(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-27
(45)【発行日】2024-07-05
(54)【発明の名称】活動量計、リセットシステム、及び活動量計のリセット方法
(51)【国際特許分類】
G06F 1/24 20060101AFI20240628BHJP
A61B 5/22 20060101ALI20240628BHJP
G06M 3/00 20060101ALN20240628BHJP
【FI】
G06F1/24 B
A61B5/22 100
G06M3/00 L
(21)【出願番号】P 2019135588
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 俊
【審査官】石川 亮
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203086430(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0222017(US,A1)
【文献】特開2009-223775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/24
A61B 5/22
G06M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活動量計であって、
利用者の活動量データを算出する所定の処理を実行する制御手段と、
前記利用者の活動量データを記憶するメモリと、
物理現象を非接触に検出可能な非接触検出手段と、
前記非接触検出手段が検出した前記物理現象に基づいてリセット信号を生成するリセット信号生成手段と、を備え、
前記リセット信号生成手段から出力されるリセット信号に応じて前記制御手段をリセット
し、
前記制御手段のリセットでは、前記メモリに記憶されている活動量データの消去は行わない、
活動量計。
【請求項2】
請求項1に記載の活動量計であって、
前記リセット信号生成手段は、検出した前記物理現象の物理量が所定の基準を満たす場合に、前記リセット信号を生成する、
活動量計。
【請求項3】
請求項
2に記載の活動量計であって、
前記非接触検出手段は離間して複数設けられ、
前記所定の基準は、前記非接触検出手段ごとに設定される、
活動量計。
【請求項4】
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の活動量計であって、
前記リセット信号生成手段に電気的に接続されるボタンをさらに備え、
前記リセット信号生成手段は、前記非接触検出手段が検出した物理現象と前記ボタンの出力信号とに基づいてリセット信号を生成する、
活動量計。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の活動量計であって、
前記リセット信号生成手段は、前記制御手段が作動していない状態であっても、前記非接触検出手段が検出した前記物理現象に基づいてリセット信号を生成するように構成される、
活動量計。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の活動量計であって、
前記物理現象は、磁力に基づく物理現象である、
活動量計。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の活動量計と、
前記活動量計に対して略平行に重ねるように接近される治具と、
を備えるリセットシステム。
【請求項8】
メモリに記憶される利用者の活動量データを算出する所定の処理を実行する制御手段をリセットする活動量計のリセット方法であって、
物理現象を非接触に検出する非接触検出ステップと、
前記非接触検出ステップにおいて検出した前記物理現象に基づいてリセット信号を生成する信号生成ステップと、を含み、
前記信号生成ステップにより生成されるリセット信号に応じて前記制御手段をリセット
し、
前記制御手段のリセットでは、前記メモリに記憶されている活動量データの消去は行わない、
活動量計のリセット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活動量計、リセットシステム、及び活動量計のリセット方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、歩数の表示をリセットするためのリセットボタンが表面に設けられた歩数計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の歩数計では、歩数計の表面にリセットボタンが設けられているため、物理的な接触等により意図しないリセット操作が行われてしまうことがある。本発明は、このような問題に鑑みて、意図しないリセット操作が発生しにくいリセットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様によれば、活動量計であって、所定の処理を実行する制御手段と、物理現象を非接触に検出可能な非接触検出手段と、非接触検出手段において検出した物理現象に基づいてリセット信号を生成するリセット信号生成手段と、を備える。そして、前記所定の処理は、前記利用者の活動量データを算出する処理であり、活動量計は、リセット信号生成手段から出力されるリセット信号に応じて制御手段をリセットする。
【発明の効果】
【0006】
この態様によれば、非接触検出手段を用いてリセット処理が行われるため、物理的な接触等による意図しないリセット操作が発生しにくいシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態におけるリセットシステムを適用した活動量計の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態におけるリセットシステムが適用される機器の内部構成部品の配置態様を概略的に示す平面図である。
【
図3】第1実施形態におけるリセットシステムが適用される機器の内部構成部品の間の電気的な接続を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態における磁気センサの配置の一例を示す模式図である。
【
図5】第1実施形態における磁気センサの感度の一例を示す概略図である。
【
図6】第1実施形態におけるリセットシステムのリセット部の詳細を示す図である。
【
図7】第1実施形態におけるリセットシステムが作動する条件を示す模式図である。
【
図8A】第1実施形態におけるリセットシステムが作動しない条件を示す模式図である。
【
図8B】第1実施形態におけるリセットシステムが作動しない条件を示す模式図である。
【
図9】第1実施形態におけるリセットシステムの処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の第2実施形態におけるリセットシステムが作動する条件を示す模式図である。
【
図11】第2実施形態におけるリセットシステムのリセット部の詳細を示す図である。
【
図12】本発明の第3実施形態におけるリセットシステムのリセット部の構成を示す図である。
【
図13】第3実施形態における磁気検出部の詳細を示す図である。
【
図14】第3実施形態におけるリセットシステムに用いられる磁気センサの出力特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面等を参照しながら本発明の各実施形態について説明する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、
図1、
図2、及び
図3を参照して、第1実施形態における活動量計10の主な構成について説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係るリセットシステムが適用される活動量計10の外観を説明する図である。図示のように、活動量計10は、略矩形の薄型の板状(カード形状)に形成される。また、筐体11の一の長辺11a(
図1における下側に位置する長辺11a)寄りであって、且つ一の短辺11b(
図1における右側に位置する短辺部)寄りの位置(
図1に右下側の位置)には、後述の発光装置30を構成する一対のLED30a,30b、及びボタン15が設けられている。
【0011】
筐体11は、数ミリ以下、例えば2ミリ以下程度の薄型のカード形状(一般的な非接触ICカード相当の厚さ)に形成される。すなわち、後述する内部構成部品12を収容する活動量計10の全体の厚さも薄型のカード形状に形成されている。
【0012】
本実施形態の活動量計10は、通勤、通学、及びレジャーなどの日常生活において利用者によって携帯され、当該利用者の歩行又は走行による歩数を検出する機能、及び検出した歩数を情報として外部に出力する機能を有する。
【0013】
そして、活動量計10は、薄板状の筐体11に後述する内部構成部品12が組み込まれることで構成される。したがって、活動量計10は全体的として、筐体11の厚さと同様に例えば2ミリ以下程度の薄型のカード形状で形成されることとなる。特に、本実施形態では、このような薄型カード形状の活動量計10を、後述する内部構成部品12の態様によって実現している。以下、内部構成部品12の態様について説明する。
【0014】
図2は、内部構成部品12の配置態様を概略的に示す平面図である。
【0015】
図2に示すように、活動量計10の筐体11の内部構成部品12は、基板13と、充電回路14と、二次電池16と、を含む。そして、本実施形態では、これら基板13、充電回路14、及び二次電池16が、筐体11内において略同一平面上に並列に配置される態様をとっている。各構成部品の詳細について説明する。
【0016】
本実施形態の基板13は、処理部としての処理チップ22と、記憶部としてのメモリ24と、受電IC(Integrate circuit)26と、充電IC28と、上述の発光装置30と、ボタン15と、加速度センサ32と、通信IC34及び通信アンテナ36から構成される通信部33と、が設けられている。
【0017】
さらに、
図3は、内部構成部品12における電気的な接続を説明するブロック図である。図示のように、内部構成部品12は、処理チップ22に対して、メモリ24、受電IC26、充電IC28、発光装置30、加速度センサ32、及び通信部33が通信可能に接続されている。
【0018】
充電回路14は、非接触電力伝送によって、二次電池16の充電のための電力を外部電源から受けるための回路である。充電回路14は、いわゆる電磁誘導方式に従う電力搬送を実現するための誘導コイル14aと、誘導コイル14aで生じる誘導起電力を所望の電圧に調節して二次電池16に出力するための配線14bと、を有する。
【0019】
二次電池16は、例えばリチウムイオン二次電池等により構成される。特に、二次電池16は、一枚の単位セル又は複数の単位セルを積層してなる積層電池により構成される。当該二次電池16の全体の厚さは、基板13若しくは充電回路14の厚さ(チップまで含めた)以下、又は同程度となる枚数でセルが積層される。
【0020】
処理チップ22は、所定の処理を実行する制御手段として機能し、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置として構成される。処理チップ22は、所定の処理の一例として、加速度センサ32で検出される検出値に基づく加速度信号から歩行ステップを検出し、歩数データを算出する。
【0021】
なお、処理チップ22は、必要に応じて、予めメモリ24に記憶させた利用者の身体データ(身長及び体重等)を参照して、取得した歩数データに基づく消費カロリーなどの利用者の体動を示唆するパラメータを算出するように構成されても良い。
【0022】
また、処理チップ22は、二次電池16の充電残量を表す充電残量信号を充電IC28から受信するとともに、ボタン15への操作が行われたことを示す操作検出信号を発光装置30から受信する。そして、処理チップ22は、操作検出信号を受信すると、発光装置30における一対のLED30a,30bを、充電残量に応じて予め定められる発光態様で発光させる。
【0023】
メモリ24は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などにより構成され、処理チップ22で実行される処理に用いる各命令を一時的に記憶する機能、及び当該処理を実行するためのプログラム及び算出された歩数データを中長期的に記憶する機能を有する。
【0024】
受電IC26は、外部電源から充電回路14を介して受けた電力を充電電力として二次電池16に供給する制御を行う。
【0025】
充電IC28は、二次電池16から処理チップ22、メモリ24、発光装置30、及び加速度センサ32等の電子部品に供給する電力を制御する回路である。
【0026】
発光装置30は、上述した一対のLED30a,30b、及びボタン15により構成される。ここで、上述のように、一対のLED30a,30bの発光態様は、処理チップ22により制御される。
【0027】
ボタン15は、利用者により押下される機械式のスイッチとして構成される。
【0028】
加速度センサ32は、利用者の歩行又は走行などに起因して活動量計10に生じる加速度の検出値を加速度信号として処理チップ22に出力する。加速度センサ32は、例えば公知の3軸加速度センサにより構成される。
【0029】
通信部33の通信IC34は、通信アンテナ36を介して活動量計10と外部との間の通信を制御する。また、通信アンテナ36は、外部からの無線信号を受信する。特に、通信部33は、上述のメモリ24に記憶された歩数データ又は体動に関するパラメータ等を含む情報を、リーダライタ等の外部通信手段に通信アンテナ36を介して出力する。
【0030】
これにより、例えば、本実施形態における活動量計10は、得られた歩数データを適宜、外部サーバーに集約して活動量計10を所持する利用者の歩数データに基づく体動(活動)に関する情報の統括的な分析及び管理が可能である。
【0031】
第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は、外部の磁力を検出するセンサであって、例えばホール素子によって構成される。本実施形態における第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39のそれぞれは、活動量計10の平面上において互いに離れた位置に設けられている。
【0032】
リセット信号生成部40は、
図2に示す第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39を備えており、活動量計10をリセットするために用いられる。
【0033】
リセット回路42はリセット信号生成部40に接続されている。リセット回路42は、例えばRST端子に代表されるような、いわゆるリセット端子を有する。リセット回路42は、初期化を指示するリセット信号がこのリセット端子に入力されると、処理チップ22の初期化を実行する。なお、このリセット回路42は、処理チップ22において、上記所定の処理を実行する機能とは独立して機能する回路である。したがって、処理チップ22が、例えば故障等により上記所定の処理を実行することができない場合であっても、リセット回路42は、以下に詳述するリセット処理を実行することができる。
【0034】
このように、本実施形態の活動量計10は、磁力を検出する第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39を有するリセット信号生成部40を備えている。これにより、活動量計10は検出した磁力に基づいてリセットされる。
【0035】
続いて、
図4から
図6を用いてリセット信号生成部40の構成及び動作について詳細に説明する。
【0036】
図4は、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39の配置を示す模式図である。
図4に示されるように、第1磁気センサ38と第2磁気センサ39とは、一方の磁気センサが検出する磁力が他方の磁気センサに影響を及ぼさない程度に離間して配置されている。後述する治具60との関係において、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は、同時に、それぞれ異なる磁力を検出することができる位置に設けられている。
【0037】
そして、第1磁気センサ38は、第1磁気センサ38が配置されている場所において検出した磁力に応じた電気信号を生成する。また、第2磁気センサ39は、第2磁気センサ39が配置されている場所において検出した磁力に応じた電気信号を生成する。
【0038】
図5は、本実施形態における第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39それぞれの感度の一例を示す概略図である。
図5の横軸には、磁気センサの種類が示されている。
図5の縦軸には、磁気センサがオン状態となる磁力、すなわち「1」の電気信号を生成するために必要な磁力の大きさ(物理量)が示されている。なお、以下では、磁気センサがオン状態である場合「1」の電気信号が出力され、例えば磁気センサがオフ状態である場合「0」の電気信号が出力されるものとして説明する。
【0039】
図5に示されるように、第1磁気センサ38は、第1閾値M1を超える磁力を検出すると「1」の電気信号を出力するように設定される。また、第2磁気センサ39は、第2閾値M2を超える磁力を検出すると「1」の電気信号を出力するように設定される。
【0040】
図6は、本実施形態におけるリセットシステムのリセット信号生成部40の詳細を示す図である。リセット信号生成部40は、第1磁気センサ38と、第2磁気センサ39と、AND回路401と、を備えている。
【0041】
AND回路401は、「0」と「1」の二つの値をとる第1入力端子402及び第2入力端子403の値がともに「1」のときに限って出力端子404の値が「1」となる論理回路である。本実施形態では、AND回路401の二つの第1入力端子402及び第2入力端子403のそれぞれが、二つの磁気センサのそれぞれの出力に接続されている。
【0042】
図4において説明したように、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は、それぞれが同時に異なる磁力を検出することができる。したがって、第1磁気センサ38は検出した磁力に応じた「0」又は「1」の電気信号を第1入力端子402に出力すると同時に、第2磁気センサ39は検出した磁力に応じた「0」又は「1」の電気信号を第2入力端子403に出力する。そして、AND回路401は、第1入力端子402の値と、第2入力端子403の値との論理積に基づく「0」又は「1」の電気信号を出力端子404に出力する。
【0043】
続いて、本実施形態のリセット信号生成部40がリセット信号を出力する場合の各部の動作について説明する。
図7は、リセット信号生成部40がリセット信号を出力する場合の一例を示す図である。なお、ここにいうリセット信号とは、リセット回路42に初期化を指示する「1」の電気信号である。
【0044】
図7は、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39を備える活動量計10と、活動量計10をリセットするために用いられる治具60を示す図である。
【0045】
本実施形態の治具60は、例えば、据え付け型の治具であって、会社等において社員が所有する活動量計10を統括的に管理する管理者が所有している。この管理者は、例えば、利用者としての社員が活動量計10のリセットを要求する場合に、治具60を用いて活動量計10をリセットする処理を行う。
【0046】
治具60は、第1磁石62と、第2磁石64とを備えている。第1磁石62及び第2磁石64は、例えば、強磁性体のうちのいわゆる永久磁石である。本実施形態では、活動量計10の第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39の磁気検出面を、治具60の第1磁石62及び第2磁石64が設けられている面に対して、略平行に重ねるように接近させることによって、活動量計10のリセットが行われる。より詳細には、第1磁気センサ38と第1磁石62とが正対するように、また第2磁気センサ39と第2磁石64とが正対するように、活動量計10と治具60とを接近させることによってリセットが行われる。
【0047】
なお、
図7に示される第1磁石62及び第2磁石64の円の面積は磁力の大きさに対応するように示されている。具体的には、第1磁石62の円の面積が第2磁石64の円の面積よりも大きく示されており、これは第1磁石62の磁力は第2磁石64の磁力よりも大きいことを示す。
【0048】
図7の破線で示されるように、治具60と活動量計10の磁力検出面とが正対するように接近した状態において、第1磁気センサ38は第1磁石62の磁力を検出する。また、第2磁気センサ39は第2磁石64の磁力を検出する。第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39が磁力を検出するためには、活動量計10と治具60とが特定の距離よりも短い距離まで接近する必要がある。ここにいう特定の距離とは、活動量計10が治具60の磁力を検出可能な距離であって、例えば1[cm]程度の距離であってもよい。
【0049】
図7において、例えば、第1磁石62が第1閾値M1を超える磁力を有している場合、第1磁気センサ38は第1磁石62の磁力を検出すると「1」の電気信号を出力する。また、第2磁石64が第2閾値M2を超える磁力を有している場合、第2磁気センサ39は第2磁石64の磁力を検出すると「1」の電気信号を出力する。
【0050】
このように、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39が共に「1」の電気信号を出力すると、AND回路401の第1入力端子402及び第2入力端子403には共に「1」の電気信号が入力される。したがって、AND回路401の出力端子404には「1」の電気信号が出力される。
【0051】
このとき、AND回路401の出力端子404はリセット信号生成部40の出力端子であるため、リセット信号生成部40の出力値は「1」となる。リセット回路42は、リセット信号生成部40からの出力信号として「1」の電気信号を受信すると、処理チップ22のリセットを行う。ここにいうリセットとは、いわゆる初期化であって、例えば、処理チップ22を初期状態に戻してから動作させることを含んでいる。ただし、この初期化の際には、メモリ24に記憶されているデータは消去されなくてもよい。
【0052】
このように、本実施形態の活動量計10は、治具60における磁力及びこの磁力に応じたAND回路401の出力信号に基づいて処理チップ22のリセットが行われる。したがって、例えば処理チップ22が動作していないような、いわゆるフリーズ状態においても、処理チップ22のリセットを実行することができる。
【0053】
続いて、
図8A及び
図8Bを参照して、リセット信号生成部40がリセット信号を出力しない場合の一例について説明する。
【0054】
図8Aは、第1磁石62の磁力が第1閾値M1よりも小さく、また第2磁石64の磁力が第2閾値M2よりも大きい場合を示す図である。
【0055】
この場合、第1磁気センサ38が検出する磁力が第1閾値M1よりも小さいため、第1磁気センサ38の出力値は「0」となる。一方、第2磁気センサ39が検出する磁力は第2閾値M2よりも大きいため、第2磁気センサ39の出力値は「1」となる。
【0056】
そして、AND回路401において、第1磁気センサ38に接続する第1入力端子402には「0」が入力され、第2磁気センサ39に接続する第2入力端子403には「1」が入力される。すると、AND回路401の出力端子404には「0」が出力される。その結果、リセット信号生成部40の出力値は「0」となる。リセット回路42は、リセット信号生成部40からの出力信号として「0」の電気信号を受信する場合には、処理チップ22のリセットを行わない。
【0057】
このように、第1磁気センサ38がオン状態にならない一方で、第2磁気センサ39がオン状態となる場合には、処理チップ22はリセットされない。
【0058】
続いて、リセット信号生成部40がリセット信号を出力しない場合の他の例について説明する。
図8Bは、第1磁石62の磁力が第1閾値M1よりも小さく、また第2磁石64の磁力が第2閾値M2よりも小さい場合を示す図である。
【0059】
この場合、第1磁気センサ38が検出する磁力が第1閾値M1よりも小さいため、第1磁気センサ38の出力値は「0」となる。一方、第2磁気センサ39が検出する磁力も第2閾値M2よりも小さいため、第2磁気センサ39の出力値も「0」となる。
【0060】
そして、AND回路401において、第1磁気センサ38に接続する第1入力端子402には「0」が入力され、第2磁気センサ39に接続する第2入力端子403にも「0」が入力される。すると、AND回路401の出力端子404には「0」が出力される。その結果、リセット信号生成部40の出力値は「0」となる。リセット回路42は、リセット信号生成部40からの出力信号として「0」を受信する場合には、処理チップ22のリセットを行わない。
【0061】
このように、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39がともにオフ状態となる場合においても、処理チップ22はリセットされない。
【0062】
すなわち、上述の
図7で説明したような、二つのセンサの検出する磁力が共にそれぞれの閾値を超えるときに限ってリセットが行われる。このように、治具60の二つの磁石の磁力の大きさと配置との組み合わせが、活動量計10の二つの磁気センサの閾値と配置とに合致する場合に限ってリセットが行われるため、意図しないリセット操作を抑制することができる。
【0063】
次に、上述の機能を有するリセット信号生成部40及びリセット回路42の動作を説明する。
図9は、本実施形態におけるリセットシステムのリセット処理を示すフローチャートである。このリセット処理は、リセット回路42が起動している間常時実行するようにプログラムされている。
【0064】
ステップS901において、リセット回路42は、AND回路401の出力値が「1」であるか否かを判定する。リセット回路42は、AND回路401の出力値が「1」であると判定すると、処理をステップS902に進める。
【0065】
ステップS902において、リセット回路42は、リセット信号生成部40からリセット信号を受信すると処理チップ22の初期化を実行する。そして、リセット回路42は、ステップS902の処理を抜けるとリセット処理を終了する。
【0066】
このように、本実施形態のリセット回路42は、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39の両方が共に磁力を検出することにより、処理チップ22のリセット処理を実行する。
【0067】
なお、上述の第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は、互いに異なる極の磁力を検出するセンサ素子が採用されてもよい。例えば、第1磁気センサ38はN極の磁力を検出し、第2磁気センサ39はS極の磁力を検出してもよい。第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39が互いに異なる極の磁気を検出する場合には、リセット信号を生成するために、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39にそれぞれ対応する極の磁力の磁石を同時に近接させる必要がある。このように、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は、互いに異なる極の磁力を検出するよう構成されている場合にも、意図しないリセット動作を防止することができる。また、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39が同じ極の磁力を検出する場合と比較して、第1磁気センサ38と第2磁気センサ39との離間距離が短い場合であっても、一方の磁気センサが検出する磁力が他方の磁気センサに与える影響が小さいため、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39の配置の自由度が増す利点がある。
【0068】
上述の実施形態における作用効果を以下で説明する。
【0069】
本実施形態のリセットシステムは、所定の処理を実行する処理チップ22と、物理現象を非接触に検出可能な第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39と、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39において検出した物理現象に基づいてリセット信号を生成するリセット信号生成部40と、を備え、リセット信号生成部40から出力されるリセット信号に応じて処理チップ22をリセットする。
【0070】
このように、本実施形態のリセットシステムは、非接触な手段を用いて物理現象を検出するため、物理的な接触によって発生し得る意図しないリセット操作を抑制することができる。例えば、リセットボタンを誤って押下してしまうことでリセット処理が行われることを抑制することができる。または、リセット端子が露出しているような場合には、活動量計10が帯電した物体に接触することによって生じる静電気放電(ESD)によって意図しないリセット処理が行われることを抑制することもできる。
【0071】
また、本実施形態のような薄型の電子機器においては、電子機器の筐体11の表面を加工したリセットボタンを設ける構成が知られている。このような構成では、ボタンの隙間から水等の液体が侵入することにより活動量計10が故障する場合がある。これに対して、本実施形態のリセットシステムは、活動量計10の表面を加工する代わりに、筐体11の内部に磁気センサを設ける非接触検出手段を備えているため、筐体11の表面にリセットボタンを形成する必要がない。これにより、本実施形態のリセットシステムによれば、防水性を向上させることもできる。
【0072】
また、本実施形態のリセット信号生成部40は、検出した物理現象の物理量が所定の基準を満たす場合に、リセット信号を生成する。
【0073】
このように、本実施形態のリセット信号生成部40は、非接触検出手段を介して検出した物理現象の物理量に基づいてリセット信号を生成することができる。そして、例えば以下で詳述する変形例に示されるような、光や音波などによる種々の物理現象に応じた基準を、その物理現象に適した物理量ごとに適宜設定することができる。
【0074】
また、本実施形態のリセットシステムにおいて、第1磁気センサ38と、第2磁気センサ39とは離間して複数設けられており、磁力の閾値は、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39ごとに設定されてもよい。
【0075】
図7を用いて説明したように、活動量計10の二つの磁気センサが互いに離れて配置されているため、磁気センサの配置と治具60の磁石の配置が適合しない場合にはリセットが行われない。例えば、活動量計10をリセットする場合において、例えば
図7に示されるような治具60に活動量計10をかざすとき、活動量計10を治具60にかざす方向が予め定められた方向と異なる場合には、治具60のそれぞれの磁力が二つの磁気センサの各閾値に達しない等の理由でリセット信号が生成されないことがある。これにより、意図しないリセット処理が行われることを抑制することができる。
【0076】
また、本実施形態のリセット信号生成部40は、処理チップ22が作動していない状態であっても、非接触検出手段としての第1磁気センサ38と第2磁気センサ39が検出した物理現象に基づいてリセット信号を生成する。
【0077】
このように、本実施形態のリセットシステムによれば、いわゆる外部リセットとして機能するリセット信号生成部40が、第1磁気センサ38と第2磁気センサ39とにおいて検出された物理現象に応じてリセット信号を生成するので、処理チップ22が故障等により制御不能となった状態においても、当該リセット信号を受けたリセット回路42により処理チップ22をリセットすることができる。
【0078】
また、本実施形態のリセットシステムにおける物理現象は、磁力に基づく物理現象であってもよい。
【0079】
このように、本実施形態における非接触検出手段は、磁力に基づく物理現象を検出し、この磁力の大きさが所定の基準を満たす場合にリセットが行われてもよい。本発明のリセットシステムに適用される磁力は、磁石又は電気回路を用いた電磁誘導等のその他の種々の方法によって発生させることもできるため、本実施形態のリセットシステムの設計を多様化することができる。
【0080】
また、本実施形態のリセットシステムは生体情報測定装置に設けられる。
【0081】
この生体情報測定装置の一例として活動量計10が挙げられる。一般的に、活動量計10は、利用者に常時携帯されていることが多い。このような活動量計10において、表面にリセットボタンが設けられている場合には、利用者は活動の最中に誤ってリセットボタンを押下してしまうことがある。これに対して、本実施形態のリセットシステムによれば、所定の磁力(物理量)を検出した場合にしかリセットが行われない。このため、例えば、利用者が活動量計10を携帯したまま激しい運動を行う場合であっても、利用者の行動に起因して誤ってリセットが行われることを抑制できる。
【0082】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態におけるリセットシステムについて説明する。第2実施形態では、第1実施形態の磁気センサによる磁力の検出に加えて、ボタン操作の有無に応じてリセットが行われる。
【0083】
図10は、第2実施形態におけるリセットシステムが作動する条件を示す模式図である。
図10では、第1磁石62の磁力が第1閾値M1よりも大きく、かつ第2磁石64の磁力が第2閾値M2よりも大きい場合を示す図である。
【0084】
図10に示される場合、第1実施形態と同様に、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は両方ともオン状態となる。第2実施形態のリセットシステムでは、このように二つのセンサがオン状態となっている場合において、さらにボタン15が押下された場合に、リセット信号生成部40がリセット信号を出力する。
【0085】
図11は、第2実施形態におけるリセット信号生成部40の詳細を示す図である。第2実施形態のリセット信号生成部40は、第1実施形態のリセット信号生成部40に加えてボタン15の出力がAND回路401に入力される点において異なる。ボタン15が押下されると、ボタン15からAND回路401に「1」の信号が出力されることによって、リセット信号生成部40は、ボタン15の押下の有無を検出することができる。
【0086】
このような第2実施形態のリセットシステムの動作としての処理フローは、図示を省略するものの、第1実施形態の
図9と同様である。具体的には、リセット回路42は、
図9において説明したステップS901において、AND回路401の出力信号とボタン15からの出力信号とが共に「1」となる場合に、ステップS902へ処理を進める。そして、リセット回路42は、ステップS902において処理チップ22の初期化を実行する。
【0087】
このように、第2実施形態では、リセット信号生成部40は、二つの磁気センサによる磁力の検出に加えてボタン15の押下の有無を検出して、リセット信号を出力する。
【0088】
上述の実施形態における作用効果を以下で説明する。
【0089】
本実施形態のリセットシステムは、リセット信号生成部40に電気的に接続されるボタン15をさらに備えており、リセット信号生成部40は、非接触検出手段としての第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39が検出した物理現象とボタン15の出力信号に基づいてリセット信号を生成するように構成されてもよい。
【0090】
このように、非接触検出手段としての第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39による出力信号に加えて、管理者によるボタン15の押下操作の有無に応じて、リセットが行われるため、意図しないリセット処理が行われることを抑制することができる。また、このボタン15の押下操作のタイミングは、二つの磁気センサによる磁力の検出タイミングとは異なるタイミングであってもよい。
【0091】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態におけるリセットシステムについて説明する。第3実施形態は、リセット信号生成部40の構成において第1実施形態と異なる。より詳細には、第1実施形態の第1磁気センサ38が第1磁気検出部50に置き換えられており、また第2磁気センサ39が第2磁気検出部52に置き換えられて構成される。
【0092】
図12は、第3実施形態におけるリセット信号生成部40の構成を示す図である。以下では、第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付すとともに説明を省略する。
【0093】
リセット信号生成部40は、第1磁気検出部50と、第2磁気検出部52と、AND回路401と、を備える。第1磁気検出部50と、第2磁気検出部52と、はそれぞれ外部からの磁力を検出すると、検出した磁力に応じた電気信号をAND回路401に出力する。
【0094】
具体的には、第1磁気検出部50の出力信号はAND回路401の第1入力端子402に入力され、また第2磁気検出部52の出力信号はAND回路401の第2入力端子403に入力される。AND回路401は、第1磁気検出部50及び第2磁気検出部52からの「0」又は「1」の入力信号に応じて、出力端子404に「0」又は「1」の信号を出力する。この出力端子404の信号はリセット回路42へ入力される。
【0095】
なお、リセット信号生成部40における第1磁気検出部50及び第2磁気検出部52以外の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0096】
続いて、
図13を参照して、本実施形態の第1磁気検出部50及び第2磁気検出部52の構成を説明する。
図13は、第1磁気検出部50及び第2磁気検出部52の詳細を示す図である。
【0097】
なお、第1磁気検出部50の構成と第2磁気検出部52の構成とは同様であるため、第2磁気検出部52の構成は、
図13に示される第1磁気検出部50の符号に併記された括弧内の符号によって示されている。したがって、第2磁気検出部52の構成の詳細については説明を省略する。
【0098】
本実施形態の第1磁気検出部50は、いわゆるアナログ出力タイプの磁気センサである。第1磁気検出部50は、アナログ磁気センサ500と、低電圧側コンパレータ510と、高電圧側コンパレータ520と、インバータ530と、ANDゲート540と、を備える。
【0099】
アナログ磁気センサ500は、アナログ出力タイプの磁気センサであって、N極又はS極の強さに応じて出力電圧が線形に変化する磁気センサである。
図14は、アナログ磁気センサ500の出力特性の一例を示す図である。
【0100】
図14の横軸は、磁力の大きさ(物理量)を示しており、紙面に向かって、中心点B
OFから右方向にかけてS極の磁力が増加し、中心点B
OFから左方向にかけてN極の磁力が増加する。また、
図14の縦軸は、アナログ磁気センサ500が出力する電圧を示している。したがって、
図14に示される例では、アナログ磁気センサ500の出力電圧値は、N極の磁力が増加すると上昇し、S極の磁力が増加すると出力電圧値が下降する。
【0101】
本実施形態のアナログ磁気センサ500は、活動量計10が治具60に対して所定の距離、例えば1[cm]の距離まで接近した場合に、特定の磁力よりも相対的に弱い磁力である低磁力Baから特定の磁力よりも相対的に高い磁力である高磁力Bbの範囲内の磁力を検出したときオン状態となり、低電圧Vaから高電圧Vbの間の電圧を出力する。なお、この特定の磁力は任意に設定可能である。
【0102】
低電圧側コンパレータ510は、低電圧Vaを超える電圧が入力された場合に「1」の信号を出力する比較回路である。一方、高電圧側コンパレータ520は、高電圧Vbを超える電圧が入力された場合に「1」の信号を出力する比較回路である。
【0103】
次に、このようなアナログ磁気センサ500、低電圧側コンパレータ510、及び高電圧側コンパレータ520を備える第1磁気検出部50の動作を説明する。一例として、第1磁気検出部50が低磁力Baから高磁力Bbの間の磁力を検出した場合を想定して説明する。この場合、
図14に示すように、アナログ磁気センサ500は、低電圧Vaから高電圧Vbの間の電圧の信号を出力する。
【0104】
すると、低電圧側コンパレータ510は、低電圧Vaを超える電圧を受信するため、「1」の信号を出力し、ANDゲート540の入力端子542に入力する。一方、高電圧側コンパレータ520は、高電圧Vbを下回る電圧を受信するため、「0」の信号を出力する。この「0」の信号はインバータ530を介して反転して、「1」の信号となり、ANDゲート540の入力端子543に入力する。よって、ANDゲート540の両方の入力端子542,543には「1」の信号が入力されるため、出力端子544には「1」の信号が出力される。
【0105】
他の例として、第1磁気検出部50が低磁力Baから高磁力Bbの範囲にない磁力を検出した場合には、ANDゲート540の出力値は「1」にならない。具体的には、第1磁気検出部50が高磁力Bbより高い磁力を検出した場合、低電圧側コンパレータ510と高電圧側コンパレータ520との両方の出力が「1」となるものの、高電圧側コンパレータ520の出力値はインバータ530において反転して「0」となるため、結果としてANDゲート540の出力値は「0」となる。
【0106】
同様に、第1磁気検出部50が低磁力Baよりも低い磁力を検出した場合には、低電圧側コンパレータ510と高電圧側コンパレータ520との両方の出力が「0」となるものの、高電圧側コンパレータ520の出力値はインバータ530において反転して「1」となるため、結果としてANDゲート540の出力値は「0」となる。
【0107】
このように、本実施形態の第1磁気検出部50は、低磁力Baから高磁力Bbの範囲の磁力を検出する場合に限って、ANDゲート540の出力値が「1」になる。すなわち、第1磁気検出部50が低磁力Baから高磁力Bbの所定範囲の磁力を検出する場合にしか第1磁気検出部50の出力値が「1」にならないため、第1磁気検出部50は、リセットが実行される状況をより精密に特定または制限することができる。
【0108】
上述の実施形態における作用効果を以下に説明する。
【0109】
本実施形態のリセット信号生成部40は、物理現象に基づく磁力の値が、所定の基準として、低磁力Baから高磁力Bbの範囲内である場合に、リセット信号を生成する。
【0110】
このように、本実施形態の第1磁気検出部50及び第2磁気検出部52は、低磁力Baから高磁力Bbの範囲内の磁力を検出する場合に限ってリセットが実行される。これにより、磁力の範囲が限定的な場合にしかリセットが実行されないため、意図しないリセット操作を抑制することができる。
【0111】
(変形例)
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。上述の実施形態では、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39によって、外部の磁力を検出することで非接触検出を行っている。しかしながら、これに代えて又はこれとともに、光、温度、超音波、又は圧電を検出することで非接触検出を行う構成としてもよい。
【0112】
非接触検出の手段として光を利用する場合、例えば、活動量計10の所定の部分にレーザ光等が入力される。入力されたレーザ光は、フォトディテクタ等の光センサで電圧に変換され、その電圧が予め定められた閾値を超える場合に、リセット信号が出力される。
【0113】
一方、非接触検出の手段として温度を利用する場合には、活動量計10にはサーミスタ等が設けられる。上述の光の場合と同様に、検出した温度がサーミスタ等によって電圧に変換され、その電圧が予め定められた閾値を超える場合に、リセット信号が出力される。
【0114】
また、非接触検出の手段として超音波を利用する場合には、活動量計10には超音波マイク等が設けられる。入力された超音波は、超音波マイク等において電圧に変換され、その電圧が予め定められた閾値を超える場合に、リセット信号が出力される。
【0115】
また、非接触検出の手段として圧電センサを利用する場合には、音波等の振動を圧電センサに伝達する構成が設けられる。圧電センサに伝達された音波等による振動エネルギーは、電圧に変換され、その電圧が予め定められた閾値を超える場合に、リセット信号が出力される。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0117】
例えば、上述の実施形態において、第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39は活動量計10の対向する隅位置に設けられている。しかしながら、これらの二つの磁気センサは、長辺11a又は短辺11bの両辺のそれぞれの中央位置において、対向する位置に設けられてもよい。また、二つの磁気センサは、個々に磁力を検出できる程度に離間している限り、いかなる配置で設けられてもよい。
【0118】
なお、上述の実施形態において、磁気センサは第1磁気センサ38及び第2磁気センサ39の二つの磁気センサが設けられている。しかしながら、二つの磁気センサのうちのいずれか一方のみ設けられる構成であってもよい。あるいは、三つ以上の磁気センサが設けられていてもよい。
【0119】
また、上記実施形態のボタン15に代わる構成として、圧電センサが設けられてもよい。圧電センサは、外部から加わる力を検出すると発電し、その発電に相当する電圧が、予め定められた閾値を超える場合に、ボタン15の押下に相当する操作とみなす構成としてもよい。
【0120】
また、上述の実施形態において、リセット信号生成部40にはAND回路401が設けられている。しかしながら、AND回路401の代わりにNAND回路が設けられる構成であってもよい。この場合、NAND回路の出力が「0」となる場合にリセット処理が行われる構成としてもよい。
【0121】
また、本発明に係るリセットシステムが適用される対象は、利用者の活動量を検出するための活動量計10に限定されない。例えば、本発明のリセットシステムは、いわゆる交通系ICカード、スマートフォンに類する携帯型の通信機器、又はその他のリセット処理を要する種々の電子機器に適用されてもよい。種々の電子機器の例としては、生体情報測定装置が挙げられ、この生体情報測定装置には、例えば、活動量計、カード型体温計、及びカード型皮下脂肪計が含まれる。
【0122】
なお、上述の実施形態において、治具60の第1磁石62及び第2磁石64は永久磁石であるものとして説明した。しかしながら、治具60には、第1磁石62及び第2磁石64の代わりに、例えばコイルにおける電磁誘導等を用いて磁力を生じさせるような、磁力を発生させる構成である限りいかなる構成が設けられてもよい。また、治具60は据え付け型ではなく、携帯可能な装置として構成されてもよい。
【符号の説明】
【0123】
10 活動量計(生体情報測定装置)
22 処理チップ(制御手段)
38 第1磁気センサ(非接触検出手段)
40 リセット信号生成部(リセット信号生成手段)