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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020196766
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085202
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】西岡 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】津坂 優子
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086877(JP,A)
【文献】特開2018-164208(JP,A)
【文献】特開2014-212824(JP,A)
【文献】特開平04-105630(JP,A)
【文献】特開2007-074606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末と通信可能な自律走行型掃除機であって、
筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体を移動させるための駆動部と、
前記通信端末へ着信があるか否かを検知する着信検知部と、
第1範囲内に人が存在するか否かを検知する人検知部と、
前記着信があることを報知するための着信報知手段と、
第2範囲内に前記通信端末が存在するか否かを検知する通信端末検知部と、
前記人検知部の検知結果と前記着信検知部の検知結果と前記通信端末検知部の検知結果とに基づいて、前記着信報知手段の報知動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記着信検知部が、前記着信があることを検知し、
前記人検知部が前記第1範囲内に前記人が存在することを検知し、
前記通信端末検知部が前記第2範囲内に前記通信端末が存在しないことを検知した場合に、
前記着信報知手段に、前記着信があることを報知させる、
自律走行型掃除機。
【請求項2】
前記制御部は、
前記着信検知部が、前記着信があることを検知し、
前記人検知部が、前記第1範囲内に前記人が存在しないことを検知した場合に、
前記着信報知手段に、前記着信があることを報知させる、
請求項1に記載の自律走行型掃除機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記着信検知部が、前記着信があることを検知し、
前記人検知部が、前記第1範囲内に前記人が存在することを検知した場合に、
前記自律走行型掃除機による掃除音を小さくするように前記自律走行型掃除機を制御する、
請求項に記載の自律走行型掃除機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記着信検知部が、前記着信があることを検知し、
前記人検知部が前記第1範囲内に前記人が存在しないことを検知した場合に、
前記筐体を前記第1範囲外に移動させるように前記駆動部を制御する、
請求項1~のいずれか一項に記載の自律走行型掃除機。
【請求項5】
前記第1範囲は、前記自律走行型掃除機が自律的に掃除する領域である掃除領域に基づく範囲又は、前記自律走行型掃除機の位置を基準とする範囲である、
請求項1~のいずれか一項に記載の自律走行型掃除機。
【請求項6】
前記着信報知手段は、発光、音の出力、及び、前記筐体の走行形態、の少なくともいずれかを含む態様で、前記着信があることを報知する、
請求項1~のいずれか一項に記載の自律走行型掃除機。
【請求項7】
前記通信端末が通話状態であるか否かを検知する通話状態検知部を備え、
前記制御部は、
前記着信報知手段に、前記着信があることを報知させている間に、前記通話状態検知部が、前記通信端末が通話状態であることを検知した場合に、
前記着信報知手段による報知を停止させる、
請求項1~のいずれか一項に記載の自律走行型掃除機。
【請求項8】
通信端末と通信可能な自律走行型掃除機における制御方法であって、
前記通信端末へ着信があるか否かを検知する着信検知ステップと、
第1範囲内に人が存在するか否かを検知する人検知ステップと、
第2範囲内に前記通信端末が存在するか否かを検知する通信端末検知ステップと、
前記人検知ステップにおける検知結果と前記着信検知ステップにおける検知結果と前記通信端末検知ステップにおける検知結果とに基づいて、前記着信があることを報知するための着信報知手段の報知動作を制御する制御ステップとを含み、
前記制御ステップでは、
前記着信検知ステップにおいて、前記着信があることを検知し、
前記人検知ステップにおいて、前記第1範囲内に前記人が存在することを検知し、
前記通信端末検知ステップにおいて、前記第2範囲内に前記通信端末が存在しないことを検知した場合に、
前記着信報知手段に、前記着信があることを報知させる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行型掃除機及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律的に走行しながら、床面上を掃除する自律走行型掃除機が知られている。このような自律走行型掃除機が家庭内で使用される際、携帯電話等の通信端末へ着信があった場合に自律走行型掃除機の掃除態様を制御する自律走行型掃除機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2016-513981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1では、通信端末へ着信があった場合に、自律走行型掃除機が掃除を停止するが、人が通信端末の近くにいない場合等、人が通信端末へ着信があることに気づけないことがある。このように、自律走行型掃除機では、通信端末へ着信時がある場合に適切な制御が行われることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、通信端末へ着信があることを人に気付かせやすくできる自律走行型掃除機等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自律走行型掃除機は、通信端末と通信可能な自律走行型掃除機であって、筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体を移動させるための駆動部と、前記通信端末へ着信があるか否かを検知する着信検知部と、第1範囲内に人が存在するか否かを検知する人検知部と、前記着信があることを報知するための着信報知手段と、制御部とを備え、前記制御部は、前記人検知部の検知結果と前記着信検知部の検知結果とに基づいて、前記着信報知手段の報知動作を制御する。
【0007】
また、本発明の一態様に係る自律走行型掃除機は、通信端末と通信可能な自律走行型掃除機であって、筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体を移動させるための駆動部と、前記通信端末へ着信があるか否かを検知する着信検知部と、前記着信があることを報知するための着信報知手段と、前記通信端末の着信報知モードを検知する着信報知モード検知部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記着信報知モード検知部の検知結果と前記着信検知部の検知結果とに基づいて、前記着信報知手段の報知動作を制御する。
【0008】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、通信端末と通信可能な自律走行型掃除機における制御方法であって、前記通信端末へ着信があるか否かを検知する着信検知ステップと、第1範囲内に人が存在するか否かを検知する人検知ステップと、前記人検知ステップにおける検知結果と前記着信検知ステップにおける検知結果とに基づいて、前記着信があることを報知するための着信報知手段の報知動作を制御する制御ステップとを含む。
【0009】
また、本発明の一態様に係る制御方法は、通信端末と通信可能な自律走行型掃除機における制御方法であって、前記通信端末へ着信があるか否かを検知する着信検知ステップと、前記通信端末の着信報知モードを検知する着信報知モード検知ステップと、前記着信報知モード検知ステップにおける検知結果と前記着信検知ステップにおける検知結果とに基づいて、前記着信があることを報知するための着信報知手段の報知動作を制御する制御ステップとを含む。
【0010】
なお、本発明は、上記制御方法をコンピュータに実施させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、上記プログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体として実現されてもよい。また、本発明は、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現されてもよい。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様に係る自律走行型掃除機等によれば、通信端末へ着信があることを人に気付かせやすくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の概要を説明するための図である。
図2図2は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の外観を示す斜視図である。
図3図3は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の外観を示す底面図である。
図4図4は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例1における処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例2における処理手順を示すフローチャートである。
図7A図7Aは、動作例2における自律走行型掃除機の動きを示す図である。
図7B図7Bは、動作例2における自律走行型掃除機の動きを示す別の図である。
図8図8は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例3における処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、動作例3における自律走行型掃除機の動きを示す図である。
図10図10は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例4における処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、動作例4における自律走行型掃除機の動きを示す図である。
図12図12は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例5における処理手順を示すフローチャートである。
図13図13は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例6における処理手順を示すフローチャートである。
図14図14は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例7における処理手順を示すフローチャートである。
図15A図15Aは、動作例7における自律走行型掃除機の動きを示す図である。
図15B図15Bは、動作例7における自律走行型掃除機の動きを示す別の図である。
図16図16は、実施の形態に係る自律走行型掃除機の動作例8における処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明に係る自律走行型掃除機等の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0014】
なお、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0015】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0016】
また、以下の実施の形態においては、略三角形等の「略」を用いた表現を用いている。例えば、略三角形とは、完全に三角形であることを意味するだけでなく、実質的に三角形である、すなわち、例えば角丸な三角形等も含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
【0017】
また、以下の実施の形態においては、所定の空間のフロア面を走行して掃除する自律走行型掃除機を鉛直上方側から見た場合を上面視とし、鉛直下方側から見た場合を底面視として記載する場合がある。
【0018】
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る自律走行型掃除機の概要について説明する。
【0019】
図1は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の概要を説明するための図である。実施の形態に係る自律走行型掃除機100は、所定の空間を自律走行して掃除する自律走行型掃除機である。自律走行型掃除機100は、例えば、所定の掃除領域300を自律走行して掃除する。自律走行型掃除機100は、LIDAR(Light Detection and Ranging)又はカメラ等のセンサを用いて所定の空間(より具体的には、所定の空間内)をセンシングしながら走り回ることで、所定の空間の地図を示す地図情報(データ)を生成する。自律走行型掃除機100は、生成した地図情報に基づいて、所定の空間を掃除する際に走行する走行経路を算出する。自律走行型掃除機100は、算出した走行経路で、所定の空間を走行して掃除する。
【0020】
自律走行型掃除機100は、例えば、所定の空間の様子をレーザ測距計40、カメラ60及びクリフセンサ等のセンサを用いてセンシングすることにより、所定の空間内に存在する物体(障害物)を避けるか否かを自律的に判定し、障害物が存在する場合には算出された走行経路から離脱して当該物体を避けながら走行して掃除する。
【0021】
自律走行型掃除機100は、例えば、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)により、掃除する所定の空間の地図情報の生成と、生成した地図情報に示される地図における自律走行型掃除機100の自己位置の推定とを行う。
【0022】
自律走行型掃除機100は、通信端末200と通信可能である。自律走行型掃除機100は、例えば、通信端末200へ着信があることを検知した場合に、人210に適切な態様で着信があることを報知することで、着信があることを人210に気付かせやすくすることができる。本明細書において、着信は、人に報知すべき着信であり、例えば、通話の呼び出しのための着信、いわゆる着呼である。なお、着信は、メール又はメッセージ等の着信であってもよい。
【0023】
通信端末200は、例えば、人210の所有物である。通信端末200は、自律走行型掃除機100と通信し、着信の有無、通話状態及び着信報知モード等に関する情報を自律走行型掃除機100へ送信する。通信端末200には、例えば、自律走行型掃除機100と通信し、自律走行型掃除機100との各種情報のやり取り等を行うためのアプリケーションプログラムがインストールされている。通信端末200は、具体的には、固定電話、携帯電話又はタブレット型通信端末等である。
【0024】
掃除領域300は、例えば、人210が住んでいる住居の少なくとも一部である。掃除領域300は、建物内の壁等で囲まれた領域である。掃除領域300は、少なくとも一部が自律走行型掃除機100によって設定されたバーチャルウォールで囲まれていてもよい。また、掃除領域300には、家具等の障害物が配置された位置に対応する領域である進入禁止領域が含まれており、進入禁止領域以外の掃除領域300が掃除されてもよい。
【0025】
掃除領域300は、例えば、住居の部屋ごとに、掃除を行うための単位領域である複数のサブ領域に区切られており、図1の例では、サブ領域300a及びサブ領域300bを含む。部屋の大きさによっては、1つの部屋が、例えば、一辺が5m以下の矩形等の形状の複数のサブ領域に区切られていてもよい。サブ領域300aとサブ領域300bとの間の少なくとも一部は、自律走行型掃除機100が通行可能である。図1の例では、サブ領域300aとサブ領域300bとの間には、開状態にすることにより自律走行型掃除機100が通行可能な扉301が設けられている。なお、掃除領域300は、複数の領域に区切られていなくてもよい。
【0026】
[構成]
次に、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の構成について説明する。図2は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の外観を示す斜視図である。図3は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の外観を示す底面図である。
【0027】
自律走行型掃除機100は、例えば、筐体10と、2つの車輪20と、2つのサイドブラシ30と、レーザ測距計40と、メインブラシ50と、カメラ60と、深度センサ70と、光源80と、スピーカ90とを備える。
【0028】
筐体10は、自律走行型掃除機100が備える各構成要素を収容する筐体である。本実施の形態では、筐体10は、上面視において、略三角形状である。なお、筐体10の上面視における形状は、特に限定されない。筐体10の上面視形状は、例えば、略矩形状でもよいし、略円形状でもよい。図3に示されるように、筐体10は、底面に吸込口11を有する。
【0029】
2つの車輪20は、自律走行型掃除機100を走行させるための車輪である。
【0030】
サイドブラシ30は、筐体10の底面に設けられ、所定の空間のフロア(以下、単にフロアともいう)を掃除するためのブラシである。本実施の形態では、自律走行型掃除機100は、2つのサイドブラシ30を備える。自律走行型掃除機100が備えるサイドブラシ30の数は、1つでもよく、3つ以上でもよく、特に限定されない。
【0031】
レーザ測距計40は、自律走行型掃除機100と、所定の空間における物体、壁面等との距離を測定するためのセンサである。レーザ測距計40は、例えば、筐体10の上部に設けられている。レーザ測距計40は、例えば、いわゆるLIDARである。
【0032】
メインブラシ50は、筐体10の底面に設けられている開口である吸込口11に配置され、フロアのゴミを吸引するためのブラシである。
【0033】
カメラ60は、所定の空間の画像を取得するセンサである。カメラ60は、具体的には、筐体10に配置され、所定の空間を撮像することで画像を生成する撮像装置である。
【0034】
深度センサ70は、例えば、カメラ60により生成された画像に含まれる被写体と自律走行型掃除機100との距離を検出するセンサである。深度センサ70は、例えば、赤外線センサである。
【0035】
光源80は、通信端末200へ着信があることを報知するために用いられ、着信報知手段の一例である。光源80は、音を出力しない態様で着信があることを報知する。光源80は、例えば、LEDランプである。
【0036】
スピーカ90は、通信端末200へ着信があることを報知するために用いられ、着信報知手段の一例である。スピーカ90は、音を出力する態様で着信があることを報知する。自律走行型掃除機100は、スピーカ90の代わりにブザーを備えていてもよい。
【0037】
このように、着信報知手段は、スピーカ90による音の出力のように音を出力する態様、又は、光源80による発光のように音を出力しない態様で着信があることを報知する。
【0038】
図4は、自律走行型掃除機100の特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0039】
図4に示されるように、自律走行型掃除機100は、レーザ測距計40と、カメラ60と、深度センサ70と、光源80と、スピーカ90と、処理部110と、記憶部120と、吸引部130と、駆動部140と、清掃部150と、通信部160とを備える。
【0040】
処理部110は、自律走行型掃除機100における情報処理及び自律走行型掃除機100が行う動作の制御等を行う。処理部110は、例えば、1つ又は複数のプロセッサによって実現される。処理部110は、マイクロコンピュータ又は専用回路等によって実現されてもよい。処理部110は、着信検知部111と、人検知部112と、着信報知モード検知部113と、通信端末検知部114と、通話状態検知部115と、計画生成部116、制御部117とを備える。
【0041】
着信検知部111は、通信端末200へ着信があるか否かを検知(言い換えると判定)する。
【0042】
人検知部112は、所定の第1範囲内に人210が存在するか否かを検知(言い換えると判定)する。
【0043】
着信報知モード検知部113は、通信端末200の着信報知モードを検知する。
【0044】
通信端末検知部114は、所定の第2範囲内に通信端末200が存在するか否かを検知(言い換えると判定)する。
【0045】
通話状態検知部115は、通信端末200が通話状態であるか否かを検知(言い換えると判定)する。
【0046】
計画生成部116は、掃除領域300を示す地図情報に基づいて、自律走行型掃除機100の掃除態様を示す計画情報を生成する。計画生成部116は、例えば、自律走行型掃除機100が掃除領域300をどのように走行して掃除するか、つまり、自律走行型掃除機100による掃除領域300内の掃除の走行経路に関する掃除計画(言い換えると計画情報)を生成する。
【0047】
また、計画生成部116は、取得された地図情報に基づいて、自律走行型掃除機100の走行経路(言い換えると、筐体10の走行経路)、具体的には、車輪モータ141の回転数、車輪20の向き等の駆動部140の制御方法である走行方法を決定した掃除計画を生成する。
【0048】
また、計画生成部116は、自律走行型掃除機100の走行経路に加えて、吸引部130の制御方法(例えば、吸引力、より具体的には、吸引モータ131の回転数)、及び、清掃部150の制御方法(例えば、ブラシモータ151の回転数)等を含む掃除方法を示す掃除計画を生成する。
【0049】
制御部117は、着信検知部111、人検知部112、着信報知モード検知部113、通信端末検知部114及び通話状態検知部115等の各種検知結果に基づいて、着信報知手段(例えば、光源80、スピーカ90又は駆動部140)の報知動作を制御する。具体的には、制御部117は、各種検知結果に基づいて、着信報知手段を制御し、着信報知手段に報知させるか否か、及び、着信報知手段に報知させる場合の報知態様を変化させる。
【0050】
また、制御部117は、各種検知結果に基づいて、駆動部140を制御し、筐体10を移動させる。
【0051】
また、制御部117は、計画生成部116によって生成された掃除計画に基づいて、筐体10の走行を制御し、自律走行型掃除機100に掃除領域300を掃除させる。制御部117は、吸引部130、駆動部140及び清掃部150を制御することで、自律走行型掃除機100に掃除領域300を走行させて掃除させる。
【0052】
記憶部120は、処理部110が実行する制御プログラム等が記憶されるメモリである。記憶部120は、地図情報等の各種情報が記憶されてもよい。記憶部120は、例えば、半導体メモリ又はHDD(Hard Disk Drive)等により実現される。
【0053】
吸引部130は、所定の空間のフロア面を吸引することで、当該フロア面のゴミを吸引するための機構である。吸引部130は、例えば、吸引モータ131を備える。
【0054】
吸引モータ131は、ファンと接続され、当該ファンを回転させることでフロア面のゴミを吸引するためのモータである。
【0055】
駆動部140は、筐体10に設けられ、筐体10(つまり、自律走行型掃除機100)を移動させるための機構である。駆動部140は、制御部117に制御されることにより、所定の走行形態で筐体10を走行させることで、通信端末200へ着信があることを報知するための着信報知手段として機能してもよい。つまり、着信報知手段は、筐体10の走行形態によって着信があることを報知してもよい。駆動部140は、例えば、車輪モータ141と車輪20とを備える。
【0056】
車輪モータ141は、車輪20と接続され、車輪20を回転させるためのモータである。
【0057】
自律走行型掃除機100は、2つの車輪20の回転が独立して制御されることで、直進、後退、左回転、右回転等、自在に走行することができる。なお、自律走行型掃除機100は、車輪モータ141により回転させない車輪(補助輪)をさらに備えてもよい。
【0058】
清掃部150は、フロア面を清掃するための機構である。清掃部150は、例えば、ブラシモータ151とメインブラシ50とサイドブラシ30とを備える。
【0059】
ブラシモータ151は、メインブラシ50等のブラシと接続され、メインブラシ50等のブラシを駆動(回転)させるためのモータである。
【0060】
通信部160は、通信端末200等の外部機器と通信自在な通信モジュール(通信回路)である。通信部160は、Wi-Fi(登録商標)又はbluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によって、通信端末200等の外部機器との通信を行う。通信部160が行う通信に用いられる通信規格については、特に限定されない。
【0061】
[動作]
次に、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作について、動作例を用いて説明する。以下の動作例の説明においては、実質的に同様の処理については、説明を省略又は簡略化する場合がある。
【0062】
[動作例1]
まず、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例1について説明する。
【0063】
図5は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例1における処理手順を示すフローチャートである。
【0064】
自律走行型掃除機100は、例えば、ユーザから掃除開始を指示する信号を受信することで掃除を開始する。自律走行型掃除機100が信号を受信する方法に特に制限はないが、例えば、自律走行型掃除機100は、ユーザがスマートフォン等の通信端末を操作することで送信される信号を通信部160によって受信する。また、自律走行型掃除機100は、ユーザからの掃除開始の指示を取得するためのボタン等の操作部を有してもよい。
【0065】
図5に示されるように、まず、自律走行型掃除機100は、通常モードで掃除を行う(ステップS1)。
【0066】
通常モードの掃除を開始するために、まず、計画生成部116は、例えば、地図情報を取得する。計画生成部116は、記憶部120に記憶されている掃除領域300の地図を示す地図情報を取得する。なお、記憶部120に地図情報が存在しない場合、例えば、計画生成部116は、SLAMにより地図情報を生成することで取得してもよい。そして、計画生成部116は、取得された地図情報に基づいて、筐体10による掃除領域300内の掃除の走行経路に関する掃除計画を生成する。例えば、計画生成部116は、地図情報に基づいて、掃除領域300の全てを掃除する対象のエリアであるとして走行経路を算出し、算出された走行経路で制御部117が吸引部130、駆動部140及び清掃部150を制御することで、自律走行型掃除機100を走行させ掃除させるための掃除計画を生成する。計画生成部116は、複数のサブ領域300a及び300bそれぞれを順次掃除する掃除計画を生成してもよい。計画生成部116は、例えば、複数のサブ領域300a及び300bそれぞれの掃除において、自律走行型掃除機100が、矩形の領域の角部から矩形の2組の辺のいずれかの方向に沿って往復して、徐々に当該方向と直交する方向に進みながら矩形の領域の全域を走行するような走行計画を生成する。なお、計画生成部116は、あらかじめ記憶部120又は外部機器等に記憶されている掃除計画を取得することで掃除計画を生成してもよい。
【0067】
このようにして生成された掃除計画に基づいて、自律走行型掃除機100は、通常モードで掃除を開始する。本明細書において、通常モードは、生成された掃除計画に基づいて、制御部117が吸引部130、駆動部140及び清掃部150を制御するモードである。
【0068】
通常モードでは、制御部117は、例えば、レーザ測距計40等のセンサからセンサデータを取得し、センサデータと地図情報とに基づいて、自己位置を検出する。制御部117は、例えば、筐体10が走行している間、繰り返し自己位置を検出しながら、掃除計画に基づいて筐体10を走行させる。
【0069】
次に、人検知部112は、掃除が開始されると、レーザ測距計40及びカメラ60等のセンサから定期的にセンサデータを取得する(ステップS2)。人検知部112は、例えば、レーザ測距計40が自律走行型掃除機100の周囲360°又は所定の角度範囲をスキャンすることによって検出したセンサデータ(例えば、自律走行型掃除機100を中心とした複数の極座標データ)を取得する。人検知部112は、カメラ60が撮像した画像をセンサデータとして取得してもよい。人検知部112は、自律走行型掃除機100が掃除を行っている間、繰り返し、センサデータを取得する。人検知部112は、取得したセンサデータを、人210の検知に用いる。人検知部112による具体的な人検知方法は後述のステップで説明する。なお、人検知部112は、レーザ測距計40及びカメラ60以外からセンサデータを取得してもよい。人検知部112は、例えば、掃除領域300に設置されたセンサから、通信部160を介してセンサデータを取得してもよい。
【0070】
次に、制御部117は、掃除領域300の掃除を完了したか否かを判定する(ステップS3)。例えば、制御部117は、取得された自己位置の履歴に基づいて、自律走行型掃除機100が掃除計画における走行経路を一巡したか否かを判定することで、掃除領域300の掃除を完了したか否かを判定する。
【0071】
制御部117は、掃除領域300の掃除を完了したと判定した場合(ステップS3でYes)、自律走行型掃除機100による掃除領域300内の掃除を終了させる。制御部117は、例えば、駆動部140を制御して、図示しない充電器等の所定の位置まで自律走行型掃除機100を移動させて掃除を終了する。
【0072】
一方、制御部117が、掃除領域300の掃除が完了していないと判定した場合(ステップS3でNo)、着信検知部111は、通信端末200へ着信があるか否かを検知する(ステップS4)。着信検知部111は、例えば、通信部160を用いて、通信端末200から送信される通信端末200へ着信があることを示す着信情報を取得することで、通信端末200へ着信があると検知する。一方、着信検知部111は、着信情報を取得していない場合には、通信端末200へ着信がないと検知する。通信端末200は、例えば、通信端末200へ着信があると、着信情報を自律走行型掃除機100へ送信する。
【0073】
着信検知部111が通信端末200へ着信がないことを検知した場合(ステップS4でNo)、自律走行型掃除機100は、処理をステップS3に戻し、掃除領域300の掃除を完了するまで、掃除領域300内の掃除を継続する。
【0074】
一方、着信検知部111が通信端末200へ着信があることを検知した場合(ステップS4でYes)、着信報知モード検知部113は、通信端末200の着信報知モードを検知する(ステップS5)。着信報知モード検知部113は、例えば、通信部160を用いて、通信端末200から送信される通信端末200の着信報知モードを示す着信報知モード情報を取得し、取得した着信報知モード情報に基づいて、着信報知モードを検知する。つまり、着信報知モード検知部113は、着信報知モード情報が示す通信端末200の着信報知モードを検知する。通信端末200は、例えば、上記の着信情報と共に着信報知モード情報を自律走行型掃除機100へ送信する。また、通信端末200は、自律走行型掃除機100による掃除が開始された際、又は、通信端末200の着信報知モードが変更された際に、着信報知モード情報を自律走行型掃除機100へ送信してもよい。
【0075】
次に、自律走行型掃除機100は、着信時モードで制御を行い(ステップS6)、その後、処理をステップS1に戻し、通常モードでの掃除を再開する。着信時モード(ステップS6)の詳細については後述する。
【0076】
なお、動作例1において、ステップS2又はステップS5は行われず、スキップされてもよい。
【0077】
[動作例2]
次に、動作例1のステップS6における着信時モードでの制御の処理手順の第1の例である動作例2について説明する。図6は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例2における処理手順を示すフローチャートである。また、動作例2は、人検知部112による検知が行われない場合の動作例である。そのため、動作例2の処理が行われる場合、動作例1におけるステップS2は行われなくてもよい。
【0078】
図6に示されるように、まず、制御部117は、音報知不可信号を取得しているか否かを判定する(ステップS11)。音報知不可信号は、通信端末200へ着信があることを、自律走行型掃除機100が音を出力しない態様で報知することを指示する信号である。音報知不可信号は、例えば、ユーザが、通信端末200において、自律走行型掃除機100が音を出力しない態様で報知することを指示する操作を行うことで、当該通信端末200から自律走行型掃除機100に送信される。また、自律走行型掃除機100は、ユーザからの自律走行型掃除機100が音を出力しない態様で報知することを指示する操作を受け付ける操作部を有してもよい。音報知不可信号は、当該操作部の操作によって制御部117に出力される。また、着信報知モード検知部113は、通信端末200の着信報知モードがサイレントモード(詳細は後述)であることを示す着信報知モード情報を取得した場合に、音報知不可信号を制御部117へ出力してもよい。
【0079】
制御部117は、音報知不可信号を取得していると判定した場合(ステップS11でYes)、着信報知手段に、音を出力しない態様で通信端末200へ着信があることを報知させる(ステップS12)。制御部117は、例えば、光源80を発光させる。制御部117は、特定の光色又は点滅パターン等の所定の態様で光源80を発光させてもよい。また、制御部117は、駆動部140を制御し、円を描く、又は、8の字を描く等の所定の走行形態で筐体10を走行させてもよい。これらの方法により、自律走行型掃除機100は、音を出力しない態様で通信端末200へ着信があることを報知する。
【0080】
一方、制御部117は、音報知不可信号を取得していないと判定した場合(ステップS11でNo)、上述のステップS5で着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであるか否かを判定する(ステップS13)。制御部117は、例えば、検知された着信報知モードが、音の出力及びバイブレーションの両方で着信を報知するモード、又は、音の出力のみで着信を報知するモードである場合に、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであると判定する。また、制御部117は、例えば、検知された着信報知モードが、バイブレーションのみで着信を報知するモード(いわゆるマナーモード)、又は、着信があっても音の出力及びバイブレーションのいずれも行なわれないモード(いわゆるサイレントモード)である場合に、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードでないと判定する。
【0081】
制御部117は、検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであると判定した場合(ステップS13でYes)、着信報知手段に、音を出力しない態様で通信端末200へ着信があることを報知させる(ステップS12)。
【0082】
一方、制御部117は、検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードでないと判定した場合(ステップS13でNo)、着信報知手段に、音を出力する態様で通信端末200へ着信があることを報知させる(ステップS14)。制御部117は、スピーカ90に、例えば、所定の音楽、ブザー音、又は、メッセージ音声等の音を出力させる。
【0083】
ステップS12又はステップS14の後、自律走行型掃除機100は、報知を継続しながら、静音モードで掃除を行う(ステップS15)。本明細書において、静音モードは、通常モードよりも掃除によって発生する音が小さくなるように、制御部117が吸引部130、駆動部140及び清掃部150を制御するモードである。制御部117は、例えば、吸引部130及び清掃部150を制御し、通常モードよりも吸引モータ131及びブラシモータ151の回転数を下げることで、自律走行型掃除機100に静音モードで掃除させる。これにより通信端末200及び自律走行型掃除機100による着信の報知を人210に気付かせやすくすることができる。なお、ステップS15において、自律走行型掃除機100は、静音モードで掃除を行う代わりに、掃除を停止してもよい。つまり、制御部117は、吸引モータ131及びブラシモータ151を停止させてもよい。
【0084】
次に、通話状態検知部115は、通信端末200が通話状態であるか否かを検知する(ステップS16)。通話状態検知部115は、例えば、通信部160を用いて、通信端末200から送信される通信端末200が通話状態であることを示す通話状態情報を取得することで、通信端末200が通話状態であると検知する。一方、通話状態検知部115は、例えば、通話状態情報を取得していない場合には、通信端末200が通話状態ではないと検知する。通信端末200は、例えば、通信端末200による通話が開始され、通信端末200が通話状態になると、通話状態情報を自律走行型掃除機100へ送信する。
【0085】
通話状態検知部115が、通信端末200が通話状態でないと検知した場合(ステップS16でNo)、着信検知部111は、通信端末200への着信が停止したか否かを検知する(ステップS17)。着信検知部111は、例えば、通信部160を用いて、通信端末200から送信される通信端末200への着信が停止したことを示す着信停止情報を取得することで、通信端末200への着信が停止したと検知する。一方、着信検知部111は、例えば、着信停止情報を取得していない場合には、通信端末200への着信が停止していないと検知する。通信端末200は、例えば、通信端末200への着信が停止すると、着信停止情報を自律走行型掃除機100へ送信する。
【0086】
着信検知部111が、通信端末200への着信が停止したと検知した場合(ステップS17でYes)、制御部117は、着信報知手段による報知を停止させる(ステップS18)。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS6(着信時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0087】
一方、着信検知部111が、通信端末200への着信が停止していないと検知した場合(ステップS17でNo)、自律走行型掃除機100は、処理をステップS16に戻し、通信端末200への着信が停止するまで、通話状態の検知を続ける。
【0088】
また、通話状態検知部115が、通信端末200が通話状態であると検知した場合(ステップS16でYes)、制御部117は、着信報知手段による報知を停止させる(ステップS19)。このように、通信端末200が通話状態である場合に、報知が停止することで、報知が人210による通信端末200での通話の妨げになることを防止できる。また、ステップS19において、制御部117は、報知の停止と同時又は報知の停止から所定時間経過後に、駆動部140を制御して、図示しない充電器等の所定の位置まで自律走行型掃除機100を一時的に移動させてもよい。
【0089】
次に、通話状態検知部115は、通信端末200による通話が停止したか否かを検知する(ステップS20)。通話状態検知部115は、例えば、通信部160を用いて、通信端末200から送信される通信端末200による通話が停止したことを示す通話停止情報を取得することで、通信端末200による通話が停止したと検知する。一方、通話状態検知部115は、通話停止情報を取得していない場合には、通信端末200による通話が停止していないと検知する。通信端末200は、例えば、通信端末200による通話が停止すると、通話停止情報を自律走行型掃除機100へ送信する。
【0090】
ステップS20の処理は、通話状態検知部115が、通信端末200による通話が停止したと検知するまで継続される(ステップS20でNo)。
【0091】
通話状態検知部115は、通信端末200による通話が停止したと検知した場合(ステップS20でYes)、自律走行型掃除機100は、ステップS6(着信時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0092】
図7A及び図7Bは、動作例2における自律走行型掃除機100の動きを示す図である。
【0093】
図7Aに示されるように、動作例2において、制御部117は、例えば、通信端末200の着信報知モードがマナーモードである場合に、スピーカ90に音を出力させる。
【0094】
このように、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で着信を報知するモードでない場合に、着信報知手段に、音を出力する態様で着信があることを報知させる。
【0095】
これにより、通信端末200へ着信があった場合に、通信端末200は、音を出力する態様で報知しないが、自律走行型掃除機100は、音を出力する態様で報知する。そのため、着信があることの報知が遠くまで届きやすくなり、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0096】
また、図7Bに示されるように、動作例2において、制御部117は、例えば、通信端末200の着信報知モードが音を出力する態様で報知するモードである場合に、光源80を発光させる。
【0097】
このように、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で着信を報知するモードである場合に、着信報知手段に、音を出力しない態様で着信があることを報知させる。
【0098】
これにより、通信端末200へ着信があった場合に、通信端末200が音を出力する態様で報知するのに対して、自律走行型掃除機100は、音を出力しない態様で報知する。そのため、自律走行型掃除機100は、通信端末200と異なる態様で着信を報知するため、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0099】
[動作例3]
次に、動作例1のステップS6における着信時モードでの制御の処理手順の第2の例である動作例3について説明する。図8は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例3における処理手順を示すフローチャートである。また、動作例3は、着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音で報知するモードであるか否かの判定が行われない場合の動作例である。そのため、動作例3の処理が行われる場合、動作例1におけるステップS5は行われなくてもよい。
【0100】
図8に示されるように、まず、人検知部112は、第1範囲内に人210が存在するか否かを検知する(ステップS31)。人検知部112は、例えば、動作例1のステップS2での処理により定期的に取得しているセンサデータに基づいて、第1範囲内に人210が存在するか否かを検知する。センサデータは、ステップS2の処理により定期的に取得しているセンサデータでなくてもよく、例えば、ステップS31の直前に取得されたセンサデータであってもよい。
【0101】
具体的には、センサデータがレーザ測距計40のスキャンによる複数の極座標データである場合、まず、人検知部112は、複数の極座標データそれぞれを、地図情報における絶対座標データに変換する。人検知部112は、変換された複数の絶対座標データを、座標の近いものを部分集合とした複数の点群データにクラスタリングする。人検知部112は、例えば、複数の点群データのうち、位置が時間的に変化した点群データが存在する場合、当該点群データが人を示す点群データであると決定する。また、人検知部112は、複数の点群データに、人形状(例えば、人の脚の形状)のパターンを有する点群データが存在する場合、当該点群データが人210を示す点群データであると決定してもよい。人210を示す点群データが第1範囲内に位置する場合、人検知部112は、第1範囲内に人210が存在することを検知する。
【0102】
また、センサデータがカメラ60によって撮影された画像である場合、人検知部112は、CNN(Convolution Neural Network)手法等を用いて、取得した画像を画像解析し、画像に人210が含まれているか否かを判定する。第1範囲内を撮影した画像に人210が含まれている場合、人検知部112は、第1範囲内に人210が存在することを検知する。また、センサデータに、レーザ測距計40又は深度センサ70から取得された人210と自律走行型掃除機100との距離を示すデータが含まれていてもよい。人検知部112は、カメラ60によって撮影された画像と、当該距離を示すデータとを組み合わせて、第1範囲内に人210が存在するか否かを検知してもよい。
【0103】
なお、上記人210の検出の方法は一例であり、人検知部112が人210を検知する方法は、特に制限されない。
【0104】
第1範囲は、第1範囲に存在する人210が自律走行型掃除機100を認識可能な、自律走行型掃除機100の周囲の範囲である。つまり、第1範囲に人210が存在する場合、人210と自律走行型掃除機100との距離が近い。第1範囲は、例えば、地図情報における絶対座標により規定される。第1範囲は、例えば、自律走行型掃除機100が自律的に掃除する領域である掃除領域300に基づく範囲である。掃除領域300に基づく範囲は、例えば、自律走行型掃除機100が位置しているサブ領域300a又は300bである。また、掃除領域300に基づく範囲は、掃除領域300又は自律走行型掃除機100が位置しているサブ領域300aもしくは300bのうちの、自律走行型掃除機100が走行し、掃除が完了した範囲であってもよい。
【0105】
また、第1範囲は、自律走行型掃除機100の位置を基準とする範囲であってもよい。自律走行型掃除機100の位置を基準とする範囲は、例えば、レーザ測距計40のスキャン範囲、又は、カメラ60によって人が認識できる画像が撮影できる範囲である。具体的には、自律走行型掃除機100の位置を基準とする範囲は、例えば、自律走行型掃除機100の位置から所定の距離、及び、自律走行型掃除機100の位置から壁等の障害物までの距離のいずれか短い方の距離までの位置で囲まれた範囲である。所定の距離は、各種センサの検出範囲等に応じて設定されるが、例えば、8m以下である。
【0106】
第1範囲は、あらかじめ上述のいずれかの範囲に設定されていてもよく、ユーザによって設定されてもよい。
【0107】
人検知部112が、第1範囲内に人210が存在することを検知した場合(ステップS31でYes)、自律走行型掃除機100は、人検知時モードで制御を行う(ステップS32)。その後、自律走行型掃除機100は、ステップS5(着信時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。人検知時モード(ステップS32)の詳細については後述する。
【0108】
一方、人検知部112が、第1範囲内に人210が存在しないことを検知した場合(ステップS31でNo)、制御部117は、着信報知手段に、音を出力する態様で通信端末200へ着信があることを報知させる(ステップS14)。そして、自律走行型掃除機100は、通常モードで掃除を継続する(ステップS33)。このように、自律走行型掃除機100は、人210が第1範囲内に存在せず、人210の通話の妨げになりにくい場合には、通常モードの掃除を継続し、不要に掃除を停止しない。
【0109】
ステップS33の後、自律走行型掃除機100は、動作例2におけるステップS16以降と同様の処理を行う。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS6(着信時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0110】
図9は、動作例3における自律走行型掃除機100の動きを示す図である。
【0111】
図9に示されるように、動作例3において、制御部117は、例えば、人210と自律走行型掃除機100とが比較的遠い場合に、着信報知手段に、着信があることを報知させる。
【0112】
このように、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)人検知部112が、第1範囲内に人210が存在しないことを検知した場合に、着信報知手段に、着信があることを報知させる。
【0113】
これにより、人210が第1範囲内に存在せず、自律走行型掃除機100から遠い場合でも、自律走行型掃除機100が報知して、人210に呼びかけることで、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。特に、自律走行型掃除機100が音を出力する態様で報知する場合には、遠くまで報知が届きやすく、通信端末200へ着信があることをより人210に気付かせやすくできる。
【0114】
なお、人検知部112が、第1範囲内に人210が存在しないことを検知し(ステップS31でNo)、第1範囲が掃除領域300全域である場合、つまり、掃除領域300に人210が存在しない場合には、制御部117は、人210が住居等に不在であると判定し、着信報知手段に、着信があることを報知させない制御を行ってもよい。
【0115】
[動作例4]
次に、動作例1のステップS6における着信時モードでの制御の処理手順の第3の例である動作例4について説明する。図10は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例4における処理手順を示すフローチャートである。
【0116】
図10に示されるように、まず、動作例3と同様に、人検知部112は、第1範囲内に人210が存在するか否かを検知する(ステップS31)。人検知部112が、第1範囲内に人210が存在することを検知した場合(ステップS31でYes)、自律走行型掃除機100は、人検知時モードで制御を行う(ステップS32)。その後、自律走行型掃除機100は、ステップS6(着信時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0117】
一方、人検知部112が、第1範囲内に人210が存在しないことを検知した場合(ステップS31でNo)、制御部117は、着信報知手段に、音を出力する態様で通信端末200へ着信があることを報知させる(ステップS14)。動作例4においては、制御部117は、着信報知モード検知部113によって検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであるか否かに関わらず、着信報知手段に、音を出力する態様で通信端末200へ着信があることを報知させる。
【0118】
次に、制御部117は、上述のステップS5で着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであるか否かを判定する(ステップS13)。
【0119】
制御部117が、検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであると判定した場合(ステップS13でYes)、自律走行型掃除機100は、報知を継続しながら、静音モードで掃除を行う(ステップS15)。そして、制御部117は、筐体10を第1範囲外に移動させるように駆動部140を制御する(ステップS41)。制御部117は、例えば、掃除領域300のうち、第1範囲の外側の領域に、筐体10を移動させるように駆動部140を制御する。これにより、自律走行型掃除機100は、人210が検知されていない第1範囲から出て人210を探索するような動作を行う。また、制御部117は、着信報知手段に報知させることを継続しながら、筐体10を移動させる。
【0120】
この際、人検知部112が、人210の検知を継続し、制御部117は、人検知部112によって人210が検知されるまで、駆動部140を制御して筐体10を移動させ続けてもよい。
【0121】
一方、制御部117が、検知された着信報知モードが、通信端末200が音で報知するモードでないと判定した場合(ステップS13でNo)、自律走行型掃除機100は、上述のステップS15及びステップS41の処理をスキップする。
【0122】
ステップS41又はステップS13でNoの後、自律走行型掃除機100は、動作例2におけるステップS16以降と同様の処理を行う。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS6(着信時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0123】
図11は、動作例4における自律走行型掃除機100の動きを示す図である。
【0124】
図11に示されるように、動作例4において、制御部117は、例えば、人210と自律走行型掃除機100とが比較的遠い場合に、スピーカ90に音を出力させる。
【0125】
このように、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)人検知部112が第1範囲内に人210が存在しないことを検知した場合に、着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであるか否かに関わらず、着信報知手段に、音を出力する態様で着信があることを報知させる。
【0126】
これにより、人210が第1範囲内に存在せず、自律走行型掃除機100から遠い場合でも、自律走行型掃除機100が音を出力する態様で報知して、人210に呼びかける。そのため、遠くまで報知が届きやすく、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0127】
また、図11に示されるように、自律走行型掃除機100は、例えば、人210が存在しない第1範囲がサブ領域300aの範囲である場合、サブ領域300aから出て、サブ領域300aとは異なるサブ領域300bへ移動する。
【0128】
このように制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)人検知部112が第1範囲内に人210が存在しないことを検知した場合に、筐体10を第1範囲外に移動させるように駆動部140を制御する。また、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で着信を報知するモードであり、(iii)人検知部112が第1範囲内に人210が存在しないことを検知した場合に、筐体10を第1範囲外に移動させるように駆動部140を制御する。
【0129】
これにより、人210が第1範囲内に存在せず、自律走行型掃除機100から遠い場合でも、自律走行型掃除機100が第1範囲外へ移動し、人210を探索するように走行する。そのため、自律走行型掃除機100は、人210の存在する可能性の高い領域に移動して着信があることを報知できるため、通信端末200へ着信があることを人210により気付かせやすくできる。
【0130】
なお、動作例4において、ステップS13の処理が行われず、通信端末200の着信報知モードが、通信端末200が音を出力する態様で報知するモードであるか否かに関わらず、ステップS15以降の処理が行われてもよい。
【0131】
[動作例5]
次に、動作例3又は動作例4のステップS32における人検知時モードでの制御の処理手順の第1の例である動作例5について説明する。動作例5は、動作例3及び動作例4のどちらと組み合わせられてもよい。図12は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例5における処理手順を示すフローチャートである。また、動作例5は、着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音で報知するモードであるか否かの判定が行われない場合の動作例である。そのため、動作例5の処理が行われる場合、動作例1におけるステップS5は行われなくてもよい。
【0132】
図12に示されるように、まず、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があること報知することなく、静音モードで掃除を行う(ステップS51)。なお、ステップS51において、自律走行型掃除機100は、静音モードで掃除を行う代わりに、掃除を停止してもよい。また、ステップS51において、制御部117は、駆動部140を制御して、図示しない充電器等の所定の位置まで自律走行型掃除機100を一時的に移動させてもよい。
【0133】
次に、通話状態検知部115は、通信端末200が通話状態であるか否かを検知する(ステップS16)。通話状態検知部115が、通信端末200が通話状態でないと検知した場合(ステップS16でNo)、着信検知部111は、通信端末200への着信が停止したか否かを検知する(ステップS17)。
【0134】
着信検知部111が、通信端末200への着信が停止したと検知した場合(ステップS17でYes)、自律走行型掃除機100は、ステップS32(人検知時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0135】
一方、着信検知部111が、通信端末200への着信が停止していないと検知した場合(ステップS17でNo)、自律走行型掃除機100は、処理をステップS16に戻し、通信端末200への着信が停止するまで、通話状態の検知を続ける。
【0136】
また、通話状態検知部115は、通信端末200が通話状態であると検知した場合(ステップS16でYes)、通信端末200による通話が停止したか否かを検知する(ステップS20)。ステップS20の処理は、通話状態検知部115が、通信端末200による通話が停止したと検知するまで継続される(ステップS20でNo)。
【0137】
通話状態検知部115は、通信端末200による通話が停止したと検知した場合(ステップS20でYes)、自律走行型掃除機100は、ステップS32(人検知時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0138】
以上のように、動作例5において、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)人検知部112が第1範囲内に人210が存在することを検知した場合に、自律走行型掃除機100による掃除音を小さくするように制御する。
【0139】
これにより、人210が第1範囲内に存在し、自律走行型掃除機100から近い場合に、自律走行型掃除機100は、掃除音を小さくして、通信端末200自体の着信の報知を人210に気付かせやすくすることができる。また、この場合に、制御部117は、着信報知手段に報知させない。そのため、通信端末200及び自律走行型掃除機100による二重の報知が行われないため、人210が不快に感じることが抑制される。
【0140】
なお、動作例5では、ステップS4で通信端末200へ着信があることを検知した場合だけでなく、着信検知部111が着信を検知する代わりに、通信端末200による発信を検知した場合にも、着信を発信に読み替えた処理が行われてもよい。
【0141】
[動作例6]
次に、動作例3又は動作例4のステップS32における人検知時モードでの制御の処理手順の第2の例である動作例6について説明する。動作例6は、動作例3及び動作例4のどちらと組み合わせられてもよい。図13は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例6における処理手順を示すフローチャートである。
【0142】
図13に示されるように、動作例6においては、自律走行型掃除機100は、動作例2における処理と同様の処理を行う。自律走行型掃除機100は、例えば、上述の図7A又は図7Bに示される動作を行う。このように、人検知部112が第1範囲内に人210が存在することを検知している場合であっても、自律走行型掃除機100は、着信があることを人210に気付かせやすくするために、通信端末200の着信報知モードに応じた態様で着信があることを報知する。
【0143】
[動作例7]
次に、動作例3又は動作例4のステップS32における人検知時モードでの制御の処理手順の第3の例である動作例7について説明する。動作例7は、動作例3及び動作例4のどちらと組み合わせられてもよい。図14は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例7における処理手順を示すフローチャートである。また、動作例7は、着信報知モード検知部113に検知された着信報知モードが、通信端末200が音で報知するモードであるか否かの判定が行われない場合の動作例である。そのため、動作例7の処理が行われる場合、動作例1におけるステップS5は行われなくてもよい。
【0144】
図14に示されるように、まず、通信端末検知部114は、第2範囲内に通信端末200が存在するか否かを検知する(ステップS61)。通信端末検知部114は、例えば、通信部160を用いて、自律走行型掃除機100と通信端末200との距離を示す距離情報を取得し、取得した距離情報に基づいて、第2範囲内に通信端末200が存在するか否かを検知する。
【0145】
具体的には、自律走行型掃除機100が掃除を行っている間、通信端末検知部114は、通信部160を用いて、ビーコンを周期的に発信し、通信端末200が、発信されたビーコンを受信する。ビーコンには送信強度(例えば、TXPower:1m離れて受信した際の参考受信強度値)を示す情報が含まれ、通信端末200は、ビーコンの情報が示す送信強度と、受信したビーコンの受信強度との関係に基づいて、自律走行型掃除機100と通信端末200との距離を算出する。通信端末200は、例えば、算出した距離を示す距離情報を生成し、距離情報とステップS4での説明に記載した着信情報とを合わせて、自律走行型掃除機100へ送信する。また、ステップS61の処理を行う直前に通信端末検知部114がビーコンを発信し、当該ビーコンに基づく距離情報が通信端末200から送信されてもよい。自律走行型掃除機100と通信端末200との距離を容易に決定できる観点から、通信端末検知部114は、例えば、bluetoothによって通信端末200と通信を行う。
【0146】
第2範囲は、自律走行型掃除機100の位置に人210が存在する場合に、第2範囲に存在する通信端末200が人210によって認識されうる、自律走行型掃除機100の周囲の範囲である。つまり、第2範囲に通信端末200が存在する場合、人210と通信端末200との距離が近い。第2範囲は、例えば、地図情報における絶対座標により規定される。第2範囲は、例えば、自律走行型掃除機100からの距離が所定の距離以下となる範囲である。所定の距離は、例えば、自律走行型掃除機100から発信されるビーコンの受信強度が所定の強度以上で受信できる距離である。所定の強度は、例えば、使用される環境等に応じて設定される。また、第2範囲は、第1範囲と同じ範囲であってもよい。
【0147】
通信端末検知部114が、第2範囲内に通信端末200が存在することを検知した場合(ステップS61でYes)、自律走行型掃除機100は、動作例5と同様の、ステップS51以降の処理を行う。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS32(人検知時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0148】
一方、通信端末検知部114が、第2範囲内に通信端末200が存在しないことを検知した場合(ステップS61でNo)、制御部117は、着信報知手段に、通信端末200へ着信があることを報知させる(ステップS62)。ステップS62では、制御部117は、着信報知手段に、ステップS12のように、音を出力しない態様で着信があることを報知させてもよく、ステップS14のように、音を出力する態様で着信があることを報知させてもよい。
【0149】
ステップS62の後、自律走行型掃除機100は、動作例2におけるステップS15以降と同様の処理を行う。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS32(人検知時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0150】
図15A及び図15Bは、動作例7における自律走行型掃除機100の動きを示す図である。
【0151】
図15Aに示されるように、動作例7において、制御部117は、例えば、人210と自律走行型掃除機100とが比較的近く、人210と通信端末200とが比較的遠い場合に、着信報知手段に、着信があることを報知させる。
【0152】
このように、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)人検知部112が前記第1範囲内に人210が存在することを検知し、(iii)通信端末検知部114が第2範囲内に通信端末200が存在しないことを検知した場合に、着信報知手段に着信があることを報知させる。
【0153】
これにより、人210が第1範囲内に存在して、自律走行型掃除機100から近く、通信端末200が第2範囲内に存在せず、自律走行型掃除機100から遠い場合に、自律走行型掃除機100は着信を報知する。この場合、人210は、通信端末200から遠い位置に存在している可能性が高い。そのため、人210の近くに存在する自律走行型掃除機100が通信端末200へ着信があることを報知するため、通信端末200へ着信があることをより人210に気付かせやすくできる。
【0154】
また、図15Bに示されるように、制御部117は、例えば、人210と自律走行型掃除機100と通信端末200とが比較的近い場合に、着信報知手段に、着信があることを報知させることなく、自律走行型掃除機100が静音モードで掃除するように制御する。
【0155】
このように、制御部117は、(i)着信検知部111が、着信があることを検知し、(ii)人検知部112が前記第1範囲内に人210が存在することを検知し、(iii)通信端末検知部114が第2範囲内に通信端末200が存在することを検知した場合に、自律走行型掃除機100による掃除音を小さくするように制御する。
【0156】
これにより、人210が第1範囲内に存在し、通信端末200が第2範囲内に存在して、自律走行型掃除機100から人210及び通信端末200の両方が近い場合に、自律走行型掃除機100は、掃除音を小さくして、通信端末200自体の着信の報知を人210に気付かせやすくすることができる。また、この場合に、制御部117は、着信報知手段に報知させない。そのため、通信端末200及び自律走行型掃除機100による二重の報知が行われないため、人210が不快に感じることが抑制される。
【0157】
[動作例8]
次に、動作例3又は動作例4のステップS32における人検知時モードでの制御の処理手順の第4の例である動作例8について説明する。動作例8は、動作例3及び動作例4のどちらと組み合わせられてもよい。図16は、実施の形態に係る自律走行型掃除機100の動作例8における処理手順を示すフローチャートである。
【0158】
図16に示されるように、まず、通信端末検知部114は、第2範囲内に通信端末200が存在するか否かを検知する(ステップS61)。
【0159】
通信端末検知部114が、第2範囲内に通信端末200が存在しないことを検知した場合(ステップS61でNo)、自律走行型掃除機100は、動作例7におけるステップS62以降と同様の処理を行う。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS32(人検知時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0160】
一方、通信端末検知部114が、第2範囲内に通信端末200が存在することを検知した場合(ステップS61でYes)、自律走行型掃除機100は、動作例2と同様の、ステップS11以降の処理を行う。そして、自律走行型掃除機100は、ステップS32(人検知時モード)の処理を終了し、再び、ステップS1の処理、つまり、通常モードで掃除を行う。
【0161】
[まとめ]
以上のように、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があるか否かを検知する着信検知部111と、第1範囲内に人210が存在するか否かを検知する人検知部112と、着信があることを報知するための着信報知手段(例えば、光源80及びスピーカ90)と、制御部117とを備える。制御部117は、人検知部112の検知結果と着信検知部111の検知結果とに基づいて、着信報知手段の報知動作を制御する。
【0162】
これにより、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があった場合に、第1範囲内に人210が存在するか否か、つまり、自律走行型掃除機100の近くに人210が存在するか否かに応じた、適切な報知動作の制御を行うことで、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0163】
また、自律走行型掃除機100の制御を行うコンピュータ等が実行する制御方法は、通信端末200へ着信があるか否かを検知する着信検知ステップ(ステップS4)と、第1範囲内に人210が存在するか否かを検知する人検知ステップ(ステップS31)と、人検知ステップにおける検知結果と着信検知ステップにおける検知結果とに基づいて、着信があることを報知するための着信報知手段の報知動作を制御する制御ステップ(例えば、ステップS14)とを含む。
【0164】
このような制御方法によっても、通信端末200へ着信があった場合に、第1範囲内に人210が存在するか否かに応じた、適切な報知動作の制御を行うことで、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0165】
また、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があるか否かを検知する着信検知部111と、着信があることを報知するための着信報知手段(例えば、光源80及びスピーカ90)と、通信端末200の着信報知モードを検知する着信報知モード検知部113と、制御部117とを備える。制御部117は、着信報知モード検知部113の検知結果と着信検知部111の検知結果とに基づいて、着信報知手段の報知動作を制御する。
【0166】
これにより、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があった場合に、通信端末200の着信報知モードに応じた、適切な報知動作の制御を行うことで、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0167】
また、自律走行型掃除機100の制御を行うコンピュータ等が実行する制御方法は、通信端末200へ着信があるか否かを検知する着信検知ステップ(ステップS4)と、通信端末200の着信報知モードを検知する着信報知モード検知ステップ(ステップS5)と、着信報知モード検知ステップにおける検知結果と着信検知ステップにおける検知結果とに基づいて、着信があることを報知するための着信報知手段の報知動作を制御する制御ステップ(例えば、ステップS12又はステップS14)とを含む。
【0168】
このような制御方法によっても、通信端末200へ着信があった場合に、通信端末200の着信報知モードに応じた、適切な報知動作の制御を行うことで、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0169】
また、自律走行型掃除機100は、第2範囲内に通信端末200が存在するか否かを検知する通信端末検知部114を備える。制御部117は、人検知部112の検知結果と着信検知部111の検知結果と通信端末検知部114の検知結果とに基づいて、着信報知手段の報知動作を制御する。
【0170】
これにより、自律走行型掃除機100は、通信端末200へ着信があった場合に、第1範囲内に人210が存在するか否か、且つ、第2範囲内に通信端末200が存在するか否かに応じた、適切な報知動作の制御を行うことで、通信端末200へ着信があることを人210に気付かせやすくできる。
【0171】
また、自律走行型掃除機100は、通信端末200が通話状態であるか否かを検知する通話状態検知部115を備える。制御部117は、着信報知手段に着信があることを報知させている間に、通話状態検知部115が、通信端末200が通話状態であることを検知した場合に、着信報知手段による報知を停止させる。
【0172】
これにより、人210が通信端末200による通話を行う場合に、制御部117が着信報知手段による報知を停止させる。そのため、自律走行型掃除機100は、人210による通話を報知によって妨げず、適切な報知の制御を行うことができる。
【0173】
[その他]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0174】
例えば、上記実施の形態における動作例2、動作例6及び動作例8において、ステップS11の処理は行われなくてもよい。この場合、制御部117は、音報知不可信号を取得しているか否かを判定せず、ステップS11の処理がスキップされ、ステップS13の処理が行われる。
【0175】
また、上記実施の形態における動作例2から動作例8において、ステップS16及びステップS17の処理は行われなくてもよい。この場合、ステップS16及びステップS17をスキップして、自律走行型掃除機100は、例えば、ステップS16の前のステップの処理が行われてから所定時間経過後に、ステップS17でYesの次のステップの処理を行う。また、ステップS16のみがスキップされ、ステップS17の処理が行われてもよい。
【0176】
また、自律走行型掃除機100は、上記実施の形態で説明した各構成要素を全て備えていなくてもよく、目的の動作をさせるための構成要素のみで構成されていてもよい。例えば、各動作例において用いられなかった構成要素は、自律走行型掃除機100に備えられていなくてもよい。また、自律走行型掃除機100は、上記実施の形態で説明した各動作例を全て行わなくてもよい。
【0177】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0178】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0179】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0180】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0181】
本発明が、システムで実現される場合、複数の装置によって実現されてもよく、単一の装置として実現されてもよい。また、システムが複数の装置によって実現される場合、上記実施の形態で説明された自律走行型掃除機が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0182】
また、例えば、本発明は、コンピュータが実行する制御方法として実現されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明は、自律走行可能な自律走行型掃除機に適用可能である。
【符号の説明】
【0184】
10 筐体
11 吸込口
20 車輪
30 サイドブラシ
40 レーザ測距計
50 メインブラシ
60 カメラ
70 深度センサ
80 光源
90 スピーカ
100 自律走行型掃除機
110 処理部
111 着信検知部
112 人検知部
113 着信報知モード検知部
114 通信端末検知部
115 通話状態検知部
116 計画生成部
117 制御部
120 記憶部
130 吸引部
131 吸引モータ
140 駆動部
141 車輪モータ
150 清掃部
151 ブラシモータ
160 通信部
200 通信端末
210 人
300 掃除領域
300a、300b サブ領域
301 扉
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16