(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電圧変換器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/07 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
H02M3/07
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023087009
(22)【出願日】2023-05-26
【審査請求日】2023-07-03
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 文田
(72)【発明者】
【氏名】柯 庚佑
(72)【発明者】
【氏名】王 肇緯
(72)【発明者】
【氏名】李 清然
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第2905885(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/038601(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/233871(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷に接続されていて前記負荷に出力電圧を供給する電圧変換器であって、前記電圧変換器は、
入力電圧を供給する電源と、
前記電源の第1の端子と第1のノードとの間に接続されている第1のスイッチング素子と、
前記第1のノードと第2のノードとの間に接続されている第2のスイッチング素子であって前記電源の第2の端子が前記第2のノードに接続されている、第2のスイッチング素子と、
前記第1のノードと第3のノードとの間に接続されているエネルギ貯蔵インダクタと、
前記第3のノードと第4のノードとの間に接続されているN個のキャパシタモジュールであってNが正の整数であるN個のキャパシタモジュールと、
前記第2のノードと前記第4のノードとの間に接続されているエネルギ貯蔵キャパシタであって前記負荷が前記第2のノードと前記第4のノードとの間に接続されている、エネルギ貯蔵キャパシタと、
を備えており、
前記N個のキャパシタモジュールそれぞれがキャパシタを備えており、前記電圧変換器が第1の動作モードにある場合、前記N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、前記エネルギ貯蔵インダクタ、前記エネルギ貯蔵キャパシタ、および前記キャパシタが互いに直列に接続され、よって、前記エネルギ貯蔵インダクタ、前記エネルギ貯蔵キャパシタ、および前記キャパシタが前記入力電圧によって充電され、前記電圧変換器が第2の動作モードにある場合、前記N個のキャパシタモジュール間の前記接続関係が制御されて、前記エネルギ貯蔵インダクタ、前記エネルギ貯蔵キャパシタ、および前記キャパシタが互いに並列に接続され、よって、前記エネルギ貯蔵インダクタが放電を行い、前記エネルギ貯蔵インダクタ内の貯蔵エネルギが前記エネルギ貯蔵キャパシタおよび前記キャパシタへ移される、電圧変換器。
【請求項2】
前記N個のキャパシタモジュールそれぞれが、第1端、第2端、第1のスイッチング回路、第2のスイッチング回路、および第3のスイッチング回路をさらに備えており、前記キャパシタの第1の端子が前記第1端に接続されており、前記第1のスイッチング回路が前記キャパシタの第2の端子と前記第2端との間に接続されており、前記第2のスイッチング回路が前記第1端と第5のノードとの間に接続されており、前記第3のスイッチング回路が前記キャパシタの前記第2の端子と前記第2のノードとの間に接続されており、前記第4のノードが前記第5のノードに結合されている、請求項1に記載の電圧変換器。
【請求項3】
Nが1に等しい場合、前記キャパシタモジュールの前記第1端が前記第3のノードに接続されており、前記キャパシタモジュールの前記第2端が前記第4のノードに接続されている、請求項2に記載の電圧変換器。
【請求項4】
Nが1よりも大きい場合、前記N個のキャパシタモジュールの第1のキャパシタモジュールの前記第1端が前記第3のノードに接続されており、その他のキャパシタモジュールそれぞれの前記第1端が、その前のキャパシタモジュールの前記第2端に接続されており、第Nのキャパシタモジュールの前記第2端が前記第4のノードに接続されている、請求項2に記載の電圧変換器。
【請求項5】
前記電圧変換器は接続要素をさらに備えており、前記接続要素は前記第4のノードと前記第5のノードとの間に結合されており、前記接続要素は第3のスイッチング素子または短絡回路素子である、請求項2に記載の電圧変換器。
【請求項6】
前記電圧変換器がコントローラをさらに備えており、前記コントローラは制御信号セットを発生させ、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、ならびに、前記N個のキャパシタモジュールそれぞれにおける前記第1のスイッチング回路、前記第2のスイッチング回路、および前記第3のスイッチング回路間の接続関係は、前記制御信号セットに応じて制御され、よって、前記キャパシタが、前記エネルギ貯蔵インダクタおよび前記エネルギ貯蔵キャパシタに直列に、または並列に、選択的に接続される、請求項2に記載の電圧変換器。
【請求項7】
前記電圧変換器の動作中に、前記電圧変換器内のM個のキャパシタモジュールが動作するように選択され、前記電圧変換器内の前記M個のキャパシタモジュールはイネーブル状態にあるように制御され、前記電圧変換器内の(N-M)個のキャパシタモジュールはディスエーブル状態にあるように制御され、Mは正の整数であり、および、MはN以下である、請求項1に記載の電圧変換器。
【請求項8】
前記電圧変換器が前記第1の動作モードにある場合、前記イネーブル状態にある前記M個のキャパシタモジュールのM個のキャパシタ、前記エネルギ貯蔵インダクタ、および、前記エネルギ貯蔵キャパシタは互いに直列に接続され、且つ、前記電源は、前記イネーブル状態にある前記M個のキャパシタモジュールの前記M個のキャパシタ、前記エネルギ貯蔵インダクタ、および、前記エネルギ貯蔵キャパシタを充電するために前記入力電圧を供給し、前記電圧変換器が前記第2の動作モードにある場合、前記イネーブル状態にある前記M個のキャパシタモジュールの前記M個のキャパシタ、前記エネルギ貯蔵インダクタ、および、前記エネルギ貯蔵キャパシタは互いに並列に接続され、且つ、前記エネルギ貯蔵インダクタ内の貯蔵エネルギが、前記イネーブル状態にある前記M個のキャパシタモジュールの前記M個のキャパシタ、および前記エネルギ貯蔵キャパシタに移される、請求項7に記載の電圧変換器。
【請求項9】
前記入力電圧は整流された電圧であり、前記イネーブル状態にある前記M個のキャパシタモジュールのいくつかは、前記整流された電圧の電圧値に応じて動的に調節される、請求項7に記載の電圧変換器。
【請求項10】
前記N個のキャパシタモジュールそれぞれが、第1端、第2端、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、および第3のトランジスタをさらに備えており、前記キャパシタの第1の端子は前記第1端に接続されており、前記第1のトランジスタは前記キャパシタの第2の端子と前記第2端との間に接続されており、前記第2のトランジスタは前記第1端と第5のノードとの間に接続されており、前記第3のトランジスタは前記キャパシタの前記第2の端子と前記第2のノードとの間に接続されており、前記第4のノードが前記第5のノードに結合されている、請求項1に記載の電圧変換器。
【請求項11】
負荷に接続されていて前記負荷に出力電圧を供給する電圧変換器であって、前記電圧変換器は、
入力電圧を供給する電源と、
前記電源の第1の端子と第1のノードとの間に接続されている第1のスイッチング素子と、
第2のノードと第3のノードとの間に接続されているエネルギ貯蔵キャパシタであって前記電源の第2の端子が前記第2のノードに接続されているエネルギ貯蔵キャパシタと、
前記第1のノードと前記第3のノードとの間に接続されているN個のキャパシタモジュールであってNが正の整数であるN個のキャパシタモジュールと、
を備えており、
前記N個のキャパシタモジュールそれぞれがキャパシタを備えており、前記電圧変換器が第1の動作モードにある場合、前記N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、前記エネルギ貯蔵キャパシタおよび前記キャパシタが互いに直列に接続され、よって、前記エネルギ貯蔵キャパシタおよび前記キャパシタが前記入力電圧によって充電され、前記電圧変換器が第2の動作モードにある場合、前記N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、前記エネルギ貯蔵キャパシタおよび前記キャパシタが互いに並列に接続される、電圧変換器。
【請求項12】
前記N個のキャパシタモジュールそれぞれが、第1端、第2端、第1のスイッチング回路、第2のスイッチング回路、および第3のスイッチング回路をさらに備えており、前記キャパシタの第1の端子が前記第1端に接続されており、前記第1のスイッチング回路が前記キャパシタの第2の端子と前記第2端との間に接続されており、前記第2のスイッチング回路が前記第1端と第4のノードとの間に接続されており、前記第3のスイッチング回路が前記キャパシタの前記第2の端子と前記第2のノードとの間に接続されており、前記第3のノードが前記第4のノードに結合されている、請求項11に記載の電圧変換器。
【請求項13】
前記電圧変換器は接続要素をさらに備えており、前記接続要素は前記第3のノードと前記第4のノードとの間に結合されており、前記接続要素は第3のスイッチング素子または短絡回路素子である、請求項12に記載の電圧変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧変換器に、特に誘導エネルギ転換が低減された電圧変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクスおよび半導体技術の進展により、電源の性能および利便性に対する要件が増加させられている。上記目的を達成するためには、電力密度を増大することが重要である。電力密度を増加させるために、多くの研究者は、ワイドバンドギャップコンポーネントに関する研究に注力してきた。たとえば、従来の電力変換器では、シリコンベースのパワーコンポーネント(たとえば、MOSFETトランジスタまたはIGBTトランジスタ)は、窒化ガリウム(GaN)トランジスタまたはシリコンカーバイド(SiC)トランジスタにより、徐々に置き換えられている。コンポーネント材料の改善により、磁気素子は、より高い動作周波数において動かされることがある。よって、磁気素子の体積が減らされることがあり、そして電力密度が高められることがある。しかし、動作周波数が高められるにつれ、雑音干渉(たとえば、電磁干渉)が、より露わになる。したがって、インダクタ体積が低減され、且つ、誘導エネルギ転換が低減された電圧変換器を提供することが重要である。
【0003】
たとえば、米国特許第10,811,962号明細書は、マルチレベルスイッチング式電力変換器、ならびに、そのコントローラ回路および制御方法を開示している。マルチレベルスイッチング式電力変換器は、入力電力を出力電力に変換するマルチレベルパワーステージ回路を含んでいる。マルチレベルスイッチング電力変換器では、電圧レベルは、フライングキャパシタトポロジにより、合成される。
【発明の概要】
【0004】
本出願の一実施形態は、電圧変換器を提供する。電圧変換器は負荷に接続されている。電圧変換器は、負荷に出力電圧を供給する。電圧変換器は、電源と、第1のスイッチング素子と、第2のスイッチング素子と、エネルギ貯蔵インダクタと、N個のキャパシタモジュールと、エネルギ貯蔵キャパシタとを含んでいる。電源は、入力電圧を供給する。第1のスイッチング素子は、電源の第1の端子と、第1のノードとの間に接続されている。第2のスイッチング素子は、第1のノードと、第2のノードとの間に接続されている。電源の第2の端子は、第2のノードに接続されている。エネルギ貯蔵インダクタが、第1のノードと、第3のノードとの間に接続されている。N個のキャパシタモジュールは、第3のノードと、第4のノードとの間に接続されており、Nは正の整数である。エネルギ貯蔵キャパシタが、第2のノードと、第4のノードとの間に接続されている。負荷が、第2のノードと、第4のノードとの間に接続されている。N個のキャパシタモジュールそれぞれがキャパシタを含んでいる。電圧変換器が第1の動作モードにある場合、N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、エネルギ貯蔵インダクタ、エネルギ貯蔵キャパシタ、およびキャパシタが互いに直列に接続される。よって、エネルギ貯蔵インダクタ、エネルギ貯蔵キャパシタ、およびキャパシタが入力電圧によって充電される。電圧変換器が第2の動作モードにある場合、N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、エネルギ貯蔵インダクタ、エネルギ貯蔵キャパシタ、およびキャパシタが互いに並列に接続される。よって、エネルギ貯蔵インダクタは放電を行い、エネルギ貯蔵インダクタ内の貯蔵エネルギが、エネルギ貯蔵キャパシタ、およびキャパシタへ移される。
【0005】
本出願の別の実施形態は、電圧変換器を提供する。電圧変換器は負荷に接続されている。電圧変換器は、負荷に出力電圧を供給する。電圧変換器は、電源と、第1のスイッチング素子と、エネルギ貯蔵キャパシタと、N個のキャパシタモジュールとを含んでいる。電源は入力電圧を供給する。第1のスイッチング素子は、電源の第1の端子と、第1のノードとの間に接続されている。エネルギ貯蔵キャパシタは、第2のノードと、第3のノードとの間に接続されている。電源の第2の端子は、第2のノードに接続されている。N個のキャパシタモジュールは、第1のノードと、第3のノードとの間に接続されており、Nは正の整数である。N個のキャパシタモジュールそれぞれはキャパシタを含んでいる。電圧変換器が第1の動作モードにある場合、N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、エネルギ貯蔵キャパシタおよびキャパシタが互いに直列に接続される。よって、エネルギ貯蔵キャパシタおよびキャパシタが入力電圧によって充電される。電圧変換器が第2の動作モードにある場合、N個のキャパシタモジュール間の接続関係が制御されて、エネルギ貯蔵キャパシタおよびキャパシタが互いに並列に接続される。
【0006】
本出願の数多くの目的、構成、および利点は、添付図面とともに解釈されると、本出願の実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、容易に明らかになるであろう。しかし、本出願において使用される添付図面は、説明の目的のためのものであり、および、それにより、限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本出願の第1の実施形態による電圧変換器を示す概略回路図である。
【
図1B】本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図1C】本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図1D】従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lの変化を示す概略タイミング波形図である。
【
図1E】従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ貯蔵エネルギおよびインダクタ電力Pの変化を示す概略タイミング波形図である。
【
図2A】2つのキャパシタモジュールがイネーブルされている本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図2B】2つのキャパシタモジュールがイネーブルされている本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図2C】従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lの変化を示す概略タイミング波形図である。
【
図2D】従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ貯蔵エネルギおよびインダクタ電力Pの変化を示す概略タイミング波形図である。
【
図3A】1つのキャパシタモジュールがイネーブルされている本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図3B】1つのキャパシタモジュールがイネーブルされている本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図4】本出願の第2の実施形態による電圧変換器を示す概略回路図である。
【
図5A】第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択されている第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図5B】第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択されている第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図6A】第1のキャパシタモジュールおよび第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択されている第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図6B】第1のキャパシタモジュールおよび第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択されている第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図7A】第2のキャパシタモジュールおよび第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択されている第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図7B】第2のキャパシタモジュールおよび第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択されている第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図8】非定電圧電源により供給される入力電圧を示す概略タイミング波形図である。
【
図9】パワートランジスタを使用したキャパシタモジュールを示す概略回路図である。
【
図10A】本出願の第3の実施形態による電圧変換器を示す概略回路図である。
【
図10B】第3の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【
図10C】第3の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願は電圧変換器を提供する。電圧変換器は、複数のキャパシタモジュールを備えている。複数のキャパシタモジュールの使用により、充電プロセス中のエネルギ貯蔵インダクタのインダクタ電圧を低減させ得る。よって、エネルギ貯蔵インダクタ両端の電圧が低減される。さらに、キャパシタモジュール内のスイッチング回路のスイッチング動作を制御することにより、エネルギ貯蔵インダクタに元々貯蔵されているエネルギの一部が、キャパシタモジュールに移される。よって、従来の電圧変換器と比較すると、本出願の電圧変換器の誘導エネルギ転換が低減される。
【0009】
図1Aは、本出願の第1の実施形態による電圧変換器を示す概略回路図である。電圧変換器200は負荷290に接続されている。本実施形態では、電圧変換器200は、電源205と、2つのスイッチング素子SW
1、SW
2と、エネルギ貯蔵インダクタLと、エネルギ貯蔵キャパシタC
Oと、複数のキャパシタモジュール210~230とを備えている。電源205は入力電圧V
iを供給する。電圧変換器200は、負荷290に出力電圧V
Oを発生させる。さらに、出力電圧V
Oは、入力電圧V
iよりも低い、すなわち、V
O<V
iである。
【0010】
スイッチング素子SW1は、電源205の第1の端子と、ノードaとの間に接続されている。スイッチング素子SW1は制御信号Sc1を受け取る。スイッチング素子SW2は、ノードaと、ノードbとの間に接続されている。スイッチング素子SW2は制御信号Sc2を受け取る。電源205の第2の端子はノードbに接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは、ノードaと、ノードcとの間に接続されている。エネルギ貯蔵キャパシタCOは、ノードdと、ノードbとの間に接続されている。さらに、ノードdはノードeに結合されている。負荷290は、ノードdと、ノードbとの間に接続されている。エネルギ貯蔵キャパシタCOの電圧、および負荷290の電圧は、互いにほぼ同等である。すなわち、エネルギ貯蔵キャパシタCOの電圧、および負荷290の電圧(すなわち、出力電圧VO)は等しい。
【0011】
3つのキャパシタモジュール210、220、および230は、同じ回路構造を有している。第1のキャパシタモジュール210は、第1端a1、第2端a2、キャパシタCa1、第1のスイッチング回路SWa1、第2のスイッチング回路SWa2、および第3のスイッチング回路SWa3を有している。第1のキャパシタモジュール210の第1端a1は、ノードcに接続されている。さらに、第1のキャパシタモジュール210の第1端a1は、キャパシタCa1の第1の端子に接続されている。第1のスイッチング回路SWa1は、キャパシタCa1の第2の端子と、第1のキャパシタモジュール210の第2端a2との間に接続されている。第2のスイッチング回路SWa2は、第1のキャパシタモジュール210の第1端a1と、ノードeとの間に接続されている。第3のスイッチング回路SWa3は、キャパシタCa1の第2の端子と、ノードbとの間に接続されている。
【0012】
第2のキャパシタモジュール220は、第1端b1、第2端b2、キャパシタCb1、第1のスイッチング回路SWb1、第2のスイッチング回路SWb2、および第3のスイッチング回路SWb3を備えている。第2のキャパシタモジュール220の第1端b1は、第1のキャパシタモジュール210の第2端a2に接続されている。さらに、第2のキャパシタモジュール220の第1端b1は、キャパシタCb1の第1の端子に接続されている。第1のスイッチング回路SWb1は、キャパシタCb1の第2の端子と、第2のキャパシタモジュール220の第2端b2との間に接続されている。第2のスイッチング回路SWb2は、第2のキャパシタモジュール220の第1端b1と、ノードeとの間に接続されている。第3のスイッチング回路SWb3は、キャパシタCb1の第2の端子と、ノードbとの間に接続されている。
【0013】
第3のキャパシタモジュール230は、第1端c1、第2端c2、キャパシタCc1、第1のスイッチング回路SWc1、第2のスイッチング回路SWc2、および第3のスイッチング回路SWc3を有している。第3のキャパシタモジュール230の第1端c1は、第2のキャパシタモジュール220の第2端b2に接続されている。さらに、第3のキャパシタモジュール230の第1端c1は、キャパシタCc1の第1の端子に接続されている。第1のスイッチング回路SWc1は、キャパシタCc1の第2の端子と、第3のキャパシタモジュール230の第2端c2との間に接続されている。第2のスイッチング回路SWc2は、第3のキャパシタモジュール230の第1端c1と、ノードeとの間に接続されている。第3のスイッチング回路SWc3は、キャパシタCc1の第2の端子と、ノードbとの間に接続されている。
【0014】
本出願の本実施形態では、第1のキャパシタモジュール210のキャパシタCa1の静電容量、第2のキャパシタモジュール220のキャパシタCb1の静電容量、第3のキャパシタモジュール230のキャパシタCc1の静電容量、およびエネルギ貯蔵キャパシタCOの静電容量は等しい。スイッチング回路SWa1~SWa3、SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3のオン/オフ状態を制御することにより、キャパシタCa1、Cb1、およびCc1は、選択的に、エネルギ貯蔵インダクタLおよびエネルギ貯蔵キャパシタCOに直列に、または並列に接続される。
【0015】
電圧変換器200は、コントローラ280をさらに備えている。コントローラ280は制御信号セットScを発生させる。制御信号セットScは、電圧変換器200内のスイッチング素子SW1~SW2、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3,SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3の接続状態を制御するための複数の制御信号Sc1~Sc2、Sca1~Sca3、Scb1~Scb3、およびScc1~Scc3を含んでいる。電圧変換器200が、通常の動作状態にある場合、スイッチング素子SW1~SW2、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3,SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3のオンまたはオフ状態は、コントローラ280により、制御される。簡潔にするために、コントローラ280の動作、ならびに制御信号Sc1~Sc2、Sca1~Sca3、Scb1~Scb3、およびScc1~Scc3に関する説明は割愛されている。すなわち、スイッチング素子SW1~SW2、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3,SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3の状態だけが、以下のように説明される。
【0016】
図1Bおよび1Cは、本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。電圧変換器200が通常動作状態にある場合、電圧変換器200の動作モードが、第1の動作モードMode1と、第2の動作モードMode2との間で切り替えられる。
【0017】
図1Bに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1はオン状態にあり、スイッチング素子SW
2はオフ状態にある。3つのキャパシタモジュール210、220、および230では、第1のスイッチング回路SW
a1、SW
b1、およびSW
c1はオン状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2、SW
b2、およびSW
c2はオフ状態にあり、第3のスイッチング回路SW
a3、SW
b3、およびSW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびに、キャパシタモジュール210、220、および230のキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1は互いに直列に接続されている。電源205は、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1を充電するために入力電圧V
iを供給する。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは増加する。インダクタ電圧V
Lは、(V
i-4V
O)に等しい、すなわち、V
L=V
i-4V
Oである。すなわち、第1の動作モードMode1は充電モードである。
【0018】
図1Cに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
2はオン状態にあり、スイッチング素子SW
1はオフ状態にある。3つのキャパシタモジュール210、220、および230では、第1のスイッチング回路SW
a1、SW
b1、およびSW
c1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2、SW
b2、およびSW
c2はオン状態にあり、ならびに、第3のスイッチング回路SW
a3、SW
b3、およびSW
c3はオン状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタモジュール210、220、および230のキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1は互いに並列に接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは放電を行う。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは4つの電流I
L1~I
L4に分割される。すなわち、I
L1=I
L2=I
L3=I
L4=I
L/4である。一方、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1に移される。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lは(-V
O)に等しい。すなわち、V
L=-V
Oである。すなわち、第2の動作モードMode2は放電モードである。
【0019】
図1Dは、従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lの変化を示す概略タイミング波形図である。
図1Eは、従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ貯蔵エネルギおよびインダクタ電力Pの変化を示す概略タイミング波形図である。
図1Dおよび1Eでは、点線は従来の電圧変換器を表しており、実線は本出願の電圧変換器を表している。従来の電圧変換器は、電源、2つのスイッチング素子、エネルギ貯蔵インダクタ、およびエネルギ貯蔵キャパシタを備えている。本出願の電圧変換器200と比較して、従来の電圧変換器は、キャパシタモジュール210~230を備えていない。本出願の電圧変換器200、および従来の電圧変換器の動作条件は、48Vの入力電圧V
i、5Vの出力電圧V
O、および100Wの出力電力を含んでいる。
【0020】
図1Dに示される点線を参照してほしい。従来の電圧変換器が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられるとき、インダクタ電圧V
Lは+43Vに等しい、すなわち、V
L=V
i-V
O=48-5である。さらに、従来の電圧変換器が、第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)において動作させられるとき、インダクタ電圧V
Lは-5Vに等しい。本発明の電圧変換器200では、キャパシタモジュール210~230すべてが、イネーブル状態にある。
図1Dに示される実線を参照してほしい。本出願の電圧変換器200が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、インダクタ電圧V
Lは+28Vに等しい、すなわち、V
L=V
i-4V
O=48-20である。本出願の電圧変換器200が、第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)において動作させられると、インダクタ電圧V
Lは-5Vに等しい。明らかに、第1の動作モードMode1では、インダクタ電圧V
Lは、本出願の電圧変換器200を使用することにより、効果的に低減され得る。すなわち、エネルギ貯蔵インダクタLの両端の最高電圧が低減される。
【0021】
図1Eに示される点線を参照してほしい。従来の電圧変換器が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、エネルギ貯蔵インダクタLの最高インダクタ電力Pは+952Wである。本出願の電圧変換器200では、キャパシタモジュール210~230すべてが、イネーブル状態にある。
図1Eに示される実線を参照してほしい。本出願の電圧変換器200が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、エネルギ貯蔵インダクタLの最高インダクタ電力Pは+438Wである。さらに、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)では、動作時間tに対するインダクタ電力Pの積分により、本出願の電圧変換器200のインダクタ貯蔵エネルギを得ることができる。従来の電圧変換器のインダクタ貯蔵エネルギと、本出願の電圧変換器200のインダクタ貯蔵エネルギとの間の比較も理解され得る。本出願の電圧変換器200のインダクタ貯蔵エネルギは、従来の電圧変換器のインダクタ貯蔵エネルギよりも低い。たとえば、各サイクルにおける、従来の電圧変換器の最高貯蔵エネルギは898μJであり、各サイクルにおける、本出願の電圧変換器200の最高貯蔵エネルギは587μJである。明らかに、本出願の電圧変換器200の使用により、エネルギ貯蔵インダクタLの誘導エネルギ転換を効果的に低減することができる。
【0022】
図1Bおよび1Cの状況では、キャパシタモジュール210~230が、コントローラ280により供給される制御信号セットScに応じてイネーブルされる。実際には、コントローラ280により供給される制御信号セットScに応じて、第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220がイネーブルされ、ならびに、第3のキャパシタモジュール230がディスエーブルされる。別の変形例では、コントローラ280により供給される制御信号セットScに応じて、第1のキャパシタモジュール210がイネーブルされ、ならびに、第2のキャパシタモジュール220および第3のキャパシタモジュール230がディスエーブルされる。すなわち、本出願の電圧変換器200内の任意の数のキャパシタモジュールが、出力電圧V
Oを発生させるように選択され、および動作させられ得る。
【0023】
キャパシタモジュールがディスエーブル状態にある場合、第1の動作モードにおける、ディスエーブルされたキャパシタモジュールの第2のスイッチング回路はオン状態にあり、第2の動作モードにおける、ディスエーブルされたキャパシタモジュールの第2のスイッチング回路はオフ状態にある。第1の動作モードおよび第2の動作モードそれぞれにおけるディスエーブルされたキャパシタモジュールの第1のスイッチング回路および第3のスイッチング回路は、オフ状態にある。以降、異なる数のイネーブルされたキャパシタモジュールを有する、電圧変換器200のいくつかの実装例が説明される。
【0024】
図2Aおよび2Bは、2つのキャパシタモジュールがイネーブルされた、本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220がイネーブル状態にあり、ならびに第3のキャパシタモジュール230がディスエーブル状態にある。
【0025】
図2Aに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1はオン状態にあり、スイッチング素子SW
2はオフ状態にある。第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220では、第1のスイッチング回路SW
a1およびSW
b1はオン状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2およびSW
b2はオフ状態にあり、ならびに、第3のスイッチング回路SW
a3およびSW
b3はオフ状態にある。本実施形態では、第3のキャパシタモジュール230はディスエーブル状態にある。よって、第3のキャパシタモジュール230では、第2のスイッチング回路SW
c2はオン状態にあり、ならびに、第1のスイッチング回路SW
c1および第3のスイッチング回路SW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、および第1のキャパシタモジュール210のキャパシタC
a1、ならびに、第2のキャパシタモジュール220のキャパシタC
b1は互いに直列に接続されている。電源205は、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
a1およびC
b1を充電するために入力電圧V
iを供給する。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは増加する。インダクタ電圧V
Lは、(V
i-3V
O)に等しい、すなわち、V
L=V
i-3V
Oである。すなわち、第1の動作モードMode1は充電モードである。
【0026】
図2Bに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
2はオン状態にあり、スイッチング素子SW
1はオフ状態にある。第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220では、第1のスイッチング回路SW
a1およびSW
b1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2およびSW
b2はオン状態にあり、ならびに、第3のスイッチング回路SW
a3およびSW
b3はオン状態にある。本実施形態では、第3のキャパシタモジュール230はディスエーブル状態にある。よって、第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1、第2のスイッチング回路SW
c2、および第3のスイッチング回路SW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、第1のキャパシタモジュール210のキャパシタC
a1、および第2のキャパシタモジュール220のキャパシタC
b1は互いに並列に接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは放電を行う。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは3つの電流I
L1~I
L3に分割される。すなわち、I
L1=I
L2=I
L3=I
L/3である。一方、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
a1およびC
b1に移される。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lは(-V
O)に等しい。すなわち、V
L=-V
Oである。すなわち、第2の動作モードMode2は放電モードである。
【0027】
図2Cは、従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lの変化を示す概略タイミング波形図である。
図2Dは、従来の電圧変換器、および本出願の電圧変換器におけるエネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ貯蔵エネルギおよびインダクタ電力Pの変化を示す概略タイミング波形図である。点線は従来の電圧変換器を表しており、実線は本出願の電圧変換器を表している。従来の電圧変換器は、電源、2つのスイッチング素子、エネルギ貯蔵インダクタ、およびエネルギ貯蔵キャパシタを備えている。本出願の電圧変換器200と比較して、従来の電圧変換器は、キャパシタモジュール210~230を備えていない。本出願の電圧変換器200、および従来の電圧変換器の動作条件は、48Vの入力電圧V
i、12Vの出力電圧V
O、および144Wの出力電力を含んでいる。さらに、本出願の電圧変換器200では、第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220がイネーブル状態にあり、第3のキャパシタモジュール230がディスエーブル状態にある。
【0028】
図2Cに示される点線を参照してほしい。従来の電圧変換器が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、インダクタ電圧V
Lは+36Vに等しい、すなわち、V
L=V
i-V
O=48-12である。さらに、従来の電圧変換器が、第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)において動作させられると、インダクタ電圧V
Lは-12Vに等しい。本発明の電圧変換器200では、2つのキャパシタモジュール210および220が、イネーブル状態にある。
図2Cに示される実線を参照してほしい。本出願の電圧変換器200が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、インダクタ電圧V
Lは+12Vに等しい、すなわち、V
L=V
i-3V
O=48-36である。本出願の電圧変換器200が、第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)において動作させられると、インダクタ電圧V
Lは-5Vに等しい。明らかに、第1の動作モードMode1では、インダクタ電圧V
Lは、本出願の電圧変換器200を使用することにより、効果的に低減され得る。すなわち、エネルギ貯蔵インダクタLの両端の最高電圧が低減される。
【0029】
図2Dに示される点線を参照してほしい。従来の電圧変換器が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、エネルギ貯蔵インダクタLの最高インダクタ電力Pは+511Wである。本発明の電圧変換器200では、キャパシタモジュール210および220が、イネーブル状態にある。
図2Dに示される実線を参照してほしい。本出願の電圧変換器200が、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)において動作させられると、エネルギ貯蔵インダクタLの最高インダクタ電力Pは+89Wである。さらに、第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)では、動作時間tに対するインダクタ電力Pの積分により、本出願の電圧変換器200のインダクタ貯蔵エネルギを得ることができる。従来の電圧変換器のインダクタ貯蔵エネルギと、電圧変換器200のインダクタ貯蔵エネルギとの間の比較も理解され得る。本出願の電圧変換器200のインダクタ貯蔵エネルギは、従来の電圧変換器のインダクタ貯蔵エネルギよりも低い。たとえば、各サイクルにおける、従来の電圧変換器の最高貯蔵エネルギは1077μJであり、各サイクルにおける、本出願の電圧変換器200の最高貯蔵エネルギは358μJである。明らかに、本電圧変換器200の使用により、エネルギ貯蔵インダクタLの誘導エネルギ転換を効果的に低減することができる。
【0030】
図3Aおよび3Bは、1つのキャパシタモジュールがイネーブルされた、本出願の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。第1のキャパシタモジュール210がイネーブル状態にあり、第2のキャパシタモジュール220および第3のキャパシタモジュール230がディスエーブル状態にある。
【0031】
図3Aに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1はオン状態にあり、スイッチング素子SW
2はオフ状態にある。第1のキャパシタモジュール210では、第1のスイッチング回路SW
a1はオン状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2はオフ状態にあり、ならびに、第3のスイッチング回路SW
a3はオフ状態にある。本実施形態では、第2のキャパシタモジュール220および第3のキャパシタモジュール230はディスエーブル状態にある。よって、第2のキャパシタモジュール220および第3のキャパシタモジュール230では、第2のスイッチング回路SW
b2およびSW
c2はオン状態にあり、第1のスイッチング回路SW
b1およびSW
c1はオフ状態にあり、ならびに、第3のスイッチング回路SW
b3およびSW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、および第1のキャパシタモジュール210のキャパシタC
a1は互いに直列に接続されている。電源205は、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、およびキャパシタC
a1を充電するために入力電圧V
iを供給する。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは増加する。インダクタ電圧V
Lは、(V
i-2V
O)に等しい、すなわち、V
L=V
i-2V
Oである。すなわち、第1の動作モードMode1は充電モードである。
【0032】
図3Bに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
2はオン状態にあり、スイッチング素子SW
1はオフ状態にある。第1のキャパシタモジュール210では、第1のスイッチング回路SW
a1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2はオン状態にあり、ならびに、第3のスイッチング回路SW
a3はオン状態にある。本実施形態では、第2のキャパシタモジュール220および第3のキャパシタモジュール230はディスエーブル状態にある。よって、第2のキャパシタモジュール220および第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
b1およびSW
c1、第2のスイッチング回路SW
b2およびSW
c2、ならびに第3のスイッチング回路SW
b3およびSW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、および第1のキャパシタモジュール210のキャパシタC
a1は互いに並列に接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは放電を行う。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは2つの電流I
L1、I
L2に分割される。すなわち、I
L1=I
L2=I
L/2である。一方、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、およびキャパシタC
a1に移される。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lは(-V
O)に等しい。すなわち、V
L=-V
Oである。すなわち、第2の動作モードMode2は放電モードである。
【0033】
明らかに、1つのキャパシタモジュールが第1の動作モードMode1においてイネーブルされると、インダクタ電圧VLは、本出願の電圧変換器200を使用することにより、効果的に低減され得る。さらに、本出願の電圧変換器200の使用は、エネルギ貯蔵インダクタLの誘導エネルギ転換を効果的に低減させ得る。
【0034】
図1Aに示される上記実施形態では、電圧変換器200は、互いに接続された3つのキャパシタモジュール210~230を備えている。なお、電圧変換器内のキャパシタモジュールの数は制限されない。すなわち、本出願の電圧変換器は、少なくとも1つのキャパシタモジュールを備え得る。
【0035】
たとえば、電圧変換器はN個のキャパシタモジュールを備えており、N個のキャパシタモジュールはノードcとノードdとの間に接続されており、Nは正の整数である。
【0036】
たとえば、
図1Aに示される実施形態では、電圧変換器200は、少なくとも2つのキャパシタモジュール(たとえば、N=3)を備えている。これらのキャパシタモジュールでは、第1のキャパシタモジュールの第1端は、ノードcに接続され、他のキャパシタモジュールそれぞれの第1端は、その前のキャパシタモジュールの第2端に接続され、そして最後のキャパシタモジュール(すなわち、第Nのキャパシタモジュール)の第2端はノードdに接続される。さらに、電圧変換器200が、単一のキャパシタモジュール(すなわち、N=1)を備えている場合、キャパシタモジュールの第1端はノードcに接続され、キャパシタモジュールの第2端はノードdに接続される。
【0037】
さらに、電圧変換器が通常の動作状態にある場合、電圧変換器内のM個のキャパシタモジュールが、動作するように選択され得る。コントローラの制御下で、M個のキャパシタモジュールはイネーブル状態にあり、その他の(N-M)個のキャパシタモジュールはディスエーブル状態にあり、このとき、Mは正の整数であり、および、Mは、Nに対して小さく、または等しい。
【0038】
すなわち、電圧変換器が第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)で動作させられる場合、M個のイネーブルされたキャパシタモジュール内のM個のキャパシタ、エネルギ貯蔵インダクタL、およびエネルギ貯蔵キャパシタCOは互いに直列に接続される。さらに、電源は、M個のイネーブルされたキャパシタモジュール内のM個のキャパシタ、エネルギ貯蔵インダクタL、およびエネルギ貯蔵キャパシタCOを充電するために、入力電圧Viを供給する。
【0039】
さらに、電圧変換器が第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)で動作させられる場合、M個のイネーブルされたキャパシタモジュール内のM個のキャパシタ、エネルギ貯蔵インダクタL、およびエネルギ貯蔵キャパシタCOは互いに並列に接続される。エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギは、M個のイネーブルされたキャパシタモジュール内のM個のキャパシタ、およびエネルギ貯蔵キャパシタCOに移される。
【0040】
図4は、本出願の第2の実施形態による電圧変換器を示す概略回路図である。第1の実施形態の電圧変換器200と比較して、第2の実施形態の電圧変換器500は、接続要素510をさらに備える。接続要素510は、ノードeとノードdとの間に結合される。たとえば、接続要素510はスイッチング素子SW
3、または短絡回路素子である。
【0041】
たとえば、接続要素510が短絡回路素子である場合、ノードeおよびノードdは、互いに直接接続される。すなわち、接続要素510が短絡回路素子である場合、第2の実施形態の電圧変換器500の構造は、第1の実施形態の電圧変換器200の構造と同じである。電力変換器500が、第1の動作モードMode1または第2の動作モードMode2で動作させられる場合、コントローラ580は、スイッチング素子SW1およびSW2、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3、SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3を制御するための制御信号セットScを発生させる。
【0042】
以下、スイッチング素子SW3は、接続要素510として説明される。第2の実施形態の電圧変換器500の動作は以下のように示される。スイッチング素子SW3は制御信号Sc3を受け取る。コントローラ580は制御信号セットScを発生させる。制御信号セットScは、電圧変換器500内のスイッチング素子SW1~SW3、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3、SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3の接続状態を制御するための複数の制御信号を含んでいる。
【0043】
第2の実施形態では、電圧変換器500内のスイッチング素子SW3の配置により、電圧変換器500の動作が、より柔軟になる。たとえば、第1の実施形態の電圧変換器200内の1つのキャパシタモジュールが、動作するように選択される場合、回路設計、および電流の流れ方向のために、第1のキャパシタモジュール210のみが、イネーブル状態にあるように選択され得る。しかし、第2の実施形態の電圧変換器500内の1つのキャパシタモジュールが、動作するように選択される場合、第1のキャパシタモジュール210または第3のキャパシタモジュール230が、イネーブル状態にあるように柔軟に選択され得る。
【0044】
さらに、第1の実施形態の電圧変換器200内の2つのキャパシタモジュールが、動作するように選択される場合、回路設計、および電流の流れ方向のために、第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220のみが、イネーブル状態にあるように選択され得る。しかし、第2の実施形態の電圧変換器500内の2つのキャパシタモジュールが、動作するように選択される場合、第1のキャパシタモジュール210、第2のキャパシタモジュール220、および第3のキャパシタモジュール230のいずれか2つが、イネーブル状態にあるように柔軟に選択され得る。その理由については、以下にさらに詳細に説明される。
【0045】
図5Aおよび5Bは、第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択された、第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【0046】
図5Aに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1はオン状態にあり、スイッチング素子SW
2はオフ状態にあり、および、接続要素510としてのスイッチング素子SW
3はオフ状態にある。本実施形態では、第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220は、ディスエーブルされている。第1のキャパシタモジュール210では、第2のスイッチング回路SW
a2はオン状態にあり、第1のスイッチング回路SW
a1および第3のスイッチング回路SW
a3はオフ状態にある。第2のキャパシタモジュール220では、3つのスイッチング回路SW
b1~SW
b3はオフ状態にある。第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1および第2のスイッチング回路SW
c2はオン状態にあり、第3のスイッチング回路SW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、および第3のキャパシタモジュール230のキャパシタC
c1が互いに直列に接続されている。電源205は、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、およびキャパシタC
c1を充電するために、入力電圧V
iを供給する。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは増加する。インダクタ電圧V
Lは、(V
i-2V
O)に等しい、すなわち、V
L=V
i-2V
Oである。すなわち、第1の動作モードMode1は充電モードである。
【0047】
図5Bに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
2はオン状態にあり、スイッチング素子SW
1はオフ状態にあり、および、接続要素510としてのスイッチング素子SW
3はオン状態にある。本実施形態では、第1のキャパシタモジュール210および第2のキャパシタモジュール220は、ディスエーブルされている。第1のキャパシタモジュール210では、第2のスイッチング回路SW
a2はオン状態にあり、第1のスイッチング回路SW
a1および第3のスイッチング回路SW
a3はオフ状態にある。第2のキャパシタモジュール220では3つのスイッチング回路SW
b1~SW
b3はオフ状態にある。第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
c2および第3のスイッチング回路SW
c3はオン状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、および第3のキャパシタモジュール230のキャパシタC
c1が互いに並列に接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは放電を行う。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは2つの電流I
L1およびI
L2に分割される。すなわち、I
L1=I
L2=I
L/2である。一方、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、およびキャパシタC
c1に移される。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lは(-V
O)に等しい。すなわち、V
L=-V
Oである。すなわち、第2の動作モードMode2は放電モードである。
【0048】
図6Aおよび6Bは、第1のキャパシタモジュールおよび第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択された、第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【0049】
図6Aに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1はオン状態にあり、スイッチング素子SW
2はオフ状態にあり、および、接続要素510としてのスイッチング素子SW
3はオフ状態にある。第1のキャパシタモジュール210では、第1のスイッチング回路SW
a1はオン状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2および第3のスイッチング回路SW
a3はオフ状態にある。本実施形態では、第2のキャパシタモジュール220はディスエーブルされている。よって、第2のキャパシタモジュール220では、第2のスイッチング回路SW
b2はオン状態にあり、第1のスイッチング回路SW
b1および第3のスイッチング回路SW
b3はオフ状態にある。第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1および第2のスイッチング回路SW
c2はオン状態にあり、第3のスイッチング回路SW
c3はオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、第1のキャパシタモジュール210のキャパシタC
a1、および第3のキャパシタモジュール230のキャパシタC
c1が互いに直列に接続されている。電源205は、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびに、キャパシタC
a1およびC
c1を充電する。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは増加する。インダクタ電圧V
Lは、(V
i-3V
O)に等しい、すなわち、V
L=V
i-3V
Oである。すなわち、第1の動作モードMode1は充電モードである。
【0050】
図6Bに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
2はオン状態にあり、スイッチング素子SW
1はオフ状態にあり、および、接続要素510としてのスイッチング素子SW
3はオン状態にある。第1のキャパシタモジュール210では、第1のスイッチング回路SW
a1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2および第3のスイッチング回路SW
a3はオン状態にある。本実施形態では、第2のキャパシタモジュール220はディスエーブルされている。よって、第2のキャパシタモジュール220では、3つのスイッチング回路SW
b1~SW
b3はオフ状態にある。第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
c2および第3のスイッチング回路SW
c3はオン状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、第1のキャパシタモジュール210のキャパシタC
a1、および第3のキャパシタモジュール230のキャパシタC
c1が互いに並列に接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは放電を行う。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは3つの電流I
L1、I
L2、およびI
L3に分割される。すなわち、I
L1=I
L2=I
L3=I
L/3である。一方、エネルギ貯蔵インダクタLの貯蔵エネルギは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
a1およびC
c1に移される。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lは(-V
O)に等しい。すなわち、V
L=-V
Oである。すなわち、第2の動作モードMode2は放電モードである。
【0051】
図7Aおよび7Bは、第2のキャパシタモジュールおよび第3のキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択された、第2の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。
【0052】
図7Aに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1がオン状態にあり、スイッチング素子SW
2がオフ状態にあり、および接続要素510としてのスイッチング素子SW
3がオフ状態にある。本実施形態では、第1のキャパシタモジュール210はディスエーブルされている。よって、第1のキャパシタモジュール210では、第2のスイッチング回路SW
a2がオン状態にあり、第1のスイッチング回路SW
a1および第3のスイッチング回路SW
a3がオフ状態にある。第2のキャパシタモジュール220では、第3のスイッチング回路SW
b3がオフ状態にあり、第1のスイッチング回路SW
b1および第2のスイッチング回路SW
b2がオン状態にある。第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1がオン状態にあり、第2のスイッチング回路SW
c2および第3のスイッチング回路SW
c3がオフ状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、第2のキャパシタモジュール220のキャパシタC
b1、および第3のキャパシタモジュール230のキャパシタC
c1が互いに直列に接続されている。電源205は、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
b1およびC
c1を充電するために、入力電圧V
iを供給する。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは増加する。インダクタ電圧V
Lは、(V
i-3V
O)に等しい、すなわち、V
L=V
i-3V
Oである。すなわち、第1の動作モードMode1は充電モードである。
【0053】
図7Bに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
2がオン状態にあり、スイッチング素子SW
1がオフ状態にあり、および接続要素510としてのスイッチング素子SW
3がオン状態にある。本実施形態では、第1のキャパシタモジュール210はディスエーブルされている。よって、第1のキャパシタモジュール210では、第2のスイッチング回路SW
a2がオン状態にあり、第1のスイッチング回路SW
a1および第3のスイッチング回路SW
a3がオフ状態にある。第2のキャパシタモジュール220では、第1のスイッチング回路SW
b1がオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
b2および第3のスイッチング回路SW
b3がオン状態にある。第3のキャパシタモジュール230では、第1のスイッチング回路SW
c1がオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
c2および第3のスイッチング回路SW
c3がオン状態にある。この状況下で、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、第2のキャパシタモジュール220のキャパシタC
b1、および第3のキャパシタモジュール230のキャパシタC
c1が互いに並列に接続されている。エネルギ貯蔵インダクタLは放電を行う。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電流I
Lは3つの電流I
L1、I
L2、およびI
L3に分割される。すなわち、I
L1=I
L2=I
L3=I
L/3である。一方、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
b1およびC
c1に移される。エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧V
Lは(-V
O)に等しい。すなわち、V
L=-V
Oである。すなわち、第2の動作モードMode2は放電モードである。
【0054】
第1の実施形態の電圧変換器200および第2の実施形態の電圧変換器500では、電源205により供給される入力電圧ViはDC電圧である。一部の他の実施形態では、電源205により供給される入力電圧Viは、整流された電圧である。さらに、電圧変換器200および500では、選択されるキャパシタモジュールの数は、整流された電圧と出力電圧との間の関係により、定められ得る。よって、電圧変換器の性能が高められる。
【0055】
一実施形態では、電圧変換器において選択されるキャパシタモジュールの最大数は、M=[Vi/VO-1]として表される。すなわち、括弧内の算出値の小数点以下が無条件に切り捨てられた後、整数Mが得られる。この意味合いで、選択されるキャパシタモジュールの最大数Mは、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギを最小値まで低減させるための、イネーブルされるキャパシタモジュールの最大数を表す。実際には、より小さい数のキャパシタモジュール(たとえば、M個よりも少ないキャパシタモジュール)が、電圧変換器において使用される。M個よりも少ないキャパシタモジュールが本出願の電圧変換器において使用された場合にも、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギを低減させる効果が、従来の電圧変換器と比較して高められる。一般に、電圧変換器がDC-DC電圧変換器である場合、入力電圧は固定電圧である。この状況下では、電圧変換器において選択されるキャパシタモジュールの最大数が実現可能である。しかし、電圧変換器の入力電圧が、交流電圧の整流により得られる整流された電圧である場合、入力電圧は固定でない。この状況下では、イネーブルされるキャパシタモジュールの数は、整流された電圧の電圧値に応じて動的に定められ得る。
【0056】
図8は、非定電圧電源により供給される入力電圧を示す概略タイミング波形図である。本実施形態では、電源205は交流電圧を入力電圧V
iに変換するための全波整流器を備えており、入力電圧V
iは、整流された電圧である。
図8では、V
PKは、整流された電圧のピーク電圧を表す。排他的でないが好ましくは、入力電圧V
iが4×V
Oと5×V
Oとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内の最大3つのキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択される(すなわち、M=3)。排他的でないが好ましくは、入力電圧V
iが3×V
Oと4×V
Oとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内の最大2つのキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択される(すなわち、M=2)。排他的でないが好ましくは、入力電圧V
iが2×V
Oと3×V
Oとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内の最大1つのキャパシタモジュールがイネーブル状態にあるように選択される(すなわち、M=1)。入力電圧V
iが1×V
Oと2×V
Oとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内のすべてのキャパシタモジュールがディスエーブル状態にあるように選択される(すなわち、M=0)。
【0057】
たとえば、出力電圧VOが+40Vである。整流された電圧(すなわち、入力電圧Vi)が40Vと80Vとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内のゼロ個のキャパシタモジュール(すなわち、M=0)が、動作するように選択され得る。整流された電圧(すなわち、入力電圧Vi)が80Vと120Vとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内の1つのキャパシタモジュール(すなわち、M=1)が、動作するように選択され得る。整流された電圧(すなわち、入力電圧Vi)が120Vと160Vとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内の2つのキャパシタモジュール(すなわち、M=2)が、動作するように選択され得る。整流された電圧(すなわち、入力電圧Vi)が160Vと200Vとの間の範囲内にある場合、電圧変換器内の3つのキャパシタモジュール(すなわち、M=3)が、動作するように選択され得る。
【0058】
さらに、第1の実施形態の電圧変換器200および第2の実施形態の電圧変換器500では、スイッチング素子SW1、SW2、およびSW3、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3、SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3は、種々のアクティブスイッチにより実現され得る。たとえば、アクティブスイッチは、パワーMOSFETトランジスタ、IGBTトランジスタ、GaN MOSFETトランジスタ、SiC MOSFETトランジスタ、またはいずれかの他の適切なパワートランジスタを含んでいる。いくつかの他の実施形態では、スイッチング素子SW2がダイオードにより実現される。以下の実施形態では、スイッチング回路としてパワートランジスタを備えるキャパシタモジュールが示される。
【0059】
図9は、パワートランジスタを使用したキャパシタモジュールを示す概略回路図である。キャパシタモジュール700は、第1端a1、第2端a2、キャパシタC
1、第1のトランジスタQ
1、第2のトランジスタQ
2、および第3のトランジスタQ
3を備えている。トランジスタQ
1~Q
3それぞれは、第1のドレイン/ソース端子、第2のドレイン/ソース端子、およびゲート端子を備えている。
【0060】
キャパシタモジュール700の第1端a1は、キャパシタC1の第1の端子に接続されている。第1のトランジスタQ1の第1のドレイン/ソース端子は、キャパシタC1の第2の端子に接続されている。第1のトランジスタQ1の第2のドレイン/ソース端子は、キャパシタモジュール700の第2端a2に接続されている。第1のトランジスタQ1のゲート端子は制御信号Sca1を受け取る。第2のトランジスタQ2の第1のドレイン/ソース端子は、キャパシタモジュール700の第1端a1に接続されている。第2のトランジスタQ2のゲート端子は制御信号Sca2を受け取る。第3のトランジスタQ3の第1のドレイン/ソース端子は、キャパシタC1の第2の端子に接続されている。第3のトランジスタQ3のゲート端子は制御信号Sca3を受け取る。さらに、第2のトランジスタQ2の第2のドレイン/ソース端子は電圧変換器のノードeに接続されており、第3のトランジスタQ3の第2のドレイン/ソース端子は電圧変換器のノードbに接続されている。実際には、キャパシタモジュール210~230のいずれかが、キャパシタモジュール700により、実現され得る。
【0061】
図10Aは、本出願の第3の実施形態による電圧変換器を示す概略回路図である。第1の実施形態の電圧変換器200と比較して、第3の実施形態の電圧変換器900は、エネルギ貯蔵インダクタLおよび第2のスイッチング素子SW
2を備えていない。さらに、ノードaが、第1のキャパシタモジュール210の第1端a1に直接接続されている。第3の実施形態の電圧変換器900の関連付けられたコンポーネント間の接続関係は、第1の実施形態のものと同様であり、本明細書中、重複して説明されない。
【0062】
同様に、コントローラ280は、制御信号セットScを発生させる。制御信号セットScは、電圧変換器900内の、スイッチング素子SW1、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3、SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3の接続状態を制御するための、複数の制御信号Sc1、Sca1~Sca3、Scb1~Scb3、およびScc1~Scc3を含む。よって、第3の実施形態の電圧変換器900内の任意の数のキャパシタモジュールが、動作するように選択され得る。簡潔にするために、イネーブルされた3つのキャパシタモジュールを有する電圧変換器900が、以下のように示される。簡潔にするために、コントローラ280の動作、ならびに制御信号Sc1、Sca1~Sca3、Scb1~Scb3、およびScc1~Scc3に関する説明は割愛される。すなわち、スイッチング素子SW1、ならびにスイッチング回路SWa1~SWa3、SWb1~SWb3、およびSWc1~SWc3の状態だけが、以下のように説明される。
【0063】
図10Bおよび10Cは、第3の実施形態の電圧変換器の動作を示す概略回路図である。電圧変換器900が通常動作状態にある場合、電圧変換器900の動作モードは、第1の動作モードMode1と第2の動作モードMode2との間で切り替えられる。
【0064】
図10Bに示されるように、第1の動作モードMode1では、スイッチング素子SW
1はオン状態にある。3つのキャパシタモジュール210、220、および230では、第1のスイッチング回路SW
a1、SW
b1、およびSW
c1はオン状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2、SW
b2、およびSW
c2はオフ状態にあり、第3のスイッチング回路SW
a3、SW
b3、およびSW
c3はオフ状態にある。この状況下では、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタモジュール210、220、および230のキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1は、互いに直列に接続されている。電源205の入力電圧V
iは、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1を充電するために、充電電流I
CHGを供給する。一方、電圧変換器900の出力電圧V
Oは、入力電圧V
iの1/4に等しい、すなわち、V
i=4V
Oである。
【0065】
図10Cに示されるように、第2の動作モードMode2では、スイッチング素子SW
1はオフ状態にある。3つのキャパシタモジュール210、220、および230では、第1のスイッチング回路SW
a1、SW
b1、およびSW
c1はオフ状態にあり、第2のスイッチング回路SW
a2、SW
b2、およびSW
c2はオン状態にあり、第3のスイッチング回路SW
a3、SW
b3、およびSW
c3はオン状態にある。この状況下では、エネルギ貯蔵キャパシタC
O、ならびにキャパシタモジュール210、220、および230のキャパシタC
a1、C
b1、およびC
c1は、互いに並列に接続されている。
【0066】
以上の説明から、本出願は電圧変換器を提供する。第1の実施形態の電圧変換器200または第2の実施形態の電圧変換器500が第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)にある場合、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタ、および、キャパシタモジュールのキャパシタが、互いに直列に接続されて、充電経路を画定する。よって、エネルギ貯蔵インダクタLのインダクタ電圧VLが低減される。第1の実施形態の電圧変換器200または第2の実施形態の電圧変換器500が第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)にある場合、エネルギ貯蔵インダクタL、エネルギ貯蔵キャパシタ、および、キャパシタモジュールのキャパシタが、互いに並列に接続されている。よって、エネルギ貯蔵インダクタL内の貯蔵エネルギが、キャパシタモジュールのキャパシタに移される。第3の実施形態の電圧変換器900が第1の動作モードMode1(すなわち、充電モード)にある場合、エネルギ貯蔵キャパシタ、および、キャパシタモジュールのキャパシタが、互いに直列に接続されて、充電経路を画定する。第3の実施形態の電圧変換器900が第2の動作モードMode2(すなわち、放電モード)にある場合、エネルギ貯蔵キャパシタ、および、キャパシタモジュールのキャパシタが、互いに並列に接続される。
【0067】
本出願は、何が現在最も実用的であり且つ好ましい実施形態であると考えられるかという点で説明されてきたが、本出願が、開示された実施形態に限定されなくてよいことが理解されるであろう。他方で、添付の請求項の趣旨および範囲内に含まれる種々の修正および同様の配置を包含することが意図されており、上記添付の請求項には、そうした修正および同様の構造を包含するように最も広い解釈が与えられる。