(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】撮像パラメータ出力方法、及び、撮像パラメータ出力装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240628BHJP
G01B 11/245 20060101ALI20240628BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240628BHJP
G03B 35/08 20210101ALI20240628BHJP
G01M 5/00 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G01B11/00 H
G01B11/245 H
G03B15/00 T
G03B35/08
G03B15/00 P
G01M5/00
(21)【出願番号】P 2021542058
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(86)【国際出願番号】 JP2020025158
(87)【国際公開番号】W WO2021039088
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2019156048
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】今川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】野田 晃浩
(72)【発明者】
【氏名】丸山 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】日下 博也
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-246632(JP,A)
【文献】特開2017-203701(JP,A)
【文献】特開2005-24442(JP,A)
【文献】特開2010-256276(JP,A)
【文献】特開2002-39753(JP,A)
【文献】特開2014-10559(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01C 11/00-11/36
G01C 15/00-15/14
G03B 15/00
G03B 35/08
G01M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、
前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、
前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを、前記撮像装置により前記対象物を撮像することなく算出する算出ステップと、
前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む
撮像パラメータ出力方法。
【請求項2】
さらに、前記対象物を含む地理情報を取得する第2取得ステップを含み、
前記算出ステップでは、さらに、前記地理情報に基づいて、前記撮像パラメータを算出する
請求項1に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項3】
前記算出ステップでは、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて算出される前記撮像装置を設置する対象領域から、前記地理情報に基づいて得られる前記撮像装置が撮像できない撮像不能領域を除いた領域である前記撮像候補領域を含む前記撮像パラメータを算出する
請求項2に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項4】
前記撮像候補領域は、撮像候補位置を含み、
前記撮像パラメータは、前記撮像候補位置から前記対象物を見たときの景色を確認するための第1確認画像をさらに含む
請求項2又は3に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項5】
さらに、
前記撮像候補位置を変更する操作を受け付ける受付ステップと、
前記撮像パラメータに含まれる前記第1確認画像を、変更された前記撮像候補位置から前記対象物を見たときの第2確認画像に更新する更新ステップとを含む
請求項4に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項6】
さらに、所望の計測精度を取得する第3取得ステップを含み、
前記撮像候補領域は、前記所望の計測精度を満たす領域である
請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項7】
さらに、前記対象物を撮像するときの環境情報を取得する第4取得ステップを含み、
前記撮像パラメータは、前記環境情報に基づく、前記対象物の撮像を行う候補日程に関する情報を含む
請求項1~6のいずれか1項に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項8】
前記幾何学的な撮像条件は、前記対象物の撮像範囲、前記撮像装置において使用可能なレンズに関するレンズ情報、前記撮像装置のセンサに関する情報の少なくとも1つを含む
請求項1~7のいずれか1項に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項9】
前記撮像装置は、互いに異なる視点から前記対象物を撮像する第1撮像装置及び第2撮像装置を有し、
前記幾何学的な撮像条件は、さらに、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置の基線長及び前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置により形成される輻輳角の少なくとも一方を含む
請求項1~8のいずれか1項に記載の撮像パラメータ出力方法。
【請求項10】
対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、
前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を含む地理情報を取得する取得ステップと、
前記対象物情報及び前記地理情報に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを、前記撮像装置により前記対象物を撮像することなく算出する算出ステップと、
前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む
撮像パラメータ出力方法。
【請求項11】
対象物の物理量を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、
前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、
前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記対象物の前記物理量の計測精度を含む前記撮像パラメータを、前記撮像装置により前記対象物を撮像することなく算出する算出ステップと、
前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む
撮像パラメータ出力方法。
【請求項12】
対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力装置であって、
前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する取得部と、
前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを、前記撮像装置により前記対象物を撮像することなく算出する算出部と、
前記撮像パラメータを出力する出力部とを備える
撮像パラメータ出力装置。
【請求項13】
対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力装置であって、
前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を含む地理情報を取得する取得部と、
前記対象物情報及び前記地理情報に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを、前記撮像装置により前記対象物を撮像することなく算出する算出部と、
前記撮像パラメータを出力する出力部とを備える
撮像パラメータ出力装置。
【請求項14】
前記撮像パラメータは、前記変位を計測するための画像を互いに異なる視点から撮像する第1撮像装置及び第2撮像装置を有するステレオカメラに関するものであり、
前記第1取得ステップでは、前記対象物の位置及び計測範囲の大きさを示す前記対象物情報、並びに、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置に基づく輻輳角及び最大基線長の少なくとも1つを含む前記撮像条件を取得し、
前記算出ステップでは、さらに前記対象物情報に基づいて、前記変位の計測精度が所定の範囲となる撮像候補領域であって、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置の各々を設置する撮像候補領域、並びに、当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する
請求項1~
9のいずれか1項に記載の撮像パラメータ出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法、及び、撮像パラメータ出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁等のインフラ構造物の点検は、作業員が定期的に橋梁等を目視検査又は打音検査することで行われている。しかし、点検箇所は膨大であり、また構造物の設置場所によっては確認作業が困難となり、作業員の負担となっている。そこで、カメラを用いて構造物の検査を行うことが検討されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カメラを用いた変位計測において、作業員は、撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等を、撮像現場で確認しながら決定しており、撮像現場での作業に時間を要する。また、撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせは、変位の計測精度に影響を与える。そのため、作業員は、所望の計測精度を満たす撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等を確認する場合、撮像現場での作業に、さらに時間を要する。
【0005】
そこで、本開示は、撮像現場における計測作業の時間を短縮しつつ、かつ、所望の計測精度の計測を行うことができる撮像パラメータ出力方法、及び、撮像パラメータ出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出ステップと、前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0007】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を含む地理情報を取得する取得ステップと、前記対象物情報及び前記地理情報に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出ステップと、前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0008】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法は、対象物の物理量を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記対象物の前記物理量の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出ステップと、前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0009】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力装置は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力装置であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する取得部と、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出部と、前記撮像パラメータを出力する出力部とを備える。
【0010】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力装置は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力装置であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を含む地理情報を取得する取得部と、前記対象物情報及び前記地理情報に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出部と、前記撮像パラメータを出力する出力部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法等によれば、撮像現場における計測作業の時間を短縮しつつ、かつ、所望の計測精度の計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る撮像パラメータ出力システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る対象物情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る算出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る撮像パラメータの算出例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る撮像パラメータの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施の形態1の変形例1に係る算出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態1の変形例1に係る撮像パラメータの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態1の変形例2に係る算出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態1の変形例2に係る撮像パラメータの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施の形態2に係る算出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る撮像不能領域の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態2に係る撮像パラメータの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態3に係る撮像パラメータ出力システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図14】
図14は、実施の形態3に係る算出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施の形態3に係る撮像パラメータの一例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態3に係る確認画像が更新された撮像パラメータの一例を示す図である。
【
図17】
図17は、実施の形態3の変形例に係る算出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図18】
図18は、撮像装置を用いた変位計測を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の概要)
撮像装置(例えば、カメラ)を用いた構造物Oの変位の計測について、
図18を参照しながら説明する。
図18は、撮像装置を用いた変位計測を説明するための概略図である。なお、
図18では、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の2台の撮像装置を用いて構造物Oを撮像している様子を図示しているが、撮像装置の台数は2台に限定されず、1台であってもよく、3台以上であってもよい。また、構造物Oの変位は、構造物Oの物理量の一例である。
【0014】
図18に示すように、撮像装置を用いた構造物Oの変位の計測においては、構造物Oの周辺から撮像装置で構造物Oを撮像し、撮像により得られる画像に基づいて構造物Oの変位が計測される。
【0015】
第1撮像装置30及び第2撮像装置40は、構造物Oの変位を計測するための画像を撮像する。第1撮像装置30及び第2撮像装置40は、互いに異なる視点から構造物Oを撮像する。そして、第1撮像装置30及び第2撮像装置40のそれぞれが同期して撮像した2枚の画像に基づいて、構造物Oの変位が計測される。なお、構造物Oは、変位を計測する対象物の一例であり、例えば、橋梁などのインフラ構造物である。構造物Oは、例えば、自動車又は鉄道などの車両が走行する橋梁であるが、これに限定されない。構造物Oは、例えば、鉄塔やビル、工場プラント、機械設備などでもよい。
【0016】
なお、第1撮像装置30及び第2撮像装置40は、例えば、モノクロカメラであるがカラーカメラであってもよい。第1撮像装置30及び第2撮像装置40は、例えば、イメージセンサを備えるデジタルビデオカメラ又はデジタルスチルカメラである。
【0017】
このように撮像装置で構造物Oを撮像する場合、作業員は、構造物Oを撮像可能な撮像位置を構造物Oの周囲の撮像現場で探し、当該撮像位置に応じた焦点距離のレンズを選択する作業を行っている。そのため、作業員は、撮像現場での撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等の作業に時間を要していた。また、撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせは、構造物Oの変位の計測精度に影響する。そのため、作業員は、所望の計測精度を得ることができる撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等を見つけるために、さらに時間を要していた。また、撮像装置の台数が増えるにつれ、撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせは複雑になり、作業員は、その作業にさらに時間を要していた。
【0018】
そこで、発明者らは、撮影現場における計測作業の時間を短縮しつつ、かつ、所望の計測精度の計測を行うことができる撮像パラメータ出力方法等について鋭意検討を行い、以下に説明する撮像パラメータ出力方法等を創案した。
【0019】
本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出ステップと、前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0020】
これにより、作業員は、撮像候補領域及び変位の計測精度を含む撮像パラメータを事前に知ることができるので、撮像現場における撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等に要する時間を短縮することができる。また、作業員は、対象物に対応した計測精度を有する撮像候補領域から撮像を行うことで、所望の計測精度を満たす変位の計測を行うことができる。よって、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法によれば、撮像現場における計測作業の時間を短縮しつつ、かつ、所望の計測精度の計測を行うことができる。
【0021】
また、例えば、さらに、前記対象物を含む地理情報を取得する第2取得ステップを含み、前記算出ステップでは、さらに、前記地理情報に基づいて、前記撮像パラメータを算出する。
【0022】
これにより、作業員は、地理情報も考慮して対象物の変位を計測するための撮像候補位置を決定することができる。作業員は、例えば、対象物の周辺の地形などを考慮して撮像候補位置を決定することができる。
【0023】
また、例えば、前記算出ステップでは、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて算出される前記撮像装置を設置する対象領域から、前記地理情報に基づいて得られる前記撮像装置が撮像できない撮像不能領域を除いた領域である前記撮像候補領域を含む前記撮像パラメータを算出する。
【0024】
これにより、作業員は、現実的に撮像を行うことができる領域を容易に知ることができる。
【0025】
また、例えば、前記撮像候補領域は、撮像候補位置を含み、前記撮像パラメータは、前記撮像候補位置から前記対象物を見たときの景色を確認するための第1確認画像をさらに含む。
【0026】
これにより、作業員は、撮像現場に行く前に、対象物と撮像候補位置との間の遮蔽物の有無を確認することができる。作業員は、撮像候補領域の中から遮蔽物がない位置を撮像候補位置とすることで、より適切な撮像候補位置を決定することができる。
【0027】
また、例えば、さらに、前記撮像候補位置を変更する操作を受け付ける受付ステップと、前記撮像パラメータに含まれる前記第1確認画像を、変更された前記撮像候補位置から前記対象物を見たときの第2確認画像に更新する更新ステップとを含む。
【0028】
これにより、作業員は、対象物と変更後の撮像候補位置との間の遮蔽物の有無を容易に確認することができる。
【0029】
また、例えば、さらに、所望の計測精度を取得する第3取得ステップを含み、前記撮像候補領域は、前記所望の計測精度を満たす領域である。
【0030】
これにより、作業員は、所望の計測精度を満たす領域を容易に知ることができる。
【0031】
また、例えば、さらに、前記対象物を撮像するときの環境情報を取得する第4取得ステップを含み、前記撮像パラメータは、前記環境情報に基づく、前記対象物の撮像を行う候補日程に関する情報を含む。
【0032】
これにより、作業員は、撮像を行う候補日程を知ることができる。候補日程は、撮像を行う日時の決定に有益である。
【0033】
また、例えば、前記幾何学的な撮像条件は、前記対象物の撮像範囲、前記撮像装置において使用可能なレンズに関するレンズ情報、前記撮像装置のセンサに関する情報の少なくとも1つを含む。
【0034】
これにより、対象物の撮像範囲、撮像装置において使用可能なレンズに関するレンズ情報、撮像装置のセンサに関する情報の少なくとも1つを用いて、撮像候補領域及び変位の計測精度を算出することができる。例えば、対象物の撮像範囲、撮像装置において使用可能なレンズに関するレンズ情報、及び、撮像装置のセンサに関する情報を用いない場合に比べて、計測精度をより正確に算出することができる。
【0035】
また、例えば、前記撮像装置は、互いに異なる視点から前記対象物を撮像する第1撮像装置及び第2撮像装置を有し、前記幾何学的な撮像条件は、さらに、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置の基線長及び前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置により形成される輻輳角の少なくとも一方を含む。
【0036】
これにより、作業者は、撮像現場における作業がより複雑な場合であっても撮像パラメータを取得することができるので、撮像現場における撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等に要する時間をさらに短縮することができる。
【0037】
また、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を含む地理情報を取得する取得ステップと、前記対象物情報及び前記地理情報に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出ステップと、前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0038】
これにより、作業員は、対象物の周囲が特殊な地形などであり撮像現場において撮像位置を見つけることが困難な場合であっても、事前に撮像候補領域を知ることができる。よって、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法によれば、撮像現場において撮像位置を見つけることが困難な場合であっても、撮像現場における撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等に要する時間を短縮することができる。また、作業員は、対象物に対応した計測精度を有する撮像候補領域から撮像を行うことで、所望の計測精度を満たす変位の計測を行うことができる。
【0039】
また、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法は、対象物の物理量を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記対象物の前記物理量の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出ステップと、前記撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0040】
これにより、作業員は、対象物の周囲が特殊な地形などであり撮像現場において撮像位置を見つけることが困難な場合であっても、物理量を計測するための画像を撮像する前に撮像候補領域を知ることができる。よって、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力方法によれば、撮像現場において撮像位置を見つけることが困難な場合であっても、撮像現場における撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等に要する時間を短縮することができる。また、作業員は、対象物に対応した計測精度を有する撮像候補領域から撮像を行うことで、所望の計測精度を満たす物理量の計測を行うことができる。
【0041】
また、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力装置は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力装置であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する取得部と、前記対象物情報及び前記幾何学的な撮像条件に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出部と、前記撮像パラメータを出力する出力部とを備える。
【0042】
これにより、上記の撮像パラメータ出力方法と同様の効果を奏する。本開示の一態様に係る撮像パラメータ装置によれば、例えば、撮像現場における計測作業の時間を短縮しつつ、かつ、所望の計測精度の計測を行うことができる。
【0043】
また、本開示の一態様に係る撮像パラメータ出力装置は、対象物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力装置であって、前記対象物を特定するための対象物情報、及び、前記対象物を含む地理情報を取得する取得部と、前記対象物情報及び前記地理情報に基づいて、前記撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における前記変位の計測精度を含む前記撮像パラメータを算出する算出部と、前記撮像パラメータを出力する出力部とを備える。
【0044】
これにより、上記の撮像パラメータ出力方法と同様の効果を奏する。本開示の一態様に係る撮像パラメータ装置によれば、例えば、撮像現場において撮像位置を見つけることが困難な場合であっても、撮像現場における撮像位置とレンズの焦点距離との組み合わせ等に要する時間を短縮しつつ、かつ、所望の計測精度を満たす変位の計測を行うことができる。
【0045】
なお、これらの全般的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROM等の非一時的記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。プログラムは、記録媒体に予め記憶されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0046】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0047】
なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0048】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0049】
また、本明細書において、同一などの要素間の関係性を示す用語、および、数値は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
【0050】
また、以下の明細書において、画像は、静止画像であるが動画像であってもよい。
【0051】
(実施の形態1)
以下、本実施の形態に係る撮像パラメータの出力方法等について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0052】
[1-1.撮像パラメータ出力システムの構成]
まずは、本実施の形態に係る撮像パラメータ出力方法を実行する撮像パラメータ出力装置を備える撮像パラメータ出力システム1について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係る撮像パラメータ出力システム1の機能構成を示すブロック図である。なお、以下では、撮像パラメータ出力システム1は、2台の撮像装置で構造物Oの変位を計測する場合における、当該2台の撮像装置のそれぞれに関する撮像パラメータを出力する例について説明する。なお、本明細書における変位には、構造物Oの位置の変化量はもとより、構造物Oの変形及び振動も含まれる。
【0053】
図1に示すように、撮像パラメータ出力システム1は、変位を計測する対象を特定するための対象物情報と、幾何学的な撮像条件とに基づいて、撮像パラメータを出力する情報処理システムである。撮像パラメータ出力システム1は、例えば、構造物Oを撮像する前に撮像パラメータを出力する。撮像パラメータ出力システム1は、例えば、算出装置10と表示装置20とを備える。
【0054】
算出装置10は、対象物情報及び幾何学的な撮像条件に基づいて、構造物Oの変位を計測するための撮像装置の撮像候補領域及び当該撮像候補領域における変位の計測精度を含む撮像パラメータを算出する情報処理装置である。算出装置10は、取得部11と、算出部12と、出力部13とを有する。算出装置10は、撮像パラメータ出力装置の一例である。
【0055】
取得部11は、対象物情報及び幾何学的な撮像条件を取得する。取得部11は、無線通信又は有線通信を介して外部の装置と通信可能に接続される通信インターフェース(通信回路)であってもよい。この場合、算出装置10は、作業員等が外部の装置に入力した対象物情報及び幾何学的な撮像条件を通信により取得する。また、取得部11は、ハードウェアキー(ハードウェアボタン)、スライドスイッチ、タッチパネルなどのユーザインタフェースであってもよい。この場合、算出装置10は、対象物情報及び幾何学的な撮像条件を作業員からの直接の入力により取得する。なお、作業員は、ユーザの一例である。
【0056】
ここで、取得部11が取得する対象物情報について、
図2を参照しながら説明する。
図2は、本実施の形態に係る対象物情報の一例を示す図である。
【0057】
図2に示すように、対象物情報は、構造物Oにおける撮像範囲を示す情報であってもよい。つまり、対象物情報は、構造物Оの位置又は構造物Oにおいて変位を計測する計測範囲を示す情報であってもよい。対象物情報は、例えば、地図上において撮像範囲を示す矩形枠Fであってもよい。これにより、計測範囲の大きさ(例えば、構造物Oの大きさ)及び位置を取得することができる。
【0058】
なお、対象物情報は、構造物Oを特定することができる情報であれば、上記以外の情報であってもよい。対象物情報は、例えば、構造物Oの緯度、経度、高さ(例えば、海抜)などであってもよい。また、構造物Oの全体が変位の計測範囲である場合、対象物情報は、構造物Oの名称などであってもよい。
【0059】
また、幾何学的な撮像条件は、構造物Oを撮像したときに撮像装置(例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40)の撮像素子上に形成される当該構造物Oの像の態様を決定するための条件である。幾何学的な撮像条件は、撮像素子上に構造物Oのどのような像が形成されるかを決定するための条件であるとも言える。幾何学的な撮像条件は、例えば、撮像装置に形成される構造物Oの像の大きさ、ボケ具合などを決定するための条件である。幾何学的な撮像条件は、計測範囲の大きさ(例えば、画角)、光学系の焦点距離、絞り(例えば、F値)、センサスペック、望ましい輻輳角、最大基線長などの少なくとも1つを含む。このように、幾何学的な撮像条件は、いわゆるカメラパラメータに関する条件を含んでいてもよい。
【0060】
計測範囲の大きさは、例えば計測範囲の幅などを含み、矩形枠Fに基づいて決定されてもよい。画角は、各カメラが撮影可能な角度(例えば、
図4のθ21、θ22)である。光学系の焦点距離は、例えば、撮像装置に取り付け可能なレンズの焦点距離である。絞りは、例えば、F値であり、所望の被写界深度が得られるように設定される。センサスペックは、解像度(画素数)、画素サイズ及びセンササイズの少なくとも2つを含む。輻輳角は、2つの撮像装置により形成される角度であり、例えば、後述する
図4に示す輻輳角θ11~θ13である。望ましい輻輳角は、計測精度を高くできる条件であり、所定の角度(例えば、90°)であってもよいし、角度範囲(例えば、80°~90°)であってもよい。また、望ましい輻輳角は、構造物Oの所定位置(例えば、構造物Oの中央)における角度であってもよい。基線長は、2つの撮像装置を結ぶ直線(基線)の長さであり、例えば、後述する
図4に示す基線長Lである。最大基線長は、例えば、2つの撮像装置を接続するケーブルの長さであってもよい。つまり、基線長は、2つの撮像装置間の最大離間距離であり、例えば、100m以下などであってもよい。また、当該ケーブルは、2つの撮像装置の撮像タイミングを同期させるための信号を伝送するためのケーブルであってもよい。なお、変位の計測に用いられる撮像装置が1台である場合、望ましい輻輳角及び最大基線長は、幾何学的な撮像条件に含まれていなくてもよい。また、2つの撮像装置における撮像タイミングの同期が上記ケーブルを用いずに行われる場合、最大基線長は、幾何学的な撮像条件に含まれていなくてもよい。
【0061】
図1を再び参照して、算出部12は、対象物情報及び幾何学的な撮像条件に基づいて、構造物Oの変位を計測するための撮像装置の撮像パラメータを算出する。撮像パラメータは、撮像装置の撮像候補領域及び当該撮像候補領域における変位の計測精度を含む。撮像候補領域は、構造物Oを撮像するときに撮像装置を設置する候補となる領域であり、撮像装置を設置する範囲であってもよいし、ピンポイントの位置(後述する撮像候補位置)であってもよい。また、撮像パラメータは、撮像装置の設置向き、レンズの焦点距離(レンズの種類)、絞り、カメラの種類(例えば、画素数、センササイズ、画素サイズなどのセンサスペック)などを含んでいてもよい。また、撮像パラメータは、撮像装置の撮像候補領域及び当該撮像候補領域における変位の計測精度を示す画像を含んでいてもよい。つまり、算出部12は、撮像装置の撮像候補領域及び当該撮像候補領域における変位の計測精度を示す画像を生成してもよい。なお、撮像候補領域における変位の計測精度とは、撮像候補領域から構造物Oを撮像した画像に基づいて変位を計測した場合の計測精度を示す。
【0062】
出力部13は、算出部12が算出した撮像パラメータを表示装置20に出力する。出力部13による撮像パラメータ出力方法は、特に限定されない。出力部13は、表示装置20に無線通信又は有線通信によって撮像パラメータを出力してもよいし、着脱可能なメモリ(例えばUSBメモリ)を介して表示装置20に撮像パラメータを出力してもよい。出力部13は、例えば、無線通信又は有線通信を介して表示装置20と通信可能に接続される通信インターフェースである。
【0063】
表示装置20は、算出装置10から撮像パラメータを取得し、取得した撮像パラメータを画像として出力する装置である。画像は、写真、イラスト又は文字等を含む。表示装置20は、液晶ディスプレイ等である。表示装置20が出力した画像は作業員によって視認され、作業員が構造物Oを撮像する候補となる位置である撮像候補位置の検討に用いられる。
【0064】
表示装置20は、据え置き型の装置であってもよいし、作業員が所持する携帯端末が有する装置であってもよい。携帯端末は、表示装置20を有し、かつ、算出装置10と通信可能であれば特に限定されず、例えば、スマートフォン、タブレットなどであってもよい。携帯端末が表示装置20を有する場合、作業員は、構造物Oの周辺において、携帯端末の表示装置20を確認することで、撮像パラメータを確認することができる。また、作業員は、構造物Oの周辺にいる状態で撮像パラメータが更新された場合、更新された撮像パラメータを携帯端末で確認することができる。
【0065】
なお、表示装置20は、提示装置の一例である。撮像パラメータ出力システム1は、表示装置20とともに、又は、表示装置20に替えて、音を出力する装置を提示装置として備えていてもよい。また、撮像パラメータ出力システム1は、プロジェクタなどの対象物(例えば、スクリーン)に提示情報を表示する装置を提示装置として備えていてもよい。また、算出装置10が遠隔地に配置されている場合、算出装置10と表示装置20とは、ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0066】
[1-2.撮像パラメータ出力システムの動作]
次に、撮像パラメータ出力システム1の動作について、
図3~
図5を参照しながら説明する。具体的には、算出装置10における動作について説明する。
図3は、本実施の形態に係る算出装置10の動作を示すフローチャートである。算出装置10は、例えば、作業員が構造物Oの撮像に向かう前に、つまり事前に
図3に示す動作を実行してもよい。
【0067】
図3に示すように、取得部11は、対象物情報を取得する(S11)。取得部11は、例えば、
図2に示すような地図上に示された矩形枠Fを構造物Oに対応する対象物情報として取得する。
【0068】
また、取得部11は、幾何学的な撮像条件を取得する(S12)。取得部11は、ステップS12において、外部の装置から幾何学的な撮像条件を通信により取得してもよいし、算出装置10の記憶部(図示しない)に記憶されている複数の幾何学的な撮像条件から構造物Oの撮像に用いる幾何学的な撮像条件の選択を受け付けてもよい。
【0069】
なお、ステップS11及びS12は、第1取得ステップの一例である。
【0070】
なお、対象物情報及び幾何学的な撮像条件を取得するタイミングは特に限定されず、同時に取得されてもよいし、互いに異なるタイミングで取得されてもよい。
【0071】
取得部11は、取得した対象物情報及び幾何学的な撮像条件を算出部12に出力する。
【0072】
算出部12は、取得部11から取得した対象物情報及び幾何学的な撮像条件に基づいて、構造物Oの撮像時の撮像パラメータを算出する(S13)。すなわち、算出部12は、取得部11から取得した対象物情報及び幾何学的な撮像条件に基づいて、構造物Oを撮像するときの第1撮像装置30及び第2撮像装置40に関する撮像パラメータを算出する。撮像パラメータは、第1撮像装置30及び第2撮像装置40を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における変位の計測精度を示す情報を含む。ステップS13は、算出ステップの一例である。
【0073】
ここで、算出部12による撮像パラメータの算出について、
図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施の形態に係る撮像パラメータの算出例を示す図である。なお、
図4は、構造物Oを上方から見たときの様子を示す。
図4に示すように、ステップS12において、構造物Oの幅が100mであり、最大基線長が100mであり、望ましい輻輳角θ11が90°であり、撮像装置の光学系の焦点距離が14mm、24mm、50mmであり、解像度が4Kであり、画素サイズが5.5μmであることを含む幾何学的な撮像条件を取得したとする。また、輻輳角θ11は、例えば、構造物Oの中央の位置における角度であるとする。
【0074】
また、
図4の例では、光学系の焦点距離が14mmであり、このときの画角は78°となる。また、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の構成は、同一であるとするが、これに限定されない。また、第1撮像装置30及び第2撮像装置40は、例えば、1/50画素の検出精度を有するとする。検出精度は、第1撮像装置30及び第2撮像装置40のそれぞれで、予め決まっている。
【0075】
図4に示すように、算出部12は、幾何学的な撮像条件に基づいて、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の設置位置を設定する。算出部12は、例えば、構造物Oの中央の位置p1における輻輳角θ11が90°であり、第1撮像装置30の画角θ21及び第2撮像装置40の画角θ22のそれぞれが78°であり、基線長Lが100m以下のときに、構造物Oの撮像範囲を撮像できるように、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の設置位置を設定する。なお、
図4の例では、基線長Lは、82mである。
【0076】
そして、算出部12は、上記で設定された設置位置において撮像された画像に基づいて、変位を計測した場合の当該変位の計測精度を算出する。算出部12は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40のそれぞれで撮像された画像を合成した合成画像における変位の計測精度を算出する。算出部12は、例えば、検出精度及び構造物Oまでの距離から合成画像における変位の計測誤差を算出する。
図4では、誤差楕円をp1a~p3aで示す。誤差楕円の値は、1/50画素を計測対象上で実寸に換算した値である。ここでの誤差は、実寸値であり、構造物Oの中央の位置p1での変位の計測誤差は、例えば、誤差楕円p1aから、
図4の紙面上の上下方向及び左右方向ともに0.45mmである。このように、輻輳角θ11が90°である位置では、奥行き方向と左右方向との誤差のバランスがよい。
【0077】
上記の対象物情報及び幾何学的な撮影条件に対して、撮像パラメータ(撮影位置・向き・焦点距離(レンズの種類)の組み合わせ)を仮設定すると、位置p1における輻輳角、基線長、及び、計測精度は、幾何学的に計算することができる。また、上記の仮設定をすると、撮影範囲に対象物が含まれるか否かを判断することができる。得られた計算結果(例えば、輻輳角、基線長、撮影範囲、計測精度など)に基づいて、仮設定した撮像パラメータの適正を評価できる。このような評価値が、最適または準最適な値になるような撮像パラメータをシステムの出力とする。最適または準最適なパラメータは、パラメータ全探索、非線形最適化手法などを用いて決定することができる。
【0078】
なお、
図4の紙面上における上下方向は、撮像装置側から見たときの構造物Oの奥行き方向を示す。また、
図4の紙面上における左右方向は、構造物Oが延在する方向と平行な方向(例えば、水平方向)である。
【0079】
また、算出部12は、構造物Oの一方側の端の位置p2及び他方側の端の位置p3のそれぞれにおける、変位の計測誤差を算出する。構造物Oの端の位置p2及びp3での変位の計測誤差は、例えば、誤差楕円p2a及びp3aから、奥行き方向が1.0mmであり、左右方向が0.3mmである。位置p2及びp3においては、第1撮像装置30及び第2撮像装置40からの距離が異なるため、計測誤差は
図4に示すような誤差楕円となる。なお、
図4の例では、位置p2における輻輳角θ12及び位置p3における輻輳角θ13のそれぞれは、例えば、53°となる。
【0080】
算出部12は、幾何学的な撮像条件に基づいて第1撮像装置30及び第2撮像装置40の位置を変更していき、位置ごとに変位の計測誤差を算出する。本実施の形態では、光学系の焦点距離が14mm、24mm、50mmであるので、算出部12は、光学系の焦点距離ごとに変位の計測誤差を算出してもよい。算出部12は、例えば、レンズごとに変位の計測誤差を算出する。
【0081】
これにより、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の設置位置ごとの計測誤差を取得することができる。
【0082】
なお、第1撮像装置30における絞りは、例えば、第1撮像装置30から位置p2までの距離を第1距離、第1撮像装置30から位置p3までの距離を第2距離とすると、第1距離から第2距離までの範囲において、撮像画像のピントが合うように設定されるとよい。また、第2撮像装置40における絞りは、例えば、第2撮像装置40から位置p2までの距離を第3距離、第2撮像装置40から位置p3までの距離を第4距離とすると、第3距離から第4距離までの範囲において、撮像画像のピントが合うように設定されるとよい。
【0083】
図3を再び参照して、出力部13は、ステップS13で算出された撮像パラメータを出力する(S14)。本実施の形態では、出力部13は、外部の表示装置20に撮像パラメータを出力する。そして、表示装置20は、出力部13から取得した撮像パラメータを表示する。ステップS14は、出力ステップの一例である。
【0084】
ここで、表示装置20により表示される撮像パラメータ50について、
図5を参照しながら説明する。つまり、算出装置10から出力される撮像パラメータ50について、
図5を参照しながら説明する。
図5は、本実施の形態に係る撮像パラメータ50の一例を示す図である。具体的には、表示装置20が表示する撮像パラメータ50を示す図である。
【0085】
図5に示すように、撮像パラメータ50は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の幾何学的な条件を示す「カメラ条件」と、撮像候補領域及び変位の計測精度を示す画像P1とを含む。カメラ条件は、撮像候補領域及び変位の計測精度を算出するために用いられた幾何学的な撮像条件を示す。カメラ条件には、例えば、ステップS12で取得された幾何学的な撮像条件の少なくとも一部が含まれる。カメラ条件には、使用するカメラを特定するための情報(例えば、カメラの型番など)が含まれていてもよい。
【0086】
画像P1は、例えば、構造物Oを含む地図上に撮像候補領域a1~a3及び当該撮像候補領域a1~a3のそれぞれにおける変位の計測精度を重畳した画像である。
図5でハッチングされている領域は、撮像候補領域a1、撮像候補領域a2、又は、撮像候補領域a3のいずれかを示す。紙面において下側に位置する撮像候補領域a1~a3は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の一方を設置する領域であり、かつ、紙面において上側に位置する撮像候補領域a1~a3は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の他方を設置する領域である。
【0087】
撮像候補領域a1~a3は、例えば、変位の計測精度が互いに異なる領域である。撮像候補領域a1は、変位の計測誤差が1.0mm以下の領域である。つまり、撮像候補領域a1内で構造物Oを撮像することで得られる画像に基づいて当該構造物Oの変位を計測したときの誤差は、1.0mm以下である。
【0088】
また、撮像候補領域a2は、変位の計測誤差が1.0mmより大きく2.0mm以下の領域である。つまり、撮像候補領域a2内で構造物Oを撮像することで得られる画像に基づいて、当該構造物Oの変位を計測したときの誤差は、1.0mmより大きく、かつ、2.0mm以下である。また、撮像候補領域a3は、例えば、変位の計測誤差が2.0mmより大きく3.0mm以下の領域である。つまり、撮像候補領域a3内で構造物Oを撮像することで得られる画像に基づいて当該構造物Oの変位を計測したときの誤差は、2.0mmより大きく、かつ、3.0mm以下である。なお、撮像候補領域a1~a3の変位の計測精度は、少なくとも一部が重複していてもよい。
【0089】
このように、画像P1は、計測誤差の分布を示すとも言える。
【0090】
ここでの誤差は、例えば、算出部12で算出された2個以上の誤差に基づいて算出される値(代表誤差)である。
図4の例であれば、代表誤差は、位置p1~p3における誤差である6個の誤差に基づいて算出される。代表誤差は、代表誤差の算出方法は特に限定されないが、2個以上の誤差の最大値、最小値、平均値、中央値、最頻値等であってもよいし、重み付け平均などの所定の演算が行われた値であってもよい。
【0091】
なお、画像P1の撮像候補領域a1~a3は、同じ変位の計測誤差(例えば1.0mm以下)の領域で、光学系(例えば、レンズ)ごとの撮像可能領域であってもよい。例えば、撮像候補領域a1は、光学系の焦点距離が14mmのときの撮像可能領域であり、撮像候補領域a2は、光学系の焦点距離が24mmのときの撮像可能領域であり、撮像候補領域a3は、光学系の焦点距離が50mmのときの撮像可能であってもよい。撮像可能とは、例えば、変位の計測誤差が所定値以下(例えば、3.0mm以下)となる領域である。
【0092】
作業員は、表示装置20に表示された撮像パラメータ50を確認することで、所望の計測精度で変位を得ることができる画像を撮像できる範囲等を知ることができる。作業員は、構造物Oにおいて許容される計測誤差を満たす範囲等を知ることができる。
【0093】
なお、撮像パラメータ50は、画像P1に示すように、範囲を示すことに限定されない。画像P1に含まれる撮像候補領域は、ピンポイントの位置であってもよい。例えば、変位の計測誤差が最小となる位置と当該位置における計測誤差を示す情報(例えば、計測誤差の値)とが、撮像候補領域として画像P1に示されてもよい。
【0094】
このように、撮像パラメータ50には、変位の計測精度を可視化した情報、例えば、作業員が撮像候補位置を選ぶことを容易にするための情報が含まれる。撮像パラメータ50には、例えば、画像P1が含まれる。これにより、作業員は、算出装置10の算出結果を容易に視認することができる。作業員は、例えば、構造物Oを撮像するための撮像装置の撮像候補位置の決定を容易に行うことができる。
【0095】
(実施の形態1の変形例1)
以下、本変形例に係る撮像パラメータ出力方法等について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。本変形例に係る撮像パラメータ出力システムの構成は、実施の形態1に係る撮像パラメータ出力システム1と同様であり、説明を省略する。
【0096】
図6は、本変形例に係る算出装置10の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS11、S12及びS14は、実施の形態1の
図3に示すステップと同様であり、説明を省略する。
【0097】
図6に示すように、本変形例に係る算出装置10の取得部11は、実施の形態1に加えて作業者の所望の計測精度を取得する(S21)。取得部11は、例えば、外部の装置から計測精度を取得してもよいし、算出装置10の記憶部(図示しない)が構造物Oに対応する計測精度を記憶している場合、ステップS11で取得した対象物情報で特定される構造物Oの計測精度を記憶部から読み出すことで、当該計測精度を取得してもよい。本変形例では、計測精度として、所望の計測誤差が1.0mm以下であることを取得したとする。取得部11は、取得した計測精度を算出部12に出力する。ステップS21は、第3取得ステップの一例である。
【0098】
次に、算出部12は、対象物情報と幾何学的な撮像条件とに基づく領域のうち、所望の計測精度を満たす領域を示す情報を含む撮像パラメータを算出する(S22)。算出部12は、例えば、
図5に示す画像P1に示すように、計測誤差ごとの領域を算出する。算出部12は、例えば、計測誤差が1.0mm以下の領域、計測誤差が1.0mmより大きく2.0mm以下の領域、及び、計測誤差が2.0mmより大きく3.0mm以下の領域を算出したとする。そして、算出部12は、算出した2個以上の領域から、ステップS21で取得した所望の計測精度を満たす範囲を撮像候補領域として決定する。算出部12は、例えば、上記3つの領域のうち、計測誤差が1.0mm以下の領域のみを撮像候補領域として決定する。
【0099】
ここで、表示装置20により表示される撮像パラメータ51について、
図7を参照しながら説明する。つまり、算出装置10から出力される撮像パラメータ51について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、本変形例に係る撮像パラメータ51の一例を示す図である。具体的には、表示装置20が表示する撮像パラメータ51を示す図である。
【0100】
図7に示すように、撮像パラメータ51は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の幾何学的な条件を示す「カメラ条件」と、「計測精度」と、撮像候補領域a4を示す画像P2とを含む。計測精度は、ステップS21で取得された計測精度である。
【0101】
画像P2は、ステップS21で取得された所望の計測精度(例えば、1.0mm以下)を満たす撮像候補領域a4を示す。
【0102】
このように、画像P2が表示されることで、所望の計測精度を満たす範囲を可視化することができるので、作業員は算出装置10の算出結果を容易に視認することができる。例えば、作業員は、構造物Oを撮像するための撮像装置の撮像候補位置の決定をさらに容易に行うことができる。
【0103】
なお、算出部12は、ステップS21で取得された所望の計測精度に計測誤差が1.0mm以下であることを含む場合、計測誤差が1.0mmより大きく2.0mm以下の領域、及び、計測誤差が2.0mより大きく3.0mm以下の領域などを算出しなくてもよい。
【0104】
なお、算出部12は、計測誤差が1.0mm以下の領域、計測誤差が1.0mmより大きく2.0mm以下の領域、及び、計測誤差が2.0mmより大きく3.0mm以下の領域を算出し、かつ、3つの領域のいずれもがステップS21で取得された所望の計測精度を満たさない場合、算出した中で最も計測誤差が小さい領域と当該領域における計測誤差の値とを出力してもよいし、計測精度を満たす領域がないことを示す情報を出力してもよい。
【0105】
(実施の形態1の変形例2)
以下、本変形例に係る撮像パラメータ出力方法等について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。本変形例に係る撮像パラメータ出力システムの構成は、実施の形態1に係る撮像パラメータ出力システム1と同様であり、説明を省略する。
【0106】
図8は、本変形例に係る算出装置10の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS11~S13は、実施の形態1の
図3に示すステップと同様であり、説明を省略する。
【0107】
図8に示すように、本変形例に係る算出装置10の取得部11は、実施の形態1に加えて環境情報を取得する(S31)。環境情報は、撮像装置を設置して構造物Oを撮像するときの周囲の環境を示す情報であり、例えば、天候、日当たり、太陽の向きなどを含む。取得部11は、例えば、天候を示す情報として、「晴れ」を取得したとする。取得部11は、取得した環境情報を算出部12に出力する。ステップS31は、第4取得ステップの一例である。
【0108】
次に、算出部12は、取得した環境情報に基づいて、候補日程を算出する(S32)。算出部12は、ステップS11で取得された対象物情報に基づいて、当該対象物の位置を特定する。そして、算出部12は、特定された位置を含む地域の天候情報を取得する。算出部12は、構造物Oを撮像するための期間が2019年8月である場合、2019年8月の当該地域における天候情報を取得する。算出部12は、天候情報から降水確率が所定値以下であると予測される日付を候補日として決定する。ステップS31で「晴れ」を示す環境情報を取得している場合、所定値は、例えば、50%であってもよいし、20%であってもよい。また、算出部12は、撮像候補領域、構造物O、及び、太陽の位置などから、撮像候補領域内で撮像したときに、逆光となる時間帯、及び、順光となる時間帯を算出してもよい。候補日程は、撮像パラメータに含まれる。
【0109】
次に、出力部13は、撮像パラメータを出力する(S33)。具体的には、出力部13は、候補日程を含む撮像パラメータを出力する。
【0110】
ここで、表示装置20により表示される撮像パラメータ52について、
図9を参照しながら説明する。つまり、算出装置10から出力される撮像パラメータ52について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、本変形例に係る撮像パラメータ52の一例を示す図である。具体的には、表示装置20が表示する撮像パラメータ52を示す図である。
【0111】
図9に示すように、撮像パラメータ52は、実施の形態1の撮像パラメータ50に加えて「候補日程」を含む。候補日程は、例えば、2019年8月において、降水確率が50%以下と予測される日付と、逆光及び順光の時間帯とを含む。
【0112】
これにより、作業員は、撮像パラメータ52により撮像を行う日程を容易に決定することができる。
【0113】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る撮像パラメータ出力方法等は、構造物Oの周囲の地理情報も考慮して、撮像パラメータを算出する。以下、本実施の形態に係る撮像パラメータの出力方法等について、
図10~
図12を参照しながら説明する。
【0114】
なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。本実施の形態に係る撮像パラメータ出力システムの構成は、実施の形態1に係る撮像パラメータ出力システム1と同様であり、説明を省略する。
【0115】
[2-1.撮像パラメータ出力システムの動作]
図10は、本実施の形態に係る算出装置10の動作を示すフローチャートである。なお、ステップS11、S12及びS14は、実施の形態1の
図3に示すステップと同様であり、説明を省略する。
【0116】
図10に示すように、算出部12は、対象物情報と幾何学的な撮像条件とに基づいて、撮像候補領域となり得る対象領域を算出する(S41)。ステップS41における処理は、実施の形態1の
図3に示すステップS13と同様である。つまり、ステップS41において、例えば、
図5に示す画像P1の撮像候補領域a1~a3に対応する領域が算出される。
【0117】
次に、取得部11は、実施の形態1に加えて地理情報を取得する(S42)。取得部11は、例えば、ステップS11で取得した対象物情報から特定される構造物Oを含む地理情報を外部の装置から通信により取得してもよいし、算出装置10の記憶部(図示しない)が地理情報を記憶している場合には、当該記憶部から地理情報を読み出してもよい。取得部11は、例えば、地理情報システム(GIS:Geographic Information System)から地理情報を取得してもよい。なお、取得部11は、少なくとも画像P1の撮像候補領域a1~a3における地理情報を取得すればよい。取得部11は、地理情報を算出部12に出力する。ステップS42は、第2取得ステップの一例である。
【0118】
算出部12は、地理情報に基づいて、撮像不能領域を算出する(S43)。撮像不能領域は、現実的に撮像装置が撮像できない又は撮像することが困難な領域であり、例えば、地形に基づく領域、及び、撮像装置の設置が制限される領域の少なくとも1つを含む。地形に基づく領域は、例えば、川、山林、急斜面などの撮像装置の設置が困難な領域を含む。設置が制限される領域は、私有地、立ち入りが禁止されている領域などを含む。
図11は、本実施の形態に係る撮像不能領域x1、x2の一例を示す図である。
【0119】
図11に示すように、構造物Oの周囲には、撮像不能領域x1及びx2が存在する。撮像不能領域x1は、川を示す領域である。撮像不能領域x2は、山林を示す領域である。このように、算出部12は、地理情報に基づいて、撮像不能領域x1及びx2を特定する。
【0120】
図10を再び参照して、次に、算出部12は、対象領域と撮像不能領域とに基づく撮像候補領域を含む撮像パラメータを算出する(S44)。具体的には、算出部12は、対象領域から撮像不能領域を除いた領域を撮像候補領域とし、当該撮像候補領域を含む撮像パラメータを算出する。ステップS44で算出される撮像候補領域は、現実的に撮像可能な領域を示す。
【0121】
ここで、算出装置10から出力され、表示装置20により表示される撮像パラメータ53について、
図12を参照しながら説明する。
図12は、本実施の形態に係る撮像パラメータ53の一例を示す図である。具体的には、表示装置20が表示する撮像パラメータ53を示す図である。
【0122】
図12に示すように、撮像パラメータ53は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の幾何学的な条件を示す「カメラ条件」と、撮像不能領域を除く対象領域である撮像候補領域を示す画像P3とを含む。撮像候補領域b11は、対象領域b1(例えば、
図3に示す撮像候補領域a1に対応する領域)のうち、撮像不能領域b12を除く領域である。また、撮像候補領域b11は、例えば、変位の計測誤差が1.0mm以下の領域である。このように、撮像候補領域b11は、変位の計測誤差が1.0mm以下となる領域であり、かつ、現実的に撮像可能な領域を示す。なお、撮像不能領域b12は、撮像不能領域x1、x2のうち、対象領域b1と重なる領域である。
【0123】
また、撮像候補領域b21は、対象領域b2(例えば、
図3に示す撮像候補領域a2に対応する領域)のうち、撮像不能領域b22を除く領域である。また、撮像候補領域b21は、例えば、変位の計測誤差が1.0mmより大きく2.0mm以下の領域である。このように、撮像候補領域b21は、変位の計測誤差が1.0mmより大きく2.0mm以下となる領域であり、かつ、現実的に撮像可能な領域を示す。なお、撮像不能領域b22は、撮像不能領域x1、x2のうち、対象領域b2と重なる領域である。
【0124】
また、撮像候補領域b31は、対象領域b3(例えば、
図3に示す撮像候補領域a3に対応する領域)のうち、撮像不能領域b32を除く領域である。また、撮像候補領域b31は、例えば、変位の計測誤差が2.0mmより大きく3.0mm以下の領域である。このように、撮像候補領域b31は、変位の計測誤差が2.0mmより大きく3.0mm以下となる領域であり、かつ、現実的に撮像可能な領域を示す。なお、撮像不能領域b32は、撮像不能領域x1、x2のうち、対象領域b3と重なる領域である。
【0125】
このように、算出装置10は、画像P3が表示されることで、撮像不能領域x1、x2を除いた領域、つまり現実的に撮像可能な領域を可視化することができる。よって、作業員は、構造物Oを撮像するための撮像装置の撮像候補位置の決定をさらに適切に行うことができる。
【0126】
なお、上記では、算出部12は、幾何学的な撮像条件と地理情報とに基づいて、撮像パラメータを算出する例について説明したが、これに限定されない。算出部12は、例えば、幾何学的な撮像条件及び地理情報のうち、地理情報のみを用いて撮像パラメータを算出してもよい。この場合、取得部11は、幾何学的な撮像条件及び地理情報のうち、地理情報のみを取得すればよい。つまり、
図10に示すフローチャートにおいて、ステップS12及びS41の処理は、行われなくてもよい。これにより、算出部12は、構造物Oの周囲の地形などが特殊であり、撮像不能領域が多く存在する場合に、地理情報に基づいて撮像候補領域を含む撮像パラメータを算出することができる。なお、
図10に示すフローチャートにおいて、ステップS12及びS41の処理が行われない場合、ステップS42は第1取得ステップの一例である。
【0127】
地理情報には、例えば、撮像候補領域における過去に計測したときの計測精度を示す情報が含まれていてもよい。これにより、撮像候補領域における計測精度を取得することができるので、算出部12は、撮像候補領域及び当該撮像候補領域における変位の計測精度を含む撮像パラメータを算出することができる。
【0128】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る撮像パラメータの算出方法等は、撮像装置の撮像候補位置から構造物Oを見たときの景色も考慮して、撮像パラメータを算出する。以下、本実施の形態に係る撮像パラメータの出力方法等について、
図13~
図16を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0129】
[3-1.撮像パラメータ出力システムの構成]
図13は、実施の形態3に係る撮像パラメータ出力システム1aの機能構成を示すブロック図である。
【0130】
図13に示すように、本実施の形態に係る撮像パラメータ出力システム1aは、実施の形態1の撮像パラメータ出力システム1の算出装置10に替えて算出装置10aを備える。算出装置10aは、実施の形態1の算出装置10に加えて受付部14を有する。
【0131】
取得部11は、対象物情報、及び、幾何学的な撮像条件に加えて、3次元地図情報を取得する。3次元地図情報は、構造物O及び当該構造物Oの周囲を含む地図情報である。なお、3次元地図情報は、取得部11が取得する地理情報に含まれていてもよい。
【0132】
受付部14は、作業員から撮像候補領域に関する操作を受け付けるユーザインタフェースである。受付部14は、例えば、撮像候補領域から撮像を行う撮像候補位置を選ぶ操作、及び、当該撮像候補位置を変更する操作を作業員から受け付ける。受付部14は、ハードウェアキー(ハードウェアボタン)、スライドスイッチ、タッチパネルなどにより実現される。
【0133】
[3-2.撮像パラメータ出力システムの動作]
次に、撮像パラメータ出力システム1aの動作について、
図14~
図16を参照しながら説明する。具体的には、算出装置10aにおける動作について説明する。
図14は、本実施の形態に係る算出装置10aの動作を示すフローチャートである。なお、
図14に示す動作は、
図3に示すステップS11~S14の動作で表示装置20が
図5に示す撮像パラメータ50を表示した後に実行される動作である。
【0134】
図14に示すように、算出部12は、受付部14を介して作業員から撮像候補位置を受け付けたか否かを判定する(S51)。撮像候補位置は、例えば、
図5に示される撮像候補領域a1~a3の中から、作業員が構造物Oを撮像する位置として設定した位置である。
【0135】
算出部12は、作業員から撮像候補位置を受け付けると(S51でYes)、取得部11を介して3次元地図情報を取得する(S52)。取得部11が取得する3次元地図情報は、例えば、構造物O及び撮像候補領域a1~a3を含む地図情報である。取得部11は、取得した3次元地図情報を算出部12に出力する。
【0136】
算出部12は、3次元地図情報に基づいて、撮像候補位置から構造物Oを見たときの第1確認画像を取得する(S53)。そして、算出部12は、第1確認画像を含む撮像パラメータを算出する。出力部13は、第1確認画像を含む撮像パラメータを表示装置20に出力する(S54)。そして、表示装置20は、出力部13から取得した第1確認画像を含む撮像パラメータを表示する。
【0137】
ここで、表示装置20により表示される撮像パラメータ54について、
図15を参照しながら説明する。つまり、算出装置10aから出力される撮像パラメータ54について、
図15を参照しながら説明する。
図15は、本実施の形態に係る撮像パラメータ54の一例を示す図である。具体的には、表示装置20が表示する撮像パラメータ54を示す図である。
【0138】
図15に示すように、撮像パラメータ54は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の「撮像位置」と、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の幾何学的な条件を示す「カメラ条件」と、第1確認画像P41及びP42を含む画像P4とを含む。
【0139】
撮像位置は、ステップS51で受け付けた撮像候補位置を示す情報である。撮像位置は、例えば、緯度及び経度を示す情報を含んでいてもよい。また、撮像位置は、さらに高さを示す情報を含んでいてもよい。
【0140】
第1確認画像P41は、第1撮像装置30の撮像候補位置から構造物Oを見たときの画像であり、例えば、3次元地図情報に基づく画像である。
図15の例では、第1確認画像P41には、木Tが写っている。つまり、第1撮像装置30と構造物Oとの間に遮蔽物が存在する。この場合、第1撮像装置30の撮像候補位置を変更する必要があるが、第1確認画像P41を表示することで、算出装置10は、第1撮像装置30の撮像候補位置の変更の必要性を作業員に知らせることができる。このように、算出装置10は、2次元地図上(例えば、上方から見た地図上)であれば撮像可能であるが、現実には遮蔽物などにより撮像できないことを、第1確認画像を表示することで、作業員に知らせることができる。
【0141】
第1確認画像P42は、第2撮像装置40の撮像候補位置から構造物Oを見たときの画像であり、例えば、3次元地図情報に基づく画像である。
図15の例では、第1確認画像P42には、構造物Oが写っている。つまり、第2撮像装置40と構造物Oとの間に遮蔽物が存在しない。この場合、撮像候補位置を変更する必要はないが、第1確認画像P42を表示することで、算出装置10は、第2撮像装置40の撮像候補位置の変更の必要性がないことを作業員に知らせることができる。
【0142】
なお、第1確認画像P41及びP42は、撮像候補位置から構造物Oを見たときの景色を示す情報の一例である。また、第1確認画像P41は、例えば、第1撮像装置30の画角及び設置向きに対応した範囲の画像であり、第1確認画像P42は、例えば、第2撮像装置40の画角及び設置向きに対応した範囲の画像である。
【0143】
図14を再び参照して、次に、算出部12は、受付部14を介して撮像候補位置を変更する操作を受け付けたか否かを判定する(S55)。撮像候補位置の変更は、例えば、第1確認画像P41をタッチすることで行われてもよいし、撮像候補位置の変更ボタンなどで受け付けることで行われてもよい。ステップS55は、受付ステップの一例である。
【0144】
算出部12は、撮像候補位置を変更する操作を受け付けると(S55でYes)、ステップS51で受け付けた撮像候補位置の付近の3次元地図情報に基づいて、撮像候補位置を構造物Oが遮蔽物で遮蔽されていない位置に変更する(S56)。そして、変更された撮像候補位置から構造物Oを見たときの第2確認画像を取得する(S57)。そして、算出部12は、第2確認画像を含む撮像パラメータを算出する。出力部13は、第2確認画像を含む撮像パラメータを表示装置20に出力する(S58)。そして、表示装置20は、出力部13から取得した第2確認画像を含む撮像パラメータを表示する。ステップS57は、更新ステップの一例である。
【0145】
ここで、表示装置20により表示される、更新された撮像パラメータ55について、
図16を参照しながら説明する。つまり、算出装置10aから出力される、更新された撮像パラメータ55について、
図16を参照しながら説明する。
図16は、本実施の形態に係る確認画像が更新された撮像パラメータ55の一例を示す図である。
【0146】
図16に示すように、撮像パラメータ55は、例えば、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の「撮像位置」と、第1撮像装置30及び第2撮像装置40の幾何学的な条件を示す「カメラ条件」と、第2確認画像P51及びP52を含む画像P5とを含む。
【0147】
撮像位置は、ステップS57で変更された撮像候補位置を示す情報である。
図16では、第1撮像装置30及び第2撮像装置40のうち、第1撮像装置30の撮像候補位置のみが変更された例を示している。
【0148】
第2確認画像P51は、第1撮像装置30の変更後の撮像候補位置から構造物Oを見たときの画像であり、例えば、3次元地図情報に基づく画像である。
図16の例では、第2確認画像P51には、構造物Oが写っている。つまり、第1撮像装置30と構造物Oとの間に遮蔽物が存在しない。算出装置10aは、撮像候補位置の変更に応じた第1撮像装置30における確認画像を表示する、つまり第1確認画像P41を第2確認画像P51に更新することで、変更後の撮像候補位置から構造物Oが撮像できることを作業員に知らせることができる。
【0149】
第2確認画像P52は、第1確認画像P42と同じ画像である。なお、算出部12は、第1撮像装置30の撮像候補位置の変更に応じて、第2撮像装置40の撮像候補位置を変更してもよい。算出部12は、例えば、変更後の第1撮像装置30の撮像候補位置において、第1撮像装置30と第2撮像装置40との輻輳角θ11及び基線長Lの少なくとも一方がステップS12で取得した幾何学的な撮像条件を満たさなくなった場合、当該幾何学的な撮像条件を満たすように第2撮像装置40の撮像候補位置を変更してもよい。そして、算出部12は、第2撮像装置40の変更後の撮像候補位置から構造物Oを見たときの画像を第2確認画像P52として撮像パラメータを算出してもよい。
【0150】
図14を再び参照して、算出装置10aは、受付部14が撮像候補位置を受け付けていない場合(S51でNo)、及び、受付部14が撮像候補位置を変更する操作を受け付けていない場合(S55でNo)、処理を終了する。
【0151】
なお、上記では、ステップS51において撮像候補位置の入力を受け付けると、第1確認画像を表示するための処理が実行される例について説明したが、これに限定されない。算出部12は、例えば、撮像候補位置を受け付けてから、さらに作業員の所定の操作を受け付けると、第1確認画像を表示するための処理を実行してもよい。所定の操作は、例えば、画像P4上に示される第1撮像装置30をクリックすることであってもよい。この場合、第1撮像装置30及び第2撮像装置40のうち、第1撮像装置30のみに対応した第1確認画像P41が表示されてもよい。
【0152】
なお、上記では、ステップS51においてユーザの操作をトリガとして確認画像を表示するための処理が実行される例について説明したが、これに限定されない。確認画像を表示するための処理は、自動的に実行されてもよい。例えば、撮像候補領域がピンポイントの位置(例えば、撮像候補位置)を示す場合、当該ピンポイントの位置から構造物Oを見たときの画像を確認画像として表示してもよい。自動的とは、確認画像を表示する処理を開始するための作業員の操作を要しないことを意味する。
【0153】
また、算出部12は、さらに、計測精度が所定値以下であり、かつ、確認画像の画像解析により遮蔽物が存在しない領域を撮像候補領域として撮像パラメータを算出してもよい。算出部12は、例えば、
図3に示すステップS13より前に3次元地図情報を取得し、ステップS13において遮蔽物が存在しない領域を、撮像候補領域として撮像パラメータを算出してもよい。遮蔽物が存在しない領域は、範囲であってもよいし、ピンポイントの位置であってもよい。
【0154】
なお、上記では、ステップS55において撮像候補位置を変更する操作を受け付けたとき、算出部12がステップS51で受け付けた撮像候補位置の付近の3次元地図情報に基づいて撮像候補位置を変更するとしたが、ステップS51に戻って、算出部12が受付部14を介して作業員から新たな撮像候補位置を受け付けたか否かを判定して、ステップS51~S55を繰り返すとしてもよい。
【0155】
(実施の形態3の変形例)
以下、本変形例に係る撮像パラメータ出力方法等について、
図17を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、実施の形態3との相違点を中心に説明し、実施の形態3と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する場合がある。本変形例に係る撮像パラメータ出力システムの構成は、実施の形態3に係る撮像パラメータ出力システム1aと同様であり、説明を省略する。
【0156】
図17は、本変形例に係る算出装置10aの動作を示すフローチャートである。なお、ステップS51~S53は、実施の形態3の
図14に示すステップと同様であり、説明を省略する。
【0157】
図17に示すように、算出部12は、撮像候補位置から構造物Oを見たときの第1確認画像(例えば、実施の形態3における第1確認画像P41)を取得する(S53)と、取得した第1確認画像に遮蔽物が存在しているか否かを判定する(S61)。算出部12は、例えば、第1確認画像に所定の物体が存在しているか否かにより上記の判定を行ってもよい。所定の物体は、2次元地図上では遮蔽物が存在するか否かの判定が困難である物体であり、例えば、山林、建物、道路沿いに設置される構造物などの静的な物体を含む。道路沿いに設置される構造物は、電柱、街灯、カーブミラー、標識、看板などを含む。
【0158】
なお、算出部12が第1確認画像に所定の物体が存在しているか否かを検出する検出方法は、特に限定されず、例えば、パターンマッチング技術を使用することができる。
【0159】
算出部12は、第1確認画像に遮蔽物が存在していると判定すると(S61でYes)、撮像候補位置を遮蔽物が存在しない位置に変更する(S62)。算出部12は、幾何学的な撮像条件を満たす中で撮像候補位置を変更し、変更した撮像候補位置における第2確認画像を取得し、取得した第2確認画像に遮蔽物が存在していない場合に、当該変更した撮像候補位置を遮蔽物が存在しない位置とする。そして、算出部12は、当該第2確認画像を含む撮像パラメータを生成する。
【0160】
次に、出力部13は、変更された撮像候補位置から構造物Oを見たときの第2確認画像を含む撮像パラメータを表示装置20に出力する(S63)。
【0161】
なお、ステップS62では、算出部12は、撮像候補位置を変更せずに、撮像装置の設置向きを遮蔽物が存在しない設置向きに変更してもよい。撮像装置の設置向きを変更することは、遮蔽物が存在しない位置に変更することに含まれる。また、変更された設置向きから構造物Oを見たときの画像は、第2確認画像の一例である。
【0162】
また、算出部12は、第1確認画像に遮蔽物が存在していないと判定すると(S61でNo)、処理を終了する。
【0163】
なお、上記では、算出部12は、第1確認画像に遮蔽物が存在する場合(S61でYes)、ステップS62に進む例について説明したが、これに限定されず、第1確認画像に遮蔽物が存在することを示す情報を、出力部13を介して表示装置20に出力してもよい。この場合、作業員による受付部14への操作により、手動で撮像候補位置が変更されてもよい。
【0164】
(他の実施の形態)
以上、本開示の1つまたは複数の態様に係る撮像パラメータ出力方法等について、各実施の形態、及び、変形例(以降において、実施の形態等とも記載する)に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態等に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態等に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0165】
例えば、上記実施の形態等では、算出装置は、構造物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する例について説明したが、単に対象物の画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力してもよい。つまり、画像は、変位を計測するための画像に限定されない。画像は、例えば、風景画像などであってもよい。この場合、変位の計測精度などは、撮像パラメータに含まれない。
【0166】
この場合の撮像パラメータ出力方法は、対象物の画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、対象物を特定するための対象物情報、及び、対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、対象物情報及び幾何学的な撮像条件に基づいて、撮像装置を設置する撮像候補領域を含む撮像パラメータを算出する算出ステップと、算出された撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。これにより、撮像現場における撮像作業の時間を短縮することができる。
【0167】
また、上記実施の形態等では、算出装置は、構造物の動きを示す変位を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する例について説明したが、撮像される画像は、変位を計測するための画像に限定されない。算出装置は、対象物の物理量を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力してもよい。ここで、物理量は、対象物全体又は対象物の特定部分の長さ、角度などであってもよい。このように物理量は、1枚の画像から取得できるものであってもよい。また、物理量は、対象物全体が移動している場合、当該対象物の速度、加速度などであってもよい。なお、上記の変位は、物理量に含まれる。
【0168】
この場合の撮像パラメータ出力方法は、対象物の物理量を計測するための画像を撮像する撮像装置に関する撮像パラメータを出力する撮像パラメータ出力方法であって、対象物を特定するための対象物情報、及び、対象物を撮像するときの幾何学的な撮像条件を取得する第1取得ステップと、対象物情報及び幾何学的な撮像条件に基づいて、撮像装置を設置する撮像候補領域及び当該撮像候補領域における対象物の物理量の計測精度を含む撮像パラメータを算出する算出ステップと、算出された撮像パラメータを出力する出力ステップとを含む。
【0169】
また、上記実施の形態等では、地理情報から撮像不能領域を取得する例について説明したが、これに限定されない。算出装置は、例えば、作業員から撮像不能領域を取得してもよい。
【0170】
また、上記実施の形態における地理情報は、例えば、祭りなどのイベント情報、道路などの工事情報等の動的な情報を含んでいてもよい。
【0171】
また、上記実施の形態等における取得部及び受付部の少なくとも一方は、作業員の音声に基づく情報を取得してもよい。この場合、算出装置は、例えば、音声を取得するマイクロフォンを有していてもよいし、音声に対する音声認識処理を行うサーバ(例えば、クラウドサーバ)と通信可能に接続された通信回路を有していてもよい。
【0172】
また、上記実施の形態等では、撮像装置は、地面に固定される装置である例について説明したが、これに限定されない。撮像装置は、例えば、ドローンなどの飛行体に設けられた撮像装置であってもよい。つまり、撮像パラメータは、ドローンなどの飛行体を用いて、構造物を撮像するときのパラメータであってもよい。
【0173】
また、上記実施の形態等において、取得部は通信部である例について説明したが、これに限定されない。取得部は、例えば、記録媒体が接続される接続部であってもよい。接続部は、例えば、UBS(Universal Serial Bus)が接続されるUSB端子、SDカードが差し込まれるSDカードスロット、光ディスクが挿入される光学ドライブなどであってもよい。
【0174】
また、フローチャートにおける各ステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0175】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0176】
また、上記実施の形態等では、算出装置は、表示装置を有していない、つまり、算出装置と、表示装置とは、別体である例について説明したが、表示装置を有していてもよい。この場合には、表示装置は、算出装置の一部である表示部として機能する。このように、撮像パラメータ出力システムは、1つの装置により構成されてもよい。
【0177】
また、上記実施の形態では、第1撮像装置と第2撮像装置とは別体である例について説明したが、これに限定されず、第1撮像装置と第2撮像装置とは1つの撮像装置により構成されていてもよい。第1撮像装置と第2撮像装置とは、いわゆるステレオカメラであってもよい。この場合、幾何学的な撮像条件に含まれる基線長は、2つのレンズの距離であってもよい。2つのレンズの距離は、固定値である。
【0178】
また、上記実施の形態では、第1撮像装置及び第2撮像装置の構成が同じである例について説明したが、これに限定されない。第1撮像装置及び第2撮像装置の構成は異なっていてもよい。例えば、第1撮像装置及び第2撮像装置は、センサスペックが互いに異なる撮像装置であってもよい。この場合、ステップS12において、撮像装置ごとにセンサスペックを取得してもよい。例えば、ステップS12において、取得部は、第1撮像装置と第2撮像装置とで互いにセンサスペックが異なることを含む幾何学的な撮像条件を取得してもよい。
【0179】
また、上記実施の形態等における撮像パラメータ出力システムが備える装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信および有線通信が組み合わされてもよい。
【0180】
また、上記実施の形態等における算出装置が備える構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。
【0181】
システムLSIは、複数の処理部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0182】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0183】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0184】
また、上記各種処理の全部又は一部は、電子回路等のハードウェアにより実現されても、ソフトウェアを用いて実現されてもよい。なお、ソフトウェアによる処理は、算出装置に含まれるプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを実行することにより実現されるものである。
【0185】
また、本開示の一態様は、撮像パラメータ出力方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。例えば、そのようなプログラムを記録媒体に記録して頒布又は流通させてもよい。例えば、頒布されたプログラムを、他のプロセッサを有する装置にインストールして、そのプログラムをそのプロセッサに実行させることで、その装置に、上記各処理を行わせることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0186】
本開示は、構造物の変位を計測するための計測システムにおける撮像パラメータを決定する装置等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0187】
1、1a 撮像パラメータ出力システム
10、10a 算出装置
11 取得部
12 算出部
13 出力部
14 受付部
20 表示装置
30 第1撮像装置
40 第2撮像装置
50~55 撮像パラメータ
a1~a4、b11、b21、b31 撮像候補領域
b1、b2、b3 対象領域
b12、b22、b32 撮像不能領域
F 矩形枠
L 基線長
O 構造物
p1、p2、p3 位置
p1a、p2a、p3a 楕円誤差
P1、P2、P3、P4、P5 画像
P41、P42 第1確認画像
P51、P52 第2確認画像
T 木
x1、x2 撮像不能領域
θ11、θ12、θ13 輻輳角
θ21、θ22 画角