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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/70 20060101AFI20240627BHJP
   F04D 29/44 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F04D29/70 M
F04D29/44 U
F04D29/44 W
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021027215
(22)【出願日】2021-02-24
(65)【公開番号】P2022128798
(43)【公開日】2022-09-05
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】中谷 立好
(72)【発明者】
【氏名】瀧 啓東志
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-075243(JP,A)
【文献】特開2015-124895(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
F04D 29/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器を経由した後の燃焼排気を吸い込んで外部へ排出する縦置き型の送風機であって、
羽根車と、羽根車を収容するスクロール状のファンケーシングと、羽根車を回転駆動させる電動機と、を有し、
前記ファンケーシングは、燃焼排気を吸い込む吸い込み口が側方に向かって開口する第1側面と、第1側面と対向し、電動機が固定される第2側面と、羽根車の外周を囲い、燃焼排気を排出する排出口に繋がる周面とを、有し、
第1側面は、羽根車の最下部よりも下方であって、羽根車の最下部の鉛直方向における第1側面と周面との繋ぎ部よりも上方に水抜き穴を有する送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の送風機であって、
前記吸い込み口は、前記ファンケーシングの前記第1側面にベルマウス状に開口し、前記ファンケーシングの前記第1側面の外側から内側に向かって延びる吸い込み路を有する送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼装置に用いられる送風機に関する。特に、本発明は、燃焼装置の熱交換器を経由した後の燃焼排気を吸い込んで燃焼装置の外部に排出させる送風機の水抜き構造に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器などの燃焼装置に用いられる送風機は、電動機と、電動機の回転軸に対して複数の翼片が放射状に配置された円筒状の羽根車と、羽根車を収容するファンケーシングとを有する。電動機の本体部は、ファンケーシングの一方側面の外側に固定され、回転軸は、本体部からファンケーシングの内方側に向かって延出する。ファンケーシングは、回転軸に連結された羽根車を収容するとともに、羽根車の回転により生成される気流を案内する風路を形成する。
【0003】
ファンケーシングは、羽根車の回転軸に対する半径が羽根車の回転方向に大きくなるようにスクロール状に形成されている。また、ファンケーシングの他方側面には、吸い込み口が設けられている。さらに、ファンケーシングの周面には、接線方向に排出口に繋がる送風路が延設されている。
【0004】
ところで、送風機を熱交換器よりも燃焼排気の流路の下流側に設け、送風機により熱交換器を経由した後の燃焼排気を吸い込んで、外部に排出させる所謂、引張り式の燃焼装置が提案されている(例えば、特許文献1)。この引張り式の燃焼装置では、送風機を作動させると、送風機よりも上流側に位置する燃焼室や熱交換室内が負圧となる。従って、これらの筐体には燃焼排気の漏洩を防止するための高い密閉性が要求されず、押し込み式の燃焼装置に比べて構造を簡素化することができる。
【0005】
一方、送風機が熱交換器よりも下流側に配置されている燃焼装置では、送風機内で燃焼排気が凝縮してドレン水が発生したり、送風機の下流側に接続される排気管から送風機内に雨水が侵入したりして、送風機内に滞留する場合がある。このため、これらの滞留水の羽根車への干渉や送風機の腐食を防止する必要があり、特許文献1では、熱交換器の上方に送風機を横置きし、送風機のファンケーシングの最外周に水抜き穴を開設して、ファン吐出圧により水抜き穴からドレン管を介してドレンタンクに送風機内の滞留水を排水させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-143602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、引張り式の燃焼装置では、燃焼運転中、燃焼排気が送風機内に吸い込まれる。そのため、羽根車を回転駆動させると、滞留水とともに燃焼排気がファンケーシングの最外周の水抜き穴から外部に排出され、ドレン管と接続されたドレンタンクを介して燃焼排気が漏洩するという問題がある。特に、塵埃による排気管の閉塞や外部に連通する排気管への逆風が生じると、ファンケーシング内の内部圧力が上昇するため、燃焼排気が漏洩しやすくなる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、引張り式の燃焼装置において、送風機内の滞留水を排水させるとともに、燃焼運転中、水抜き穴から送風機外部への燃焼排気の漏洩を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、
熱交換器を経由した後の燃焼排気を吸い込んで外部へ排出する縦置き型の送風機であって、
羽根車と、羽根車を収容するスクロール状のファンケーシングと、羽根車を回転駆動させる電動機と、を有し、
前記ファンケーシングは、燃焼排気を吸い込む吸い込み口が側方に向かって開口する第1側面と、第1側面と対向し、電動機が固定される第2側面と、羽根車の外周を囲い、燃焼排気を排出する排出口に繋がる周面とを、有し、
第1側面は、羽根車の最下部よりも下方であって、羽根車の最下部の鉛直方向における
第1側面と周面との繋ぎ部よりも上方に水抜き穴を有する送風機が提供される。
【0010】
このものによれば、熱交換器を経由した後の燃焼排気を吸い込む送風機は縦置きに配置されているから、送風機の最下部、すなわちファンケーシングの周面の最下部にドレン水や雨水が流下する。そして、水抜き穴は、第1側面の羽根車の最下部よりも下方に設けられているから、ファンケーシング内における周面の最下部に滞留水が滞留しても、滞留水が羽根車に干渉する前に、滞留水を送風機外部に排水することができる。
【0011】
一方、吸い込み口から羽根車の内側に吸い込まれる燃焼排気は、羽根車の外側に向かって吹き出されるから、ファンケーシング内の内部圧力は羽根車の外周から離れるに従って高くなり、ファンケーシング内において周面の最外周近傍は正圧状態となる。そのため、送風機が縦置きで配置される場合、滞留水が滞留するファンケーシングの周面の最下部に水抜き穴が設けられると、燃焼運転中、ファン吐出圧により燃焼排気が水抜き穴から送風機外部に排出される。
【0012】
しかしながら、上記送風機によれば、燃焼排気はファンケーシングの第1側面に開口する吸い込み口から羽根車の内側に吸い込まれるから、羽根車の内側では大きな負圧状態が形成され、羽根車と対向する第1側面との間の隙間は負圧状態となる。そのため、羽根車の外周から径方向外方の一定の範囲でも負圧状態が形成され、羽根車の外周から外側に流れる燃焼排気の一部は、羽根車と第1側面との間の隙間を通って羽根車の内側に引き戻される。従って、羽根車の外周よりも径方向外方、すなわち羽根車の最下部よりも下方で、羽根車の最下部の鉛直方向における第1側面と周面との繋ぎ部よりも上方に水抜き穴を形成すれば、燃焼運転中、水抜き穴から送風機外部への燃焼排気の漏洩を防止することができる。
【0013】
好ましくは、上記送風機において、
前記吸い込み口は、前記ファンケーシングの前記第1側面にベルマウス状に開口し、前記ファンケーシングの前記第1側面の外側から内側に向かって延びる吸い込み路を有する
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、引張り式の燃焼装置において、送風機内の滞留水を排水できるとともに、燃焼運転中、水抜き穴から送風機外部への燃焼排気の漏洩を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る燃焼装置の一例を概略構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る送風機の一例を示す概略部分分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る送風機の一例を示す概略縦断面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る送風機内の内部圧力を示す分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る送風機及び燃焼装置について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。図1に示すように、本実施の形態に係る燃焼装置は、給水管71から熱交換器21内に供給される水をバーナ11の燃焼排気により加熱し、出湯管72を通じて図示しないシャワーやカランなどの給湯端末に供給する給湯器1である。
【0018】
給湯器1は、外装ケーシングを有し、外装ケーシングは、前方に開口部を有するケーシング本体2と、ケーシング本体2の前面開口部を開閉する図示しない開閉扉とを備える。なお、本明細書では、ケーシング本体2の前面開口部側を正面側、前面開口部と対向する側を背面側とし、これらが対向する方向を前後方向、前後方向と横方向に交差する方向を左右方向、前後方向と高さ方向に交差する方向を上下方向という。
【0019】
ケーシング本体2内には、下方から順に、燃焼室10と、熱交換室20と、排気室30とが配設されており、排気室30の左側方に送風機50が取り付けられている。ケーシング本体2の上壁には、後述する送風機50の排出口55と連通し、給湯器1の外部に燃焼排気を排出する排気管80が接続されている。
【0020】
燃焼室10内の下方には、バーナ11が配設されている。バーナ11には、燃料ガスを供給するガス供給管70が接続されている。バーナ11の上方には、点火電極12が配設されており、バーナ11の下方には、図示しない分布板が配設されている。送風機50を作動させると、分布板を介して外装ケーシング内の空気が燃焼用空気としてバーナ11に供給され、点火電極12を作動させて燃料ガスを点火させることにより燃焼排気が生成される。バーナ11から噴出される燃焼排気は、熱交換室20に供給され、排気室30及び送風機50を通って給湯器1の外部に排出される。従って、本明細書では、燃焼室10が設けられている下方側が燃焼排気の流路の上流側に対応し、燃焼室10が設けられている側と反対の上方側が燃焼排気の流路の下流側に対応する。
【0021】
熱交換室20は、上下に開放する略矩形箱状の筐体を有する。熱交換室20の下端は、燃焼室10の上端と接続されており、熱交換室20の上端は、排気室30の下端と接続されている。熱交換室20には、バーナ11により生成された燃焼排気中の熱を回収し、給水管71から供給される水を加熱する熱交換器21が組み込まれている。熱交換器21は、複数の伝熱フィン211と、各伝熱フィン211に貫挿される伝熱管212とを有する。伝熱管212は、熱交換室20内で蛇行状または螺旋状に延設されており、伝熱管212の一端側は給水管71と接続され、伝熱管212の他端側は出湯管72と接続される。なお、水の代わりに他の熱媒を用いてもよい。
【0022】
排気室30は、下方の排気部31と、排気部31よりも左右方向で幅狭の上方のファン接続部32とが一体に形成された正面視略逆L字状の筐体を有する。ファン接続部32の上端は閉塞されている。ファン接続部32の左側壁には、左側方に開口する導出口33が開設されており、図示しないがファン接続部32の周縁には、送風機50を連結固定するための被締結部が設けられている。
【0023】
図2及び図3に示すように、送風機50は、羽根車51と、羽根車51を収容するファンケーシング53と、羽根車51を回転駆動させる電動機52とを有する。ファンケーシング53は、吸い込み口54が開口する平板状の固定板530と、ファンケーシング本体531とを有する。ファンケーシング本体531は、外方側で電動機52の本体が固定され、ファンケーシング53内に向かって回転軸521が延出する支持板532と、羽根車51の外周を囲うように湾曲させた帯状の周壁板533とが一体に形成されており、右側方及び上方に向かって開放している。固定板530は、ファンケーシング本体531を右側方から覆うように、周縁でファンケーシング本体531と接合されている。従って、本実施の形態では、固定板530が第1側面に、ファンケーシング本体531の支持板532が第2側面に対応し、ファンケーシング本体531の周壁板533が周面に対応する。送風機50は、回転軸521が水平方向に延びる縦置き状態で排気室30のファン接続部32に取り付けられる。なお、ファンケーシング本体は、第2側面を構成する支持板と、周面を構成する帯状の周壁板の2部品から構成してもよい。また、ファンケーシングは、第1側面と周壁板とが一体に形成されたファンケーシング本体と、支持板とから構成してもよい。
【0024】
図示しないが、固定板530は、外周に締結部を有する。送風機50は、固定板530の締結部と既述したファン接続部32の被締結部とをねじ締結することにより、ファン接続部32に連結固定される。吸い込み口54は、固定板530の略中央部にベルマウス状に開口されている。吸い込み口54は、送風機50が排気室30のファン接続部32に取り付けられると、ファン接続部32の左側壁に開口する導出口33と連通する。また、吸い込み口54は、中心が回転軸521の略同一直線上に位置するように設けられている。固定板530には、送風機50が排気室30のファン接続部32に取り付けられたとき、羽根車51の外周の最下部の鉛直方向下方に小孔の水抜き穴7が開設されている。
【0025】
図3に示すように、吸い込み口54は、ファンケーシング53の外側(図3中、右側)から内側(図3中、左側)に向かって延びる吸い込み路540を有する。吸い込み口54の先端部は、羽根車51の内側に位置する。送風機50を作動させると、一点鎖線に示すように、排気室30の導出口33から吹き出す燃焼排気は、吸い込み口54の先端部から羽根車51の内側に吸い込まれる。
【0026】
羽根車51は、円筒状のシロッコファンである。羽根車51は、電動機52の回転軸521の軸方向に細長く形成された複数の翼片511が回転軸521に対して放射状に所定の間隔で配置されている。これらの翼片511の一端は、環状の第1回転板512の外縁部分に取り付けられており、翼片511の他端は、円板状の第2回転板513に取り付けられている。第2回転板513は、中心で電動機52の回転軸521に固定されており、電動機52の駆動によって羽根車51が回転軸521を中心に回転駆動する。なお、シロッコファン以外に、ターボファンを用いてもよい。
【0027】
羽根車51の複数の翼片511は、外周側を羽根車51の回転方向に湾曲させて設けられている。電動機52の駆動によって羽根車51が回転駆動すると、遠心力によって羽根車51の内側から外側に向かう燃焼排気の流れが生じて、吸い込み口54から吸い込まれた燃焼排気が複数の翼片511の間から羽根車51の外側に向かって吹き出す。
【0028】
ファンケーシング53は、電動機52の回転軸521に対して半径が羽根車51の回転方向(図2では、右回り)に大きくなるようにスクロール状に形成されている。ファンケーシング53の半径の大きい側の周壁板533から接線方向の上方に向かって送風路534が延設されており、送風路534の端部には排出口55が上方に向かって開口している。また、羽根車51は、渦巻き状の始端部である排出口55を形成する周壁板533と羽根車51の外周との間の隙間が最小となり、羽根車51の回転方向に従って、周壁板533と羽根車51の外周との間の隙間が大きくなるように、ファンケーシング53内に収容されている。このため、羽根車51の外周の最下部と対向する周壁板533との間の隙間は、羽根車51の外周の最上部と対向する周壁板533との間のそれよりも大きい。なお、排出口55は、前方または後方に向かって開口させてもよい。
【0029】
既述したように、羽根車51を回転駆動させると、遠心力によって羽根車51の内側から外側に燃焼排気が吹き出す気流が生じる。従って、燃焼運転中、熱交換器21を経由した後の燃焼排気は、排気室30を介して吸い込み口54から羽根車51の内側に吸い込まれる。そして、羽根車51の外側に吹き出した燃焼排気は、周壁板533に沿って進み、送風路534を通って排出口55から給湯器1の外部に排出される。
【0030】
本実施の形態において、送風機50は縦置きで設置されているため、燃焼運転中に発生するドレン水や排気管80から送風機50内に侵入する雨水はファンケーシング53の周壁板533の最下部に滞留する。また、上記のように上方に排出口55が設けられている場合、スクロール状のファンケーシング53では、羽根車51の外周の最下部と周壁板533の最下部との間には一定の大きさの隙間が形成される。従って、羽根車51の外周の最下部よりも下方に水抜き穴7を形成することにより、滞留水が羽根車51へ干渉する前に滞留水を水抜き穴7から送風機50外部に排水することができる。
【0031】
図4は、閉塞のない状態で送風機50単体を作動させたときの回転軸521を含む縦断面におけるファンケーシング53内の内部圧力分布を示す。評価条件は、吸い込み口54の先端部の開口径が、28mm、排出口55の開口径が、59mm、羽根車51の外径が、75mm、ファンケーシング53の最小径が、97mm、ファンケーシング53の最大径が、106mm、水抜き穴の開口径が、3mm、全流量が、0.84m/minに設定されている。
【0032】
上記評価によれば、羽根車51の内側では、-300Pa以下の大きな負圧状態が形成される。また、ファンケーシング53の下方領域では、羽根車51の外周から離れるに従って内部圧力が高くなり、排気管80の閉塞状態によっては、ファンケーシング53の最下部では、50~150Pa程度の正圧状態が形成される。従って、ファンケーシング53の周壁板533の最下部に水抜き穴7を設けた場合、水抜き性は向上するが、燃焼運転中、ファン吐出圧により燃焼排気が水抜き穴7から送風機50外部に漏洩する。
【0033】
しかしながら、羽根車51の外側であっても、羽根車51の外周から一定の範囲では、-300~-50Pa程度の負圧状態が形成される。これは、燃焼排気は固定板530に開口する吸い込み口54から羽根車51の内側に吸い込まれるため、羽根車51の内側では大きな負圧状態が形成され、羽根車51の第1回転板512と対向する固定板530との間の隙間や羽根車51の第2回転板513と対向する支持板532との間の隙間も負圧状態となり、羽根車51の外周から径方向外方の一定の範囲でも負圧状態が形成されることが理由と考えられる。従って、図3中の一点鎖線で示すように、羽根車51の内側から外側に吹き出される燃焼排気のうち、羽根車51の左右の第1及び第2回転板512,513の周縁の羽根車51の外周から外側に流れる燃焼排気の一部は、羽根車51と固定板530及び支持板532との間の隙間を通って羽根車51の内側に引き戻される。そして、送風機50の外部の圧力は略大気圧であるから、水抜き穴7の外部では、ファンケーシング53内の羽根車51の外周近傍の内部圧力よりも高い正圧状態が形成されている。従って、羽根車51の外周の最下部よりも径方向外方、すなわち、羽根車51の最下部よりも下方で、ファンケーシング53の周壁板533の最下部よりも上方の負圧状態が形成される領域に水抜き穴7を形成すれば、燃焼運転中、水抜き穴7から送風機50外部への燃焼排気の漏洩を防止することができる。
【0034】
また、吸い込み口54側の固定板530であって、羽根車51の最下部の鉛直方向下方における固定板530と周壁板533との繋ぎ部よりも上方に水抜き穴7を設ければ、より大きな負圧状態を期待できるから、燃焼運転中、水抜き穴7から送風機50外部への燃焼排気の漏洩を確実に防止することができる。
【0035】
以上のように、本実施の形態によれば、引張り式の燃焼装置において、送風機50内の滞留水を排水できるとともに、燃焼運転中、水抜き穴7から送風機50外部への燃焼排気の漏洩を防止できる。
【符号の説明】
【0036】
1 給湯器
7 水抜き穴
11 バーナ
21 熱交換器
50 送風機
51 羽根車
52 電動機
521 回転軸
530 固定板
53 ファンケーシング
532 支持板
533 周壁板
54 吸い込み口
55 排出口
図1
図2
図3
図4