(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】量子ビットを較正、測定及び制御する装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 7/38 20060101AFI20240627BHJP
H03K 3/38 20060101ALI20240627BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20240627BHJP
B82Y 10/00 20110101ALI20240627BHJP
【FI】
G06F7/38 610
H03K3/38
H10N60/10 Z
G06F7/38 510
B82Y10/00
(21)【出願番号】P 2021539510
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(86)【国際出願番号】 US2020016250
(87)【国際公開番号】W WO2020160496
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-10-19
(31)【優先権主張番号】201910107886.2
(32)【優先日】2019-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511050697
【氏名又は名称】アリババ グループ ホウルディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファ,シュウ
【審査官】豊田 真弓
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0292587(US,A1)
【文献】特表2018-533106(JP,A)
【文献】特開2012-064622(JP,A)
【文献】特表2019-502216(JP,A)
【文献】特表2005-513600(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0137428(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0240034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 7/38
H03K 3/38
H10N 60/10
B82Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ビット測定及び制御システムであって、
1つ以上の量子ビットを処理するように構成された回路を含む量子ビット処理部と、
前記量子ビット処理部に隣接して配置された調整可能装置であって、前記量子ビット処理部と同一環境内に存在する調整可能装置と、
前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置に選択的に接続された制御信号生成器であって、前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置に選択的に送信される量子ビット制御信号を生成するように構成された制御信号生成器を備える、システム。
【請求項2】
前記1つ以上の量子ビットが超伝導ジョセフソン接合に基づいている、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項3】
前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置の第1の側に配置された第1のモード選択装置を更に備える、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項4】
前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置の第2の側に配置された第2のモード選択装置を更に備える、請求項3に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項5】
前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置が同一チップに配置されている、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項6】
前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置が同一印刷回路基板(PCB)に配置されている、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項7】
前記量子ビット処理部、前記調整可能装置、前記第1のモード選択装置及び前記第2のモード選択装置が前記同一チップに配置されている、
請求項4に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項8】
前記量子ビット処理部、前記調整可能装置、前記第1のモード選択装置及び前記第2のモード選択装置が前記同一印刷回路基板(PCB)に配置されている、
請求項4に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項9】
前記量子ビット制御信号がマイクロ波信号又はレーザー信号を含む、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項10】
前記調整可能装置が前記量子ビット制御信号を受信して検出信号を生成するように構成されており、前記検出信号が
前記制御信号生成器にフィードバックされ、
前記制御信号生成器が少なくとも前記検出信号に従
い前記量子ビット制御信号を調整するように構成されている、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項11】
前記制御信号生成器が、位相、強度、又は周波数を含むパラメータのうち少なくとも1つを調整することにより前記量子ビット制御信号を調整するように構成されている、
請求項10に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項12】
第1のモード選択装置及び第2のモード選択装置が、複数の制御信号モードの選択及び制御信号経路の選択を各々実行するように構成されている、
請求項10に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項13】
前記制御信号経路の選択が反射モード及び
経由モードを備える、
請求項12に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項14】
前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置が、液体ヘリウム温度ゾーンを備える低温環境に配置されている、請求項1に記載の量子ビット測定及び制御システム。
【請求項15】
量子ビット制御信号を受信した後で、1つ以上の量子ビットを処理するように構成された回路を含む量子ビット処理部と、
前記量子ビット制御信号を受信した後で、前記量子ビット制御信号の更なる調整に用いる検出信号を生成するように構成された調整可能装置と
を備え、前記量子ビット処理部及び前記調整可能装置が同一基板に配置されている、量子ビット較正装置。
【請求項16】
前記1つ以上の量子ビットが超伝導ジョセフソン接合に基づいている、
請求項15に記載の量子ビット較正装置。
【請求項17】
前記量子ビット処理部の一方の側に位置し、且つ前記同一基板に配置された第1のモード選択装置を更に備える、
請求項15に記載の量子ビット較正装置。
【請求項18】
前記第1のモード選択装置に対して前記量子ビット処理部の他方の側に位置する第2のモード選択装置を更に備え、前記第2のモード選択装置が前記同一基板に配置されている、
請求項17に記載の量子ビット較正装置。
【請求項19】
前記量子ビット制御信号がマイクロ波信号又はレーザー信号を含む、
請求項15に記載の量子ビット較正装置。
【請求項20】
前記量子ビット制御信号が位相、強度、及び周波数を含むパラメータのうち少なくとも1つにより調整される、
請求項15に記載の量子ビット較正装置。
【請求項21】
前記基板が液体ヘリウム温度ゾーンを備える低温環境に配置されている、
請求項15に記載の量子ビット較正装置。
【請求項22】
前記基板が単一チップ又は印刷回路基板(PCB)である、
請求項15に記載の量子ビット較正装置。
【請求項23】
調整可能装置で量子ビット制御信号を受信することと、
前記調整可能装置により前記量子ビット制御信号を検出して検出信号を取得することを備え、
前記量子ビット制御信号が、前記検出信号と前記量子ビット制御信号の比較に基づいて調整される、量子ビット測定及び制御方法。
【請求項24】
前記量子ビット制御信号がマイクロ波信号又はレーザー信号を含む、
請求項23に記載の量子ビット測定及び制御方法。
【請求項25】
前記量子ビット制御信号が、以下のパラメータ、すなわち位相、強度、及び周波数のうち少なくとも1つにより調整される、
請求項23に記載の量子ビット測定及び制御方法。
【請求項26】
前記検出信号が、反射モード又は
経由モードを介して制御装置に送信される、
請求項23に記載の量子ビット測定及び制御方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
[1] 本開示は、2019年2月2日出願の中国特許出願第201910107886.2号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全文を参照により本明細書に引用する。
【0002】
背景
[2] 量子コンピューティング及び量子情報は量子力学の原理に基づいて計算及び情報処理を実行する。量子計算は、量子物理学、コンピュータサイエンス、情報科学等、複数の領域に密接に関係する学際的主題である。最近の20年間に量子計算は急速に発達した。量子コンピュータで動作する量子アルゴリズムは、因数分解及び非構造化探索等、各種の分野で適用され、古典的コンピュータで実行される古典的アルゴリズムと比較してはるかに優れた性能を示している。その結果、量子計算は、従来方式の計算の性能を上回るものと期待されている。しかし、量子計算は、情報単位(例えば量子ビット)の精度を維持するための較正、測定及び制御を必要とし、これは時に困難な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
[3] 本開示は、量子ビット測定及び制御システムであって、1つ以上の量子ビットを処理するように構成された回路を含む量子ビット処理部と、量子ビット処理部に隣接して配置された調整可能装置であって、量子ビット処理部と同一環境内に存在する調整可能装置と、量子ビット処理部及び調整可能装置に選択的に接続された制御信号生成器であって、量子ビット処理部及び調整可能装置に選択的に送信される量子ビット制御信号を生成するように構成された制御信号生成器と、を備える、システムを提供する。
【0004】
[4] 本開示のいくつかの実施形態によれば、1つ以上の量子ビットは、超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0005】
[5] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット測定及び制御システムは更に、量子ビット処理部及び調整可能装置の第1の側であって、制御信号生成器が位置する側である第1の側に配置された第1のモード選択装置を含んでいる。
【0006】
[6] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット測定及び制御システムは更に、量子ビット処理部及び調整可能装置の第2の側に配置された第2のモード選択装置を含んでいる。
【0007】
[7] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット処理部及び調整可能装置は同一チップに配置されている。
【0008】
[8] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット処理部及び調整可能装置は、同一印刷回路基板(PCB)に配置されている。
【0009】
[9] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット処理部、調整可能装置、第1のモード選択装置及び第2のモード選択装置は同一チップに配置されている。
【0010】
[10] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット処理部、調整可能装置、第1のモード選択装置及び第2のモード選択装置は同一印刷回路基板(PCB)に配置されている。
【0011】
[11] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット測定及び制御システムは、制御信号生成器と量子ビット処理部との間に配置された少なくとも1つのレギュレータを更に含んでいる。
【0012】
[12] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット制御信号はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいる。
【0013】
[13] 本開示のいくつかの実施形態によれば、調整可能装置は量子ビット制御信号を受信して検出信号を生成し、検出信号は制御装置にフィードバックされ、制御装置は、少なくとも検出信号に従い信号生成器を制御して量子ビット制御信号を調整する。
【0014】
[14] 本開示のいくつかの実施形態によれば、制御信号生成器による量子ビット制御信号の調整は、位相、強度、及び周波数を含むパラメータのうち少なくとも1つを調整することを含んでいる。
【0015】
[15] 本開示のいくつかの実施形態によれば、第1のモード選択装置及び第2のモード選択装置は、複数の制御信号モードの選択及び制御信号経路の選択を各々実行するように構成されている。
【0016】
[16] 本開示のいくつかの実施形態によれば、制御信号経路モードの選択は、反射モード及び透過モードを含んでいる。
【0017】
[17] 本開示のいくつかの実施形態によれば、(例えばチップ上又はPCB上の)量子ビット処理部及び調整可能装置は、低温環境に配置され、当該低温環境は液体ヘリウム温度ゾーンを含んでいる。
【0018】
[18] 本開示のいくつかの実施形態によれば、量子ビット制御信号を受信した後で、1つ以上の量子ビットを処理するように構成された回路を含む量子ビット処理部と、量子ビット制御信号を受信した後で、量子ビット制御信号の更なる調整に用いる検出信号を生成するように構成された調整可能装置とを含み、量子ビット処理部及び調整可能装置が同一基板(例えば単一チップ又はPCB)に配置されている、量子ビット較正装置を提供する。
【0019】
[19] いくつかの実施形態によれば、1つ以上の量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0020】
[20] いくつかの実施形態によれば、量子ビット較正装置は、量子ビット処理部の一方の側に位置し、且つ同一基板に配置された第1のモード選択装置を更に備える。
【0021】
[21] いくつかの実施形態によれば、量子ビット較正装置は、第1のモード選択装置に対して量子ビット処理部の他方の側に位置する第2のモード選択装置を更に備え、第2のモード選択装置は同一基板に配置されている。
【0022】
[22] いくつかの実施形態によれば、量子ビット制御信号はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいる。
【0023】
[23] いくつかの実施形態によれば、量子ビット制御信号は、位相、強度、及び周波数を含むパラメータのうち少なくとも1つにより調整される。
【0024】
[24] いくつかの実施形態によれば、基板は液体ヘリウム温度ゾーンを備える低温環境に配置されている。
【0025】
[25] いくつかの実施形態によれば、基板は単一チップ又は印刷回路基板(PCB)である。
【0026】
[26] いくつかの実施形態によれば、調整可能装置で量子ビット制御信号を受信することと、調整可能装置により量子ビット制御信号を検出して検出信号を取得することを含み、量子ビット制御信号は検出信号と量子ビット制御信号の比較に基づいて調整される、量子ビット測定及び制御方法を提供する。
【0027】
[27] いくつかの実施形態によれば、量子ビット制御信号はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいる。
【0028】
[28] いくつかの実施形態によれば、量子ビット制御信号は、以下のパラメータ、すなわち位相、強度、及び周波数のうち少なくとも1つにより調整される。
【0029】
[29] いくつかの実施形態によれば、検出信号は、反射モード又は透過モードを介して制御装置に送信される。
【0030】
図面の簡単な説明
[30] 本明細書に記述する図面は、本開示に対する理解が深まるよう、本開示の一部を構成すべく提供される。本開示の例示的な実施形態及び記述は本開示の説明に用いるものであり、本開示を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】[31]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット測定及び制御システムの模式図である。
【
図2】[32]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図3】[33]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図4】[34]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図5】[35]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図6】[36]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図7】[37]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図8】[38]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図9】[39]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置の模式図である。
【
図10】[40]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット測定及び制御システムの模式図である。
【
図11】[41]本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット測定及び制御方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
[42] 図面と合わせて読むことにより、上述の概要及び以下の特定の実施形態の詳細な記述に対する理解が深まるであろう。いくつかの実施形態の機能ブロックの模式図は必ずしもハードウェア回路間の区分を示す訳ではない。従って、例えば、1つ以上の機能ブロック(例えばプロセッサ又はメモリ)は、単体のハードウェア(例えば信号プロセッサ又はランダムアクセスメモリ、ハードディスク等)又は複数のハードウェアに実装することができる。同様に、プログラムはスタンドアロンプログラムであっても、オペレーティングシステムのルーティンに組み込まれていても、又はインストールされたソフトウェアパッケージ機能等であってよい。いくつかの実施形態は図示する構成に及びツールに限定されないことを理解されたい。
【0033】
[43] 本開示で用いる、単数形で記述された、又は「a」或いは「an」から始まる要素又はステップは、明示的に除外を宣言しない限り複数の要素又はステップを除外しないと解釈すべきである。また、「一実施形態(one embodiment)」への言及は、記述されている特徴が同様に組み込まれている追加的な実施形態の存在を除外すると解釈されることを意図していない。特定の属性を有する1つの要素又は複数の要素を「含む(include)」、「備える(comprise)」又は「有する(have)」は、これとは反対のことが明記されない限り、その属性を有しない追加的な要素を含んでいてよい。
【0034】
[44] 量子コンピュータの基本的特徴の一つは、適合される情報単位が古典的バイナリビットではなく、量子ビット(例えば量子ビット又はqビットとも称する)であることである。いくつかの実施形態においては、量子ビットは電子等の粒子、又は素励起状態である他の準粒子を含むことができる。例えば、電子に関して、スピンアップ状態(例えば軸に対して時計回りの電子スピン)は1を表し、スピンダウン状態(例えば軸に対して反時計回りの電子スピン)は0を表すことができる。更に、スピンがアップとダウンの両方である量子状態を重ね合わせ状態と呼ぶ。重ね合わせ状態にある少数の粒子が大量の情報を保持することができる。例えば、重ね合わせ状態にある100個の粒子は、1~2100桁を表すことができる。従って、量子コンピュータは、マイクロ波、レーザパルス、又は他の適当な方法を用いて粒子を操作(例えば励起)して、量子ビットによる動作及び計算を実行することができる。
【0035】
[45] 現在、量子計算における量子ビットの実装は、超伝導ジョセフソン接合、イオントラップ、磁気共振、トポロジカル量子等に基づくことができる。更に、量子ビットの共通且つ主な実装方式の一つが、ジョセフソン接合に基づく超伝導量子計算を含んでいる。超伝導量子ビットチップは、超電導を維持すべく低温環境(例えば典型的に、液体ヘリウムを保つ温度ゾーン)に保つ必要があり、低温環境は通常、希釈冷凍機により実現される。いくつかの実施形態において、入力制御信号は同軸ケーブルを通して超伝導量子ビットチップに送信される。しかし、
図1に示すように、入力処理は広い温度範囲にわたる長距離を辿る場合がある。また、多くのフィルタ、減衰器、又はアダプタが含まれる場合がある。これらの比較的複雑な環境、特に低温環境は制御信号に大きな影響を及ぼし得、このことは更に、超伝導量子ビットチップに入力される制御信号が予想されたものと大幅に異なることを引き起こし得る。その結果、超伝導量子ビットの精密な制御には限界があり、量子コンピュータの実際の実装が更に困難になる。
【0036】
[46] 本開示は、精度を向上させるべく量子ビットチップの測定及び制御をサポートする較正装置及び対応する更生方法を提供することにより、上述の問題を解決する。
【0037】
[47]
図2に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置200の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部22及び調整可能装置23が単一チップ25に配置されている。単一チップ25は、量子ビット処理部22及び調整可能装置23を設けるために処理された単一のウェーハを含んでいてよい。
【0038】
[48] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部22及び調整可能装置23は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。
【0039】
[49] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部22は、1つ以上の量子ビットを含む1つのチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部22は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号21、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)をチップ上で受信するように構成された回路、及び量子ビット信号を増幅してチップ上で出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。量子ビット処理部22は、入力信号21を受信した後で1つ以上の量子ビットの量子状態を変換するように構成されている。出力量子ビット信号は、量子ビットの測定を実行することにより得られる。量子ビット処理部22は、量子コンピュータプロセッサであっても、又は量子コンピュータプロセッサに対応する複数のモジュールを含むモジュラー量子計算チップであってもよい。いくつかの例において、調整可能装置23は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号21はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0040】
[50] いくつかの実施形態において、入力信号21は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号21は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号21はマイクロ波信号又はレーザー信号を含むことができる。当業者は、任意の適当な制御信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い、入力信号21の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号21を制御(例えば解析又は調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10に示すような制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール、又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103であってよい)に同時に送信されてよい。
【0041】
[51] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0042】
[52] いくつかの実施形態において、単一チップ25は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号21は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号21の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号21が量子ビット処理部22に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0043】
[53] いくつかの実施形態において、入力信号21は、チップ25に到達した後で、量子ビットを制御すべく量子ビット処理部22に送信されても、又は較正のため調整可能装置23に送信されてもよい。入力信号21を量子ビット処理部22又は調整可能装置23のどちらに送信するかの選択が、量子ビットを(例えば調整可能装置23で)較正するための、又は量子ビットを(例えば量子ビット処理部22で)制御するための入力信号21を受信する前に、例えば自動切換装置によりなされ得るが、これに限定されないことを当業者は認識するであろう。入力信号21が調整可能装置23に送信された場合、検出信号24が(例えば調整可能装置23から)取得される。量子ビット処理部22及び調整可能装置23は互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置23に到達した入力信号21は、量子ビット処理部22に到達した入力信号21とほぼ同様又は同一となり得る。
【0044】
[54] いくつかの実施形態において、検出信号24は更に制御装置(例えば、量子ビットをより精密に制御すべく、チップ25上の量子ビット処理部22に送信される入力信号21の制御又は調整に用いる情報を提供するための、
図10の制御信号生成器105)にフィードバックされる。検出信号24のフィードバック経路は異なるモード、例えば「経由(through)」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号24のパラメータと入力信号21の初期パラメータの比較により、実際に調整可能装置23に到達している信号と入力信号21の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号21に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は、位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0045】
[55] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号24の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号21の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号24と入力信号21との位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号24の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号21の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0046】
[56] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応関係により得られる。
【0047】
[57] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部22に最後に到達した入力信号21は、所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0048】
[58]
図3に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置300の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部32及び調整可能装置33が単一の印刷回路基板(PCB)35に配置されている。
図3に示すようなフレーム構造は
図2に示す構造よりも製造工程が簡単な場合がある。
【0049】
[59] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部32及び調整可能装置33は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。
【0050】
[60] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部32は、1つ以上の量子ビットを含むPCB(又はPCB上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部32は量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号31、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置33は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号21はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0051】
[61] いくつかの実施形態において、入力信号31は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号31は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号31はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い入力信号31の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号31を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10に示すような制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール、又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103であってよい)に同時に送信されてよい。
【0052】
[62] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0053】
[63] いくつかの実施形態において、単一PCB35は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号31は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号31の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号31が量子ビット処理部32に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0054】
[64] いくつかの実施形態において、入力信号31は、PCB35に到達した後で、量子ビットを制御すべく量子ビット処理部32に送信されても、又は較正のため調整可能装置33に送信されてもよい。入力信号31を量子ビット処理部32又は調整可能装置33のどちらに送信するかの選択が、量子ビットを(例えば調整可能装置33で)較正するための、又は量子ビットを(例えば量子ビット処理部32で)制御するための入力信号31を受信する前に、例えば自動切換装置によりなされてよいが、これに限定されないことを当業者は認識するであろう。入力信号31が調整可能装置33に送信された場合、検出信号34が(例えば調整可能装置33から)取得される。量子ビット処理部32及び調整可能装置33は互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置33に到達した入力信号31は、量子ビット処理部32に到達する入力信号31とほぼ同様又は同一となり得る。
【0055】
[65] いくつかの実施形態において、検出信号34は更に制御装置(例えば、量子ビットをより精密に制御すべくPCB35上の量子ビット処理部32に送信される入力信号31の制御又は調整に用いる情報を提供するための、
図10の制御信号生成器105)にフィードバックされる。検出信号34のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号34のパラメータと入力信号31の初期パラメータの比較により、実際に調整可能装置33に到達した信号と入力信号31の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号31に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0056】
[66] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号34の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号31の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号34と入力信号31の位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号34の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号31の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0057】
[67] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応関係により得られる。
【0058】
[68] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部32に最後に到達した入力信号31は、所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0059】
[69]
図4に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置400の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部42及び調整可能装置43は単一チップ45に配置されている。単一チップ45は、量子ビット処理部42及び調整可能装置43を設けるために処理された単一のウェーハを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、量子ビット較正装置400は更に、モード選択装置46を含んでいる。モード選択装置46は、遠隔制御(例えば電気信号に基づく、但しこれに限定されない)を介して入力信号41の経路を変えることができる。いくつかの例において、入力信号41を量子ビット処理部42に送信するモードが選択された場合、量子ビットが制御される。他のいくつかの例において、入力信号41を調整可能装置43に送信するモードが選択された場合、(例えば入力信号41の)較正を実行することができる。いくつかの実施形態において、モード選択装置46は、入力信号41側に(例えば量子ビット処理部42又は単一チップ45上の調整可能装置43に入力信号41が到達する前に)配置されている。
【0060】
[70] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部42及び調整可能装置43は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。いくつかの実施形態において、モード選択装置46と量子ビット処理部42を接続している導線及び回路は、モード選択装置46と調整可能装置43の間の導線及び回路とほぼ同様のマイクロ波反応特性を有している。
【0061】
[71] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部42は、1つ以上の量子ビットを含む1つのチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部22は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号41、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置43は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号41はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。本開示で議論したようないくつかの例において、調整可能装置43で較正を実行することにより、量子ビット処理部42に到達した制御対象量子ビット信号(例えば
図10に関して議論したように、検出信号から検出されたフィードバック情報の観点から、量子ビット信号生成器105により制御及び調整された量子ビット信号111)は要件をよりよく満たすことができる。
【0062】
[72] いくつかの実施形態において、入力信号41は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号41は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号41はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い、入力信号41の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号41を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10の、制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール、又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103、又は制御装置103であってよい)に同時に送信されてよい。
【0063】
[73] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0064】
[74] いくつかの実施形態において、単一チップ45は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号41は、室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号41の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号41が量子ビット処理部42に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0065】
[75] いくつかの実施形態において、入力信号41は、量子ビットを制御すべくモード選択装置46を介して量子ビット処理部42に入力されても、又は較正のため調整可能装置43に入力されてもよい。入力信号41が調整可能装置43に入力された場合、検出信号44が得られる。量子ビット処理部42及び調整可能装置43が互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置43に到達した入力信号41は、量子ビット処理部42に到達した入力信号41とほぼ同様又は同一となり得る。
【0066】
[76] いくつかの実施形態において、検出信号44は更に制御装置(例えば量子ビットをより精密に制御すべくチップ45上の量子ビット処理部42に送信される入力信号41の制御又は調整に用いる情報を提供するための、
図10の制御信号生成器105)にフィードバックされる。検出信号44のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号44のパラメータと入力信号41の初期パラメータの比較により、調整可能装置43に実際に到達した信号と入力信号41の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号41に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0067】
[77] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号44の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号41の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号44と入力信号41との位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号44の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号41の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0068】
[78] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応付けにより得られる。
【0069】
[79] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部42に最後に到達する入力信号41は所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0070】
[80]
図5に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置500の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部52及び調整可能装置53が単一チップ55に配置されている。単一チップは、量子ビット処理部52及び調整可能装置53(例えば調整可能なマイクロ波標準レスポンダ装置53)を設けるために処理された単一のウェーハを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、量子ビット較正装置500は更に、モード選択装置54を含んでいる。モード選択装置54は、遠隔制御(例えば電気信号に基づく、但しこれに限定されない)を介して入力信号51の経路を変えることができる。量子ビット処理部52に入力するモードが選択された場合、量子ビットが制御される。調整可能装置53に入力するモードが選択された場合、較正ステップを実行することができる。いくつかの実施形態において、モード選択装置54は、検出信号56側に配置されている。
【0071】
[81] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部52及び調整可能装置53は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。
【0072】
[82] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部52は、1つ以上の量子ビットを含むチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部22は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号51、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置53は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号51はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0073】
[83] いくつかの実施形態において、入力信号51は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号51は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号51はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な制御信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い入力信号51の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号51を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく制御装置(例えば制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール、又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103であってよい、
図10)に同時に送信されてよい。
【0074】
[84] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0075】
[85] いくつかの実施形態において、単一チップ55は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号51は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号51の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号51が量子ビット処理部52に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータは対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0076】
[86] いくつかの実施形態において、入力信号51は、量子ビットを制御すべく量子ビット処理部52に入力されても、又は較正のため調整可能装置53に入力されてもよい。入力信号51が調整可能装置53に入力された場合、検出信号56が得られる。量子ビット処理部52及び調整可能装置53が互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能なマイクロ波標準レスポンダ装置53に到達した入力信号51は量子ビット処理部52に到達した入力信号51とほぼ同様又は同一であってよい。
【0077】
[87] いくつかの実施形態において、検出信号56は更にモード選択装置54を介して制御装置(例えば量子ビットをより精密に制御すべくチップ55上の量子ビット処理部52に送信される入力信号51の制御又は調整に用いる情報を提供する)にフィードバックされる。検出信号56のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号56のパラメータと入力信号51の初期パラメータの比較により、調整可能装置53に実際に到達した信号と入力信号51の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号51に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0078】
[88] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号56の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号51の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号56と入力信号51の位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号56の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号51の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0079】
[89] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応付けにより得られる。
【0080】
[90] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部52に最後に到達する入力信号51は所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0081】
[91]
図6に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置600の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部62及び調整可能装置63が単一チップ67に配置されている。単一チップ67は、量子ビット処理部62及び調整可能装置63を設けるために処理された単一のウェーハを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、量子ビット較正装置600は更に、(例えば入力信号側に配置された)第1のモード選択装置61及び(例えば検出信号側に配置された)第2のモード選択装置64を含んでいる。モード選択装置61又は64は、遠隔制御(電気信号に基づく、但しこれに限定されない)を介して入力信号65の経路を変えることができる。いくつかの例において、入力信号65を量子ビット処理部62に送信するモードが選択された場合、量子ビットが制御される。他のいくつかの例において、入力信号65を調整可能装置63に送信するモードが選択された場合、(例えば入力信号65の)較正を実行することができる。
図6に示すいくつかの実施形態において、第1のモード選択装置61は単一チップ67の一方の側に配置され、第2のモード選択装置64は単一チップ67の他方の側に配置されている。
【0082】
[92] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部62及び調整可能装置63は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。いくつかの実施形態において、第1のモード選択装置61及び量子ビット処理部62を接続している導線及び回路は、第1のモード選択装置61と調整可能装置63の間の導線及び回路とほぼ同様のマイクロ波反応特性を有している。
【0083】
[93] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部62は、1つ以上の量子ビットを含むチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部22は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号65、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置63は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号61はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0084】
[94] いくつかの実施形態において、入力信号65は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号65は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号65はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い入力信号65の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号65を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10の、制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール、又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103)に同時に送信されてよい。
【0085】
[95] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0086】
[96] いくつかの実施形態において、単一チップ67は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号65は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号65の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号65が量子ビット処理部62に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0087】
[97] いくつかの実施形態において、入力信号65は、量子ビットを制御すべく第1のモード選択装置61を介して量子ビット処理部62に入力されても、又は較正のため調整可能装置63に入力されてもよい。入力信号65が調整可能装置63に入力された場合、検出信号66が得られる。量子ビット処理部62及び調整可能装置63が互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置63に到達した入力信号65は量子ビット処理部62に到達した入力信号65とほぼ同様又は同一となり得る。
【0088】
[98] いくつかの実施形態において、検出信号66は更に第2のモード選択装置64を介して制御装置(例えば量子ビットをより精密に制御すべくチップ67上の量子ビット処理部62に送信される入力信号65の制御又は調整に用いる情報を提供する)にフィードバックされる。検出信号66のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号66のパラメータと入力信号65の初期パラメータの比較により、調整可能装置63に実際に到達した信号と入力信号65の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号65に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0089】
[99] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号66の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号65の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号66と入力信号65との位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号66の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号65の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0090】
[100] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応付けにより得られる。
【0091】
[101] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部62に最後に到達する入力信号65は所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0092】
[102]
図7に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置700の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部72及び調整可能装置73が単一のPCB77に配置されている。量子ビット較正装置700は更に、第1のモード選択装置71及び第2のモード選択装置74を含んでいてよい。モード選択装置71又は74は、遠隔制御(例えば電気信号に基づく、但しこれに限定されない)を介して入力信号75の経路を変えることができる。いくつかの例において、入力信号75を量子ビット処理部72に送信するモードが選択された場合、量子ビットが制御される。他のいくつかの例において、入力信号75を調整可能装置73に送信するモードが選択された場合、(例えば入力信号75の)較正を実行することができる。
図7に示すいくつかの実施形態において、第1のモード選択装置71は単一回路基板77の一方の側(例えばPCB77に入力する入力信号75の前)に配置され、第2のモード選択装置74は単一回路基板77の他方の側(例えばPCB77から検出信号76を得た後)に配置されている。
【0093】
[103] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部72及び調整可能装置73は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。いくつかの実施形態において、第1のモード選択装置71及び量子ビット処理部72を接続している導線及び回路は、第1のモード選択装置71と調整可能装置73の間の導線及び回路とほぼ同様のマイクロ波反応特性を有している。
【0094】
[104] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部72は、1つ以上の量子ビットを含むチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部72は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号75、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置73は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号21はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0095】
[105] いくつかの実施形態において、入力信号75は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号75は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号75はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い入力信号75の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号75を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10の、制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103)に同時に送信されてよい。
【0096】
[106] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0097】
[107] いくつかの実施形態において、PCB77は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号75は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号75の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号75が量子ビット処理部72に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0098】
[108] いくつかの実施形態において、入力信号75は、量子ビットを制御すべく第1のモード選択装置71を介して量子ビット処理部72に入力されても、又は較正のため調整可能装置73に入力されてもよい。入力信号75が調整可能装置73に入力された場合、検出信号76が得られる。量子ビット処理部72及び調整可能装置73が互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置73に到達した入力信号75は量子ビット処理部72に到達した入力信号75とほぼ同様又は同一となり得る。
【0099】
[109] いくつかの実施形態において、検出信号76は更に第2のモード選択装置74を介して制御装置(例えば量子ビットをより精密に制御すべくPCB77上の量子ビット処理部72に送信される入力信号75の制御又は調整に用いる情報を提供する)にフィードバックされる。検出信号76のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号76のパラメータと入力信号75の初期パラメータの比較により、調整可能装置73に実際に到達した信号と入力信号75の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号75に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0100】
[110] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号76の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号75の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号76と入力信号75との位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号76の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号75の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0101】
[111] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応付けにより得られる。
【0102】
[112] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部72に最後に到達する入力信号75は所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0103】
[113]
図8に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置800の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部82及び調整可能装置83は単一チップ87に配置されている。単一チップ87は、量子ビット処理部82及び調整可能装置83を設けるために処理された単一のウェーハを含んでいてよい。量子ビット較正装置800は更に、第1のモード選択装置81及び第2のモード選択装置84を含んでいてよい。モード選択装置81又は84は、遠隔制御(例えば電気信号に基づく、但しこれに限定されない)を介して入力信号85の経路を変えることができる。いくつかの例において、入力信号85を量子ビット処理部82に送信するモードが選択された場合、量子ビットが制御される。他のいくつかの例において、入力信号85を調整可能装置83に送信するモードが選択された場合、(例えば入力信号85の)較正を実行することができる。いくつかの実施形態において、第1のモード選択装置81及び第2のモード選択装置84は、
図8に示すように量子ビット処理部82及び調整可能装置83と同一チップ87に配置されている。更に、第1のモード選択装置81は量子ビット処理部82及び調整可能装置83の一方の側(例えば量子ビット処理部82又は調整可能装置83に入力する入力信号85の前)に配置され、第2のモード選択装置84は量子ビット処理部82及び調整可能装置83の他方の側(例えば調整可能装置83から検出信号86を得た後)に配置されている。
【0104】
[114] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部82及び調整可能装置83は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。いくつかの実施形態において、第1のモード選択装置81及び量子ビット処理部82を接続している導線及び回路は、第1のモード選択装置81と調整可能装置83の間の導線及び回路とほぼ同様のマイクロ波反応特性を有している。
【0105】
[115] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部82は、1つ以上の量子ビットを含むチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部82は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号85、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置83は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号21はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0106】
[116] いくつかの実施形態において、入力信号85は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号85は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号85はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い入力信号85の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号85を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10の、制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール、又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103)に同時に送信されてよい。
【0107】
[117] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0108】
[118] いくつかの実施形態において、単一チップ87は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号85は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号85の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号85が量子ビット処理部82に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0109】
[119] いくつかの実施形態において、入力信号85は、量子ビットを制御すべく第1のモード選択装置81を介して量子ビット処理部82に入力されても、又は較正のため調整可能装置83に入力されてもよい。入力信号81が調整可能装置83に入力された場合、検出信号86が得られる。量子ビット処理部82及び調整可能装置83が互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置83に到達した入力信号85は量子ビット処理部82に到達した入力信号85とほぼ同様又は同一となり得る。
【0110】
[120] いくつかの実施形態において、検出信号86は更に第2のモード選択装置84を介して制御装置(例えば量子ビットをより精密に制御すべくチップ87上の量子ビット処理部82に送信される入力信号85の制御又は調整に用いる情報を提供する)にフィードバックされる。検出信号86のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号86のパラメータと入力信号85の初期パラメータの比較により、調整可能装置83に実際に到達した信号と入力信号85の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号85に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0111】
[121] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号86の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号85の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号86と入力信号85との位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号86の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号85の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0112】
[122] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応付けにより得られる。
【0113】
[123] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部82に最後に到達する入力信号85は所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0114】
[124]
図9に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット較正装置900の模式図を示す。いくつかの実施形態において、量子ビット処理部92及び調整可能装置93が単一のPCB97に配置されている。量子ビット較正装置900は更に、第1のモード選択装置91及び第2のモード選択装置94を含んでいてよい。モード選択装置91又は94は、遠隔制御(例えば電気信号に基づく、但しこれに限定されない)を介して入力信号95の経路を変えることができる。いくつかの例において、入力信号95を量子ビット処理部92に送信するモードが選択された場合、量子ビットが制御される。他のいくつかの例において、入力信号95を調整可能装置93に送信するモードが選択された場合、(例えば入力信号95の)較正を実行することができる。いくつかの実施形態において、第1のモード選択装置91及び第2のモード選択装置94は、
図9に示すように量子ビット処理部92及び調整可能装置93と同一のPCB97に配置されている。更に、第1のモード選択装置91は量子ビット処理部92及び調整可能装置93の一方の側(例えば量子ビット処理部92又は調整可能装置93に入力する入力信号95の前)に配置され、第2のモード選択装置94は量子ビット処理部92及び調整可能装置93の他方の側(例えば調整可能装置93から検出信号96を得た後)に配置されている。
【0115】
[125] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部92及び調整可能装置93は、同一環境(例えば同一温度範囲内)に置かれるように、なるべく近接して置かれている。いくつかの実施形態において、第1のモード選択装置91及び量子ビット処理部92を接続している導線及び回路は、第1のモード選択装置91と調整可能装置93の間の導線及び回路とほぼ同様のマイクロ波反応特性を有している。
【0116】
[126] いくつかの実施形態において、量子ビット処理部92は、1つ以上の量子ビットを含むチップ(又はチップ上の単位モジュール)を含んでいる。例えば、量子ビット処理部82は、量子ビット(例えば小規模量子機械システム)、共振器、入力信号(例えば入力信号95、量子ビット制御信号と呼ばれることもある)を受信するように構成された回路、及び信号を増幅して出力するように構成された対応回路を含んでいてよい。いくつかの例において、調整可能装置93は、制御可能スイッチ及び複数の較正用標準装置を含んでいる。いくつかの実施形態において、較正用標準装置は、Open/Short/FixedLoad/Thru等の標準を使用し、入力信号21はこれらの異なる標準に基づいて較正されてよい。
【0117】
[127] いくつかの実施形態において、入力信号95は同軸ケーブルを用いて送信される。入力信号95は、量子ビットを制御する信号を含んでいてよく、制御信号生成器により生成することができる。例えば、入力信号95はマイクロ波信号又はレーザー信号を含んでいてよい。当業者は、任意の適当な信号生成器を選択して、量子ビットに対する所望の制御に従い入力信号95の位相、強度、及び周波数等のパラメータを選択することができる。選択されたパラメータは、入力信号95を制御(例えば調整)して量子ビットのより精密な制御を行うべく、制御装置(例えば
図10の、制御信号生成器105、制御信号生成器105のモジュール又は制御信号生成器105に通信可能に結合された制御装置103)に同時に送信されてよい。
【0118】
[128] いくつかの実施形態において、量子ビットは超伝導ジョセフソン接合に基づいている。
【0119】
[129] いくつかの実施形態において、PCB97は使用中、低温環境に置かれる。低温環境は100mK~4.2K(Kはケルヴィンを表す)の温度範囲を含んでいてよい。低温環境は、例えば希釈冷凍機により実現できるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、入力信号95は室温環境(又は比較的高温の領域)から低温環境に送信された際に歪み得る。例えば、入力信号95の位相、強度、及び周波数等のパラメータは変化し得る。その結果、入力信号95が量子ビット処理部92に送信された場合、実際の位相、強度、周波数及び他のパラメータが、対応する所定値から逸脱するため、量子ビットに対する制御処理がより困難、より不正確、又は制御不能にさえなる。
【0120】
[130] いくつかの実施形態において、入力信号95は、量子ビットを制御すべく第1のモード選択装置91を介して量子ビット処理部92に入力されても、又は較正のため調整可能装置93に入力されてもよい。入力信号91が調整可能装置93に入力された場合、検出信号96が得られる。量子ビット処理部92及び調整可能装置93が互いに近接して(例えば同一環境に)置かれているため、調整可能装置93に到達した入力信号95は量子ビット処理部92に到達した入力信号95とほぼ同様又は同一となり得る。
【0121】
[131] いくつかの実施形態において、検出信号96は更に第2のモード選択装置94を介して制御装置(例えば量子ビットをより精密に制御すべくPCB97上の量子ビット処理部92に送信される入力信号95の制御又は調整に用いる情報を提供する)にフィードバックされる。検出信号96のフィードバック経路は、「経由」、又は「反射」を介した送信、或いはこれらの組み合わせを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、制御装置は、検出信号96の関連パラメータ及び入力信号95の初期パラメータに従い、調整可能装置93に実際に到達した信号と入力信号95の偏差の程度を取得する。得られた偏差の程度を用いて、制御信号生成器(例えば
図10の制御信号生成器105)により生成された入力信号95に対して相応の調整を行うことができる。いくつかの例において、調整は位相、強度、又は周波数等、上述のパラメータのうち任意の1つ以上に対する調整を含んでいてよい。
【0122】
[132] いくつかの実施形態において、上述の処理は、偏差の程度が所定の収束範囲に達するまで複数回反復されてよい。いくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号96の任意のパラメータ、例えば位相、強度、又は周波数と、入力信号95の対応するパラメータの偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号96と入力信号95との位相、強度、及び周波数の各々の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。更に他のいくつかの例において、所定の収束範囲は、検出信号96の位相、強度、及び周波数の1つ以上の設定済み関数値と、入力信号95の対応する設定済み関数値の偏差が所定値を下回ることを含んでいてよい。
【0123】
[133] 偏差の程度と必要な調整との関係は、理論計算により、又は実際の使用環境により、或いはこれらの組み合わせにより得られた経験的対応付けにより得られる。
【0124】
[134] いくつかの実施形態において、上述の設定により、量子ビット処理部92に最後に到達した入力信号95は所定のパラメータ値(例えば位相、強度、又は周波数等を含む)を満たすことができるため、量子ビットをより精密に制御することができる。
【0125】
[135]
図10に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット測定及び制御システム1000の模式図を示す。いくつかの実施形態において、環境101は上述のように低温環境である。装置102は、上述の実施形態について議論したように、量子ビット較正装置(例えば量子ビット較正装置200、300、400、500、600、700、800、又は900)を含んでいてよい。例えば、装置102は量子ビット処理部1021(例えば上述のような量子ビット処理部22、32、42、52、62、72、82、又は92)及び調整可能装置1022(例えば上述のような調整可能装置23、33、43、53、63、73、83、又は93)を含んでいる。
【0126】
[136]
図10に示すいくつかの実施形態において、量子ビット測定及び制御システム1000は更に、制御装置103、装置102に結合された(例えば入力信号111を生成する、及び検出信号110を測定又は評価する)制御信号生成器105、及び任意選択的なコンピュータ104を含んでいる。いくつかの実施形態において、制御装置103はまたコンピュータを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、制御装置103、コンピュータ104、及び制御信号生成器105は互いに通信可能に接続されている。検出信号110は、最初に制御信号生成器105に送信され、次いで制御装置103及びコンピュータ104により処理されてよい。制御装置103を用いて自動更生システムを制御することができる。信号を生成及び較正する処理のいくつかの実施形態は本開示で上に述べた通りである。
【0127】
[137] いくつかの実施形態において、制御信号生成器105により生成された入力信号111は、低温環境101に置かれた装置102に送信される。入力信号111は、量子ビット処理のため量子ビット処理部1021に、又は量子ビット較正のため調整可能装置1022に送信されてよい。装置102から得られたフィードバック信号(例えば本開示において議論したような検出信号110)が制御信号生成器105にフィードバックされてよい。制御信号生成器105(又は制御信号生成器105に結合された制御装置103)は、検出信号110を入力信号111と(例えば制御信号生成器105により生成され、且つ量子ビット較正装置102に送信される前に)比較することができる。例えば、検出信号110と入力信号111との1つ以上のパラメータ(例えば上述のような位相、強度、又は周波数)の差異を判定することにより、(例えば制御信号生成器105の)室温環境から(例えば装置102の)低温環境101への温度変化により生じた信号歪みを把握する。いくつかの実施形態において、信号歪みにより生じるパラメータ偏差に基づいて、制御信号生成器105は、生成された入力信号111の1つ以上のパラメータを調整することにより、精度が向上した量子ビット制御を行うため所望の入力信号111を装置102に送ることができる。
【0128】
[138]
図11に、本開示のいくつかの実施形態による、例示的量子ビット測定及び制御方法のフロー図を示す。本方法は、量子ビットに対応する(隣接する)較正装置(例えば
図10の調整可能装置1022)で量子ビット制御信号を受信することと、量子ビット制御信号を検出して検出信号を取得すること、及び、少なくとも検出信号と量子ビット制御信号の比較に基づいて、量子ビットに送信される制御信号がより正確に制御可能になるように、量子ビットを制御する制御信号を(例えば
図10の、制御信号生成器105、又は制御信号生成器105に結合された制御装置103を介して)調整することを含んでいる。
【0129】
[139] 本明細書で用いる用語「又は」は、別途具体的に言明されない限り、実現不可能な場合を除き、全ての可能な組み合わせを含んでいる。例えば、あるデータベースがA又はBを含むと言明されている場合、別途具体的に言明されているか又は実現不可能でない限り、当該データベースはA又はB、或いはA及びBを含んでいてよい。第2の例として、あるデータベースがA、B又はCを含むと言明されている場合、別途具体的に言明されているか又は実現不可能でない限り、当該データベースはA、又はB、或いはC、又はA及びB、或いはA及びC、若しくはB及びC、又はA及びB並びにCを含んでいてよい。
【0130】
[140] 上の記述が例示的であり限定を意図していないことを理解されたい。例えば、上述の実施形態(又はその態様)を互いに連携して用いてもよい。また、いくつかの実施形態の教示に、特定の状況又は内容を当該実施形態から逸脱することなく適合させるべく、多くの変更を行うことができる。本明細書に記述する材料の寸法及び種類はいくつかの実施形態のパラメータを規定することを意図されているが、当該実施形態は何ら拘束性を有しておらず、例示的実施形態である。上の記述を精査すれば、当業者には他の多くの実施形態も明らかになろう。いくつかの実施形態の範囲は添付の請求項を参照することで決定され、それらの請求項により等価物の全範囲が網羅される筈である。添付の請求項において、用語「含む(include)」及び「~において(wherein)」は、対応する用語「備える(comprise)」及び「~で(where)」の読み易い同義語として用いられている。また、添付の請求項において、用語「第1」、「第2」、「第3」等はラベルとして用いられているに過ぎず、それらの目的語に数量的要件を課すことを意図していない。また、添付の請求項の制約は、手段及び機能の形式で記述されていない。
【0131】
[141] また、用語「含む(include)」、「備える(comprise)」又はそれらの他の任意のバリエーションも非排他的包含を含むことを意図しているため、一連の要素を含む処理、方法、物品又は設備は当該要素を含むだけでなく、明示的に列挙されていない他の要素も含んでいる、又は処理、方法、物品又は設備の固有の要素も含んでいる。「~を含む(include a ...)」旨の言明により限定される要素は、他の同一要素もまた、それ以上の限定を必要としない条件の下で当該要素を含む当該処理、方法、物品又は設備に存在することを排除しないものとする。
【0132】
[142] 当業者は、本開示のいくつかの実施形態が方法、設備又はコンピュータプログラム製品として提供されてよいことを理解されたい。従って、完全なハードウェア実施形態の形式、完全なソフトウェア実施形態の形式、又はソフトウェアとハードウェアを統合した実施形態の形式を本開示で採用してよい。更に、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む、コンピュータで使用可能な1つ以上の記憶媒体(ディスクメモリ、CD-ROM、光メモリ等を含むがこれらに限定されない)に実装されたコンピュータプログラム製品の形式を本開示で採用してよい。
【0133】
[143] コンピュータ可読媒体は、非揮発性及び揮発性、着脱可能媒体及び非着脱可能媒体を含んでいる。情報は、任意の仕方又は任意の技術により保存することができる。情報は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール又は他のデータであってよい。コンピュータの記憶媒体の例として、相変化ランダムアクセスメモリ(PRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、他の種類のランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)又は他の光メモリ、カセットテープ、テープ及びディスクメモリ又は他の磁気メモリ或いは他の任意の非搬送媒体が含まれるがこれらに限定されない。当該記憶媒体は、コンピュータ装置がアクセスできる情報の保存に用いることができる。本明細書の定義によれば、コンピュータ可読媒体は、変調データ信号及び搬送波等の、コンピュータ可読一時的媒体を含んでいない。
【0134】
[144] 記述した説明は複数の例を用いて、最適モードを含むいくつかの実施形態を開示すると共に、当業者が、任意の装置又はシステムの製造及び使用、並びに任意の組み合わせ方法の実行を含む、いくつかの実施形態を実施できるようにする。いくつかの実施形態の保護範囲は請求項により定義され、当業者には明らかな他の複数の例を含んでいてよい。そのような他の例が、請求項の文言とは異ならない構造要素を有するか、又は当該例が請求項の文言とは顕著に異ならない等価な構造要素を含む場合、当該例は請求項の範囲に含まれるものとする。