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特許7510870粒状体搬送用の昇降機及び昇降機用のスクレーパバケット
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  • 特許-粒状体搬送用の昇降機及び昇降機用のスクレーパバケット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】粒状体搬送用の昇降機及び昇降機用のスクレーパバケット
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20240627BHJP
   B65G 17/30 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B65G17/12 E
B65G17/30 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020214384
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100426
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 浩典
(72)【発明者】
【氏名】今村 昌平
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-093235(JP,A)
【文献】米国特許第05339613(US,A)
【文献】特開2002-361106(JP,A)
【文献】特開2018-034994(JP,A)
【文献】特開2012-158452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 17/00-17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの上下端に軸支された上部プーリ及び下部プーリと、前記上部プーリと前記下部プーリの間に架け渡されたベルトと、前記ベルトに取り付けられた複数のバケットと、を備え、粒状体を前記バケットによって搬送する粒状体搬送用の昇降機であって、
前記バケットは、
前記ベルトに連結される背面部と、
前記背面部の反対側に形成されて前記粒状体を受け入れる開口縁部と、
前記開口縁部に連なって設けられて前記開口縁部から受け入れられる前記粒状体を保持する底部と、
を有し、
前記底部は、前記バケットへの前記粒状体の受け入れ時に前記粒状体が前記バケットに入ってくる方向に対して直交する方向に形成され、
前記複数のバケットのうちの一部のバケットを、前記本体ケース内に滞留する前記粒状体を掬い上げるためのスクレーパ部材を備えるスクレーパバケットとして構成し、
前記スクレーパバケットは、
前記スクレーパ部材が、前記開口縁部に形成され、
前記スクレーパ部材によって掬い上げられた前記粒状体を前記スクレーパバケットから排出するための開口部が、前記底部に形成されること
を特徴とする粒状体搬送用の昇降機。
【請求項2】
前記開口部は、前記スクレーパバケットにおいて前記ベルトに近い側に設けられること
を特徴とする請求項1に記載の粒状体搬送用の昇降機。
【請求項3】
本体ケースの上下端に軸支された上部プーリ及び下部プーリと、前記上部プーリと前記下部プーリの間に架け渡されたベルトと、前記ベルトに連結される背面部と前記背面部の反対側に形成されて粒状体を受け入れる開口縁部と前記開口縁部に連なって設けられて前記開口縁部から受け入れられる前記粒状体を保持する底部と有する複数のバケットと、を備えて前記粒状体を前記バケットによって搬送する粒状体搬送用の昇降機における前記複数のバケットのうちの一部のバケットにおいて、前記本体ケース内に滞留する前記粒状体を掬い上げるためのスクレーパ部材を備える昇降機用のスクレーパバケットであって、
前記スクレーパ部材が、前記開口縁部に形成され、
前記スクレーパ部材によって掬い上げられた前記粒状体を外部に排出するための開口部が、前記底部に形成されるとともに、前記バケットへの前記粒状体の受け入れ時に前記粒状体が前記バケットに入ってくる方向に対して直交する方向に形成されること
を特徴とする昇降機用のスクレーパバケット
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄米、籾、米粒等の粒状体をバケットによって搬送する粒状体搬送用の昇降機及びその昇降機に用いられるスクレーパに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の粒状体搬送用の昇降機としては、特許文献1に示すようなものがある。特許文献1の粒状体搬送用の昇降機は、対となったプーリ間にわたって掛け合わされたベルトと、このベルトに連結具によって適当間隔毎にその背面部で取り付けられた複数のバケットと、を備え、当該バケットによって粒状体を搬送するものである。
【0003】
特許文献1の粒状体搬送用の昇降機は、上記複数のバケットのうちの一部のバケットに、本体ケース内に滞留する粒状体を掬い上げるためのスクレーパが取り付けられたスクレーパバケットを備える。スクレーパバケットは、本体ケースの下部に溜まった粒状体をスクレーパによって掬い上げることで回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-124688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の粒状体搬送用の昇降機では、装置の運転開始時に、上記スクレーパバケットが、本体ケースの下部に溜まった多量の粒状体を持ち上げると、上記スクレーパバケット自体に大きな負荷が掛かり、それに伴って、上記スクレーパバケットを昇降移動させるモータ(プーリを回転駆動させるモータ)に定常運転時以上の強い負荷が発生する。特に、上記スクレーパバケットが、粒状体が多く溜まる本体ケースの最下部付近の位置から上昇動作を開始する場合に、上記モータに対する負荷が最も大きくなる。そのため、装置の定常運転時に必要な容量よりも大きな容量の上記モータを昇降機に搭載する必要がある。
また、上記スクレーパバケット自体に大きな負荷が掛かると、上記スクレーパバケットを保持する上記ベルトがプーリに対してスリップし易い状態となり、上記ベルトが激しく消耗する。
【0006】
本発明は上記課題を解決するもので、装置の運転開始時における装置駆動源の負荷を軽減可能な粒状体搬送用の昇降機及び昇降機用のスクレーパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の粒状体搬送用の昇降機は、本体ケースの上下端に軸支された上部プーリ及び下部プーリと、前記上部プーリと前記下部プーリの間に架け渡されたベルトと、前記ベルトに取り付けられた複数のバケットと、を備え、粒状体を前記バケットによって搬送する粒状体搬送用の昇降機であって、前記バケットは、前記ベルトに連結される背面部と、前記背面部の反対側に形成されて前記粒状体を受け入れる開口縁部と、前記開口縁部に連なって設けられて前記開口縁部から受け入れられる前記粒状体を保持する底部と、を有し、前記底部は、前記バケットへの前記粒状体の受け入れ時に前記粒状体が前記バケットに入ってくる方向に対して直交する方向に形成され、前記複数のバケットのうちの一部のバケットを、前記本体ケース内に滞留する前記粒状体を掬い上げるためのスクレーパ部材を備えるスクレーパバケットとして構成し、前記スクレーパバケットは、前記スクレーパ部材が、前記開口縁部に形成され、前記スクレーパ部材によって掬い上げられた前記粒状体を前記スクレーパバケットから排出するための開口部が、前記底部に形成されるものである。
【0008】
上記構成では、スクレーパ部材が粒状体を掬い上げる際に、スクレーパ部材によって掬い上げられる粒状体がスクレーパバケットに設けられる開口部から排出される。
【0009】
本発明の粒状体搬送用の昇降機は、前記開口部が、前記スクレーパバケットにおいて前記ベルトに近い側に設けられるものである。
【0010】
上記構成では、スクレーパ部材が粒状体を掬い上げる際に、スクレーパ部材によって掬い上げられる粒状体がスクレーパバケットにおいてベルトに近い側から排出される。
【0015】
本発明の昇降機用のスクレーパバケットは、本体ケースの上下端に軸支された上部プーリ及び下部プーリと、前記上部プーリと前記下部プーリの間に架け渡されたベルトと、前記ベルトに連結される背面部と前記背面部の反対側に形成されて粒状体を受け入れる開口縁部と前記開口縁部に連なって設けられて前記開口縁部から受け入れられる前記粒状体を保持する底部と有する複数のバケットと、を備えて前記粒状体を前記バケットによって搬送する粒状体搬送用の昇降機における前記複数のバケットのうちの一部のバケットにおいて、前記本体ケース内に滞留する前記粒状体を掬い上げるためのスクレーパ部材を備える昇降機用のスクレーパバケットであって、前記スクレーパ部材が、前記開口縁部に形成され、前記スクレーパ部材によって掬い上げられた前記粒状体を外部に排出するための開口部が、前記底部に形成されるとともに、前記バケットへの前記粒状体の受け入れ時に前記粒状体が前記バケットに入ってくる方向に対して直交する方向に形成されるものである。
【0016】
上記構成では、スクレーパ部材が粒状体を掬い上げる際に、スクレーパ部材によって掬い上げられる粒状体が上記開口部から排出される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の粒状体搬送用の昇降機及び昇降機用のスクレーパバケットによれば、装置の運転開始時に、上記スクレーパ部材によって掬い上げられる粒状体がスクレーパバケットの開口部から排出されることから、装置の運転開始時におけるスクレーパバケット自体に掛かる負荷が軽減される。そのため、装置の運転開始時における装置駆動源の負荷を軽減することができ、使用する装置駆動源の容量を下げることができる。また、装置の運転開始時におけるスクレーパバケット自体に掛かる負荷が軽減されることで、スクレーパバケットを保持するベルトがプーリに対してスリップし難い状態となり、上記ベルトの消耗を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】(a)は、本発明の実施の形態に係る粒状体搬送用の昇降機を有する選別機の左側面図、(b)は、同粒状体搬送用の昇降機を有する選別機の背面図である。
図2】同粒状体搬送用の昇降機の側面断面図である。
図3】同粒状体搬送用の昇降機の下部の拡大側面断面図である。
図4】同粒状体搬送用の昇降機の下部の拡大側面断面図である。
図5】同粒状体搬送用の昇降機に設けられるスクレーパバケットの斜視図である。
図6】(a)は、同粒状体搬送用の昇降機に設けられる別実施例のスクレーパバケットであってスクレーパの一方側に切欠き部を設けた場合の斜視図、(b)は、同粒状体搬送用の昇降機に設けられる別実施例のスクレーパバケットであってスクレーパの他方側に切欠き部を設けた場合の斜視図である。
図7】同粒状体搬送用の昇降機に設けられる別実施例のスクレーパの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る粒状体搬送用の昇降機20について説明する。図1に示すように、昇降機20は、例えば、選別機10に設けられる。なお、本発明に係る粒状体搬送用の昇降機20は、選別機10に設けられるものに限定されるものではなく、精米機や籾摺機等に設けられるものであっても構わない。
【0020】
選別機10は、装置本体11の内部に設けられて粒状体R(図3参照)を光学的に測定して(粒状体Rを透過光や反射光によって画像認識する等して)正常粒の粒状体Rを選択する選択処理部(図示せず)を有する。
【0021】
図1に示すように、昇降機20が選別機10に設けられる場合には、背面側に設けられた投入ホッパ12に投入された玄米や米粒等の粒状体Rを選別機10の上部に設けられた貯留ホッパ13に搬送する(上方に移送する)供給用昇降機20Aとして用いられるとともに、上記選択処理部で処理された後の正常粒の粒状体Rを選別機10の上部から排出させるために粒状体Rを上方に移送する排出用昇降機20Bとして用いられる。
【0022】
図2に示すように、昇降機20には、粒状体Rの入口である投入口21が本体ケース22の下部一側面に設けられている。昇降機20を供給用昇降機20Aとして用いる場合には、投入口21に、粒状体Rを本体ケース22内に投入するための投入ホッパ12が設けられる。
【0023】
昇降機20には、粒状体Rの出口である排出口23が本体ケース22の上部他側面に設けられている。排出口23には、粒状体Rを本体ケース22内から排出するための排出部24が設けられる。
【0024】
昇降機20は、上下方向に延びる本体ケース22内の上端部に設けられる上部プーリ25と、本体ケース22内の下端部に設けられる下部プーリ26と、上部プーリ25と下部プーリ26との間に架け渡されるベルト27と、ベルト27の外側に所定間隔毎に取り付けられた複数のバケット28と、を備える。
【0025】
昇降機20では、上部プーリ25をモータ29によって回転してベルト27を回転駆動させることで、ベルト27とともにバケット28が昇降する。バケット28が昇降することで、投入口21を通して投入された粒状体Rが、本体ケース22の上部まで搬送され、排出口23から排出される。
【0026】
図3及び図4に示すように、粒状体Rを搬送するバケット28は、その背面部28aがベルト27の外側に連結されている。バケット28は、背面部28aの反対側に形成される開口縁部28bから粒状体Rを受け入れ、開口縁部28bに連なって設けられる底部28cにおいて受け入れた粒状体Rを保持する。粒状体Rの保持部である底部28cは、粒状体Rの受け入れ時に、粒状体Rがバケット28に入ってくる方向(バケット28内への粒状体Rの進入方向S)に対して直交する方向に形成されている。
【0027】
図2から図5に示すように、昇降機20は、複数のバケット28のうちの一部のバケット28にスクレーパ部材31が取り付けられたスクレーパバケット30(「スクレーパ」の一例)を有する。スクレーパバケット30は、ベルト27の外側に所定の間隔を空けて2体取り付けられている。具体的には、図2に示すように、一方のスクレーパバケット30が本体ケース22の最下部の位置となる場合に、他方のスクレーパバケット30が本体ケース22の最上部の位置となるように、一対のスクレーパバケット30が互いに対向する位置に配置される。なお、昇降機20では、スクレーパバケット30を2体設けているが、これに限定されるものではなく、1体のみ、又は3体以上設けても構わない。
【0028】
スクレーパバケット30は、本体ケース22内に滞留する粒状体Rを掬い上げるためスクレーパ部材31と、スクレーパ部材31をベルト27に対して保持するバケット部材32(「保持部材」の一例)と、から構成されている。
【0029】
スクレーパ部材31は、スクレーパバケット30による粒状体Rの掬い上げ時に、粒状体Rがスクレーパバケット30に入ってくる方向(スクレーパバケット30内への粒状体Rの進入方向S)に対して直交する方向に形成されている。
【0030】
図3に示すように、昇降機20には、バケット28の開口縁部28bと、本体ケース22の底面22a及び側面22bと、の間に所定の隙間22cが形成されており、バケット28の開口縁部28bと本体ケース22の底面22aとの間に形成される隙間22cには粒状体Rが滞留し易い状態となっている。そのため、昇降機20では、複数のバケット28のうちの一部のバケット28にスクレーパ部材31が取り付けられたスクレーパバケット30を設けることで、本体ケース22の底面22aに滞留する粒状体Rをスクレーパ部材31によって掬い上げ、滞留する粒状体Rを効率良く回収できるようにしている。
【0031】
スクレーパ部材31は、その先端が、本体ケース22の底面22a及び側面22bと非接触な状態であり、且つバケット28の開口縁部28bより突出するように、バケット部材32に取り付けられている。すなわち、スクレーパ部材31は、その先端が、バケット28の開口縁部28bと、本体ケース22の底面22a及び側面22bと、の間に形成される所定の隙間22cを通るようにバケット部材32に取り付けられている。
【0032】
バケット部材32は、ベルト27の外側に連結される背面部32aと、スクレーパ部材31を保持する開口縁部32bと、背面部32aに固定されて開口縁部32bを保持する側面部32c、32dと、から構成されている。バケット部材32は、背面部32aと開口縁部32bと側面部32c、32dとのそれぞれの縁部の組み合わせによって形成される矩形の開口部32e(「通過可能部分」の一例)を有する。
【0033】
図3及び図5に示すように、バケット部材32の開口部32eは、開口縁部32bに連なって設けられている。開口部32eは、スクレーパバケット30による粒状体Rの掬い上げ時に、粒状体Rがスクレーパバケット30に入ってくる方向(スクレーパバケット30内への粒状体Rの進入方向S)に対して直交する方向に形成されている。そのため、図4に示すように、スクレーパバケット30による粒状体Rの掬い上げ時に、粒状体Rが開口部32eを通過してスクレーパバケット30から排出される。
【0034】
図5に示すように、開口部32eは、スクレーパバケット30においてベルト27に近い側(スクレーパ部材31が設けられている側の反対側)に設けられている。開口部32eをベルト27に近い側に設けることで、スクレーパバケット30から排出される粒状体Rが、後続のバケット28によって回収され易くなる。
【0035】
次に、昇降機20における作用について説明する。
【0036】
投入口21から投入された粒状体Rは、下降移動するバケット28によって、本体ケース22の下部において掬い上げられ、底部28cにおいて保持される。底部28cに保持される粒状体Rは、上昇移動するバケット28によって本体ケース22の上部まで搬送され、排出口23から排出される。このように、投入口21から投入された粒状体Rの多くは、バケット28によって充分に搬送され、排出口23から排出されるが、バケット28によって掬い切れない粒状体Rは、本体ケース22の下部(隙間22c)に滞留することとなる。そこで、図3に示すように、スクレーパバケット30のスクレーパ部材31によって隙間22cに滞留する粒状体Rを掬い上げる。図4に示すように、掬い上げられた粒状体Rは、スクレーパ部材31に連設される開口縁部32bによって一旦受けられるが、スクレーパバケット30の上昇移動によって、開口縁部32bに連設される開口部32eからスクレーパバケット30外に排出される。すなわち、スクレーパバケット30は、粒状体Rを本体ケース22の下部から掬い上げる機能を有するが、粒状体Rを保持して搬送する機能は有さない。スクレーパバケット30外に排出された粒状体Rは、後続のバケット28によって回収されて本体ケース22の上部まで搬送される。後続のバケット28によって回収されなかった粒状体Rは、再び本体ケース22の下部(隙間22c)に滞留することとなるが、もう一方のスクレーパバケット30によって再度掬い上げることで後続のバケット28によって回収される。
【0037】
ここで、昇降機20の運転開始時に、スクレーパバケット30が本体ケース22の下部に位置する場合(スクレーパ部材31が本体ケース22の最下部付近に位置する場合)には、スクレーパバケット30が上昇移動することで、スクレーパ部材31によって粒状体Rを掬い上げて、スクレーパ部材31及び開口端部30bにて粒状体Rを受けることとなるが、その後、粒状体Rは、開口部32eを通過してスクレーパバケット30外に排出されるため、スクレーパバケット30自体に大きな負荷は掛からない。そのため、スクレーパバケット30を昇降移動させるモータ29(上部プーリ25を回転駆動させるモータ29)に定常運転時以上の強い負荷が発生しない。
【0038】
以上のように、粒状体搬送用の昇降機20及びスクレーパバケット30においては、昇降機20の運転開始時に、スクレーパバケット30によって掬い上げられる粒状体Rがスクレーパバケット30の開口部32eを通過することから、昇降機20の運転開始時におけるスクレーパバケット30自体に掛かる負荷が軽減される。そのため、昇降機20の運転開始時におけるモータ29の負荷を軽減することができ、使用するモータ29の容量を下げることができる。また、昇降機20の運転開始時におけるスクレーパバケット30自体に掛かる負荷が軽減されることで、スクレーパバケット30を保持するベルト27が上部プーリ25に対してスリップし難い状態となり、ベルト27の消耗を抑えることができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、粒状体Rの通過可能部分であるスクレーパバケット30の開口部32eを、背面部32aと開口縁部32bと側面部32c、32dとのそれぞれの縁部を組み合わせて形成しているが、これに限定されるものではなく、開口部32eの一部分を塞いでも構わない(例えば、開口部32eの側面部32c側半分又は開口部32eの側面部32d側半分、或いは開口部32eの中央部分のみに粒状体Rの通過可能な開口部を設ける。)。
【0040】
また、本実施の形態では、スクレーパバケット30おける粒状体Rの通過可能部分(開口部32e)をバケット部材32に設けているが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、スクレーパバケット30おける粒状体Rの通過可能部分をスクレーパ部材31に設けても構わない。
【0041】
この場合、図6(a)に示すように、一対のスクレーパバケット30のうちの一方のスクレーパバケット30に設けられているスクレーパ部材31に、その一方側(図6(a)では右側)を切り欠いた右側切欠き部31e(「粒状体の通過可能部分」の一例)を形成する。また、図6(b)に示すように、一対のスクレーパバケット30のうちの他方のスクレーパバケット30に設けられているスクレーパ部材31に、その他方側(図6(b)では左側)を切り欠いた左側切欠き部31f(「粒状体の通過可能部分」の一例)を形成する。
【0042】
スクレーパ部材31に右側切欠き部31e又は左側切欠き部31fを設けた場合には、昇降機20の運転開始時に、スクレーパバケット30が本体ケース22の下部に位置する場合には、スクレーパバケット30が上昇移動することで、スクレーパ部材31によって粒状体Rを掬い上げて、スクレーパ部材31及び開口端部30bにて粒状体Rを受けることとなるが、スクレーパ部材31の右側切欠き部31e及び左側切欠き部31fでは、粒状体Rを掬い上げないため、スクレーパ部材31全体で粒状体Rを掬い上げる場合と比べてスクレーパバケット30自体に掛かる負荷が少なくなる。
【0043】
また、スクレーパ部材31に右側切欠き部31e又は左側切欠き部31fを設けた場合には、スクレーパ部材31によって掬い上げた粒状体Rを底部32fで保持可能なため、スクレーパバケット30に、粒状体Rを掬い上げる機能と、粒状体Rを保持して搬送する機能と、の両機能を持たせつつ、スクレーパバケット30自体に掛かる負荷を少なくすることができる。
【0044】
さらに、スクレーパ部材31に右側切欠き部31e又は左側切欠き部31fを設けた場合には、右側切欠き部31eを有するスクレーパバケット30では掬い上げ切れなかった粒状体Rを、左側切欠き部31fを有するスクレーパバケット30によって掬い上げることができるため、本体ケース22の隙間22cに滞留する粒状体Rを充分に掬い上げることができる。
【0045】
また、本実施の形態では、本体ケース22内に滞留する粒状体Rを掬い上げるためのスクレーパを、スクレーパ部材31と、バケット部材32とから構成されるスクレーパバケット30としているが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、スクレーパ部材31と、スクレーパ部材31をベルト27に対して保持する保持部材31Aと、から構成されるスクレーパ30Aを上記スクレーパとしても構わない。この場合、保持部材31Aの両側に、スクレーパ部材31によって掬い上げられる粒状体Rが通過可能な通過可能部分31Bを形成する。
【0046】
なお、図7のスクレーパ30Aでは、保持部材31Aをスクレーパ部材31の長手方向の中央部に設けているが、これに限定されるものではなく、2本の保持部材31Aをスクレーパ部材31の長手方向の両側にそれぞれ配置して、2本の保持部材31A間に通過可能部分31Bを形成しても構わない。
【0047】
さらに、図7のスクレーパ30Aでは、スクレーパ部材31を保持部材31Aによって保持しているが、これに限定されるものではなく、スクレーパ部材31自体を直接ベルト27に取り付けたものを上記スクレーパとしても構わない。この場合、スクレーパ部材31自体に、粒状体Rが通過可能な通過可能部分を形成する。
【符号の説明】
【0048】
20 粒状体搬送用の昇降機
22 本体ケース
25 上部プーリ
26 下部プーリ
27 ベルト
28 バケット
30 スクレーパバケット(スクレーパ)
32e 開口部(通過可能部分)
R 粒状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7