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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】フォトマスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/29 20120101AFI20240627BHJP
   G03F 1/32 20120101ALI20240627BHJP
   G03F 1/00 20120101ALI20240627BHJP
【FI】
G03F1/29
G03F1/32
G03F1/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023158489
(22)【出願日】2023-09-22
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】302003244
【氏名又は名称】株式会社エスケーエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】小西 芳広
(72)【発明者】
【氏名】山田 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】川原 未佑
(72)【発明者】
【氏名】上南 亮太
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-317062(JP,A)
【文献】特開2005-107195(JP,A)
【文献】特開2010-079110(JP,A)
【文献】特開2017-182052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/29
G03F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写パターンを備えたフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板上に下層膜、前記下層膜上に上層膜が形成されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
前記上層膜上に第1のレジストパターンを形成する第1のエッチングマスク形成工程と、
前記第1のレジストパターンをマスクにして前記上層膜を前記下層膜に対して選択的にエッチングして、上層パターンを形成する第1のパターニング工程と、
前記第1のレジストパターンを変形し、前記上層パターンの側壁を覆う第2のレジストパターンを形成する第2のエッチングマスク形成工程と、
前記第2のレジストパターンをマスクにして前記下層膜をエッチングし、下層パターンを形成する第2のパターニング工程と、
前記第2のレジストパターンを除去するエッチングマスク除去工程と
を含み、
前記転写パターンは、前記上層パターンと前記下層パターンとの積層から構成され、
前記転写パターンに隣接し、前記下層パターンのみから構成されるリム部を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項2】
転写パターンを備えたフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板上に下層膜、前記下層膜上に中間膜、前記中間膜に上層膜が形成されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
前記上層膜上に第1のレジストパターンを形成する第1のエッチングマスク形成工程と、
前記第1のレジストパターンをマスクにして前記上層膜を前記中間膜に対して選択的にエッチングして、上層パターンを形成する第1のパターニング工程と、
前記第1のレジストパターンを変形し、前記上層パターンの側壁を覆う第2のレジストパターンを形成する第2のエッチングマスク形成工程と、
前記第2のレジストパターンをマスクにして前記中間膜及び前記下層膜をエッチングし、中間層パターン及び下層パターンを形成する第2のパターニング工程と、
前記第2のレジストパターンを除去するエッチングマスク除去工程と
を含み、
前記転写パターンは、前記上層パターンと前記中間層パターンと前記下層パターンとの積層から構成され、
前記転写パターンに隣接し、前記中間層パターンと前記下層パターンとの積層から構成されるリム部を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
【請求項3】
前記第2のエッチングマスク形成工程において、熱処理を施すことにより前記第1のレジストパターンを変形する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項4】
前記リム部は、露光光の代表波長に対する透過率が3%以上、70%以下である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項5】
前記リム部は、露光光の代表波長に対する位相シフト角が160°以上、200°以下である
ことを特徴とする請求項1又は2記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項6】
前記中間膜は、前記下層膜及び前記上層膜と異なるエッチング特性を有し、
前記下層膜及び前記上層膜は、同じエッチング特性を有する
ことを特徴とする請求項2記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項7】
前記エッチングマスク除去工程の後に、
前記上層パターンをマスクにして、前記中間層パターンを前記下層パターンに対して選択的にエッチングし、前記リム部の前記中間層パターンを除去する第3のパターニング工程を含み、
前記リム部を前記下層パターンのみから構成する
ことを特徴とする請求項2記載のフォトマスクの製造方法。
【請求項8】
前記エッチングマスク除去工程の後に、部分的に前記中間層パターンを覆う第3のレジストパターンを形成する中間層マスク形成工程と、
前記第3のレジストパターンをマスクにして、前記中間層パターンをパターニングする中間層パターニング工程と、
前記第3のレジストパターンを除去する中間層マスク除去工程と
を含み、
前記リム部は前記下層パターンのみから構成された第1のリム部と、前記中間層パターンと前記下層パターンとの積層から構成される第2のリム部とを有する
ことを特徴とする請求項2記載のフォトマスクの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等のフラットパネルディスプレイに関して、画像の品質向上等のため、パターンの微細化が要求されている。フォトマスクのパターンを、被転写対象であるフォトレジスト膜に転写すると、光の回折や干渉等の影響により、フォトレジスト膜のエッジ形状がなだらかになり、パターンの微細化の妨げとなることがある。フォトレジスト膜のエッジ形状を急峻な形状とし、精細なパターン形成を可能とするため、フォトマスクの転写パターンのエッジに、露光光の強度分布を調整するためのリム部を設けることがある。
特許文献1は、遮光膜のパターンを形成後、位相シフト膜を形成し、位相シフト膜をパターニングすることにより、遮光膜のパターンの周囲に位相シフト膜のリム部を形成する方法が開示されている。
特許文献2は、積層構造の膜を形成後、フォトレジストのパターンを形成し、上層膜及び下層膜をエッチングし、その後上層膜をサイドエッチングする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-13283号公報
【文献】特開2013-134435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている方法は、2回のリソグラフィー工程が必要であり、工程が複雑であるとともに、露光工程におけるアライメントずれに起因して、下層の遮光パターンと上層の位相シフトパターンとの間に位置ずれが生じることがある。
特許文献2に開示されている方法は、1回のリソグラフィー工程によって形成されたレジストパターンを用いて上層膜と下層膜をパターニングするため、アライメントずれの問題を解決できるが、上層膜を2回のエッチングプロセスによりパターニングする必要がある。
【0005】
上記課題を鑑み、本発明は、自己整合的にリム部を形成することを可能にするフォトマスクの製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
転写パターンを備えたフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板上に下層膜、前記下層膜上に上層膜が形成されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
前記上層膜上に第1のレジストパターンを形成する第1のエッチングマスク形成工程と、
前記第1のレジストパターンをマスクにして前記上層膜を前記下層膜に対して選択的にエッチングして、上層パターンを形成する第1のパターニング工程と、
前記第1のレジストパターンを変形し、前記上層パターンの側壁を覆う第2のレジストパターンを形成する第2のエッチングマスク形成工程と、
前記第2のレジストパターンをマスクにして前記下層膜をエッチングし、下層パターンを形成する第2のパターニング工程と、
前記第2のレジストパターンを除去するエッチングマスク除去工程と
を含み、
前記転写パターンは、前記上層パターンと前記下層パターンとの積層から構成され、
前記転写パターンに隣接し、前記下層パターンのみから構成されるリム部を有することを特徴とする。
【0007】
このようなフォトマスクの製造方法とすることで、自己整合的にリム部を形成することが可能になる。また、1回のエッチングプロセスによって上層膜のパターニングが可能になる。
【0008】
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、
転写パターンを備えたフォトマスクの製造方法であり、
透過性基板上に下層膜、前記下層膜上に中間膜、前記中間膜に上層膜が形成されたフォトマスクブランクスを準備するフォトマスクブランクス準備工程と、
前記上層膜上に第1のレジストパターンを形成する第1のエッチングマスク形成工程と、
前記第1のレジストパターンをマスクにして前記上層膜を前記中間膜に対して選択的にエッチングして、上層パターンを形成する第1のパターニング工程と、
前記第1のレジストパターンを変形し、前記上層パターンの側壁を覆う第2のレジストパターンを形成する第2のエッチングマスク形成工程と、
前記第2のレジストパターンをマスクにして前記中間膜及び前記下層膜をエッチングし、中間層パターン及び下層パターンを形成する第2のパターニング工程と、
前記第2のレジストパターンを除去するエッチングマスク除去工程と
を含み、
前記転写パターンは、前記上層パターンと前記中間層パターンと前記下層パターンとの積層から構成され、
前記転写パターンに隣接し、前記中間層パターンと前記下層パターンとの積層から構成されるリム部を有することを特徴とする。
【0009】
このようなフォトマスクの製造方法とすることで、リム部の自己整合的形成が可能となるとともに、1回のエッチングプロセスによって上層膜のパターニングが可能になり、また、リム部の光学特性の調整も可能となる。
【0010】
また、上記構成において、
前記第2のエッチングマスク形成工程において、熱処理を施すことにより前記第1のレジストパターンを変形してもよい。
【0011】
このようなフォトマスクの製造方法により、第1のレジストパターンが熱処理によって流動し、上層パターンの側壁を覆うことができる。
【0012】
また、上記構成において、
前記リム部は、露光光の代表波長に対する透過率が3%以上、70%以下であってもよい。
【0013】
また、上記構成において、
前記リム部は、露光光の代表波長に対する位相シフト角が160°以上、200°以下であってもよい。
【0014】
このようなフォトマスクの製造方法により、被露光対象であるレジストパターンのエッジ形状を急峻にすることができる。
【0015】
また、上記構成において、
前記中間膜は、前記下層膜及び前記上層膜と異なるエッチング特性を有し、
前記下層膜及び前記上層膜は、同じエッチング特性を有してもよい。
【0016】
このようなフォトマスクの製造方法により、生産管理の負担の軽減に寄与することができる。
【0017】
また、上記構成において、
前記エッチングマスク除去工程の後に、
前記上層パターンをマスクにして、前記中間層パターンを前記下層パターンに対して選択的にエッチングし、前記リム部の前記中間層パターンを除去する第3のパターニング工程を含み、
前記リム部を前記下層パターンのみから構成してもよい。
【0018】
このようなフォトマスクの製造方法により、リム部の光学特性の調整が可能となる。
【0019】
また、上記構成において、
前記エッチングマスク除去工程の後に、部分的に前記中間層パターンを覆う第3のレジストパターンを形成する中間層マスク形成工程と、
前記第3のレジストパターンをマスクにして、前記中間層パターンをパターニングする中間層パターニング工程と、
前記第3のレジストパターンを除去する中間層マスク除去工程と
を含み、
前記リム部は前記下層パターンのみから構成された第1のリム部と、前記中間層パターンと前記下層パターンとの積層から構成される第2のリム部とを有してもよい。
【0020】
このようなフォトマスクの製造方法により、異なる光学特性を有するリム部を形成することが可能となり、種々の転写パターンに適用することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、フォトマスクの製造方法において、自己整合的にリム部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態1にかかるフォトマスク100の主要な製造工程を模式的に示す断面図である。
図2図2は、実施形態1にかかるフォトマスク100の主要な製造工程を模式的に示す断面図である。
図3図3(A)、(B)は、上層パターン3aが、開口部OPを有する例を模式的に示す平面図、及び断面図である。
図4図4は、配線パターン形状の上層パターン3aを形成する工程を示す断面図及び平面図である。
図5図5、実施形態2にかかるフォトマスク100の主要な製造工程を模式的に示す断面図である。
図6図6は、実施形態2にかかるフォトマスク100の主要な製造工程を模式的に示す断面図である。
図7図7は、実施形態2にかかるフォトマスク100の平面図を模式的に示す。
図8図8は、配線パターン形状の上層パターン3aを形成する工程を示す断面図及び平面図である。
図9図9(A)、(B)は、周囲に下層膜2から構成されるリム部RMが設けられた配線パターンの例を模式的に示す断面図及び平面図である。
図10図10は、異なる光学特性を有するリム部RMが設けられたパターンを形成する工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0024】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0025】
(実施形態1)
以下、図面を参照し、被露光対象に転写するためのパターン(転写パターンと称す)を備えたフォトマスク100の製造方法について説明する。
図1図2は、実施形態1にかかるフォトマスク100の主要な製造工程を模式的に示す断面図である。
【0026】
<積層膜形成工程:フォトマスクブランクス準備工程>
まず、図1(A)に示すように、PVD法、CVD法等の成膜方法により、石英等の透過性基板1上に下層膜2を(例えば、非限定的に、膜厚5~20[nm])形成する。その後、下層膜2上に上層膜3を(例えば、非限定的に、膜厚30[nm]~100[nm])形成する。
透過性基板1上に下層膜2及び上層膜3を有するフォトマスクブランクス10を準備することができる。
【0027】
下層膜2は、例えば、半透過性を有する半透過膜であり、例えば金属、金属化合物(Cr系化合物、Ni系化合物、Ti系化合物等)、金属シリサイド化合物(例えばMoシリサイド、Zrシリサイド等)、窒化物(ZrN等)等の材料からなる膜をPVD法、CVD法等により成膜される。
なお、半透過性を有するとは、フォトマスク100を用いたリソグラフィー工程において使用する露光光(例えば、i線、h線、g線、又はこれらから選択される任意の混合光)に含まれる代表波長に対して、透過率が、透過性基板1の透過率よりも低く、後述する遮光性を有する膜の透過率よりも高いことを意味することができる。
【0028】
下層膜2の光学特性は、後述するリム部RMの光学特性を決定し、使用用途に合わせて適宜設定することができる。
下層膜2をハーフトーン膜として利用する場合、例えば、露光光の代表波長に対する透過率を3~70%(3%≦透過率≦70%)とし、位相シフト角を低く(例えば0°より高く、20°以下)に設定することができる。
また、下層膜2を位相シフト膜として利用する場合、例えば、露光光の代表波長に対する透過率が3~50%(3%≦透過率≦50%)であり、(位相を反転させるために)位相シフト角が略180°(160°≦位相シフト量≦200°)、さらに好適には170°≦位相シフト量≦190°になるよう設定することができる。
【0029】
上層膜3は下層膜2と異なるエッチング特性を有し、下層膜2に対して選択的にエッチングが可能であり、例えば金属、金属化合物、Si系化合物、金属シリサイド化合物等から構成される膜をPVD法、CVD法等により成膜される。
上層膜3は、例えば遮光性を有し、好適には、さらに表面反射を低減する機能を有する膜が採用されるが、上層膜3単独で遮光性を有するのではなく、上層膜2と下層膜3とを半透過膜から構成し、上層膜3と下層膜2との積層構造が遮光性を有してもよい。
なお、遮光性を有するとは、例えば、非限定的に、光学濃度(OD値)が2.7以上であることを意味する。
【0030】
なお、上層膜2と下層膜3との積層構造が半透過性を有してもよい。フォトマスク100を用いて形成するパターン寸法、形状及び使用する露光光に従い、上層膜2と下層膜3との積層構造の光学特性を適宜設定することができる。
【0031】
<第1のエッチングマスク形成工程>
次に図1(B)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4(第1のフォトレジスト膜)を塗布法等により上層膜3上に形成する。
その後、図1(C)の断面図に示すように、フォトレジスト膜4をレーザ描画等による露光及び現像によりパターニングを行い、第1のレジストパターン4a(第1のエッチングマスク)を形成する。
【0032】
<第1のパターニング工程:上層パターン形成工程>
次に図2(A)の断面図に示すように、第1のレジストパターン4aをエッチングマスクにして、下層膜2に対して選択的に上層膜3をエッチングし、下層膜2の表面を露出し、さらに、上層膜3の側壁面をサイドエッチングし、後退させることにより、上層パターン3aを形成する。図2(A)に示すように、上層パターン3aの側壁面3s(上層側壁面)は、第1のレジストパターン4aの側壁面4s(レジスト側壁面)より所定量D後退している。
エッチングは等方エッチングが採用され、ドライエッチングであってもよいが、好適にはウェットエッチング採用される。エッチャントは公知のエッチャントを使用することができる。
【0033】
<第2のエッチングマスク形成工程>
次に図2(B)の断面図に示すように、第1のレジストパターン4aを、例えば熱処理(例えば熱処理温度200~300℃)を施すことにより、変形させ、第2のレジストパターン4b(第2のエッチングマスク)を形成する。
例えば、第1のレジストパターン4aは、ガラス転移温度以上の温度での熱処理(リフロー処理)により流動させることで変形(リフロー)し、上層パターン3aの側壁面3sを覆う形状を有する第2のレジストパターン4bに変形することができる。側壁面3sを覆う距離L(被覆量)は、サイドエッチング量D及び第1のレジストパターン4aの熱処理条件に依存して決定される。
【0034】
上記のように第1のレジストパターン4aに対して熱処理を施すことで、上層パターン3aの側壁面3s及び下層膜2の表面2fに接触する第2のレジストパターン4bを得ることができる。予め、第1のレジストパターン4aの形状に対する熱処理温度及び処理時間のデータを取得し、得られたデータを基に熱処理条件(リフロー条件)を決定することができる。
【0035】
なお、熱処理による変形を促進するため、第1のレジストパターン4aに対して露光処理を追加してもよい。露光によって第1のレジストパターン4aの変形温度を調整(低下)することで、第1のレジストパターン4aの流動による変形を促進させることができる。
この場合第1のレジストパターン4aを形成するための露光工程において、全面に低ドーズ量で露光してもよく、図2Aの工程後に、第1のレジストパターン4aに対して露光処理を追加してもよい。
【0036】
図2Bに示す熱処理の代わりに薬液によって第1のレジストパターン4aを流動させ変形(リフロー)してもよい。第1のレジストパターン4aを溶解する薬液に浸漬する、又は蒸気暴露により薬液を浸透することで、第1のレジストパターン4aを変形させることができる。なお、このとき、熱処理を施してもよい。
【0037】
図2Aに示す工程後、図2Bに示す工程に変えて、酸により架橋する架橋性樹脂を塗布し、熱処理又は露光によって、第1のレジストパターン4aから酸を発生させ、第1のレジストパターン4aの周囲において架橋反応を起こすことで、架橋性樹脂から構成される被覆膜を形成してもよい。第1のレジストパターン4aの周囲に、上層パターン3aの側壁面3s及び下層膜2の表面2fに接触する被覆膜を形成することで、第2のレジストパターン4bを得ることができる。
【0038】
<第2のパターニング工程:下層パターン形成工程>
次に図2(C)の断面図に示すように、第2のレジストパターン4bをエッチングマスクにして、下層膜2をエッチングし、下層パターン2aを形成する。上層パターン3aは第2のレジストパターン4bによって保護されているため、エッチングされない。
なお、エッチングは、公知のウェットエッチングを好適に採用することができるが、ドライエッチングであってもよい。
【0039】
このように、1回のレーザ描画等による露光工程によって形成された第1のレジストパターン4aを利用して、上層パターン3a及び下層パターン2aの異なる形状のパターンを形成することができる。
【0040】
<エッチングマスク除去工程>
次に図2(D)の断面図に示すように、第2のレジストパターン4bをアッシング、ウェット洗浄等により除去する。
【0041】
下層パターン2aの側壁面2s(下層側壁面)に対して上層パターン3aの側壁面3sが後退する。側壁面2sと側壁面3sとは互いに離隔し、下層パターン2aの表面2f(下層表面)が露出し、下層パターン2aのみから構成されるリム部RMが形成される。
リム部RMは、下層パターン2aと上層パターン3aとの積層構造から構成される積層パターン(第1の積層パターン)に隣接して、自己整合的に形成され、リム部RMは、下層パターン2aから構成される単層(単層パターン)となる。
リム部RMは、幅Wを有し、リム部の幅Wは、被覆量Lにより決定することができ、下層膜2のサイドエッチングが無ければ、リム部の幅Wは被覆量Lと等しくなる。
リム部の幅Wは、例えば0.1μm~2μm、典型的には0.2~0.8μmに設定することができる。
下層パターン2aと上層パターン3aとの積層構造から構成される積層パターンが転写パターンを構成し、リム部RMは、転写パターンのエッジ部に隣接して形成され、露光光の強度分布等を調整することができる補助パターンを構成する。
【0042】
リム部RMの光学特性は下層膜2によって定まる。また、リム部RM以外の領域に要求される光学特性は、下層膜2と上層膜3との積層構造の光学特性によって実現することができる。
例えば、リム部RMは半透過性を有し、さらに位相シフト領域とし、下層膜2と上層膜3との積層構造から構成される積層パターンを遮光パターンとする場合、下層膜2と上層膜3との積層構造が、遮光性を有するように設定されればよい。
また、リム部RM以外の領域の光学特性として、半透過性が要求される場合、下層膜2と上層膜3との積層構造が所望の透過率を実現すればよい。
【0043】
下層膜2から構成されているリム部RMを位相反転部や透過光強度を調整するハーフトーン部として機能させることにより、被露光対象であるレジストのエッジ部での光強度分布を改善することができる。
その結果、リム部RMは、転写パターンの解像度を向上させることができる。以下、他の実施形態においても同様である。
【0044】
第1のレジストパターン4aは1回のリソグラフィー工程で形成されており、リム部RMは、下層パターン2a(又は上層パターン3a)に対してアライメントずれが発生せず、自己整合的に形成される。
また、1回のエッチング工程により、上層膜3をパターニングして、上層パターン3aを形成することが可能であり、エッチング工数の低減に寄与することができる。
【0045】
また、下層膜パターニング工程において、上層膜3は、第2のレジストパターン4bで覆われているため、エッチングされることはない。従って、上層膜3に対して下層膜2を選択的にエッチングする必要はなく、エッチャントの選択肢が増える効果もある。
【0046】
フォトマスク100に備えられる転写パターンは、任意のパターン形状であってもよい。
従って、上層パターン3aの形状は、限定されず、上層パターン3aは種々の形状を有することができる。上層パターン3aは、例えば、ホールHLを開口するための形状を有してもよい。
図3(A)、(B)は、上層パターン3aが、開口部OPを有する例を模式的に示す平面図、及び断面図である。
上層パターン3aの開口部OPの内部には所定の幅Wを有するリム部RMが開口部OPの内周に沿って均等に形成されている。リム部RMの内部にホールHLが設けられ、ホールHLにおいて、透過性基板1の表面が露出する。
【0047】
上層パターン3aは、例えば、被露光対象に配線パターンを形成するため、配線パターン形状を有してもよい。
図4は、配線パターン形状の上層パターン3aを形成する工程を示す断面図及び平面図である。
【0048】
図4(A)に示すように、図1(A)、(B)、(C)、図2(A)に示される工程と同様に、透過性基板1に下層膜2、上層膜3を形成し、上層膜3上に第1のレジストパターン4aを形成する。その後、第1のレジストパターン4aをエッチングマスクにして上層膜3を選択的にエッチングし、上層パターン3aを形成する。
なお、上層膜3のサイドエッチング量は、形成するパターンに依存して適宜設定することができる。
【0049】
図4(B)に示すように、図2(B)に示される工程と同様に、第1のレジストパターン4aを変形し、上層パターン3aを覆う第2のレジストパターン4bを形成する。
【0050】
図4(C)、(D)に示すように、図2(C)、(D)に示される工程と同様に、第2のレジストパターン4bをエッチングマスクにして、下層膜2をエッチングし、下層パターン2aを形成し、その後第2のレジストパターン4bを除去する。
【0051】
図4(D)は、上層パターン3a及びリム部RMの形状を示す平面図であり、上層パターン3aによって画定される配線パターンLNの一端部を示す。配線パターンLNの他端部も同様である。
配線パターンLNは、上層パターン3aと下層パターン2aの積層パターンであり、配線パターンLNの外周を囲むように、幅Wのリム部RMが自己整合的に均等に形成されている。
なお、配線パターンは直線であっても、曲線であってもよく、配線に限定されず、コンデンサの電極のような矩形状であってもよく、形状は限定されない。
【0052】
(実施形態2)
下層膜2と上層膜3との間に、中間膜5を有してもよい。
中間膜5は、上層膜3及び下層膜2に対して異なるエッチング特性を有し、エッチングストッパ膜として機能することができる。また、中間膜5は光学特性を調整する調整膜として機能させることも可能である。
図5図6は、実施形態2にかかるフォトマスク100の主要な製造工程を模式的に示す断面図であり、図7は実施形態2にかかるフォトマスク100を模式的に示す平面図である。
【0053】
<積層膜形成工程:フォトマスクブランクス準備工程>
図5(A)に示すように、石英等の透過性基板1上に下層膜2を形成後、PVD法、CVD法等の成膜方法により、下層膜2上に中間膜5を、例えば非限定的に膜厚1nm~50nm形成し、その後上層膜3を形成する。透過性基板1上に下層膜2、中間膜5、上層膜3の積層構造を有するフォトマスクブランクスを得る。
【0054】
中間膜5の光学特性は、特に限定されないが、好適には、例えば、露光光に対する透過率は10%以上75%以下であり、位相シフト角は0°より大きく20°以下と低く設定することができる。
また、下層膜2及び上層膜3の積層構造が遮光性を有する代わりに、下層膜2、中間膜5、上層膜3の積層構造が遮光性を有する構成としてもよい。
また、下層膜2、中間膜5、上層膜3の積層構造が半透過性を有する構成としてもよい。
【0055】
なお、下層膜2及び上層膜3の構成は上記の通りであるが、下層膜2と上層膜3とは異なるエッチング特性を有してもよく、また、同じエッチング特性を有してもよい。
下層膜2と上層膜3とが同じエッチング特性を有する場合、下層膜2と上層膜3とは同じエッチャントによりエッチングが可能である。
例えば、下層膜2、上層膜3、中間膜5の組み合わせとして、下層膜2と上層膜3とが異なるエッチング特性を有する場合、非限定的に、下層膜2が金属シリサイド(Moシリサイド)から構成される位相シフト膜、上層膜3がCr膜から構成される遮光膜、中間膜5が上層膜3と異なる金属膜(金属化合物膜)から構成されるエッチングストッパ膜の組み合わせが例示され、下層膜2と上層膜3とが同じエッチング特性を有する場合、非限定的に、下層膜2がCr膜から構成される位相シフト膜、上層膜3がCr膜から構成される遮光膜、中間膜5が上層膜3(下層膜2)と異なる金属膜(金属化合物膜)から構成されるエッチングストッパ膜の組み合わせが例示される。
【0056】
<第1のエッチングマスク形成工程>
次に図5(B)、(C)の断面図に示すように、図1(B)、(C)に示す工程と同様に、フォトレジスト膜4を上層膜3上に形成し、その後、フォトレジスト膜4に対してパターニングを行い、第1のレジストパターン4a(第1のエッチングマスク)を形成する。
【0057】
<第1のパターニング工程:上層パターン形成工程>
次に図5(D)の断面図に示すように、第1のレジストパターン4aをエッチングマスクにして、中間膜5に対して選択的に上層膜3をエッチングし、中間膜5の表面を露出し、さらに上層膜3の側壁面をサイドエッチングすることにより、上層パターン3aを形成する。上層パターン3aの側壁面3sは、第1のレジストパターン4aの側壁面4sより所定量D後退している。
エッチングは等方エッチングが採用され、好適にはウェットエッチングが採用されるが、ドライエッチングであってもよい。エッチャントは公知のエッチャントを使用することができる。
本工程において、下層膜2の表面は中間膜5により覆われているため、下層膜2はエッチングされない。
【0058】
<第2のエッチングマスク形成工程>
次に図6(A)の断面図に示すように、図2(B)に示す工程と同様に、第1のレジストパターン4aをリフロー処理により変形し、第2のレジストパターン4b(第2のエッチングマスク)を形成する。第2のレジストパターン4bは、上層パターン3aの側壁面3sを覆い、中間膜5の表面5f(中間層表面)に接触する。
【0059】
<第2のパターニング工程>
-中間層パターン形成工程-
次に図6(B)の断面図に示すように、第2のレジストパターン4bをエッチングマスクにして、中間膜5を下層膜2に対して選択的にエッチングし、中間層パターン5a(第1の中間層パターン5a)を形成する。中間層パターン5aの側壁面5as(第1の中間層側壁面)が露出する。
なお、エッチングは、公知のウェットエッチングを好適に採用することができるが、ドライエッチングであってもよい。
【0060】
-下層パターン形成工程-
次に図6(C)の断面図に示すように、第2のレジストパターン4bをエッチングマスクにして、下層膜2をエッチングし、下層パターン2aを形成する。下層パターン2aの側壁面2sが露出する。
なお、下層膜2を中間層パターン5aに対して選択的にエッチングすることで、中間層パターン5aのサイドエッチングによる後退を防止できる。
なお、エッチングは、公知のウェットエッチングを好適に採用することができるが、ドライエッチングであってもよい。
中間層パターン形成工程及び下層パターン形成工程において、上層パターン3aは第2のレジストパターン4bによって保護されているため、エッチングされない。
【0061】
下層膜2と上層膜3とを同じエッチング特性を有する材料、例えば同じ物質から構成し、上層膜パターニング工程における上層膜3エッチングに使用されるエッチャントと、下層膜パターニング工程における下層膜2のエッチングに使用されるエッチャントとを同じエッチャントとしてもよい。この場合、生産管理の負担の軽減に寄与することができる。特に、下層膜2と上層膜3の成膜装置や、エッチング装置を共通化することで、さらに生産管理負担の軽減や、生産コストの低減に寄与することも可能となる。
【0062】
<エッチングマスク除去工程>
次に図6(D)の断面図に示すように、第2のレジストパターン4bをアッシング、ウェット洗浄等により除去する。
【0063】
図6(D)に示すように、下層パターン2aの側壁面2s及び中間層パターン5aの側壁面5asに対して上層パターン3aの側壁面3sが後退する。側壁面2s及び側壁面5asに対して側壁面3sは離隔し、幅Wのリム部RMが形成される。リム部RMは下層パターン2a及び中間層パターン5aから構成され、中間層パターン5aの表面5fが露出する。
リム部RMは、下層パターン2a、中間層パターン5a及び上層パターン3aの積層から構成される積層パターン(第2の積層パターン)に隣接して自己整合的に形成される。
リム部RMの光学特性は下層膜2と中間膜5の積層構造により決定され、転写パターンである積層パターンの光学特性は下層膜2と中間膜5と上層膜3の積層構造により決定される。
【0064】
リム部RMをハーフトーン部として利用する場合、リム部RMの光学特性として、例えば、露光光の代表波長に対する透過率を3~70%(3%≦透過率≦70%)とし、位相シフト角を低く(例えば0°より高く、20°以下)に設定することができる。
また、リム部RMを位相シフト部(位相反転部)として利用する場合、リム部RMの光学特性として、例えば、露光光の代表波長に対する透過率が3~50%(3%≦透過率≦50%)であり、(位相を反転させるために)位相シフト角が略180°(160°≦位相シフト量≦200°)、さらに好適には170°≦位相シフト量≦190°になるよう設定することができる。
【0065】
例えば、下層膜2を透過率3~90%を有する位相シフト膜(位相シフト角160°~180°)、中間膜5を低位相角(位相シフト角20°以下)の半透過膜(透過率3%~75%)とし、リム部RMを位相シフト部とすることができる。
【0066】
<第3のパターニング工程>
さらに、図6(E)に示すように、さらに上層パターン3aをエッチングマスクにして、中間層パターン5aを、上層パターン3a及び下層パターン2aに対して選択的にエッチングし、中間層パターン5b(第2の中間層パターン5b)を形成し、下層パターン2aの表面2fを露出してもよい。
側壁面2sに対して上層パターン3aの側壁面3s及び中間層パターン5bの側壁面5bs(第2の中間層側壁面)は離隔し、下層パターン2aの表面2fが露出し、幅Wのリム部RMが形成される。リム部RMは下層パターン2aの単層から構成される。
リム部RMの中間層パターン5aは除去されるため、リム部RMの光学特性は下層膜2により決定される。一方、転写パターンである積層パターンの光学特性は下層膜2と中間膜5と上層膜3の積層構造により決定される。
【0067】
リム部RMの構成に対して、下層膜2の単層構造又は下層膜2と中間膜5との積層構造を選択することにより、位相シフト角(位相シフト量)及び又は透過率の調整が可能である。
顧客の要望、フォトマスク100の使用用途、パターン寸法精度等に合わせて、リム部RMの光学特性を調整することができる。
【0068】
なお、上層パターン3aの形状は限定するものではなく、任意の形状を有することができる。図7は、上層パターン3aが、開口部OPを有する例を示す平面図である。図7(A)は図6(D)に示す工程における平面図、図7(B)は図6(E)に示す工程における平面図である。
上層パターン3aの開口部OPの内部には所定の幅Wを有するリム部RMが開口部OPの内周に沿って均等に形成されている。リム部RMの内部にホールHLが設けられ、ホールHLの内部には透過性基板1が露出する。
リム部RMは、被露光対象であるフォトレジストのホールパターンの解像度を向上させることができる。
【0069】
なお、上層パターン3aは、例えば、被露光対象であるフォトレジストに配線パターンを形成するため、配線形状を有してもよい。
図8は、配線パターン形状の上層パターン3aを形成する工程を示す断面図及び平面図である。
【0070】
図8(A)の断面図に示すように、図5(A)、(B)、(C)、(D)に示す工程と同様に、下層膜2、中間膜5、上層膜3が形成された透過性基板1に第1のレジストパターン4a(第1のエッチングマスク)を形成し、上層膜3に対してパターニングを行い、配線形状の上層パターン3aを形成する。
【0071】
次に図8(B)の断面図に示すように、図6(A)に示す工程と同様に、第1のレジストパターン4aに熱処理を施し、変形し、第2のレジストパターン4b(第2のエッチングマスク)を形成する。第2のレジストパターン4bは、上層パターン3aの側壁面3sを覆い、中間膜5の表面5fに接触する。
【0072】
次に図8(C)の断面図、図8(D)の平面図に示すように、図6(B)、(C)、(D)に示す工程と同様に、第2のレジストパターン4bをエッチングマスクにして、中間膜5及び下層膜2をエッチングし、中間層パターン5a(第1の中間層パターン)及び下層パターン2aを形成する。その後、第2のレジストパターン4bを除去する。
【0073】
図8(D)の平面図は、上層パターン3a及びリム部RMの形状を示し、上層パターン3aによって画定される配線パターンLNの一端部を示す。配線パターンLNの他端部も同様である。
配線パターンLNは、下層膜2、中間膜5及び上層膜3から構成される積層パターン(第2の積層パターン)であり、配線パターンLNの外周を囲むように、下層膜2及び中間膜5から構成される幅Wのリム部RMが自己整合的に均等に形成されている。
【0074】
図9(A)、(B)は、周囲に下層膜2(下層パターン2a)から構成されるリム部RMが設けられた配線パターンの例を模式的に示す断面図及び平面図である。
図9(A)、(B)の断面図、平面図に示すように、さらに図6(E)に示す工程と同様に、図8(C)に示す工程の後に、上層パターン3aをエッチングマスクに、中間層パターン5aを、上層パターン3a及び下層パターン2aに対して選択的にエッチングし、中間層パターン5b(第2の中間層パターン5b)を形成し、下層パターン2aの表面2fを露出してもよい。
配線パターンLNは、下層膜2、中間膜5及び上層膜3から構成される積層パターンであり、配線パターンLNの外周を囲むように、下層膜2から構成される幅Wのリム部RMが自己整合的に均等に形成されている。
なお、配線パターンは直線であっても、曲線であってもよく、また、コンデンサの電極のような矩形状であってもよい。
【0075】
リム部RMの必要な光学特性を得るため、リム部RMの構造として、下層膜2及び中間膜5の積層構造又は下層膜2の単層構造を、適宜選択することができる。
【0076】
(実施形態3)
転写パターンに2種類のリム部RMを設けることも可能である。転写パターンの形状や配置等に応じて、2種類のリム部RMから最適な光学特性を有するリム部RMを適宜選択することが可能となる。
図6(D)に示す工程の後に、リム部RMの所望の領域において中間膜5を除去し、下層膜2と中間膜5の積層構造から構成されるリム部RMと、下層膜2の単層から構成されるリム部RMを混在させることが可能となる。
【0077】
図10は、リム部RMをパターニングすることにより、異なる光学特性を有するリム部RMが設けられたパターンを形成する工程を示す断面図である。
以下、配線パターンの周囲に形成されたリム部RMを例に、リム部RMをパターニングする方法について説明するが、配線パターンに限定するものではなく、ホールパターンに形成されたリム部RMであってもよく、その他の任意形状のパターンに隣接して形成されたリム部RMであってもよい。
【0078】
<第3のレジストパターン形成工程:中間層マスク形成工程>
図10(A)の断面図に示すように、図6(D)に示す工程の後に、フォトレジスト膜6(第2のフォトレジスト膜)を形成する。リム部RMの表面である露出した中間層パターン5a(第1の中間層パターン)の表面5fを覆う。
【0079】
その後、図10(B)の断面図に示すように、リソグラフィー工程により、フォトレジスト膜6をパターニングした後、レジストパターン6a(第3のレジストパターン)を形成し、中間層パターン5aの表面5fの一部を露出する。
図10(B)に示すように、レジストパターン6aは、部分的に表面5f(リム部RM)を覆う形状を有し、リム部RM2を覆うが、リム部RM1を露出する。
レジストパターン6aは、リム部RMをパターニングするためのマスク(リムマスク)として機能する。
【0080】
<第4のパターニング工程:中間層パターニング工程>
その後、図10(C)の断面図に示すように、第3のエッチングマスク(中間層マスク)であるレジストパターン6aをマスクにして、中間層パターン5aをパターニングして、中間層パターン5c(第3の中間層パターン5c)を形成する。
なお、リム部RM1の露出した中間層パターン5aは、下層パターン2a及び上層パターン3aに対して選択的にエッチングされるため、リム部RM1の下層パターン2aの表面2fが露出する。レジストパターン6aに覆われたリム部RM2の中間層パターン5aは残置する。
【0081】
<第3のレジストパターン除去工程:中間層マスク除去工程>
その後、図10(D)の断面図に示すように、エッチングマスクであるレジストパターン6aをアッシング、ウェット洗浄等により除去する。
下層パターン2a、中間層パターン5c、及び上層パターン3aの積層から構成される転写パターンに隣接して、所定の幅Wを有するリム部RM1(第1のリム部)及びリム部RM2(第2のリム部)が形成されている。
【0082】
図10(D)に示すように、リム部RM1(第1のリム部)は下層パターン2a(下層膜2)の単層から構成され、リム部RM2(第2のリム部)は下層パターン2a(下層膜2)及び中間層パターン5aの積層から構成され、2種のリム部(リム部RM1及びリム部RM2)は、それぞれ異なる光学特性を有する。例えば、一方のリム部RMを位相シフト領域、他方のリム部RMを半透過領域とすることも可能であり、又それぞれ透過率の異なる半透過領域とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明によれば、自己整合的なリム部の形成が容易なフォトマスクの製造方法を提供できる。本フォトマスクの製造方法は、種々のパターンへの適用が可能であり、またフォトマスクの製造工程の簡略化に寄与することも可能であり、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0084】
1 透過性基板
2 下層膜
2a 下層パターン
2s 側壁面(下層側壁面)
2f 表面(下層表面)
3 上層膜
3a 上層パターン
3s 側壁面(上層側壁面)
4 フォトレジスト膜(第1のフォトレジスト膜)
4a 第1のレジストパターン(第1のエッチングマスク)
4b 第2のレジストパターン(第2のエッチングマスク)
4s 側壁面(レジスト側壁面)
5 中間膜
5a 中間層パターン(第1の中間層パターン)
5b 中間層パターン(第2の中間層パターン)
5as 側壁面(第1の中間層側壁面)
5bs 側壁面(第2の中間層側壁面)
5f 表面(中間層表面)
6 フォトレジスト膜(第2のフォトレジスト膜)
6a レジストパターン(第3のレジストパターン)
10 フォトマスクブランクス
100 フォトマスク
RM リム部
RM1 リム部(第1のリム部)
RM2 リム部(第2のリム部)
HL ホール
OP 開口部
LN 配線パターン
【要約】
【課題】 フォトマスクの製造方法において自己整合的にリム部を形成する。
【解決手段】
転写パターンを備えたフォトマスクの製造方法であり、透過性基板上に下層膜、上層膜が形成されたフォトマスクブランクスを準備する工程と、上層膜上に第1のレジストパターンを形成する工程と、第1のレジストパターンをマスクにして上層膜を下層膜に対して選択的にエッチングして、上層パターンを形成する工程と、第1のレジストパターンを変形し、上層パターンの側壁を覆う第2のレジストパターンを形成する工程と、第2のレジストパターンをマスクにして下層膜をエッチングし、下層パターンを形成する工程と、第2のレジストパターンを除去する工程とを含み、転写パターンは、上層パターンと下層パターンとの積層から構成され、転写パターンに隣接し、下層パターンのみから構成されるリム部を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10