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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】防音材
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/16 20060101AFI20240627BHJP
   G10K 11/172 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
G10K11/16 110
G10K11/172
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021016690
(22)【出願日】2021-02-04
(65)【公開番号】P2022119508
(43)【公開日】2022-08-17
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将幸
(72)【発明者】
【氏名】原澤 悠
(72)【発明者】
【氏名】江川 隼太
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-052101(JP,A)
【文献】特開2019-191576(JP,A)
【文献】特開2011-242493(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0431163(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/16
G10K 11/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を有する複数の音響管と、
前記複数の音響管を、前記長手方向と直交する方向に連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、前記音響管の第1壁部に取り付けられ、
前記第1壁部の集合体で構成される遮音面は、前記第1壁部を内側にして屈曲可能に構成される、防音材。
【請求項2】
前記複数の音響管は、前記第1壁部に隣接する第2壁部を互いに向かい合わせて前記長手方向と直交する方向に隣接し、
互いに隣接する2つの音響管の前記第2壁部は、各々離隔自在に構成されている、請求項1に記載の防音材。
【請求項3】
前記連結部材は、互いに隣接する2つの音響管に跨って設けられたヒンジである、請求項1又は2に記載の防音材。
【請求項4】
前記連結部材は、複数の音響管に跨って設けられたシート状の可撓性部材である、請求項1に記載の防音材。
【請求項5】
前記遮音面に向かい合って設けられたマグネットをさらに備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の防音材。
【請求項6】
前記マグネットは、前記複数の音響管に跨って設けられたシート状のラバーマグネットである、請求項5に記載の防音材。
【請求項7】
前記複数の音響管の少なくとも1つは、前記第1壁部、第2壁部又は第3壁部に貫通孔を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の防音材。
【請求項8】
前記複数の音響管は、前記長手方向の長さが変更可能である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の防音材。
【請求項9】
前記複数の音響管の各々は、第1筒状部材と、前記第1筒状部材に対してスライド可能に内挿された第2筒状部材とを含む、請求項8に記載の防音材。
【請求項10】
前記複数の音響管の各々は、蛇腹構造を有する筒状部材である、請求項8に記載の防音材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、防音材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、騒音源から発する音の伝搬を防ぐために、騒音エリアと静音エリアとの間に防音壁を設けることが行われている。通常、防音壁は、遮音効果を有する板状の部材(遮音材)で構成され、防音壁を騒音エリアと静音エリアとの間に設けることにより、騒音源からの音の伝搬を遮ることができる。
【0003】
他方、波の性質を有する音は、障害物の影に回り込む回折現象を生じる。そのため、防音壁の上端部における音の回折現象への対策として、音響管による吸音効果を狙った防音壁が開発されている。例えば、特許文献1には、複数の音響管を束ねた構造を有する吸音装置が開示されている。この吸音装置は、防音対象(音源)から発する音の波長をλとしたとき、音響管の長さをλ/4とすることにより、音響管の内部への入射音と音響管の内部からの反射音とが互いに干渉して打ち消し合うことを利用して、上述の回折現象による音のまわり込みを低減するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-166024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来技術は、複数の音響管を組み合わせて平板状の吸音装置を構成し、その吸音装置を防音壁に取り付けて使用する。つまり、騒音エリアと静音エリアとの間に防音壁を設ける点については変わりはない。そのため、音源の周囲に対する騒音の伝搬を防ぐことが必要な場合、音源の周囲に複数の防音壁を設置する必要がある。この場合、大掛かりな設置工事を行って複数の防音壁を設ける必要があり、施工費用や施工時間の増加を招く要因となっていた。
【0006】
本発明の一実施形態の課題は、音源の形状やサイズに合わせて柔軟に変形可能な防音材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における防音材は、長手方向を有する複数の音響管と、前記複数の音響管を、前記長手方向と直交する方向に連結する連結部材と、を備え、前記連結部材は、前記音響管の第1壁部に取り付けられ、前記第1壁部の集合体で構成される遮音面は、前記第1壁部を内側にして屈曲可能に構成される。
【0008】
前記防音材において、前記複数の音響管は、前記第1壁部に隣接する第2壁部を互いに向かい合わせて前記長手方向と直交する方向に隣接していてもよい。このとき、互いに隣接する2つの音響管の前記第2壁部は、各々離隔自在に構成されていてもよい。
【0009】
前記防音材において、前記連結部材は、互いに隣接する2つの音響管に跨って設けられたヒンジであってもよい。
【0010】
前記防音材において、前記連結部材は、複数の音響管に跨って設けられたシート状の可撓性部材であってもよい
【0011】
前記防音材は、前記遮音面に向かい合って設けられたマグネットをさらに備えてもよい。この場合、前記マグネットは、前記複数の音響管に跨って設けられたシート状のラバーマグネットであってもよい。
【0012】
前記防音材において、前記複数の音響管の少なくとも1つは、前記第1壁部、第2壁部又は第3壁部に貫通孔を有していてもよい。
【0013】
前記防音材において、前記複数の音響管は、前記長手方向の長さが変更可能であってもよい。
【0014】
前記防音材において、前記複数の音響管の各々は、第1筒状部材と、前記第1筒状部材に対してスライド可能に内挿された第2筒状部材とを含んでもよい。
【0015】
前記防音材において、前記複数の音響管の各々は、蛇腹構造を有する筒状部材であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における防音材の構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態における防音材の構成を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態における防音材を屈曲させた状態を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態における防音材を音源に対して装着した一例を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態における防音材を音源に対して装着した他の一例を示す模式図である。
図6】周波数100Hzの音源に対する防音効果を検証したシミュレーション結果を示す図である。
図7】周波数100Hzの音源に対する防音効果を検証したシミュレーション結果を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態における防音材の構成を示す図である。
図9】本発明の第3実施形態における防音材の構成を示す図である。
図10】本発明の第3実施形態における防音材を音源に対して装着した一例を示す模式図である。
図11】本発明の第3実施形態における防音材を音源に対して装着した他の一例を示す模式図である。
図12】本発明の第4実施形態における防音材の構成を示す図である。
図13】本発明の第5実施形態における防音材の構成を示す図である。
図14】本発明の第5実施形態における防音材を音源に対して装着した一例を示す模式図である。
図15】本発明の第5実施形態における防音材を音源に対して装着した一例を示す模式図である。
図16】本発明の第6実施形態における防音材の構成を示す図である。
図17】本発明の第7実施形態における防音材の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面等を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。本明細書と各図面において、既出の図面に関して説明したものと同様の機能を備えた要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略することがある。
【0018】
(第1実施形態)
[防音材の構成]
図1は、本発明の第1実施形態における防音材100の構成を示す斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態における防音材100の構成を示す図である。具体的には、図2(A)は、防音材100の構成を示す正面図であり、図2(B)は、防音材100の構成を示す平面図であり、図2(C)は、防音材100の構成を示す側面図である。また、図1及び図2では、説明を簡単にするために、第1方向(D1方向)から第6方向(D6方向)までの方向を示している。本実施形態では、第1方向(D1方向)又は第2方向(D2方向)と平行な方向を「高さ方向」、第3方向(D3方向)又は第4方向(D4方向)と平行な方向を「幅方向」、第5方向(D5方向)又は第6方向(D6方向)と平行な方向を「厚さ方向」と呼ぶ場合がある。
【0019】
本実施形態の防音材100は、具体的には、音源に装着して、音源から発する音の発散を抑制する防音壁である。防音材100は、厚さ方向の長さは、10~15cmであり、高さ方向の長さは、防音対象である音源から発する音に応じて設定する。すなわち、高さ方向の長さは、音源の音の波長をλとしたとき、λ/4に設定する。幅方向の長さは任意であるが、後述するように、本実施形態の防音材100は、所望の位置で屈曲可能に構成されている。ただし、これらの数値は一例にすぎず、防音材100の形状を限定するものではない。
【0020】
例えば、防音対象となる音の周波数(f)を100Hz、音の速さ(c)を340m/sとすると、音の波長(λ)はλ=c/f=3.4mである。すなわち、防音対象となる音の周波数が100Hzである場合、音響管110の長さをλ/4=0.85mに設定すれば防音効果を得ることができる。同様に、防音対象となる音の周波数が200Hzである場合、波長(λ)はλ=c/f=1.7mであるため、音響管110の長さをλ/4=0.425mに設定すればよい。
【0021】
図1及び図2に示すように、防音材100は、複数の音響管110を幅方向に連結して構成される板状部材である。図1及び図2において、1本の音響管110を斜線で示している。音響管110は、高さ方向を長手方向とする断面が矩形の筒状部材である。音響管110は、上端(D1方向側の端部)が開口端114であり、下端(D2方向側の端部)が閉口端115である片側開放の筒状構造を有している。本実施形態において、音響管110は、プラスチック材料で構成される。しかし、この例に限らず、紙、木材、金属材料等を用いてもよい。
【0022】
図2に示すように、各音響管110は、壁部112a、壁部112aに隣接する壁部112b、及び壁部112bに隣接すると共に壁部112aに向かい合う壁部112cで構成される。すなわち、壁部112a、壁部112b及び壁部112cで囲まれた空間が、音響管として機能する。ここで、図2(A)及び図2(B)では、壁部112bが、隣接する2つの音響管110の間に1枚のみ図示されているが、実際には、2枚の壁部112bが存在する。後述するように、個々の音響管110は、互いに連結部材120によって連結されているにすぎず、各音響管110は、壁部112bを互いに向かい合わせて幅方向に隣接している。
【0023】
図2(A)に示すように、音響管110の壁部112aは、幅方向に並ぶことにより、遮音面150を構成する。ここで、「遮音面」とは、本実施形態の防音材100を使用する際に、音源に向かい合う面である。本実施形態では、遮音面150を構成する各音響管110の壁部112aを「第1壁部」と呼ぶ場合がある。換言すれば、遮音面150は、各音響管110の第1壁部(具体的には、第1壁部の外面)の集合体で構成される。同様に、本実施形態では、壁部112bを「第2壁部」、壁部112cを「第3壁部」と呼ぶ場合がある。
【0024】
遮音面150には、連結部材120が取り付けられている。具体的には、連結部材120は、遮音面150に対して図示しない接着剤等により接着されている。連結部材120は、図2(B)及び図2(C)に示すように、複数の音響管110を、長手方向と直交する幅方向に連結する部材である。本実施形態では、連結部材120として、シート状の可撓性部材、例えば、シート状の樹脂部材を用いる。つまり、本実施形態の防音材100は、独立した複数の音響管110が共通の連結部材120を介して幅方向に並べて配置されることにより構成されている。
【0025】
以上説明したとおり、防音材100は、複数の音響管110を用いて構成されており、各音響管110が音の回折現象を低減する効果を発揮する。すなわち、防音材100は、遮音面150で音を遮るだけでなく、回折現象による回り込みによって防音材100の上端を越える音を抑制することができる。なお、各音響管110の内径(断面が矩形であれば各辺の長さ)をDとしたとき、内径Dは、音源の音の波長λに対して、D<0.59λとなるように設定することが好ましい。つまり、本実施形態の防音材100は、壁部112aと壁部112cとの間の距離、及び、隣接する2つの壁部112bの間の距離を0.59λよりも小さくする。このような条件を満たすと、音響管110の内部に侵入した音を平面波とみなすことができるため、音響管110の内部における音圧分布は、長さ方向のみ考慮すれば足りる。
【0026】
[防音材の変形]
図3は、本発明の第1実施形態における防音材100を屈曲させた状態を示す図である。防音材100は、複数の音響管110の壁部112aに取り付けられた連結部材120によって互いに連結されている。つまり、隣接する音響管110が直接的に接着されているわけではないため、壁部112bは、各々離隔自在に構成されている。換言すれば、防音材100は、壁部112aの側縁を支点として回動可能である。したがって、図3に示すように、防音材100の遮音面150は、壁部112aを内側にして、任意の位置で屈曲可能となっている。ただし、防音材100を屈曲させる際には、連結部材120も共に屈曲する。そのため、防音材100の屈曲を妨げないように、連結部材120の厚さは出来るだけ薄い方が望ましい。
【0027】
このように、本実施形態の防音材100は、幅方向に屈曲可能な構造を有するため、防音対象の音源のサイズや形状に合わせて自在に変形させて用いることが可能である。すなわち、防音材100は、通常は、板状の防音材として運搬し、音源のサイズに合わせて柔軟に変形させることにより、最小限のサイズで音源を囲むことが可能である。
【0028】
図4は、本発明の第1実施形態における防音材100を音源200に対して装着した一例を示す模式図である。具体的には、図4(A)は、矩形状の音源200に防音材100を装着した例であり、図4(B)は、円柱状の音源200に防音材100を装着した例である。図4(A)及び図4(B)に示す例において、防音材100を構成する各音響管110の高さ方向の長さは、音源200から発する音の波長に合わせて設定されている。音響管110は、上方に開口端114が位置し、遮音面(図示せず)が音源200に向かい合うように配置される。
【0029】
図4(A)に示すように、音源200が矩形状である場合、防音材100を3箇所で屈曲させて音源200を囲むように配置することにより、音源200から発する音を効率的に抑制することが可能である。つまり、音源200の外径が平面的に多角形である場合は、各側面に沿うように防音材100を変形させて音源200に装着させればよい。ただし、この例に限らず、例えば2枚の防音材100を用意し、それぞれ1箇所で屈曲させて、2つのL字状の防音材100を組み合わせて図4に示す状態としてもよい。
【0030】
また、図4(B)に示すように、音源200が円柱状である場合、防音材100の全体を湾曲させて音源200を囲むように配置することにより、音源200から発する音を効率的に抑制することが可能である。つまり、音源200の側面が湾曲している場合は、各湾曲面に沿うように防音材100を変形させて音源200に装着させればよい。このように防音材100は湾曲面に沿うように変形させることも可能であるため、音源200が楕円形状であったり半円形状であったりしても対応することが可能である。
【0031】
図5は、本発明の第1実施形態における防音材100を音源200に対して装着した他の一例を示す模式図である。具体的には、図5(A)は、矩形状の音源200の一部(例えば、音源200の上部)に防音材100を装着した例であり、図5(B)は、矩形状の音源200の上部に防音材100を突出させて装着した例である。図5(A)及び図5(B)に示す例において、防音材100を構成する各音響管110の高さ方向の長さは、音源200から発する音の波長に合わせて設定されている。音響管110は、上方に開口端114が位置し、遮音面(図示せず)が音源200に向かい合うように配置される。
【0032】
図5(A)及び図5(B)に示すように、防音材100は、音源200の全体を囲む必要はなく、その一部を覆うだけでも防音効果を発揮することができる。例えば、音が音源200の上方から発する場合、音源200の上部に防音材100を設けることにより十分な防音効果が得られる場合もある。音源の上面から音が発する場合は、特に、図5(B)に示す態様とすることが好ましい。図5(B)の構造とした場合、音源から発する音の放射方向を制御する(音の放射方向を上方に向ける)ことができ、音響管110による音の低減効果を高めることができる。
【0033】
[防音材の効果]
図6及び図7は、周波数100Hzの音源に対する防音効果を検証したシミュレーション結果を示す図である。具体的には、図6(A)は、周波数100Hzの音源を囲むように通常の防音壁(単なる板状の壁部材)を配置した場合の回折音の音圧レベルの分布を示しており、図6(B)は、周波数100Hzの音源を囲むように本実施形態の防音壁(本実施形態の防音材100)を配置した場合の回折音の音圧レベルの分布を示している。図7は、図6(A)及び図6(B)に示したシミュレーション結果に基づいて、両者の回折音の音圧レベルの差分の分布を示している。
【0034】
本実施形態のシミュレーションは、断面視において、幅1.0m、高さ0.4mの音源が、周波数100Hz、振動速度0.01m/sで上面を振動させることにより音を発していると仮定している。そして、周波数100Hzの音に対応させるため、音源の側方に、音響管の長さ(高さ)0.85m、厚さ0.1mの防音壁を設置した場合を仮定した。
【0035】
図6(A)に示すように、通常の防音壁の場合、例えば防音壁の上端近傍から外側側方に1.0mほど離れた位置において、約92dBの音圧レベルを示しているのに対し、図6(B)に示すように、本実施形態の防音壁の場合、防音壁の上端近傍から外側側方に1.0mほど離れた位置において、少なくとも84dB以下の音圧レベルを示している。すなわち、図7に示すように、本実施形態の防音壁を用いた場合、通常の防音壁に比べて、外側側方において10dB程度の音圧レベルの低減効果が認められた。
【0036】
本実施形態の防音材100は、複数の音響管110と、各音響管110を幅方向に連結する連結部材120とを備え、連結部材120が各音響管110の壁部112aに取り付けられた構造を有することにより、任意の位置で屈曲可能な防音材100を構成することができる。これにより、防音対象の音源の形状やサイズに応じて防音材100を柔軟に変形させることが可能な防音材を提供することができる。特に、本実施形態の防音材100は、柔軟に変形させることにより音源に直接的に装着することが可能であり、小さなスペースで効率的に音の発散を抑制することができる。さらに、音源に防音材100を装着することにより音源の剛性が向上し、放射音が低減されるという副次的効果も得られる。
【0037】
本実施形態の防音材100は、例えば、屋外に設置された音源など、発する音がある程度固定された音源に対する防音対策として有効である。音源の形状が比較的複雑ではない場合には、防音材100を直接的に装着する構成とすることが好ましい。そのような音源としては、例えば、空調室外機(f=63~125Hz)、クーリングタワー(f=63~125Hz)、キュービクル(f=125~250Hz)、ディーゼル発電機(f=63~125Hz)、建設機械(車両)のエンジンルームの外側(f=31.5~125Hz)などが挙げられる。
【0038】
音源の形状が複雑であったり一様でなかったりする場合には、音源を囲むように防音材100を配置する構成とすればよい。そのような音源としては、例えば、ポンプ(f=63~125Hz)、ファン(シロッコファン、有圧扇など)(f=63~125Hz)、ボイラー(f=63~125Hz)、建設機械(車両)のマフラー回り(f=31.5~125Hz)などが挙げられる。
【0039】
(変形例1)
第1実施形態では、複数の音響管110の壁部112aで構成される遮音面150(図2)の全面に連結部材120を設けた例について説明したが、この例に限られるものではない。例えば、連結部材120は、遮音面150の一部、具体的には、音響管110の上端近傍及び下端近傍に、幅方向に長い帯状の連結部材が設けられていてもよい。この場合においても、複数の音響管110に跨って連結部材120を取り付けることにより、各音響管110を幅方向に隣接させて連結することができる。
【0040】
また、連結部材120は、音響管110の上端近傍及び下端近傍に、隣接する2つの音響管110に跨るサイズの連結部材が幅方向に複数配置されたものであってもよい。この場合においても、複数の音響管110が、複数の連結部材120によって間接的に連結されて、一体の防音材100を構成する。
【0041】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の防音材100aについて説明する。具体的には、本実施形態の防音材100aは、音源に装着するためのマグネット130を有する。本実施形態において、第1実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0042】
図8は、本発明の第2実施形態における防音材100aの構成を示す図である。具体的には、図8(A)は、防音材100aの構成を示す正面図であり、図8(B)は、防音材100aの構成を示す平面図であり、図8(C)は、防音材100aの構成を示す側面図である。
【0043】
図8(A)~図8(C)に示されるように、本実施形態の防音材100aは、連結部材120に重ねてマグネット130が配置されている。すなわち、マグネット130は、防音材100aの遮音面150に向かい合って設けられている。本実施形態において、マグネット130としては、具体的には、シート状のラバーマグネットを用いる。ラバーマグネットとは、ゴムに磁石粉末を混ぜて形成された可撓性を有するマグネットであり、本実施形態では、ラバーマグネットをシート状に加工したものを用いている。
【0044】
マグネット130を連結部材120に固定する方法は、連結部材120に対して接着剤等により接着する方法であってもよいし、ボルト等の固定具を用いて固定する方法であってもよい。また、例えば、音響管110が金属材料で構成されていれば、マグネット130自身の磁力により固定される構成としてもよい。
【0045】
本実施形態のマグネット130は、連結部材120と同様に、防音材100aと共に屈曲する。そのため、マグネット130は、防音材100aの屈曲を妨げないように、出来るだけ薄い方が望ましい。しかし、この例に限らず、マグネット130は、遮音面150に対して局在的に配置されていてもよい。例えば、音響管110ごとにマグネット130を設けることにより、マグネット130が複数の音響管110に跨らない構成とすることも可能である。この場合、防音材100aを屈曲させる際にマグネット130が干渉しないため、マグネット130の選定の自由度が向上するという利点がある。マグネット130は、遮音面150の四隅近傍に設けたり、遮音面150の各辺に沿って設けたりするなど、配置方法について特に制限はない。
【0046】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の防音材100bについて説明する。具体的には、本実施形態の防音材100bは、各音響管110bに、音源に装着する際に使用するための貫通孔116を有する。本実施形態において、第1実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0047】
図9は、本発明の第3実施形態における防音材100bの構成を示す図である。具体的には、図9(A)は、防音材100bの構成を示す正面図であり、図9(B)は、防音材100bの構成を示す平面図であり、図9(C)は、防音材100bの構成を示す側面図である。また、図9(B)は、図9(A)をA-A線に沿って切断した端面図に対応し、図9(C)は、図9(A)をB-B線に沿って切断した端面図に対応する。
【0048】
本実施形態の防音材100bは、各音響管110bの上部(開口端114の近傍)に貫通孔116を有する。ただし、本実施形態では、音響管110bの壁部112aに貫通孔116が設けられているため、図9(B)及び図9(C)に示されるように、壁部112aに取り付けられた連結部材120の同じ位置にも貫通孔が設けられている。図9(A)~図9(C)では、説明を簡単にするため、音響管110b及び連結部材120のそれぞれに設けられた貫通孔をまとめて「貫通孔116」と呼んでいる。本実施形態の防音材100bは、各音響管110bに設けられた貫通孔116に番線や針金等のワイヤを通すことにより直接的に音源に装着することができる。
【0049】
図10は、本発明の第3実施形態における防音材100bを音源200に対して装着した一例を示す模式図である。具体的には、図10(A)は、防音対象の音源200に防音材100bを装着した様子を示す平面図であり、図10(B)は、音源200に防音材100bを装着した様子を示す側面図である。
【0050】
図10(A)及び図10(B)に示すように、音源200の上面には、突出部210が設けられている。突出部210は、例えば、ボルト、釘、ピン状部材などを音源200に取り付けたり、音源200自体の突出部を利用したりすることができる。突出部210には、環状に加工された番線220が引っ掛けられており、番線220は、防音材100bの貫通孔116に通されている。つまり、防音材100bは、音源200の上部から垂下した状態で装着される。
【0051】
図11は、本発明の第3実施形態における防音材100bを音源200に対して装着した他の一例を示す模式図である。具体的には、図11(A)は、防音対象の音源200に防音材100bを装着した様子を示す平面図であり、図11(B)は、音源200に防音材100bを装着した様子を示す側面図である。
【0052】
図11(A)及び図11(B)に示すように、防音材100bの音響管110bに設けられた貫通孔116には、連結リング230が挿通されている。連結リング230が装着された防音材100bは、音源200の一方の面と、その一方の面に対向する他方の面とに向かい合わせて配置される。その状態で2つの防音材100bに取り付けられた各連結リング230が、番線220によって相互に連結される。これにより、防音材100bは、音源200の上部から垂下した状態で装着される。
【0053】
以上のように、本実施形態では、音響管110bに対して貫通孔116を設けることにより、番線や針金等のワイヤを通すことにより、直接的に防音材100bを音源に装着することができる。
【0054】
本実施形態では、図9(A)に示すように、各音響管110bに貫通孔116を設けた例を示したが、すべての音響管110bに貫通孔116を設ける必要はなく、複数の音響管110bの一部に貫通孔116を設けた構成としてもよい。例えば、複数の音響管110bのうち、1つ置きに位置する音響管110bに貫通孔116を設けてもよい。
【0055】
また、本実施形態では、音響管110bの壁部112aに貫通孔116を設けた例を示したが、この例に限らず、音響管110bの壁部112b又は壁部112cに貫通孔116を設けた構成としてもよい。
【0056】
さらに、図9(A)では、音響管110bの開口端114の近傍に貫通孔116を設けた例を示したが、この例に限らず、貫通孔116を設ける位置は任意である。ただし、貫通孔116は、音響管110bが音響管として正常に機能する位置に設けられていることが望ましい。
【0057】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の防音材100cについて説明する。具体的には、本実施形態の防音材100cは、隣接する音響管110cをヒンジ118によって連結する。本実施形態において、他の実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0058】
図12は、本発明の第4実施形態における防音材100cの構成を示す図である。具体的には、図12(A)は、防音材100cの構成を示す正面図であり、図12(B)は、防音材100cを屈曲させた状態を示す平面図である。本実施形態の防音材100cは、互いに隣接する2つの音響管110cに跨ってヒンジ118が設けられている。ヒンジ118は、蝶番とも呼ばれ、2つの部材を回動可能に連結するための連結部材である。ヒンジ118を構成する材料に特に制限はないが、プラスチック材料又は金属材料であることが好ましい。本実施形態では、音響管110cの上端付近及び下端付近の2箇所にヒンジ118を設けた例を示すが、この例に限らず、高さ方向の3箇所以上に設けられていてもよい。
【0059】
図12(A)及び図12(B)に示すように、ヒンジ118は、防音材100cの遮音面150に設けられる。すなわち、ヒンジ118は、各音響管110cの壁部112aに取り付けられている。ヒンジ118は、ネジ等の固定具を用いて固定されてもよいし、接着剤等により固定されてもよい。
【0060】
図12(B)に示すように、本実施形態の防音材100cは、ヒンジ118を内側にして任意の位置で屈曲可能である。そのため、防音材100cは、第1実施形態と同様に、防音対象である音源の形状やサイズに合わせて柔軟に変形させて使用することができる。
【0061】
(第5実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の防音材100dについて説明する。具体的には、本実施形態の防音材100dは、各音響管110dが蛇腹構造を有する筒状部材で構成される。本実施形態において、他の実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0062】
図13は、本発明の第5実施形態における防音材100dの構成を示す図である。具体的には、図13は、防音材100dの構成を示す正面図である。本実施形態では、防音材100dを構成する各音響管110dとして、蛇腹構造112daを有する筒状部材を用いている。蛇腹構造とは、板状又はシート状の部材で形成される、山折りと谷折りの繰り返し構造を指し、ベローズ構造とも呼ばれる。
【0063】
図13に示すように、蛇腹構造112daの山折りと谷折りは、音響管110dの高さ方向に連続して形成される。そのため、各音響管110dは、高さ方向に伸縮可能であり、長手方向の長さが変更可能である。ただし、各音響管110d同士を連結する連結部材が配置される部分(以下「連結部分112db」という)は、伸縮させることができないため、蛇腹構造112daを有していない。例えば、本実施形態では、連結部材として、第4実施形態で説明したヒンジ118を用いる例を示しているが、図13に示すように、各音響管110dのうちヒンジ118が設けられる連結部分112dbについては、蛇腹構造112daが設けられていない。
【0064】
本実施形態の防音材100dは、各音響管110dが蛇腹構造112daを有するため、長手方向に伸縮可能な構造となっている。つまり、各音響管110dは、音源が発する音の波長に合わせて長さを変更することが可能である。そのため、本実施形態の防音材100dは、幅方向だけでなく、高さ方向にも屈曲可能である。したがって、防音材100dは、音源のサイズや形状に加えて、発する音の波長にも合わせて変形が可能であり、様々な種類の音源に対して防音効果を奏することができる。
【0065】
図14は、本発明の第5実施形態における防音材100dを音源200に対して装着した一例を示す模式図である。具体的には、図14(A)及び図14(B)は、それぞれ矩形状の音源200に防音材100dを装着した例である。図14(A)及び図14(B)に示す例において、防音材100dを構成する各音響管110dの高さ方向の長さは、音源200から発する音の波長に合わせて設定されている。音響管110dは、上方に開口端114が位置し、遮音面(図示せず)が音源200に向かい合うように配置される。
【0066】
図14(A)に示す例は、音響管110dの長さが音源200から発する音の波長の1/4の長さになるように音響管110dを伸ばし、下方の一部を90°屈曲させた例である。図14(B)に示す例は、音響管110dの長さが音源200から発する音の波長の1/4の長さになるように音響管110dを伸ばし、下方の一部を180°屈曲させて折り畳んだ例である。
【0067】
本実施形態の防音材100dは、幅方向だけでなく、高さ方向にも屈曲可能であるため、音源200の高さよりも音響管110dの長さが長くなった場合においても、上方に突出させずに装着することが可能である。なお、図14(A)及び図14(B)に示すような構成を実現するためには、幅方向の屈曲部において、下方側に取り付けたヒンジ118を外せばよい。本実施形態では、ヒンジ118をネジ等により固定しておけば、ヒンジ118は、簡単に着脱可能である。
【0068】
また、図14(A)及び図14(B)では、各音響管110dの長さが同一である例を示したが、この例に限られるものではない。すなわち、複数の音響管110dは、それぞれ長さが異なる複数の音響管として用いてもよい。例えば、2種類の周波数に対応させる場合には、複数の音響管110dは、1本おきに同じ長さで構成されていてもよい。つまり、n種類の周波数の音に対応させる場合、複数の音響管110dは、n種類の長さを有していてもよい。このような構成は、防音対象の音源が、複数の周波数の音を発する場合や、それぞれ異なる周波数の音を発する複数の音源を囲む場合に有効である。
【0069】
図15は、本発明の第5実施形態における防音材100dを音源200aに対して装着した一例を示す模式図である。具体的には、図15(A)及び図15(B)は、それぞれ複数の音響管110dの長さを1本おきに異ならせ、2種類の周波数の音に対して防音効果を発揮する構成とした例である。つまり、図15(A)及び図15(B)に示す防音材100dは、互いに長さが異なる音響管110da及び音響管110dbを交互に配置して構成される。
【0070】
図15(A)に示す例において、音響管110daの長さは、音源200aから発する第1周波数の音の波長に合わせて長さを設定する。音響管110dbの長さは、音源200aから発する第2周波数の音の波長に合わせて長さを設定する。図15(A)に示す例では、第1周波数の音の方が第2周波数の音よりも周波数が低い(波長が長い)ため、音響管110dbに比べて音響管110daの方が長い。そのため、音響管110daは、下方の一部を90°屈曲させて長さを確保している。
【0071】
図15(B)に示す例においても、音響管110daの長さは、音源200aから発する第1周波数の音の波長に合わせて長さが設定されている。同様に、音響管110dbの長さは、音源200aから発する第2周波数の音の波長に合わせて長さが設定されている。図15(B)に示す例では、音響管110daは、下方の一部を180°屈曲させて長さを確保している。
【0072】
以上のように、本実施形態の防音材100dは、各音響管110dの長さを変更可能であるため、複数の周波数の音に対応させて各音響管110dの長さを調整することができる。これにより、防音材100dは、例えば、高周波数の音と低周波数の音とが混在する複合音を発する音源に対しても、防音効果を発揮することができる。
【0073】
(第6実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の防音材100eについて説明する。具体的には、本実施形態の防音材100eは、各音響管110eが相対的にスライドする2つの筒状部材で構成される。本実施形態において、他の実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0074】
図16は、本発明の第6実施形態における防音材100eの構成を示す図である。具体的には、図16(A)は、防音材100eの構成を示す正面図であり、図16(B)は、接続部112eの断面構造を側方から見た図であり、図16(C)は、接続部112eの断面構造を正面から見た図である。本実施形態の防音材100eは、各音響管110eが、第1筒状部材310と、第1筒状部材310に対してスライド可能に内挿された第2筒状部材320とを含む。第1筒状部材310と第2筒状部材320とが重畳する部分を接続部112eと呼ぶ。
【0075】
図16(B)及び図16(C)に示すように、各音響管110eは、開口端114を有する上方側に第1筒状部材310が配置され、閉口端115を有する下方側に第2筒状部材320が配置された構造となっている。しかし、この例に限らず、下方側を第1筒状部材310とし、上方側を第2筒状部材320としてもよい。
【0076】
第1筒状部材310の内壁には、内側に向かって突出する突出部310aが設けられている。図16(B)に示すように、本実施形態では、突出部310aは2箇所設けられており、互いに向かい合う位置に設けられる。他方、第2筒状部材320には、壁面を貫通する長穴320aが設けられている。長穴320aは2箇所設けられており、互いに向かい合う位置に設けられる。具体的には、長穴320aは、図16(C)に示すように、突出部310aに対応する位置に設けられている。そのため、2つの突出部310aは、それぞれ長穴320aを通って第2筒状部材320の管内に達する構成となっている。
【0077】
音響管110eは、第2筒状部材320の外壁が、第1筒状部材310の内壁を摺動して上下方向にスライドする。このとき、長穴320aの端部が突出部310aに当接すると第2筒状部材320の移動が止まる。すなわち、突出部310a及び長穴320aは、接続部112eにおいて第2筒状部材320の可動範囲を決める制限部(ストッパー)として機能する。
【0078】
以上のとおり、本実施形態の防音材100eは、各音響管110eがスライド機構により長手方向に伸縮可能な構造となっている。つまり、各音響管110eは、音源が発する音の波長に合わせて長さを変更することが可能である。そのため、本実施形態の防音材100eは、幅方向に屈曲可能であると共に、高さ方向に伸縮可能である。したがって、防音材100eは、音源のサイズや形状に加えて、発する音の波長にも合わせて変形が可能であり、様々な種類の音源に対して防音効果を奏することができる。
【0079】
(第7実施形態)
本実施形態では、第1実施形態とは異なる構造の防音材100fについて説明する。具体的には、本実施形態の防音材100fは、複数の防音材100fが互いに連結可能な構造を有する。本実施形態において、他の実施形態と同じ要素については、同じ符号を用いることにより詳細な説明を省略する。
【0080】
図17は、本発明の第6実施形態における防音材100eの構成を示す図である。具体的には、図17(A)は、防音材100fの構成を示す正面図であり、図17(B)は、連結部140の構成を上方から見た拡大図であり、図17(C)は、2枚の防音材100fを相互に連結する様子を示した図である。図17(A)に示すように、本実施形態の防音材100fは、連結部140を介して互いに幅方向に連結可能な構造を有する。
【0081】
図17(B)に示すように、連結部140は、第1部材141及び第2部材142を有する。第1部材141は、雌部材として機能し、第2部材142は、雄部材として機能する。本実施形態では、第1部材141に対して第2部材142が嵌合することにより第1部材141と第2部材142とが連結する。第1部材141及び第2部材142は、それぞれ防音材100fの端部に位置する音響管110の壁部112bに取り付けられている。第1部材141及び第2部材142の材料としては、特に制限はないが、プラスチック材料又は金属材料を用いることができる。
【0082】
2枚の防音材100fを連結する際には、図17(C)に示すように、第1部材141に対し、上方から第2部材142を嵌合させた後、下方に向けて第2部材142をスライドさせることにより、第1部材141と第2部材142とを連結することができる。このように、本実施形態の防音材100fは、複数の防音材100fを互いに連結することが可能であるため、音源のサイズや形状に合わせて防音材100fのサイズを変更することができる。
【0083】
(第8実施形態)
第1実施形態から第6実施形態では、屋外に設置された音源を念頭において説明したが、この例に限られず、屋内に設置された音源に対して防音壁として装着することも可能である。例えば、上述の実施形態で説明した防音材は、工場内に設置された設備機器やポンプ等に装着して使用することも可能である。
【0084】
また、任意の位置で幅方向に屈曲可能である点を活かして、会議場のような広いスペースに複数のフリースペースを形成する場合にも利用することができる。上述の実施形態で説明した防音材は、いずれも任意の位置で屈曲させて配置できるため、その場の状況に合わせて、例えば、五角形、六角形などの多角形状のスペースや円形状のスペースを形成することも容易である。
【0085】
本発明の各実施形態及びそれらの変形例は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。上述した各実施形態又はそれらの変形例を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0086】
また、上述した各実施形態又はそれらの変形例の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0087】
100、100a~100e…防音材、110、110b~110e…音響管、112a~112c…壁部、112da…蛇腹構造、112db…連結部分、112e…接続部、114…開口端、115…閉口端、116…貫通孔、118…ヒンジ、120…連結部材、130…マグネット、140…連結部、141…第1部材、142…第2部材、150…遮音面、200、200a…音源、210…突出部、220…番線、230…連結リング、310…第1筒状部材、310a…突出部、320…第2筒状部材、320a…長穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17