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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】不揮発性記憶装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/00 20230101AFI20240627BHJP
   H10B 63/10 20230101ALI20240627BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240627BHJP
【FI】
H10B63/00
H10B63/10
H10N70/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021503426
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2019050457
(87)【国際公開番号】W WO2020179199
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2019038276
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】姫野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】早川 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 光一
(72)【発明者】
【氏名】安原 隆太郎
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0317143(US,A1)
【文献】特開2015-146343(JP,A)
【文献】国際公開第2012/073503(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/155832(WO,A1)
【文献】特開2013-062327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 63/00
H10B 63/10
H10N 70/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置であって、
前記記憶領域内には、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと、前記上部プラグに接続する第1上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、
前記回路領域内には、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、
前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、
前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、
前記抵抗変化素子および前記中層金属配線の上面同士および下面同士のうち、少なくともいずれか一方同士が前記基板表面に対して異なる高さの位置にある、不揮発性記憶装置。
【請求項2】
基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置であって、
前記記憶領域内には、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に電気的に接続する第1上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、
前記回路領域内には、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、
前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、
前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、
前記抵抗変化素子および前記中層金属配線の上面同士および下面同士のうち、少なくともいずれか一方同士が前記基板表面に対して異なる高さの位置にあり、
前記抵抗変化素子と前記中層金属配線とは同一層間絶縁膜中に形成されており、
前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とは同一平面を成す、不揮発性記憶装置。
【請求項3】
前記抵抗変化素子と前記中層金属配線とは同一層間絶縁膜中に形成されており、
前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とは同一平面にはない、請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項4】
前記抵抗変化素子の上面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも低い位置にある、請求項3に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項5】
基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置であって、
前記記憶領域内には、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に電気的に接続する第1上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、
前記回路領域内には、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、
前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、
前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、
前記抵抗変化素子および前記中層金属配線の上面同士および下面同士のうち、少なくともいずれか一方同士が前記基板表面に対して異なる高さの位置にあり、
前記抵抗変化素子の下面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも高い位置にある、不揮発性記憶装置。
【請求項6】
前記抵抗変化素子の上面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも高い位置にある、請求項1に記載の不揮発性記憶装置。
【請求項7】
基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置の製造方法であって、
前記記憶領域内に、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと、前記上部プラグに接続する第1上層金属配線を、下方よりこの順に形成し、
前記回路領域内に、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を、下方よりこの順に形成する工程を備え、
前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成され、
前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成され、
前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にありかつ前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にある、不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項8】
基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置の製造方法であって、
前記記憶領域内に、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に電気的に接続する第1上層金属配線を、下方よりこの順に形成し、
前記回路領域内に、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を、下方よりこの順に形成する工程を備え、
前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成され、
前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成され、
前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にありかつ前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあり、
前記不揮発性記憶装置の製造方法は、
前記基板上に第1層間絶縁層を形成する工程と、
前記第1層間絶縁層における前記記憶領域内に第1下層金属配線を形成すると同時に、前記第1層間絶縁層における前記回路領域内に第2下層金属配線を形成する工程と、
前記第1下層金属配線および前記第2下層金属配線を含む前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、
前記第2層間絶縁層における前記記憶領域内に前記第1下層金属配線と接続する下部プラグを形成する工程と、
前記下部プラグを含む前記第2層間絶縁層上における前記記憶領域内に前記下部プラグと接続する抵抗変化素子を形成する工程と、
前記抵抗変化素子を含む前記第2層間絶縁層上に第3層間絶縁層を形成する工程と、
前記第2層間絶縁層および前記第3層間絶縁層における前記回路領域内に前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと前記第1ビアに接続する中層金属配線を形成する工程と、
前記抵抗変化素子および前記中層金属配線を含む前記第3層間絶縁層上に第4層間絶縁層を形成する工程と、
前記第4層間絶縁層における前記記憶領域内に前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと前記上部プラグに接続する第1上層金属配線を形成すると同時に、前記第4層間絶縁層における前記回路領域内に前記中層金属配線に接続する第2ビアと前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を形成する工程とを備え、
前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とは同一平面内にあり、
前記抵抗変化素子の厚さは前記中層金属配線の厚さとは異なる、不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項9】
前記不揮発性記憶装置の製造方法は、
前記基板上に第1層間絶縁層を形成する工程と、
前記第1層間絶縁層における前記記憶領域内に第1下層金属配線を形成すると同時に、前記第1層間絶縁層における前記回路領域内に第2下層金属配線を形成する工程と、
前記第1下層金属配線および前記第2下層金属配線を含む前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、
前記第2層間絶縁層における前記記憶領域内に前記第1下層金属配線と接続する下部プラグを形成する工程と、
前記下部プラグを含む前記第2層間絶縁層上における前記記憶領域内に前記下部プラグと接続する抵抗変化素子を形成する工程と、
前記抵抗変化素子を含む前記第2層間絶縁層上に第3層間絶縁層を形成する工程と、
前記第2層間絶縁層および前記第3層間絶縁層における前記回路領域内に前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと前記第1ビアに接続する中層金属配線を形成する工程と、
前記抵抗変化素子および前記中層金属配線を含む前記第3層間絶縁層上に第4層間絶縁層を形成する工程と、
前記第3層間絶縁層および前記第4層間絶縁層における前記記憶領域内に前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと前記上部プラグに接続する第1上層金属配線を形成すると同時に、前記第4層間絶縁層における前記回路領域内に前記中層金属配線に接続する第2ビアと前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を形成する工程とを備え、
前記抵抗変化素子の上面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも低い位置にある、請求項7に記載の不揮発性記憶装置の製造方法。
【請求項10】
基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置の製造方法であって、
前記記憶領域内に、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に電気的に接続する第1上層金属配線を、下方よりこの順に形成し、
前記回路領域内に、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を、下方よりこの順に形成する工程を備え、
前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成され、
前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成され、
前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にありかつ前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあり、
前記不揮発性記憶装置の製造方法は、
前記基板上に第1層間絶縁層を形成する工程と、
前記第1層間絶縁層における前記記憶領域内に第1下層金属配線を形成すると同時に、前記第1層間絶縁層における前記回路領域内に第2下層金属配線を形成する工程と、
前記第1下層金属配線および前記第2下層金属配線を含む前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、
前記第2層間絶縁層における前記回路領域内に前記第2下層金属配線と接続する第1ビアと前記第1ビアに接続する中層金属配線を形成する工程と、
前記第1ビアおよび前記中層金属配線を含む前記第2層間絶縁層上に第3層間絶縁層を形成する工程と、
前記第2層間絶縁層および前記第3層間絶縁層における前記記憶領域内に前記第1下層金属配線に接続する下部プラグを形成する工程と、
前記下部プラグを含む前記第2層間絶縁層上における前記記憶領域内に前記下部プラグと接続する抵抗変化素子を形成する工程と、
前記抵抗変化素子を含む前記第3層間絶縁層上に第4層間絶縁層を形成する工程と、
前記第4層間絶縁層における前記記憶領域内に前記抵抗変化素子に接続する第1上層金属配線を形成すると同時に、前記第3層間絶縁層および前記第4層間絶縁層における前記回路領域内に前記中層金属配線に接続する第2ビアと前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を形成する工程とを備え、
前記抵抗変化素子の下面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも高い位置にある、不揮発性記憶装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、不揮発性記憶装置およびその製造方法に関する。より詳しくは、電気的パルスの印加によって抵抗値が可逆的に変化する材料を用いてデータを記憶する不揮発性記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル、クラウド、IoTやビッグデータ、そして人工知能技術の進歩により、大量のデータが次々と生成されるようになってきた。これらの大量のデータを記憶するために、メモリ技術はこれまで以上の進化が求められている。このようなデジタル技術の進展に伴って、使用される半導体素子の微細化および高速化が急速に進んでいる。
【0003】
その中でもフラッシュメモリに代表される大容量の不揮発性メモリの用途が急速に拡大しているが、近年、このフラッシュメモリに置き換わる次世代の新型不揮発性メモリとして、いわゆる抵抗変化素子を用いた抵抗変化型の不揮発性記憶装置の研究開発が進んでいる。ここで、抵抗変化素子とは、電気的信号によって抵抗値が可逆的に変化する性質を有し、この抵抗値に対応した情報を不揮発的に記憶することが可能な素子である。
【0004】
特許文献1には、抵抗変化層が、厚み方向において、TaO(但し、0<x<2.5)で表される組成を有する第1酸素不足型のタンタル酸化物を含む第1領域と、TaO(但し、x<y<2.5)で表される組成を有する第2酸素不足型のタンタル酸化物を含む第2領域とを有している不揮発性記憶素子が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、金属配線層間に抵抗変化素子を備える不揮発性記憶装置において、抵抗変化素子の側面を側壁保護層で被覆することにより、抵抗変化素子を形成した後の層間絶縁層の堆積工程や熱処理工程等による抵抗変化素子の側面部分の酸化を防止でき、かつ抵抗変化素子と上層金属配線との意図しないリークパス形成を防止できる不揮発性記憶装置が開示されている。
【0006】
図7は、特許文献2に記載の従来の不揮発性記憶装置400の概略構成の一例を示す断面図である。図7に開示された不揮発性記憶装置400は、基板10上に配置された記憶領域60および回路領域70の第1層間絶縁層11、第2層間絶縁層12、第3層間絶縁層13中に、以下に述べる構成要素を形成して構成されている。
【0007】
記憶領域60には、抵抗変化素子40が形成されており、抵抗変化素子40は、第1下層金属配線20と第1上層金属配線23との間に形成され、下部電極41、抵抗変化層42および上部電極43とから構成される。また、抵抗変化素子40の側面には側壁保護層50が形成されている。また、抵抗変化素子40の下部電極41は下部プラグ30を介して第1下層金属配線20に接続し、上部電極43は第1上層金属配線23に直接接続している。
【0008】
一方、回路領域70には、第2下層金属配線21と、第1ビア31を介して第2下層金属配線21に接続する第2上層金属配線24とが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】国際公開第2008/149484号
【文献】国際公開第2012/073503号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一方、近年のLSIの微細化に伴い、金属配線の厚みや配線層間の絶縁膜の厚みを薄くすることが必要になってきており、下層金属配線と上層金属配線との配線層間の絶縁膜の厚みを従来の抵抗変化素子の厚みに下部プラグの厚みを加えた厚みよりも薄くする必要性が出てきている。
【0011】
しかしながら、微細化への対応として抵抗変化素子や下部プラグの厚みを薄くすると、不揮発性記憶装置としての動作特性に大きな影響を与えてしまう。
【0012】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、不揮発性記憶装置としての動作特性に影響を与えずに、微細LSIの金属配線層間に抵抗変化素子を備えた不揮発性記憶装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の不揮発性記憶装置の一態様は、基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置であって、前記記憶領域内には、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと、前記上部プラグに接続する第1上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、前記回路領域内には、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、前記抵抗変化素子および前記中層金属配線の上面同士および下面同士のうち、少なくともいずれか一方同士が前記基板表面に対して異なる高さの位置にある。
【0014】
また、本開示の不揮発性記憶装置の製造方法の一態様は、基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置の製造方法であって、前記記憶領域内に、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと、前記上部プラグに接続する第1上層金属配線を、下方よりこの順に形成し、前記回路領域内に、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を、下方よりこの順に形成する工程を備え、前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成され、前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成され、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にありかつ前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にある。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、不揮発性記憶装置としての動作特性に影響を与えずに、微細LSIの金属配線層間に抵抗変化素子を備えた不揮発性記憶装置およびその製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の概略構成の一例を示す断面図である。
図2A図2Aは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2B図2Bは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2C図2Cは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2D図2Dは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2E図2Eは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2F図2Fは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2G図2Gは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2H図2Hは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2I図2Iは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2J図2Jは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2K図2Kは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図2L図2Lは、第1の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図3図3は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の概略構成の一例を示す断面図である。
図4A図4Aは、第2の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図4B図4Bは、第2の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図4C図4Cは、第2の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図4D図4Dは、第2の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図4E図4Eは、第2の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図4F図4Fは、第2の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図5図5は、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の概略構成の一例を示す断面図である。
図6A図6Aは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6B図6Bは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6C図6Cは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6D図6Dは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6E図6Eは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6F図6Fは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6G図6Gは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図6H図6Hは、第3の実施形態の実施例に係る不揮発性記憶装置の製造方法を示す断面図である。
図7図7は、従来の不揮発性記憶装置の概略構成の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の実施形態のさらなる利益および/または利点は、明細書および図面から明らかにされる。ここで、利益および/または利点は、明細書および図面が開示する様々な実施形態および特徴によって個別に提供されてもよく、一または複数の利益および/または利点を得るためにすべてを備える必要はない。
【0018】
また、本開示の実施形態において示される「酸素不足度」とは、それぞれの金属酸化物において、その化学量論的な組成(複数の化学量論的組成が存在する場合は、そのなかで最も抵抗値が高い化学量論的組成)を有する酸化物を構成する酸素の量に対し、不足している酸素の割合をいう。換言すれば、化学量論的組成の金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べてより安定であり、かつ、より高い抵抗値を有している。
【0019】
例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、上述の定義による化学量論的な酸化物の組成はTaであるので、TaO2.5と表現できる。TaO2.5の酸素不足度は0%である。
【0020】
一例として、TaO1.5の組成の酸素不足型のタンタル酸化物の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5-1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰型の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本明細書中では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値と0と負の値とのいずれをも含むものとして説明する。
【0021】
以上より、酸素不足度の小さい酸化物は、化学量論的組成の酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい酸化物は酸化物を構成する金属により近いため抵抗値が低いことになる。つまり、酸素不足型とすることで金属酸化物は導電性を有するようになる。
【0022】
また、本開示の実施形態において示される「酸素含有率」は、金属酸化物を構成する総原子数に対する含有酸素原子数の比率で示される。例えば、Taの酸素含有率は、総原子数に占める酸素原子数の比率(O/(Ta+O))であり、71.4atm%となる。従って、酸素不足型のタンタル酸化物は、酸素含有率は0より大きく、71.4atm%より小さいことになる。
【0023】
また、第1金属酸化物を構成する金属と、第2金属酸化物を構成する金属とが同種である場合、酸素含有率は酸素不足度と対応関係にある。すなわち、第2金属酸化物の酸素含有率が第1金属酸化物の酸素含有率よりも大きいとき、第2金属酸化物の酸素不足度は第1金属酸化物の酸素不足度より小さい。
【0024】
この場合、酸素不足度の大小関係を酸素含有率で言い換えることができる。例えば、第1金属酸化物の酸素不足度が第2金属酸化物の酸素不足度より大きい場合、第1金属酸化物の酸素含有率は第2金属酸化物の酸素含有率より小さいことになる。
【0025】
また、本開示の実施形態において示される「絶縁体」は、一般的な定義に従う。すなわち、抵抗率が10Ωcm以上の材料で構成されるものを示す(非特許文献:「集積回路のための半導体工学」工業調査会(1992年)宇佐美晶、兼房慎二、前川隆雄、友景肇、井上森男)。これに対し、「導電体」は、抵抗率が10Ωcm未満の材料で構成されるものを示す。
【0026】
また、抵抗変化素子に対する初期ブレイクダウン動作の実行前において、第1金属酸化物と第2金属酸化物の抵抗率は、4桁から6桁以上異なっている。また、初期ブレイクダウン動作の実行後の抵抗変化素子の抵抗率は、例えば10Ωcm程度である。
【0027】
また、「標準電極電位(standard electrode potential)」は、一般的に酸化しやすさの一つの指標であり、この値が大きければ酸化されにくく、小さければ酸化されやすいことを意味する。
【0028】
なお、電極と酸素不足度の小さい低酸素不足度層(第2抵抗変化層)との標準電極電位の差が大きいほど、酸化還元反応が起こりやすくなり、抵抗変化が起こりやすくなる。また、標準電極電位の差が小さくなるにつれて、酸化還元反応が起こりにくくなり、抵抗変化が起こりにくくなることから、酸化のされやすさが抵抗変化現象のメカニズムに大きな役割を果たしているのではないかと推測される。
【0029】
(本開示の態様)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した、不揮発性記憶装置に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0030】
前述したように、不揮発性記憶装置において、下層金属配線と上層金属配線との配線層間の絶縁膜の厚みを従来の抵抗変化素子の厚みに下部プラグの厚みとを加えた厚みよりも薄くする必要性が出てきている。この要求に対応するためには、例えば図7に示す従来の不揮発性記憶装置400の場合、抵抗変化素子自体の厚みや下部プラグの厚みを薄くする必要がある。
【0031】
しかしながら、抵抗変化素子を構成する下部電極や抵抗変化層および上部電極の厚みを薄くすることは、抵抗変化素子のデバイス特性に大きな影響を与えるという課題が発生する。
【0032】
また、下部プラグを省略して下層金属配線上に抵抗変化素子を直接形成する場合を想定すると、抵抗変化素子をパターニングする際のドライエッチング工程等において、下層金属配線が腐食する等のプロセスダメージを与えてしまうという課題が発生する。
【0033】
さらに、微細LSIの量産プロセスに用いられている金属配線の厚みや配線層間の絶縁膜の厚みを変更することは、配線抵抗や配線容量等のパラメータを変化させてしまうため、LSIの回路動作そのものに大きな影響を与えるという課題がある。
【0034】
このような課題の少なくとも1つを解決するために、本開示の一態様に係る不揮発性記憶装置およびその製造方法は、以下のような特徴を備える。
【0035】
本開示の不揮発性記憶装置の一態様は、基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置であって、前記記憶領域内には、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に電気的に接続する第1上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、前記回路領域内には、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線が、下方よりこの順に形成されており、前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成された金属配線であり、前記抵抗変化素子および前記中層金属配線の上面同士および下面同士のうち、少なくともいずれか一方同士が前記基板表面に対して異なる高さの位置にある。
【0036】
また、本開示の不揮発性記憶装置の一態様において、前記抵抗変化素子と前記中層金属配線とは同一層間絶縁膜中に形成されており、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とは同一平面を成していてもよい。
【0037】
また、本開示の不揮発性記憶装置の一態様において、前記抵抗変化素子と前記中層金属配線とは同一層間絶縁膜中に形成されており、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とは同一平面にはなくてもよい。
【0038】
また、本開示の不揮発性記憶装置の一態様において、前記抵抗変化素子の上面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも低い位置にあってもよい。
【0039】
また、本開示の不揮発性記憶装置の一態様において、前記抵抗変化素子の下面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも高い位置にあってもよい。
【0040】
また、本開示の不揮発性記憶装置の一態様において、前記抵抗変化素子の上面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも高い位置にあってもよい。
【0041】
また、本開示の不揮発性記憶装置の一態様において、前記抵抗変化素子の上面は、前記第1上層金属配線と直接接していてもよい。
【0042】
また、本開示の不揮発性記憶装置の製造方法の一態様は、基板上に形成された記憶領域とその周辺の回路領域とを含む不揮発性記憶装置の製造方法であって、前記記憶領域内に、第1下層金属配線と、前記第1下層金属配線に接続する下部プラグと、前記下部プラグに接続する抵抗変化素子と、前記抵抗変化素子に電気的に接続する第1上層金属配線を、下方よりこの順に形成し、前記回路領域内に、第2下層金属配線と、前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと、前記第1ビアに接続する中層金属配線と、前記中層金属配線に接続する第2ビアと、前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を、下方よりこの順に形成する工程を備え、前記第1下層金属配線と前記第2下層金属配線とは同層に形成され、前記第1上層金属配線と前記第2上層金属配線とは同層に形成され、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にあるか、または、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にありかつ前記抵抗変化素子の下面と前記中層金属配線の下面とが前記基板表面に対して高さが異なる位置にある。
【0043】
また、本開示の不揮発性記憶装置の製造方法の一態様は、前記基板上に第1層間絶縁層を形成する工程と、前記第1層間絶縁層における前記記憶領域内に第1下層金属配線を形成すると同時に、前記第1層間絶縁層における前記回路領域内に第2下層金属配線を形成する工程と、前記第1下層金属配線および前記第2下層金属配線を含む前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、前記第2層間絶縁層における前記記憶領域内に前記第1下層金属配線と接続する下部プラグを形成する工程と、前記下部プラグを含む前記第2層間絶縁層上における前記記憶領域内に前記下部プラグと接続する抵抗変化素子を形成する工程と、前記抵抗変化素子を含む前記第2層間絶縁層上に第3層間絶縁層を形成する工程と、前記第2層間絶縁層および前記第3層間絶縁層における前記回路領域内に前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと前記第1ビアに接続する中層金属配線を形成する工程と、前記抵抗変化素子および前記中層金属配線を含む前記第3層間絶縁層上に第4層間絶縁層を形成する工程と、前記第4層間絶縁層における前記記憶領域内に前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと前記上部プラグに接続する第1上層金属配線を形成すると同時に、前記第4層間絶縁層における前記回路領域内に前記中層金属配線に接続する第2ビアと前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を形成する工程とを備え、前記抵抗変化素子の上面と前記中層金属配線の上面とは同一平面内にあり、前記抵抗変化素子の厚さは前記中層金属配線の厚さとは異なっていてもよい。
【0044】
また、本開示の不揮発性記憶装置の製造方法の別の一態様は、前記基板上に第1層間絶縁層を形成する工程と、前記第1層間絶縁層における前記記憶領域内に第1下層金属配線を形成すると同時に、前記第1層間絶縁層における前記回路領域内に第2下層金属配線を形成する工程と、前記第1下層金属配線および前記第2下層金属配線を含む前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、前記第2層間絶縁層における前記記憶領域内に前記第1下層金属配線と接続する下部プラグを形成する工程と、前記下部プラグを含む前記第2層間絶縁層上における前記記憶領域内に前記下部プラグと接続する抵抗変化素子を形成する工程と、前記抵抗変化素子を含む前記第2層間絶縁層上に第3層間絶縁層を形成する工程と、前記第2層間絶縁層および前記第3層間絶縁層における前記回路領域内に前記第2下層金属配線に接続する第1ビアと前記第1ビアに接続する中層金属配線を形成する工程と、前記抵抗変化素子および前記中層金属配線を含む前記第3層間絶縁層上に第4層間絶縁層を形成する工程と、前記第3層間絶縁層および前記第4層間絶縁層における前記記憶領域内に前記抵抗変化素子に接続する上部プラグと前記上部プラグに接続する第1上層金属配線を形成すると同時に、前記第4層間絶縁層における前記回路領域内に前記中層金属配線に接続する第2ビアと前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を形成する工程とを備え、前記抵抗変化素子の上面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも低い位置にあってもよい。
【0045】
また、本開示の不揮発性記憶装置の製造方法の別の一態様は、前記基板上に第1層間絶縁層を形成する工程と、前記第1層間絶縁層における前記記憶領域内に第1下層金属配線を形成すると同時に、前記第1層間絶縁層における前記回路領域内に第2下層金属配線を形成する工程と、前記第1下層金属配線および前記第2下層金属配線を含む前記第1層間絶縁層上に第2層間絶縁層を形成する工程と、前記第2層間絶縁層における前記回路領域内に前記第2下層金属配線と接続する第1ビアと前記第1ビアに接続する中層金属配線を形成する工程と、前記第1ビアおよび前記中層金属配線を含む前記第2層間絶縁層上に第3層間絶縁層を形成する工程と、前記第2層間絶縁層および前記第3層間絶縁層における前記記憶領域内に前記第1下層金属配線に接続する下部プラグを形成する工程と、前記下部プラグを含む前記第2層間絶縁層上における前記記憶領域内に前記下部プラグと接続する抵抗変化素子を形成する工程と、前記抵抗変化素子を含む前記第3層間絶縁層上に第4層間絶縁層を形成する工程と、前記第4層間絶縁層における前記記憶領域内に前記抵抗変化素子に接続する第1上層金属配線を形成すると同時に、前記第3層間絶縁層および前記第4層間絶縁層における前記回路領域内に前記中層金属配線に接続する第2ビアと前記第2ビアに接続する第2上層金属配線を形成する工程とを備え、前記抵抗変化素子の下面は、前記基板表面に対して前記中層金属配線の上面よりも高い位置にあってもよい。
【0046】
このような構成によれば、微細LSIの量産プロセスと親和性を有し、金属配線層間に抵抗変化素子を備える不揮発性記憶装置を実現でき、かつ抵抗変化素子の形成工程による金属配線へのプロセスダメージを抑制できる。
【0047】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。
【0048】
以下で説明する実施形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。そのため、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、あくまで一例であり、本開示を限定するものではない。
【0049】
また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状及び寸法比等については正確な表示ではない場合がある。また、製造方法においては、必要に応じて、各工程の順序等を変更でき、かつ、他の公知の工程を追加できる。
【0050】
(第1の実施形態)
以下、図1を参照しつつ、第1の実施形態の不揮発性記憶装置について説明する。
【0051】
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置100の概略構成の一例を示す断面図である。
【0052】
実用の不揮発性記憶装置では、記憶領域60には多数の抵抗変化素子40を備えるが、図面の簡略化のため、以降の図面では多数の抵抗変化素子40のうち1個のみ示している。また、理解しやすいように、構成の一部を拡大して示している。同様に、記憶領域60と隣接して回路領域70に設けられる多数の配線およびビアの接続構造のうち1個のみ示す。
【0053】
図1に示すように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置100は、抵抗変化素子40の上面が中層金属配線22の上面と同じ高さに形成されていることを特徴とする。
【0054】
図1に示すように、不揮発性記憶装置100は、記憶領域60および回路領域70から構成され、基板10と、基板10上に形成された第1層間絶縁層11と、記憶領域60の第1層間絶縁層11中に形成された第1下層金属配線20と、回路領域70の第1層間絶縁層11中に形成された第2下層金属配線21と、第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を含む第1層間絶縁層11上に形成された第2層間絶縁層12と、第2層間絶縁層12中に形成され、第1下層金属配線20に接続する下部プラグ30と、第2層間絶縁層12および下部プラグ30上に下部プラグ30に接続するように形成され、下部電極41と抵抗変化層42および上部電極43とから構成された抵抗変化素子40と、第2層間絶縁層12上に抵抗変化素子40の側面部分を覆うように形成された第3層間絶縁層13と、第2層間絶縁層12中に形成され、第2下層金属配線21に接続する第1ビア31と、第2層間絶縁層12および第3層間絶縁層13中に形成され、第1ビア31に接続する中層金属配線22と、抵抗変化素子40の上部電極43および中層金属配線22を含む第3層間絶縁層13上に形成された第4層間絶縁層14と、第4層間絶縁層14中に形成され、抵抗変化素子40の上部電極43に接続する上部プラグ32と、上部プラグ32に接続する第1上層金属配線23と、第4層間絶縁層14中に形成され、中層金属配線22に接続する第2ビア33と、第2ビア33に接続する第2上層金属配線24と、を備えている。ここで、抵抗変化素子40の上面と中層金属配線22の上面とは半導体基板表面を基準として同じ高さに形成されている。
【0055】
なお、基板10には、抵抗変化素子40に電気的に接続されたトランジスタ等の能動素子等が形成されていてもよい。また、記憶領域60には、抵抗変化素子、抵抗変化素子と接続されるプラグ、配線等の他、1T1R型の記憶装置では選択トランジスタ等も含まれていても構わない。さらに、回路領域70には、配線やビアの他、ビット線デコーダ、ワード線デコーダ、電源回路等が含まれていても構わない。
【0056】
第1下層金属配線20および第2下層金属配線21は、それらの表面(上面)が平坦で、第1層間絶縁層11の表面と実質的に同一平面をなすように形成されている。
【0057】
抵抗変化素子40は、例えば、電気的パルスの印加によって抵抗値が可逆的に変化する不揮発性記憶素子とすることができる。
【0058】
具体的に、抵抗変化素子40は、例えば、ReRAM(Resistive Random Access Memory)であってもよい。また、抵抗変化素子40は、その他、相変化記録を利用したPRAM(Phase-change Random Access Memory)、磁気抵抗効果を利用したMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、強誘電体を用いたFeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等でもよい。
【0059】
下部電極41は、例えば、厚さ10~30nmのタンタル窒化物で構成しても構わないが、他に、タングステン、ニッケル、タンタル、チタン、アルミニウム、窒化チタン等で構成されてもよい。
【0060】
抵抗変化層42の金属酸化物は遷移金属酸化物を用いてもよい。この場合、遷移金属酸化物に含まれる遷移金属としてタンタルを採用した場合、下部電極41には、タンタルと同等以下の標準電極電位を示す、抵抗変化が起こりにくい材料を用いてもよい。
【0061】
具体的には、下部電極41に、タンタル、タンタル窒化物、チタン、チタン窒化物、およびチタン-アルミニウム窒化物からなる群より選ばれる少なくとも1つの材料を用いることができる。このような材料からなる構成では、安定なメモリ特性を実現できる。
【0062】
下部電極41は、下部プラグ30と物理的に接続していてもよいし、下部プラグ30との間に導電体を介して接続されていてもよい。図1に示す例では、下部電極41は、下部プラグ30と物理的に接続している。
【0063】
抵抗変化層42は、下部電極41と上部電極43との間に設けられ、下部電極41と上部電極43との間に与えられる電気的信号に基づいて、高抵抗状態と、当該高抵抗状態より抵抗値が低い低抵抗状態との間を可逆的に変化する。
【0064】
図1に示す例では、抵抗変化層42は、下部電極41と上部電極43とに挟持されており、厚さ5nm以上50nm以下の酸素不足型の酸化タンタルからなる層で構成されている。なお、抵抗変化層42は、他にチタン酸化物、ニッケル酸化物、ハフニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物や、アルミニウム酸化物等で構成されてもよい。
【0065】
また、抵抗変化層42は、単層でもよいし酸素含有率が異なる複数の層から構成されていてもよい。複数の層で構成する場合は、第1金属酸化物で構成された第1抵抗変化層と、第1金属酸化物より酸素含有率が高い第2金属酸化物で構成された第2抵抗変化層とを含む、少なくとも2層を備えていてもよい。
【0066】
例えば、抵抗変化層42は、第1抵抗変化層と第2抵抗変化層との2層からなる積層構造となっていてもよい。ここで、第1抵抗変化層は、酸素不足型の酸化タンタル(TaO、0<x<2.5)で構成されていてもよい。第2抵抗変化層は、第1抵抗変化層より酸素不足度の小さい酸化タンタル(TaO、x<y)で構成されていてもよい。
【0067】
上記の例では、第1金属酸化物を構成する第1金属および第2金属酸化物を構成する第2金属が、いずれもタンタルである場合を説明したが、これに限るものではなく、その他の金属によって第1金属酸化物および第2金属酸化物を構成してもよい。また、異なる金属の金属酸化物で、第1金属酸化物および第2金属酸化物を構成してもよい。
【0068】
また、抵抗変化層42を構成する第1金属酸化物および第2金属酸化物は、それぞれ、遷移金属酸化物およびアルミニウム酸化物からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つを含んでもよい。例えば、抵抗変化層42を構成する第1金属酸化物および第2金属酸化物は、それぞれ、タンタル酸化物、ハフニウム酸化物、およびジルコニウム酸化物からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。
【0069】
第1金属および第2金属としては、タンタル以外にも、例えば、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、およびタングステン(W)からなる群より選ばれる少なくとも1つの遷移金属を用いても構わない。遷移金属は複数の酸化状態をとることができるため、異なる抵抗状態を酸化還元反応により実現することが可能である。さらに、第1金属および第2金属として、アルミニウム(Al)を用いてもよい。
【0070】
例えば、ハフニウム酸化物を用いる場合は、第1抵抗変化層を構成する第1金属酸化物の組成をHfOとし、第2抵抗変化層を構成する第2金属酸化物の組成をHfOとし、x<yの関係を充足しても構わない。さらに、x、yが0.9≦x≦1.6で、かつ、1.8<y<2.0を充足しても構わない。
【0071】
この場合において、ハフニウム酸化物を用いた高酸素不足度層(第1抵抗変化層)は、例えば、Hfターゲットを用い、アルゴンガスおよび酸素ガス中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で生成できる。高酸素不足度層の酸素含有率は、上述したタンタル酸化物の場合と同様、反応性スパッタ中のアルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板を加熱することは必須ではなく、基板温度は室温としてもよい。
【0072】
ハフニウム酸化物を用いた低酸素不足度層(第2抵抗変化層)は、例えば、高酸素不足度層の表面を、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマに暴露することにより形成できる。低酸素不足度層の厚みは、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマへの暴露時間により容易に調整することができる。第2抵抗変化層の厚みは、3~4nmとしてもよい。
【0073】
ジルコニウム酸化物を用いる場合は、第1抵抗変化層を構成する第1金属酸化物の組成をZrOとし、第2抵抗変化層を構成する第2金属酸化物の組成をZrOとすると、x<yの関係を充足しても構わない。さらに、x、yが0.9≦x≦1.4で、1.9<y<2.0を充足しても構わない。
【0074】
この場合において、ジルコニウム酸化物を用いた高酸素不足度層(第1抵抗変化層)は、例えば、Zrターゲットを用い、アルゴンガスおよび酸素ガス中でスパッタリングする反応性スパッタリング法で生成できる。高酸素不足度層の酸素含有率は、上述したタンタル酸化物の場合と同様、反応性スパッタ中のアルゴンガスに対する酸素ガスの流量比を変えることにより容易に調整することができる。なお、基板温度は特に加熱することなく室温とすることができる。
【0075】
ジルコニウム酸化物を用いた低酸素不足度層(第2抵抗変化層)は、例えば、高酸素不足度層の表層部を、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマに暴露することにより形成できる。低酸素不足度層の厚みは、アルゴンガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマへの暴露時間により容易に調整することができる。第2抵抗変化層の厚みは、1~5nmとしてもよい。
【0076】
なお、上述したハフニウム酸化物層およびジルコニウム酸化物層は、スパッタリング法に変えて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やALD(Atomic Layer Deposition)法を用いても形成できる。
【0077】
第2金属酸化物は、第1金属酸化物よりも酸素不足度が小さい(抵抗値が高い)材料を選択してもよい。このような構成とすることにより、下部電極と上部電極との間に印加された電圧は、第2抵抗変化層により多く分配されることになる。また、上部電極と第2抵抗変化層との界面近傍では、反応に寄与できる酸素も豊富に存在する。よって、上部電極と第2抵抗変化層との界面で、選択的に酸化還元反応が起こり、安定に抵抗変化を実現することができる。その結果、第2抵抗変化層中で酸化還元反応をより起こしやすくすることができる。
【0078】
また、第1金属酸化物を構成する第1金属と、第2金属酸化物を構成する第2金属とは、異なる金属が用いられてもよい。酸素不足型の金属酸化物を含む抵抗変化層における抵抗変化現象は酸素の移動によって発現するため、母体金属の種類が異なっても、少なくとも酸素の移動が可能であればよい。そのため、第1抵抗変化層を構成する第1金属と、第2抵抗変化層を構成する第2金属とは、異なる金属を用いた場合であっても、同様の効果を奏すると考えられる。
【0079】
第1金属と第2金属とで異なる金属を用いる場合、第2金属の標準電極電位は第1金属の標準電極電位より低くてもよい。抵抗変化現象は、抵抗が高い第2抵抗変化層を構成する第2金属酸化物中に形成された微小なフィラメント(導電パス)中で酸化還元反応が起こって、その抵抗値が変化し、発生すると考えられるからである。
【0080】
例えば、第1抵抗変化層に酸素不足型のタンタル酸化物を用い、第2抵抗変化層にチタン酸化物(TiO)を用いることにより、安定した抵抗変化動作が得られる。チタン(標準電極電位=-1.63eV)はタンタル(標準電極電位=-0.6eV)より標準電極電位が低い材料である。
【0081】
標準電極電位はその値が高いほど酸化しにくい特性を示すため、第2抵抗変化層に第1抵抗変化層より標準電極電位が低い金属の酸化物を配置することにより、酸化しやすい第2抵抗変化層中でより酸化還元反応が発生しやすくなる。
【0082】
その他の組み合わせとして、例えば、第1抵抗変化層に、酸素不足型のタンタル酸化物(TaO)を用い、第2抵抗変化層にアルミニウム酸化物(Al)を用いてもよい。
【0083】
高酸素不足度層および低酸素不足度層には、抵抗変化を発現する主たる抵抗変化層としてタンタル、ハフニウム、ジルコニウム等の酸化物層、あるいはアルミニウムの酸化物層が含まれていればよく、これ以外に例えば微量の他元素が含まれていても構わない。
【0084】
抵抗値の微調整等で、他元素を少量、意図的に含めることも可能であり、このような場合も本開示の範囲に含まれるものである。例えば、抵抗変化層に窒素を添加すれば、抵抗変化層の抵抗値が上がり、抵抗変化の反応性を改善できる。
【0085】
スパッタリング法を用いて抵抗変化層を形成した際に、残留ガスや真空容器壁からのガス放出等により意図しない微量の元素が抵抗変化層に混入することがあるが、このような微量の元素が抵抗変化層に混入した場合も当然、本開示の範囲に含まれる。
【0086】
なお、図1において、抵抗変化層42は必ずしも2層で構成されている必要はなく、3層以上の層から構成されてもよいし、逆に1層で構成されてもよい。
【0087】
上部電極43は下部電極41の上方に形成された電極である。上部電極43は抵抗変化層42の上に形成されている。上部電極43は、例えば厚さ5nm以上50nm以下のイリジウムや白金、パラジウム等の貴金属材料で構成されていてもよい。
【0088】
上部電極43を、例えばイリジウム、白金(Pt)、パラジウム(Pd)からなる群より選ばれる少なくとも1つの材料等とし、抵抗変化層42を構成する金属および下部電極41を、上部電極材料と比べて標準電極電位がより高い材料で構成してもよい。このような構成とすることにより、抵抗変化層42内において、上部電極43と抵抗変化層42との界面近傍において選択的に酸化還元反応が発生し、安定した抵抗変化現象が実現される。
【0089】
また、抵抗変化素子40において、記憶領域60の上部電極43と回路領域70の中層金属配線22は、各表面(上面)が平坦で、第3層間絶縁層13の表面と同一平面をなすように形成される。
【0090】
第1下層金属配線20、第2下層金属配線21、中層金属配線22、第1上層金属配線23および第2上層金属配線24は全て同じ厚みを有し、第1ビア31、上部プラグ32および第2ビア33は全て同じ厚み(高さ)を有していてもよい。
【0091】
図2A図2Lは、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置100の製造方法を示す断面図である。以下、図2A図2Lを参照しつつ、本実施形態にかかる不揮発性記憶装置の製造方法について説明する。
【0092】
図2Aは、記憶領域60の第1層間絶縁層11中に第1下層金属配線20と、回路領域70の第1層間絶縁層11中に第2下層金属配線21を形成する工程を示す図である。
【0093】
ここでは、能動素子等(図示しない)があらかじめ形成されている半導体から構成される基板10上に第1層間絶縁層11を形成し、ダマシン法によって第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を埋め込み形成する。
【0094】
具体的には、基板10上に、プラズマCVD等を用いてシリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第1層間絶縁層11を形成する。
【0095】
続いて、第1層間絶縁層11中に第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を埋め込み形成するための配線溝をフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより形成する。
【0096】
続いて、形成した配線溝内にタンタル窒化物(5nm以上40nm以下)およびタンタル(5nm以上40nm以下)で構成されるバリアメタル層と、配線材料の銅(50nm以上300nm以下)を、スパッタ法等を用いて堆積させる。そして、電解めっき法等により、銅をシードとして銅をさらに堆積させることで、配線溝を全て配線材料の銅とバリアメタル層とで充填する。
【0097】
続いて、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって、第1層間絶縁層11上および配線溝表面の余分な銅および余分なバリアメタル層を除去することにより、表面が平坦で第1層間絶縁層11の表面(上面)と同一平面をなすように第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を形成する。
【0098】
図2Bは、第1層間絶縁層11を覆うように第2層間絶縁層12を形成する工程を示す図である。
【0099】
ここでは、第1下層金属配線20および第2下層金属配線21が形成された第1層間絶縁層11の上に、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第2層間絶縁層12を形成する。第2層間絶縁層12の厚みは一例として30nm以上200nm以下とすればよい。
【0100】
図2Cは、下部プラグ30を形成する工程を示す図である。
【0101】
ここでは、第2層間絶縁層12を形成した後、第2層間絶縁層12中に、第1下層金属配線20に接続する下部プラグ30を形成する。
【0102】
具体的には、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、第2層間絶縁層12中に、第1下層金属配線20に接続する下部プラグ30を埋め込み形成するためのプラグホールを形成する。続いて、形成されたプラグホールを含む第2層間絶縁層12上に、タンタル窒化物(厚み:5nm以上40nm以下)およびタンタル(厚み:5nm以上40nm以下)で構成されるバリアメタル層と、プラグ材料の銅(厚み:50nm以上300nm以下)とをスパッタ法等を用いて堆積する。そして、電解めっき法等により、銅をさらに堆積させることで、プラグホールを全てバリアメタル層と銅とで充填する。充填する材料としては、銅の他に、タングステン等を採用しうる。
【0103】
続いて、CMP法によって、第2層間絶縁層12上およびプラグホール表面の余分な銅および余分なバリアメタル層を除去することにより、表面が平坦で第2層間絶縁層12の表面(上面)と同一平面をなす、下部プラグ30を形成する。
【0104】
図2Dは、第2層間絶縁層12上に、下部プラグ30に接続する抵抗変化素子40を形成する工程を示す図である。
【0105】
ここでは、下部プラグ30が形成された後、下部プラグ30を含む第2層間絶縁層12上に、下部電極材料層と抵抗変化材料層と上部電極材料層とをこの順に形成する。
【0106】
具体的には、下部プラグ30を含む第2層間絶縁層12上に、タンタル窒化物で構成される下部電極材料層(厚み:20nm)、抵抗変化材料層(厚み:20nm)およびイリジウムで構成される上部電極材料層(厚み:40nm)と、を順にスパッタ法等を用いて堆積する。ここで、抵抗変化材料層は、金属タンタルをターゲットに用いて、酸素を含むアルゴン雰囲気中でスパッタする反応性スパッタ法により堆積される。
【0107】
次に、上部電極材料層を形成した後、抵抗変化素子40をパターニングするためのレジストマスクを、フォトリソグラフィーを用いて上部電極材料層上に形成する。
【0108】
レジストマスクを形成した後、レジストマスクを用いて、ドライエッチング法を用いて、上部電極材料層、抵抗変化材料層および下部電極材料層を順にパターニングして、その後、アッシング処理によりレジストマスクを除去することで、抵抗変化素子40を形成する。
【0109】
ここで、抵抗変化素子40を、下部プラグ30を介して第1下層金属配線20に接続するように形成することにより、抵抗変化素子40を、第1下層金属配線20の表面から下部プラグ30の高さ(第2層間絶縁層12の厚みに相当)分だけ離して配置することができる。そのため、抵抗変化素子40をパターニング形成する際のドライエッチング時に用いる塩素ガスやフッ素ガス、アッシング時に用いる酸素ガス等によって、第1下層金属配線20の表面が腐食や変質することを防止できる。
【0110】
図2Eは、抵抗変化素子40を覆うように第3層間絶縁層13を形成する工程を示す図である。
【0111】
ここでは、抵抗変化素子40および第2層間絶縁層12上に、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第3層間絶縁層13を形成する。第3層間絶縁層13の厚みは、100nm以上500nm以下としうる。
【0112】
プラズマCVD等により第3層間絶縁層13の堆積が行われた直後は、抵抗変化素子40が形成される記憶領域60と抵抗変化素子が形成されない回路領域70とで、第3層間絶縁層13の上面の高さが異なる。そのため、CMP法を用いて、記憶領域60と回路領域70の第3層間絶縁層13の上面の高さを揃えて平坦化する。CMP後の抵抗変化素子40上の第3層間絶縁層13の厚みは、10nm以上100nm以下としうる。
【0113】
図2F図2Hは、第1ビア31および中層金属配線22を形成する工程を示す図である。
【0114】
図2Fに示すように、第3層間絶縁層13を平坦化した後、回路領域70の第3層間絶縁層13および第2層間絶縁層12中に、第2下層金属配線21に接続するように第1ビア31を埋め込み形成するための第1ビアホール31aを形成する。さらに、第3層間絶縁層13および第2層間絶縁層12中に、第1ビアホール31aに接続するように、中層金属配線22を埋め込み形成するための配線溝22aを形成する。
【0115】
具体的には、第3層間絶縁層13の上面を平坦化した後に、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、第1ビアホール31aを形成する。さらに、もう一度、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、配線溝22aを形成する。
【0116】
なお、一般的には、1回目のフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、第1ビア31用の第1ビアホール31aを先に形成し、2回目のフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、中層金属配線22用の配線溝22aを形成するが、配線溝22aを先に形成した後に第1ビアホール31aを形成しても構わない。
【0117】
次に、図2Gに示すように、第1ビアホール31aと配線溝22aとを形成した後、第1ビアホール31aおよび配線溝22a内にタンタル窒化物(厚み:5nm以上40nm以下)およびタンタル(厚み:5nm以上40nm以下)で構成されるバリアメタル層と配線材料の銅(厚み:50nm以上300nm以下)とをスパッタ法等を用いて堆積する。そして、電解めっき法等により、銅をさらに堆積させることで、配線材料とバリアメタル層25を形成し、第1ビアホール31a並びに配線溝22aを全て配線材料の銅とバリアメタル層とで充填する。
【0118】
続いて、図2Hに示すように、CMP法によって堆積した銅のうち表面の余分な銅と余分なバリアメタル層を除去し、さらにオーバーポリッシュによって、抵抗変化素子40の上部電極43の表面(上面)が露出するところまで第3層間絶縁層13と中層金属配線22の表面をCMP研磨し、第3層間絶縁層13の表面と上部電極43の表面および中層金属配線22の表面とが同一平面をなすように仕上げる。
【0119】
図2Iは、第3層間絶縁層13上に、第4層間絶縁層14を形成する工程を示す図である。
【0120】
ここでは、抵抗変化素子40の上部電極43と中層金属配線22および第3層間絶縁層13上に、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第4層間絶縁層14を形成する。第4層間絶縁層14の厚みは、100nm以上300nm以下としうる。
【0121】
図2J図2Lは、上部プラグ32と第2ビア33および第1上層金属配線23と第2上層金属配線24とを形成する工程を示す図である。
【0122】
図2Jに示すように、第4層間絶縁層14を形成した後、記憶領域60の第4層間絶縁層14中に、抵抗変化素子40の上部電極43に接続する上部プラグ32を埋め込み形成するための上部プラグホール32aを形成する。また、回路領域70の第4層間絶縁層14中に、中層金属配線22に接続する第2ビア33を埋め込み形成するための第2ビアホール33aを形成する。
【0123】
図2Iにおいて、第3層間絶縁層13の表面と上部電極43の表面および中層金属配線22の表面とが同一平面をなすように平坦化することにより、上部プラグホール32aと第2ビアホール33aの深さが同じになるため、上部プラグホール32aと第2ビアホール33aをドライエッチング法によって形成する工程が容易になるとともに、両ホールを同時に形成できる。
【0124】
さらに、第4層間絶縁層14中に、上部プラグホール32aに接続するように、第1上層金属配線23を埋め込み形成するための配線溝23aと、第2ビアホール33aに接続するように、第2上層金属配線24を埋め込み形成するための配線溝24aとを形成する。
【0125】
具体的には、第4層間絶縁層14を形成した後に、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、上部プラグホール32aと第2ビアホール33aを同時に形成する。さらに、もう一度、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、配線溝23aおよび24aを同時に形成する。
【0126】
なお、一般的には、1回目のフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、上部プラグホール32aと第2ビアホール33aを形成し、2回目のフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、配線溝23aおよび24aを形成するが、配線溝23aおよび24aを先に形成しても構わない。
【0127】
次に、図2Kに示すように、上部プラグホール32aと第2ビアホール33aおよび配線溝23aと24aとを形成した後、上部プラグホール32aと第2ビアホール33aおよび配線溝23aと24a内にタンタル窒化物(厚み:5nm以上40nm以下)およびタンタル(厚み:5nm以上40nm以下)で構成されるバリアメタル層と配線材料の銅(厚み:50nm以上300nm以下)とをスパッタ法等を用いて堆積する。そして、電解めっき法等により、銅をさらに堆積させることで配線材料とバリアメタル層25を形成し、上部プラグホール32aと第2ビアホール33a並びに配線溝23aと24aを全て配線材料の銅とバリアメタル層とで充填する。
【0128】
続いて、図2Lに示すように、CMP法によって堆積した銅のうち表面の余分な銅と余分なバリアメタル層を除去して、表面が平坦で、第4層間絶縁層14の表面と同一平面をなす、第1上層金属配線23および第2上層金属配線24を形成する。
【0129】
以上のように、本実施形態の不揮発性記憶装置とその製造方法によれば、既存の微細LSIの量産プロセスと親和性を有し、金属配線層間に抵抗変化素子を備える不揮発性記憶装置を実現できる。
【0130】
また、かつ従来の半導体製造プロセスに抵抗変化素子の形成工程が追加されても、抵抗変化素子の形成工程に起因する金属配線へのプロセスダメージの発生を抑制することができる。
【0131】
(第2の実施形態)
以下、図3を参照しつつ、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
【0132】
図3は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置200の概略構成の一例を示す断面図である。
【0133】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、記憶領域60の抵抗変化素子40を1個のみと、回路領域70の同層の配線およびビアの接続構造を1個のみ示す。
【0134】
また、図4A図4Fは、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置200の製造方法を示す断面図である。以下、図3および図4A図4Fを参照しつつ、本実施形態にかかる不揮発性記憶装置およびその製造方法について説明する。
【0135】
図3に示すように、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置200は、抵抗変化素子40の上面が中層金属配線22の上面よりも低い位置に形成されていることを特徴とする。
【0136】
以降、図4A図4Fを参照して、本実施形態の製造方法を説明するが、第1の実施形態と同一の工程については、一部説明を省略する。
【0137】
図4Aは、基板10上の第1層間絶縁層11中に第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を形成し、第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を含む第1層間絶縁層11上に第2層間絶縁層12を形成し、記憶領域60の第2層間絶縁層12中に、第1下層金属配線20に接続する下部プラグ30を形成する工程を示す図である。
【0138】
具体的には、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、第2層間絶縁層12中に、第1下層金属配線20に接続する下部プラグ30を埋め込み形成するためのプラグホールを形成する。
【0139】
続いて、形成されたプラグホールを含む第2層間絶縁層12上に、タンタル窒化物およびタンタルで構成されるバリアメタル層と、プラグ材料の銅とをスパッタ法等を用いて堆積させる。そして、電解めっき法等により、銅をさらに堆積させることで、プラグホールを全てバリアメタル層と銅とで充填する。続いて、CMP法によって、第2層間絶縁層12上およびプラグホール表面の余分な銅および余分なバリアメタル層を除去することにより、表面が平坦で第2層間絶縁層12の表面と同一平面をなす、下部プラグ30を形成する。
【0140】
図4Bは、第2層間絶縁層12上に、下部プラグ30に接続する抵抗変化素子40を形成する工程を示す図である。
【0141】
抵抗変化素子40の具体的な形成工程については第1の実施形態の図2Dで説明した内容と同一であるため、ここでの詳細説明は省略する。
【0142】
なお、本実施形態においても、抵抗変化素子40を、下部プラグ30を介して第1下層金属配線20に接続するように形成することにより、抵抗変化素子40を、第1下層金属配線20の表面から下部プラグ30の高さ(第2層間絶縁層12の厚みに相当)分だけ離して配置することができる。そのため、抵抗変化素子40をパターニング形成する際のドライエッチング時に用いる塩素ガスやフッ素ガス、アッシング時に用いる酸素ガス等によって、第1下層金属配線20の表面が腐食や変質することを防止できる。
【0143】
図4Cは、抵抗変化素子40を覆うように第3層間絶縁層13を形成する工程を示す図である。
【0144】
ここでは、抵抗変化素子40を含む第2層間絶縁層12上に、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第3層間絶縁層13を形成する。第3層間絶縁層13の厚みは、100nm以上500nm以下としうる。
【0145】
プラズマCVD等により、第3層間絶縁層13の堆積が行われた直後は、抵抗変化素子40が形成される記憶領域60と抵抗変化素子が形成されない回路領域70とで、第3層間絶縁層13の上面の高さが異なる。そのため、CMP法を用いて、記憶領域60と回路領域70の第3層間絶縁層13の上面の高さを揃えて平坦化する。CMP後の抵抗変化素子40上の第3層間絶縁層13の厚みは、10nm以上100nm以下としうる。
【0146】
図4Dは、第1ビア31および中層金属配線22を形成する工程を示す図である。
【0147】
第3層間絶縁層13を平坦化した後、回路領域70の第3層間絶縁層13および第2層間絶縁層12中に第2下層金属配線21に接続するように第1ビア31を形成し、第3層間絶縁層13中に第1ビア31に接続するように中層金属配線22を形成する。
【0148】
具体的には、第3層間絶縁層13の上面を平坦化した後に、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、ビアホールを形成する。さらに、もう一度、フォトリソグラフィーおよびドライエッチングを用いて、配線溝を形成する。次に、ビアホールおよび配線溝内にタンタル窒化物およびタンタルで構成されるバリアメタル層と配線材料の銅とをスパッタ法等を用いて堆積する。そして、電解めっき法等により、銅をさらに堆積させることでビアホール並びに配線溝を全て配線材料の銅とバリアメタル層とで充填する。続いて、CMP法によって堆積した銅のうち表面の余分な銅と余分なバリアメタル層を除去して、第1ビア31を形成するとともに、表面が平坦で、かつ第3層間絶縁層13の表面と同一平面をなす中層金属配線22を形成する。
【0149】
ここで、本実施形態では、第1の実施形態の製造方法とは異なり、CMP法を用いて第3層間絶縁層13上の余分な銅と余分なバリアメタル層を除去する際に、抵抗変化素子40の上部電極43を露出させる必要がない。したがって、CMP工程が容易になり、かつ抵抗変化素子40の上部電極43は第3層間絶縁層13に被覆されたままで、CMP時に研磨パッドやスラリーに触れないため、上部電極43表面が削れたり、腐食や変質したりすることがない。
【0150】
なお、本実施形態においても、一般的には、1回目のフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、第1ビア31用のビアホールを先に形成し、2回目のフォトリソグラフィーおよびドライエッチングにより、中層金属配線22用の配線溝を形成するが、配線溝を先に形成した後にビアホールを形成しても構わない。
【0151】
図4Eは、第3層間絶縁層13上に、第4層間絶縁層14を形成する工程を示す図である。
【0152】
ここでは、中層金属配線22を含む第3層間絶縁層13上に、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第4層間絶縁層14を形成する。第4層間絶縁層14の厚みは、100nm以上300nm以下としうる。
【0153】
図4Fは、上部プラグ32と第2ビア33および第1上層金属配線23と第2上層金属配線24とを形成する工程を示す図である。
【0154】
図4Eに示すように、第4層間絶縁層14を形成した後、記憶領域60の第4層間絶縁層14と第3層間絶縁層13中に、抵抗変化素子40の上部電極43に接続する上部プラグ32と、第4層間絶縁層14中に、上部プラグ32に接続する第1上層金属配線23を形成する。
【0155】
また、回路領域70の第4層間絶縁層14中に、中層金属配線22に接続する第2ビア33と、第2ビア33に接続する第2上層金属配線24を形成する。
【0156】
ここで、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、抵抗変化素子40の上面が中層金属配線22の上面よりも低い位置に配置される。そのため、上部プラグ32の高さが第2ビア33の高さよりも高くなるが、上部プラグ32用の上部プラグホールおよび第2ビア33用の第2ビアホールを形成する際のドライエッチング工程において、第4層間絶縁層14のエッチングレートは中層金属配線22を構成する配線材料である銅のエッチングレートに比べて速い(エッチングレート選択比が高い)ため、中層金属配線22の上面はほとんどエッチングされず、上部プラグホールと第2ビアホールとを同時に形成することができる。
【0157】
(第3の実施形態)
以下、図5を参照しつつ、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置について説明する。
【0158】
図5は、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置300の概略構成の一例を示す断面図である。
【0159】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、記憶領域60の抵抗変化素子40を1個のみと、回路領域70の同層の配線およびビアの接続構造を1個のみ示す。
【0160】
また、図6A図6Hは、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置300の製造方法を示す断面図である。以下、図5および図6A図6Hを参照しつつ、本実施形態にかかる不揮発性記憶装置およびその製造方法について説明する。
【0161】
図5に示すように、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置300は、抵抗変化素子40の下面が中層金属配線22の上面よりも高い位置に形成されること、抵抗変化素子40の側壁部分にシリコン窒化物等の絶縁体で構成される側壁保護層50を備えること、および、抵抗変化素子40の上部電極43の上面が第1上層金属配線23の下面と直接、接続することを特徴とする。
【0162】
以降、図6A図6Hを参照して、本実施形態の製造方法を説明するが、第1の実施形態と同一の工程については、一部説明を省略する。
【0163】
図6Aは、基板10上の第1層間絶縁層11中に第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を形成し、第1下層金属配線20および第2下層金属配線21を含む第1層間絶縁層11上に第2層間絶縁層12を形成し、回路領域70の第2層間絶縁層12中に、第2下層金属配線21に接続する第1ビア31と第1ビア31に接続する中層金属配線22を形成する工程を示す図である。
【0164】
図6Bは、中層金属配線22を含む第2層間絶縁層12上に第3層間絶縁層13を形成する工程を示す図である。
【0165】
ここでは、第2層間絶縁層12上に、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第3層間絶縁層13を形成する。第3層間絶縁層13の厚みは、10nm以上100nm以下としうる。
【0166】
図6Cは、記憶領域60の第2層間絶縁層12と第3層間絶縁層13中に、第1下層金属配線20に接続する下部プラグ30を形成する工程を示す図である。
【0167】
本実施形態では、抵抗変化素子40の下面が中層金属配線22の上面よりも高い位置になるように抵抗変化素子40を形成するために、第1の実施形態や第2の実施形態に比べて、下部プラグ30の高さを高くする必要がある。そのため、下部プラグ30のアスペクト比が高くなり、下部プラグ30をバリアメタル層とプラグ材料で充填することが難しくなる可能性がある。
【0168】
しかしながら、その場合には、平面視において、下部プラグ30の上面が後に形成する抵抗変化素子40の下面からはみ出さない程度に下部プラグ30の直径を大きくし、間口を広げることでバリアメタル層とプラグ材料の充填を容易にすれば良い。
【0169】
図6Dは、第3層間絶縁層13上に、下部プラグ30に接続する抵抗変化素子40を形成する工程を示す図である。
【0170】
本実施形態では、断面視において、抵抗変化素子40は、先に形成した下部プラグ30によって、中層金属配線22の上面から第3層間絶縁層13の厚み分だけ上方に離れて配置することになるため、抵抗変化素子をパターニング形成する際のドライエッチング時に用いる塩素ガスやフッ素ガス、アッシング時に用いる酸素ガス等によって、中層金属配線22が腐食や変質することを防止できる。
【0171】
図6Eは、抵抗変化素子40の表面を覆うように保護膜50aを形成する工程を示す図である。
【0172】
ここでは、プラズマCVD等を用いて、例えばシリコン窒化物からなる保護膜50aを堆積する。保護膜50aの厚みは30nm以上100nm以下としうる。なお、保護膜50aにはシリコン窒化物以外に、絶縁性を有し、かつ酸素バリア性を有する酸化物、窒化物、または酸窒化物(例えば、アルミニウム酸化物またはチタン酸化物等)を用いてもよい。
【0173】
図6Fは、側壁保護層50を形成する工程を示す図である。
【0174】
ここでは、保護膜50aを堆積した後、エッチバック法により、抵抗変化素子40の側壁部分以外(上部電極43上および第3層間絶縁層13上)の保護膜50aを除去し、側壁保護層50を形成する。
【0175】
図6Gは、抵抗変化素子40および側壁保護層50を含む第3層間絶縁層13上に、第4層間絶縁層14を形成する工程を示す図である。
【0176】
ここでは、プラズマCVD等を用いて、シリコン酸化物やシリコン窒化物、シリコン酸窒化物、シリコン酸炭化物あるいはシリコン炭窒化物等で構成される第4層間絶縁層14を堆積し、CMP法を用いて、記憶領域60と回路領域70の第4層間絶縁層14の上面の高さを揃えて平坦化する。CMP後の抵抗変化素子40上の第4層間絶縁層14の厚みは、50nm以上200nm以下としうる。
【0177】
ここで、シリコン窒化物で構成される側壁保護層50は、水分および酸素などのバリア膜として機能する。そのため、抵抗変化素子40の側壁部分を側壁保護層50で被覆することによって、第4層間絶縁層14を堆積する工程において、原料ガスおよび酸素プラズマ等により、抵抗変化素子40の抵抗変化層42が側壁部分から酸化されること、およびその後の熱処理により、第4層間絶縁層14に含まれる酸素が抵抗変化層42へ拡散することを防止できる。
【0178】
図6Hは、第2ビア33と第1上層金属配線23および第2上層金属配線24とを形成する工程を示す図である。
【0179】
ここでは、第4層間絶縁層14を形成した後、記憶領域60の第4層間絶縁層14中に、抵抗変化素子40の上部電極43に接続する第1上層金属配線23と、同時に、回路領域70の第3層間絶縁層13と第4層間絶縁層14中に、中層金属配線22に接続する第2ビア33と、第4層間絶縁層14中に第2ビア33に接続する第2上層金属配線24を形成する。
【0180】
ここで、抵抗変化素子40の側壁部分を側壁保護層50で被覆することによって、第1上層金属配線23を埋め込み形成する配線溝が深く掘れ込んだ場合にも、抵抗変化層42の側面部分には側壁保護層50が存在するため、抵抗変化層42が配線溝内に露出することを防止できるため、第1上層金属配線23が抵抗変化層42の側面に直接接することを防止できる。この結果、上部電極43を介さずに第1上層金属配線23から抵抗変化層42にリーク電流が流れることを防止できる。
【0181】
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0182】
本開示に係る不揮発性記憶装置は、抵抗変化素子のデバイス特性やLSIの回路動作に影響を与えずに、かつ、製造プロセスでのダメージを与えずに、金属配線層間に抵抗変化素子を備えることができるものであり、特に、微細LSIに抵抗変化素子を搭載する際に有用である。
【符号の説明】
【0183】
10 基板
11 第1層間絶縁層
12 第2層間絶縁層
13 第3層間絶縁層
14 第4層間絶縁層
20 第1下層金属配線
21 第2下層金属配線
22 中層金属配線
22a、23a、24a 配線溝
23 第1上層金属配線
24 第2上層金属配線
25 配線材料とバリアメタル層
30 下部プラグ
31 第1ビア
31a 第1ビアホール
32 上部プラグ
32a 上部プラグホール
33 第2ビア
33a 第2ビアホール
40 抵抗変化素子
41 下部電極
42 抵抗変化層
43 上部電極
50 側壁保護層
50a 保護膜
60 記憶領域
70 回路領域
100 第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置
200 第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置
300 第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置
400 従来の不揮発性記憶装置
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図2L
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図7