孔部、33…接続部、40…揺動機構、101…光学ユニット、102…光学ユニット、211…N極磁石、212…S極磁石、213…N極磁石、214…S極磁石、301…ジンバルフレーム部、G…隙間