IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエーの特許一覧

特許7511034金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法
<>
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図1
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図2
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図3
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図4
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図5
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図6
  • 特許-金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】金属ストリップの平面度を補正するための補正装置および関連する補正方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/00 20060101AFI20240627BHJP
   C23C 2/40 20060101ALI20240627BHJP
   C21D 1/00 20060101ALI20240627BHJP
   C23C 2/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
C23C2/00
C23C2/40
C21D1/00 112A
C23C2/02
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022580031
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-20
(86)【国際出願番号】 IB2021055965
(87)【国際公開番号】W WO2022003646
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】102020000016012
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】510152666
【氏名又は名称】ダニエリ アンド シー.オフィス メカニケ エスピーエー
【氏名又は名称原語表記】DANIELI&C.OFFICINE MECCANICHE SPA
【住所又は居所原語表記】Via Nazionale,41-33042 Buttrio(UD),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴィニョーロ ルチアーノ
(72)【発明者】
【氏名】バッザーロ ジャンルカ
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/106785(WO,A1)
【文献】特開2007-238991(JP,A)
【文献】特開平02-054746(JP,A)
【文献】特開平09-108736(JP,A)
【文献】実開昭62-003566(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/00
C23C 2/40
C21D 1/00
C23C 2/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属の層で金属ストリップ(1)をコーティングするためのコーティングシステムに進行する前記金属ストリップ(1)の平面度を補正するための補正装置であって、前記装置が、
- 焼きなまし炉(10)から出る前記金属ストリップ(1)の供給経路の方向を変更するように適合されたブライドルロール(2)、
- 前記供給経路に沿って前記ブライドルロール(2)の下流に配置され、溶融金属浴(12)を含むように適合されたタンク(11)の内部に配置された、1つのみのシンクロール(3)であって、前記タンク(11)の内部の前記金属ストリップ(1)の前記供給経路の前記方向を変更するように適合された、シンクロール(3)、
- 固定された前記ブライドルロール(2)と前記シンクロール(3)との間に配置された、前記金属ストリップの前記平面度を補正するための補正デバイス(4)
を備え、
前記補正デバイス(4)が、前記タンク(11)の外側に配置された少なくとも2つの電動ロール(5、6)を備え、
前記少なくとも2つの電動ロールのうちの第1の電動ロール(5)が、前記金属ストリップ(1)の前記供給経路に対して固定位置において前記ブライドルロール(2)から遠位にあり、前記第1の電動ロール(5)が前記供給経路の第1の側に配置され、
前記ブライドルロール(2)も前記第1の側に配置され、
前記少なくとも2つの電動ロールのうちの第2の電動ロール(6)が、前記供給経路の前記第1の側と反対の第2の側に配置され、前記ブライドルロール(2)の近位にあり、前記ブライドルロール(2)によって与えられる曲げと反対方向に前記金属ストリップを曲げるように、前記ブライドルロール(2)および前記第1の電動ロール(5)のそれぞれの回転軸X、Yによって規定される平面Aと交差する軌道に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において移動可能である、装置。
【請求項2】
前記補正デバイス(4)が、前記金属ストリップ(1)の前記供給経路に対して固定位置において、前記ブライドルロール(2)と前記第2の電動ロール(6)との間に配置された第3の電動ロール(7)を備え、前記第3の電動ロール(7)が、前記供給経路の前記第1の側に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
- 前記供給経路に沿って前記タンク(11)の下流に配置された、前記金属ストリップ(1)の前記平面度を測定するための少なくとも1つの第1の測定デバイス(13)と、
- 前記第1の測定デバイス(13)から平面度データを取得し、制御信号を前記補正デバイス(4)に送信して、記軌道に沿って前記第2の電動ロール(6)の位置を調節するように適合された制御システム(14)と
が設けられ、
なくとも1つの位置センサが、前記第2の電動ロール(6)の前記位置を検出するために設けられ、前記少なくとも1つの位置センサが、前記位置の前記データを含む信号を前記制御システム(14)に送信するように適合される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも一対のエアナイフ(15)が、前記供給経路に沿って前記タンク(11)の下流に配置されて設けられ、第1のエアナイフが、前記供給経路の前記第1の側に配置され、第2のエアナイフが、前記供給経路の前記第2の側に配置され、
前記第1の測定デバイス(13)が、前記供給経路に沿って前記少なくとも一対のエアナイフ(15)の上流または下流に配置される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記供給経路に沿って前記タンク(11)の下流に配置された、少なくとも一対の電磁気安定化デバイス(16)が設けられ、前記少なくとも一対の電磁気安定化デバイス(16)のうちの第1の電磁気安定化デバイスが、前記第1の側に配置され、第2の電磁気安定化デバイスが、前記第2の側に配置され、
前記制御システム(14)が、前記タンク(11)の下流に配置され、前記少なくとも一対の電磁気安定化デバイス(16)の近くに配置された、少なくとも1つの第2の測定デバイス(13’)からさらなる平面度データを取得するように適合され、制御信号を前記補正デバイス(4)に送信して、前記軌道に沿って前記第2の電動ロール(6)の前記位置を調節するように適合される、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも一対の電磁気安定化デバイス(16)が、前記供給経路に沿って前記少なくとも一対のエアナイフ(15)の下流に配置される、請求項4を引用する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の測定デバイス(13)が、レーザースキャンシステムを備える、請求項3~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記補正デバイス(4)が、前記軌道に沿って前記第2の電動ロール(6)を移動させるための移動機構を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ブライドルロール(2)および前記少なくとも2つの電動ロール(5、6)が、前記焼きなまし炉10の端部の内部に配置され、前記端部を前記タンク(11)と接続する接続ダクト(17)の上流に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ブライドルロール(2)の直径であるD2を有し、前記第1の電動ロール(5)と前記ブライドルロール(2)との間の前記金属ストリップ(1)の前記供給経路に沿った距離が、1.05D2から2D2の間であり、前記第2の電動ロール(6)が、この距離内に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の電動ロール(5)、前記第2の電動ロール(6)、および前記第3の電動ロール(7)の直径であるD1を有し、前記第1の電動ロール(5)と前記第3の電動ロール(7)との間の前記金属ストリップ(1)の前記供給経路に沿った距離が、1.05D1から2D1の間であり、記第2の電動ロール(6)がこの距離内に配置される、請求項2、または、請求項2を引用する請求項3~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記シンクロール(3)が、前記少なくとも2つの電動ロール(5、6、7)の直径D1より大きい直径D3を有し、前記ブライドルロール(2)の直径D2が、直径D3以上の値を有するか、または前記直径D2が、前記直径D1から前記直径D3の間の中間の値を有し得る、請求項2、または、請求項2を引用する請求項3~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
D3/D1の比が、1.5~6.6であり、D3/D2の比が、0.5~1.6であり、D2/D1の比が、1.5~8である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記直径D2が前記直径D3以上の値を有する場合、前記シンクロール(3)の前記直径D3が、600mm~1000mmの範囲であり、前記ブライドルロール(2)の前記直径D2が、600mm~1200mmの範囲であり、前記少なくとも2つの電動ロール(5、6、7)の前記直径D1が、150mm~400mmの範囲である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
D3/D1の比が、1.5~6.6であり、D3/D2の比が、0.6~2.5であり、D2/D1の比が、1~6である、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記直径D2が、前記直径D1から前記直径D3の間の中間の値を有する場合、前記シンクロール(3)の前記直径D3が、600mm~1000mmの範囲であり、前記ブライドルロール(2)の前記直径D2が、400mm~900mmの範囲であり、前記少なくとも2つの電動ロール(5、6、7)の前記直径D1が、150mm~400mmの範囲である、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
少なくとも2つのブライドルロール(2、2’)が設けられ、1つのみの前記補正デバイス(4)が、最後のブライドルロール(2)と前記シンクロール(3)との間に配置される、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
溶融金属の層で金属ストリップ(1)をコーティングするためのコーティングシステムに進行する前記金属ストリップ(1)の平面度を補正するための方法であって、前記方法が、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置によって実施され、以下のステップ:
a)焼きなまし炉(10)から出る前記金属ストリップ(1)の前記供給経路の前記方向を前記ブライドルロール(2)によって変更するステップ、
b)前記タンク(11)に浸漬された前記金属ストリップ(1)の前記供給経路の前記方向を前記シンクロール(3)によって再び変更するステップ
を含み、
補正デバイス(4)の前記少なくとも2つの電動ロール(5、6)によって前記金属ストリップの前記平面度を補正する前記ステップが、前記ブライドルロール(2)によって与えられる曲げと前記反対方向に前記金属ストリップを曲げるように、前記ブライドルロール(2)および前記第1の電動ロール(5)のそれぞれの回転軸X、Yによって規定される平面Aと交差する軌道に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において第2の電動ロール(6)を移動させることによって、ステップa)とステップb)との間に提供される、方法。
【請求項19】
前記金属ストリップの前記平面度を補正するために、以下のステップ:
- 前記供給経路に沿って前記タンク(11)の下流に配置された少なくとも1つの第1の測定デバイス(13)によって前記金属ストリップ(1)の前記平面度を測定するステップ、
- 前記第1の測定デバイス(13)から平面度データを取得し、制御システム(14)によって制御信号を前記補正デバイス(4)に送信して、前記軌道に沿って前記第2の電動ロール(6)の位置を調節するステップ
が含まれる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属ストリップ(1)の前記平面度を測定する前記ステップが、少なくとも一対のエアナイフ(15)の上流または下流で実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記金属ストリップの前記平面度を補正するために、以下のステップ:
- 前記タンク(11)の下流に配置された、少なくとも一対の電磁気安定化デバイス(16)の近くに配置された、少なくとも1つの第2の測定デバイス(13’)からさらなる平面度データを取得し、前記制御システム(14)によってさらなる制御信号を前記補正デバイス(4)に送信して、前記軌道に沿って前記第2の電動ロール(6)の前記位置を調節するステップ
も含まれる、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
溶融金属の層で金属ストリップ(1)をコーティングするためのシステムであって、前記システムに沿って進行する前記金属ストリップ(1)の前記平面度を補正するための請求項1~17のいずれか一項に記載の装置を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、強磁性材料製の平らな製品、例えば金属ストリップ、特に鋼製のストリップをコーティングするためのシステムの分野に関する。より具体的には、本発明は、溶融金属コーティングプロセス、例えば亜鉛めっきプロセスの間に移動する強磁性材料製のストリップの平面度を補正するための補正装置、および関連する補正方法に関する。本発明はさらに、そのような補正装置を備える、金属ストリップを溶融金属でコーティングするためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、強磁性材料製のストリップは、複数のコーティングプロセスによって、例えば亜鉛めっきによって外部からコーティングされる。
【0003】
溶融金属、例えば亜鉛の浴を含むタンクのゾーンは、コーティングプロセスの中心であり、システムオペレーション、プロセス生産性、製品の品質、および亜鉛の消費に影響を与える。
【0004】
このようなコーティングプロセスでは、移動する金属ストリップは、通常、変形および振動を受け、プロセス生産性を向上させ、亜鉛の消費を最適化するために、いくつかのデバイスを使用することによってこれらを補正する。
【0005】
金属ストリップをコーティングするためのシステムの公知の例は、図1に示される。このようなシステムは、以下を備える。
- 金属ストリップ1が横切る焼きなまし炉10、
- 焼きなまし炉10から出る金属ストリップ1の供給経路の方向を変更させ、ストリップに張力を加える少なくとも1つのブライドルロール2、
- 溶融金属浴12を含むタンク11、
- 焼きなまし炉10とタンク11との間の接続ダクト17、
- 溶融金属浴12に浸漬された、対応するベアリングを備える3つのアイドルロール3、60、50、
- それぞれのアイドルロール3、60、50を支持する、浸漬された支持アーム(図示せず)、
- 過剰な溶融金属をストリップから除去するために、ストリップ供給経路に沿ってタンク11の下流に配置された、一対のエアナイフ15
【0006】
ストリップ供給経路を考慮して接続ダクト17の近位にあるシンク偏向ロール3は、焼きなまし炉10から出るストリップを、斜め位置から垂直位置に偏向させ、エアナイフ15の位置を規定する。
【0007】
スタビライザーロールとして知られており、シンク偏向ロール3よりも小さい直径を有する他の2つのシンクロール60、50は、ストリップ供給経路の垂直ストレッチ上に配置され、したがって、前記シンク偏向ロール3に対して直列であり、ストリップの平面度を補正するための補正デバイスを規定する。
【0008】
特に、シンクスタビライザーロール50は、シンク偏向ロール3から遠位にあり、金属ストリップ1の供給経路に対して固定された位置にある。シンクスタビライザーロール50は、シンク偏向ロール3が配置されるのと同じ側である、供給経路の第1の側に配置される。
【0009】
代わりに、シンクスタビライザーロール60は、シンク偏向ロール3の近位にあり、シンク偏向ロール3によって与えられる曲げとは反対方向に金属ストリップを曲げるように、金属ストリップの供給経路を横断する水平方向に沿って配置可能である。実際に、シンクスタビライザーロール60は、供給経路の第1の側とは反対の第2の側に配置され、理論的なストリップ通過面に対してめり込みを行うことができる。
【0010】
不都合なことに、図6に示すように、これは、ストリップがシンク偏向ロール3の周りで曲がると得られる、クロスボウ形状(またはクロスボウ効果)の典型的な欠陥を部分的にしか減衰させることができない。
【0011】
さらに、シンクロールの持続期間は、約2または3週間である。シンクロールの交換を強いられる主な原因は、以下の通りである。
- ストリップと接触する全てのシンクロールの表面の摩耗、
- ストリップに跡を付ける可能性があるロールの表面上のコーティング金属におけるスラグの存在、
- 2つのシンクスタビライザーロールのベアリングの摩耗、
- ストリップの表面を傷付けるリスクがあるシンクスタビライザーロールの回転のロック、
- 薄いストリップをコーティングする必要がある場合、高速でのシンクスタビライザーロールの回転の困難さ、
- シンク偏向ロールのベアリングの摩耗、
- シンク偏向ロールおよび/または前記偏向ロールのベアリングの摩耗によって発生する振動
【0012】
タンク内の複数のシンクロールを交換するためにシステムを停止すると、材料の一部が正しく処理されないために大量の廃棄物が発生することに加えて、停止中の焼きなまし炉およびタンクのエネルギー消費による生産損失およびシステムの生産コストの増加をもたらす。
【0013】
したがって、上述の欠点を克服することができる、ストリップの平面度を補正するための革新的な補正装置を製造する必要性が感じられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、コーティングシステムに進行(advance)する金属ストリップの平面度を補正するための補正装置を製造することであり、この補正装置は、シンク偏向ロールの周囲にストリップを巻き付けることと、前記ストリップに張力を加えることの組み合わされた効果によって引き起こされるストリップのクロスボウ効果をほとんど取り除くまで、可能な限り低減させることができる。
【0015】
本発明の別の目的は、シンクロールの数を低減させることを可能にし、したがって前記シンクロールの交換によるシステムの停止を低減させ、それによりこれらの停止に関連する生産損失およびエネルギーコストを最小にする補正装置を製造することである。
【0016】
本発明の別の目的は、金属ストリップの平面度を補正するための関連する方法を実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、溶融金属の層で金属ストリップをコーティングするためのコーティングシステムに進行する前記金属ストリップの平面度を補正するための補正装置を製造することによって上記の目的を達成することを目的とし、前記装置は、
- 焼きなまし炉(アニール炉。annealing furnace)から出る金属ストリップの供給経路の方向を変更するように適合されたブライドルロール(bridle roll)、
- 前記供給経路に沿ってブライドルロールの下流に配置され、前記溶融金属浴を含むように適合されたタンクの内部に配置された、1つのみのシンクロールであって、タンクに浸漬された金属ストリップの供給経路の方向を変更するように適合された、シンクロール、
- 前記ブライドルロールと前記シンクロールとの間に配置された、金属ストリップの平面度を補正するための補正デバイス
を備える。
前記補正デバイスが、タンクの外側に配置された少なくとも2つの電動ロールを備え、
前記少なくとも2つの電動ロールのうちの第1の電動ロールが、金属ストリップの供給経路に対して固定位置において前記ブライドルロールから遠位にあり、前記第1の電動ロールが前記供給経路の第1の側に配置され、
前記ブライドルロールも前記第1の側に配置され、
前記少なくとも2つの電動ロールのうちの第2の電動ロールが、前記供給経路の第1の側と反対の第2の側に配置され、前記ブライドルロールの近位にあり、前記ブライドルロールによって与えられる曲げと反対方向に金属ストリップを曲げるように、ブライドルロールおよび第1の電動ロールのそれぞれの回転軸X、Yによって規定(define)される平面Aと交差する(intersect)軌道(trajectory)に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において移動可能である。
【0018】
本発明の別の態様は、溶融金属の層で金属ストリップをコーティングするためのコーティングシステムに進行する前記金属ストリップの平面度を補正するための方法であって、この方法が、上記の補正装置によって実施され、以下のステップ:
a)焼きなまし炉から出る金属ストリップの供給経路の方向をブライドルロールによって変更するステップ、
b)タンクに浸漬された金属ストリップの供給経路の方向をシンクロールによって再び変更するステップ
を含み、
補正デバイスの少なくとも2つの電動ロールによって金属ストリップの平面度を補正するステップが、前記ブライドルロールによって与えられる曲げと反対方向に前記金属ストリップを曲げるように、ブライドルロールおよび第1の電動ロールのそれぞれの回転軸X、Yによって規定される平面Aと交差する軌道に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において第2の電動ロールを移動させることによって、ステップa)とステップb)との間に提供される。
【0019】
有利には、補正デバイスは、溶融金属タンクの外側、好ましくは焼きなまし炉のホットロールの直後で、溶融金属浴(the molten metal bath)のタンクと炉との接続ダクトの前に設置される。あるいは、本発明の補正装置は、焼きなまし炉のホットロールの下流に設置されるが、少なくとも部分的に、溶融金属浴のタンクと炉との接続ダクトの内側に設置される。
【0020】
したがって、タンク内のシンクスタビライザーロール(sink stabilizer roll)はもはや必要ではなくなり、システムが明らかに簡素化され、それにより設備投資(Capex)および事業費(Opex)の削減という点で明らかな利点が得られる。
【0021】
少なくとも2つの電動ロールであって、そのうちの1つが、理論的な(theoretical)ストリップ供給面(feeding plane)と交差する上記の軌道に沿って移動可能であり、そのうちの1つが、前記理論的な供給面上の固定されたブライドルロールである、少なくとも2つの電動ロールを備えた、ストリップの平面度を補正するためのデバイスの提供により、シンクロール周囲のストリップを巻き付けることと、前記ストリップに張力を加えることの組み合わされた効果によって引き起こされる、コーティングされたストリップのクロスボウ効果をより効率的に補正することが可能になる。
【0022】
特に、図7に示されるように、タンク11の外側および上流の補正デバイスの第2の電動ロールによって与えられた第1の曲げと、第1の曲げと反対方向の、シンク偏向ロール3によって与えられた第2の曲げとの組み合わせは、先行技術の解決策と比較して、タンク11から出たクロスボウ効果の補正を改善する(図6)。
【0023】
ストリップの平面度のさらなる改善は、3つの電動ロールを備えた補正デバイスを設けることによって得られ、それらのうちの中央の電動ロールは、ブライドルロールおよび第1の電動ロールのそれぞれの回転軸X、Yによって規定される平面Aと交差する軌道に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において移動可能であり、一方、2つの側方の電動ロールは、前記理論的な供給面に固定されている。2つの側方の電動ロールは、ストリップの経路に対してブライドルロールと同じ側に配置され、一方、中央の電動ロールは、反対側に配置される。
【0024】
好ましくは、供給経路に沿ってタンクの下流に配置され、後で、上記の軌道に沿って位置を調節するように第2の電動ロールにフィードバックして作用することができる制御システムと通信する、金属ストリップの平面度を測定するための測定デバイスの支援により、タンクの下流で残余誤差が存在する場合、平面度の補正を調節することが可能になる。
【0025】
溶融金属でコーティングされたストリップの平面度の補正のさらなる改善は、ストリップ供給経路に沿ってタンクの下流に、少なくとも一対の電磁気安定化(electromagnetic stabilizer)デバイスを設けることによって得ることができる。例えば、渦電流に基づく位置変換器または少なくとも1つのレーザースキャンシステムを備える、金属ストリップの平面度を測定するための少なくとも1つのさらなる測定デバイスを、前記安定化デバイスの近くに配置し、前記制御システムと通信させることができ、これは、したがって、前記軌道に沿って位置を再度調節するように第2の電動ロールにフィードバックしてさらに作用することができ、平面度の補正の最適化を可能にする。
【0026】
本発明の他の利点は以下の通りである。
- 補正デバイスの電動ロールのベアリングの摩耗が少なく、電動ロールが金属浴に浸漬されていない、
- 厳密に(precisely)浸漬されていないため、補正デバイスのロールの回転がロックするリスクを除去し、これにより、ストリップの表面上に傷が付くリスクを低減させる、
- 1つのみのシンクロールの表面上にもっぱらコーティング金属のスラグ(slag)が存在するため、ストリップ上に跡が付くことを低減させる、
- 薄いストリップをコーティングする必要がある場合、ロールが電動であり、浴に浸漬されないため、高速での補正デバイスのロールの回転を改善する、
- システムの停止の減少による廃棄物の削減
【0027】
従属請求項は、本発明の好ましい実施形態を記載している。
【0028】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として示される装置の好ましいが、排他的ではない実施形態の詳細な説明を考慮して、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】先行技術によるストリップの平面度を補正するための補正装置を備えたストリップコーティングシステムの図である。
図2】第1の動作位置にある、本発明によるストリップの平面度を補正するための補正装置の第1の実施形態でのストリップコーティングシステムの図である。
図3図2において補正装置が第2の動作位置にある図である。
図4】第1の動作位置にある、本発明によるストリップの平面度を補正するための補正装置の第2の実施形態でのストリップコーティングシステムの図である。
図5図4において補正装置が第2の動作位置にある図である。
図6】先行技術の装置の異なるゾーン(zone)におけるストリップの平面度を図式的に示す。
図7】本発明による装置の異なるゾーンにおけるストリップの平面度を図式的に示す。
【0030】
図中の同じ参照番号は、同じ要素または構成要素を特定する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図2から図5を参照すると、溶融金属の層で金属ストリップ1をコーティングするためのシステムの例示的な実施形態が示され、このシステムは、当該システムに沿って進行する金属ストリップ1の平面度を補正するのに適した本発明による補正装置を備える。知られているように、金属ストリップは、他の2つの寸法、すなわち長さおよび幅よりも著しく小さい寸法、すなわち厚さを有する製品である。
【0032】
本発明の全ての実施形態において、このような補正装置は、以下を備える。
- 焼きなまし炉10から出る金属ストリップ1の供給経路の方向を変更させ、ストリップに張力を加えることができる、少なくとも1つのブライドルロール2、
- 供給経路に沿ってブライドルロール2の下流に配置され、溶融金属浴12を含むように適合されたタンク11の内部に配置される、1つのみのシンクロール3であって、タンク11に浸漬された金属ストリップ1の供給経路の方向を変更する、シンクロール3、
- ブライドルロール2とシンクロール3との間に配置される、金属ストリップの平面度を補正するための補正デバイス4
【0033】
有利には、ブライドルロール2とシンクロール3との間に配置される、1つのみの補正デバイス4が設けられる。特に、本発明によれば、さらなる補正デバイスは不要になり、特に、タンク11内のシンクロールおよび/または前記タンク11の下流に配置される他のロールを備えるさらなる補正デバイスは不要になる。
【0034】
2つのブライドルロール2、2’が図2から図5に示され、補正デバイス4は最後のブライドルロール2とシンクロール3との間に配置される。少なくとも2つのブライドルロール、例えば、3つ以上のブライドルロールが設けられてもよい。そのようなブライドルロールは、電動であってもよく、またはアイドル(idle)であってもよく、例えば、一部が電動であり、他がアイドルであってもよい。
【0035】
有利には、補正デバイス4は、タンク11の外側に配置され、したがって溶融金属、例えば亜鉛に決して浸漬されない、少なくとも2つの電動ロール5、6を備える。前記少なくとも2つの電動ロール5、6はブライドルロールではない。
【0036】
前記少なくとも2つの電動ロールのうちの第1の電動ロール5は、ブライドルロール2から遠位にあり、金属ストリップ1の供給経路に対して固定位置にあり、前記第1の電動ロール5は、前記供給経路の第1の側に配置される。ブライドルロール2も前記第1の側に配置される。前記少なくとも2つの電動ロールのうちの第2の電動ロール6は、供給経路の第1の側とは反対の第2の側に配置され、ブライドルロール2の近位にあり、ブライドルロール2によって与えられる曲げとは反対方向に金属ストリップを曲げるように、ブライドルロール2および第1の電動ロール5のそれぞれの回転軸X、Yによって規定される平面Aと交差する軌道に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において移動可能である(図3および図5)。したがって、ブライドルロール2と固定された電動ロール5との間の空間において前述の軌道に沿って移動する第2の電動ロール6は、ストリップに対してめり込み(penetration)を行い、後でシンクロール3によって生成されるものと反対に局所的な塑性変形を生じる。
【0037】
変形例では、第2の電動ロール6の長手方向軸は、例えば、理論的なストリップ供給面に対して垂直な横断面に沿って移動することができ、ブライドルロール2と固定された電動ロール5との間の前記理論的なストリップ供給面と交差する。
【0038】
代わりに、さらなる変形例では、第2の電動ロール6の長手方向軸は、ブライドルロール2と固定された電動ロール5との間の理論的なストリップ供給面と交差する曲面に沿って移動することができる。
【0039】
特に、両方の変形例において、前述の局所的な塑性変形を調節するように、第2の電動ロール6の長手方向軸は、前記理論的な供給面に平行であり、第1の方向、または第1の方向と反対の第2の方向において前記横断面または前記曲面に沿って後者に対して移動することができ、第2の電動ロール6は、例えば、ストリップ厚の方向に沿って、多かれ少なかれ、前記理論的な面にめり込む。
【0040】
ブライドルロール2とシンクロール3との間のゾーンにおいて、理論的なストリップ供給面は、ブライドルロール2およびシンクロール3と共通の接平面を意味し、ストリップがブライドルロール2を離れるゾーン、およびストリップがシンクロール3に巻かれ始めるゾーンのそれぞれにおいて接する。
【0041】
シンクロール3は、タンク11の溶融金属に浸漬される唯一のロールであるため、好ましくはアイドルであるシンクロール3の支持アーム(図示せず)は、溶融金属に部分的に浸漬される唯一の支持アームである。
【0042】
好ましくは、タンク11は、内部がセラミック材料でコーティングされ、内部にヒータ(図示せず)、例えば、適切なインダクタ(inductor)で得られる磁場に基づくヒータを備えて、金属インゴット、例えば亜鉛を溶融し、溶融金属の移動および温度を維持する。
【0043】
図2および図3に示される本発明の装置の第1の実施形態では、2つのみの電動ロール5、6が設けられる。有利には、この場合、平面Aと交差する軌道に沿った第2の電動ロール6の移動によって得られるストリップへのめり込みは、ブライドルロール2、すなわち、焼きなまし炉10のケーシング(casing)内に設けられた、いわゆるホットロールの最後のロールと、第1の電動ロール5との間で得られ、その両方は供給経路に対して同じ側に配置され、したがって、ブライドルロール2とシンクロール3との間のゾーン内の理論的なストリップ供給面に対して同じ側に配置される。
【0044】
図4および図5に示される本発明の装置の第2の実施形態では、補正デバイス4はまた、金属ストリップ1の供給経路に対して固定された位置において、ブライドルロール2と第2の電動ロール6との間に配置された第3の電動ロール7を備える。この第3の電動ロール7は、供給経路の前記第1の側に配置される。有利には、この場合、平面Aと交差する軌道に沿った第2の電動ロール6の移動によって得られるストリップへのめり込みは、第3の電動ロール7と第1の電動ロール5との間で得られ、その両方は、供給経路に対して同じ側に配置され、したがって、ブライドルロール2とシンクロール3との間のゾーン内の理論的なストリップ供給面に対して同じ側に配置される。この解決策は、第2の電動ロール6が前記軌道に沿って動くときにブライドルロール2を出ていくストリップの巻き角度(the winding angle)が変化することを回避する。
【0045】
両方の実施形態において、以下が設けられ得る。
- 供給経路に沿ってタンク11の下流に配置された、金属ストリップ1の平面度を測定するための少なくとも1つの測定デバイス13、および
- 測定デバイス13から平面度データを取得し、制御信号を補正デバイス4に送信して、場合により、前述の軌道に沿って第2の電動ロール6の位置を調節するように適合された制御システム14
【0046】
測定デバイス13は、少なくとも1つのレーザースキャンシステムを備えてもよいか、またはそれから構成されてもよい。
【0047】
少なくとも一対のエアナイフ15、例えば一対のみのエアナイフを、供給経路に沿ってタンク11の下流に配置することができる。第1のエアナイフは供給経路の第1の側に配置され、第2のエアナイフは前記供給経路の第2の側に配置される。エアナイフは金属ストリップから余分な溶融金属を除去し、したがって、コーティングされた製品の仕様によって提供されるコーティング厚が得られることを可能にする。
【0048】
測定デバイス13は、供給経路に沿って少なくとも一対のエアナイフ15の上流または下流に配置される。
【0049】
好ましくは、供給経路に沿ってタンク11の下流に配置された、少なくとも一対、例えば一対のみの電磁気安定化デバイス16が設けられる。第1の電磁気安定化デバイスは供給経路の第1の側に配置され、第2の電磁気安定化デバイスは前記供給経路の第2の側に配置される。この電磁気減衰システムは、シンクロール3のベアリング(軸受、bearing)によって生成される振動レベルが許容できない場合に、ストリップの振動を除去または制御すること、および任意選択により、ストリッププロファイルの残存する平面度の誤差を補正するという2つの目的を有する。
【0050】
電磁気安定化デバイス16が設けられている場合、制御システム14は、少なくとも一対の電磁気安定化デバイス16に関連付けられた少なくとも1つのさらなる測定デバイス13’からさらなる平面度データを取得するように適合され、さらなる制御信号を補正デバイス4に送信して、場合により、前述の軌道に沿って第2の電動ロール6の位置を調節するように適合される。
【0051】
少なくとも一対の電磁気安定化デバイス16は、金属ストリップ供給経路に沿って少なくとも一対のエアナイフ15の下流に配置することができる。
【0052】
したがって、エアナイフ15に近い測定デバイス13および任意選択の電磁気安定化デバイス16に近い測定デバイス13’は、それぞれのインターフェースによって、平面Aと交差する軌道に沿って第2の電動ロール6の位置を自動的に調節する制御システム14に接続される。
【0053】
好ましくは、補正デバイス4は、前述の軌道に沿って第2の電動ロール6を移動させるための移動機構を備える。したがって、制御システム14は、制御信号を前記移動機構に送信する。例えば、そのような移動機構は、空気圧式、油圧式、機械式、電気機械式アクチュエータなどから選択することができる。
【0054】
図に示される実施形態では、ブライドルロール2および2つまたは3つの電動ロール5、6、7は、好ましくは焼きなまし炉10の端部の内側、好ましくは接続ダクト17の上流に配置され、接続ダクト17は焼きなまし炉10の前記端部をタンク11に接続する。
【0055】
変形例では、2つまたは3つの電動ロール5、6、7が、接続ダクト17の内部に少なくとも部分的に配置される。
【0056】
本発明の全ての実施形態において、2つまたは3つの電動ロール5、6、7は、好ましくは、炭化タングステン(tungsten carbide)または別の適切なセラミックコーティングでコーティングされ、その高い耐摩耗性を保証する。
【0057】
2つまたは3つのロール5、6、7は、進行するストリップに対して起こり得るあらゆる滑りを回避するために電動化されている。
【0058】
第2の電動ロール6の位置は、簡便な位置変換器、または別の適切な位置センサによって検出され、この位置のデータを含む信号が制御システム14に送信される。
【0059】
本発明の全ての実施形態において、シンクロール3は、補正デバイス4の2つまたは3つの電動ロール5、6、7の直径D1よりもはるかに大きい直径D3を有する。ブライドルロール2の直径D2は、D3以上の値を有することができるか、またはD1とD3の間の中間の値を有することができる。
【0060】
例えば、第1の変形例では、シンクロール3の直径D3は、600mmから1000mmの間であってもよく、ブライドルロール2の直径D2は、600mmから1200mmの間であってもよく、2つまたは3つの電動ロール5、6、7の直径D1は、150mmから400mmの間であってもよい。
【0061】
好ましくは、D3/D1の比は、1.5~6.6であり、D3/D2の比は、0.5~1.6であり、D2/D1の比は、1.5~8である。
【0062】
例えば、代わりに、第2の変形例では、シンクロール3の直径D3は、600mmから1000mmの間であってもよく、ブライドルロール2の直径D2は、400mmから900mmの間であってもよく、2つまたは3つの電動ロール5、6、7の直径D1は、150mmから400mmの間であってもよい。
【0063】
好ましくは、D3/D1の比は、1.5~6.6であり、D3/D2の比は、0.6~2.5であり、D2/D1の比は、1~6である。
【0064】
代替の変形例では、電動ロール5および任意選択の電動ロール7は、電動ロール6の直径D1とは異なる直径を有することができる。
【0065】
好ましくは、第2の実施形態に関して、電動ロール5と7との間のストリップ供給面に沿った距離は、1.05D1から2D1の間、好ましくは1.5D1から2D1の間である(例えば、1.05D1は、1.05倍のD1を意味するなどである)。ロール5、7に対してストリップの反対側にある電動ロール6は、この距離内に配置される。
【0066】
好ましくは、第1の実施形態に関して、第1の電動ロール5とブライドルロール2との間の金属ストリップ1の供給経路に沿った距離は、1.05D2から2D2の間、好ましくは1.5D2から2D2の間であり、前記第2の電動ロール6は、この距離内に配置される。
【0067】
好ましくはアイドルであるシンクロール3は、好ましくは炭化タングステンまたは別の適切なセラミックコーティングでコーティングされ、これにより、その高い耐摩耗性を保証する。アイドルのシンクロール3を回転させるベアリングは、ベアリングの摩耗に起因してシンクロール3によって発生する振動を制限するために、3ヶ月を超える連続稼働の耐用年数を保証するように設計される。このようなベアリングは、例えば、タンクの機械的および化学的ストレスによって引き起こされる摩耗に耐性のある金属またはセラミック製のローリング型であってもよい。
【0068】
図2図5に示されるようなコーティングシステムに進行する金属ストリップ1の平面度を補正するための方法を以下に説明する。
【0069】
そのような方法は、以下のステップ:
a)焼きなまし炉10から出る金属ストリップ1の供給経路の方向をブライドルロール2によって変更し、必要に応じて、ストリップに張力を加えるステップ、
b)タンク11に浸漬された金属ストリップ1の供給経路の方向をシンクロール3によって再び変更するステップ
を含む。補正デバイス4の少なくとも2つの電動ロール5、6による金属ストリップの平面度の補正が、ブライドルロール2によって与えられる曲げとは反対方向に金属ストリップを曲げるように、ブライドルロール2および第1の電動ロール5のそれぞれの回転軸X、Yによって規定される平面Aと交差する軌道に沿って、前記回転軸X、Yの間の中間位置において第2の電動ロール6を移動させることによって、ステップa)とステップb)との間、好ましくはステップa)とステップb)との間のみに提供される。
【0070】
シンクロール3は、焼きなまし炉10から出る、特に接続ダクト17から出るストリップを、垂直に対して斜めの位置から、可能なエアナイフ15の位置を規定する実質的に垂直な位置まで偏向させる。好ましくは、金属ストリップの平面度を補正するために、以下のステップが含まれる。
- 供給経路に沿ってタンク11の下流に配置される測定デバイス13によって金属ストリップ1の平面度を測定するステップ、
- 測定デバイス13から平面度データを取得し、制御システム14によって制御信号を補正デバイス4に送信して、場合により、前記軌道に沿って第2の電動ロール6の位置を調節するステップ
【0071】
金属ストリップ1の平面度の測定は、少なくとも一対のエアナイフ15の上流または下流で実施することができる。タンク11の出口において、ストリップのプロファイル(外形)、したがって平面度を、レーザー技術に基づく適切なスキャンシステムによって測定または検出することができる。次に、第2の電動ロール6に対する可能なフィードバックのために、ストリップに存在するクロスボウなどの静的形状欠陥の値が制御システム14に送信される。
【0072】
さらに、金属ストリップの平面度を補正するための電磁気安定化デバイス16が設けられる場合、以下のステップも含まれる。
- タンク11の下流に配置された、少なくとも一対の電磁気安定化デバイス16に関連するさらなる測定デバイス13’からも平面度データを取得し、制御システム14によって制御信号を補正デバイス4に送信して、場合により、前述の軌道に沿って第2の電動ロール6の位置を調節するステップ
【0073】
電磁気安定化デバイス16は、エアナイフ15のゾーンにおけるストリップの振動の振幅を減少させ、同時にクロスボウなどの静的形状欠陥の振幅を減少させることによってストリップの形状を改善することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7