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特許7510941データパケット信号トランシーバを試験するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】データパケット信号トランシーバを試験するための方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/15 20150101AFI20240627BHJP
   H04B 17/29 20150101ALI20240627BHJP
   H04W 24/06 20090101ALI20240627BHJP
【FI】
H04B17/15
H04B17/29
H04W24/06
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021540405
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 US2020012677
(87)【国際公開番号】W WO2020150050
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】16/248,453
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507308186
【氏名又は名称】ライトポイント・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】LitePoint Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】オルガード、 クリスチャン ヴォルフ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、 ルイツ
(72)【発明者】
【氏名】クイ、 ケイユン
【審査官】前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-517333(JP,A)
【文献】特開2007-235959(JP,A)
【文献】特開2004-056216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/15
H04B 17/29
H04W 24/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験データパケット信号トランシーバ装置(DUT)の送信及び受信性能を試験する方法であって、
DUTのためのテスタが、トリガフレームを含むとともにテスタ送信出力電力(TTOP)を有するテスタデータパケット信号を送信することであって、前記トリガフレームは、前記テスタデータパケット信号の報告されたテスタ送信電力(RTTP)であって、前記RTTP及び前記TTOPは等しくない、RTTPと、前記DUTから前記テスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(TRSS)と、に対応するデータを含むことと、
前記テスタが、前記DUTが決定した受信信号強度インジケータ(RSSI)の正確さを決定するべく、DUTデータパケット信号を前記DUTから受信し、前記DUTから受信した前記DUTデータパケット信号の電力をRTTP-DRSS+TRSSと比較することであって、DRSSは、前記DUTによって報告された前記テスタデータパケット信号の受信信号強度であることと、
前記TTOP、前記RTTP、及び前記DRSSの値の複数の組み合わせについて、前記送信前記受信及び前記比較を繰り返すことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記送信前記受信及び前記比較を前記繰り返すことは、少なくとも、前記DUTからの前記テスタによって受信された前記DUTデータパケット信号の前記受信信号強度が一定のままになるまで、前記TRSSを連続的に増加させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
被試験データパケット信号トランシーバ装置(DUT)の送信及び受信性能を試験する方法であって、
トリガフレームを含むとともにテスタ送信出力電力(TTOP)を有するテスタデータパケット信号を、DUTが受信することであって、前記トリガフレームは、前記テスタデータパケット信号の報告されたテスタ送信電力(RTTP)であって、前記RTTP及び前記TTOPは等しくない、RTTPと、前記DUTから前記テスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(TRSS)と、に対応するデータを含むことと、
RTTP-DRSS+TRSSのDUT送信出力電力を有するDUTデータパケット信号を、前記DUTが決定した受信信号強度インジケータ(RSSI)の正確さを前記テスタが比較及び決定するように前記DUTが送信することであって、DRSSは、前記DUTによって報告された前記テスタデータパケット信号の受信信号強度であることと、
前記TTOP、前記RTTP、及び前記DRSSの値の複数の組み合わせについて、前記受信及び前記送信を繰り返すことと
を含む、方法。
【請求項4】
前記受信及び前記送信を前記繰り返すことは、少なくとも、前記DUTデータパケット信号の前記受信信号強度が一定のままになるまで、前記TRSSを連続的に増加させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
被試験データパケット信号トランシーバ装置(DUT)の送信及び受信性能を試験する方法であって、
トリガフレームを含むとともにテスタ送信出力電力(TTOP)を有するテスタデータパケット信号を、テスタが送信することであって、前記トリガフレームは、前記テスタデータパケット信号の報告されたテスタ送信電力(RTTP)であって、前記RTTP及び前記TTOPは等しくない、RTTPと、前記DUTからの記テスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(TRSS)と、に対応するデータを含むことと、
前記DUTが前記テスタデータパケット信号を受信し、それに応答して、前記DUTによって受信された前記テスタデータパケット信号の受信信号強度(DRSS)を報告することと、
RTTP-DRSS+TRSSとなる意図されたDUT送信電力(IDTP)のDUT送信出力電力を有するDUTデータパケット信号を、前記DUTが送信することと、
前記テスタが、前記DUTが決定した受信信号強度インジケータ(RSSI)の正確さを決定するべく、前記DUTデータパケット信号を受信し、前記DUTから受信した前記DUTデータパケット信号の電力を前記IDTPと比較することと、
前記TTOP、前記RTTP、及び前記DRSSの値の複数の組み合わせについて、前記テスタによる前記送信、前記DUTによる前記受信、前記DUTによる前記送信、及び前記テスタによる前記受信及び前記比較を繰り返すことと
を含む、方法。
【請求項6】
前記RTTPは前記TTOPよりも大きい、請求項1、3又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記テスタによる前記送信、前記DUTによる前記受信、前記DUTによる前記送信、及び前記テスタによる前記受信及び前記比較を前記繰り返すことは、少なくとも、前記テスタによって受信された前記DUTデータパケット信号の前記受信信号強度が一定のままになるまで、前記TRSSを連続的に増加させることを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被試験データパケット信号トランシーバ装置(device under test、DUT)を試験する、特に、テスタとDUTとの間の最低限要求される相互作用を用いてDUTの送信及び/又は受信性能を試験することに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電子装置の多くは、接続性と通信の両方の目的のために、無線信号技術を使用する。無線装置は電磁エネルギーを送受信し、かつ2つ以上の無線装置は、それらの信号周波数及びパワースペクトル密度によって互いの動作に干渉する可能性があるため、これらの無線装置及びその無線信号技術は、様々な無線技術規格仕様に準拠しなければならない。
【0003】
そのような無線装置を設計するときに、技術者らは、そのような装置が、それらに含まれる無線技術の定められた規格に基づく仕様の各々を満たし、又は超越することを確実にするために特に注意を払う。更に、これらの装置が後に大量に製造されているとき、含まれる無線信号技術規格に基づく仕様にそれらの装置が順守していることを含み、製造欠陥により誤操作を引き起こさないことを確実にするために、これらの装置は試験される。
【0004】
そのような無線装置の試験は、典型的には、被試験装置(DUT)の受信サブシステム及び送信サブシステムの試験を伴う。試験システムは、DUT受信サブシステムが適切に動作しているかどうかを判定するために、例えば、異なる周波数、電力レベル、及び/又は信号変調技術を使用して、DUTに試験データパケット信号の定められたシーケンスを送信する。同様に、DUTは、DUT送信サブシステムが適切に動作しているかどうかを判定するために、試験システムによる受信及び処理のための様々な周波数、電力レベル、及び/又は変調技術で試験データパケット信号を送信する。
【0005】
これらの装置をそれらの製造及び組み立て後に試験するために、現在の無線装置試験システムは、典型的には、各被試験装置(DUT)に試験信号を提供し、各DUTから受信した信号を分析するための様々なサブシステムを有する試験システムを採用する。いくつかのシステム(しばしば「テスタ」と呼ばれる)としては、DUTに送信されるソース信号を提供するための試験信号の少なくとも1つ以上のソース(例えば、ベクトル信号発生器、又は「vector signal generator、VSG」の形態)、DUTによって生成される信号を分析するための1つ以上の受信機(例えば、ベクトル信号分析器、又は「vector signal analyzer、VSA」の形態)を含む。VSGによる試験信号の生成及びVSAによって行われる信号分析とは、(例えば、内部プログラム可能なコントローラ、又はパーソナルコンピュータなどの外部プログラム可能なコントローラの使用を通して)概してプログラム可能であり、各々が、様々な周波数範囲、帯域幅、及び信号変調特性で、様々な無線技術の規格への準拠について様々な装置を試験するために使用されることを可能にする。
【0006】
IEEE 802.11規格のセット内の最近の無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network、WLAN)規格は、IEEE802.11axとして知られており、既存の2.4GHz及び5GHzのスペクトルで動作し、それらが利用可能となるように1~7GHzの追加帯域を組み込む予定である。MIMO及びMU-MIMOを使用することに加えて、OFDMAは、全体的なスペクトル効率と、スループットの増大のためのより高次の1024-QAM変調サポートを改善するように導入されている。公称データレートは、IEEE802.11acよりも37%高いだけであるが、より効率的なスペクトル利用及び高密度配置の改善により、平均ユーザスループットに対して4倍の増加を達成することが期待される。しかしながら、装置の送信(TX)電力及び受信信号強度インジケータ(received signal strength indicator、RSSI)読み取り値の802.11ax電力精度についての要件は、WLAN内でのその互換性及び動作を確実にするために、著しくより制限的である。
【0007】
したがって、TX電力及びRSSIは、製造プロセスの一部として較正され、試験されなければならない。TX電力試験は、一般に、単純であり、MPS(multi packet testing、マルチパケット試験)のような技術で効率について最適化することができるが、RSSI試験は、典型的には、その測定又は報告されたRSSI値についてDUTに問い合わせる必要がある。しかしながら、クエリ及び応答パケットの交換に対応するために必要とされる追加の試験時間により、DUTに問い合わせることは非効率的である。
【0008】
加えて、製造試験の開発ソフトウェアは、DUT較正が、多くの場合、チップセット製造業者のうちで、及び製造業者によるチップセットごとに異なって実装されるという事実によって、著しく複雑である。例えば、上記のように、受信(RX)信号動作の較正は、多くの場合、DUTにその受信機動作状態及び/又は性能について問い合わせる必要があるため、特に時間がかかる。
【発明の概要】
【0009】
被試験データパケット信号トランシーバ装置(device under test、DUT)の送信及び性能を試験するためのシステム及び方法が提供される。テスタ送信出力電力(tester transmit output power、TTOP)を有するテスタによって送信されるデータパケット信号は、データパケット信号の報告されたテスタ送信電力(reported tester transmit power、RTTP)と、テスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(desired received signal strength、TRSS)と、に対応するデータを含むトリガフレームを含む。DUTによって報告されたテスタデータパケット信号の受信信号強度(received signal strength of the tester data packet signals reported by the DUT、DRSS)に基づいて、応答性DUTデータパケット信号は、RTTP-DRSS+TRSSのDUT送信出力電力を有する。TTOP、RTTP、及びDRSSの値の多数の組み合わせについて、このようなテスタ及びDUTデータパケット信号の連続的な繰り返しにより、テスタとDUTとの間の信号相互作用を最小限に抑えて、最小及び最大DUT送信電力レベルを決定することを含む、DUTの送信及び受信性能を試験することが可能になる。
【0010】
例示的実施形態によれば、被試験データパケット信号トランシーバ装置(DUT)の送信及び受信性能を試験する方法は、DUTに対するテスタで、トリガフレームを含み、テスタ送信出力電力(TTOP)を有するテスタデータパケット信号を送信することであって、トリガフレームが、テスタデータパケット信号の報告されたテスタ送信電力(RTTP)であって、RTTP及びTTOPが等しくない、RTTPと、DUTからテスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(TRSS)と、に対応するデータを含む、送信することと、DUTからテスタで、RTTP-DRSS+TRSSのDUT送信出力電力を有するDUTデータパケット信号を受信することであって、DRSSが、DUTによって報告されたテスタデータパケット信号の受信信号強度である、受信することと、TTOP、RTTP、及びTRSSの値の複数の組み合わせについて、送信及び受信を繰り返すことと、を含む。
【0011】
更なる例示的実施形態によれば、被試験データパケット信号トランシーバ装置(DUT)の送信及び受信性能を試験する方法は、DUTで、トリガフレームを含み、テスタ送信出力電力(TTOP)を有するテスタデータパケット信号を受信することであって、トリガフレームが、テスタデータパケット信号の報告されたテスタ送信電力(RTTP)であって、RTTP及びTTOPは等しくない、RTTPと、DUTからテスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(TRSS)と、に対応するデータを含む、受信することと、テスタに対するDUTで、RTTP-DRSS+TRSSのDUT送信出力電力を有するDUTデータパケット信号を送信することであって、DRSSが、DUTによって報告されたテスタデータパケット信号の受信信号強度である、送信することと、TTOP、RTTP、及びDRSSの値の複数の組み合わせについて、受信及び送信を繰り返すことと、を含む。
【0012】
更なる例示的な実施形態によれば、被試験データパケット信号トランシーバ装置(DUT)の送信及び受信性能を試験する方法は、テスタで、トリガフレームを含み、テスタ送信出力電力(TTOP)を有するテスタデータパケット信号を送信することであって、トリガフレームが、テスタデータパケット信号の報告されたテスタ送信電力(RTTP)であって、RTTP及びTTOPは等しくない、RTTPと、DUTからテスタによって受信されるDUTデータパケット信号の所望の受信信号強度(TRSS)と、に対応するデータを含む、送信することと、DUTで、テスタデータパケット信号を受信し、それに応答して、DUTによって受信されたテスタデータパケット信号の受信信号強度(DRSS)を報告することと、DUTで、RTTP-DRSS+TRSSのDUT送信出力電力を有するDUTデータパケット信号を送信することと、テスタで、DUTデータパケット信号を受信することと、TTOP、RTTP、及びDRSSの値の複数の組み合わせについて、テスタでの送信、DUTでの受信、DUTでの送信、及びテスタでの送信を繰り返すことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】例示的実施形態による、データパケット信号トランシーバ装置を試験するための有線又は導電性試験環境を示す。
【0014】
図2】例示的実施形態による、データパケット信号トランシーバ装置を試験するための無線又は放射性試験環境を示す。
【0015】
図3】例示的実施形態による、データパケット信号トランシーバ装置を試験するための所定の意図された電力レベルを有する多数のデータパケットのDUTによる送信を示す。
【0016】
図4図3のデータパケットの所定の意図された電力レベル及び対応する受信電力レベルの表を示す。
【0017】
図5】例示的実施形態による、データパケット信号トランシーバ装置を試験するためのテスタとDUTとの間のデータパケット信号交換の例示的なシーケンスを示す。
【0018】
図6】DUTからの、最小から最大までの理想的及び現実的な利用可能な送信電力レベルの比較グラフを示す。
【0019】
図6A】2つの例示のステップサイズ解像度に従って、対応する意図されたか、又はプログラムされたDUT出力電力に応答して生成された実際のDUT出力電力の多数の値を定性的に示す。
【0020】
図7】DUTによる受信信号強度表示(RSSI)測定の理想的及び現実的な線形性の比較グラフを示す。
【0021】
図8】例示的実施形態による、データパケット信号トランシーバ装置を試験するためのテスタとDUTとの間のデータパケット信号交換の別の例示のシーケンスを示す。
【0022】
図9図8のデータパケットの意図された電力レベル及び実際の電力レベルの表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の発明を実施するための形態は、添付の図面を参照した、本特許請求の範囲に記載された発明の例示の実施形態である。このような説明は、例証となることを意図しており、本発明の範囲について限定するものではない。このような実施形態は、当業者が対象となる発明を実施することが可能になるように、十分詳細に記載されており、また、他の実施形態が、対象となる発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく、何らかの変形例を伴って実施され得ることが、理解されるであろう。
【0024】
本開示を通じて、文脈からの矛盾に対する明示がない限り、記載されるような個々の回路素子は、単数又は複数でもよいことが理解されるであろう。例えば、「回路(circuit)」という用語及び「回路(circuitry)」という用語は、単一の構成要素又は複数の構成要素のいずれかを含んでもよく、これらは能動型及び/又は受動型のいずれかであってもよく、記載した機能を提供するために、互いに接続、又はそうでなければ(例えば、1つ以上の集積回路チップとして)結合される。加えて、「信号」という用語は、1つ以上の電流、1つ以上の電圧、又はデータ信号を指すことができる。図面内で、同様の、又は関連する要素は、同様の、又は関連するアルファベット、数字、又は英数字の識別子を有することとなる。更に、本発明は、個別の電子回路(好ましくは、1つ以上の集積回路チップの形態)を使用する実施態様の関連で考察されているが、このような回路のいかなる部分の機能も、代替的に、処理される信号周波数又はデータ転送速度により、1つ以上の適切にプログラムされたプロセッサを使用して実装され得る。更に、図面が様々な実施形態の機能ブロックの図を示す範囲において、この機能ブロックは、必ずしもハードウェア回路同士の区分を示すものではない。
【0025】
携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの無線装置は、IEEE 802.11 a/b/g/n/ac(「WiFi」)、3GPP LTE、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Z-Wave(登録商標)などの規格に基づく技術を使用する。これらの技術の下にある規格は、信頼性の高い無線接続性及び/又は通信を提供するように設計される。規格は、一般に、エネルギー効率であるように設計され、無線スペクトルに隣接するか又は共有する同じ技術又は他の技術を使用して装置間の干渉を最小限に抑えるように設計される物理的及びより高レベルの仕様を定める。
【0026】
これらの規格によって定められた試験は、そのような装置が基準仕様に準拠するように設計されており、製造された装置がその定められた仕様に準拠し続けることを確実にすることを意味する。ほとんどの装置は、少なくとも1つ以上の受信機及び1つ以上の送信機を含むトランシーバである。したがって、試験は、受信機と送信機の両方が準拠するかどうかを確認することが意図される。DUTの受信機の試験(RX試験)は、典型的には、試験パケットを受信機に送信する試験システム(テスタ)と、DUT受信機がそれら試験パケットに対してどのように応答するかを決定する何らかの方式とを伴う。DUTの送信機の試験(TX試験)は、それらがパケットを試験システムに送信するようにして、次いで、試験システムがDUTからの信号の様々な物理的特性を評価し得ることによって行われる。
【0027】
Wi-Fi、Bluetooth、Zigbee、及びZ-Wave装置などの無線装置の試験は、テスタとDUTとの間の頻繁な双方向メッセージングから、試験フローの主要部分が、固有の装置識別子及びPHYの部分のみがアクティブである非リンク試験ソリューションを用いて、テスタとDUT内で実行されるか、又はこれらの間で調整される頻繁ではない双方向メッセージングまでわたる。しかしながら、このような試験の結果は、プロトコルスタックの上位レベルがアクティブではないため、典型的には、通信ポート及び経路を介してDUTからテスタに搬送され、それによって、データが送信されたパケット内でデータが容易に搬送されることを防止する。したがって、DUTとテスタとの間の唯一の接続は、伝導又は放射された信号経路かのいずれかであり、交換されたデータはデータパケットを介している場合、DUTが、非リンク試験方法を使用して試験結果をテスタに搬送することは難しく、場合によって全くできない。以下でより詳細に考察されるように、本特許請求の範囲に記載された発明の例示的実施形態によれば、RFデータパケットトランシーバの試験は、少なくとも部分的に、ネットワークデータパケット信号通信プロトコルの下位層で試験することによって行われ得る。
【0028】
図1を参照すると、典型的な試験環境10aは、テスタ12及びDUT16を含み、典型的には同軸RFケーブル20c及びRF信号コネクタ20tc、20dcの形態で、導電性信号経路20aを介してテスタ12とDUT16との間で搬送されるRF信号として、試験データパケット信号21t及びDUTデータパケット信号21dが交換される。上記のように、テスタは、典型的には、信号ソース14g(例えば、VSG)及び信号分析器14a(例えば、VSA)を含む。テスタ12及びDUT 16はまた、典型的にはテスタ12内のファームウェア14f及びDUT16内のファームウェア18fに具現化される所定の試験シーケンスに関して予めロードされた情報を含むことができる。所定の試験フローに関するこのファームウェア14f、18f内の試験の詳細は、典型的には、データパケット信号21t、21dを介して、テスタ12とDUT16との間の何らかの形態の明示的同期を必要とする。
【0029】
代替的には、試験は、本明細書に示されるように、テスタ12又は外部(例えば、ローカル又はネットワーク化されたプログラムされたパーソナルコンピュータ)と一体であり得るコントローラ30によって制御され得る。コントローラ30は、1つ以上の信号経路(例えば、イーサネットケーブリング、ネットワークスイッチ及び/又はルータなど)31dを介してDUT16と通信して、コマンド及びデータを搬送することができる。テスタ12の外部にある場合、コントローラ30は、追加のコマンド及びデータを搬送するために、1つ以上の追加の信号経路(例えば、イーサネットケーブリング、ネットワークスイッチ及び/又はルータなど)31tを介して、テスタ12と更に通信することができる。
【0030】
コントローラ30及びテスタ12は、別個の装置又はシステムとして示されるが、以下の考察において「テスタ」への言及は、本明細書に示されるような別個の装置又はシステムを含んでもよく、また、上述のコントローラ30及びテスタ12の機能及び能力が共通のハードウェアインフラストラクチャ内に共配置され得る組み合わせ装置又はシステムを含んでもよい。したがって、特に具体的に必要とされる又は限定されない限り、様々な制御機能及び/又はコマンドに対する参照は、テスタ12、コントローラ30、又は組み合わせられたテスタ/コントローラシステム(図示せず)に由来するものと見なされてもよい。同様に、コマンド、データなどの記憶は、テスタ12、コントローラ30又は組み合わせられたテスタ/コントローラシステム、代替的には、上記のようにネットワークを介して遠隔に位置するメモリ装置内で行われると見なされてもよい。
【0031】
図2を参照すると、代替的な試験環境10bは、無線信号経路20bを使用し、これを介して、試験データパケット信号21t及びDUTデータパケット信号21dがテスタ12及びDUT16のそれぞれのアンテナシステム20ta、20daを介して通信され得る。
【0032】
以下でより詳細に考察されるように、トリガに基づく試験(trigger based test、TBT)が有利に使用されてもよく、そこでは、テスタは、トリガフレームを含むデータパケットをDUTに送信し、それによってDUTに周波数補正信号で適時に応答させる。当該技術分野において周知であるように、仕様のIEEE802.11セットに準拠して、トリガフレームが、STA装置(例えば、試験環境内のDUT)のアクセスポイント(access point、AP、例えば、試験環境内のテスタ)によって提供されてもよく、APアクセスポイントをエミュレートするテスタからの送信信号に関する様々な種類の情報を含むことができる。例えば、テスタによって(例えば、そのVSGを介して)送信される実際の信号電力は、トリガフレーム内に含まれる報告されたテスタ電力レベル情報とは別個に制御されてもよく、それによってパスロスが存在しないことをエミュレートする。また、所望のRSSI情報は、DUTによって応答で送信されるデータパケット信号の強度を識別するトリガフレームに含まれてもよい。DUTは、テスタによる報告された送信電力とDUT受信信号強度との間の電力の差としてパスロスを計算し、次いで、(テスタで)所望のRSSIに計算されたパスロスを加えた送信電力を計算することができる。
【0033】
しかしながら、テスタによって測定されるような送信電力は、意図された送信電力と実際の送信電力との間の差、及びRSSI測定誤差の2つの誤差によって影響を受ける。以下でより詳細に考察されるように、これは、TBT試験の前にDUTによってサポートされる多数のTX電力の「強制的」送信によって補償され得る。MPSを使用することによって、意図されたTX電力は、送信のために選択され、テスタで測定されるような対応する実際の受信されたTX電力に関連付けられた各DUT TX電力について、事前に知られてもよい。これに続いて、従来のTBT試験が続き、測定された送信電力から、DUTによって選択された意図された電力レベルを決定することができ、それによって、DUTが選択された意図された送信電力を選択するために使用しなければならなかった(DUTにおける)RSSIの計算を可能にする。これにより、DUTに問い合わせることなく、DUT RSSIの決定(例えば、推理)を可能にする。これは、DUT内の異なるRSSIレベルに対してTBTステップを繰り返し、その後、検証中にRSSIレベルを掃引することによって、更に拡張され得る。
【0034】
例えば、DUTのTX電力は、既知の数の送信電力レベルについて(例えば、MPSを使用して)走査及び測定されてもよく、その後、試験される異なるRSSIレベルについてTBT試験を行ってもよく、その間、目標電力レベルは固定されたままであってもよく、又は変動してもよい。固定された目標電力(テスタによって受信されるようなDUT TX信号の電力)を維持することにより、(例えば、VSG出力電力レベルを変化させることによって、DUTによって見えるように異なるパスロスを効果的にモデリングして)試験データパケットの再使用を可能にするが、それによって、大きいRSSI範囲を掃引するときにDUT内の電力範囲を制限することがある。上記のように、DUTによって選択されたTX電力レベルが識別されると、DUT内の対応するRSSIが計算されてもよい。代替的には、異なるトリガフレームパケットを送信している間に一定のVSG出力電力が維持されてもよい(例えば、修正され報告されたVSG出力電力及び目標テスタRSSIレベルで)。
【0035】
図3及び図4を参照すると、所定の意図された電力レベル102iを有する多数のデータパケット信号(例えば、各々が所望の又は必要に応じて単一又は多数のデータパケットを有する)のシーケンス102は、DUTによって送信され、テスタによって受信されて、各送信に対する対応する実際の電力レベル102rを決定してもよい。例えば、MPSは、最初に、DUT内の所与のTX電力設定に対して、テスタによって(例えば、VSAで)測定されるようなDUT TX電力を決定するために使用され得る。これは、DUT TX電力精度を検証するのに有利であり得る。DUTは、所望の又は必要に応じて、例えば、第1の電力TX10(10dbm)で始まり、1つ以上の同様のデータパケット送信、例えばTX11、TX12、...、TX20が続く、単一のデータパケット又は多数のデータパケット(その数は典型的には、事前に知られている)を送信してもよい。(本実施例の目的では、TX10、TX11、TX12、...、TX20は、それぞれ+10dBm、+11dBm、+12dBm、...、+20dBmの意図された電力レベル102iを示すが、他の電力範囲が所望又は必要に応じて使用されてもよい。)
【0036】
テスタ(例えば、VSA)は、各送信された信号の受信電力102rを測定し、図示のように、それぞれ対応する意図された102i及び受信された(例えば、VSAによって測定された)102rの表を作成する。例えば、DUT TX信号が15dBmと(例えば、DUT送信機回路の設計によって)意図されたが、VSAは、14.5dBmとして実際の受信電力を測定することがある。これらの対応する値は、(以下で考察されるように)後で使用するためにメモリに(例えば、ローカルにテスタ内で、又はネットワークを介してアクセス可能なメモリ内でリモートに)記憶されてもよい。DUTはその後、TBTモードで動作するようにプログラムされてもよい。
【0037】
図5を参照すると、示されるように、テスタデータパケット信号シーケンス202t及びDUTデータパケット信号シーケンス202dの実施例が交換し得る。これらの例は、DUT TX電力を一定の15dBmに間接的に制御するために異なる設定がどのように使用され得るかを実証している。所望又は必要に応じて、他のレベル及びレベルの組み合わせが使用され得る。いずれの場合も、性能特性に影響を及ぼす他の要因(例えば、熱変化など)の検出を可能にするために、1つのパラメータを一定に保つことが望ましいことがある。
【0038】
第1のテスタシーケンス203taでは、テスタは、+10dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-35dBmの所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-40dBmのテスタ送信出力電力TTOPにおいて、データパケット信号を送信し得る。第1のDUTシーケンス203daでは、DUTは、その受信信号強度DRSSを-40dBmと決定し、以下のように知覚されるパスロスPPLを計算する。
【0039】
PPL=RTTP-DRSS=+10dBm-(-40dBm)=50dB
【0040】
したがって、50dBのパスロス及び-35dBmの(パスロスを考慮した後の)テスタでの所望のRSSIで、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならない。
【0041】
IDTP=TRSS+PPL=-35dBm+50dB=+15dBm
【0042】
テスタは、DUTからの応答データパケット信号を+14.4dBmの受信電力で捕捉し、これを+15dBmの対応するIDTPと比較する(図4)。したがって、これは予想されたものであるため、DUTによって決定されたRSSIは正確であると考えられる。
【0043】
次のテスタシーケンス203tbにおいて、テスタは、(+10dBmの前のTTOPに対して)+8dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-35dBmの同じ所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-42dBmのテスタ送信出力電力TTOPにおいて、データパケット信号を送信し得る。応答性DUTシーケンス203dbにおいて、DUTは、その受信信号強度DRSSを-42dBmと決定し、以下のように知覚されるパスロスPPLを計算する。
【0044】
PPL=RTTP-DRSS=+8dBm-(-42dBm)=50dB
【0045】
したがって、50dBのパスロス及び-35dBmの(パスロスを考慮した後の)テスタでの所望のRSSIでは、DUTは再び、+15dBmの意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならない。したがって、テスタは、DUTからの応答データパケット信号を、+14.4dBmの受信電力で捕捉し、これを+15dBmの対応するIDTPと比較する(図4)。再び、これは予想されたものであるため、DUTによって決定されたRSSIは正確であると考えられる。
【0046】
第3のテスタシーケンス203tcにおいて、テスタは、(例えば、第1のシーケンス203taにおけるように)+10dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-39dBmの同じ所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-44dBmのテスタ送信出力電力TTOPにおいて、データパケット信号を送信し得る。応答性DUTシーケンス203dcにおいて、DUTは、その受信信号強度DRSSを-44dBmと決定し、以下のように知覚されるパスロスPPLを計算する。
【0047】
PPL=RTTP-DRSS=+10dBm-(-44dBm)=54dB
【0048】
したがって、54dBのパスロス及び-39dBmの(パスロスを考慮した後の)テスタでの所望のRSSIでは、DUTは再び、+15dBmの意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならない。したがって、テスタは、DUTからの応答データパケット信号を、+14.4dBmの受信電力で捕捉し、これを+15dBmの対応するIDTPと比較する(図4)。再び、これは予想されたものであるため、DUTによって決定されたRSSIは正確であると考えられる。
【0049】
最後のテスタシーケンス203tdでは、誤ったDUT受信信号強度DRSSが検出され得る。例えば、テスタは、+10dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-33dBmの同じ所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-38dBmのテスタ送信出力電力TTOPにおいて、データパケット信号を送信し得る。応答性DUTシーケンス203dcにおいて、DUTは、(送信された-38dBmに対して)その受信信号強度DRSSを-39dBmと決定し、以下のように知覚されるパスロスPPLを計算する。
【0050】
PPL=RTTP-DRSS=+10dBm-(-39dBm)=49dB
【0051】
したがって、49dBのパスロス及び-33dBmの(パスロスを考慮した後の)テスタでの所望のRSSIで、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならない。
【0052】
IDTP=TRSS+PPL=-33dBm+49dB=+16dBm
【0053】
テスタは、DUTからの応答データパケット信号を、+15.5dBmの受信電力で捕捉し、これを+16dBmの対応するIDTPと比較する(図4)。したがって、これは予想されたものではないため、DUTによって決定されたRSSIは誤っていると考えられる。
【0054】
当業者には容易に理解されるように、このプロセスの多くの変形例は、例えば、TTOP、RTTP、及びTRSSの値の様々な組み合わせについて実施され得る。例えば、DUT TX電力は必ずしも一定のままである必要はないが、一定に保つことは、温度及び温度補償機構などの一次効果の追跡を有利に可能にし得る(例えば、DUTは、温度が上昇しているために減少しているとして検出される場合に、そのTX電力を増加させるように設計され得る)。
【0055】
図6を参照すると、DUTは特定の送信信号性能特性302iを提供するように設計され得るが、その実際の性能特性302rは多くの場合変動する。例えば、DUTは、理想的には、線形範囲303icにわたって最小電力303iaから最大電力303ibまで送信電力レベルを提供するように設計され得るが、その現実的な送信電力レベルは、代わりに非線形範囲303irにわたって異なる最小電力303ir及び最大電力303irで提供され得る。
【0056】
図6Aを参照すると、容易に理解されるように、DUTによる製造のためにテスタによって指定された特定の電力レベル307、309に応じて、試験中に指定及び測定される電力レベルの数が大きいことが望ましいことがある。したがって、最小303a及び最大303bの実際の電力レベルが正確に決定されることを確実にするために、例えば、電力が可変電力303cから最小303a又は最大303b電力に遷移するときに電力が一定になる電力レベル307b、307fにおいて、より多くの電力ステップを特定することが望ましいことがある。例えば、最小303a及び最大303b出力電力レベルが最初に発生する電力レベル307b、307fを識別するだけはなく、最小303a及び最大303b出力電力レベルが一定のままである電力レベル307a、307gを識別する、対応する出力電力ステップ間隔303cob(「正方形」で示される)をもたらすより小さい入力電力ステップ間隔303icbを使用することが好ましいことがある。これに対して、より大きい入力電力ステップ間隔303ciaが使用される場合、対応してより大きい出力電力ステップ間隔303coa(「円」で示される)は、最小303a及び最大303b出力電力レベルが最初に発生する遷移電力レベル307b、307fを捕捉し損なうことをもたらすことがある。
【0057】
図7を参照すると、同様に、DUTは特定の受信信号性能特性を提供するように設計され得るが、その実際の性能特性は多くの場合変動する。例えば、DUTは、理想的には、期待される受信信号303icの範囲にわたって受信信号強度305iを線形的に決定するように設計され得るが、その現実的に測定された受信信号強度305rは非線形分散を呈し得る。
【0058】
更なる例示的実施形態によれば、トリガに基づく試験(TBT)を使用して、その挙動を制御し、(例えば、初期のデフォルト較正が一般的に設計及び早期の製造プロセス中に行われているため、トリム較正の形態で)較正を実行するために必要なパラメータの抽出を可能にするために、DUTに情報が提示されることを可能にしてもよい。TBTの一部として、DUTに送信されるパケットは、(例えば、テスタからの)データパケット送信電力、及び(テスタにおける)所望のRSSIに関する情報を含んでもよい。DUTは、これを使用して、データパケットのソース(テスタ)とDUTとの間のパスロス(パスロス=データパケットの送信電力-DUTでのRSSI)を決定することができ、これにより、DUTは、適切なDUT TX電力を選択して、データパケットソース(DUT TX電力=テスタRSSI+パスロス)で所望のRSSIを取得してもよい。ソースとしてテスタを使用することにより、かなりの制御が可能となる。例えば、所与のデータパケットを用いてDUTへの入力電力を単純に制御することにより、DUT TX電力の制御が可能となる。例えば、同じデータパケットが2つの異なるテスタ送信電力レベルでDUTに送信される場合、DUTは、2つのテスタ送信電力レベル間の差と一致する2つの異なるパスロスを推定するべきであり、データパケットが同一であるため、得られるDUT TX電力レベルは理想的には、2つの送信されたデータパケット間の差であるべきである。同様に、実際のテスタ送信電力は、テスタにおける所望のRSSI及び/又は報告されたテスタ送信電力を変更しながら一定に維持されてもよく、それによってDUTが異なるTX電力で送信するようにする。
【0059】
これらの技術では、DUT送信電力の線形性は、RSSIを(例えば、テスタからの一定の送信電力を用いて)DUTに対して一定に維持することによって測定され、データパケット内容を制御して、DUTが異なる電力レベルで送信するようにし、それによって電力制御範囲を効果的に掃引することができる。サポートされた電力範囲が知られている(例えば、DUTがその最小電力レベル及び最大電力レベルを制限する)と仮定すると、DUTがその送信電力を修正することを中止する場合にレベルが決定され得、それによってその内部TX値を明らかにし、本質的に掃引曲線を絶対的にする。次いで、同様に使用されるRSSIレベルが知られており、使用されるTX電力ステップが既知である状態で、DUTによって測定されるRSSIが決定され得る。これにより、DUTへのRSSI入力レベルの掃引、理想的には、データパケット内容を制御することによって、DUT TX電力を一定に維持することを更に可能にして、DUTがDUTに提供された所与のRSSIに対して同じ電力レベルを送信するようにする。加えて、RSSIは、スイッチオーバーポイントがどこであるかを決定するために、DUT RSSIレベル報告の能力よりも細かい増分でステッピングされてもよい。完全なRSSI掃引を実行することにより、期待される(「理想的な」)RSSI曲線からのオフセットに基づいて、実際のRSSI曲線の補正を可能にする。
【0060】
図8及び図9を参照すると、他の実施例のテスタデータパケット信号シーケンス402t及びDUTデータパケット信号シーケンス402d(例えば、各信号402t、402dが所望の又は必要に応じて、単一又は多数のデータパケットを有する)が交換されてもよく、所定の意図された電力レベル402diがDUTによって送信され、テスタによって受信されて、各送信の対応する実際の電力レベル402drを決定する。例えば、(例えば、図4と同様の)対応する意図された及び実際のDUT TX電力レベルの表が決定されると、対応するRSSI値の同様の決定がなされ得る。(この実施例は、電力掃引の終了付近をピックアップし、同様の測定は、試験におけるこの点に到達する前に行われ得る)。
【0061】
第1のテスタシーケンス403taでは、+17dBmの目標DUT TX電力で、テスタは、+10dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-33dBmの所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-40dBmのテスタ送信出力電力TTOPにおいて、データパケット信号を送信し得る。第1のDUTシーケンス403daでは、DUTは、その受信信号強度DRSSを-41dBmと誤って決定し、以下のように知覚されるパスロスPPLを算出する。
【0062】
PPL=RTTP-DRSS=+10dBm-(-41dBm)=51dB
【0063】
したがって、51dBのパスロス及び-33dBmの(パスロスを考慮した後の)テスタでの所望のRSSIで、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならない。
【0064】
IDTP=TRSS+PPL=-33dBm+51dB=+18dBm
【0065】
テスタ(例えば、VSA)は、DUTからの応答データパケット信号を、+19.0dBmの受信電力で捕捉するが、DUT TX電力が2dBオフであるか、若しくはRSSIが2dBオフであるか、又は両方が何らかの他の組み合わせによってオフである場合(例えば、それぞれが1dBオフである)場合に決定することができない。
【0066】
第1のテスタシーケンス403tbでは、+18dBmの目標DUT TX電力で、テスタは、+10dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-32dBmの増加した所望の又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-40dBmの一定のテスタ送信出力電力TTOPを維持する。応答性DUTシーケンス403dbでは、DUTは再び、その受信信号強度DRSSを-41dBmと誤って決定し、再び51dBの知覚されるパスロスPPLを誤って計算する。したがって、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならないと決定する。
【0067】
IDTP=TRSS+PPL=-32dBm+51dB=+19dBm
【0068】
テスタは、+20.0dBmの受信電力でDUTから応答データパケット信号を捕捉するが、ここでも、エラーのソースは不明である。
【0069】
第3のテスタシーケンス403tcでは、+18dBmの目標DUT TX電力で、テスタは、+10dBmの報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-31dBmの更に増加した所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-40dBmのテスタ送信出力電力TTOPを維持する。応答性DUTシーケンス403dcでは、DUTは再び、その受信信号強度DRSSを-41dBmと誤って決定し、再び51dBの知覚されるパスロスPPLを誤って計算する。したがって、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならないと決定する。
【0070】
IDTP=TRSS+PPL=-31dBm+51dB=+20dBm
【0071】
テスタは、+20.8dBmの受信電力で、DUTから応答データパケット信号を捕捉する。
【0072】
次のテスタシーケンス403tdでは、テスタは、+10dBmの一定の報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-30dBmの更に増加した所望又は期待される受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-40dBmの一定のテスタ送信出力電力TTOPを維持する。応答性DUTシーケンス403ddでは、DUTは再び、その受信信号強度DRSSを-41dBmと誤って決定し、再び51dBの知覚されるパスロスPPLを誤って計算する。したがって、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならないと決定する。
【0073】
IDTP=TRSS+PPL=-30dBm+51dB=+21dBm
【0074】
テスタは再び、+20.8dBmの受信電力でDUTからの応答データパケット信号を捕捉する。
【0075】
最後のテスタシーケンス403teでは、+20dBmの増加した目標DUT TX電力で、テスタは、+10dBmの一定の報告されたテスタ送信電力RTTPを識別するデータ、及びテスタによって受信されるDUTデータパケット信号に対して-29dBmの更に増加した所望の受信信号強度TRSSを識別するデータを含むトリガフレームで、-40dBmの一定のテスタ送信出力電力TTOPを維持する。応答性DUTシーケンス403deでは、DUTは再び、その受信信号強度DRSSを-41dBmと誤って決定し、再び51dBの知覚されるパスロスPPLを誤って計算する。したがって、DUTは、以下のように意図されたDUT送信電力IDTPを送信しなければならないと決定する。
【0076】
IDTP=TRSS+PPL=-29dBm+51dB=+22dBm
【0077】
テスタは再び、+20.8dBmの受信電力でDUTからの応答データパケット信号を捕捉する。
【0078】
しかしながら、DUT TX電力が最大+20dBmに制限されることが知られているため、-31dBmのTRSSでは、DUTによって+20dBmが送信され、DRSSが1dBオフになると結論付けることができる。これは、DUTが+20dBmのDUT TX電力について決定するために51dBのパスロスを誤って計算する結果として、DUTが+20dBmを送信しており、そのようにしなければならないためである。したがって、対応する意図された402di、及び受信した402dr DUT Tx電力の表(図9)が導出され得る。
【0079】
本発明の構造及び動作方法における、様々な他の変更例及び代替例が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく当業者には明らかとなるであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義すること、かつ、これらの特許請求の範囲及びその均等物の範囲内の構造及び方法がそれによって包含されていること、が意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図6A
図7
図8
図9