(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】バックシールド治具及びそれを用いた金属管の溶接方法
(51)【国際特許分類】
B23K 37/00 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
B23K37/00 301B
(21)【出願番号】P 2023221701
(22)【出願日】2023-12-27
【審査請求日】2024-01-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000143455
【氏名又は名称】株式会社高田工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 宏昭
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-044753(JP,A)
【文献】特開2004-239359(JP,A)
【文献】特開2010-007730(JP,A)
【文献】特開2001-130705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/00
B23K 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リング状のチューブと、前記チューブを覆っている周縁部が前記チューブ及び金属管の内側により挟まれた状態で前記金属管内に配されて該金属管内を塞ぐシート材とを有するバックシールド治具であって、
前記シート材は、前記周縁部が周方向に形成されたN個の分割片を備え、前記周縁部が全周に亘って、流体が充填された前記チューブの中心部側に折られて前記チューブを覆い、
前記N個の分割片のうち2組の対向する前記分割片を含むM個の前記分割片に対し、前記チューブの中心部向きの力を作用させて、前記周縁部が前記チューブを覆った状態を維持するシート仮留手段が、前記周縁部に取り付けられていることを特徴とするバックシールド治具。
但し、Nは4以上の整数であり、Mは4以上N以下の整数である。
【請求項2】
請求項1記載のバックシールド治具において、前記シート仮留手段は、前記M個の分割片にそれぞれ取り付けられたM個の長尺部材と、前記M個の長尺部材に取り付けられて、前記M個の長尺部材に前記チューブの中心部向けの張力を作用させる留め具とを備えることを特徴とするバックシールド治具。
【請求項3】
請求項2記載のバックシールド治具において、前記長尺部材は、一側が前記分割片に固定された紐状の弾性体及び前記弾性体の他側に設けられた輪部を有し、前記留め具は、線状で前記M個の長尺部材それぞれの前記輪部を挿通し、両側端部が連結されて環状となり、挿通している前記M個の輪部の抜け落ちを防止した状態となることを特徴とするバックシールド治具。
【請求項4】
請求項2記載のバックシールド治具において、前記長尺部材は、一側が前記分割片に固定され、他側に輪部が設けられた紐状の非弾性体であって、前記留め具は、各前記長尺部材の前記輪部を挿通した環状の弾性部材であることを特徴とするバックシールド治具。
【請求項5】
請求項1記載のバックシールド治具において、前記シート仮留手段は、前記M個の分割片にそれぞれ一端部が固定されたM個の長尺部材と、貫通孔が形成された束ね部と、前記束ね部に一端部が連結され他端部が前記金属管の外側空間に配される支持部材とを備え、各前記長尺部材は、前記一端部まで距離を有する部分が前記チューブの中心部近傍に配された前記貫通孔を挿通し、他端部が前記金属管の外側空間に配された状態で、張力を与えられて、前記M個の前記分割片に前記チューブの中心部向きの力を作用させることを特徴とするバックシールド治具。
【請求項6】
リング状のチューブを覆っている周縁部が前記チューブ及び金属管の内側により挟まれたシート材によって前記金属管内の開口部近傍を塞いだ状態で、前記開口部に金属物を溶接する溶接方法であって、
周縁部にN個の分割片が周方向に形成された前記シート材の前記周縁部の内側に、流体が充填された前記チューブを重ねた状態にし、前記周縁部を全周に亘り前記チューブの中心部側に折って、前記周縁部で前記チューブを覆う第1の工程と、
前記N個の分割片のうち2組の対向する前記分割片を含むM個の前記分割片に対し、前記チューブの中心部向きの力を作用させるシート仮留手段で、前記周縁部が前記チューブを覆った状態を維持して、前記シート材を前記チューブに取り付ける第2の工程と、
前記M個の分割片に前記チューブの中心部向きの力を作用させた状態で前記シート材を前記チューブと共に前記開口部から前記金属管内に押し込む第3の工程と、
前記開口部に金属物を近接させて、前記金属管内の前記開口部近傍への大気の流入を制限する第4の工程と、
前記金属管内の前記開口部近傍に不活性ガスを供給して大気を前記不活性ガスに置換した後、前記金属管及び前記金属物を前記金属管の外側から溶接する第5の工程とを有することを特徴とする金属管の溶接方法。
但し、Nは4以上の整数であり、Mは4以上N以下の整数である。
【請求項7】
請求項6記載の金属管の溶接方法において、前記シート仮留手段は、前記M個の分割片にそれぞれ取り付けられたM個の長尺部材と、前記M個の長尺部材に取り付けられて、前記M個の長尺部材に前記チューブの中心部向けの力を作用させる留め具とを備え、前記留め具を、前記第3の工程の後、前記第4の工程の前に、前記M個の長尺部材から取り外し、前記金属管の外側空間に取り出すことを特徴とする金属管の溶接方法。
【請求項8】
請求項6記載の金属管の溶接方法において、前記シート仮留手段は、前記M個の分割片にそれぞれ一端部が固定されたM個の長尺部材と、貫通孔が形成された束ね部と、前記束ね部に連結された支持部材とを備え、
前記第3の工程で、前記チューブの中心部近傍に配した前記貫通孔に、各前記長尺部材を挿通させ、前記各長尺部材に張力を与えて、前記M個の分割片に前記チューブの中心部向きの力を作用させた状態にし、
前記第4の工程で、前記各長尺部材の他端部及び前記支持部材の他端部が、前記開口部に接触した前記金属物に設けられた取出口から外側に出た状態にし、前記第5の工程まで、前記各長尺部材の外側に出ている領域に力を作用させて前記各長尺部材に張力を与え、
前記第5の工程後、前記各長尺部材の前記取出口から外側に出ていた領域を前記取出口を介して前記金属管内に入れ、前記M個の分割片に作用していた前記チューブの中心部向きの力を解除することを特徴とする金属管の溶接方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属管の溶接部の裏面をバックシールドガスにより大気から遮蔽した状態にするバックシールド治具及びそれを使用した金属管の溶接方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中での溶接によって容易に酸化するステンレス鋼等の金属を材料とした2つの金属管を溶接により連結する際、溶接部(通常は各金属管の開口部が接触した箇所の近傍)の裏側、即ち、金属管の内面側の酸化防止のために、金属管において溶接部の裏側に当たる部分を含む領域を不活性ガス雰囲気にする。金属管内の所定領域を不活性ガス雰囲気にする方法として、金属管内の所定箇所を塞ぐバックシールド治具を金属管内に設置する方法があり、その具体例が、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているバックシールド治具は、円形状のシート材及びシート材より直径が短いリング状のチューブを有する。作業者は、シート材及び空気を充填して膨らませたチューブを、金属管外に設置された平坦な作業台の上で各中心が一致するように重ね、その後、シート材の周縁部を全周に亘って中心側に折って、チューブがシート材の周縁部で覆われた状態にする。
【0004】
作業者は、シート材及びシート材の周縁部で覆われたチューブを、金属管の開口部から金属管内に入れ、シート材の周縁部全体がチューブと金属管の内面で挟まれてシート材を展張した状態にした後、シート材及びチューブを金属管内の所定位置まで押し込み、金属管内の所定位置をシート材によって塞ぐ。
次に、チューブに一端部が連結された空気供給用ホース経由でチューブ内に空気を充填し、チューブ内の圧力を、バックシールド治具によるシール、並びに、チューブ及びシート材の固定に必要な値まで高めて、シート材及びチューブを金属管内に設置する。これにより、溶接部を含む金属管内の所定空間が閉鎖された空間となる。
【0005】
その後、その閉鎖空間に不活性ガスを注入して閉鎖空間内の大気を不活性ガスに置換し、金属管を溶接する。
ここで、金属管内に設置されたシート材の周縁部に撚れが生じていると、バックシールド治具と金属管の内面の間のシール性が低下することとなる。そのため、シート材の周縁部には、複数個所の半径方向の切れ込みにより分割片が形成され、シート材の周縁部に撚れが生じるのを防止している。
【0006】
金属管の溶接が完了した後、作業者は、チューブから空気を抜いてチューブを収縮させ、金属管に形成されていた取出口を介して金属管外に出されていた空気供給用ホースの他端部を引いて、チューブを取出口経由で金属管から取り出す。シート材には、一端部が取出口経由で金属管外に配された紐の他端部が固定されており、作業者は、その紐を引いて、シート材も取出口経由で金属管から取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は、シート材の分割片でチューブを覆った状態で、シート材及びチューブを金属管内に押し込むことから、シート材及びチューブの向きによっては重力等でシート材の分割片がチューブから外れることがある。更に、シート材及びチューブを金属管内に押し込む際に生じるシート材と金属管の間の摩擦によって、チューブに対しシート材の分割片がずれて、チューブから分割片が外れることもある。その結果、シート材及びチューブの金属管への設置に時間を要するという問題が生じる。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、シート材の周縁部でチューブを覆った状態が安定して保たれるバックシールド治具及びそれを用いた金属管の溶接方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的に沿う第1の発明に係るバックシールド治具は、リング状のチューブと、前記チューブを覆っている周縁部が前記チューブ及び金属管の内側により挟まれた状態で前記金属管内に配されて該金属管内を塞ぐシート材とを有するバックシールド治具であって、前記シート材は、N個の分割片が周方向に形成された周縁部を備え、前記周縁部が全周に亘って、流体が充填された前記チューブの中心部側に折られて前記チューブを覆い、前記N個の分割片のうち2組の対向する前記分割片を含むM個の前記分割片に対し、前記チューブの中心部向きの力を作用させて、前記周縁部が前記チューブを覆った状態を維持するシート仮留手段が、前記周縁部に取り付けられている。但し、Nは4以上の整数であり、Mは4以上N以下の整数である。
【0011】
前記目的に沿う第2の発明に係る溶接方法は、リング状のチューブを覆っている周縁部が前記チューブ及び金属管の内側により挟まれたシート材によって前記金属管内の開口部近傍を塞いだ状態で、前記開口部に金属物を溶接する溶接方法であって、周縁部にN個の分割片が周方向に形成された前記シート材の前記周縁部の内側に、流体が充填された前記チューブを重ねた状態にし、前記周縁部を全周に亘り前記チューブの中心部側に折って、前記周縁部で前記チューブを覆う第1の工程と、前記N個の分割片のうち2組の対向する前記分割片を含むM個の前記分割片に対し、前記チューブの中心部向きの力を作用させるシート仮留手段で、前記周縁部が前記チューブを覆った状態を維持して、前記シート材を前記チューブに取り付ける第2の工程と、前記M個の分割片に前記チューブの中心部向きの力を作用させた状態で前記シート材を前記チューブと共に前記開口部から前記金属管内に押し込む第3の工程と、前記開口部に金属物を近接させて、前記金属管内の前記開口部近傍への大気の流入を制限する第4の工程と、前記金属管内の前記開口部近傍に不活性ガスを供給して大気を前記不活性ガスに置換した後、前記金属管及び前記金属物を前記金属管の外側から溶接する第5の工程とを有する。但し、Nは4以上の整数であり、Mは4以上N以下の整数である。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係るバックシールド治具は、シート材が、N個の分割片が周方向に形成された周縁部を備え、周縁部が全周に亘って、流体が充填されたチューブの中心部側に折られてチューブを覆い、N個の分割片のうち2組の対向する分割片を含むM個の分割片に対し、チューブの中心部向きの力を作用させて、周縁部がチューブを覆った状態を維持するシート仮留手段が、周縁部に取り付けられているので、シート材の周縁部でチューブを覆った状態を安定して保つことが制可能である。
【0013】
また、第2の発明に係る溶接方法は、周縁部にN個の分割片が周方向に形成されたシート材の周縁部の内側に、流体が充填されたチューブを重ねた状態にし、周縁部を全周に亘りチューブの中心部側に折って、周縁部でチューブを覆う第1の工程と、N個の分割片のうち2組の対向する分割片を含むM個の分割片に対し、チューブの中心部向きの力を作用させるシート仮留手段で、周縁部がチューブを覆った状態を維持して、シート材をチューブに取り付ける第2の工程と、M個の分割片にチューブの中心部向きの力を作用させた状態でシート材をチューブと共に開口部から金属管内に押し込む第3の工程と、開口部に金属物を近接させて、金属管内の開口部近傍への大気の流入を制限する第4の工程と、金属管内の開口部近傍に不活性ガスを供給して大気を不活性ガスに置換した後、金属管及び金属物を金属管の外側から溶接する第5の工程とを有するので、シート材をチューブと共に金属管内に押し込む際、シート材の周縁部でチューブを覆った状態を安定して保つことが制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るバックシールド治具の説明図である。
【
図2】チューブにシート材を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図3】チューブにシート材を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図4】チューブにシート材を取り付けた状態を示す説明図である。
【
図5】(A)、(B)はそれぞれ、チューブ及びシート材を金属管内に設置する様子を示す説明図である。
【
図6】本発明の第2の実施の形態に係るバックシールド治具において、チューブにシート材を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図7】チューブ及びシート材を金属管内に設置した様子を示す説明図である。
【
図8】(A)、(B)はそれぞれ、チューブ及びシート材を金属管内に設置する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1~
図5に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るバックシールド治具10は、リング状のチューブ11と、チューブ11を覆っている周縁部16がチューブ11及び金属管Pの内側により挟まれた状態で金属管P内に配されて金属管P内を塞ぐシート材12とを有する治具である。以下、詳細に説明する。
【0016】
本実施の形態では、バックシールド治具10が、
図1、
図4、
図5(B)に示すように、金属管Pの一端の開口部Sにキャップ状の金属管(金属物の一例)Qの開口部Tを突き合せて金属管P及び金属管Qの外側から溶接処理を行う際に用いられる。金属管P及び金属管Qは共に溶接処理等により高温になることによって大気中では容易に酸化する金属(ステンレス鋼等)で形成されている。そのため、金属管P内の開口部S近傍及び金属管Q内からなる空間(以下、「溶接近傍空間」とも言う)を、バックシールド治具10を使用して大気の流入が制限された状態にした後、不活性ガスの供給により同空間を不活性ガス雰囲気にして溶接を行う。これによって、溶接中に金属管P内及び金属管Q内が酸化することを防止する。なお、金属管Pに溶接により固定される金属物はキャップ状の金属管に限定されない。
【0017】
チューブ11は弾性材料(本実施の形態では、ゴム)によって形成されている。チューブ11には、
図1に示すように、一端部に注入口13が設けられたガスホース14の他端部が連結されている。注入口13はガスホース14の一端部に装着されているキャップ15が取り外されることによって露出し、チューブ11は露出した注入口13に接続された図示しない空気供給装置によってガスホース14経由で空気が供給される。なお、
図2~
図4においては、ガスホース14の記載を省略している。
【0018】
チューブ11とは別体のシート材12は、
図1、
図2に示すように、全体的に円形状であり、シート材12の周縁部(外周部)16には、周方向に並んだN個の分割片17が全周に亘って形成されている。N個の分割片17は、周縁部16に、等間隔で、シート材12の半径方向(実質的に半径方向)にN個の切り込みを入れて形成されている(即ち、各分割片17は周方向の長さが等しい)。従って、シート材12は、N個の分割片17が周方向に形成された周縁部16を備えている。Nは4以上の整数であり、本実施の形態ではN=12である。
なお、各分割片17は周方向の長さが異なっていてもよい。
【0019】
各分割片17には一本の長尺部材18が取り付けられている。長尺部材18は一側(基側)が分割片17に固定されたゴム紐(紐状の弾性体の一例)19、及び、ゴム紐19の他側(先側)に設けられた輪部20を有している。輪部20は、ゴム紐19の他端に連続するゴム紐片(即ち、ゴム紐19及びゴム紐片で一本のゴム紐が構成される)で形成したもの(例えば、ゴム紐片を輪状にし金具で留めたもの)であってもよいし、ゴム紐19に取り付けられた輪状の部材(例えば、金属製のリング)であってもよい。本実施の形態では、各分割片17において、シート材12の半径方向外側の周方向中心にゴム紐19の一側が固定されている。
【0020】
次に、シート材12をチューブ11に取り付け、シート材12で金属管P内の所定位置を塞いだ状態にし、金属管Pの開口部Sと金属管Qの開口部Tを突合せて溶接するまでの各ステップについて説明する。なお、本実施の形態において、金属管P及び金属管Qは、軸心が鉛直に配され、金属管Pに金属管Qが載せられた状態で溶接される。
【0021】
<ステップ1>
水平台の上に広げた状態で置いたシート材12の上に、
図2に示すように、シート材12の中心部とチューブ11の中心部が平面視して一致するように、水平に配したチューブ11を重ねる。本実施の形態では、チューブ11に予め空気を充填しているが、チューブ11をシート材12に置いた後にチューブ11に空気を充填するようにしてもよい。
【0022】
本実施の形態では、広げたシート材12にチューブ11を重ねた状態で、シート材12において、平面視してチューブ11の外側領域が周縁部16に該当し、周縁部16はN個の分割片17とその内側の円環状の領域から構成されている。従って、ステップ1で、シート材12の周縁部16の内側に、空気が充填されたチューブ11を重ねた状態となる。なお、N個の分割片のみで周縁部が構成されるように、シート材の分割片等の大きさやチューブの大きさを調整してもよい。
【0023】
<ステップ2>
次に、シート材12の周縁部16を、
図3、
図4に示すように、全周に亘り、チューブ11の中心部側に折って、周縁部16でチューブ11を覆う。本実施の形態では、N個の分割片17の全てがチューブ11に被さった状態となる。よって、シート材12は、周縁部16が全周に亘って、空気が充填されたチューブ11の中心部側に巻き付けるように折られてチューブ11を覆う。周縁部16をチューブ11の中心部側に折った際、N個の長尺部材18が全てシート12の半径方向に配置され、N個の輪部20がチューブ11の中心部周辺に間隔を空けて円環状に配されるようにする。
【0024】
<ステップ3>
その後、チューブ11の中心部周辺に配された各輪部20に、
図4に示すように、留め具21を取り付け、各長尺部材18にチューブ11の中心部向きの力を作用させて、周縁部16がチューブ11を覆った状態を維持する(即ち、シート材12やチューブ11に、チューブ11に対してシート材12がずれる方向の力が作用しても、周縁部16がチューブ11を覆った状態が安定して保たれるようにする)。これにより、シート材12のチューブ11への取り付けが完了する。
【0025】
留め具21は、手作業により、その形状を線状から環状に、あるいは、環状から線状に変更でき、線状の状態で両側端部に該当する部分が相互に連結可能になっている。作業者は、線状の留め具21でN個の輪部20全てを挿通し、留め具21の両側端部を連結して、N個の輪部20が留め具21から抜け落ちないようにする。本実施の形態では、留め具21が非弾性体(実質的に非弾性体の意味)であり、主としてN本の長尺部材18及び留め具21によって、周縁部16がチューブ11を覆った状態を維持するシート仮留手段22が構成されている。
【0026】
ここで、本実施の形態では、シート仮留手段22がN個の分割片17全てに対し、チューブ11の中心部向きの力を作用させているが、Mを4以上N以下の整数として、N個の分割片17のうち2組の対向する分割片17を含むM個の分割片17のみに対し、チューブ11の中心部向きの力を作用させて、周縁部16がチューブ11を覆った状態を維持するようにしてもよい。
【0027】
この場合、シート仮留手段22は、M個の分割片17にそれぞれ取り付けられたM個の長尺部材18と、M個の長尺部材18に取り付けられて、M個の長尺部材18にチューブ11の中心部向けの張力(チューブ11の中心部に向けて引っ張る力)を作用させる留め具21とを備えることとなる。更に、留め具21は、線状でM個の長尺部材18それぞれの輪部20を挿通し、両側端部が連結されて環状となり、挿通しているM個の輪部20の抜け落ちを防止した状態となる。
【0028】
例えば、12個の分割片17のうち2組の対向する分割片17(合計4つの分割片17)にそれぞれ長尺部材18を取り付け、その4つの長尺部材18に留め具21を取り付けて、4つの分割片17のみにチューブ11の中心部向きの力を作用させてもよい。この場合、1組目の対向する分割片17と2組目の対向する分割片17は十字の位置関係、例えば、1組目の対となる分割片17を12時位置及び6時位置にそれぞれ配された分割片17とし、2組目の対となる分割片17を3時位置及び9時位置にそれぞれ配された分割片17とするのが好ましい。
【0029】
<ステップ4>
シート材12のチューブ11への取り付けが完了した後、作業者は、
図5(A)に示すように、金属管Pの開口部Sにシート材12をチューブ11と共に嵌め込む。チューブ11に取り付けられたシート材12は、周縁部16全体がチューブ11と金属管Pの内側に挟まれ、周縁部16の内側の領域が展張された状態になっている。シート材12の中心には、紐状物23の一端部が固定されている。なお、
図2~
図4では、紐状物23の記載を省略している。
【0030】
<ステップ5>
次に、作業者は、N個の分割片17にチューブ11の中心部向きの力を作用させた状態を維持したまま、シート材12をチューブ11と共に金属管Pの開口部Sから金属管P内の所定位置まで押し込み、ガスホース14経由でチューブ11内に空気を追加してチューブ11を膨張させ、シート材12及びチューブ11を金属管P内に確実に固定する。これによって、金属管P内の所定位置をシート材12で塞ぐ処理が完了する。
【0031】
<ステップ6>
留め具21を線状にしてN個の輪部20から外し金属管P内から留め具21を取り除いた後、
図5(B)に示すように、金属管Pの開口部Sと金属管Qの開口部Tとが対向状態で近接するように、金属管Pと金属管Qを突き合わせる。金属管P内のシート材12で塞がれた位置から開口部Sまでの領域と金属管Q内の領域とによって、溶接近傍空間が形成される。金属管Qの開口部Tが形成された側の反対側(閉じられている側)には溶接近傍空間に連通する筒体Jが固定されている。金属管Pと金属管Qを突き合わせる際、ガスホース14の注入口13が設けられている一端部及び紐状物23の他端部(シート材12に連結された側の反対側)は、金属管Qの筒体Jを介して金属管P及び金属管Qの外側に配される。
【0032】
<ステップ7>
一端部が不活性ガス(アルゴンガス等)の供給装置に接続されたガスホース25の他端部を筒体Jを介して溶接近傍空間に入れ、ガスホース25経由で不活性ガスを溶接近傍空間に供給して溶接近傍空間内の大気を不活性ガスに置換した後(溶接近傍空間を不活性ガス雰囲気にした後)、金属管P及び金属管Qを金属管P及び金属管Qの外側から溶接して金属管Pに金属管Qを固定する。なお、
図5(B)では、長尺部材18の記載を省略している。
【0033】
<ステップ8>
溶接完了後、ガスホース14経由でチューブ11内の空気を排出し、ガスホース14を引いてチューブ11を溶接近傍空間から筒体J経由で外側に取り出し、次いで、紐状物23を引いて、シート材12をN個の長尺部材18と共に溶接近傍空間から筒体J経由で外側に取り出す。
【0034】
従って、リング状のチューブ11を覆っている周縁部16がチューブ11及び金属管Pの内側により挟まれたシート材12によって金属管P内の開口部S近傍を塞いだ状態で、開口部Sに金属管Q(金属物)を溶接する溶接方法は、シート材12の周縁部16の内側に、流体が充填されたチューブ11を重ねた状態にし、周縁部16を全周に亘りチューブ11の中心部側に折って、周縁部16でチューブ11を覆う第1の工程と、N個の分割片17のうち2組の対向する分割片17を含むM個の分割片17に対し、チューブ11の中心部向きの力を作用させるシート仮留手段22で、周縁部16がチューブ11を覆った状態を維持して、シート材12をチューブ11に取り付ける第2の工程と、M個の分割片17にチューブ11の中心部向きの力を作用させた状態でシート材12をチューブ11と共に開口部Sから金属管P内に押し込む第3の工程と、開口部Sに金属管Qを接触させて、シート材12及び金属管Qにより、金属管P内の開口部S近傍への大気の流入を制限する第4の工程と、金属管P内の開口部S近傍に不活性ガスを供給して大気を不活性ガスに置換した後、金属管P及び金属管Qを金属管Pの外側から溶接する第5の工程とを有する。
留め具21は、第3の工程の後、第4の工程の前に、M個の長尺部材18から取り外され、金属管Pの外側空間に取り出される。
【0035】
本実施の形態では、ゴム紐19、即ち、紐状の弾性体を有する長尺部材18及び非弾性体の留め具21を組み合わせて使用しているが、これには限定されない。紐状の非弾性体(実質的に非弾性体の意味)を有する長尺部材及び弾性部材の留め具を組み合わせてもよいし、紐状の弾性体を有する長尺部材及び弾性部材の留め具を組み合わせてもよいし、紐状の非弾性体を有する長尺部材及び非弾性部材の留め具を組み合わせてもよい。
更に、留め具は線状から環状に又は環状から線状に形状が変えられるものでなくてもよく、例えば、形状が環状の(線状にはならない)留め具、及び、一側が分割片に取り付けられ他側にフックを具備する長尺部材を採用し、フックを留め具に掛けて、長尺部材にチューブの中心部向けの張力を作用させるようにしてもよい。
【0036】
また、シート仮留部材が長尺部材及び留め具を有する必要はない。シート材の周縁部が全周に亘ってチューブの中心部側に折られた状態で、各分割片のチューブの中心部近くに配された先側に、まつり縫いにより取り付けられた紐、あるいは、各分割片の先側に形成された孔に通されて取り付けられた紐をシート仮留部材にしてもよい。各分割片の先側にまつり縫いにより取り付けられた紐も、チューブの中心部向きの力を作用させて、周縁部がチューブを覆った状態を維持する。
【0037】
ここで、シート仮留手段22の主な役割は、チューブ11及びシート材12を金属管P内に押し込む際に、シート材12がチューブ11からずれるのを防止することであるが、その役割に加えて、金属管P内に押し込まれ所定位置で位置決めされたチューブ11及びシート材12が金属管P内の圧力等で移動したり、傾いたりするのを防止する役割も担うシート仮留手段を採用してもよい。
【0038】
図6~
図8を参照して、チューブ11及びシート材12が金属管P内に押し込まれる際に、シート材12のチューブ11からのずれを防止する役割だけでなく、金属管P内で位置決めされたチューブ11及びシート材12が移動したり傾いたりするのを防止する役割も担うシート仮留手段51を有するバックシールド治具50について説明する。なお、バックシールド治具50においてバックシールド治具10と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0039】
本発明の第2の実施の形態に係るバックシールド治具50は、チューブ11、シート材12及びシート仮留手段51を有し、シート仮留手段51によってチューブ11に固定されたシート材12で、金属管P内の所定位置を塞ぐ治具である。
シート仮留手段51は、
図6、
図7に示すように、N個の分割片17にそれぞれ一端部が固定されたN個の長尺部材52と、N個の長尺部材52が挿通される貫通孔53が形成された束ね部54と、束ね部54に一端部が連結され他端部が金属管Pの外側空間に配される支持部材55を備えている。なお、
図6、
図7では、チューブ11に接続されたガスホース14及びシート材12に連結された紐状物23の記載を省略している。
【0040】
バックシールド治具50は、シート材12の周縁部16がシート材12に重ねたチューブ11の中心部側に巻き付けるように折られてチューブ11を覆う点、及び、N個の分割片17にそれぞれ取り付けられたN個の長尺部材52それぞれにチューブ11の中心部向けの張力を作用させる点で、バックシールド治具10と共通している。一方、バックシールド治具50は、各分割片17に対しチューブ11の中心部向きの力を作用させるための構成等がバックシールド治具10と相違する。
【0041】
なお、バックシールド治具50においても、N個の分割片17全てに対しチューブ11の中心部向きの力を作用させる必要はなく、N個の分割片17のうち2組の対向する分割片17に当たる4個の分割片17のみに対して、チューブ11の中心部向きの力を作用させるようにしてもよい。つまり、N個の分割片17のうち2組の対向する分割片17を含むM個の分割片17に対し、チューブ11の中心部向きの力を作用させればよい。
【0042】
各長尺部材52は長尺部材18に比べて長く、本実施の形態では長尺部材52に紐状の非弾性体を採用している。本実施の形態では、束ね部54が、
図7に示すように、円筒状の金属体である。支持部材55は、一端部が束ね部54に溶接された金属製の棒材によって構成され、他端部が折り曲げ加工されて筒体Jの開口部に係止可能になっている。
【0043】
また、シート材12の周縁部16がチューブ11の中心部側に折られてチューブ11を覆った状態は次のようにして維持される。即ち、束ね部54を、チューブ11の中心部近傍に配し、各長尺部材52の長尺部材52の一端部まで距離を有する部分を束ね部54の貫通孔53に挿通させ、各長尺部材52の貫通孔53を挿通した部分から他端部までの間を他端部向きに引っ張った状態にし、各分割片17にチューブ11の中心部向きの力を作用させることによって、上記状態が維持される。
【0044】
次に、シート材12をチューブ11に取り付け、シート材12で金属管P内の所定位置を塞いだ状態にし、金属管Pの開口部Sと金属管Qの開口部Tを突合せて溶接するまでの各ステップについて説明する。
まず、バックシールド治具10を用いるときのステップ1及びステップ2と同様の手順で、シート材12の周縁部16でチューブ11を覆った状態にし、以下のステップ3a以降を行う。
【0045】
<ステップ3a>
チューブ11の中心部近傍に配した束ね部54の貫通孔53に、
図7に示すように、各長尺部材52を通し、各長尺部材52を長尺部材52の他端部向きに引っ張った状態で支持部材55又は他の部材に各長尺部材52を固定して、周縁部16(N個の分割片17)にチューブ11の中心部向きの力を作用させ、周縁部16がチューブ11を覆った状態が安定して維持されるようにして、シート材12のチューブ11への取り付けを完了する。
【0046】
<ステップ4a>
作業者は、シート材12をチューブ11と共に、
図8(A)に示すように、金属管Pの開口部Sに嵌め込む。
【0047】
<ステップ5a>
作業者は、周縁部16にチューブ11の中心部向きの力を作用させた状態を維持したまま、シート材12をチューブ11と共に金属管Pの開口部Sから金属管P内の所定位置まで押し込み、チューブ11内に空気を追加してチューブ11を膨張させ、シート材12及びチューブ11を金属管P内に固定して、金属管P内の所定位置をシート材12で塞ぐ。シート材12及びチューブ11を金属管P内の所定位置まで押し込む際、束ね部54及び支持部材55をシート材12及びチューブ11の移動(移動速度及び移動方向)に合わせて移動させる。
【0048】
<ステップ6a>
その後、
図7、
図8(B)に示すように、金属管Pの開口部Sと金属管Qの開口部Tとが対向して接触するように、金属管Pと金属管Qを突き合わせる。金属管Pと金属管Qを突き合わせる際、長尺部材52の他端部、支持部材55の他端部、ガスホース14の注入口13が設けられている一端部、及び、紐状物23の他端部(シート材12に連結された側の反対側)が、金属管Qに固定された筒体Jを介して金属管P及び金属管Qの外側に配されるようにする。
【0049】
支持部材55の他端部は筒体Jの開口部に掛けて、支持部材55及び束ね部54が落下するのを防止する。
金属管Pと金属管Qの突き合わせが完了した際、各長尺部材52は、一端部まで距離を有する部分がチューブ11の中心部近傍に配された貫通孔53を挿通し、他端部が金属管Pの外側空間に配された状態で、張力を与えられて、N個(M個であってもよい)の分割片17にチューブ11の中心部向きの力を作用させている。
【0050】
<ステップ7a>
ガスホース25の一端部を、
図8(B)に示すように、筒体Jを介して溶接近傍空間に入れ、ガスホース25経由の不活性ガスの供給により、溶接近傍空間を不活性ガス雰囲気にした後、ガスホース25を溶接近傍空間から取り出し、金属管P及び金属管Qを金属管P及び金属管Qの外側から溶接して金属管Pに金属管Qを固定する。
【0051】
<ステップ8a>
溶接完了後、N個の長尺部材52を固定した状態を解除してN個の長尺部材52を筒体J経由で溶接近傍空間内(金属管P及び金属管Q内の空間)に入れ(落し)、支持部材55を束ね部54と共に引き上げて筒体J経由で溶接近傍空間内から取り出す。その後、ガスホース14経由でチューブ11内の空気を排出し、ガスホース14を引いてチューブ11を溶接近傍空間から筒体J経由で外側に取り出し、次いで、紐状物23を引いて、シート材12をN個の長尺部材52と共に溶接近傍空間から筒体J経由で外側に取り出す。
【0052】
従って、バックシールド治具50を利用した金属管Pの開口部Sに金属物(金属管Q)を溶接する溶接方法は、バックシールド治具10を利用した溶接方法に対して、少なくとも以下の3つの点が異なる。
【0053】
(1)第3の工程で、チューブ11の中心部近傍に配した貫通孔53に、各長尺部材52を挿通させ、各長尺部材52に張力を与えて、N個(M個であってもよい、以下同様)の分割片17にチューブ11の中心部向きの力を作用させた状態にする。
【0054】
(2)第4の工程で、各長尺部材52の他端部及び支持部材55の他端部が、開口部Sに接触した金属物(金属管Q)に設けられた取出口(筒体Jの貫通孔)から外側に出た状態にし、第5の工程まで、各長尺部材52の外側に出ている領域に力を作用させて各長尺部材52に張力を与える。
【0055】
(3)第5の工程後、各長尺部材52の取出口から外側に出ていた領域を取出口を介して金属管P内に入れ、N個の分割片17に作用していたチューブ11の中心部向きの力を解除する。
【0056】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、チューブに空気以外の流体(水等)を充填してもよい。
また、全ての分割片に長尺部材を取り付けなくてもよく、シート仮留手段が有する長尺部材の数は分割片の数より少なくてもよい。1つの分割片に複数の長尺部材を取り付けてもよく、シート仮留手段が有する長尺部材の数は分割片の数より多くてもよい。
【0057】
金属管の開口部に溶接する金属物はキャップ状の金属管である必要はない。例えば、金属管(以下、「金属管α」と言う)の開口部に溶接する金属物は円筒状の金属管(以下、「金属管β」と言う)であってもよく、その場合、金属管α内だけではなく、金属管β内にもチューブ及びシート材が設置される。そして、共にチューブ及びシート材が設置された金属管α及び金属管βの各開口部を近接することで、金属管αの溶接近傍空間は、金属管α内に固定されたシート材、金属管β及び金属管β内に固定されたシート材によって大気の流入が制限される。また、金属管β(金属管αであってもよい)には、チューブ及びシート材の取り出し等を行うための挿通口が設けられる。
【符号の説明】
【0058】
10:バックシールド治具、11:チューブ、12:シート材、13:注入口、14:ガスホース、15:キャップ、16:周縁部、17:分割片、18:長尺部材、19:ゴム紐、20:輪部、21:留め具、22:シート仮留手段、23:紐状物、25:ガスホース、50:バックシールド治具、51:シート仮留手段、52:長尺部材、53:貫通孔、54:束ね部、55:支持部材、J:筒体、P、Q:金属管、S、T:開口部
【要約】
【課題】シート材の周縁部でチューブを覆った状態が安定して保たれるバックシールド治具及びそれを用いた金属管の溶接方法を提供する。
【解決手段】リング状のチューブ11と、チューブ11を覆っている周縁部16がチューブ11及び金属管Pの内側により挟まれた状態で金属管P内に配されて金属管P内を塞ぐシート材12とを有するバックシールド治具であって、シート材12は、周縁部16が周方向に形成されたN個の分割片17を備え、周縁部16が全周に亘って、流体が充填されたチューブ11の中心部側に折られてチューブ11を覆い、N個の分割片17のうち2組の対向する分割片17を含むM個の分割片17に対し、チューブ11の中心部向きの力を作用させて、周縁部16がチューブ11を覆った状態を維持するシート仮留手段22が、周縁部16に取り付けられている。但し、Nは4以上の整数であり、Mは4以上N以下の整数である。
【選択図】
図5