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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】滑り支承及び構造体
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
F16F15/02 L
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023198270
(22)【出願日】2023-11-22
【審査請求日】2023-11-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100217249
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 耕一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221279
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健吾
(74)【代理人】
【識別番号】100207686
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 恭宏
(74)【代理人】
【識別番号】100224812
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】酒井 快典
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-360797(JP,A)
【文献】特開2001-090382(JP,A)
【文献】特開2015-048929(JP,A)
【文献】特開2022-038563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体が備える取付用ベースプレートに取り付けられる滑り支承であって、
沓側滑り面を備えた沓と、
前記沓側滑り面に接触する支持体側滑り面を備え、前記構造体からの荷重を前記沓に伝達する支持体と、
を備え、
前記沓は、
前記沓側滑り面が形成され、前記沓側滑り面の反対側に第1接触面が形成された板状の第1沓部材と、
前記第1沓部材における前記支持体の反対側に配置され、前記第1接触面に面接触する第2接触面が形成された板状の第2沓部材と、
を備え、
前記第2沓部材は中実であり、
前記第2沓部材は、前記構造体に設置された状態において前記取付用ベースプレートに面接触する荷重伝達面を備え、
前記第2沓部材は、前記荷重伝達面と前記第2接触面とに亘って貫通する貫通孔を備える、
ことを特徴とする滑り支承。
【請求項2】
構造体が備える取付用ベースプレートに取り付けられる滑り支承であって、
沓側滑り面を備えた沓と、
前記沓側滑り面に接触する支持体側滑り面を備え、前記構造体からの荷重を前記沓に伝達する支持体と、
を備え、
前記沓は、
前記沓側滑り面が形成され、前記沓側滑り面の反対側に第1接触面が形成された板状の第1沓部材と、
前記第1沓部材における前記支持体の反対側に配置され、前記第1接触面に面接触する第2接触面が形成された板状の第2沓部材と、
を備え、
前記第2沓部材は、前記構造体に設置された状態において前記取付用ベースプレートに面接触する荷重伝達面を備え、
前記第1沓部材と前記第2沓部材とは、締結部材により接合され、
前記締結部材は、前記第2沓部材に前記荷重伝達面から前記第2接触面に向けて凹入するように形成された締結孔に挿通され、前記第2接触面から突出し、その突出した部分が前記第1沓部材の内部に位置する状態で配置される、
ことを特徴とする滑り支承。
【請求項3】
構造体が備える取付用ベースプレートに取り付けられる滑り支承であって、
沓側滑り面を備えた沓と、
前記沓側滑り面に接触する支持体側滑り面を備え、前記構造体からの荷重を前記沓に伝達する支持体と、
を備え、
前記沓は、
前記沓側滑り面が形成され、前記沓側滑り面の反対側に第1接触面が形成された板状の第1沓部材と、
前記第1沓部材における前記支持体の反対側に配置され、前記第1接触面に面接触する第2接触面が形成された板状の第2沓部材と、
を備え、
前記第2沓部材は、前記第2沓部材に対して前記第1沓部材を水平方向に位置決めする位置決め部を備える、
ことを特徴とする滑り支承。
【請求項4】
前記位置決め部は、前記第1接触面の輪郭形状に対応した形状で前記第2沓部材に形成された窪みである、
ことを特徴とする請求項に記載の滑り支承。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記第2接触面から突出する突出部である、
ことを特徴とする請求項に記載の滑り支承。
【請求項6】
前記第2沓部材は、前記構造体に設置された状態において前記取付用ベースプレートに面接触する荷重伝達面を備えている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項7】
前記沓側滑り面は凹球面であり、前記支持体側滑り面は凸球面である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項8】
前記第2沓部材は、前記第1沓部材と前記第2沓部材とが並ぶ方向である並び方向に沿って前記第1沓部材が位置する側から見て、前記第1沓部材の外縁より外方に位置する縁部を備える、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項9】
前記並び方向から見て、前記縁部は環状である、
ことを特徴とする請求項に記載の滑り支承。
【請求項10】
前記沓は、前記支持体を挟むように一対に設けられる、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項11】
前記一対に設けられた沓同士を互いに固定する固定治具を更に備える、
ことを特徴とする請求項10に記載の滑り支承。
【請求項12】
前記第2沓部材は中実である、
ことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項13】
前記第2沓部材の厚みは、前記第1沓部材の厚みよりも厚い、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項14】
前記第1沓部材と前記第2沓部材とは、締結部材により接合される、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の滑り支承。
【請求項15】
取付用ベースプレートと、
前記取付用ベースプレートに取り付けられる滑り支承と、
を備える構造体であって、
前記滑り支承は、
沓側滑り面を備えた沓と、
前記沓側滑り面に接触する支持体側滑り面を備え、前記構造体からの荷重を前記沓に伝達する支持体と、
を備え、
前記沓は、
前記沓側滑り面が形成され、前記沓側滑り面の反対側に第1接触面が形成された板状の第1沓部材と、
前記第1沓部材における前記支持体の反対側に配置され、前記第1接触面に面接触する第2接触面が形成された板状の第2沓部材と、
を備え、
前記第2沓部材は、前記構造体に設置された状態において前記取付用ベースプレートに面接触する荷重伝達面を備え、
前記取付用ベースプレートは、上下方向に貫通する第1貫通孔を備え、
前記第2沓部材は、上下方向に貫通する第2貫通孔を備え、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とが連通している、
ことを特徴とする構造体。
【請求項16】
複数の取付用ベースプレートと、
前記複数の取付用ベースプレートにそれぞれ取り付けられる複数の滑り支承と、
を備える構造体であって、
前記滑り支承は、
沓側滑り面を備えた沓と、
前記沓側滑り面に接触する支持体側滑り面を備え、前記構造体からの荷重を前記沓に伝達する支持体と、
を備え、
前記沓は、
前記沓側滑り面が形成され、前記沓側滑り面の反対側に第1接触面が形成された板状の第1沓部材と、
前記第1沓部材における前記支持体の反対側に配置され、前記第1接触面に面接触する第2接触面が形成された板状の第2沓部材と、
を備え、
前記複数の取付用ベースプレートの一部の取付用ベースプレートは、他の取付用ベースプレートと形状が異なる、
ことを特徴とする構造体。
【請求項17】
前記取付用ベースプレートは、前記第2沓部材と前記取付用ベースプレートが並ぶ方向に沿って前記第2沓部材が位置する側から見て、前記第2沓部材の外縁より外方に位置する縁部を備える、
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の構造体。
【請求項18】
前記第2沓部材の厚みは、前記取付用ベースプレートの厚みよりも厚い、
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の構造体。
【請求項19】
前記縁部は環状である、
ことを特徴とする請求項17に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、滑り支承及び構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
建物等の構造体において、地震が発生した際の地盤の揺れが構造体に伝わらないようにするために、構造体に免震装置を設けることがある。免震装置の例としては、滑り支承や、積層ゴム支承が挙げられる。
球面滑り支承をはじめとする滑り支承は、地震が発生した際に構造体を地盤に対して水平方向に相対移動させることで、地震の揺れを吸収する。このような滑り支承の従来例として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。
特許文献1の球面滑り支承では、球面滑り支承からの荷重によってコンクリート基礎に作用する応力度を低減するために、球面滑り支承とコンクリート基礎との間に荷重伝達プレートが設けられている。そして、軽量化及び低コスト化を目的として、荷重伝達プレートに網状の窪みが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-48929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の球面滑り支承では、球面滑り支承側でなく、球面滑り支承が設けられる構造体側の構成で、コンクリート構造体に作用する面圧の軽減を図っている。このため、以下の問題がある。すなわち、構造体に荷重伝達プレートを取り付けるため、構造体側の構成が複雑化する問題や、施工現場において構造体に荷重伝達プレートを取り付ける作業が必要となり、施工現場での作業が煩雑になるという問題がある。
また、一般に、滑り支承は、すべり面を有する沓とそのすべり面に接触した状態で沓に対して相対移動する支持体とを備えており、滑り支承全体の平面視サイズよりも小さい平面視サイズである支持体で構造体の荷重を支持している。そのため、構造体における所定の平面視領域に対して免震装置を配置する場合、滑り支承は、積層ゴム支承に比べて、構造体に付加される面圧が高くなる傾向があり、滑り支承は、適用対象の構造体が制限されやすい旨の課題がある。
【0005】
本開示は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、構造体を複雑にすることなく、構造体に付加される面圧を抑えることができる滑り支承及び構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本開示の態様1に係る滑り支承は、構造体が備える取付用ベースプレートに取り付けられる滑り支承であって、沓側滑り面を備えた沓と、前記沓側滑り面に接触する支持体側滑り面を備え、前記構造体からの荷重を前記沓に伝達する支持体と、を備え、前記沓は、前記沓側滑り面が形成され、前記沓側滑り面の反対側に第1接触面が形成された板状の第1沓部材と、前記第1沓部材における前記支持体の反対側に配置され、前記第1接触面に面接触する第2接触面が形成された板状の第2沓部材と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、構造体を複雑にすることなく、構造体に付加される面圧を抑えることができる滑り支承及び構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る構造体の、正面視の概要図である。
図2図1におけるII-II矢視断面図である。
図3図1に示す構造体において、上部構造と下部構造とが水平方向に相対移動した状態を示す図である。
図4】位置決め部の第1例を示す拡大断面図である。
図5】位置決め部の第2例を示す拡大断面図である。
図6】第1貫通孔及び第2貫通孔を示す拡大断面図である。
図7】第1締結孔及び第2締結孔を示す拡大断面図である。
図8】取付用ベースプレートの変形例を示す、構造体の正面視の概要図である。
図9図8におけるIX-IX矢視断面図である。
図10】滑り支承を運搬する形態の第1例である。
図11】滑り支承を運搬する形態の第2例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る滑り支承及び構造体を説明する。
図1は、実施形態に係る構造体に設けられた滑り支承の正面図である。
【0010】
(構造体)
本実施形態に係る構造体Bは、例えば、ビル、倉庫、住宅、橋梁等をはじめとする建築物の一部であり、上部構造B1と、下部構造B2と、を備える。
上部構造B1は、複数の滑り支承1により荷重が支持される部分であり、例えば、建築物における基礎構造のうち建屋側の部分を含む。
下部構造B2は、複数の滑り支承1から荷重が伝達される部分であり、例えば、建築物における基礎構造のうち地盤側の部分を含む。
【0011】
本実施形態において、構造体Bは、複数の滑り支承1を備える。滑り支承1は、図1に示すように、上部構造B1と下部構造B2との間に設けられる。このことで、上部構造B1の荷重は、滑り支承1を介して下部構造B2に伝達される。この時、滑り支承1は、沓20において荷重分散領域20Aを形成し、上部構造B1の荷重を水平方向に分散しながら下部構造B2に伝達する(詳細は後述する)。
【0012】
本実施形態に係る構造体Bは、下部構造B2を備え、下部構造B2は上部に取付用ベースプレートBPが取り付けられている。本実施形態に係る滑り支承1は、この取付用ベースプレートBPに取り付けられる。すなわち、本実施形態に係る構造体Bは取付用ベースプレートBPを備え、滑り支承1は、構造体Bが備える取付用ベースプレートBPに取り付けられる。
取付用ベースプレートBPは、例えば、図1に示すように、厚さ方向の一部が下部構造B2の内部に埋設された状態で配置される。あるいは、取付用ベースプレートBPは、厚さ方向の全部が下部構造B2の内部に埋設された状態で配置されてもよい。
【0013】
取付用ベースプレートBPは、滑り支承1と下部構造B2との間に設けられることで、滑り支承1の荷重分散領域20Aから伝達される荷重を、更に水平方向に分散させて下部構造B2に伝達する。
ここで、滑り支承1が取付用ベースプレートBPを介さず、直接に下部構造B2に取り付けられると、滑り支承1から下部構造B2に伝達される荷重が、下部構造B2の、滑り支承1が取り付けられた部分及びその周囲において局所的に付加される。換言すれば、滑り支承1からの荷重が十分に分散されずに、下部構造B2に伝達される。このことは、例えば、下部構造B2における滑り支承1が取り付けられた部分において、コンクリートの強度が不足する原因となる。
【0014】
滑り支承1と下部構造B2との間に取付用ベースプレートBPが設けられることで、滑り支承1における第2沓部材22(後述する)と取付用ベースプレートBPとの双方の厚み分だけ荷重分散効果が得られるため、下部構造B2のコンクリートに付加される面圧を低下させることができ、下部構造B2のコンクリートの強度が不足する問題を回避できる。
取付用ベースプレートBPは、例えば、下部構造B2を形成するコンクリートの強度によって、厚さ及び面積を変更することが好ましい。なお、取付用ベースプレートBPの面積とは、取付用ベースプレートBPの滑り支承1に面する面の面積である。
例えば、コンクリートの強度が比較的低い場合は、取付用ベースプレートBPの面積を大きく、かつ厚さを厚くすることで、コンクリートに付加される面圧を低くすることが好ましい。コンクリートの強度が比較的高い場合は、取付用ベースプレートBPの面積を小さく、又は厚さを薄くすることで、取付用ベースプレートBPの費用を抑えてもよい。
取付用ベースプレートBPの詳細な形状については、滑り支承1の構成と併せて後述する。
【0015】
(滑り支承)
滑り支承1は、上部構造B1と下部構造B2との間に設けられる。滑り支承1は、上部構造B1の荷重を下部構造B2に伝達する。また、滑り支承1は、構造体Bにおいて地震が発生した時、上部構造B1と下部構造B2とを水平方向に相対移動させる。このことで、地盤の振動に伴う下部構造B2の水平方向への変位が、上部構造B1に伝わることを抑制できる。
滑り支承1は、図1に示すように、支持体10と、沓20と、を備える。本実施形態において、沓20は上沓20Uと下沓20Lとを備える。支持体10は、上沓20Uと下沓20Lとの間に挟まれるように位置する。すなわち、本実施形態に係る滑り支承1は、いわゆるダブルペンデュラム式の球面滑り支承である。
【0016】
(支持体)
支持体10は、沓20に対して摺動しつつ、水平方向に移動する。このことで、上部構造B1と下部構造B2とが、水平方向に相対移動できるようにする。
また、支持体10は、構造体Bからの荷重を沓20に伝達する。具体的には、上部構造B1から上沓20Uを介して支持体10に伝達される荷重を、下沓20Lに伝達する。
支持体10は、例えば、円盤状の部材である。支持体10は、上沓20U及び下沓20Lが備える沓側滑り面21a(後述する)に接触する支持体側滑り面10aを備える。本実施形態において、支持体側滑り面10aは凸球面である。本実施形態において、支持体側滑り面10aは、円盤状である支持体10の両面に一対に設けられる。
【0017】
(沓)
沓20は、支持体10に対して摺動する。本実施形態において、沓20は、上部構造B1の下面と、下部構造B2の上面と、にそれぞれ設けられる。以下、上部構造B1の下面に設けられる沓20を、上沓20Uという。下部構造B2の上面に設けられる沓20を、下沓20Lという。また、上沓20Uと下沓20Lとを区別しない場合に、沓20という。
本実施形態において、上沓20Uと下沓20Lとは、支持体10を挟むように一対に設けられる。本実施形態において、上沓20Uと下沓20Lとは、互いに同様の構成を備える。また、上沓20Uと下沓20Lとは、支持体10を基準として対称に設けられる。すなわち、上沓20Uと下沓20Lとは、支持体10を中心として、互いに反転した状態で配置される。
以下、沓20のうち、下沓20Lについての詳細を説明する。上沓20Uについては、下沓20Lと同様の構成であることから、説明を省略する。
【0018】
下沓20Lは、第1沓部材21と、第2沓部材22と、を備える。第1沓部材21は、支持体10と、第2沓部材22と、に接触する。第2沓部材22は、第1沓部材21における支持体10の反対側に配置される。第2沓部材22は、第1沓部材21と、取付用ベースプレートBPと、に接触する。
下沓20Lは、支持体10から伝達される荷重を、取付用ベースプレートBPを介して下部構造B2に伝達する。支持体10から伝達される荷重は、上部構造B1から上沓20Uを介して支持体10に伝達された荷重である。
【0019】
(第1沓部材)
第1沓部材21は円板状の部材である。本実施形態において、第1沓部材21は中実である。このことで、例えば、第1沓部材21がハニカム構造のような中空の構造を備える場合と比較して、第1沓部材21による荷重の伝達を行いやすくする。
第1沓部材21は、支持体10から伝達される荷重を、第2沓部材22へ伝達する。
【0020】
第1沓部材21は、図1に示すように、沓側滑り面21aと、第1接触面21bと、を備える。
沓側滑り面21aは、支持体10の支持体側滑り面10aと接触する面である。すなわち、下沓20Lと支持体10とは、第1沓部材21が備える沓側滑り面21aと、支持体10の備える支持体側滑り面10aと、が互いに接触し摺動する。このことで、下沓20Lと支持体10とは、水平方向に相対移動する。
上述のように、支持体側滑り面10aは凸球面である。これに対応して、沓側滑り面21aは凹球面である。沓側滑り面21aは、例えば、第1沓部材21を形成する円板状の部材を切削することにより形成される。なお、支持体側滑り面10aの曲率と沓側滑り面21aの曲率とは、同じであることが好ましい。
支持体側滑り面10a及び沓側滑り面21aが互いに球面状であることで、地震によって下沓20Lと支持体10とが水平方向に相対移動した場合であっても、地震が収まった後は、支持体10が沓側滑り面21aの中央に戻る。このことで、地震の後に、下沓20Lと支持体10との相対位置の修正作業等を行うことを不要とすることができる。
第1接触面21bは、沓側滑り面21aの反対側に位置する。第1接触面21bは、第1沓部材21における、第2沓部材22の第2接触面22aに面接触する部分である。なお、本実施形態においては、第1接触面21bと第2接触面22aは、両者の並び方向視で重複する領域のうちボルト接合部分を除く全ての領域において互いに接触しているが、ボルト接合部分以外の一部の領域において接触していない部分を有していてもよい。
【0021】
(第2沓部材)
第2沓部材22は、円板状の部材である。本実施形態において、第2沓部材22は中実である。このことで、例えば、第2沓部材22がハニカム構造のような中空の構造を備える場合と比較して、第2沓部材22による荷重の伝達を行いやすくする。
第2沓部材22は、第1沓部材21における支持体10の反対側に配置される。第2沓部材22は、支持体10から第1沓部材21を介して伝達される荷重を、取付用ベースプレートBPに伝達する。すなわち、第2沓部材22は、下沓20Lにおける、取付用ベースプレートBPに接触する部分である。
【0022】
図2は、図1におけるII-II方向の断面図である。
図3は、図1に示す構造体Bにおいて、上部構造B1と下部構造B2とが水平方向に相対移動した状態を示す図である。
本実施形態において、図2に示すように、第2沓部材22を、第1沓部材21に面する側から見た時の面積は、第1沓部材21を同じ側から見た時の面積よりも大きい。以下、第2沓部材22における、第1沓部材21と第2沓部材22とが並ぶ方向である並び方向に沿って第1沓部材21が位置する側から見て、第1沓部材21の外縁より外方に位置する部分を、縁部22Eという。換言すれば、本実施形態において、第2沓部材22は、縁部22Eを備える。
並び方向から見て、第2沓部材22の縁部22Eは環状である。すなわち、第2沓部材22の外縁の、第1沓部材21の外縁からの出代は、第2沓部材22の周方向に亘って均等である。
このことで、第1沓部材21からの荷重を受ける際、及び、取付用ベースプレートBPへ荷重を伝達する際、第2沓部材22の周方向において荷重の分散等に偏りが生じないようにすることができる。また、例えば、図3に示すように、地震によって支持体10が第1沓部材21に対して水平方向に相対移動し、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、第2沓部材22に十分な荷重分散領域20Aを備えることができる。よって、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、十分に荷重を分散させることができる。
また、本実施形態において、図1に示すように、第2沓部材22の厚みは、第1沓部材21の厚みよりも厚い。このことで、第2沓部材22の厚みによって十分な大きさの荷重分散領域20Aを形成し、荷重の分散をより確実に行いやすくすることができる。
【0023】
上述した形状を有する第2沓部材22は、図4図5図6及び図7に示すように、第2接触面22aと、荷重伝達面22bと、位置決め部22cと、第2貫通孔22dと、第1締結孔22e(本願発明の締結孔に相当)と、第2締結孔22fと、を備える。
第2接触面22aは、第1沓部材21の第1接触面21bに面接触する部分である。すなわち、第2接触面22aは、第1沓部材21の第1接触面21bと同様に平坦である。
荷重伝達面22bは、滑り支承1が構造体Bに設置された状態において、取付用ベースプレートBPに面接触する部分である。荷重伝達面22bは、例えば、平坦である。
【0024】
図4は、位置決め部22cの第1例を示す拡大断面図である。
図5は、位置決め部22cの第2例を示す拡大断面図である。
位置決め部22cは、第2沓部材22に対して第1沓部材21を水平方向に位置決めするために設けられる。本実施形態において、位置決め部22cは、次に述べる2例が挙げられる。
位置決め部22cの第1例は、図4に示すように、第1接触面21bの輪郭形状に対応した形状で第2沓部材22に形成された窪みである。この場合、第1沓部材21と第2沓部材22との位置合わせは、第1沓部材21を、窪みである位置決め部22cにはめ込むようにすることで行う。なお、第2沓部材22への窪みの形成は、任意の方法で行われてよい。
位置決め部22cの第2例は、図5に示すように、第2接触面22aから突出する突出部である。この場合、第1沓部材21と第2沓部材22との位置合わせは、第1沓部材21を、突出部である位置決め部22cに突き当てるようにすることで行う。なお、突出部は、例えば、板状又はブロック状の部材を、第2沓部材22の上面に溶接等によって接合することで形成される。あるいは、突出部は、第2沓部材22を形成する円板状の部材を、突出部を残して切削すること等によって形成されてもよい。また、突出部は、第2沓部材22において、第1沓部材21の周方向に沿って間隔をあけて複数設けられることが好ましい。
【0025】
図6は、第1貫通孔BPH及び第2貫通孔22dを示す拡大断面図である。
第2貫通孔22dは、第2沓部材22を上下方向に貫通する孔である。すなわち、第2貫通孔22dは、第2沓部材22を荷重伝達面22bと第2接触面22aとに亘って貫通する。第2沓部材22は、第2沓部材22の下方に打設されるコンクリートから空気を抜くために形成される。第2貫通孔22dは、例えば、図2及び図6に示すように、第2沓部材22の縁部22Eに設けられることが好ましい。
第2貫通孔22dは、取付用ベースプレートBPの備える第1貫通孔BPHと連通する(詳細は後述する)。
【0026】
図7は、第1締結孔22e及び第2締結孔22fを示す拡大断面図である。
第1締結孔22eは、図7に示すように、第1沓部材21と第2沓部材22とを接合する第1締結部材F1(本願発明の締結部材に相当)が挿通される貫通孔である。第1締結部材F1は、例えば、公知のボルトである。第1締結孔22eは、第2沓部材22を上下方向に貫通する。この時、第1締結孔22eは、例えば、第1締結部材F1の頭部を収容可能な部分である第1径部22e1と、第1締結部材F1のねじ部のみ挿通可能な部分である第2径部22e2と、を含むことが好ましい。すなわち、第1締結孔22eは、荷重伝達面22bから第2接触面22aに向けて凹入するように形成されることが好ましい。
第1締結孔22eは、図2及び図7に示すように、第2沓部材22における、第1沓部材21に面する側から見て第1沓部材21と重なる部分に設けられる。換言すれば、第1締結孔22eは、第2沓部材22において、少なくとも縁部22E以外の部分に設けられる。
【0027】
本実施形態において、第1沓部材21と第2沓部材22とは、図7に示すように、第1締結部材F1により接合される。第1締結部材F1は、第2沓部材22に形成された第1締結孔22eに挿通され、第2接触面22aから突出し、その突出した部分が第1沓部材21の内部に位置する状態で配置される。このため、第1沓部材21には、第1締結部材F1と螺合可能な螺合部21Sが形成されることが好ましい。
【0028】
第2締結孔22fは、図7に示すように、第2沓部材22と取付用ベースプレートBPを接合する第2締結部材F2が挿通される貫通孔である。第2締結孔22fは、第2沓部材22を上下方向に貫通する。第2締結孔22fの内径は、例えば、上下方向に亘って一定であってもよい。あるいは、第2締結孔22fの上部に、第2沓部材22と取付用ベースプレートBPを接合する第2締結部材F2の頭部が収容な程度の径を備える部分が形成されてもよい。
第2締結孔22fは、図2及び図7に示すように、例えば、第2沓部材22の縁部22Eに設けられる。この時、第2締結孔22fは、同じく縁部22Eに設けられた第2貫通孔22dと干渉しないようにすることが好ましい。すなわち、例えば、第2締結孔22fと第2貫通孔22dとは、第2沓部材22の周方向において交互に並ぶように形成されることが好ましい。
【0029】
(荷重分散領域)
本実施形態において、下沓20Lは、第1沓部材21と第2沓部材22とによって、荷重分散領域20Aを形成する。荷重分散領域20Aは、仮想の領域である。
図1に示すように、荷重分散領域20Aは、下沓20Lにおいて、支持体10に面する側から下部構造B2に面する側に向けて放射状に広がるように形成される。換言すれば、支持体10から下沓20Lに伝達された荷重は、荷重分散領域20Aにおいて水平方向に拡散されながら、下部構造B2に伝達される。このことで、下沓20Lにおける荷重分散領域20Aは、支持体10から付加された荷重を下部構造B2に伝達する際に、下部構造B2が荷重を受ける面積を大きくする。このことで、荷重分散領域20Aは、下部構造B2に付加される面圧を低くする。これにより、下部構造B2の耐久期間を長くすることに寄与する。
【0030】
荷重分散領域20Aは、例えば、図1に示すような、支持体10と沓20とが水平方向に相対移動していない状態において、下沓20L内に略円錐台状に規定される。荷重分散領域20Aの上底面は、下沓20Lの備える第1沓部材21の沓側滑り面21aのうち、支持体10に接触する面となる。荷重分散領域20Aの下底面は、荷重分散領域20Aの取付用ベースプレートBPに接する面である。なお、図1に示す支持体10と沓20とが水平方向に相対移動していない状態では、上沓20Uにおける第1沓部材21と下沓20Lにおける第1沓部材21とが正対しており、下沓20L及び上沓20Uのそれぞれの沓側滑り面21aの中心軸と、支持体10における支持体側滑り面10aの中心軸とが一致している。
荷重分散領域20Aは、図1に示すような、支持体10と沓20とが水平方向に相対移動していない状態において、所定の広がり角Aをもって分散される。広がり角Aとは、図1に示すように、荷重分散領域20Aが支持体10の側から取付用ベースプレートBPの側に向けて広がる際の、鉛直方向に対する角度をいう。広がり角Aは、荷重分散領域20Aの上底面の外周縁から取付用ベースプレートBPの側に向けて延びる仮想線と、荷重分散領域20Aの外周面(境界面)と、が、所定の断面視においてなす角度である。荷重分散領域20Aの外周面(境界面)は、例えば、平面視における荷重分散領域20Aの上底面及び下底面のそれぞれの外縁を面状につなぐように形成される。前記所定の断面視に係る断面は、支持体10の中心を通る鉛直方向の断面である。広がり角Aは、支持体10の中心を通る任意の断面において一様であることが好ましい。
【0031】
荷重分散領域20Aの広がり角Aは、例えば、第1沓部材21及び第2沓部材22の剛性及び材料強度によって設定される。
第1沓部材21及び第2沓部材22の剛性及び材料強度が低いと、支持体10から付加される面圧に対して第1沓部材21及び第2沓部材22が変形する。このため、荷重分散領域20Aの広がり角Aが小さくなり、下部構造B2へ伝達する面圧の減少が図りにくくなる。第1沓部材21及び第2沓部材22の剛性及び材料強度が高いと、荷重分散領域20Aの広がり角Aが大きくなり、下部構造B2へ伝達する面圧の減少が図りやすくなる。
【0032】
荷重分散領域20Aの大きさは、例えば、広がり角Aの大きさと、第1沓部材21及び第2沓部材22の厚みと、によって設定される。ここで、荷重分散領域20Aの大きさとは、滑り支承1を平面視した際の大きさをいう。荷重分散領域20Aの大きさは、第2沓部材22の下端において最大となる。
下沓20Lの厚みが大きいほど、荷重分散領域20Aが大きくなる。つまり、下沓20Lの厚みが大きいほど、取付用ベースプレートBPに伝達される面圧を小さくすることができる。
【0033】
荷重分散領域20Aの大きさは、第1沓部材21及び第2沓部材22の平面視における面積によって設定されてもよい。第1沓部材21及び第2沓部材22の面積を大きくすることは、例えば、荷重分散領域20Aの広がり角Aに対して第1沓部材21及び第2沓部材22の面積が小さく、取付用ベースプレートBPへ伝達する面圧を減少する機能が十分に活かすことができない場合に有効である。あるいは、第1沓部材21及び第2沓部材22の厚みが過度に大きいと、下沓20Lに対して転倒モーメントが発生することがある。これを防ぐために、第1沓部材21及び第2沓部材22の面積を大きくしてもよい。
【0034】
なお、荷重分散領域20Aは、地震によって支持体10と沓20とが水平方向に相対移動した状態においては、図3に示すように変形する。沓20及び取付用ベースプレートBPは、地震によって仮想の領域である荷重分散領域20Aが変形した場合であっても、荷重分散領域20Aのすべてが沓20の内部に収まる形状を有することが好ましい。
【0035】
(取付用ベースプレート)
次に、構造体Bに設けられる取付用ベースプレートBPについて説明する。
取付用ベースプレートBPは、例えば、円板状の部材である。ただし、取付用ベースプレートBPは、円板状に限られず、例えば、四角板状(矩形板状)であってもよい。取付用ベースプレートBPは、沓20と構造体Bとの間に設けられる。具体的には、取付用ベースプレートBPは、例えば、下沓20Lの備える第2沓部材22と下部構造B2との間に設けられる。取付用ベースプレートBPは、下沓20Lの第2沓部材22から伝達される荷重を、下部構造B2に伝達する。
本実施形態において、取付用ベースプレートBPは、例えば、図1に示すように、下部構造B2を形成するコンクリートの内部に埋設される。あるいは、下部構造B2を形成するコンクリートの上に配置されてもよい。
【0036】
本実施形態において、図2に示すように、取付用ベースプレートBPを厚さ方向から見た時の、取付用ベースプレートBPの外周円の面積は、第2沓部材22を厚さ方向から見た時の面積よりも大きい。以下、取付用ベースプレートBPにおける、第2沓部材22と取付用ベースプレートBPが並ぶ方向に沿って第2沓部材22が位置する側から見て、第2沓部材22の外縁より外方に位置する部分を、縁部BPEという。換言すれば、本実施形態において、取付用ベースプレートBPは、縁部BPEを備える。
取付用ベースプレートBPの第2沓部材22に面する側から見て、取付用ベースプレートBPの縁部BPEは環状である。すなわち、取付用ベースプレートBPの外縁の、第2沓部材22の外縁からの出代は、取付用ベースプレートBPの周方向に亘って均等である。このことで、第2沓部材22からの荷重を受ける際、及び、取付用ベースプレートBPへ荷重を伝達する際、周方向において荷重の分散等に偏りが生じないようにすることができる。また、例えば、図3に示すように、地震によって支持体10が沓20に対して水平方向に相対移動し、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、荷重分散領域20Aが取付用ベースプレートBPよりも外側に位置しないようにすることができる。よって、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、十分に荷重を分散させることができる。
【0037】
また、本実施形態において、第2沓部材22の厚みは、取付用ベースプレートBPの厚みよりも厚い。このことで、第2沓部材22の厚みによって十分な大きさの荷重分散領域20Aを形成し、荷重の分散をより確実に行いやすくすることができる。
本実施形態において、第2沓部材22は、図7に示すように、取付用ベースプレートBPに第2締結部材F2により締結されている。第2沓部材22と取付用ベースプレートBPを接合する第2締結部材F2は、例えば、第2締結孔22fに挿通され、取付用ベースプレートBPに締結される。このため、取付用ベースプレートBPには、第2締結部材F2と螺合可能な螺合部BPSが形成されることが好ましい。
【0038】
ここで、上述のように、取付用ベースプレートBPは、下部構造B2を形成するコンクリートに配置される。下部構造B2を形成する際、コンクリートが、予め配置された取付用ベースプレートBPの下に打設されることがある。この時、取付用ベースプレートBPの下面とコンクリートとの間に空気が残存していると、コンクリートの硬化後に取付用ベースプレートBPとコンクリートとの間に隙間が生じることがある。取付用ベースプレートBPとコンクリートとの間に隙間があると、取付用ベースプレートBPとコンクリートとの接触面積が減少し、荷重を伝達する際の面圧が高くなる原因となる。
そこで、取付用ベースプレートBPは、取付用ベースプレートBPの下に打設されるコンクリートから空気を抜くために、上下方向に貫通する第1貫通孔BPHを備える。第1貫通孔BPHは、例えば、図2に示すように、取付用ベースプレートBPの縁部BPEに設けられる。あるいは、第1貫通孔BPHは、図7に示すように、第2沓部材22の縁部22Eに設けられた第2貫通孔22dと互いに連通するように設けられてもよい。このことで、コンクリートに残存する空気が第1貫通孔BPH及び第2貫通孔22dを通して抜けるようにすることで、取付用ベースプレートBPとコンクリートとの間に隙間が生じることを抑える。
【0039】
(取付用ベースプレートの変形例)
図8は、取付用ベースプレートBPの変形例を示す、構造体Bの正面視の概要図である。
図9は、図8におけるIX-IX方向の断面図である。
構造体Bは滑り支承1を複数備え、その結果、構造体Bが取付用ベースプレートBPも複数備える場合において、全ての取付用ベースプレートBPが、同一でなくてもよい。例えば、取付用ベースプレートBPの変形例として、次のようなものも用いられてもよい。
すなわち、変形例に係る取付用ベースプレートBPは、図8及び図9に示すように、取付用ベースプレートBPの第2沓部材22に面する側から見て、環状であってもよい。この場合においても、取付用ベースプレートBPは縁部BPEを備えることが好ましい。また、取付用ベースプレートBPは、第2沓部材22の荷重伝達面22bと面接触する領域を確保することが好ましい。これにより、第2沓部材22と取付用ベースプレートBPとを確実に接合させることができる。なお図示の例では、取付用ベースプレートBPは、円形の環状であるが、矩形の環状であってもよい。
【0040】
(滑り支承の運搬時の形態)
次に、本実施形態に係る滑り支承1を運搬する際の形態について説明する。
図10は、滑り支承1を運搬する形態の第1例である。
図11は、滑り支承1を運搬する形態の第2例である。
上述の各構成を備える滑り支承1は、上沓20U、下沓20L、及び支持体10が互いに組み合わせられた状態で運搬される。このため、滑り支承1を運搬する際は、上沓20Uと下沓20Lとの位置が互いにずれないようにする必要がある。
そこで、本実施形態係る滑り支承1は、図10及び11運搬時において、固定治具Jを更に備える。固定治具Jは滑り支承1を運搬する際、一対に設けられた沓20同士、すなわち、上沓20Uと下沓20Lとを互いに固定する。
【0041】
固定治具Jは、例えば、図10に示すような板状の部材である。この場合、固定治具Jは、上沓20U及び下沓20Lのそれぞれの側面に第3締結部材F3等によって固定される。このことで、上沓20Uと下沓20Lとの相対移動を規制する。
あるいは、固定治具Jは、例えば、図11に示すような、クランプ状の部材であってもよい。この場合、固定治具Jは、上沓20U及び下沓20Lのそれぞれが備える第2沓部材22に接し、滑り支承1を沓20の厚さ方向から挟み込むようにして固定されてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る滑り支承1によれば、構造体Bが備える取付用ベースプレートBPに取り付けられ、沓20と、支持体10と、を備える。支持体10は、構造体Bからの荷重を沓20に伝達する。沓20は、支持体10が接触する第1沓部材21と、第1沓部材21における支持体10の反対側に配置される第2沓部材22と、を備える。沓20をこのような構成とすることで、支持体10から沓20に伝達される荷重は、まず、支持体10から沓側滑り面21aを介して第1沓部材21に伝達され、第1沓部材21から第2接触面22aを介して第2沓部材22に伝達される。このように、荷重が伝達される構成を複数備えることで、構造体Bから沓20に伝達された荷重を、十分に分散された状態で取付用ベースプレートBPに伝達させることができる。すなわち、第2沓部材22によって、滑り支承1において、支持体10から伝達される荷重を分散する荷重分散領域20Aを形成することができる。このことで、滑り支承1から取付用ベースプレートBPに付加される面圧を低くすることができる。よって、例えば、滑り支承1を適用可能な構造体Bを多様化することができる。また、構造体Bとしての耐久期間を長くすることができる。
また、上述した構造によれば、構造体Bを複雑にすることなく、構造体Bに作用する面圧の軽減を図ることができる。よって、例えば、施工現場での作業を簡易化することができる。
【0043】
また、第2沓部材22は、構造体Bに設置された状態において取付用ベースプレートBPに面接触する荷重伝達面22bを備えている。これにより、支持体10から伝達される荷重を、より効率的に取付用ベースプレートBPに伝達させやすくすることができる。
【0044】
また、沓側滑り面21aは凹球面であり、支持体側滑り面10aは凸球面である。すなわち、滑り支承1は、いわゆる球面滑り支承である。これにより、例えば、滑り支承1が設けられた構造体Bにおいて地震が発生した際は、支持体10と沓20とが水平方向に相対移動することで、構造体Bを地盤に対して水平方向に相対移動させ、地震の揺れを吸収することができる。そして、地震の後には、位置の修正作業等を行うことなく、構造体Bの位置を地震の前の位置に回復させることができる。
【0045】
また、第2沓部材22は、第1沓部材21と第2沓部材22とが並ぶ方向である並び方向に沿って第1沓部材21が位置する側から見て、第1沓部材21の外縁より外方に位置する縁部22Eを備える。すなわち、第2沓部材22の外縁は、第1沓部材21の外縁よりも外方に位置する。換言すれば、滑り支承1を第2沓部材22の第1沓部材21に面する側から見た時、第2沓部材22の面積は、第1沓部材21の面積よりも大きい。
これにより、例えば、地震によって支持体10が第1沓部材21に対して水平方向に相対移動し、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、第2沓部材22に十分な荷重分散領域20Aを備えることができる。よって、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、十分に荷重を分散させることができる。
【0046】
また、並び方向から見て、第2沓部材22の縁部22Eは環状である。すなわち、第2沓部材22の外縁の、第1沓部材21の外縁からの出代は、第2沓部材22の周方向に亘って均等である。これにより、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合に、支持体10が第1沓部材21に対して移動した方向を問わず、十分に第2沓部材22へ荷重を分散させることができる。
【0047】
また、沓20は、支持体10を挟むように一対に設けられる。すなわち、滑り支承1は、いわゆるダブルペンデュラムと呼ばれる方式の球面滑り支承である。これにより、例えば、構造体Bの、地盤に対する水平方向に移動可能な範囲を大きくすることができる。
【0048】
また、一対に設けられた沓20同士を互いに固定する固定治具Jを更に備える。これにより、例えば、滑り支承1の出荷時に、一対に設けられた沓20同士の位置が互いにずれることを抑えることができる。よって、ダブルペンデュラム方式の球面滑り支承である滑り支承1の、施工現場への搬送を効率的に行いやすくすることができる。
【0049】
また、第2沓部材22は中実である。これにより、例えば、第2沓部材22がハニカム構造のような中空の構造を備える場合と比較して、第2沓部材22による荷重の伝達及び分散を行いやすくすることができる。
【0050】
また、第2沓部材22は、荷重伝達面22bと第2接触面22aとに亘って貫通する第2貫通孔22dを備える。これにより、第2沓部材22の下方に打設されるコンクリートに気泡が残ることを抑えることができる。したがって、第2沓部材22の下面とコンクリートとの間に空洞が生じることを抑えることができる。よって、第2沓部材22から、第2沓部材22の下方に打設されるコンクリートへの荷重の伝達をより確実に行うことができる。
【0051】
また、第2沓部材22の厚みは、第1沓部材21の厚みよりも厚い。このことで、例えば、第1沓部材21の厚みを抑えつつ、沓20全体の厚みを確保し、荷重分散領域20Aを大きくすることができる。すなわち、沓20全体の厚みを確保することで、支持体10から沓20に伝達された荷重を、十分に分散しやすくすることができる。また、第1沓部材21の厚みを抑えることで、第1沓部材21を形成するための加工等の作業を行いやすくすることができる。すなわち、例えば、第1沓部材21の備える沓側滑り面21aが凹球面であるような場合に、第1沓部材21を切削する作業を行いやすくすることができる。
【0052】
また、第1沓部材21と第2沓部材22とは、第1締結部材F1により接合される。これにより、例えば、滑り支承1が設けられた構造体Bにおいて地震が発生した時、第1沓部材21と第2沓部材22との位置がずれることを抑えることができる。
【0053】
また、第1締結部材F1は、第2沓部材22に荷重伝達面22bから第2接触面22aに向けて凹入するように形成された第1締結孔22eに挿通され、第2接触面22aから突出し、その突出した部分が第1沓部材21の内部に位置する状態で配置される。これにより、第1締結部材F1を、沓20の外側に位置しないようにすることができる。よって、例えば、作業者が滑り支承1の点検等を行う際、作業者が第1締結部材F1に接触することを抑えることができる。
【0054】
また、第2沓部材22は、第2沓部材22に対して第1沓部材21を水平方向に位置決めする位置決め部22cを備える。これにより、水平方向における第1沓部材21と第2沓部材22との相対位置を合わせやすくすることができる。
【0055】
また、位置決め部22cは、第1接触面21bの輪郭形状に対応した形状で第2沓部材22に形成された窪みである。これにより、例えば、窪みに第1沓部材21をはめ込むようにすることで、第1沓部材21と第2沓部材22との相対位置を合わせることができる。
【0056】
また、位置決め部22cは、第2接触面22aから突出する突出部であってもよい。これにより、例えば、突出部に第1沓部材21を当接させるようにすることで、第1沓部材21と第2沓部材22との相対位置を合わせることができる。
【0057】
また、本実施形態に係る構造体Bによれば、本実施形態に係る滑り支承1を備える。これにより、滑り支承1から構造体Bに伝達される荷重による面圧を低く抑えることができる。よって、例えば、構造体Bの種類を多様化することができる。また、構造体Bとしての耐久期間を長くすることができる。
【0058】
また、取付用ベースプレートBPは、第2沓部材22と取付用ベースプレートBPが並ぶ方向に沿って第2沓部材22が位置する側から見て、第2沓部材22の外縁より外方に位置する縁部BPEを備える。すなわち、取付用ベースプレートBPの外縁は、第2沓部材22の外縁よりも外方に位置する。換言すれば、構造体Bに設けられた滑り支承1を取付用ベースプレートBPの第2沓部材22に面する側から見た時、取付用ベースプレートBPの面積は、第2沓部材22の面積よりも大きい。
これにより、例えば、地震によって支持体10が沓20に対して水平方向に相対移動し、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、荷重分散領域20Aが取付用ベースプレートBPよりも外側に位置しないようにすることができる。よって、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合であっても、十分に荷重を分散させることができる。
【0059】
また、第2沓部材22の厚みは、取付用ベースプレートBPの厚みよりも厚い。このことで、取付用ベースプレートBPの厚みを抑えることができる。また、第2沓部材22の厚みを確保しやすくすることで、第2沓部材22の荷重分散領域20Aを形成しやすくすることができる。したがって、例えば、構造体Bからの荷重の分散を十分に行うことができるようにすることができる。また、取付用ベースプレートBPの面積を確保しつつ、取付用ベースプレートBPの体積を抑えることができる。よって、取付用ベースプレートBPの費用を抑えることができる。
【0060】
また、取付用ベースプレートBPの縁部BPEは環状である。すなわち、取付用ベースプレートBPの外縁の、第2沓部材22の外縁からの出代は、取付用ベースプレートBPの周方向に亘って均等である。これにより、支持体10が第1沓部材21の外縁付近に移動した場合に、支持体10が第1沓部材21に対して移動した方向を問わず、十分に取付用ベースプレートBPへ荷重を分散させることができる。
【0061】
ここで、上述のように、本実施形態に係る滑り支承1によれば、構造体Bに付加される面圧を抑えることができる。このとき、滑り支承1を介して構造体Bに付加される面圧によっては、取付用ベースプレートBPの備える荷重分散の性能が必要以上となることがある。
そこで、取付用ベースプレートBPは環状であってもよい。このことで、取付用ベースプレートBPが滑り支承1の第2沓部材22に接する面積を抑え、荷重分散の性能が抑えられることに代えて、取付用ベースプレートBPの体積を小さくすることができる。よって、取付用ベースプレートBPの性能を必要な程度に抑えることで、取付用ベースプレートBPの費用を抑えることができる。
また、第2沓部材22は、取付用ベースプレートBPに第2締結部材F2により締結されている。これにより、例えば、滑り支承1が設けられた構造体Bにおいて地震が発生した時、取付用ベースプレートBPと第2沓部材22との位置がずれることを抑えることができる。
【0062】
また、第2沓部材22は、構造体Bに設置された状態において取付用ベースプレートBPに面接触する荷重伝達面22bを備えている。これにより、支持体10から伝達される荷重を、より効率的に取付用ベースプレートBPに伝達させやすくすることができる。
また、取付用ベースプレートBPは、上下方向に貫通する第1貫通孔BPHを備える。第2沓部材22は、上下方向に貫通する第2貫通孔22dを備える。そして、第1貫通孔BPHと第2貫通孔22dとが連通している。これにより、取付用ベースプレートBPの下方に打設されるコンクリートに残存する空気を、取付用ベースプレートBPの下方から、第2沓部材22の上方に亘って移動させることができる。したがって、取付用ベースプレートBPと第2沓部材22とが接合された後にコンクリートが打設された場合であっても、確実に取付用ベースプレートBPの下方に打設されたコンクリートの空気抜きをすることができる。
また、取付用ベースプレートBPの下方に打設されたコンクリートから空気を抜くことで、取付用ベースプレートBPの下面とコンクリートとの間に空洞が生じることを抑えることができる。よって、取付用ベースプレートBPから、取付用ベースプレートBPの下方に打設されるコンクリートへの荷重の伝達をより確実に行うことができる。
【0063】
また、構造体Bは滑り支承1を複数備える。ここで、構造体Bの構造によっては、複数の滑り支承1の設置場所によって、滑り支承1のそれぞれに付加される荷重の大きさに差が生じることがある。
そこで、複数の滑り支承1に対応する複数の取付用ベースプレートBPのそれぞれは、例えば、滑り支承1に付加される荷重が十分小さい設置箇所や、後述する滑り支承1の第2沓部材22による荷重分散効果により第2沓部材22の荷重伝達面22bの面圧が十分小さい設置箇所においては、互いに厚さや面積等の形状が異ならせて、取付用ベースプレートBPの構成を簡素化することができる。あるいは、荷重伝達面22bの面圧が十分小さく下部構造B2が荷重伝達面22bから直接荷重を受けてもコンクリートの強度不足が問題にならない場合には、取付用ベースプレートBPは設けられなくてもよい。
【0064】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、第2沓部材22が十分な厚みを備え、支持体10が第1沓部材21に対して水平方向に相対移動した場合であっても十分な荷重の分散が可能である場合、第2沓部材22に縁部22Eが設けられなくてもよい。同様に、第2沓部材22から取付用ベースプレートBPへの荷重の分散が十分に可能である場合、取付用ベースプレートBPに縁部BPEが設けられなくてもよい。
【0065】
また、取付用ベースプレートBPは、上部構造B1と滑り支承1との間に設けられてもよい。この場合、取付用ベースプレートBPは、実施形態において説明した下部構造B2と滑り支承1との間に設けられるものと同様の態様によって設けられることが好ましい。
また、下部構造B2を形成するコンクリートが、取付用ベースプレートBPや滑り支承1が取り付けられる前に打設される場合、第1貫通孔BPH及び第2貫通孔22dは、設けられなくてもよい。
また、水平方向に十分な摩擦力を備え、地震によっても位置がずれることがないことが保証できれば、第1沓部材21と第2沓部材22、及び、第2沓部材22と取付用ベースプレートBPは、第1締結部材F1又は第2締結部材F2によって固定されなくてもよい。
【0066】
また、本実施形態において、滑り支承1はダブルペンデュラム式の球面滑り支承であると説明したが、これに限らない。例えば、滑り支承1は、いわゆるシングルペンデュラム式といわれる球面滑り支承であってもよい。すなわち、滑り支承1は、支持体10が水平方向に移動せず、支持体10と上沓20Uとが摺動することで、上沓20U及び上部構造B1のみが水平方向に移動可能な方式であってもよい。
また、滑り支承1は、平面滑り支承であってもよい。
また、滑り支承1は、第2沓部材22を上下方向に複数段積層された状態で備えてもよい。
また、第1沓部材21は、複数の部材で構成されてもよい。
また、第1沓部材21と第2沓部材22とが並ぶ方向に沿って見た時、第1沓部材と第2沓部材とは、同じ大きさであってもよい。
また、本実施形態では第1沓部材21、第2沓部材22、および、取付用ベースプレートBPがいずれも平面視の輪郭形状が円形であるものを例示したが、これらの全て又は一部は、平面視の輪郭形状が矩形等の多角形であってもよい。なお、無駄な材料を抑制する観点から、第1沓部材21、第2沓部材22、および、取付用ベースプレートBPのそれぞれの平面視の輪郭形状は、同一または相似形であることが好ましい。
また、本実施形態では、第1沓部材21における第1接触面21bが平坦面であるものを例示したが、第1接触面は曲面であってもよいし、凹凸や段部が形成された非平坦面であってもよい。この場合、第2沓部材における第2接触面は、第1接触面に面接触できるように、第1接触面に対応した形状を有することになる。
【0067】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 滑り支承
10 支持体
10a 支持体側滑り面
20 沓
20A 荷重分散領域
20L 下沓
20U 上沓
21 第1沓部材
21a 沓側滑り面
21b 第1接触面
21S 螺合部
22 第2沓部材
22a 第2接触面
22b 荷重伝達面
22c 位置決め部
22d 第2貫通孔
22e 第1締結孔
22E 縁部
22e1 第1径部
22e2 第2径部
22f 第2締結孔
A 広がり角
B 構造体
B1 上部構造
B2 下部構造
BP 取付用ベースプレート
BPE 縁部
BPH 第1貫通孔
BPS 螺合部
F1 第1締結部材
F2 第2締結部材
F3 第3締結部材
J 固定治具
【要約】
【課題】構造体を複雑にすることなく、構造体に付加される面圧を抑えることができる滑り支承及び構造体を提供することを目的とする。
【解決手段】構造体Bが備える取付用ベースプレートBPに取り付けられる滑り支承1であって、沓側滑り面21aを備えた沓20と、沓側滑り面21aに接触する支持体側滑り面10aを備え、構造体Bからの荷重を沓20に伝達する支持体10と、を備え、沓20は、沓側滑り面21aが形成され、沓側滑り面21aの反対側に第1接触面21bが形成された板状の第1沓部材21と、第1沓部材21における支持体10の反対側に配置され、第1接触面21bに面接触する第2接触面22aが形成された板状の第2沓部材22と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
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