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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】中隔穿刺デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240627BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B18/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021000600
(22)【出願日】2021-01-05
(65)【公開番号】P2022105952
(43)【公開日】2022-07-15
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】園原 祥真
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-20861(JP,A)
【文献】特表2015-518752(JP,A)
【文献】特表2016-509942(JP,A)
【文献】特開2020-49038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端と近位端を有し、長手方向に延びる溝が設けられたロッドと、
前記ロッド上の絶縁性材料の樹脂チューブと、
前記ロッドの先端に配置された先端チップと、
前記樹脂チューブに設けられ、前記溝上に配置された流体吐出用の第1サイドホールと、
前記第1サイドホールより近位側に配置された接着用の第2サイドホールであって、前記樹脂チューブに設けられ、前記ロッドの溝のない位置にある接着用の第2サイドホールと、
前記接着用の第2サイドホールから露出した前記ロッドを覆う接着剤と、を備える中隔穿刺デバイス。
【請求項2】
前記溝は複数あり、前記ロッドの長手方向に垂直な断面の周上において、所定の位置と、それ以外の位置に配置されている請求項1に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項3】
前記ロッドと前記先端チップはステンレス材料を使用した金属部品である請求項1または2に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項4】
前記ロッドの長手方向に延びる溝は断面で見た時に円弧形状である請求項1から3のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項5】
前記樹脂チューブは外表面に表面処理材層を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項6】
前記樹脂チューブは表面処理されたフッ素樹脂を使用した樹脂チューブである請求項1から5のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項7】
前記先端チップの一部分は高周波通電のために樹脂チューブから露出している請求項1から6のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項8】
前記樹脂チューブの遠位端は前記先端チップの少なくとも近位端を被覆している請求項1から7のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項9】
前記樹脂チューブは第1サイドホールより遠位端側に減径部を有しており第1サイドホール及び第2サイドホールを有する部分は減径部より外径が大きい請求項1から8のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項10】
前記第1サイドホールと第2サイドホールは同じ大きさである請求項1から9のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項11】
さらに、前記接着剤に隣接する第2接着剤を有する請求項1から10のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項12】
前記ロッドの近位側に接続されている金属パイプと、
前記ロッドの溝と前記樹脂チューブの内表面により構成される流路とを備え、
前記流路と前記金属パイプの内腔とが連通している請求項1から11のいずれか一項に記載の中隔穿刺デバイス。
【請求項13】
前記近位側に接続されている金属パイプと前記ロッドは高周波が通電するために溶着されている請求項12に記載の中隔穿刺デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は心臓手術に用いる高周波心房中隔穿刺デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
心房細動の治療において中隔穿刺デバイスが用いられる。中隔穿刺デバイスは、患者の心臓の左房へアブレーションカテーテルを配置する為に心房中隔を穿孔するデバイスである。中隔穿刺デバイスは、遠位端に高周波電極を備え、その電極により、組織を穿孔することができる。使用する穿刺システムの先端のロッドへ絶縁のために樹脂チューブを覆う。樹脂チューブは、手技中に抜けないようロッドへ強固に接着されることが必要である。
【0003】
先行文献1には、透析液の注排液等に用いられるカフ付きチューブであって、チューブに筒状のカフが外嵌され、接着剤によってカフがチューブに固定されているもの開示されている。
【0004】
先行文献2には、光ファイバーなどの収納部を収納可能なカテーテルチューブであって、収納物の先端に接着剤が付着するのを防止しかつ、収納物をカテーテルに対して固定したカテーテル、および製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-295546号公報
【文献】特開平1-20861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような体腔内に挿入される医療機器において、チューブの内側にロッドを配置し、そのチューブとロッドとを固定することが必要な場合がある。特にロッドが長軸に垂直な断面において1または複数のくぼみを有し、そのくぼみとチューブによって、流路が形成されている場合、遠位側から近位側へ長くのびる細いチューブのルーメン内において、流路となるくぼみ部分を残したまま、チューブとロッドとを強固に固定することは困難であった。
【0007】
特許文献1に記載される方法を適用した場合、樹脂チューブは多孔質合成樹脂のカフと異なり、連続気孔を有さないためチューブの外周面へ接着材を付着させても浸透せず、ロッドと樹脂チューブを硬化させることが困難である。特許文献2に記載される方法を適用した場合、接着剤がくぼみ部分をふさぐこととなり、流路を維持することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決することができた中隔穿刺デバイスは、遠位端と近位端を有し、長手方向に延びる溝が設けられたロッドと、前記ロッド上の絶縁性材料の樹脂チューブと、前記ロッドの先端に配置された先端チップと、前記樹脂チューブに設けられ、前記溝上に配置された流体吐出用の第1サイドホールと、前記第1サイドホールより近位側に配置された接着用の第2サイドホールであって、前記樹脂チューブに設けられ、前記ロッドの溝のない位置にある接着用の第2サイドホールと、前記接着用の第2サイドホールから露出した前記ロッドを覆う接着剤と、を備える中隔穿刺デバイスである。
【0009】
本発明の穿刺デバイスにおいて、前記溝は複数あり、ロッドの長手方向に垂直な断面の周上において、所定の位置と、それ以外の位置に配置されていることが好ましい。
【0010】
本発明の穿刺デバイスにおいて、前記ロッドと前記先端チップはステンレス材料を使用した金属部品であることが好ましい。
【0011】
本発明の穿刺デバイスにおいて、前記ロッドの長手方向に延びる溝は断面で見た時に円弧形状であることが好ましい。
【0012】
本発明の穿刺デバイスにおいて、前記樹脂チューブは外表面に表面処理材層を備えることが好ましく、前記樹脂チューブは表面処理されたフッ素樹脂を使用した樹脂チューブであることが好ましい。
【0013】
本発明の穿刺デバイスにおいて、前記先端チップの一部分は高周波通電のために樹脂チューブから露出していることが好ましい。また、本発明の穿刺デバイスにおいて、前記樹脂チューブの遠位端は前記先端チップの少なくとも近位端を被覆していることが好ましい。
【0014】
本発明の穿刺デバイスにおいて、前記樹脂チューブは第1サイドホールより遠位端側に減径部を有しており第1サイドホール及び第2サイドホールを有する部分は減径部より外径が大きいことが好ましい。また、本発明の穿刺デバイスにおいて、前記第1サイドホールと第2サイドホールは同じ大きさであることが好ましい。
【0015】
本発明の穿刺デバイスにおいて、さらに、接着剤に隣接する第2接着剤を有することが好ましい。本発明の穿刺デバイスにおいて、前記ロッドの近位側に接続されている金属パイプと、前記ロッドの溝と前記樹脂チューブの内表面により構成される流路とを備え、前記流路と前記金属パイプの内腔とが連通していることが好ましく、前記近位側に接続されている金属パイプと前記ロッドは高周波が通電するために溶着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中隔穿刺デバイスのチューブの内側に配置されたロッドと、外側の樹脂チューブを強固に固定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の1実施形態に係る中隔穿刺デバイスの平面図である。
図2】本発明の1実施形態に係る中隔穿刺デバイスの遠位部の平面図である。
図3図2の中隔穿刺デバイスの遠位部を90°回転した方向から見た平面図である。
図4図1の中隔穿刺デバイスの遠位部の長手方向に沿った断面図である。
図5図1の中隔穿刺デバイスの遠位部の長手方向に垂直な断面図である。
図6図1の中隔穿刺デバイスの遠位部の長手方向に垂直な断面図である。
図7】本発明の異なる実施形態に係る中隔穿刺デバイスの遠位部の長手方向に垂直な断面図である。
図8】本発明の異なる実施形態に係る中隔穿刺デバイスの遠位部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の中隔穿刺デバイスは、遠位端と近位端を有し、長手方向に延びる溝が設けられたロッドと、前記ロッド上の絶縁性材料の樹脂チューブと、前記ロッドの先端に配置された先端チップと、前記樹脂チューブに設けられ、前記溝上に配置された流体吐出用の第1サイドホールと、前記第1サイドホールより近位側に配置された接着用の第2サイドホールであって、前記樹脂チューブに設けられ、前記ロッドの接着用の第2サイドホールと、前記接着用の第2サイドホールから露出した前記ロッドを覆う接着剤と、を備える。
【0019】
図1は、本発明の1実施形態に係る中隔穿刺デバイスの平面図である。図2および3は、中隔穿刺デバイスの遠位部の平面図であり、ロッドを、サイドホールを有する樹脂チューブが被覆している図である。図3は、図2の中隔穿刺デバイスの遠位部を90°回転した方向から見た平面図である。図2および3の近位側は模式的に表されており、樹脂チューブとロッドの関係がわかるように、樹脂チューブからロッドが露出した状態としている。図4は、図1の長手方向に沿った断面図であり、接着剤が樹脂チューブに覆っている図である。図5は、第1サイドホールの有する部分の、中隔穿刺デバイスの遠位部の長手方向に垂直な断面図であり、図6は、第2サイドホールの有する部分の、中隔穿刺デバイスの遠位部の長手方向に垂直な断面図である。図7は、図1とは異なる実施形態であり、樹脂チューブの遠位端を減径した形態の平面図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の中隔穿刺デバイス10は、遠位端と近位端を有する樹脂チューブ2を備え、遠位端に心房中隔を穿刺するための先端部と、近位端の手元部とを含む。先端部には、先端チップ1が配置され、手元部には、デバイス操作のための操作部4が配置される。本発明は、先端部を含む中隔穿刺デバイスの遠位部の構造に関する。操作部4は、樹脂チューブ2の近位端に配置されることが好ましい。操作部4は、必要に応じてさらに電源部や液体注入部と連結していてもよい。
【0021】
図2図3に示すように、中隔穿刺デバイス10の遠位部は、樹脂チューブ2と、樹脂チューブ2の遠位側に配置される先端チップ1と、樹脂チューブ2の内腔に配置されるロッド3とを含む。樹脂チューブ2は、遠位側の第1サイドホールと、近位側の第2サイドホールとを備える。図2図3においては、接着剤23は、省略されている。
【0022】
図3および、図5、6に示すように、ロッド3は、樹脂チューブ2の内腔と、第1サイドホール21とを連通する溝31を備える。ロッド3の溝31は、遠位端から近位端まで連続的に設けられていることが好ましい。これにより、ロッド3の溝31と樹脂チューブ2の内表面との空間を流路とすることができる。
【0023】
ロッド3の材料は、金属が好ましく用いられる。金属材料としては、ステンレス鋼、機械構造用炭素鋼などを挙げることができる。ロッド3の長さや最大外径は、中隔穿刺デバイス10の用途に応じて適宜選択することができる。好ましいロッド3の長さは、15mmから20mmである。好ましいロッド3の最大外径は、Φ0.7mmからΦ0.75mmである。ロッド3の最大外径が大きいと、中隔穿刺デバイス10の外径が太くなり、体内への導入や体内での湾曲が困難になる可能性がある。ロッド3の最大外径が小さいと、溝を設けることが困難になったり、ロッド3が折れやすくなる。
【0024】
ロッド3に設けられる溝31の大きさは、その最大外径にも依存するが、幅0.3mm程度であることが好ましい。ロッド3の最大外径に比べて溝が大きいと、ロッド3が折れやすくなるという問題がある。ロッド3の最大外径に比べて溝31が小さいと、流路が少なくなり流体吐出の抵抗が上がるという問題がある。
【0025】
ロッド3の溝31の数は、単数であっても、複数であってもよい。吐出する液体の流路の面積を確保するためには、ロッド3の溝31は複数あることが好ましい。ロッド3の強度を保つためには、溝31の数は少ない方が好ましい。ロッド3の溝31が複数ある場合、ロッド3の長手方向に垂直な断面において、周上の所定の位置に一つ配置し、他の溝を、それ以外の位置に配置することが好ましい。特に、溝31を周上の所定の位置である0度の位置に配置した場合、他の溝を周上の180度の位置に設けることが、流路と強度の確保の観点から好ましい。
【0026】
ロッド3の溝31の形状は、ロッド3の長手方向に垂直な断面において、円形、半円形、扇形、多角形やこれらを組み合わせた形状とすることができる。特に、図5、6に示すように、ロッド3の断面の内側に向かって円弧状に切り欠かれた形状であることが好ましい。切り欠かれた円弧とロッド3の外径によって形成されるエッジに半径0.06mm程度のフィレットを付けエッジを無くすことで意図しないところから高周波が流れることを防止することができる。
【0027】
ロッド3の溝31の大きさは、ロッド3の断面積や、ロッド3の材質によって適宜選択することができるが、ロッド3の断面の半径が0.35mmである場合、ロッド3の中心から放射方向へ0.25mmの位置を中心に半径0.1mmから半径0.2mmの円弧形状で円弧形状とロッド3の外径が重なるところはフィレットを付けることが好ましい。溝の幅は、0.1mmから0.5mmであることが好ましい。
【0028】
樹脂チューブ2の材料は、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、PET樹脂など挙げることができる。樹脂チューブ2は、ロッド3の絶縁のために、ロッド3を覆っている。樹脂チューブ2の材料は、特に、フッ素樹脂を用いることが好ましい。これにより、高周波による焼灼で発生する火花による樹脂チューブ2の割れや溶けることを防止することができる。
【0029】
樹脂チューブ2は、チューブ表面の樹脂上に表面処理材層を有することが好ましい。樹脂チューブ2外表面の表面処理材としては、テトラエッチを挙げることができる。テトラエッチ処理を行うことにより、樹脂と接着剤との接着性を高めることができる。例えば、接着剤が付着しにくいフッ素樹脂の樹脂チューブ2表面にテトラエッチ処理を行うことが好ましい。
【0030】
樹脂チューブ2は、遠位端から近位端まで1本のチューブであってもよく、いくつかの樹脂チューブをつなぎ合わせたチューブであってもよい。樹脂チューブ2は、第1サイドホール21から第2サイドホール22の間は、1本のチューブであることが好ましい。
【0031】
先端チップ1の材料は、金属が好ましく用いられる。先端チップ1に使用される金属材料としては、ステンレス鋼、機械構造用炭素鋼などを挙げることができる。ロッド3の材料と先端チップ1の材料は同じであってもよく、異なっていてもよい。ロッド3の材料や先端チップ1の材料をステンレス材料とすることで、腐食を防止することができる。
【0032】
先端チップ1の大きさは、最大外径Φ0.7mmからΦ0.8mmである。先端チップ1とロッド3とは、1つの部品であってもよく、異なる金属部品であってもよい。前記ロッド3と溶接で溶着し、ロッド3の先端に先端チップを配置することができる。溶接は、レーザー溶接であることが好ましい。先端チップ1は、ロッド3の先端に直接固定されていてもよいし、導電性部材を介して固定されていてもよい。
【0033】
先端チップ1が樹脂チューブ2によって被覆される場合には、先端チップ1の外径が大きいと溶着ができない場合や樹脂チューブ2を被覆できないことがあるので、先端チップ1のサイズは、処置の態様や樹脂チューブ2やロッド3のサイズに合わせて選択することができる。
【0034】
図4に示すように、樹脂チューブ2の遠位端は先端チップ1の少なくとも近位端を覆うことが好ましい。これにより先端チップ1とロッド3との溶接痕の保護と溶接痕から電流が流れることを防止することができる。先端チップ1の露出面積を調整することで高周波の出力を調整することができる。樹脂チューブ2は、ロッド3と先端チップ1の両方を覆うため、ロッド3の外径より、先端チップ1の外径が小さい場合には、図7に示すように、樹脂チューブ2の遠位端は、先端チップ1の外径に合わせて、減径されていることが好ましい。また、液体の樹脂チューブ2内への流入を防ぐために、樹脂チューブ2は、先端チップ1に貼りついていることが好ましい。樹脂チューブ2と先端チップ1とを密着させる方法として、樹脂チューブ2を熱で収縮させる方法や接着材で固定する方法がある。
【0035】
先端チップ1は、電気的、機械的な方法によって、心房中隔を穿刺できるよう構成される。先端チップ1は、穿孔のための電極として用いることができるので、高周波通電のために樹脂チューブ2から一部分が露出していることが好ましい。機械的な穿孔のためには、先端チップ1はとがった鋭利な先端であることが好ましい。
【0036】
先端チップ1の内側は中空であっても、中実であってもよい。先端チップ1の内側を中空として、X線視認を目的としてPt線を埋め込むなどすることができる。
【0037】
樹脂チューブ2は、少なくとも、ロッド3の溝31上に配置された流体吐出用の第1サイドホール21と、前記第1サイドホール21より近位側に配置された接着用の第2サイドホール22とを備える。これらのサイドホールの形状は、円形、半円形、楕円形、多角形やこれらを組み合わせた形状とすることができる。特に、円形であることが好ましい。これにより、樹脂チューブ2の穴開けが容易になり、形状のばらつきを抑えるすることができる。第1サイドホール21と、第2サイドホール22の形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。サイドホールの形状と同じとすることで、加工が容易となる。その他に、形状は同じ円形とし、円形のサイズが異なっていてもよい。
樹脂チューブ2へサイドホールを設けるには金属パンチを回転させる穴開け機を使用する方法が挙げられるが、ロッド3に樹脂チューブ2を被覆する前にサイドホールを形成してもよく、被覆後に形成してもよい。レーザーを使用する方法や金属パンチで穴開ける方法を用いることでロッド3に被覆してから穴開けを行うことが可能である。
【0038】
図5に示すように、第1サイドホール21は、ロッド3の長手方向の断面において、溝31のある位置に配置される。これにより、第1サイドホール21をロッド3の溝31を流れる液体の吐出口とすることができる。
【0039】
図6に示すように、第2サイドホール22は、ロッド3の長手方向に垂直な断面において、溝31のない位置に設けられることが好ましい。これにより、第2サイドホール22から、溝31のない部分のロッド3を露出させることができる。例えば、ロッド3の長手方向に垂直な断面において、周上の0度と180度の位置に溝31が設けられている場合、周上の90度と270度の溝31がない位置に第2サイドホール22を設けることが好ましい。
【0040】
図4図6に示すように、第2サイドホール22から露出したロッド3部分は、接着剤によって覆われる。接着剤23は、シアノアクリレート系のものを用いることが好ましい。これにより、樹脂チューブ2とロッド3の間に接着剤23浸透しやすく短時間で接着することが出来る。しかし、ロッド3の溝31に接着剤が流れ込み流路を塞がないように注意する必要がある。図4では、接着剤23が模式的に示されている。第2サイドホール22に注入された接着剤23は、第2サイドホール22を介して、樹脂チューブ2とロッド3の間にあってもよい。
【0041】
図7に示すように、第2サイドホール22から露出するロッド3部分を接着剤によって覆うためには、ロッド3の近位側には、金属パイプ5が接続されていることが好ましい。第2サイドホール22を覆う接着剤23から通電しないように金属パイプ5を覆う第2樹脂チューブ6と第2接着剤24で第2サイドホール22を覆うためである。第2樹脂チューブ6は絶縁材料を用いることが好ましい。特に好ましくは、ポリイミド系樹脂である。第2接着剤24は、エポキシ系のものを用いることが好ましい。これにより、樹脂チューブ2と第2樹脂チューブ6の隙間を絶縁することができる。また、第2接着剤24は、接着剤23に隣接することが好ましい。これにより、樹脂チューブ2とロッド3との固定をより強固にすることができる。
【0042】
ロッド3の溝31と樹脂チューブ2の内表面により構成される流路は、金属パイプ5の内腔と連通していることが好ましい。金属パイプ5の材質は、ステンレス鋼であることが好ましい。金属パイプ5の大きさは、外径Φ1.17mmであり、金属パイプ5の表面は、絶縁のために第2樹脂チューブで覆われていることが好ましい。金属パイプとロッド3とは、高周波が通電するために溶着されていることが好ましく、特にレーザー溶接で溶着されていることが好ましい。
【0043】
図8に示すように、樹脂チューブ2の遠位端が先端チップ1の外径に合わせて減径されている場合、樹脂チューブ2の第1サイドホール21より遠位端側に減径部が配置されていることが好ましい。この場合、樹脂チューブ2の第1サイドホール21および第2サイドホール22を有する部分は減径部より外径が大きくなっている。樹脂チューブ2の第1サイドホール21のある位置と、第2サイドホール22のある位置の外径は、減径部より大きければ、同じであってもよく、異なっていてもよいが、ロッド3の太さがが一定である場合、同じであることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
10 中隔穿刺デバイス
1 先端チップ、2 樹脂チューブ、3 ロッド、4 操作部
21 第1サイドホール、22 第2サイドホール、23 接着剤、24 第2接着剤、31溝、5 金属パイプ、6 第2樹脂チューブ








図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8