(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/387 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H04N1/387
H04N1/387 200
H04N1/387 110
(21)【出願番号】P 2023077965
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2022000458の分割
【原出願日】2017-11-07
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】水出 一弘
(72)【発明者】
【氏名】小川 数馬
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-098617(JP,A)
【文献】特開2017-103593(JP,A)
【文献】特開2006-339770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ操作を入力する操作部と、
読み取る原稿を載置する原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿を押さえる原稿押さえと、
前記原稿台に載置された複数の原稿を一括して読み取る画像入力部と、
前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶する記憶部と、
前記全体画像データに含まれる複数の原稿の個別画像を切り出す個別画像切出部と、
設定された出力方法の情報に基づいて前記個別画像を利用した画像情報を生成し、ネットワークを介して前記画像情報を出力する出力部と
、
制御部とを備え、
前記画像入力部によって前記複数の原稿が読み取られ、前記個別画像切出部が前記全体画像データから前記個別画像を切り出す処理を行った際、
(1)前記複数の原稿に対応する
それぞれの個別画像
を切り出すことができた場合
は、前記設定された出力方法の情報に基づいて生成された画像情報を
前記出力部が出力
し、
(2)前記複数の原稿に対応するそれぞれの個別画像を切り出すことができなかった場合、前記制御部は、前記読み取りの際に前記原稿押さえが閉鎖状態であった場合は前記原稿押さえを開放状態にし、前記原稿押さえが開放状態であった場合は前記原稿押さえを閉鎖状態にして、再度原稿の読み取りを実行すべき旨をユーザに報知させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記設定された出力方法の情報は、前記個別画像切出部にて切り出した前記原稿台に載置された複数の原稿毎の個別画像を合成して1つの画像情報とすることを含み、
前記個別画像切出部にて切り出した複数の原稿毎の個別画像がある場合、前記出力部は、設定された出力方法の情報に基づいて複数の前記個別画像を合成した1つの画像情報を生成し、前記生成された画像情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記個別画像切出部は、前記全体画像データを1つの原稿の個別画像として切り出さないことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記原稿台の読取領域の周囲から内側に原稿を配置すべきことを表示する表示部を
さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像入力部は、前記原稿押さえの状態が開放状態であるとき、前記原稿台に載置された1または複数の原稿を一括して読み取り可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像入力部は、前記原稿押さえの状態が閉鎖状態であるとき、前記原稿台に載置された1または複数の原稿を一括して読み取り可能に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像情報は、インターネットを介して、
外部の情報処理装置に送信されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
ユーザ操作を入力する操作部と、
読み取る原稿を載置する原稿台と、
前記原稿台に載置された原稿を押さえる原稿押さえと、
前記原稿台に載置された複数の原稿を一括して読み取る画像入力部と、
前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶する記憶部と、
前記全体画像データに含まれる複数の原稿の個別画像を切り出す個別画像切出部と、
設定された出力方法の情報に基づいて前記個別画像を利用した画像情報を生成し、外部の記憶媒体に前記画像情報を出力する出力部と
、
制御部とを備え、
前記画像入力部によって前記複数の原稿が読み取られ、前記個別画像切出部が前記全体画像データから前記個別画像を切り出す処理を行った際、
(1)前記複数の原稿に対応する
それぞれの個別画像
を切り出すことができた場合
は、前記出力部は、前記設定された出力方法の情報に基づいて生成された画像情報を
前記出力部が出力
し、
(2)前記複数の原稿に対応するそれぞれの個別画像を切り出すことができなかった場合、前記制御部は、前記読み取りの際に前記原稿押さえが閉鎖状態であった場合は前記原稿押さえを開放状態にし、前記原稿押さえが開放状態であった場合は前記原稿押さえを閉鎖状態にして、再度原稿の読み取りを実行すべき旨をユーザに報知させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
前記記憶媒体は、USBメモリであることを特徴とする請求項
8に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理装置に関し、特に、複数の原稿を同時に読み取って、読み取った画像データから、原稿ごとの画像データを切り出す機能を有する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置が利用されているが、近年、書類の複製機能に加えて、書類の読取(スキャン)機能や、ネットワーク接続機能も有する複合機が利用されている。
たとえば、複合機において、名刺、免許証、領収書、その他の書類やカードなどの複数の原稿を、重ならないように原稿台に置いて、読取機能を実行し、複数の原稿の画像データを含む全体の画像データを読み取り、読み取った全体画像データから、個々の原稿に対応する独立した複数の画像データを切り出す機能(以下、マルチクロップスキャン機能と呼ぶ)を有するものがある。
【0003】
また、特許文献1には、従来読み取る原稿の色や材質によって一部が欠けた画像データが取得されていたことを考慮し、読取りによって得られたスキャンデータから複数の原稿の画像データ(クロップ画像)を抜き出した後、複数のクロップ画像のサイズに基づいて所定の基準領域サイズを決定し、基準領域サイズよりも小さいと判断されたクロップ画像について、クロップ画像の検出に用いるパラメータを変更して画像切り出し処理を再度行うクロップ調整処理を実行して、マルチクロップ処理の精度を向上させた画像処理装置が記載されている。
【0004】
また、通常、原稿を載置する原稿台の読取領域には、ガラスがはめ込まれているが、原稿台の読取領域全体の画像データを読み取った場合、ガラスの周囲の端部も含めて、1つの全体画像データとして、読み取られる場合がある。このとき、読み取った全体画像データに含まれるガラスの周囲の端部の画像データが、1つの原稿の輪郭として認識される場合があり、全体画像データのうち端部の内側の画像データが、1つの原稿に相当する画像として切り出されてしまい、原稿台に載置された各原稿の切り出しに失敗する。
そこで、マルチクロップスキャンをする場合、原稿押さえカバーを開けたままスキャン動作をさせ、読み取った全体画像データ内の周辺端部の領域(外枠領域)に黒色の画像データ(黒枠画像)を埋め込み、全体画像データの周辺端部を、原稿として誤検知しないようにした後、原稿台に載置された各原稿に対応した画像データの切り出し処理を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の装置では、原稿台に載置された各原稿を切り出す範囲の精度を向上させることができても、読み取られた全体画像データのうちガラスの周囲の端部の内側の画像データが、1つの原稿に相当する画像として切り出されてしまった場合には、各原稿に対する個別画像を切り出すことができない。
【0007】
また、上記の従来技術のように、原稿押さえカバーを開けたままスキャン動作をさせ、外枠領域に黒枠画像を埋め込む場合(マルチクロップ機能と呼ぶ)、文書や領収書など読み取る原稿が全体に白い領域の多い原稿であれば、ほぼ問題なく正常に各原稿を切り出すことができる。しかし、読み取る原稿が全体に黒い領域の多い原稿では、外枠領域に黒枠画像を埋め込んだ場合には、各原稿の輪郭を正確に認識できなくなる場合がある。このように全体に黒い領域の多い原稿では、原稿押さえカバーを閉じてからスキャン動作をさせれば、各原稿の輪郭は認識できるはずであるが、黒枠画像を埋め込んでいるために、黒枠画像を含む全体画像データのうち、外枠領域の内側の画像データが、1つの原稿に相当する画像として切り出されてしまい、その結果、各原稿の切り出しに失敗する。
【0008】
一方、写真のように、読み取る原稿が全体に黒い領域の多い原稿や、色の濃い原稿では、原稿押さえカバーを閉じてからスキャン動作をさせ、読み取った全体画像データ内の周辺端部の領域(外枠領域)に白色の画像データ(白枠画像)を埋め込めば(写真クロップ機能と呼ぶ)、正常に各原稿を切り出すことができる。ただし、白枠画像を埋め込まなければ、ガラスの周囲の端部を含めた全体画像データのうち外枠領域の内側の画像データが、1つの原稿に相当する画像として切り出されてしまう場合がある。
【0009】
また、写真であっても、全体に白い領域の多い原稿や、色の薄い原稿では、原稿押さえカバーを閉じてスキャン動作をさせると、各原稿の輪郭を正確に認識できなくなる場合がある。
このように全体に白い領域の多い原稿では、原稿押さえカバーを開けたままスキャン動作をさせれば、各原稿の輪郭は認識できるはずであるが、外枠領域に白枠画像を埋め込んでいるために、白枠画像を含む全体画像データのうち、外枠領域内の画像データが、1つの原稿に相当する画像として切り出されてしまい、その結果、各原稿の切り出しに失敗する。
【0010】
また、上記のようにマルチクロップ機能を利用して各原稿の切り出しに失敗した場合でも、写真クロップ機能を利用すれば、各原稿の切り出しに成功する場合があり、逆に、写真クロップ機能を利用して各原稿の切り出しに失敗した場合でも、マルチクロップ機能を利用すれば、各原稿の切り出しに成功する場合もある。
ただし、従来では、マルチクロップ機能と写真クロップ機能のうちどちらを利用するかについて、ユーザが予め設定し、原稿の切り出しに失敗した場合には、その設定を切り替える操作をする必要があり、ユーザの操作にかかる負担が大きい。また、原稿押さえカバーの開閉は、ユーザの操作により行われるが、ユーザは、マルチクロップ機能および写真クロップ機能と、原稿押さえカバーの開閉との対応関係を予め理解したうえで、機能の設定操作を行う必要があり、マルチクロップスキャン機能を利用するための操作がわかりにくいという問題がある。
【0011】
そこで、この発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであり、原稿台の読取領域の周辺端部の領域(外枠領域)を含む全体画像データのうち、外枠領域の内側の画像を、1つの原稿として誤検知することを防止し、ユーザが行う原稿押さえカバーの開閉操作に対応させて、容易な操作で、1又は複数の読取原稿に対応する個別の画像データの取得を行い、ユーザの操作負担を軽減できるようにした画像処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、ユーザ操作を入力する操作部と、読み取る原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された複数の原稿を一括して読み取る画像入力部と、前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶する記憶部と、前記全体画像データに含まれる複数の原稿の個別画像を切り出す個別画像切出部と、設定された出力方法の情報に基づいて前記個別画像を利用した画像情報を生成し、ネットワークを介して前記画像情報を出力する出力部とを備え、前記操作部によって原稿の読取開始を意味する入力操作がされて、原稿の読取処理が終了した後、前記記憶部に前記複数の原稿に対応する個別画像がある場合、前記出力部は、前記設定された出力方法の情報に基づいて生成された画像情報を出力することを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
【0013】
また、前記設定された出力方法の情報は、前記個別画像切出部にて切り出した前記原稿台に載置された複数の原稿毎の個別画像を合成して1つの画像情報とすることを含み、前記個別画像切出部にて切り出した複数の原稿毎の個別画像がある場合、前記出力部は、設定された出力方法の情報に基づいて複数の前記個別画像を合成した1つの画像情報を生成し、前記生成された画像情報を出力することを特徴とする。
【0014】
また、前記個別画像切出部は、前記全体画像データを1つの原稿の個別画像として切り出さないことを特徴とする。
【0015】
また、前記原稿台の読取領域の周囲から内側に原稿を配置すべきことを表示する表示部を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、前記原稿台に載置された原稿を押さえる原稿押さえを備え、前記画像入力部は、前記原稿押さえの状態が開放状態であるとき、前記原稿台に載置された1または複数の原稿を一括して読み取り可能に構成されたことを特徴とする。
【0017】
また、前記原稿台に載置された原稿を押さえる原稿押さえを備え、前記画像入力部は、前記原稿押さえの状態が閉鎖状態であるとき、前記原稿台に載置された1または複数の原稿を一括して読み取り可能に構成されたことを特徴とする。
【0018】
また、表示部を備え、前記原稿に対応する個別画像の切り出しができなかった場合、前記原稿押さえが閉鎖状態であった場合は、前記表示部に、前記原稿押さえを開放状態にして再度原稿の読み取り開始を意味する入力操作を促す表示をし、前記原稿押さえが開放状態であった場合は、前記表示部に、前記原稿押さえを閉鎖状態にして再度原稿の読み取り開始を意味する入力操作を促す表示をすることを特徴とする。
また、前記画像情報は、インターネットを介して、前記他の情報処理装置に送信されることを特徴とする。
【0019】
また、この発明は、ユーザ操作を入力する操作部と、読み取る原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された複数の原稿を一括して読み取る画像入力部と、前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶する記憶部と、前記全体画像データに含まれる複数の原稿の個別画像を切り出す個別画像切出部と、設定された出力方法の情報に基づいて前記個別画像を利用した画像情報を生成し、外部の記憶媒体に前記画像情報を出力する出力部とを備え、前記操作部によって原稿の読取開始を意味する入力操作がされて、原稿の読取処理が終了した後、前記記憶部に前記複数の原稿に対応する個別画像がある場合、前記出力部は、前記設定された出力方法の情報に基づいて生成された画像情報を出力することを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
また、前記記憶媒体は、USBメモリであることを特徴とする。
【0020】
この発明は、読み取る原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された複数の原稿を一括して読み取る画像入力部と、前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶する記憶部と、前記全体画像データから、複数の原稿の個別画像を切り出す個別画像切出部と、個別画像毎に所定の出力形式の情報を生成し、ネットワークを介して送信する出力部とを備えたことを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
【0021】
また、この発明は、読み取る原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された原稿を押さえる原稿押さえと、前記原稿台に載置された1又は複数の原稿を一括して読み取る画像入力部と、前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶する記憶部と、前記原稿押さえの開閉状態を検出する原稿押さえ開閉検出部と、前記全体画像データのうち前記原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ外枠領域に、前記検出された原稿押さえの開閉状態に対応させて、所定の色の枠画像を付加する枠画像付加部と、前記外枠領域に前記枠画像を付加した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出す個別画像切出部とを備え、前記枠画像付加部は、前記外枠領域に黒色の画像データからなる黒枠画像を付加する黒枠画像付加部と、前記外枠領域に白色の画像データからなる白枠画像を付加する白枠画像付加部とからなることを特徴とする画像処理装置を提供するものである。
【0022】
また、前記原稿押さえ開閉検出部が、前記原稿押さえが開放状態であることを検出した場合、前記黒枠画像付加部が、前記全体画像データの外枠領域に黒枠画像を付加し、前記原稿押さえ開閉検出部が、前記原稿押さえが閉鎖状態であることを検出した場合、前記白枠画像付加部が、前記全体画像データの外枠領域に白枠画像を付加することを特徴とする。
【0023】
また、表示部をさらに備え、前記個別画像切出部が、前記枠画像を付加した後の全体画像データから、原稿の個別画像を切り出すことができなかった場合、前記原稿押さえが閉鎖状態であった場合は、原稿押さえを開放状態にして再度読取をすることを、前記表示部に表示し、または、前記原稿押さえが開放状態であった場合は、原稿押さえを閉鎖状態にして再度読取をすることを、前記表示部に表示し、前記原稿押さえ開閉検出部によって、原稿押さえの開閉状態が変更されたことを検出した場合に、前記画像入力部が、前記原稿台に載置された原稿を一括して読み取ることを特徴とする。
【0024】
また、前記記憶部に記憶された全体画像データのうち、前記外枠領域の画像データを除去した後の全体画像データから、前記原稿に対応する個別画像の輪郭を検出する原稿エッジ検出部をさらに備え、前記原稿エッジ検出部によって、原稿に対応する個別画像の輪郭が検出できた場合に、検出された個別画像の輪郭から個別画像の位置を特定し、前記個別画像切出部が、位置が特定された個別画像を切り出すことを特徴とする。
【0025】
また、前記記憶部に記憶された全体画像データのうち、前記外枠領域に前記枠画像を付加した後の全体画像データから、前記原稿に対応する個別画像の輪郭を検出する原稿エッジ検出部をさらに備え、前記原稿エッジ検出部によって、原稿に対応する個別画像の輪郭が検出できた場合に、検出された個別画像の輪郭から個別画像の位置を特定し、前記個別画像切出部が、位置が特定された個別画像を切り出すことを特徴とする。
【0026】
また、この発明は、読み取る原稿を載置する原稿台を備えた画像処理装置の画像処理方法であって、原稿台に載置された1又は複数の原稿を一括して読み取り、前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶し、前記全体画像データから、前記原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ外枠領域の画像データを除去し、前記外枠領域の画像データを除去した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出すことを特徴とする画像処理装置の画像処理方法を提供するものである。
【0027】
また、この発明は、読み取る原稿を載置する原稿台と、前記原稿台に載置された原稿を押さえる原稿押さえを備えた画像処理装置の画像処理方法であって、原稿台に載置された1又は複数の原稿を一括して読み取り、前記一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データを記憶し、前記原稿を一括して読み取ったときの原稿押さえの開閉状態を検出し、前記全体画像データのうち前記原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ外枠領域に、前記検出された原稿押さえの開閉状態に対応させて、所定の色の枠画像を付加し、前記外枠領域に前記枠画像を付加した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出すことからなり、前記原稿押さえの開閉状態を検出するときに、原稿押さえが開放状態であることを検出した場合、前記全体画像データの外枠領域に黒枠画像を付加し、原稿押さえが閉鎖状態であることを検出した場合、前記全体画像データの外枠領域に白枠画像を付加することを特徴とする画像処理装置の画像処理方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、一括して読み取られた原稿の個別画像を含む全体画像データから、原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ外枠領域の画像データを除去し、外枠領域の画像データを除去した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出しているので、外枠領域の内側の画像を1つの原稿として誤検知することを防止し、ユーザは、容易な操作で、1又は複数の読取原稿に対応する個別画像を取得することができる。
【0029】
また、全体画像データのうち原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ外枠領域に、検出された原稿押さえの開閉状態に対応させて、所定の色の枠画像を付加し、外枠領域に枠画像を付加した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出しているので、外枠領域の内側の画像を1つの原稿として誤検知することを防止するとともに、ユーザが行う原稿押さえカバーの開閉操作に対応させて、容易な操作で、1又は複数の読取原稿に対応する個別画像を取得でき、ユーザの操作負担を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】この発明の画像処理装置の一実施例の構成ブロック図である。
【
図2】この発明の画像処理装置における原稿台の読取領域と原稿配置の一実施例の説明図である。
【
図3】この発明の画像処理装置において、外枠領域画像を除去した後に、個別画像の画像データを取得する一実施例の説明図である。
【
図4】この発明の画像処理装置において、外枠領域画像を除去した後に、個別画像の画像データを取得する場合の一実施例の説明図である。
【
図5】この発明の画像処理装置において、外枠領域に黒枠画像を付加した後に、個別画像の画像データを取得する一実施例の説明図である。
【
図6】この発明の画像処理装置において、外枠領域に白枠画像を付加した後に、個別画像の画像データを取得する一実施例の説明図である。
【
図7】この発明の画像処理装置の記憶部に記憶される情報の一実施例の説明図を示す。
【
図8】この発明の画像処理装置における原稿の読取画像処理の一実施例のフローチャートである。
【
図9】この発明の画像処理装置における原稿の読取画像処理の一実施例のフローチャートである。
【
図10】この発明の画像処理装置における原稿の読取画像処理の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を使用して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の実施例の記載によって、この発明が限定されるものではない。
<画像処理装置の構成>
図1に、この発明の画像処理装置の一実施例の構成ブロック図を示す。
【0032】
画像処理装置(以下、MFP:Multifunction Peripheral、複合機とも呼ぶ)1は、画像データを処理する装置であり、たとえば、複写機能、印刷機能、原稿読取機能(スキャン機能)、FAX機能、通信機能などを備えた電子機器である。
特に、この発明では、原稿読取機能を利用して、所定の画像処理を実行する。
【0033】
原稿読取機能を実行するために、画像処理装置は、読み取る原稿を載置する原稿台を備える。
また、原稿台に載置された1又は複数の原稿が動かないように、原稿を上から押さえる部材であって、原稿台の読取領域よりもやや大きい面積を持つ平板形状の原稿押さえカバー(以下、単に、「原稿押さえ」とも呼ぶ)を備える。原稿押さえは、原稿台に対して、開閉可能なように取り付けられる、
また、原稿台の読取領域には、光を透過するガラスなどの部材が配置されている。
【0034】
ユーザは、原稿台の読取領域内に原稿が収まるように、1又は複数の原稿を原稿台に載置し、所定の読取開始操作をすることによって、原稿の読取面のうち、一方の面に記載された情報を画像として読み取る。原稿台の読取領域の形状は、長方形とする。
読取処理を行う場合、原稿押さえは、原稿台の読取領域に対して、開放状態かあるいは閉鎖状態のどちらかで用いる。原稿押さえの開閉操作は、ユーザが行う。
【0035】
閉鎖状態は、原稿台の読取領域の上を覆うように、原稿押さえを配置することを意味し、読取処理のために原稿台の読取領域に照射された光が、原稿押さえと原稿に反射することにより、原稿の読取を行う。
開放状態は、原稿台の読取領域の上を覆わないように、原稿押さえを配置することを意味し、読取処理のために原稿台の読取領域に照射された光のうち、原稿のない領域を透過した光は原稿押さえに反射することなく直進し、原稿台に載置された原稿によって反射された光を利用して原稿の読取を行う。
【0036】
図1において、この発明の画像処理装置(MFP)1は、主として、制御部11、操作部12、画像入力部13、表示部14、出力部15、原稿押さえ開閉検出部16、原稿エッジ検出部17、個別画像座標取得部18、個別画像切出部19、外枠領域除去部20、枠画像付加部30、記憶部50を備える。
枠画像付加部30は、黒枠画像付加部31と白枠画像付加部32とからなる。
【0037】
制御部11は、画像入力部などの各構成要素の動作を制御する部分であり、主として、CPU、ROM、RAM、I/Oコントローラ、タイマー等からなるマイクロコンピュータによって実現される。
CPUは、ROM等に予め格納された制御プログラムに基づいて、各種ハードウェアを有機的に動作させて、この発明の画像入力機能、個別画像切出機能などを実行する。
【0038】
操作部12は、文字などの情報の入力や、機能の選択入力をする部分であり、たとえば、キーボード、マウス、タッチパネルなどが用いられる。
【0039】
画像入力部13は、画像情報を入力する部分であり、この発明では、原稿台に載置された1又は複数の原稿を一括して読み取る部分である。
たとえば、画像や文字図形等が記載された原稿などの情報を入力する。入力された情報は、電子データとして、記憶部50に記憶される。
画像入力部13としては、情報が印刷された原稿書面(以下、原稿と呼ぶ)を読み取るスキャナ(読取装置)を用いる。
画像情報を入力する方法は種々の方法があるが、たとえば、情報が印刷された原稿をスキャナで読み取り、原稿を含む原稿台の読取領域全体の電子データを、記憶部50に、入力された全体画像データとして記憶する。
【0040】
ただし、画像などの情報を入力する方法は、以上のものに限るものではなく、たとえば、USBメモリなどの外部の記憶媒体を接続するインタフェースが、画像入力部13に該当する。
入力したい画像や書面などの電子データファイルを、USBメモリなどの外部の記憶媒体に保存しておき、USBメモリ等をUSB端子などの入力インタフェースに接続し、操作部12で所定の入力操作を行うことによって、USBメモリ等に保存された所望の電子データファイルを読み出して、記憶部50に、電子データとして記憶してもよい。
【0041】
また、一般的に、スキャナで原稿を読み取る場合、ユーザが、原稿を、所定の原稿台(あるいは、原稿載置台とも呼ぶ)に載置して、読み取り開始を意味する入力操作をする。読み取りが開始されると、通常、原稿台の読取領域(読取面)の全体が、一つの電子データとして読み取られる。原稿の大きさが原稿台の読取領域よりも小さい場合、その読み取られた電子データ(全体画像データ)の中には、原稿の画像が含まれるが、原稿のない部分の情報も含まれる。この発明では、後述するように、個別画像切出部19によって、読み取られた一つの電子データ(全体画像データ)から、原稿が存在している部分の画像データ(個別画像)を切り出す。
【0042】
また、原稿台の読取領域は、通常A4用紙やA3用紙と同程度の大きさがあるので、名刺、はがき、写真、保険証、クレジットカードなど、その大きさが原稿台の読取領域よりも小さい原稿は、重ならないように、複数枚並べて原稿台に配置することができる。
複数枚並べて原稿台に配置された原稿をスキャナで読み取った場合も、読み取った情報は、上記のように1つの電子データ(全体画像データ)として、生成され、記憶される。この場合、全体画像データの中には、複数個の原稿の画像データ(個別画像)が含まれるので、読み取られた全体画像データから、複数個の原稿の画像データ(個別画像)が切り出される。
【0043】
ただし、読み取られた全体画像データの中には、原稿台の読取領域内の周辺端部の領域(外枠領域)の画像が含まれているが、この発明では、原稿台の読取領域内の周辺端部の領域(外枠領域)の画像によって、読み取られた全体画像データのうち、外枠領域の内側の画像データが、1つの原稿に対する画像として切り出されないように、読み取られた全体画像データに対して所定の画像処理をした後に、原稿の画像データ(個別画像)の切出処理を行う。
ここで、外枠領域は、原稿台の周辺端部であって、所定の幅を持つ領域を意味し、原稿を載置する原稿台の読取領域が長方形の場合は、後述する
図7(a)に示すように、長方形の4つの辺の内側近傍であって、所定の幅Wを持つ領域である。
【0044】
読み取られた全体画像データに対して行う画像処理には、たとえば、全体画像データから所定の外枠領域の画像を除去することや、原稿押さえの開閉状況に応じて、全体画像データのうち所定の外枠領域に、黒枠画像の付加あるいは白色画像の付加を行うことが含まれる。これらの画像処理の詳細については、後述する。
【0045】
表示部14は、情報を表示する部分であり、各機能の実行に必要な情報や、機能の実行の結果などを、利用者に知らせるために表示する。たとえば、LCD、有機ELディスプレイなどが用いられ、操作部12としてタッチパネルが用いられる場合は、表示部とタッチパネルとが重ね合わせて配置される。
【0046】
この発明では、後述するように、個別画像切出部19が、枠画像を付加した後の全体画像データから、原稿の個別画像を切り出すことができなかった場合、原稿押さえが閉鎖状態であった場合は、原稿押さえを開放状態にして再度読取をすることを、表示部14に表示する。この表示を見たユーザに、原稿押さえを開放してもらう。
または、原稿の個別画像を切り出すことができなかった場合において、原稿押さえが開放状態であった場合は、原稿押さえを閉鎖状態にして再度読取をすることを、表示部14に表示する。この表示を見たユーザに、原稿押さえを閉じてもらう。
その後、原稿押さえ開閉検出部16によって、原稿押さえの開閉状態が変更されたことを検出した場合に、画像入力部13が、原稿台に載置された原稿を再度一括して読み取るようにする。
【0047】
出力部15は、個別画像から生成された画像情報を出力する部分であり、たとえば、画像情報を紙媒体に印刷して出力するプリンタに相当する。
また、出力部15は、切り取られた個別画像が複数ある場合は、たとえば、予め設定された出力方法の情報に基づいて、いくつかの個別画像を合成して1つの画像情報として1枚の用紙に印刷する。
ただし、情報の出力は、印刷に限るものではなく、USBメモリなどの外部の記憶媒体への情報の記憶や、インターネットなどのネットワークを介して他の情報処理装置やサーバへの情報の送信でもよい。
【0048】
原稿押さえ開閉検出部16は、原稿押さえの開閉状態を検出する部分である。
すなわち、原稿押さえが、現在、開放状態と閉鎖状態のうちどちらの状態にあるかを検出する。原稿押さえ開閉検出部16としては、たとえば、押しボタンスイッチが用いられる。
押しボタンスイッチ(以下、開閉検出スイッチとも呼ぶ)は、原稿押さえを閉じる操作をしたときに、原稿押さえと接触する原稿台の上に設けられ、原稿押さえを閉じている状態では、押しボタンスイッチは、押圧状態となるものとする。
原稿押さえを開放している状態では、押しボタンスイッチは、押されていない状態となるものとする。
【0049】
すなわち、押しボタンスイッチが押圧状態の場合、原稿押さえは閉鎖状態にある(原稿押さえは閉じられている)ことが検出される。
一方、押しボタンスイッチが押圧状態にない場合、原稿押さえは開放状態にある(原稿押さえは開けられている)ことが検出される。
原稿押さえが閉鎖状態にあることが検出された場合、後述するように、記憶部50の開閉情報として、閉鎖状態にあることを意味する情報(たとえば、0:閉鎖)が、記憶される。
また、原稿押さえが開放状態にあることが検出された場合、後述するように、記憶部50の開閉情報として、開放状態にあることを意味する情報(たとえば、1:開放)が、記憶される。
【0050】
原稿エッジ検出部17は、画像入力部13によって取得された全体画像データから、原稿に対応する個別画像の輪郭(エッジ)を検出する部分である。
個別画像の輪郭を検出する方法は、従来から用いられているいずれかの方法を用いればよい。
原稿が長方形であるとすれば、その原稿に対応する個別画像の輪郭は、長方形の4つの辺を特定することが可能な情報として検出される。
読み取る原稿が複数あった場合は、全体画像データから、複数の個別画像の輪郭が検出される。
【0051】
また、この発明では、個別画像の輪郭の検出精度を向上させるために、後述するように、記憶部に記憶された全体画像データのうち、外枠領域の画像データを除去した後の全体画像データから、原稿に対応する個別画像の輪郭を検出する。
あるいは、記憶部に記憶された全体画像データのうち、外枠領域に枠画像を付加した後の全体画像データから、原稿に対応する個別画像の輪郭を検出する。
【0052】
この原稿エッジ検出部17によって、原稿に対応する個別画像の輪郭が検出できた場合には、検出された個別画像の輪郭から個別画像の位置を特定し、個別画像切出部19が、位置が特定された個別画像を切り出す。
ただし、原稿に対応する個別画像の輪郭が検出できなかった場合は、検出された個別画像の輪郭から個別画像の位置を特定することができず、個別画像を切り出すことができない。
【0053】
個別画像座標取得部18は、原稿エッジ検出部17によって検出された個別画像の輪郭を特定する情報を利用して、切り出すべき個別画像の位置を取得する部分である。
特に、原稿台の読取領域に対する切り出すべき個別画像の位置を示す座標値を取得する。切り出すべき個別画像の位置を示す座標値は、原稿台の読取領域に置かれた原稿の位置を画定する座標であり、原稿頂点位置座標と呼ぶ。
原稿頂点位置座標は、原稿台の読取領域に設定されたXY座標系におけるX座標とY座標であり、原稿が長方形である場合、その長方形の4つの頂点のXY座標値からなる。
【0054】
図2に、原稿台の読取領域と原稿の置き方の一実施例の説明図を示す。
図2(a-1)は、原稿台の読取領域を示している。原稿台の読取領域は、横に長い長方形とする。
図2(a-2)は、原稿台の読取領域を画定する4つの頂点のXY座標値の実施例を示している。
図2(a-2)では、原稿台の読取領域は、4つの頂点(a1、a2、a3、a4)からなる長方形であり、図のように、長方形の頂点a1をXY座標系の原点とし、長方形の長辺方向をX軸とし、長方形の短辺方向をY軸に設定する。
この場合、原稿台の読取領域に相当する長方形の4つの頂点(a1、a2、a3、a4)の位置が、
図2(a-2)のようなXY座標値で表される。
【0055】
図2(a-3)は、原稿台の読取領域の中に、2つの原稿(P1、P2)を配置した例を示している。
2つの原稿の配置は、図示したものに限るものではなく、原稿台の読取領域の中であれば、任意の位置でよい。また、配置する原稿の数は、2枚に限るものではなく、1枚でもよく、3枚以上でもよい。
【0056】
図2(a-4)は、画像入力部13によって取得された全体画像データの例の概略を示している。
図2(a-3)のように、2つの原稿(P1、P2)が配置された場合、読取が正常に行われたとすると、それぞれの原稿の位置に、それぞれの原稿(P1、P2)に対する個別画像の画像データが取得される。
また、
図2(a-4)では、取得された全体画像データの中に、原稿台の読取領域の周辺端部が、外枠領域の画像として含まれているものを示している。
図2(a-4)には、全体画像データの中に外枠領域の画像が含まれることがあることを説明するために、外枠領域の画像を強調して図示しているが、実際には、このように明確な外枠領域の画像が取得されるものではない。
【0057】
ただし、もし、このように明確な外枠領域の画像が取得されたとすれば、個別画像を切り取る場合、この外枠領域の部分を1つの原稿の輪郭と認識して、全体画像データを1つの原稿の個別画像として切り取ってしまう。すなわち、全体画像データの内部に含まれる2つの原稿(P1、P2)の部分は、その1つの原稿の内部の画像と考えられて、個別画像として切り取られないことになる。そこで、この発明では、外枠領域の部分を1つの原稿の輪郭と認識して、全体画像データを1つの原稿の個別画像として切り取ってしまわないようにするために、読み取られた全体画像データの外枠領域に対して、後述するような画像処理を行う。
【0058】
図2(a-5)に、2枚の原稿を原稿台の読取領域に置いた場合の、原稿台の読取領域と原稿の座標位置との関係の例を示す。
図2(a-5)において、原稿P1は、4つの頂点(P1、P2、P3、P4)で囲まれた長方形部分であり、原稿P2は、4つの頂点(P5、P6、P7、P8)で囲まれた長方形部分である。
個別画像座標取得部18は、原稿エッジ検出部17によって検出された個別画像の輪郭を特定する情報を利用して、これらの8つの頂点の位置座標(原稿頂点位置座標)を取得する。
これらの8つの頂点の位置座標(原稿頂点位置座標)は、原稿台の読取領域と同じXY座標系におけるXY座標値で表される。
原稿頂点位置座標は、後述するように、切り出される個別画像を特定する情報(個別画像情報)として、記憶部50に記憶される。
【0059】
個別画像切出部19は、一括して読み取られた1又は複数の原稿の個別画像を切り出す部分である。たとえば、画像入力部13によって入力された全体画像データから、読み取った原稿の部分の画像データを切り出す。読み取った原稿の部分の画像データを、個別画像と呼ぶ。
個別画像の切り出しは、個別画像座標取得部18によって取得された個別画像の4つの頂点の位置を示す座標値(原稿頂点位置座標)を利用する。
全体画像データから、4つの頂点の位置で囲まれた部分の画像データが切り出され、個別画像の画像データとして、記憶部50に記憶される。
【0060】
また、この発明では、特に、外枠領域の画像データを除去した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出す。
あるいは、外枠領域に、後述するような枠画像を付加した後の全体画像データから、1又は複数の原稿の個別画像を切り出す。
【0061】
読み取る原稿が1枚の場合は、入力された全体画像データから、その1枚の原稿が存在する部分の画像データを抽出する。
また、複数の原稿を原稿台に配置して読取を行った場合は、入力された全体画像データには、複数の原稿の画像データが含まれているので、複数の原稿が存在する部分の画像データをそれぞれ抽出する。
たとえば、4枚の原稿を原稿台に配置して読取を行った場合は、4つの原稿のそれぞれに対応した画像データを抽出する。
個別画像切出部19による個別画像を切出す機能は、いわゆるマルチクロップスキャン機能に相当し、従来から利用されている技術を利用してもよい。
【0062】
外枠領域除去部20は、画像入力部13によって入力された全体画像データから、原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ領域(外枠領域)の画像データを除去する部分である。
上記したように、入力された全体画像データのうち、外枠領域の部分には、周辺端部の内側の画像データが1つの原稿に相当する画像として切り出されてしまうような情報が取得される場合がある。そこで、この外枠領域の部分には、原稿が配置されていないことを前提として、外枠領域の部分の画像データを、除去する。
外枠領域の画像データを除去した後の全体画像データは、後述するように、外枠除去画像データとして、記憶部50に一時記憶される。
【0063】
外枠領域の部分の画像データを除去した後、外枠領域の内側の画像データについて、エッジ検出と、個別画像の位置座標の取得と、個別画像の切り出しとを行う。
このように、個別画像の切り出しを行う前に、入力された全体画像データから、外枠領域の部分の画像データを除去することによって、個別画像の誤検出の可能性を減らすことができる。
【0064】
除去すべき外枠領域の大きさは、後述するように、外枠領域情報として、記憶部50に予め設定される。
たとえば、長方形である原稿台の読取領域の内側で、読取領域を画定する4辺の近傍の幅がWセンチメートル程度の領域を、外枠領域の大きさとして設定する。すなわち、外枠領域情報として、4辺の近傍の幅Wを、予め設定しておく。
ただし、外枠領域を決める4辺の近傍の幅Wの適切な数値は、画像を読み取るスキャナの精度などによって異なるので、一意的に設定することはできないが、幅Wの数値として、たとえば、1から3ミリメートル程度の数値を予め設定すればよい。
【0065】
また、設定された外枠領域の部分に原稿が配置されると、その原稿を切り取ることができないので、幅Wの数値として、あまり大きな値を設定することは好ましくなく、外枠領域による個別画像の誤検出が防止可能なできるだけ小さな数値を設定することが好ましい。
外枠領域情報の数値は、たとえば出荷前の調整段階で、予め固定値を設定するようにしてもよいが、画像処理装置の管理者やメンテナンス作業者が、必要に応じて、設定変更できるようにしてもよい。また、四箇所夫々を違う値としても良い。
【0066】
さらに、ユーザが、原稿を配置する前に、表示部14に、たとえば、原稿台の読取領域の周囲からWミリメートル以上離した内側に、原稿を配置すべきことを注意喚起する表示をすることが好ましい。
なお、外枠領域の部分の画像データを除去する場合は、外枠領域の部分の画像データに基づく個別画像の誤検出が無くなるので、原稿押さえの開閉状態に関係なく、外枠領域の画像データの除去を行えばよく、原稿押さえの開閉検出は行わなくてもよい。
【0067】
枠画像付加部30は、取得された全体画像データのうち、原稿台の周辺端部であって所定の幅を持つ領域(外枠領域)に、検出された原稿押さえの開閉状態に対応させて、所定の色の枠画像を付加する部分である。
枠画像付加部30は、外枠領域に、黒色の画像データからなる黒枠画像を付加する黒枠画像付加部31と、白色の画像データからなる白枠画像を付加する白枠画像付加部32とからなる。
【0068】
黒枠画像付加部31は、画像入力部13によって入力された全体画像データのうち、周辺端部の領域(外枠領域)に、黒色の画像データである黒枠画像を付加する部分である。黒枠画像を付加する外枠領域は、たとえば、上記した除去すべき外枠領域と同じ大きさとすればよい。ただし、黒枠画像を付加する外枠領域の大きさを、除去すべき外枠領域の大きさとは別に、予め設定してもよい。
特に、原稿押さえ開閉検出部16が、原稿押さえが開放状態であることを検出した場合に、全体画像データの外枠領域に黒枠画像を付加する。
また、黒枠画像の付加は、全体画像データが取得された後、エッジ検出を含め個別画像を切り取る処理を行う前に行う。
外枠領域に黒枠画像を付加した後の全体画像データは、後述するように、黒枠付加画像データとして、記憶部50に一時記憶される。
【0069】
すなわち、原稿押さえ開閉検出部16によって、原稿押さえが開放されていることを検出した場合には、原稿の色や濃淡に関係なく、外枠領域に、黒枠画像を付加する。
原稿押さえが開放されている場合、原稿台の読取領域のうち原稿のない部分では、読取光が透過するので、原稿のない部分は、全体画像データの中では黒っぽい画像として取得されるが、読取領域の外枠領域の部分は、この黒っぽい画像よりも薄い画像として取得される場合があり、外枠領域の部分を、1つの原稿の輪郭として誤認識してしまう場合がある。そこで、外枠領域の部分を、原稿のない部分と同等の濃淡を持つ黒い画像としてしまえば、外枠領域の部分を、誤って、1つの原稿として切り出してしまうことを防止できる。
【0070】
白枠画像付加部32は、画像入力部13によって入力された全体画像データのうち、周辺端部の領域(外枠領域)に、白色の画像データである白枠画像を付加する部分である。白枠画像を付加する外枠領域は、たとえば、上記した除去すべき外枠領域と同じ大きさとすればよい。ただし、白枠画像を付加する外枠領域の大きさについても、除去すべき外枠領域の大きさとは別に、予め設定してもよい。
特に、原稿押さえ開閉検出部16が、原稿押さえが閉鎖状態であることを検出した場合に、全体画像データの外枠領域に白枠画像を付加する。
また、白枠画像の付加は、全体画像データが取得された後、エッジ検出を含め個別画像を切り取る処理を行う前に行う。
外枠領域に白枠画像を付加した後の全体画像データは、後述するように、白枠付加画像データとして、記憶部50に一時記憶される。
【0071】
すなわち、原稿押さえ開閉検出部16によって、原稿押さえが閉鎖されていることを検出した場合には、原稿の色や濃淡に関係なく、外枠領域に、白枠画像を付加する。
原稿押さえが閉鎖されている場合、原稿台の読取領域のうち原稿のない部分では、読取光が原稿押さえに反射するので、原稿のない部分は、全体画像データの中では白っぽい画像として取得されるが、読取領域の外枠領域の部分は、この白っぽい画像よりも濃い画像として取得される場合があり、外枠領域の部分を、1つの原稿の輪郭として誤認識してしまう場合がある。そこで、外枠領域の部分を、原稿のない部分と同等の濃淡を持つ白い画像としてしまえば、外枠領域の部分を、誤って、1つの原稿として切り出してしまうことを防止できる。
【0072】
記憶部50は、この発明の画像処理装置の各機能を実行するために必要な情報やプログラムを記憶する部分であり、ROM、RAM、フラッシュメモリなどの半導体記憶素子、HDD、SSDなどの記憶装置、その他の記憶媒体が用いられる。
記憶部50には、たとえば、外枠領域情報51、開閉情報52、全体画像データ53、外枠除去画像データ54、黒枠付加画像データ55、白枠付加画像データ56、個別画像情報57などが記憶される。
図7に、画像処理装置の記憶部50に記憶される情報の一実施例の説明図を示す。
【0073】
外枠領域情報51は、上記したように、外枠領域の大きさを設定した情報であり、たとえば、外枠領域の幅Wの数値が予め設定される。
外枠領域は、
図7(a)に示すように、原稿台の読取領域の周辺端部近傍であって、幅Wのロの字形状の領域である。
図7において、外枠領域の幅Wとして、2mmが設定された場合を示している。
ただし、外枠領域の幅Wは、この数値に限定するものではなく、他の数値を設定してもよく、また、固定値として設定してもよく、あるいは、数値を設定変更できるようにしてもよい。更に、四箇所夫々に対し、別の値を設定しても良い。
【0074】
開閉情報52は、原稿押さえの現在の開閉状況を記憶したものであり、原稿押さえ開閉検出部16に相当する開閉検出スイッチからの出力によって、所定の数値が記憶される。
図7(b)に示すように、開閉検出スイッチは、原稿押さえと接触可能な原稿台の端部に設けられる。たとえば、
図7(b)のように、原稿押さえが開放状態にある場合は、開閉検出スイッチの一部分が原稿台の表面よりも上に突起しており、開閉検出スイッチは押圧状態ではない。
【0075】
一方、原稿押さえが閉じられ閉鎖状態にある場合は、原稿押さえによって、開閉検出スイッチが下方向に押圧され、原稿台の中に引っ込み、たとえば、開閉検出スイッチの接点が閉じて、閉鎖状態にあることを示す信号が出力される。
制御部11が、この閉鎖状態にあることを示す信号を受信した場合は、開閉情報52として、たとえば、原稿押さえの閉鎖状態を意味する数値0が記憶される。
また、この閉鎖状態にあることを示す信号を受信していない場合は、開閉情報52として、たとえば、原稿押さえの開放状態を意味する数値1が記憶される。
この開閉情報52を利用して、上記のように、外枠領域に黒枠画像を付加するか、あるいは、外枠領域に白枠画像を付加するが、自動的に決定される。
【0076】
全体画像データ53は、画像入力部13によって入力された画像データであり、原稿台の読取領域全体から取得されたデータである。
全体画像データ53には、一括して読み取られた原稿の個別画像が含まれ、外枠領域の画像データも含む。
【0077】
外枠除去画像データ54は、全体画像データ53から、外枠領域の部分の画像データを除去したデータである。
外枠領域除去部20が、予め設定された外枠領域情報51に基づいて、外枠領域の部分の画像データを除去して、外枠除去画像データ54を生成する。
外枠除去画像データ54は、全体画像データ53よりも小さく、外枠領域の内側のデータである。
外枠領域の部分の画像データを除去した後の外枠除去画像データ54を利用して、原稿のエッジ検出や個別画像の切り出しが行われる。
【0078】
黒枠付加画像データ55は、全体画像データ53に対して、外枠領域の部分に、黒色の黒枠画像を付加したデータである。
すなわち、入力された全体画像データ53の外枠領域の部分の画像データを、黒枠画像に変更したデータが、黒枠付加画像データ55である。
【0079】
白枠付加画像データ56は、全体画像データ53に対して、外枠領域の部分に、白色の白枠画像を付加したデータである。
すなわち、入力された全体画像データ53の外枠領域の部分の画像データを、白枠画像に変更したデータが、白枠付加画像データ56である。
【0080】
個別画像情報57は、切り出された個別画像ごとの情報であり、たとえば、入力画像番号、原稿頂点位置座標、画像データから構成される。
図7(c)は、
図2に示したように、2つの原稿が配置され、2つの原稿に対する個別画像が切り出された場合の個別画像情報57の一例を示している。
図7(c)において、たとえば、入力画像番号がN01の個別画像は、4つの頂点(P1、P2、P3、P4)の原稿頂点位置座標によって示される位置から切り出され、IMG001という名称の画像データファイルとして、記憶されていることを示している。
【0081】
また、入力画像番号がN02の個別画像は、4つの頂点(P5、P6、P7、P8)の原稿頂点位置座標によって示される位置から切り出され、IMG002という名称の画像データファイルとして、記憶されていることを示している。
個別画像の出力を行う場合、このような個別画像情報57を利用して、出力すべき画像情報が生成され、出力部15によって、印刷や送信などの出力処理が行われる。
【0082】
<個別画像の切出処理の実施例>
以下に、入力された全体画像データから、各原稿に対応する個別画像を切り出す処理について説明する。
この発明では、入力された全体画像データの外枠領域の画像データに対して、以下のような画像処理のうちいずれかの処理を行った後に、個別画像を切り出し、個別画像の画像データを取得する。
【0083】
画像処理の第1の実施例として、入力された全体画像データから、外枠領域の画像データを除去する処理を行う。
画像処理の第2の実施例として、入力された全体画像データのうち、外枠領域に、黒枠画像あるいは、白枠画像を付加する処理を行う。ここで、原稿押さえが開放状態にある場合は、外枠領域に黒枠画像を付加し、一方、原稿押さえが閉鎖状態にある場合は、外枠領域に白枠画像を付加する。
【0084】
2つの画像処理のうちどちらの画像処理を行うかは、たとえば、ユーザが、画像処理装置を使用しようとする初期段階に、どちらの画像処理を行うかを、予め初期設定すればよい。
あるいは、原則として、第1の実施例の画像処理を行うように予め初期設定しておき、ユーザが第2の実施例の画像処理を行いたい場合に、実行する画像処理を第2の実施例の画像処理に変更するための入力操作をしてもよい。逆に、第2の実施例の画像処理を予め初期設定し、第1の実施例の画像処理を行いたい場合に、実行する画像処理を第1の実施例の画像処理に変更するための入力操作をしてもよい。
【0085】
また、原則として、入力された全体画像データに対して、第1の実施例の画像処理を行って、個別画像の切り出しを行い、個別画像の切り出しがうまくできなかった場合に、自動的に、同じ入力された全体画像データに対して、第2の実施例の画像処理を行って、個別画像の切り出しを行うようにしてもよい。この場合も、2つの画像処理を実行する順序は逆でもよい。
【0086】
(第1の実施例)
図3に、外枠領域画像を除去した後に、個別画像の画像データを取得する一実施例の説明図を示す。
図3は、原稿押さえを開けたまま(開放した状態で)、全体画像データを取得する場合を示している。
主として、白色部分の多い原稿を読み取る場合には、個別画像の切り取りの精度を向上させるために、原稿押さえを開けたまま読取を行うことが好ましい。
【0087】
図3(a-1)は、一例として、2枚の原稿を同時に読み取るために、原稿台の読取領域に、2枚の原稿(P1、P2)を重ならないように配置した状態を示している。
このように、ユーザが、2枚の原稿を配置した後、原稿押さえを開けたまま、読取開始を意味する入力操作をすると、原稿台の読取領域全体をスキャンする処理が行われる。
これにより、
図3(a-2)に示すように、画像入力部13によって、全体画像データが取得される。全体画像データには、2枚の原稿の個別画像が含まれ、さらに、原稿台の読取領域の端部周辺の画像も含まれる場合がある。
【0088】
この後、外枠領域除去部20によって、外枠領域画像を除去する処理が行われる。
図3(a-3)は、原稿台の読取領域の中で、外枠領域に相当する部分にある画像(外枠領域画像)の概略例を示している。
外枠領域の大きさは、上記した外枠領域情報51によって特定されるが、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が、この外枠領域の中に十分含まれる程度の大きさである。
取得された全体画像データから、この外枠領域の中に含まれる外枠領域画像が、除去される。
【0089】
図3(a-4)は、
図3(a-2)の全体画像データから、
図3(a-3)の外枠領域画像を除去した後の全体画像データを示している。
図3(a-4)の破線が、原稿台の読取領域を示しており、実線が、外枠領域画像を除去した後の全体画像データである。
取得した全体画像データに、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が含まれていたとしても、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が外枠領域画像に含まれる場合は、この外枠領域画像を除去した後の全体画像データには、原稿の誤検知の原因となる原稿台の読取領域の周辺端部の画像は含まれない。
【0090】
次に、
図3(a-4)のような外枠領域画像を除去した後の全体画像データに対して、エッジ検出、個別画像の位置検出(座標取得)、個別画像の切り出しの処理がこの順に行われる。
これにより、
図3(a-5)に示すように、個別画像を切り取った後の画像データが取得される。
たとえば、原稿P1に対して、個別画像g1の画像データが取得され、原稿P2に対して、個別画像g2の画像データが取得される。
【0091】
以上のように、原稿押さえを開けたまま読取処理を行った場合において、外枠領域画像を除去した後の全体画像データを利用して、個別画像の切り出し処理等が行われるので、外枠領域の内部の画像を、1つの原稿として誤検知することを防止できる。
なお、
図3では、2枚の原稿の個別画像を同時に切り出す場合を示したが、読み取る原稿の枚数は、2枚に限るものではなく、1枚でも、3枚以上でも、同様の画像処理を行うことにより、各原稿の個別画像を同時に切り出すことができる。
【0092】
図4に、外枠領域画像を除去した後に、個別画像の画像データを取得する場合の一実施例の説明図を示す。
図4は、
図3と異なり、原稿押さえを閉じた後に(閉鎖した状態で)、全体画像データを取得する場合を示している。
主として、黒色など濃い色の部分が多い原稿を読み取る場合には、個別画像の切り取りの精度を向上させるために、原稿押さえを閉じた状態で、読取を行うことが好ましい。
【0093】
図4(a-1)は、
図3(a-1)と同様に、2枚の原稿を同時に読み取るために、原稿台の読取領域に、2枚の原稿(P1、P2)を重ならないように配置した状態を示している。
ユーザは、読み取る原稿を配置した後、原稿押さえを閉じる。
図4(a-2)は、読み取る原稿を配置した後、原稿押さえを閉じた状態を、原稿押さえの上方から見た概略図を示している。原稿押さえによって、原稿台の読取領域が覆われ、原稿台の下方から原稿押さえに向かって出射された読取光は、原稿押さえと原稿によって反射され、原稿台の読取領域全体の画像データが取得される。
【0094】
この後、ユーザが、読取開始を意味する入力操作をすると、原稿台の読取領域全体をスキャンする処理が行われる。
これにより、
図4(a-3)に示すように、画像入力部13によって、全体画像データが取得される。全体画像データには、2枚の原稿の個別画像が含まれ、さらに、原稿台の読取領域の周辺端部の画像も含まれる場合がある。
【0095】
この後、
図3に示したのと同様に、外枠領域除去部20によって、外枠領域画像を除去する処理が行われる。
図4(a-4)は、
図3(a-3)に示したものと同じ外枠領域に相当する部分にある画像(外枠領域画像)の概略例を示している。
取得された全体画像データから、この外枠領域の中に含まれる外枠領域画像が、除去される。
【0096】
図4(a-5)は、
図4(a-3)の全体画像データから、
図4(a-4)の外枠領域画像を除去した後の全体画像データを示している。
図4(a-5)の破線が、原稿台の読取領域を示しており、実線が、外枠領域画像を除去した後の全体画像データである。
原稿台の読取領域の周辺端部の画像が外枠領域画像に含まれる場合は、この外枠領域画像を除去した後の全体画像データには、原稿の誤検知の原因となる原稿台の読取領域の周辺端部の画像は含まれない。
【0097】
次に、
図4(a-5)のような外枠領域画像を除去した後の全体画像データに対して、エッジ検出、個別画像の位置検出(座標取得)、個別画像の切り出しの処理がこの順に行われる。
これにより、
図4(a-6)に示すように、個別画像を切り取った後の画像データが取得される。
図4(a-6)でも、
図3(a-5)と同様に、たとえば、原稿P1に対して、個別画像g1の画像データが取得され、原稿P2に対して、個別画像g2の画像データが取得される。
【0098】
以上のように、原稿押さえを閉じてから読取処理を行った場合においても、外枠領域画像を除去した後の全体画像データを利用して、個別画像の切り出し処理等が行われるので、外枠領域の内部の画像を、1つの原稿として誤検知することを防止できる。
【0099】
(第2の実施例)
図5に、外枠領域に黒枠画像を付加した後に、個別画像の画像データを取得する一実施例の説明図を示す。
図5は、
図3と同様に、原稿押さえを開けたまま(開放した状態で)、全体画像データを取得する場合を示している。
【0100】
図5(a-1)は、
図3(a-1)と同じ図面であり、2枚の原稿を、原稿台の読取領域に配置した状態を示している。
ユーザが、2枚の原稿を配置した後、原稿押さえを開けたまま、読取開始を意味する入力操作をすると、原稿台の読取領域全体をスキャンする処理が行われる。
図5(a-2)は、
図3(a-2)と同じ図面であり、画像入力部13によって取得された全体画像データを示している。全体画像データには、2枚の原稿の個別画像が含まれ、さらに、原稿台の読取領域の周辺端部の画像も含まれる場合がある。
【0101】
この後、黒枠画像付加部31によって、全体画像データの外枠領域に、黒枠画像を付加する処理が行われる。
図5(a-3)は、原稿台の読取領域の中で、外枠領域に相当する部分に付加すべき黒枠画像の概略例を示している。
外枠領域の大きさは、上記した外枠領域情報51によって特定されるが、原稿台の読取領域の周辺端部の画像がこの外枠領域の中に十分含まれる程度の大きさである。
取得された全体画像データにおいて、この外枠領域の部分の画像データが、黒枠画像に変更される。
【0102】
図5(a-4)は、
図5(a-2)の全体画像データの外枠領域に、
図5(a-3)の黒枠画像を付加した後の全体画像データを示している。
黒枠画像を付加した後の全体画像データは、外枠領域の内部にある画像データと、外枠領域に付加された黒枠画像とからなる。
取得した全体画像データに、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が含まれていたとしても、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が外枠領域に含まれていた場合は、この外枠領域に黒枠画像を付加した後の全体画像データには、原稿の誤検知の原因となる原稿台の読取領域の周辺端部の画像は含まれない。
【0103】
次に、
図5(a-4)のような黒枠画像を付加した後の全体画像データに対して、エッジ検出、個別画像の位置検出(座標取得)、個別画像の切り出しの処理がこの順に行われる。これにより、
図5(a-5)に示すように、個別画像を切り取った後の画像データが取得される。
たとえば、原稿P1に対して、個別画像g1の画像データが取得され、原稿P2に対して、個別画像g2の画像データが取得される。
【0104】
以上のように、原稿押さえを開けたまま読取処理を行った場合において、黒枠画像を付加した後の全体画像データを利用して、個別画像の切り出し処理等が行われるので、外枠領域の内部の画像を、1つの原稿として誤検知することを防止できる。
【0105】
図6に、外枠領域に白枠画像を付加した後に、個別画像の画像データを取得する一実施例の説明図を示す。
図6は、
図5と異なり、原稿押さえを閉じた後に(閉鎖した状態で)、全体画像データを取得する場合を示している。
主として、黒色など濃い色の部分が多い原稿を読み取る場合には、個別画像の切り取りの精度を向上させるために、原稿押さえを閉じた状態で、読取を行うことが好ましい。
【0106】
図6(a-1)は、
図4(a-1)と同様に、原稿台の読取領域に、2枚の原稿(P1、P2)を重ならないように配置した状態を示している。
ユーザは、読み取る原稿を配置した後、原稿押さえを閉じる。
図6(a-2)は、
図4(a-2)と同様に、読み取る原稿を配置した後、原稿押さえを閉じた状態を、原稿押さえの上方から見た概略図を示している。
【0107】
この後、ユーザが、読取開始を意味する入力操作をすると、原稿台の読取領域全体をスキャンする処理が行われる。
これにより、
図6(a-3)に示すように、画像入力部13によって、全体画像データが取得される。
図6(a-3)は、
図4(a-3)と同じ図面であり、画像入力部13によって取得された全体画像データを示している。全体画像データには、2枚の原稿の個別画像が含まれ、さらに、原稿台の読取領域の周辺端部の画像も含まれる場合がある。
【0108】
この後、白枠画像付加部32によって、全体画像データの外枠領域に、白枠画像を付加する処理が行われる。
図6(a-4)は、原稿台の読取領域の中で、外枠領域に相当する部分に付加すべき白枠画像の概略例を示している。
外枠領域の大きさは、上記した外枠領域情報51によって特定されるが、原稿台の読取領域の周辺端部の画像がこの外枠領域の中に十分含まれる程度の大きさである。
取得された全体画像データにおいて、この外枠領域の部分の画像データが、白枠画像に変更される。
【0109】
図6(a-5)は、
図6(a-3)の全体画像データの外枠領域に、
図6(a-4)の白枠画像を付加した後の全体画像データを示している。
白枠画像を付加した後の全体画像データは、外枠領域の内部にある画像データと、外枠領域に付加された白枠画像とからなる。
取得した全体画像データに、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が含まれていたとしても、原稿台の読取領域の周辺端部の画像が外枠領域に含まれていた場合は、この外枠領域に白枠画像を付加した後の全体画像データには、原稿の誤検知の原因となる原稿台の読取領域の周辺端部の画像は含まれない。
【0110】
次に、
図6(a-5)のような白枠画像を付加した後の全体画像データに対して、エッジ検出、個別画像の位置検出(座標取得)、個別画像の切り出しの処理がこの順に行われる。これにより、
図6(a-6)に示すように、個別画像を切り取った後の画像データが取得される。
たとえば、原稿P1に対して、個別画像g1の画像データが取得され、原稿P2に対して、個別画像g2の画像データが取得される。
【0111】
以上のように、原稿押さえを閉じた後に読取処理を行った場合において、白枠画像を付加した後の全体画像データを利用して、個別画像の切り出し処理等が行われるので、外枠領域の内部の画像を、1つの原稿として誤検知することを防止できる。
【0112】
<第1の実施例の読取画像処理のフローチャート>
図8に、この発明の画像処理装置における上記した第1の実施例について、原稿の読取画像処理のフローチャートを示す。
ここでは、上記した第1の実施例のように、取得した全体画像データから外枠領域画像を除去して、各原稿の個別画像を切り出す処理について説明する。
まず、ユーザは、原稿台に載置した各原稿の個別画像を切り出す処理をするために、たとえば、操作部12を用いて、画像処理装置が有する機能のうち、この処理を実行するクロップ機能を選択する入力を行う。
【0113】
図8のステップS1において、制御部11は、各原稿の個別画像を切り出す処理を実行するクロップ機能が選択入力されたか否かをチェックする。
ステップS2において、クロップ機能が選択入力された場合は、ステップS3に進み、そうでない場合は、ステップS1に戻る。
【0114】
ステップS3において、制御部11は、表示部13に、読み取る原稿を原稿台に配置することが可能であること示す情報を、表示する。
このとき、読み取る原稿が、白っぽい色の多い原稿であれば、原稿押さえを開放したまま、読取を開始する方がよいことや、写真など色の濃い原稿であれば、原稿押さえを閉鎖した後に、読取を開始する方がよいことなども、同時に表示することが好ましい。
ユーザは、このような表示を見て、原稿を原稿台の読取領域に配置し、原稿に応じて、原稿押さえを開放するか、あるいは、原稿押さえを閉鎖した後、原稿の読取開始を意味する入力操作をする。
【0115】
ステップS4において、制御部11は、ユーザによって原稿の読取開始を意味する入力操作が行われたか否かをチェックする。
ステップS5において、原稿の読取開始を意味する入力があった場合は、ステップS6に進み、そうでない場合は、ステップS4に戻る。
ステップS6において、画像入力部13が、原稿台の読取領域の読取領域全体をスキャンし、読取領域全体の画像データを取得し、全体画像データ53として、記憶部50に一時記憶する。
【0116】
ステップS7において、外枠領域除去部20が、取得された全体画像データから、外枠領域画像を除去する。
外枠領域画像の除去は、上記した
図3や
図4に示したように、外枠領域情報51によって設定される外枠領域の部分の画像データ(外枠領域画像)を、全体画像データから除去する。
【0117】
ステップS8において、原稿エッジ検出部17が、外枠領域画像を除去した後の全体画像データから、個別画像のエッジを検出する。
原稿が長方形であったとすれば、原稿と原稿の無い部分の画像データの濃淡の差異によって、原稿の輪郭に相当する長方形の4つの辺が、検出される。
【0118】
ステップS9において、個別画像座標取得部18が、原稿エッジ検出部17によって検出された原稿の輪郭に相当する長方形の4つの辺を利用して、個別画像の4つの頂点の位置座標を取得し、その個別画像の原稿頂点位置座標として記憶する。
複数の原稿が配置されている場合は、各原稿に対応する個別画像の原稿頂点位置座標が、それぞれ記憶される。たとえば、個別画像情報57として、各個別画像の入力画像番号と、原稿頂点位置座標とが対応付けて記憶される。
【0119】
ステップS10において、個別画像切出部19が、記憶された個別画像の原稿頂点位置座標を利用して、各原稿の個別画像を、全体画像データから、切り出す。
切り出された各原稿の個別画像の画像データは、個別画像情報57の入力画像番号と対応付けられて、個別画像ごとに、記憶部50に記憶される。
【0120】
ステップS11において、個別画像の印刷などの出力を行う場合は、出力部15が、記憶部50に記憶された個別画像情報57を利用して、所定の出力形式に対応した出力すべき画像情報を生成する。
また、出力部15は、生成された画像情報を出力する。たとえば、プリンタによる印刷処理や、ネットワークを介した送信処理を行う。
【0121】
以上のように、取得された全体画像データから外枠領域画像を除去した後、外枠領域画像を除去した全体画像データを利用して、個別画像の切り出しを行うので、原稿押さえの開閉に関係なく、個別画像の切り出しに成功する可能性を向上させることができる。
【0122】
<第2の実施例の読取画像処理のフローチャート-1>
図9に、この発明の画像処理装置における上記した第2の実施例について、原稿の読取画像処理の一実施例のフローチャートを示す。
ここでは、上記した第2の実施例のように、全体画像データの外枠領域に、黒枠画像または白枠画像を付加して、個別画像を切り出す処理について説明する。
図8と同様に、まず、ユーザは、操作部12を用いて、原稿台に載置した各原稿の個別画像を切り出すクロップ機能を選択する入力を行う。
図9において、
図8と同じ処理を行うステップには、同じステップ番号を付与する。
【0123】
図9において、ステップS1からステップS6までは、
図8と同様の処理を行う。
すなわち、ステップS1において、クロップ機能が選択入力されたか否かをチェックし、クロップ機能が選択入力された場合は、ステップS3に進む。
【0124】
ステップS3において、表示部13に、読み取る原稿を原稿台に配置することが可能であること示す情報や、読み取る原稿が白っぽい色の多い原稿であれば、原稿押さえを開放したまま読取を開始する方がよいことや、写真など色の濃い原稿であれば、原稿押さえを閉鎖した後に読取を開始する方がよいことなどを表示する。
ユーザは、このような表示を見て、原稿を原稿台の読取領域に配置し、原稿に応じて、原稿押さえを開放するか、あるいは、原稿押さえを閉鎖した後、原稿の読取開始を意味する入力操作をする。
【0125】
ステップS4において、ユーザによって原稿の読取開始を意味する入力操作が行われたか否かをチェックし、ステップS5において、原稿の読取開始を意味する入力があった場合は、ステップS6に進み、そうでない場合は、ステップS4に戻る。
ステップS6において、画像入力部13が、原稿台の読取領域の読取領域全体をスキャンし、読取領域全体の画像データを取得し、全体画像データ53として、記憶部50に一時記憶する。
【0126】
ステップS21において、原稿押さえ開閉検出部16が、原稿押さえの開閉状態をチェックする。
ステップS22において、原稿押さえが、開放状態の場合は、ステップS23に進み、閉鎖状態の場合は、ステップS24に進む。
【0127】
ステップS23において、出力された全体画像データに、黒枠画像を付加し、ステップS25に進む。
これにより、上記した
図5(a-4)に示したように、外枠領域に黒枠画像を付加した全体画像データが生成される。
ステップS24において、出力された全体画像データに、白枠画像を付加し、ステップS25に進む。
これにより、上記した
図6(a-5)に示したように、外枠領域に白枠画像を付加した全体画像データが生成される。
【0128】
ステップS25において、原稿エッジ検出部17が、枠画像(黒枠画像または白枠画像)が付加された全体画像データから、個別画像のエッジを検出する。
その後、
図8と同様に、ステップS9からS11の処理を行う。
すなわち、ステップS9において、原稿エッジ検出部17によって検出された原稿の輪郭に相当する長方形の4つの辺を利用して、個別画像の4つの頂点の位置座標(原稿頂点位置座標)を取得し、個別画像情報57として、各個別画像の入力画像番号と、原稿頂点位置座標とを対応付けて記憶する。
【0129】
ステップS10において、個別画像切出部19が、記憶された個別画像の原稿頂点位置座標を利用して、各原稿の個別画像の画像データを、全体画像データから切り出し、個別画像情報57の入力画像番号と対応付けて、個別画像ごとに、記憶部50に記憶する。
【0130】
ステップS11において、個別画像の印刷などの出力を行う場合は、出力部15が、記憶部50に記憶された個別画像情報57を利用して、所定の出力形式に対応した出力すべき画像情報を生成し、生成された画像情報を出力する。たとえば、プリンタによる印刷処理や、ネットワークを介した送信処理を行う。
【0131】
以上のように、取得された全体画像データから外枠領域の部分に、黒枠画像あるいは白枠画像を付加した後、黒枠画像あるいは白枠画像を付加した全体画像データを利用して、個別画像の切り出しを行うので、個別画像の切り出しに成功する可能性を向上させることができる。
また、ユーザが操作した原稿押さえの開閉状態に対応させて、黒枠画像あるいは白枠画像が自動的に付加されて、個別画像の切り出しが行われるので、ユーザは、原稿押さえの開閉状態に応じて行わせる画像処理の設定入力をする必要がなく、原稿押さえの開閉操作と、クロップ機能の選択入力と、原稿の読取開始入力を行えばよい。
これらの操作入力は、複合機等でも通常行われる操作に類似しているので、ユーザは、複雑な設定入力操作をすることなく、容易な操作をするだけで、個別画像を取得することができ、ユーザの操作負担を軽減できる。
【0132】
<第2の実施例の読取画像処理のフローチャート-2>
図10に、
図9と同様に、この発明の画像処理装置における上記した第2の実施例について、原稿の読取画像処理の一実施例のフローチャートを示す。
ただし、ここでは、全体画像データの外枠領域に、黒枠画像または白枠画像を付加するが、個別画像の切り出しができなかった場合に、原稿押さえの開閉状態を逆にして、再度原稿の読取画像処理を実行するようにする。
【0133】
読み取ろうとする原稿の色や濃淡によっては、原稿押さえの開閉状態を開放から閉鎖に切り替えたり、逆に、閉鎖から開放に切り替えたりすることにより、原稿の個別画像の切り出しに成功する場合もある。
そこで、個別画像の切り出しができなかった場合に、ユーザに、原稿押さえの開閉状態の変更を要求するメッセージを表示して、ユーザに、原稿押さえの開閉状態を変更する操作をしてもらい、再度、原稿の読取画像処理を実行する。
ユーザに、原稿押さえの開閉状態を変更する操作をしてもらうことにより、原稿の個別画像の切り出しに成功する可能性を向上させる。
【0134】
図10において、
図8および
図9と同じ処理を行うステップには、同じステップ番号を付与する。
図10において、まず、ステップS1からステップS6までと、ステップS21は、
図9と同様の処理を行う。
すなわち、ステップS1において、クロップ機能が選択入力されたか否かをチェックし、クロップ機能が選択入力された場合は、ステップS3に進む。
【0135】
ステップS3において、表示部13に、読み取る原稿を原稿台に配置することが可能であること示す情報や、読み取る原稿が白っぽい色の多い原稿であれば、原稿押さえを開放したまま読取を開始する方がよいことや、写真など色の濃い原稿であれば、原稿押さえを閉鎖した後に読取を開始する方がよいことなどを表示する。
ユーザは、このような表示を見て、原稿を原稿台の読取領域に配置し、原稿に応じて、原稿押さえを開放するか、あるいは、原稿押さえを閉鎖した後、原稿の読取開始を意味する入力操作をする。
【0136】
ステップS4において、ユーザによって原稿の読取開始を意味する入力操作が行われたか否かをチェックし、ステップS5において、原稿の読取開始を意味する入力があった場合は、ステップS6に進み、そうでない場合は、ステップS4に戻る。
ステップS6において、画像入力部13が、原稿台の読取領域の読取領域全体をスキャンし、読取領域全体の画像データを取得し、全体画像データ53として、記憶部50に一時記憶する。
【0137】
ステップS21において、原稿押さえ開閉検出部16が、原稿押さえの開閉状態をチェックする。
ステップS31において、上記チェックによって検出された現在の原稿押さえの開閉状態を、開閉情報52として、記憶部50に記憶する。
ただし、ステップS21とステップS31の処理は、別のマルチタスクとして常時実行し、現在の原稿押さえの開閉状態を、開閉情報52として記憶するようにしてもよい。
【0138】
次に、
図9と同様に、ステップS22において、原稿押さえが、開放状態の場合は、ステップS23に進み、閉鎖状態の場合は、ステップS24に進む。
【0139】
ステップS23において、出力された全体画像データに、黒枠画像を付加し、ステップS25に進む。これにより、上記した
図5(a-4)に示したように、外枠領域に黒枠画像を付加した全体画像データが生成される。
ステップS24において、出力された全体画像データに、白枠画像を付加し、ステップS25に進む。これにより、上記した
図6(a-5)に示したように、外枠領域に白枠画像を付加した全体画像データが生成される。
【0140】
ステップS25において、原稿エッジ検出部17が、枠画像(黒枠画像または白枠画像)が付加された全体画像データから、個別画像のエッジを検出する。
その後、
図8と同様に、ステップS9とS10の処理を行う。
すなわち、ステップS9において、原稿エッジ検出部17によって検出された原稿の輪郭に相当する長方形の4つの辺を利用して、個別画像の4つの頂点の位置座標(原稿頂点位置座標)を取得し、個別画像情報57として、各個別画像の入力画像番号と、原稿頂点位置座標とを対応付けて記憶する。
【0141】
ステップS10において、個別画像切出部19が、記憶された個別画像の原稿頂点位置座標を利用して、各原稿の個別画像の画像データを、全体画像データから切り出し、個別画像情報57の入力画像番号と対応付けて、個別画像ごとに、記憶部50に記憶する。
ただし、ステップS25における個別画像のエッジの検出が不十分な場合、たとえば、個別画像の輪郭となるエッジが直線状になっていない場合、エッジの情報が途中で途切れていて長方形のような2次元的な形状が特定できないような場合、あるいは、検出した長方形があらかじめ定めた所定の大きさ以下のような場合には、ステップS10において、個別画像を切り出すことができない場合がある。
【0142】
ステップS32において、切り出された個別画像の有無をチェックする。
記憶部50に記憶されている個別画像情報57を確認し、個別画像情報57に、1つ以上の個別画像が記憶されている場合は、切り出された個別画像が有りと判断され、1つも個別画像が記憶されていない場合は、切り出された個別画像が無いと判断される。
ステップS33において、切り出された個別画像が無いと判断された場合は、ステップS34に進み、切り出された個別画像が有りと判断された場合は、ステップS11に進む。
切り出された個別画像が無いと判断された場合は、個別画像の切り出しに失敗したことを意味する。
【0143】
ステップS11において、個別画像の印刷などの出力を行う場合は、出力部15が、記憶部50に記憶された個別画像情報57を利用して、所定の出力形式に対応した出力すべき画像情報を生成し、生成された画像情報を出力する。たとえば、プリンタによる印刷処理や、ネットワークを介した送信処理を行う。これにより、一連の読取処理が終了する。
【0144】
ステップS34において、現在の開閉情報52が、「開放」あるいは「閉鎖」のどちらになっているかをチェックし、開閉情報52が「開放」の場合、ステップS35に進み、開閉情報52が「閉鎖」の場合、ステップS38に進む。
【0145】
ステップS35において、表示部14に、原稿の読取エラーが発生したことと、原稿押さえを閉じて再度読取を実行すべきことを、表示する。
この場合は、現在、原稿押さえが開放された状態であるが、原稿押さえを閉鎖した後、再度読取を実行すれば、原稿の読取に成功する場合もあるので、原稿の配置はそのままで、原稿押さえを閉じてもらうように、ユーザに報知する。
また、スピーカを備え、音声出力機能を有している場合は、表示する内容を、音声で報知してもよい。
ユーザは、上記のような表示を見て、原稿押さえを閉じればよい。
【0146】
ステップS36において、ステップS21と同様に、原稿押さえ開閉検出部16が、原稿押さえの開閉状態をチェックする。
ステップS37において、原稿押さえが閉鎖状態に変化した場合は、ステップS4に戻り、再度、ステップS4以降の読取処理を実行する。
一方、まだ開放状態のままの場合は、ステップS35に戻る。
【0147】
ステップS38において、表示部14に、原稿の読取エラーが発生したことと、原稿押さえを開放して再度読取を実行すべきことを、表示する。
この場合は、現在、原稿押さえが閉鎖された状態であるが、原稿押さえを開放した後、再度読取を実行すれば、原稿の読取に成功する場合もあるので、原稿の配置はそのままで、原稿押さえを開放してもらうように、ユーザに報知する。
この場合も、スピーカを利用して、表示する内容を、音声で報知してもよい。
ユーザは、上記のような表示を見て、原稿押さえを開放すればよい。
【0148】
ステップS39において、ステップS21と同様に、原稿押さえ開閉検出部16が、原稿押さえの開閉状態をチェックする。
ステップS40において、原稿押さえが開放状態に変化した場合は、ステップS4に戻り、再度、ステップS4以降の読取処理を実行する。
一方、まだ閉鎖状態のままの場合は、ステップS38に戻る。
【0149】
以上の処理により、一度個別画像の切り出しに失敗した場合において、ユーザに、原稿押さえの開閉状態を変更する操作をしてもらい、変更後の原稿押さえの開閉状態に対応した個別画像の切出処理を行うようにしているので、原稿の個別画像の切り出しに成功する可能性を向上させることができる。
また、再度の読取処理を行う場合、ユーザは、原稿押さえの開閉状態を、開放から閉鎖に変更する操作か、あるいは、閉鎖から開放に変更する操作をするだけでよいので、ユーザの操作負担は少ない。
【符号の説明】
【0150】
1 画像処理装置(MFP)、
11 制御部、
12 操作部、
13 画像入力部、
14 表示部、
15 出力部、
16 原稿押さえ開閉検出部、
17 原稿エッジ検出部、
18 個別画像座標取得部、
19 個別画像切出部、
20 外枠領域除去部、
30 枠画像付加部、
31 黒枠画像付加部、
32 白枠画像付加部、
50 記憶部、
51 外枠領域情報、
52 開閉情報、
53 全体画像データ、
54 外枠除去画像データ、
55 黒枠付加画像データ、
56 白枠付加画像データ、
57 個別画像情報