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特許7510896収穫管理方法、収穫管理装置、収穫管理システム、及び収穫管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】収穫管理方法、収穫管理装置、収穫管理システム、及び収穫管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/04 20230101AFI20240627BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240627BHJP
   G06Q 10/02 20120101ALI20240627BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/02
G06Q10/02
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021025404
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127325
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(72)【発明者】
【氏名】西田 雄介
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/164097(WO,A1)
【文献】特開2017-068532(JP,A)
【文献】特開2006-215674(JP,A)
【文献】特開2019-197505(JP,A)
【文献】特開2002-186348(JP,A)
【文献】特開2015-084667(JP,A)
【文献】特開平09-065825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算装置により、第1圃場で収穫される第1作物の収穫情報を取得することと、
演算装置により、前記収穫情報に基づき、前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要する予測作業期間を予測することと、
演算装置により、前記予測作業期間に基づき前記第1作物を出荷できる出荷可能期間を予測することと、
演算装置により、前記出荷可能期間に基づき、前記第1作物を出荷するための第1運搬車を予約するための予約信号を生成することと、
を含み、
前記収穫情報は、収穫される予定の収穫量、または、収穫された前記第1圃場を表し、
前記予測作業期間を予測することは、
過去に、前記第1圃場で前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要した第1作業時間と、前記収穫情報に表される前記第1圃場とに基づき、前記予測作業期間を予測すること、または、
過去に、収穫量の単位量当たりの、前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要した第2作業時間と、前記収穫情報に表される前記収穫量とに基づき、前記予測作業期間を予測すること
を含む収穫管理方法。
【請求項2】
前記出荷可能期間を予測することは、ポストハーベスト機械から過去のポストハーベスト作業の作業履歴を取得して、前記作業履歴に基づき、前記予測作業期間を予測することを含む
請求項1に記載の収穫管理方法。
【請求項3】
前記収穫情報は、前記第1圃場を表す圃場情報を含み、
前記作業履歴は、前記第1作業時間に基づき決定される前記予測作業期間を前記第1圃場と関連付けて記憶し、
前記予測作業期間を予測することは、前記圃場情報と、前記作業履歴とに基づき、前記予測作業期間を予測することを含む
請求項2に記載の収穫管理方法。
【請求項4】
前記収穫情報は、前記第1圃場で収穫される予定の前記第1作物の収穫量を含み、
前記第2作業時間は、過去に行われた前記第1圃場で前記第1作物を収穫してから出荷するまでの作業に要した作業時間を表し、
前記作業履歴は前記第2作業時間に基づき決定される単位量当たりの前記予測作業期間を前記第1圃場と関連付けて記憶し、
前記予測作業期間を予測することは、前記収穫量と、前記作業履歴とに基づき、前記予測作業期間を予測することを含む
請求項2に記載の収穫管理方法。
【請求項5】
前記予約信号を生成することは、前記出荷可能期間に運搬車を予約できないとき、前記出荷可能期間における第2圃場で収穫された第2作物を運搬する第2運搬車予約されている出荷予定日を、前記第1圃場で収穫された前記第1作物を運搬する前記第1運搬車の出荷予定日に変更することを含む
請求項1から4のいずれか1項に記載の収穫管理方法。
【請求項6】
前記予約信号を生成することは、作物ごとの優先順位を記憶することを含み、
前記第1作物の優先順位は、前記第2作物の優先順位より高い
請求項5に記載の収穫管理方法。
【請求項7】
前記第1作物の前記収穫情報を取得することは、前記収穫情報を変更する変更情報を受け付けることを含み、
前記予約信号を生成することは、前記変更情報に基づき、第3圃場で収穫された第3作物を運搬する第3運搬車予約されていた出荷予定日を、前記第1運搬車の出荷予定日に変更することを含み、
前記第3運搬車の予約に表される出荷予定日は、前記第1運搬車の予約に表される出荷予定日より遅い日付である
請求項1から6のいずれか1項に記載の収穫管理方法。
【請求項8】
演算装置により、ポストハーベスト機械からポストハーベスト作業が完了したか否かを表す情報を取得することを含み、
前記第3圃場で収穫された前記第3作物のポストハーベスト作業は、前記変更情報を受け付けたとき完了している
請求項7に記載の収穫管理方法。
【請求項9】
第1圃場で収穫される第1作物の収穫情報を取得する収穫情報取得部と、
前記収穫情報に基づき、前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要する予測作業期間を予測して、前記予測作業期間に基づき前記第1作物を出荷できる出荷可能期間を予測する出荷期間予測部と、
前記出荷可能期間に基づき、前記第1作物を出荷するための第1運搬車を予約するための予約信号を出力する運搬車予約部と、
を備え
前記収穫情報は、収穫される予定の収穫量、または、収穫された前記第1圃場を表し、
前記出荷期間予測部は、
過去に、前記第1圃場で前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要した第1作業時間と、前記収穫情報に表される前記第1圃場とに基づき、前記予測作業期間を予測し、または、
過去に、収穫量の単位量当たりの、前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要した第2作業時間と、前記収穫情報に表される前記収穫量とに基づき、前記予測作業期間を予測する
収穫管理装置。
【請求項10】
請求項9に記載の収穫管理装置と、
前記第1作物のポストハーベスト作業を行うポストハーベスト機械と、
を備える収穫管理システム。
【請求項11】
第1圃場で収穫される第1作物の収穫情報を取得することと、
前記収穫情報に基づき、前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要する予測作業期間を予測することと、
前記予測作業期間に基づき前記第1作物を出荷できる出荷可能期間を予測することと、
前記出荷可能期間に基づき、前記第1作物を出荷するための第1運搬車を予約するための予約信号を生成することと、
を演算装置に実行させ
前記収穫情報は、収穫される予定の収穫量、または、収穫された前記第1圃場を表し、
前記予測作業期間を予測することは、
過去に、前記第1圃場で前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要した第1作業時間と、前記収穫情報に表される前記第1圃場とに基づき、前記予測作業期間を予測すること、または、
過去に、収穫量の単位量当たりの、前記第1作物を収穫してから出荷するまでに要した第2作業時間と、前記収穫情報に表される前記収穫量とに基づき、前記予測作業期間を予測すること
を含む収穫管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫管理方法、収穫管理装置、収穫管理システム、及び収穫管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
収穫された作物は、乾燥機、籾摺り機などのポストハーベスト機械により収穫後の処理が施されて、出荷される。
【0003】
特許文献1には、圃場ごとに収穫された作物をポストハーベスト機械が配置された施設に搬送することと、ポストハーベスト作業の各工程とを一連して管理する技術が開示されている。各工程を一連して管理することで、各工程における作物は圃場ごとに区別して管理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-168141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポストハーベスト作業が完了した作物は、運搬車で市場に出荷される。特許文献1に記載の技術では、ポストハーベスト作業の各工程における作物を管理することができるが、市場に出荷するための運搬車を迅速に手配することは考慮されていない。
【0006】
上記の状況に鑑み、本開示は、効率よく作物を市場に運搬する運搬車を予約する収穫管理方法を提供することを目的の1つとする。他の目的については、以下の記載及び実施の形態の説明から理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、発明を実施するための形態で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態との対応関係の一例を示すために、参考として、括弧付きで付加されたものである。よって、括弧付きの記載により、特許請求の範囲は、限定的に解釈されるべきではない。
【0008】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理方法は、第1圃場で収穫される第1作物の収穫情報を取得することを含む。また、収穫管理方法は、収穫情報に基づき、第1作物を収穫してから出荷するまでに要する予測作業期間を予測することを含む。さらに、収穫管理方法は、予測作業期間に基づき第1作物を出荷できる出荷可能期間を予測することを含む。さらに、収穫管理方法は、出荷可能期間に基づき、第1作物を出荷するための第1運搬車を予約するための予約信号を生成することを含む。
【0009】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理装置(100)は、収穫情報取得部(150)と、出荷期間予測部(160)と、運搬車予約部(170)とを備える。収穫情報取得部(150)は、第1圃場で収穫される第1作物の収穫情報を取得する。出荷期間予測部(160)は、収穫情報に基づき、第1作物を収穫してから出荷するまでに要する予測作業期間を予測して、予測作業期間に基づき第1作物を出荷できる出荷可能期間を予測する。運搬車予約部(170)は、出荷可能期間に基づき、第1作物を出荷するための第1運搬車を予約するための予約信号を出力する。
【0010】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理システム(1000)は、前述の収穫管理装置(100)と、ポストハーベスト機械(400)とを備える。ポストハーベスト機械(400)は、第1作物のポストハーベスト作業を行う。
【0011】
上記目的を達成するための一実施の形態による収穫管理プログラム(520)は、第1圃場で収穫される第1作物の収穫情報を取得することを演算装置(120)に実行させる。また、収穫管理プログラム(520)は、収穫情報に基づき、第1作物を収穫してから出荷するまでに要する予測作業期間を予測することを演算装置(120)に実行させる。さらに、収穫管理プログラム(520)は、予測作業期間に基づき第1作物を出荷できる出荷可能期間を予測することを演算装置(120)に実行させる。さらに、収穫管理プログラム(520)は、出荷可能期間に基づき、第1作物を出荷するための第1運搬車を予約するための予約信号を生成することを演算装置(120)に実行させる。
【発明の効果】
【0012】
上記の形態によれば、効率よく作物を市場に運搬する運搬車を予約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施の形態における収穫管理システムの構成図である。
図2】一実施の形態における時間予測データの構成を説明するための図である。
図3】一実施の形態における作業時間データの構成を説明するための図である。
図4】一実施の形態における作物特性データの構成を説明するための図である。
図5】一実施の形態における配送予定データの構成を説明するための図である。
図6】一実施の形態における収穫管理装置が実行する機能ブロックを表す図である。
図7】一実施の形態における収穫管理装置による運搬車を予約する処理を表すフローチャートである。
図8】一実施の形態における収穫管理装置による配送予定データを変更する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施の形態)
本発明の本実施の形態による収穫管理システム1000を、図面を参照して説明する。本実施の形態において、図1に示すように、収穫管理システム1000は、収穫管理装置100と、収穫機300と、ポストハーベスト機械400を備える。収穫管理装置100は、ネットワーク20、例えばインターネットを介して、収穫機300と、ポストハーベスト機械400と、流通情報システム30と通信可能に接続されている。
【0015】
圃場において収穫された作物は、ポストハーベスト機械400により収穫後の処理、例えば、乾燥、選別などを行われ、運搬車で市場に運ばれる。収穫された作物を運搬車により市場に運ぶために、事前に運搬車が予約される。収穫管理システム1000は、収穫される作物に関する収穫情報を取得して、収穫情報に基づき、ポストハーベスト機械400による作業時間を予測する。予測された作業時間に基づき、収穫管理システム1000は、運搬車を予約するための信号を流通情報システム30に送信する。これにより、収穫管理システム1000は、収穫後の処理が完了した作物を効率的に市場に出荷することができる。
【0016】
収穫機300は、作物、例えば穀物、野菜、果物などを収穫するように構成されている。収穫機300は、例えばコンバインである。収穫機300は、測位装置、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機を備え、各時刻における位置を表す位置情報を取得する。また、収穫機300は、収穫した作物の収穫量、例えば収穫した作物の重量を取得してもよい。さらに、収穫機300は、穀物を収穫するとき、穀物の水分量を取得してもよい。収穫機300は、取得した各情報を収穫情報として収穫管理装置100に送信する。
【0017】
ポストハーベスト機械400は、ポストハーベスト作業、例えば収穫された作物を出荷する状態にするための作業を行うように構成されている。ポストハーベスト機械400は、例えば、乾燥機、選別機、選果機などを含む。ポストハーベスト機械400は、ポストハーベスト作業を開始するときの作物量、例えば乾燥機に張り込められる作物の張込量などと、ポストハーベスト作業の作業時間とを取得する。また、ポストハーベスト機械400は、ポストハーベスト作業を開始するときの作物の水分量を取得してもよい。ポストハーベスト機械400は、取得した各情報を収穫管理装置100に送信する。また、ポストハーベスト機械400は、ポストハーベスト作業の進捗状況、例えばポストハーベスト作業が終了したか否かを表す情報を取得し、取得した進捗状況を表す情報を収穫管理装置100に送信する。
【0018】
流通情報システム30は、出荷される作物を市場に運搬する運搬車の予約状況を管理するように構成されている。流通情報システム30は、例えば、収穫管理装置100からの要求に応じて、運搬車の予約状況を収穫管理装置100に送信する。また、流通情報システム30は、収穫管理装置100からの要求に応じて、運搬車を確保する。
【0019】
収穫管理装置100の構成を説明する。収穫管理装置100は、入出力装置110と、演算装置120と、通信装置130と、記憶装置140とを備える。収穫管理装置100は、例えば、コンピュータである。入出力装置110には、演算装置120が処理を実行するための情報が入力される。また、入出力装置110は、演算装置120が処理を実行した結果を出力する。入出力装置110は、様々な入力装置と出力装置とを含み、例えば、キーボード、マウス、マイク、ディスプレイ、スピーカー、タッチパネルなどを含む。入出力装置110は省略されてもよい。
【0020】
通信装置130は、ネットワーク20に電気的に接続され、ネットワーク20を介して各々の装置との通信を行う。通信装置130は、収穫機300から取得する収穫情報と、ポストハーベスト機械400から取得する各情報と、流通情報システム30から取得する各情報とを演算装置120に転送する。また、演算装置120が生成した信号を流通情報システム30に転送する。通信装置130は、例えば、NIC(Network Interface Card)、USB(Universal Serial Bus)などの種々のインタフェースを含む。
【0021】
記憶装置140は、運搬車を予約するための様々なデータ、例えば時間予測データ500と、配送予定データ510と、収穫管理プログラム520とを格納する。記憶装置140は、収穫管理プログラム520を記憶する非一時的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)として用いられる。収穫管理プログラム520は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体1に記録されたコンピュータプログラム製品(computer program product)として提供されてもよく、または、サーバからダウンロード可能なコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。
【0022】
時間予測データ500は、ポストハーベスト機械400による作業時間を予測して、収穫された作物を出荷できる出荷可能期間を算出するためのデータを含む。例えば、時間予測データ500は、図2に示すように、作業時間データ501と、作物特性データ502とを含む。作業時間データ501は、ポストハーベスト機械400による作業時間を予測するために利用される。作物特性データ502は、ポストハーベスト機械400による作業の後、出荷を遅らせることができる遅延可能日を表す情報を作物ごとに格納する。
【0023】
作業時間データ501は、例えば、図3に示すように、作物が収穫された圃場と、収穫された作物の種類と、圃場で収穫された収穫量と、ポストハーベスト機械400による作業時間とを表す情報を互いに関連付けて格納する。作業時間データ501の各情報は、ポストハーベスト機械400により過去に行われた作業履歴から設定される。図3に示す例は、過去に、ポストハーベスト機械400が「圃場A」において収穫された「AAAkg」の「コメ」を「4日」で処理を行ったことを表す。作業時間データ501の予想収穫量と、予測作業期間とは、作業履歴から統計的に算出される値で、例えば過去の平均値、中間値、最小値、最大値などである。また、作業時間データ501の予測作業期間は、作業履歴から統計的に算出される値に予備日を追加した値でもよい。作業履歴は、ポストハーベスト機械400から送信されてもよい。
【0024】
作物特性データ502は、例えば、図4に示すように、作物を出荷するときの優先順位と、ポストハーベスト作業が完了してから出荷するまでに遅延できる遅延可能日数とを表す情報を作物と関連付けて格納する。優先順位は、運搬車を予約するときの優先順位を表す。例えば、出荷予定日が同日であるときに、演算装置120は、優先順位の高い(数字の小さい)作物を優先して出荷するように運搬車を予約する。図4に示す例は、「コメ」の優先順位が「10」であることを表す。また、「遅延可能日数」に表された「10日」は、「コメ」はポストハーベスト作業が完了してから出荷するまで「10日」間待つことができることを表す。また、図4に示す「キャベツ」の行は、「キャベツ」の優先順位が「1」であり、ポストハーベスト作業が完了してから出荷するまで1日も待つことができないことを表す。
【0025】
図1に示す配送予定データ510は、運搬車を予約した日を表す。例えば、配送予定データ510は、図5に示すように、作物を出荷する出荷予定日と、出荷期限日と、出荷可否とを表す情報を作物が収穫された圃場を表す情報と関連付けて格納する。出荷予定日は、運搬車を予約した日を表す。出荷期限日は、出荷を遅延させることができる期限を表す。出荷可否は、ポストハーベスト機械400による作業が完了したか否かを表す。図5に示す例は、「圃場A」で収穫された作物を運搬する運搬車が「11月5日」に予約されていることを表す。また、「出荷期限日」に表される「11月15日」は、「圃場A」で収穫された作物が「11月15日」まで出荷を遅らせることができることを表す。また、「出荷可否」に表された「×」は、この作物のポストハーベスト作業が完了していないことを表す。また、図5に示す「圃場B」の行は、「圃場B」で収穫された作物を運搬する運搬車が「11月4日」に予約されており、この作物は「11月14日」まで出荷を遅らせることができることを表す。また、この作物のポストハーベスト作業が完了していることを表す。
【0026】
時間予測データ500と、配送予定データ510とは、図1に示す演算装置120に読み出され、運搬車を予約するための様々なデータ処理に使用される。演算装置120は、収穫管理プログラム520を記憶装置140から読み出し実行して、運搬車を予約するための予約信号を生成する。例えば、演算装置120は、中央演算処理装置(CPU;Central Processing Unit)などを含む。
【0027】
演算装置120は、収穫管理プログラム520を読み出し実行することで、図6に示すように、収穫情報取得部150と、出荷期間予測部160と、運搬車予約部170と、作業状態取得部180とを実現する。収穫情報取得部150は、収穫機300から収穫される作物に関する収穫情報を取得する。出荷期間予測部160は、収穫された作物を出荷できる出荷可能期間を予測する。運搬車予約部170は、予測された出荷可能期間に基づき、運搬車を予約する。作業状態取得部180は、ポストハーベスト機械400からポストハーベスト作業の進捗状況を取得して、配送予定データ510の出荷可否を表す情報を更新する。
【0028】
(収穫管理システムの動作)
図1に示す収穫管理装置100の演算装置120は、収穫機300から収穫情報を取得すると、収穫管理プログラム520を読み出し実行する。収穫管理プログラム520を実行することで、演算装置120は、作業管理方法の一部である図7に示す処理を開始する。例えば、収穫機300は、作物の収穫を行っている位置情報を収穫情報として送信する。
【0029】
ステップS110において、演算装置120で実現される収穫情報取得部150は、収穫機300から収穫情報を取得する。収穫情報は、例えば作物が収穫される収穫日付と、作物が収穫される収穫圃場と、収穫される作物の種類とを表す。収穫機300が位置情報を収穫情報として送信するとき、収穫情報取得部150は、収穫機300が作業を行っている位置情報に基づき、収穫圃場を特定する。この場合、収穫情報取得部150は、各圃場の圃場領域を表す圃場情報を記憶装置140に格納しており、圃場情報と、収穫機300の位置情報とに基づき、収穫圃場を特定する。例えば、収穫情報取得部150は、各圃場の圃場領域のうち、収穫機300の位置情報に表された位置を含む圃場領域に対応する圃場を、収穫圃場として特定する。
【0030】
また、収穫情報取得部150は、収穫機300の位置情報に表された時刻に基づき、収穫日付を取得する。位置情報は、各時刻における収穫機300の位置を表す情報を含む。このため、収穫情報取得部150は、位置情報に表された時刻が含まれる日付を、収穫日付として取得する。収穫情報取得部150は、収穫機300から位置情報を取得した日付を、収穫日付として取得してもよい。
【0031】
収穫情報取得部150は、収穫機300の種類に基づき、作物の種類を特定する。作物の種類に応じて、収穫機300の種類が異なる。このため、収穫情報取得部150は、位置情報の送信元である収穫機300を特定し、収穫機300の種類に基づき、収穫される作物の種類を取得する。この場合、収穫情報取得部150は、送信元を表す収穫機300の識別情報と、収穫機300の種類を表す情報とを関連付けて、記憶装置140に格納している。また、収穫情報取得部150は、収穫圃場に基づき、収穫される作物の種類を特定してもよい。この場合、収穫情報取得部150は、圃場と、圃場で栽培されている作物とを表す情報を関連付けて、記憶装置140に格納している。
【0032】
ステップS120において、出荷期間予測部160は、取得された収穫情報に基づき、収穫された作物を出荷できる出荷可能期間を予測する。出荷期間予測部160は、例えば、収穫圃場と、収穫される作物の種類と、収穫日付とに基づき、出荷可能期間を予測する。出荷期間予測部160は、ポストハーベスト作業の予測作業期間を予測して、予測した予測作業期間と、収穫日付とに基づき、出荷可能期間の開始日を予測する。出荷期間予測部160は、図3に示す作業時間データ501から収穫圃場と収穫される作物の種類とに対応する予測作業期間を取得する。図3に示す例において、出荷期間予測部160は、「圃場A」で「コメ」が収穫されるとき、ポストハーベスト作業の予測作業期間として「4日」を取得する。出荷期間予測部160は、取得された予測作業期間だけ収穫日付から経過した日付を出荷可能期間の開始日として予測する。例えば、収穫日付が11月1日のとき、出荷可能期間の開始日は11月5日と予測される。
【0033】
次に、出荷期間予測部160は、図4に示す作物特性データ502に基づき、出荷可能期間の期限日を予測する。出荷期間予測部160は、作物特性データ502から収穫される作物に対応する遅延可能日数を取得して、取得された遅延可能日数だけ出荷可能期間の開始日から経過した日付を出荷可能期間の期限日として予測する。図4に示す例において、出荷期間予測部160は、「コメ」が収穫されるとき、遅延可能日数として「10日」を取得する。例えば、出荷可能期間の開始日が11月5日であるとき、出荷可能期間の期限日は11月15日と予測される。例えば、図5に示すように、出荷期間予測部160は、予測された出荷可能期間の期限日を出荷期限日として配送予定データ510に記憶する。
【0034】
図7に示すステップS130において、運搬車予約部170は、流通情報システム30から予測された出荷可能期間における運搬車の予約状況を取得する。例えば、運搬車予約部170は、作物が収穫される収穫圃場と、図3に示す作業時間データ501とに基づき、圃場で収穫される予測収穫量を取得する。運搬車予約部170は、作業時間データ501から収穫圃場に対応する予測収穫量を取得する。取得された予測収穫量に基づき、運搬車予約部170は、作物を運搬するための運搬車の種類、例えば運搬車の大きさを特定する。運搬車予約部170は、収穫される作物の収穫量を運搬できる運搬車の種類を選択する。運搬車予約部170は、出荷可能期間のうち、選択された運搬車の種類が予約できる日付を流通情報システム30から取得する。
【0035】
例えば、運搬車予約部170は、出荷可能期間における予約情報を要求する予約状況要求信号を生成して、生成した予約情報要求信号を流通情報システム30に送信する。流通情報システム30は、予約情報要求信号に基づき、出荷可能期間において予約可能な運搬車を抽出し、抽出した運搬車の予約状況を表す信号を運搬車予約部170に送信する。運搬車予約部170は、予約情報要求信号に対する応答に含まれる予約状況を表す情報を取得する。
【0036】
ステップS140において、運搬車予約部170は、取得された予約状況に基づき、出荷予定日を決定し、決定した出荷予定日の運搬車を予約する。例えば、運搬車予約部170は、取得された予約状況のうち、最も早い日を出荷予定日として特定する。運搬車予約部170は、特定された出荷予定日に、選択された運搬車の種類を予約するための予約信号を生成して、生成された予約信号を流通情報システム30に送信する。流通情報システム30は、予約信号に基づき、特定された出荷予定日に、選択された運搬車の種類を確保する。また、運搬車予約部170は、特定した出荷予定日を、図5に示す配送予定データ510に記憶する。例えば、「圃場A」で収穫された「コメ」の出荷可能期間の開始日が11月5日で、かつ、11月5日に運搬車を予約できるとき、流通情報システム30は、「圃場A」に対応する出荷予定日に「11月5日」を記憶する。
【0037】
出荷可能期間に出荷される作物を運搬する運搬車を予約することができないとき、運搬車予約部170は、図4に示す作物特性データ502と、図5に示す配送予定データ510とに基づき、出荷予定日を決定する。例えば、予約状況を表す情報に予約可能な日付が含まれないとき、運搬車予約部170は、作物特性データ502に表された作物の優先順位に基づき、配送予定データ510を変更する。運搬車予約部170は、収穫される作物の優先順位より低い低優先作物を、図4に示す作物特性データ502から取得する。運搬車予約部170は、図5に示す配送予定データ510から、出荷予定日がステップS120において予測された出荷可能期間に含まれ、かつ、収穫される作物が低優先作物である圃場を抽出する。運搬車予約部170は、抽出された圃場の出荷予定日を収穫圃場で収穫された作物の出荷予定日として決定する。また、検索された圃場の出荷予定日は、運搬車予約部170により、ステップS130の処理とステップS140の処理とを実行して、新たな出荷予定日を決定する。運搬車予約部170は、配送予定データ510から複数の圃場を抽出したとき、出荷期限日が最も遅い圃場を選択する。
【0038】
さらに、運搬車予約部170は、配送予定データ510に登録するとき、ポストハーベスト作業を開始する前であるため、出荷可否を不可、例えば「×」として記憶する。
【0039】
このように、収穫管理装置100は、ポストハーベスト作業を開始する前に、各圃場で収穫される作物を市場に運搬するための運搬車を予約する。これにより、出荷される作物は、効率よく市場に出荷される。
【0040】
また、図1に示す収穫管理装置100の演算装置120は、ポストハーベスト機械400からポストハーベスト作業の進捗状況を取得して、配送予定データ510を更新する。例えば、演算装置120は、定期的に収穫管理プログラム520を読み出し実行して、収穫管理方法の一部である図8に示す処理を開始する。演算装置120は、例えば、毎日、収穫管理プログラム520を読み出し実行する。
【0041】
ステップS210において、演算装置120に実現される作業状態取得部180は、ポストハーベスト作業の進捗状況、例えばポストハーベスト作業が完了したか否かを表す情報を要求する進捗要求信号を生成する。生成された進捗要求信号は、ポストハーベスト機械400に送信される。ポストハーベスト機械400は、作業状態取得部180の要求に応じて、ポストハーベスト作業の進捗状況を表す情報を送信する。作業状態取得部180は、進捗要求信号に対する応答に含まれる進捗状況を表す情報を取得する。
【0042】
ステップS220において、作業状態取得部180は、取得された進捗状況を表す情報に基づき、配送予定データ510を変更する。例えば、作業状態取得部180は、取得された進捗状況を表す情報に、「圃場B」で収穫された作物のポストハーベスト作業が完了したことを表す情報が含まれるとき、図5に示すように、「圃場B」に対応する出荷可否を出荷可、例えば「〇」に変更する。また、作業状態取得部180は、図4に示す作物特性データ502に基づき、図5に示す出荷期限日を変更してもよい。例えば、作業状態取得部180は、ポストハーベスト作業の完了を表す情報を取得してから図4に示す遅延可能日数だけ経過した変更日付より、図5に示す出荷期限日が遅い日付であるとき、出荷期限日を変更日付に変更する。
【0043】
これにより、作業状態取得部180は、出荷予定日より前にポストハーベスト作業が完了している作物を取得することができる。例えば、ポストハーベスト作業の作業期間が予測された予測作業期間より長くなり、出荷予定日までにポストハーベスト作業が完了しない場合がある。この場合、作業状態取得部180は、出荷可能で、出荷予定日に達していない圃場の作物の出荷予定日を、ポストハーベスト作業が完了しておらず、出荷予定日に達する圃場の作物の出荷予定日と交換する。これにより、収穫された作物は、効率よく市場に出荷される。
【0044】
図1に示す収穫管理装置100は、ネットワーク20に接続可能な端末、例えばコンピュータ、携帯電話などから収穫情報を取得してもよい。特に、収穫管理装置100は、収穫機300による収穫作業を開始するより前に運搬車を予約する必要があるとき、端末から収穫情報を取得する。例えば、キャベツは、図3に示すように作業時間データ501の予測作業期間が短く、かつ、図4に示すように作物特性データ502の遅延可能日数が短い。このため、収穫機300による収穫作業よりも前に運搬車を予約するため、収穫管理装置100は、端末から収穫情報を取得する。
【0045】
例えば、図6に示す収穫管理装置100の収穫情報取得部150は、Webコンテンツを配信してもよい。端末は、収穫情報取得部150からWebコンテンツを取得して、取得したWebコンテンツを表示する。ユーザが表示されたWebコンテンツに収穫情報を入力すると、端末は入力された収穫情報を収穫情報取得部150に送信する。収穫情報は、例えば、作物が収穫される収穫日付と、作物が収穫される収穫圃場と、収穫される作物の種類と、収穫される作物の収穫量とを表す。
【0046】
収穫管理装置100は、端末から取得された収穫情報に基づき、図7に示すステップS120~ステップS140の処理を実行して、運搬車を予約する。
【0047】
また、収穫管理装置100は、収穫日を変更することを表す変更情報を受け付けてもよい。例えば、ユーザは、天候の影響により、事前に入力した収穫情報を変更する操作を端末に入力する。端末は、収穫情報の変更操作が入力されると、変更後の収穫情報を表す情報、例えば変更後の収穫日付と、収穫圃場とを表す情報を収穫管理装置100に送信する。
【0048】
次に、収穫管理装置100は、変更後の収穫情報と、配送予定データ510とに基づき、変更前の変更前出荷予定日を取得する。例えば、収穫管理装置100は、変更後の収穫情報から収穫日を変更する変更圃場を特定する。収穫管理装置100は、配送予定データ510に基づき、特定された変更圃場の作物を出荷する変更前出荷予定日を取得する。
【0049】
次に、収穫管理装置100は、変更後の収穫情報を取得した時点で、変更前出荷予定日が運搬車をキャンセルできる日付であるとき、変更前出荷予定日の変更圃場に対応する運搬車をキャンセルする。出荷予定日が運搬車をキャンセルできない日付であるとき、収穫管理装置100は、配送予定データ510から出荷可能で、かつ、出荷予定日がキャンセルできる日付である圃場を検索する。収穫管理装置100は、検索された圃場の作物を出荷する出荷予定日を、変更圃場の変更前の変更前出荷予定日に変更して、運搬車の予約、例えば集荷位置を変更する。
【0050】
収穫管理装置100は、最後に、変更後の収穫情報に基づき、図7に示す処理を実行して、運搬車を予約する。このように、収穫日を変更するときも、出荷される作物は、効率よく市場に出荷される。
【0051】
(変形例)
実施の形態において説明した構成は一例であり、機能を阻害しない範囲で構成を変更することができる。収穫情報取得部150は、圃場で収穫される予定の予定収穫量を収穫情報として取得してもよい。例えば収穫量は、収穫機300から収穫情報として送信される。また、収穫量は、端末に入力されて、収穫情報として端末から収穫情報取得部150に送信されてもよい。この場合、運搬車予約部170は、図7に示すステップS130において、取得される収穫情報から収穫量を抽出して、抽出された収穫量に基づき、作物を運搬するための運搬車の種類を特定する。運搬車予約部170は、出荷可能期間のうち、特定された運搬車の種類が予約できる日付を流通情報システム30から取得する。
【0052】
出荷期間予測部160は、ステップS120において、圃場で収穫される収穫量と、ポストハーベスト機械400による作業履歴とに基づき、ポストハーベスト作業の予測作業期間を予測してもよい。例えば、出荷期間予測部160は、作業履歴に基づき決定された単位量当たり、例えば1kg当たり、ポストハーベスト作業に要する作業時間を記憶装置140に記憶してもよい。出荷期間予測部160は、単位量当たりの作業時間と、圃場で収穫される収穫量とに基づき、予測作業期間を算出する。具体的には、圃場で収穫される収穫量に単位量当たりの作業時間を乗算して、予測作業期間は算出される。この場合、単位量当たりの作業時間は、作業履歴に基づき、統計的に算出される値、例えば平均値、中央値などである。
【0053】
図8に示す処理において、ポストハーベスト機械400は、ポストハーベスト作業を完了すると、収穫管理装置100にポストハーベスト作業の進捗状況を表す進捗信号を送信してもよい。収穫管理装置100の演算装置120は、進捗信号を受信すると、図8に示す処理を開始する。
【0054】
以上において説明した実施の形態および変形例は一例であり、各実施の形態および変形例で説明した構成は、機能を阻害しない範囲で、任意に変更してもよく、または/および、任意に組み合わせてもよい。さらに、必要となる機能を実現できれば、実施の形態および変形例で説明した一部の機能を省略してもよい。例えば、収穫機300と、ポストハーベスト機械400とは、収穫管理システム1000の外部に設けられてよい。
【符号の説明】
【0055】
1 :記憶媒体
20 :ネットワーク
30 :流通情報システム
100 :収穫管理装置
110 :入出力装置
120 :演算装置
130 :通信装置
140 :記憶装置
150 :収穫情報取得部
160 :出荷期間予測部
170 :運搬車予約部
180 :作業状態取得部
300 :収穫機
400 :ポストハーベスト機械
500 :時間予測データ
501 :作業時間データ
502 :作物特性データ
510 :配送予定データ
520 :収穫管理プログラム
1000 :収穫管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8