(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】高二酸化炭素分圧を有するガス状混合物から二酸化炭素を除去するための溶媒およびプロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20240627BHJP
C01B 32/50 20170101ALI20240627BHJP
C01B 17/16 20060101ALI20240627BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20240627BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20240627BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20240627BHJP
C07C 319/28 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/14 220
C01B32/50
C01B17/16 P
B01D53/62
B01D53/78
B01D53/96
C07C319/28
(21)【出願番号】P 2020573025
(86)(22)【出願日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 GB2019051774
(87)【国際公開番号】W WO2020002892
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】201811023872
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】201811024582
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】520439128
【氏名又は名称】カーボン クリーン ソリューションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】バム・プラティーク
(72)【発明者】
【氏名】ホール・ジェイムス
(72)【発明者】
【氏名】ニーリーセッティ・ゴピ
(72)【発明者】
【氏名】ベイリー・レイチェル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-301024(JP,A)
【文献】特開2016-129877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0193563(US,A1)
【文献】特表2017-533090(JP,A)
【文献】特開平08-257355(JP,A)
【文献】特表2014-509561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-18、34-96
C01B 32/50
C01B 17/16-18
C10K 1/08-18
C07C 215/00-90、319/26-30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状混合物からガスを除去するための溶媒であって、
3重量%~25重量%の量で存在するポリアミン;
10重量%~65重量%の量で存在する立体障害アルカノールアミン;を含み、
残りが水および不可避不純物であり、
前記ポリアミンが、2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名2-ピペラジン-1-イルエタンアミン、アミノエチルピペラジン、もしくはAEP)
であり、
前記立体障害アルカノールアミンが、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD);および/または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD);および/または2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名AMPD);および/または2-メチルアミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名MAEPD);および/または2-メチルアミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名MAHPD);および/または2-メチルアミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名MAMPD)である、溶媒。
【請求項2】
前記ポリアミンが5重量%~15重量%の量で存在する、請求項1に記載の溶媒。
【請求項3】
前記ポリアミンが5重量%(±10%)の量で存在する、請求項1または請求項2に記載の溶媒。
【請求項4】
前記ポリアミンが10重量%(±10%)の量で存在する、請求項1または請求項2に記載の溶媒。
【請求項5】
前記ポリアミンが15重量%(±10%)の量で存在する、請求項1または請求項2に記載の溶媒。
【請求項6】
前記立体障害アルカノールアミンが、20重量%~50重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項7】
前記立体障害アルカノールアミンが、30重量%~40重量%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項8】
前記立体障害アルカノールアミンが、45重量%(±10%)の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項9】
前記立体障害アルカノールアミンが、40重量%(±10%)の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項10】
前記立体障害アルカノールアミンが、30重量%(±10%)の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項11】
前記立体障害アルカノールアミンが、25重量%(±10%)の量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項12】
前記ポリアミンが2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名アミノエチルピペラジンまたはAEP)であり、前記立体障害アルカノールアミンが2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD)である、請求項1~1
1のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項13】
前記ポリアミンが2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名アミノエチルピペラジンまたはAEP)であり、前記立体障害アルカノールアミンが2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD)である、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の溶媒。
【請求項14】
ガス状混合物から酸性ガスを除去するための方法であって、
3重量%~25重量%の量で存在するポリアミン;10重量%~65重量%の量で存在する立体障害アルカノールアミン;水および不可避不純物である残余;を含む溶媒を得るステップ、ならびに
二酸化炭素、メルカプタン、硫化水素、および硫化カルボニルからなる群から選択される1つ以上のガスを含むガス状混合物に前記溶媒を適用するステップ
を含み、
前記ポリアミンが、2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名2-ピペラジン-1-イルエタンアミン、アミノエチルピペラジン、もしくはAEP)
であり、
前記立体障害アルカノールアミンが、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD);および/または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD);および/または2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名AMPD);および/または2-メチルアミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名MAEPD);および/または2-メチルアミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名MAHPD);および/または2-メチルアミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名MAMPD)である、
方法。
【請求項15】
前記溶媒は、30℃~65℃の温度を有する、請求項1
4に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒が、請求項1~
9のいずれか一項に記載の溶媒である、請求項1
4または1
5に記載の方法。
【請求項17】
前記溶媒を65℃~110℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項1
4~1
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
0パスカル~500000パスカル(0バール~5バール)の再生圧力および75℃~130℃の温度である再生カラムへ少なくとも二酸化炭素/酸性ガスを含む前記溶媒を載せるステップをさらに含む、請求項1
4~1
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒を105℃~130℃の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項1
4~1
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ガス状混合物が4ppm未満で存在する1つ以上のガスを含む、請求項1
4~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
a.前記ガス状混合物中の二酸化炭素の濃度を100体積ppm未満に減らすステップ;および/または
b.前記ガス状混合物中のH
2Sの濃度を2体積ppm未満に減らし、前記ガス状混合物中の二酸化炭素の濃度を50体積ppm未満に減らすステップ;および/または
c.前記ガス状混合物中のメルカプタンの濃度を5体積ppm未満に減らすステップ
をさらに含む、請求項1
4~
19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ガス状混合物中の二酸化炭素濃度を10ppm未満に減らすステップをさらに含む、請求項1
4~
19および請求項2
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ガス状混合物が、石炭ガス化プロセス、水蒸気改質プロセス、および直接還元鉄プロセスからなる群から選択されるプロセスから得られる合成ガスであり、各合成ガスが、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、水素、窒素、およびメタンのうちの1つ以上を含む、請求項1
4~
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ガス状混合物がメタンを含む天然ガスである、請求項1
4~
23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収溶媒に関し、より詳細には、高二酸化炭素分圧を有するガス状混合物から二酸化炭素を除去するための吸収溶媒に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス状混合物の精製、特に、汚染物質および不純物をそれらから除去するための、主にメタンからなる天然ガスまたは合成ガスなどの炭化水素ガス状混合物の精製は、産業において一般的な操作である。これらの不純物および汚染物質は、特に、例えば二酸化炭素(CO2)および硫化水素(H2S)などの「酸性ガス」;水、および特定の炭化水素である。
【0003】
一般に、溶媒には独自の長所および短所があり、例えば、負荷容量、動力学、再生エネルギー、選択性、安定性、腐食性などのような特性によって、溶媒の操作性能が決定する。この開示は、予想外の特性を有する改善された溶媒を対象とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、化学溶媒の組み合わせを含有する溶液でガス流を洗浄することにより、供給ガス流から二酸化炭素ガスを部分的または完全に除去するための溶媒組成物に関する。本発明はさらに、10~65重量%(または20~50重量%)の量のアルカノールアミン化合物、3~25重量%の量で反応動力学を促進する選択的活性剤(別名ポリアミン)、水および不可避不純物である残余の存在下で実施されるプロセスに関する。さらに、本開示は、酸性ガスを除去するための精製プロセスで使用される吸収性液体に関する。
【0005】
本発明の代表的な特徴は、本明細書の本文および/もしくは図に開示されている1つ以上の特徴と、独立して、または任意の組み合わせで組み合わされ得る以下の条項に記載されている。
【0006】
次に、本発明を以下の条項を参照して説明する。
【0007】
1.ガス状混合物からガスを除去するための溶媒であって、
3重量%~25重量%の量で存在するポリアミン;
10重量%~65重量%の量で存在する立体障害アルカノールアミン;を含み、
残りが水および不可避不純物であり、
前記ポリアミンが、2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名2-ピペラジン-1-イルエタンアミン、アミノエチルピペラジン、もしくはAEP)であり、
前記立体障害アルカノールアミンが、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD);および/または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD);および/または2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名AMPD);および/または2-メチルアミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名MAEPD);および/または2-メチルアミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名MAHPD);および/または2-メチルアミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名MAMPD)である、溶媒。
【0008】
2.ポリアミンが5重量%~15重量%の量で存在する、条項1の溶媒。
【0009】
3.ポリアミンが5重量%(±10%)の量で存在する、条項1または条項2の溶媒。
4.前記ポリアミンが10重量%(±10%)の量で存在する、条項1または条項2に記載の溶媒。
5.前記ポリアミンが15重量%(±10%)の量で存在する、条項1または条項2に記載の溶媒。
【0010】
6.立体障害アルカノールアミンが、20重量%~50重量%の量で存在する、条項1~5のいずれか1つの溶媒。
7.立体障害アルカノールアミンが、30重量%~40重量%の量で存在する、条項1~5のいずれか1つの溶媒。
【0011】
8.立体障害アルカノールアミンが、45重量%(±10%)の量で存在する、条項1~7のいずれか1つの溶媒。
9.立体障害アルカノールアミンが、40重量%(±10%)の量で存在する、条項1~7のいずれか1つの溶媒。
10.立体障害アルカノールアミンが、30重量%(±10%)の量で存在する、条項1~7のいずれか1つの溶媒。
【0012】
11.立体障害アルカノールアミンが、25重量%(±10%)の量で存在する、条項1~7のいずれか1つの溶媒。
【0013】
【0014】
12.ポリアミンが2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名アミノエチルピペラジンまたはAEP)であり、立体障害アルカノールアミンが2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD)である、条項1~11のいずれか1つの溶媒。
【0015】
13.ポリアミンが2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名アミノエチルピペラジンまたはAEP)であり、立体障害アルカノールアミンが2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD)である、条項1~12のいずれか1つの溶媒。
【0016】
14.ガス状混合物から酸性ガスを除去するための方法であって、
3重量%~25重量%の量で存在するポリアミン;10重量%~65重量%の量で存在する立体障害アルカノールアミン;水および不可避不純物である残余;を含む溶媒を得るステップ、ならびに
二酸化炭素、メルカプタン、硫化水素、および硫化カルボニルからなる群から選択される1つ以上のガスを含むガス状混合物に溶媒を適用するステップを含み、
ポリアミンが、2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名2-ピペラジン-1-イルエタンアミン、アミノエチルピペラジン、もしくはAEP)であり、
前記立体障害アルカノールアミンが、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD);および/または2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD);および/または2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名AMPD);および/または2-メチルアミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名MAEPD);および/または2-メチルアミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名MAHPD);および/または2-メチルアミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名MAMPD)である。
15.溶媒は、30℃~65℃の温度を有する、条項14の方法。
【0017】
16.溶媒が、条項1~9のいずれか1つの溶媒である、条項14または15の方法。
【0018】
17.溶媒を65℃~110℃の温度に加熱するステップをさらに含む、条項14~16のいずれか1つの方法。
【0019】
18.0パスカル~500000パスカル(0バール~5バール)の再生圧力および75℃~130℃の温度である再生カラムへ少なくとも二酸化炭素/酸性ガスを含む溶媒を載せるステップをさらに含む、条項14~17のいずれか1つの方法。
【0020】
19.溶媒を105℃~130℃の温度に加熱するステップをさらに含む、条項14~18のいずれか1つの方法。
【0021】
20.ガス状混合物が4ppm未満で存在する1つ以上のガスを含む、条項14~19のいずれか1つの方法。
【0022】
21.a.ガス状混合物中の二酸化炭素の濃度を100体積ppm未満に減らすステップ;および/または
b.ガス状混合物中のH2Sの濃度を2体積ppm未満に減らし、ガス状混合物中の二酸化炭素の濃度を50体積ppm未満に減らすステップ;および/または
c.ガス状混合物中のメルカプタンの濃度を5体積ppm未満に減らすステップ
をさらに含む、条項14~19のいずれか1つの方法。
【0023】
22.ガス状混合物中の二酸化炭素濃度を10ppm未満に減らすステップをさらに含む、条項14~19および条項21のいずれか1つの方法。
【0024】
23.ガス状混合物が、石炭ガス化プロセス、水蒸気改質プロセス、および直接還元鉄プロセスからなる群から選択されるプロセスから得られる合成ガスであり、各合成ガスが、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、水素、窒素、およびメタンのうちの1つ以上を含む、条項14~22のいずれか1つの方法。
【0025】
24.ガス状混合物がメタンを含む天然ガスである、条項14~23のいずれか1つの方法。
【0026】
本開示の特徴、性質、および利点は、図と併せて解釈される場合、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】40℃での気相中のCO
2の分圧と溶媒中のCO
2の負荷(つまり濃度)との間の気液平衡(VLE)の関係を説明するグラフである。
【
図2】本開示による、本発明の吸収性溶液(すなわち、溶媒)および従来技術の吸収性溶液(すなわち、溶媒)の40℃での気液平衡(VLE)データを示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明および例は、本開示の様々な実施形態を詳細に示している。当業者は、その範囲に包含される本開示の多数の変形および修正があることを認識するであろう。したがって、開示された実施形態の説明は、本開示の範囲を限定すると見なされるべきではない。
【0029】
そのすべての特徴を説明するこの開示のいくつかの例を、次に詳細に論じる。「含む(comprising)」、「有する」、「含有する」、および「含む(including)」という単語、およびそれらの他の形式は、意味が同等であり、これらの単語のいずれか1つに続く1つ以上の項目は、そのような1つ以上の項目の網羅的なリストを意味するものではなく、リストされた1つ以上の項目のみに限定されることを意味しない点でオープンエンドであることが意図される。
【0030】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含むことにも留意されたい。
【0031】
本開示の例は、例が示されている添付の図を参照して、以下でより完全に説明される。しかしながら、特許請求の範囲の例は、多くの異なる形態で具体化され得、本明細書に記載の例に限定されると解釈されるべきではない。本明細書に記載の例は、非限定的な例であり、他の可能な例の中の単なる例である。
【0032】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開された出願、および他の刊行物は、特に明記しない限り、その全体が参照により組み込まれる。本明細書における用語に複数の定義がある場合、特に明記しない限り、この節の定義が優先する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ポリアミン」は、2つ以上の窒素原子を有する化合物を指す。いくつかの例では、「ポリアミン」は、3つの窒素原子:1つの第一級窒素原子、1つの第二級窒素原子、および1つの第三級窒素原子を有する化合物を指す。「ポリアミン」の例には、2-ピペラジン1-エチルアミン(別名2-ピペラジン-1-イルエタンアミン、アミノエチルピペラジン、1-(2-アミノエチル)ピペラジンまたはAEP);1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン;ピペラジン;1,4-ジアミノシクロヘキサン;4-アミノピペリジン;4-アミノ-1-ピペリジンエタノール;3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミン;N-メチルアミノ-1-プロピルアミン;3-ジエチルアミノ-1-プロピルアミン;および、N-エチルアミノ-1-プロピルアミンが含まれる。現在特許請求されている発明の溶媒において、「ポリアミン」は、「活性剤」または「アミン促進剤」として作用し、これは、溶媒中に存在する他の化合物(複数可)よりも速くガスを除去するように作用し、したがって、溶媒全体のCO2吸収の動力学を改善する。
【0034】
上記の例示的な「ポリアミン」のいくつかを表1に記載する。
【0035】
【0036】
本明細書で使用される場合、「立体障害アルカノールアミン」は、少なくとも1つのアミン基および少なくとも1つのヒドロキシル基を有する化合物を指し、アミン基は、炭素原子に結合し、その炭素原子自体は、他の3つの炭素原子に結合する(すなわち、少なくとも1つのアミン基が結合している炭素原子自体が立体障害される)。いくつかの例では、アミン基は、第一級アミンまたは第二級アミンである。「立体障害アルカノールアミン」の例には、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD);2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD);2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名AMPD);2-メチルアミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名MAEPD);2-メチルアミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名MAHPD);および2-メチルアミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名MAMPD)が含まれる。
【0037】
上記の例示的な「立体障害アルカノールアミン」のいくつかを表2に記載する。
【0038】
【0039】
本明細書で使用される場合、「不可避不純物」は、混合物全体の機能に関係のない少量の混合物中に存在する成分を指す。不可避不純物は、一般に不活性かつ非反応性である。いくつかの例では、「少量」は、5重量%未満、または4重量%未満、または3重量%未満、または2重量%未満、または1重量%未満、または0.5重量%未満を指す。
【0040】
値の範囲が提供される場合、上限および下限、ならびに範囲の上限と下限との間に介在する各値が例の範囲内に包含されることが理解される。
【0041】
ガス流からの二酸化炭素の除去
本開示は、水溶液として立体障害アルカノールアミン(例えば、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(AHPD)および/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(AEPD))、ポリアミン(本明細書では「活性剤」と呼ばれることもある)(例えば、2-ピペラジン-1-エチルアミンおよび/またはピペラジン)を含有する水溶液でガス流を洗浄することによって、ガス流から二酸化炭素を除去するためのプロセスに関する。
【0042】
溶媒の特徴は、二酸化炭素の回収を始めるときに、機器のサイズおよびプロセスエネルギー要件の両方で役割を果たす。特定の状況では、溶媒を選定する場合に以下の要因を考慮することができる:
・循環容量(吸収器を出る溶媒中のCO2濃度と二酸化炭素回収システム中のリボイラーを出る溶媒中のCO2濃度との差):循環容量が高いほどリボイラーの負荷が低くなり、ポンプにおける電力消費量が削減され、かつ機器が潜在的に小型化されるため、高いまたはより高い循環容量を有する溶媒が望ましく、これにより、投資コストを削減することができる;
・蒸発損失:炭素回収溶媒は、高い蒸気圧を示す場合、操作上の蒸発損失が大きくなる。従来、ガス処理プロセスは、蒸発による損失を軽減するために、吸収塔の上部に水洗浄セクションを組み込む。低い蒸気圧を有する溶媒の使用が望ましく、これはそのサイズの縮小、またはさらに水洗浄セクションに対する必要性にもつながる。
【0043】
これらの特性、すなわちCO2循環容量および蒸気圧は、ガス処理(例えば、炭素回収)プロセスプラントのプロセス設計および運用において重要な役割を果たす。一般に、高いCO2負荷容量および低い蒸気圧を有する吸収溶媒は、ガス処理プロセスプラントの運用コストを低く抑える。
【0044】
本明細書に記載の溶媒は、高いCO2負荷容量を達成することができる、立体障害アルカノールアミンを含む。2-アミノ-2-メチルプロパノールを含有する水性溶媒を利用する従来技術に対して、酸性ガス洗浄システムの性能における1つの特定の改善は、高CO2溶媒負荷でのアミン塩の溶解度に関する。25重量%を超える濃度で2-アミノ-2-メチルプロパノール(AMP)を含有する溶液は、高レベルのCO2を負荷すると、塩が比較的不溶性であるため、重炭酸塩として溶液から沈殿する傾向がある。しかしながら、本発明者らは、水溶液中の2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD)および2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD)の重炭酸塩の溶解度が2-アミノ-2-メチルプロパノール溶媒混合物の場合よりもはるかに大きいことを発見し、それにより2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD)および/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD)を含有する溶液が、沈殿することなくより高い容量のCO2負荷を提供することが見出された。理論に縛られることを望まないが、沈殿することなくこのより高い容量のCO2負荷は、反応系におけるアミン重炭酸塩の溶解度に起因すると考えられる。
【0045】
本発明者らは、AHPDおよびAEPDを用いてこの発見を行ったが(水溶液中のAHPDおよびAEPDの重炭酸塩の溶解度は、2-アミノ-2-メチルプロパノール溶媒混合物の場合よりもはるかに大きい)、この発見は、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名AMPD);2-メチルアミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名MAEPD);2-メチルアミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名MAHPD);および、2-メチルアミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(別名MAMPD)を含む他の「立体障害アルカノールアミン」にも当てはまると考えられる。
【0046】
本明細書に記載の溶媒は、高いCO2負荷容量のために立体障害アルカノールアミンを含む。従来技術のN-メチルジエタノールアミン(MDEA)と比較して酸性ガス洗浄システムの性能を改善するために、これは、比較的低い二酸化炭素負荷容量をもたらす。MDEAを含有する従来技術の溶媒技術より2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(別名AHPD)および/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(別名AEPD)を含有する水溶液では、著しく高い二酸化炭素負荷が観察される。
【0047】
酸性ガス洗浄システムの動力学を改善し、二酸化炭素などの酸性ガス洗浄システムを深く除去するために、ポリアミン(「アミン活性剤」と呼ぶことができる)(例えば、2-ピペラジン-1-エチルアミン(別名AEP))は、少なくとも1つの立体障害アルカノールアミンを含有する水性溶媒系で利用され得る。本発明の溶媒に含まれる適切な「ポリアミン」の他の例には、1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン;ピペラジン;1,4-ジアミノシクロヘキサン;4-アミノピペリジン;4-アミノ-1-ピペリジンエタノール;3-ジメチルアミノ-1-プロピルアミン;N-メチルアミノ-1-プロピルアミン;3-ジエチルアミノ-1-プロピルアミン;およびN-エチルアミノ-1-プロピルアミンが含まれる。
【0048】
本明細書に開示されるガスをガス流から吸収するための混合物には、少なくとも1つの立体障害アルカノールアミン(例えば、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール)が含まれる。この混合物は、酸性ガスの吸収に適した吸収能力および選択性を実証している。さらに、この混合物の性能は、1バール~50バールなどの比較的高いCO2分圧で有益である。本明細書に開示される溶媒系の液体/ガス比は、例えば、高圧および/または深い二酸化炭素除去で操作され得る。
【0049】
適切な活性剤化合物(別名ポリアミン)を、例えば、立体障害アルカノールアミンよりも比較的少量で添加すると、当技術分野で既知の同様の水性化学吸収剤と比較して、比較的高圧でより多くの二酸化炭素のフラッシュが可能になる。例えば、AEPの添加は、当技術分野で現在既知のシステムと比較して、システムの改善された動力学をもたらし、それにより、液体/ガス比の改善および溶媒システムの蒸気圧の低下をもたらす。さらに、二酸化炭素の深い除去が得られ得る。
【0050】
したがって、本開示は、水溶液中で、ガス流を、立体障害アルカノールアミン(例えば、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール);ならびにポリアミン(別名アミン活性剤)(例えば、2-ピペラジン-1-エチルアミン);を含む水溶液で洗浄することによって、ガス流から二酸化炭素、および任意選択で硫化水素を除去するためのプロセスを提供する。
【0051】
本明細書に開示されるプロセスにおいて処理されるガスは、例えば、(触媒的)部分酸化によって、ならびに/または炭化水素、例えば、メタン、天然もしくは関連ガス、ナフサ、ディーゼルおよび液体残留画分、石炭/バイオマスガス化に由来するガス、コークスオーブンガス、精製ガス、水素および水素含有ガス、ならびに合成ガスまたは天然ガスの蒸気メタン改質によって、得られる合成ガスであり得る。プロセスは、15℃~90℃の温度で実施され得る。あるいは、プロセスは、25℃~80℃で実施され得る。あるいは、プロセスは、40℃~65℃で実施され得る。プロセスは、10バール~150バールの圧力で実施され得る。あるいは、プロセスは、15バール~90バールの圧力で実施され得る。
【0052】
開示されたプロセスは、負荷された溶媒の再生を通じて連続的に実施され得る。ガス混合物と吸収性溶媒との接触は、当技術分野で既知の任意の手段を通じて行われ得る。例えば、ガス混合物と吸収性溶媒との接触は、バルブトレイ、バブルキャブトレイ、バッフルなどを有する吸収カラム中で実施され得、構造化された/ランダムなパッキングも適用され得る。溶媒/ガス比を変更すると、除去されるCO2の量が最適化され得る。溶媒/ガス比は、1.0~10.0(w/w)であり得る。負荷された溶媒は、CO2および任意選択でH2Sに加えて、炭化水素、一酸化炭素、水素、および他の潜在的な汚染物質などの精製されるガス混合物からのかなりの量の他の化合物を含有し得る。これらの(非酸性)化合物は、CO2および任意選択のH2Sに属する分圧の合計よりも高い圧力までのフラッシングにより、負荷された溶媒から除去され得る。このシナリオでは、少量のCO2および任意選択でH2Sが、(非酸性)化合物とともに溶媒から放出される。負荷された溶媒はまた、第2のステップにおいて、一般的な温度で、CO2および任意選択でH2Sの分圧より低い圧力にフラッシュされ得る。このフラッシングは、1バール~15バールの圧力で実施され得る。あるいは、このフラッシングは、1バール~10バールで実施され得る。あるいは、フラッシングは、周囲圧力で発生し得る。フラッシング後、負荷された溶媒は、比較的高温および1バール~5バールの圧力で再生され得る。あるいは、負荷された溶媒の再生は、1バール~3バールで発生し得る。再生は、再生カラム中で、70℃~150℃の温度で加熱することによって実施され得る。加熱は、蒸気または熱油で実施され得る。希薄吸収性溶媒は、吸収段階で再び使用され得る。リーン溶媒は、負荷された溶媒と熱交換され得る。
【0053】
さらに、現在特許請求されている発明の溶媒は、精製プロセスからH2S、硫化カルボニル(COS)、およびメルカプタンを除去することができ得、前述のガスを本明細書に開示されていない他の用途に有用にすることができ得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールなどの少なくとも1つの立体障害アミン(別名立体障害アルカノールアミン)は、20重量%~65重量%(もしくは45重量%)で存在し、2-ピペラジン-1-エチルアミンおよび/またはピペラジンなどのアミン活性化剤(別名ポリアミン)は、3重量%~25重量%で存在し、残りは、水(例えば、脱塩水)および不可避不純物である。
【0055】
いくつかの実施形態では、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび/または2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールなどの少なくとも1つの立体障害アミンは、30重量%~45重量%で存在し、2-ピペラジン-1-エチルアミンおよび/またはピペラジンなどのアミン活性剤(別名ポリアミン)は、5重量%~15重量%で存在し、残りは、水および不可避不純物である。
【0056】
一例では、溶媒は、40重量%の2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオールおよび/または40重量%の2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、および5重量%の2-ピペラジン-1-エチルアミンの組成を有し得、残りは、脱塩水および不可避不純物である。
【実施例】
【0057】
実施例1:
【表3】
MDEA=N-メチル-ジエタノールアミン
PZ=ピペラジン
AEPD=2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール
AEP=2-ピペラジン-1-エチルアミン
AHPD=2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール
AMP=2-アミノ-2-メチルプロパノール
【0058】
従来技術(45%MDEA+5%PZ)は、本発明(45%AEPD+5%AEP)と比較して、CO2負荷容量を提供する。
【0059】
CO2負荷に関する従来技術(45%AMP+5%PZ)および/または(45%AMP+5%のAEP)は、高レベルのCO2が負荷されたときに塩が比較的不溶性であるため、重炭酸塩として溶液から沈殿物を生じる。本発明の溶媒の重炭酸塩の溶解度(45%AEPD+5%AEP)は、沈殿せず、著しく高いCO2負荷を提供する。したがって、現在特許請求されている発明の溶媒は、利点を提供する。
【0060】
実施例2:
2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(AEPD)の存在は、比較的低い蒸気圧を提供し、したがって、少なくとも2-アミノ-2-メチルプロパノールを含む従来技術の溶媒と比較した場合、蒸発蒸気溶媒の損失を最小限に抑える。
【0061】
【0062】
表4の値は、純粋な成分、つまり溶液中ではない場合について示す。
【0063】
実施例3:
図2は、従来技術の溶媒および現在特許請求されている発明による溶媒の40℃での気液平衡データのグラフ表示である。
図2のグラフから、現在特許請求されている発明による溶媒は、従来技術の溶媒と比較して、より高いCO
2負荷を有する。
【0064】
例えば、6バール(600kPa)のCO2分圧では、以下によるCO2負荷:
a.本発明(45%AEPD+5%AEP):4.76mol CO2/L溶媒、
b.従来技術(45%MDEA+5%PZ):4.30mol CO2/L溶媒
MDEA=N-メチル-ジエタノールアミン
PZ=ピペラジン
AEPD=2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール
AEP=2-ピペラジン-1-エチルアミン
【0065】
a.およびb.では、残りは、脱塩水である。
【0066】
本発明による溶媒(a.)は、従来技術(b.)と比較した場合、6バール(600kPa)のCO2分圧として著しく高いCO2負荷を有する。したがって、本発明による溶媒は、従来技術に勝る利点を提供する。
【0067】
インド特許出願第201811023872号(2018年6月26日出願)から、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:
【0068】
図1は、40℃での気相中のCO
2の分圧と溶媒中のCO
2の負荷(つまり濃度)との間の気液平衡(VLE)の関係を示すグラフを示す。
【0069】
【0070】
表5では、成分は、重量%で示される。いずれの場合も、残りは、脱塩水である。
DEEA=2-(ジエチルアミノ)エタノール
AHPD=2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール
AEPD=2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール
AEP=2-ピペラジン-1-エチルアミン
【0071】
A1.溶媒であって、
第三級アミン(例えば、N-メチル-ジエタノールアミンおよび/もしくは2-(ジエチルアミノ)エタノール)、ならびに/または
立体障害アミン(もしくは立体障害アルカノールアミン)(例えば、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール,2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、ならびに/または
ポリアミン(例えば、2-ピペラジン-1-エチルアミンおよび/もしくは1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン)、ならびに/または
炭酸緩衝液(例えば、炭酸カリウム)、ならびに/または
水(例えば、脱イオン水)
を含む、溶媒。
【0072】
A2.溶媒が、アミノヒンダードアルコール(任意選択で、アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、ポリアミン(任意選択で、アミノエチルピペラジン)、および水を含む、条項A1に記載の溶媒。
【0073】
インド特許出願第201811024582号(2018年7月2日出願)から、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:
【0074】
いくつかの実施形態では、強化溶媒は、アルカノールアミン、反応性アミン、および炭酸塩緩衝液を含む。強化溶媒は、いくつかの実施形態では、第三級アミン(例えば、N-メチル-ジエタノールアミンおよび/もしくは2-(ジエチルアミノ)エタノール)、ならびに/または、立体障害アミン(もしくは立体障害アルカノールアミン)(例えば、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチルアミノ2-メチルプロパノール、および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、ならびに/またはポリアミン(例えば、2-ピペラジン-1-エチルアミンおよび/もしくは1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン)、ならびに/または炭酸塩緩衝液(例えば、炭酸カリウム)、ならびに/または水(例えば、脱イオン水)を含む。
【0075】
本発明の一例では、溶媒は、強化溶媒であり得る。任意選択で、強化溶媒は、第三級アミン、立体障害アミン(または立体障害アルカノールアミン)、ポリアミン、塩、および水を含む。マイクロ波放射とともに強化溶媒の使用は、典型的には、溶媒によるマイクロ波放射の吸収を増加させるために適用される。強化溶媒は、任意選択で、水、炭酸塩、重炭酸塩、およびカルバメート塩を含有する。温度の上昇が観察され得る。理論に縛られることを望まないが、温度の上昇は、溶媒成分とマイクロ波放射との間の相互作用によって引き起こされ、溶媒成分の双極子の回転およびイオン伝導メカニズムをもたらす。
【0076】
任意選択で、強化溶媒中の第三級アミンは、N-メチル-ジエタノールアミン(MDEA)または2-(ジエチルアミノ)エタノール(DEA)のうちの1つ以上である。任意選択で、強化溶媒中の立体障害アミン(または立体障害アルカノールアミン)は、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール(AEPD)、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール(AHPD)、または2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)のうちの1つ以上である。任意選択で、強化溶媒中のポリアミンは、2-ピペラジン-1-エチルアミン(AEP)または1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジンのうちの1つ以上である。任意選択で、強化溶媒中の塩は、炭酸カリウムである。任意選択で、溶媒が単一の液相を示すように、水(例えば、脱イオン水)が溶媒に含まれる。
【0077】
B1.強化溶媒であって、
第三級アミン(例えば、N-メチル-ジエタノールアミンおよび/もしくは2-(ジエチルアミノ)エタノール)、ならびに/または
立体障害アミン(別名アルカノールアミン)(例えば、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、および/もしくは2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、ならびに/または
ポリアミン(例えば、2-ピペラジン-1-エチルアミンおよび/もしくは1-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン)、ならびに/または
炭酸緩衝液(例えば、炭酸カリウム)、ならびに/または
水(例えば、脱イオン水)
を含む、強化溶媒。
【0078】
B2.強化溶媒が、アルカノールアミン、反応性アミン、および炭酸緩衝液を含む溶媒である、条項B1の強化溶媒。
【0079】
B3.強化溶媒がモノエタノールアミンを含まない、条項B1または条項B2の強化溶媒。
【0080】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」という用語およびそれらの変形は、指定された特徴、ステップ、または整数が含まれることを意味する。これらの用語は、他の機能、ステップ、または成分の存在を除外するものと解釈されるべきではない。
【0081】
特定の形態で、または開示された機能を実行するための手段に関して、または必要に応じて開示された結果を達成するための方法もしくはプロセスに関して表現された、前述の説明、または以下の特許請求の範囲、または添付の図面に開示された特徴は、別々に、またはそのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用され得る。
【0082】
本発明の特定の例示的な実施形態が説明されてきたが、添付の特許請求の範囲は、これらの実施形態のみに限定されることを意図するものではない。特許請求の範囲は、文字通り、目的を持って、および/または等価物を包含するように解釈されるべきである。