(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像センサ用のパターン電極構造
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240627BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 E
G02B5/30
(21)【出願番号】P 2022099901
(22)【出願日】2022-06-21
【審査請求日】2022-06-21
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296388
【氏名又は名称】采▲ぎょく▼科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】VisEra Technologies Company Limited
【住所又は居所原語表記】No.12,Dusing Rd.1, Hsinchu Science Park,Hsin-Chu City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100206335
【氏名又は名称】太田 和宏
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】張 開昊
(72)【発明者】
【氏名】李 京樺
(72)【発明者】
【氏名】張 育淇
【審査官】渡邊 佑紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-195719(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0018188(US,A1)
【文献】特開2019-134229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像センサに適用される電極構造であって、
複数の内部電極、及び前記内部電極に電気的に接続された1つの外部電極を含む上部電極と、前記上部電極の下方に位置する下部電極と、
光を電気信号に変換するように構成された光電変換層(PCL)と、を含み、
前記内部電極は、波長範囲により光をフィルタリングし、光を偏光になるようにフィルタリングするように構成され、各前記内部電極は、
第1の方向に沿って延在する第1の部分及び第2の部分を有する金属構造と、
前記第1の方向に沿って延在し、前記金属構造の前記第1の部分と前記第2の部分との間に位置する誘電体構造と
、
前記金属構造と前記光電変換層との間に位置する中間層を含み、
前記第1の部分、前記誘電体構造及び前記第2の部分は、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿って配列され、
前記上部電極及び前記下部電極は、前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向において重な
り、
前記外部電極、前記金属構造及び前記誘電体構造は、前記光電変換層の上方に位置し、
前記中間層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む、電極構造。
【請求項2】
前記外部電極は、前記内部電極の中間層に物理的に接続され、前記外部電極及び前記中間層は、前記光電変換層の前記上部電極に面する上面に位置し、各前記内部電極の金属構造及び誘電体構造は、対応する前記中間層の上面と接触する、請求項
1に記載の電極構造。
【請求項3】
前記外部電極は、前記内部電極の金属構造に物理的に接続され、前記外部電極は、前記光電変換層の前記上部電極に面する上面から離間し、各前記中間層は、前記金属構造及び前記誘電体構造の下部を取り囲み、前記中間層及び前記下部は、前記光電変換層に埋め込まれる、請求項
1に記載の電極構造。
【請求項4】
前記内部電極のピッチは、0.5λ~0.75λの範囲にあり、λが光スペクトルのピーク又は谷に対応し、各前記内部電極は、前記第2の方向に沿う幅を有し、前記内部電極のデューティサイクルは、20%~90%の範囲にある、請求項1に記載の電極構造。
【請求項5】
複数の画素であって、それぞれが複数のサブ画素を含み、各サブ画素が電極構造を含み、各電極構造が、
複数の内部電極、及び前記内部電極に電気的に接続された1つの外部電極を含む上部電極であって、前記内部電極は、波長範囲により光をフィルタリングし、光を偏光になるようにフィルタリングするように構成され、各前記内部電極は、第1の方向に沿って延在する第1の部分及び第2の部分を有する金属構造と、前記第1の方向に沿って延在し、前記金属構造の前記第1の部分と前記第2の部分との間に位置し、前記第1の部分、前記第2の部分とともに、前記第1の方向と異なる第2の方向において配列される誘電体構造と、を含む、上部電極と、
前記上部電極の下方に位置し、前記上部電極とともに、前記第1の方向及び前記第2の方向に垂直な第3の方向に積層される下部電極と、を含む複数の画素と、
光を電気信号に変換するように構成され、前記上部電極と前記下部電極との間に位置する光電変換層と、
対応する金属構造と前記光電変換層との間に位置する複数の中間層と、を含む、画像センサ。
【請求項6】
前記サブ画素の数は、4つであり、前記サブ画素の各内部電極は、傾斜角を有し、隣接する2つのサブ画素の内部電極の傾斜角は、45度の角度差を有する、請求項
5に記載の画像センサ。
【請求項7】
前記サブ画素は、第1の傾斜角を有する第1のサブ画素と、第2の傾斜角を有する第2のサブ画素と、第3の傾斜角を有する第3のサブ画素と、第4の傾斜角を有する第4のサブ画素とを含み、前記第1の傾斜角は、前記第2の傾斜角、前記第3の傾斜角及び前記第4の傾斜角より小さく、前記第1の傾斜角は、90度、120度又は150度である、請求項
6に記載の画像センサ。
【請求項8】
前記画素の数は、4つであり、前記画素は、画素アレイを形成し、前記画素アレイは、CYYMモザイク配列、RGGBモザイク配列、CYGMモザイク配列又はRGBWモザイク配列を含み、前記画素アレイは、前記CYYMモザイク配列を有する場合、1つの青緑色画素、1つの赤紫色画素及び2つの黄色画素を含み、前記画素アレイは、前記RGGBモザイク配列を有する場合、1つの赤色画素、1つの青色画素及び2つの緑色画素を含み、前記画素アレイは、前記CYGMモザイク配列を有する場合、1つの青緑色画素、1つの黄色画素、1つの緑色画素及び1つの赤紫色画素を含み、前記画素アレイは、前記RGBWモザイク配列を有する場合、1つの赤色画素、1つの緑色画素、1つの青色画素及び1つの白色画素を含む、請求項
5に記載の画像センサ。
【請求項9】
nチャネルデバイス及びpチャネルデバイスを含み、前記nチャネルデバイスに対応する中間層は、前記光電変換層の前記上部電極に面する上面に位置し、各前記内部電極の金属構造及び誘電体構造は、対応する中間層の前記光電変換層と反対側の面と接触し、前記pチャネルデバイスに対応する各中間層は、前記金属構造及び前記誘電体構造の下部を取り囲み、前記中間層及び前記下部は、前記光電変換層に埋め込まれる、請求項
5に記載の画像センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像センサに関し、特に多機能画像センサに関する。
【背景技術】
【0002】
画像センサは、画像の作成に使用される情報を検出し、伝達することができる。画像センサは、デジタルカメラ、光学式マウス装置、医療用画像機器、赤外線画像装置、レーダー、ソーナー等の様々な画像装置に使用されている。
【0003】
伝統的な画像センサは、カラーフィルタ、偏光アレイ及び電極構造を含んでもよい。例えば、偏光アレイは、カラーフィルタの下方、電極構造の上方にある。しかしながら、従来の画像センサの電極構造は、カラーフィルタ及び偏光アレイと離れている。したがって、製造プロセスがより複雑になり、パッケージのコストが高くなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様は、画像センサに適用される電極構造を提供する。
【0005】
幾つかの実施形態において、電極構造は、上部電極と、上部電極の下方にある下部電極とを含む。上部電極は、複数の内部電極と、内部電極に電気的に接続された1つの外部電極とを含む。内部電極は、波長範囲により光をフィルタリングし、光を偏光になるようにフィルタリングするように構成される。各内部電極は、第1の方向に沿って延在する第1の部分及び第2の部分を有する金属構造と、第1の方向に沿って延在する誘電体構造とを含む。誘電体構造は、金属構造の第1の部分と第2の部分との間に位置する。第1の部分、誘電体構造及び第2の部分は、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って配列される。上部電極及び下部電極は、第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向において重なる。
【0006】
幾つかの実施形態において、電極構造は、光を電気信号に変換するように構成された光電変換層(PCL)を更に含み、外部電極、金属構造及び誘電体構造は、光電変換層の上方に位置する。
【0007】
幾つかの実施形態において、各内部電極は、金属構造と光電変換層との間に位置するとともに、金属構造と光電変換層との間の位置エネルギー差を滑らかにするように構成された中間層を更に含む。
【0008】
幾つかの実施形態において、中間層は、透明導電性酸化物(TCO)を含む。
【0009】
幾つかの実施形態において、外部電極は、内部電極の中間層に物理的に接続され、外部電極及び中間層は、光電変換層の上面に位置する。
【0010】
幾つかの実施形態において、外部電極と中間層は、同じ材料を有する。
【0011】
幾つかの実施形態において、中間層は、光電変換層の上部電極に面する上面に位置し、各内部電極の金属構造及び誘電体構造は、対応する中間層の上面と接触する。
【0012】
幾つかの実施形態において、外部電極は、内部電極の金属構造に物理的に接続され、外部電極は、光電変換層の上部電極に面する上面から離間する。
【0013】
幾つかの実施形態において、各中間層は、金属構造の下部及び誘電体構造の下部を取り囲み、中間層及び下部は、光電変換層に埋め込まれる。
【0014】
幾つかの実施形態において、内部電極のピッチは、0.5λ~0.75λの範囲にあり、λが光スペクトルのピーク又は谷に対応する。
【0015】
幾つかの実施形態において、各内部電極は、第2の方向に沿う幅を有し、内部電極のデューティサイクルは、20%~90%の範囲にある。
【0016】
本発明の別の態様は、画像センサを提供する。
【0017】
幾つかの実施形態において、画像センサは、複数の画素、光電変換層及び複数の中間層を含む。各画素は、複数のサブ画素を含む。各サブ画素は、電極構造を含む。光電変換層は、光を電気信号に変換するように構成され、上部電極と下部電極との間に位置する。中間層は、キャリア輸送性能を向上させるように構成され、対応する金属構造と光電変換層との間に位置する。各電極構造は、上部電極と、上部電極の下方にある下部電極とを含む。上部電極は、複数の内部電極、及び内部電極に電気的に接続された1つの外部電極を含む。内部電極は、波長範囲により光をフィルタリングし、光を偏光になるようにフィルタリングするように構成される。各内部電極は、第1の方向に沿って延在する第1の部分及び第2の部分を有する金属構造と、第1の方向に沿って延在する誘電体構造とを含む。誘電体構造は、金属構造の第1の部分と第2の部分との間に位置する。第1の部分、誘電体構造及び第2の部分は、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って配列される。上部電極と下部電極は、第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向において重なる。
【0018】
幾つかの実施形態において、サブ画素の数は、4つであり、サブ画素の各内部電極は、傾斜角を有し、隣接する2つのサブ画素の内部電極の傾斜角は、45度の角度差を有する。
【0019】
幾つかの実施形態において、サブ画素は、第1の傾斜角を有する第1のサブ画素と、第2の傾斜角を有する第2のサブ画素と、第3の傾斜角を有する第3のサブ画素と、第4の傾斜角を有する第4のサブ画素とを含み、第1の傾斜角は、第2の傾斜角、第3の傾斜角及び第4の傾斜角より小さく、第1の傾斜角は、90度、120度又は150度である。
【0020】
幾つかの実施形態において、画素の数は、4つであり、画素は、画素アレイを形成し、画素アレイは、CYYMモザイク配列を含み、該画素アレイは、1つの青緑色画素、1つの赤紫色画素及び2つの黄色画素を含む。
【0021】
幾つかの実施形態において、画素の数は、4つであり、画素は、画素アレイを形成し、画素アレイは、RGGBモザイク配列を含み、該画素アレイは、1つの赤色画素、1つの青色画素及び2つの緑色画素を含む。
【0022】
幾つかの実施形態において、画素の数は、4つであり、画素は、画素アレイを形成し、画素アレイは、CYGMモザイク配列を含み、該画素アレイは、1つの青緑色画素、1つの黄色画素、1つの緑色画素及び1つの赤紫色画素を含む。
【0023】
幾つかの実施形態において、画素の数は、4つであり、画素は、画素アレイを形成し、画素アレイは、RGBWモザイク配列を含み、該画素アレイは、1つの赤色画素、1つの緑色画素、1つの青色画素及び1つの白色画素を含む。
【0024】
幾つかの実施形態において、画像センサは、nチャネルデバイスを含み、中間層は、光電変換層の上部電極に面する上面に位置し、各内部電極の金属構造及び誘電体構造は、対応する中間層の光電変換層と反対側の面と接触する。
【0025】
幾つかの実施形態において、画像センサは、pチャネルデバイスを含み、各中間層は、金属構造及び誘電体構造の下部を取り囲み、中間層及び下部は、光電変換層に埋め込まれる。
【0026】
前述の実施形態において、本開示の各内部電極がハイブリッド構造であり、かつ内部電極のピッチ及び幅が光の波長及びデューティサイクルに基づいて決定することができるため、本開示の上部電極の構成は、波長範囲により光をフィルタリングし、光を偏光になるようにフィルタリングすることができる。したがって、上部電極は、カラーフィルタと偏光子の両方の機能を実行することができる。言い換えれば、本開示の上部電極は、電極、カラーフィルタ及び偏光子の一体構造である。
【0027】
本発明は、以下の添付図面を参照して、実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示の一実施形態に係る画像センサの断面図である。
【
図2A】本開示の一実施形態に係る画像センサの上部電極の上面図である。
【
図3A】本開示の別の実施形態に係る上部電極の上面図である。
【
図4】本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素の上面図である。
【
図5】本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素の上面図である。
【
図6A】本開示の一実施形態に係る画像センサの画素アレイの上面図である。
【
図6B】本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素アレイの上面図である。
【
図6C】本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素アレイの上面図である。
【
図6D】本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素アレイの上面図である。
【
図7A】、本開示の様々な実施形態に係る、異なる電極構造を透過した光の透過率対波長シミュレーション結果のプロット図である。
【
図7B】、
図7Aのシミュレーション結果から導かれた消光比のプロット図である。
【
図8A】本開示の様々な実施形態に係る、異なる電極構造を透過した光の透過率対波長シミュレーション結果のプロット図である。
【
図8B】
図8Aのシミュレーション結果から導かれた消光比のプロット図である。
【
図9A】本開示の様々な実施形態に係る、異なる電極構造を透過した光の透過率対波長シミュレーション結果のプロット図である。
【
図9B】
図9Aのシミュレーション結果から導かれた消光比のプロット図である。
【
図10】異なる色の光に対する内部電極の寸法特性の表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態を詳細に参照し、それらの例を添付図面に示す。可能な限り、同じ又は類似の部品を指すために、図面及び説明において同じ参照番号を使用する。
【0030】
図1は、本開示の一実施形態に係る画像センサ10の断面図である。画像センサ10は、電極構造100及び光電変換層200(PCL)を含む。電極構造100は、上部電極110と、上部電極110の下方にある下部電極120とを含む。光電変換層200は、上部電極110と下部電極120との間にある。上部電極110と下部電極120は、第3の方向Zにおいて重なる。光電変換層200は、光を電気信号に変換するように構成される。例えば、光電変換層200は、有機ポリマー又はペロブスカイトにより形成することができる。上部電極110を透過した光は、光電変換層200により電気信号に変換することができる。
【0031】
画像センサ10は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサである。画像センサ10は、金属配線300、基板400及びレンズアレイ500を更に含む。基板400は、トランジスタ及びコンデンサ(未図示)を含む。トランジスタは、n型MOSFET及びp型MOSFETを含む。
【0032】
図2Aは、
図1の画像センサ10の上部電極110の上面図である。
図1及び
図2Aを参照されたい。本実施形態において、画素12は、2×2列に配列された4つのサブ画素(例えば、第1のサブ画素P1、第2のサブ画素P2、第3のサブ画素P3及び第4のサブ画素P4)を含むが、本開示は、これに限定されない。電極構造100の上部電極110は、第1のサブ画素P1、第2のサブ画素P2、第3のサブ画素P3及び第4のサブ画素P4にそれぞれ対応するパターンを有する。
【0033】
図2Aに示すように、上部電極110は、各サブ画素(P1~P4)において、1つの外部電極112と、外部電極112に接続された複数の内部電極114とを含む。外部電極112及び内部電極114は、光電変換層に位置する。各サブ画素(P1~P4)の内部電極114は、内部電極114が配列された方向と異なる方向に沿って延在する。例えば、第3のサブ画素P3に示すように、内部電極114は、第1の方向Xに沿って延在するとともに、第1の方向Xに垂直な第2の方向Yにおいて配列される。言い換えれば、内部電極114は、格子構造を形成する。
【0034】
各内部電極114は、金属構造1142及び誘電体構造1144を含む。金属構造1142は、第1の部分1142A及び第2の部分1142Bを含む。誘電体構造1144は、金属構造1142の第1の部分1142Aと第2の部分1142Bとの間に位置する。第1の部分1142A、第2の部分1142B及び誘電体構造1144は、帯状である。第1の部分1142A、誘電体構造1144及び第2の部分1142Bは、第2の方向Yに沿って積層される。言い換えれば、各内部電極114は、ハイブリッド構造である。
【0035】
図2Bは、
図2Aの2B-2B線に沿う断面図である。
図2Cは、
図2Aの画像センサ10の第3のサブ画素P3の3次元図である。
図2B及び
図2Cを参照されたい。各内部電極114は、金属構造1142と光電変換層200との間に、及び、誘電体構造1144と光電変換層200との間に位置する中間層1146を更に含む。中間層1146は、第1の方向Xに沿って延在する。光電変換層200、中間層1146及びハイブリッド構造(金属構造1142及び誘電体構造1144により形成される)は、第3の方向Zに沿って積層される。第3の方向Zは、本明細書で長手方向である。
【0036】
中間層1146は、透明導電性酸化物(TCO)を含む。例えば、透明導電性酸化物は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アモルファスインジウムガリウム亜鉛酸化物(α-IGZO)又はアモルファスZSO(α-ZSO)等を含んでもよい。
【0037】
図2Aに示すように、第1のサブ画素P1、第2のサブ画素P2、第3のサブ画素P3及び第4のサブ画素P4の内部電極114は、それぞれ、第1の傾斜角θ1、第2の傾斜角θ2、第3の傾斜角θ3及び第4の傾斜角θ4を有する。本明細書の傾斜角(θ1~θ4)は、第1の方向Xに対して反時計回りに測定された角として定義される。隣接する2つのサブ画素(P1~P4)の内部電極114の傾斜角(θ1~θ4)は、45度の角度差を有する。第1のサブ画素P1の第1の傾斜角θ1は、他のサブ画素(すなわち、第2のサブ画素P2~第4のサブ画素P4)の傾斜角(すなわち、第2の傾斜角θ2~第4の傾斜角θ4)より小さい。本実施形態において、サブ画素(P1~P4)の内部電極114の傾斜角(θ1~θ4)は、それぞれ、90度、135度、180度及び215度である。サブ画素(P1~P4)の偏光角E1~E4は、それぞれ、0度、45度、90度及び135度である。具体的には、本明細書の偏光角は、上部電極110を通過した光の偏光状態を示す。言い換えれば、上部電極110のパターンは、4方向偏光アレイである。したがって、内部電極114は、光を偏光になるようにフィルタリングすることができる。このような構成により、画像センサ10は、高い消光比(extinction ratio)を有することができる。このように、反射光を効率的に除去することができ、画像品質を改善することができる。それに応じて、上部電極110は、内部電極114の前述のパターンにより、偏光子として使用することができる。
【0038】
図2Bに示すように、内部電極114の寸法パラメータは、ピッチp、幅w及び高さhを含む。ピッチpは、隣接する2つの内部電極114間の距離である。各内部電極114の幅wは、第2の方向Yに沿って測定される。内部電極114は、周期パターンが形成されているため、そのデューティサイクルがw/pによって定義される。幾つかの実施形態において、内部電極114のデューティサイクルは、20%~90%の範囲にある。幾つかの好ましい実施形態において、内部電極のデューティサイクルは、50%~90%の範囲にある。好ましい実施形態において、内部電極114の高さhは、光透過率の低下を回避するために500μmより小さいが、本開示は、これに限定されない。
【0039】
内部電極114のピッチpは、0.5λ~0.75λの範囲で定義され、λが光スペクトルのピーク又は谷に対応する。例えば、画素12が青緑色カラーフィルタであるように設計される場合、λの値は、青緑色光スペクトルの波長の谷により決定することができる。青緑色光は、青色光と緑色光との混合光であると見なすことができるため、波長の谷が約630nm(すなわち、青緑色の補色の波長のピーク)である。これらの条件では、ピッチpは、315nm~472nmの範囲にあり、幅wは、適切なデューティサイクルを選択することにより決定することができる。
【0040】
図2Bに示すように、S波(s偏光)が内部電極114に向かって進む場合、S波SWは、上部電極110を透過した後、青緑色のS波SW′(C)になり、P波PW(p偏光)は、上部電極110に反射した後、赤色P波PW′(R)になる。つまり、光の波長及びデューティサイクルに基づいて内部電極のピッチp及び幅wを定義することにより、上部電極110は、波長範囲により光をフィルタリングすることができる。したがって、上部電極110は、内部電極114の前述の寸法パラメータにより、カラーフィルタとして使用することができる。
【0041】
それに応じて、ハイブリッド構造として設計された内部電極114を用いることと、光の波長及びデューティサイクルに基づいて内部電極114のピッチp及び幅wを定義することとにより、本開示の上部電極110は、カラーフィルタ及び偏光子の両方の機能を実行することができる。言い換えれば、上部電極110は、電極、カラーフィルタ及び偏光子の一体構造であり、画像センサ10は、多機能画像センサである。したがって、電極の上方に積層された追加のカラーフィルタ層及び偏光子層を形成する必要がない。
【0042】
図2B及び
図2Cを参照されたい。本実施形態において、電極構造100の構成は、nチャネルデバイスにおいて使用される。外部電極112は、内部電極114の中間層1146に物理的かつ電気的に接続される。外部電極112と中間層1146は、同じ材料を有する。言い換えれば、外部電極112は、透明導電性酸化物を含む。外部電極112及び中間層1146は、光電変換層200の上面210に位置する。つまり、中間層1146は、光電変換層200の上部電極110に面する上面210に位置する。各内部電極114の金属構造1142及び誘電体構造1144は、対応する中間層1146の上面と接触する。幾つかの実施形態において、外部電極112の厚さtは、100nmより小さいが、本開示は、これに限定されない。
【0043】
nチャネルについて、中間層1146(例えば、透明導電性酸化物)の仕事関数エネルギーは、金属構造1142の仕事関数エネルギーと光電変換層200(例えば、有機材料)の仕事関数エネルギーとの間の範囲にあるように選択することができる。金属構造1142は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、タングステン又は合金等の金属を含んでもよい。このように、金属構造と光電変換層との間に中間層1146を形成することにより、金属構造と光電変換層との間の位置エネルギー差を滑らかにすることができる。したがって、金属構造1142から光電変換層200への位置エネルギーがより滑らかに低減するため、キャリア伝導(nチャネルデバイスにおける電子)がより効率的になることができ、また透明導電性酸化物を含む中間層1146をハイブリッド構造と光電変換層200との間に堆積することにより、キャリア輸送性能を向上させることができる。
【0044】
図3Aは、本開示の別の実施形態に係る画像センサ10aの上部電極110aの上面図である。画像センサ10aは、
図2Aに示される画像センサ10と類似する。上部電極110aの外部電極112aが内部電極114aの金属構造1142aに接続されるという点で相違する。外部電極112a及び金属構造1142aは、同じ材料を有する。
【0045】
図3Bは、
図3Aの3B-3B線に沿う断面図である。
図3Cは、
図3Aの画像センサ10aの3次元図である。
図3B及び
図3Cを参照されたい。内部電極114aの各中間層1146aは、金属構造1142a及び誘電体構造1144の下部1142Lを取り囲み、中間層1146aと、金属構造1142a及び誘電体構造1144の下部1142Lとは、光電変換層200に埋め込まれる。本実施形態において、光電変換層200に埋め込まれた中間層1146aの深さd1は、金属構造1142aの光電変換層200に埋め込まれた部分の深さd2と実質的に同じであるが、本開示は、これに限定されない。別の実施形態において、深さd1は、深さd2より小さくてもよい。
【0046】
電極構造100aの構成は、pチャネルデバイスにおいて使用される。pチャネルデバイスについて、金属構造1142aから光電変換層200への位置エネルギーがより滑らかに増加するため、キャリア伝導(pチャネルデバイスにおけるホール)はより効率的になることができる。それに応じて、中間層1146aをハイブリッド構造と光電変換層200との間に堆積することにより、キャリア輸送性能を向上させることができる。
【0047】
図4は、本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素12aの上面図である。本実施形態において、サブ画素(P1~P4)の内部電極114の傾斜角θ5~θ8は、それぞれ、120度、165度、210度及び255度である。傾斜角θ5~θ8は、本明細書で第1の方向Xに対して反時計回りに測定された角として定義される。サブ画素(P1~P4)の偏光角E5~E8は、それぞれ、30度、75度、120度及び165度である。画素12aの構成は、画素12の構成と類似する利点を有するため、以下では説明を省略する。
【0048】
図5は、本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素12bの上面図である。本実施形態において、サブ画素(P1~P4)の内部電極の傾斜角度(θ9~θ12)は、それぞれ、150度、195度、240度及び285度である。傾斜角(θ9~θ12)は、本明細書で第1の方向Xに対して反時計回りに測定された角として定義される。サブ画素(P1~P4)の偏光角E9~E12は、それぞれ、60度、105度、150度及び195度である。画素12bの構成は、画素12の構成と類似する利点を有するため、以下では説明を省略する。
【0049】
図2A、
図4及び
図5に示される傾斜角(θ1~θ12)の具体的な値は、隣接する2つのサブ画素の内部電極の傾斜角が45度の角度差を有する限り、調整することができることに留意されたい。換言すれば、対角線方向に沿って配列された2つのサブ画素の内部電極の傾斜角は、90度の角度差を有する。
【0050】
図6Aは、本開示の一実施形態に係る画像センサの画素アレイ20の上面図である。画素アレイ20は、モザイクパターン配列を有する。本実施形態において、モザイクパターンは、CYYMモザイク配列である。1つの青緑色画素12C(青緑色サブ画素群)、1つの赤紫色画素12M(赤紫色サブ画素群)及び2つの黄色画素12Y(2つの黄色サブ画素群)は、CYYM配列を構成する。本明細書の各画素は、
図2Aに示される画素12と類似する構成を有する。青緑色画素12Cの内部電極114Cは、内部電極114Cを透過した光が青緑色になるように設計される。赤紫色画素12Mの内部電極114Mは、内部電極114Mを透過した光が赤紫色になるように設計される。黄色画素12Yの内部電極114Yは、内部電極114Yを透過した光が黄色になるように設計される。
図2A、
図4及び
図5に示される画素12、12a、12bの組み合わせも本明細書ですることができる。
【0051】
本明細書のCYYMモザイク配列は、例示的な実施形態に過ぎないことに留意されたい。別の実施形態において、モザイクパターンは、赤色、緑色、青色、白色等の異なる色に対応する画素で構成されてもよい。各画素の内部電極は、(赤色、緑色、青色、白色)光の波長に基づいて、同じ寸法パラメータに従って設計することができる。
【0052】
図6Bは、本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素アレイ20aの上面図である。本実施形態において、画像センサのモザイクパターンは、RGGBモザイク配列である。1つの赤色画素12R(赤色サブ画素群)、1つの青色画素12B(青色サブ画素群)及び2つの緑色画素12G(2つの緑色サブ画素群)は、RGGB配列を構成する。
【0053】
図6Cは、本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素アレイ20bの上面図である。本実施形態において、画像センサのモザイクパターンは、CYGMモザイク配列である。1つの青緑色画素12C(青緑色サブ画素群)、1つの黄色画素12Y(黄色サブ画素群)、1つの緑色画素12G(緑色サブ画素群)及び1つの赤紫色画素12M(赤紫色サブ画素群)は、CYGM配列を構成する。
【0054】
図6Dは、本開示の別の実施形態に係る画像センサの画素アレイ20cの上面図である。本実施形態において、画像センサのモザイクパターンは、RGBWモザイク配列である。1つの赤色画素12R(赤色サブ画素群)、1つの緑色画素12G(緑色サブ画素群)、1つの青色画素12B(青色サブ画素群)及び1つの白色画素12W(白色サブ画素群)は、RGBW配列を構成する。
【0055】
内部電極114C、114M、114Yの相違点は、
図7A~
図10に対応する以下の段落で説明される。
図7A、
図8A及び
図9Aは、本開示の様々な実施形態に係る、異なる電極構造を透過した光の透過率対波長シミュレーション結果のプロット図である。
図7B、
図8B及び
図9Bは、それぞれ
図7A、
図8A及び
図9Aのシミュレーション結果から導かれた消光比のプロット図である。
図10は、シミュレーションに使用される、異なる色の光に対する内部電極の寸法特性の表である。シミュレーションに使用される金属構造の材料は、アルミニウム、銅及びタングステンであってもよい。誘電体層の材料は、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、MgF
2(フッ化マグネシウム)又はポリマーであってもよい。
【0056】
図7Aは、
図6Aに示される青緑色画素12Cを透過したS波の透過率TS及びP波の透過率TPを示す。
図10に示すように、内部電極114Cのピッチpと幅wは、それぞれ、400nmと240nmである。つまり、内部電極114Cのデューティサイクルは、約60%である。上述したように、ピッチpは、0.5λ~0.75λの範囲にあり、λが本明細書で青緑色光スペクトルの谷に対応する。例えば、青緑色光スペクトルの谷(すなわち、青緑色の補色)は、約630nmである。したがって、内部電極114Cのピッチpは、315nm~472nmの範囲にある。
【0057】
これらの条件下で、青緑色画素12Cの内部電極114Cを透過したS波の透過率TSは、青緑色を示す。これに対して、P波の透過率TPは、S波の透過率TSより遥かに小さく、可視光スペクトル全体を通して、S波の透過率TSは、P波の透過率TPより大きい。したがって、
図7Bに示すように、消光比R(TS/TP)は、内部電極114Cを透過した光が支配的に青緑色のS波であることを示す。
【0058】
図8Aは、
図6Aに示される赤紫色画素12Mを透過したS波の透過率TS及びP波の透過率TPを示す。
図10に示すように、内部電極114Mのピッチpと幅wは、それぞれ、350nmと280nmである。つまり、内部電極114Mのデューティサイクルは、約80%である。同様に、赤紫色光スペクトル(青色光及び赤色光)の谷(すなわち、赤紫色の補色)は、約575nmである。したがって、内部電極114Mのピッチpは、287nm~430nmの範囲にある。
【0059】
これらの条件下で、内部電極114Mを透過したS波は、赤紫色を示す。これに対して、P波の透過率TPは、S波の透過率TSより遥かに小さく、可視光スペクトル全体を通して、S波の透過率TSは、P波の透過率TPより大きい。したがって、
図8Bに示すように、消光比R(TS/TP)は、内部電極114Mを透過した光が支配的に赤紫色のS波であることを示す。
【0060】
図9Aは、
図6Aに示される内部電極114Yを透過したS波の透過率TS及びP波の透過率TPを示す。
図10に示すように、内部電極114Yのピッチpと幅wは、それぞれ、300nmと180nmである。つまり、内部電極114Yのデューティサイクルは、約60%である。同様に、黄色光スペクトル(緑色光及び赤色光)の谷(すなわち、黄色の補色)は、約440nmである。したがって、内部電極114Yのピッチpは、220nm~330nmの範囲にある。
【0061】
これらの条件下で、内部電極114Yを透過したS波のTSは、黄色を示す。これに対して、P波の透過率TPは、S波の透過率TSより遥かに小さく、可視光スペクトル全体を通して、S波の透過率TSは、P波の透過率TPより大きい。したがって、
図9Bに示すように、消光比R(TS/TP)は、内部電極114Yを透過した光が支配的に黄色のS波であることを示す。
【0062】
要約すれば、本開示の各内部電極がハイブリッド構造であり、かつ内部電極のピッチ及び幅が光の波長及びデューティサイクルに基づいて決定することができるため、本開示の上部電極の構成は、波長範囲により光をフィルタリングし、光を偏光になるようにフィルタリングすることができる。したがって、上部電極は、カラーフィルタと偏光子の両方の機能を実行することができる。言い換えれば、本開示の上部電極は、電極、カラーフィルタ及び偏光子の一体構造であり、画像センサは、多機能画像センサである。また、TCOを含む中間層をハイブリッド構造と光電変換層との間に堆積することにより、キャリア輸送性能を向上させることができる。
【0063】
本発明は、特定の実施形態を参照しながら具体的に説明されたが、他の実施形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるものではない。
【0064】
本発明の範囲又は精神から逸脱することなく、本発明の構造に様々な修正及び変形を行うことができることは、当業者にとって明らかである。上記に鑑み、本発明は、提供される本発明の修正及び変形をカバーすることを意図し、それらは以下の特許請求の範囲に含まれる。