(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】インキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、およびそれを用いた可逆熱変色性水性インキ組成物
(51)【国際特許分類】
C09B 67/08 20060101AFI20240627BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240627BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20240627BHJP
C09D 11/037 20140101ALI20240627BHJP
C09D 11/322 20140101ALI20240627BHJP
C09K 9/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
C09B67/08 A
B41J2/01 501
C09B67/20 F
C09B67/20 L
C09D11/037
C09D11/322
C09K9/02 C
(21)【出願番号】P 2020553420
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2019041460
(87)【国際公開番号】W WO2020085358
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-09-27
(31)【優先権主張番号】P 2018200430
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019029497
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】三田 真之
(72)【発明者】
【氏名】若木 格
【審査官】桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-094554(JP,A)
【文献】特開2017-226143(JP,A)
【文献】国際公開第2015/129616(WO,A1)
【文献】特開2013-132835(JP,A)
【文献】特開2012-177098(JP,A)
【文献】特開2002-363456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 67/08
B41J 2/01
C09B 67/20
C09D 11/037
C09D 11/322
C09K 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロカプセル顔料と、水と、分散剤とを含む可逆熱変色性水性インキ組成物であって、
前記マイクロカプセル顔料が、(a)電子供与性呈色性有機化合物、(b)電子受容性化合物、および(c)前記(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体を含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセルが、0.55~1.73μmの体積平均粒子径を有し、かつ、最大粒子径が
4μm以下であり、
前記マイクロカプセルが、水と前記マイクロカプセルのみからなるマイクロカプセル分散液中において、20℃、pH値7の条件下
のゼータ電位が6.3~18.3であるものであり、
前記分散剤が、負の電荷を帯びる官能基を構造に有するものであり、
20℃下、BL型粘度計を用いて、回転数30rpmで測定した粘度が2~30mPa・sである、可逆熱変色性水性インキ組成物。
【請求項2】
前記マイクロカプセルが0.55~1.02μmの体積平均粒子径を有する、請求項
1に記載の
インキ組成物。
【請求項3】
前記分散剤が、スチレン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、オレフィン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、アクリル系高分子化合物、スチレン-アクリル酸共重合体からなる群から選択される、請求項1または2に記載のインキ組成物。
【請求項4】
前記分散剤が、側鎖にカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子化合物である、請求項1~3のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項5】
前記分散剤の含有量が、前記インキ組成物の総質量を基準として、0.01~2質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のインキ組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のインキ組成物を収容してなる、インク容器。
【請求項7】
複数の、請求項6に記載のインク容器で構成された、インク容器セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、発色性に富み、高精細な像を形成可能とするインキ用可逆熱変色性水性マイクロカプセル顔料に関するものである。また、本発明は、前記マイクロカプセル顔料を用いたインキ組成物、および前記インキ組成物を収容したインク容器にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、可逆熱変色性を有するインキ組成物は鮮明性に優れ、温度によって異なる色を具現できるため、様々な筆記具や印刷機器に利用されている。
このようなインキには、着色剤として、可逆熱変色性成分を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、インキ溶媒に対して不溶で安定性が高く、呈色反応の鋭敏性に優れることからよく用いられる。
【0003】
しかしながら、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、一般的な顔料と比べて粒子径が大きく、インキ中で粗大な凝集物を形成してインキ流路の目詰まりの原因となることがある。インキ流路が目詰まりを起こすとインキ吐出部からのインキ吐出性が低下し、発色性に富み、高精細な像を形成することが難しいことから、インキ中での可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の凝集を抑制することが検討されている。(例えば特許文献1、2参照)
【0004】
特許文献1には、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と水と水溶性多糖類とベントナイトとを含む筆記具用インキ組成物が記載されている。
前記筆記具用インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の分散性に優れ、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の凝集を抑制して筆記具のインキ吐出部からのインキ吐出性が良好とされたものである。
【0005】
また、特許文献2には、可逆熱変色性を有するマイクロカプセル顔料を着色剤として含むインクジェット用可逆熱変色性インキ組成物が記載されている。
前記インクジェット用可逆熱変色性インキ組成物は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の、プリンタヘッドのノズル(インキ吐出部)からのインキ吐出性に優れ、発色性に富み、高精細な印刷画像が形成可能とされたものである。
【0006】
上記特許文献には、確かにある程度、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の凝集抑制を可能としている。しかしながら、その凝集抑制効果は十分ではなく、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が凝集して、インキ吐出部からのインキ吐出性が低下し、発色性に富み、高精細な像を形成することが難しくなることがあるため、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-97168号公報
【文献】特開2012-158621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記に鑑みて為されたものであり、インキ中での分散性に優れ、インキの流動性を良好としてインキ吐出部からのインキ吐出を容易とし、発色性に富み、高精細な可逆熱変色性の像を形成可能とする、インキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、前記インキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色性水性インキ組成物、および前記水性インキ組成物を収容してなるインク容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、(a)電子供与性呈色性有機化合物、(b)電子受容性化合物、および(c)(a)成分および(b)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体を含んでなる可逆熱変色性組成物を内包してなる可逆熱変色性マイクロカプセルであって、
前記マイクロカプセルが、水と前記マイクロカプセルのみからなるマイクロカプセル分散液中において、20℃、pH値7の条件下、正または負の値のゼータ電位を有することを特徴とする、インキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関するものである。
また、本発明は、前記したインキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、水と、分散剤とを含み、
前記分散剤が、前記マイクロカプセル顔料が有するゼータ電位の値と反対符号の電荷を帯びる官能基を構造に有することを特徴とする、可逆熱変色性水性インキ組成物に関するものである。
また、本発明は、前記した水性インキ組成物を収容してなる、インク容器に関するものである。
また、本発明は、複数の、前記したインク容器で構成された、インク容器セットに関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インキ中での分散性に優れ、インキの流動性を良好としてインキ吐出部からのインキ吐出を容易とし、発色性に富み、高精細な可逆熱変色性の像を形成可能とする、インキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、それを含んでなる可逆熱変色性水性インキ組成物、および前記水性インキ組成物を収容したインク容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型)の変色挙動を示す説明図である。
【
図2】色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(加熱消色型)の変色挙動を示す説明図である。
【
図3】インクジェットプリンターの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において、配合を示す「部」、「%」、「比」などは特に断らない限り質量基準である。
【0013】
本発明はインキ用可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、および可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色性水性インキ組成物(以下、「水性インキ組成物」または「インキ組成物」ともいう)に関するものである。また、本発明は、水性インキ組成物を収容してなるインク容器に関するものでもある。以下、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、および水性インキ組成物を構成する各成分について説明する。
【0014】
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料)
本発明の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(以下、「マイクロカプセル顔料」ともいう)は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物および両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物を内包してなる。
【0015】
マイクロカプセル顔料としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載されている、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1℃から7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包してなるマイクロカプセル顔料を用いることができる(
図1参照)。
【0016】
また、特開2006-137886号公報、特開2006-188660号公報、特開2008-45062号公報、特開2008-280523号公報等に記載されている、大きなヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物を内包してなるマイクロカプセル顔料を用いることもできる。即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t1)以下の低温域での発色状態、または完全消色温度(t4)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t2からt3の間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる(
図2参照)。
【0017】
色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性について説明する。
図2では、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t4(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは消色を開始する温度t3(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは発色を開始する温度t2(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t1(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記t1とt4間の温度域であり、着色状態と消色状態の両状態が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるt2とt3の間の温度域が実質変色温度域である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0018】
完全消色温度t4は、摩擦部材と被筆記面との擦過によって生じる摩擦熱等により消色させる場合、例えば、50℃以上90℃以下であり、好ましくは55℃以上85℃以下、より好ましくは60℃以上80℃以下の範囲にあり、完全発色温度t1は冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度とすることができ、例えば、0℃以下であり、好ましくは-50℃以上-5℃以下、より好ましくは-50℃以上-10℃以下の範囲にある。
【0019】
以下に電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物および反応媒体について説明する。電子供与性呈色性有機化合物は、色調を決める成分であって、電子受容性化合物に電子を供与して、発色する化合物である。電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、ビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらのうちフタリド化合物およびフルオラン化合物からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0020】
フタリド化合物としては、例えばジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体などが挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、ならびにそれらの誘導体が好ましい。また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体が挙げられる。
【0021】
以下にこれらの化合物を例示する。
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアミノ)-6-ジブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジペンチルアミノフルオラン、
2-(ジベンジルアミノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-ジエチルアミノフルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2-ベンツ-6-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)フルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジエチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジ-n-ブチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(ジエチルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジ-n-ブチルアミノ)-8-(N-エチル-N-i-アミルアミノ)-4-メチル、
スピロ〔5H-(1)ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1’(3’H)イソベンゾフラン〕-3’-オン,2-(ジブチルアミノ)-8-(ジペンチルアミノ)-4-メチル、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジメチルアミノ)-2-メトキシフェニル〕-3-(1-ブチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-〔4-(ジエチルアミノ)-2-エトキシフェニル〕-3-(1-ペンチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-[4-(ジエチルアミノ)-2-メチルフェニル]-3-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3’,6’-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
3’,6’-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-〔9H〕キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2’-エチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2’,4’-ジエチルオキシフェニル)-4-(4’-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4’-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシ-キナゾリン、
4,4’-(エチレンジオキシ)-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕等を挙げることができる。
【0022】
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する前記化合物の他、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共にラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、クロロ基等のハロゲン原子)を有する青色や黒色を呈する化合物であってもよい。
【0023】
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して電子供与性呈色性有機化合物を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類、ポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基およびそのエステルまたはアミド基、ハロゲン基等を有する化合物、およびビス型、トリス型フェノール等のフェノール-アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。また、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
【0024】
電子受容性化合物の具体例としては、フェノール、o-クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、p-クロロフェノール、p-ブロモフェノール、o-フェニルフェノール、p-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、p-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシフェニル-4-イソプロポキシフェニルスルホン、4-ベンジルオキシフェニル-4-ヒドロキシフェニルスルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、4-t-ブチル-2’,4’-ジヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
【0025】
フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸および炭素数2から5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステルおよびそれらの金属塩、1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0026】
電子供与性呈色性有機化合物および電子受容性化合物による呈色反応の生起温度を決める反応媒体について説明する。反応媒体としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類等の化合物が挙げられる。これらの化合物を用いてマイクロカプセル化および二次加工に応用する場合は、低分子量の化合物では高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0027】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効である。具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
【0028】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられる。具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、ptert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
【0029】
飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、および不飽和脂肪酸または分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるかまたは炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステルから選ばれるエステル化合物も有効である。具体的には、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
【0030】
更に、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコールまたはフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールまたはエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコールまたは分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が挙げられる。
【0031】
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコールまたはn-ヘプチルアルコールと炭素数10から16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17から23の脂肪酸エステル化合物も有効である。具体的には、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等が挙げられる。
【0032】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効である。具体的には、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
【0033】
ケトン類として更には、総炭素数が12から24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
【0034】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効である。具体的には、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0035】
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等が挙げられる。
【0036】
また、反応媒体として、下記式(1)で示される化合物を用いることもできる。
【0037】
【0038】
式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは0から2の整数を示し、X1、X2のいずれか一方は-(CH2)nOCOR2または(CH2)nCOOR2、他方は水素原子を示し、nは0から2の整数を示し、R2は炭素数4以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、Y1およびY2は水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基またはハロゲン原子を示し、rおよびpは1から3の整数を示す。
【0039】
前記式(1)で示される化合物のうち、R1が水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にR1が水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物が用いられる。
【0040】
【0041】
式(2)中のRは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10から24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12から22のアルキル基である。
【0042】
式(2)で示される化合物として具体的には、オクタン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸-4-ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
【0043】
更に、反応媒体として、下記式(3)で示される化合物を用いることもできる。
【0044】
【0045】
式(3)中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、mおよびnはそれぞれ1から3の整数を示し、XおよびYはそれぞれ水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基またはハロゲン原子を示す。
【0046】
式(3)で示される化合物として具体的には、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチルを例示できる。
【0047】
更に、反応媒体として下記式(4)で示される化合物を用いることもできる。
【0048】
【0049】
式(4)中、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基またはハロゲン原子のいずれかを示し、mは1から3の整数を示し、nは1から20の整数を示す。
【0050】
式(4)で示される化合物としては、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
【0051】
更に、反応媒体として下記式(5)で示される化合物を用いることもできる。
【0052】
【0053】
式(5)中、Rは炭素数1から21のアルキル基またはアルケニル基を示し、nは1から3の整数を示す。
【0054】
式(5)で示される化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0055】
更に、反応媒体として下記式(6)で示される化合物を用いることもできる。
【0056】
【0057】
式(6)中、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基またはハロゲン原子のいずれかを示し、mは1から3の整数を示し、nは1から20の整数を示す。
【0058】
式(6)で示される化合物としては、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステルを例示できる。
【0059】
更に、反応媒体として下記式(7)で示される化合物を用いることもできる。
【0060】
【0061】
式(7)中、Rは炭素数4から22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基または炭素数4から22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から4のアルコキシ基またはハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す。
【0062】
式(7)で示される化合物としては、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチルを例示できる。
【0063】
更に、反応媒体として下記式(8)で示される化合物を用いることもできる。
【0064】
【0065】
式(8)中、Rは炭素数3から18のアルキル基または炭素数3から18の脂肪族アシル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から3のアルキル基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子またはメチル基のいずれかを示し、Zは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1若しくは2のアルコキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示す。
【0066】
式(8)で示される化合物としては、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテルを例示できる。
【0067】
更に、反応媒体として下記式(9)で示される化合物を用いることもできる。
【0068】
【0069】
式(9)中、Rは炭素数4から22のアルキル基、炭素数4から22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、またはシクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す。
【0070】
式(9)で示される化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルのp-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸ドデシルのo-メトキシ安息香酸エステル、p-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステルを例示できる。
【0071】
更に、反応媒体として下記式(10)で示される化合物を用いることもできる。
【0072】
【0073】
式(10)中、Rは炭素数3から18のアルキル基、炭素数6から11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5から7のシクロアルキル基、または炭素数3から18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、炭素数1から3のアルコキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1から4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、またはハロゲン原子のいずれかを示す。
【0074】
式(10)で示される化合物としては、p-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、p-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテルを例示できる。
【0075】
更に、反応媒体として下記式(11)で示される化合物を用いることもできる。
【0076】
【0077】
式(11)中、Rは炭素数3から8のシクロアルキル基または炭素数4から9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1から3の整数を示す。
【0078】
式(11)で示される化合物としては、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステルを例示できる。
【0079】
更に、反応媒体として下記式(12)で示される化合物を用いることもできる。
【0080】
【0081】
式(12)中、Rは炭素数3から17のアルキル基、炭素数3から8のシクロアルキル基、または炭素数5から8のシクロアルキルアルキル基を示し、Xは水素原子、炭素数1から5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、またはハロゲン原子を示し、nは1から3の整数を示す。
【0082】
式(12)で示される化合物としては、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
【0083】
また、電子受容性化合物として炭素数3~18の直鎖または側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物およびそれを内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(可逆熱変色性顔料)を適用することもできる。
【0084】
可逆熱変色性組成物は、電子供与性呈色性有機化合物、電子受容性化合物および反応媒体を必須成分とする相溶体である。各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類等に応じて適宜選択すればよい。一般的に所望の特性が得られる成分比は、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して、電子受容性化合物が0.1から100質量部、好ましくは0.1から50質量部、より好ましくは0.5から20質量部であり、反応媒体が5から200質量部、好ましくは5から100質量部、より好ましくは10から100質量部の範囲である。
【0085】
マイクロカプセル顔料は、必要に応じて各種光安定剤を更に含んでいてもよい。光安定剤は、可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、電子供与性呈色性有機化合物1質量部に対して0.3質量部以上24質量部以下、好ましくは0.3質量部以上16質量部以下の割合で含有される。又、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、電子受容性化合物の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。又、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。光安定剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
【0086】
可逆熱変色性組成物は、マイクロカプセルに内包させることによって可逆熱変色性マイクロカプセル顔料として用いられる。尚、マイクロカプセル化の方法には、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させたりして実用に供することもできる。また、二次的な樹脂皮膜を設けたり、表面特性を改質させることによりマイクロカプセル顔料のゼータ電位を変動させることもできる。
【0087】
マイクロカプセル顔料は、内包物/壁膜=7/1から1/1(質量比)の範囲であることが好ましく、壁膜の比率が前記範囲内にあることにより、発色時の色濃度および鮮明性の低下を防止することができ、より好適には、内包物/壁膜=6/1から1/1(質量比)である。
なお、マイクロカプセル顔料のゼータ電位は、マイクロカプセル顔料の内包物と壁膜との質量比を調整することによっても、変動させることができる。
【0088】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成できる。
【0089】
マイクロカプセル顔料は、20℃、pH値7の条件下、正または負の値のゼータ電位を有する。
マイクロカプセル顔料が、水とマイクロカプセル顔料のみから成るマイクロカプセル顔料分散液中で正または負の値のゼータ電位を有するため、マイクロカプセル顔料と、後述する分散剤とを組み合わせることで、インキ中におけるマイクロカプセル顔料の分散性を良好とし、優れたインキ流動性を奏する、水性インキ組成物とすることができる。ゼータ電位が0mVであると、マイクロカプセル顔料の分散性が低下し、凝集物が形成しやすくなる。
【0090】
水は純水を用いることが理想ではあるが、イオン交換水を用いることもできる。
イオン交換水には、蒸留水をイオン交換することによって生成された、25℃において1000μS/m未満の電気伝導率を有するイオン交換水を用いる。
イオン交換水を生成する装置としては、(製品名:純水製造装置AutostillWA33、ヤマト科学株式会社製)などのイオン交換水生成装置を用いることが可能である。
また、イオン交換水は、不純物を濾過処理した水道水をイオン交換することによって生成された、電気伝導率を有するイオン交換水が使用可能である。
イオン交換を施す水道水は、濾過処理を行っていない水道水であってもよい。
【0091】
マイクロカプセル顔料のゼータ電位の値は、マイクロカプセル顔料の分散性および熱変色を良好とすることを考慮すれば、マイクロカプセル顔料分散液の温度20℃、pH値を7(pH値6.5以上7.5未満は、pH値7とみなす。より現実的には、pH値6.8以上7.2以下を、pH値7とみなす。)とした時に、0<|ζ|≦20mVであることが好ましく、1≦|ζ|≦15mVであることがより好ましい。さらに好ましくは、2≦|ζ|≦10mVであり、3≦|ζ|≦10mVが特に好ましい。
本発明において、ゼータ電位の測定データ数20個の数平均値が、-0.04mV~0.04mVの範囲である場合は、ゼータ電位値は実質的に0mVとみなすものとする。
【0092】
マイクロカプセル顔料のゼータ電位は、流動電位法により、測定された流動電位から算出する。流動電位の測定、およびゼータ電位の算出には、製品名:流動電位測定装置 Stabino PMX400、マイクロトラック・ベル株式会社製が用いられる。
【0093】
ゼータ電位の値が前記範囲内であると、(a)、(b)、および(c)成分による熱変色機能において(a)、(b)、および(c)成分間の電子の授受に影響を与えることが少ないため、変色感度を損なったり、消色時に色残り等の残色を生じにくい。
また、本発明はマイクロカプセル顔料とインキ組成物中で高いゼータ電位の絶対値を有する添加剤とを組み合わせたとしても不具合を生じることが少ないため、ゼータ電位の値が大小様々な添加剤を用いる自由度があり、安定したインキを調整することができる。
【0094】
マイクロカプセル顔料は、0.1~5μmの体積平均粒子径(メジアン径)を有し、かつ、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないことが好ましい。このようなマイクロカプセル顔料は、着色力に優れ、インキに用いた際にインキ組成物の流動性が良好となるため、インキ吐出性および像の発色性をより良好とすることができる。
尚、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子含まないとは、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子が目詰まりの要因となり易いため、実質上影響を与えるものは含まないようにコントロールするということである。なお、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まない本発明のインキについて、後述するように体積平均粒子径の上限値が4μm以下の場合は6μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まれず、体積平均粒子径の上限値が3μm以下の場合は4μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まれないことが好ましい。
【0095】
マイクロカプセル顔料は一般の顔料と比べて粒子径が大きいため、粒子径によってはインキ流路で目詰まりが生じることがある。また、粒子径が過度に小さいマイクロカプセル顔料を用いた場合には、目詰まりを抑制できるものの、マイクロカプセル顔料の着色力が低いため、像の発色性が低下する傾向にある。
さらに、マイクロカプセル顔料が、目詰まりを生じず、十分な着色力を有する程度の粒子径を有しているとしても、その粒子径のばらつきによっては、インキ流動性を良好とし難く、高精細な像の形成が難しくなる傾向にある。
【0096】
このため、マイクロカプセル顔料の平均粒子径、および粒子径を前記した範囲とすることにより、マイクロカプセル顔料の着色力を良好とし、マイクロカプセル顔料を用いたインキの流動性を高めることができるため、発色性に富み、高精細な像を形成することが容易となる。
特に、像を形成する装置としてインクジェットプリンターを用いる場合、インクジェットプリンターは、プリンタヘッドに小さい内径を有するインキ流路とインキ吐出部を備えるが、前記の平均粒子径および粒子径を有するマイクロカプセル顔料は、インキ流路やインキ吐出部で目詰まりを起こしにくいため、インキ吐出性を良好とすることができる。
また、インクジェットプリンターで高精細な画像を形成する際、インク吐出部から均一径を有する微細なインキ液滴が吐出されることが、被印刷面へのインキ液滴の着弾精度を良好とするため望ましいが、平均粒子径および粒子径を有するマイクロカプセル顔料は、粒子径のばらつきが小さいことから均一で微細なインキ液滴を形成しやすく、高精細な印刷画像を形成することが容易となる。
【0097】
マイクロカプセル顔料の着色力およびインキ吐出性を良好とし、インキ吐出の際に均一径を有する液滴を形成容易とすることをより考慮すれば、マイクロカプセル顔料は、体積平均粒子径の上限値を好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下とする。上限値を上記のように特定するのはマイクロカプセル顔料が2μm程度であれば実質的な色濃度を確保できるが、より大きい方が色濃度を確保し易いためであり、ある程度大きな粒子が一定体積以上存在すると連続吐出安定性と目詰まりの防止、沈降防止の観点等から好ましくないため、体積平均粒子径は5μm以下が必須となる。また、同様の理由により上限値は4μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましい。
さらに、体積平均粒子径の下限値は好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上とする。下限値を上記のように特定するのは、発色性の観点から0.1μm以上である必要があり、それ未満では十分な色濃度が得られ難い。更に、同様の理由により下限値は0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましい。
【0098】
インキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料の具体例としては、体積平均粒子径(メジアン径)が0.1~5.0μmであり、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.3~5.0μmであり、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.5~5.0μmであり、8μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.1~4.0μmであり、6μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.3~4.0μmであり、6μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.5~4.0μmであり、6μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.1~3.0μmであり、4μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、体積平均粒子径が0.3~3.0μmであり、4μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料、および体積平均粒子径が0.5~3.0μmであり、4μmを超える粒子径を有するマイクロカプセル顔料粒子を含まないマイクロカプセル顔料を挙げることができる。
【0099】
インクジェットプリンターによる印刷画像を、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、およびブラック色等の多色のインキや、変色温度が異なる同一色の多色のインキ組成物を用いて形成する場合、全てのインキが良好に吐出されないと高精細で多彩な色合いを有する印刷画像を形成したり、温度変化により様相が変化する印刷画像を形成し難くなる。しかしながら、各色のインキ組成物に含まれるマイクロカプセル顔料の平均粒子径および粒子径を前記とすることで、各インキ組成物の着色性、インキ吐出性、およびインキ吐出時の均一径を有する液滴形成性を良好とするため、発色性に優れ、高精細な印刷画像を形成したり、温度変化により様相が変化する印刷画像を形成することが可能となる。
【0100】
尚、粒子径および体積平均粒子径の測定は、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定した値である。
また、全ての粒子或いは大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製、製品名:Multisizer 4e)を用いてコールター法により等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することも可能である。
さらに、標準試料またはコールター法による測定装置を用いて計測した数値を基にしてキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)を用いて、体積基準の粒子径および平均粒子径(メジアン径)を測定しても良い。
【0101】
マイクロカプセル顔料の形態は円形断面の形態の他、非円形断面の形態であってもよい。
【0102】
マイクロカプセル顔料は、1種を単独で、または2種以上を併用することができる。
2種以上のマイクロカプセル顔料を併用した混合物を用いる場合、その混合物における平均粒子径、および粒子径は、前記した範囲を満たすことが好ましい。
【0103】
(インキ組成物)
本発明によるインキ組成物は、マイクロカプセル顔料と、水と、分散剤とを少なくとも含み、マイクロカプセル顔料の分散性に優れ、インキの流動性を良好としてインキ吐出部からのインキ吐出を容易とし、発色性に富み、高精細な可逆熱変色性の像を形成可能とする。
【0104】
マイクロカプセル顔料の含有量は、インキ組成物の総質量を基準として、例えば、3質量%以上30質量%以下であり、好ましくは5質量%以上20質量%以下、より好ましくは10質量%以上15質量%以下である。マイクロカプセル顔料の含有率が上記範囲内であると、マイクロカプセル顔料の凝集を抑制し、インキ吐出部からのインキ吐出性を良好としやすい。
【0105】
(分散剤)
分散剤は、インキ組成物中でマイクロカプセル顔料の有するゼータ電位の値と反対符号の電荷を帯びる官能基を構造に有するものである。
分散剤は、官能基がマイクロカプセル顔料表面に強く吸着することにより、マイクロカプセル顔料同士が接近して凝集することを抑制し、マイクロカプセル顔料の分散性を高めて、インキ流動性を良好とする。
このため、マイクロカプセル顔料の凝集物によるインク流路の目詰まりが抑制されてインク吐出部からのインキ吐出が良好となるため、発色性に富み、高精細な像を形成することが可能となる。
【0106】
分散剤の具体例としては、負の電荷を帯びる官能基を構造に有する物質として、スチレン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、オレフィン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、アクリル系高分子化合物、スチレン-アクリル酸共重合体等の合成樹脂等を挙げることができる。
正の電荷を帯びる官能基を構造に有する物質としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等のジアルキルアミノアクリル酸エステル、ジメチルアミノエチルメタアクリレート等のジアルキルアミノメタアクリル酸エステル、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、メチルエチルアミノスチレン等のジアルキルアミノスチレンおよびその4級アンモニウム誘導体、メタクリロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等のモノマーと前述の不飽和ビニルモノマー(カチオン性樹脂エマルジョンを乳化重合で得る際に使用するものとして例示したもの)との共重合体等を挙げることができる。
【0107】
分散剤の中でも、マイクロカプセル顔料の分散性をより良好とすることを考慮すれば、負の電荷を帯びる官能基を構造に有する物質としては、オレフィン-マレイン酸共重合体およびそのアルカリ中和物、ならびにアクリル系高分子化合物が好ましく、アクリル系高分子化合物が特に好ましい。アクリル系高分子化合物としては、ポリアクリル酸、アクリル酸マレイン酸共重合体、アクリルウレタン共重合体、およびこれらのアルカリ中和物等の物質を用いることが可能であるが、より好ましくはカルボキシル基を有するアクリル系高分子化合物であり、さらには側鎖にカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子化合物である。特に好ましい分散剤としては、側鎖に複数のカルボキシル基を有する櫛形構造のアクリル系高分子化合物であり、その具体例として製品名:ソルスパース43000、日本ルーブリゾール株式会社製等のアクリル系高分子化合物を挙げることができる。
【0108】
また、正の電荷を帯びる官能基を構造に有する物質としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等のジアルキルアミノアクリル酸エステル、ジメチルアミノエチルメタアクリレート等のジアルキルアミノメタアクリル酸エステルが好ましい。
【0109】
分散剤の含有量は、インキ組成物を過度に増粘することを抑制し、マイクロカプセル顔料の分散性を良好とすることを考慮すれば、インキ組成物の総質量を基準として、0.01~2質量%含まれることが好ましく、0.1~1.5質量%含まれることが好ましい。
【0110】
(添加剤)
インキ組成物は、必要に応じて、以下の成分を含んでも良い。具体的には、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ラジカル重合性化合物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ウレタン樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、アルキッド樹脂、スルフォアミド樹脂、マレイン酸樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢ビ樹脂、塩ビ-酢ビ樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレン-アクリロニトリル樹脂、シアネート変性ポリアルキレングリコール、エステルガム、キシレン樹脂、尿素樹脂、尿素アルデヒド樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン系樹脂やその水添化合物、ロジンフェノール樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、シクロヘキサノン系樹脂などの定着剤、水溶性無機塩、界面活性剤、防腐剤、防さび剤、防黴剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合開始剤、キレート剤、pH調整剤、粘度調整剤、せん断減粘性付与剤等の従来公知の物質が挙げられる。
上記成分の中でも、ラジカル重合性化合物およびラジカル性の重合開始剤をインキ組成物に用いると、印刷画像に光、特にはUV光が照射された際、ラジカル重合性化合物が直ちに重合してインキ組成物が被印刷面に素早く固着するので、印刷画像の定着性をより高めることができる。
【0111】
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、芳香族ビニル類、アリル化合物、N-ビニル化合物、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン、塩化ビニルなど)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、メトキシビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテルなど)、シアン化ビニル((メタ)アクリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロピレンなど)などが挙げられる。なお、本明細書中において、「アクリレート」、「メタクリレート」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と、「アクリル」、「メタクリル」の双方あるいはいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と、それぞれ記載することがある。
【0112】
また、ラジカル性の重合開始剤としては、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物等を挙げることができる。
【0113】
インキ組成物の粘度は、インキ吐出部からインキ組成物を良好に吐出可能であれば、任意の数値に調整可能であるが、好ましくは、回転数が30rpmの条件で測定した場合、2~30mPa・sであることが好ましく、3~20mPa・sであることがより好ましい。
粘度を上記数値とすると、インキ吐出が容易となり、発色性に富み、高精細な像を形成しやすくなる。
なお、粘度は、20℃において、BL型粘度計(製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター、東機産業株式会社製)を用いて測定することができる。
【0114】
インキ組成物の表面張力は、20~50mN/mとすることが好ましく、20~35mN/mとすることが好ましい。表面張力を上記数値範囲内とすることで、インキ組成物の浸透性を高め、像の乾燥性を良好とすることが容易となる。
なお、表面張力は、20℃環境下において、協和界面科学株式会社製の表面張力計測器を用い、ガラスプレートを用いて、垂直平板法によって測定して求められる。
【0115】
インキ組成物のpH値は、インキ組成物の経時安定性を良好とすることを考慮して、20℃において4~8とすることが好ましく、5~7とすることがより好ましい。
【0116】
本発明による水性インキ組成物は、プロペラ攪拌、ホモディスパー、またはホモミキサーなどの各種攪拌機やビーズミルなどの各種分散機などを用いて、製造することができる。
具体的な製法の一例としては、マイクロカプセル顔料と水と添加剤とを混合してマイクロカプセル顔料分散液を調製した後、分散剤を混合する製法を挙げることができる。
また、マイクロカプセル顔料と水と分散剤とを混合した後、添加剤を混合する製法も挙げることができる。
【0117】
本発明による水性インキ組成物は、筆記具、およびインクジェットプリンター印刷機に利用される。
【0118】
(筆記具)
本発明のインキ組成物は、筆記具に好ましく用いられる。
筆記具としては、直液式のボールペン、マーキングペン、万年筆等を例示することができる。
更に、前記筆記具としては、各種チップを筆記先端部に装着し、軸筒内部(インキ貯蔵部)に直接インキを収容し、合成樹脂製の櫛溝状インキ流量調節部材(ペン芯)を介在させる構造を有するマーキングペン、ボールペン、万年筆が挙げられる。
【0119】
前記チップのうち、マーキングペンチップとしては、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、毛筆等が適用でき、ボールペンチップとしては、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属またはプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等が適用できる。尚、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等が適用でき、直径0.1mm~1.0mmの範囲のものが好適に用いられる。
【0120】
また、万年筆形態のチップ(ペン体)としては、ステンレス板、金合金板等の金属板を先細テーパー状に裁断し、屈曲または湾曲したものや、ペン先形状に樹脂成形したもの等が適用できる。尚、前記ペン体には中心にスリットを設けたり、先端に玉部を設けることもできる。
【0121】
ペン芯の材質としては、多数の円盤体を櫛溝状とした構造に射出成形できる合成樹脂であれば汎用のポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体等いずれを用いることもできるが、特に成形性が高く、ペン芯性能が得られやすい点からアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体が好適である。
【0122】
(インクジェットプリンター)
本発明によるインキ組成物は、インクジェットプリンターに用いても良い。
インクジェットプリンターは、インキ組成物を収容するインク収容部と、プリンタヘッドと、インク収容部からプリンタヘッドへインキを供給するインク供給流路と、プリンタヘッドのノズル(インク吐出部)から吐出されなかったインキをプリンタヘッドからインク供給流路へ戻すインク回収流路とを備え、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路を介してインキを循環するものである。
【0123】
インクジェットプリンターは、インキ循環によってインク流路(インク供給流路とインク回収流路を指す)およびプリンタヘッド内でインキが滞留して、マイクロカプセル顔料が凝集することを抑制し、プリンタヘッドのノズルからのインキ吐出性を良好とする。
【0124】
マイクロカプセル顔料の凝集を抑制することをより考慮すれば、プリンタヘッドは、プリンタヘッド内でインキ循環する流路を備えることが好ましい。
プリンタヘッドが上記流路を備えることで、インキ循環の際にプリンタヘッド内においてインキ循環を行い、プリンタヘッドにおけるインキ滞留を抑制することが容易となるため、プリンタヘッド内でマイクロカプセル顔料が凝集することを抑制しやすい。
インクジェットプリンターは、上記した機構を備え、インキ循環が可能であれば、装置の構成に制限はなく、脱気機構、加温機構等を備えていても良い。
【0125】
プリンタヘッドのインク吐出方式としては、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等を適宜採用できる。
【0126】
プリンタヘッドのノズルは、インキ組成物を良好に吐出できる内径を有する。その内径は、印刷画像の発色性および精細さを良好とすることを考慮して、10μ~100μmの内径を有することが好ましく、10~50μmの内径を有することがより好ましい。より好ましいノズルの内径は、10~30μmである。
【0127】
インクジェットプリンターは、インキ組成物がラジカル重合性化合物およびラジカル性の重合開始剤を含む場合、UV光照射部を備えることが好ましい。
上記インキ組成物で形成された印刷画像にUV光を照射することにより、ラジカル重合性化合物が重合してインキ組成物が印刷面に速やかに固着するため、印刷画像の定着性を高めることができる。
さらに、インク収容部は前記インク容器を装着することが可能であっても良い。
【0128】
以下本実施形態に係るインクジェットプリンターの一例を図を用いて説明する。
【0129】
図3は、インク循環機構を備えるインクジェットプリンターの構成の一例を表す概略図である。
図3に示すインク供給装置1は、インク収容部2、プリンタヘッド3、インク供給流路4a、ポンプ5、拭き取り手段6、ヘッドからインクをインク供給流路4aに戻してインキを循環させるインク回収流路4b(プリンタヘッド3より図の左方の流路)を備えている。
プリンタヘッド3は、インキ組成物9を吐出する複数のノズル7のインク吐出部8を一面に形成してあり、圧電素子等によりノズル7内のインキ組成物9を押出すことで、ノズル7のインク吐出口8からインキ組成物9を吐出する。さらに、プリンタヘッド3は、インク供給流路4aからインキ組成物を取入れるインク取入口3bと、インキ組成物をインク回収流路4bに排出するインク排出口3aと、複数のノズル7、インク取入口3bおよびインク排出口3aを連通する内部流路3cとを有している。
【0130】
インク循環経路は、プリンタヘッド3のインク取入口3bとインク排出口3aとをインク流路で繋ぎ、インキ組成物9を循環させる経路である。
図3では、インク供給流路4aと、プリンタヘッド3の内部流路3cと、インク回収流路4bとにより環状経路を形成し、インキ組成物9を循環させる。印刷を停止している間は、プリンタヘッド3内でインキ組成物9のマイクロカプセル顔料が沈降し、マイクロカプセル顔料同士が凝集することを防止するため、環状経路にインキ組成物9を循環させていることが好ましい。インク供給流路4aおよびインク回収流路4bは、例えば、径が1~10mmの管を用いることができ、材質はシリコン系配管を用いることができる。循環経路の1周の長さは、800mm~10mとすることができ、さらに1~9mとすることができ、特に3~8mとすることができる。
【0131】
ポンプ5は、インク供給流路4a内のプリンタヘッド3より上流側に配置され、プリンタヘッド3にインキ組成物9を供給する。プリンタヘッド3にインキ組成物9を供給して、環状経路にインキ組成物9を循環させることで、プリンタヘッド3の内部流路3cのインキ組成物9が流動し、プリンタヘッド3内でインキ組成物9のマイクロカプセル顔料成分が沈降し、マイクロカプセル顔料成分同士が凝集するのを防止することができる。
【0132】
インクジェット印刷中は、ポンプによりインキ組成物を循環させることが好ましい。また、インクジェット印刷停止中は、ノズル吐出部に図示しないキャップをし、インキ組成物を循環させることが好ましい。
【0133】
インクジェットプリンターにより、紙、合成紙、コート紙、プラスチックシート、プラスチック、木材、金属、ガラス等の造形体、布帛、不織布等の任意の対象物に噴射させて適宜印刷像を形成して可逆熱変色性印刷物が得られる。
【0134】
(インク容器)
インキ組成物は、インク容器に収容しても良い。
インク容器としては、インキ組成物を収容可能であれば特に限定されず、様々な構成材料、形態から選択して構成することができる。
構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)等のプラスチック、各種の金属(合金を含む。)、並びにポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、およびポリプロピレン等のポリオレフィンを挙げることができる。また、これらに限らず、上記の各ポリマーを適当な比率で配合あるいはラミネートして得られるポリマーやそのフィルム等であってもよい。
インク容器の形態としては、例えば、パック、ボトル、タンク、ビン、缶等を挙げることができる。
【0135】
インク容器は、容器内に複数のインキ収容室が各々独立するよう設けられ、各室に、各室のインキ同士が互いに異なる色となるよう複数色のインキ組成物が収容されても良い。
また、インク容器は、複数個を組み合わせてインク容器セットとすることもできる。インク容器セットは同色のインクで構成されていても良く、複数色のインクで構成されていても良い。
さらに、インク容器は、インクジェットプリンターに装着し、インク容器からインク流路にインキ組成物を供給することを可能とする構造を有していても良い。
【0136】
以下に実施例を記載する。実施例における以下の数値は、次の測定機を用いて測定することにより得られた数値である。
・マイクロカプセル顔料の平均粒子径および粒子径
本発明における平均粒子径は体積基準による平均粒子径(メジアン径)を用いるが、その粒子径測定にあたっては、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック社製)、コールター法(電気的検知帯法)粒子径測定装置、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)などが使用できる。
なお、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いる場合は、標準試料やコールター法(電気的検知帯法)などの他の測定装置によりキャリブレーションを行った測定装置にて測定を行う。
測定機によって、得られる数値に差が生じる場合は、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアを用いて得られた数値を優先する。
本実施例においては、コールター法(電気的検知帯法)によりキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-300、株式会社堀場製作所製)用いて体積基準による平均粒子径(メジアン径)および粒子径を測定した。ただし、実施例6および実施例14については、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア(マックビュー、マウンテック社製)を用いて体積基準による平均粒子径(メジアン径)および粒子径を測定した。
【0137】
・マイクロカプセル顔料のゼータ電位
本発明におけるゼータ電位は、流動電位測定装置(Stabino PMX400、マイクロトラック・ベル株式会社製)などの測定装置により測定することができる。
上記測定機により、流動電位の測定、ゼータ電位の算出、およびpH値の測定を行う。
なお、ゼータ電位の測定機は、ゼータ電位表示とpHメーターとを連携して、特定のpH値においてゼータ電位を測定できるものであれば使用可能である。
【0138】
・流動電位の測定条件
試料:下記に従って調製されたマイクロカプセル顔料分散液
測定時のサンプル量:10ml
測定時のサンプル温度:20℃
測定機のピストンサイズ:400μm
測定回数:本測定機でpH値が7と測定された時のゼータ電位の測定値が20個得られるまで、同一サンプルを繰り返し測定する
測定値から算出されたゼータ電位(ゼータ電位の測定値20個の数平均値)を、マイクロカプセル顔料のゼータ電位とする。
なお、測定溶媒として水を使用するが、純水、またはイオン交換水生成装置(製品名:純水製造装置AutostillWA33、ヤマト科学株式会社製)で生成された、25℃において1000μS/m未満の電気伝導度を有するイオン交換水を用いることができる。
本実施例においては、イオン交換水生成装置で生成されたイオン交換水を用い、流動電位測定装置により、pH=7のときのゼータ電位を測定した。
【0139】
(マイクロカプセル顔料分散液の調製手順)
1. マイクロカプセル顔料10gとイオン交換水90gとを、ディスパーを用いて、回転数2000rpmで15分間撹拌混合する。
2. 1で得た混合物を、イオン交換水で10倍に希釈する。
3. 2で得た希釈物を、5分間超音波分散する。(完成)
【0140】
・インキ組成物の粘度
製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター、東機産業株式会社製
【実施例】
【0141】
実施例1
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.71μmであり、最大粒子径は2.29μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は、6.3mVであった。
【0142】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.10部および水79.08部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物の粘度を測定した結果、20℃下、回転速度30rpmにおいては5.46mPa・sであった。
【0143】
上記水性インキ組成物をインク容器(万年筆用カートリッジ:製品名IRF-12S、パイロットコーポレーション製)に収容した。
インク容器を万年筆(製品名:カクノ、株式会社パイロットコーポレーション製)に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認され、輪郭が明瞭であった。
【0144】
実施例2
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料としてクレゾールノボラック型エポキシ樹脂10.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ゼラチン水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン5.0部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液を遠心分離機により粗大粒子を取り除いた後、フィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.71μmであり、最大粒子径は2.60μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が6.9のときのゼータ電位は、18.3mVであった。
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
【0145】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(グリコール酸)0.20部および水78.98部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0146】
上記水性インキ組成物を実施例1で用いた万年筆と同種の万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認され、輪郭が明瞭であった。
【0147】
実施例3
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0148】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.05部および水79.13部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0149】
上記水性インキ組成物を実施例1で用いた万年筆と同種の万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認され、輪郭が明瞭であった。
【0150】
実施例4
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0151】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシドナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(グリコール酸)0.30部および水78.88部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0152】
上記水性インキ組成物を万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認され、輪郭が明瞭であった。
【0153】
実施例5
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は5.26μmであり、最大粒子径は7.69μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は、4.8mVであった。
【0154】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.10部および水79.08部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0155】
上記水性インキ組成物を実施例1で用いた万年筆と同種の万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認されたが、若干のかすれが生じ、輪郭が一部不明瞭であった。
【0156】
実施例6
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、12%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.05μmであり、最大粒子径は0.61μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は6.8mVであった。
【0157】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.10部および水79.08部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0158】
上記水性インキ組成物を実施例1で用いた万年筆と同種の万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡は、輪郭が明瞭であったが、色が若干薄かった。
【0159】
実施例7
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は1.73μmであり、最大粒子径は9.94μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は2.8mVであった。
【0160】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.10部および水79.48部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
【0161】
上記水性インキ組成物を実施例1で用いた万年筆と同種の万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認されたが、若干のかすれが生じ、輪郭が一部不明瞭であった。
【0162】
実施例8
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0163】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン12.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.10部および水77.08部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物の粘度をBL型粘度計(製品名:TVB-M型粘度計、L型ローター、東機産業株式会社製)を用いて測定した結果、20℃下、回転速度30rpmにおいては6.74mPa・sであった。
【0164】
水性インキ組成物を、多数の円盤体が櫛溝状の間隔を開け並列配置され、前記円盤体を軸方向に縦貫するスリット状のインキ誘導溝および該溝より太幅の通気溝が設けられ、軸心にインキ貯蔵部からペン先へインキを誘導するためのインキ誘導芯が配置されてなるペン芯を介してボールペン形態のペン先へインキを誘導する直液式ボールペン(製品名:ハイテックポイントV5グリップ、株式会社パイロットコーポレーション製)に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認され、輪郭が明瞭であった。
【0165】
実施例9
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0166】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン15.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシド,ナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部、pH調整剤(クエン酸)0.10部および水74.08部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物の粘度を測定した結果、20℃下、回転速度30rpmにおいては9.12mPa・sであった。
【0167】
水性インキ組成物を、軸筒内に繊維集束体からなるインキ吸蔵体を内蔵し、毛細間隙が形成された、熱溶融性繊維の融着加工体からなるマーキングペンチップを軸筒に装着してなり、インキ吸蔵体とチップが連結されてなるマーキングペンのインキ吸蔵体に含浸させ、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像(筆跡)は消色し、-25℃以下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡からは、良好な発色が視認され、輪郭が明瞭であった。
【0168】
実施例10
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0169】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物の粘度を測定した結果、20℃下、回転速度30rpmにおいては5.68mPa・sであった。
水性インキ組成物は、インク容器(ポリプロピレン製のボトル)に収容した。
【0170】
(インクジェットプリンター)
インク収容部と、印刷画像にUV光照射するためのUV光照射部を備えたプリンタヘッドと、インク収容部からプリンタヘッドへインキを供給するためのインク供給流路と、プリンタヘッドのインキをプリンタヘッドから前記インク供給流路へ戻すためのインク回収流路とを備え、インク収容部、プリンタヘッド、インク供給流路、およびインク回収流路とを接続し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路を介してインキ循環を可能とするインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に前記水性インキ組成物を収容した。
【0171】
プリンタヘッドは、25μmの内径を有するノズルと、インク供給流路から前記インキ組成物を取入れるインク取入口と、インキ組成物をインク回収流路に排出するインク排出口と、ノズル、インク取入口、およびインク排出口を連通するプリンタヘッド内部流路とを備える。
【0172】
循環機構は、プリンターのインク収容部からプリンタヘッドまでのインク供給流路において、インク収容部の直後からプリンタヘッド直前までの間に、ポンプとインク回収流路を接続してインク循環を可能なものとした。流路内のインキ組成物の流速(以下、「インキ流速」という。)は、ポンプにより制御した。インク供給流路およびインク回収流路は、シリコンゴム製とした。
【0173】
インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)への印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、前記循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で消色前の状態(マゼンタ色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0174】
実施例11
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー35.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、8%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は1.02μmであり、最大粒子径は3.91μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は6.8mVであった。
【0175】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0176】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0177】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、前記循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で使用前の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0178】
実施例12
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、12%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.55μmであり、最大粒子径は1.55μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は8.2mVであった。
【0179】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0180】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0181】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で使用前の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0182】
実施例13
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例5と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0183】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0184】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0185】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で使用前の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認されたが、若干のかすれが生じ、始点、終点、および輪郭が一部不明瞭であった。
【0186】
実施例14
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例6と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0187】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0188】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0189】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25以下で使用前の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字は、始点、終点、および輪郭が明瞭であったが、色が若干薄かった。
【0190】
実施例15
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例7と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0191】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0192】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0193】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で使用前の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認されたが、若干のかすれが生じ、始点、終点、および輪郭が一部不明瞭であった。
【0194】
実施例16
(マイクロカプセル顔料および水性インキ組成物の調製)
実施例10のマイクロカプセル顔料、および水性インキ組成物を用いた。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0195】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターにインキ組成物を収容した。
【0196】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コート紙、製品名:雷鳥コート、中越化学工業株式会社製)に印字を行ない、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印刷の際、循環機構を作動し、インク流路およびプリンタヘッドのインキを流動させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で使用前の状態(マゼンタ色の印字が形成された状態)に戻った。再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0197】
実施例17
(マイクロカプセル顔料および水性インキ組成物の調製)
実施例10のマイクロカプセル顔料、および水性インキ組成物を用いた。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0198】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0199】
上記インクジェットプリンターを用いて記録体(樹脂板、肉厚5mm、アクリル樹脂製)に印字を行ない、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印刷の際、循環機構を作動し、インク流路およびプリンタヘッドのインキを流動させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加熱すると可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で印刷直後の状態(マゼンタ色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録体をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録体を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0200】
実施例18
(マイクロカプセル顔料および水性インキ組成物の調製)
実施例10のマイクロカプセル顔料、および水性インキ組成物を用いた。
前記水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0201】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に前記インキ組成物を収容した。
【0202】
上記インクジェットプリンターを用いて記録体(ポリプロピレン製樹脂ボトル)の側壁に印字を行ない、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印刷の際、循環機構を作動し、インク流路およびプリンタヘッドのインキを流動させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上のお湯を注入すると可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で印刷直後の状態(マゼンタ色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録体をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録体を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0203】
実施例19
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として7-[2-(アセチルアミノ)-4-(ジエチルアミノ)フェニル]-7-(2-メチル-1-プロピル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン3.0部、(b)成分として1,1′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)n-ノナン15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.73μmであり、最大粒子径は2.60μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりシアン色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が6.9のときのゼータ電位は7.6mVであった。
【0204】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0205】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に前記インキ組成物を収容した。
【0206】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字を行ない、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印刷の際記循環機構を作動し、インク流路およびプリンタヘッドのインキを流動させた。
印刷物は室温(25℃)下でシアン色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で印刷直後の状態(シアン色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0207】
実施例20
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として4-[2,6-ビス(2-エトキシフェニル)-4-ピリジニル]-N,N-ジメチルベンゼンアミン3.0部、(b)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン9.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.70μmであり、最大粒子径は2.60μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりイエロー色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.2のときのゼータ電位は7.4mVであった。
【0208】
(インクジェット用水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0209】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0210】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字を行ない、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印刷の際、前記循環機構を作動し、インク流路およびプリンタヘッドのインキを流動させた。
前記印刷物は室温(25℃)下でイエロー色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で印刷直後の状態(イエロー色の印刷画像が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0211】
実施例21
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン7.0部、(b)成分として1,1′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.78μmであり、最大粒子径は2.60μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりブラック色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は7.7mVであった。(
【0212】
(インクジェット用水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0213】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0214】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でブラック色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で印刷直後の状態(ブラック色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0215】
実施例22
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4.0部、4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール11.0部、(c)成分としてグルタル酸ジ-4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.92μmであり、最大粒子径は3.52μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は87℃、完全発色温度は-35℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が6.9のときのゼータ電位は7.0mVであった。
【0216】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0217】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0218】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、87℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-35℃以下で印刷直後の状態(マゼンタ色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0219】
実施例23
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として1,1′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)2-エチルヘキサン10.0部、(c)成分としてパルミチン酸n-ノニル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は1.02μmであり、最大粒子径は3.72μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は30℃、完全発色温度は18℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が6.9のときのゼータ電位は6.8mVであった。
【0220】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0221】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0222】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、30℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、18℃以下で印刷直後の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0223】
実施例24
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として1,1′-ビス(4′-ヒドロキシフェニル)2-エチルヘキサン10.0部、(c)成分としてラウリン酸4-メチルベンジル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.87μmであり、最大粒子径は2.57μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は27℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は7.5mVであった。
【0224】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0225】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0226】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色像が視認され、27℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃以下で印刷直後の状態(マゼンタ色の印刷字が形成された状態)に戻った。
室温下の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0227】
実施例25
(マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1と同様のマイクロカプセル顔料を調製した。
【0228】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、有機顔料(ピグメントブルー15:3)0.2部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.1部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインキボトルと同様のインクボトルに収容した。
【0229】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0230】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で紫色の可逆熱変色像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像はシアン色に変色し、-25℃以下で印刷直後の状態(紫色の印字が形成された状態)に戻った。
印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0231】
実施例26
(マイクロカプセル顔料の調製)
マイクロカプセル顔料Aの調製
(a)成分として7-[2-(アセチルアミノ)-4-(ジエチルアミノ)フェニル]-7-(2-メチル-1-プロピル-1H-インドール-3-イル)フロ[3,4-b]ピリジン-5(7H)-オン3.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料Aを得た。
尚、マイクロカプセル顔料Aの体積平均粒子径は0.69μmであり、最大粒子径は2.27μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料Aの完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりシアン色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料Bの調製
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール10.0部、(c)成分としてパルミチン酸4-メチルベンジル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料Bを得た。
尚、マイクロカプセル顔料Bの体積平均粒子径は0.73μmであり、最大粒子径は2.60μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料Bの完全消色温度は40℃、完全発色温度は5℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料Aとマイクロカプセル顔料Bとを質量比1:1で混合したマイクロカプセル顔料混合物のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.1のときのゼータ電位は7.6mVであった。
【0232】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料A(予め冷却して発色させたもの)5.0部、マイクロカプセル顔料B(予め冷却して発色させたもの)5.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0233】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0234】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で紫色の可逆熱変色像が視認され、40℃以上に加温することにより可逆熱変色像はシアン色に変化し、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-5℃以下で可逆熱変色像はマゼンタ色に変化し、-25℃以下で印刷直後の状態(紫色の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0235】
実施例27
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン4.5部、(b)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン4.0部、4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール4.0部、(c)成分としてカプリン酸ステアリル32.5部、ラウリン酸ステアリル17.5部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.85μmであり、最大粒子径は2.85μmであった。(メジアン径)
尚、マイクロカプセル顔料の完全消色温度は37℃、完全発色温度は28℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料分散液のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が6.8のときのゼータ電位は7.2mVであった。
【0236】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0237】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0238】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、前記循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でマゼンタ色の可逆熱変色性像が視認され、37℃以上に加温することにより可逆熱変色性像は消色し、室温(25℃)下で印刷直後の状態(マゼンタ色の印刷画像が形成された状態)に戻った。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0239】
実施例28
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として3′,6′-ビス[フェニル(3-メチルフェニル)アミノ]-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-(9H)キサンテン]-3-オン3.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐メチルプロピリデン)ビスフェノール8.0部、(c)成分としてステアリン酸2-メチルペンチル15.0部、ステアリン酸2-エチルヘキシル35.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.85μmであり、最大粒子径は2.85μmであった。(メジアン径)
尚、マイクロカプセル顔料の完全消色温度は10℃、完全発色温度は5℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.1のときのゼータ電位は7.3mVであった。
【0240】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0241】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に水性インキ組成物を収容した。
【0242】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で可逆熱変色性像は消色した状態にあり、5℃以下に冷却することにより青色の可逆熱変色性像が視認され、10℃以上に加温することにより可逆熱変色性像が消色した状態に戻った。
冷却後に発色した印字は、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0243】
実施例29
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として3′,6′-ビス[フェニル(3-メチルフェニル)アミノ]-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-(9H)キサンテン]-3-オン3.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐メチルプロピリデン)ビスフェノール8.0部、(c)成分としてパルミチン酸n-ノニル30.0部、ミリスチン酸デシル20.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.83μmであり、最大粒子径は2.81μmであった。(メジアン径)
尚、マイクロカプセル顔料の完全消色温度は20℃、完全発色温度は15℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値は7.1のときのゼータ電位は7.5mVであった。
【0244】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0245】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0246】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で可逆熱変色性像は消色した状態にあり、15℃以下に冷却することにより青色の可逆熱変色性像が視認され、20℃以上に加温することにより可逆熱変色性像が消色した状態に戻った。
冷却後に発色した印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0247】
実施例30
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として3′,6′-ビス[フェニル(3-メチルフェニル)アミノ]-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-(9H)キサンテン]-3-オン3.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐メチルプロピリデン)ビスフェノール8.0部、(c)成分としてカプリン酸ステアリル37.5部、カプリン酸セチル12.5部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.91μmであり、最大粒子径は3.01μmであった。(メジアン径)
尚、マイクロカプセル顔料の完全消色温度は30℃、完全発色温度は25℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は6.9mVであった。
【0248】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0249】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0250】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で青色の可逆熱変色像が視認され、30℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、室温(25℃)下で印刷直後の状態(青色の印刷字が形成された状態)に戻った。
加温後に発色した印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0251】
実施例31
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として3′,6′-ビス[フェニル(3-メチルフェニル)アミノ]-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-(9H)キサンテン]-3-オン3.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐メチルプロピリデン)ビスフェノール8.0部、(c)成分としてベヘン酸3-メチルブチル25.0部、ベヘン酸2-メチルペンチル25.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.94μmであり、最大粒子径は3.15μmであった。(メジアン径)
尚、マイクロカプセル顔料の完全消色温度は40℃、完全発色温度は35℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料分散液のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位は6.8mVであった。
【0252】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0253】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部にインキ組成物を収容した。
【0254】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で青色の可逆熱変色像が視認され、40℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、室温(25℃)下で印刷直後の状態(青色の印刷字が形成された状態)に戻った。
加温後に発色した印字は、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0255】
実施例32
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として3′,6′-ビス[フェニル(3-メチルフェニル)アミノ]-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-(9H)キサンテン]-3-オン3.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐メチルプロピリデン)ビスフェノール8.0部、(c)成分としてミリスチン酸n-ブチル45.0部、パルミチン酸n-ブチル5.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー40.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ポリビニルアルコール水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液をフィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
尚、マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.89μmであり、最大粒子径は2.93μmであった。(メジアン径)
尚、マイクロカプセル顔料の完全消色温度は0℃、完全発色温度は-15℃であり、温度変化により青色から無色に変色する。
マイクロカプセル顔料のゼータ電位を測定した結果、マイクロカプセル顔料分散液のpH値が7.1のときのゼータ電位は7.2mVであった。
【0256】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部、pH調整剤(リン酸)0.10部および水60.3部を均一に混合し、マイクロカプセル顔料分散液を得た。
マイクロカプセル顔料分散液とアクリル系高分子分散剤(製品名:ソルスパース43000、日本ルーブゾール株式会社製)0.40部を混合し、水性インキ組成物を調製した。
水性インキ組成物は、実施例10で用いたインク容器と同じ形態のボトルに収容した。
【0257】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターを用い、インキ収容部に前記インキ組成物を収容した。
【0258】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で可逆熱変色性像は消色した状態にあり、-15℃以下に冷却することにより青色の可逆熱変色性像が視認され、0℃以上に加温することにより可逆熱変色性像が消色した状態に戻った。
冷却後に発色した印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0259】
実施例33
(マイクロカプセル顔料、および水性インキ組成物の調製)
実施例10、実施例19、実施例20、および実施例21の、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック色の水性インキ組成物を用いた。
【0260】
(インク容器)
インキ組成物を、実施例10で使用したインク容器と同じ形態のインクボトルに収容し、マゼンタ、シアン、イエロー、およびブラック色のインクボトルからなるインク容器セットを作製した。
【0261】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターのインキ収容部を、前記した4色のインキ組成物を独立して収容可能なものとし、インキ収容部に各色を独立して収容した。
【0262】
上記インクジェットプリンターを用いて記録用紙(コピー用紙)に印字とUV光照射を行い、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下でシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック色、および前記した4色から選ばれる2色以上からなる混合色の可逆熱変色性像が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色性像は消色し、-25℃下で印刷直後の状態(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック色等の印字が形成された状態)に戻った。
再び、インクジェットプリンターに消色した上記記録用紙をセットして印字を行なうことにより可逆熱変色性画像を形成して印刷物を得ることができ、繰り返し記録用紙を使用することができた。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0263】
実施例34
(マイクロカプセル顔料、および水性インキ組成物の調製)
実施例28、実施例29、実施例30、および実施例31の水性インキ組成物を用いた。
【0264】
(インク容器)
水性インキ組成物4種を、実施例10で使用したインク容器と同じ形態のインクボトルに収容し、各インクボトルからなるインク容器セットを作製した。
【0265】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターのインキ収容部を、インキ組成物4種を独立して収容可能なものとし、インキ収容部に各インキ組成物を独立して収容した。
【0266】
上記インクジェットプリンターを用いて、水性インキ組成物の各々が、互いに異なる位置に記録されるよう記録用紙(コピー用紙)に印字した後、印字部にUV光照射を行い、可逆熱変色性画像を形成して可逆熱変色性印刷物を得た。
印字の際、前記循環機構を作動し、インク供給流路、プリンタヘッド、およびインク回収流路のインキを循環させた。
印刷物は室温(25℃)下で、実施例28および実施例29のインキ組成物で形成された印字は消色状態にあり、実施例30および実施例31のインキ組成物で形成された印字が視認され、示温材としての役割を果たすことが確認された。
発色状態の印字からは、良好な発色が視認され、始点、終点、および輪郭が明瞭であった。
【0267】
比較例1
(マイクロカプセル顔料の調製)
(a)成分として9-エチル-(3-メチルブチル)アミノ-スピロ[12H-ベンゾ[a]キサンテン-12,1′(3H)-イソベンゾフラン]-3′-オン6.0部、(b)成分として4,4′‐(2‐エチルヘキシリデン)ビスフェノール15.0部、(c)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を均一に加温溶解し、壁膜材料として芳香族多価イソシアネートプレポリマー20.0部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂10.0部、助溶剤50.0部を混合した溶液を、10%ゼラチン水溶液中で微小滴になるように乳化分散し、加温しながら攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン5.0部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
懸濁液を遠心分離機により粗大粒子を取り除いた後、フィルタープレス機によりろ過することでマイクロカプセル顔料を得た。
マイクロカプセル顔料の体積平均粒子径は0.86μmであり、最大粒子径は2.72μmであった。(メジアン径)
マイクロカプセル顔料の完全消色温度は60℃、完全発色温度は-25℃であり、温度変化によりマゼンタ色から無色に変色する。
マイクロカプセル分散液のpH値が7.0のときのゼータ電位を測定したところ、ゼータ電位は0mVであった。(データ数20個の各ゼータ電位値は-0.04~+0.04mVで、その数平均値が0.04mV未満であり、実質的に0mVとみなすことができた。)
【0268】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.00部、グリセリン10.00部、防腐剤(ピリジン-2-チオール1-オキシドナトリウム塩、製品名:ソジウムオマジン、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、防腐剤(3-ヨード-2-プロピニルブチルカーバメート、製品名:グライカシル2000、ロンザジャパン株式会社製)0.20部、消泡剤0.02部および水79.58部を均一に混合し、水性インキ組成物を得た。
【0269】
上記水性インキ組成物を実施例1で用いた万年筆と同種の万年筆に収容し、コピー紙に筆記を行った。
コピー紙には、室温(25℃)下でマゼンタ色の筆跡が視認され、60℃以上に加温することにより可逆熱変色像は消色し、-25℃下で筆記直後の状態(マゼンタ色の筆跡が形成された状態)に戻った。
発色状態の筆跡は、かすれがひどく、発色および輪郭の視認が難しかった。
【0270】
比較例2
(マイクロカプセル顔料の調製)
比較例1と同様の可マイクロカプセル顔料を調製した。
【0271】
(水性インキ組成物の調製)
マイクロカプセル顔料(予め冷却して発色させたもの)10.0部、モルフォリノエチル(メタ)アクリレート14.0部、ピペラジノエチル(メタ)アクリレート10.0部、2-ヒドロキシ-3-(4-ベンゾイルフェノキシ)-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアンモニウムクロリド1.0部、エチレングリコール5.0部、防黴剤(製品名:プロキセルXL-2、ゼネカ株式会社製)0.2部、消泡剤(シリコン系、製品名:SNデフォーマー381、サンノプコ株式会社製)0.5部および水60.8部を均一に混合し、水性インキ組成物を得た。
【0272】
(インクジェットプリンター)
実施例10で使用したインクジェットプリンターのインキ収容部に水性インキ組成物を収容した。その際、収容部内底部にマイクロカプセル顔料の凝集物が確認されたため、印刷を行わなかった。
【0273】
形成した像について、下記の通り、評価を行った。得られた結果は表1~4に記載したとおりであった。
尚、比較例2については、前記した通り、像の形成を行わなかったため未評価である。
【0274】
(発色性の評価)
像の発色性を目視により観察した。
A:濃く、鮮明である。
B:色が若干薄いが、視認は十分可能である。
C:色が薄く、視認が困難である。実用上問題がある。
【0275】
(精細さの評価)
像の精細さを目視で観察した。
A:カスレが無く、像の輪郭が明瞭である。
B:カスレが若干ある、または像の輪郭が若干不明瞭であるが、実用上問題はない。
C:カスレがある、または、像の輪郭が不明瞭である。実用上問題がある。
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【符号の説明】
【0280】
t1 加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全発色温度
t2 加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の発色開始温度
t3 加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の消色開始温度
t4 加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 インク供給装置
2 インク容器
3 プリンタヘッド
3a インク排出口
3b インク取入口
3c 内部流路
4a インク供給流路
4b インク回収流路
5 ポンプ
6 拭き取り手段
7 ノズル
8 インク吐出口
9 インキ組成物