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特許7511082エアロゾル生成装置、制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20240627BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20240627BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20240627BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/53
A24F40/60
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023516891
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2021016745
(87)【国際公開番号】W WO2022230041
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100173565
【弁理士】
【氏名又は名称】末松 亮太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 晶彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6858915(JP,B1)
【文献】特表2017-511703(JP,A)
【文献】特表2017-538398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/57
A24F 40/53
A24F 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置であって、
エアロゾルを生成するためにエアロゾル源を気化又は霧化する第1負荷と、
前記エアロゾルに香味成分を付加するために香味源を加熱する第2負荷と、
ユーザによるパフ動作を検出する第1センサと、
前記第1負荷及び前記第2負荷に電力を供給する電源と、
制御部であって、
前記ユーザのパフ動作がパフ動作シリーズの終了段階にあるかを判定し、
前記終了段階において、前記電源に対し、前記第1負荷への電力供給量を低減させると共に、前記第2負荷への電力供給量を増加させる、制御部と、
を備える、エアロゾル生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置において、
前記制御部が、前記終了段階において、前記電源に対し、前記第2負荷への電力供給量を増加させた後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させるように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアロゾル生成装置であって、更に、前記第2負荷の温度を検出する第2センサを備え、
前記制御部が、
前記第2負荷への電力供給量を増加させた結果、前記香味源の全体の温度が所定の目標温度に到達したと判断された後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させる、
ように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載のエアロゾル生成装置において、前記制御部が、
前記第2負荷への電力供給量を増加させたタイミングからの時間を計測し、
所定時間が経過した後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させる、
ように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項に記載のエアロゾル生成装置において、前記制御部が、
前記パフ動作シリーズにおける前記パフ動作の回数を計数し、
前記第2負荷への電力供給量を増加させてから所定回数の前記パフ動作が行われた後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させる、
ように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のエアロゾル生成装置において、前記制御部が、
前記パフ動作シリーズの終了段階よりも前の段階における前記パフ動作の動作間隔を計測し、
前記動作間隔に基づいて、前記終了段階において前記第2負荷への電力供給量を増加させるタイミングを決定する、
ように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項7】
請求項1から6に記載のエアロゾル生成装置において、前記制御部が、
前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作シリーズの回数を計数し、
前記パフ動作シリーズの回数が大きくなるにつれて、該パフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量が、以前のパフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量よりも多くなるように加熱プロファイルを調整する、
ように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一項に記載のエアロゾル生成装置において、
前記終了段階が、前記パフ動作シリーズの許容パフ回数に関連付けられる、エアロゾル生成装置。
【請求項9】
請求項8に記載のエアロゾル生成装置であって、更に、通知部を備え、
前記制御部が、
前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作の累計パフ回数を計数するように構成され、
前記パフ動作シリーズの開始時に、前記カートリッジに関する総許容パフ回数と前記累計パフ回数とに基づいて決定される残許容パフ回数が、前記許容パフ回数よりも小さい場合に、前記通知部を活性化する、
ように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のエアロゾル生成装置であって、更に、操作部を備え、
前記許容パフ回数が、前記操作部へのユーザ操作を通じて設定可能である、エアロゾル生成装置。
【請求項11】
請求項8から10の何れか一項に記載のエアロゾル生成装置において、
前記制御部が、前記パフ動作シリーズにおいて、前記パフ動作が前記許容パフ回数に到達した場合に、当該エアロゾル生成装置を電源オフにするように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項12】
請求項8から11の何れか一項に記載のエアロゾル生成装置において、
前記制御部が、前記パフ動作シリーズにおいて、前記パフ動作が前記許容パフ回数よりも小さい所定の停止回数に到達した場合に、前記電源に対し、前記第1負荷及び/又は前記第2負荷に電力を供給するのを停止させるように構成される、エアロゾル生成装置。
【請求項13】
エアロゾル生成装置の動作を制御する方法であって、
前記エアロゾル生成装置が、エアロゾルを生成するためにエアロゾル源を気化又は霧化する第1負荷と、前記エアロゾルに香味成分を付加するために香味源を加熱する第2負荷とを備え、当該方法が、
電源から前記第1負荷及び前記第2負荷への電力の供給を開始するステップと、
前記エアロゾルの生成要求に応じて、パフ動作シリーズを開始するステップと、
前記パフ動作シリーズにおいて、ユーザによるパフ動作を検出するステップと、
前記ユーザのパフ動作が前記パフ動作シリーズの終了段階にあるかを判定するステップと、
前記終了段階において、前記第1負荷への電力供給量を低減すると共に前記第2負荷への電力供給量を増加するように、前記電力の供給を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記制御するステップが、前記終了段階において、前記第2負荷への電力供給量を増加した後に、前記第1負荷への電力供給量を低減するように構成される、方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の方法であって、更に、
前記パフ動作シリーズにおいて、前記第2負荷の温度を取得するステップを含み、
前記制御するステップが、
前記第2負荷への電力供給量を増加した結果、前記香味源の全体の温度が所定の目標温度に到達したと判断された後に、前記第1負荷への電力供給量を低減する、
ように構成される、方法。
【請求項16】
請求項13から15の何れか一項に記載の方法において、
前記制御するステップが、前記第2負荷への電力供給量を増加したタイミングから、所定の時間が経過した後、又は所定回数の前記パフ動作が行われた後に、前記第1負荷への電力供給量を低減するように構成される、方法。
【請求項17】
請求項13から16の何れか一項に記載の方法において、前記制御するステップが、
前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作シリーズの回数を計数するステップと、
前記パフ動作シリーズの回数が大きくなるにつれて、該パフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量が、以前のパフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量よりも多くなるように加熱プロファイルを調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
請求項13から17の何れか一項に記載の方法において、
前記終了段階が、前記パフ動作シリーズの許容パフ回数に関連付けられ、
前記制御するステップが、
前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作の累計パフ回数を計数するステップと、
前記パフ動作シリーズの開始時に、前記カートリッジに関連付けられる総許容パフ回数と前記累計パフ回数とに基づいて決定される残許容パフ回数が、前記許容パフ回数よりも小さい場合に、通知部を活性化するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、更に、
前記パフ動作シリーズにおいて、前記パフ動作が前記許容パフ回数よりも小さい所定の停止回数に到達した場合に、前記第1負荷及び/又は前記第2負荷に電力を供給するのを停止するステップと、
前記パフ動作が前記許容パフ回数に到達した場合に、前記エアロゾル生成装置を電源オフにするステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
請求項14から19の何れか一項に記載の方法をエアロゾル生成装置が具備するプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル生成装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザをはじめとして、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置のうちエアロゾル生成装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、エアロゾル生成装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、液体を加熱して生成したエアロゾルを香味源に通すことで、香味が付加されたエアロゾルをユーザに吸引させることができる装置が開示される。また、特許文献2には、エアロゾル源及び香味源の両方を加熱する装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/084773号
【文献】特表2017-511703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザにとって吸引時における吸引装置の操作は直感的であることが望ましい。そこで、本開示の目的とするところは、ユーザにとって、操作を直感的とするように吸引装置の操作性を更に向上させ、吸引時の体験を更に快適にすることが可能な仕組みを提供することにある。なお、エアロゾルを吸引したユーザに提供されるような体験であって、ユーザの五感のうち少なくとも1つが刺激されるようなものを「吸引体験」と称する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある観点によれば、エアロゾル生成装置が提供される。かかるエアロゾル生成装置は、エアロゾルを生成するためにエアロゾル源を気化又は霧化する第1負荷と、前記エアロゾルに香味成分を付加するために香味源を加熱する第2負荷と、ユーザによるパフ動作を検出する第1センサと、前記第1負荷及び前記第2負荷に電力を供給する電源と、制御部であって、前記ユーザのパフ動作がパフ動作シリーズの終了段階にあるかを判定し、前記終了段階において、前記電源に対し、前記第1負荷への電力供給量を低減させると共に、第2負荷への電力供給量を増加させる、制御部と、を備える。
【0007】
前記制御部は、前記終了段階において、前記電源に対し、前記第2負荷への電力供給量を増加させた後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させるように構成されてよい。
【0008】
当該エアロゾル生成装置は、更に、前記第2負荷の温度を検出する第2センサを備え、前記制御部は、前記第2負荷への電力供給量を増加させた結果、前記香味源の全体の温度が所定の目標温度に到達したと判断された後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させるように構成されてよい。
【0009】
前記制御部は、前記第2負荷への電力供給量を増加させたタイミングからの時間を計測し、所定時間が経過した後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させるように構成されてよい。
【0010】
前記制御部は、前記パフ動作シリーズにおける前記パフ動作の回数を計数し、前記第2負荷への電力供給量を増加させてから所定回数の前記パフ動作が行われた後に、前記第1負荷への電力供給量を低減させるように構成されてよい。
【0011】
前記制御部は、前記パフ動作シリーズの終了段階よりも前の段階における前記パフ動作の動作間隔を計測し、前記動作間隔に基づいて、前記終了段階において前記第2負荷への電力供給量を増加させるタイミングを決定するように構成されてよい。
【0012】
前記制御部は、前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作シリーズの回数を計数し、前記パフ動作シリーズの回数が大きくなるにつれて、該パフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量が、以前のパフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量よりも多くなるように加熱プロファイルを調整するように構成されてよい。
【0013】
前記終了段階は、前記パフ動作シリーズの許容パフ回数に関連付けられてよい。
【0014】
更に、通知部を備え、前記制御部は、前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作の累計パフ回数を計数するように構成され、前記パフ動作シリーズの開始時に、前記カートリッジに関する総許容パフ回数と前記累計パフ回数とに基づいて決定される残許容パフ回数が、前記許容パフ回数よりも小さい場合に、前記通知部を活性化するように構成されてよい。
【0015】
更に、操作部を備え、前記許容パフ回数は、前記操作部へのユーザ操作を通じて設定可能としてよい。
【0016】
前記制御は、前記パフ動作シリーズにおいて、前記パフ動作が前記許容パフ回数に到達した場合に、当該エアロゾル生成装置を電源オフにするように構成されてよい。
【0017】
前記制御部は、前記パフ動作シリーズにおいて、前記パフ動作が前記許容パフ回数よりも小さい所定の停止回数に到達した場合に、前記電源に対し、前記第1負荷及び/又は前記第2負荷に電力を供給するのを停止させるように構成されてよい。
【0018】
また、本開示のある観点によれば、エアロゾル生成装置の動作を制御する方法が提供される。かかる方法において、前記エアロゾル生成装置が、エアロゾルを生成するためにエアロゾル源を気化又は霧化する第1負荷と、前記エアロゾルに香味成分を付加するために香味源を加熱する第2負荷とを備え、当該方法が、電源から前記第1負荷及び前記第2負荷への電力の供給を開始するステップと、前記エアロゾルの生成要求に応じて、パフ動作シリーズを開始するステップと、前記パフ動作シリーズにおいて、ユーザによるパフ動作を検出するステップと、前記ユーザのパフ動作が前記パフ動作シリーズの終了段階にあるかを判定するステップと、前記終了段階において、前記第1負荷への電力供給量を低減すると共に前記第2負荷への電力供給量を増加するように、前記電力の供給を制御するステップと、を含む。
【0019】
前記制御するステップは、前記終了段階において、前記第2負荷への電力供給量を増加した後に、前記第1負荷への電力供給量を低減するように構成されてよい。
【0020】
更に、前記パフ動作シリーズにおいて、前記第2負荷の温度を取得するステップを含み、前記制御するステップは、前記第2負荷への電力供給量を増加した結果、前記香味源の全体の温度が所定の目標温度に到達したと判断された後に、前記第1負荷への電力供給量を低減するように構成されてよい。
【0021】
前記制御するステップは、前記第2負荷への電力供給量を増加したタイミングから、所定の時間が経過した後、又は所定回数の前記パフ動作が行われた後に、前記第1負荷への電力供給量を低減するように構成されてよい。
【0022】
前記制御するステップは、前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作シリーズの回数を計数するステップと、前記パフ動作シリーズの回数が大きくなるにつれて、該パフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量が、以前のパフ動作シリーズにおける前記第2負荷への電力供給量よりも多くなるように加熱プロファイルを調整するステップと、を含んでよい。
【0023】
前記終了段階が、前記パフ動作シリーズの許容パフ回数に関連付けられ、前記制御するステップは、前記香味源を収容するカートリッジに関する前記パフ動作の累計パフ回数を計数するステップと、前記パフ動作シリーズの開始時に、前記カートリッジに関連付けられる総許容パフ回数と前記累計パフ回数とに基づいて決定される残許容パフ回数が、前記許容パフ回数よりも小さい場合に、通知部を活性化するステップと、を含んでよい。
【0024】
更に、前記パフ動作シリーズにおいて、前記パフ動作が前記許容パフ回数よりも小さい所定の停止回数に到達した場合に、前記第1負荷及び/又は前記第2負荷に電力を供給するのを停止するステップと、前記パフ動作が前記許容パフ回数に到達した場合に、前記エアロゾル生成装置を電源オフにするステップと、を含んでよい。
【0025】
加えて、本開示のある観点によれば、前述の方法をエアロゾル生成装置に実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0026】
本開示によれば、ユーザの吸引操作が更に直感的となり、ユーザの吸引体験の質を更に向上するエアロゾル生成装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】エアロゾル生成装置の概略構成を模式的に示す斜視図である。
図2図1のエアロゾル生成装置の他の斜視図である。
図3図1のエアロゾル生成装置の断面図である。
図4図1のエアロゾル生成装置における電源ユニットの斜視図である。
図5図1のエアロゾル生成装置のハードウエア構成の模式図である。
図6図1のエアロゾル生成装置のハードウエア構成の変更例の模式図である。
図7】制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図8】エアロゾル生成装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図9図8の処理の流れの詳細を部分的に示すフローチャートである。
図10図8及び図9の処理に用いられる加熱プロファイルのグラフである。
図11】処理の流れの変更例を部分的に示すフローチャートである。
図12図11の処理に用いられる加熱プロファイルのグラフである。
図13】処理の流れの変更例を部分的に示すフローチャートである。
図14図13の処理に用いられる加熱プロファイルのグラフである。
図15】処理の流れの変更例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0029】
<<1.エアロゾル生成装置の構成例>>
本開示のエアロゾル生成装置の一実施形態であるエアロゾル生成装置1について、図1から図6を参照して説明する。以下において、エアロゾル生成装置1により生成されたエアロゾルをユーザが吸引することを、単に「吸引」又は「パフ」とも称する。また、ユーザが吸引する動作を、以下では「パフ動作」とも称する。
【0030】
エアロゾル生成装置1は、香味成分が付加されたエアロゾルを、燃焼を伴わずに生成して、吸引可能とするための吸引器具であり、図1及び図2に示すように、所定方向(以下、長手方向Xと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル生成装置1は、長手方向Xに沿って、電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能(換言すると、交換可能)である。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能(換言すると、交換可能)である。図3に示すように、第1カートリッジ20には、第1負荷21と第2負荷31が設けられている。
【0031】
なお、エアロゾル生成装置1の全体形状は、図1のように、電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、が一列に並ぶ形状には限らない。電源ユニット10に対して、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30が交換可能に構成されていれば、略箱状等の任意の形状を採用可能である。なお、第2カートリッジ30は、電源ユニット10に対して着脱可能(換言すると、交換可能)であってもよい。
【0032】
(1)電源ユニット
電源ユニット10は、図3図4、及び図5に示すように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に、電源12と、充電IC55Aと、MCU(Micro Controller Unit)50と、DC/DCコンバータ51と、吸気センサ15と、電圧センサ52及び電流センサ53を含む温度検出用素子T1と、電圧センサ54及び電流センサ55を含む温度検出用素子T2と、第1通知部45及び第2通知部46を収容する。
【0033】
電源12は、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源12の電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0034】
図5に示すように、MCU50は、吸気センサ15、電圧センサ52、電流センサ53、電圧センサ54、及び電流センサ55等の各種センサ装置と、DC/DCコンバータ51と、操作部14と、第1通知部45と、第2通知部46とに接続されており、エアロゾル生成装置1の各種の制御を行う。
【0035】
MCU50は、具体的にはプロセッサを主体に構成されており、プロセッサの動作に必要なRAM(Random Access Memory)及び各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体により構成されるメモリ50aを更に含む。本明細書におけるプロセッサとは、具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0036】
また、MCU50は、タイマ(不図示)を内蔵し、エアロゾル生成装置1の各種動作に関する時間を計測することができる。
【0037】
図4に示すように、電源ユニットケース11の長手方向Xの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の第1負荷21及び第2負荷31の各々と電気的に接続可能に構成される。
【0038】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の第1負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。
【0039】
電源ユニットケース11の長手方向Xの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、外部電源(不図示)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子、又はmicroUSB端子等が接続可能である。
【0040】
なお、充電端子43は、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組合せたものでもよい。また、充電端子43は、外部電源から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、又はmicroUSB端子が接続可能であり、且つ上述した受電部を有していてもよい。
【0041】
電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。詳しくは、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Xにおける電源ユニット10の中心線の交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ又はタッチパネル等から構成される。
【0042】
電源ユニット10が電源オフの状態において、操作部14による所定の起動操作が行われると、操作部14が電源ユニット10の起動指令をMCU50に出力する。MCU50は、この起動指令を取得すると、電源ユニット10を起動させる。詳しくは、MCU50は、電源ユニット10の電源12に対し、第1負荷21及び/又は第2負荷31への電力の供給を開始させてもよい。
【0043】
逆に、電源ユニット10が電源オンの状態において、操作部14による所定の終了操作が行われると、操作部14が電源ユニット10の終了指令をMCU50に出力する。MCU50は、この終了指令を取得すると、電源ユニット10を終了させる。詳しくは、MCU50は、電源ユニット10の電源12に対し、第1負荷21及び/又は第2負荷31への電力の供給を終了させてもよい。また、電源ユニット10を電源オフにしてもよい。なお、第1負荷21及び/又は第2負荷31への電力の供給の終了、並びに電源ユニット10の電源オフは、ユーザによる一連のパフ動作の進行が終了したこと、及び/又は終了条件を満たしたことに応じて、自動的に実行されてもよい。
【0044】
図3に示すように、操作部14の近傍には、パフ(吸引)動作を検出する吸気センサ15が設けられている。電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む空気取込口(不図示)が設けられている。空気取込口は、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0045】
吸気センサ15は、後述の吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力(内圧)変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、空気取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する内圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。吸気センサ15は、アナログ値を出力してもよいし、アナログ値から変換したデジタル値を出力してもよい。
【0046】
なお、吸気センサ15は、検出する圧力を補償するために、電源ユニット10の置かれている環境の温度(外気温)を検出する温度センサを内蔵していてもよい。吸気センサ15は、圧力センサではなく、コンデンサマイクロフォン等から構成されていてもよい。
【0047】
MCU50は、吸気センサ15に対し、ユーザによる吸引動作においてエアロゾルの生成要求を検出させる。エアロゾルの生成要求の検出を通じて、ユーザがパフ動作を行っていることを特定することができる。特に、エアロゾルの生成要求を検出している期間が、ユーザによるパフ動作の期間となる。
【0048】
具体的には、MCU50は、パフ動作が行われて、吸気センサ15の出力値が出力閾値以上になると、エアロゾルの生成要求(エアロゾル源22の霧化指令)がなされたと判定する。その後、MCU50は、吸気センサ15の出力値がこの出力閾値を下回ると、エアロゾルの生成要求が終了されたと判定する。なお、エアロゾル生成装置1においては、第1負荷21の過熱を抑制する等の目的のために、エアロゾルの生成要求がなされている期間が上限時間(例えば、2.4秒)に達すると、吸気センサ15の出力値にかかわらずに、エアロゾルの生成要求が終了されたと判定されるようにしている。
【0049】
なお、吸気センサ15に代えて、操作部14の操作に基づいてエアロゾルの生成要求を検出するようにしてもよい。例えば、ユーザがエアロゾルの吸引を開始するために操作部14に対し所定の操作を行うと、操作部14がエアロゾルの生成要求を示す信号をMCU50に出力するように構成してもよい。
【0050】
充電IC55Aは、充電端子43に近接して配置され、充電端子43から入力される電力の電源12への充電制御を行う。なお、充電IC55Aは、MCU50の近傍に配置されていてもよい。
【0051】
(2)第1カートリッジ
図3に示すように、第1カートリッジ20は、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留する貯留部を構成するリザーバ23と、エアロゾル源22を気化又は霧化してエアロゾルを発生させる霧化器を構成する第1負荷21と、リザーバ23から第1負荷21の位置へエアロゾル源22を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルの粒径を、吸引に適した大きさにするための冷却用の通路を構成するエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、エンドキャップ26に設けられた、第2カートリッジ30を加熱するための第2負荷31と、を備える。
【0052】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿上の多孔質体が収容されず、エアロゾル源22のみが貯留されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、又は水などの液体を含む。
【0053】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を第1負荷21の位置へ引き込む液保持部材である。ウィック24は、リザーバ23から供給されるエアロゾル源22を第1負荷21が霧化可能な位置で保持する保持部を構成している。ウィック24は、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0054】
第1カートリッジ20に含まれるエアロゾル源22は、リザーバ23とウィック24のそれぞれに保持される。
【0055】
第1負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって、燃焼を伴わずにエアロゾル源22を加熱することで、エアロゾル源22を気化又は霧化する。なお、本明細書では、気化又は霧化することを単に「霧化する」と総称することもある。第1負荷21への電力の供給量が多いほど、エアロゾル源22がより急激に加熱されることになるので、霧化されるエアロゾルの量は多くなる。第1負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。
【0056】
なお、第1負荷21は、エアロゾル源22を加熱することで、これを霧化してエアロゾルを生成可能な素子であればよい。第1負荷21は、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0057】
第1負荷21は、温度と電気抵抗値が相関を持つものが用いられる。第1負荷21としては、例えば、温度の増加に伴って電気抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが用いられる。
【0058】
エアロゾル流路25は、第1負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0059】
第2負荷31は、カートリッジ収容部26aに埋設されている。第2負荷31は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって、カートリッジ収容部26aに収容される第2カートリッジ30(詳しくは、これに収容される香味源33)をカートリッジ収容部26a側から加熱する。第2負荷31は、例えば、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成される。
【0060】
第2カートリッジ30の外側からその中心に向けて熱が伝導することで、内部に収容されている香味源33が加熱される。つまり、加熱が開始されてから、第2カートリッジ30の中心にまで熱が伝わり、香味源33の全体にわたり十分に加熱されている状態となるまでの間に、幾らかのタイムラグが生じることになる。
【0061】
なお、第2負荷31は、第2カートリッジ30を加熱することのできる素子であればよい。第2負荷31は、例えば、発熱素子である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0062】
第2負荷31は、温度と電気抵抗値が相関を持つものが用いられる。第2負荷31としては、例えば、PTC特性を有するものが用いられるのがよい。
【0063】
なお、上記では、第2負荷31は、カートリッジ収容部26aに埋設されるものとした。これに代えて、第2負荷31は、カートリッジ収容部26aの内部空間において、その底部から長手方向に沿って突出したピン型のものとして設けられてよい。第2カートリッジ30がカートリッジ収容部26aに装着されると、ピンは、第2カートリッジ30の内部に差し込まれるように挿入される。つまり、第2カートリッジ30内に収容された香味源を、第2カートリッジ30の中心から加熱することができる。
【0064】
(3)第2カートリッジ
第2カートリッジ30は、香味源33を貯留する。第2負荷31によって第2カートリッジ30が加熱されることで、香味源33が加熱される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0065】
第2カートリッジ30は、第1負荷21によってエアロゾル源22が気化又は霧化されて発生したエアロゾルを香味源33に通すことによって、エアロゾルに香味成分を付加する。香味源33を構成する原料片としては、刻みたばこ、又は、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源33は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、又はハーブ等)によって構成されてもよい。香味源33には、メントール等の香料が付加されていてもよい。
【0066】
エアロゾル生成装置1では、エアロゾル源22と香味源33によって、香味成分が付加されたエアロゾルを生成することができる。つまり、エアロゾル源22と香味源33は、エアロゾルを生成するエアロゾル生成源を構成している。
【0067】
エアロゾル生成装置1におけるエアロゾル生成源は、ユーザが交換して使用する部分である。この部分は、例えば、1つの第1カートリッジ20と、1つ又は複数(例えば5つ)の第2カートリッジ30とが1セットとしてユーザに提供される。なお、第1カートリッジ20と第2カートリッジ30を一体化して1つのカートリッジを構成してもよい。
【0068】
このように構成されたエアロゾル生成装置1では、図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた取込口(不図示)から流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の第1負荷21付近を通過する。第1負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれたエアロゾル源22を気化又は霧化する。霧化されて生成されたエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源33を通過することで香味成分が付加され、吸口32に供給される。
【0069】
また、図5に示すように、エアロゾル生成装置1には、ユーザに対して各種情報を通知する第1通知部45と第2通知部46が設けられている。第1通知部45は、ユーザの触覚に作用する通知を行うためのものであり、バイブレーター等の振動素子によって構成されている。第2通知部46は、ユーザの視覚に作用する通知を行うためのものであり、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子によって構成される。各種情報を通知する通知部として、更に、ユーザの聴覚に作用する通知を行うため音出力素子が設けられてもよい。第1通知部45と第2通知部46は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0070】
上記に加えて、又はこれに代えて、第2通知部46として、テキスト情報及びイメージ情報のような各種情報を表示するためのディスプレイ(不図示)が設けられてもよい。例えば、ユーザによるパフ動作の回数が数字で表示されてもよい。また、後述のパフ動作シリーズにおいてパフ動作がどの段階まで進行しているかの進行状況を表示してもよい。進行状況の表示は、インジケータのようなイメージの表示でもよく、或いは、カウントダウン(又はカウントアップ)するような数字の表示としてもよい。
【0071】
(4)電源ユニットの詳細
図5に示すように、DC/DCコンバータ51は、電源ユニット10に第1カートリッジ20が装着された状態において、第1負荷21と電源12の間に接続される。MCU50は、DC/DCコンバータ51と電源12の間に接続されている。第2負荷31は、電源ユニット10に第1カートリッジ20が装着された状態において、MCU50とDC/DCコンバータ51との間に接続される。このように、電源ユニット10では、第1カートリッジ20が装着された状態において、DC/DCコンバータ51及び第1負荷21の直列回路と、第2負荷31とが、電源12に並列接続される。
【0072】
DC/DCコンバータ51は、入力電圧を昇圧可能な昇圧回路であり、入力電圧を昇圧した電圧又は入力電圧を第1負荷21に供給可能に構成されている。DC/DCコンバータ51によれば第1負荷21に供給される電力を調整できるため、第1負荷21が霧化するエアロゾル源22の量を制御することができる。DC/DCコンバータ51としては、例えば、出力電圧を監視しながらスイッチング素子のオン/オフ時間を制御することで、入力電圧を希望する出力電圧に変換するスイッチングレギュレータを用いることができる。DC/DCコンバータ51としてスイッチングレギュレータを用いる場合には、スイッチング素子を制御することで、入力電圧を昇圧せずに、そのまま出力させることもできる。
【0073】
MCU50のプロセッサは、第2負荷31への放電を制御するため、第2負荷31の温度(又は香味源33の温度)を取得できるように構成される。また、MCU50のプロセッサは、第1負荷21の温度を取得できるように構成されることが好ましい。第1負荷21の温度は、第1負荷21又はエアロゾル源22の過熱の抑制や、第1負荷21が気化又は霧化するエアロゾル源22の量を高度に制御するために用いることができる。
【0074】
電圧センサ52は、第2負荷31に印加される電圧値を測定して出力する。電流センサ53は、第2負荷31を貫流する電流値を測定して出力する。電圧センサ52の出力と、電流センサ53の出力は、それぞれ、MCU50に入力される。MCU50のプロセッサは、電圧センサ52の出力と電流センサ53の出力に基づいて第2負荷31の抵抗値を取得し、この抵抗値に応じた第2負荷31の温度を取得する。第2負荷31の温度は、第2負荷31によって加熱される香味源33の温度と厳密には一致しないが、香味源33の温度とほぼ同じと見做すことができる。
【0075】
なお、第2負荷31の抵抗値を取得する際に、第2負荷31に定電流を流す構成とすれば、温度検出用素子T1において電流センサ53は不要である。同様に、第2負荷31の抵抗値を取得する際に、第2負荷31に定電圧を印加する構成とすれば、温度検出用素子T1において電圧センサ52は不要である。
【0076】
また、図6に示すように、温度検出用素子T1に代えて、第1カートリッジ20に、第2カートリッジ30又は第2負荷31の温度を検出するための温度検出用素子T3を設ける構成としてもよい。温度検出用素子T3は、第2カートリッジ30又は第2負荷31の近傍に配置される例えばサーミスタにより構成される。図6の構成においては、MCU50のプロセッサは、温度検出用素子T3の出力に基づいて、第2負荷31の温度又は第2カートリッジ30の温度、換言すると香味源33の温度を取得する。
【0077】
図6に示すように、温度検出用素子T3を用いて第2負荷31の温度を取得することで、温度検出用素子T1(図5)を用いるよりも、更に正確に香味源33の温度を判断することが可能となる。特に、温度検出用素子T3の配置を工夫すること、及び/又は香味源33の物質に関する熱伝導特性を考慮することにより、第2カートリッジ30の中心部分も含め、香味源33の全体の温度を更に正確に判断することができる。
【0078】
なお、温度検出用素子T3は、第2カートリッジ30に搭載される構成としてもよい。温度検出用素子T3を第1カートリッジ20に搭載する図6に示す構成によれば、エアロゾル生成装置1において最も交換頻度の高い第2カートリッジ30の製造コストを下げることができる。
【0079】
なお、図5に示すように、温度検出用素子T1を用いて第2負荷31の温度を取得する場合には、エアロゾル生成装置1において交換頻度が最も低い電源ユニット10に温度検出用素子T1を設けることができる。このため、第1カートリッジ20と第2カートリッジ30の製造コストを下げることができる。
【0080】
電圧センサ54は、第1負荷21に印加される電圧値を測定して出力する。電流センサ55は、第1負荷21を貫流する電流値を測定して出力する。電圧センサ54の出力と、電流センサ55の出力は、それぞれ、MCU50に入力される。MCU50のプロセッサは、電圧センサ54の出力と電流センサ55の出力に基づいて第1負荷21の抵抗値を取得し、この抵抗値に応じた第1負荷21の温度を取得する。なお、第1負荷21の抵抗値を取得する際に、第1負荷21に定電流を流す構成とすれば、温度検出用素子T2において電流センサ55は不要である。同様に、第1負荷21の抵抗値を取得する際に、第1負荷21に定電圧を印加する構成とすれば、温度検出用素子T2において電圧センサ54は不要である。
【0081】
<<2.エアロゾル生成装置の動作例>>
(1)制御部の論理構成例
以下に、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1の動作の制御に関し、特に、パフ動作シリーズの終了段階をユーザに提示するための動作例について説明する。このような制御のための処理は、MCU50に機能が実装されて構成される制御部50によって実行される。
【0082】
エアロゾル生成装置1を使用するユーザが一連のパフ動作を行う際、通常は、12回程度のパフ動作が行われる。このような一連のパフ動作の期間にわたり、所望の量のエアロゾル及び香味を生成するために、エアロゾル源22及び/又は香味源33への加熱動作の制御が制御部50によって実行されることになる。制御部50において、ユーザによる一連のパフ動作は、「パフ動作シリーズ」として予め設計されている。つまり、制御部50は、予め定義されたパフ動作シリーズにしたがいエアロゾル生成装置1を動作させることになる。
【0083】
具体的には、パフ動作シリーズは、その期間において所定回数のパフ動作を含むものとして、加熱プロファイルに関連付けられて定義されている。所定回数は、例えば上記では「12回」として予め設定されている。或いは、操作部14へのユーザ操作を通じて、ユーザにより数値を設定可能とされてもよい。
【0084】
パフ動作シリーズは、吸気センサ15から出力されたエアロゾルの生成要求を示す信号に応じて、ユーザの初回のパフ動作が検出されたことで開始される。引き続き、ユーザの一連のパフ動作が検出され、パフ動作シリーズにおけるパフ動作の回数が計数される。そして、パフ動作の回数が所定回数(例えば12回)に到達したのに応じて、パフ動作シリーズは終了される。
【0085】
このような所定回数のパフ動作を含むパフ動作シリーズにおいて、パフ動作シリーズの終了段階をユーザに直感的に把握させることが望ましい。ユーザが終了段階を把握していないと、パフ動作シリーズがユーザにとって想定外のところで終了し、エアロゾル生成装置1の動作が途中で停止する事態にもなり得る。つまり、ユーザが望んでいる吸引体験が提供されない場合もある。
【0086】
そこで、本実施形態のエアロゾル生成装置1では、パフ動作シリーズの終了段階をユーザが直感的に把握可能なように制御部50が構成される。図7は、制御部50の構成を機能的に示したブロック図である。制御部50は、記憶部50a、加熱制御部50b、判定部50c、温度取得部50d、時間計測部50e、パフ計数部50f、調整部50g、及び通知指示部50hを備える。なお、これらの機能ブロックは論理構成の一例に過ぎず、本実施形態によるエアロゾル生成装置1の動作の制御は、これらの機能ブロックに限定されないことが当業者には理解されて然るべきである。
【0087】
記憶部50aは、前述のメモリ50aによって構成される。メモリ50aには、エアロゾル生成装置1の各種動作を制御するための設定情報が格納される。例えば、パフ動作シリーズに関して前述したパフ動作の所定回数(12回)は「許容パフ回数」としてメモリ50aに格納されている。また、パフ動作シリーズにおいて計数されるパフ回数、第2カートリッジ30毎に計数される累計パフ回数の値等もメモリ50aに格納される。更に、メモリ50aには、目標電力及び/又は目標温度の時系列推移が規定された加熱プロファイルのような各種情報が格納される。
【0088】
加熱制御部50bは、電源12による、第1負荷21及び第2負荷31への電力の供給(つまり、負荷の加熱に必要な放電)を制御する。具体的には、加熱制御部50bは、エアロゾル源22を気化又は霧化するために電源12から第1負荷21への電力の供給を制御すると共に、香味源33を加熱するために電源12から第2負荷31への電力の供給を制御する。
【0089】
このように、本実施形態では、第1負荷21への電力の供給の制御のみならず、第2負荷31への電力の供給の制御も行うことにより、エアロゾル源22及び香味源33の両方に対する柔軟な加熱動作が可能である。加熱動作は、後述の加熱プロファイルとして、その動作態様が予め規定されている。
【0090】
本実施形態では、加熱制御部50bは、加熱プロファイルにしたがい、パフ動作シリーズの終了段階において、(i)第1負荷21への電力供給量を低減させ、また(ii)第2負荷31への電力供給量を増加させるような制御を電源12に対して実行する。これにより、エアロゾル生成装置1は、パフ動作シリーズの終了段階を演出することができ、ユーザに終了段階を直感的に知覚させることができる。
【0091】
具体的には、第1負荷21への電力供給量を低減させると、エアロゾル源22の温度が下がることになるので、生成されるエアロゾルの量が少なくなる。すなわち、ユーザは、パフ動作においてエアロゾルを吸引し、次いでこれを吐き出した際の煙の量の少なさから、パフ動作シリーズがまもなく終了することを視覚的に把握することができる。
【0092】
また、第2負荷31への電力供給量を増加させると、香味源33の温度が上がることになるので、生成される香味成分の量が多くなる。詳しくは、エアロゾルに付加される香味成分の量が多くなるのに応じて、香味に含まれる刺激成分のエアロゾル量に対する相対量が多くなる。その結果、ユーザがこれを吸引した際に、口腔内から喉にかけての刺激が増すことになる。すなわち、ユーザは、吸引体験における香味感覚の変化から、パフ動作シリーズがまもなく終了することを感覚的に把握することができる。
【0093】
本実施形態によれば、パフ動作シリーズが終了段階にあることをユーザに効果的に把握させ、ユーザは、例えば通知部45,46を通じた確認動作を経ることなく、パフ動作の中でパフ動作シリーズが間もなく終了することを直感的に把握することができる。その結果、ユーザの吸引体験は更に快適なものとなり、吸引体験の質を更に向上させることができる。
【0094】
判定部50cは、パフ動作シリーズに関する各種判定処理を実行する。例えば、パフ動作がパフ動作シリーズの終了段階にあるかについて判定する。終了段階は、パフ動作シリーズの許容パフ回数に関連付けられて設定されている。許容パフ回数が「12回」と設定されている場合(つまり、1回のパフ動作シリーズあたり12回のパフ回数が許容されている場合)、一例では、12回のうち後半の「6回」のパフ動作が終了段階であるように規定されている。なお、6回という数値は、予め設定されて記憶部50aに格納されていてもよいし、又は、許容パフ回数の数値に応じて自動的に算出されてもよい。
【0095】
温度取得部50dは、温度検出用素子T1(若しくはT3)を使用すること、又は第2負荷31の電気抵抗値を取得することに基づいて、第2負荷31の温度を取得して、香味源33の温度を特定する。
【0096】
時間計測部50eは、例えばMCU50に内蔵されるタイマ(不図示)を使用して、エアロゾル生成装置1の各種動作に関する時間を計測する。例えば、第1負荷21及び/又は第2負荷31に電力を供給している時間、ユーザがパフ動作をしていることを吸気センサ15が検出している時間等を計測する。また、特定のタイミングを特定し、そこからの経過時間を計測する。更に、パフ動作シリーズにおいて検出されるユーザの一連のパフ動作に関し、連続する2回のパフ動作の間の時間間隔を計測する。
【0097】
パフ計数部50fは、ユーザのパフ動作に関し、エアロゾル生成装置1における各種動作の回数を計数する。例えば、パフ動作シリーズにおいて検出されるユーザのパフ動作の回数を計数する。また、香味源33を収容している第2カートリッジ30に関し、ユーザのパフ動作の累計パフ回数、パフ動作シリーズの回数等を計数する。
【0098】
調整部50gは、加熱制御部50bが制御する加熱動作に関する加熱プロファイルを調整する。ここでの調整には、加熱プロファイルを修正すること、適用する加熱プロファイルを変更すること等が含まれる。
【0099】
通知指示部50hは、エアロゾル生成装置1の動作に関する各種情報を通知するように第1通知部45及び/又は第2通知部46に指示する。例えば、パフ動作シリーズにおいてユーザによる一連のパフ動作が許容パフ回数に到達した旨をユーザに提示するよう第1通知部45及び/又は第2通知部46に指示してもよい。
【0100】
制御部50に実装される機能は上記の機能ブロックに限定されない。上記以外にも任意の機能が含まれてよいことが当業者には理解されて然るべきである。例えば、パフ動作シリーズにおいて、パフ動作が許容パフ回数に到達した場合に、エアロゾル生成装置1の電源ユニット10を強制的に電源オフにするように制御してもよい。
【0101】
(2)加熱プロファイル
前述のように、加熱制御部50bは、加熱プロファイルに基づいて、電源12から第1負荷21及び/又は第2負荷31への電力の供給をそれぞれ制御し、第1負荷21及び第2負荷31のそれぞれに加熱動作を実行させる。加熱プロファイルとは、例えば、第1負荷21に供給する目標電力の時系列推移が規定された情報と、第2負荷31の温度の目標値である目標温度の時系列推移が規定された情報と、を含む情報とすることができる。
【0102】
具体的には、加熱制御部50bは、第1負荷21に対し電源12によって出力される電力が、加熱プロファイルに規定された目標電力の時系列推移を実現するように電力の供給を制御することができる。ここでは、加熱制御部50bは、DC/DCコンバータ51を使用することにより、第1負荷21に供給される電源12の出力電力を、目標電力の時系列推移にしたがうように調整することができる。
【0103】
また、加熱制御部50bは、第2負荷31に対し電源12によって出力される電力が、加熱プロファイルに規定された目標温度の時系列推移を実現するように給電動作を制御することができる。ここでは、加熱制御部50bは、加熱プロファイルにおいて規定された目標温度と第2負荷31の実際の温度(以下「実温度」と称する。)との乖離に基づき、第2負荷31への出力電力を調整する。つまり、加熱制御部50bは、第2負荷31の実温度の時系列推移が、パフ動作シリーズの開始からの経過時間に対応する第2負荷31の目標温度の時系列推移にしたがうように、第2負荷31の温度を制御する。第2負荷31の温度制御は、例えば公知のフィードバック制御によって実現することができる。
【0104】
なお、加熱プロファイルの情報は、記憶部50aに格納され、第1負荷21及び/又は第2負荷31に加熱動作を実行させる際に都度参照される。また、加熱プロファイルの情報は、参照されるのみならず、エアロゾル生成装置1の動作の途中において、動的に更新されてもよい。
【0105】
このように、加熱プロファイルにしたがい電力供給量を制御することにより、加熱プロファイルにより計画されたとおりに、所望の量のエアロゾルを生成すると共に、所望の量の香味をエアロゾルに付加することができる。加熱プロファイルは、典型的には、生成されたエアロゾルをユーザが吸引した際にユーザが味わう香味が最適になるように設計される。すなわち、加熱プロファイルに基づいて電力供給量を制御することにより、ユーザが味わう香味を最適化することができる。
【0106】
(3)処理の流れ
図8から図10を参照して、本実施形態に係るエアロゾル生成装置1の動作を制御する方法について説明する。図8及び図9は、エアロゾル装置1により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。また、図10は、このような処理に用いられる加熱プロファイルの一例のグラフである。
【0107】
なお、本明細書のフローチャートに示される各処理ステップは例示に過ぎず、これに限定されずに任意の他の処理ステップが含まれてもよいし、一部の処理ステップが省略されてもよい。また、各処理ステップの順序も例示に過ぎず、これに限定されずに任意の順序としてよく、或いは、並列的に実行されてよい場合もあることが当業者には理解される。
【0108】
図8に示すように、本処理は、最初にエアロゾル生成装置1(の電源ユニット10)が動作を開始するところから始まる。そして、加熱開始を指示する操作がユーザによって行われたことに応じて、加熱制御部50bは、電源12に対し第1負荷21及び第2負荷31に電力を供給するように指示する。これに応じて、電源12は第1負荷21及び第2負荷31への電力の供給を開始し、加熱プロファイルに基づく加熱動作を開始する(ステップS10)。加熱開始を指示するためのユーザの操作の一例は、エアロゾル生成装置1に設けられた操作部14に対する操作(例えば、ボタン押下)である。他の例は、パフ動作、スマートフォン等の他の装置からの信号の受信等としてもよい。
【0109】
加熱動作が開始されてからユーザによる実際のパフ動作が可能な期間が開始されるまでの期間は「予備加熱期間」とも称される。また、予備加熱期間において行われる加熱は「予備加熱」とも称される。予備加熱段階では、第1負荷21の加熱動作によりエアロゾル源22が加熱されるのと共に、第2負荷31の加熱動作により香味源33が加熱される。特に、予備加熱段階で香味源33が加熱されることにより、パフ動作シリーズが開始される際に、所望量の香味成分が付加されたエアロゾルを効率的に生成可能とすることができる。これにより、ユーザに提供する吸引体験の質を向上させることができる。
【0110】
予備加熱期間が終了し、エアロゾル生成装置1が十分な量のエアロゾルが発生可能となったのに応じて、パフ動作シリーズが開始可能となる。その際、第1通知部45及び/又は第2通知部46を通じてその旨がユーザに通知されてもよい。ユーザが当該通知を参考にパフ動作を行うと、吸気センサ15によってエアロゾルの生成要求が検出される。そして、エアロゾルの生成要求に応じて、制御部50の制御により、エアロゾル生成装置1の電源ユニット10はパフ動作シリーズを開始する(ステップS20)。
【0111】
パフ動作シリーズが開始されると、図10に示すような加熱プロファイルに基づく加熱動作が第1負荷21及び第2負荷31によって実行される。図10のグラフにおいて、横軸は、パフ動作シリーズにわたり時系列に沿って進行するパフ回数(回)を示している。また、縦軸は2軸あり、左側の第1軸は第1負荷21への目標出力電力(ワット)を示し、右側の第2軸は第2負荷31の目標温度(℃)を示している。
【0112】
図10のグラフの実線61aは、パフ動作シリーズにわたる第1負荷21への目標出力電力の時系列推移を表している。また、破線62bは、パフ動作シリーズにわたる第2負荷31の目標温度の時系列推移を表している。図10の例では、予備加熱の結果、第1負荷21への出力電力は5ワットであり、第2負荷31の温度は50℃となっており、この状態からパフ動作シリーズが開始される。
【0113】
パフ動作シリーズにおいて、吸気センサ15が各パフ動作を検知すると、パフ計数部50fは、パフ動作シリーズのパフ回数を計数する(ステップS30)。また、香味源33を収容している第2カートリッジ30に関し、第2カートリッジ30毎の累計パフ回数を計数する。
【0114】
次いで、判定部50cは、ユーザの現在のパフ動作がパフ動作シリーズの終了段階にあるかを判定する(ステップS40)。前述のとおり、終了段階はパフ動作シリーズの許容パフ回数に関連付けられている。そして、例えば、「12回」の許容パフ回数のうち後半の「6回」のパフ動作が終了段階であると予め規定されている場合、ステップS30で計数されたパフ回数が7回目に到達しているかが判定される。
【0115】
パフ動作シリーズの終了段階において、加熱制御部50bの制御により、電源12は、第2負荷31への電力供給量を増加して、第2負荷31の温度を所望の目標温度に到達させる。そして、第2負荷31の温度が所望の目標温度に到達した後は、加熱制御部50bの制御により、電源12は、当該温度を維持するように電力供給量を制御する(ステップS50)。
【0116】
図10の例では、破線62aに示すように、パフ回数が7回目に到達したタイミングで、8回目のパフ動作に至るまでに目標温度が50℃から90℃となるように加熱プロファイルが規定されている。また、7回目のパフ動作以降は第2負荷31の温度が90℃に維持されるように加熱プロファイルが規定されている。
【0117】
ステップS50で電源12が第2負荷31への電力供給量を増加した後、加熱制御部50bの制御により、電源12は更に、第1負荷21への電力供給量を低減する(ステップS60)。図10の例では、実線61aが示すように、(7回目のパフ動作の後の)10回目のパフ動作において、第1負荷21への目標電力出力を5ワットから低減させるように加熱プロファイルが規定されている。
【0118】
ここでは、第2負荷31の加熱動作において、香味源33の全体にわたり十分に加熱された状態となるまで幾らかの時間を要することを考慮して、第1負荷21への電力供給量を低減するのよりも先に、第2負荷31への電力供給量を増加させている。詳しくは、第2負荷31への電力供給量が増加された結果、香味源33の全体の温度が所定の目標温度に到達したと制御部50によって判断された後に、第1負荷21への電力供給量を低減している。
【0119】
これにより、香味源33の全体にわたり十分に加熱され、ユーザにとって送達される香味が安定するまでの時間差を解消することができる。すなわち、第1負荷21への電力供給量を低減させること、及び第2負荷31への電力供給量を増加させることに伴いユーザに提供される吸引体験の香味感覚の変化をより明確に伝えることができる。
【0120】
なお、図10の実線61aに示すように、第1負荷21への電力供給量は、パフ動作シリーズの終了段階において低減されるような制御が実行されるものの、これが増加されるような制御は実行されないでよい。これは、実線61aのようにパフ動作シリーズが開始された当初から5ワットの目標出力電力を維持することにより、ユーザにとって十分な量のエアロゾルを送達できていることが実験的に判明しているからである。つまり、終了段階において敢えて第1負荷21への電力供給量を増加させてエアロゾル量を増加させるまでもなく、ユーザに提供される吸引体験の質が担保されていると想定することができる。
【0121】
図9のフローチャートに示すように、香味源33の全体の温度が所定の目標温度に到達したかについては、第2負荷31に対する加熱状態が一定期間継続したかに応じて推定されるのがよい。図9は、前述のステップS50からステップS60へ移行する間に実行される処理の詳細な流れを示している。
【0122】
最初に、ステップS50で第2負荷31への電力供給量を増加したタイミングからの経過時間を時間計測部50eが取得する、或いは、当該タイミングからのパフ動作の回数をパフ計数部50fが取得する(ステップS51)。
【0123】
次いで、判定部50cは、当該タイミングからの経過時間が所定時間を経過しているか、或いは、当該タイミングからユーザが行ったパフ動作の回数が所定回数を超過しているかを判定する(ステップS52)。
【0124】
Yesの場合、制御部50は、香味源33の全体の温度が目標温度に到達したと判断し(ステップS53)、前述のようにステップS60で加熱制御部50bの制御により、電源12は、第1負荷21への電力供給量を低減する。
【0125】
図9に示した処理に関連し、本実施形態のエアロゾル生成装置1では、第2カートリッジ30の外側からその中心に向けて熱が伝導するのに約60~80秒程度要することが実験的に判明している。つまり、ステップS52の判定で用いられる所定時間は60~80秒の範囲に設定され、予め記憶部50aに格納されるのがよい。
【0126】
図10の例では、破線62aに示すように第2負荷31への電力供給量を増加するのが7回目のパフ回数となるのに対し、実線61aに示すように第1負荷21への電力供給量を低減するのは10回目のパフ回数となるように規定されている。つまり、3回分のパフ動作時間差がある。1回あたりのパフ動作は、平均的に2秒程度であり、連続する2回のパフ動作の時間間隔は大凡10~20秒程度であることが実験的に判明している。つまり、前述の約60~80秒の所定時間を3回分のパフ動作の期間に対応付けている。そこで、図10の例では、ステップS52の判定で用いられる所定回数は「3回」として加熱プロファイルに設定され、予め記憶部50aに格納されている。
【0127】
図8に戻り、ステップS60の後に、ステップS30で計数されたパフ回数が所定の停止回数に到達した場合に、加熱制御部50bの制御により、電源12は、第1負荷21及び/又は第2負荷31に電力を供給するのを停止する(ステップS70)。停止回数は、許容パフ回数よりも小さい値に設定されて、記憶部50aに格納されている。パフ回数が許容パフ回数に到達する前に電力の供給を停止することにより、省電力化を実現し、電源12の寿命を保護することができる。
【0128】
図10の例では、停止回数は「11回」に設定されており、破線62aに示すように、パフ回数が11回目に到達した場合に、第2負荷31への電力の供給を停止するように規定されている。このため、11回目のパフ動作以降、第2負荷31の目標温度が引き下げられている。第2負荷31への電力の供給の停止と同様、パフ回数が11回目に到達した場合に第2負荷31への電力の供給も停止してよい。
【0129】
なお、この例のように、終了段階の途中の11回目のパフ動作で第2負荷31への電力の供給を停止したとしても、余熱により、第2負荷31の加熱動作は継続される。つまり、12回目のパフ動作においても所望の量の香味を発生し、エアロゾルに付加することができるので、ユーザに提供される香味体験の質を維持することができる。
【0130】
最終的には、パフ動作が許容パフ回数(図10では12回)に到達し、パフ動作シリーズが終了した場合に、エアロゾル生成装置1の電源ユニット10を電源オフにする(ステップS80)。なお、電源ユニット10が電源オフになったのに応じて、第1通知部45及び/又は第2通知部46を活性化させ、その旨をユーザに通知してもよい。
【0131】
ステップS80の結果、図9に示した一連の処理ステップは終了する。
【0132】
本実施形態によれば、パフ動作シリーズが終了段階にあることをユーザに効果的に把握させ、ユーザは、例えば通知部45,46を通じた確認動作を経ることなく、パフ動作の中で終了段階を直感的に把握することができる。その結果、ユーザの吸引体験は更に快適なものとなり、吸引体験において香味感覚の変化をユーザにより明確に伝えることができる。
【0133】
<<3.変更例>>
(変更例1)
上記説明においては、図10に示した設定済みの加熱プロファイルのグラフにしたがい、加熱制御部50bの制御により第2負荷31の加熱動作を実行するものとした(破線62a)。変更例1では、これに代えて、調整部50gによって加熱プロファイルを動的に調整してもよい。
【0134】
図11は、このような加熱プロファイルを動的に調整する一例の処理のフローチャートであり、図9のフローチャートに適用可能である。また、図12は、図10の加熱プロファイルのグラフに対し、加熱プロファイルの調整を適用した場合の加熱プロファイルの一例のグラフである。
【0135】
図11の処理は、図9においてステップS10で加熱プロファイルに基づく加熱動作が開始されるよりも前に実行されるのがよい。具体的には、パフ計数部50fは、香味源33を収容している第2カートリッジ30に関し、第2カートリッジ30毎のパフ動作シリーズの回数を計数する(ステップ101)。次いで、調整部50gは、計数されたパフ動作シリーズの回数に基づいて、加熱プロファイルに規定される、第2負荷31への電力供給量を動的に調整する(ステップS102)。特に、調整部50gは、パフ動作シリーズの回数が大きくなるにつれて、以前に行われたパフ動作シリーズよりも、第2負荷31への電力供給量が多くなるように加熱プロファイルを調整する。
【0136】
例えば、パフ動作シリーズが2回目である場合を想定する。つまり、2回目のパフ動作シリーズにおける第2負荷31への電力供給量は、1回目のパフ動作シリーズにおける第2負荷31への電力供給量よりも多くなるように調整される。図12の例では、破線62bに示すように、第2負荷31の目標温度は、7回目のパフ動作までは55℃、8回目から11回目のパフ動作まで(終了段階)は95℃と調整されている。つまり、1回目のパフ動作シリーズにおける第2負荷31の目標温度(図10の破線62a)に対し、任意のタイミングで+5℃となるように調整される。なお、パフ動作シリーズの終了段階における第2負荷31の目標温度は調整されなくてもよい。
【0137】
このように、変更例1では、現在のパフ動作シリーズにおける第2負荷31への電力供給量が、以前のパフ動作シリーズにおける第2負荷31への電力供給量よりも多くなるように加熱プロファイルを調整した上で、第2負荷31の加熱動作が実行される。なお、上記で用いたパフ動作シリーズの回数に代えて、第2カートリッジ30の累計パフ回数を計数することで、累計パフ回数に基づいて第2負荷31の目標温度を調整してもよい。
【0138】
例えば、パフ動作シリーズの回数が進行し、第2カートリッジ30内の香味源33の消費が進んだ状態では、第2カートリッジ30内の香味源33の量は少なからず減少している。つまり、初期状態の第2カートリッジ30に対する電力と同じ電力を第2負荷31に供給した場合、生成される香味成分の量が当初よりも減少し、ユーザに送達される香味が変化することがある。そこで、上記のように、パフ動作シリーズの回数に応じて第2負荷31への電力供給量を増加させて香味源33の温度を高くするように加熱プロファイルを更新することにより、エアロゾルに付加される香味成分を一定に保つことができる。すなわち、ユーザに提供する吸引体験の質に影響しないよう、香味を一定に維持することができる。
【0139】
(変更例2)
上記説明においては、図10に示した設定済みの加熱プロファイルのグラフにしたがい、加熱制御部50bの制御により、第2負荷31の加熱動作を実行するものとした(破線62a)。変更例2では、これに代えて、変更例1と同様に、調整部50gによって加熱プロファイルを動的に調整してもよい。
【0140】
図13は、このような加熱プロファイルを動的に調整する一例の処理のフローチャートであり、図9のフローチャートに適用可能である。また、図14は、図10の加熱プロファイルのグラフに対し、加熱プロファイルの調整を適用した場合の加熱プロファイルの一例のグラフである。
【0141】
図13の処理は、図9においてステップS30でパフ動作を検知している間の期間に実行されるのがよい。具体的には、時間計測部50eは、パフ動作シリーズの終了段階よりも前の段階において、連続する2つの2つのパフ動作間のパフ動作間隔を計測する(ステップS231)。次いで、調整部50gは、計測されたパフ動作間隔に基づいて、ステップS40で判定される終了段階を調整し、終了段階において第2負荷31への電力供給量を増加するタイミングを早めるように決定する(ステップS232)。つまり、加熱プロファイルに規定される、第2負荷31への電力供給量を増加するタイミングを動的に調整する。調整されたタイミングに基づいて、ステップ50の第2負荷31への電力供給量を増加する処理が実行されることになる(ステップS50)。
【0142】
なお、ステップS232でタイミングを決定するのに用いられるパフ動作間隔は、計算された複数の値を用いて、例えば、複数のパフ動作間隔の平均を計算する等により決定してもよい。或いは、ユーザによるパフ動作の傾向に基づき、統計的な手法を用いて決定してもよい。
【0143】
図14の例では、破線62cに示すように、第2負荷31への電力供給量を増加するタイミングを、当初の7回目のパフ動作から6回目のパフ動作に早めている。例えば、パフ動作間隔が相対的に短く、一定期間あたりのパフ動作の頻度が高いユーザには、第2負荷31への電力供給量を増加するタイミングを早めることにより、パフ動作シリーズの終了段階を早期にユーザに提示するのがよい。これにより、パフ動作シリーズにわたるユーザに提供する吸引体験をより相応しいものとすることができる。
【0144】
(変更例3)
上記説明においては、加熱制御部50bが、加熱プロファイルにしたがい、パフ動作シリーズの終了段階において、第2負荷31への電力供給量を増加させると共に、第1負荷21への電力供給量を低減させるような制御を電源12に対して実行するものとした。変更例3では、これに代えて、このような処理の実行が予定されない場合には、予めユーザに通知するようにしてもよい。
【0145】
図15は、変更例3の一例の処理のフローチャートであり、図9のフローチャートに適用可能である。本処理は、ステップS20でパフ動作シリーズを開始したのよりも後に実行されるのがよい。具体的には、制御部50は、第2カートリッジ30に関し、予め設定されている「総許容パフ回数」と、パフ計数部50fで計数された累計パフ回数とに基づいて、その差分を算出して、残許容パフ回数を決定する(ステップS321)。
【0146】
次いで、判定部50cは、残許容パフ回数が、記憶部50aに格納された許容パフ回数よりも小さいかを判定する(ステップS322)。Yesの場合は、所定のパフ動作シリーズ(例えば、12回のパフ動作)が完結しないことになる。つまり、制御部50は、残されたパフ回数が不十分である旨の通知を第1通知部45及び/又は第2通知部46に指示するのがよい(ステップS323)。
【0147】
残されたパフ回数が不十分である場合でも、パフ動作自体は限界まで行われてよい。変更例3では、パフ動作シリーズにおいて、パフ計数部50fは、パフ動作シリーズにおけるパフ回数を計数する(ステップS324)。次いで、計数されたパフ回数が残許容パフ回数に到達した場合に、加熱制御部50bの制御により、電源12は、第1負荷21及び/又は第2負荷31に電力を供給するのを停止する(ステップS325)。
【0148】
その後、処理はステップS80に進み、エアロゾル生成装置1の電源ユニット10は電源オフされる。他方、ステップS322でNoの場合は、残されたパフ回数が十分あるので、通常どおり前述のステップS30に進めばよい。
【0149】
一例では、第2カートリッジ30に関し、総許容パフ回数が「50回」に、パフ動作シリーズの許容パフ回数が「12回」に設定されているとする。そして、パフ計数部50fにより累計パフ回数が48回であると計数されている状態で新たにパフ動作シリーズが開始されることを想定する。この場合、新たなパフ動作シリーズで許容される残許容パフ回数は2(=50-48)回と算出され、許容されている12回よりも小さい。この場合、3回目以降のパフ動作は、許容されないことになる。
【0150】
つまり、第2カートリッジ30に関し、残りの残許容パフ回数が許容パフ回数に満たないので、仮にパフ動作シリーズを続行しても、十分な香味がユーザに送達されないことが想定される。ここでは、少なくとも、前述の終了段階を直感的に把握させるための機能は利用されない。そこで、前述のステップS323でパフ動作シリーズの開始時に第2通知部46を活性化して、この旨を事前にユーザに提示するのがよい。ユーザは、当該通知を通じて、残されたパフ回数が不十分である旨を事前に把握することができる。
【0151】
(変更例4)
上記説明においては、図8において、ステップS50で第2負荷31への電力供給量を増加した後に、ステップS60で第1負荷21への電力供給量を低減するものとした。変更例4では、これに代えて、ステップS50で第2負荷31への電力供給量を増加するのと同時に、ステップS60で第1負荷21への電力供給量を低減してもよい。
【0152】
<<4.他の実施形態>>
上述の説明において、幾らかの実施形態に係るエアロゾル生成装置及びエアロゾル生成装置の動作を制御する方法が図面を参照して説明された。本開示は、エアロゾル生成装置が具備するプロセッサにより実行されると、当該プロセッサに、エアロゾル生成装置の動作を制御する方法をエアロゾル生成装置に実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体としても実施され得ることが理解される。
【0153】
以上、本開示の実施形態が、その変更例及び適用態様と共に説明されたが、これらは例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良等を適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0154】
1…エアロゾル生成装置、10…電源ユニット、12…電源、15…吸気センサ、20…第1カートリッジ、30…第2カートリッジ、21…第1負荷、22…エアロゾル源、31…第2負荷、33…香味源、45…第1通知部、46…第2通知部、50…制御部(MCU)、50a…記憶部(メモリ)、50b…加熱制御部、50c…判定部、50d…温度取得部、50e…時間計測部、50f…パフ計数部、50g…調整部、50h…通知指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15