(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】配車支援装置、配車サービスシステム及び配車支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240627BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240627BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20240627BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/123 A
G16Y10/40
(21)【出願番号】P 2023508129
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 IB2021000193
(87)【国際公開番号】W WO2022200822
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 奈都
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-21256(JP,A)
【文献】特開2018-185693(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0207373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00
G08G 1/123
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
希望乗車地及び希望降車地を含む配車リクエストデータを受信する受信部と、
前記配車リクエストデータに基づいて、車両を配車する配車計画を決定するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
第1ユーザから依頼された第1配車リクエストデータを受け付け、
第2ユーザから依頼された第2配車リクエストデータであって、前記第1配車リクエストデータよりも先行して受け付けている第2配車リクエストデータに従って前記配車計画が決定している予約済車両を1つ以上抽出し、
1つ以上の前記予約済車両の中から、前記第2ユーザが前記予約済車両の利用を開始する利用開始時刻よりも前に、前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して前記第2ユーザの希望乗車地に到着できる利用可能車両を1つ以上抽出し、
抽出された前記利用可能車両毎に、前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して前記第2ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻と、前記利用開始時刻との時間差を余裕時間として計算し、
1つ以上の前記利用可能車両の中で、前記余裕時間が相対的に短い前記利用可能車両を、前記第1ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する
配車支援装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記第1配車リクエストデータを受け付けた新規リクエスト受付時刻から前記利用開始時刻までの時間が、予め設定された判定時間以下となる前記予約済車両を1つ以上抽出する
請求項1記載の配車支援装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記第1配車リクエストデータを受け付けた新規リクエスト受付時刻から前記到着時刻までの時間を、新規リクエスト時間として算出し、
1つ以上の前記利用可能車両の中で、前記余裕時間が相対的に短く且つ前記新規リクエスト時間が相対的に短い前記利用可能車両を、前記第1ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する
請求項1又は2記載の配車支援装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由してから前記第2ユーザの希望乗車地に到着したときに、前記第2配車リクエストデータに従った運行に必要なエネルギーが残っている前記予約済車両を、前記利用可能車両として抽出する
請求項1から3いずれか一項記載の配車支援装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記第1ユーザの希望乗車地を基準に設定される第1の範囲内に存在する前記予約済車両を、前記利用可能車両として抽出する
請求項1から4いずれか一項記載の配車支援装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1ユーザの希望降車地を基準に設定される第2の範囲内に、前記第2ユーザの希望乗車地が位置する前記予約済車両を、前記利用可能車両として抽出する
請求項1から5いずれか一項記載の配車支援装置。
【請求項7】
前記受信部は、前記第1ユーザから配車依頼を受け付ける操作端末と通信を行い、前記操作端末から送信された前記第1配車リクエストデータを受信する通信装置である
請求項1から6いずれか一項記載の配車支援装置。
【請求項8】
前記通信装置は、前記配車車両候補を示すデータを前記操作端末に送信する
請求項7記載の配車支援装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記配車車両候補の中から前記第1ユーザによって承諾された配車車両を対象として、前記第1配車リクエストデータ及び前記第2配車リクエストデータに従って前記配車計画を決定し、
前記通信装置は、
前記第1ユーザによって承諾された配車車両に対して、決定した前記配車計画を送信する
請求項7又は8記載の配車支援装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記車両毎に前記配車計画を対応付けたデータベースを参照し、前記予約済車両を1つ以上抽出する
請求項1から9いずれか一項記載の配車支援装置。
【請求項11】
前記予約済車両は、前記利用開始時刻までの、ユーザが利用していない間に回遊する回遊ルートが設定されている
請求項1から10いずれか一項記載の配車支援装置。
【請求項12】
希望乗車地及び希望降車地を含む配車リクエストデータに基づいて、車両を配車する配車計画を決定する配車サービスサーバと、
第1ユーザの配車依頼を受け付けて、第1配車リクエストデータを前記配車サービスサーバに送信する操作端末と、を有し、
前記配車サービスサーバは、
前記操作端末から送信された前記第1配車リクエストデータを受信する通信装置と、
前記第1配車リクエストデータを処理するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記第1配車リクエストデータを受け付け、
第2ユーザから依頼された第2リクエストデータであって、前記第1配車リクエストデータよりも先行して受け付けている第2配車リクエストデータに従って前記配車計画が決定している予約済車両を1つ以上抽出し、
1つ以上の前記予約済車両の中から、前記第2ユーザが前記予約済車両の利用を開始する利用開始時刻よりも前に、前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して前記第2ユーザの希望乗車地に到着できる利用可能車両を1つ以上抽出し、
抽出された前記利用可能車両毎に、前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して前記第2ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻と、前記利用開始時刻との時間差を余裕時間として計算し、
1つ以上の前記利用可能車両の中で前記余裕時間が相対的に短い前記利用可能車両を、前記第1ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する
配車サービスシステム。
【請求項13】
希望乗車地及び希望降車地を含む配車リクエストデータに基づいて、車両を配車する配車計画を決定する配車支援方法において、
コントローラが、
第1ユーザから依頼された第1配車リクエストデータを受け付け、
第2ユーザから依頼された第2リクエストデータであって、前記第1配車リクエストデータよりも先行して受け付けている第2配車リクエストデータに従って前記配車計画が決定している予約済車両を1つ以上抽出し、
1つ以上の前記予約済車両の中から、前記第2ユーザが前記予約済車両の利用を開始する利用開始時刻よりも前に、前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して前記第2ユーザの希望乗車地に到着できる利用可能車両を1つ以上抽出し、
抽出された前記利用可能車両毎に、前記第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して前記第2ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻と、前記利用開始時刻との時間差を余裕時間として計算し、
1つ以上の前記利用可能車両の中で前記余裕時間が相対的に短い前記利用可能車両を、前記第1ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する
配車支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車支援装置、配車サービスシステム及び配車支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の利用者からの要望に基づいてオンデマンド車両の運行計画を決定し、決定した運行計画に従ってオンデマンド車両の運行を管理する運行管理装置が開示されている。運行管理装置は、オンデマンド車両を走行させる候補経路を探索し、探索した候補経路のうちの一つを基本経路に設定し、この基本経路から離間した地点を経由する場合に必要となる時間を調整時間として設定する。運行管理装置は、オンデマンド車両の運行計画を確定した後に利用者から受け付けた追加予約に対して、調整時間を用いて、利用者が要望する希望乗降地点を通りかつ希望時刻での運行が可能となるように運行経路を変更して決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された手法によれば、調整時間が長い車両が利用時間の短い追加予約を受け付けると、その車両は、調整時間が残っていたとしても他の追加予約を受けにくくなる。そのため、利用者が乗車していない状態で車両が運行する時間が増加し、運行に使うエネルギーに無駄が発生してしまう。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる配車支援装置、配車サービスシステム及び配車支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る配車支援装置は、第1ユーザから依頼された第1配車リクエストデータを受け付け、第2ユーザから依頼された第2リクエストデータに従って配車計画が確定している予約済車両を1つ以上抽出し、第2ユーザの利用開始時刻よりも前に、第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して第2ユーザの希望乗車地に到着できる利用可能車両を1つ以上抽出し、第1ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して第2ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻と利用開始時刻との時間差である余裕時間が相対的に短い利用可能車両を、第1ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る配車サービスシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す配車サービスサーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す車両の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、配車サービスシステムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図6】
図6は、配車サービスサーバによって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、利用可能車両から配車車両候補を設定する処理の概念を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
図1から
図4を参照して、本実施形態に係る配車サービスシステム10の構成を説明する。本実施形態に係る配車サービスシステム10は、ユーザの配車依頼に応じて、車両を配車する配車計画を決定するシステムである。
【0011】
配車サービスシステム10は、配車サービスサーバ20と、車両40と、ユーザ端末60とを主体に構成されている。配車サービスサーバ20と、車両40と、ユーザ端末60とは、ネットワーク30を介して相互に通信可能に構成されている。ネットワーク30は、例えばインターネットが挙げられる。ネットワーク30は、4G/LTE、又は5Gなどのモバイル通信機能を利用するものであってもよい。
【0012】
以下の説明において、「配車リクエストデータ」とは、ユーザが配車サービスサーバ20に対して配車依頼を行うために必要なデータである。配車リクエストデータには、ユーザが乗車を希望する地点である希望乗車地、及び、ユーザが降車を希望する地点である希望降車地が含まれる。なお、配車リクエストデータには、希望乗車地から希望降車地までの間に経由する希望経由地、乗車を希望する時刻である希望乗車時刻、降車を希望する時刻である希望降車時刻などが含まれてもよい。
【0013】
また、本実施形態において説明する配車計画の対象となる配車リクエストデータを「新規配車リクエストデータ」といい、新規配車リクエストデータによって配車依頼をしたユーザを「新規ユーザ」という。また、新規配車リクエストデータよりも先行して受け付けられ、配車計画が決定している配車リクエストデータを「予約済配車リクエストデータ」という。そして、予約済配車リクエストデータによって配車依頼をしたユーザを「予約済ユーザ」という。予約済ユーザは、新規ユーザと異なるユーザを想定しているが、新規ユーザ自身であってもよい。なお、単に「ユーザ」、「配車リクエストデータ」と記載する場合は、新規ユーザ及び予約済ユーザ、新規配車リクエストデータ及び予約済配車リクエストデータを総称する意味で用いる。
【0014】
図2において、配車サービスサーバ20は、例えば、複数の車両40を用いて輸送サービスを提供する事業者によって運用されるが、これに限らない。配車サービスサーバ20は、車両40を配車する配車計画を支援する配車支援装置であり、制御装置21と、記憶装置22と、通信装置23とを備えている。
【0015】
制御装置21は、通信装置23が受信した配車リクエストデータに基づいて、配車計画を決定する。制御装置21としては、CPU、メモリ、入出力インターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータ(コントローラ)を用いることができる。
【0016】
CPUは、メモリなどに記憶されている様々なコンピュータプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。プログラムを実行することにより、CPUは、制御装置21が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0017】
制御装置21は、1つ以上の情報処理回路として、車両抽出部211と、車両決定部212と、配車計画部213とを備えている。車両抽出部211は、通信装置23が受信した配車リクエストデータを受け付け、配車リクエストデータに基づいて、ユーザの配車依頼に好適な車両40を1つ以上抽出する。配車計画部213は、配車リクエストデータに基づいて、抽出された1つ以上の車両40の中から、ユーザへの配車対象となる配車車両40を決定する。配車計画部213は、配車車両40に対する配車計画を決定する。配車計画には、ユーザの希望乗車地、希望経由地及び希望降車地、並びに、希望乗車地から希望降車地までの走行経路などが含まれる。なお、配車リクエストデータに従って配車計画が決定している車両40を「予約済車両」という。この予約済車両40には、後述する利用開始時刻までの間、すなわちユーザが利用していない間に回遊する回遊ルートが設定されている。ユーザが利用していない間、予約済車両40は回遊ルートを走行することとなる。
【0018】
本実施形態の特徴の一つは、制御装置21が、予約済車両40を予約済ユーザに対して配車する前に、新規ユーザからの配車依頼に対して予約済車両40を配車する点にある。このとき、制御装置21は、予約済ユーザ及び新規ユーザからの配車依頼の内容を考慮して、運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる予約済車両40を、新規ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定することとしている。
【0019】
具体的には、車両抽出部211は、配車サービスサーバ20が輸送サービスの提供を予定する複数の車両40の中から予約済車両40を1つ以上抽出し、抽出した予約済車両40の中から利用可能車両40を1つ以上抽出する。利用可能車両40とは、予約済ユーザが予約済車両40の利用を開始する利用開始時刻よりも前に、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して予約済ユーザの希望乗車地に到着できる予約済車両40をいう。
【0020】
車両決定部212は、抽出された利用可能車両40毎に、現在地から、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して予約済ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻と、予約済ユーザの利用開始時刻との時間差を余裕時間として計算する。そして、配車計画部213は、1つ以上の利用可能車両40の中で余裕時間が相対的に短い利用可能車両40を、新規ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する。
【0021】
記憶装置22は、輸送サービスに必要な各種のデータベースを格納する記憶部である。記憶装置22は、運行情報DB(運行情報データベース)221を有している。
【0022】
運行情報DB221は、車両40の運行情報を管理するデータベースである。運行情報は、配車サービスサーバ20が輸送サービスの提供を予定する車両40毎に管理されている。個々の運行情報には、車両40を識別する車両IDが紐付けられている。運行情報DB221の内容は、配車計画部213によって管理され、必要に応じて更新される。配車計画部213は、車両40と通信することで、運行情報の管理に必要なデータを受信することができる。
【0023】
運行情報は、配車サービスに関するサービス情報、具体的には、配車計画に従って運行中の車両40であるか否かの情報、空車車両40であるか否かの情報、予約済車両40であるか否かの情報の他、配車計画が決定されている場合にはその配車計画の情報を含む。また、運行情報は、車両40に関する情報、具体的には、車両40の現在地の情報、車両40の現在のエネルギー残量(燃料残量、充電残量)の情報などを含むことができる。
【0024】
また、記憶装置22は、配車計画に必要な走行経路を生成したり、ユーザ及び車両40の位置関係を認識したりするために、地図に関する情報を含む地図データを保有している。
【0025】
なお、配車サービスサーバ20は、記憶装置22を備える構成であってもよいが、クラウドコンピューティングにより運行情報を外部のデータサーバから取得してもよい。
【0026】
通信装置23は、ネットワーク30を介して車両40又はユーザ端末60との間で通信を行う。通信装置23は、車両40及びユーザ端末60から所定のデータを受信したり、車両40及びユーザ端末60に所定のデータを送信したりする。また、通信装置23は、ネットワーク30を介して外部装置(図示せず)と通信することで、道路交通情報を含む道路交通データを取得することができる。例えば、通信装置23は、4G/LTE、5Gなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Wifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0027】
図3において、車両40は、ユーザを乗車して輸送サービスを提供する車両(サービス車両)であり、複数用意されている。
図1に示す例では、車両40が3台示されているが、これに限定されない。車両40は、ドライバが乗車しないで自動運転機能により走行する車両であってもよいし、ドライバの手動運転により走行する車両でもよい。また、車両40は、ドライバが乗車した上で自動運転機能により走行する車両でもよい。
【0028】
自動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングなどのアクチュエータのうち、少なくとも一つのアクチュエータが乗員の操作なしに制御されている状態のことを指す。そのため、その他のアクチュエータが乗員の操作により作動していたとしても構わない。また、自動運転とは、加減速制御、横位置制御などのいずれかの車両制御が実行されている状態であればよい。また、手動運転とは、例えば、ブレーキ、アクセル、ステアリングを乗員が操作している状態のことを指す。
【0029】
車両40は、エンジンのみで駆動するエンジン自動車、エンジンと電動モータとで駆動するハイブリッド自動車、電動モータのみで駆動する電気自動車のいずれであってもよい。エンジン自動車であれば、エネルギー残量は燃料残量に相当し、電気自動車であれば、エネルギー残量は充電残量に相当する。また、ハイブリッド自動車であれば、エネルギー残量は燃料残量及び充電残量に相当する。
【0030】
図3において、車両40は、制御装置41と、通信装置42とを有している。
【0031】
制御装置41は、通信装置42が受信した配車計画データに基づいて、車両40を制御する。制御装置41としては、CPU、メモリ、入出力インターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータ(コントローラ)を用いることができる。
【0032】
CPUは、メモリなどに記憶されている様々なコンピュータプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる各種の命令を実行する。プログラムを実行することにより、CPUは、制御装置41が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0033】
制御装置41は、1つ以上の情報処理回路として、配車計画処理部411を備えている。
【0034】
配車計画処理部411は、通信装置42が受信した配車計画データを受け付け、配車計画データに基づいて各種の処理を行う。自動運転機能により走行する車両40であれば、配車計画処理部411は、配車計画データに基づいて、車両40の各種アクチュエータ(ステアリングアクチュエータ、アクセルペダルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータなど)を制御して、自動運転を実行する。配車計画処理部411によって実行される自動運転により、車両40は、配車計画に従って自動で走行することができる。また、手動運転により走行する車両40であれば、配車計画処理部411は、表示装置又はスピーカなどを制御して、配車計画をドライバに提示する。
【0035】
また、配車計画処理部411は、配車サービスサーバ20からの依頼に応じて、又は所定の周期で、通信装置23を用いて、車両40に関する情報を配車サービスサーバ20に送信する。
【0036】
通信装置42は、ネットワーク30を介して配車サービスサーバ20との間で通信を行う。通信装置42は、配車サービスサーバ20から所定のデータを受信し、配車サービスサーバ20に対して所定のデータを送信する。例えば、通信装置42は、4G/LTE、5Gなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Wifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0037】
図4において、ユーザ端末60は、ユーザの配車依頼を受け付ける装置であり、ユーザが日常的に利用する装置、例えば携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)などの通信機能を備えた操作端末である。
図1では、ユーザ端末60が2台示されているが、これに限定されない。
【0038】
ユーザ端末60は、制御装置61と、入力装置62と、表示装置63と、通信装置64とを供えている。
【0039】
制御装置61は、ユーザの配車依頼を受け付けて、配車リクエストデータを生成する。制御装置61としては、CPU、メモリ、入出力インターフェースを主体に構成されたマイクロコンピュータ(コントローラ)を用いることができる。
【0040】
メモリには、配車サービスシステム10においてユーザ端末60として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、制御装置61は、ユーザ端末60が備える1つ以上の情報処理回路として機能する。
【0041】
制御装置61は、1つ以上の情報処理回路として、リクエスト処理部611を備えている。
【0042】
リクエスト処理部611は、ユーザの配車依頼に対応する配車リクエストデータを生成する。配車依頼を行う場合、ユーザは、入力装置62を操作して、配車依頼の内容を入力する。リクエスト処理部611には、入力装置62から、ユーザの入力操作に応じた操作信号が入力される。リクエスト処理部611は、この操作信号に基づいて配車リクエストデータを生成する。
【0043】
入力装置62は、ユーザが入力操作を行うための装置である。表示装置63は、リクエスト処理部611に制御され、必要な情報を表示する。例えば、入力装置62は、表示装置63上に表示される情報に従って入力操作を行うことができるタッチパネルを用いることができる。
【0044】
通信装置64は、ネットワーク30を介して配車サービスサーバ20との間で通信を行う。通信装置64は、配車サービスサーバ20から所定のデータを受信したり、配車サービスサーバ20に対して所定のデータを送信したりする。例えば、通信装置64は、4G/LTE、5Gなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであってもよいし、Wifi通信機能を備えたデバイスであってもよい。
【0045】
以下、
図5及び
図6を参照し、本実施形態に係る配車サービスシステム10における一連の流れを説明する。
【0046】
まず、
図5に示すように、新規ユーザの配車依頼に応じてユーザ端末60が新規配車リクエストデータを生成すると、ユーザ端末60が新規配車リクエストデータを配車サービスサーバ20に送信する(ステップS1)。ユーザ端末60が新規配車リクエストデータを送信すると、配車サービスサーバ20が新規配車リクエストデータを受信する(ステップS2)。
【0047】
配車サービスサーバ20は、運行情報DB221の運行情報を参照し(ステップS3)、配車車両候補を設定する(ステップS4)。
【0048】
図6を参照し、配車サービスサーバ20が配車車両候補を設定する処理(配車支援方法)を詳細に説明する。この処理は、配車サービスサーバ20の制御装置21によって実行される。
【0049】
ステップS400において、制御装置21は、運行情報DB221の運行情報に基づいて、配車サービスサーバ20が管理する複数の車両40の中に、予約済ユーザへの配車計画が決定されている予約済車両40があるか否かを判断する。
【0050】
予約済車両40がない場合(ステップS400でNO)、制御装置21は、空車車両40を配車車両候補として決定する(ステップS401)。空車車両40が複数存在する場合、制御装置21は、複数の空車車両40の中から任意に選択される1つ又は複数の空車車両40を、配車車両候補として決定する。
【0051】
予約済車両40がある場合(ステップS400でYES)、制御装置21は、新規リクエスト受付時刻から予約済ユーザの利用開始時刻までの時間であるスタンバイ時間が、所定値以下となる予約済車両40があるか否かを判断する(ステップS402)。ここで、新規リクエスト受付時刻は、新規配車リクエストデータを受け付けた時刻である。利用開始時刻は、予約済ユーザが予約済車両40の利用を開始する時刻、すなわち、予約済ユーザの希望乗車時刻に相当する。ステップS403の判断で用いられる所定値は、スタンバイ時間が十分に長いか否か判断するための値である。例えば所定値は、予約済車両40の1日の稼働時間の10%値といった具合で決められている。
【0052】
スタンバイ時間が所定値以下となる予約済車両40がない場合(ステップS402でNO)、制御装置21は、予約済車両40を空車車両40として扱う(ステップS403)。そして、制御装置21は、空車車両40を配車車両候補として決定する(ステップS401)。
【0053】
スタンバイ時間が所定値以下となる予約済車両40がある場合(ステップS402でYES)、制御装置21は、スタンバイ時間が所定値以下となる予約済車両40を抽出する。この処理により、1つ以上の予約済車両40が抽出される。そして、制御装置21は、抽出した1つ以上の予約済車両40を対象に、ステップS405以降の処理を行う。
【0054】
ステップS405において、制御装置21は、予約済車両40毎に、位置情報を取得する。制御装置21は、運行情報DB221で管理される運行情報から位置情報を取得することができる。ただし、制御装置21は、通信装置23を用いて予約済車両40から位置情報のデータを受信することで、位置情報を取得してもよい。
【0055】
ステップS406において、制御装置21は、予約済車両40毎に、配車計画及びエネルギー残量を取得する。制御装置21は、運行情報DB221で管理される運行情報から配車計画及びエネルギー残量を取得することができる。ただし、制御装置21は、通信装置23を用いて予約済車両40からエネルギー残量を受信することで、エネルギー残量を取得してもよい。
【0056】
ステップS407において、制御装置21は、第1配車要件を満たす予約済車両40があるか否かを判断する。第1配車要件は、新規ユーザの希望乗車地を基準に設定される第1の範囲内に存在する予約済車両40であること、且つ、新規ユーザの希望降車地を基準に設定される第2の範囲内に、予約済ユーザの希望乗車地が存在する予約済車両40であることである。
【0057】
第1配車要件において、第1の範囲は、例えば新規ユーザの希望乗車地を中心とする一定距離の範囲をいう。ただし、第1の範囲は、新規ユーザの希望乗車地に対して一定の時間内に到着できる範囲であってもよい。第2の範囲についても同様である。
【0058】
第1配車要件を満たす予約済車両40がない場合(ステップS407でNO)、制御装置21は、空車車両40を配車車両候補として決定する(ステップS401)。一方、第1配車要件を満たす予約済車両40がある場合(ステップS407でYES)、ステップS408の処理に進む。
【0059】
ステップS408において、制御装置21は、予約済車両40毎に、到着時刻及び必要エネルギーをそれぞれ算出する。到着時刻は、予約済車両40の現在地から、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して予約済ユーザの希望乗車地に到着する時刻である。また、必要エネルギーは、予約済車両40の現在地から、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由してから予約済ユーザの希望乗車地に到着するのに要するエネルギーと、予約済ユーザの希望乗車地から希望降車地に到着するのに要するエネルギーとを加算したものである。これらの算出においては、制御装置21は、予約済車両40が走行する走行経路及びこの走行経路における道路交通状況などを考慮することができる。
【0060】
ステップS409において、制御装置21は、第2配車要件を満たす予約済車両40があるか否かを判断する。第2配車要件は、ステップS408で求めた到着時刻が、予約済ユーザの利用開始時刻よりも前となる予約済車両40であること、且つ、所要エネルギーよりも多いエネルギー残量を有する予約済車両40であることである。
【0061】
第2配車要件を満たす予約済車両40がない場合(ステップS409でNO)、制御装置21は、空車車両40を配車車両候補として決定する(ステップS401)。一方、第2配車要件を満たす予約済車両40がある場合(ステップS409でYES)、ステップS410の処理に進む。
【0062】
ステップS410において、制御装置21は、1つ以上の予約済車両40の中から、第1配車要件及び第2配車要件を満たす予約済車両40を利用可能車両40として抽出する。この処理により、1つ以上の利用可能車両40が抽出される。そして、制御装置21は、抽出した1つ以上の利用可能車両40を対象に、ステップS411以降の処理を行う。
【0063】
ステップS411において、制御装置21は、利用可能車両40毎に、余裕時間を算出する。余裕時間は、予約済車両40の現在地から、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して予約済ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻(ステップS408で求めた到着時刻)と、予約済ユーザの利用開始時刻との時間差である。
【0064】
ステップS412において、制御装置21は、抽出された利用可能車両40の中で、余裕時間が相対的に短い利用可能車両40を、新規ユーザに配車する配車車両候補として優先的に設定する。配車車両候補には、少なくとも1台の利用可能車両40が設定されればよい。ただし、2台以上の利用可能車両40が設定されてもよく、制御装置21は、予め設定された台数に応じた利用可能車両40を配車車両候補として設定する。本実施形態では、例えば2台の利用可能車両40が配車車両候補として設定されるものとする。
【0065】
以下、配車車両候補を設定する処理の概念を説明する。
図7には、利用可能車両A~X毎に、余裕時間T1a~T1x及び新規リクエスト時間T2a~T2xが示されている。新規リクエスト時間T2a~T2xは、新規リクエスト受付時刻から、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して予約済ユーザの希望乗車地に到着する到着時刻までの時間である。予約時間は、予約済車両40が予約済ユーザの希望乗車地から予約済ユーザの希望降車地に到着するまでの時間である。
【0066】
図7に示す例では、利用可能車両Aから利用可能車両Xまでの中で、利用可能車両Cの余裕時間T1cが最も短く、次に、利用可能車両A、Bの余裕時間T1a、T1bが短くなる。そして、利用可能車両D~Xの余裕時間T1d~T1xは、利用可能車両A、Bの余裕時間T1a、T1aに比べ長くなっている。
【0067】
このようなケースの場合、制御装置21は、最も短い余裕時間T1cとなる利用可能車両Cを1番目の配車車両候補として設定する。余裕時間T1aと余裕時間T1bとを比較した場合、余裕時間T1bの方が余裕時間T1aよりも僅かに短いとする。制御装置21は、利用可能車両Bを2番目の配車車両候補として設定する。これにより、制御装置21は、抽出された利用可能車両A~Xの中で、余裕時間が相対的に短い利用可能車両B、Cを配車車両候補として優先的に設定する。
【0068】
また、余裕時間が相対的に短いと判断された複数の利用可能車両40が存在したとしても、それらの余裕時間が同一又はその時間差が所定の判定時間以内であることがある。この場合、制御装置21は、新規リクエスト時間が相対的に短い利用可能車両40を配車車両候補として優先的に設定する。
【0069】
例えば、
図7に示す余裕時間T1a、T1bがほぼ同一であるとする。この場合、制御装置21は、利用可能車両Aの新規リクエスト時間T2aと、利用可能車両Bの新規リクエスト時間T2bとを比較する。新規リクエスト時間T2bよりも新規リクエスト時間T2aの方が短いとすると、制御装置21は、新規リクエスト時間が相対的に短い利用可能車両Aを、配車車両候補として設定する。このようにして、制御装置21は、抽出された利用可能車両A~Xの中で、余裕時間が相対的に短く、且つ新規リクエスト時間が相対的に短い利用可能車両A、Cを配車車両候補として優先的に設定することとなる。
【0070】
このようにして配車車両候補が決定されると、制御装置21は、配車車両候補の情報を含む候補データを作成する。なお、余裕時間に基づいて、配車車両候補を設定する場合、単に余裕時間の長短だけではなく、配車車両候補を設定する利用可能車両40は、余裕時間がしきい値時間よりも短いことを条件としてもよい。
【0071】
図5に示すように、配車サービスサーバ20は、新規ユーザの意思を確認すべく(ステップS5)、候補データをユーザ端末60に送信すると、ユーザ端末60が候補データを受信する(ステップS6)。ユーザ端末60は、候補データに従って、配車車両候補の情報を表示装置63に表示する。そして、入力装置62への操作入力を通じて、ユーザが配車車両40を承諾すると、ユーザ端末60は、配車サービスサーバ20に対して配車車両40の承諾を送信する(ステップS7)。配車車両40の承諾は、配車車両候補の中からいずれか1台の配車車両40を選択するといった方法により行われる。
【0072】
配車車両40の承諾を受信すると、配車サービスサーバ20は、承諾された情報に基づいて、配車車両40を確定する(ステップS8)。配車サービスサーバ20は、新規配車リクエストデータ及び予約済配車リクエストデータに従って配車計画を決定し、予約を確定する(ステップS9)。
【0073】
配車サービスサーバ20は、新規ユーザのユーザ端末60に対して、配車車両40、希望乗車地及び希望降車地などの情報を含む予約データを送信する(ステップS10)。また、配車サービスサーバ20は、新規ユーザによって承諾された配車車両40に対して、決定した配車計画の情報を示す配車計画データを送信する(ステップS11)。
【0074】
このように本実施形態において、配車サービスサーバ20は、余裕時間が相対的に短い利用可能車両40を、配車車両候補として優先的に設定している。この配車車両候補によれば、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由して予約済ユーザの希望乗車地に到着したとしても、この到着時刻から予約済ユーザの利用開始時刻までの時間が短くなる。これにより、予約済ユーザへの配車に先立ち、配車車両候補を新規ユーザに配車したとしても、ユーザが乗車していない状態で車両40が運行する時間を削減することができる。これにより、車両40の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0075】
本実施形態において、配車サービスサーバ20は、スタンバイ時間が、予め設定された判定時間以下となる予約済車両40を1つ以上抽出している。予約済ユーザの利用開始時刻までの時間が十分に長い予約済車両40は空車車両40と扱うことが望ましいことから、配車サービスサーバ20は、スタンバイ時間が長い予約済車両40を抽出しない。これにより、新規ユーザへの配車に伴って車両運行のエネルギーに無駄が発生する可能性がある予約済車両40のみを処理の対象とすることができる。これにより、車両40の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0076】
本実施形態において、配車サービスサーバ20は、余裕時間が相対的に短く且つ新規リクエスト時間が相対的に短い利用可能車両40を、配車車両候補として優先的に設定している。利用可能車両40毎に、新規リクエスト時間は異なる。しかしながら、どの利用可能車両40であっても、新規ユーザの希望乗車地から新規ユーザの希望降車地までの所要時間は同一である。よって、利用可能車両40の現在地から新規ユーザの希望乗車地までの所要時間と、新規ユーザの希望降車地から予約済ユーザの希望乗車地までの所要時間との合算が短い程、新規リクエスト時間が短くなる。よって、新規リクエスト時間が相対的に短い利用可能車両40を配車車両候補として設定することで、ユーザが乗車していない状態で車両40が運行する時間を削減することができる。これにより、車両40の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0077】
本実施形態において、配車サービスサーバ20は、所要エネルギーよりも多いエネルギー残量を有する予約済車両40を、利用可能車両40として抽出している。すなわち、この利用可能車両40であれば、新規ユーザの希望乗車地及び希望降車地を経由してから予約済ユーザの希望乗車地に到着したときに、予約済配車リクエストデータに従った運行に必要なエネルギーが残っている。したがって、新規ユーザに対して車両40を配車したことで、予約済配車リクエストデータに従った運行をしている最中に車両40のエネルギーが無くなってしまうという事態を防ぐことができる。これにより、新規配車リクエストデータと予約済配車リクエストデータとの両立を図ることができる。
【0078】
本実施形態の配車サービスサーバ20によれば、配車サービスサーバ20は、第1の範囲内に存在する予約済車両40を利用可能車両40として抽出しているので、利用可能車両40は、新規ユーザの希望乗車地の近くにいる予約済車両40となる。これにより、効率的に配車ができる予約済車両40を、利用可能車両40として抽出することができる。
【0079】
また、本実施形態の配車サービスサーバ20によれば、配車サービスサーバ20は、第2の範囲内に、予約済ユーザの希望乗車地が存在する予約済車両40を利用可能車両40として抽出している。このため、利用可能車両40は、新規ユーザの希望降車地に対して予約済ユーザの希望乗車地が近くにある予約済車両40となる。これにより、効率的に配車ができる予約済車両40を、利用可能車両40として抽出することができる。
【0080】
本実施形態において、通信装置23は、新規ユーザから配車依頼を受け付けるユーザ端末60と通信を行うことで、ユーザ端末60から送信された新規配車リクエストデータを受信する。この構成によれば、ユーザ端末60との通信を通じて新規配車リクエストデータを受信することができる。
【0081】
本実施形態において、通信装置23は、候補データをユーザ端末60に送信している。この構成によれば、新規配車リクエストデータへの応答として、配車車両候補の情報を新規ユーザへ提供することができる。
【0082】
本実施形態において、配車サービスサーバ20は、配車車両候補の中から新規ユーザによって承諾された配車車両40を対象として、新規配車リクエストデータ及び予約済配車リクエストデータに従って配車計画を決定する。そして、配車サービスサーバ20は、新規ユーザによって承諾された配車車両40に対して、決定した配車計画を送信する。
【0083】
この構成によれば、新規ユーザによって指定された配車車両40が、新規配車リクエストデータ及び予約済配車リクエストデータに従った配車計画を取得することができる。そして、配車車両40がこの配車計画に従って運行することで、配車車両40を新規ユーザに配車した場合であっても、ユーザが乗車していない状態で車両40が運行する時間を削減することができる。これより、車両40の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0084】
配車サービスサーバ20は、運行情報DB211を参照することで、車両40毎の配車計画を認識することができる。これにより、予約済車両40を適切に抽出することができる。
【0085】
本実施形態において、予約済車両40は、予約済ユーザが利用を開始する利用開始時刻までの、ユーザが利用していない間に回遊する回遊ルートが設定されている。このため、上述のように予約済車両40を新規のユーザに配車することで、ユーザが乗車していない状態で車両40が回遊ルートを回遊する時間を削減することができる。これにより、車両40の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態に開示する配車サービスシステム及び配車支援方法も、配車サービスサーバ20と同様、余裕時間が短い利用可能車両40を配車車両候補として設定することができるので、車両40の運行に使うエネルギーの無駄を抑制することができる。
【0087】
なお、上述した実施形態では、配車サービスシステム10が、配車サービスサーバ20、車両40、及びユーザ端末60から構成されている。しかしながら、配車サービスサーバ20を省略し、この配車サービスサーバ20が実現する機能を、車両40又はユーザ端末60が担ってもよい。例えば車両40が配車サービスサーバ20の機能を実現する場合、車両40は通信装置42を用いて、ユーザ端末60から配車リクエストデータを受信する。また、例えばユーザ端末60が配車サービスサーバ20の機能を実現する場合、ユーザ端末60は入力装置62を用いて、配車リクエストデータを受信する。
【0088】
また、本実施形態では、ソフトウェアによって制御装置21、41、61が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理回路の機能を実現するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0089】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0090】
本発明によれば、次の予約までの時間が短い車両を利用時間の短い新規リクエストに配車し、次の予約までの時間が長い車両を利用時間の長い新規リクエストに配車できるため、サービスの運行効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 配車サービスシステム
20 配車サービスサーバ(配車支援装置)
21 制御装置
22 記憶装置
221 運行情報DB
23 通信装置(受信部)
40 車両(予約済車両、利用可能車両、配車車両、空車車両)
41 制御装置
42 通信装置
60 ユーザ端末(操作端末)
61 制御装置
62 入力装置
63 表示装置
64 通信装置