(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】悪臭知覚を低減する化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07C 67/343 20060101AFI20240627BHJP
C07C 29/32 20060101ALI20240627BHJP
C07C 33/30 20060101ALI20240627BHJP
C07C 41/30 20060101ALI20240627BHJP
C07C 43/166 20060101ALI20240627BHJP
C07C 43/176 20060101ALI20240627BHJP
C07C 45/68 20060101ALI20240627BHJP
C07C 47/228 20060101ALI20240627BHJP
C07C 47/24 20060101ALI20240627BHJP
C07C 47/277 20060101ALI20240627BHJP
C07C 49/217 20060101ALI20240627BHJP
C07C 51/353 20060101ALI20240627BHJP
C07C 57/42 20060101ALI20240627BHJP
C07C 69/618 20060101ALI20240627BHJP
C07C 69/734 20060101ALI20240627BHJP
C07C 231/12 20060101ALI20240627BHJP
C07C 233/11 20060101ALI20240627BHJP
C07C 253/30 20060101ALI20240627BHJP
C07C 255/34 20060101ALI20240627BHJP
C07C 255/50 20060101ALI20240627BHJP
C07C 255/57 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
C07C67/343
C07C29/32
C07C33/30
C07C41/30
C07C43/166
C07C43/176
C07C45/68
C07C47/228
C07C47/24
C07C47/277
C07C49/217
C07C51/353
C07C57/42
C07C69/618
C07C69/734 Z
C07C231/12
C07C233/11
C07C253/30
C07C255/34
C07C255/50
C07C255/57
A61K8/34
A61K8/35
A61K8/36
A61K8/37
A61K8/40
A61K8/42
A61Q15/00
(21)【出願番号】P 2022185714
(22)【出願日】2022-11-21
(62)【分割の表示】P 2019561357の分割
【原出願日】2018-01-30
【審査請求日】2022-11-30
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519275504
【氏名又は名称】ケムコム エス アー
(73)【特許権者】
【識別番号】519275515
【氏名又は名称】ジボダン エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャトラン ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ゴーチ マルクス
(72)【発明者】
【氏名】グラニエ ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】クイネル ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】セル チャールズ スタンレー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイツェン アレックス
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04950467(US,A)
【文献】英国特許出願公開第02528480(GB,A)
【文献】特許第7182566(JP,B2)
【文献】Bioorg. Med. Chem. Lett.,2004年,Vol.14,pp.2477-2481
【文献】J. Org. Chem.,1971年,Vol.36, No.14,pp.2026-2027
【文献】ChemCatChem,2016年,Vol.8,pp.3575-3579,Supporting Informationのpp.S1-S9
【文献】J. Org. Chem.,2011年,Vol.76,pp.8053-8058
【文献】Chem. Eur. J.,2011年,Vol.17,pp.7167-7171
【文献】Tetrahedron Letters,1988年,Vol.29, No.6,pp.659-662
【文献】Chemical Communications,2011年,Vol.47,pp.2658-2660,Supporting Informationのpp.S1-S9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に記載の化合物を調製するための方法であって、
式(I)
【化1】
(a)式Aの化合物を式Bの化合物とカップリングし、それにより、式Cの化合物を得る工程、および
【化2】
(b1)式Cの化合物をホスホラン誘導体Dと接触させ、それにより、式(I)の化合物を得る工程;
【化3】
を含む、
(式中、
Xは、-CN、
-C(=O)O-Me、-C(=O)O-Et、-C(=O)CH
3
、-C(=O)NH
2
、-C(=O)NHCH
3
、-C(=O)N(CH
3
)
2
、-CH
2
OH、-CH(=O)、-C(=O)OH、-CH
2
OMeおよび-CH
2
OEtからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は
、C
5-6
アルキル、C
5-6
アルケニル、3-tert-ブチル-1-メチルプロピル、及びC
5
シクロアルキルで置換されたC
1
アルキルからなる群より選択され;
R
3は、水素
、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ
、シアノ
およびフルオロからなる群より選択され;
R
4は、水素
、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ
、シアノ
およびフルオロからなる群より選択され;
R
5は、水素、
フルオロおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素
であり;
R
7は、水素
であり;
R
11は、C
6
-
12
アリールまたはC
1-12アルキルであ
り、
但し、式(I)の化合物が、
エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エノエート、
(E)-5-((E)-ベンジリデン)ウンデカ-3-エン-2-オン、
(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エン-1-オール、
エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エノエート、
(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エン-1-オール、
(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エナール、および
エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)ノナ-2-エノエート
の場合を除く。)方法。
【請求項2】
式(I)に記載の化合物が、
【表1】
【表2】
【表3】
からなる群より選択される、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
アンドロステノンへのOR7D4の反応にアンタゴナイズする化合物を同定するインビトロ方法であって、
OR7D4をコードする核酸配列を発現する少なくとも1つの細胞またはその膜を、アンドロステノンおよび少なくとも1つの式(I)の試験化合物と接触させる工程、および
【化4】
アンドロステノンへのOR7D4の反応に対する少なくとも1つの試験化合物の効果を測定する工程を含む、
(式中、
Xは、-CN、-C(=O)OR
8、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである)方法。
【請求項4】
アンドロステノンまたは他のOR7D4アクチベーターの嗅覚知覚を低減または排除するための、式(I)
【化5】
(式中、
Xは、-CN、-C(=O)OR
8、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである)の化合物の使用。
【請求項5】
Xが、-CN、-C(=O)OC
1-4アルキル、-C(=O)-OH、-C(=O)-C
1-4アルキル、-C(=O)-NH
2、-C(=O)-NHC
1-4アルキル、-C(=O)-N(C
1-4アルキル)
2、ヒドロキシC
1-4アルキル、-C(=O)HおよびC
1-4アルコキシC
1-4アルキルからなる群より選択され;
R
1が水素またはC
1-4アルキルであり;
R
2が水素であるか、またはC
2-7アルキルおよびC
2-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3が、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシC
1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4が、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシC
1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5が、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシC
1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6が、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシC
1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R
7が、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-4アルコキシ、C
1-4アルコキシC
1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択される、請求項
3に記載の方法または請求項
4に記載の使用。
【請求項6】
Xが、-CN、-C(=O)OC
1-2アルキル、-C(=O)OH、C(=O)-C
1-2アルキル、-C(=O)-NH
2、-C(=O)-NHC
1-2アルキル、-C(=O)-N(CH
3)
2)、ヒドロキシC
1-2アルキル、-C(=O)HおよびC
1-2アルコキシC
1-2アルキルからなる群より選択され;
R
1が水素またはC
1-2アルキルであり;
R
2が水素であるか、またはC
2-7アルキルおよびC
2-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC
5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R
7が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択される、請求項
3、
5に記載の方法または請求項
4、
5に記載の使用。
【請求項7】
Xが、-CN、-C(=O)-O-CH
3、-C(=O)-O-CH
2-CH
3、-C(=O)OH、-C(=O)-CH
3、-C(=O)-CH
2-CH
3、-C(=O)-NH
2、-C(=O)-NH-CH
3、-C(=O)-N(CH
3)
2、-CH
2-OH、-CH
2-CH
2-OH、-C(=O)Hおよび-CH
2-O-CH
3、-CH
2-O-CH
2-CH
3からなる群より選択され;
R
1が水素または-CH
3であり;
R
2が水素であるか、またはC
2-7アルキルおよびC
5-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC
5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R
7が、水素、フルオロ、クロロ、C
1-6アルキル、C
1-2アルコキシ、C
1-2アルコキシC
1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択される、請求項
3、
5、
6のいずれか一項に記載の方法または請求項
4~
6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
Xが、-CN、-C(=O)-O-CH
3、-C(=O)-O-CH
2-CH
3、-C(=O)-CH
3、-C(=O)-NH
2、-C(=O)-NH-CH
3、-C(=O)-N(CH
3)
2からなる群より選択され;
R
1が水素または-CH
3であり;
R
2が水素であるか、またはC
5-7アルキルおよびC
5-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC
5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;ここで、R
1またはR
2の少なくとも1つが水素ではなく;
R
3が水素であり;R
4が水素であり;R
5が水素であり;R
6が水素であり;ならびにR
7が水素である、請求項
3、
5~
7のいずれか一項に記載の方法または請求項
4~
7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
式(I)に記載の化合物が、
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
からなる群より選択される、請求項
3、
5~
8のいずれか一項に記載の方法または請求項
4~
8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
式(I)に記載の化合物が、請求項1
又は2に記載の方法で調製される、請求項
3、
5~
9のいずれか一項に記載の方法または請求項
4~
9のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、悪臭分子5α-アンドロスト-16-エン-3-オンの知覚を低減する低臭気プロファイルを有する遮断分子として作用する新たな化合物に関する。本発明はまた、悪臭、特に汗の悪臭の知覚を低減するためのこのような化合物の使用に関する。本発明はまた、遮断分子を合成するための方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
5α-アンドロスト-16-エン-3-オン(アンドロステノン)はヒトの汗の成分であり、男性の汗に特に重要である(D.B.Gower,J.Steroid Biochem.,1972,3,45-103)。それは、唾液(S.Bird,D.B.Gower Experientia.1983 Jul 15;39(7):790-2)および腐敗尿(J.E.Amoore,P.Pelosi,L.J.Forrester Chem.Sens.Flavor 1977,2,401-405)においても見られる。それは雄ブタの代謝産物としても周知であり、肉の味のブタ臭として公知の独特の臭いに関連する(D.B.Gower and B.A.Ruparelia,J.Endocrin.,1993,137,167-187;V.Prelog and L.Ruzicka,Helv.Chim.Acta,1944,27,61)。それは、汗臭または尿臭として様々に説明される不快な臭気を有し、臭気検出閾値が非常に低い(A.Baydar,M.Petrzilka and M.-P.Schott,Chem.Senses,1993,18,661-668)。したがって、それは悪臭として商業的関心対象であり、消臭香水の1つの役割は、腋窩の汗におけるその存在を隠すことである。
【0003】
アンドロステノンおよび関連悪臭物質アンドロスタジエノンに対して感受性のヒト嗅覚受容体は、Kellerらによって同定されている(A.Keller,H.Zhuang,Q.Chi,L.B.Vosshall and H.Matsunami,Nature,2007,449,468-472 doi:10.1038/nature06162)。この受容体OR7D4(Genbankアクセッション番号EU49291)は、非常に厳密に調整された受容体であり、例えばアンドロステノンおよびアンドロスタジエノンなどの非常に限られた数の化合物に反応する。Kellerらは、個人のゲノムにおけるこの受容体の存在と、アンドロステノンを知覚する能力との間に強い関連があることを見出した。アンドロステノンに対するこの受容体の感受性を減少させる能力は、汗または尿の悪臭知覚の中和において、ならびにブタ肉のブタ臭の検出において有益であろう。したがって、OR7D4とアンドロステノン、アンドロスタジエノンまたは任意の他のOR7D4活性化剤との相互作用を遮断または低減する化合物は、この中和タスクを達成するために効率的である可能性がある。
【0004】
ある分子が別の分子の受容体活性化能力を遮断し得ることが公知である。この現象は拮抗作用として公知であり、嗅覚領域におけるその発生の初期の一例は、Bellら(G.A.Bell,D.G.Laing and H.Panhuber,Brain Res.,1987,426,8-18)によって報告されており、ニューロンの活性化の尺度として嗅球のデオキシグルコース測定を使用して、ある臭気物質が、別の臭気物質に対するラット嗅覚ニューロン、したがって嗅覚受容体の感受性を減少させ得ることが見出された。研究されたペアは、ヒトにおいて示される感覚効果と相関した。
【0005】
それ以来、嗅覚受容体の多くの拮抗作用例が報告されている。Spehrらは、ウンデカナールがOR1D2をアンタゴナイズし、ブルジョナールの認識を妨げることを見出し(M.Spehr,G.Gisselmann,A.Poplawski,J.A.Riffell,C.H.Wetzel,R.K.Zimmer,H.Hatt,Science,2003,299,2054-2058)、また、Brodinらは、この受容体効果が感覚効果に変わることを見出した(M.Brodin,M.Laska and M.J.Olsson,Chem.Senses,2009,34(7),625-630 doi:10.1093/chemse/bjp044.)。
【0006】
Okaらは、メチルイソオイゲノールおよびイソサフロールによるマウス受容体mOREGのオイゲノールに対する反応の拮抗作用を報告した(Y.Oka,M.Omura,H.Kataoka and K.Touhara,EMBO J.,2004,23(1),120-126)。後者の論文では、彼らは、イソオイゲノールの保存サンプル中で同定されたイソオイゲノールの分解産物もmOREGのアンタゴニストであることを報告した(Y.Oka,A.Nakamura,H.Watanabe and K.Touhara,Chem.Senses,2004,29,815-822 doi:10.1093/chemse/bjh247.)。Etterは、(+)-カルボンが、オイゲノールに対するmOREGの反応をアンタゴナイズすることを見出した(S.Etter,Ph.D.Thesis 3810,Ecole Polytechnique Federale de Lausanne,2007.)。Sanzらは、広く調整された受容体OR1G1が、1-ヘキサノール、ヘキサナールおよびシクロヘキサノンによってアンタゴナイズされたことを見出した。G.Sanz,C.Schlegel,J.-C.Pernollet,and L.Briand Chem.Senses,2005,30,69-80,doi:10.1093/chemse/bji002.Isewkaは、シンナミルアルコールおよび2-フェニルエタノールがラット受容体OR5のアンタゴニストであり、ヒト受容体OR17-4が2-メチルシクロヘキサノン、酢酸2-フェニルエチルおよび吉草酸によってアンタゴナイズされることを見出した(P.Isewka,Ph.D.Thesis 3668,Ecole Polytechnique Federale de Lausanne,2006.)。Peterlinらは、リガンドとしてオクタナールを使用してマウスORI7受容体に対する一連のアルデヒドの効果を調査し、3-シクロペンチルプロパナール、2-シクロヘキシルアセトアルデヒド、シクロヘプタンカルボキサルデヒドがアンタゴニストとして機能したことを見出した(Z.Peterlin,Y.Li,G.Sun,R.Shah,S.Firestein and K.Ryan,Cell,Chemistry and Biology,2009,1317-1327)。
【0007】
これらの例のすべてにおいて、アンタゴニストは臭気を有する。しかしながら、香水類において、またはより一般には香味料および香料の分野において使用される場合、好ましくは、アンタゴニストは無臭であるか、または少なくとも低臭気プロファイルを有するべきである。実際、悪臭の知覚を遮断する無臭分子は、この香水または香料の一般的な臭気品質を改変せずに、香水または香料に導入され得る。したがって、それは、新たな香料を作るためにより大きな自由度を香水製造者に与えるであろう。加えて、無臭遮断薬は、いかなるさらなる臭気ももたらさないので、遮断すべき悪臭が関与する異なる状況において使用され得る。例えば、アンドロステノンは、ヒトの汗において産生される悪臭分子であるが、雄ブタの尿および雄ブタの肉を汚染する悪臭の原因でもある。したがって、花の香りを有する遮断薬は、香水またはエアフレッシュナーにおいて使用され得るが、ブタ肉のブタ臭を中和することを目的とした食品添加物として適切ではないであろう。
【0008】
これまでに、アンドロステノン受容体OR7D4について、アンタゴニストは報告されていない。
【発明の概要】
【0009】
今回、本発明者らは、OR7D4のアンタゴニストとして機能する一連の化合物を発見し、この拮抗作用が感覚効果をもたらすことをさらに見出した。したがって、アンドロステノンと一緒に本発明の化合物を使用することにより、アンドロステノンの嗅覚知覚が有意に低減または排除される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、式(I)
【化1】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルであり;
ただし、以下のとおりである:
R
1=R
2=水素である場合、R
3は、C
3-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルから選択され;
Xが-C(=O)-NR
9R
10である場合、R
1は-CH
3であり;
R
3=R
4=R
6=R
7=水素である場合、R
2は、C
3-7アルキルおよびC
2-7アルケニルからなる群より選択され、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
Xが-C(=O)Hまたは-C(=O)OR
8である場合、R
4はC
1-6アルコキシではない);
の化合物(式(I)の化合物は、
メチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエート;
メチル4-ベンジリデン-2-ヘプテノエート;
(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オール;
(3E,5E)-5-メチル-6-(m-トリル)ヘキサ-3,5-ジエン-2-オン;
メチル(2E,4E)-4-ベンジリデンヘプタ-2-エノエート;
メチル(2E,4E)-4-[(4-メトキシフェニル)メチレン]ノナ-2-エノエート;および
(2E,4E)-4-ベンジリデンデカ-2-エンニトリル
のいずれでもない)またはその立体異性体が提供される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、本発明の第1の態様の式(I)の化合物を調製するための方法であって、
(a)式Aの化合物を式Bの化合物とカップリングし、それにより、式Cの化合物を得る工程、および
【化2】
(b1)式Cの化合物をホスホラン誘導体Dと接触させ、それにより、式(I)の化合物を得る工程;
【化3】
または(b2)式Cの化合物をホスホネート誘導体Fと接触させ、それにより、式(I)の化合物を得る工程;
【化4】
を含む方法が提供され、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびXは、本明細書で定義されるものと同じ意味を有し;R
11は、C
1-12アルキルまたはC
6-12アリールであり;ならびにR
12は、C
1-12アルキルである。
【0012】
第3の態様では、本発明はまた、望ましくない臭気;好ましくは体の悪臭、より好ましくは哺乳動物の体の悪臭を抑制または軽減するための、式(I);
【化5】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物(ただし、式(I)の化合物は、(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オールではない)の使用を包含する。
【0013】
第4の態様では、本発明はまた、OR7D4のアンタゴニストとしての、本発明の第1の態様の化合物またはメチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエートの使用、好ましくは非治療的使用を包含する。
【0014】
第5の態様では、本発明はまた、本発明の第1の態様の化合物を含む消費者製品を包含する。
【0015】
第6の態様では、本発明はまた、望ましくない臭気、好ましくは体の悪臭、より好ましくは哺乳動物の体の悪臭、好ましくはヒトの腋窩の悪臭を抑制または軽減するための方法であって、悪臭中和有効量の式(I)
【化6】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物(ただし、式(I)の前記化合物は、(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オールではない)を皮膚に適用する工程を含む方法を包含する。
【0016】
第7の態様では、本発明はまた、空間または基材における悪臭を中和する方法であって、悪臭中和有効量の式(I)
【化7】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物(ただし、式(I)の前記化合物は、(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オールではない)
を導入する工程を含む方法を包含する。
【0017】
独立および従属請求項および記述は、本発明の特定の好ましい特徴を示す。従属請求項および記述からの特徴は、必要に応じて独立または他の従属請求項および記述の特徴と組み合わされ得る。
【0018】
本発明をさらに説明する。以下の段落では、本発明の異なる態様をより詳細に定義する。そのようで定義される各態様は、特に反対の明確な指示がない限り、1つまたは複数の任意の他の態様と組み合わされ得る。特に、好ましいまたは有利であると示されている任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示されている任意の他の特徴と組み合わされ得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
本発明を説明する前に、本発明は、記載されている特定の化合物、方法およびプロセスに限定されず、当然のことながら、このような化合物、方法およびプロセスは変動し得ることを理解すべきである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるので、本明細書で使用される専門用語は限定的であることを意図しないことも理解すべきである。
【0020】
本発明の化合物およびプロセスを説明する場合、使用される用語は、文脈上特に指示がない限り、以下の定義にしたがって解釈されるべきである。
【0021】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「a」、「an」および「the」という単数形は、文脈上特に明確な指示がない限り、単数および複数の指示対象の両方を含む。例として、「化合物」は、1つの化合物または1つを超える化合物を意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「含む(comprised of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」または「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、記載されていないさらなるメンバー、要素または方法工程を除外しない。「含む(comprising)」、「含む(comprises)」および「含む(comprised of)」という用語はまた、「からなる(consisting of)」という用語を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、パラメータ、量、時間的期間などの測定可能な値に言及する場合、変動が、開示される本発明において実施するために適切である限り、特定値のおよび特定値からの+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、さらにより好ましくは+/-0.1%以下の変動を包含することを意味する。「約」という修飾語が言及する値それ自体もまた、具体的かつ好ましくは開示されていることを理解すべきである。
【0024】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、2つ以上の項目のリストで使用される場合、列挙されている項目のいずれか1つがそれ自体で用いられ得るか、または列挙されている項目の2つ以上の任意の組み合わせが用いられ得ることを意味する。例えば、リストがグループA、Bおよび/またはCを含むと記載されている場合、リストは、Aのみ;Bのみ;Cのみ;AおよびBの組み合わせ;AおよびCの組み合わせ、BおよびCの組み合わせ;またはA、BおよびCの組み合わせを含み得る。
【0025】
端点による数値範囲の記載は、すべての整数および必要に応じてその範囲内に入る分数を含む(例えば、多数の要素に言及する場合には、1~5は1、2、3、4を含み得、例えば、測定値に言及する場合には、1.5、2、2.75、3.80も含み得る)。端点の記載は、端点の値それ自体も含む(例えば、1.0~5.0は、1.0および5.0の両方を含む)。本明細書に記載される任意の数値範囲は、その中に入るすべての部分範囲を含むことを意図する。
【0026】
本明細書を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書を通して様々な箇所で登場する「一実施形態では」または「実施形態では」という語句は、必ずしもすべてが同じ実施形態に言及するわけではないが、言及してもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、本開示から当業者には明らかであるように、特定の特徴、構造または特性は、任意の適切な方法で組み合わされ得る。さらに、本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではないいくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、当業者によって理解されるように異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、以下の特許請求の範囲および記述では、実施形態のいずれかを任意の組み合わせで使用し得る。
【0027】
特に定義がない限り、技術用語および科学用語を含む本発明の開示において使用されるすべての用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。さらなるガイダンスによれば、本明細書で使用される用語の定義は、本発明の教示をよりよく認識するために含まれる。
【0028】
本発明を説明する場合、使用される用語は、文脈上特に指示がない限り、以下の定義にしたがって解釈されるべきである。
【0029】
「置換」という用語が本明細書で使用される場合には常に、示されている原子の通常の原子価を超えず、置換が化学的に安定な化合物(すなわち、反応混合物からの単離を免れるために十分にロバストな化合物)をもたらす限り、「置換」を使用する表現において示されている原子上の1個以上の水素原子が、示されている基からの選択で置き換えられることを意味する。
【0030】
基または基の一部としての「ハロ」や「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードの総称である。
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
本明細書で使用される場合、「シアノ」という用語は、基-C≡Nを指す。
【0031】
基または基の一部としての「C1-12アルキル」という用語は、式-CnH2n+1(式中、nは、1~12の範囲の数である)のヒドロカルビル基を指す。アルキル基は直鎖状または分枝状であり得、本明細書で示されているように置換され得る。したがって、例えば、「C1-6アルキル」には、1~6個の炭素原子を有するすべての直鎖状または分枝状アルキル基を含むので、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチルおよびその異性体(例えば、n-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチル);ペンチルおよびその異性体、ヘキシルおよびその異性体を含む。例えば、「C1-5アルキル」は、1~5個の炭素原子を有するすべての直鎖状または分枝状アルキル基を含むので、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチルおよびその異性体(例えば、n-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチル);ペンチルおよびその異性体を含む。例えば、「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有するすべての直鎖状または分枝状アルキル基を含むので、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、ブチルおよびその異性体(例えば、n-ブチル、i-ブチルおよびt-ブチル)を含む。例えば、「C1-3アルキル」は、1~3個の炭素原子を有するすべての直鎖状または分枝状アルキル基を含むので、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルを含む。
【0032】
基または基の一部としての「ヒドロキシC1-6アルキル」という用語は、上記で定義される意味を有するC1-6アルキル基であって、1個以上の水素原子が1個以上の本明細書で定義されるヒドロキシルでそれぞれ置き換えられたC1-6アルキル基を指す。ヒドロキシC1-6アルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなどが挙げられる。
【0033】
基または基の一部としての「ハロC1-6アルキル」という用語は、上記で定義される意味を有するC1-6アルキル基であって、1個以上の水素原子が1個以上の本明細書で定義されるハロゲンでそれぞれ置き換えられたC1-6アルキル基を指す。このようなハロC1-6アルキル基の非限定的な例としては、クロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチルなどが挙げられる。
【0034】
基または基の一部としての「C1-6アルコキシ」という用語は、式-ORb(式中、Rbは、本明細書の上記で定義されるC1-6アルキルである)を有する基を指す。適切なC1-6アルコキシの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシおよびヘキシルオキシが挙げられる。
【0035】
基または基の一部としての「C1-6アルコキシC1-6アルキル」という用語は、式-Ra-ORb(式中、Raは、C1-6アルキレンであり、Rbは、本明細書の上記で定義されるC1-6アルキルである)を有する基を指す。
【0036】
基または基の一部としての「ハロC1-6アルコキシ」という用語は、式-O-Rc(式中、Rcは、本明細書で定義されるハロC1-6アルキルである)の基を指す。適切なハロC1-6アルコキシの非限定的な例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、トリクロロメトキシ、2-ブロモエトキシ、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリクロロプロポキシ、4,4,4-トリクロロブトキシ.が挙げられる。
【0037】
基または基の一部としての「C2-7アルケニル」という用語は、直鎖状または分枝状であり得る不飽和ヒドロカルビル基であって、1つ以上の炭素-炭素二重結合を含み、2~7個の炭素原子を含む不飽和ヒドロカルビル基を指す。C2-7アルケニル基の例は、エテニル、2-プロペニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-ペンテニルおよびその異性体、2-ヘキセニルおよびその異性体、2,4-ペンタジエニルなどである。
【0038】
基または基の一部としての「C3-6シクロアルキル」という用語は、1個以上の環状構造を有し、3~6個の炭素原子、好ましくは5~6個の炭素原子を含む一価飽和ヒドロカルビル基である環状アルキル基を指す。シクロアルキルは、単環基または二環基を含む1個以上の環を含有するすべての飽和炭化水素基を含む。多環シクロアルキルのさらなる環は、1個以上のスピロ原子を介して縮合、架橋および/または結合し得る。C3-6シクロアルキル基の例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。
【0039】
基または基の一部としての「C6-12アリール」という用語は、典型的には6~12個の炭素原子を含む、単一の環(すなわち、フェニル)または互いに縮合した(例えば、ナフチル)もしくは共有結合的に連結した複数の芳香環を有する多不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指し、少なくとも1個の環は芳香族であり、好ましくは6~10個の炭素原子を含み、少なくとも1個の環は芳香族である。芳香環は、それに縮合した1~2個のさらなる環(シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールのいずれか)を必要に応じて含み得る。適切なアリールの例としては、C6-10アリール、より好ましくはC6-8アリールが挙げられる。C6-12アリールの非限定的な例は、フェニル、ビフェニリル、ビフェニルエニルまたは1-もしくは2-ナフタネリル;5-または6-テトラリニル、1-,2-,3-,4-,5-,6-,7-または8-アズレニル、4-,5-,6または7-インデニル、4-または5-インダニル、5-,6-,7-または8-テトラヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチルおよび1,4-ジヒドロナフチル;1-,2-,3-,4-または5-ピレニを含む。
【0040】
本発明で使用される場合には常に、「本発明の化合物」という用語または類似の用語は、一般式(I)の化合物および以下で定義されるその任意のサブグループ(そのすべての多形体および晶癖ならびにその異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)を含むことを意味する。
【0041】
本明細書で使用される場合、特に指定がない限り、「立体異性体」という用語は、本明細書の構造式の化合物が有し得るすべての可能な異なる異性体および立体配座形態、特に、基本分子構造のすべての可能な立体化学および立体配座異性体形態、すべてのジアステレオマー、エナンチオマーならびに/またはコンフォーマーを指す。いくつかの本発明の化合物は異なる互変異性形態で存在し得、後者はすべて、本発明の範囲内に含まれる。
【0042】
式(I)の化合物またはその任意のサブグループは、アルケニルまたはアルケニレン基を含み、幾何シス/トランス(またはZ/E)異性体はここに包含される。低エネルギー障壁を介して構造異性体が相互変換可能である場合、互変異性的な異性(「互変異性」)が起こり得る。これは、例えばケト基を含有する式(I)の化合物のプロトン互変異性、または芳香族部分を含有する化合物のいわゆる原子価互変異性の形態をとり得る。したがって、単一の化合物は、1つを超えるタイプの異性を示し得る。
シス/トランス異性体は、当業者に周知の従来技術、例えばクロマトグラフィーおよび分別結晶化により分離され得る。
【0043】
本発明の化合物、方法および使用の好ましい記述(特徴)および実施形態は、以下に記載される。そのように定義される本発明の各記述および実施形態は、特に反対の明確な指示がない限り、任意の他の記述および/または実施形態と組み合わされ得る。特に、好ましいまたは有利であると示されている任意の特徴は、好ましいまたは有利であると示されている任意の他の1つもしくは複数の特徴または記述と組み合わされ得る。これに関して、本発明は、特に、任意の他の記述および/または実施形態と共に、以下の番号の態様および実施形態1~43の1つ以上のいずれか1つまたは任意の組み合わせによって捉えられる。
【0044】
1.式(I)
【化8】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
10は、水素またはC
1-6アルキルであり;
ただし、以下のとおりである:
R
1=R
2=水素である場合、R
3は、C
3-6アルキル、C
1-6アルコキシおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルから選択され;
Xが-C(=O)-NR
9R
10である場合、R
1は-CH
3であり;
R
3=R
4=R
6=R
7=水素である場合、R
2は、C
3-7アルキルおよびC
2-7アルケニルからなる群より選択され、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
Xが-C(=O)Hまたは-C(=O)OR
8である場合、R
4はC
1-6アルコキシではない)の化合物(式(I)の化合物は、
メチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエート;
メチル4-ベンジリデン-2-ヘプテノエート;
(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オール;
(3E,5E)-5-メチル-6-(m-トリル)ヘキサ-3,5-ジエン-2-オン;
メチル(2E,4E)-4-ベンジリデンヘプタ-2-エノエート;
メチル(2E,4E)-4-[(4-メトキシフェニル)メチレン]ノナ-2-エノエート;および
(2E,4E)-4-ベンジリデンデカ-2-エンニトリル
のいずれでもない)またはその立体異性体。
【0045】
2.24個の炭素原子を超えず、好ましくは22個未満の炭素原子を有する、記述1(ステートント)に記載の化合物。
【0046】
3.Xが、-C(=O)OC1-4アルキル、シアノ、-C(=O)-OH、-C(=O)-C1-4アルキル、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NHC1-4アルキル、-C(=O)-N(C1-4アルキル)2、ヒドロキシC1-4アルキル、-C(=O)HおよびC1-4アルコキシC1-4アルキルからなる群より選択され;
R1が水素またはC1-4アルキルであり;
R2が水素であるか、またはC2-7アルキルおよびC2-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R7が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択される、記述1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【0047】
4.Xが、-C(=O)OC1-2アルキル、シアノ、-C(=O)OH、C(=O)-C1-2アルキル、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NHC1-2アルキル、-C(=O)-N(CH3)2)、ヒドロキシC1-2アルキル、-C(=O)HおよびC1-2アルコキシC1-2アルキルからなる群より選択され;
R1が水素またはC1-2アルキルであり;
R2が水素であるか、またはC2-7アルキルおよびC3-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R7が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択される、記述1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【0048】
5.Xが、-C(=O)-O-CH3、シアノ、-C(=O)-O-CH2-CH3、-C(=O)OH、-C(=O)-CH3、-C(=O)-CH2-CH3、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NH-CH3、-C(=O)-N(CH3)2、-CH2-OH、-CH2-CH2-OH、-C(=O)Hおよび-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3からなる群より選択され;
R1が水素または-CH3であり;
R2が水素であるか、またはC2-7アルキルおよびC5-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R7が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択される、記述1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【0049】
6.Xが、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-6アルキル、-C(=O)-NR9R10、-C(=O)HおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルからなる群より選択され;
R1が、水素またはC1-6アルキルであり;
R2は水素であるか、またはC1-7アルキルおよびC2-7アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R7が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R8が、水素またはC1-6アルキルであり;
R9が、水素またはC1-6アルキルであり;
R10が、水素またはC1-6アルキルである記述1~2のいずれか一項に記載の化合物。
【0050】
7.Xが、-C(=O)OC1-4アルキル、シアノ、-C(=O)-OH、-C(=O)-C1-4アルキル、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NHC1-4アルキル、-C(=O)-N(C1-4アルキル)2、-C(=O)HおよびC1-4アルコキシC1-4アルキルからなる群より選択され;
R1が水素またはC1-4アルキルであり;
R2が水素であるか、またはC2-7アルキルおよびC2-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R7が、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルコキシC1-4アルキルおよびシアノからなる群より選択される、記述1~2、6のいずれか一項に記載の化合物。
【0051】
8.Xが、-C(=O)OC1-2アルキル、シアノ、-C(=O)OH、C(=O)-C1-2アルキル、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NHC1-2アルキル、-C(=O)-N(CH3)2)、-C(=O)HおよびC1-2アルコキシC1-2アルキルからなる群より選択され;
R1が水素またはC1-2アルキルであり;
R2が水素であるか、またはC2-7アルキルおよびC3-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R7が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択される、記述1~2、6~7のいずれか一項に記載の化合物。
【0052】
9.Xが、-C(=O)-O-CH3、シアノ、-C(=O)-O-CH2-CH3、-C(=O)OH、-C(=O)-CH3、-C(=O)-CH2-CH3、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NH-CH3、-C(=O)-N(CH3)2、-C(=O)Hおよび-CH2-O-CH3、-CH2-O-CH2-CH3からなる群より選択され;
R1が水素または-CH3であり;
R2が水素であるか、またはC2-7アルキルおよびC5-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択され;ならびに
R7が、水素、フルオロ、クロロ、C1-6アルキル、C1-2アルコキシ、C1-2アルコキシC1-2アルキルおよびシアノからなる群より選択される、記述1~2、6~8のいずれか一項に記載の化合物。
【0053】
10.Xが、-C(=O)-O-CH3、シアノ、-C(=O)-O-CH2-CH3、-C(=O)-CH3、-C(=O)-NH2、-C(=O)-NH-CH3、-C(=O)-N(CH3)2からなる群より選択され;
R1が水素または-CH3であり;
R2が水素であるか、またはC5-7アルキルおよびC5-6アルケニルから選択される基であり、各基が、1個以上のC5-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;ここで、R1またはR2の少なくとも1つが水素ではなく;
R3が水素であり;
R4が水素であり;
R5が水素であり;
R6が水素であり;ならびに
R7が水素である、記述1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【表5】
からなる群より選択される、記述1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【0059】
12.
【表6】
からなる群より選択される、化合物。
【0060】
13.表1に列挙されている化合物からなる群より選択される、化合物。
【0061】
14.エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチル-デカ-2-エノエート
【化9】
に対応する、記述1に記載の化合物。
【0062】
15.4-ベンジリデンデカ-2-エノニトリル
【化10】
に対応する、記述1に記載の化合物。
【0063】
16.5-ベンジリデン-3-メチルデカ-3-エン-2-オン
【化11】
に対応する、記述1に記載の化合物。
【0064】
17.エチル4-ベンジリデン-2-メチル-(2E,9)-デカジエノエート
【化12】
に対応する、記述1に記載の化合物。
【0065】
18.エチル4-ベンジリデン-(2,5,7,7)-テトラメチルオクタ-2-エノエート
【化13】
に対応する、記述1に記載の化合物。
【0066】
19.エチル5-ベンジル-4-メチルシクロペンチル-2-メチル-ペンタ-(2,4)-ジエノエート
【化14】
に対応する、記述1に記載の化合物。
【0067】
20.記述1~19のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、
(a)式Aの化合物を式Bの化合物とカップリングし、それにより、式Cの化合物を得る工程、および
【化15】
(b1)式Cの化合物をホスホラン誘導体Dと接触させ、それにより、式(I)の化合物を得る工程;
【化16】
または(b2)式Cの化合物をホスホネート誘導体Fと接触させ、それにより、式(I)の化合物を得る工程;
【化17】
を含み、
式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびXは、記述1~19のいずれか一項で定義されるものと同じ意味を有し;R
11は、C
1-12アルキルまたはC
6-12アリール;好ましくはC
1-5アルキルまたはフェニルであり、ならびにR
12は、C
1-12アルキル、好ましくはC
1―5アルキルである、方法。
【0068】
21.望ましくない臭気、好ましくは体の悪臭、好ましくは哺乳動物の体の悪臭を抑制または軽減するための、式(I);
【化18】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物(ただし、式(I)の化合物は、(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オールではない)の使用。
【0069】
22.前記化合物が、記述1~19のいずれか一項で定義される化合物である、記述21に記載の使用。
【0070】
23.望ましくない臭気を抑制または軽減するための方法であって、式(I);
【化19】
(式中、
Xは、-CN、-C(=O)OR
8、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物(ただし、式(I)の化合物は、(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オールではない)またはその立体異性体を使用する工程を含む、方法。
【0071】
24.前記化合物が、記述1~19のいずれか一項で定義される化合物である、記述23に記載の方法。
【0072】
25.OR7D4のアンタゴニストとしての使用のための、記述1~19のいずれか一項に記載の化合物またはメチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエートであって、好ましくは前記使用が非治療的である、記述1~19のいずれか一項に記載の化合物またはメチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエート。
【0073】
26.OR7D4のアンタゴニストとしての、記述1~19のいずれか一項に記載の化合物またはメチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエートの使用であって、好ましくは非治療的である、使用。
【0074】
27.記述1~19のいずれか一項に記載の化合物を含む、消費者製品。
【0075】
28.皮膚に対して使用するための、記述27で定義される消費者製品。
【0076】
29.エアフレッシュナーとしての使用のための、記述27で定義される消費者製品。
【0077】
30.食品添加物としての使用のための、記述27で定義される消費者製品。
【0078】
31.制汗剤または消臭製品であり、化粧的に許容され得る担体をさらに含む、記述27~30のいずれか一項に記載の消費者製品。
【0079】
32.皮膚に対する、記述27で定義される消費者製品の使用。
【0080】
33.エアフレッシュナーとしての、記述27で定義される消費者製品の使用。
【0081】
34.食品添加物としての記述27で定義される消費者製品の使用。
【0082】
35.制汗剤または消臭製品としての、記述27、28、31、32のいずれか一項に記載の消費者製品の使用。
【0083】
36.望ましくない臭気、好ましくはヒトの腋窩、好ましくは体の悪臭、より好ましくは哺乳動物の体の悪臭を抑制または軽減するための方法であって、悪臭中和有効量の式(I)
【化20】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物(ただし、式(I)の化合物は、(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オールではない)またはその立体異性体を皮膚に適用する工程を含む、方法。
【0084】
37.前記化合物が、記述1~19のいずれか一項で定義される化合物である、記述36に記載の方法。
【0085】
38.前記望ましくない臭気が受容体OR7D4のアクチベーターである、記述36~37のいずれか一項に記載の方法。
【0086】
39.前記望ましくない臭気がアンドロステノン(CAS番号18339-16-7)のものである、記述36~38のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
40.前記望ましくない臭気がアンドロスタジエノン(CAS番号4075-07-4)のものである、記述36~38のいずれか一項に記載の方法。
【0088】
41.空間または基材における悪臭を中和する方法であって、悪臭中和有効量の式(I)
【化21】
(式中、
Xは、-C(=O)OR
8、シアノ、-C(=O)-C
1-6アルキル、-C(=O)-NR
9R
10、ヒドロキシC
1-6アルキル、-C(=O)HおよびC
1-6アルコキシC
1-6アルキルからなる群より選択され;
R
1は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
2は水素であるか、またはC
1-7アルキルおよびC
2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC
3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R
3は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
4は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
5は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
6は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
7は、水素、ハロ、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロC
1-6アルキル、ハロC
1-6アルコキシ、C
1-6アルコキシC
1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R
8は、水素またはC
1-6アルキルであり;
R
9は、水素またはC
1-6アルキルであり;ならびに
R
10は、水素またはC
1-6アルキルである);
の化合物またはその立体異性体を導入する工程を含む、方法。
【0089】
42.前記化合物が、記述1~19のいずれか一項で定義される化合物である、記述41に記載の方法。
【0090】
43.前記基材が、ルームフレッシュナースプレー、香料拡散器、蝋燭、サシェ、衣類消臭剤、洗剤、柔軟剤、布用消臭剤、リネンスプレー、使い捨ておむつ、おむつ箱消臭剤、制汗剤、消臭剤、ゴミ袋、カーフレッシュナー、ペットケア製品および動物用トイレ砂材料からなる群より選択される機能的製品である、記述41~42のいずれか一項に記載の方法。
【0091】
式(I)
(式中、
Xは、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-6アルキル、-C(=O)-NR9R10、ヒドロキシC1-6アルキル、-C(=O)HおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-6アルキルであり;
R2は水素であるか、またはC1-7アルキルおよびC2-7アルケニルから選択される基であり、各基は、1個以上のC3-6シクロアルキルで必要に応じて置換され;
R3は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R7は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R8は、水素またはC1-6アルキルであり;
R9は、水素またはC1-6アルキルであり;ならびに
R10は、水素またはC1-6アルキルであり;
ただし、以下のとおりである:
R1=R2=水素である場合、R3は、C3-6アルキル、C1-6アルコキシおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルから選択され;
Xが-C(=O)-NR9R10である場合、R1は-CH3であり;
R3=R4=R5=R6=R7=水素である場合、R2は、C3-7アルキルおよびC2-7アルケニルからなる群より選択され、各基は、1個以上のC3-6シクロアルキルで必要に応じて置換される);
の化合物(式(I)の化合物は、
メチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエート;
(2E,4E)-5-p-フルオロベンジル-2-メチルペンタジエナール;
(2E,4E)-5-m-メトキシベンジル-2-メチルペンタジエン酸;
(3E,5E)-6-m-メチルベンジル-5-メチルヘキサジエノン;
メチル(2E,4E)-4-ベンジリデン-2-ヘプテノエート;および
(2E,4Z)-4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン-1-オール
のいずれでもない)またはその立体異性体が本明細書で提供される。
【0092】
いくつかの好ましい実施形態では、
Xは、シアノ、-C(=O)O-Me、-C(=O)O-Et、-C(=O)CH3、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-CH
2
OH、-CH(=O)、-C(=O)OH、-CH2OMeおよび-CH2OEtからなる群より選択され;好ましくはXは、シアノ、-C(=O)O-Me、-C(=O)O-Et、-C(=O)CH3、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-CH(=O)、-C(=O)OH、-CH2OMeおよび-CH2OEtからなる群より選択され;好ましくはXは、シアノ、-C(=O)OMe、-C(=O)OEt、-C(=O)CH3、-CH2OMe、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3および-C(=O)N(CH3)2からなる群より選択され;より好ましくはXは、シアノ、-C(=O)OEtおよび-C(=O)CH3からなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-6アルキルであり;好ましくはR1は、C1-4アルキルまたは水素であり;好ましくはR1は、C1-2アルキルまたは水素であり;好ましくはR1は、-CH3または水素であり;
R2は、水素;C3-6シクロアルキルで必要に応じて置換されたC1-7アルキル;またはC2-6アルケニルであり;好ましくはR2は、C5-6アルキル、C5-6アルケニル、3-tert-ブチル-1-メチルプロピル、またはC5シクロアルキルで置換されたC1アルキルであり;より好ましくはR2は、C6アルキル、C6アルケニル、3-tert-ブチル-1-メチルプロピル、またはC5シクロアルキルで置換されたC1アルキルであり;
R3は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、シアノまたはフルオロであり;好ましくはR3は、水素、C1-6アルコキシまたはC1-6アルキルであり;より好ましくはR3は、水素、OMe、OEtまたはC4-6アルキルであり;
R4は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、シアノまたはフルオロであり、好ましくはR4は、水素またはC1-6アルコキシまたはC1-6アルキルであり、より好ましくはR3は、水素、OMe、OEtまたはC1-3アルキルであり;
R5は、水素、フルオロまたはシアノであり、本発明の好ましい化合物では、R5は、水素またはフルオロであり、より好ましくはR5は、水素であり;
R6は、水素であり;ならびに
R7は、水素である。
【0093】
いくつかの好ましい実施形態によれば、本発明の好ましい化合物は24個の炭素原子を超えず、より具体的には、好ましい化合物は22個未満の炭素原子を含む。
【0094】
いくつかの好ましい実施形態では、
Xは、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-6アルキル、-C(=O)-NR9R10、ヒドロキシC1-6アルキル、-C(=O)HおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-6アルキルであり;
R2は、C4-7アルキル、C4-7アルケニル、または1個以上のC3-6シクロアルキルで置換されたC1-2アルキルから選択される基であり;
R3は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R4は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R5は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R6は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R7は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルコキシC1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R8は、水素またはC1-6アルキルであり;
R9は、水素またはC1-6アルキルであり;ならびに
R10は、水素またはC1-6アルキルである。
【0095】
いくつかの好ましい実施形態では、
Xは、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-6アルキル(COMe)、-C(=O)-NR9R10、-C(=O)HおよびC1-6アルコキシC1-6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-4アルキル、好ましくは水素またはC1-2アルキル、好ましくは水素またはメチルであり;
R2は、C1-7アルキルおよびC2-7アルケニル;好ましくはC2-7アルキルおよびC3-7アルケニル;好ましくはC3-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC4-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC5-7アルキルおよびC5-7アルケニルから選択される基であり;
R3は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R4は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R5は、水素、ハロ(フルオロ)、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R6は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R7は、水素、ハロ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R8は、水素またはC1-6アルキルであり;好ましくはR8は、C1-6アルキルであり、好ましくはR8は、C1-4アルキルであり、好ましくはR8は、C1-2アルキルであり、
R9は、水素またはC1-6アルキル;好ましくは水素またはC1-4アルキル;好ましくは水素またはC1-2アルキル;好ましくは水素またはメチルであり;ならびに
R10は、水素またはC1-6アルキル;好ましくは水素またはC1-4アルキル;好ましくは水素またはC1-2アルキル;好ましくは水素またはメチルである。
【0096】
いくつかの好ましい実施形態では、
Xは、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-4アルキル(COMe)、-C(=O)-NR9R10および-C(=O)Hからなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-2アルキル、好ましくは水素またはメチルであり;
R2は、C1-7アルキルおよびC2-7アルケニル;好ましくはC2-7アルキルおよびC3-7アルケニル;好ましくはC3-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC4-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC5-7アルキルおよびC5-7アルケニルから選択される基であり;
R3は、水素、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシからなる群より選択され;
R4は、水素、ハロおよびC1-6アルキルからなる群より選択され;
R5は、水素、ハロ(フルオロ)、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R6は、水素であり;
R7は、水素、ハロ、C1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R8は、C1-6アルキルであり、好ましくはR8は、C1-4アルキルであり、好ましくはR8は、C1-2アルキルであり、
R9は、水素またはC1-4アルキル;好ましくは水素またはC1-2アルキル;好ましくは水素またはメチルであり;ならびに
R10は、水素またはC1-4アルキル;好ましくは水素またはC1-2アルキル;好ましくは水素またはメチルである。
【0097】
いくつかの好ましい実施形態では、
Xは、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-4アルキル(COMe)、-C(=O)-NR9R10および-C(=O)Hからなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-2アルキル、好ましくは水素またはメチルであり;
R2は、C3-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC4-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC5-7アルキルおよびC5-7アルケニルであり;
R3は、水素、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシからなる群より選択され;
R4は、水素、ハロおよびC1-6アルキルからなる群より選択され;
R5は、水素、ハロ(フルオロ)、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R6は、水素であり;
R7は、水素、ハロ、C1-6アルキルおよびシアノからなる群より選択され;
R8は、C1-4アルキルであり、好ましくはR8は、C1-2アルキルであり、
R9は、水素またはC1-2アルキル;好ましくは水素またはメチルであり;ならびに
R10は、水素またはC1-2アルキル;好ましくは水素またはメチルである。
【0098】
いくつかの好ましい実施形態では、
Xは、-C(=O)OR8、シアノ、-C(=O)-C1-4アルキル(COMe)、-C(=O)-NR9R10および-C(=O)Hからなる群より選択され;
R1は、水素またはC1-2アルキル、好ましくは水素またはメチルであり;
R2は、C3-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC4-7アルキルおよびC4-7アルケニル;好ましくはC5-7アルキルおよびC5-7アルケニルであり;
R3は、水素であり;R4は、水素であり;
R5は、水素、ハロ(フルオロ)、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびシアノからなる群より選択され;
R6は、水素であり;R7は、水素であり;R8は、C1-2アルキルであり、R9は、水素またはメチルであり;ならびにR10は、水素またはメチルである。
【0099】
本発明の特に好ましい化合物は、以下の表1に列挙されているものである:
【表7】
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
本発明の化合物は、当業者に公知の反応を用いて異なる方法により調製され得る。実施例セクションに記載されている反応スキームは、例として異なる可能なアプローチを示す。
【0106】
本発明はまた、OR7D4のアンタゴニストとしての使用のための、式(I)の化合物および表1の化合物のいずれか1つまたはメチル(2E,4E)-4-(4-フルオロベンジリデン)-2-ノネノエートを提供し、好ましくは前記の使用が非治療的である。一実施形態によれば、OR7D4のアンタゴニストとしてのこの使用は、アンドロステノンまたは任意の他のOR7D4アクチベーターの嗅覚知覚を有意に低減または排除する感覚効果をもたらす。
【0107】
本発明はまた、本発明の化合物を調製するための方法を包含する。
一実施形態では、本発明はさらに、式(I)
【0108】
【化22】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびXは、式(I)に関して上記で定義されるとおりである)の化合物を調製するための方法であって、スキーム1に示されているように、例えば、クネーフェナーゲル縮合として当業者に公知の変換にしたがって、式Aの化合物を式Bの化合物とカップリングすることによって開始し、次いで、そのように生成された中間体Cが第2の工程(これは、例えば、ウィッティヒ反応(適合ホスホラン誘導体Dを使用)またはウィッティヒ・ホーナー反応(適合ホスホネート誘導体Fを使用したホーナー・ワズワース・エモンズ反応と称されることもある)のいずれかであり得る)に関与して、式(I)の化合物を得る少なくとも2段階の手順を含む方法
【0109】
【化23】
(式中、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7およびXは、式(I)に関して上記で定義されるとおりであり、R
11は、C
6-12アリールまたはC
1-12アルキルであり、好ましくはR
11は、フェニルまたはC
1-5アルキルであり;ならびに
R
12は、C
1-12アルキル;好ましくはC
1-5アルキルである)を包含する。
【0110】
用途
上記化合物は、ヒトの皮膚、特に腋窩の皮膚に適用される場合、望ましくない臭気、好ましくは体の悪臭、より好ましくは哺乳動物の体の悪臭、より具体的にはヒトの腋窩の悪臭、さらにより具体的には汗で放出されるアンドロステノンに関連する臭気を予防、抑制または軽減するために使用され得る。
【0111】
本発明の第2の態様では、上記式(I)の化合物は、消費者製品、例えば主にヒトの皮膚に対する使用のための化粧製品腋窩消臭剤、制汗剤または皮膚に対する使用のための任意の他の製品において用いられ得る。消費者製品はまた、ローション、粉末、軟膏、ボディワイプ、コロン、シェービングクリームなどを含み得る。
【0112】
加えて、しかしながら、本明細書で言及される化合物は、無生物表面、特に布地、特に衣類または、体と接触し得るかもしくは体に適用される任意の他の物品上の悪臭を除去、低減、抑制または除去するように設計されたすべての種類の消費者製品に組み込まれ得る。特に、前記消費者製品は、全体的または部分的に、汗で汚染され得る前記無生物表面上の悪臭を低減するように設計される。
【0113】
化合物が組み込まれ得る消費者製品は、(限定されないが)クリーニング、軟化、消臭、帯電防止、アイロンがけまたは他のプロセスの容易化などの目的で、布地処理のための任意のこのような製品を含む。このような消費者製品の典型的な非限定的な例としては、布用消臭剤(例えば、スプレーオン組成物およびプレスポッター)、液体、固体またはエアロゾル形態中の通常および濃縮柔軟剤およびコンディショナー、回転式乾燥機シート、固体および液体石鹸および洗剤バー、NSDバー、液体および粉末洗剤、液体および固体漂白剤、ならびにアジュバント組成物が挙げられる。上記で定義される化合物は、例えば、コーティング、浸漬または噴霧により布地に適用されるか、または布地と他の方法で接触される消費者製品に組み込まれ得る。
この化合物はまた、エアフレッシュナー用途において用いられ得る。
【0114】
悪臭中和有効量は、臭気レベルの複合的な強度を低減しながら所定の悪臭を緩和するために感覚受容的に有効な機能的製品において用いられる本発明の悪臭中和化合物の量を意味すると理解され、所定の悪臭は空間に存在するか、または基材上に堆積している。
【0115】
典型的には、上記で定義される化合物は、消費者製品の性質および特定の最終用途に依存するであろう様々な量で、消費者製品において用いられ得る。しかしながら、典型的には、全消費者製品組成物の0.001%~1%、好ましくは0.005%~0.5%、より好ましくは0.01%~0.2重量%の範囲の量で、化合物を用いると予想し得る。
【0116】
本発明の消費者製品の調製では、上記で定義される化合物は、消費者製品において典型的に用いられる他の成分と組み合わされ得る。例えば、ヒトもしくは動物の体における使用のための、またはヒトもしくは動物の皮膚と接触し得る物品における使用のための消臭剤または制汗剤では、さらなる悪臭中和活性剤が望ましい場合がある。これは、香水、制汗活性剤または抗菌活性剤であり得る。
【0117】
典型的な制汗活性剤としては、収斂性活性塩、特に、アルミニウム、ジルコニウムおよび混合アルミニウム/ジルコニウム塩(無機塩、有機アニオンとの塩および錯体を含む)が挙げられる。好ましい収斂性塩としては、アルミニウム、ジルコニウムおよびアルミニウム/ジルコニウムハロゲン化物、ならびにハロ水和物塩、例えばクロロ水和物が挙げられる。組み込み量は、典型的には、それらが一部を形成する組成物の5%~20重量%であり得る。
【0118】
典型的な抗菌活性剤としては、第四級アンモニウム化合物(セチルトリメチルアンモニウム塩など)、クロルヘキシジンおよびその塩;ジグリセロールモノカプレート、ジグリセリンモノラウレート、グリセロールモノラウレート、ポリヘキサメチレンビグアニド塩(ポリアミノプロピルビグアニド塩としても公知、例は、Arch chemicalsから入手可能なCosmocil CQである)、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル(トリクロサン)ならびに3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエノール(ファルネソール)が挙げられる。組み込み量は、組成物の0.01%~1重量%であり得る。
【0119】
加えて、消費者製品は、製造、保管、適用または性能を支援するためにこのような製品に典型的に含まれる1つ以上の賦形剤またはアジュバントを含有し得る。
【0120】
特に、消費者製品は、製品の性質およびその目的の用途に応じて、疎水性または親水性固体または液体であり得る担体材料を含有し得る。
【0121】
疎水性担体材料としては、シリコーン、すなわちポリオルガノシロキサンが挙げられる。このような材料は環状または線状であり得、例としては、Dow Corning silicone fluids 344、345、244、245、246、556および200シリーズ;Union Carbide Corporation Silicones 7207および7158;ならびにGeneral Electric silicone SF1202が挙げられる。代替的にまたは加えて、非シリコーン疎水性材料が使用され得る。このような材料としては、鉱油、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、パラフィン、少なくとも10個の炭素原子のイソパラフィン、脂肪族または芳香族エステル油(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリルミリステート、パルミチン酸イソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル(diisopropyl sebecate)、アジピン酸ジイソプロピル、またはC8~C18安息香酸アルキル)およびポリグリコールエーテル、例えばポリグリコールブタノールエーテルが挙げられる。
【0122】
親水性担体材料、例えば水も用いられ得る。水は、蒸留水、脱イオン水または水道水であり得る。少量の低分子量一価アルコール、例えばエタノール、メタノールおよびイソプロパノールまたはポリオール、例えばエチレングリコールおよびプロピレングリコールを含有する水も有用であり得る。
【0123】
有機溶媒も用いられ得る。それらとしては、脂肪族アルコール、例えば2~8個の炭素原子を有する一価または多価アルコール、およびポリグリコールエーテル、例えば2~5個の反復単位を有するオリゴグリコールエーテルである有機溶媒が挙げられる。例としては、ジプロピレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよび工業用メチル化スピリッツが挙げられる。
【0124】
担体材料の混合物も使用され得る。用いられる担体材料の量は製品の性質に依存し、消費者製品組成物の1~99%、より典型的には10~95重量%の範囲であり得る。
【0125】
構造化剤および乳化剤もまた、本発明の消費者製品組成物において使用され得る。それらは、組成物の0.01~50%、より典型的には0.1~10重量%のレベルで存在し得る。
【0126】
適切な構造化剤としては、セルロース系増粘剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、ならびにジベンジリデンソルビトールが挙げられる。他の適切な構造剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリルアルコール、セチルアルコール、硬化ヒマシ油、合成ワックス、パラフィンワックス、ヒドロキシステアリン酸、ジブチルラウロイルグルタミド、アルキルシリコーンワックス、クオタニウム-18ベントナイト、クオタニウム-18ヘクトライト、シリカおよび炭酸プロピレンが挙げられる。適切な乳化剤としては、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、セテアレス-20、グリセリルステアレート、セチルアルコール、セテアリルアルコール、PEG-20ステアレート、ジメチコンコポリオールおよびポロキサミンが挙げられる。
【0127】
さらなる乳化剤/界面活性剤は、香水可溶化剤および洗浄剤である。前者の例としては、Cremaphor RHおよびCO範囲でBASFから入手可能なPEG硬化ヒマシ油が挙げられる。後者の例としては、ポリ(オキシエチレン)エーテルが挙げられる。特定の感覚改変剤は、本発明の組成物におけるさらに望ましい成分である。皮膚軟化剤、保湿剤、揮発性油、不揮発性油、および潤滑性を付与する粒子状固体はすべて、適切なクラスの感覚改変剤である。このような材料の例としては、シクロメチコン、ジメチコン、ジメチコノール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、タルク、微細分割シリカ(例えば、Aerosil 200)、ポリエチレン(例えば、Acumist B18)、多糖、コーンスターチ、C12-15安息香酸アルコール、PPG-3ミリスチルエーテル、オクチルドデカノール、C7-14イソパラフィン、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸イソソルビド、PPG-14ブチルエーテル、グリセロール、水素化ポリイソブテン、ポリデセン、二酸化チタン、フェニルトリメチコン、アジピン酸ジオクチルおよびヘキサメチルジシロキサンが挙げられる。
【0128】
本発明の消費者製品は、必要な場合には、式(I)による化合物を含む、前記製品に含まれる1つ以上の他の成分のための可溶化助剤を含有し得る。適切な可溶化助剤は、界面活性剤、好ましくは非発泡性または低発泡性界面活性剤である。適切な界面活性剤は、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン界面活性剤およびそれらの混合物、好ましくは非イオン界面活性剤および陽イオン界面活性剤およびそれらの混合物である。適切な溶媒および希釈剤は、このような目的のために香料分野で周知の化合物から選択され得、典型的な非限定的な例としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピルなどが挙げられる。
【0129】
本発明の消費者製品は、保存剤、pH制御剤(例えば、緩衝液)、キレート剤、消泡剤、消泡剤、帯電防止剤、着色剤、抗酸化剤、審美剤、例えば乳白剤、光沢剤、色素およびそれらの混合物を含有し得る。
【0130】
消費者製品組成物がエアロゾル組成物の形態である場合、典型的には、揮発性噴射剤が用いられる。揮発性噴射剤の組み込み量は、典型的には、40~99重量部%である。
【0131】
摂氏10度未満の沸点、特に摂氏0度未満の沸点を有する非塩素化揮発性噴射剤、特に液化炭化水素またはハロゲン化炭化水素ガス(特に、フッ素化炭化水素、例えば1,1-ジフルオロエタンおよび/または1-トリフルオロ-2-フルオロエタン)が好ましい。液化炭化水素ガス、特にプロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンおよびイソペンタンおよびそれらの2つ以上の混合物を含むC3-6炭化水素を用いることが特に好ましい。好ましい噴射剤は、イソブタン、イソブタン/イソプロパン、イソブタン/プロパンならびにイソプロパン、イソブタンおよびブタンの混合物である。
【0132】
検討され得る他の推進剤としては、アルキルエーテル、例えばジメチルエーテル、または圧縮非反応性ガス、例えば空気、窒素、二酸化炭素が挙げられる。
【0133】
香料もまた、本発明の消費者製品における望ましい追加成分である。適切な材料としては、従来の香水、例えば香油が挙げられ、欧州特許出願公開第545,556号および他の刊行物に記載されているいわゆるデオ香水も挙げられる。これらの後者の材料はまた、さらなる有機抗菌剤としての資質を有し得る。組み込み量は、好ましくは最大20%、より典型的には最大2重量%である。組成物が対象とする基材に対して新鮮な印象を提供するために、香料成分は、それらの好ましい臭気特性について選択され得る。
【0134】
香料成分は、約130~約250の分子量を有する芳香族および脂肪族エステル;約90~約240の分子量を有する脂肪族および芳香族アルコール;約150~約260の分子量を有する脂肪族ケトン;約150~約270の分子量を有する芳香族ケトン;約130~約290の分子量を有する芳香族および脂肪族ラクトン;約140~約200の分子量を有する脂肪族アルデヒド;約90~約230の分子量を有する芳香族アルデヒド;約150~約270の分子量を有する脂肪族および芳香族エーテル;ならびに約180~約320の分子量を有するアルデヒドおよびアミンの縮合生成物からなる群より選択され得、ニトロムスクおよびハロゲン化香料材料を本質的に含み得ない。
【0135】
代表的な香料成分としては、アドキサル脂肪族アルデヒド、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセン-1-アール、アリルアミルグリコレート、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキシルプロピオネート、アリル-3-シクロヘキシルプロピオネート、酢酸アミル、3-メチル-1-酢酸ブタノール、サリチル酸アミル、サリチル酸アミル、アニスアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、オーランチオール、バクダノール、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール、ベンズアルデヒド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、酢酸ベンジル、酢酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ベータダマシン、1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、ベータガンマヘキサノール、3-ヘキセン-1-オール、ブコキシム、1,5-ジメチルオキシムビシクロ[3,2,1]オクタン-8-オン、セドロール、オクタヒドロ-3,6,8,8-テトラメチル-1H-3A,7-メタノアズレン-6-オール、セタロックス、ドデカヒドロ-3A,6,6,9A-テトラメチルナフト[2,1B]-フラン、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルアセテート、シス-3-ヘキセニルサリチレート、ベータ、ガンマヘキセニルサリチレート、シトロネロール、3,7-ジメチル-6-オクテノール、シトロネリルニトリル、ゲラニルニトリル、クローブ茎油、クマリン、サリチル酸シクロヘキシル、サリチル酸シクロヘキシル、サイマル、2-メチル-3-(パライソプロピルフェニル)プロピオンアルデヒド、デシルアルデヒド、デシルアルデヒド、デルタダマシン、1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン、ジヒドロミルセノール、3-メチレン-7-メチルオクタン-7-オール、ジメチルベンジルカルビニルエステル、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エチルバニリン、エチル-2-メチルブチレート、エチル-2-メチルブチレート、エチレンブラシレート、エチレントリデカン-1,13-ジオエート、ユーカリプトール、1,8-エポキシ-パラ-メンタン、オイゲノールアルコール4-アリル-2-メトキシフェノール、エキサルトリド、シクロペンタデカノリド、酢酸フロール、ジヒドロ-ノルジシクロペンタジエニルアセテート、フロヒドラール、3-(3-イソプロピルフェニル)ブタナール、フルテン、ジヒドロ-ノルジシクロペンタジエニルプロピオネート、ガラキソリド、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチルシクロペンタ-ガンマ-2-ベンゾピラン、ガンマデカラクトン、4-N-ヘプチ-4-ヒドロキシブタン酸、ガンマドデカラクトン、4-N-オクチル-4-ヒドロキシブタン酸、ゲラニオール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール、酢酸ゲラニル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-イルアセテート、ゲラニルニトリル、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル、ヘリオナル、アルファ-メチル-3,4、(メチレンジオキシ)ヒドロシンナムアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオトロピンヘキシルアセテート、酢酸ヘキシル、ヘキシルシナミックアルデヒド、アルファ-n-ヘキシルシナミックアルデヒド、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ヘキシル、ヒドロキシアンブラン、2-シクロドデシル-プロパノール、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、イオノンアルファ、4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセニル-1-イル)-3-ブテン-2-オン、イオノンベータ脂肪族ケトン4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン、イオノンガンマメチル4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキシル-1-イル)-3-メチル-3-ブテン-2-オン、イソEスーパー7-アセチル-1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-1,1,6,7,テトラメチルナフタレン、イソオイゲノールエーテル2-メトキシ-4-(1-プロペニル)フェノール、イソジャスモン脂肪族ケトン2-メチル-3-(2-ペンテニル)-2-シクロペンテン-1-オン、コアボン、アセチルジイソアミレン、ラウリンアルデヒド、ラバンジンナチュラル、ラベンダーナチュラル、レモンCP、d-リモネン、d-リモネン/オレンジテルペンアルケン1-メチル-4-イソ-プロペニル-1-シクロヘキセン、リナロール、3-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-1、6-オクタジエン、リナリルアセテートエステル3-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-1,6オクタジエンアセテート、2,4-ジヒドロキシ-3,6-ジメチル安息香酸メチルエステル、リラル、4-(4-ヒドロキシ-4-メチル-ペンチル)3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、マジャントール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)-プロパノール、マヨール、4-(1-メチルエチル)シクロヘキサンメタノール、アントラニル酸メチル、メチル-2-アミノベンゾエート、メチルベータナフチルケトン、メチルベータナフチルケトン、メチルセドロン、メチルセドレニルケトン、メチルシャビコール、1-メチルオキシ-4,2-プロペン-1-イルベンゼン、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、メチルノニルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、ムスクインダノン、4-アセチル-6-tertブチル-1,1,-ジメチルインダン、ネロール、2-シス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール、ノナラクトン、4-ヒドロキシノナン酸、ノルリンバノール、1-(2,2,6-トリメチル-シクロヘキシル)-3-ヘキサノール、オレンジCP、P.T.ブシナール、2-メチル-3(パラtertブチルフェニル)プロピオンアルデヒド、パラヒドロキシフェニルブタノン、パラヒドロキシフェニルブタノンパチョリ、フェニルアセトアルデヒド、1-オキソ-2-フェニルエタンフェニルアセトアルデヒドジメチル、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタールフェニルエチルアセテート、フェニルエチルアセテートフェニルエチルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェニルエチルフェニルアセテート、2-フェニルエチルフェニルアセテート、フェニルヘキサノール/フェノキサノール、3-メチル-5-フェニルペンタノール、ポリサントール、3,3-ジメチル-5-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-4-ペンテン-2-オール、酢酸プレニル、2-メチルブテン-2-オール-4-アセテート、ロサフェン、2-メチル-5-フェニルペンタノール、サンダルウッド、アルファテルピネン脂肪族アルカン1-メチル-4-イソ-プロピルシクロヘキサジエン-1,3-テルピネオール(アルファテルピネオールおよびアルコールパラ-メンス-1-エン-8-オール、パラ-ベータテルピネオール)メンス-1-エン-1-オール、テルピニルアセテートエステルパラ-メンス-1-エン-8-イルアセテート、テトラヒドロリナロール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、テトラヒドロミルセノール、2,6-ジメチル-2-オクタノール、トナリド、7-アセチル-1,1,3,4,4,6-ヘキサメチル、テトラリン、ウンデカラクトンラクトン4-N-ヘプチル-4-ヒドロキシブタン酸、ウンデカベルトール、4-メチル-3-デセン-5-オール、ウンデシルアルデヒド、ウンデカナール、ウンデシレンアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、バニリン芳香族アルデヒド4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、ベルドックス、2-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、ベルトネックス、4-tert-ブチルシクロヘキシルアセテートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0136】
好ましくは、消費者製品は有効量の香水を含有して、最初の適用時には新鮮な香料を表面に提供し、いくらかの余香を衣服に提供する。
【0137】
本発明の化合物は、液体または固体の形態であり得、それらは、これらの簡素な形態で消費者製品基材に単に混合され得る。あるいは、消費者製品基材に混合する前に、固体化合物を適切な溶媒に可溶化することが望ましい場合がある。
【0138】
なおさらに、液体化合物を固体支持体上に噴霧乾燥させて粉末を形成し、次いで、これを消費者製品基材と混合し得ることが望ましい場合がある。
【0139】
なおさらに、送達ビヒクルで化合物を提示することが望ましい場合がある。例えば、化合物を固体支持体上またはその中に提示することが望ましい場合がある。前記ビヒクルは、コア―シェルカプセルの形態であり得、化合物はコアに含まれ、シェルによって囲まれる。あるいは、化合物を多孔質体、例えば多孔質ビーズなどに吸着させることが望ましい場合がある。なおさらに、化合物をマトリックス材料に溶解または分散させることが望ましい場合がある。
【0140】
このようなビヒクルは、気相への化合物の放出速度に影響を与える手段として用いられ得るか、またはそれは、化合物を消費者製品基材に組み込み得る手段として作用し得る。なおさらに、それは、侵襲的な外部環境に対して化合物を安定化する手段であり得る。
【0141】
カプセルシェルは、当技術分野で従来公知の材料のいずれかから形成され得、天然由来材料、例えばゼラチンもしくはワックス;または合成ポリマー、例えばアミノプラスト樹脂、アクリル樹脂もしくはポリ尿素を含み得る。合成材料としては、水不溶性または水溶性封入材料、例えばポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリイソプレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアクリレート、ビニルポリマーおよびポリウレタンおよびそれらの混合物が挙げられ得る。
【0142】
カプセルは、多糖およびポリヒドロキシ化合物のマトリックス、置換ジカルボン酸の非ゼラチン化デンプン酸エステル由来のデキストリンを含む水溶性または水分散性封入材料;有用なデンプン、例えば生デンプン、アルファ化デンプン、塊茎、マメ科植物、シリアルおよび穀物由来の加工デンプン、例えばコーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、ワキシーコーンスターチ、エンバクデンプン、キャッサバデンプン、ワキシー大麦、ワキシーライスデンプン、もち米デンプン、アミオカ、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、エンバクデンプン、キャッサバデンプンおよびそれらの混合物;加水分解デンプン、酸薄膜化デンプン、長鎖炭化水素のデンプンエステル、酢酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプンを含む加工デンプンおよびそれらの混合物からなり得る。
【0143】
「加水分解デンプン」という用語は、デンプン、好ましくはコーンスターチの酸および/または酵素加水分解により典型的に得られるオリゴ糖型材料を指す。本発明に含めるための適切な加水分解デンプンとしては、マルトデキストリンおよびコーンシロップ固体が挙げられる。デンプンエステルの混合物と共に含めるための加水分解デンプンは、約10~約36DEのデキストロース当量(DE)値を有する。DE値は、デキストロースを基準とする加水分解デンプンの還元当量の尺度であり、パーセントとして表される(乾燥基準)。DE値が高いほど、糖がの還元糖が多く存在する。DE値を決定するための方法は、Standard Analytical Methods of the Member Companies of Corn Industries Research Foundation,6th ed.Corn Refineries Association,Inc.Washington,DC 1980,D-52に記載されている。
【0144】
約0.01%~約10.0%の範囲内の置換度を有するデンプンエステルは、本発明の香油を封入するために使用され得る。
【0145】
乳化および乳化安定化能力を有する加工デンプン、例えばオクテニルコハク酸デンプンは、デンプン加工剤の疎水性により、香油液滴をエマルジョンに閉じ込める能力を有する。好ましくは、封入材料は、水溶性加工デンプン固体マトリックスであり、好ましくはオクテニルコハク酸無水物で前記デンプン原料を処理することにより加工されたデンプン原料である。より好ましくは、前記加工デンプンは、オクテニルコハク酸無水物による処理前に、ポリヒドロキシ化合物と混合される。
【0146】
加工デンプンの特定の例は、アルファ化、デキストリン化されたワキシートウモロコシデンプンであり、ソルビトールまたは任意の他のアルコールタイプと混合され、次いで、オクテニルコハク酸無水物で処理される。
【0147】
このようなデンプンの使用は、欧州特許出願公開第0965326号(この内容は、参照により本明細書に含まれる)に記載されている。
【0148】
化合物は、それ自体で消費者製品基材に添加され得るか、またはそれらは、成分の混合物の一部として基材に添加され得る。例えば、本発明の化合物を香料成分と混合して香料組成物を形成し得、次いで、これを消費者製品基材に添加できる。
【0149】
本発明の化合物は臭気を有し得るか、またはそれらは無臭であり得る。しかしながら、それらは無臭であることが好ましい。このように、香水製造者が作ろうとしている特定の快楽効果に影響を与えずにまたは及ぼさずに、それらを香水組成物に添加できる。
【0150】
消費者製品で提示される場合、鼻上皮に到達し、それにより、所望の方法で嗅覚受容体と相互作用し得るように、本発明の化合物は、十分な蒸気圧を示すべきである。
【0151】
上記で言及される嗅覚受容体OR7D4は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)のファミリーのメンバーである。細胞膜で発現されると、GPCR嗅覚受容体は、臭気物質分子の検出に関与する。活性化受容体は、シグナル伝達カスケードの最初のプレーヤーであり、最終的には、脳に伝達される神経インパルスを生成する。臭気物質が嗅覚受容体に結合すると、受容体が構造変化を受け、それがGタンパク質を活性化する。そして、これが、情報を脳に伝達する細胞事象のカスケードにつながる。OR7D4は、厳密に調整され、アンドロステノンおよびアンドロスタジエノンのみに反応する嗅覚受容体である(Kellerら、2007)。この知見により、アンドロステノンへの反応をアンタゴナイズする化合物を同定するためのスクリーニング方法において、OR7D4受容体を使用することが可能になる。
【0152】
本発明はまた、OR7D4アゴニストとしての本発明の化合物の使用であって、好ましくは、非治療的である使用を包含する。
【0153】
次いで、これらのアンタゴニスト化合物は、アンドロステノンの嗅覚知覚を低減または遮断することが望ましい消費者製品用途において使用され得る。
【0154】
したがって、本発明は、別のその態様では、OR7D4(その活性がアンドロステノンによってモジュレートされる嗅覚受容体)へのアンドロステノンの結合を阻害する薬剤を同定する方法(または、薬剤の選択を支援する方法もしくは前記薬剤のスクリーニング方法)を提供する。
【0155】
本発明の特定の実施形態では、OR7D4嗅覚受容体へのアンドロステノンの結合を阻害する化合物を同定する方法(または、化合物の選択を支援する方法もしくは前記化合物のスクリーニング方法)が提供される。
【0156】
本発明の別の態様では、前記方法において、上記で定義される化合物を含むライブラリーは、アンドロステノンと、その活性がアンドロステノンによって調節される嗅覚受容体、より具体的にはOR7D4嗅覚受容体との結合の阻害を検出するためのアッセイでスクリーニングされる。
【0157】
本発明の特定の実施形態では、アンドロステノンへのOR7D4の反応にアンタゴナイズする化合物を同定する方法であって、
OR7D4またはその機能的等価物をコードする核酸配列を発現する少なくとも1つの細胞またはその膜を、アンドロステノンおよび少なくとも1つの上記で定義される式(I)の試験化合物と接触させる工程、ならびに
アンドロステノンへのOR7D4の反応に対する少なくとも1つの試験化合物の効果を測定する工程
を含む方法が提供される。
【0158】
本発明の実施形態では、前記方法は、インビトロ方法である。
OR7D4をコードするヌクレオチド配列の機能的等価物は、遺伝暗号の縮重により、GenBankアクセッション番号KP290356.1に対応するOR7D4ヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を有するヌクレオチド配列であって、しかし、GenBankアクセッション番号ALI87532に対応し、同じ活性を有する同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。機能的等価物は、本明細書に記載される配列の天然に存在する変異体および合成ヌクレオチド配列を包含する。例えば、天然に存在するDNAの化学合成または組換えによって得られるヌクレオチド配列。機能的等価物は、1つ以上のヌクレオチドの天然または合成の置換、付加、欠失、置換または挿入の結果であり得る。機能的等価物の例は、ポリペプチドの活性の変化をもたらさない少なくとも1つの保存されたアミノ酸の置換から生じるセンス突然変異を含む核酸配列を含むので、それらは、機能的に中立であるとみなされ得る。機能的等価物の他の非限定的な例としては、断片、オルソログ、スプライス変異体、単一ヌクレオチド多型および対立遺伝子変異体が挙げられる。このような機能的等価物は、OR7D4のヌクレオチド配列と75%、80%または90%の相同性を有し得る。
【0159】
ヌクレオチド配列相同性は、配列同一性によって、またはハイブリダイゼーションによって決定され得る。配列同一性は、ベーシックローカルアライメントサーチツールテクノロジー(以下、BLAST)を使用して決定される。BLAST技術は、公的に利用可能なプログラムblastnによって用いられるヒューリスティックサーチアルゴリズムである。相同性がハイブリダイゼーションによって決定される場合、ヌクレオチド配列は、本明細書に開示されるOR7D4ヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズすることができる限り、実質的に相同であるとみなされるべきである。ハイブリダイゼーションは、50%ホルムアミド、5×標準クエン酸ナトリウム(以下、SSC)および1%ドデシル硫酸ナトリウム(以下、SDS)からなる溶液中、42℃の温度のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で行われ得る。洗浄は、0.2×SSCおよび0.1%SDSの溶液中、65℃で行われ得る。
【0160】
例えば、スクリーニングされるcDNAまたはゲノムDNAライブラリーに存在する他のヌクレオチド配列により、バックグラウンドハイブリダイゼーションが起こり得る。標的DNAで観察される特異的相互作用の10倍未満の強度の任意のシグナルは、バックグラウンドとみなされ得る。相互作用の強度は、例えば、プローブを放射標識することにより測定され得る。
【0161】
本明細書に開示される方法における使用のための適切な細胞としては、原核生物および真核生物細胞が挙げられ、それらの非限定的な例としては、細菌細胞、哺乳動物細胞、酵母細胞または昆虫細胞(Sf9を含む)、両生類細胞(メラノフォア細胞を含む)または蠕虫細胞(Caenorhabditis(Caenorhabditis elegansを含む)の細胞を含む)が挙げられる。適切な哺乳動物細胞の非限定的な例としては、COS細胞(Cos-1およびCos-7を含む)、CHO細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293 T-Rex(商標)細胞または他のトランスフェクト可能な真核細胞株などが挙げられる。
【0162】
上記方法における使用のために、細胞は単離された細胞であり得るか、またはあるいはそれらは、限定されないが、哺乳動物組織およびトランスジェニック動物組織を含む組織の成分であり得る。
【0163】
前記方法において使用される細胞は、OR7D4もしくはその機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を天然に発現するか、またはそれらは、OR7D4もしくはその機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を発現する組換え細胞であり得る。
【0164】
組換え細胞は、当技術分野で周知のように、OR7D4またはその機能的等価物をコードするヌクレオチド配列またはアミノ酸配列で一過的または安定的にトランスフェクトされ得る。
【0165】
OR7D4またはその機能的等価物の単離および発現は、本明細書に開示される核酸配列に基づいて構築されたプローブまたはプライマーを使用して、十分に確立されたクローニング技術により達成され得る。単離されたら、ヌクレオチド配列は、ポリマー連鎖反応(以下、PCR)を通じて増幅され得る。
【0166】
ヌクレオチド配列を宿主細胞に導入するための任意の公知の方法が使用され得る。使用される特定の遺伝子操作手順は、目的のタンパク質を発現することができる宿主細胞に関連遺伝子を成功裏に導入することができることが必要なだけである。これらの方法は、クローニングされたゲノムDNA、cDNA、合成DNAまたは他の外来遺伝物質を宿主細胞に導入することを伴い、リン酸カルシウムトランスフェクション、ポリブレン、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム、マイクロインジェクション、発現ベクターなどの使用を含む。
【0167】
他の実施形態によれば、上記方法における使用のために、発現ベクターは、OR7D4またはその機能的等価物をコードする核酸配列を宿主細胞に感染またはトランスフェクトするために使用され得る。
【0168】
OR7D4および/またはその機能的等価物をコードする少なくとも1つの核酸配列を含む発現ベクター(個々の発現ベクターまたは発現ベクターのライブラリーの両方)は、様々な従来技術により、細胞のゲノム、細胞質または核に導入され、発現され得る。適切な技術を決定することは、十分に当業者の範囲内である。
【0169】
任意の適切な発現ベクターが使用され得る。ベクターのタイプの非限定的な例としては、バクテリオファージ、プラスミドまたはコスミドDNA発現ベクター、酵母発現ベクター;ウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)または細菌発現ベクターが挙げられる。
【0170】
トランスフェクション後、トランスフェクション細胞は、当技術分野で周知の標準的な培養条件を使用して培養され得る。異なる細胞は、適切な温度および細胞培養培地を含む異なる培養条件を必要とすることは当業者に明らかであろう。問題の細胞および所望の最終結果に応じて培養条件を決定することは、十分に当業者の範囲内である。特定の細胞に関する適切な培養培地および条件の情報は、American type culture collection(ATCC)のウェブサイトに見られ得る。
【0171】
OR7D4の反応に対する試験化合物の効果は、試験化合物の非存在下および存在下の両方で、アンドロステノンへのOR7D4の反応を比較することにより決定され得る。
【0172】
アンドロステノンへのOR7D4の反応をアンタゴナイズする化合物を同定するための方法には、
I.OR7D4またはその機能的等価物をコードする核酸配列を発現する少なくとも1つの細胞またはその膜を、アンドロステノンまたは受容体の任意の他のアクチベーターアゴニストと接触させること;
II.アンドロステノンまたは受容体の任意の他のアクチベーターアゴニストへのOR7D4の反応を測定すること;
III.少なくとも1つの細胞またはその膜を、少なくとも1つの試験化合物およびアンドロステノンまたはOR7D4の任意の他のアクチベーターアゴニストと接触させること;
IV.試験化合物の存在下で、アンドロステノンまたは受容体の任意の他のアクチベーターアゴニストへのOR7D4の反応を測定すること;
V.アンドロステノンまたは受容体の任意の他のアクチベーターアゴニストへのOR7D4の反応の変化を計算すること
を含み得る。
【0173】
OR7D4の反応は、直接的または間接的にOR7D4の影響下にある任意のパラメータの変化を測定することにより決定され得る。これらのパラメータとしては、物理的、機能的および化学的効果が挙げられる。測定可能なパラメータの例としては、限定されないが、イオンフラックス、膜電位、電流フロー、転写、Gタンパク質結合、GPCRリン酸化または脱リン酸化、シグナル伝達、受容体-リガンド相互作用、細胞内メッセンジャー濃度、例えばホスホリパーゼC、アデニル酸シクラーゼ、グアニル酸シクラーゼ、ホスホリパーゼ、cAMP、cGMP、IP3、DAG、細胞内Ca2+リガンド結合、神経伝達物質レベル、GTP結合、GTPase、アデニル酸シクラーゼ、リン脂質分解、ジアシルグリセロール、イノシトール三リン酸、アラキドン酸放出、プロテインキナーゼc(PKC)、MAPキナーゼチロシンキナーゼおよびERKキナーゼの変化が挙げられる。
【0174】
上記パラメータは、当業者に公知の任意の手段、例えば、分光特性(例えば、蛍光、吸光度、屈折率)の変化、流体力学(例えば、形状)、クロマトグラフィー特性もしくは溶解特性、パッチクランプ、電位感受性色素、全細胞電流、放射性同位元素流出、誘導マーカー、卵母細胞のOR7D4遺伝子発現、組織培養OR7D4細胞発現、OR7D4遺伝子の転写活性化、リガンド結合アッセイ、電圧、膜電位および伝導の変化;イオンフラックスアッセイ、形質導入経路のパラメータ、例えば細胞内IP3およびCa2+、ジアシルグリセロール/DAG、アラキノイド酸、MAPキナーゼもしくはチロシンキナーゼの変化を測定するアッセイ、GTP結合、GTPase、アデニル酸シクラーゼ、リン脂質分解、ジアシルグリセロール、イノシトール三リン酸、アラキドン酸放出、PKC、キナーゼおよび転写レポーターに基づくアッセイにより、または他のGタンパク質特異的アッセイ、例えばGTPγSによる標識により測定され得る。
【0175】
特定のパラメータの測定を可能にするために、Gタンパク質またはレポーター遺伝子をOR7D4に連結することが望ましい場合がある。任意の適切なGタンパク質またはレポーター遺伝子が使用され得、所望の反応に応じて適切なGタンパク質またはレポーター遺伝子を決定することは、十分に当業者の範囲内である。レポーター遺伝子の例としては、限定されないが、ルシフェラーゼ、CAT、GFP、β-ラクタマーゼ、β-ガラクトシダーゼおよびいわゆる「前初期」遺伝子、c-fos癌原遺伝子、転写因子CREB、血管作動性腸管ペプチド(VIP)遺伝子、ソマトスタチン遺伝子、プロエンケファリン遺伝子、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)遺伝子、NF-κΒに対して反応性の遺伝子、およびAP-1反応性遺伝子(FosおよびJun、Fos関連抗原(Fra)1および2、IκBα、オルニチン脱炭酸酵素、ならびにアネキシンIおよびIIの遺伝子を含む)が挙げられる。
【0176】
一般に、レポーター遺伝子は、限定されないが、受容体調節発現に必要な1つ以上のプロモーター、エンハンサーおよび転写因子結合部位を含む、遺伝子発現の受容体媒介性調節に必要な1つ以上の転写制御要素または配列に連結される。
【0177】
本明細書に記載されるアッセイ方法は、アンタゴニストの化合物のライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。
したがって、本発明は、その別の態様では、上記で定義される式(I)の化合物を含む化合物のライブラリーを提供する。
【0178】
本発明のさらに別の態様では、アンドロステノンと、その活性がアンドロステノンによってトリガーされる嗅覚受容体、より具体的にはOR7D4嗅覚受容体との間の結合の阻害を検出するためのインビトロアッセイにおける、上記で定義される式(I)の化合物の使用が提供される。
【0179】
本明細書で使用される場合、「アンタゴニスト」という用語は、OR7D4を活性化せず、したがって、細胞内反応をもたらさない化合物を説明するために使用される。それにより、アンタゴニストである化合物は、アンドロステノンとOR7D4との相互作用によって媒介される細胞内反応を防止しまたは減衰させる。
【0180】
本明細書で使用される場合、「IC50」または「阻害濃度50」という用語は、OR7D4と31.6マイクロモルで使用されるアンドロステノンとの相互作用により、またはOR7D4と任意の他のOR7D4アクチベーターとの相互作用により誘導される細胞内反応の半減を誘導するアンタゴニストの濃度を説明するために使用される。
【0181】
本明細書で使用される場合、「遮断分子」という用語は、好ましくは無臭であるかまたは低臭気を有する化合物であって、匂いを嗅いだ際に、アンドロステノンの嗅覚知覚を低減または抑制する化合物を説明するために使用される。アッセイは、多数の潜在的なアンタゴニストを含有する化学ライブラリーを提供することを伴うハイスループットスクリーニング法で実行され得る。このようなライブラリーは、アンドロステノンへのOR7D4の反応に対する効果を有するライブラリー化合物(特定の化学種またはサブクラス)を同定するために、本明細書に記載されるアッセイの1つ以上でスクリーニングされ得る。
【0182】
次いで、このように同定されたアンタゴニストは直接使用され得るか、または式(I)の化合物の誘導体を作製および試験することによりさらなるアンタゴニストを同定するためのリードとして機能し得る。
【0183】
本明細書に記載される方法により同定されたアンタゴニストは、熟練のパネリストを使用して簡便な感覚実験により試験され得る。同定されたアンタゴニストを、アンドロステノンと一緒に匂いを嗅ぎ、アンドロステノンのみを含有する陰性対照と比較し得る。
【0184】
別の態様では、アンドロステノンまたはこの受容体の任意の他のアクチベーターへのOR7D4の反応をアンタゴナイズする化合物を同定するためのキット(例えば、スクリーニングキットまたはハイスループットスクリーニングキット)であって、
I.OR7D4またはその機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を発現する少なくとも1つの組換え細胞、および
II.アンドロステノンまたはこの受容体の任意の他のアクチベーター
を含むキットが提供される。
【0185】
キットは、アンドロステノンまたはこの受容体の任意のアクチベーターへのOR7D4の反応をアンタゴナイズする化合物を同定するための本明細書に開示される方法を行うために使用され得る。
【0186】
別の態様では、上記キットを使用して、アンドロステノンまたはこの受容体の任意のアクチベーターへのOR7D4の反応をアンタゴナイズする化合物を同定する方法であって、
I.培養培地中の固体支持体上で、OR7D4またはその機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を発現する少なくとも1つの組換え細胞を成長させること;
II.1つ以上の試験化合物およびアンドロステノンまたはこの受容体の任意のアクチベーターを前記培養培地に添加すること、ならびに
III.アンドロステノンまたはこの受容体の任意のアクチベーターへのOR7D4の反応に対する前記試験化合物の効果を測定すること
を含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【
図1】
図1は、化合物1濃度に応じた発光をプロットしたグラフを表し、OR7D4のアンタゴニストとしての本発明の化合物1の効果を示す。実施例のセクションに示されている手順にしたがって、この分析を実施した。
【実施例】
【0188】
以下は、本発明を例証するために役立つ一連の非限定的な実施例である。
【0189】
化学例
以下の略語を使用する:
NaH 水素化ナトリウム
THF テトラヒドロフラン
n-Hex n-ヘキシル
h 時間
RT 室温
TLC 薄層クロマトグラフィー
HCl 塩酸
MTBE メチル-Terブチルエーテル
NaHCO3 重炭酸ナトリウム
LC-MS 液体クロマトグラフィー-質量分析
MS 質量分析
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
ESI エレクトロスプレーイオン化
NH4OAc 酢酸アンモニウム
min 分
K2CO3 炭酸カリウム
Mel ヨウ化メチル
DCM ジクロロメタン
1H NMR プロトン核磁気共鳴
13C NMR 炭素核磁気共鳴
EtOAc 酢酸エチル
AlCl3 塩化アルミニウム
Et2O ジエチルエーテル
Na2SO4 硫酸ナトリウム
LAH 水素化アルミニウムリチウム
n-BuLi ブチルリチウム
DMSO ジメチルスルホキシド
DMSO-d6 重水素化ジメチルスルホキシド
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
ACN アセトニトリル
aq 水溶液
CDCl3 重水素化クロロホルム
EtOH エタノール
DIBAL-H 水素化ジイソブチルアルミニウム
DME ジメトキシエタン
MeOH メタノール
H2O 水
s 一重項
d 二重項
t 三重項
q 四重項
m 多重項
EDCl.HCl N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
MeLi メチルリチウム
NH4Cl 塩化アンモニウム
MgSO4 硫酸マグネシウム
NaCl 塩化ナトリウム
DMF ジメチルホルムアミド
KOH 水酸化カリウム
mL ミリリットル
【0190】
実施例1:エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(化合物1)の合成(スキーム2):
【化24】
【0191】
NaH(鉱油中60%分散液)(188mg、7.86mmol)を含むTHF(3mL)の撹拌懸濁液に、エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(1.5mL、6.94mmol)を含むTHF(3mL)を窒素雰囲気下、20℃で滴下により添加した。添加の完了後、反応混合物を20℃で1時間撹拌した。再び、混合物を5℃に冷却し、(E)-2-ベンジリデンオクタナールを含むTHF(4mL)の溶液を添加した。添加の完了後、反応混合物を5℃で1時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl溶液(40mL)に注ぎ、MTBE(2×30mL)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3溶液(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10~20%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物1(700mg、51%)を無色の液体として得た。
【0192】
化合物1:1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ 7.42-7.35(m,2H),7.34-7.20(m,3H),7.15(s,1H),6.56(s,1H),4.21-4.12(m,2H),2.40-2.34(m,2H),2.00(s,3H),1.44-1.35(m,2H),1.28-1.20(m,9H),0.85-0.79(m,3H);LC-MS(ESI):89.60%;m/z 301.3[M+H]+、RT 6.42minおよび10.39%;m/z 301.3[M+H]+、RT 6.08min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):90.37%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 18.73min;ACN:5Mm NH4OAc;1.0mL/min)。
【0193】
実施例2:エチル(2E,4E)-5-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタ-2,4-ジエノエート(化合物2)の合成(スキーム3):
【化25】
【0194】
工程1:3-ヒドロキシベンズアルデヒド(5g、40.9mmol)を含むアセトン(50mL)の溶液に、K2CO3(11.3g、81.7mmol)、続いてMel(2.5mL、40.9mmol)を窒素雰囲気下、室温で添加した。得られた反応混合物を60℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、DCM(50mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、3-メトキシベンズアルデヒド(4.6g、82%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0195】
3-メトキシベンズアルデヒド:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 9.98(s,1H),7.52(d,J=7.0Hz,1H),7.50(d,J=7.0Hz,1H),7.42(d,J=2.0Hz,1H),7.28(dt,J=7.0,2.0Hz,1H),3.83(s,3H);LC-MS(ESI):99.20%;m/z 136.8[M+H]+;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min)。
【0196】
工程2:工程1の3-メトキシベンズアルデヒド(4.9g、35.5mmol)を含むTHF(60mL)の撹拌溶液に、エチル(トリフェニルホスホランイリデン)アセテート(18.5g、53.2mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(50mL×2)で抽出した。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(E)-3-(3-メトキシフェニル)アクリレート(6.1g、83%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0197】
エチル(E)-3-(3-メトキシフェニル)アクリレート:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.61(d,J=16.0Hz,1H),7.33-7.26(m,3H),6.98(dd,J=8.5,2.0Hz,1H),6.65(d,J=16.5Hz,1H),4.18(q,J=7.0Hz,2H),3.78(s,3H),1.25(t,J=7.0Hz,3H);LC-MS(ESI):95.15%;m/z 207.0[M+H]+、RT 3.41min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAcを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OAcを含む水;0.8mL/min)。
【0198】
工程3:LAH(189mg、4.85mmol)を含むEt2O(15mL)の撹拌溶液に、AlCl3(647mg、4.85mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。15分後、工程2のエチル(E)-3-(3-メトキシフェニル)アクリレート(1g、4.85mmol)を含むEt2O(5mL)を滴下により添加し、撹拌を0℃で2時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和Na2SO4水溶液(5mL)でクエンチし、室温で30分間撹拌し、DCM(20mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、20%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-3-(3-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール(520mg、72%)の合成を薄黄色のシロップとして得た。
【0199】
(E)-3-(3-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.22(t,J=8.0Hz,1H),6.99-6.96(m,2H),6.80-6.78(m,1H),6.51(d,J=15.5Hz,1H),6.40-6.35(m,1H),4.84(t,J=5.5Hz,1H),4.11(t,J=5.5Hz,2H),3.75(s,3H);LC-MS(ESI):99.55%;m/z 165.2[M+H]+、RT 3.17min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min)。
【0200】
工程4:0℃に冷却した工程3の(E)-3-(3-メトキシフェニル)プロパ-2-エン-1-オール(520mg、3.17mmol)を含むDCM(20mL)の撹拌溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(2.68g、6.34mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(20mL)でクエンチし、DCM(20mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-3-(3-メトキシフェニル)アクリルアルデヒド(540mg、95%)を黄色のシロップとして得た。
【0201】
(E)-3-(3-メトキシフェニル)アクリルアルデヒド:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 9.67(d,J=7.7Hz,1H),7.71(d,J=15.9Hz,1H),7.42-7.29(m,3H),7.08-7.03(m,1H),6.90(dd,J=15.9,7.7Hz,1H),3.81(s,3H);LC-MS:99.74%;m/z 162.8[M+H]+、RT 3.04min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OOCHを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OAcを含む水;0.8mL/min)。
【0202】
工程5:エチル(2E,4E)-5-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタ-2,4-ジエノエート(化合物2)の合成。
NaH(鉱油中60%分散液)(33mg、1.37mmol)を含むTHF(1mL)の撹拌懸濁液に、エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(0.16mL、0.74mmol)を含むTHF(2mL)を窒素雰囲気下、20℃で添加した。1時間撹拌した後、(E)-3-(3-メトキシフェニル)アクリルアルデヒド(80mg、0.49mmol)を含むTHF(2mL)を滴下により添加し、撹拌を室温で16時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl溶液(10mL)で希釈し、Et2O(10mL×2)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物2(95mg、78%)を無色のシロップとして得た。
【0203】
化合物2:1H NMR(500MHz,DMSO-d6)δ 7.30-7.25(m,3H),7.20-7.18(m,2H),6.98(d,J=3.5Hz,1H),6.89(dd,J=10.0,3.0Hz,1H),4.15(q,J=7.0Hz,2H),3.79(s,3H),2.02(s,3H),1.25(t,J=7.0Hz,3H);LC-MS:98.680%;m/z 246.9[M+H]+、RT 2.97min(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):88.08%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 11.70min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0204】
実施例3:エチル(2E,4E)-5-(2-プロピルフェニル)ペンタ-2,4-ジエノエート(化合物3)および化合物4の合成(スキーム4):
【化26】
【0205】
工程1:o-トリルメタノール(2g、16.37mmol)を含む乾燥Et2O(20mL)の撹拌溶液に、n-BuLi(ヘキサン中1.6M溶液)(30.7mL、49.11mmol)を窒素雰囲気下、室温で添加した。得られた反応混合物を加熱還流し、4時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した;ヨウ化エチル(1.3mL、16.37mmol)を添加し、撹拌を室温で16時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(30mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2-プロピルフェニル)メタノール(1.1g、46%)をシロップとして得た。
【0206】
(2-プロピルフェニル)メタノール:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.35(d,J=7.5Hz,1H),7.16-7.11(m,3H),5.02(t,J=5.0Hz,1H),4.50(d,J=5.0Hz,2H),2.58-2.53(m,2H),1.56-1.50(m,2H),0.92(t,J=7.5Hz,3H);LC-MS(ESI):64.65%;m/z 132.8[M-H2O+H]+;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min)。
【0207】
工程2:塩化オキサリル(0.5mL、5.33mmol)を含むDCM(2mL)の溶液に、DMSO(0.6mL、10.66mmol)を窒素雰囲気下、-78℃で添加し、1時間撹拌した。1時間後、(2-プロピルフェニル)メタノール(200mg、1.33mmol)を含むDCM(2mL)を滴下により添加し、3時間撹拌した。得られた反応混合物をTEA(0.23mL、1.59mmol)でクエンチし、室温で1時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、混合物を水(10mL)で希釈し、DCM(10mL×2)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質2-プロピルベンズアルデヒド(180mg、粗製)をさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0208】
工程3:2-プロピルベンズアルデヒド(1g、6.75mmol)を含むTHF(20mL)の撹拌溶液に、エチル(トリフェニルホスホランイリデン)アセテート(3.5g、10.1mmol)を窒素雰囲気下、室温で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、揮発物を減圧下で蒸発させた。得られた粗物質を、15%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(E)-3-(2-プロピルフェニル)アクリレート(900mg、61%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0209】
エチル(E)-3-(2-プロピルフェニル)アクリレート:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.90(d,J=15.9Hz,1H),7.73(d,J=7.7Hz,1H),7.39-7.11(m,3H),6.52(d,J=15.9Hz,1H),4.20(q,J=7.1Hz,2H),2.76-2.63(m,2H),1.51(dt,J=14.9,7.4Hz,2H),1.36-1.20(m,3H),0.95-0.80(m,3H)。
【0210】
工程4:LAH(161mg、4.12mmol)を含むEt2O(40mL)の撹拌溶液に、AlCl3(550mg、4.12mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。15分後、エチル(E)-3-(2-プロピルフェニル)アクリレート(900mg、4.12mmol)を含むEt2O(10mL)を滴下により添加し、反応物を0℃で2時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl溶液(20mL)でクエンチし、DCM(30mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-3-(2-プロピルフェニル)プロパ-2-エン-1-オール(700mg、96%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0211】
(E)-3-(2-プロピルフェニル)プロパ-2-エン-1-オール:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.45(d,J=7.5Hz,1H),7.18-7.14(m,3H),6.79(d,J=16.0Hz,1H),6.25-6.20(m,1H),4.85(t,J=5.5Hz,1H),4.13(d,J=5.5Hz,2H),2.63-2.59(m,2H),1.54-1.46(m,2H),0.90(t,J=7.5Hz,3H)。
【0212】
工程5:(E)-3-(2-プロピルフェニル)アクリルアルデヒドの合成.
0℃に冷却した(E)-3-(2-プロピルフェニル)プロパ-2-エン-1-オール(890mg、5.05mmol)を含むDCM(50mL)の撹拌溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(4.2g、10.1mmol)を窒素雰囲気下で少しずつ添加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした。反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(20mL)でクエンチし、DCM(20mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質(化合物A)(1.1g、粗製)をさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0213】
工程6:エチル(2E,4E)-5-(2-プロピルフェニル)ペンタ-2,4-ジエノエート(化合物3)およびエチル(2E,4E)-5-(2-ペンチルフェニル)ペンタ-2,4-ジエノエート(化合物4)の合成。
化合物A(1.1g、6.31mmol)を含むTHF(40mL)の撹拌溶液に、C2-ウィッティヒイリド(3.2g、9.47mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、揮発物を減圧下で蒸発させた。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物の混合物(1g)を得、これを分取HPLCにより分離して、化合物3(260mg、17%)および副生成物として化合物4(180mg、12%)を無色のシロップとして得た。
【0214】
化合物3:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.64(d,J=7.0Hz,1H),7.55-7.50(m,1H),7.39(d,J=15.0Hz,1H),7.27-7.19(m,3H),7.05-6.99(m,1H),6.07(d,J=15.5Hz,1H),4.15(q,J=7.0Hz,2H),2.70-2.67(m,2H),1.52-1.48(m,2H),1.24(t,J=7.0Hz,3H),0.91(t,J=7.5Hz,3H);LC-MS:99.76%;m/z 244.9[M+H]+、RT 3.24min(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):99.74%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 12.83min;ACN:0.5%TFA;1.0mL/min)。
【0215】
化合物4:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.67-7.61(m,1H),7.52(dd,J=15.2,11.0Hz,1H),7.39(d,J=15.4Hz,1H),7.27-7.17(m,3H),7.02(dd,J=15.3,11.0Hz,1H),6.08(d,J=15.3Hz,1H),4.20-4.06(m,2H),2.74-2.65(m,2H),1.53-1.42(m,2H),1.34-1.27(m,4H),1.24(t,J=7.1Hz,3H),0.89-0.82(m,3H);LC-MS:99.88%;m/z 273.0[M+H]+、RT 3.50min(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):99.53%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 14.32min;ACN:0.5%TFA;1.0mL/min)。
【0216】
実施例4:エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エノエート(化合物5)の合成(スキーム5):
【化27】
【0217】
工程1:(E)-2-(4-フルオロベンジリデン)オクタナールの合成
オクタナール(3.5mL、23.4mmol)を含むEtOH:H2O(40mL、1:1)の溶液に、KOH(1.31g、23.4mmol)および4-フルオロベンズアルデヒド(2g、15.1mmol)を0℃で添加し、混合物を16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、エタノールを除去した。粗物質を水(30mL)で希釈し、DCM(2×30mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、3%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-2-(4-フルオロベンジリデン)オクタナール(550mg、15%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0218】
1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 9.55(s,1H),7.51(dd,J=8.4,5.5Hz,2H),7.33-7.29(m,1H),7.19-7.13(m,1H),7.03-6.99(m,1H),2.55-2.50(m,2H),1.42-1.24(m,8H),0.86(t,J=6.7Hz,3H);LC-MS(ESI):96.27%;m/z 235.0[M+H]+、RT 3.25min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min)。
【0219】
工程2:エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エノエートの合成
工程1の(E)-2-(4-フルオロベンジリデン)オクタナール(850mg、3.63mmol)を含むトルエン(20mL)の撹拌溶液に、エチル(トリフェニルホスホランイリデン)アセテート(2.53g、7.26mmol)を窒素雰囲気下、密封チューブ中で添加した。反応混合物を90℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、揮発物を減圧下で蒸発させた。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー、続いて、分取HPLCにより精製して、エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エノエート(250mg、22%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0220】
化合物5:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.38(d,J=15.9Hz,1H),7.29(dd,J=8.5,5.6Hz,2H),7.07(t,J=8.7Hz,2H),6.75(s,1H),5.98(d,J=15.9Hz,1H),4.25(q,J=7.0Hz,2H),2.46-2.40(m,2H),1.54-1.48(m,3H),1.39-1.27(m,8H),0.89(t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):99.90%;m/z 305.1[M+H]+、RT 3.59min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.7μm);(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):98.01%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 15.61min;ACN+5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0221】
実施例5:エチル(E)-4-((E)-2-エトキシベンジリデン)-2-メチルヘキサ-2-エノエート(化合物6)の合成(スキーム6):
【化28】
【0222】
工程1:NaH(鉱油中60%分散液)(226mg、5.66mmol)を含むTHF(7mL)の撹拌懸濁液に、エチル2-(ジエトキシホスホリル)ブタノエート(1.18mL、4.95mmol)を含むTHF(3mL)を窒素雰囲気下、0℃で滴下により添加した。添加の完了後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。再び、混合物を0℃に冷却し、2-エトキシベンズアルデヒド(500mg、3.33mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を冷水(20mL)でクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3溶液(30mL)およびブライン(30mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、4%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタノエート(500mg、60%)を無色のシロップとして得た。
【0223】
エチル(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタノエート:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.28-7.26(m,1H),7.23-7.14(m,1H),6.97-6.78(m,3H),4.28(q,J=7.1Hz,2H),4.11-4.00(m,2H),2.52-2.44(m,2H),1.45-1.40(m,3H),1.35(t,J=7.2Hz,3H),1.18-1.13(m,3H);LC-MS(ESI):70.79%;m/z 249.0[M+H]+、RT 3.09min;(カラム;カラム;Ascentis Express C-18(50 3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min)。
【0224】
工程2:工程1の(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタノエート(300mg、1.21mmol)を含むDCM(10mL)の撹拌溶液に、DIBAL-H(1.6mL、1.81mmol)を窒素雰囲気下、-78℃で滴下により添加した。反応混合物を-78℃で4時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和酒石酸ナトリウムカリウム水溶液(50mL)でクエンチし、室温で30分間撹拌し、DCM(20mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタン-1-オール(220mg、88%)を無色のシロップとして得た。
【0225】
(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタン-1-オール:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.25-7.15(m,2H),6.96-6.87(m,2H),6.59(s,1H),6.43(s,1H),4.29(d,J=5.5Hz,2H),4.10-4.03(m,2H),2.32(q,J=7.5Hz,2H),1.43(t,J=7.1Hz,3H),1.12(t,J=7.7Hz,3H);HPLC(純度):73.87%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 10.80min;ACN+5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0226】
工程3:工程2の(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタン-1-オール(300mg、1.45mmol)を含むDCM(10mL)の溶液を0℃に冷却し、次いで、デス・マーチンペルヨージナン(1.1g、2.44mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(10mL)でクエンチし、DCM(10mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタナール(270mg、90%)を黄色のシロップとして得た。
【0227】
(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタナール:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 9.58(s,1H),7.64-7.55(m,1H),7.48-7.45(m,1H),7.38-7.31(m,1H),7.18-7.15(m,1H),7.02-6.97(m,1H),4.14-4.05(m,2H),2.51(q,J=7.5Hz,2H),1.46(t,J=7.0Hz,3H),1.16-1.11(m,3H);LC-MS:97.32%;m/z 204.9[M+H]+、RT 2.90min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):95.55%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 11.42min;ACN+5%0.05%TFA:0.05%TFA+5%ACN;1.0mL/min)。
【0228】
工程4:エチル(E)-4-((E)-2-エトキシベンジリデン)-2-メチルヘキサ-2-エノエート(化合物6)の合成:
NaH(鉱油中60%分散液)(105mg、1.70mmol)を含むTHF(20mL)の撹拌懸濁液に、エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(0.49mL、2.30mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。再び、反応混合物を0℃に冷却し、(E)-2-(2-エトキシベンジリデン)ブタナール(270mg、1.55mmol)を添加し、混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を水(20mL)でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、3%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー、続いて分取HPLCにより精製して、エチル(E)-4-((E)-2-エトキシベンジリデン)-2-メチルヘキサ-2-エノエート6(80mg、18%)を無色のシロップとして得た。NOE分析により、トランス型を確認する。
【0229】
化合物6:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.26-7.21(m,3H),6.93(t,J=7.5Hz,1H),6.87(d,J=8.1Hz,1H),6.57(s,1H),4.25(q,J=7.0Hz,2H),4.04(q,J=6.9Hz,2H),2.36(q,J=7.5Hz,2H),2.10(d,J=1.2Hz,3H),1.40(t,J=6.9Hz,3H),1.34(t,J=7.2Hz,3H),1.05(t,J=7.5Hz,3H);LC-MS:99.97%;m/z 289.0[M+H]+、RT 3.44min(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):91.34%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 14.13min;ACN:5mM NH40Ac;1.0mL/min)。
【0230】
実施例6:エチル(E)-4-((E)-4-シアノベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(化合物7)の合成(スキーム7):
【化29】
【0231】
工程1:オクタナール(0.6mL、3.81mmol)を含むDCM(20mL)の溶液に、K2CO3(2.6g、19.1mmol)、4-イソシアノベンズアルデヒド(500mg、3.81mmol)および塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(434mg、1.91mmol)を室温で添加し、混合物を16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、混合物を水(20mL)で希釈し、DCM(2×20mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-4-(2-ホルミルオクタ-1-エン-1-イル)ベンゾニトリル(620mg、67%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0232】
(E)-4-(2-ホルミルオクタ-1-エン-1-イル)ベンゾニトリル:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 9.58(s,1H),7.74(d,J=8.3Hz,2H),7.56(d,J=8.2Hz,2H),7.21(s,1H),2.52-2.42(m,2H),1.40-1.21(m,8H),0.88(t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):97.44%;m/z 240.3[M-H]+、RT 4.63min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM AqNH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):94.20%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 12.48min;ACN:5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0233】
工程2:エチル(E)-4-((E)-4-シアノベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(化合物7)の合成。
NaH(鉱油中60%分散液)(84mg、3.50mmol)を含むTHF(5mL)の撹拌懸濁液に、エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(0.4mL、1.86mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。混合物を室温で1時間撹拌した。再び、反応混合物を0℃に冷却し、(E)-4-(2-ホルミルオクタ-1-エン-1-イル)ベンゾニトリル(300mg、1.24mmol)を含むTHF(5mL)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を水(15mL)でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー、続いて分取HPLCにより精製して、化合物7(120mg、30%)を無色のシロップとして得た。
【0234】
化合物7:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.64(d,J=8.4Hz,2H),7.36(d,J=8.0Hz,2H),7.21-7.17(m,1H),6.45(s,1H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),2.38-2.31(m,2H),2.05(d,J=1.5Hz,3H),1.49-1.40(m,4H),1.34(t,J=7.2Hz,3H),1.31-1.27(m,4H),0.87(t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):13.18%;m/z 326.4[M+H]+、RT 5.48minおよび86.81%;m/z 326.4[M+H]+、RT 5.59min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM Aq.NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):10.29&86.63%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 14.42&14.75min;ACN:5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0235】
同じ化学経路にしたがって、以下の表2に記載されている試薬を使用して、化合物8~15を調製した(スキーム8)。
【化30】
【0236】
【0237】
化合物8:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.38-7.33(m,2H),7.29-7.23(m,3H),7.21(s,1H),6.51(s,1H),5.83-5.73(m,1H),5.03-4.91(m,2H),4.25(q,J=7.0Hz,2H),2.43-2.36(m,2H),2.07(d,J=1.2Hz,3H),2.05-2.01(m,2H),1.52-1.37(m,4H),1.34(t,J=7.0Hz,3H)。
【0238】
化合物9:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.44-7.14(m,6H),6.49(s,1H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),2.43-2.30(m,2H),2.07(d,J=1.5Hz,3H),1.46(dd,J=10.0,5.4Hz,4H),1.31(ddd,J=14.4,10.4,7.1Hz,7H),0.94-0.77(m,3H)
【0239】
化合物10:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.60-7.16(m,6H),6.80(s,1H),5.99(d,J=15.8Hz,1H),3.79(s,3H),2.53-2.38(m,2H),1.63-1.20(m,8H),0.89(t,J=6.7Hz,3H)
【0240】
化合物11:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.40-7.33(m,3H),7.28-7.25(m,3H),6.36(s,1H),4.26(q,J=7.2Hz,2H),3.10-3.14(m,1H),2.07(d,J=1.5Hz,3H),1.50(dd,J=7.3,14.1Hz,1H),1.35(t,J=7.2Hz,3H),1.16(d,J=4.5Hz,1H),1.12(d,J=7.0Hz,3H),0.73(s,9H)。
【0241】
化合物12:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.39-7.34(m,2H),7.31(s,2H),7.29-7.24(m,2H),6.52(s,1H),4.26(q,J=7.3Hz,2H),2.45(d,J=7.5Hz,2H),2.10(d,J=1.7Hz,3H),2.01-1.92(m,1H),1.76-1.68(m,2H),1.54-1.46(m,4H),1.35(t,J=7.3Hz,3H),1.14-1.05(m,2H)。
【0242】
化合物13:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.84-7.67(m,6H),7.47-7.16(m,2H),6.79(d,J=4.9Hz,1H),6.02(dd,J=22.7,15.9Hz,1H),4.22(dq,J=14.2,7.1Hz,2H),2.52-2.32(m,2H),1.62-1.49(m,2H),1.31(dt,J=8.9,7.2Hz,7H),0.89(dd,J=8.2,4.8Hz,3H)
【0243】
化合物14:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.47-7.21(m,6H),6.80(s,1H),5.98(d,J=15.7Hz,1H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),2.53-2.40(m,2H),1.64-1.19(m,9H),0.96-0.83(m,3H)
【0244】
化合物15:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.50-7.16(m,5H),6.81(s,1H),5.98(d,J=15.7Hz,1H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),2.42(ddd,J=23.1,11.8,6.8Hz,2H),1.70-1.47(m,2H),1.33(t,J=7.1Hz,3H),0.99(t,J=6.2Hz,3H)。
【0245】
実施例7:4-ベンジリデンデカ-2-エンニトリル(化合物16)の合成(スキーム9):
【化31】
【0246】
水素化ナトリウム(2.24g、鉱油中55%分散液、51.3mmol、1.1当量、ヘキサンで2回洗浄)を含む1,2-ジメトキシエタン(DME,100ml)の懸濁液を、ジエチルシアノメチルホスホネート(8.2ml、51.1mmol、1.1当量)を含むDME(10ml)の溶液で滴下により処理した。得られた混合物を20℃で1時間撹拌し、アルファ-ヘキシル-シナミックアルデヒド(10g、46.2mmol)を含むDME(20ml)の溶液で滴下により処理し、60℃で3時間撹拌し、20℃に冷却し、2N HCl/氷(200ml)水溶液に注ぎ、MTBE(75ml)で2回抽出した。合わせた有機相を水(75ml)で3回洗浄し、飽和NaCl水溶液(75ml)で4回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。黄色/オレンジ色の粗油状物(12.3g)を、ボールツーボール蒸留装置(Kugelrohr、160~200℃のオーブン温度、0.06~0.07mbar)を使用して蒸留し、180~200℃で蒸留した画分(0.06~0.07mbar、7.31g、異性体の86:10:4混合物、薄黄色の固体)を、同じ装置(190~220℃のオーブン温度、0.06mbar)を使用して再び蒸留して、純粋な4-ベンジリデンデカ-2-エンニトリル(5.95g、54%、異性体の83:13:4混合物)を白色の固体として得た。
【0247】
化合物16:1H-NMR(CDCl3,400MHz):d 7.42-7.36(m,2H),7.35-7.28(m,3H),7.10(dd,J=0.8,16.4,1H),6.73(br.s,1H),5.41(br.d,J=16.4,1H),2.45-2.39(m,2H),1.56-1.46(m,2H),1.42-1.24(m,6H),0.89(t,J=6.8,Me).13C-NMR(CDCl3,100MHz):d 154.79(d),139.42(d),138.50(s),135.91(s),129.11(d,2C),128.58(d,2C),128.28(d),118.70(s),94.94(d),31.44(t),29.47(t),28.55(t),26.63(t),22.57(t),14.01(q).MS(EI):m/z 240[M+H]+
【0248】
同じ化学経路にしたがって、以下の表3に記載されている試薬を使用して、化合物17および18を調製した(スキーム10)。
【化32】
【0249】
【0250】
化合物171H-NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.43-7.20(m,5H),6.76(s,1H),6.54(dd,J=10 10.9,9.7Hz,1H),2.64-2.27(m,2H),1.55(s,3H)1.5-1.2(m,8H),0.87(t,J=6.0Hz,3H)
【0251】
化合物181H-NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.52-7.26(m,5H),7.11(d,J=16.4Hz,1H),6.75(s,1H),5.41(d,J=16.4Hz,1H),2.51-2.35(m,2H),1.66-1.44(m,2H),1.36(m,4H),1.02-0.81(m,3H)
【0252】
実施例8:(E)-4-((E)-4-シアノベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン酸15(化合物19)の合成(スキーム11):
【化33】
【0253】
エチル(E)-4-((E)-4-シアノベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(化合物7)(30mg、0.09mmol)を含むMeOH:H2O(4mL、1:1)の撹拌溶液に、NaOH(7mg、0.18mmol)を室温で添加した。反応混合物を3時間加熱還流した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、メタノール溶媒を減圧下で除去した。反応混合物を水(5mL)で希釈し、2N HCl溶液(pH約2)で酸性化し、EtOAc(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、分取TLCにより精製して、化合物19(10mg、36%)を無色のシロップとして得た。
【0254】
化合物19:1H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.67-7.63(m,2H),7.37(d,J=8.0Hz,2H),7.31-7.29(m,1H),6.50(s,1H),2.39-2.33(m,2H),2.08(d,J=1.4Hz,3H),1.48-1.41(m,4H),1.30-1.28(m,4H),0.89-0.85(m,3H);LC-MS(ESI):97.30%;m/z 296.1[M-H]+、RT 3.77min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OOCHを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OOCHを含む水;0.8mL/min);HPLC(純度):95.18%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 10.34min;ACN:5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0255】
化合物6からの化合物20:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.38(s,1H),7.26-7.22(m,2H),6.97-6.92(m,1H),6.88(d,J=8.1Hz,1H),6.64(s,1H),4.05(q,J=6.9Hz,2H),2.39(q,J=7.4Hz,2H),2.12(s,3H),1.41(br t,J=6.9Hz,3H),1.07(t,J=7.5Hz,3H);LC-MS(ESI):99.76%;m/z 259.1[M-H]+、RT 3.48min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OOCHを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OOCHを含む水;0.8mL/min);HPLC(純度):99.75%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 11.04min;ACN+0.05%TFA:0.05%TFA+ACN;1.0mL/min)。
【0256】
実施例9:化合物1からの4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン酸(化合物21)の合成(スキーム12):
【化34】
【0257】
エチル4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エノエート1(2.7g、8.99mmol)を、KOH(0.84g、13.5mmol)を含むEtOH(19ml)および水(8ml)の混合物の溶液で0℃で処理した。得られた懸濁液を20℃で24時間撹拌し、ヘキサン(50ml)で洗浄し、水相を2N HCl/氷(50ml)で酸性化し、MTBE(50ml)で3回抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮して、粗4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン酸21(2.38g、97%,異性体の81:13:6混合物)を褐色の油状物として得た。
【0258】
化合物21(主な異性体);1H-NMR(CDCl3,400MHz):d 8.90-8.50(br.s,1H),7.40-7.32(m,3H),7.31-7.22(m,3H),6.55(br.s,1H),2.44-2.37(m,2H),2.09(d,J=1.3,Me),1.52-1.41(m,2H),1.36-1.21(m,6H),0.87(f,J=6.9,Me).13C-NMR(CDCl3,100MHz):d 174.12(s),144.61(d),138.98(s),136.97(s),132.57(d),128.84(d,2C),128.30(d,2C),127.15(d and s),31.58(t),31.33(t),29.22(t),28.88(t),22.58(t),14.02(q),13.91(q).MS(EI):273(MH+)。
【0259】
化合物13からの化合物22:
1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.41-7.21(m,6H),6.84(s,1H),6.02(dd,J=21.9,15.8Hz,1H),2.53-2.30(m,2H),1.56(s,2H),1.45-1.17(m,6H),0.89(t,J=5.2Hz,3H)
【0260】
実施例10:(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エンアミド(化合物23)の合成(スキーム13):
【化35】
【0261】
(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン酸21(150mg、0.53mmol)を含むDCM(5mL)の撹拌溶液に、EDCl.HCl(111mg、0.71mmol)、HOBt(74mg、0.55mmol)、NH4Cl(44mg、0.82mmol)およびN-メチルモルホリン(0.12mL、1.11mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、水(20mL)で洗浄した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質をn-ヘキサンでトリチュレートして、化合物23(35mg、25%)を白色の固体として得た。
【0262】
化合物23:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.42-7.35(m,3H),7.32-7.24(m,3H),6.98(br s,1H),6.80(s,1H),6.44(s,1H),2.35-2.29(m,2H),1.96(d,J=1.3Hz,3H),1.45-1.36(m,2H),1.31-1.17(m,6H),0.83(t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):99.83%;m/z 272.3[M+H]+;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);RT 4.56min.2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):99.24%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,5μm);RT 10.81min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0263】
実施例11:(E)-4-((E)-ベンジリデン)-N,2-ジメチルデカ-2-エンアミド(化合物24)の合成(スキーム14):
【化36】
【0264】
(E)-4-((Z)-ベンジリデン)-2-メチル-5-オキソデカ-2-エン酸21(200mg、0.74mmol)を含むDCM(6mL)の撹拌溶液に、EDCl.HCl(148mg、0.96mmol)、HOBt(99mg、0.74mmol)、メチルアミン溶液(THF中2M)(0.6mL、1.11mmol)およびDIPEA(0.24mL、1.47mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、20~30%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物24(80mg、38%)を白色の固体として得た。
【0265】
化合物24:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.84-7.81(m,1H),7.39-7.33(m,2H),7.29-7.22(m,3H),6.72(s,1H),6.41(s,1H),2.65(d,J=4.3Hz,3H),2.32-2.28(m,2H),1.95(d,J=0.9Hz,3H),1.42-1.34(m,2H),1.28-1.15(m,6H),0.81(t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):91.80%;m/z 286.0[M+H]+;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);RT 3.77min.2.5mM NH4OAcを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OOCHを含む水;0.8mL/min);HPLC(純度):99.26%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 11.26min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0266】
実施例12:(2E,4E)-5-(3-エチルフェニル)-N,N,4-トリメチルペンタ-2,4-ジエンアミド(化合物25)の合成(スキーム15):
【化37】
【0267】
工程1:NaH(鉱油中60%分散液)(101mg、4.20mmol)を含むTHF(3mL)の撹拌懸濁液に、エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(0.47mL、2.23mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。再び、反応混合物を0℃に冷却し、3-エチルベンズアルデヒド(0.19mL、1.49mmol)を含むTHF(2mL)を添加し、撹拌を室温で16時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、EtOAc(2×20mL)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、3%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(E)-3-(3-エチルフェニル)-2-メチルアクリレート(250mg、77%)を白色のシロップとして得た。
【0268】
エチル(E)-3-(3-エチルフェニル)-2-メチルアクリレート:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.69(s,1H),7.35-7.30(m,1H),7.26-7.23(m,2H),7.18(d,J=7.5Hz,1H),4.29(q,J=7.0Hz,2H),2.69(q,J=7.7Hz,2H),2.14(d,J=1.2Hz,3H),1.37(t,J=7.1Hz,3H),1.27(t,J=7.7Hz,3H);LC-MS(ESI):82.65%;m/z 218.9[M+H]+、RT 3.15min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min)。
【0269】
工程2:エチル(2E,4E)-5-(3-エチルフェニル)-4-メチルペンタ-2,4-ジエノエート(300mg、1.22mmol)を含むMeOH:H2O(10mL、1:1)の撹拌溶液に、NaOH(98mg、2.45mmol)を室温で添加した。反応混合物を3時間加熱還流した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、メタノール溶媒を減圧下で除去した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、2N HCl溶液(pH約2)で酸性化し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(2E,4E)-5-(3-エチルフェニル)-4-メチルペンタ-2,4-ジエン酸(255mg、96%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0270】
(2E,4E)-5-(3-エチルフェニル)-4-メチルペンタ-2,4-ジエン酸:1H NMR(CDCl3,500MHz):δ 7.58(d,J=15.6Hz,1H),7.30(t,J=8.1Hz,1H),7.21-7.18(m,2H),7.15(d,J=7.5Hz,1H),6.89(s,1H),5.98(d,J=15.6Hz,1H),2.67(q,J=7.5Hz,2H),2.08(s,3H),1.26(t,J=7.7Hz,3H);LC-MS(ESI):99.61%;m/z 215.6[M-H]+、RT 3.24min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):98.22%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 10.35min;ACN+5%0.05%TFA:0.05%TFA+5%ACN;1.0mL/min)。
【0271】
工程3:(2E,4E)-5-(3-エチルフェニル)-N,N,4-トリメチルペンタ-2,4-ジエンアミド(化合物25)の合成.
(2E,4E)-5-(3-エチルフェニル)-4-メチルペンタ-2,4-ジエン酸(250mg、1.15mmol)を含むDCM(10mL)の撹拌溶液に、EDCl.HCl(233mg、1.51mmol)、HOBt(156mg、1.15mmol)、DIPEA(0.4mL、2.31mmol)およびジメチルアミン.HCl(140mg、1.73mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を水(10mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、30%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物25(130mg、46%)を黄色のシロップとして得た。
【0272】
化合物25:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.48(dd,J=15.2,1.0Hz,1H),7.31-7.28(m,1H),7.19-7.15(m,2H),7.11(d,J=7.7Hz,1H),6.83(s,1H),6.39(d,J=14.9Hz,1H),3.14(s,3H),3.06(s,3H),2.66(q,J=7.6Hz,2H),2.07(d,J=1.3Hz,3H),1.25(t,J=7.6Hz,3H);LC-MS(ESI):98.90%;m/z 244.0[M+H]+、RT 2.64min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):86.42%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 11.08min;ACN:5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0273】
2段階(実施例12の工程2および3)で、化合物9から化合物26を調製した。
化合物261H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.45-7.17(m,5H),6.98(s,1H),6.45(s,1H),5.74(s,2H),2.43-2.27(m,2H),2.09(d,J=1.3Hz,3H),1.53-1.37(m,2H),1.28(dd,J=9.0,5.3Hz,4H),0.87(t,J=6.8Hz,3H).同じ化学経路にしたがって、NH-(CH3)2の代わりにNH3を使用して、実施例12の工程3を実施することにより、化合物22から化合物27を調製した。
【0274】
同じ化学経路にしたがって、1つの単一工程(実施例12の工程3)で、化合物22から化合物27を調製した:
化合物271H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.46-7.17(m,6H),6.78(s,1H),6.03(dd,J=23.1,15.6Hz,1H),5.52(s,2H),2.53-2.31(m,2H),1.55(dd,J=10.2,5.7Hz,2H),1.44-1.20(m,6H),0.89(dd,J=8.7,4.7Hz,3H)
【0275】
実施例13:(E)-4-((E)-ベンジリデン)-N,N,2-トリメチルデカ-2-エンアミド(化合物28)の合成(スキーム16):
【化38】
【0276】
(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン酸(200mg、0.74mmol)を含むDCM(6mL)の撹拌溶液に、EDCl.HCl(148mg、0.96mmol)、HOBt(99mg、0.74mmol)、DIPEA(0.24mL、1.47mmol)およびジメチルアミン塩酸塩(89mg、1.11mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物をDCM(20mL)で希釈し、水(20mL)で洗浄した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、20~30%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物28(55mg、25%)を無色の液体として得た。
【0277】
化合物28:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.38-7.34(m,2H),7.30-7.22(m,3H),6.44(s,1H),5.95(s,1H),3.03-2.82(m,6H),2.32-2.27(m,2H),1.94(d,J=1.4Hz,3H),1.45-1.36(m,2H),1.29-1.15(m,6H),0.82(t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):96.96%;m/z 300.3[M+H]+;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);RT 4.97min.2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):94.69%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,5μm);RT 11.74min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0278】
実施例14:5-ベンジリデン-3-メチルウンデカ-3-エン-2-オン(化合物29)の合成(スキーム17):
【化39】
【0279】
-78℃で、粗4-ベンジリデン-2-メチルデカ-2-エン酸(2.38g、8.74mmol、トルエンと2回共蒸発)を含むジエチルエーテル(130ml)の溶液を、MeLiを含むEt2O(12ml、19.2mmol、2.2当量)の1.6M溶液で40分以内に滴下により処理し、得られた溶液を30分以内に0℃に温め、その温度で2.5時間撹拌し、-78℃に冷却し、アセトン(0.83ml)で5分以内に処理して、0℃にし、飽和NH4Cl水溶液(100ml)に注ぎ、MTBE(60ml)で2回抽出した。合わせた有機相を飽和NaCl水溶液で1回洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮した。粗生成物(2.33g、薄黄色の油状物)を、ボールツーボール(Kugelrohr)蒸留装置を使用して蒸留して(180℃のオーブン温度、0.06mbar)、純粋な5-ベンジリデン-3-メチルウンデカ-3-エン-2-オン29(2g、85%、異性体の86:8:5混合物)を薄黄色の油状物として得た。
【0280】
化合物29:(3E,5E)-5-ベンジリデン-3-メチルウンデカ-3-エン-2-オン(主な異性体):1H-NMR(CDCl3,400MHz):d 7.40-7.33(m,2H),7.31-7.23(m,3H),7.06(br.s,1H),6.54(br.s,1H),2.45-2.38(m,2H),2.40(s,Me),2.01(d,J=1.5,Me),1.51-1.40(m,2H),1.37-1.21(m,6H),0.87(f,J=6.9,Me).13C-NMR(CDCl3,100MHz):d 200.32(s),143.24(d),139.08(s),137.37(s),136.95(s),132.27(d),128.79(d,2C),128.31(d,2C),127.13(d),31.57(t),31.46(t),29.21(t),28.90(t),25.84(q),22.56(t),14.01(q),13.22(q).MS(EI):m/z 271[M+H]+
【0281】
実施例15:(E)-5-((E)-ベンジリデン)ウンデカ-3-エン-2-オン(化合物30)の合成(スキーム18):
【化40】
【0282】
(E)-2-ベンジリデンオクタナール(500mg、2.31mmol)および1-(トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)プロパン-2-オン(736mg、2.31mmol)を含むトルエン(10mL)の溶液を密封チューブ中、アルゴン雰囲気下で110℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を減圧下で濃縮した。粗物質を、10~15%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物30(200mg、33%)を淡黄色のシロップとして得た。
【0283】
化合物30:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.42-7.28(m,5H),7.22(s,1H),6.84(s,1H),6.26(d,J=16.1Hz,1H),2.51-2.44(m,2H),2.35(s,3H),1.55-1.49(m,2H),1.42-1.26(m,6H),0.92-0.86(m,3H);LC-MS(ESI):98.15%;m/z 257.1[M+H]+;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);RT 3.34min.0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):95.26%;(カラム:X SELECT CSH C18(150×4.6mm,3.5μ);RT 13.91min;5Mm NH4OAc:ACN;1.0mL/min)。
【0284】
実施例16:(2E,4E)-5-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタ-2,4-ジエン-1-オール(化合物31)の合成(スキーム19):
【化41】
【0285】
(2E,4E)-5-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタ-2,4-ジエノエート2(化合物2)(100mg、0.41mmol)を含むDCM(5mL)の溶液を-78°に冷却し、次いで、DIBAL-H(0.6mL、0.61mmol)を窒素雰囲気下で滴下により添加した。得られた反応混合物を-78℃で6時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl溶液(10mL)でクエンチし、DCM(10mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、15%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物31(42mg、51%)を白色の濃シロップとして得た。
【0286】
化合物31:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.25-7.18(m,1H),7.16-7.01(m,3H),6.79-6.75(m,1H),6.48(d,J=15.5Hz,1H),6.18(br d,J=11.1Hz,1H),4.85(t,J=5.7Hz,1H),3.90(d,J=5.5Hz,2H),3.76(s,3H),1.80(s,3H);LC-MS(ESI):99.19%;m/z 187.0[M-OH+H]+、RT 2.37min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):88.12%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 9.22min;ACN:0.5%TFA);1.0mL/min)。
【0287】
実施例17:(2E,4E)-5-(2-プロピルフェニル)ペンタ-2,4-ジエン-1-オール(化合物32)の合成(スキーム20):
【化42】
【0288】
エチル(2E,4E)-5-(2-プロピルフェニル)ペンタ-2,4-ジエノエート(化合物3)(100mg、0.41mmol)を含むDCM(20mL)の溶液を-78℃に冷却し、次いで、DIBAL-H(0.6mL、0.61mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を-78℃で5時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を酒石酸ナトリウムカリウム溶液(10mL)でクエンチし、DCM(10mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、15%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物32(21mg、25%)を無色のシロップとして得た。
【0289】
化合物32:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.57-7.51(m,1H),7.21-7.13(m,3H),6.79(d,J=5.4Hz,2H),6.48-6.39(m,1H),5.95(dt,J=15.2,5.3Hz,1H),4.78(t,J=5.5Hz,1H),4.05(td,J=1.6,5.4Hz,2H),2.66-2.60(m,2H),1.54-1.46(m,2H),0.91(t,J=7.4Hz,3H);LC-MS(ESI):95.27%;m/z 184.9[M-H2O+H]+、RT 2.71min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):87.46%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 10.58min;ACN:0.5%TFA);1.0mL/min)。
【0290】
実施例18:(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール(化合物33)~化合物35の合成(スキーム21):
【化43】
【0291】
エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート5(500mg、1.57mmol)を含むDCM(10mL)の溶液を-78℃に冷却し、次いで、DIBAL-H(2.36mL、2.35mmol)を窒素雰囲気下で滴下により添加した。得られた反応混合物を-78℃で6時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl溶液(10mL)でクエンチし、30分間撹拌し、次いで、DCM(3×10mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール33(230mg、53%)を無色のシロップとして得た。
【0292】
化合物33:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.25-7.19(m,2H),7.06-7.00(m,2H),6.43(s,1H),6.31(dd,J=15.8,0.7Hz,1H),5.94(dt,J=15.6,6.0Hz,1H),4.31-4.24(m,2H),2.43-2.35(m,2H),1.54-1.47(m,2H),1.40-1.24(m,7H),0.92-0.85(m,3H);LC-MS(ESI):99.19%;m/z244.9[M-OH+H]+、RT 3.11min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):99.38%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 12.94min;ACN+5%0.5%TFA:0.5%TFA+5%ACN);1.0mL/min)。
【0293】
実施例18に記載されているのと同じ化学経路にしたがって、化合物9から化合物34を調製した。
化合物34:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.51-7.07(m,5H),6.35(s,1H),6.00(s,1H),4.13(s,2H),2.35-2.21(m,2H),1.88(d,J=1.3Hz,3H),1.66-1.15(m,6H),0.87(t,J=6.8Hz,3H)。
【0294】
実施例18に記載されているのと同じ化学経路を使用して、化合物35を調製した(スキーム22):
【化44】
【0295】
工程1:ペンタナール(2g、23.2mmol)をEtOH(20mL)に溶解させ、NaOH(1.4g、34.8mmol)を0℃で添加した。10分間撹拌した後、ベンズアルデヒド(2.46mL、27.8mmol)、続いてBTEAC(2.6g、11.4mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした。反応の完了後、揮発物を減圧下で除去した。粗物質を水(30mL)で希釈し、DCM(2×50mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-2-ベンジリデンペンタナール(1.7g、42%)をシロップとして得た。
【0296】
LC-MS(ESI):79.18%;m/z 175.3[M+H]+、RT 4.58min;(カラム;X Select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM Aq.NH4OAc:ACN;0.8mL/min)。
【0297】
工程2:エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルヘプタ-2-エノエート
NaH(鉱油中60%分散液)(664mg、27.6mmol)をTHF(30mL)に溶解させ、エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(3.14mL、14.6mmol)を混合物に窒素雰囲気下、0℃で添加した。室温で1時間撹拌した後、(E)-2-ベンジリデンペンタナール(1.7g、9.77mmol)を0℃で添加し、撹拌を室温で16時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした。反応の完了後、反応混合物を水でクエンチし、EtOAc(2×30mL)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(1.9g、76%)を無色のシロップとして得た。
【0298】
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.39-7.28(s,5H),7.22(s,1H),6.51(s,1H),4.25(d,J=7.2Hz,2H),2.36(d,J=8.0Hz,2H),2.07(d,J=1.5Hz,3H),1.52-1.43(m,2H),1.33(t,J=7.2Hz,3H),0.92(t,J=7.5Hz,3H)。
【0299】
実施例18のプロトコールを使用して、そのようにして得たエチルエステルをさらに還元して、化合物35を得た。
【0300】
化合物35:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 7.40-7.16(m,5H),6.36(s,1H),6.00(s,1H),4.14(s,2H),2.28(dd,J=9.1,6.7Hz,2H),1.89(d,J=1.2Hz,3H),1.66-1.37(m,2H),0.92(dd,J=9.8,4.9Hz,3H)。
【0301】
実施例19:(2E,4E)-5-(3-メトキシフェニル)-2-メチルペンタ-2,4-ジエナール(化合物36)の合成(スキーム23):
【化45】
【0302】
化合物31(50mg、0.24mmol)を含むDCM(5mL)の溶液を0℃に冷却し、次いで、デス・マーチンペルヨージナン(155mg、0.736mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(10mL)でクエンチし、DCM(10mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物36(38mg、77%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0303】
化合物36:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 9.49(s,1H),7.50-7.41(m,1H),7.35-7.19(m,4H),7.13(d,J=15.5Hz,1H),6.96-6.91(m,1H),3.81(s,3H),1.89(d,J=0.9Hz,3H);LC-MS:93.69%;m/z 203.2[M+H]+、RT 4.01min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):93.90%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 10.18min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0304】
実施例20:(2E,4E)-5-(2-プロピルフェニル)ペンタ-2,4-ジエナール(化合物37)の合成(スキーム24):
【化46】
【0305】
化合物32(60mg、0.29mmol)を含むDCM(20mL)の溶液を0℃に冷却し、次いで、デス・マーチンペルヨージナン(189mg、0.44mmol)を窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(10mL)でクエンチし、DCM(20mL×2)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(25mg、42%)を濃シロップとして得た。
【0306】
化合物37:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 9.63(d,J=7.5Hz,1H),7.60(d,J=7.5Hz,1H),7.33-7.27(m,3H),7.24-7.18(m,2H),6.97-6.91(m,1H),6.27(dd,J=15.0,7.5Hz,1H),2.70(t,J=7.5Hz,2H),1.63-1.57(m,2H),0.98(t,J=7.5Hz,3H);LC-MS:99.90%;m/z 201.3[M+H]+、RT 4.45min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):97.07%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 11.44min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0307】
実施例21:(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エナール(化合物38)の合成(スキーム25):
【化47】
【0308】
(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)デカ-2-エン-1-オール(化合物33)(80mg、0.31mmol)を含むDCM(5mL)の撹拌溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(194mg、0.45mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で3時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(10mL)でクエンチし、DCM(20mL×2)で抽出した。分離した有機層を飽和NaHCO3溶液(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物38(55mg、69%)を黄色のシロップとして得た。
【0309】
化合物38:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 9.64(d,J=7.8Hz,1H),7.34(dd,J=8.7,5.5Hz,2H),7.19(d,J=15.6Hz,1H),7.10(t,J=8.7Hz,2H),6.85(s,1H),6.29(dd,J=15.6,7.8Hz,1H),2.51-2.44(m,2H),1.53-1.49(m,2H),1.42-1.35(m,2H),1.33-1.25(m,4H),0.89(t,J=6.9Hz,3H);LC-MS:99.57%;m/z 261.3[M+H]+、RT 5.05min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM Aq NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):94.74%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 14.06min;ACN+0.05%TFA:0.05%TFA+ACN;1.0mL/min)。
【0310】
実施例21に記載されている化学経路にしたがって、それぞれ化合物34および化合物35から化合物40および41を調製した。
【0311】
化合物40:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 9.50(s,1H),7.45-7.27(m,5H),6.86(d,J=1.1Hz,1H),6.73(s,1H),2.50(dd,J=9.2,6.8Hz,2H),2.00(d,J=1.3Hz,3H),1.61-1.23(m,6H),0.88(t,J=7.0Hz,3H)
【0312】
化合物41:1H NMR(300MHz,CDCl3)δ 9.50(s,1H),7.45-7.20(m,5H),6.88-6.82(m,1H),6.74(s,1H),2.54-2.42(m,2H),2.00(d,J=1.3Hz,3H),1.66-1.41(m,2H),0.95(t,J=7.3Hz,3H)
【0313】
実施例22:(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エン-1-オール(化合物45)および(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エナール(化合物39)の合成(スキーム26):
【化48】
【0314】
工程1:(E)-2-ベンジリデンオクタナール(1g、4.63mmol)およびエチル2-(トリフェニル-λ5-ホスファニリデン)アセテート(3.22g、9.26mmol)を含むトルエン(10mL)の溶液を密閉チューブ中、アルゴン雰囲気下で100℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を減圧下で濃縮して、粗製物を得た。粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エノエート(1g、77%)を無色のシロップとして得た。
【0315】
エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エノエート:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.44-7.25(m,6H),6.80(s,1H),5.98(d,J=15.8Hz,1H),4.25(q,J=7.1Hz,2H),2.50-2.42(m,2H),1.56-1.48(m,2H),1.41-1.24(m,9H),0.92-0.85(m,3H);LC-MS(ESI):85.22%;m/z 287.1[M+H]+;(カラム;Kinetex EVO C-18(50×3.0mm,2.6μm);RT 4.73min.2.5mM NH4OACを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OOCHを含む水;0.8mL/min)。
【0316】
工程2:(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エン-1-オールの合成:
水素化アルミニウムリチウム(66mg、1.74mmol)を含むジエチルエーテル(7mL)の撹拌溶液に、塩化アルミニウム(233mg、1.74mmol)をアルゴン雰囲気下、0℃で添加した。混合物を15分間撹拌した。次いで、エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エノエート(500mg、1.74mmol)を含むジエチルエーテル(3mL)を0℃で滴下により添加し、反応混合物を同じ温度で4時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl(10mL)でクエンチし、30分間撹拌し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質を、20%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物(210mg、49%)を無色のシロップとして得た。
【0317】
(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エン-1-オール:1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.37-7.32(m,2H),7.29-7.27(m,2H),7.25-7.20(m,1H),6.48(s,1H),6.33(dd,J=15.7,0.8Hz,1H),5.98-5.915(m,1H),4.28(t,J=5.3Hz,2H),2.46-2.40(m,2H),1.60-1.55(m,1H),1.54-1.50(m,1H),1.41-1.32(m,3H),1.32-1.24(m,4H),0.91-0.86(m,3H);LC-MS(ESI):97.08%;m/z 227.1[M-H2O]+;(カラム;Kinetex EVO C-18(50×3.0mm,2.6μm);RT 3.91min.2.5mM NH4OOCHを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OOCHを含む水;0.8mL/min);HPLC(純度):92.14%;(カラム:X SELECT CSH C18(150×4.6mm,3.5μ);RT 12.98min;5Mm NH4OAc:ACN;1.0mL/min)。
【0318】
工程3:(E)-4-((E)-ベンジリデン)デカ-2-エナール(化合物39)の合成:
化合物45(50mg、0.2mmol)を含むCH2Cl2(5mL)の撹拌溶液に、デス・マーチンペルヨージナン(130mg、0.31mmol)をアルゴン雰囲気下、0℃で添加した。反応混合物を室温に徐々に温め、16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(5mL)でクエンチし、CH2Cl2(2×10mL)で抽出した。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物(35mg、71%)を淡黄色のシロップとして得た。
【0319】
化合物39:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 9.64(d,J=7.8Hz,1H),7.43-7.31(m,5H),7.21(d,J=15.6Hz,1H),6.90(s,1H),6.29(dd,J=7.8,15.6Hz,1H),2.53-2.48(m,2H),1.59-1.51(m,4H),1.42-1.35(m,2H),1.33-1.27(m,4H),0.89(br t,J=6.8Hz,3H);LC-MS(ESI):87.11%;m/z 243.1[M+H]+;(カラム;Kinetex EVO C-18(50×3.0mm,2.6μm);RT 4.23min.2.5mM NH4OOCHを含む水+5%ACN:ACN+5%2.5mM NH4OOCHを含む水;0.8mL/min)。
【0320】
実施例23:((E)-2-((E)-3-メトキシ-2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)オクタ-1-エン-1-イル)ベンゼン化合物42)の合成(スキーム27):
【化49】
【0321】
工程1:エチル(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(化合物1)(100mg、0.33mmol)を含むEt2O(3mL)の撹拌溶液に、LAH(24mg、0.66mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で1時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈し、室温で30分間撹拌し、次いで、水(20mL)で洗浄した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール(40mg、47%)を無色の液体として得た。
【0322】
(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール:1H NMR(400MHz,DMSO-d6):δ 7.38-7.32(m,2H),7.28-7.19(m,3H),6.30(s,1H),5.95(s,1H),4.84-4.78(m,1H),3.91(d,J=5.4Hz,2H),2.30-2.22(m,2H),1.77(s,3H),1.45-1.37(m,2H),1.32-1.16(m,6H),0.83(t,J=6.9Hz,3H);LC-MS(ESI):94.50%;m/z 241.3[M-18+H]+、RT 5.14minおよび5.49%;m/z 241.3[M-18+H]+、RT 5.30min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);2.5mM NH4OAc:ACN;0.8mL/min);HPLC(純度):87.17%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 11.99min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0323】
工程2:((E)-2-((E)-3-メトキシ-2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)オクタ-1-エン-1-イル)ベンゼン(化合物42)の合成
NaH(鉱油中60%分散液)(34mg、1.41mmol)を含むDMF(5mL)の懸濁液に、工程1の(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール(150mg、0.58mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。反応混合物を1時間撹拌した。次いで、ヨウ化メチル(0.07mL、1.16mmol)を添加し、撹拌を1時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチし、エーテル(2×20mL)で抽出した。分離した有機層を水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物42(125mg、79%)を無色のシロップとして得た。
【0324】
化合物42:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.37-7.32(m,2H),7.26-7.19(m,3H),6.32(s,1H),5.94(s,1H),3.84(s,2H),3.22(s,3H),2.25(t,J=8.1Hz,2H),2.87(s,2H),1.43-1.35(m,2H),1.27-1.16(m,7H),0.81(t,J=6.9Hz,3H);LC-MS(ESI):93.79%;m/z 241.1[M-OCH3]+、RT 4.10minおよび4.13%;m/z 241.1[M-OCH3]+、RT 4.21min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):84.26%+10.13%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 20.95&22.14min;ACN:0.05%TFA;1.0mL/min)。
【0325】
実施例24:((E)-2-((E)-3-エトキシ-2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)オクタ-1-エン-1-イル)ベンゼン(化合物43)の合成(スキーム28):
【化50】
【0326】
NaH(鉱油中60%分散液)(34mg、1.41mmol)を含むDMF(5mL)の懸濁液に、(E)-4-((E)-ベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール(CC-014)(150mg、0.58mmol)を窒素雰囲気下、0℃で添加した。反応混合物を1時間撹拌し、次いで、ヨウ化エチル(0.09mL、1.16mmol)を添加し、撹拌を1時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を氷冷水(10mL)でクエンチし、エーテル(2×20mL)で抽出した。分離した有機層を水(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物43(125mg、75%)を無色のシロップとして得た。
【0327】
化合物43:1H NMR(500MHz,DMSO-d6):δ 7.38-7.32(m,2H),7.28-7.20(m,3H),6.32(s,1H),5.95(s,1H),3.89(s,2H),3.41(q,J=7.1Hz,2H),2.26(t,J=7.5Hz,2H),1.79(s,3H),1.44-1.36(m,2H),1.28-1.18(m,6H),1.14(t,J=6.9Hz,3H),0.82(t,J=6.9Hz,3H);LC-MS(ESI):92.58%;m/z 240.9[M-OEt]+、RT 4.34minおよび4.38%;m/z 240.0[M-OEt]+、RT 4.43min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min);HPLC(純度):82.70%+9.94%;(カラム:ZORBAX SB C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 24.78&26.41min;ACN+5%0.05%TFA:0.05%TFA+5%ACN;1.0mL/min)。
【0328】
実施例25:1-((E)-2-((E)-3-エトキシ-2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)オクタ-1-エン-1-イル)-4-フルオロベンゼン(化合物44)の合成(スキーム29):
【化51】
【0329】
工程1:オクタナール(3.5mL、23.4mmol)を含むEtOH:H2O(40mL、1:1)の溶液に、KOH(1.31g、23.4mmol)および4-フルオロベンズアルデヒド(2g、15.6mmol)を0℃で添加した。反応混合物を16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、エタノールを除去した。粗物質を水(30mL)で希釈し、DCM(3×30mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、3%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、粗(E)-2-(4-フルオロベンジリデン)オクタナール(1.3g)を黄色のシロップとして得、これをさらに精製せずに次の工程に用いた。
【0330】
工程2:エチル2-(ジエトキシホスホリル)プロパノエート(1.8mL、8.33mmol)を、NaH(鉱油中60%分散液)(377mg、15.7mmol)を含むTHF(10mL)の撹拌懸濁液に窒素雰囲気下、0℃で滴下により添加した。添加の完了後、反応混合物を室温で1時間撹拌した。再び、混合物を0℃に冷却し、(E)-2-(4-フルオロベンジリデン)オクタナール(1.3g、5.55mmol)を含むTHF(10mL)ゆっくりと添加し、撹拌を室温で5時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を水(20mL)でクエンチし、EtOAc(3×20mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、3%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(1.1g、62%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0331】
エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート:1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 7.26-7.19(m,3H),7.12-7.00(m,2H),6.45(s,1H),4.25(q,J=6.9Hz,2H),2.38-2.32(m,2H),2.06(s,3H),1.38-1.31(m,3H),1.30-1.18(m,8H),0.93-0.83(m,3H);LC-MS(ESI):79.24%;m/z 318.9[M+H]+、RT 3.70min;(カラム;Ascentis Express C-18(50×3.0mm,2.7μm);0.025%Aq TFA+5%ACN:ACN+5%0.025%Aq TFA;1.2mL/min)。
【0332】
工程3:エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エノエート(500mg、1.57mmol)を含むDCM(10mL)の溶液を-78℃に冷却し、次いで、DIBAL-H(2.36mL、2.35mmol)を窒素雰囲気下で滴下により添加した。得られた反応混合物を-78℃で6時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を2N HCl溶液(10mL)でクエンチし、30分間撹拌し、次いで、DCM(3×10mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、10%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール(230mg、53%)を無色のシロップとして得た。
【0333】
(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール:1H NMR(500MHz,CDCl3)δ 7.20(dd,J=8.4,5.8Hz,2H),7.06-6.99(m,2H),6.30(s,1H),5.98(s,1H),4.13(s,2H),2.28-2.23(m,2H),1.87(s,3H),1.47-1.38(m,3H),1.33-1.21(m,5H),0.87(t,J=6.9Hz,3H);HPLC(純度):86.31%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm);RT 13.38min;ACN:5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0334】
工程4:1-((E)-2-((E)-3-エトキシ-2-メチルプロパ-1-エン-1-イル)オクタ-1-エン-1-イル)-4-フルオロベンゼン(化合物44)の合成:
工程3の(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)-2-メチルデカ-2-エン-1-オール(180mg、0.65mmol)を含むTHF(5mL)を、NaH(鉱油中60%分散液)(50mg、2.10mmol)を含むTHF(5mL)の撹拌懸濁液に窒素雰囲気下、0℃で添加した。15分間撹拌した後、ヨウ化エチル(0.11mL、1.30mmol)を添加し、撹拌を室温で16時間継続した。TLCにより、反応をモニタリングした;反応の完了後、反応混合物を氷水(10mL)でクエンチし、EtOAc(2×15mL)で抽出した。分離した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物44(100mg、50%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0335】
化合物44:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ=7.20(dd,J=8.4,5.8Hz,2H),7.01(t,J=8.7Hz,2H),6.30(s,1H),5.95(s,1H),3.95(s,2H),3.49(q,J=7.0Hz,2H),2.27-2.22(m,2H),1.85(d,J=0.9Hz,3H),1.47-1.38(m,2H),1.28-1.23(m,9H),0.86(t,J=6.9Hz,3H);LC-MS:10.00%;m/z 259.3[M-(OEt-1)]+、RT 4.47min;(カラム;X-select CSH C-18(50×3.0mm,2.5μm);ACN:2.5mM NH4OAc;0.8mL/min);HPLC(純度):99.78%;(カラム:XSELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μm RT 17.84min;ACN:5mM NH4OAc;1.0mL/min)。
【0336】
実施例26:エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)ノナ-2-エノエート化合物45の合成(スキーム30):
【化52】
【0337】
工程1:ヘプタン-1-オール(6.2mL、43.02mmol)をDCM(50mL)に溶解させ、デス・マーチンペルヨージナン(21.9g、51.63mmol)を窒素雰囲気下、0℃で少しずつ添加した。得られた反応混合物を室温で4時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした。反応の完了後、混合物を水(50mL)でクエンチし、セライトのパッドで濾過した。得られた濾液を飽和NaHCO3溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、ヘプタナール(3.8g、77%)をシロップとして得た。
【0338】
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 9.86(s,1H),2.47-2.39(m,2H),1.68-1.54(m,2H),1.36-1.24(m,6H),0.90(t,J=7.4Hz,3H)。
【0339】
工程2:ヘプタナール(3.8g、33.2mmol)をEtOH:H2O(60mL、2:1)に溶解させた。KOH(279mg、48.2mmol)、続いて4-フルオロベンズアルデヒド(4.9g、39.5mmol)を0℃で添加した。得られた反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした。反応の完了後、揮発物を減圧下で除去した。粗物質を水(30mL)で希釈し、DCM(2×50mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた粗物質を、5~7%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2-(4-フルオロベンジリデン)ヘプタナール(4g)を黄色のシロップとして得た。この物質をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0340】
工程3:エチル(E)-4-((E)-4-フルオロベンジリデン)ノナ-2-エノエート(化合物45)の合成:粗2-(4-フルオロベンジリデン)ヘプタナール(1.5g、6.81mmol)をPhCH3(15mL)に溶解させ、エチル2-(トリフェニル-5-ホスファニリデン)アセテート(4.7g、13.5mmol)を密封チューブ中、窒素雰囲気下で添加した。得られた反応混合物を100℃に加熱し、16時間撹拌した。TLCにより、反応をモニタリングした。反応の完了後、反応混合物を室温に冷却し、揮発物を減圧下で蒸発させた。得られた粗物質を、5%EtOAc/ヘキサンを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィー、続いて分取HPLCにより精製して、表題化合物45(1.05g、76%)を薄黄色のシロップとして得た。
【0341】
化合物45:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 7.40(d,J=15.6Hz,1H),7.31(dd,J=5.5,8.4Hz,2H),7.08(t,J=8.7Hz,2H),6.76(s,1H),5.99(d,J=15.6Hz,1H),4.26(q,J=7.0Hz,2H),2.47-2.41(m,2H),1.59-1.53(m,2H),1.39-1.32(m,7H),0.92(t,J=7.0Hz,3H).LC-MS(ESI):98.74%;m/z 291.2[M+H]+、RT 5.54min;(カラム;Kinetex EVO C-18(50×3.0mm,2.6μm);2.5mM aq.NH4OAc:ACN;0.8mL/min).HPLC(純度):93.55%;(カラム:X SELECT CSH C-18(150×4.6mm,3.5μ);RT 16.27min;5mM NH4OAc:ACN;1.0mL/min)。
【0342】
【0343】
Horie Hiroaki,et al.,“Nickel-catalyzed intermolecular codimerization of acrylates and alkynes”,Chemical Communications(Cambridge,United Kingdom),Volume:47,Issue:9,Pages:2658-2660,Journal,2011に記載されているように、化合物46を調製することができる。
【0344】
一般に、テフロンコーティングマグネティックスターラーチップを備える5mL密閉容器で、反応を実施することができる。アクリレート(0.60または1.0mmol)およびアルキン(0.50mmol)を、ビス(1,5-ジシクロオクタジエン)ニッケル(14mg、0.050mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(14mg、0.050mmol)およびN-アリール-2-アミノピリジン(0.10mmol)を含むトルエン(5mL)の溶液にドライボックス中で添加する。VIALをドライボックスの外に取り出し、100℃で24時間加熱する。反応混合物を0.5N HCL水溶液(30mL)に注ぎ、混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮する。残留物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/AcOEt=40/1)により精製して、対応するコンジュゲートジエンを無色の油状物として得る。
【0345】
化合物46:1H NMR(500MHz,CDCl3):δ=7.39(d,J=16.0Hz,1H),7.29(dd,JHH=9.0,JHF=5.0Hz,2H),7.07(dd,JHH=9.0,JHF=9.0Hz,2H),6.75(s,1H),5.98(d,J=16.0Hz,1H,3.79(s,3H),2.43(t,J=8.0Hz,2H),1.53(m,2H),1.34(m,4H),0.90(j,J=7.0Hz,3H).MS(EI):m/z(%)276([M]+,56),219([M-Bu]+,85),159(100),109([F-C6H4-CH2]+,60)。
【0346】
生物学的実施例
細胞培養および細胞株作製
10%ウシ胎仔血清(M10)を含有する最小必須培地(EMEM、Lonza)中で、細胞を維持した。Lipofectamine 2000を使用して、シャペロン遺伝子配列およびピューロマイシン耐性遺伝子を含有する発現ベクターでHEK293T細胞をトランスフェクトすることにより、国際公開第2006/002161号(これは、参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているRTPファミリーの嗅覚シャペロンタンパク質を安定発現するHEK293Tを作製した。10μg/mlのピューロマイシンを培養培地に添加することにより、組換え細胞集団を選択した。限界希釈手順により、モノクローナル集団をさらに得た。簡潔に言えば、1ml当たり1個の細胞を含有するように細胞懸濁液を希釈し、この希釈液をポリ-D-リジンコーティング96ウェルプレートに入れた(1ウェル当たり200μlの希釈液)。5日間の培養後、1ウェル当たりの細胞コロニーの存在および数を位相差顕微鏡下でチェックした。さらに5日間の培養後、単一のコロニーを含有するウェルを回収し、収集した各集団を個別に増幅した。
【0347】
アゴニストおよび試験分子の希釈
ヒト嗅覚受容体OR7D4のアゴニストとして使用した5-アルファ-アンドロスト-16-エン-3-オンおよび試験分子を、1モル/リットル(M)の濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に希釈して、ストック溶液を作製した。
【0348】
濃度反応分析のために、96ウェルプレートにプレーティングしたEMEMのストック溶液から、試験分子の連続希釈液を調製した。
【0349】
OR7D4発現およびルシフェラーゼアッセイ。
そのアゴニストアンドロステノンによるOR7D4の活性化およびアンタゴニスト化合物によるこの活性化の阻害を実証するために、Saito et al.(Saito et al.,2004 Cell Vol.119,20 679-691)に記載されているように、ルシフェラーゼベースの遺伝子レポーターアッセイ(Promega,Leiden,The Netherlands)を使用した。簡潔に言えば、細胞をポリ-D-リジンコーティング96ウェルプレート(BD Bioscience,Erembodegem-Dorp,Belgium)にプレーティングし、CRE-ルシフェラーゼを含有するプラスミドと、OR7D4を含有するプラスミドとでトランスフェクトした。トランスフェクションの16時間後、所定濃度の試験リガンドを含有する無血清EMEMで培養培地を交換した。37℃で4時間インキュベートした後、細胞を溶解させ、製造業者のプロトコールにしたがって発光測定のために処理した。Spectra Max M5 reader(Molecular Devices,Sunnyvale,CA)により、発光を記録した。10μMのアデニル酸シクラーゼアクチベーターフォルスコリンによって誘導される反応の割合として、結果を表した。
【0350】
OR7D4のアンタゴニストの同定
OR7D4受容体に対するアンドロステノンの活性を阻害する本発明の化合物の能力を、上記ルシフェラーゼアッセイにより評価した。
【0351】
分子がOR7D4にアンタゴナイズするかを決定するために、この化合物を、316μΜ、100μΜまたは31.6μΜのいずれかの濃度で、31.6μΜの濃度の公知の受容体アクチベーター5α-アンドロスト-16-エン-3-オンと一緒に、上記ルシフェラーゼアッセイのインキュベーション培地に導入した。5α-アンドロスト-16-エン-3-オンによるOR7D4の活性化により誘導されるルシフェラーゼ産生の少なくとも50%の減少を誘導した場合、分子は、「ヒット」(すなわち、受容体に対するアンタゴニスト効果を有する)とみなした。
【0352】
化合物1および他のタイプの分子を含有する推定アンタゴニスト分子ライブラリーを使用して、受容体OR7D4のアンタゴニストを同定した。一連の112個の推定アンタゴニスト分子を用いてOR7D4に対して、スクリーニングキャンペーンを実施した。このスクリーニングキャンペーンでは、化合物1がヒットとして同定された。
【0353】
ルシフェラーゼアッセイを使用して用量反応分析を実施することにより、化合物1は、OR7D4のアンタゴニストとしてさらに確認された。OR7D4を発現するHEK293細胞であって、31.6μMの5α-アンドロスト-16-エン-3-オンで刺激したHEK293細胞において、31.6nM~1mMの範囲の異なる濃度の化合物1を試験した。
図1に示されている結果は、5α-アンドロスト-16-エン-3-オンで誘発されるルシフェラーゼ活性が、化合物1の濃度に比例して減少することを示している。
【0354】
対照として、受容体を発現しない細胞をフォルスコリン(cAMPの受容体非依存性産生を誘導し、したがってルシフェラーゼの産生を誘導する医薬品)により刺激した。この産生は化合物1により影響を受けないが、これは、アンタゴニストとしてのその作用がOR7D4受容体に大きく依存することを示している。
【0355】
上記ルシフェラーゼアッセイを使用して、化合物1の存在下で5α-アンドロスタ-4,16-ジエン-3-オンへのOR7D4の反応を測定することにより、OR7D4に対する化合物1のアンタゴニスト特性をさらに確認した。観察された阻害は、5α-アンドロスト-16-エン-3-オンで受容体を刺激した場合に観察されたものと同じ範囲内であった。典型的には、記録されたIC50は、2.5マイクロモルの値に達した。
【0356】
OR7D4のアンタゴニストの構造活性相関研究
OR7D4の拮抗作用をさらに調べるために、化合物1に構造的に関連する一連の化合物を合成し、ルシフェラーゼアッセイを使用した用量反応分析により、OR7D4のアンタゴニストとして評価した。表4は、異なる試験類似体のIC50(阻害濃度50、すなわち、アンタゴニストなしの場合に得られるルシフェラーゼ産生の半減を誘導するアンタゴニストの濃度)を与えることによる構造活性研究の結果を要約したものである。
【0357】
【0358】
【0359】
【0360】
【0361】
【0362】
【0363】
上記アッセイで試験したところ、本発明の好ましい化合物は、0.5μM~200μMに含まれるIC50を示したが、これは、このような化合物が、OR7D4受容体に対するアンドロステノンの活性をアンタゴナイズすることができることを示している。
【0364】
アンドロステノンと対比した本発明の化合物の感覚評価
この実施例では、上記バイオアッセイで観察された拮抗作用により予測した場合の、感覚評価試験における16-(5-アルファ)-アンドロステノン(「アンドロステノン」)臭気の低減に対する化合物1の効果を実証する。アンドロステノンは、体(特に腋の下)の悪臭の重要な要素であり、一般的に、それを知覚できる人には強く不快な臭気になります。
【0365】
他の体の悪臭成分が常に存在するため、インビボでアンドロステノンのみを評価することは不可能であるので、本発明者らは、瓶内の単離された材料を使用したインビトロ感覚試験を利用した。感覚試験は、評価者が、アンドロステノンのみを含有する「異質な外れ瓶」を特定しなければならない標準的な「三点試験」からなる。評価者はまた、異質な瓶が、他の2つよりも弱いまたは強いアンドロステノン臭を有するかを特定するように求められる。
【0366】
アンドロステノンおよび/または化合物1のいずれかの潜在的な「持ち越し」効果を回避するために、各セットは2つの空瓶も含有する。
各評価者が匂いを嗅ぐために、5つの瓶のセットを準備する。各セットは、以下のように準備した3つの試験瓶および2つの空瓶を含む:
5つの120ml「ビートソン」瓶を使用し、直径4.5cmサイズにした綿100%の布を各瓶に入れる。5つの丸い小片の同じ綿を、より大きな綿布上にある瓶内の小さな瓶蓋上に置く。
【0367】
1つの試験瓶は、4.5cm布に滴下し、12分間乾燥させてエタノールを除去した50μlのエタノール中6.2%アンドロステノン(フタル酸ジエチル中1%)のみを含有する。2つの試験瓶は、アンドロステノン(上記と同じレベルおよび手順)および化合物1(乾燥工程なしで、瓶蓋上に置いた小さな布片にピペッティングした正味200μl)を含有する。2つの成分を別々に保持して直接的な接触を回避し、合わさった際に成分の感覚知覚に影響を与え得る他の化学的効果の可能性を減少させる。2つの空瓶は、アンドロステノンまたは化合物1なしで綿布のみを含有する。瓶を密封し、評価前に5日間室温で放置して、低揮発性物質を完全に平衡化させる。
【0368】
次いで、Williams Latin Square法(これは、サンプルの順序効果を最小化し、各試験における1サンプルごと十分な評価を保証する)にしたがって、各評価者に対して瓶をコード化およびランダム化する。例えば、空瓶を位置2および4に常に配置する:
位置1 試験瓶 アンドロステノン(A)
位置2 空瓶
位置3 試験瓶 アンドロステノン+化合物1(A+C1)
位置4 空瓶
位置5 試験瓶 アンドロステノン+化合物1(A+C1)
【0369】
各回答者は、各試験コーディネーターにより設定された順序にしたがって、各瓶を嗅ぐように求められる。次の瓶に移動する前に、各瓶を開けて再封する。各サンプルを嗅ぐ間には、20秒間の間隔が必要である。評価者は、各瓶内のアンドロステノンの存在を記録し、試験のために提供された評価シートにコメントを追加する。適応の可能性により、回答者は、各試験評価内においてサンプルを繰り返し嗅ぐことはできない。
しかしながら、結果を確認するために、適切な時間間隔(例えば、2時間)後に、試験を繰り返すことができる。
【0370】
以下の結果は、本発明の有用性を示す。以下の表5では、6人の評価者の結果が示されている。6人の評価者全員について、アンドロステノンのみを含有する瓶は、「異質な外れ瓶」として正しく特定され、アンドロステノンおよび化合物1を含有する他の2つの瓶よりも有意に高いアンドロステノン臭を有していた。これは、アンドロステノン臭の低減における化合物1の有効性を明確に実証している(表5)。
【0371】
【0372】
本発明の第2の化合物(化合物16(C16)と本明細書で称される(表6))を用いて試験を繰り返したところ、同様の結果が達成されたが、これもまた、本発明の有用性を示している。試験プロトコールは同一であった;しかしながら、化合物16は固体成分であるので、400μlのフタル酸ジエチル中50%希釈液を試験瓶に添加した。
【0373】
【0374】
また、代替感覚試験を使用して、アンドロステノンの知覚に対する化合物1の効果を実証した。この試験は、第1の工程において、(さらなる炭フィルタを備えるオイルフリーコンプレッサーから)アンドロステノン(エタノール中0.6%)、化合物1(純粋)またはアンドロステノン+化合物1を10L Tedlar(商標)バッグ(ガスサンプリング用に特別に考案されたものであり、既知量の純粋大気が予めロードされている)に微量注入することからなる。次いで、タップバルブ上に配置されたセプタムから高精度マイクロシリンジを用いて、目的の化合物(EtOH溶液)を注入する。
【0375】
臭気提示デバイスは、清浄大気が充填されたシリンダーからなる。シリンダーをバッグに挿入し、バルブによってシリンダー内のサンプリング装置に接続する。シリンダーへの清浄大気の制御注入により、内部圧力が上昇し、開いたバルブを通してサンプル容器からサンプリング空気が制御的に押し出される。このサンプリング空気は、漏斗によって、対応する感覚臭気パネル部材のノーズに送られる。これにより、各感覚臭気パネル部材は、標準化された体積流量および一定の供給時間で、同一のサンプルを受け取る。(ノーズに到達する前に、周囲空気とのいかなる混合も回避するために)流出速度は10~20L/分である。
【0376】
専門家集団は、試験開始の15分前に入室する。基本的な標準試験は、強度の採点、および以下の提示順序による最も近い化学記述子の使用である:
アンドロステノン
化合物1
Mix:アンドロステノン+化合物1(1および2と同じ濃度)。
各評価者は、数秒間にわたって匂いを嗅ぐことができる。提示間に、1分間の小休止を認める。
0(臭気なし)~5(飽和臭気)の範囲のスケールで、個々の採点を0.5単位で行う。
【0377】
以下の結果(表7)は、本発明の化合物1の存在下でアンドロステノンを嗅ぐと、アンドロステノンの典型的な汗臭が完全に消失することを示している。残存するキノコ臭は、化合物1の固有臭に対応する。化合物1の臭気強度は、アンドロステノンのみのものよりも低いので、アンドロステノン臭を圧倒することはできない。したがって、アンドロステノン知覚の抑制は、化合物1の遮蔽または被覆効果によるものではなく、その同族の嗅覚受容体(すなわち、OR7D4)をアンタゴナイズすることによるアンドロステノン知覚の真の抑制によるものであり得る。
【0378】