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特許7510997真空チャンバに積み降ろしするための真空バルブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】真空チャンバに積み降ろしするための真空バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 51/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
F16K51/02 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022503401
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2020072140
(87)【国際公開番号】W WO2021043528
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-06-16
(31)【優先権主張番号】102019123563.4
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】593030945
【氏名又は名称】バット ホールディング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】レーネ ブロイテル
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ショッフ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ヴォールヴェント
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-078186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバ(2)に積み降ろしするための真空バルブ(1)であって、
前記真空バルブ(1)が閉塞プレート(3)を備え、前記閉塞プレート(3)が、閉位置においてバルブシート(4)に押し付けられて積降開口部(5)が閉塞され、開位置において前記バルブシート(4)から離間して前記真空チャンバ(2)に積み降ろしするために積降開口部(5)を開放し、
前記真空チャンバ()が前記閉塞プレート(3)を前記開位置および前記閉位置の間で往復動させるための少なくとも1つの駆動装置(6)を備え、
前記閉塞プレート(3)が少なくとも1つのガイド部材(7)によって少なくとも1つのプレートホルダ(8)により支持され、前記真空バルブ(1)が少なくとも1つの弾性付勢部材(9)を備え、前記閉塞プレート(3)が前記弾性付勢部材(9)の付勢力に抗して前記ガイド部材(7)に沿って前記プレートホルダ(8)に対して変位可能に構成されており、前記真空バルブ(1)が、前記弾性付勢部材(9)の弾性力に抗した前記閉塞プレート(3)の前記ガイド部材(7)に沿った前記プレートホルダ(8)に対する変位を検知するための検知器(10)を備えている
真空バルブ(1)。
【請求項2】
請求項に記載の真空バルブ(1)において、
前記検知器(10)が、前記閉塞プレート(3)に固定された第1検知要素(11)と、前記プレートホルダ(8)に固定された少なくとも1つの第2検知要素(1)と、を有している
真空バルブ(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の真空バルブ(1)において、
前記真空バルブ(1)が制御装置(13)を有し、前記制御装置(13)が、前記検知器(10)からの信号に基づき、前記閉塞プレート(3)を往復運動させるための少なくとも1つの駆動装置(6)を制御している
真空バルブ(1)。
【請求項4】
請求項に記載の真空バルブ(1)において、
前記検知器(10)からの信号が前記プレートホルダ(8)に対する前記ガイド部材(7)に沿った前記弾性付勢部材(9)の付勢力に抗した前記閉塞プレート(3)の変位を表わしている場合、前記制御装置(13)が、前記閉塞プレート(3)を往復運動させるための前記少なくとも1つの駆動装置(6)の動作を停止させる
真空バルブ(1)。
【請求項5】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の真空バルブ(1)において、
前記駆動装置(6)により前記閉塞プレート(3)が前記開位置と前記閉位置との間で往復動される際、前記閉塞プレート(3)が運動軌道(14)に沿って変位可能であり、前記ガイド部材(7)は、前記閉塞プレート(3)の前記運動軌道(14)に平行に配置されている
真空バルブ(1)。
【請求項6】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の真空バルブ(1)において、
前記閉塞プレート(3)が、前記閉位置において前記バルブシート(4)の閉塞面(15)にあり、前記ガイド部材(7)が前記閉塞面(15)に平行に配置されている
真空バルブ(1)。
【請求項7】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の真空バルブ(1)において、
前記バルブシート(4)および前記積降開口部(5)の一方または両方が、前記真空バルブ(1)の一部として構成されている
真空バルブ(1)。
【請求項8】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の真空バルブ(1)において、
前記駆動装置(6)がリニア駆動装置であり、前記ガイド部材(7)がリニアガイド部材であり、あるいは、前記閉塞プレート(3)が前記弾性付勢部材(9)の付勢力に抗して前記プレートホルダ(8)に対して前記ガイド部材(7)に沿って変位可能である
真空バルブ(1)。
【請求項9】
請求項1~のうちいずれか1項に記載の真空バルブ(1)を運転する方法であって、
物体(16)または人間が前記閉塞プレート(3)に接触した場合、前記閉塞プレート(3)が前記閉位置に向かって変位させることにより、前記閉塞プレート(3)を弾性付勢部材(9)の付勢力に抗して前記ガイド部材(7)に沿って前記プレートホルダ(8)に対して変位させる
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
真空チャンバに積み降ろし(荷積みおよび/または荷降ろし)するための真空バルブであって、
前記真空バルブが閉塞プレートを備え、前記閉塞プレートが、閉位置においてバルブシートに押し付けられて積降開口部が閉塞され、開位置において前記バルブシートから離間して前記真空チャンバに積み降ろしするために積降開口部を開放し、
前記真空チャンバが前記閉塞プレートを前記開位置および前記閉位置の間で往復動させるための少なくとも1つの駆動装置を備えている真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
真空バルブは、従来技術においてさまざまな構成のものが知られている。それらは、一方では真空またはプロセスチャンバを閉塞するのに役立ち、その結果、閉状態では、閉じられた空間が真空またはプロセスチャンバの内部に形成され、所定の負圧条件下で、場合によっては特別に形成された雰囲気下でプロセスが実行されうる。汎用的な真空バルブは、手作業により、手または工具を用いて、真空チャンバに荷積みおよび/または荷降ろしするのに適している。これは、真空バルブの閉塞プレートの開位置で、オペレータが手作業で真空チャンバに物体を搬入したり、手作業で真空チャンバから物体を搬出したりできることを意味している。このため、オペレータは、手または腕全体、または少なくとも工具を用いて、開いた真空バルブを介して真空チャンバにアクセスすることができる必要がある。汎用的な真空バルブは、例えばロボットによる機械式の、真空チャンバの荷積みおよび/または荷降ろしのために用いられてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、真空チャンバに荷積みおよび/または荷降ろしするための一般的な真空バルブの操作上の安全性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、本発明は、前記閉塞プレートが少なくとも1つのガイド部材によって少なくとも1つのプレートホルダにより支持され、前記真空バルブが少なくとも1つの弾性付勢部材を備え、前記閉塞プレートが前記弾性付勢部材の付勢力に抗して前記ガイド部材に沿って前記プレートホルダに対して変位可能に構成されている。
【0005】
本発明によれば、閉塞プレートが駆動装置のプレートホルダに対して変位可能に取り付けられ、閉塞プレートは、弾性付勢部材の付勢力に抗してガイド部材に沿ってプレートホルダに対して変位可能である。オペレータの手、腕または工具、あるいは、例えば荷積みおよび/または荷降ろしロボットなどの別の物体が、予期せずに積降開口部にあり、閉塞プレートが閉位置に向かって変位している間に閉塞プレートと衝突または接触した場合、本発明によれば、駆動装置が閉位置に向かってさらに変位しても、閉塞プレートを停止させることができる。これにより、人間の手、腕またはその他の身体部分、あるいは、例えば荷積みおよび/または荷降ろしロボットなどの物体が押し潰されたり、怪我をしたり、損傷したりすることを防止することができる安全対策が構築される。このようにして、閉塞プレートまたは真空バルブの他のコンポーネントの損傷が回避されうる。本発明に係る真空バルブは、手または工具を用いて荷積みおよび/または荷降ろし作業を実行するのに適している、真空チャンバの手動による荷積みおよび/または荷降ろしのための真空バルブであってもよい。また、本発明に係る真空バルブは、例えば、荷積みおよび/または荷降ろしロボットによる機械式の荷積みおよび/または荷降ろし作業を実行するための真空バルブであってもよい。
【0006】
本発明に係る真空バルブは、真空閉塞装置と呼ばれることもある。いずれにせよ、それはいわゆる真空技術において使用可能なバルブまたは閉塞装置である。真空技術とは、原則的に0.001mbar(ミリバール)または0.1Pa(パスカル)以下の圧力での動作状態を指す。真空バルブは、これらの圧力範囲および/またはこれに応じた環境に対する差圧のために設計されたバルブである。ただし、一般的に、通常の圧力より低い圧力、つまり1bar(バール)以下の圧力のために設計されている場合も真空バルブということがある。
【0007】
特に、真空チャンバに手作業で荷積みおよび/または荷降ろしできるようにするために、閉じられる積降開口部は、800cm2~4800cm2、好ましくは1000cm2~1400cm2のサイズを有する。したがって、積降開口部を閉塞するために提供される対応する真空バルブの閉塞プレートもまた、少なくともこれらのサイズを有することが好ましい。
【0008】
好ましい実施形態では、バルブシートおよび/または積降開口部は、本発明に係る真空バルブの構成要素として構成されている。例えば、バルブシートは、本発明に係る真空バルブのバルブハウジングに形成することができる。積降開口部は、本発明に係る真空バルブのバルブハウジングにおける、好ましくはバルブシートによって囲まれている開口部であってもよい。ただし、これは必須ではなく、これに代わる構成も考えられる。例えば、真空またはプロセスチャンバの一部としてバルブシートおよび/または積降開口部が構成されていてもよい。このような積降開口部は、閉塞プレートがバルブシートに押し付けられた際、本発明に係る真空バルブの閉塞プレートで閉塞されうる。
【0009】
本発明に係る真空バルブは、閉塞プレートを開位置と閉位置との間で往動および/または複動させるため、単一の駆動装置を有していてもよく、複数の駆動装置を有していてもよい。本発明に係る真空バルブは、閉塞プレートが、単一の、好ましくは直線状の運動軌道に沿って開位置と閉位置との間で往復運動する、いわゆる単動真空バルブ(Mono-Vakuumventile)であってもよい。本発明に係る真空バルブは、いわゆるL-真空バルブであってもよい、閉塞プレートが第1運動軌道に沿って、続いて第2運動軌道に沿って開位置と閉位置との間で往復運動し、当該2つの運動軌道が相互に一定の角度をなし、好ましくは相互に直交している。このようないわゆるL-真空バルブを用いて、本発明によれば、閉塞プレートが最初に開位置から第1運動軌道にしたがって、閉塞プレートが積降開口部の領域を覆う一方でバルブシートから離間している中間位置まで好ましくは直線方向に動かされる。次に、閉塞プレートが中間位置から第2運動軌道にしたがって、バルブシートに気密に当接する閉位置まで動かされる。積降開口部の開放、ひいては閉位置から開位置までの閉しくプレートの変位は、当該2つの運動軌道にしたがって反対方向に実行される。特に、閉塞プレートが開位置と閉位置との間でL字形状軌道にしたがって変位する、本発明に係る真空バルブによれば、2つの駆動装置が設けられ、第1駆動装置が第1運動軌道に沿って閉塞プレートを変位させ、第2駆動装置または付加的駆動装置が第2運動軌道または付加的運動軌道に沿って閉塞プレートを変位させる。基本的に、このようなL-真空バルブは、従来技術でそれ自体が既知であるように、単一の駆動装置によって構成されうる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、一または複数の駆動装置がリニア(または直線的な)駆動装置である。弾性付勢部材の付勢力に抗してプレートホルダに対して閉塞プレートを変位させることができるガイド部材は直線状ガイド部材であることが好ましい。閉塞プレートが、弾性付勢部材の付勢力に抗してガイドに沿ってプレートホルダに対して変位可能であることが好ましい。ガイド部材は閉塞面に平行に配置され、閉塞プレートが閉位置でバルブシートに対して当該閉塞面において当接している。閉塞面は、通常、閉塞プレートが閉位置において当接するバルブシートの表面によって定義される。「閉塞面に平行に配置されたガイド」という用語は、閉塞プレートが、ガイド部材に沿ってプレートホルダに対して閉塞面に平行な方向に変位することを意味する。ガイド部材は、いずれの場合でも、従来技術でそれ自体が既知であるさまざまな形態で構成されうる。ガイド部材は、レールガイドまたはリンクガイドであってもよい。それらは、例えば、閉塞プレートまたはプレートホルダにおける長穴であってもよく、適当なガイドピンが当該長穴に案内される。ガイドピンがそれぞれ対応する部材、すなわち閉塞プレートまたはプレートホルダに取り付けられてもよい。
【0011】
閉塞プレートが駆動装置によって開位置と閉位置との間で運動軌道に沿って往復運動し、ガイド部材が閉塞プレートの当該運動軌道と平行に配置されていることが好ましい。前述したように、これは開位置と閉位置の間の唯一の運動軌道であってもよく、開位置と閉位置との間の複数の運動軌道の1つであってもよい。ガイド部材が閉塞プレートの運動軌道に平行に配置されていることは、閉塞プレートが運動軌道に平行な方向にガイド部材に沿って変位する際、駆動装置により閉塞プレートが当該運動軌道にしたがって動かされることを意味する。
【0012】
いずれの場合でも、本発明によれば、閉塞プレートが、プレートホルダ、ひいては駆動装置に対して、弾性付勢部材の付勢力に抗してガイド部材に沿って変位することが可能である。この相対運動を検知するため、本発明の好ましい変形実施形態によれば、真空バルブが、弾性付勢部材の付勢力に抗したガイド部材に沿ったプレートホルダに対する閉塞プレートの変位を検知するための検知器を備えている。この目的のため、検知器はさまざまな構成が採用可能である。先行技術において既知であるさまざまな構成の検知器が採用可能である。閉塞プレートが駆動装置と一緒に変位する限り、検知器を用いて、例えば、動作状態が正常であることが判断可能である。人間がその手、腕または工具、あるいは、荷積みおよび/または荷降ろしロボットなどの物体が閉塞プレートに衝突または接触した場合、当該閉塞プレートは、弾性付勢部材の付勢力に抗してガイド部材に沿ってプレートホルダに対して、ひいては駆動装置に対して相対変位し、これは検知器によって検知されうる。検知器は、例えば、閉塞プレートに固定された第1検知要素を有していてもよい。さらに、検知器は、プレートホルダに固定された少なくとも1つの第2検知要素を有していてもよい。当該実施形態では、閉塞プレートがプレートホルダに対して動かされる場合、2つの検知要素は必然的に相対的に動かされる。検知要素は、例えば、磁気センサ、電気センサ、光センサなどである。当該センサは、従来技術においてさまざまな形態で既知である。検知器はスイッチとも呼ばれ、閉塞プレートおよびプレートホルダまたは2つの検知要素が相対的に変位すると必然的に当該スイッチが切り替えられる。
【0013】
本発明に係る真空バルブは、好ましくは制御装置を備え、当該制御装置は、閉塞プレートを開位置と閉位置との間で往復運動(往動および/または複動)させるための少なくとも1つの駆動装置または複数の駆動装置を制御する。制御装置は、好ましくは、検知器からの信号に基づいて制御を実行する。検知器が、弾性付勢部材の付勢力に抗したガイド部材に沿った閉塞プレートとプレートホルダとの相対的な変位を検知しない限り、閉塞プレートを往復運動させるために駆動装置が、制御装置によって他の操作パラメータまたは操作コマンドによるのと同様に制御される。その一方、検知器が、弾性付勢部材の付勢力に抗したガイドに沿った閉塞プレートとプレートホルダと相対的な変位を検知した場合、好ましくはこれが制御装置によって考慮される。例えば、検知器からの信号が、弾性付勢部材の付勢力に抗したガイド部材に沿ったプレートホルダに対する閉塞プレートの変位を表わしている場合、制御装置は、閉塞プレートを往動および/または複動させるための少なくとも1つの駆動装置の動作を停止させることができる。これにより、閉塞プレートとプレートホルダとが相対的に変位していること、ひいては閉塞プレートが物体あるいは人間またはその手もしくは腕に接触したことを検知器が検知した際に一種の緊急停止が実現される。もちろん、検知器からの信号が弾性付勢部材の付勢力に抗したガイド部材に沿ったプレートホルダに対する閉塞プレートの変位を表わしている場合、他の制御コマンドが制御装置により発せられてもよい。この場合、例えば、制御装置が、閉塞プレートの運動方向を反転させるように駆動装置を制御することもできる。
【0014】
本発明に係る真空バルブを操作するための本発明に係る方法は、物体または人間が前記閉塞プレートに接触した場合、前記閉塞プレートを前記閉位置に向かって変位させることにより、前記閉塞プレートを弾性付勢部材の付勢力に抗して前記ガイド部材に沿って前記プレートホルダに対して変位させる。本発明に係る方法によれば、この接触は、適当な検知器によって逐次的に検知されうる。前記制御装置が検知器からの信号を用いて、閉塞プレートを往動および/または復動させるための駆動装置を停止し、あるいは、その運動方向を反転させることができる。
【0015】
本発明の好ましい変形のさらなる特徴および詳細は、本発明の実施形態にしたがって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】閉位置における本発明に係る真空バルブの一実施形態の背面斜視図。
図2】閉位置における真空バルブの正面図。
図3】閉位置における真空バルブの側面図。
図4】中間位置における真空バルブの側面図。
図5図4の断面線A-Aに沿った断面図。
図6】開位置における真空バルブの側面図。
図7】開位置における真空バルブの正面図。
図8】物体が挟まれている真空バルブの正面斜視図。
図9図8にしたがった状態における側面図。
図10図9の断面線B-Bに沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図示されている本発明に係る真空バルブ1の一実施形態は、いわゆるL-バルブであり、閉塞プレート3は、図6および7に示されている開位置から、第1運動軌道14に沿って、図1に示されている中間位置に動かされ、次に第2運動軌道24に沿って、図1図3に示されている閉位置に動かされる。閉位置から開位置への閉塞プレート3の変位は逆に実行され、最初に第2運動軌道24に沿って中間位置に動かされ、そこから第1運動軌道14に沿って開位置に動かされる。本実施形態では、第1運動軌道14および第2運動軌道24は相互に直交して配置されている。ここでは、軌道ごとに個別の駆動装置が設けられている。本実施形態では、当該駆動装置のそれぞれは対で構成されている。2つの駆動装置6は、第1運動軌道14に沿って、図6および図7の開位置および図4の中間位置の間で閉塞プレート3を変位させるために使用される。同様に対で構成されている付加的駆動装置17は、図4の中間位置および図1図3の閉位置の間で閉塞プレート3を変位させるために使用される。当該駆動装置6および17はリニア駆動装置として設計されている。これは、電力式、気圧式、油圧式またはその他の形式のリニア駆動装置であってもよい。本実施形態の駆動装置6のそれぞれは、付加的駆動装置17のうちの1つを支持しているピストンロッド22を有する。プレートホルダ8のそれぞれは付加的駆動装置17の1つに固定されている。当該駆動装置それ自体は既知のものなので、これ以上の説明を省略する。本実施形態では、プレートホルダ8が既知の方法で駆動装置6および17に固定され、その結果、プレートホルダ8は駆動装置6および17と定常的に一緒に変位する。本実施形態では、駆動装置6または17のそれぞれの一対のプレートホルダ8において、本発明に係る閉塞プレート3が、弾性付勢部材9の付勢力に抗して、以下で説明されるガイド部材7に沿ってそれぞれのプレートホルダ8に対して変位可能である。
【0018】
閉塞プレート3が図1および図2に示されている閉位置において当接するバルブシート4は、本実施形態では真空バルブ1の一部であり、真空バルブ1のバルブハウジング18により構成されている。バルブシート4は、閉位置にある閉塞プレート3によって閉塞される積降開口部5を取り囲んでいる。本実施形態では、積降開口部5もバルブハウジング18に形成されており、同様に本発明に係る真空バルブ1の一部である。積降開口部5は、真空バルブ1が開放されている状態で、手作業および/もしくは機械により物体を真空チャンバ2に導入し、ならびに/または、真空チャンバ2から手作業および/もしくは機械により物体を真空チャンバ2から取り出すことができる開口部である。この目的のために、各作業員がその手、腕または工具により、あるいは、荷積みおよび/または荷降ろしロボットが、積降開口部5を通じて真空チャンバ2にアクセスする。真空チャンバ2は図3に概略的に示されている。本実施形態では、それは、バルブハウジング18において閉塞プレート3の反対側に配置されている。真空チャンバ2それ自体は既知なものなので、図3を除いて図示が省略されている。
【0019】
バルブシート4および積降開口部5は、真空バルブ1の一部である必要はないことは、前述した。例えば、それらは真空チャンバ2の構成要素として構成されていてもよい。
【0020】
本実施形態において、閉塞プレート3がそれに沿って弾性付勢部材9の付勢力に抗してプレートホルダ8に対して運動可能または変位可能であるところの複数のガイド部材7は、閉塞プレート3の内側に実装されている。図4の断面線A-Aおよび図9の断面線B-Bのそれぞれに沿った縦断面図である図5および図10のそれぞれに示されているように、本実施形態のガイド部材7は、ガイドピン20が案内されるところの閉塞プレート3の長穴19である。本実施形態では、ガイドピン20は、それぞれ、プレートホルダ8の1つに固定されている。閉塞プレート3とプレートホルダ8との相対運動に際して、長穴19を有する閉塞プレート3はガイドピン20に沿って変位し、これに対応して閉塞プレート3がプレートホルダ8に案内される。もちろん、閉塞プレート3をプレートホルダ8に対して運動可能または変位可能に取り付けるために他の構成のガイド部材7も実現可能である。それは、例えば、レールガイド、他のガイドスロットおよびそれらの均等物などであってもよい。
【0021】
プレートホルダ8に対して閉塞プレート3に付勢力を作用させるために、本実施形態では、らせんばねとして構成されている付勢部材9が両側に設けられている。当該付勢部材9はピン21によって案内される。付勢部材9の一端部は、閉塞プレート3のそれぞれのショルダ23にある。付勢部材9の他端部は、それぞれのプレートホルダ8にある。無負荷開始位置または通常位置において、付勢部材9が閉塞プレート3をそれぞれのプレートホルダ8に対して図5に示されている位置に押圧する。閉塞プレート3とプレートホルダ8との間の付勢力は、異なる構成および異なる配置の弾性付勢部材を用いて実現可能であることに留意されたい。
【0022】
本実施形態では、ガイド部材7は、閉塞プレート3が駆動装置6によって図6および図7の開位置と図4および図5の中間位置の間で変位するところの運動軌道14に平行に配置されている。しかしながら、本実施形態では、ガイド部材7は、図3図4図6および図9に示されている閉塞面15に対して平行に配置されている。閉塞面15は、バルブシート4によって定められている。これは、閉塞プレート3が閉位置でバルブシート4に対して当接する平面である。
【0023】
本発明の当該実施形態において、弾性付勢部材9の付勢力に抗してガイド7部材に沿ったプレートホルダ8に対する閉塞プレート3の運動を検知するための検知器10が設けられている。本実施形態では、検知器10は、閉塞プレート3に固定された第1検知要素11を有している。検知器10は、プレートホルダ8に固定された第2検知要素12を有している。閉塞プレート3およびプレートホルダ8が相対的に変位した場合、第1検知要素11および第2検知要素12が相対的に変位する。これにより、検知器10は、閉塞プレート3およびプレートホルダ8がガイド部材7に沿って相対的に変位しているか、あるいは、プレートホルダ8および閉塞プレート3が図1図7に示されている開始位置または通常位置にまだあるかどうかを検知することができる。前述したように、検知器10は、多種多様な物理的測定変数を扱うことができる。それは、電気的、機械的、磁気的、光学的または他の形式の検知器であってもよい。当該検知器はそれ自体がすべて既知であり、これ以上の説明は省略する。
【0024】
図2には、真空バルブ1の駆動、ひいては本実施形態では、積降開口部5を開閉するための駆動装置6および付加的駆動装置17の動作を制御するために用いられる既知の制御装置13が概略的に示されている。制御装置13は、本実施形態では検知器10に接続され、その結果、制御装置13は、駆動装置6および17の動作を制御する際に検知器10からの信号を考慮に入れることができ、換言すると、検知器10からの信号に基づいて閉塞プレート3の往復運動のために駆動装置6の動作を制御することができる。制御装置13は、検知器10が、閉塞プレート3およびプレートホルダ8の相対運動を検知した場合、さらに、検知器10の信号が、閉塞プレート3が弾性付勢部材9の付勢力に抗してガイド部材7に沿ってプレートホルダ8に対して動いていることを示している場合、閉塞プレート3を往復運動させるために駆動装置6の動作を停止させるか、または、運動方向を反転させる。
【0025】
後者の状況は、特に、荷積みおよび/または荷降ろしロボット、あるいは、人間の手または腕などの物体16が積降開口部5に予期せずに存在する場合、閉塞プレート3が閉位置の方向に動かされている際に生じる。この状況は、閉塞プレート3が閉位置に向かって動かされている間、まだ積降開口部5に存在する物体16を用いて図8図10に例示されている。物体16は、人間の手、腕または別の身体部分、あるいは、工具であってもよい。これにより、物体16または人間と閉塞プレート3とが衝突または接触した場合、本実施形態では、駆動装置6およびこれに固定されたプレートホルダ8が閉位置に向かって変位している間、閉塞プレート3の動きが停止する。これにより、付勢部材9が圧縮され、かつ、付勢部材9の付勢力に抗してガイド部材7に沿ってプレートホルダ8に対して閉塞プレート3が運動または変位する。その結果、第1検知要素11および第2検知要素12は、一方では図8図10と、他方では図1図7との比較からわかるように相対的に変位している。検知器10は、このようにして閉塞プレート3とプレートホルダ8との相対運動を検知するとすぐに制御装置13に信号を送信し、それに応じて、駆動装置6を停止するかまたはその運動方向を反転させ、物体16またはそこに閉じ込められた人間に怪我やその他の支障をもたらさない。そして、真空チャンバ2の手動式および/または機械式の搬入および/または搬出に用いられる真空バルブ1の操作上の安全性が大幅に向上する。
【0026】
次に、物体16または人間の対応する身体部分が積降開口部5から取り外されると、付勢部材9は、閉塞プレート3およびプレートホルダ8を、図1図7の開始位置または通常位置に再び押し戻し、真空バルブ1が積降開口部5を開放および閉塞するために既知の方法で用いられる。
【0027】
原則的に、本発明に係る真空バルブ1は、主に、閉塞過程において物体16または人間の適当な身体部分の挟み込みに反応することができるように設計されている。しかしながら、本発明に係る真空バルブ1が、開放過程のみ、または開放過程および閉塞過程の両方でこの安全機能を発揮できるように設計されてもよい。とりわけ、本発明に係る真空バルブ1は、閉塞プレート3が開位置と閉位置との間で、例えば、運動軌道14の方向に直線的に往復運動するだけのいわゆる単動真空バルブとして構成されてもよい。この目的のため、バルブシート4および閉塞プレート3の形状のみを適合させる必要があるが、これは従来技術において既知である。
【符号の説明】
【0028】
1‥真空バルブ
2‥真空チャンバ
3‥閉塞プレート
4‥バルブシート
5‥積降開口部
6‥駆動装置
7‥ガイド部材
8‥プレートホルダ
9‥付勢部材
10‥検知器
11‥第1検知要素
12‥第2検知要素
13‥制御装置
14‥運動軌道
15‥閉塞面
16‥物体
17‥付加的駆動装置
18‥バルブハウジング
19‥長穴
20‥ガイド軸
21‥ピン
22‥ピストンロッド
23‥ショルダ
24‥第2運動軌道。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10