(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240628BHJP
【FI】
H05K13/02 U
(21)【出願番号】P 2019126779
(22)【出願日】2019-07-08
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 健之
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-347646(JP,A)
【文献】特開2017-157652(JP,A)
【文献】特開平08-324752(JP,A)
【文献】特開昭54-124481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路において物品を検出する複数の物品検出部と、
前記物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記搬送手段を制御する制御部とを備え、
前記搬送手段は複数のコンベアから構成され、
前記複数の物品検出部は、第1の物品検出部と第2の物品検出部を含み、
前記複数のコンベアは、
前記第1の物品検出部が設けられた第1のコンベアと、
前記第2の物品検出部が設けられ、前記第1のコンベアから送られてきた前記物品を搬送する第2のコンベアを含み、
前記制御部は前記複数の物品検出部の動作が正常状態であるか否かを監視し、
全ての前記複数の物品検出部の動作が正常状態である場合に前記複数のコンベアを制御して物品を所定の位置へ搬送する第1の搬送モードと、
前記複数の物品検出部のうち
前記第1の物品検出部の動作が非正常状態である場合に
、前記複数のコンベア
のうち前記第1のコンベアを常に作動させるようにするか、前記第1のコンベアと前記第2のコンベアを同期して作動させるようにして物品を前記所定の位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで物品を搬送する物品搬送装置。
【請求項2】
前記第2の搬送モードは、前記第1の搬送モードよりも低速で前記物品を搬送する請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
更に通知部を備え、前記制御部は前記第2の搬送モードによって物品の搬送が行われていることを前記通知部によって人へ通知する請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
物品を搬送経路に沿って待機位置とその下流の作業位置へ搬送する搬送手段と、
前記待機位置に到達した物品を検出する少なくとも1つの第1の物品検出部と、
前記作業位置に到達した物品を検出する少なくとも1つの第2の物品検出部と、
前記第1の物品検出部と前記第2の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記搬送手段を制御する制御部とを備え、
前記搬送手段は複数のコンベアから構成され、
前記制御部は、
前記第1の物品検出部と前記第2の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記複数のコンベアを制御して物品を前記待機位置で待機させるとともに前記待機位置で待機中の物品を前記作業位置へ搬送する第1の搬送モードと、
前記第2の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記複数のコンベアを制御して、前記待機位置で物品を待機させることなく物品を前記作業位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで物品を搬送
し、
前記複数のコンベアは、
前記待機位置が設定されるとともに、前記第1の物品検出部が設けられた第1のコンベアと、
前記作業位置が設定されるとともに、前記第2の物品検出部が設けられ、前記第1のコンベアから送られてきた前記物品を搬送する第2のコンベアを含む、物品搬送装置。
【請求項5】
前記第2の搬送モードは、前記第1の搬送モードよりも低速で前記物品を搬送する請求項4に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
更に通知部を備え、前記制御部は前記第2の搬送モードによって物品の搬送が行われていることを前記通知部によって人へ通知する請求項4に記載の物品搬送装置。
【請求項7】
物品を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路において物品を検出する第3の物品検出部および第4の物品検出部と、
前記第3の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記搬送手段を制御する制御部とを備え、
前記搬送手段は複数のコンベアから構成され、
前記制御部は前記第3の物品検出部の動作が正常状態であるか否かを監視し、
前記第3の物品検出部の動作が正常状態である場合に前記複数のコンベアを制御して物品を所定の位置へ搬送する第1の搬送モードと、前記第3の物品検出部の動作が非正常状態である場合に前記第4の物品検出部の検出結果に基づいて物品を前記所定の位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで物品を搬送する物品搬送装置。
【請求項8】
前記第2の搬送モードは、前記第1の搬送モードよりも低速で前記物品を搬送する請求項7に記載の物品搬送装置。
【請求項9】
更に通知部を備え、前記制御部は前記第2の搬送モードによって物品の搬送が行われていることを前記通知部によって人へ通知する請求項7に記載の物品搬送装置。
【請求項10】
前記第4の物品検出部は、前記物品を撮像するカメラである請求項7に記載の物品搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送手段により規定の搬送経路に沿って物品を搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送手段により規定の搬送経路に沿って物品を搬送する構成の物品搬送装置としては、例えば、基板に部品を搭載して実装基板を生産する部品実装機において、物品としての基板を搬送する基板搬送装置が知られている。基板搬送装置が備える搬送手段はベルトコンベアから成り、搬送手段は、部品実装機の上流側から送られてきた基板を搬送して所定の作業位置に位置決めする動作と、基板に対する部品の搭載が行われた後の基板を搬送して部品実装機の下流側に搬出する動作とを行う。基板搬送装置は、規定の搬送経路において基板を検出する複数のセンサ(物品検出部)を備えており、これら複数のセンサによる基板の検出結果に基づいて搬送手段を制御するようになっている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の物品搬送装置(基板搬送装置)では、その物品搬送装置が備える複数の物品検出部のうちひとつでも動作が非正常状態になった場合にはその物品検出部が修理或いは正常なものに交換されるまでは搬送手段の運転そのものを停止せざるを得ず、作業効率が良くないという問題点があった。
【0005】
そこで本発明は、物品の搬送経路において物品を検出する複数の物品検出部の一部の動作が非正常状態になった場合であっても搬送手段による物品の搬送動作を継続することができる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品搬送装置は、物品を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路において物品を検出する複数の物品検出部と、前記物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記搬送手段を制御する制御部とを備え、前記搬送手段は複数のコンベアから構成され、前記複数の物品検出部は、第1の物品検出部と第2の物品検出部を含み、前記複数のコンベアは、前記第1の物品検出部が設けられた第1のコンベアと、前記第2の物品検出部が設けられ、前記第1のコンベアから送られてきた前記物品を搬送する第2のコンベアを含み、前記制御部は前記複数の物品検出部の動作が正常状態であるか否かを監視し、全ての前記複数の物品検出部の動作が正常状態である場合に前記複数のコンベアを制御して物品を所定の位置へ搬送する第1の搬送モードと、前記複数の物品検出部のうち前記第1の物品検出部の動作が非正常状態である場合に、前記複数のコンベアのうち前記第1のコンベアを常に作動させるようにするか、前記第1のコンベアと前記第2のコンベアを同期して作動させるようにして物品を前記所定の位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで物品を搬送する。
【0007】
もうひとつの本発明の物品搬送装置は、物品を搬送経路に沿って待機位置とその下流の作業位置へ搬送する搬送手段と、前記待機位置に到達した物品を検出する少なくとも1つの第1の物品検出部と、前記作業位置に到達した物品を検出する少なくとも1つの第2の物品検出部と、前記第1の物品検出部と前記第2の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記搬送手段を制御する制御部とを備え、前記搬送手段は複数のコンベアから構成され、前記制御部は、前記第1の物品検出部と前記第2の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記複数のコンベアを制御して物品を前記待機位置で待機させるとともに前記待機位置で待機中の物品を前記作業位置へ搬送する第1の搬送モードと、前記第2の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記複数のコンベアを制御して、前記待機位置で物品を待機させることなく物品を前記作業位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで物品を搬送し、前記複数のコンベアは、前記待機位置が設定されるとともに、前記第1の物品検出部が設けられた第1のコンベアと、前記作業位置が設定されるとともに、前記第2の物品検出部が設けられ、前記第1のコンベアから送られてきた前記物品を搬送する第2のコンベアを含む。
【0008】
更にもうひとつの本発明の物品搬送装置は、物品を搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路において物品を検出する第3の物品検出部および第4の物品検出部と、前記第3の物品検出部による物品の検出結果に基づいて前記搬送手段を制御する制御部とを備え、前記搬送手段は複数のコンベアから構成され、前記制御部は前記第3の物品検出部の動作が正常状態であるか否かを監視し、前記第3の物品検出部の動作が正常状態である場合に前記複数のコンベアを制御して物品を所定の位置へ搬送する第1の搬送モードと、前記第3の物品検出部の動作が非正常状態である場合に前記第4の物品検出部の検出結果に基づいて物品を前記所定の位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで物品を搬送する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品の搬送経路において物品を検出する複数の物品検出部の一部の動作が非正常状態になった場合であっても搬送手段による物品の搬送動作を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態1における部品実装機の要部側面図
【
図2】本発明の実施の形態1における部品実装機の要部平面図
【
図3】本発明の実施の形態1における部品実装機が備える基板搬送装置が有する搬送機構の平面図
【
図4】本発明の実施の形態1における部品実装機が備える基板搬送装置が有する搬送機構の側面図
【
図5】本発明の実施の形態1における部品実装機の制御系統を示すブロック図
【
図6】(a)(b)(c)(d)本発明の実施の形態1における搬送機構の動作説明図
【
図7】(a)(b)(c)本発明の実施の形態1における搬送機構の動作説明図
【
図8】本発明の実施の形態1における基板搬送装置の搬入側待機位置検出センサの動作が非正常状態となった場合における縮退制御内容を示す図
【
図9】本発明の実施の形態1における基板搬送装置の減速開始位置検出センサの動作が非正常状態となった場合における縮退制御内容を示す図
【
図10】本発明の実施の形態1における基板搬送装置の搬出側待機位置検出センサの動作が非正常状態となった場合における縮退制御内容を示す図
【
図11】本発明の実施の形態1における基板搬送装置の搬入待機位置検出センサおよび減速開始位置検出センサそれぞれの動作が非正常状態となった場合における縮退制御内容を示す図
【
図12】本発明の実施の形態1における基板搬送装置の搬入側待機位置検出センサ、減速開始位置検出センサおよび搬出側待機位置検出センサそれぞれの動作が非正常状態となった場合における縮退制御内容を示す図
【
図13】本発明の実施の形態2における基板搬送装置が有する搬送機構によって搬送される基板の先頭部を基板カメラが検出している状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態1)
図1および
図2は本発明の物品搬送装置を備えた装置の一例としての部品実装機1を示している。部品実装機1は、物品である基板KBに部品BHを搭載して実装基板を生産する装置である。ここでは説明の便宜上、部品実装機1における基板KBの搬送方向(作業者OPから見た左右方向)をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向(作業者OPから見た前後方向)をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0012】
図1および
図2において、部品実装機1は、基台11、搬送機構12、複数のパーツフィーダ13、搭載ヘッド14、ヘッド移動機構15、基板カメラ16、部品カメラ17およびタッチパネル18を備えている。搬送機構12は、部品実装機1の上流側から送られてきた基板KBをX軸方向に搬送して所定の作業位置に位置決めする動作と、作業位置に位置決めした基板KBをX軸方向に搬送して部品実装機1の下流側に搬出する動作とを行う。
【0013】
図2および
図3において、搬送機構12は、Y軸方向に配置された一対のコンベア機構12aを備える3つのコンベア21(搬入コンベア21A、作業コンベア21Bおよび搬出コンベア21C)から構成されている。搬入コンベア21A、作業コンベア21B、搬出コンベア21Cはこの順で、X軸方向に直列に並んで設けられている(
図4も参照)。このため基板KBは、搬入コンベア21A、作業コンベア21Bおよび搬出コンベア21Cから成る3つのコンベア21によって規定される搬送経路21L(
図4)に沿って搬送される。すなわち本実施の形態において、搬送機構12は、基板KBを規定の搬送経路21Lに沿って搬送する搬送手段となっている。
【0014】
図3および
図4において、搬送機構12を構成する3つのコンベア21のそれぞれには、搬送経路21Lにおいて基板KBを検出する物品検出部としての複数のセンサ30が設けられている。複数のセンサ30は、実施の形態1では、搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34から構成されている。
【0015】
図3および
図4において、搬入側待機位置検出センサ31は、搬入コンベア21Aの出口側(基板KBの流れの下流側)の端部に設けられている。作業位置検出センサ32は、作業コンベア21Bの出口側に設けられている。減速開始位置検出センサ33は、作業コンベア21Bの、作業位置検出センサ32よりも手前側(基板KBの流れの上流側)の位置に設けられている。搬出側待機位置検出センサ34は、搬出コンベア21Cの出口側の端部に設けられている。
【0016】
図3において、搬送機構12が備える各センサ30、すなわち搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34はいずれも光学センサから成る。そして、各光学センサは、基板KBの搬送経路21Lに沿って進行する基板KBの側面に向けて(Y軸方向に)検出光Mを投光する投光器41と、投光器41が投光する検出光Mを受光し得る位置に設けられた受光器42とを備えている。各センサ30は、受光器42が検出光Mを受光する受光状態から受光器42が検出光Mを受光しない非受光状態に切り替わることによって、基板KBが搬送経路21L上に規定された所定の各検査位置に到達した状態を検出する。
【0017】
ここで、搬送経路21L上に規定された「検査位置」は、搬入側待機位置検出センサ31については、搬入コンベア21A上において基板KBを停止させて待機させる位置(「搬入側待機位置」と称する)である。従って、搬入側待機位置検出センサ31は、基板KBの先頭部が搬入側待機位置検出センサ31の検出光Mを横切ったときの基板KBの位置が搬入側待機位置となるように、その位置が設定されている。
【0018】
また、搬送経路21L上に規定された「検査位置」は、作業位置検出センサ32については、基板KBを部品BHの搭載作業に供する位置(「作業位置」と称する)である。従って、作業位置検出センサ32は、基板KBの先頭部が作業位置検出センサ32の検出光Mを横切ったときの基板KBの位置が作業位置となるように、その位置が設定されている。
【0019】
また、搬送経路21L上に規定された「検査位置」は、減速開始位置検出センサ33については、基板KBを作業位置に停止させるために基板KBの搬送速度を減少させ始める位置(「減速開始位置」と称する)である。従って、減速開始位置検出センサ33は、基板KBの先頭部が減速開始位置検出センサ33の検出光Mを横切ったときの基板KBの位置が減速開始位置となるように、その位置が設定されている。
【0020】
また、搬送経路21L上に規定された「検査位置」は、搬出側待機位置検出センサ34については、搬出コンベア21Cにおいて基板KBを停止させて待機させる位置(「搬出側待機位置」と称する)である。従って、搬出側待機位置検出センサ34は、基板KBの先頭部が搬出側待機位置検出センサ34の検出光Mを横切ったときの基板KBの位置が搬出側待機位置となるように、その位置が設定されている。
【0021】
図1および
図2において、複数のパーツフィーダ13はそれぞれ、基台11に連結されるフィーダ台車FDに着脱自在に取り付けられている。各パーツフィーダ13は、搬送機構12に近い側の端部に設けられた部品供給位置13Kに部品BHを供給する。各パーツフィーダ13は、ここでは部品BHが収納されたキャリアテープCTをリールRLから引き出して部品BHを供給するテープフィーダを示しているが、パーツフィーダ13は、テープフィーダに限られず、他のもの(例えばバルクフィーダ等)であってもよい。
【0022】
図1において、搭載ヘッド14は、下方に延びた複数のノズル14Nを備えている。各ノズル14Nは搭載ヘッド14に対して昇降およびZ軸まわりの回転動作が可能であり、搭載ヘッド14内に設けられた図示しない真空圧制御部の作動により、下端に部品BHを吸着する真空吸引力を発生させることができる。ヘッド移動機構15は搭載ヘッド14を水平面内方向に移動させる機構であり、例えばXY軸ガントリー機構から構成されている。
【0023】
図1および
図2において、基板カメラ16は搭載ヘッド14に取り付けられており、搭載ヘッド14と一体となって水平面内方向に移動する。基板カメラ16は、撮像視野を下方に向けており、作業コンベア21Bによって作業位置に位置決めされた基板KBの上方から、その基板KBの隅に設けられた基板マークMK(
図2)を撮像する。
【0024】
図1および
図2において、部品カメラ17は基台11上に設けられており、撮像視野を上方に向けている。ノズル14Nの下端に部品BHを吸着させた搭載ヘッド14は、その部品BHを基板KBに搭載する前に部品カメラ17の上方へ移動し、部品カメラ17はノズル14Nの下端に吸着された部品BHを下方から撮像する。
【0025】
図2において、タッチパネル18は部品実装機1の、作業者OPが操作し得る位置に設けられている。
【0026】
部品実装機1が備える制御装置50(
図1および
図5)は、搬送機構12を構成する3つのコンベア21(搬入コンベア21A、作業コンベア21B、搬出コンベア21C)による基板KBの搬送および位置決め動作を制御する。搬送機構12が備える各センサ30からの検出情報は制御装置50に入力される。制御装置50は、各センサ30から入力される検出情報に基づいて、搬送機構12を構成する3つのコンベア21それぞれの動作を制御する。
【0027】
図5において、制御装置50は、各パーツフィーダ13による部品BHの供給動作を制御する。また制御装置50は、搭載ヘッド14が備える各ノズル14Nの昇降および回動動作と、各ノズル14Nによる部品BHの吸着動作を制御する。また、制御装置50は、ヘッド移動機構15による搭載ヘッド14の移動動作を制御する。
【0028】
図5において、制御装置50は基板カメラ16の撮像動作と部品カメラ17の撮像動作を制御する。基板カメラ16の撮像によって得られた画像データと部品カメラ17の撮像によって得られた画像データはそれぞれ制御装置50に送られる。制御装置50は基板カメラ16或いは部品カメラ17から送られてきた画像データに基づいて画像認識部51(
図5)において画像認識を行い、所要の処理を行う。
【0029】
図5において、作業者OPがタッチパネル18から入力した情報は制御装置50に伝送され、制御装置50において処理される。一方、制御装置50は、作業者OP(すなわち人)にとって必要な情報が表示等されるようにタッチパネル18を制御する。このように実施の形態1において、タッチパネル18は部品実装機1に対して作業者OPが入力操作を行う入力部として機能するとともに、部品実装機1から作業者OPに対して所要の情報を通知する通知部として機能する。
【0030】
図5において、制御装置50はセンサ状態監視部52と、搬送モード設定部53を備えている。センサ状態監視部52は、複数のセンサ30それぞれの出力に基づいて複数のセンサ30それぞれの動作が正常状態であるか否かを監視し、異常が確認されたらタッチパネル18等によって作業者OPへ通知する。搬送モード設定部53は、作業者OPによるタッチパネル18からの入力に基づいて、搬送機構12による基板KBの搬送モードを設定する。
【0031】
搬送モード設定部53は、基板KBの搬送モードを、通常搬送モード(第1の搬送モード)または縮退搬送モード(第2の搬送モード)に設定する。「通常搬送モード」は、搬送機構12が備える複数のセンサ30全てからの出力に基づいて3つのコンベア21の制御を行う搬送モードであり、センサ状態監視部52によって、複数のセンサ30全ての動作が正常状態であることが検知されている場合に設定される。一方、「縮退搬送モード」は、搬送機構12が備える複数のセンサ30の一部からの出力に基づいて3つのコンベア21の制御を行う搬送モードであり、センサ状態監視部52によって、複数のセンサ30の一部の動作が非正常状態であることが検知されている場合に設定される。
【0032】
搬送モード設定部53によって搬送モードが通常搬送モードに設定されている場合には、搬送機構12は基板KBを搬送して作業位置に位置決めするという基本的な機能(基板搬送機能)を発揮しつつ、基板KBを作業効率のよい適度な速度で搬送する機能(適速搬送機能)と、搬入コンベア21Aおよび搬出コンベア21Cにおいて基板KBを待機させる機能(バッファ機能)とを発揮する。一方、搬送モード設定部53によって搬送モードが縮退搬送モードに設定されている場合には、搬送機構12は基本的な機能である基板搬送機能は発揮するが、適速搬送機能とバッファ機能の一部または全部については発揮できない状態となる。
【0033】
次に、部品実装機1による基板KBへの部品BHの搭載作業(部品搭載作業)の実行手順について説明する。ここでは搬送機構12が備える複数のセンサ30の動作はいずれも正常であり、搬送モードは通常搬送モードに設定されているものとする。
【0034】
部品搭載作業において、部品実装機1の上流側から基板KBが送られてきたら、搬入コンベア21Aはその基板KBを受け取って搬送し、基板KBを部品実装機1内に搬入する(
図6(a))。搬入コンベア21Aが基板KBを搬入し、これにより基板KBの先頭部が搬入側待機位置に達したことが搬入側待機位置検出センサ31によって検知されたら(
図6(a)→
図6(b))、搬入コンベア21Aは作動を停止させる(
図6(b))。これにより基板KBは搬入側待機位置に停止し、作業コンベア21B側から基板KBを送り出す指令を待つ待機状態となる。
【0035】
搬入コンベア21Aは、基板KBを搬入側待機位置に停止させた後、作業コンベア21Bから基板KBを要求されたら、その基板KBを作業コンベア21Bに送り出す(
図6(b)→
図6(c))。搬入コンベア21Aは、上流側から送られてきた基板KBを受け取った時点で、既に作業コンベア21Bから基板KBを要求されていた場合には、上流側から受け取った基板KBをそのまま(搬入側待機位置で基板KBを待機させることなく)作業コンベア21B側に送り出すようになっていてもよい(この場合には、搬入コンベア21Aの作動は作業コンベア21Bの作動と同期して行われる)。
【0036】
作業コンベア21Bは、搬入コンベア21Aから送られてきた基板KBを受け取ったら、その基板KBを搬送する。そして、減速開始位置検出センサ33によって、減速開始位置に基板KBの先頭部が達したことが検知されたら(
図6(c))、作動速度を低下させて、基板KBの搬送速度をそれまでの搬送速度(作業効率のよい適度な速度であり、「通常の搬送速度」と称する)よりも低速の所定の搬送速度(「低速の搬送速度」と称する)まで減速する。これにより基板KBの先頭部は通常の搬送速度よりも低速の搬送速度で作業位置に達する。そして、作業位置検出センサ32によって、基板KBの先頭部が作業位置に達したことが検知されたら(
図6(c)→
図6(d))、作業コンベア21Bは作動を停止させる(
図6(d))。これにより基板KBは作業位置に停止し、その作業位置に位置決めされる。
【0037】
ここで、仮に、基板KBの先頭部が減速開始位置に達したときに、基板KBの搬送速度が通常の搬送速度から低速の搬送速度まで減速されなかったとすると、その後、基板KBの先頭部が作業位置に達したときに作業コンベア21Bの作動を停止させたとしても、基板KBは作業位置を大きく通り過ぎてしまい、基板KBを正確に作業位置に停止させることはできない。このように減速開始位置検出センサ33は、作業効率のよい適切な速度(通常の搬送速度)で搬送されている基板KBを作業位置に正確に停止させるために必要なものセンサである。なお、基板KBが減速開始位置に到達する前から既に低速の搬送速度で搬送されていた場合には、基板KBの先頭部が減速開始位置で減速することなくそのまま進んだとしても、基板KBの先頭部が作業位置に達したときに作業コンベア21Bの作動を停止させれば、基板KBを作業位置に正確に停止させることができる。
【0038】
基板KBが作業位置に位置決めされたら、ヘッド移動機構15が作動して、搭載ヘッド14を基板KBの上方に移動させる。そして、基板カメラ16に基板マークMKを撮像させる。基板カメラ16が基板マークMKを撮像することによって得られた基板マークMKの画像データは制御装置50に送られる。制御装置50は、基板カメラ16から送られてきた画像データに基づいて画像認識部51において画像認識を行い、基板マークMKの位置を求めることで、基板KBの作業位置からの位置ずれ量を求める。
【0039】
制御装置50が基板KBの位置ずれ量を算出したら、ヘッド移動機構15は搭載ヘッド14をパーツフィーダ13の上方領域から部品カメラ17の上方領域、次いで基板KBの上方領域に移動させることによって、搭載ヘッド14に部品移載動作を繰り返し実行させる。搭載ヘッド14は、パーツフィーダ13の上方領域では、パーツフィーダ13によって部品供給位置13Kに供給された部品BHをノズル14Nによって吸着し、部品カメラ17の上方領域では、ノズル14Nによって吸着した部品BHを部品カメラ17に撮像させる。部品カメラ17が部品BHを撮像することによって得られた部品BHの画像データは制御装置50に送られる。制御装置50は、部品カメラ17から送られてきた画像データに基づいて画像認識部51において画像認識を行い、部品BHを認識する。
【0040】
搭載ヘッド14は、基板KBの上方領域では、制御装置50でなされた部品BHの認識結果に基づいて、ノズル14Nに吸着させた部品BHを基板KB上の目標搭載位置の上方に位置させる。そして、ノズル14Nを下降させることによって、部品BHを基板KBに搭載させる。
【0041】
搭載ヘッド14がこのような部品移載動作を繰り替えし実行することによって、部品実装機1が基板KBに搭載すべき全ての部品BHが基板KBに搭載されたら、作業コンベア21Bは、搬出コンベア21Cから基板KBを要求されるのを待つ。そして、搬出コンベア21Cが基板KBを要求されたら、作業コンベア21Bは、基板KBを搬出コンベア21Cに送り出す(
図6(d)→
図7(a))。
【0042】
搬出コンベア21Cは、作業コンベア21Bから基板KBが送られてきたら、その基板KBを受け取って搬送する。搬出コンベア21Cが作業コンベア21Bから基板KBを受け取って搬送し、これにより基板KBの先頭部が搬出側待機位置に達したことが搬出側待機位置検出センサ34によって検出されたら(
図7(a)→
図7(b))、搬出コンベア21Cは作動を停止させる(
図7(b))。これにより基板KBは搬出側待機位置に停止し、下流側(部品実装機1の外部)へ基板KBを送り出す指令を待つ待機状態となる。
【0043】
搬出コンベア21Cは、基板KBを搬出側待機位置に停止させた後、下流側(外部)の装置から基盤KBを要求されたら、基板KBを下流側に送り出す(
図7(b)→
図7(c))。搬出コンベア21Cは、作業コンベア21Bから送られてきた基板KBを受け取った時点で、既に下流側(外部)から基板KBを要求されていた場合や、下流側に他の装置がないような場合には、作業コンベア21Bから受け取った基板KBをそのまま(搬出側待機位置で基板KBを待機させることなく)下流側に送り出すようなっていてもよい(この場合には、搬出コンベア21Cの作動は作業コンベア21Bの作動と同期して行われる)。
【0044】
このように、実施の形態1では、搬送モード設定部53によって搬送モードが通常搬送モードに設定されている場合、制御装置50は、搬送機構12が備える複数のセンサ30(搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34)からの検出情報に基づいて搬送機構12を構成する3つのコンベア21(搬入コンベア21A、作業コンベア21Bおよび搬出コンベア21C)を作動させることによって、基板搬送機能という基本的な機能が発揮されるようになっている。また、基板搬送機能に加えて、基板KBを作業効率のより適度な速度で搬送する機能(適速搬送機能)と、搬入コンベア21Aおよび搬出コンベア21Cにおいて基板KBを待機させる機能(バッファ機能)とが発揮されるようになっている。
【0045】
次に、搬送モード設定部53によって搬送モードが通常搬送モードから縮退搬送モードに設定された(切り替えられた)場合について説明する。縮退搬送モードは、動作が非正常な状態となったセンサ30がどのセンサ30であるかに応じてその縮退制御内容が異なる。具体的には、搬入側待機位置検出センサ31の動作が非正常状態となった場合(第1のケース)、減速開始位置検出センサ33の動作が非正常状態となった場合(第2のケース)、搬出側待機位置検出センサ34の動作が非正常状態となった場合(第3のケース)とに応じて制御内容が異なる。作業者OPは、タッチパネル18に表示された内容からセンサ状態監視部52によって異常が検出されたセンサ30を確認し、搬送モード設定部53に対して最適な縮退搬送モードを選択する。
【0046】
先ず、搬入側待機位置検出センサ31の動作が非正常状態となった場合である第1のケースについて説明する。このケースでは、基板KBの先頭部が搬入コンベア21A側の待機位置(搬入側待機位置)に到達したことを搬入側待機位置検出センサ31によって検出することができないので、搬入コンベア21Aは基板KBを搬入側待機位置に待機にさせることができない。このため制御装置50は、搬入側待機位置検出センサ31の動作が非正常状態となった場合には、搬入コンベア21Aを常に作動させるようにする(常時作動とする)か、搬入コンベア21Aを作業コンベア21Bと同期して作動させるようにする(
図8)。これにより基板KBは、待機位置(搬入側待機位置)で待機することなく作業位置へ搬送されることとなり、搬入側待機位置検出センサ31の動作が非正常状態となった場合であっても、搬送機構12による基板KBの搬送動作(作業位置への停止を含む)を継続することができる。
【0047】
次に、減速開始位置検出センサ33の動作が非正常状態となった場合である第2のケースについて説明する。このケースでは、基板KBの先頭部が減速開始位置に到達したことを減速開始位置検出センサ33によって検出することができないので、基板KBを通常の搬送速度で搬送すると、基板KBを作業位置に正確に停止させることができなくなる。このため制御装置50は、作業コンベア21Bによる基板KBの搬送速度を低速の搬送速度に設定し、これに応じて搬入コンベア21Aの搬送速度と搬出コンベア21Cの搬送速度も低速の搬送速度に設定する(
図9)。これにより、減速開始位置検出センサ33の動作が非正常状態となった場合であっても、搬送機構12による基板KBの搬送動作を継続することができる。
【0048】
次に、搬出側待機位置検出センサ34の動作が非正常状態となった場合である第3のケースについて説明する。このケースでは、基板KBの先頭部が搬出側待機位置に到達したことを搬出側待機位置検出センサ34によって検出することができないので、搬出コンベア21Cは基板KBを搬出側待機位置に待機させることができない。このため制御装置50は、搬出側待機位置検出センサ34の動作が非正常状態となった場合には、搬出コンベア21Cを常時作動させるようにするか、搬出コンベア21Cを作業コンベア21Bと同期して作動させるようにする(
図10)。これにより基板KBは、待機位置(搬出側待機位置)で待機することなく部品実装機1の外部へ搬送(搬出)されることとなり、搬出側待機位置検出センサ34の動作が非正常状態となった場合であっても、搬送機構12による基板KBの搬送動作を継続することができる。
【0049】
ここで、搬送機構12が備える複数のセンサ30のうちの一部の複数のセンサ30の動作が非正常状態になったことを検知した場合には、制御装置50は、動作が非正常状態になったセンサ30に対応する上記縮退制御の内容を重畳させる。例えば、作業コンベア21Bが備える減速開始位置検出センサ33の動作が非正常状態になったうえに(第2のケース)、搬入側待機位置検出センサ31の動作が非正常状態になった場合には(第1のケース)、制御装置50は、
図11に示すように、作業コンベア21Bによる基板KBの搬送速度を低速の搬送速度に設定するとともに、搬入コンベア21Aの搬送速度と搬出コンベア21Cの搬送速度も低速の搬送速度に設定したうえで(第2のケースの縮退制御内容)、搬入コンベア21Aを低速の搬送速度で常時作動させるか、低速の搬送速度で作業コンベア21Bを同期して作動させる(第1のケースの縮退制御内容)。
【0050】
また、作業コンベア21Bが備える減速開始位置検出センサ33の動作が非正常状態になり(第2のケース)、更に搬入側待機位置検出センサ31の動作が非正常状態になったうえに(第1のケース)、搬出側待機位置検出センサ34の動作が非正常状態になった場合には(第3のケース)、制御装置50は、
図12に示すように、第2のケースの縮退制御内容と第1のケースの縮退制御内容に加えて、搬出コンベア21Cを低速の搬送速度で常時作動させるか、低速の搬送速度で作業コンベア21Bと同期して作動させる(第3のケースの縮退制御内容)。
【0051】
制御装置50は、搬送モード設定部53によって縮退搬送モードが設定されているときには、タッチパネル18に、縮退搬送モードによって基板KBの搬送が行われている旨を表示させるようになっている。これにより、搬送モードが縮退搬送モードに設定されている状態では、そのことが作業者OPに通知されることとなり、作業者OPは適切な時期にセンサの点検を行わなければならないことを認識した状態で作業をすることができる。
【0052】
上述のように、実施の形態1における部品実装機1は、基板KBを搬送経路21Lに沿って搬送する搬送機構12と、搬送経路21Lにおいて基板KBを検出する複数の物品検出部としての複数のセンサ30(搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34)を備えており、これら搬送機構12と、複数のセンサ30と、複数のセンサ30による基板KBの検出結果に基づいて搬送機構12を制御する制御部としての制御装置50は、物品としての基板KBを搬送経路21Lに沿って搬送する物品搬送装置としての基板搬送装置60を構成している(
図5)。そして、この基板搬送装置60において、制御装置50は、複数のセンサ30による基板KBの検出結果に基づいて搬送機構12を制御して基板KBを所定の位置(作業位置)へ搬送する通常搬送モード(第1の搬送モード)と、複数のセンサ30のうち一部の物品検出部(作業位置検出センサ32以外のセンサ30)を除く残りの物品検出部(少なくとも作業位置検出センサ32)の検出結果に基づいて基板KBを所定の位置へ搬送する縮退搬送モード(第2の搬送モード)とのいずれかで基板KBを搬送するようになっている。
【0053】
ここで、前述の第1のケースについて着目すると、基板搬送装置60は、待機位置(搬入側待機位置)に到達した基板KBを検出する搬入側待機位置検出センサ31を第1の物品検出部とし、作業位置に到達した基板KBを検出する作業位置検出センサ32を第2の物品検出部とした場合において、制御装置50は、搬入側待機位置検出センサ31(第1の物品検出部)と作業位置検出センサ32(第2の物品検出部)による基板KBの検出結果に基づいて搬送機構12を制御する制御部となっている。そして、制御装置50は、搬入側待機位置検出センサ31と作業位置検出センサ32による基板KBの検出結果に基づいて搬送機構12を制御して基板KBを待機位置(搬入側待機位置)で待機させるとともにその待機位置で待機中の基板KBを作業位置へ搬送する第1の搬送モードと、作業位置検出センサ32による基板KBの検出結果に基づいて、待機位置で基板KBを待機させることなく基板KBを作業位置へ搬送する第2の搬送モードとのいずれかで基板KBを搬送するものとなっている。
【0054】
このように、実施の形態1における基板搬送装置60では、複数のセンサ30のうちの一部が故障等によりその動作が非正常になって本来の機能を発揮できない状態となっている場合であっても、残りのセンサ30の検出結果に基づいて、機能の一部が制限された縮退搬送モードを設定できるようになっている。そして、そのような縮退搬送モードで基板KBを搬送することにより、搬送機構12による基板KBの搬送動作という基本的な動作を維持でき、基板搬送装置60による基板KBの搬送動作、ひいては部品実装機1による部品搭載作業を継続して行うことができるようになっている。
【0055】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2における部品実装機1は、物品搬送装置としての基板搬送装置60が備える搬送機構12の制御方法が異なるのみであり、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。
【0056】
実施の形態2では、物品である基板KBを搬送経路21Lに沿って搬送する搬送手段としての搬送機構12を備えるほか、搬送経路21Lにおいて基板KBを検出する第3の物品検出部としての搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34を備えており、更に、第4の部品検出部としての基板カメラ16を備えている。そして、制御部としての制御装置50は、実施の形態1の場合と同様、搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34(すなわち第3の物品検出部)による基板KBの検出結果に基づいて搬送機構12を制御するようになっている。
【0057】
実施の形態2において、制御装置50は、搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34(第3の物品検出部)による基板KBの検出結果に基づいて搬送機構12を制御して基板KBを所定の位置(作業位置)へ搬送する通常搬送モード(第1の搬送モード)と、基板カメラ16(第4の物品検出部)の検出結果に基づいて基板KBを所定の位置へ搬送する縮退搬送モード(第2の搬送モード)とのいずれかで基板KBを搬送するようになっている。
【0058】
第2の実施形態では、部品実装機1の搬送機構12が通常搬送モードで作動中に搬入側待機位置検出センサ31、作業位置検出センサ32、減速開始位置検出センサ33および搬出側待機位置検出センサ34のいずれかの動作が非正常状態になった場合、その動作が非正常状態となったセンサ30の検出光Mの上方に基板カメラ16が移動し、そのセンサ30(動作が非正常状態となったセンサ30)が本来検出すべき搬送経路21L上の検査位置を含む領域を観察することによって、そのセンサ30が検出することとなっていた搬送経路21L上の位置に基板KBの先頭部が達した状態を検出するようになっている。すなわち、第2の実施形態では、仮に搬送機構12が備える複数のセンサ30のうちのひとつの動作が非正常状態になった場合であっても、基板カメラ16がその動作が非正常状態になったセンサ30の代わりとなってそのセンサ30の機能を果たすようになっている。
【0059】
例えば、第3の物品検出部のうちのひとつである作業位置検出センサ32の動作が非正常状態になった場合には、作業位置検出センサ32がそれまで行っていた、基板KBの先頭部が作業位置に到達したことの検出を、基板カメラ16が代わって行う。具体的には、作業コンベア21Bが搬入コンベア21Aから受け取るたびに、基板カメラ16が作業位置検出センサ32による検査位置である作業位置の上方に移動して、作業位置に位置した基板KBの先頭部を検出する。
図13は、基板カメラ16が作業位置検出センサ32による検査位置(作業位置)の上方に位置して基板KBの先頭部を検出している状態を示している。
【0060】
実施の形態2において、基板カメラ16は本来の機能(基板マークMKを撮像する機能)を果たしつつ、動作が非正常状態になったセンサ30の役目も果たすため、部品実装機1が実行する部品搭載作業について幾分かは機能が低下(すなわち縮退)することになる。しかし、搬送機構12による基板KBの搬送動作という基本的な動作を維持でき、基板搬送装置60による基板KBの搬送動作、ひいては部品実装機1による部品搭載作業を継続して行うことができるので、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、この実施の形態2においても、搬送モード設定部53によって縮退搬送モードが設定されているときには、制御装置50は、タッチパネル18に、縮退搬送モードによって基板KBの搬送が行われている旨を表示させる。これにより、搬送モードが縮退搬送モードに設定されている状態では、そのことが作業者OPに通知されることとなり、作業者OPは適切な時期にセンサの点検を行わなければならないことを認識した状態で作業をすることができる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態1,2における物品搬送装置である基板搬送装置60によれば、物品としての基板KBを搬送する搬送機構12が備える複数のセンサ30の一部の動作が非正常状態となったとしても、搬送機構12による基板KBの搬送動作という基本的な動作を維持できる。このため一部のセンサ30(物品検出部)の動作が非正常状態になったとしての部品実装機1の全体の稼動を停止させる必要はなく、部品実装機1による部品搭載作業を継続して行うことができる。
【0063】
これまで本発明の実施形態1および2について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態1および2では、物品を搬送する搬送手段は基板KBを搬送するもの(搬送機構12)であったが、物品は基板KBに限られず、従って搬送手段は搬送機構12に限られない。すなわち、搬送手段は、搬送経路に沿って物品を搬送するものであればよい。また、搬送経路において物品を検出する複数の物品検出部は実施の形態1、2で示した光学センサでなくてもよく、カメラ等であってもよい。また、縮退搬送モード(第2の搬送モード)によって物品の搬送が行われていることを人へ通知する通知部は必ずしもタッチパネルでなくてもよく、スピーカーやランプ等、音声や光等によって人へ通知するもの等であってもよい。また、搬送モード設定部53は作業者OPからの入力に基づいて縮退搬送モードを設定するようになっているが、センサ状態監視部52の検出結果に基づいて自動的に縮退搬送モードを設定するようになっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
物品の搬送経路において物品を検出する複数の物品検出部の一部が非正常状態になった場合であっても搬送手段による物品の搬送動作を継続することができる物品搬送装置を提供する。
【符号の説明】
【0065】
12 搬送機構(搬送手段)
16 基板カメラ(第4の物品検出部)(カメラ)
18 タッチパネル(通知部)
21 コンベア(搬送手段)
21L 搬送経路
30 センサ(物品検出部)
31 搬入側待機位置検出センサ(第1の物品検出部)(第3の物品検出部)
32 作業位置検出センサ(第2の物品検出部)(第3の物品検出部)
33 減速開始位置検出センサ(第3の物品検出部)
34 搬出側待機位置検出センサ(第3の物品検出部)
50 制御装置(制御部)
60 基板搬送装置(物品搬送装置)
KB 基板(物品)
OP 作業者(人)