(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-26
(45)【発行日】2024-07-04
(54)【発明の名称】塩分躍層の視覚的検出
(51)【国際特許分類】
A01K 61/10 20170101AFI20240627BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20240627BHJP
G01V 8/10 20060101ALN20240627BHJP
【FI】
A01K61/10
G01N21/17 A
G01V8/10 S
(21)【出願番号】P 2023521071
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2021055022
(87)【国際公開番号】W WO2022086787
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-06-02
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ,バーナビー ジョン
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-138834(JP,A)
【文献】特開平09-197043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0340440(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0288678(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109781768(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 61/10
G01N 21/17
G01V 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
魚囲い内の水の異なる深度を通してカメラを移動することと、
前記異なる深度において、魚の画像を捕捉することと、
前記画像における焦点の変化が前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することと、
前記画像における焦点の前記変化が前記画像が捕捉された前記深度の変化に対応することを判定したことに基づいて、特定の深度において塩分躍層を検出することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記画像における焦点の変化が前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することが、
前記魚の前記画像内の非合焦及び合焦である画素の分布を判定することと、
前記魚の前記画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の前記分布が、分布基準を満たすことを判定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記魚の前記画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の前記分布が分布基準を満たすことを判定することが、
前記魚の前記画像の前記サブセット及び前記魚の前記画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の前記分布間の差が、前記分布基準を満たすことを判定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記魚の前記画像の前記サブセット及び前記魚の前記画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の前記分布間の差が、前記分布基準を満たすことを判定することが、
前記分布から、前記画像の前記第2のサブセットと比べて、前記画像の前記サブセットにおいて、前記画素のうちのより多くの画素が非合焦であったことを判定することを含み、
前記画像の前記第2のサブセットの前記画像が、前記画像の前記サブセットの前記画像が捕捉された前記深度よりも上の第2の深度において捕捉された、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
特定の深度において塩分躍層を検出することが、
前記塩分躍層が前記特定の深度において最上部を有することを判定することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記魚の前記画像の前記サブセット及び前記魚の前記画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の前記分布間の差が、前記分布基準を満たすことを判定することが、
前記分布から、前記画像の前記第2のサブセットと比べて、前記画像の前記サブセットにおいて、前記画素のうちのより少ない画素が非合焦であったことを判定することを含み、
前記画像の前記第2のサブセットの前記画像が、前記画像の前記サブセットの前記画像が捕捉された前記深度よりも下の第2の深度において捕捉された、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
特定の深度において塩分躍層を検出することが、
前記塩分躍層が前記特定の深度において底部を有することを判定することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記画像における焦点の変化が前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することが、
特定の画像内で検出された魚の数がカウント基準を満たすことを判定することと、
前記特定の画像内で検出された魚の前記数が前記カウント基準を満たすことを判定したことに基づいて、前記特定の画像及び他の画像に基づいて前記画像における焦点の前記変化を判定することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記特定の深度における前記塩分躍層の検出に基づいて、前記魚が餌である給餌深度若しくは前記魚が餌である給餌速度のうちの1つ以上を調整すること、
前記特定の深度における前記塩分躍層の検出に基づいて、海シラミの軽減を増加すること、又は
前記特定の深度における前記塩分躍層の検出に基づいて、海シラミ検出若しくは魚検出のうちの1つ以上を無視すること、のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記塩分躍層の最上部及び前記塩分躍層の底部を示す深度マップを提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
システムであって、
1つ以上のコンピュータと、1つ以上の記憶デバイスと、を備え、前記1つ以上の記憶デバイスは、命令を記憶し、前記命令は、前記1つ以上のコンピュータによって実行されたとき、前記1つ以上のコンピュータに、
魚囲い内の水の異なる深度を通してカメラを移動することと、
前記異なる深度において、魚の画像を捕捉することと、
前記画像における焦点の変化が前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することと、
前記画像における焦点の前記変化が前記画像が捕捉された前記深度の変化に対応することを判定したことに基づいて、特定の深度において塩分躍層を検出することと、を含む動作を実行させるように動作可能である、システム。
【請求項12】
前記画像における焦点の変化が前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することが、
前記魚の前記画像内の非合焦及び合焦である画素の分布を判定することと、
前記魚の前記画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の前記分布が、分布基準を満たすことを判定することと、を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記魚の前記画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の前記分布が分布基準を満たすことを判定することが、
前記魚の前記画像の前記サブセット及び前記魚の前記画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の前記分布間の差が、前記分布基準を満たすことを判定することを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記魚の前記画像の前記サブセット及び前記魚の前記画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の前記分布間の差が、前記分布基準を満たすことを判定することが、
前記分布から、前記画像の前記第2のサブセットと比べて、前記画像の前記サブセットにおいて、前記画素のうちのより多くの画素が非合焦であったことを判定することを含み、
前記画像の前記第2のサブセットの前記画像が、前記画像の前記サブセットの前記画像が捕捉された前記深度よりも上の第2の深度において捕捉された、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
特定の深度において塩分躍層を検出することが、
前記塩分躍層が、前記特定の深度において最上部を有することを判定することを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記魚の前記画像の前記サブセット及び前記魚の前記画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の前記分布間の差が、前記分布基準を満たすことを判定することが、
前記分布から、前記画像の前記第2のサブセットと比べて、前記画像の前記サブセットにおいて、前記画素のうちのより少ない画素が非合焦であったことを判定することを含み、
前記画像の前記第2のサブセットの前記画像が、前記画像の前記サブセットの前記画像が捕捉された前記深度よりも下の第2の深度において捕捉された、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
特定の深度において塩分躍層を検出することが、
前記塩分躍層が前記特定の深度に底部を有することを判定することを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記画像における焦点の変化が前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することが、
特定の画像内で検出された魚の数がカウント基準を満たすことを判定することと、
前記特定の画像内で検出された魚の前記数が前記カウント基準を満たすことを判定したことに基づいて、前記特定の画像及び他の画像に基づいて前記画像における焦点の前記変化を判定することと、を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記動作が、
前記特定の深度における前記塩分躍層の検出に基づいて、前記魚が餌である給餌深度若しくは前記魚が餌である給餌速度のうちの1つ以上を調整すること、
前記特定の深度における前記塩分躍層の検出に基づいて、海シラミの軽減を増加すること、又は
前記特定の深度における前記塩分躍層の検出に基づいて、海シラミ検出若しくは魚検出のうちの1つ以上を無視すること、のうちの1つ以上を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
コンピュータプログラムで符号化されたコンピュータ可読記憶デバイスであって、前記プログラムは、命令を含み、前記命令は、1つ以上のコンピュータによって実行されるとき、前記1つ以上のコンピュータに、
魚囲い内の水の異なる深度を通してカメラを移動することと、
前記異なる深度において、魚の画像を捕捉することと、
前記画像における焦点の変化が、前記画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することと、
前記画像における焦点の前記変化が前記画像が捕捉された前記深度の変化に対応することを判定したことに基づいて、特定の深度において塩分躍層を検出することと、を含む動作を実行させる、コンピュータ可読記憶デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月23日に出願された米国特許出願第17/078,490号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、コンピュータビジョン、特に、水産養殖システムのためのコンピュータビジョンに関する。
【背景技術】
【0003】
水産養殖は、魚、甲殻類、又は水生植物などの水生生物の養殖を含む。水産養殖では、商業的な漁業とは対照的に、淡水魚及び海水魚の個体群が制御された環境で育てられる。例えば、魚の養殖は、タンク、養魚池、又は海洋囲いの中で魚を飼育することを含み得る。
【0004】
塩分躍層は、淡水流が海水と混合したときに、海洋の魚囲い内に形成され得る。例えば、フィヨルドから海洋へ流れる淡水は、塩分がより高い海洋水の上に、塩分がより低い水の層を形成し得る。塩分躍層は、塩分が急激に変化する水の層である。例えば、淡水が塩水の上に層を形成するときに、塩分躍層が形成され得る。
【0005】
塩分躍層は、魚の健康に影響を与え得る。例えば、魚に有害な海シラミは、塩分躍層内又はそのすぐ下に群がることを好む場合がある。海シラミは、太陽からの光に引き寄せられて上方に泳ぐ場合があるが、塩分躍層より上の水中のより低い塩分は海シラミにとって有害であり得るため、塩分躍層内又は下に留まる場合があるため、海シラミは、塩分躍層内又はそのすぐ下に群がり得る。塩分躍層内又はそのすぐ下の海シラミの濃度の増加は、魚が海シラミに感染するリスクを増加させ得る。
【発明の概要】
【0006】
概して、本明細書で説明する主題の革新的な態様は、塩分躍層を視覚的に検出することに関する。
【0007】
システムは、塩分躍層を検出し、魚が海シラミに感染するリスクを低減するためのアクションを講じてもよい。例えば、塩分躍層の中又はそのすぐ下に集中した海シラミによる感染のリスクを低減するために、魚に塩分躍層の上又は下に留まるように影響を与えてもよい。別の例では、海シラミによる感染のリスクを低減しようと試みるために、シラミ駆除及び監視を増加してもよい。
【0008】
塩分躍層は、水中の溶解塩濃度を判定するために、水の導電率を測定する塩分センサを用いて検出され得る。例えば、より高い導電率測定値は、より多くの塩分を示し得る。しかしながら、塩分センサは、良好な稼働状態を維持するために絶えず較正する必要がある場合があり、ひどく高価である場合がある。
【0009】
代わりに、システムは、塩分躍層を視覚的に検出してもよい。塩分の急激な変化は、塩分躍層の内部又は別の側の物体を不鮮明に見えるようにする場合がある。例えば、塩分躍層は曇った層であるように見える場合がある。したがって、塩分躍層は、カメラを用いて視覚的に検出してもよい。システムは、海洋囲い内でカメラを上下に移動し、異なる深度においてカメラを用いて画像を捕捉してもよい。次に、システムは、画像が合焦であることから非合焦であることに遷移する深度を判定したことに基づいて、塩分躍層を視覚的に検出してもよい。
【0010】
本明細書で説明される主題の1つの革新的な態様は、魚囲い内の水の異なる深度を通してカメラを移動することと、異なる深度において、魚の画像を捕捉することと、画像における焦点の変化が画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することと、画像における焦点の変化が画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定したことに基づいて、特定の深度において塩分躍層を検出することと、を含む、方法において具現化される。
【0011】
この態様及び他の態様の他の実装形態は、方法のアクションを実行するように構成され、コンピュータ記憶デバイス上で符号化された、対応するシステム、装置、及びコンピュータプログラムを含む。1つ以上のコンピュータのシステムは、動作中にシステムにアクションを実行させる、システム上にインストールされたソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせによってそのように構成され得る。1つ以上のコンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行されるとき、装置にアクションを実行させる命令を有することによってそのように構成され得る。
【0012】
上記及び他の実施形態は各々、以下の特徴のうちの1つ以上を単独で又は組み合わせて任意選択で含み得る。例えば、いくつかの態様では、画像における焦点の変化が画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することは、魚の画像内の非合焦及び合焦である画素の分布を判定することと、魚の画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の分布が分布基準を満たすことを判定することと、を含む。特定の態様では、魚の画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の分布が分布基準を満たすことを判定することは、魚の画像のサブセット及び魚の画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の分布間の差異が分布基準を満たすことを判定することを含む。
【0013】
いくつかの実装形態では、魚の画像のサブセット及び魚の画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の分布間の差が分布基準を満たすことを判定することは、分布から、画像の第2のサブセットと比べて、画像のサブセットにおいて、画素のうちのより多くの画素が非合焦であったことを判定することを含み、画像の第2のサブセットの画像が、画像のサブセットの画像が捕捉された深度よりも上の第2の深度において捕捉された。いくつかの態様では、特定の深度において塩分躍層を検出することは、塩分躍層が特定の深度において最上部を有することを判定することを含む。
【0014】
特定の態様では、魚の画像のサブセット及び魚の画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の分布間の差が分布基準を満たすことを判定することは、分布から、画像の第2のサブセットと比べて、画像のサブセットにおいて、画素のうちのより少ない画素が非合焦であったことを判定することを含み、画像の第2のサブセットの画像が、画像のサブセットの画像が捕捉された深度よりも下の第2の深度において捕捉された。
【0015】
いくつかの実装形態では、特定の深度において塩分躍層を検出することは、塩分躍層が特定の深度において底部を有することを判定することを含む。いくつかの態様では、画像における焦点の変化が画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することは、特定の画像内で検出された魚の数がカウント基準を満たすことを判定することと、特定の画像内で検出された魚の数がカウント基準を満たすことを判定したことに基づいて、特定の画像及び他の画像に基づいて画像における焦点の変化を判定することとを含む。
【0016】
特定の態様では、アクションは、特定の深度における塩分躍層の検出に基づいて魚が餌である給餌深度若しくは魚が餌である給餌速度のうちの1つ以上を調整すること、特定の深度における塩分躍層の検出に基づいて海シラミの軽減を増大させること、又は特定の深度における塩分躍層の検出に基づいて海シラミ検出若しくは魚検出のうちの1つ以上を無視することのうちの1つ以上を含む。いくつかの実装形態では、アクションは、塩分躍層の最上部及び塩分躍層の底部を示す深度マップを提供することを含む。
【0017】
1つ以上の実装形態の詳細は、添付の図面及び以下の説明に記載される。本開示の他の潜在的な特徴及び利点は、説明及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】塩分躍層及び水生家畜を収容する囲いを視覚的に検出する例示的なシステムの図である。
【
図2】塩分躍層の上方で魚を誘引する例示的なシステムの図である。
【
図3】塩分躍層を視覚的に検出する例示的なプロセスの流れ図である。
【0019】
様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。ここで示される構成要素、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、例示的なものに過ぎず、本明細書で記載及び/又は特許請求される実装形態を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、塩分躍層及び水生家畜を収容する囲い110を視覚的に検出する例示的なシステム100の図である。魚を収容する囲いは、魚囲いと呼ばれ得る。参照を容易にするために、デカルト座標系が提供される。
図1はxy平面内に延びている囲い110を示すが、囲いは更にz方向に延びており、正のz方向は図面のページから外に延びている。
【0021】
家畜は、囲い110の範囲内で自由に泳ぐ、家畜120などの水生生物であり得る。いくつかの実装形態では、囲い110内に貯蔵される水生家畜120は、魚又は他の水生生物を含み得る。家畜120は、例えば、いくつか例を挙げると、稚魚、コイ、サメ、サケ、及びバスを含み得る。
【0022】
水生家畜に加えて、囲い110は、水、例えば、海水、淡水、又は雨水を収容するが、囲いは、水生家畜の居住環境を維持することができる任意の流体を収容することができる。いくつかの実装形態では、システム100は、囲い110内に閉じ込められる代わりに、桟橋、ドック、又はブイなどの構造物に固定される。例えば、家畜120は、囲い110内に閉じ込められる代わりに、水域を自由に動き回ることができ、システム100は、水域の特定のエリア内の家畜を監視することができる。
【0023】
システム100は、センサデータを生成するセンササブシステム102と、センサデータに基づいて塩分躍層を検出する塩分躍層検出サブシステム104と、センササブシステム102を移動するウィンチサブシステム108と、を含む。
【0024】
センササブシステム102は、囲い110内に完全に沈めることができるカメラを含む。囲い110内のセンササブシステム102の位置は、塩分躍層検出サブシステム104によって生成された命令によって判定される。センササブシステム102は、防水性であってもよく、破損することなく、典型的な海流などの外力の影響に耐えることができる。システム100は更に、センササブシステム102によって捕捉されたセンサデータをセンサデータ記憶装置に記憶することができる。いくつかの実装形態では、システム100は、いくつかの例を挙げると、ビデオ及び画像などの媒体、並びに超音波データ、熱データ、及び圧力データなどのセンサデータを記憶することができる。加えて、センサデータは、センササブシステムがセンサデータを捕捉したジオロケーションに対応するGPS情報を含み得る。
【0025】
ウィンチサブシステム108は、命令を受信し、センササブシステム102を命令に対応する位置に移動するように、1つ以上のモータを作動させる。ウィンチサブシステム108は、1つ以上のモータと、1つ以上の電源と、センササブシステム102を懸架するコードが取り付けられる1つ以上のプーリと、を含み得る。ウィンチサブシステム108は単一のコードを含むが、本明細書で説明されるように、センササブシステム102が移動及び回転することを可能にする1つ以上のコード及び1つ以上のプーリの任意の構成が使用され得る。
【0026】
ウィンチサブシステム108は、塩分躍層検出サブシステム104から命令を受信し、コードを移動するために1つ以上のモータを作動させる。コード及び取り付けられたセンササブシステム102は、x、y、及びz方向に沿って、命令に対応する位置に移動することができる。
【0027】
ウィンチサブシステム108のモータを使用して、センササブシステム102を回転させて、センササブシステムの水平角及び垂直角を調整することができる。電源は、ウィンチサブシステムの個々の構成要素に電力を供給することができる。電源は、AC及びDC電力を、様々な電圧及び電流レベルで構成要素の各々に提供することができる。いくつかの実装形態では、ウィンチサブシステムは、x、y、及びz方向の運動を可能にするために、複数のウィンチ又は複数のモータを含み得る。
【0028】
センササブシステム102及びウィンチサブシステム108の一方又は両方は、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計など、センササブシステムの動きを追跡し、位置を判定するための慣性測定装置を含み得る。ウィンチサブシステム108はまた、センササブシステム102の位置を推定するための別の入力を提供するために、繰り出され、巻き取られたコードの量を追跡することもできる。いくつかの実装形態では、ウィンチサブシステム108はまた、コードに適用されるトルクを提供し、センササブシステム102の位置及び状態に関する入力を提供することができる。いくつかの実装形態では、センササブシステム102は、自律型水中ビークル(autonomous underwater vehicle、AUV)、例えば、テザー付きAUVに取り付けられ得る。
【0029】
いくつかの実装形態では、塩分躍層検出サブシステム104は、センササブシステム102によって異なる深度において捕捉された画像に基づいて塩分躍層を検出する。塩分躍層検出サブシステム104は、どの深度において画像がより非合焦かを判定したことに基づいて、塩分躍層を視覚的に検出してもよい。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、x軸が画像が捕捉された深度を表し、y軸が画像内の非合焦であった画素のパーセンテージを表すグラフを生成し、グラフ内のピークの検出に基づいて、特定の深度において塩分躍層を検出してもよい。
【0030】
塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層が水中の魚の視覚的外観に不鮮明さを引き起こすことに基づいて、塩分躍層を検出してもよい。例えば、センササブシステム102は、水柱内の異なる深度において魚を継続的に観察してもよい。特に、塩分躍層検出サブシステム104は、センササブシステム102によって捕捉された画像に示されるような魚のエッジ又は魚のドットパターンを連続的に検出してもよい。魚の鋭さ及びそれが深度とともにどのように変化するかを見ることによって、塩分躍層を様々な深度において検出することができる。塩分躍層検出サブシステム104は、水柱を上下する複数のパスにわたる検出を使用して、時間とともに塩分躍層がどのように発達するかを見てもよく、また、サイトにおける隣接する囲いからの観察を考慮して、塩分躍層がどのように局在化されているかを見てもよい。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、センササブシステム102が1分間に最も浅い位置から最も深い位置まで下方に移動し、30分ごとに繰り返す間に、センササブシステム102を用いて画像を捕捉してもよい。
【0031】
塩分躍層検出サブシステム104は、焦点ピーキング技法を使用して、画像の合焦領域を強調表示してもよい。次いで、塩分躍層検出サブシステム104は、合焦領域内の画素の数、又は合焦領域内にない画素の数若しくは非合焦領域内の画素の数を判定したことに基づいて、各画像内の合焦画素及び非合焦画素の分布を判定することができる。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、2,073,600個の画素を有する1080p画像を取得し、各々が異なる魚に対応する10個の合焦領域を識別し、合焦領域が600,000個の画素を含むことをカウントしてもよい。
【0032】
別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、2,073,600個の画素を有する1080p画像を取得し、各々が異なる魚に対応する10個の合焦領域を識別し、合焦領域の外側の領域が1,473,600個の画素を含むことをカウントし、1,473,600個の画素から合計2,073,600個の画素を減算することによって600,000個の画素が合焦していることを判定してもよい。更に別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、2,073,600画素を有する1080p画像を取得し、各々が魚に対応する2つの合焦領域を識別し、合焦領域が10,000画素を含むことをカウントしてもよい。
【0033】
いくつかの実装形態では、画像の任意のペアは、場面内の魚の数のばらつきに起因して比較されない場合があるが、より多数の画像にわたって、これらの差異は、平均化され得る。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、1インチの深度当たり10個の画像を取得し、その深度について分布を平均化するか又はその中央値を取ることができる。別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、1インチの深度ごとに単一の画像を取得し、深度をグループごとに3フィート(例えば、0~3フィート、3.1~6フィート、6.1~9フィートなど)にまとめてビニングし、グループに対する分布を平均化するか又はその中央値を取ることができる。
【0034】
塩分躍層検出サブシステム104は、判定された分布に基づいて深度マップを生成してもよい。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、x軸上に深度を有し、y軸上に非合焦画素のパーセントを有する深度マップ140を生成してもよい。塩分躍層検出サブシステム104は、次いで、深度マップ140中のピークを検出したことに基づいて塩分躍層を検出してもよい。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、7フィート~10フィートの間の深度において深度マップ中のピークを検出してもよい。
【0035】
いくつかの実装形態では、塩分躍層検出サブシステム104は、十分な数の検出された物体を有しない画像をフィルタ除去してもよい。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、画像が少なくとも2つの検出された魚を有するまで、ある深度について画像を再撮影してもよい。いくつかの実装形態では、塩分躍層検出サブシステム104は、検出された物体の数が連続して何回も検出された後、特定の深度の画像を撮影することを停止してもよい。例えば、塩分躍層の境界においてほとんど可視性がない場合があり、したがって物体が検出されない場合があるので、塩分躍層検出サブシステム104は、連続する5つの画像が0個の物体を検出した後に、センササブシステム102を下方に移動し続けてもよい。
【0036】
塩分躍層検出の用途は、より高い局所塩分が存在するときに囲い内で魚を強制的に下げること(例えば、深度給餌灯を使用すること、サブフィーダ、高さ調節可能な囲いを配備すること)、シラミの発達を軽減するためにより積極的にシラミ駆除すること(例えば、トリガ限界を下げること)、塩分躍層の場所に基づいて給餌速度若しくは最大ペレット深度を調節すること、又は画質が悪いエリアにおいて画質が重要であるバイオマス、シラミ、魚の認識検出を回避すること、のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実装形態では、シラミ駆除は、海シラミにレーザビームを適用すること、加圧水で魚から海シラミを噴霧すること、又は海シラミに有害な化学物質を放出すること、を含み得る。
【0037】
例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層を検出し、それに応じて、魚をより深く誘引するために深度給餌灯を使用し、又は調整可能な高さの囲いを塩分躍層の更に下にあるようにより低く移動してもよい。したがって、塩分躍層又は高濃度の海シラミを有し得る塩分躍層のすぐ下の水中に魚が入ることを阻止することができる。別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層を検出し、それに応じて、5分間に10匹の海シラミを検出したことに応じてシラミ駆除を開始するトリガ限界を、5分間に5匹の海シラミを検出したことに応じてシラミ駆除を開始するトリガ限界に低下させもよい。
【0038】
更に別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層を検出し、それに応じて、魚が塩分躍層より上で餌の大部分を食べて魚が塩分躍層より上で誘引されるように、給餌速度又は最大ペレット深度を調整してもよい。したがって、塩分躍層又は高濃度の海シラミを有し得る塩分躍層のすぐ下の水中に魚が入ることを阻止することができる。
【0039】
更に別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層を検出し、それに応じて、塩分躍層が位置する深度において捕捉された画像に示されるような魚に関するデータの認識及び記憶を中断してもよい。したがって、システム100は、不鮮明な画像から不正確な検出を行うことを回避することができる。
【0040】
図2は、塩分躍層の上で魚を誘引する例示的なシステム200の図である。システム200は、システム100と同様であってもよいが、給餌器210も含む。
図2は、魚が塩分躍層の上で飼料を消費するように、給餌器210の給餌速度がどのように制御され得るかを示す。魚は、概して塩分躍層に入ることを回避することができる。したがって、魚が塩分躍層の上に引き寄せられると、魚は、より深く泳いで塩分躍層に入ることを回避することができる。
【0041】
図3は、水産養殖給餌行動を観察するようにカメラを制御するための例示的なプロセス300の流れ図である。例示的なプロセス300は、
図1のシステム100を含む様々なシステムによって実行されてもよい。簡単に説明すると、以下で更に説明するように、プロセス300は、水の異なる深度を通してカメラを移動すること(310)と、異なる深度において、魚の画像を捕捉すること(320)と、画像における焦点の変化が画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定すること(330)と、特定の深度において塩分躍層を検出すること(340)と、を含む。
【0042】
プロセス300は、水の異なる深度を通してカメラを移動することを含む(310)。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、ウィンチサブシステム108に、センササブシステム102を囲いの最上部から底部へ、又は底部から最上部へ移動するように命令してもよい。
【0043】
プロセス300は、異なる深度において、魚の画像を捕捉すること(320)を含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、センササブシステム102に、センササブシステム102が移動する深度の各インチに対して画像を捕捉するように命令してもよい。
【0044】
プロセス300は、画像における焦点の変化が、画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定すること(330)を含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、7フィート~10フィートの深度の画像が、他の深度において捕捉された画像よりも著しく不鮮明であったことを検出してもよい。別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、深度マップを生成し、7フィート~10フィートのピークを検出し、それに応じて、画像における焦点の変化が、画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定してもよい。
【0045】
いくつかの実装形態では、画像における焦点の変化が、画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することは、魚の画像内の非合焦及び合焦である画素の分布を判定することと、魚の画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の分布が分布基準を満たすことを判定することと、を含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、7~10フィートの深度において捕捉された画像からの非合焦画素の割合が、他の深度よりも少なくとも50%、66%、80%、又は何らかの他のパーセンテージで大きいことを判定してもよい。
【0046】
いくつかの実装形態では、魚の画像のサブセットの非合焦及び合焦である画素の分布が分布基準を満たすことを判定することは、魚の画像のサブセット及び魚の画像の第2のサブセットの、非合焦及び合焦である画素の分布間の差異が分布基準を満たすことを判定することを含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、7フィートの深度において捕捉された画像からの非合焦画素の割合が、6フィートの深度よりも50%、66%、80%、又は何らかの他のパーセンテージで大きいことを判定してもよい。別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、10フィートの深度において捕捉された画像からの非合焦の画素の割合が、11フィートの深度よりも50%、66%、80%、又は何らかの他のパーセンテージで大きいことを判定してもよい。
【0047】
いくつかの実装形態では、魚の画像のサブセット及び魚の画像の第2のサブセットの非合焦及び合焦である画素の分布間の差が分布基準を満たすことを判定することは、分布から、画像の第2のサブセットと比べて、画像のサブセットにおいて、画素のうちのより多くの画素が非合焦であったことを判定することを含み、画像の第2のサブセットの画像は、画像のサブセットの画像が捕捉された深度よりも上の第2の深度において捕捉された。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、7フィートの深度において捕捉された画像からの非合焦画素の割合が、6フィートの深度よりも50%、66%、80%、又は何らかの他のパーセンテージで大きいことを判定し、それに応じて、塩分躍層の最上部が7フィートにあることを判定してもよい。
【0048】
いくつかの実装形態では、魚の画像のサブセット及び魚の画像の第2のサブセットの非合焦及び合焦である画素の分布間の差が分布基準を満たすことを判定することは、分布から、画像の第2のサブセットと比べて、画像のサブセットにおいて、画素のうちのより少ない画素が非合焦であったことを判定することを含み、画像の第2のサブセットの画像が、画像のサブセットの画像が捕捉された深度よりも下の第2の深度において捕捉された。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、10フィートの深度において捕捉された画像からの非合焦画素の割合が、10フィートの深度における割合よりも50%、66%、80%、又は何らかの他のパーセンテージで大きいことを判定し、それに応じて、塩分躍層の底部が11フィートにあることを判定してもよい。
【0049】
いくつかの実装形態では、画像における焦点の変化が、画像が捕捉された深度の変化に対応することを判定することは、特定の画像内で検出された魚の数がカウント基準を満たすことを判定することと、特定の画像内で検出された魚の数がカウント基準を満たすことを判定したことに基づいて、特定の画像及び他の画像に基づいて画像における焦点の変化を判定すること、とを含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、単一の物体のみが画像内で検出されることを判定し、それに応じて、画像を破棄し、5秒後に別の画像を取得することによって、画像をフィルタ除去してもよい。
【0050】
プロセス300は、特定の深度において塩分躍層を検出すること(340)を含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、7フィート~10フィートにおける深度マップ中のピークを検出したことに基づいて、7フィート~10フィートにおいて塩分躍層を検出してもよい。
【0051】
いくつかの実装形態では、プロセス300は、特定の深度における塩分躍層の検出に基づいて、魚が餌である給餌深度若しくは魚が餌である給餌速度のうちの1つ以上を調整すること、特定の深度における塩分躍層の検出に基づいて、海シラミの軽減を増加すること、海シラミの監視を強化すること、又は特定の深度における塩分躍層の検出に基づいて、海シラミ検出若しくは魚検出のうちの1つ以上を無視することを含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、給餌器210に、魚が塩分躍層の上の餌の大部分を消費するように給餌速度を低下させるように命令してもよい。別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、シラミ駆除器に、5分間に10匹のシラミが検出された後ではなく5分間に4匹のシラミが検出された後に、シラミを殺す化学物質の放出を開始するように命令してもよい。更に別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層が7フィート~10フィートの深度にあるというインジケーションを海シラミ検出器に送信してもよく、海シラミ検出器は、1時間に1回から30分に1回まで海シラミを検出する頻度を増加させてもよい。
【0052】
更に別の例では、塩分躍層検出サブシステム104は、塩分躍層が7フィート~10フィートの深度にあるというインジケーションを海シラミ検出器に送信してもよく、海シラミ検出器は、7フィート~10フィートの深度において捕捉された画像内の海シラミの検出をスキップしてもよい。
【0053】
いくつかの実装形態では、プロセス300は、塩分躍層の最上部及び塩分躍層の底部を示す深度マップを提供することを含む。例えば、塩分躍層検出サブシステム104は、囲いの人間の管理者によって見られている画面上に深度マップを表示してもよい。
【0054】
いくつかの実装形態について記載してきた。それにもかかわらず、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われ得ることが理解されるであろう。例えば、上で示されたフローの様々な形態は、ステップが再順序付けされ、追加され、又は除去されて使用され得る。
【0055】
本明細書の実施形態及び本明細書で説明される機能的動作の全ては、本明細書において開示された構造及びそれらの構造的均等物を含む、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、若しくはファームウェア、又はハードウェア、あるいはそれらのうちの1つ以上の組み合わせにおいて、実装することができる。本発明の実施形態は、1つ以上のコンピュータプログラム製品、例えば、データ処理装置による実行又はデータ処理装置の動作を制御するためにコンピュータ可読媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして実装され得る。コンピュータ可読媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、メモリデバイス、機械可読伝搬信号に影響を及ぼす組成物、又はそれらのうちの1つ若しくは複数の組み合わせであり得る。用語「データ処理装置」は、例としてプログラマブルプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ若しくはコンピュータを含む、データを処理するための全ての装置、デバイス、及び機械を包含する。装置は、ハードウェアに加えて、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又はそれらのうちの1つ以上の組み合わせを構成するコードを含み得る。伝搬信号は、人工的に生成された信号、例えば、好適な受信機装置への送信のために情報を符号化するために生成された機械生成電気信号、光信号、又は電磁信号である。
【0056】
(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプト、又はコードとしても知られる)コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語若しくはインタープリタ型言語を含む、任意の形態のプログラミング言語で書かれ得、スタンドアロンプログラムとして、又はモジュール、構成要素、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に好適な他のユニットとして、を含む、任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルシステム内のファイルに対応する必要はない。プログラムは、他のプログラム若しくはデータ(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つ以上のスクリプト)を保持するファイルの一部分内に、問題のプログラム専用の単一ファイル内に、又は複数の調整されたファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、若しくはコードの一部分を記憶するファイル)内に、記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに位置するか若しくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。
【0057】
本明細書に記載されるプロセス及び論理フローは、入力データに対して動作し、出力を生成することによって機能を実行するために、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行され得る。プロセス及び論理フローはまた、専用論理回路、例えば、FPGA(field programmable gate array、フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(application specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)によって実行され得、装置はまた、専用論理回路、例えば、FPGA又はASICとして実装され得る。
【0058】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサ及び専用マイクロプロセッサの両方、並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。概して、プロセッサは、読み出し専用メモリ若しくはランダムアクセスメモリ又はその両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサ、並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスである。概して、コンピュータはまた、データを記憶するための1つ以上の大容量記憶デバイス、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含むか、又は1つ以上の大容量記憶デバイスからデータを受信するか若しくは1つ以上の大容量記憶デバイスにデータを転送するか、又はその両方を行うように動作可能に結合される。しかしながら、コンピュータは、そのようなデバイスを有する必要はない。更に、コンピュータは、別のデバイス、例えば、ほんの数例を挙げると、タブレットコンピュータ、モバイル電話、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、モバイルオーディオプレーヤ、全地球測位システム(Global Positioning System、GPS)受信機に組み込まれ得る。コンピュータプログラム命令及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体は、例として、半導体メモリデバイス、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイスを含む、全ての形態の不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスと、磁気ディスク、例えば、内蔵ハードディスク又はリムーバブルディスクと、光磁気ディスクと、CD-ROM及びDVD-ROMディスクと、を含む。プロセッサ及びメモリは、専用論理回路によって補完され得るか、又は専用論理回路に組み込まれ得る。
【0059】
ユーザとの対話を提供するために、本発明の実施形態は、ユーザに情報を表示するためのディスプレイデバイス、例えば、CRT(cathode ray tube、陰極線管)又はLCD(liquid crystal display、液晶ディスプレイ)モニタ、並びにキーボード及びポインティングデバイス、例えば、ユーザがコンピュータに入力を提供し得るマウス若しくはトラックボールを有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類のデバイスが、ユーザとの相互作用を提供するために同様に使用することができ、例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックであり得、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む、任意の形態で受信され得る。
【0060】
本発明の実施形態は、例えば、データサーバとしてバックエンド構成要素を含むか若しくはミドルウェア構成要素、例えば、アプリケーションサーバを含む、又はフロントエンド構成要素、例えば、ユーザが本発明の実装形態と対話し得るグラフィカルユーザインターフェース、若しくウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ、又は1つ以上のそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、若しくはフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含む、コンピューティングシステムにおいて、実現し得る。システムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの実施例は、ローカルエリアネットワーク(local area network、「LAN」)及びワイドエリアネットワーク(wide area network、「WAN」)、例えばインターネットを含む。
【0061】
コンピューティングシステムは、クライアント及びサーバを含むことができる。クライアント及びサーバは概して互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して対話する。クライアント及びサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生じる。
【0062】
本明細書は、多くの詳細を含むが、これらは、本発明の範囲又は特許請求され得るものに対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、本発明の特定の実施形態に特有である特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されるある特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施形態で別個に、又は任意の好適な部分的組み合わせで実装することもできる。更に、特徴は、ある特定の組み合わせで作用するものとして上記で説明され、かつ最初にそのように特許請求されることさえあり得るが、請求された組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除され得、特許請求された組み合わせは、部分組み合わせ又は部分組み合わせの変形を対象とし得る。
【0063】
同様に、動作は特定の順序で図面に描写されているが、これは、所望の結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で若しくは連続的な順序で実行されること、又は全ての例示された動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。ある特定の状況では、マルチタスキング及び並列処理が有利であり得る。更に、上で説明された実施形態における様々なシステコンポーネントの分離は、全ての実施形態においてかかる分離を必要とすると理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネント及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品にともに一体化され得るか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0064】
本発明の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。例えば、特許請求の範囲内に記載されたステップは、異なる順序で実行することができ、それでも所望の結果を達成することができる。