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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】呼吸補助のための装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022558514
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 EP2020060780
(87)【国際公開番号】W WO2021209142
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】522378926
【氏名又は名称】ネオレス アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドレヴハマー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ニルソン ケル
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-510568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のための装置(100、200、300)であって、
フレッシュガス流入口(2)であって、それに接続可能なフレッシュガス流管からフレッシュガス流を受け取るように構成されたフレッシュガス流入口と、
患者インターフェースに接続可能な患者インターフェース端部(3)と、
開口端(5)を有する出口(4)と、
それぞれが前記装置の前記フレッシュガス流入口、前記患者インターフェース端部、および前記出口に接続された2以上の可変流量CPAP発生器(6)と
を備える装置。
【請求項2】
前記2以上の可変流量CPAP発生器(6)のそれぞれは、第1、第2、および第3の接続部(10、11、12)を備え、前記第1の接続部は、前記フレッシュガス流入口(2)に接続され、前記第2の接続部は、前記患者インターフェース端部(3)に接続され、前記第3の接続部は、前記装置の前記出口(4)に接続された、
請求項1に記載の装置(100、200、300)。
【請求項3】
前記フレッシュガス流入口(2)に配置された入口チャンバ(21)と、前記患者インターフェース端部(3)に配置された患者インターフェースチャンバ(31)と、前記装置の前記出口(4)に配置された出口チャンバ(4)とをさらに備え、前記2以上の可変流量CPAP発生器のそれぞれは、それぞれ前記入口チャンバ、前記患者インターフェースチャンバ、および前記出口チャンバを通して、前記フレッシュガス流入口、前記患者インターフェース端部、および前記出口に接続された、
請求項1または2に記載の装置(100、200、300)。
【請求項4】
3つの可変流量CPAP発生器(6)を備える、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項5】
4つの可変流量CPAP発生器(6)を備える、
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の装置(200)。
【請求項6】
前記装置の前記患者インターフェース端部(3)に接続された第1の端部(16)と、圧力解放管に接続可能な第2の端部(17)とを有する圧力解放接続部(14)をさらに備える、
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の装置(300)。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の装置(100、200、300)と、フレッシュガス流管(22)と、前記フレッシュガス流管によって前記フレッシュガス流入口(2)に接続されたフレッシュガス源(20)と、PPVモードにおいて過剰な陽圧を防止するように構成された圧力解放弁(7)とを備える、
PPVおよびCPAP治療のためのシステム(400、500)。
【請求項8】
前記装置(100、200、300)の前記出口(4)の前記開口端(5)が閉塞されると、圧力は、前記可変流量CPAP発生器(6)から前記圧力解放弁(7)の開口圧力に達するまで増加し、前記圧力の増加により吸気流が生じ、これにより、前記システム内の圧力は、前記閉塞が前記出口から除去されるまで設定されたPPV圧力に維持され、前記閉塞された前記出口が開放されると、前記圧力が設定されたCPAPレベルに戻り、これにより、前記圧力の低下が呼気流をもたらすように構成された、
請求項7に記載のシステム(400、500)。
【請求項9】
自発呼吸中、患者流および前記フレッシュガス流は、前記可変流量CPAP発生器(6)を通って前記システムから出て、気道内の前記陽圧を安定させ、前記CPAPを発生させる流れを変化させることによって、前記気道内の前記CPAPを必要に応じて調整することができるように構成された、
請求項7に記載のシステム(400、500)。
【請求項10】
前記圧力解放弁が、前記患者インターフェース端部(3)および前記装置(100、200、300)の前記出口(4)の一方に接続された、
請求項7ないし9のいずれか一項に記載のシステム(400、500)。
【請求項11】
請求項6に記載の装置(300)と、フレッシュガス流管(22)と、前記フレッシュガス流管によって前記フレッシュガス流入口(2)に接続されたフレッシュガス源(20)と、PPVモードにおいて過剰な陽圧を防止するように構成された圧力解放弁(7)とを備え、前記圧力解放弁(7)が前記圧力解放接続部(14)に接続された、
PPVおよびCPAP治療のためのシステム(500)。
【請求項12】
圧力測定装置(8)をさらに備える、
請求項11に記載のシステム(500)。
【請求項13】
前記圧力測定装置(8)は、前記装置(100、200)の前記患者インターフェース端部(3)に配置されているか、または請求項6に記載の前記装置(300)の前記圧力解放接続部(14)に接続された、
請求項12に記載のシステム(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば新生児蘇生および初期呼吸補助のための陽圧換気(PPV)および持続的気道陽圧(CPAP)治療のための装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
陽圧換気(PPV)と持続的気道陽圧(CPAP)は新生児の蘇生と安定化のために一般的に用いられる2種類の機械的呼吸補助である。2つの呼吸補助システムのどちらを使用するかは、乳児が呼吸しているか否かによって異なる。呼吸をしていない乳児にはPPVが用いられ、呼吸をしている乳児にはCPAPが用いられる。出生後に呼吸をしていない乳児には、人工呼吸を行う必要がある。これは、例えばフェイスマスクや気管内チューブを使用するPPVで達成することができる。多くの場合、マスクが使用される。乳児が出生後に呼吸を始めたり、呼吸していた場合、CPAPを使用する換気補助が、いくつかの状態に対して推奨される治療である。自発呼吸が戻った後も、十分に呼吸していない場合や呼吸が停止した場合には、断続的にPPVを必要とする乳児もいる。これは特に未熟児を治療する際に一般的である。したがって、どちらのタイプの補助も一般的であり、蘇生期間中に必要性が変化することも多い。PPVとCPAPの両方の間、膨張圧は、肺がエアレーションを維持するのを助ける。これは、PPVを提供する場合、呼気終末陽圧(PEEP)と呼ばれ、この種の装置では、CPAPと機能的に同等である。
【0003】
陽圧換気と持続的気道陽圧の両方を提供することができる装置およびシステムが、WO2012/108826に開示されている。この装置は、第1のフレッシュガス流を提供するように構成された第1のフレッシュガス流管と、第2のフレッシュガス流管と、可変流量CPAP発生器と、任意の乳児インターフェースに接続可能なコネクタと、圧力解放弁とを備える。可変流量CPAP発生器は、第1のフレッシュガス流管が接続される第1の接続部と、乳児インターフェースコネクタが接続される第2の接続部と、開放端を有する可変流量CPAP発生器の出口である第3の接続部とを備える。第2のフレッシュガス流管は、可変CPAP発生器をバイパスし、出口の開放端が閉塞されているときに、陽圧換気モードにおいて第1のフレッシュガス流に加えられる第2のフレッシュガス流を提供するように構成されている。これにより、PPVモードでは、第1のフレッシュガス流のみが使用された場合よりも速い速度で圧力が上昇し、吸気上昇時間の短縮が可能になる。このシステムは、非侵襲的換気に使用することができ、CPAPで治療される呼吸をしている子供に課される呼吸仕事量を減らし、機器を変更することなくPPV呼吸補助とCPAP呼吸補助との間の切り替えを容易にする。
【0004】
システムが最適に機能するためには、蘇生中に供給されるフレッシュガス流量を第2フレッシュガス流の使用によって調節することが必要である。PPVモードで第2のフレッシュガス流を追加することは、上昇時間を調節可能にし、これは、例えば、第2のフレッシュガス流を増加させることによって短縮することができる。これは、安定した効率的な換気を提供するために望ましい。しかし、第2のフレッシュガス流を適用することは、例えば、第2のフレッシュなガス流管を接続するための出力がガス源にないなどの理由で、すべての医療設備で可能なわけではない。さらに、第2のフレッシュガス流は、装置をより複雑にし、潜在的に重大な結果を伴うユーザエラーのリスクを増大させ得る。このため、第2のフレッシュガス流管を通る第2のフレッシュガス流を利用することは常に可能であるとは限らず、その結果、蘇生処置の効率が低下する。
【0005】
したがって、今日存在する問題を克服するために、この技術分野において、PPVとCPAPの両方を提供する装置が求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、上記の問題を軽減するPPVおよびCPAP治療のための装置を提供することにある。この目的は、本明細書に開示されるような本発明に係るPPVおよびCPAP治療のための装置によって達成される。
【0007】
したがって、本発明の一態様によれば、陽圧換気および持続的気道陽圧治療のための装置であって、
フレッシュガス流入口であって、それに接続可能なフレッシュガス流管からフレッシュガス流を受け取るように構成されたフレッシュガス流入口と、
患者インターフェースに接続可能な患者インターフェース端部と、
開口端を有する出口と、
それぞれが装置のフレッシュガス流入口、患者インターフェース端部、および出口に接続されたいくつかの可変流量CPAP発生器とを備える装置が提供される。
【0008】
これにより、特に乳児の蘇生および安定化を目的としたCPAPおよびPPV治療のための簡易化した装置が提供される。この装置は使いやすく、機器を変えることなくPPVとCPAPを迅速に切り替えることができる。これらのタイプの呼吸補助の間の安全で迅速な切り替えは、不安定な小児のケアを改善し、死亡率および罹患率を低下させて蘇生の質を高めることにつながる。
【0009】
それぞれが装置のフレッシュガス流入口、患者インターフェース端部、および出口に接続されたいくつかの可変流量CPAP発生器を設けることにより、可変流量CPAP発生器を1つのみ設ける場合と比較して、CPAPモードにおいて患者インターフェース端部で同じ安定した圧力を維持しながら、より高い駆動流量で、すなわち、装置のフレッシュガス流入口に提供されるより高いフレッシュガス流量で動作することが可能になる。さらに、PPVモードでは、装置の出口が閉塞されると、装置に使用されるより高いフレッシュガス流量が患者に送り出され、その結果、圧力が急速に増加し、膨張呼吸が発生する。
【0010】
フレッシュガス流入口を設けることにより、装置へのガス供給が簡素化される。なぜなら、装置のために、すなわち、その1つのみのフレッシュガス流入口のために、フレッシュガスの駆動流は1つのみ必要であるからである。これにより、さらに、2つの駆動流が必要とされる場合と比べて、装置のサイズを縮小することが可能になり、それによって、装置の取り扱いおよび使用も容易になる。本明細書に開示されるように、装置に対して駆動流を1つだけ提供することによるさらなる利点は、装置をローテクおよびハイテク両方の人工呼吸装置に組み込むことができ、人工呼吸装置からのフレッシュガス供給のためにガス出力チャネルを1つだけ必要とすることである。すなわち、この装置は、フレッシュガス供給のためのガス出力チャネルを1つだけ備えるシステムに設置することができる。これにより、ハードウェアを変更することなく、装置を既存のCPAP駆動装置および人工呼吸器に組み込むことが可能になる。さらに、別の利点は、2つの駆動流を備える装置とは対照的に、フレッシュガス流入口への流れの加湿が簡単であることである。
【0011】
駆動流量、すなわち、フレッシュガス流入口に供給されるフレッシュガス流量は、所望のCPAPが可変流量CPAP発生器によって発生されることを可能にする量に設定し得る。PPVモードに対応して、装置の出口の開放端が閉塞されると、駆動流全てが患者インターフェース端部に到達し、さらに患者に到達し、その結果、膨張呼吸のための流量が増加する。CPAPモードにおいて同じレベルのCPAPを提供する可変流量CPAP発生器を1つのみ含む装置に対して駆動流量が増加されると、装置の出口が閉塞されたときに圧力の上昇時間が減少し、有利である。
【0012】
本発明の目的のために、「乳児」および「小児」という用語は、新生児のような患者、ならびに新生児蘇生および初期呼吸補助を必要とする新生児を包含することを意図している。これらの用語はまた、体重約10kgまでの小児および幼児を包含することを意図している。フレッシュガス流量は、所望の呼吸数が達成されるように、小児の体重および大きさに適合される。本発明の目的のために、「フレッシュガス流」という表現は、システムおよびその部品を通って流れる空気、酸素、またはこれらの混合物であり、「フレッシュガス流管」という表現は、フレッシュガスが流れる場所である。
【0013】
本発明の目的のために、「可変流量CPAP発生器」という表現は、CPAPレベルがフレッシュガス流量を変化させることによって調節される任意の持続的気道陽圧装置を包含することを意図された装置である。
【0014】
本発明の目的のために、「駆動流」という表現は、装置のフレッシュガス流入口に提供されるフレッシュガス流の同義語として使用される。
【0015】
本発明の目的のために、「患者インターフェース」という表現は、一対の鼻カニューレ、マスク、気管内チューブ、または他の任意の適切な装置など、患者、例えば乳児または小児に接続するのに適した任意のインターフェースを包含することを意図している。
【0016】
上記の利点を達成するために、装置を構成する様々な方法がある。
【0017】
装置の一実施形態によれば、いくつかの可変流量CPAP発生器のそれぞれは、フレッシュガス流入口に接続された第1の接続部と、患者インターフェース端部に接続された第2の接続部と、装置の出口に接続された第3の接続部とを備える。これにより、いくつかの可変流量CPAP発生器がコンパクトに配置され、コンパクトな装置が提供される。動作中、装置のフレッシュガス流入口に入るフレッシュガス流は、さらに、いくつかのCPAP発生器のいくつかの第1の接続部の間で分割され、そこを通って流れる。可変流量CPAP発生器の第2の接続部が装置の患者インターフェース端部に接続されていると、装置がCPAPモードで動作するときに、患者インターフェース端部においてCPAPのレベルが安定する。最後に、単に装置の1つの出口を閉塞することによって装置をPPVモードに設定することができるので、装置の出口に接続されたいくつかの可変流量CPAP発生器の第3の接続部を設けることにより、装置の円滑な動作が可能になる。さらに、上述したように、可変流量CPAP発生器に第1、第2、および第3の接続部を設けることは、このような可変流量CPAP発生器が一般に、使用時に患者に対して安定したレベルのCPAPおよび低い呼吸仕事量を提供するため、有利である。
【0018】
装置の一実施形態によれば、装置は、フレッシュガス流入口に配置された入口チャンバと、患者インターフェース端部に配置された患者インターフェースチャンバと、装置の出口に配置された出口チャンバとをさらに備え、いくつかの可変流量CPAP発生器のそれぞれは、それぞれ入口チャンバ、患者インターフェースチャンバ、および出口チャンバを通して、フレッシュガス流入口、患者インターフェース端部、および出口に接続されている。すなわち、入口チャンバ、患者インターフェースチャンバ、および出口チャンバは、フレッシュガス流入口、患者インターフェース端部および装置の出口と同様に、いくつかの可変流量CPAP発生器に共通である。これにより、コンパクトで扱いやすい装置が提供される。
【0019】
装置の一実施形態によれば、装置は、3つの可変流量CPAP発生器を備え、可変流量CPAP発生器のそれぞれは、フレッシュガス流入口に接続された第1の接続部と、患者インターフェース端部に接続された第2の接続部と、装置の出口に接続された第3の接続部とを備える。装置の別の実施形態では、可変流量CPAP発生器の数は4つである。一般に、本発明の概念によれば、1よりも大きい任意の数の可変流量CPAP発生器を設けることができる。そして、CPAPモードで所望のCPAPを提供するために、装置が使用される患者に駆動流を適合させることができる。新生児などのより小さな乳児に対しては、2つの可変流量CPAP発生器を含む装置は、PPVモードで動作する場合、所望の上昇時間を提供するのに十分であり得る。より大きな小児、例えば約10kgの体重を有する小児に対しては、換気モードで動作する場合、その患者に対して所望の上昇時間を達成するために、3つまたは4つの可変流量CPAP発生器を含む装置を使用することが有利であり得る。本開示から、装置内の可変流量CPAP発生器の数が多いほど、より高い駆動流量を使用することができ、その結果、PPVモードにおいて、圧力増加が速くなり、すなわち、上昇時間が短縮されることが理解されるであろう。好ましくは、可変流量CPAP発生器の数は2から4の間である。2つから4つの可変流量CPAP発生器を設けることは、可変流量CPAP発生器が当技術分野で知られた装置の外部手段に組み込み得るため、PPVおよびCPAP治療のための装置の大型化に必ずしも寄与しない。しかし、4つを超える可変流量CPAP発生器を設けることも、本発明の概念の範囲内で考えられる。
【0020】
装置の一実施形態によれば、装置は、装置の患者インターフェース端部に接続された第1の端部と、圧力解放管に接続可能な第2の端部とを有する圧力解放接続部をさらに備える。圧力解放接続部は、一般に管状であり、患者インターフェース端部と装置の側壁との間の装置の一部を通って延び、そこを通る内部通路を形成する。圧力解放管は、圧力解放接続部の第2の端部によって提供された側壁を介して穴に接続可能である。
【0021】
本発明の別の態様によれば、本明細書に開示された装置と、フレッシュガス流管と、フレッシュガス流管によってフレッシュガス流入口に接続されたフレッシュガス源と、PPVモードにおいて過剰な陽圧を防止するように構成された圧力解放弁とを備えるPPVおよびCPAP治療のためのシステムが提供される。したがって、システムは、フレッシュガス源と、治療される患者に合わせて適合された特定の開口圧力に設定された圧力解放弁とを含む。
【0022】
システムの一実施形態によれば、システムは、装置の出口の開放端が閉塞されると、圧力は、可変流量CPAP発生器から圧力解放弁の開口圧力に達するまで増加し、圧力の増加により吸気流が生じ、これにより、システム内の圧力は、閉塞が出口から除去されるまで設定されたPPV圧力に維持され、閉塞された出口が開放されると、圧力が設定されたCPAPレベルに戻り、これにより、圧力の低下が呼気流をもたらすように構成される。
【0023】
システムの一実施形態によれば、システムは、自発呼吸中、患者流およびフレッシュガス流は、可変流量CPAP発生器を通ってシステムから出て、患者の気道内の陽圧を安定させ、CPAPを発生させる流れを変化させることによって、気道内のCPAPを必要に応じて調整することができるように構成される。
【0024】
システムの一実施形態によれば、圧力解放弁が、患者インターフェース端部および装置の出口の一方に接続されている。これらは、システム内に圧力解放弁を配置する2つの選択的な方法であり、主な目的は、対象の圧力が信頼できる方法で測定可能な位置に圧力解放弁を配置することである。圧力解放弁を装置の出口に接続して配置することにより、圧力解放管および圧力解放接続部を取り除くことができ、コンパクトな装置およびシステムを提供することができる。
【0025】
圧力解放接続部を含む装置を備えるシステムの一実施形態によれば、圧力解放弁は、圧力解放接続部に接続されている。このシステムの一実施形態では、システムは、圧力解放弁が配置される圧力解放管をさらに備える。これは、ユーザにとってより馴染みのある圧力解放弁の配置方法かもしれない。
【0026】
システムの一実施形態によれば、システムは、圧力測定装置をさらに備える。これにより、システムの動作を容易に監視し、フレッシュガス流量の所望の調整を行うことができる。好ましくは、圧力測定装置は、装置の患者インターフェース端部に配置される。圧力解放接続部を含む装置を備えるシステムの一実施形態によれば、圧力測定装置は、圧力解放接続部を介して患者インターフェース端部に接続される。当然のことながら、主な目的は、対象の圧力を確実かつ正確に測定できる位置に圧力測定装置を配置することである。
【0027】
システムの様々な実施形態は、いくつかの可変流量CPAP発生器に接続され、さらに共通の患者インターフェース端部および装置の出口に接続されたフレッシュガス流入口を有する装置を含むシステムとして要約することができる。システムは、装置にフレッシュガス流を供給するために、一端がフレッシュガス流入口に接続され、他端がフレッシュガス源に接続されたフレッシュガス流管をさらに備える。システムには圧力解放弁がさらに含まれ、装置の出口および患者インターフェース端部の一方に接続されている。任意選択的に、システムは、装置の患者インターフェース端部に配置された圧力測定装置を備え、そこでの圧力を正確かつ確実に測定する。
【0028】
本明細書に開示される装置は、新生児蘇生および初期呼吸補助のためのPPVおよびCPAP治療に使用することができる。
【0029】
本明細書に開示されるシステムは、新生児蘇生および初期呼吸補助のためのPPVおよびCPAP治療に使用することができる。
【0030】
本発明のこれらおよび他の態様、ならびに利点は、以下に記載する実施形態から明らかとなり、これらを参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
本発明は、添付の図面を参照してより詳細に説明される。図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部である。本発明の他の実施形態、および本発明の意図された利点の多くは、以下の詳細な説明を参照することによってよりよく理解されるにつれ、容易に理解されるであろう。図面の要素は、必ずしも互いに同じ縮尺である必要はない。同じ参照番号は、対応する同様の部品を示す。
図1】本発明に係る装置の一実施形態の概略一部切欠図である。
図2】本発明に係る装置の別の実施形態の概略一部切欠図である。
図3】本発明に係る装置のさらに別の実施形態の概略断面図である。
図4】本発明に係るシステムの実施形態の概略断面図である。
図5】本発明に係るシステムの実施形態の概略断面図である。
図6a】陽圧換気中、すなわちPPVモードにおける図4に示すシステムの流れを概略的に示す。
図6b】陽圧換気中、すなわちPPVモードにおける図4に示すシステムの流れを概略的に示す。
図7】自発呼吸中、すなわちCPAPモードにおける図4に示すシステム内の流れを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の様々な実施形態の例を提供する。本明細書に記載されるPPVおよびCPAP治療のための装置の実施形態に共通することは、それらが、フレッシュガス流入口2、患者インターフェース端部3、開放端5を有する出口4、およびそれぞれがフレッシュガス流入口2、患者インターフェース端部3、および出口4と接続されたいくつかの可変CPAP発生器6を備えることである。より詳細には、装置は、フレッシュガス流入口2にある入口チャンバ21と、患者インターフェース端部3にある患者インターフェースチャンバ31と、出口4にある出口チャンバ41とをさらに備える。各可変流量CPAP発生器6は、それぞれ、入口チャンバ21、患者インターフェースチャンバ31、および出口チャンバ41を介して、フレッシュガス流入口2、患者インターフェース端部3、および出口4に接続される。すなわち、入口チャンバ21、患者インターフェースチャンバ31、および出口チャンバ41は、フレッシュガス流入口2、患者インターフェース端部3および装置の出口4と同様に、いくつかの可変流量CPAP発生器6に共通である。
【0033】
図1を参照すると、装置100の第1の実施形態によれば、装置100は、互いに隣接して配置された3つの可変流量CPAP発生器6を備える。各可変流量CPAP発生器6は、第1の接続部10、第2の接続部11、および第3の接続部12を備える。可変流量CPAP発生器6の第1の接続部10は、フレッシュガス流入口2に接続され、第2の接続部11は患者インターフェース端部3に接続され、第3の接続部12は装置100の出口4に接続されている。より詳細には、可変流量CPAP発生器6の第1の接続部10は、入口チャンバ21を介してフレッシュガス流入口2に接続されている。入口チャンバ21は、一般に、フレッシュ流ガス入口2と可変流量CPAP発生器6の第1の接続部10との間に延びる管状部の内壁によって区画されている。同様に、第2の接続部11は、患者インターフェースチャンバ31を介して患者インターフェース端部3に接続されている。患者インターフェースチャンバ31は、第2の接続部11と患者インターフェース端部3との間に延びる管状部によって画定されている。しかし、可変流量CPAP発生器6の第2の接続部11を装置100の共通の患者インターフェース端部3に接続する共通チャンバを提供する目的に適した任意の他の形状であってもよい。装置100の患者インターフェース端部3は、例えばフェイスマスク、鼻カニューレ、または気管内チューブなど、任意の患者インターフェースにさらに接続可能である。
【0034】
同様に、可変流量CPAP発生器6の第3の接続部12は、出口チャンバ41を介して装置100の出口4に接続されている。出口チャンバ41は典型的には管状であり、第2の接続部12と自由開口端5を有する出口4との間に延びる突出した管端として構成されている。したがって、図1に示す例示的な実施形態の3つの可変流量CPAP発生器6は、平行に配置され、装置100の共通のフレッシュ流ガス流入口2と、患者インターフェース端部3と、出口4との間に延び、コンパクトな装置100を提供する。
【0035】
図1に示す例示的な実施形態では、各可変流量CPAP発生器6の第2および第3の接続部11、12は、互いに斜めに配置されている。第1の接続部10は、第3の接続部12に斜めに接続され、さらに第2の接続部11と略同軸上に配置されている。可変流量CPAP発生器6のこのような構造は、可変流量CPAP発生器6によって発生されるCPAPを安定させ、使用時に患者に課される呼吸仕事量を低くするので有利である。しかし、装置100内に異なる構造を有するいくつかの可変流量CPAP発生器6を設けることも、本発明の概念内で考えられる。
【0036】
図2を参照すると、装置200の別の実施形態によれば、装置200は、4つの可変流量CPAP発生器6を備える。4つの可変流量CPAP発生器6のそれぞれは、第1の接続部10、第2の接続部11、および第3の接続部12を備える。可変流量CPAP発生器6の第1の接続部10は、フレッシュガス流入口2に接続され、第2の接続部11は患者インターフェース端部3に接続され、第3の接続部12は装置200の出口4に接続されている。この実施形態においても、可変流量CPAP発生器6の第1の接続部10は、入口チャンバ21を介してフレッシュガス流入口2に接続されている。同様に、第2の接続部11は、患者インターフェースチャンバ31を介して患者インターフェース端部3に接続され、可変流量CPAP発生器6の第3の接続部12は、出口チャンバ41を介して装置100の出口4に接続されている。出口チャンバ41は典型的には管状であり、第2の接続部12と自由開口端5を有する出口4との間に延びる突出した管端として構成されている。装置100の患者インターフェース端部3は、例えばフェイスマスク、鼻カニューレ、または気管内チューブなど、任意の患者インターフェースに接続可能である。4つの可変流量CPAP発生器6は、平行に配置され、フレッシュ流ガス流入口2と、患者インターフェース端部3と、装置の出口4との間に延び、コンパクトな装置200を提供する。
【0037】
ここで図3を参照すると、さらに別の実施形態によれば、装置300は、図1に関して説明したように構成された3つの可変流量CPAP発生器6を含む。図3が断面図であるため、可変流量CPAP発生器6のうちの1つのみがそこに見える。さらに、装置300は、第1の端部16および第2の端部17を有する圧力解放接続部14を備える。第1の端部16は、装置300の患者インターフェース端部3に接続され、第2の端部17は、圧力解放管15に接続可能である(図5参照)。より詳細には、第1の端部16は、患者インターフェースチャンバ31を介して患者インターフェース端部3に接続されている。圧力解放接続部14は、一般に管状であり、部分的に可変流量CPAP発生器6の第2の接続部11と平行に、部分的に装置の側壁18に向かって角度をなして延びている(図5参照)。この実施形態は、図5を参照して説明するシステムにおいて有用である。圧力解放接続部14は、任意の数の可変流量CPAP発生器を有する装置に適用可能であることに留意されたい。
【0038】
システム400の第1の実施形態は、図4に示されるように、図1を参照して説明した装置100の実施形態を含む。図4が断面図であるため、3つの可変流量CPAP発生器6のうちの1つのみがそこに見える。システム400はさらに、システム400のフレッシュガス流管22を介してフレッシュガス流入口2にフレッシュガス流を提供するフレッシュガス源20を備える。CPAPのレベルは、フレッシュガス源20で調節される。システムはさらに、圧力解放弁7および圧力測定装置8を備える。圧力解放弁7は、ここでは、装置100の出口4に接続して配置されている。より詳細には、システム400は、装置100の出口4に接続された出口管19をさらに備える。圧力解放弁7は、出口管19に沿って配置されている。出口管19は、開放端23を備える。圧力測定装置8は、装置100の患者インターフェース端部3に配置されている。しかし、圧力を測定することに関心がなければ、圧力測定装置8は、すべての実施形態において省略することができる。
【0039】
図5を参照すると、システム500の第2の実施形態によれば、システム500は、図3を参照して説明した装置300、すなわち、圧力解放接続部14を備える装置を備える。図4に示される実施形態に関しては、システム500の断面図であるために、可変流量CPAP発生器6のうちの1つのみが図5に見える。システム500は、圧力解放接続部14に接続された圧力解放管15をさらに備える。圧力解放弁7は、圧力解放接続部14の遠位にある圧力解放管15の端部に配置されている。圧力測定装置8は、ここでは、圧力解放弁7と圧力解放接続部14との間の圧力解放管15に配置されている。
【0040】
システムは次のように動作する。システム400の第1の実施形態を参照するが、システム500の第2の実施形態では、対応する動作が行われる。酸素濃度とフレッシュガス流量は標準的なブレンダと流量計によって調節される。フレッシュガス流量は可変であり、典型的には毎分5~15リットルに設定される。典型的には、提供されるフレッシュガス流量は、毎分10~12リットルである。この範囲のフレッシュガス流量は、再呼吸を防止し、適切な吸気流量、容量、および時間を達成するための流量を提供し、患者インターフェースにおける漏れに対するある程度の余裕を提供するであろう。しかし、特により年長の小児の治療のために、毎分15リットルを超えるフレッシュガス流を提供することも可能である。システムはさらに、この範囲の供給されたフレッシュガス流が3~10cmHOのCPAPのレベルを生成するように構成されている。好ましい実施形態では、生成されるCPAPのレベルは5~6cmHOである。
【0041】
フレッシュガス流は、可変流量CPAP発生器6を駆動するために使用される。可変流量CPAP発生器6へのフレッシュガス流量は常に調節可能である。3つの可変流量CPAP発生器6を含む装置100の例示的な実施形態では、フレッシュガス流入口2に供給されるフレッシュガス流量の典型的な値は毎分5~15リットルであり、典型的には3~10cmHOのCPAPレベルを生成する。より高いCPAPのレベルを提供するために、可変流量CPAP発生器6を駆動する流量をさらに増加させることができる。
【0042】
可変流量CPAP発生器6の出口4は、開放端5を有する。図4に示されたシステム400において、出口管19は、装置の開放端出口4に接続され、開放端23を有する。出口管19の開放端23が閉塞されている場合(図4および図6aを参照)、乳児に送り出される圧力は、可変CPAP発生器6によって設定された圧力から、圧力解放弁7の開口圧力に達するまで増加する。図3を参照して説明した装置300を備えるシステム500において、装置300の出口4の開放端5の閉塞は、同じ効果を有する。圧力解放弁7が開く典型的な値は約20~30cmHOである。圧力の増加により吸気流が生じる。システム400内の圧力は、出口閉塞が除去されるまで、設定された陽圧換気圧力のままである。閉塞された開放端5が開放されると(図6b参照)、患者に送り出される圧力は、設定されたCPAPレベルに戻り、この圧力の低下は呼気流をもたらす。
【0043】
自発呼吸の間、乳児流およびフレッシュガス流は、可変流量CPAP発生器6を通ってシステム400を出る(図7参照)。これにより、気道内の陽圧を安定させる。駆動流量、すなわちCPAPレベルを生成するフレッシュガス流量を変化させることにより、気道内のCPAPレベルを必要に応じて調節することができる。
【0044】
患者インターフェース端部3は、患者インターフェースとの接続に適する任意の適切な形態で設計することができる。さらに、患者インターフェースは、図示しない患者鼻気道への接続を確立するのに適した様々な設計を想定することができる。したがって、患者インターフェースは、対向する一対の鼻カニューレ、マスク、気管内チューブ、または他の任意の適切な装置を含み得る。
【0045】
システム400、500は、圧力解放弁7の誤動作のためのバックアップシステムを有し得る。これは、警報、第2の圧力解放弁、またはフレッシュガス流を遮断するシステムのいずれかであり得る。
【0046】
圧力測定装置8は、患者に送り出されたガスの圧力を正確に記録するために、できるだけ患者の近くに配置されるべきである。精度は患者インターフェースの流れ抵抗に依存し、乳児の場合、可能であれば低抵抗インターフェースを使用すべきである。図1および2を参照して説明した装置の実施形態は、システム400において必要とされる管が少なくなるので、有益であるとみなされ得る。
【0047】
特に、本発明の原理による装置は、患者インターフェースに関して上述した特徴の一部または全部を組み込むことも組み込まないこともある多種多様な患者インターフェース構成と共に有用である。したがって、患者インターフェースは、決して限定的ではない。
【0048】
特に、本発明の原理による装置は、可変流量CPAP発生器6に関して上述した特徴の一部または全てを組み込むことも組み込まないこともある多種多様な可変流量CPAP発生器と共に有用である。したがって、可変流量CPAP発生器6のモデルは、決して限定的ではない。
【0049】
特に、本発明の原理による装置は、システム内の圧力に応じて空気を解放する目的を達成する多種多様な圧力解放弁7または類似の装置と共に有用である。したがって、圧力解放弁のモデルやタイプは、決して限定的ではない。
【0050】
特に、本発明の原理による装置は、システム内の圧力を測定する目的を達成する多種多様な圧力測定装置8または類似の装置と共に有用である。したがって、圧力測定装置のモデルやタイプは、決して限定的ではない。
【0051】
乳児を蘇生または安定させるための典型的なCPAPレベルは4~10cmHOの範囲である。PPVの典型的なピーク圧力は20~30cmHOである。これは、システムを閉塞し、正確に調節された圧力解放弁を有することによって得られる。
【0052】
添付の特許請求の範囲に定義された本発明による装置およびシステムの上記実施形態を説明した。これらは、単に非限定的な例とみなされるべきである。当業者によって理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で多くの変形および代替の実施形態が可能である。
【0053】
本出願の目的のために、特に添付の特許請求の範囲に関して、「comprising」という用語は他の要素または工程を排除せず、「a」または「an」という語は複数を排除しないことに留意すべきであるが、それ自体は当業者にとって明らかであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7