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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】門扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 11/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
E06B11/02 R
E06B11/02 K
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021214669
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023098119
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】722013416
【氏名又は名称】四国化成建材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000230928
【氏名又は名称】シコク景材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(72)【発明者】
【氏名】森川 智也
(72)【発明者】
【氏名】我部山 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】西角 隆幸
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-80816(JP,A)
【文献】特開平11-336441(JP,A)
【文献】特開2003-206686(JP,A)
【文献】特開2018-188795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 11/02
E06B 3/00-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
門扉であって、
吊元支持柱と、該吊元支持柱に対して開状態と閉状態との間を回動するように取り付けられた扉体を有して成り、
前記扉体が、前記吊元支持柱に対して相対的に近位側に位置する吊元側縦框、および、前記吊元支持柱に対して相対的に遠位側に位置する錠を備えた錠側縦框を有して成り、
前記開状態から前記閉状態への前記回動に際して先行する、前記錠側縦框の先行角部が、平面視にて相対的に窪んでいる、門扉。
【請求項2】
平面視にて、前記錠側縦框は、前記開状態から前記閉状態への回動に際して後続する後続角部が相対的に窪んだ形状を有する、請求項1に記載の門扉。
【請求項3】
前記扉体は、前記後続角部の前記窪みに設けられた戸当たりプレートを更に有する、請求項2に記載の門扉。
【請求項4】
前記戸当たりプレートの厚みは、前記後続角部の前記窪みの段差寸法以下である、請求項3に記載の門扉。
【請求項5】
前記先行角部の窪みと前記後続角部の窪みによって形成された前記錠側縦框の平面視形状が対称形である、請求項2~4のいずれかに記載の門扉。
【請求項6】
前記扉体の厚みが50mm以上70mm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の門扉。
【請求項7】
前記錠が電気錠である、請求項1~6のいずれかに記載の門扉。
【請求項8】
前記門扉が両開き門扉であって、
前記錠を受ける錠受け扉体をさらに有して成り、
前記錠側縦框と対向する前記錠受け扉体の錠受け縦框は、平面視にて、前記開状態側の角部が相対的に窪んだ形状を有する、請求項1~7のいずれかに記載の門扉。
【請求項9】
平面視にて、前記錠受け縦框は、さらに、前記閉状態側の角部が相対的に窪んだ形状を有する、請求項8に記載の門扉。
【請求項10】
前記門扉が片開き門扉であって、
前記錠側縦框と対向する戸当たり体をさらに有して成り、
前記戸当たり体は、前記錠側縦框と対向する端部における前記開状態側の角部が、平面視にて相対的に窪んだ形状を有する、請求項1~7のいずれかに記載の門扉。
【請求項11】
前記戸当たり体は、前記錠側縦框と対向する端面における前記閉状態側の角部が、平面視にて相対的に窪んだ形状を有する、請求項10に記載の門扉。
【請求項12】
平面視において、前記先行角部における窪み面と前記錠側縦框の基面とが互いに平行な関係を有している、請求項1~11のいずれかに記載の門扉。
【請求項13】
平面視において、前記後続角部における窪み面と前記錠側縦框の基面とが互いに平行な関係を有している、請求項2に従属する請求項3~12のいずれかに記載の門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、住宅等の隣地境界に設けられる門扉が開示されている。
【0003】
かかる門扉は、1つの扉体から成る片開き門扉、または一対の扉体から成る両開き門扉の形態を有する。門扉は、片開き門扉における扉と戸当たり支持柱との間、または両開き門扉における一対の扉同士の間を施錠する錠機構を有して成る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平4-43700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、従来の門扉の構造に克服すべき課題があることに気づき、そのための対策をとる必要性を見出した。具体的には、以下の課題があることを見出した。
【0006】
例えば、門扉は、一対の扉体同士の間、または扉体と戸当たり支持柱との間に隙間を有する戸当たり構造を備える。かかる隙間の寸法(チリ寸法)は、扉体の施工ばらつき、経年および/または熱膨張等によって変化し、門扉の開閉操作および正常な施錠を困難にし得る。例えば、チリ寸法が拡大すると、一方の扉体の錠に備えられたトリガーおよび/またはラッチが、他方の扉体または戸当たり支持柱に備えられた錠受け部に達することができず、正常に施錠されない虞がある。そのため、特許文献1の門扉では、錠のトリガーおよび/またはラッチをより大きくすることで、チリ寸法の変化への対応が試みられている。
【0007】
かかる門扉では、より大きいトリガーおよび/またはラッチを有することで、チリ寸法が拡大した場合においても、一対の扉体同士の間、または扉体と戸当たり支持柱との間でトリガーおよび/またはラッチが正常に作動し、施錠が為され得る。しかしながら、チリ寸法が減少した場合には、門扉の開閉操作に際して、扉体同士、または扉体と戸当たり支持柱とが干渉し、門扉の開閉操作および/または正常な錠機構の作動が困難となり、扉体、戸当たり支持柱および/または錠機構が損傷する懸念がある。
【0008】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示の主たる目的は、より好適な戸当たり構造を有する門扉を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示では、門扉であって、吊元支持柱と、該吊元支持柱に対して開状態と閉状態との間を回動するように取り付けられた扉体を有して成り、前記扉体が、前記吊元支持柱に対して相対的に近位側に位置する吊元側縦框、および、前記吊元支持柱に対して相対的に遠位側に位置する、錠を備えた錠側縦框を有して成り、前記開状態から前記閉状態への前記回動に際して先行する、前記錠側縦框の先行角部が、平面視にて相対的に窪んでいる、門扉が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る門扉は、より好適な戸当たり構造を実現する。
【0011】
より具体的には、本開示に係る門扉は、吊元支持柱に対して相対的に遠位側に位置し、錠を備える錠側縦框において、扉体の閉操作に際して先行する先行角部が相対的に窪んだ形状を有する扉体を備える。扉体の回動に際して、錠受け側の扉体もしくは戸当たり支持柱(または戸当たり支持柱に設けられた戸当たり体)に最も近接し得る錠側縦框の先行角部が相対的に窪んだ形状を有することで、チリ寸法を変更することなく、回動する扉体と、錠受け側の扉体または戸当たり支持柱との間隔のみをより拡大することが可能となる。したがって、本開示の戸当たり構造を有する門扉では、より減少したチリ寸法においても、扉体同士、または扉体と戸当たり支持柱との干渉がより好適に回避され得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉を模式的に示す正面図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る扉体を模式的に示す部分側面図である。
図3図3は、本開示の一実施形態に係る扉体を模式的に示す部分斜視図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る戸当たり体を模式的に示す部分側面図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係る戸当たり体を模式的に示す部分斜視図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉を模式的に示す平面図である。
図7A図7Aは、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の開閉途中の状態を模式的に示す拡大平面図である。
図7B図7Bは、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の開閉途中の状態を模式的に示す拡大平面図である。
図8図8は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す拡大平面図である。
図9図9は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す部分平面図である。
図10図10は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す部分平面図である。
図11図11は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す平面図である。
図12図12は、本開示の一実施形態に係る錠側縦框を模式的に示す部分平面図である。
図13図13は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す部分平面図である。
図14図14は、本開示の一実施形態に係る両開き門扉を模式的に示す正面図である。
図15図15は、本開示の一実施形態に係る両開き門扉を模式的に示す平面図である。
図16図16は、本開示の一実施形態に係る両開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、図面を参照して本開示の一実施形態に係る門扉をより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本開示の説明のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比等は実物と異なり得る。
【0014】
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材もしくは部位または同じ意味内容を示すものとする。
【0015】
本開示の例示態様の説明は、添付の図面(記載された説明全体の一部とみなされる図面)に関連して読まれることを意図している。本願明細書で開示される本開示の態様に関する説明において、方向または向きに関する言及は、単に説明の便宜上であり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「頂」、「底」等の相対的な用語、ならびに、その派生用語、「水平に」、「下方に」、「上方に」等は、記載された如くまたは図示される如くの方向に言及すると解されるべきである。かかる相対的な用語は説明の便宜のためのみであり、特に明示的な説明がされない限り、特定の方向に装置が構成または操作されていることを要するものではない。また、「取り付けられた」、「付加された」、「接続された」、「結合された」および「相互接続された」等の用語、ならびに、同様の用語は、別途で明示的に説明されない限り、介在物によって構造物同士が互いに直接的または間接的に固定または取り付けられている関係や、双方が可動もしくは剛性の取り付けまたはその関係であることを述べている。さらに、本開示の特徴または利益は、好ましい態様を参照することによって例示されている。このような態様は十分に詳細に説明されており、当業者が本開示を実施できるようになっている。また、他の態様も利用することができ、プロセス、電気的もしくは機械的な変更が本開示の範囲を逸脱せずに可能であることを理解されたい。したがって、本開示は、考えられる特徴の非制限的な組合せを例示する好ましい態様(単独または他の特徴と組み合わされた態様)に明示的に限定されない。
【0016】
本明細書で用いる「平面視」とは、門扉の接地面に対して垂直な方向に沿って対象物を上側からみた場合の見取図に基づいている。
【0017】
また、本明細書でいう「垂直」および「直交」とは、必ずしも完全な「垂直」でなくてよく、それから僅かにずれた態様(例えば、90°±10°の範囲、例えば90°±5°までの範囲)を含んでいる。
【0018】
また、本明細書でいう「平行」とは、必ずしも完全な「平行」でなくてよく、それから僅かにずれた態様(例えば、完全な平行から±10°の範囲、例えば±5°までの範囲)を含んでいる。
【0019】
本開示の特徴は、門扉の戸当たり構造に関係する。ただし、ここでは、門扉の全体構造の把握のため、図面を参照して、以下に門扉の概要を説明する。
【0020】
本開示に係る門扉は、住宅、工場、または公園等の隣地境界を仕切る塀またはフェンス等の出入り口にて、開閉可能に設置される。かかる門扉は、1つの扉体を有して成る片開き門扉、または2つの扉体を有して成る両開き門扉の形態を有してよい。以下では、まず片開き門扉の構造について説明する。
【0021】
図1は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉1000を模式的に示す正面図である。また、図6は、本開示の一実施形態に係る片開き門扉1000を模式的に示す平面図である。片開き門扉1000は、主たる構成要素として、2つの支持柱100、300と、かかる2つの支持柱の間に片持ち式に設置される扉体200とを有して成る。図示されるように、一方の支持柱100は扉体200を回動可能に保持し、他方の支持柱300は扉体の戸当たり側に位置付けられるところ、2つの支持柱は、それぞれ吊元支持柱100および戸当たり支持柱300と称すこともできる。一実施形態において、戸当たり支持柱300は、閉状態にて扉体200と対向する戸当たり体320を備えていてよい。また、戸当たり支持柱300は、戸当たり体320と一体化物であってもよい。
【0022】
図1に示されるように、2つの支持柱100、300は、それぞれ設置面Gに対して下端部が埋設されることで設置されていてよい。支持柱100、300および戸当たり体320は中空の筒形状を有していてよく、上端にはそれぞれキャップ110、310a、310bが取り付けられていてよい。かかる支持柱および戸当たり体は、例えばアルミニウム合金を押出成形してなる長尺部材を切断することで形成されてよいものの、これに限定されず、ステンレス合金、または鋼材等の金属板材をプレス加工または曲げ加工することによって成形されてもよい。また、支持柱および戸当たり体の耐食性および/または耐候性を向上させるため、外側表面にめっき、塗装、またはラミネート加工等が施されてもよい。また、2つの支持柱および戸当たり体は、必ずしも同一の材料である必要はなく、異なる材料を用いて形成されてよい。
【0023】
本開示の一実施形態において、扉体200は、扉体200の両側端部に配置される2つの縦框を有して成る。より詳細には、図1に示すように、扉体200は、吊元支持柱100に対して相対的に近位側に位置する吊元側縦框230、および、吊元支持柱100に対して相対的に遠位側に位置し、錠250(図2参照)を備える錠側縦框240を有して成る。例えば、扉体200が閉状態にある場合、錠側縦框240は戸当たり支持柱300に対向する。より詳細には、閉状態において、錠側縦框240に備えられた錠250は、後述する戸当たり体320に備えられた錠受け部330(図4参照)と対向する。すなわち、閉状態において、扉体200は、吊元支持柱100と戸当たり支持柱300との間に配置される。また、扉体200は、扉体200の上下端部にそれぞれ配設される横框220をさらに有して成ってよい。横框および縦框は、略中空形状であってよい。また、図1に示すように、扉体200の上端部に位置する横框220の上面には、横框付属部材221が取り付けられていてよい(図6も併せて参照のこと)。また、扉体200の上側両角部には、それぞれキャップ210が取り付けられていてよい。
【0024】
縦框および横框は、例えばアルミニウム合金の押出成形によって形成されてよいものの、これに限定されず、ステンレス合金、または鋼材等の金属板材をプレス加工または曲げ加工することによって成形されてもよい。また、支柱の耐食性および/または耐候性を向上させるため、外側表面にめっき、塗装、またはラミネート加工等が施されてもよい。
【0025】
扉体200は、吊元側縦框230にて、吊元支持柱100に回動自在に取り付けられる。例えば、図6に示されるように、扉体200は、吊元側縦框230にて、ヒンジ120を介して吊元支持柱100に固定されてよい。扉体200は、ヒンジ120の軸を回動中心として、開状態側R1および閉状態側R2に回動可能に取り付けられてよい。換言すれば、扉体200は、吊元側縦框230に取り付けられたヒンジ120の軸を回動中心として、開状態と閉状態との間を回動可能に取り付けられてよい。すなわち、錠側縦框240は、扉体200の開閉に伴って回動し、図1に示す閉状態において戸当たり体320と対向する。
【0026】
ここで、本明細書における「閉状態」とは、錠側縦框240に備えられた錠250(図2参照)が、戸当たり支持柱300(両開き扉の場合には、他方の扉体)の錠受け部330(図4参照)に対向しており、門扉が施錠可能である位置に扉体200がある状態を指す。一方で、「開状態」とは、閉位置から扉体200が回動し、錠250と錠受け部330とが対向しておらず、施錠不可である位置に扉体200がある状態を指す。また、「開状態側R1」とは、閉状態から開状態への回動方向側を意味し、「閉状態側R2」とは、かかる開状態側R1に対する反対側を意味する。例えば、図6では、門扉の下側が開状態側R1、上側が閉状態側R2となるように回動可能な門扉が示されている。
【0027】
図2は、本開示の一実施形態に係る扉体200の錠側縦框240を模式的に示す部分側面図である。また、図3は、図2に示す錠側縦框240の模式的部分斜視図である。図示されるように、扉体は、錠側縦框240の基面243に錠250を備える。より詳細には、錠250は、錠側縦框240の基面243の中央に設けられてよい。また、図4および図5は、それぞれ、閉状態にて錠側縦框240と対向する戸当たり支持柱300の戸当たり体320を模式的に示す、部分側面図および部分斜視図である。戸当たり支持柱300には、錠側縦框240の錠250(図2参照)が係止されるための錠受け部330が備えられる。つまり、錠側縦框240に備えられた錠250は、閉状態にて、戸当たり体320の錠受け部330に係止され、それによって門扉が施錠される。本開示の門扉に用いられる錠機構は、例えばシリンダー錠の形態であってよく、市販のシリンダー錠が用いられてよい。かかる錠機構において、図2および図3に示すように、錠側縦框240に設けられた錠250は、錠ケース251と、かかる錠ケース251から戸当たり体320に向かって出入り可能であるラッチボルト252および/またはデッドボルト253を有して成ってよい。一方で、図4および図5に示すように、戸当たり支持柱300は、錠側縦框240と対向する戸当たり体320の基面323において、角穴状の錠受け部330を備えてよい。かかる錠受け部330に錠側縦框240から突出するラッチボルト252および/またはデッドボルト253が挿入されることで、門扉が施錠される。そのため、錠250と錠受け部330との間のチリ寸法D(図9参照)は、錠250のラッチボルト252および/またはデッドボルト253が錠受け部330に挿入され、施錠が為されるのに十分小さいことが望ましい。また、本開示の門扉に用いられる錠機構はシリンダー錠に限定されず、例えば回転錠または閂錠等が用いられてもよい。
【0028】
また、本開示の一実施形態において、扉体に備えられる錠は、電気錠であってよい。つまり、扉体は、錠側縦框にて、電気的に施錠および開錠する電気錠を備えてよい。本開示の門扉に用いられる電気錠は、市販の電気錠装置であってよい。例えば、扉体は、電気的に錠ケースから出入り自在であるラッチボルトおよび/またはデッドボルトを備えてよい。錠側縦框と対向する戸当たり支持柱の側面には、かかるラッチボルトおよび/またはデッドボルトを受ける錠受け部が備えられ得る。閉状態にて、錠側縦框のラッチボルトおよび/またはデッドボルトが電気的に突出し、錠受け部内に挿入されることで、門扉が施錠される。同様に、錠受け部内に挿入されたラッチボルトおよび/またはデッドボルトが錠ケースに電気的に引き込まれることで、門扉は開錠される。
【0029】
本開示の一実施形態において、電気錠は、扉体が閉状態であることを検知する機構を備え、かかる検知に基づいて施錠が為される。例えば、錠側縦框および/または対抗する戸当たり支持柱に備えられた、トリガーなどの接触型センサまたは磁気感応型の非接触センサによって、扉体が閉状態にあることが検知されてよい。検知機構を備えた電気錠としては、市販の電気錠が用いられてよい。
【0030】
接触型および非接触型の検知機構は、チリ寸法の大小に大きく影響され得る。例えば、検知機構として磁気感応型の非接触式センサが用いられる場合、チリ寸法が大きくなると、扉体と戸当たり支持柱との間に働く磁力が弱まり、検知動作が不安定となる虞がある。したがって、検知機構を正常に作動させるため、電気錠を備える門扉のチリ寸法は、より小さいことが望ましい。
【0031】
本開示の一実施形態に係る門扉は、図2および図3に示されるように、戸当たりプレート260をさらに有して成ってよい。戸当たりプレート260は、板状の基材261をL形に曲げることで成形されてよく、例えばステンレス合金または鋼材などの金属板材によって形成されてよい。戸当たりプレート260の基材261の一端部は扉体200の錠側縦框240に固定され、他端部に弾性部材262が備えられてよい。錠側縦框240に取り付けられた戸当たりプレート260は、図6に示されるように、平面視にて、弾性部材262を備える端部が扉体200の開状態側R1に延出し、戸当たり支持柱側に向かって略垂直に折れ曲がっていてよい。換言すれば、平面視にて、戸当たりプレート260の一端は、扉体200の開状態側R1の側面から突出するように延出した後、戸当たり支持柱側に向かって折り曲げられ、戸当たり体320の開状態側R1の側面と略平行に延在していてよい。扉体200から延出した戸当たりプレート260の端部に備えられた弾性部材262は、閉状態にて、戸当たり体320の開状態側R1の側面に当接し得る。かかる構造により、開状態から閉状態へと回動する扉体200は、戸当たり体320に当接する戸当たりプレート260によって、閉状態にて維持され得る。つまり、戸当たりプレート260は、閉状態側R2に回動する扉体200が閉状態を超えて更に回動することを防止し得る。かかる戸当たりプレート260を備えることで、錠と錠受け部の相対的な位置のずれに起因する、施錠操作における不具合が防止され得る。
【0032】
図7A~7Bは、開状態から閉状態に回動する扉体を模式的に示す平面図である。また、図8は、閉状態における門扉の戸当たり構造を模式的に示す平面図である。これらの図において、錠機構に関連して説明するため、横框付属部材221、扉体のキャップ210および戸当たり体のキャップ310b(図6参照)は除去されている。閉状態側R2への扉体の回動に伴い、錠側縦框240は円弧状の軌跡Pを辿って戸当たり体に近接する(図7A参照)。扉体200が更に回動すると、錠側縦框240のラッチボルト252が戸当たり体320に当接し(図7B参照)、錠ケース251内に引き込まれる。戸当たり体320は、ラッチボルト252との接触による損傷を防ぐため、閉状態にて錠側縦框と対向する戸当たり体320の端面に、板状の受金具331を備えてよい(図4および図5参照)。続いて、図8に示すように扉体200が閉状態に達すると、戸当たりプレート260の弾性部材262が戸当たり体320の側面に当接する。さらに、ラッチボルト252が錠ケース251から戸当たり支持柱300の錠受け部330内に向かって突出する。その後、例えば錠受け部330内のラッチボルト252、および/または錠ケース251から錠受け部330内に挿入されたデッドボルト253(図2および3参照)によって門扉の施錠が為されてよい。
【0033】
本開示に係る片開き門扉は、扉体と戸当たり支持柱との戸当たり構造に特徴を有する。より詳細には、扉体の錠側縦框と、かかる錠側縦框と対向する戸当たり支持柱の戸当たり体の構造に特徴を有する。上述したように、適切に錠機構を作動させるためには、錠と錠受け部との間のチリ寸法を、所望の寸法以下にまで小さくする必要がある。一方で、チリ寸法が小さすぎると、扉体の回動に際して、錠側縦框と戸当たり体(後述する両開き門扉の場合では、錠受け扉体)とが干渉する虞がある。以下では、かかる課題を解決し得る本開示の門扉の戸当たり構造について詳細に説明する。
【0034】
図9は、図6に示す片開き門扉1000において、横框付属部材221、扉体に付属しているキャップ210および戸当たり体のキャップ310bを除去した状態を示す模式的平面拡大図である。図9に示される門扉は閉状態であり、図面の下側が開状態側R1である。図示されるように、本開示の門扉において、錠側縦框240の閉状態側R2に位置する先行角部241の外輪郭は、平面視にて、切り欠かれた形状を有していてよい。すなわち、開状態から閉状態への扉体の回動に際して先行する錠側縦框240の先行角部241は、平面視にて相対的に窪んでいる。より詳細には、平面視にて、錠側縦框240は、錠側縦框の基面243の中央に錠250を備え、錠250より閉状態側R2に位置する先行角部241は、かかる基面243に対して段差寸法H(図12参照)だけ高さを異ならせて形成されていてよい。つまり、錠側縦框240の先行角部241は、吊元支持柱100に向かって相対的に窪んだ段差形状を有してよい。換言すれば、錠側縦框240は、先行角部241より開状態側R1の部分が戸当たり支持柱側に向かって相対的に突出した段差形状を有してよい。これは、錠側縦框240に備えられた錠250が、先行角部241より相対的に突出した基面243にて備えられていることを意味する。
【0035】
上述したように、錠側縦框240は、扉体200の閉操作に伴って閉状態側R2に向かって回動し、戸当たり体320に近接する。かかる回動に際して、錠側縦框240は、先行角部241において最も戸当たり体320に近接し得る。図9に示す一点鎖線は、回動に際して先行角部241が通る円弧状の軌跡Pである。図示されるように、先行角部241が窪んだ形状を有することで、回動に際して先行角部241が辿る円弧状の軌跡Pと戸当たり体320との間隔は、より拡大される。したがって、回動に際して生じ得る錠側縦框240と戸当たり体320との接触をより好適に回避することが可能となり得る。つまり、上述の構造により、チリ寸法が減少された場合においても、扉体と戸当たり体との干渉を回避し得る、より好適な戸当たり構造を有する門扉が供され得る。
【0036】
さらに、先行角部241に対して錠250を備える基面243が相対的に突出した形状を有することで、錠250と錠受け部330との間のチリ寸法Dをより減少させた状態で門扉を設置することも可能となり得る。上述したように、扉体200が閉状態にあることを検知するための検知機構を有する電気錠を備える門扉では、検知機構を正常に作動させるため、門扉のチリ寸法Dはより小さいことが望ましい。本開示の戸当たり構造では、扉体200と戸当たり体320との干渉を防止しつつ、より小さなチリ寸法で門扉を構成することが可能となる。つまり、本開示の構造によって、扉体と戸当たり体とが干渉しないチリ寸法の最小値をより小さくすることが可能となるため、電気錠の検知機構の正常な作動のためのチリ寸法の許容範囲がより拡大され得る。したがって、本開示の戸当たり構造により、施工ばらつき、経年および/または熱膨張等によるチリ寸法の変化に対して、より好適に対応可能な門扉が供され得る。
【0037】
また、扉体の縦框は、縦框基部および縦框基部の端面を覆う縦框付属部材によって構成されてよい。図9に示すように、本開示の一実施形態において、縦框基部240aと縦框付属部材240bとは、互いに相補的な形状を有していてよい。つまり、縦框基部240aおよび縦框付属部材240bは、同様に角部が相対的に窪んだ形状を有し、縦框付属部材240bは、縦框基部240aに対して相補的に噛み合うように嵌め込まれていてよい。扉体200の開閉における干渉を防ぐ観点からは、より外側に位置する縦框付属部材240bのみが角部に窪みを有する形状を有していればよい。しかしながら、かかる構造では、窪みを有する角部以外の箇所において、縦框基部240aと縦框付属部材240bとの間の間隔が拡大する。ラッチボルト252を格納する錠ケース251は縦框基部240aに取り付けられているため、チリ寸法を減少させ、錠機構の正常な作動をより好適に保証する観点を重視すると、錠ケース251と錠受け部330との間の距離をより短縮することが好ましい。そのため、縦框基部240aも縦框付属部材240bと同様に角部に窪みを備えることで、縦框基部240aと縦框付属部材240bとの間の間隔をより減少させ、閉状態における錠ケース251と錠受け部330との間の距離をより短縮することが可能となり得る。
【0038】
図10は、本開示の別の実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す平面図である。錠側縦框240と対向する戸当たり体320の端面において、開状態側R1に位置する角部321は、平面視にて相対的に窪んだ形状を有していてよい。図10に示すように、戸当たり体320の平面視形状は、閉状態にて錠側縦框240の後続角部242と対向する角部321が切り欠かれた段差形状であってよい。つまり、戸当たり体320は、開状態側の角部321より閉状態側R2の戸当たり面323が錠側縦框240に向かって相対的に突出した段差形状を有していてよい。これは、戸当たり体320に備えられた錠受け部330が、開状態側の角部321より相対的に扉体200に向かって突出していることを意味する。かかる構造により、回動に際して先行角部241が辿る円弧状の軌跡Pと戸当たり体320との間隔が、更に拡大される。したがって、回動に際して生じ得る錠側縦框240と戸当たり体320との接触をより好適に回避することが可能となり得る。つまり、上述の構造は、チリ寸法がより減少した場合においても、扉体と戸当たり体との干渉を回避し得る、より好適な戸当たり構造を有する門扉を供し得る。
【0039】
図11は、本開示の別の実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す平面図である。本開示の一実施形態において、錠側縦框240は、平面視にて、両側角部が相対的に窪んだ形状を有していてよい。つまり、平面視にて、錠側縦框240は、開状態から閉状態への扉体200の回動に際して先行する先行角部241と、後続する後続角部242とが相対的に窪んだ形状を有してよい。換言すれば、錠側縦框240の平面視形状は、両側角部が切り欠かれ、錠250を備える中央の基面243が突出した形状であってよい。これは、錠側縦框240の平面視における外輪郭が、吊元支持柱100と対向する方向に向かって突出する凸形状であることを意味する。かかる形状により、内開きおよび外開きのいずれの仕様においても、扉体と戸当たり体との干渉を回避することが可能となる。
【0040】
図12は、本開示の一実施形態に係る錠側縦框を模式的に示す部分平面図である。図示されるように、錠側縦框240の先行角部241および後続角部242の両方が窪みを有する場合、かかる窪みによって形成された錠側縦框240の平面視形状は、対称形であってよい。つまり、先行角部241と後続角部242とは、互いに対称な形状を有していてよい。より詳細には、平面視にて、錠側縦框240は、扉体200の幅方向に延びる中心線Lに対して線対称に形成されていてよい。つまり、錠側縦框240の平面視形状は、扉体200を通る中心線Lに対して線対称である凸形状を有していてよい。錠側縦框240が対称形であることで、内開きおよび外開きのどちらの仕様においても、上述した干渉をより好適に回避する効果を同様に得ることができる。かかる形状により、本開示の扉体は、内開きおよび外開きのどちらの仕様にも共通して使用可能となる。そのため、門扉の部材加工および組立における扉体の取り扱いがより簡略化され、加工および組立の作業効率が向上し得る。さらに、門扉を設置する現場の状況に応じて、内開きおよび外開きの仕様を容易に変更することも可能である。
【0041】
また、図12に示すように、扉体200は、錠側縦框240の後続角部242の窪みに設けられた戸当たりプレート260を有してよい。つまり、本開示の一実施形態において、L字形状の戸当たりプレート260の一辺は、後続角部242の窪みに取り付けられ、扉体200の開状態側R1に延出した後、他辺が戸当たり支持柱側に向かうように屈曲していてよい。さらに、一実施形態において、後続角部242に取り付けられる戸当たりプレート260の厚みは、後続角部242の段差寸法以下である。より詳細には、戸当たりプレートの基材261の厚みtは、相対的に窪んでいる後続角部242の段差寸法H以下であってよい。つまり、図12に示す平面視にて、錠を有する錠側縦框240の中央の基面243は、後続角部242に取り付けられた戸当たりプレート260の表面と面一であってよく、または戸当たりプレート260よりも戸当たり支持柱側に突出していてよい。かかる構造により、戸当たりプレート260が錠側縦框の基面243より吊元支柱側に収められるため、扉体の開閉操作に際して、錠側縦框上に位置する戸当たりプレートの基材と戸当たり支持柱との干渉がより好適に防止され得る。
【0042】
本開示の一実施形態において、部材の加工容易性の観点から、先行角部241に形成された窪みの形状は、略矩形状に切り欠かれた形状であってよい。これは、先行角部241に形成された窪み面241a(図12参照)と錠側縦框の基面243とが、互いに略平行な関係を有し得ることを意味する。つまり、図12に示すように、先行角部の窪み面241aと錠側縦框の基面243を含む仮想平面とは、互いに略平行であってよい。これは、先行角部の窪み面241aと扉体の側面201とは、互いに直交する関係を有し得ると解することもできる。同様に、後続角部242に形成された窪みの形状は、略矩形状に切り欠かれた形状であってよい。すなわち、後続角部242に形成された窪み面242aと錠側縦框の基面243とは、互いに平行な関係を有していてよい。ここで「窪み面」は、先行角部および/または後続角部に形成された窪みの底面と称すこともできる。また、図12に示されるように、窪み面241aと窪み側面241bとは、平面視にて互いに直交する関係を有していてよい。
【0043】
図13は、本開示の別の実施形態に係る片開き門扉の戸当たり構造を模式的に示す平面図である。本開示の一実施形態において、戸当たり体320は、平面視にて、錠側縦框240に対向する端面の両側角部が相対的に窪んだ形状を有していてよい。つまり、平面視にて、戸当たり体320は、開状態側に位置する角部321および閉状態側に位置する角部322が相対的に窪んだ形状を有してよい。換言すれば、戸当たり体320の平面視形状は、錠側縦框240に対向する端面において、両側角部が切り欠かれ、錠受け部330を有する中央の基面323が突出した形状であってよい。これは、平面視にて、戸当たり体320の外輪郭が、錠側縦框240に向かって突出する凸形状であることを意味する。かかる形状により、内開きおよび外開きのどちらの仕様においても、扉体と戸当たり支持柱との干渉をより好適に回避することが可能となり得る。また、かかる凸形状は、対称形であってよい。より詳細には、錠側縦框240に対向する戸当たり体の端面の平面視形状は、基面323の中心を通り、戸当たり体の側面と平行に延在する中心線に対して、線対称であってよい。かかる形状により、本開示の戸当たり体は、内開きおよび外開きのどちらの仕様にも共通して使用可能となる。そのため、門扉を設置する現場の状況に応じて、内開きおよび外開きの仕様を容易に変更することが可能となる。
【0044】
また、閉状態にて対向する、錠側縦框240の端面と戸当たり体320の端面とは、平面視にて、互いに同一形状の外輪郭を有していてよい。すなわち、錠側縦框240の端面と戸当たり体320の端面の外輪郭は、同一な平面視形状であってよい。本明細書において、「同一」および「同一形状」なる用語は、完全に同一な形状のみではなく、互いに近似した形状も包含し得る。同一な形状を有する錠側縦框240と戸当たり体320の端面は、閉状態にて互いに向き合うように配置される。つまり、錠側縦框240と戸当たり体320のいずれか一方の平面視形状は、閉状態にて、基面243および/または323に略平行な直線に関して他方を反転させた形状と同一であってよい。例えば、図13に示すように、錠側縦框240の端面および戸当たり体320の端面は、平面視にて、互いに同一な凸形状であってよい。これは、錠側縦框の先行角部241、後続角部242、および戸当たり体の2つの角部321、322において、同一な段差寸法Hおよび幅寸法W(図12参照)を有する窪みが形成され得ることを意味する。つまり、先行角部241、後続角部242、および戸当たり体の2つの角部321、322は、互いに同一な形状の段差を有していてよい。このような構造は、錠側縦框および戸当たり体の部材の共通化の観点を重視すると、より好適であり得る。錠側縦框および戸当たり体の端面を同一形状とすることで、錠側縦框および戸当たり体の部材の製造工程がより簡略化され得る。したがって、上述の構造により、本開示の好適な戸当たり構造を有する門扉の製造効率がより向上し得る。
【0045】
本開示の扉体の厚みT(図6参照)は、例えば約30mm~約100mm、約35mm~約90mm、または約40mm~約85mmであってよい。扉体の開閉操作に際して先行角部が辿る円弧状の軌跡は、扉体の厚みによって変化する。例えば、扉体が厚いほど、先行角部241が辿る軌跡は、戸当たり体により近接する。そのため、扉体が厚いほど、扉体と戸当たり体とが干渉しやすくなり、より広いチリ寸法が必要となる。上述した本開示の戸当たり構造では、厚い扉体を用いる門扉においても、狭いチリ寸法を確保しつつ、扉体と戸当たり体との干渉をより好適に回避することが可能となる。本開示の門扉では、例えば約45mm~約80mm、または約50mm~約70mmの比較的大きな厚みTを有する扉体においても、より狭いチリ寸法の確保と干渉の防止とが、より好適に実現され得る。
【0046】
扉体および/または戸当たり体の角部に形成された窪みの、平面視における段差寸法H(図12参照)の下限値は、扉体の開閉における干渉の発生防止の観点から、扉体の厚みTの約1.0%以上であることが好ましく、約1.5%以上がより好ましく、約2.0%以上であることが更に好ましく、約2.5%以上であることが特に好ましい。一方、上限値については、特に制限されないものの、戸当たりプレート等の部材を取り付けた場合においても干渉に影響を与えないという観点から、例えば扉体の厚みTの約6.0%以下であってよく、外観の美観の観点からは約5.5%以下であることが好ましく、約5.0%以下がより好ましく、約4.5%以下であることが更に好ましい。
【0047】
扉体および/または戸当たり体の角部に形成された窪みの、平面視における幅寸法W(図12参照)の下限値は、扉体の開閉における干渉の発生防止の観点から、扉体の厚みTの約10%以上であることが好ましく、約15%以上がより好ましく、約20%以上であることが更に好ましく、約25%以上であることが特に好ましい。一方、上限値については、基面の中央に錠ケースを設置する観点から、扉体の厚みTの{(T-錠ケースの幅寸法)/T×100/2}%以下であることが好ましく、{(T-錠ケースの幅寸法-2mm)/T×100/2}%以下であることがより好ましい。
【0048】
また、扉体の開閉における干渉をより好適に防ぐ観点から、扉体および/または戸当たり体の角部に形成された窪みは、段差寸法Hが扉体の厚みTの約1.0%~約6.0%、かつ、幅寸法Wが扉体の厚みTの約10%~{(T-錠ケースの幅寸法)/T×100/2}%であることが好ましく、段差寸法Hが扉体の厚みTの約1.5%~約5.5%、かつ、幅寸法Wが扉体の厚みTの約15%~{(T-錠ケースの幅寸法)/T×100/2}%がより好ましく、段差寸法Hが扉体の厚みTの約2.0%~約5.0%、かつ、幅寸法Wが扉体の厚みTの約20%~{(T-錠ケースの幅寸法-2mm)/T×100/2}%であることが更に好ましく、段差寸法Hが扉体の厚みTの約2.5%~約4.5%、かつ、幅寸法Wが扉体の厚みTの約25%~{(T-錠ケースの幅寸法-2mm)/T×100/2}%であることが特に好ましい。
【0049】
また、一実施形態において、扉体および/または戸当たり体の角部に形成された窪みの段差寸法Hおよび幅寸法Wの好ましい範囲は、扉体の幅S(図6参照)によっても異なり得る。例えば、平面視における段差寸法Hの下限値は、扉体の開閉における干渉の発生防止の観点から、扉体の幅Sの約0.07%以上であることが好ましく、約0.10%以上がより好ましく、約0.14%以上であることが更に好ましく、約0.18%以上であることが特に好ましい。一方、上限値については、特に制限されないものの、戸当たりプレート等の部材を取り付けた場合においても干渉に影響を与えないという観点から、例えば扉体の幅Sの約0.45%以下であってよく、外観の美観の観点からは約0.40%以下であることが好ましく、約0.35%以下がより好ましく、約0.32%以下であることが更に好ましい。
【0050】
同様に、平面視における幅寸法Wの下限値は、扉体の開閉における干渉の発生防止の観点から、扉体の幅Sの約0.5%以上であることが好ましく、約1.0%以上がより好ましく、約1.4%以上であることが更に好ましく、約1.8%以上であることが特に好ましい。一方、上限値については、中央に設置される扉体の厚みTおよび錠ケース251の幅寸法に依拠する。つまり、上述したとおり、段差幅寸法の上限値は、扉体の厚みTの{(T-錠ケースの幅寸法)/T×100/2}%以下であることが好ましく、{(T-錠ケースの幅寸法-2mm)/T×100/2}%以下であることがより好ましい。
【0051】
また、扉体の開閉における干渉をより好適に防ぐ観点から、扉体および/または戸当たり体の角部に形成された窪みは、段差寸法Hが扉体の幅Sの約0.07%~約0.45%、かつ、幅寸法Wが扉体の幅Sの約0.5%以上であることが好ましく、段差寸法Hが扉体の幅Sの約0.10%~約0.40%、かつ、幅寸法Wが扉体の幅Sの約1.0%以上であることがより好ましく、段差寸法Hが扉体の幅Sの約0.14%~約0.35%、かつ、幅寸法Wが扉体の幅Sの約1.4%以上であることが更に好ましく、段差寸法Hが扉体の幅Sの約0.18%~約0.32%、かつ、幅寸法Wが扉体の幅Sの約1.8%以上であることが特に好ましい。
【0052】
以上、片開き門扉の実施形態について説明したが、これに限定されず、戸当たり支持柱の代わりに、錠側縦框に備えられた錠を受ける錠受け扉体を備えた両開き門扉としてもよい。
【0053】
図14は、本開示の一実施形態に係る両開き門扉2000を模式的に示す正面図である。また、図15は、本開示の一実施形態に係る両開き門扉2000を模式的に示す平面図である。図示されるように、本実施形態の両開き門扉2000は、戸当たり支持柱の代わりに、上述した片開き門扉の扉体200の錠側縦框240と対向する錠受け縦框440を有する錠受け扉体400を更に有して成る。2つの扉体200、400は、2つの吊元支持柱100の間に配置され、それぞれ片持ち式で回動可能に取り付けられてよい。つまり、2つの扉体200、400は、2つの吊元支持柱100a、100b側をそれぞれ回動中心とし、開状態と閉状態との間を回動する。一方の扉体200の錠側縦框240に備えられた錠250が、他方の扉体(錠受け扉体400)の錠受け縦框440に備えられた錠受け部430にて係止されることで、門扉が施錠されてよい。
【0054】
図16は、図15に示す両開き門扉2000において、横框付属部材221、421およびキャップ210、410を除去した状態を模式的に示す拡大平面図である。本開示に係る両開き門扉において、錠を備える扉体200は上述した片開き門扉の実施形態における扉体と同様の特徴、および同様の効果を有し得る。一方、錠受け扉体400の錠受け縦框440は、上述した片開き門扉の実施形態における戸当たり体と同様の特徴、および同様の効果を有し得る。
【0055】
本開示の一実施形態において、錠側縦框240と対向する錠受け扉体400の錠受け縦框440は、開状態側R1に位置する角部441が、平面視にて相対的に窪んだ形状を有していてよい。図16に示すように、錠受け縦框440の平面視形状は、閉状態にて錠側縦框の後続角部242と対向する角部441が切り欠かれた段差形状であってよい。つまり、錠受け縦框440は、開状態側の角部441より閉状態側R2が錠側縦框240に向かって相対的に突出している段差形状を有してよい。これは、錠受け縦框440に備えられた錠受け部430が、開状態側の角部441より相対的に錠側縦框240に向かって突出していることを意味する。かかる構造により、回動に際して先行角部241が辿る円弧状の軌跡と錠受け縦框440との間隔は、更に拡大される。したがって、回動に際して生じ得る錠側縦框240と錠受け縦框440との接触をより好適に回避することが可能となり得る。つまり、上述の構造により、チリ寸法が減少された場合においても、扉体同士の干渉を回避し得る、より好適な戸当たり構造を有する門扉が供され得る。
【0056】
また、錠受け縦框440は、錠側縦框240と同様に、縦框基部および縦框基部の端面を覆う縦框付属部材によって構成されてよい。本開示の一実施形態において、錠受け縦框440の縦框基部と縦框付属部材とは、互いに相補的な形状を有していてよい。
【0057】
別の実施形態において、錠受け縦框440は、両側角部が相対的に窪んだ平面視形状を有していてよい。つまり、平面視にて、錠受け縦框440は、開状態側R1に位置する角部441および閉状態側R2に位置する角部442が相対的に窪んだ形状を有してよい。換言すれば、錠受け縦框440の平面視形状は、両側角部が切り欠かれ、錠受け部430を有する中央の基面443が突出した形状であってよい。これは、平面視にて、錠受け縦框440の外輪郭が、錠側縦框240に向かって突出する凸形状であることを意味する。かかる形状により、内開きおよび外開きのどちらの仕様においても、扉体同士の干渉をより好適に回避することが可能となり得る。また、かかる凸形状は、対称形であってよい。より詳細には、錠側縦框240に対向する錠受け縦框の平面視形状は、基面443の中心を通り、戸当たり体の側面と平行に延在する中心線に対して、線対称であってよい。かかる形状により、本開示の戸当たり体は、内開きおよび外開きのどちらの仕様にも共通して使用可能となる。そのため、門扉を設置する現場の状況に応じて、内開きおよび外開きの仕様を容易に変更することが可能となる。
【0058】
また、錠側縦框240と錠受け縦框440とは、平面視にて、互いに同一形状を有していてよい。すなわち、錠側縦框240と錠受け縦框440の外輪郭は、互いに同一な平面視形状であってよい。同一な形状を有する錠側縦框240と錠受け縦框440とは、閉状態にて互いに向き合うように配置される。つまり、錠側縦框240と錠受け縦框440のいずれか一方の平面視形状は、閉状態にて、基面243および/または443に略平行な直線に関して他方を反転させた形状と同一であってよい。例えば、図16に示すように、錠側縦框240および錠受け縦框440は、平面視にて、互いに同一な凸形状であってよい。これは、錠側縦框の先行角部241、後続角部242、および錠受け縦框の2つの角部441、442において、同一な段差寸法Hおよび幅寸法W(図12参照)を有する窪みが形成され得ることを意味する。つまり、先行角部241、後続角部242、および錠受け縦框の2つの角部441、442は、互いに同一な形状の段差を有していてよい。さらに、錠側縦框240および錠受け縦框440の縦框基部および縦框付属部材が、それぞれ同一な平面視形状を有していてもよい。このような構造は、錠側縦框240および錠受け縦框440の部材の共通化の観点をより重視すると、より好適であり得る。錠側縦框240および錠受け縦框440の平面視形状を同一にすることで、錠側縦框240および錠受け縦框440の部材の製造工程がより簡略化され得る。したがって、上述の構造により、本開示の好適な戸当たり構造を有する門扉の製造効率がより向上し得る。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、上記構成を組み合わせるなど、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本開示の戸当たり構造を備えた門扉は、住宅、工場、または公園等の隣地境界を仕切る外構等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1000 片開き門扉
2000 両開き門扉
100 吊元支持柱
110 キャップ
120 ヒンジ
200 扉体
201 側面
210 キャップ
220 横框
221 横框付属部材
230 吊元側縦框
240 錠側縦框
240a 縦框基部
240b 縦框付属部材
241 先行角部
241a 窪み面
241b 窪み側面
242 後続角部
243 基面
250 錠
251 錠ケース
252 ラッチボルト
253 デッドボルト
260 戸当たりプレート
261 基材
262 弾性部材
300 戸当たり支持柱
310a キャップ
310b キャップ
320 戸当たり体
321 開状態側の角部
322 閉状態側の角部
323 基面
330 錠受け部
331 受金具
400 錠受け扉体
410 キャップ
420 横框
421 横框付属部材
430 錠受け部
440 錠受け縦框
441 開状態側の角部
442 閉状態側の角部
443 基面
R1 開状態側
R2 閉状態側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16