(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】地図情報出力装置および地図情報出力方法
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20240627BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240627BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240627BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G08G1/16 C
G08G1/0969
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2021063600
(22)【出願日】2021-04-02
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 拡基
(72)【発明者】
【氏名】賀集 隆郎
(72)【発明者】
【氏名】津森 千花
【審査官】宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-100258(JP,A)
【文献】特開平08-201090(JP,A)
【文献】特開2020-153882(JP,A)
【文献】特開2017-110924(JP,A)
【文献】特開2003-344077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0293043(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00,29/10
G01C 21/26ー21/36
G08G 1/0969,1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転用地図を記憶した地図記憶部(20)と、
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの前記道路選択規則を逐次選択する規則選択部(42)と、
前記規則選択部が選択した前記道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、前記規則選択部が選択した前記道路選択規則とは別の前記道路選択規則である別道路選択規則についても、前記制御用地図情報を構築する前記対象道路を選択する対象道路選択部(43)と、
前記地図記憶部から、前記対象道路選択部が選択した前記対象道路の情報を取得して、前記制御用地図情報を逐次構築する地図情報構築部(44)と、
前記地図情報構築部が逐次構築した前記制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力部(45)とを備え、
前記地図情報出力部は、前記自動運転制御部へ出力する前記制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定
し、
前記制御用地図情報は、道路のレーンを前記レーンの一部を示すレーンリンクにより示し、前記道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、前記レーンブロックごとに、前記車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
前記ルートフラグには、前記レーンブロックが案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、前記レーンブロックが前記案内ルートではないことを示すルート外フラグとが含まれ、
前記地図情報構築部は、
基準とする前記レーンブロックを基準レーンブロックとしたとき、
前記案内ルートが設定されており、かつ、前記案内ルートになっている道路リンクに対応付けられている前記レーンブロックであっても、
進行方向において前記基準レーンブロックに接続する前記レーンブロックである次レーンブロックが複数あり、
前記次レーンブロックの1つが、前記基準レーンブロックがある前路とは異なる道路の前記道路リンクであって、かつ、前記案内ルートになっている道路リンクに対応付けられており、
前記基準レーンブロックに対応付けられている前記道路リンクの終端にある前記レーンブロックが、前記ルート外が付与される前記レーンブロックに接続している場合には、
前記基準レーンブロックから、前記基準レーンブロックと同じ前記道路リンクに対応付けられている前記レーンブロックまでに、前記ルート外フラグを付与する、地図情報出力装置。
【請求項2】
自動運転用地図を記憶した地図記憶部(20)と、
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの前記道路選択規則を逐次選択する規則選択部(42)と、
前記規則選択部が選択した前記道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、前記規則選択部が選択した前記道路選択規則とは別の前記道路選択規則である別道路選択規則についても、前記制御用地図情報を構築する前記対象道路を選択する対象道路選択部(43)と、
前記地図記憶部から、前記対象道路選択部が選択した前記対象道路の情報を取得して、前記制御用地図情報を逐次構築する地図情報構築部(44)と、
前記地図情報構築部が逐次構築した前記制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力部(45)とを備え、
前記地図情報出力部は、前記自動運転制御部へ出力する前記制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定
し、
前記制御用地図情報は、道路のレーンを前記レーンの一部を示すレーンリンクにより示し、前記道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、前記レーンブロックごとに、前記車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
前記道路選択規則には、案内ルートに沿ったルートを選択する規則である案内ルート規則と、走行中の車線を選択する車線維持規則とが含まれ、
前記ルートフラグには、前記レーンブロックが前記案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、前記レーンブロックが前記案内ルートではないことを示すルート外フラグと、前記レーンブロックが車線維持ルートであることを示す車線維持ルートフラグとが含まれ、
前記地図情報出力部は、
前記地図情報構築部が前記案内ルート規則に対応した前記制御用地図情報を再構築中であって、
構築済みの前記車線維持規則に対応した前記制御用地図情報のうち、再構築後の前記案内ルートの一部になっている前記レーンブロックについての前記制御用地図情報に前記案内ルートフラグを付与して前記自動運転制御部に出力し、
前記地図情報構築部が、前記案内ルート規則に対応する前記制御用地図情報を再構築した後は、再構築した前記制御用地図情報を前記自動運転制御部に出力する、地図情報出力装置。
【請求項3】
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの前記道路選択規則を逐次選択し、
選択した前記道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、選択した前記道路選択規則とは別の前記道路選択規則である別道路選択規則についても、前記制御用地図情報を構築する前記対象道路を選択し、
自動運転用地図を記憶した地図記憶部から、選択した前記対象道路の情報を取得して、前記制御用地図情報を逐次構築し、
逐次構築した前記制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力方法であって、
前記自動運転制御部へ出力する前記制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定
し、
前記制御用地図情報は、道路のレーンを前記レーンの一部を示すレーンリンクにより示し、前記道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、前記レーンブロックごとに、前記車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
前記ルートフラグには、前記レーンブロックが案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、前記レーンブロックが前記案内ルートではないことを示すルート外フラグとが含まれ、
前記制御用地図情報の構築において、
基準とする前記レーンブロックを基準レーンブロックとしたとき、
前記案内ルートが設定されており、かつ、前記案内ルートになっている道路リンクに対応付けられている前記レーンブロックであっても、
進行方向において前記基準レーンブロックに接続する前記レーンブロックである次レーンブロックが複数あり、
前記次レーンブロックの1つが、前記基準レーンブロックがある前路とは異なる道路の前記道路リンクであって、かつ、前記案内ルートになっている道路リンクに対応付けられており、
前記基準レーンブロックに対応付けられている前記道路リンクの終端にある前記レーンブロックが、前記ルート外が付与される前記レーンブロックに接続している場合には、
前記基準レーンブロックから、前記基準レーンブロックと同じ前記道路リンクに対応付けられている前記レーンブロックまでに、前記ルート外フラグを付与する、地図情報出力方法。
【請求項4】
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの前記道路選択規則を逐次選択し、
選択した前記道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、選択した前記道路選択規則とは別の前記道路選択規則である別道路選択規則についても、前記制御用地図情報を構築する前記対象道路を選択し、
自動運転用地図を記憶した地図記憶部から、選択した前記対象道路の情報を取得して、前記制御用地図情報を逐次構築し、
逐次構築した前記制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力方法であって、
前記自動運転制御部へ出力する前記制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定
し、
前記制御用地図情報は、道路のレーンを前記レーンの一部を示すレーンリンクにより示し、前記道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、前記レーンブロックごとに、前記車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
前記道路選択規則には、案内ルートに沿ったルートを選択する規則である案内ルート規則と、走行中の車線を選択する車線維持規則とが含まれ、
前記ルートフラグには、前記レーンブロックが前記案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、前記レーンブロックが前記案内ルートではないことを示すルート外フラグと、前記レーンブロックが車線維持ルートであることを示す車線維持ルートフラグとが含まれ、
前記制御用地図情報の前記自動運転制御部への出力において、
前記案内ルート規則に対応した前記制御用地図情報を再構築中であって、
構築済みの前記車線維持規則に対応した前記制御用地図情報のうち、再構築後の前記案内ルートの一部になっている前記レーンブロックについての前記制御用地図情報に前記案内ルートフラグを付与して前記自動運転制御部に出力し、
前記案内ルート規則に対応する前記制御用地図情報を再構築した後は、再構築した前記制御用地図情報を前記自動運転制御部に出力する、地図情報出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動運転制御装置へ地図情報を出力する地図情報出力装置および地図情報出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報を記憶装置に記憶しており、記憶装置から現在位置周辺の地図情報を読み出し、読み出した地図情報を用いて車両の走行を制御する装置が知られている。特許文献1に記載された自動運転支援システムでは、地図情報は、レーンレベルで道路が表現されている。よって、レーンレベルでの車両制御が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両制御を可能にするための地図情報(以下、制御用地図情報)が、レーンレベルで表現されている場合、制御用地図情報は情報量が多い。そこで、地図データ記憶部から、逐次、車両の周辺のデータを読み出して、逐次、車両周辺の制御用地図情報を構築する。
【0005】
構築する制御用地図情報は、車両が走行することが予想される道路を含む情報になる。車両からの距離が同じであっても、車両が走行することが予想される道路との関係により、制御用地図情報に含まれる道路と、制御用地図情報に含まれない道路が生じる。
【0006】
運転者の運転操作などにより、車両が走行することが予想される道路が変わってしまった場合、新たな制御用地図情報が必要になる。新たな制御用地図情報が必要になってから再構築を開始すると、制御用地図情報が必要になる時点までに再構築が間に合わず、自動運転制御に不都合が生じる恐れがある。
【0007】
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、自動運転制御に不都合が生じることを抑制できる地図情報出力装置および地図情報出力方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的態様との対応関係を示すものであって、開示した技術的範囲を限定するものではない。
【0009】
上記目的を達成するための地図情報出力装置に係る1つの開示は、
自動運転用地図を記憶した地図記憶部(20)と、
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの道路選択規則を逐次選択する規則選択部(42)と、
規則選択部が選択した道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、規則選択部が選択した道路選択規則とは別の道路選択規則である別道路選択規則についても、制御用地図情報を構築する対象道路を選択する対象道路選択部(43)と、
地図記憶部から、対象道路選択部が選択した対象道路の情報を取得して、制御用地図情報を逐次構築する地図情報構築部(44)と、
地図情報構築部が逐次構築した制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力部(45)とを備え、
地図情報出力部は、自動運転制御部へ出力する制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定し、
制御用地図情報は、道路のレーンをレーンの一部を示すレーンリンクにより示し、道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、レーンブロックごとに、車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
ルートフラグには、レーンブロックが案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、レーンブロックが案内ルートではないことを示すルート外フラグとが含まれ、
地図情報構築部は、
基準とするレーンブロックを基準レーンブロックとしたとき、
案内ルートが設定されており、かつ、案内ルートになっている道路リンクに対応付けられているレーンブロックであっても、
進行方向において基準レーンブロックに接続するレーンブロックである次レーンブロックが複数あり、
次レーンブロックの1つが、基準レーンブロックがある前路とは異なる道路の道路リンクであって、かつ、案内ルートになっている道路リンクに対応付けられており、
基準レーンブロックに対応付けられている道路リンクの終端にあるレーンブロックが、ルート外が付与されるレーンブロックに接続している場合には、
基準レーンブロックから、基準レーンブロックと同じ道路リンクに対応付けられているレーンブロックまでに、ルート外フラグを付与する、地図情報出力装置である。
上記目的を達成するための地図情報出力装置に係る他の1つの開示は、
自動運転用地図を記憶した地図記憶部(20)と、
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの道路選択規則を逐次選択する規則選択部(42)と、
規則選択部が選択した道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、規則選択部が選択した道路選択規則とは別の道路選択規則である別道路選択規則についても、制御用地図情報を構築する対象道路を選択する対象道路選択部(43)と、
地図記憶部から、対象道路選択部が選択した対象道路の情報を取得して、制御用地図情報を逐次構築する地図情報構築部(44)と、
地図情報構築部が逐次構築した制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力部(45)とを備え、
地図情報出力部は、自動運転制御部へ出力する制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定し、
制御用地図情報は、道路のレーンをレーンの一部を示すレーンリンクにより示し、道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、レーンブロックごとに、車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
道路選択規則には、案内ルートに沿ったルートを選択する規則である案内ルート規則と、走行中の車線を選択する車線維持規則とが含まれ、
ルートフラグには、レーンブロックが案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、レーンブロックが案内ルートではないことを示すルート外フラグと、レーンブロックが車線維持ルートであることを示す車線維持ルートフラグとが含まれ、
地図情報出力部は、
地図情報構築部が案内ルート規則に対応した制御用地図情報を再構築中であって、
構築済みの車線維持規則に対応した制御用地図情報のうち、再構築後の案内ルートの一部になっているレーンブロックについての制御用地図情報に案内ルートフラグを付与して自動運転制御部に出力し、
地図情報構築部が、案内ルート規則に対応する制御用地図情報を再構築した後は、再構築した制御用地図情報を自動運転制御部に出力する、地図情報出力装置である。
【0010】
対象道路選択部は、規則選択部が選択した道路選択規則に基づいて対象道路を選択するだけでなく、別道路選択規則についても対象道路を選択する。つまり、対象道路選択部は、全部の道路選択規則に対応した対象道路を選択する。したがって、地図情報構築部は、全部の道路選択規則に対応した制御用地図情報を、逐次、構築する。地図情報出力部は、どの道路選択規則に対応した制御用地図情報も自動運転制御部へ出力可能である。そして、地図情報出力部は、自動運転制御部へ出力する制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定する。
【0011】
この構成により、地図情報出力装置は、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかが変化し、それにより、出力すべき制御用地図情報の種類が異なっても、速やかに、出力すべき制御用地図情報を出力できる。したがって、自動運転制御に不都合が生じることを抑制できる。
【0012】
上記目的を達成するための地図情報出力方法に係る開示は、上記地図情報出力装置が実行する方法である。すなわち、上記目的を達成するための地図情報出力方法に係る1つの開示は、
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの道路選択規則を逐次選択し、
選択した道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、選択した道路選択規則とは別の道路選択規則である別道路選択規則についても、制御用地図情報を構築する対象道路を選択し、
自動運転用地図を記憶した地図記憶部から、選択した対象道路の情報を取得して、制御用地図情報を逐次構築し、
逐次構築した制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力方法であって、
自動運転制御部へ出力する制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定し、
制御用地図情報は、道路のレーンをレーンの一部を示すレーンリンクにより示し、道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、レーンブロックごとに、車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
ルートフラグには、レーンブロックが案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、レーンブロックが案内ルートではないことを示すルート外フラグとが含まれ、
制御用地図情報の構築において、
基準とするレーンブロックを基準レーンブロックとしたとき、
案内ルートが設定されており、かつ、案内ルートになっている道路リンクに対応付けられているレーンブロックであっても、
進行方向において基準レーンブロックに接続するレーンブロックである次レーンブロックが複数あり、
次レーンブロックの1つが、基準レーンブロックがある前路とは異なる道路の道路リンクであって、かつ、案内ルートになっている道路リンクに対応付けられており、
基準レーンブロックに対応付けられている道路リンクの終端にあるレーンブロックが、ルート外が付与されるレーンブロックに接続している場合には、
基準レーンブロックから、基準レーンブロックと同じ道路リンクに対応付けられているレーンブロックまでに、ルート外フラグを付与する、地図情報出力方法である。
上記目的を達成するための地図情報出力方法に係る他の1つの開示は、
ルート案内情報に基づき、複数の道路選択規則から1つの道路選択規則を逐次選択し、
選択した道路選択規則と車両位置とに基づいて、自動運転制御に用いる制御用地図情報を構築する対象道路を選択するとともに、選択した道路選択規則とは別の道路選択規則である別道路選択規則についても、制御用地図情報を構築する対象道路を選択し、
自動運転用地図を記憶した地図記憶部から、選択した対象道路の情報を取得して、制御用地図情報を逐次構築し、
逐次構築した制御用地図情報を自動運転制御部へ逐次出力する地図情報出力方法であって、
自動運転制御部へ出力する制御用地図情報を、車両が、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定し、
制御用地図情報は、道路のレーンをレーンの一部を示すレーンリンクにより示し、道路の長手方向において複数のレーンブロックに分割されており、レーンブロックごとに、車両が走行すべきルートであるかを示すルートフラグが付与されており、
道路選択規則には、案内ルートに沿ったルートを選択する規則である案内ルート規則と、走行中の車線を選択する車線維持規則とが含まれ、
ルートフラグには、レーンブロックが案内ルートに対応付けられていることを示す案内ルートフラグと、レーンブロックが案内ルートではないことを示すルート外フラグと、レーンブロックが車線維持ルートであることを示す車線維持ルートフラグとが含まれ、
制御用地図情報の自動運転制御部への出力において、
案内ルート規則に対応した制御用地図情報を再構築中であって、
構築済みの車線維持規則に対応した制御用地図情報のうち、再構築後の案内ルートの一部になっているレーンブロックについての制御用地図情報に案内ルートフラグを付与して自動運転制御部に出力し、
案内ルート規則に対応する制御用地図情報を再構築した後は、再構築した制御用地図情報を自動運転制御部に出力する、地図情報出力方法である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔全体構成〕
図1は、車両Cに搭載されている自動運転システム1の構成図である。自動運転システム1は、第1地図記憶部10、第2地図記憶部20、ナビゲーション装置30、地図情報出力装置40、自動運転制御装置50を備えている。これらは、車内LAN60により相互に通信可能に接続されている。なお、ナビゲーション装置30が第1地図記憶部10を備えていてもよい。また、地図情報出力装置40が第2地図記憶部20を備えていてもよい。車両Cには、他に、車両Cの外部の環境を検出する外部検出センサ、車両Cの走行状態を検出する車両状態検出センサなども備えられている。
【0015】
第1地図記憶部10は、不揮発性の記憶部である。第1地図記憶部10は、道路ネットワーク地図のデータである道路ネットワーク地図データ11を記憶している。道路ネットワーク地図は、実際の道路を、ノードおよび道路リンクRLなどにより表現した地図である。ノードは、交差点など、1つ1つの道路を線で表現したときの結節点である。道路リンクRLは、ノードとノードの間の道路区間を表す。道路リンクRLは、レーンではなく道路を単位として道路区間を表す。
【0016】
第2地図記憶部20も、不揮発性の記憶部である。第2地図記憶部20は、高精度地図のデータである高精度地図データ21を記憶している。道路ネットワーク地図が、道路を単位としたリンクである道路リンクRLにより道路地図を表現しているのに対して、高精度地図は、レーンすなわち車線を対象としたリンクであるレーンリンクにより道路地図を表現した地図である。
【0017】
高精度地図は、自動運転用地図である。ここでの自動運転は、完全自動運転に限られない。ここでの自動運転には、運転支援とも呼ばれるレベルの自動運転も含まれる。運転支援は、車線維持制御、前車追従制御などの1つ以上の制御を実行する。
【0018】
高精度地図データ21には、トポロジ情報とジオメトリ情報が含まれている。トポロジ情報は、道路の種別や接続形態を論理モデル化した情報である。トポロジ情報には、レーンリンクを表す情報も含まれている。ジオメトリ情報は、実際の道路および道路周辺を表現するための種々の情報である。ジオメトリ情報には、道路形状、区画線の位置、道路標示の種類および位置、道路標識の種類および位置、信号機の位置などが含まれる。
【0019】
高精度地図データ21において、トポロジ情報はレーンブロックLBを単位として道路を表現している。
図2に示すように、レーンブロックLBは、道路Rが長手方向に分割されたものである。
図2には、道路リンクRLも示している。高精度地図データ21において、レーンブロックLBは、必ず1つの道路リンクRLに対応付けられている。高精度地図データ21にはレーンブロックLBから道路リンクRLを指し示す情報が含まれている。高精度地図データ21と道路ネットワーク地図データ11では精度に差があるため、それぞれの始端点において距離的なずれが生じることがある。たとえば、100mの道路リンクRLに対して120m分のレーンブロックLBが対応付けられる、といったことが生じ得る。
図2では、レーンブロックLB1-1、LB1-2、LB1-3、LB1-4は道路リンクRL1に対応付けられている。レーンブロックLB2は道路リンクRL2に対応付けられている。レーンブロックLB3は道路リンクRL3に対応付けられている。
【0020】
案内ルートを設定する際の都合など、種々の事情により、レーンブロックLBが示す実際のレーンの位置と、レーンブロックLBが対応付けられている道路リンクRLとが異なっていることがある。
【0021】
たとえば、レーンブロックLB1-3、LB1-4が示す実際のレーンの位置は、道路リンクRL2の位置である。しかし、レーンブロックLB1-3、LB1-4は道路リンクRL1に対応付けられている。
【0022】
ナビゲーション装置30は、車両Cを案内する案内ルートを設定する。ナビゲーション装置30は、案内ルートを設定した場合には、その案内ルートを地図情報出力装置40に出力する。ナビゲーション装置30は、道路ネットワーク地図データ11をもとにして案内ルートを設定する。
【0023】
地図情報出力装置40は、制御用地図情報を逐次構築して、その制御用地図情報を、逐次、自動運転制御装置50へ出力する。制御用地図情報は、自動運転制御装置50が自動運転制御に用いる情報である。地図情報出力装置40は、高精度地図データ21をもとに制御用地図情報を構築する。高精度地図データ21には、実際の道路および道路周辺を表現するデータが含まれている。この高精度地図データ21から構築される制御用地図情報も、実際の道路および道路周辺を表現する。制御用地図情報は空間情報と言うこともできる。地図情報出力装置40が制御用地図情報を出力する周期は、適宜、設定可能である。この周期は、たとえば2秒である。地図情報出力装置40の詳細構成は後述する。
【0024】
自動運転制御部である自動運転制御装置50は、制御用地図情報をもとに、車両Cの今後の軌道を決定する。そして、自動運転制御装置50は、その軌道を走行できるように車両Cの挙動を制御する。
【0025】
〔地図情報出力装置40の詳細構成〕
地図情報出力装置40は、少なくとも1つのプロセッサを備えた構成により実現できる。たとえば、地図情報出力装置40は、プロセッサ、不揮発性メモリ、RAM、I/O、およびこれらの構成を接続するバスラインなどを備えたコンピュータにより実現できる。不揮発性メモリには、汎用的なコンピュータを地図情報出力装置40として作動させるための地図情報出力プログラムが格納されている。プロセッサが、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、不揮発性メモリに記憶された地図情報出力プログラムを実行することで、地図情報出力装置40は、
図1に示す各部として作動する。すなわち、地図情報出力装置40は、位置決定部41、規則選択部42、対象道路選択部43、地図情報構築部44、地図情報出力部45として作動する。これらの作動が実行されることは、地図情報出力プログラムに対応する地図情報出力方法が実行されることを意味する。
【0026】
位置決定部41は、車両位置を周期的に決定する。車両位置は、車両Cの現在位置である。車両位置を決定する周期は、制御用地図情報を出力する周期よりも短い。車両位置を決定する周期は、たとえば100msである。
【0027】
位置決定部41が決定する車両位置は、車両Cが走行している道路を特定できるのみではなく、車両Cが道路のどのレーンを走行しているかまで特定できる精度である。たとえば、位置決定部41は、複合航法により車両位置を推定する。複合航法は、GNSS受信機から取得する現在位置と、車両Cの軌跡をもとに推定する現在位置とを組み合わせて車両位置を確定させる航法である。位置決定部41は、複合航法により推定した現在位置を終点とする走行軌跡と道路ネットワーク地図データ11とを用いたマップマッチングにより、道路ネットワーク地図データ11の道路リンクRL上に車両位置を標定する。また、位置決定部41は、走行軌跡と高精度地図データ21とを用いたマップマッチングにより、高精度地図データ21のレーンリンク上に車両位置を標定する。マップマッチング機能により、車両Cが案内ルートを走行しているかを判断できる。
【0028】
規則選択部42は、複数の道路選択規則から1つの道路選択規則を選択する。道路選択規則は、次に説明する対象道路選択部43において対象道路を選択する際に用いる規則である。規則選択部42が選択した道路選択規則に基づき、地図情報構築部44が制御用地図情報を逐次構築し、その制御用地図情報を自動運転制御装置50へ逐次出力する。本実施形態における道路選択規則は3つある。1つ目の規則は案内ルート規則に相当するナビルート規則である。2つ目の規則は車線維持規則である。3つ目の規則は主経路なし規則である。規則選択部42は、これら複数の道路選択規則からいずれか1つの規則を選択するためにルート案内情報を用いる。
【0029】
ルート案内情報は、ルート案内中であるかどうかを示す情報である。ナビゲーション装置30が案内ルートを設定している場合には、その案内ルートをナビゲーション装置30から取得できる。
【0030】
規則選択部42が複数の道路選択規則から1つの道路選択規則を選択するための選択条件の一例を説明する。規則選択部42は、案内ルートを取得できた場合には、道路選択規則としてナビルート規則を選択する。規則選択部42は、案内ルートを取得できない場合であって、車両Cが走行している車線を特定できている場合には、車線維持規則を選択する。車線維持規則は、車両Cが現在の車線を維持して走行すると予測して対象道路を選択する規則であり、予測ルート規則と言うこともできる。規則選択部42は、ナビルート規則および車線維持規則を選択できないとき、主経路なし規則を選択する。
【0031】
対象道路選択部43は、規則選択部42が選択した道路選択規則と位置決定部41が決定した車両位置とに基づいて対象道路を逐次選択する。対象道路は、制御用地図情報を構築する道路を意味する。対象道路選択部43は、規則選択部42が選択した道路選択規則とは別の道路選択規則(以下、別道路選択規則)についても、車両位置に基づいて対象道路を逐次選択する。つまり、対象道路選択部43は、すべての道路選択規則について車両位置に基づいて対象道路を逐次選択する。
【0032】
道路選択規則がナビルート規則であるか、車線維持規則であるか、主経路なし規則であるかにより、選択する道路の範囲が異なる。道路選択規則がナビルート規則である場合、選択する道路の範囲が最も広い。道路選択規則が車線維持規則である場合、選択する道路の範囲が2番目に広い。道路選択規則が主経路なし規則である場合、選択する道路の範囲が最も狭い。
【0033】
制御用地図情報には、トポロジ情報とジオメトリ情報とが含まれている。対象道路は、トポロジ情報とジオメトリ情報とで異なっていてもよい。ジオメトリ情報の方がトポロジ情報よりも情報量が多いので、トポロジ情報についての対象道路を、ジオメトリ情報についての対象道路よりも、車両Cから遠い範囲までとしてもよい。
【0034】
対象道路には、主道路と分岐道路と合流道路とが含まれる。対象道路選択部43は、案内ルートを取得できている場合には、案内ルートを主道路とする。対象道路選択部43は、案内ルートを取得できていない場合には、車両Cが走行中の道路を主道路とする。分岐道路は主道路から分岐する道路である。合流道路は、主道路に合流する道路である。
【0035】
具体的な数値を挙げて対象道路を説明する。ナビルート規則の場合のトポロジ情報についての主道路は、車両位置から前方へ10キロメートル程度および車両位置から後方へ100mから200m程度とすることができる。ナビルート規則の場合のトポロジ情報についての分岐道路は、車両位置から前方へ500m~1kmまでの間に主道路から分岐する道路とすることができる。ナビルート規則の場合のトポロジ情報についての合流道路は、車両位置から前方へ500m~1kmまでの間に主道路に合流する道路とすることができる。
【0036】
ナビルート規則の場合のジオメトリ情報についての主道路は、車両位置から前方へ1キロメートル程度および車両位置から後方へ100mから200m程度とすることができる。ナビルート規則の場合のジオメトリ情報についての分岐道路および合流道路は、トポロジ情報と同じとすることができる。ナビルート規則の場合の対象道路は、次に説明する車線維持規則の場合の対象道路よりも長い。前方のルートを車両Cの運転者に報知するためである。ナビルート規則の場合の対象道路が車線維持規則の場合の対象道路よりも長いので、ナビルート規則に対応した制御用地図情報の情報量は、車線維持規則に対応した制御用地図情報の情報量よりも多くなる。情報量が多いので、ナビルート規則に対応した制御用地図情報よりも構築に時間を要する。
【0037】
車線維持規則の場合のトポロジ情報についての主道路は、車両位置から前方へ5km程度および車両位置から後方へ100mから200m程度とすることができる。車線維持規則の場合のトポロジ情報についての分岐道路および合流道路は、ナビルート規則の場合のトポロジ情報についての分岐道路および合流道路と同じとすることができる。車線維持規則の場合のジオメトリ情報についての主道路、分岐道路、合流道路は、ナビルート規則の場合のジオメトリ情報についての主道路、分岐道路、合流道路と同じとすることができる。
【0038】
主経路なし規則においては、トポロジ情報およびジオメトリ情報ともに、主道路を、車両位置から前方へ1キロメートル程度および車両位置から後方へ100mから200m程度とすることができる。主経路なし規則の場合のトポロジ情報およびジオメトリ情報についての分岐道路、合流道路は、それぞれ、車線維持規則の場合のトポロジ情報およびジオメトリ情報についての分岐道路、合流道路と同じとすることができる。
【0039】
地図情報構築部44は、第2地図記憶部20に記憶されている高精度地図データ21から、対象道路選択部43が選択した対象道路の情報を取得して、制御用地図情報を逐次構築する。対象道路選択部43は、3つの道路選択規則について車両位置に基づいて対象道路を逐次選択している。したがって、地図情報構築部44は、3つの道路選択規則に対応した制御用地図情報を逐次構築する。
【0040】
制御用地図情報は、レーンのネットワークを示すレーンネットワーク情報を含んでいる。制御用地図情報は、レーンネットワーク情報の他に、高精度地図データ21に含まれる種々のトポロジ情報およびジオメトリ情報が含まれる。制御用地図情報において、トポロジ情報およびジオメトリ情報は、レーンブロックLBを単位として表現される。さらに、制御用地図情報には、ルートフラグが含まれる。ルートフラグも、レーンブロックLBごとに付与されている。
【0041】
ルートフラグは、車両Cが走行すべきルートであるかを示すフラグである。本実施形態において、ルートフラグは、次の3種類である。すなわち、ルートフラグは、案内ルートフラグ、車線維持ルートフラグ、ルート外フラグの3種類である。案内ルートフラグは、レーンブロックLBが案内ルートに対応付けられていることを示すフラグである。車線維持ルートフラグは、レーンブロックLBが、車線維持ルートであることを示すフラグである。車線維持規則を予測ルート規則と言うことができるのと同様、車線維持ルートフラグは予測ルートフラグと言うこともできる。ルート外フラグは、レーンブロックLBが案内ルートでも車線維持ルートでもないことを示すフラグである。
【0042】
ルートフラグは、地図情報構築部44が付与する。地図情報構築部44は、事前に設定された条件に基づいて、対象道路の各レーンブロックLBに、複数種類のルートフラグから1つのルートフラグを選択して付与する。以下に、地図情報構築部44が、案内ルートフラグ、車線維持ルートフラグ、ルート外フラグを付与する条件を例示する。
【0043】
地図情報構築部44は、ナビゲーション装置30から案内ルートを取得できている場合、その案内ルートをもとにルートフラグを付与する。地図情報構築部44は、案内ルートの一部に該当する道路リンクRLに対応付けられているレーンブロックLBには、案内ルートフラグを付与する。これが原則条件である。ただし、地図情報構築部44は、レーンブロックLBが、後述する例外条件に該当する場合、案内ルートの一部に外応する道路リンクRLに対応付けられているレーンブロックLBであっても、案内ルートフラグを付与しない。
【0044】
案内ルートそのものではなくても、ルート案内を継続できる道路には、案内ルートフラグが付与されることがある。たとえば、案内ルートから分岐し、再び案内ルートに合流する道路には、案内ルートフラグが付与されることがある。車両Cが案内ルートから外れた場合において、案内ルートに復帰する道路も、案内ルートフラグが付与されることがある。
【0045】
地図情報構築部44は、対象道路選択部43が予測ルート規則を選択している場合、車線維持規則により定まる主道路に、車線維持ルートフラグを付与する。また、地図情報構築部44は、対象道路選択部43が主経路なし規則を選択している場合において、車両Cの現在位置から直近分岐点までのレーンブロックLBに、車線維持ルートフラグを付与する。後者については、対象道路選択部43が車線維持ルート規則を選択していないが、一部のレーンブロックLBには車線維持ルートフラグを付与することになる。
【0046】
地図情報構築部44は、対象道路選択部43が選択した対象道路のうち、案内ルートフラグ、車線維持ルートフラグを付与する条件に該当しないレーンブロックLBにルート外フラグを付与する。
【0047】
〔案内ルートフラグを付与しない例外条件〕
前述したように、レーンブロックLBが例外条件に該当する場合、案内ルートの一部に対応する道路リンクRLに対応付けられているレーンブロックLBであっても、制御用地図情報において、そのレーンブロックLBには案内ルートフラグを付与しない。この例外条件の1つを説明する。
【0048】
図2には、案内ルートが破線で示してある。破線で示す案内ルートである場合、道路リンクRL1は、案内ルートの一部となる道路リンクRLである。レーンブロックLB1-3、LB1-4は、道路リンクRL1に対応付けられているので、前述した原則条件に従うと、案内ルートフラグが付与される。しかし、レーンブロックLB1-3、LB1-4には、例外条件により、案内ルートフラグは付与されない。
【0049】
例外条件の1つは、以下に示す(1)~(3)の条件を備えている。(1)1つ目の条件は、車両Cの進行方向において基準レーンブロックに接続するレーンブロックLBである次レーンブロックが複数あるという条件である。基準レーンブロックは、(1)~(3)を判断する際に基準とするレーンブロックLBである。地図情報構築部44は、対象道路に含まれる各レーンブロックLBを、順次、基準レーンブロックとして、(1)~(3)に該当するかを判断する。レーンブロックLB1-2を基準レーンブロックとしたとき、レーンブロックLB1-3とレーンブロックLB3の2つの次レーンブロックがあるので、1つ目の条件を満たす。
【0050】
(2)2つ目の条件は、次レーンブロックの1つが、基準レーンブロックがある道路リンクRLとは異なる道路の道路リンクRLであって、かつ、案内ルートになっている道路リンクRLに対応付けられているという条件である。
図2に示した例において、レーンブロックLB3は、基準レーンブロックがある道路リンクRL1とは異なる道路の道路リンクRL3に対応付けられている。道路リンクRL3は、案内ルートがある道路リンクRLである。したがって、
図2の例において、レーンブロックLB1-2は、2つ目の条件も満たす。2つ目の条件は、基準レーンブロックで、案内ルートが別の道路Rに変更になるかどうかを判断する条件である。
【0051】
(3)3つ目の条件は、基準レーンブロックに対応付けられている道路リンクRLの終端にあるレーンブロックLBが、ルート外が付与されるレーンブロックLBに接続している、という条件である。
【0052】
レーンブロックLB1-2を基準レーンブロックとした場合、基準レーンブロックに対応付けられている道路リンクRLは、道路リンクRL1である。車両Cの進行方向において道路リンクRL1の終端にあるレーンブロックLBは、レーンブロックLB1-4である。レーンブロックLB1-4は、レーンブロックLB2に接続している。レーンブロックLB2は、案内ルートには含まれないレーンブロックLBであるので、レーンブロックLB2にはルート外が付与される。したがって、レーンブロックLB1-2を基準レーンブロックとすると、3つ目の条件も満たす。
【0053】
3つの条件をすべて満たす場合、基準レーンブロックと同じ道路リンクRLに対応付けられているレーンブロックLBのうち、基準レーンブロックよりも道路リンクRLの終端側のレーンブロックLBには、案内ルートフラグを付与しない。案内ルートフラグに代えて付与するフラグは、車線維持ルートであれば車線維持フラグであり、車線維持ルートでない場合はルート外フラグである。地図情報構築部44は、
図2の例において、レーンブロックLB1-3、LB1-4には、ルート外フラグを付与している。
【0054】
地図情報出力部45は、地図情報構築部44が逐次構築した制御用地図情報を自動運転制御装置50へ逐次出力する。前述したように、地図情報構築部44は、3つの道路選択規則に対応した制御用地図情報を逐次構築している。地図情報出力部45は、地図情報構築部44が逐次構築している制御用地図情報のうち、どの制御用地図情報を出力するかを、車両Cが、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定する。案内ルートを取得できている場合、案内ルートが走行すべきルートである。
【0055】
したがって、地図情報出力部45は、案内ルートを取得できており、車両Cが案内ルートを走行している場合には、ナビルート規則に対応した制御用地図情報を自動運転制御装置50へ出力する。地図情報出力部45は、車両Cが案内ルートを走行していないときであって、かつ、車線を特定できているときは、車線維持規則に対応した制御用地図情報を自動運転制御装置50へ出力する。車両Cが案内ルートを走行していないときには、案内ルートを取得できていないときも含まれる。地図情報出力部45は、ナビルート規則に対応した制御用地図情報および車線維持規則に対応した制御用地図情報を出力しない場合には、主経路なし規則に対応した制御用地図情報を自動運転制御装置50に出力する。
【0056】
車両Cの走行に伴い、車両Cが案内ルートを走行している状態から案内ルートを外れた場合、地図情報出力部45は出力する制御用地図情報を切り替えることになる。地図情報構築部44は、別道路選択規則についても制御用地図情報を逐次構築している。したがって、自動運転制御装置50へ出力すべき制御用地図情報をそれまでとは異なる種類の道路選択規則に対応したものにする必要が生じた場合にも、速やかに、出力すべき制御用地図情報を出力できる。
【0057】
出力すべき制御用地図情報の種類が変更になる前後に着目すると、出力すべき制御用地図情報が変更になる前は、地図情報出力部45は、規則選択部42が選択した道路規則に対応した制御用地図情報を出力する。出力すべき制御用地図情報の種類が変更になった直後は、地図情報出力部45は、すでに構築済みであった別道路選択規則に対応した制御用地図情報を出力する。つまり、地図情報出力部45は、自動運転制御装置50へ出力する制御用地図情報を、規則選択部42が選択した道路規則に対応した制御用地図情報から、別道路選択規則に対応した制御用地図情報に切り換えている。
【0058】
〔リルート時に制御用地図情報を出力する処理〕
ルート案内中に、運転者の操作などにより車両Cが案内ルートから外れた場合、ナビゲーション装置30は、リルートすなわち案内ルートを最探索する。そして、ナビゲーション装置30は、再探索した案内ルートを地図情報出力装置40に出力する。
【0059】
地図情報構築部44は、再探索した案内ルートを取得すると、作成済みの案内ルート規則に対応した制御用地図情報を破棄する。そして、地図情報構築部44は、再探索した案内ルートをもとに、案内ルート規則に対応した制御用地図情報を再構築する。制御用地図情報は情報量が多いので、地図情報構築部44が制御用地図情報を再構築するのに必要となる時間は、制御用地図情報を出力する周期よりも長くなる可能性もある。
【0060】
車線維持規則に対応した制御用地図情報が作成される対象道路は、主道路以外に分岐道路と合流道路が含まれている。したがって、車線維持規則に対応した制御用地図情報は、車両Cが案内ルートを外れた直後に車両Cが走行している道路に対しても作成されている。そこで、地図情報出力部45は、地図情報構築部44が案内ルート規則に対応した制御用地図情報を再構築している間は、すでに構築済みになっている車線維持規則に対応した制御用地図情報を利用する。
【0061】
地図情報出力部45は、構築済みの車線維持規則に対応した制御用地図情報に、再構築後の案内ルートの一部になっている道路リンクRLについての制御用地図情報がある場合には、構築済みの車線維持規則に対応した制御用地図情報を利用する。
【0062】
具体的には、地図情報出力部45は、車線維持規則に対応した制御用地図情報であって、案内ルートの一部になっている道路リンクRLについての制御用地図情報に案内ルートフラグを付与して自動運転制御装置50に出力する。
【0063】
地図情報構築部44が、案内ルート規則に対応する制御用地図情報を再構築した後は、地図情報出力部45は、地図情報構築部44が再構築した案内ルート規則に対応する制御用地図情報を自動運転制御装置50に出力する。
【0064】
〔実施形態の効果〕
以上、説明した実施形態による効果を説明する。地図情報出力部45は、自動運転制御装置50に出力する制御用地図情報をどの制御用地図情報とするかを、車両Cが、走行すべきルートを走行しているかどうかに基づいて決定する。
【0065】
自動運転制御装置50に出力する制御用地図情報は、1種類の制御用地図情報である。しかし、地図情報構築部44は、全部の種類の道路選択規則に対応した制御用地図情報を逐次構築している。これにより、地図情報出力部45は、車両Cが、が案内ルートを走行している状態から案内ルートを外れた場合など、自動運転制御装置50に出力すべき制御用地図情報が、それまでとは異なる種類になっても、速やかに、新たに出力すべき制御用地図情報を出力できる。したがって、自動運転制御装置50が行う自動運転制御に不都合が生じてしまうことを抑制できる。
【0066】
制御用地図情報の各レーンブロックLBには、ルートフラグが付与されている。この制御用地図情報を取得する自動運転制御装置50は、ルートフラグをもとに、車両Cを走行させる道路Rを決定することができる。
【0067】
地図情報構築部44は、案内ルートの一部に対応する道路リンクRLに対応付けられているレーンブロックLBであっても、例外条件に該当する場合には、案内ルートフラグを付与しない。これにより、地図情報構築部44は、道路リンクRLを単位として、ルートフラグを付与するという原則を採用しつつ、案内ルートではないレーンブロックLBに、案内ルートフラグを付与してしまうことを抑制できる。
【0068】
地図情報出力部45は、地図情報構築部44が案内ルート規則に対応した制御用地図情報を再構築中である場合、構築済みの車線維持規則に対応した制御用地図情報のうち、再構築後の案内ルートの一部になっている道路リンクRLについての制御用地図情報に案内ルートフラグを付与して自動運転制御装置50に出力する。案内ルートフラグを付与する処理は、構築済みの制御用地図情報に対して、ルートフラグを変更する処理になるので、速やかに自動運転制御装置50に出力する制御用地図情報を作成できる。よって、リルートが生じ、案内ルート規則に対応した制御用地図情報の再構築に時間を要しても、ルート案内を継続できなくなる恐れが低減する。
【0069】
以上、実施形態を説明したが、開示した技術は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の変形例も開示した範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。なお、以下の説明において、それまでに使用した符号と同一番号の符号を有する要素は、特に言及する場合を除き、それ以前の実施形態における同一符号の要素と同一である。また、構成の一部のみを説明している場合、構成の他の部分については先に説明した実施形態を適用できる。
【0070】
<変形例1>
ナビゲーション装置30は、案内ルートがローカルルートであるかセンタールートであるかを区別して、地図情報出力装置40に出力するようになっていてもよい。ローカルルートは、道路ネットワーク地図データ11のみを用いて探索した案内ルートを意味し、センタールートは、車両Cの外部にあるセンタに記憶されている道路地図データを用いて探索した案内ルートである。地図情報出力装置40は、案内ルートがローカルルートである場合には、案内ルートを取得しても採用しないようにしてもよい。すなわち、地図情報出力装置40は、案内ルートがローカルルートである場合、案内ルートを取得できていないとして、車線維持規則に対応した道路選択規則あるいは主経路なし規則に対応した道路選択規則を選択してもよい。
【0071】
<変形例2>
本開示に記載の地図情報出力装置40およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の地図情報出力装置40およびその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の地図情報出力装置40およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。ハードウエア論理回路は、たとえば、ASIC、FPGAである。
【0072】
また、コンピュータプログラムを記憶する記憶媒体はROMに限られず、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていればよい。たとえば、フラッシュメモリに上記プログラムが記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:自動運転システム 10:第1地図記憶部 11:道路ネットワーク地図データ 20:第2地図記憶部 21:高精度地図データ 30:ナビゲーション装置 40:地図情報出力装置 41:位置決定部 42:規則選択部 43:対象道路選択部 44:地図情報構築部 45:地図情報出力部 50:自動運転制御装置(自動運転制御部) 60:車内LAN60 C:車両 LB:レーンブロック R:道路 RL:道路リンク